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特許7468025機器、保守支援システム、保守支援方法及び保守支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】機器、保守支援システム、保守支援方法及び保守支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240409BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20240409BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240409BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20240409BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240409BHJP
   G06F 3/0481 20220101ALI20240409BHJP
【FI】
H04N1/00 002Z
B41J29/00 Z
B41J29/38 203
B41J29/42 F
G03G21/00 510
G03G21/00 386
H04N1/00 127A
G06F3/0481
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020048491
(22)【出願日】2020-03-18
(65)【公開番号】P2021150804
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】小松原 悟
【審査官】花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-246880(JP,A)
【文献】特開2003-344422(JP,A)
【文献】国際公開第2015/029089(WO,A1)
【文献】特開2017-016177(JP,A)
【文献】特開2017-147643(JP,A)
【文献】特開2012-015378(JP,A)
【文献】特開2009-211472(JP,A)
【文献】特開2019-160314(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B41J 29/00 -29/70
G03G 15/00
15/36
21/00
21/02
21/14
21/20
G06F 3/01
3/048- 3/04895
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器の使用環境を示す環境情報を取得する取得部と、
前記機器のユーザに対して所定の認証処理を行う認証部と、
前記機器が有する記憶部に時間情報と関連付けて記憶されている前記環境情報のうち、不具合が発生した時期より前の期間を含む所定期間に取得された環境情報の経時的変化を可視化した環境履歴情報を、前記認証部により認証されたユーザに対して視認可能となるように出力する出力部と、
を備える機器。
【請求項2】
前記出力部は、不具合が発生した時期を視覚的に示す不具合情報を出力する、
請求項1に記載の機器。
【請求項3】
前記出力部は、前記機器の稼働状態を視覚的に示す稼働状態情報を出力する、
請求項1又は2に記載の機器。
【請求項4】
前記出力部は、前記認証部により認証されたユーザにより前記不具合情報を指定する操作が行われた場合に、前記不具合に関連する情報を集約した集約情報を出力する、
請求項2に記載の機器。
【請求項5】
前記出力部は、前記認証部により認証されたユーザにより指定された指定期間に対応する、前記環境情報及び前記稼働状態情報を出力する、
請求項3に記載の機器。
【請求項6】
可視化の対象となる前記環境情報は、複数種類の前記環境情報の中から前記認証部により認証されたユーザによる操作により選択可能である、
請求項1~5のいずれか1項に記載の機器。
【請求項7】
前記出力部は、前記認証部により認証されたユーザにより選択された複数種類の前記環境情報に対応する複数の前記環境履歴情報を重畳表示させる、
請求項6に記載の機器。
【請求項8】
前記取得部により前記環境情報が取得されなかった期間に対応する前記環境履歴情報を、前記環境情報が取得されなかった期間の前後に取得された前記環境情報に基づき補正する補正部、
を更に備える請求項1~7のいずれか1項に記載の機器。
【請求項9】
前記認証部により認証されたユーザは、保守作業を行う権限を有する者である、
請求項1~8のいずれか1項に記載の機器。
【請求項10】
前記機器は画像形成装置である、
請求項1~9のいずれか1項に記載の機器。
【請求項11】
機器とネットワークを介して接続されたサーバを有する保守支援システムであって、
前記機器は、
前記機器の使用環境を示す環境情報を取得する取得部と、
前記機器のユーザに対して所定の認証処理を行う認証部と、
前記機器が有する記憶部に時間情報と関連付けて記憶されている前記環境情報のうち、不具合が発生した時期より前の期間を含む所定期間に取得された環境情報の経時的変化を可視化した環境履歴情報を、前記認証部により認証されたユーザに対して視認可能となるように出力する出力部と、を有し、
前記サーバは、
前記取得部で取得した前記環境情報を記憶する前記記憶部、
を有する、
保守支援システム。
【請求項12】
保守作業を支援するための保守支援方法であって、
機器に備えられたセンサにより前記機器の使用環境を示す環境情報を取得する工程と、
情報処理装置が前記機器のユーザに対して所定の認証処理を行う工程と、
前記機器が有する記憶部に時間情報と関連付けて記憶されている前記環境情報のうち、不具合が発生した時期より前の期間を含む所定期間に取得された環境情報の経時的変化を可視化した環境履歴情報を、前記認証処理により認証されたユーザが視認可能となるように出力装置に出力させる工程と、
を含む保守支援方法。
【請求項13】
保守作業を支援するための処理を行うコンピュータに、
機器に備えられたセンサにより前記機器の使用環境を示す環境情報を取得する処理と、
情報処理装置が前記機器のユーザに対して所定の認証処理を行う処理と、
前記機器が有する記憶部に時間情報と関連付けて記憶されている前記環境情報のうち、不具合が発生した時期より前の期間を含む所定期間に取得された環境情報の経時的変化を可視化した環境履歴情報を、前記認証処理により認証されたユーザが視認可能となるように出力装置に出力させる処理と、
を実行させる保守支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器、保守支援システム、保守支援方法及び保守支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置等の機器に不具合が発生した場合に、作業者(カスタマエンジニア)が当該機器の設置場所に赴き、不具合を解消するための保守作業(メンテナンス)を行う場合がある。
【0003】
画像形成装置の性能維持を支援するための技術として、一定時間間隔で温度及び湿度を測定し、画質保証温度ライン、省エネ温度ライン及び温度データを表示し、温度データが画質保証温度ライン又は省エネ温度ラインの外にあった場合に警告表示する技術が開示されている(特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
機器の不具合は機器の使用時における温度、湿度等の使用環境に起因して発生する場合がある。そのため、作業者が不具合の原因の特定、顧客への解決策の提案等を行う際に、不具合発生時における使用環境を示すデータが必要となる場合がある。しかし、通常、不具合発生時と作業者の設置場所への到着時との間には時間差が生じるため、作業者は不具合発生時の使用環境を正確に把握することができない。また、定期的なメンテナンスの際に、顧客に対して使用環境を示すデータを見せる場合もある。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであって、保守作業を行う作業者が機器の使用環境を正確に把握できるようにする機器、保守支援システム、保守支援方法及び保守支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一形態である機器は、機器の使用環境を示す環境情報を取得する取得部と、機器のユーザに対して所定の認証処理を行う認証部と、機器が有する記憶部に時間情報と関連付けて記憶されている環境情報のうち、不具合が発生した時期より前の期間を含む所定期間に取得された環境情報の経時的変化を可視化した環境履歴情報を、認証部により認証されたユーザに対して視認可能となるように出力する出力部と、を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、保守作業を行う作業者が機器の使用環境を正確に把握することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施形態に係る保守支援システムを備えるMFPの外観構成の一例を示す図である。
図2図2は、第1の実施形態に係るMFPのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、第1の実施形態に係るMFPの機能構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る保守支援情報の第1の例を示す図である。
図5図5は、第1の実施形態に係る保守支援情報の第2の例を示す図である。
図6図6は、第1の実施形態に係る保守支援情報の第3の例を示す図である。
図7図7は、第1の実施形態に係る保守支援情報の第4の例を示す図である。
図8図8は、第1の実施形態に係る保守支援情報の第5の例を示す図である。
図9図9は、第1の実施形態に係る保守支援情報の第6の例を示す図である。
図10図10は、第1の実施形態に係る保守支援情報の第7の例を示す図である。
図11図11は、第1の実施形態に係る保守支援情報の第8の例を示す図である。
図12図12は、第1の実施形態に係る保守支援情報の第9の例を示す図である。
図13図13は、第1の実施形態に係る保守支援情報の第10の例を示す図である。
図14図14は、第1の実施形態に係る保守支援情報の第11の例を示す図である。
図15図15は、第1の実施形態に係る保守支援情報の第12の例を示す図である。
図16図16は、第1の実施形態に係る保守支援情報の第13の例を示す図である。
図17図17は、第1の実施形態に係るMPFによる処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図18図18は、第2の実施形態に係る保守支援システムのシステム構成の一例を示す図である。
図19図19は、第2の実施形態に係るサーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
図20図20は、第2の実施形態に係る保守支援システムの機能構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照しながら、本発明にかかる機器、保守支援システム、保守支援方法及び保守支援プログラムの実施形態を詳細に説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るMFP(Multifunction Peripheral)1の外観構成の一例を示す図である。MFP1は「機器」の一例であり、且つ「画像形成装置」の一例である。
【0011】
MFP1は本体部11及び操作パネル12を有する。本体部11はコピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能等を実現するユニットである。操作パネル12はユーザ(顧客)や作業者(カスタマエンジニア)による入力操作を受け付け、ユーザや作業者へ向けて情報を出力するユーザインターフェースである。
【0012】
図2は、第1の実施形態に係るMFP1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。MFP1はコントローラ50、近距離通信回路60、エンジン制御部70、操作パネル12、ネットワークI/F90を備えている。
【0013】
コントローラ50はコンピュータの主要部であるCPU41、システムメモリ(MEM-P)42、ノースブリッジ(NB)43、サウスブリッジ(SB)44、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)46、記憶部であるローカルメモリ(MEM-C)47、HDDコントローラ48、及び、記憶部であるHD49を有し、NB43とASIC46との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス61で接続した構成となっている。
【0014】
CPU41はMFP1の全体制御を行う制御部である。NB43はCPU41と、MEM-P42、SB44、及びAGPバス61とを接続するためのブリッジであり、MEM-P42に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCI(Peripheral Component Interconnect)マスタ及びAGPターゲットとを有する。
【0015】
MEM-P42はコントローラ50の各機能を実現させるプログラム(保守支援プログラム等)やデータの格納用メモリであるROM42a、プログラムやデータの展開、及びメモリ印刷時の描画用メモリなどとして用いるRAM42bとからなる。なお、RAM42bに記憶されているプログラムはインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0016】
SB44はNB43とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。ASIC46は画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス61、PCIバス62、HDDコントローラ48およびMEM-C47をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC46はPCIターゲットおよびAGPマスタ、ASIC46の中核をなすアービタ(ARB)、MEM-C47を制御するメモリコントローラ、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)、並びに、スキャナ部71及びプリンタ部72との間でPCIバス62を介したデータ転送を行うPCIユニットとからなる。なお、ASIC46には、USBのインターフェースや、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)のインターフェースを接続するようにしてもよい。
【0017】
MEM-C47はコピー用画像バッファ及び符号バッファとして用いるローカルメモリである。HD49は画像データの蓄積、印刷時に用いるフォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。HD49はCPU41の制御にしたがってHD49に対するデータの読出又は書込を制御する。AGPバス61はグラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインタフェースであり、MEM-P42に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレータカードを高速にすることができる。
【0018】
また、近距離通信回路60には通信回路60aが備わっている。近距離通信回路60はNFC、Bluetooth(登録商標)等の通信回路である。
【0019】
エンジン制御部70はスキャナ部71、プリンタ部72及びセンサ部73を含んで構成されている。
【0020】
センサ部73は温度センサ73a、湿度センサ73b及び電圧センサ73cを含んで構成されている。温度センサ73aは本体部11内の温度を検出する。湿度センサ73bは本体部11内の湿度(相対湿度及び絶対湿度)を検出する。電圧センサ73cはMFP1の入力電圧を検出する。センサ部73により検出された温度データ、湿度データ及び電圧データは使用環境を示す環境情報の一例である。センサ部73に含まれるセンサは温度センサ73a、湿度センサ73b及び電圧センサ73cに限定されるものではない。当該環境情報はMFP1の制御に利用されると共に、後述する保守支援システムによる保守支援情報の生成等に利用される。
【0021】
操作パネル12は現在の設定値や選択画面等を表示させ、操作者からの入力を受け付けるタッチパネル等の表示部12a、並びに、濃度の設定条件などの画像形成に関する条件の設定値を受け付けるテンキー及びコピー開始指示を受け付けるスタートキー等からなる操作部12bを備えている。コントローラ50はMFP1全体の制御を行い、例えば、描画、通信、操作パネル12からの入力等を制御する。スキャナ部71又はプリンタ部72には、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれている。
【0022】
なお、MFP1は操作パネル12のアプリケーション切り替えキーにより、ドキュメントボックス機能、コピー機能、プリンタ機能、およびファクシミリ機能を順次に切り替えて選択することが可能となる。ドキュメントボックス機能の選択時にはドキュメントボックスモードとなり、コピー機能の選択時にはコピーモードとなり、プリンタ機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファクシミリモードの選択時にはファクシミリモードとなる。
【0023】
また、ネットワークI/F90はネットワーク15を利用してデータ通信をするためのインターフェースである。近距離通信回路60及びネットワークI/F90は、PCIバス62を介して、ASIC46に電気的に接続されている。
【0024】
図3は、第1の実施形態に係るMFP1の機能構成の一例を示すブロック図である。MFP1は取得部111、記憶部112、認証部113、設定部114、抽出部115及び出力部116を有する。これらの機能部111~116は、図2に示すハードウェア構成要素、及びROM42a等に記憶された保守支援プログラムを含むプログラムの協働により実現される。
【0025】
取得部111はMFP1の使用環境を示す環境情報を取得する。本実施形態に係る取得部111は、環境情報として、センサ部73から温度データ、湿度データ(相対湿度データ及び絶対湿度データ)及び電圧データを取得する。
【0026】
記憶部112は取得部111により取得された環境情報を時間情報と関連付けて蓄積する。記憶部112が環境情報を蓄積する期間は特に限定されるべきものではないが、例えば過去2か月分程度の環境情報が蓄積される。
【0027】
認証部113はMFP1を操作する者(ユーザ)に対して所定の認証処理を行う。認証処理はMFP1のユーザが所定の権限を有する者(例えば、保守作業を行う権限を有する作業者等)であるか否かを判定するために行われる。認証処理の具体的方法は特に限定されるべきものではないが、例えば作業員のみが知っている特定の入力操作の検出、作業員毎に割り当てられた識別IDとパスワードの入力等により行うことができる。なお、認証処理を通過し得る者は作業員に限られるものではなく、所定の条件を満たす顧客等であってもよい。
【0028】
設定部114は認証部113により認証されたユーザである被認証者(作業員等)による各種設定操作を受け付ける。
【0029】
抽出部115は環境情報が蓄積された記憶部112から不具合が発生した時期より前の期間を含む所定期間に取得された環境情報を抽出する。
【0030】
出力部116は抽出部115により抽出された(所定期間に取得された)環境情報の経時的変化を可視化した環境履歴情報を含む保守支援情報を、被認証者が視認可能となるように出力する。また、出力部116は補正部121を有する。補正部121は環境情報が取得されなかった期間に対応する環境履歴情報を当該環境情報が取得されなかった期間の前後に取得された環境情報に基づき補正する。環境情報が取得されなかった期間とは、取得部111(センサ部73)の動作が停止している期間等であり、例えば、MFP1がOFF状態や休止状態である期間等であり得る。
【0031】
図4は、第1の実施形態に係る保守支援情報151の第1の例を示す図である。本例に係る保守支援情報151は認証処理を通過した作業者がMFP1の操作パネル12の操作部12bに行った操作に応じて表示部12aに表示される画像である。
【0032】
本例に係る保守支援情報151は環境履歴情報155を含んでいる。ここで例示する環境履歴情報155は相対湿度の経時的変化を示すものである。図4には、作業者がMFP11の設置場所に2019/08/29午後1時頃に到着し、当日を含む過去2日分の環境履歴情報155が表示された状態が例示されている。当該環境履歴情報155は、作業者が到着した時点では相対湿度が低くなっているが前日の夜から当日の朝までの期間においては相対湿度が高くなっていたことを示している。このような現象は、例えば、MFP1が設置された室内において前日の業務終了時刻頃から当日の業務開始時刻頃までの間にエアコンがOFFになっていたこと等が原因で生じる。当該環境履歴情報155からは、エアコンがONになった頃から相対湿度が急激に下がった様子も確認できる。
【0033】
図5は、第1の実施形態に係る保守支援情報151の第2の例を示す図である。本例に係る保守支援情報151には、拡大ボタン152、縮小ボタン153、環境履歴情報155、不具合オブジェクト161(不具合情報)及び稼働状態オブジェクト162(稼働状態情報)が表示されている。
【0034】
拡大ボタン152は時間軸(横軸)の期間を短縮し、環境履歴情報155の一部を拡大するための操作部である。縮小ボタン153は時間軸の期間を延長し、環境履歴情報155を縮小するための操作部である。不具合オブジェクト161は不具合が発生した時期を視覚的に示す画像オブジェクト(マーク)である。稼働状態オブジェクト162はMFP1の稼働状態を視覚的に示す画像オブジェクトである。このような不具合オブジェクト161や稼働状態オブジェクト162を表示させることにより、不具合が発生したときの使用環境(本例では相対湿度)やMFP1の稼働状態を明確に把握することができる。図5に示す例からは、MFP1の稼働中において相対湿度が急激に低下したときに不具合が発生したことがわかる。
【0035】
図6は、第1の実施形態に係る保守支援情報151の第3の例を示す図である。本例に係る保守支援情報151は図5における拡大ボタン152が押された状態を示しており、環境履歴情報155を表示する期間が1日分に短縮されている。なお、このように拡大された画面をフリック操作等で左右に移動可能としてもよい。
【0036】
図7は、第1の実施形態に係る保守支援情報151の第4の例を示す図である。本例に係る保守支援情報151には、不具合に関連する情報を集約した集約情報165が含まれている。集約情報165は不具合オブジェクト161を指定する操作(タッチ操作等)が行われた場合に表示されてもよい。集約情報165には、不具合が発生した時刻を示す時刻情報166、不具合の内容を示す不具合内容情報167、不具合が発生したときの使用環境(本例では相対湿度)の値を示す環境値情報168及び不具合が発生したときのMFP1の稼働状態を示す稼働状態情報169が含まれている。このような集約情報165を表示させることにより、作業者は不具合に関連する情報を迅速且つ簡便に取得することができる。
【0037】
図8は、第1の実施形態に係る保守支援情報151の第5の例を示す図である。本例に係る保守支援情報151には、作業者が任意の期間(指定期間)を指定するための期間入力ボタン170が含まれている。指定期間とは、MFP1側で認識できない不具合(例えば異常画質、異音等)が発生したと推定される期間である。このような指定期間は、例えば、ユーザ(顧客)からの証言等により推定され得る。
【0038】
図9は、第1の実施形態に係る保守支援情報151の第6の例を示す図である。本例に係る保守支援情報151は図8に示す期間入力ボタン170を押す操作がなされた場合に表示される画面である。本例に係る保守支援情報151には、指定期間の始期を入力するための始期入力部172、指定期間の終期を入力するための終期入力部173及び入力内容を確定させるためのOKボタン174が含まれている。作業者が始期入力部172及び終期入力部173に指定期間の始期及び終期を入力しOKボタン174を押す操作を行うことにより、認識できない不具合が発生したと推定される指定期間を設定することができる。
【0039】
図10は、第1の実施形態に係る保守支援情報151の第7の例を示す図である。本例に係る保守支援情報151は図9に示す始期入力部172及び終期入力部173により指定期間が設定された後に表示される画面である。本例に係る保守支援情報151には、指定期間の始期に対応する使用環境及びMFP1の稼働状態を示す始期状態情報175と、指定期間の終期に対応する使用環境及びMFP1の稼働状態を示す終期状態情報176とが表示されている。これにより、MFP1側で認識できない不具合が発生した場合であっても、当該不具合が発生したと推定される指定期間に対応する使用環境及び稼働状態を取得することができる。
【0040】
図11は、第1の実施形態に係る保守支援情報151の第8の例を示す図である。本例に係る保守支援情報151は可視化の対象となる環境情報を選択するための環境情報選択部178を有する。本例に係る環境情報選択部178は温度、相対湿度、絶対湿度及び入力電圧の中から1つを選択可能にするものである。
【0041】
図12は、第1の実施形態に係る保守支援情報151の第9の例を示す図である。本例に係る保守支援情報151は図11に示す環境情報選択部178において入力電圧が選択された場合に表示される画面である。本例に係る保守支援情報151においては、相対湿度に対応する環境履歴情報155に替わり、入力電圧に対応する環境履歴情報179が表示されている。図12において、不具合発生時に入力電圧が瞬間的に低下したことが示されている。
【0042】
図13は、第1の実施形態に係る保守支援情報151の第10の例を示す図である。本例に係る保守支援情報151は環境情報を選択するためのデータ選択ボタン180が含まれている。
【0043】
図14は、第1の実施形態に係る保守支援情報151の第11の例を示す図である。本例に係る保守支援情報151はデータ選択ボタン180を押す操作がなされた後に表示される画面である。本例に係る保守支援情報151には、複数種類の環境情報の中から1以上の環境情報を選択するためのデータ選択部183と、選択内容を確定するOKボタン184とが含まれている。図14においては、相対湿度及び入力電圧が選択された状態が例示されている。
【0044】
図15は、第1の実施形態に係る保守支援情報151の第12の例を示す図である。本例に係る保守支援情報151は図14に示すOKボタン184を押す操作がなされた後に表示される画面である。本例に係る保守支援情報151には、相対湿度に対応する環境履歴情報155と入力電圧に対応する環境履歴情報179とが重畳表示されている。このような保守支援情報151を出力することにより、作業者は不具合発生時における複数の環境情報の相関関係を容易且つ明確に把握することができる。
【0045】
図16は、第1の実施形態に係る保守支援情報151の第13の例を示す図である。本例に係る保守支援情報151に表示されている環境履歴情報155は、環境情報が取得されなかった期間に対応する空白部分188が当該空白部分188の前後に取得された環境情報に基づき可視化するように補正されている。これにより、MFP1がOFF状態や休止状態となり取得部111(センサ部73)から環境情報を取得できない期間が存在しても、不具合の原因を特定するための情報を得ることができる。なお、空白部分188を補正する具体的方法は特に限定されるべきものではないが、例えば、線形補間等の技術を利用することができる。
【0046】
図17は、第1の実施形態に係るMFP1による処理の流れの一例を示すシーケンス図である。作業者100が操作パネル12の操作部12bに対して保守支援機能の起動を要求する操作を行うと(S101)、MFP1は認証処理を実行する(S102)。作業者100は認証処理により保守作業を行う権限を有する者であると認められた後、過去の環境情報を閲覧するための環境履歴閲覧機能の実行を要求する操作を行う(S103)。MFP1は当該要求を受信すると、不具合発生時期から2日前までの環境情報を抽出し(S104)、抽出した環境情報を可視化した環境履歴情報155を含む保守支援情報151を操作パネル12の表示部12a等に出力する(S105)。その後、作業者100が各種設定変更(例えば拡大/縮小、集約情報165の表示、指定期間の設定、可視化対象とする環境情報の変更等)を行うと(S106)、MFP1は当該設定変更に応じて保守支援情報151を更新する(S107)。
【0047】
上記実施形態に係るMFP1の各機能部111~116の少なくともいずれかがプログラムの実行によって実現される場合、そのプログラムは、ROM42a等に予め組み込まれて提供される。また、上記実施形態に係るMFP1で実行されるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、フレキシブルディスク(FD)、CD-R(Compact Disk-Recordable)、またはDVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成されてもよい。また、上記実施形態に係るMFP1で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、上記実施形態に係るMFP1で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。また、上記実施形態に係るMFP1で実行されるプログラムは、上述した各機能部111~116のうち少なくともいずれかを含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU41が上述した記憶装置(例えば、ROM42a、HD49等)からプログラムを読み出して実行することにより、上述した各機能部111~116が主記憶装置(例えば、RAM42b)上にロードされて生成されるようになっている。
【0048】
なお、上記実施形態においては、保守の対象となる「機器」として「画像形成装置」の一例であるMFP1を想定しているが、「機器」はこれに限定されるものではない。「機器」は保守の対象となり得るあらゆる装置、システム等であり、例えば、印刷装置(インクジェットプリンタ、レーザープリンター等)、プロジェクタ、電子黒板、ビデオ会議端末等であってもよい。
【0049】
上記実施形態によれば、保守作業を行う作業者は機器の使用環境を正確に把握することが可能となる。また、保守作業の実行時に出力される上述したような保守支援情報151は、ユーザ(顧客)に対して不具合の原因を説明したり、対策案を提示したりする際に有効な資料となる。
【0050】
以下、他の実施形態について図面を参照して説明するが、第1の実施形態と同一又は同様の作用効果を奏する箇所については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0051】
(第2の実施形態)
図18は、第2の実施形態に係る保守支援システム201のシステム構成の一例を示す図である。本実施形態に係る保守支援システム201はMFP211とサーバ212とが通信ネットワーク213を介して接続された状態で実現される。
【0052】
図19は、第2の実施形態に係るサーバ212のハードウェア構成の一例を示す図である。サーバ212は、コンピュータによって構築されており、CPU501、ROM502、RAM503、HD504、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ505、ディスプレイ506、外部機器接続I/F508、ネットワークI/F509、データバス510、キーボード511、ポインティングデバイス512、DVD-RW(Digital Versatile Disk Rewritable)ドライブ514、メディアI/F516を備えている。
【0053】
これらのうち、CPU501は、サーバ212全体の動作を制御する。ROM502は、IPL等のCPU501の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される。HD504は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ505は、CPU501の制御にしたがってHD504に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。ディスプレイ506は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。外部機器接続I/F508は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリやプリンタ等である。ネットワークI/F509は、通信ネットワーク100を利用してデータ通信をするためのインターフェースである。バスライン510は、図5に示されているCPU501等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0054】
また、キーボード511は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス512は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。DVD-RWドライブ514は、着脱可能な記録媒体の一例としてのDVD-RW513に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。なお、DVD-RWに限らず、DVD-R等であってもよい。メディアI/F516は、フラッシュメモリ等の記録メディア515に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。
【0055】
図20は、第2の実施形態に係る保守支援システム201の機能構成の一例を示す図である。本実施形態に係る保守支援システム201は記憶部112がサーバ212に備えられている点で第1の実施形態に係るMFP1と相違する。
【0056】
本実施形態に係る保守支援システム201においては、取得部111により取得された環境情報が随時サーバ212にアップロードされ、サーバ212のHD504等により構成される記憶部112に蓄積される。
【0057】
上記構成のように、環境情報を蓄積する記憶部112をサーバ212に設けることにより、保守対象となるMFP1等の機器に必要とされるストレージ容量の増大を避けることが可能となる。
【0058】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態により本発明が限定されるものではなく、上記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想到できるもの、実質的に同一のもの、及びいわゆる均等の範囲のものが含まれる。また、上記実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換、変更及び組み合わせを行うことができる。
【符号の説明】
【0059】
1 MFP(機器)
11 本体部
12 操作パネル
41 CPU
42 システムメモリ
42a ROM
42b RAM
43 ノースブリッジ
44 サウスブリッジ
46 ASIC
47 ローカルメモリ
48 HDDコントローラ
49 HD
50 コントローラ
60 近距離通信回路
60a 通信回路
61 AGPバス
62 PCIバス
70 エンジン制御部
71 スキャナ部
72 プリンタ部
73 センサ部
73a 温度センサ
73b 湿度センサ
73c 電圧センサ
90 ネットワークI/F
111 取得部
112 記憶部
113 認証部
114 設定部
115 抽出部
116 出力部
121 補正部
151 保守支援情報
152 拡大ボタン
153 縮小ボタン
155 環境履歴情報
161 不具合オブジェクト(不具合情報)
162 稼働状態オブジェクト(稼働状態情報)
165 集約情報
166 時刻情報
167 不具合内容情報
168 環境値情報
169 稼働状態情報
170 期間入力ボタン
172 始期入力部
173 終期入力部
174 OKボタン
175 始期状態情報
176 終期状態情報
178 環境情報選択部
179 環境履歴情報
180 データ選択ボタン
183 データ選択部
184 OKボタン
188 空白部分
201 保守支援システム
211 MFP
212 サーバ
213 通信ネットワーク
501 CPU
502 ROM
503 RAM
504 HD
505 HDDコントローラ
506 ディスプレイ
508 外部機器接続I/F
509 ネットワークI/F
510 データバス
511 キーボード
512 ポインティングデバイス
513 DVD-RW
514 DVD-RWドライブ
515 メディア
516 メディアI/F
【先行技術文献】
【特許文献】
【0060】
【文献】特開2010-30095号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20