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特許7468039液体吐出ヘッド、液体吐出ヘッド装置及び液体を吐出する装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッド、液体吐出ヘッド装置及び液体を吐出する装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240409BHJP
【FI】
B41J2/01 209
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020051375
(22)【出願日】2020-03-23
(65)【公開番号】P2021146699
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 拓也
(72)【発明者】
【氏名】高橋 浩
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-169628(JP,A)
【文献】特開2013-180437(JP,A)
【文献】特開2003-305853(JP,A)
【文献】特開2000-190484(JP,A)
【文献】特開2010-000631(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノズルが配列された液体吐出ヘッドであって、
ヘッド幅方向のピッチが第一ピッチとなるように配列された2以上のノズルからなる第一ノズル群と、ヘッド幅方向のピッチが該第一ピッチとは異なる第二ピッチとなるように配列された2以上のノズルからなる第二ノズル群とが、ヘッド幅方向の両端部にそれぞれ位置し、
同じ駆動信号が入力された場合におけるノズルからの液体吐出量が、前記第一ノズル群と前記第二ノズル群とで異なり、
前記第一ノズル群と前記第二ノズル群との間で、ノズルに連通する圧力室内の液体に印加する吐出エネルギーを発生させるアクチュエータの構成が互いに異なることを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
請求項1に記載の液体吐出ヘッドにおいて、
前記第一ノズル群と前記第二ノズル群との間でノズルサイズが互いに異なることを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項3】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドにおいて、
前記第一ノズル群と前記第二ノズル群との間で、ノズルに連通する圧力室の固有振動特性が互いに異なることを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項4】
請求項に記載の液体吐出ヘッドにおいて、
前記第一ノズル群と前記第二ノズル群との間で、ノズルに連通する圧力室内の液体を加圧するための変位板の構成が互いに異なることを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項5】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドを複数備え、
当該複数の液体吐出ヘッドは、前記ヘッド幅方向に沿って並べされる2つの液体吐出ヘッドのうちの一方の液体吐出ヘッドの前記第一ノズル群のヘッド幅方向位置が他方の液体吐出ヘッドの前記第二ノズル群のヘッド幅方向位置と重複するように、配置されていることを特徴とする液体吐出ヘッド装置。
【請求項6】
請求項に記載の液体吐出ヘッド装置において、
前記第一ノズル群と前記第二ノズル群との間で、ノズルに連通する圧力室内の液体に印加する吐出エネルギーを発生させるアクチュエータを駆動させる駆動信号が互いに異なることを特徴とする液体吐出ヘッド装置。
【請求項7】
複数のノズルが配列された複数の液体吐出ヘッドを備えた液体吐出ヘッド装置であって、
前記液体吐出ヘッドは、ヘッド幅方向のピッチが第一ピッチとなるように配列された2以上のノズルからなる第一ノズル群と、ヘッド幅方向のピッチが該第一ピッチとは異なる第二ピッチとなるように配列された2以上のノズルからなる第二ノズル群とが、ヘッド幅方向の両端部にそれぞれ位置し、かつ、前記第一ノズル群と前記第二ノズル群との間で、ノズルに連通する圧力室内の液体に印加する吐出エネルギーを発生させるアクチュエータを駆動させる駆動信号が互いに異なり、
前記複数の液体吐出ヘッドは、ヘッド幅方向に沿って並べされる2つの液体吐出ヘッドのうちの一方の液体吐出ヘッドの前記第一ノズル群のヘッド幅方向位置が他方の液体吐出ヘッドの前記第二ノズル群のヘッド幅方向位置と重複するように、配置されていることを特徴とする液体吐出ヘッド装置。
【請求項8】
請求項5乃至7のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド装置と、
画像情報に基づいて前記液体吐出ヘッド装置に印加する駆動信号を生成する駆動信号生成手段とを有する液体を吐出する装置であって、
前記第一ノズル群と前記第二ノズル群との間で画像濃度が互いに異なるものとなるように、前記画像情報を変換する画像情報変換手段を有することを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項9】
複数のノズルが配列された複数の液体吐出ヘッドを備えた液体吐出ヘッド装置と、
画像情報に基づいて前記液体吐出ヘッド装置に印加する駆動信号を生成する駆動信号生成手段とを有する液体を吐出する装置であって、
前記液体吐出ヘッドは、ヘッド幅方向のピッチが第一ピッチとなるように配列された2以上のノズルからなる第一ノズル群と、ヘッド幅方向のピッチが該第一ピッチとは異なる第二ピッチとなるように配列された2以上のノズルからなる第二ノズル群とが、ヘッド幅方向の両端部にそれぞれ位置し、
前記複数の液体吐出ヘッドは、ヘッド幅方向に沿って並べされる2つの液体吐出ヘッドのうちの一方の液体吐出ヘッドの前記第一ノズル群のヘッド幅方向位置が他方の液体吐出ヘッドの前記第二ノズル群のヘッド幅方向位置と重複するように、配置され、
前記第一ノズル群と前記第二ノズル群との間で画像濃度が互いに異なるものとなるように、前記画像情報を変換する画像情報変換手段を有することを特徴とする液体を吐出する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出ヘッド、液体吐出ヘッド装置及び液体を吐出する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のノズルが配列された液体吐出ヘッドが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ライン記録ヘッド装置(液体吐出ヘッド装置)に用いられる記録ヘッド(液体吐出ヘッド)が開示されている。このライン記録ヘッド装置は、ヘッド幅方向に沿って並べされる2つの記録ヘッドのうちの一方のヘッド幅方向位置が他方のヘッド幅方向位置と一部重複するように配置されている。当該2つの記録ヘッド間では、インク吐出口(ノズル)のピッチが見た目区別できない程度に僅かに異なっている。この装置では、重複範囲内において当該2つの記録ヘッド間でのヘッド幅方向位置のずれが最小となるノズルで各記録ヘッドによる記録幅が切り替わるように各記録ヘッドを動作させる。これにより、記録ヘッド間で高精度な位置合わせを行わなくても、記録ヘッド間の記録幅の切り替わり箇所でのピッチずれによる記録ムラが抑制される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の液体吐出ヘッド装置では、ノズルピッチの異なる構成をもった2種類以上の液体吐出ヘッドを用意しなければならないので、製造コストが高騰するという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、複数のノズルが配列された液体吐出ヘッドであって、ヘッド幅方向のピッチが第一ピッチとなるように配列された2以上のノズルからなる第一ノズル群と、ヘッド幅方向のピッチが該第一ピッチとは異なる第二ピッチとなるように配列された2以上のノズルからなる第二ノズル群とが、ヘッド幅方向の両端部にそれぞれ位置し、同じ駆動信号が入力された場合におけるノズルからの液体吐出量が、前記第一ノズル群と前記第二ノズル群とで異なり、前記第一ノズル群と前記第二ノズル群との間で、ノズルに連通する圧力室内の液体に印加する吐出エネルギーを発生させるアクチュエータの構成が互いに異なることを特徴とする。

【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、液体吐出ヘッド間で高精度な位置合わせを行わなくても、各液体吐出ヘッドの液体吐出領域がヘッド幅方向において切り替わる箇所で液体吐出間隔が目標間隔からずれることを抑制可能な液体吐出ヘッド装置を、従来よりも低コストで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態におけるヘッドユニットを記録材の法線方向から見た平面図。
図2】同ヘッドユニットの記録部毎に設けられている記録ヘッドのヘッド配置を示す説明図。
図3】ヘッド幅方向に沿って隣り合って並べされる2つの記録ヘッドのノズルピッチの関係を示す説明図。
図4】同ヘッドユニットを搭載するインクジェット記録装置の制御系のハードウェア構成を示すブロック図。
図5】同ヘッドユニットのヘッド駆動部のハードウェア構成を示すブロック図。
図6】(a)~(f)は、2つの記録ヘッドのオーバーラップ領域においてノズルの切替位置を一つずつずらして画像記録(ドットの打ち出し)を行ったテストチャートの例を示す説明図。
図7】(a)は、2つの記録ヘッドのオーバーラップ領域におけるノズル切替位置を示す説明図。(b)は、同2つの記録ヘッドでそれぞれ吐出に用いるノズルを示す説明図。(c)は、いずれのノズルからも同量の液滴量でベタ画像を印字した場合のベタ画像の濃淡を示す説明図。
図8】構成例1を説明するための説明図。
図9】構成例3を説明するための説明図。
図10】(a)は、構成例3における通常領域の圧電素子に印加される駆動電圧波形の一例を示す説明図。(b)は、構成例3における狭領域の圧電素子に印加される駆動電圧波形の一例を示す説明図。
図11】液体を吐出する装置の他の一例についての要部平面説明図。
図12】同装置の要部側面説明図。
図13】液体吐出ユニットの他の一例についての要部平面説明図。
図14】液体吐出ユニットの更に他の一例についての正面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る液体吐出ヘッドを、液体を吐出する装置である画像形成装置としてのインクジェット記録装置の液体吐出ヘッド装置を備えるヘッドユニットに適用した一実施形態について説明する。
【0009】
まず、本実施形態におけるヘッドユニットについて説明する。
図1は、ヘッドユニット2を記録材P0の法線方向から見た平面図である。
記録材P0は、例えば用紙であり、ロール紙(連続用紙)又はカット紙等でもよい。また、用紙以外の様々な媒体でもよい。記録材P0は、図1に矢印で示す搬送方向に沿って搬送される。ヘッドユニット2は、記録材P0の記録面に、所定の距離を保って対向するように支持されている。
【0010】
ヘッドユニット2は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各インク(液体)に対応して設けられた色毎の液体吐出ヘッド装置としてのK記録部2K、C記録部2C、M記録部2M及びY記録部2Yを備えている。すなわち、ヘッドユニット2は、4つの液体吐出ヘッド装置を組み合わせて構成されている。
【0011】
各色の記録部2K,2C,2M,2Yには、図1に示すように、ヘッド幅方向である記録材幅方向(搬送方向に対して直交する方向)に沿って、液体吐出ヘッドとしての記録ヘッド3および記録ヘッド4が千鳥状に並べて配置されている。なお、本実施形態では、説明の都合上、図1中左側から数えて奇数番目の記録ヘッドを記録ヘッド3とし、偶数番目の記録ヘッドを記録ヘッド4として説明するが、記録ヘッド3と記録ヘッド4の構成や機能に違いはない。
【0012】
ヘッドユニット2が、搬送される記録材の位置に同期して、各色の記録部2K,2C,2M,2Yのノズルからインク滴の吐出を行うことで、記録材P0上にカラー画像が形成される。なお、ヘッドユニット2に搭載される記録部の数、記録部に配置される記録ヘッドの数、記録部から吐出するインクの色などは、任意に設定することができる。したがって、例えば、ヘッドユニット2は、ブラック単体の記録部2Kのみを備え、ブラック単色で記録を行うヘッドユニットであってもよい。
【0013】
図2は、ヘッドユニット2の記録部毎に設けられている記録ヘッド3と記録ヘッド4とのヘッド配置を示す説明図である。
記録ヘッド3および記録ヘッド4には、複数のノズル5がヘッド幅方向に沿って配列されたノズル列を有する。本実施形態では、ノズル列が1列である例で説明するが、2以上のノズル列が記録材搬送方向に並べてられた構成であってもよい。また、ノズル列は、そのノズル列方向がヘッド幅方向に対して傾斜するように配置されてもよい。
【0014】
また、本実施形態の1つの記録部上には、図2に示すように、ヘッド幅方向に沿って隣り合って並べされる2つの記録ヘッド3,4のうちの一方の記録ヘッド3が他方の記録ヘッド4と部分的に重複(オーバーラップ)するように配置されている。このように記録ヘッド3,4を配置することで、記録部全体におけるヘッド幅方向の記録範囲(ノズル5から吐出されるインクによって画像を記録できる範囲)を広げることができる。その結果、記録材P0の幅方向にわたる記録範囲を備えた記録部を得て、ライン型のヘッドユニット2を実現できるので、ヘッドユニット2を走査することなく記録材P0に対してワンパスで画像を形成することができる。
【0015】
図3は、ヘッド幅方向に沿って隣り合って並べされる2つの記録ヘッド3,4のノズルピッチの関係を示す説明図である。
本実施形態の記録ヘッド3,4に設けられるノズル列には、ノズル5が通常ピッチP1で配列された第一ノズル群としての通常領域と、ノズル5が通常ピッチP1よりも狭いピッチP2で配列された第二ノズル群としての狭領域とが存在する。本実施形態においては、ノズル列の大部分が通常領域であるが、ノズル列の一端側のみに狭領域が設けられている。なお、狭領域に代えて、ノズル5が通常ピッチP1よりも広いピッチで配列された広領域を採用してもよい。
【0016】
つまり、本実施形態では、記録ヘッド3と記録ヘッド4との重複範囲(オーバーラップ領域)において、記録ヘッド3のノズルピッチP2と記録ヘッド4のノズルピッチP1とが異なるように構成されていればよい。このような構成とすることで、記録ヘッド3と記録ヘッド4との高精度に位置決めしなくても、オーバーラップ領域において、記録ヘッド3と記録ヘッド4との間でヘッド幅方向位置のずれが最小となるノズルが決まる。よって、このノズルで各記録ヘッド3,4の使用するノズルが切り替わるように各記録ヘッドを動作させれば、記録ヘッド3,4間の記録幅の切り替わり箇所でのピッチずれによる記録ムラを抑制することができる。
【0017】
なお、記録ヘッド3と記録ヘッド4との間でヘッド幅方向位置のずれが最小となるノズル(ノズルの切替位置)は、例えば、ヘッドユニット2を組み上げた後に実際にインクを吐出してドット間距離(ドットピッチ)が区別できない程度になっている位置であれば、記録ヘッド3と記録ヘッド4との間でヘッド幅方向位置のずれが最小から外れていてもかまわない。なお、決定したノズルの切替位置は、後述する記憶部620に記憶させておく。
【0018】
また、本実施形態においては、通常ピッチP1も、狭いピッチP2も、記録ヘッド3と記録ヘッド4との間では同じピッチとなるように設定されている。そのため、記録ヘッド3及び記録ヘッド4としては、お互いに同一構成のものを用いることができる。したがって、本実施形態の記録部は、1種類の記録ヘッドを用意するだけで製造することができ、記録ヘッド3及び記録ヘッド4がそれぞれ異なる構成である場合のものと比べて、製造コストを少なく抑えることができる。
【0019】
図4は、上述したヘッドユニット2を搭載するインクジェット記録装置1の制御系のハードウェア構成を示すブロック図である。
インクジェット記録装置1は、上述したヘッドユニット2のほか、制御部600、搬送駆動部710、操作表示部720及び入出力インタフェース730が、バスライン740を介して相互に接続されて構成されている。
【0020】
ヘッドユニット2には、各色の記録部2K,2C,2M,2Yに配置されている記録ヘッド3,4を駆動するヘッド駆動部20が備わっている。ヘッド駆動部20は、制御部600から入力される制御信号に応じて、各記録部2K,2C,2M,2Yの各記録ヘッド3,4におけるアクチュエータとしての電気機械変換素子である各圧電素子を変形動作させる駆動波形を生成する。この駆動波形が各記録部2K,2C,2M,2Yの各記録ヘッド3,4の各圧電素子に入力されることで、ノズル5に連通する圧力室内の液体が加圧されて吐出エネルギーが印加され、対応するノズル5からインクが吐出される。
【0021】
制御部600は、CPU(Central Processing Unit)610、記憶部620、RAM(Random Access Memory)630及びROM(Read Only Memory)640を有する。CPU610は、ROM640に記憶された各種制御用のプログラム及び設定データを読み出してRAM630に記憶させて実行し、各種演算処理を行う。また、CPU610は、インクジェット記録装置1の全体動作を制御する。
【0022】
記憶部620には、入出力インタフェース730を介して入力されるプリントジョブ(画像記録命令)及びプリントする画像データ(画像情報)、及び、後述するヘッドつなぎノズル位置検出のテストチャートに基づいて生成された記録ヘッド3および記録ヘッド4のつなぎノズル位置が記憶される。
【0023】
搬送駆動部710は、制御部600から供給される制御信号に基づいて、搬送用モータに駆動信号を供給し、所定の速度及びタイミングで記録材P0を搬送する。
操作表示部720は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等の表示装置と、操作キー及び表示装置の画面に重ねられて配置されたタッチパネル等の入力装置とを備える。操作表示部720は、表示装置に各種情報を表示させ、また、入力装置に対するユーザの入力操作に対応する操作信号を制御部600に供給する。
入出力インタフェース730は、外部装置800と制御部600との間のデータの送受信を媒介する。
バスライン740は、制御部600と他の構成部との間で、信号の送受信を行うための経路である。
【0024】
図5は、ヘッドユニット2のヘッド駆動部20のハードウェア構成を示すブロック図である。
なお、図5では、図の簡略化のため、1つの記録ヘッド3だけが示され、他の記録ヘッドは省略されている。
【0025】
ヘッド駆動部20は、記録ヘッド3上のノズル5-1~5-N(「N」は当該記録ヘッド3上のノズル数である)ごとに対応した駆動波形補正部21-1~21-Nと、ヘッド制御部22と、基本駆動波形生成部23と、駆動波形補正情報保持部24とを備えている。
【0026】
ヘッド制御部22は、制御部600から入力される画像データを、各記録部2K,2C,2M,2Yの各記録ヘッド3および記録ヘッド4の各ノズル5-1~5-Nの制御信号に変換する。
基本駆動波形生成部23は、ヘッド制御部22から入力される制御信号に基づいて、画像パターン、搬送速度、及び、温湿度等の印字環境に応じて、リファレンスとなる吐出動作を可能とする基本駆動波形を生成する。
駆動波形補正情報保持部24は、補正が必要なノズルのノズル番号を示す情報、及び、補正量を示す情報を記憶する。
【0027】
駆動波形補正部21-1~21-Nは、基本駆動波形生成部23から供給される駆動電圧の基本駆動波形を、駆動波形補正情報保持部24から読み出した補正情報に基づいて補正し、ノズル5-1~5-Nにそれぞれ対応する各圧電素子に供給する。これにより、ノズル5-1~5-Nをそれぞれ個別に異なる吐出特性を与えることができ、それぞれのノズル5-1~5-Nから適切なインク吐出が可能となる。
【0028】
なお、本実施形態では、ノズル毎に異なる吐出特性を与えているが、それに限らない。すなわち、ノズル列単位で吐出特性を与えてもよいし、ピッチの異なる領域単位で吐出特性を与えるでも良い。どの単位で吐出特性を与えるかは、装置のメモリや印加電圧の負荷などの制約により決めても良い。
【0029】
図6は、記録材P0上に印刷されたテストチャートの一例を示す説明図である。
図6(a)~(f)に示す各テストチャートは、記録ヘッド3および記録ヘッド4のオーバーラップ領域において、ノズルの切替位置を一つずつずらして画像記録(ドットの打ち出し)を行ったものである。なお、図6中白抜き丸は、記録ヘッド3のノズルから吐出したインクによるドットを示し、図6中黒塗り丸は、記録ヘッド4のノズルから吐出したインクによるドットを示す。
【0030】
ノズルの切替位置が図6(a)に示す例の場合、記録ヘッド3における最端(図6中右端)のドットと記録ヘッド4における最端(図6中左端)のドットとの距離が近すぎて、そのドット間距離Xaは、通常領域に対応するドット間距離X1や狭領域に対応するドット間距離X2から大きく外れている。この場合、このノズル切替位置におけるドット密度が局所的に高くなるため、当該ノズル切替位置に対応するヘッド幅方向位置の画像濃度が局所的に高まってしまい、ヘッド幅方向における画像濃度ムラを引き起こす。
【0031】
また、ノズルの切替位置が図6(f)に示す例の場合、記録ヘッド3における最端(図6中右端)のドットと記録ヘッド4における最端(図6中左端)のドットとの距離が遠すぎて、そのドット間距離Xfは、通常領域に対応するドット間距離X1や狭領域に対応するドット間距離X2から大きく外れている。この場合、このノズル切替位置におけるドット密度が局所的に低くなるため、当該ノズル切替位置に対応するヘッド幅方向位置の画像濃度が局所的に低くなってしまい、やはり、ヘッド幅方向における画像濃度ムラを引き起こす。
【0032】
図6(a)~(f)に示す例の中では、ノズルの切替位置が図6(d)に示す例が、通常領域に対応するドット間距離X1や狭領域に対応するドット間距離X2とのずれを最小にすることができる。この場合、このノズル切替位置におけるドット密度は、通常領域や狭領域に対応する箇所のドット密度と同程度のものとなり、ヘッド幅方向における画像濃度ムラが抑制される。
【0033】
ずれが最小になるノズル切替位置は、例えば、テストチャートを目視で確認して、最も画像濃度ムラが少ないと判断される位置に決定する。また、例えば、スキャナやカメラでテストチャートを撮影し、その撮像画像を画像処理してドット間距離を計測して、ずれが最小になるノズル切替位置を決定してもよい。この場合のノズル切替位置の決定条件としては、ドット間距離XがX2<X<X1となる場合を選ぶという条件を採用できるが、これに限らず、例えば、ドット間距離Xが通常領域のドット間距離X1に最も近い場合を選ぶという条件を採用してもよい。
【0034】
図7は、ノズルの切替位置を決定した後、記録材P0上にベタ画像を印刷した一例を示す説明図である。
図7(a)に示すように、記録ヘッド3と記録ヘッド4のオーバーラップ領域におけるノズル切替位置が決まった場合、記録ヘッド3及び記録ヘッド4でそれぞれ吐出に用いるノズルは、図7(b)に示すように設定される。この場合、ノズルの切替位置(ヘッドのつなぎ目)の付近では、図7(c)に示すように、左から順に、記録ヘッド3の通常領域(ノズルピッチP1)で印字された画像部分、記録ヘッド3の狭領域(ノズルピッチP2)で印字された画像部分、記録ヘッド4の通常領域(ノズルピッチP1)で印字された画像部分が並ぶ。
【0035】
このとき、いずれのノズル5からも同量の液滴量(液体吐出量)でベタ画像を印字した場合、狭領域で印字された画像部分のドット間距離X2は、通常領域で印字された画像部分のドット間距離X1よりも狭いものとなり、記録材P0に対するインク被覆率が通常領域よりも上がり、通常領域よりも画像濃度が高くなる。
【0036】
つまり、いずれのノズル5からも同量の液滴量(液体吐出量)でベタ画像を印字した場合、ノズルピッチの異なる狭領域と通常領域を設けてノズルの切替位置を最適化し、ノズル切替位置での局所的な画像濃度ムラを抑制できても、狭領域と通常領域との間での濃淡が生じてしまうという新たな画像濃度ムラが発生する。
【0037】
そこで、本実施形態では、狭領域のノズルと通常領域のノズルとの間で液滴量(液体吐出量)を異ならせ、狭領域と通常領域との間での画像濃度差を低減し、上述した新たな画像濃度ムラを抑制する。
【0038】
ここで、液滴量Mjと液滴速度Vjとの間には、一般に、次の式(1)が成り立つ。
【0039】
【数1】
【0040】
前記式(1)において、「A」はノズルサイズとしてのノズル開口面積であり、「Tc」は、各ノズルに連通する圧力室の固有振動特性である固有振動周期であり、「k」は係数である。この式(1)より、液滴速度Vjを維持したまま、液滴量Mjを変化させようとする場合、液滴量Mjと同比率でノズル開口面積Aと固有振動周期Tcとの積が変わるようにすればよいことが分かる。
【0041】
〔構成例1〕
図8は、狭領域のノズルと通常領域のノズルとの間で液体吐出量を異ならせる一構成例(以下、本構成例を「構成例1」という。)を説明するための説明図である。
本構成例1は、狭領域のノズルと通常領域のノズルとの間で、ノズルサイズとしてのノズル開口面積Aを異ならせることにより液体吐出量を異ならせる例である。
【0042】
図8(a)に示すように、本構成例1では、ノズルピッチP2である狭領域におけるノズルのノズル径DSが、ノズルピッチP1である通常領域におけるノズルのノズル径Dよりも小さくなるように、記録ヘッド3,4が構成されている。これにより、ノズルピッチの狭い狭領域のノズルから吐出される液滴量は、前記式(1)より、通常領域のノズルから吐出される液滴量よりも少なくなる。よって、本構成例1によれば、ベタ画像を印字した場合、図8(b)に示すように、狭領域でも、通常領域でも、記録材P0上の画像濃度が均一化され、画像濃度ムラが抑制される。
【0043】
〔構成例2〕
次に、狭領域のノズルと通常領域のノズルとの間で液体吐出量を異ならせる他の構成例(以下、本構成例を「構成例2」という。)について説明する。
本構成例2は、狭領域のノズルと通常領域のノズルとの間で、ノズル径を異ならせることなく、圧力室の固有振動特性である固有振動周期Tcを異ならせることにより液体吐出量を異ならせる例である。
【0044】
固有振動周期Tcは、ヘッドの等価回路においてイナータンスMとコンプライアンスCとを用いて、一般に、次の式(2)により求められる。
【0045】
【数2】
【0046】
通常、イナータンスMを大きく変化させることは困難であるため、固有振動周期Tcを異ならせる場合には、コンプライアンスCを変化させることが好ましい。ここで、コンプライアンスCは、圧力室の壁面を構成する振動板(圧電素子によって変位する変位板)の寸法に対して、次の式(3)に示す関係式が存在する。
【0047】
【数3】
【0048】
前記式(3)において、「w」は振動板の幅、「l」は振動板の長さ、「t」は振動板の厚さである。例えば、狭領域のノズルに対応する圧力室の振動板について、通常領域のものに対し、幅wを1/2とし、厚さtを1/2とし、長さlを同じにした場合、前記式(3)より、コンプライアンスCは1/4となる。この場合、上述した式(2)より、狭領域についての固有振動周期Tcは、通常領域の1/2になるので、液滴速度Vjを一定としたとき、狭領域での液滴量Mjを通常領域の1/2にすることができる。
【0049】
本構成例2では、ノズルピッチの狭い狭領域についての振動板の寸法を通常領域についての振動板の寸法とは異ならせた記録ヘッド3,4としている。これにより、ノズルピッチの狭い狭領域のノズルから吐出される液滴量は、前記式(1)より、通常領域のノズルから吐出される液滴量よりも少なくすることができる。よって、本構成例2においても、ベタ画像を印字した場合には、狭領域でも、通常領域でも、記録材P0上の画像濃度が均一化され、画像濃度ムラが抑制される。
【0050】
〔構成例3〕
次に、狭領域のノズルと通常領域のノズルとの間で液体吐出量を異ならせる更に他の構成例(以下、本構成例を「構成例3」という。)について説明する。
本構成例3は、狭領域のノズルと通常領域のノズルとの間で、圧電素子に印加する駆動信号としての駆動電圧波形を異ならせることにより液体吐出量を異ならせる例である。
【0051】
図9は、本構成例3を説明するための説明図である。
図9(a)に示すように、本構成例3では、ノズルピッチP2である狭領域における圧電素子に印加される駆動電圧波形VSが、ノズルピッチP1である通常領域における圧電素子に印加される駆動電圧波形Vよりも、液滴量が少なくなるように設定されている。これにより、本構成例3によれば、ベタ画像を印字した場合、図9(b)に示すように、狭領域でも、通常領域でも、記録材P0上の画像濃度が均一化され、画像濃度ムラが抑制される。
【0052】
図10(a)は、本構成例3における通常領域の圧電素子に印加される駆動電圧波形Vの一例を示す説明図である。図10(b)は、本構成例3における狭領域の圧電素子に印加される駆動電圧波形VSの一例を示す説明図である。
なお、図10(a)及び(b)に示す駆動電圧波形V,VSは、いずれも、連続して吐出される3つの液滴を合体させて1つのドットを形成する方式のものであるが、他の方式を採用してもよい。
【0053】
図10(a)及び(b)に示すように、本構成例3における狭領域の圧電素子に印加される駆動電圧波形VSは、通常領域に対する駆動電圧波形Vに対し、各液滴のピーク電圧値V2,V4,V6の絶対値がΔVだけ小さくなるように調整されている。これにより、狭領域においては、各ピーク電圧値V2,V4,V6の時に吐出される各液滴のサイズが小さく(液滴量が少なく)なる結果、1つのドットを形成する液滴量が通常領域のものも少なくなる。よって、本構成例3でも、ベタ画像を印字した場合、図9(b)に示すように、狭領域でも、通常領域でも、記録材P0上の画像濃度が均一化され、画像濃度ムラが抑制される。
【0054】
なお、本構成例3では、1つのドットを形成する3つの液滴のすべてのサイズを小さくするために、各液滴のピーク電圧値V2,V4,V6のすべての絶対値を小さく調整しているが、その調整量によっては、例えば、いずれか1つのピーク電圧値V2,V4,V6の絶対値を小さく調整するだけでもよい。また、ピーク電圧値V2,V4,V6の絶対値を小さくする量ΔVも、調整量に応じて適宜設定される。
【0055】
また、本構成例3では、駆動波形電圧のピーク電圧値V2,V4,V6を調整して液滴量を通常領域と狭領域とで異ならせる例で説明したが、吐出エネルギーを調整できる方法であればこれに限られない。例えば、各ピークの立ち上がり時T2,T4,T6から立ち下り時T3,T5,T7までの時間を調整する方法(狭領域の当該時間を通常領域よりも短くする)であってもよい。また、各ピークの立ち上がり角度や立ち下り角度を調整する方法(狭領域の当該角度を通常領域よりも緩やかにする)であってもよい。
また、1つのドットを形成する液滴の個数を調整する方法も採用できる。
【0056】
なお、本実施形態において、上述した各構成例同士を互いに組み合わせたり、狭領域のノズルと通常領域のノズルとの間で液体吐出量を異ならせる更に他の構成例と組み合わせたりすることができる。
【0057】
更に他の構成例としては、例えば、狭領域と通常領域との間で圧電素子の構成(圧電層の厚み、圧電層の層数、圧電素子のサイズ、圧電素子の種類など)を互いに異ならせる構成例が挙げられる。圧電素子の構成が異なれば、当該圧電素子に対応するノズルから吐出される液滴量が変化するためである。
【0058】
また、更に他の構成例としては、例えば、狭領域と通常領域との間で画像濃度が互いに異なるものとなるように、画像情報変換手段としての制御部600により画像データを変換する構成例も挙げられる。
【0059】
次に、本発明に係る液体を吐出する装置の他の一例について、図11及び図12を参照して説明する。
図11は同装置の要部平面説明図、図12は同装置の要部側面説明図である。
この装置は、シリアル型装置であり、主走査移動機構493によって、キャリッジ403は主走査方向に往復移動する。主走査移動機構493は、ガイド部材401、主走査モータ405、タイミングベルト408等を含む。ガイド部材401は、左右の側板491A、491Bに架け渡されてキャリッジ403を移動可能に保持している。そして、主走査モータ405によって、駆動プーリ406と従動プーリ407間に架け渡したタイミングベルト408を介して、キャリッジ403は主走査方向に往復移動される。
【0060】
このキャリッジ403には、本発明に係る液体吐出ヘッド装置404及びヘッドタンク441を一体にした液体吐出ユニット440を搭載している。液体吐出ユニット440の液体吐出ヘッド装置404は、上述した実施形態のヘッドユニット2と同様、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色の液体を吐出する記録部を備える。また、液体吐出ヘッド装置404における各色の記録部は、上述した実施形態の記録部2K,2C,2M,2Yと同様、複数のノズルからなるノズル列を備えた記録ヘッド3,4が千鳥状に配置されており、そのノズル列方向は主走査方向と直交する副走査方向(ヘッド幅方向)に沿っており、吐出方向を下方に向けて装着している。
【0061】
液体吐出ヘッド装置404の外部に貯留されている液体を液体吐出ヘッド装置404に供給するための供給機構494により、ヘッドタンク441には、液体カートリッジ450に貯留されている液体が供給される。
【0062】
供給機構494は、液体カートリッジ450を装着する充填部であるカートリッジホルダ451、チューブ456、送液ポンプを含む送液ユニット452等で構成される。液体カートリッジ450はカートリッジホルダ451に着脱可能に装着される。ヘッドタンク441には、チューブ456を介して送液ユニット452によって、液体カートリッジ450から液体が送液される。
【0063】
この装置は、用紙410を搬送するための搬送機構495を備えている。搬送機構495は、搬送手段である搬送ベルト412、搬送ベルト412を駆動するための副走査モータ416を含む。
【0064】
搬送ベルト412は用紙410を吸着して液体吐出ヘッド装置404に対向する位置で搬送する。この搬送ベルト412は、無端状ベルトであり、搬送ローラ413と、テンションローラ414との間に掛け渡されている。吸着は静電吸着、あるいは、エアー吸引などで行うことができる。
【0065】
そして、搬送ベルト412は、副走査モータ416によってタイミングベルト417及びタイミングプーリ418を介して搬送ローラ413が回転駆動されることによって、副走査方向に周回移動する。
【0066】
さらに、キャリッジ403の主走査方向の一方側には搬送ベルト412の側方に液体吐出ヘッド装置404の維持回復を行う維持回復機構420が配置されている。
【0067】
維持回復機構420は、例えば液体吐出ヘッド装置404のノズル面(ノズルが形成された面)をキャッピングするキャップ部材421、ノズル面を払拭するワイパ部材422などで構成されている。
【0068】
主走査移動機構493、供給機構494、維持回復機構420、搬送機構495は、側板491A,491B、背板491Cを含む筐体に取り付けられている。
【0069】
このように構成したこの装置においては、用紙410が搬送ベルト412上に給紙されて吸着され、搬送ベルト412の周回移動によって用紙410が副走査方向に搬送される。
【0070】
そこで、キャリッジ403を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて液体吐出ヘッド装置404を駆動することにより、停止している用紙410に液体を吐出して画像を形成する。
【0071】
このように、この装置では、本発明に係る液体吐出ヘッドを備えているので、高画質画像を安定して形成することができる。
【0072】
次に、本発明に係る液体吐出ユニットの他の例について図13を参照して説明する。
図13は同ユニットの要部平面説明図である。
【0073】
この液体吐出ユニットは、前記液体を吐出する装置を構成している部材のうち、側板491A,491B及び背板491Cで構成される筐体部分と、主走査移動機構493と、キャリッジ403と、液体吐出ヘッド装置404で構成されている。
【0074】
なお、この液体吐出ユニットの例えば側板491Bに、前述した維持回復機構420、及び供給機構494の少なくともいずれかを更に取り付けた液体吐出ユニットを構成することもできる。
【0075】
次に、本発明に係る液体吐出ユニットの更に他の例について図14を参照して説明する。
図14は同ユニットの正面説明図である。
【0076】
この液体吐出ユニットは、流路部品444が取付けられた液体吐出ヘッド装置404と、流路部品444に接続されたチューブ456で構成されている。
【0077】
なお、流路部品444はカバー442の内部に配置されている。流路部品444に代えてヘッドタンク441を含むこともできる。また、流路部品444の上部には液体吐出ヘッド装置404と電気的接続を行うコネクタ443が設けられている。
【0078】
本願において、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッド、液体吐出ヘッド装置又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて、液体を吐出させる装置である。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0079】
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0080】
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0081】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0082】
前記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録材、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0083】
前記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス、壁紙や床材などの建材、衣料用のテキスタイルなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0084】
また、「液体」は、インク、処理液、DNA試料、レジスト、パターン材料、結着剤、造形液、又は、アミノ酸、たんぱく質、カルシウムを含む溶液及び分散液なども含まれる。
【0085】
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0086】
また、「液体を吐出する装置」としては他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液をノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0087】
「液体吐出ユニット」とは、液体吐出ヘッドに機能部品、機構が一体化したものであり、液体の吐出に関連する部品の集合体である。例えば、「液体吐出ユニット」は、ヘッドタンク、キャリッジ、供給機構、維持回復機構、主走査移動機構の構成の少なくとも一つを液体吐出ヘッドと組み合わせたものなどが含まれる。
【0088】
ここで、一体化とは、例えば、液体吐出ヘッドと機能部品、機構が、締結、接着、係合などで互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。また、液体吐出ヘッドと、機能部品、機構が互いに着脱可能に構成されていても良い。
【0089】
例えば、液体吐出ユニットとして、図12で示した液体吐出ユニット440のように、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。また、チューブなどで互いに接続されて、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。ここで、これらの液体吐出ユニットのヘッドタンクと液体吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加することもできる。
【0090】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジが一体化されているものがある。
【0091】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に移動可能に保持させて、液体吐出ヘッドと走査移動機構が一体化されているものがある。また、図13で示したように、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジと主走査移動機構が一体化されているものがある。
【0092】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持回復機構の一部であるキャップ部材を固定させて、液体吐出ヘッドとキャリッジと維持回復機構が一体化されているものがある。
【0093】
また、液体吐出ユニットとして、図14で示したように、ヘッドタンク若しくは流路部品が取付けられた液体吐出ヘッドにチューブが接続されて、液体吐出ヘッドと供給機構が一体化されているものがある。
【0094】
主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものする。
【0095】
また、「液体吐出ヘッド」は、使用するアクチュエータが限定されるものではない。例えば、前記実施形態で説明したような圧電素子(積層型圧電素子を使用するものでもよい。)以外にも、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものでもよい。
【0096】
また、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
【0097】
最後に、上述の実施形態は、一例として提示したものであり、本発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な各実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことも可能である。このような実施の形態及び実施の形態の変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0098】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[第1態様]
第1態様は、複数のノズル5が配列された液体吐出ヘッド(例えば記録ヘッド3,4)であって、ヘッド幅方向のピッチが第一ピッチP1となるように配列された2以上のノズルからなる第一ノズル群(例えば通常領域)と、ヘッド幅方向のピッチが該第一ピッチとは異なる第二ピッチP2となるように配列された2以上のノズルからなる第二ノズル群(狭領域)とが、ヘッド幅方向の両端部にそれぞれ位置し、同じ駆動信号(例えば駆動電圧波形)が入力された場合におけるノズルからの液体吐出量が、前記第一ノズル群と前記第二ノズル群とで異なることを特徴とするものである。
本態様に係る液体吐出ヘッドは、ヘッド幅方向のピッチが互いに異なっている第一ノズル群と第二ノズル群が、ヘッド幅方向の両端部にそれぞれ配置されている。この液体吐出ヘッドによれば、同じ構成である同一種類の当該液体吐出ヘッドの2つを、一方の第一ノズル群のヘッド幅方向位置が他方の第二ノズル群のヘッド幅方向位置と重複するようにヘッド幅方向に沿って配置することで、液体吐出ヘッド間でのヘッド幅方向位置のずれが最小となるノズルを得ることができる。よって、このヘッド幅方向位置のずれが最小となるノズルで各記録ヘッドによる記録幅が切り替わるように各記録ヘッドを動作させることで、従来同様、液体吐出ヘッド間で高精度な位置合わせを行わなくても、各液体吐出ヘッドの液体吐出領域がヘッド幅方向において切り替わる箇所で液体吐出間隔が目標間隔からずれることを抑制可能な液体吐出ヘッド装置を製造できる。そして、本態様に係る液体吐出ヘッドでは、1種類だけで、このような液体吐出ヘッド装置を製造することができるので、製造コストを少なく抑えることができる。
一方で、本態様に係る液体吐出ヘッドにおける第一ノズル群と第二ノズル群とではヘッド幅方向のノズルピッチが異なっているため、第一ノズル群と第二ノズル群との間で、ノズルから吐出される液体によるヘッド幅方向の単位長あたりの液体吐出量に違いが出てしまう。この点について、本態様に係る液体吐出ヘッドでは、同じ駆動信号が入力された場合におけるノズルからの液体吐出量が、第一ノズル群と第二ノズル群とで異なるようにしている。これにより、第一ノズル群と第二ノズル群との間で駆動信号を異ならせることなく、第一ノズル群と第二ノズル群との間で生じるヘッド幅方向単位長あたりの液体吐出量の違いを抑制することができる。したがって、第一ノズル群と第二ノズル群との間で駆動信号を異ならせる構成を採用することによるコスト増を抑制できる点でも、製造コストを少なく抑えることが可能である。
【0099】
[第2態様]
第2態様は、第1態様において、前記第一ノズル群と前記第二ノズル群との間でノズルサイズ(例えばノズル径D,DS)が互いに異なることを特徴とするものである。
これによれば、第一ノズル群と第二ノズル群との間で駆動信号を異ならせる構成を採用しなくても、第一ノズル群と第二ノズル群との間で生じるヘッド幅方向単位長あたりの液体吐出量の違いを抑制することができる。
【0100】
[第3態様]
第3態様は、第1又は第2態様において、前記第一ノズル群と前記第二ノズル群との間で、ノズルに連通する圧力室内の液体に印加する吐出エネルギーを発生させるアクチュエータ(例えば圧電素子)の構成が互いに異なることを特徴とするものである。
これによれば、第一ノズル群と第二ノズル群との間で駆動信号を異ならせる構成を採用しなくても、第一ノズル群と第二ノズル群との間で生じるヘッド幅方向単位長あたりの液体吐出量の違いを抑制することができる。
【0101】
[第4態様]
第4態様は、第1乃至第3態様のいずれかにおいて、前記第一ノズル群と前記第二ノズル群との間で、ノズルに連通する圧力室の固有振動特性が互いに異なることを特徴とするものである。
これによれば、第一ノズル群と第二ノズル群との間で駆動信号を異ならせる構成を採用しなくても、第一ノズル群と第二ノズル群との間で生じるヘッド幅方向単位長あたりの液体吐出量の違いを抑制することができる。
【0102】
[第5態様]
第5態様は、第4態様において、前記第一ノズル群と前記第二ノズル群との間で、ノズルに連通する圧力室内の液体を加圧するための変位板(例えば振動板)の構成が互いに異なることを特徴とするものである。
これによれば、第一ノズル群と第二ノズル群との間で駆動信号を異ならせる構成を採用しなくても、第一ノズル群と第二ノズル群との間で生じるヘッド幅方向単位長あたりの液体吐出量の違いを抑制することができる。
【0103】
[第6態様]
第6態様は、液体吐出ヘッド装置(例えば記録部2K,2C,2M,2Y)であって、第1乃至第5態様のいずれかの液体吐出ヘッド(例えば記録ヘッド3,4)を複数備え、当該複数の液体吐出ヘッドは、前記ヘッド幅方向に沿って並べされる2つの液体吐出ヘッドのうちの一方の液体吐出ヘッド(例えば記録ヘッド3)の前記第一ノズル群のヘッド幅方向位置が他方の液体吐出ヘッド(例えば記録ヘッド4)の前記第二ノズル群のヘッド幅方向位置と重複するように、配置されていることを特徴とするものである。
本態様によれば、液体吐出ヘッド間で高精度な位置合わせを行わなくても、各液体吐出ヘッドの液体吐出領域がヘッド幅方向において切り替わる箇所で液体吐出間隔が目標間隔からずれることを抑制可能な液体吐出ヘッド装置を、1種類の液体吐出ヘッドだけで製造することができ、製造コストを少なく抑えることができる。
【0104】
[第7態様]
第7態様は、第6態様において、前記第一ノズル群と前記第二ノズル群との間で、ノズルに連通する圧力室内の液体に印加する吐出エネルギーを発生させるアクチュエータを駆動させる駆動信号(例えば駆動電圧波形V,VS)が互いに異なることを特徴とするものである。
これによれば、より高精度に、第一ノズル群と第二ノズル群との間で生じるヘッド幅方向単位長あたりの液体吐出量の違いを抑制することができる。
【0105】
[第8態様]
第8態様は、複数のノズル5が配列された複数の液体吐出ヘッド(例えば記録ヘッド3,4)を備えた液体吐出ヘッド装置(例えば記録部2K,2C,2M,2Y)であって、前記液体吐出ヘッドは、ヘッド幅方向のピッチが第一ピッチP1となるように配列された2以上のノズルからなる第一ノズル群(例えば通常領域)と、ヘッド幅方向のピッチが該第一ピッチとは異なる第二ピッチP2となるように配列された2以上のノズルからなる第二ノズル群(例えば狭領域)とが、ヘッド幅方向の両端部にそれぞれ位置し、かつ、前記第一ノズル群と前記第二ノズル群との間で、ノズルに連通する圧力室内の液体に印加する吐出エネルギーを発生させるアクチュエータ(例えば圧電素子)を駆動させる駆動信号(例えば駆動電圧波形V,VS)が互いに異なり、前記複数の液体吐出ヘッドは、ヘッド幅方向に沿って並べされる2つの液体吐出ヘッドのうちの一方の液体吐出ヘッド(例えば記録ヘッド3)の前記第一ノズル群のヘッド幅方向位置が他方の液体吐出ヘッド(例えば記録ヘッド4)の前記第二ノズル群のヘッド幅方向位置と重複するように、配置されていることを特徴とするものである。
これによれば、第一ノズル群と第二ノズル群との間でノズルピッチ以外の構成を異ならせることなく、第一ノズル群と第二ノズル群との間で生じるヘッド幅方向単位長あたりの液体吐出量の違いを抑制することができる。
【0106】
[第9態様]
第9態様は、第6乃至第8態様のいずれかの液体吐出ヘッド装置と、画像情報に基づいて前記液体吐出ヘッド装置に印加する駆動信号を生成する駆動信号生成手段とを有する液体を吐出する装置であって、前記第一ノズル群と前記第二ノズル群との間で画像濃度が互いに異なるものとなるように、前記画像情報を変換する画像情報変換手段を有することを特徴とする液体を吐出するものである。
これによれば、より高精度に、第一ノズル群と第二ノズル群との間で生じるヘッド幅方向単位長あたりの液体吐出量の違いを抑制することができる。
【0107】
[第10態様]
第10態様は、複数のノズル5が配列された複数の液体吐出ヘッド(例えば記録ヘッド3,4)を備えた液体吐出ヘッド装置(例えば記録部2K,2C,2M,2Y)と、画像情報に基づいて前記液体吐出ヘッド装置に印加する駆動信号を生成する駆動信号生成手段(例えばヘッド駆動部20)とを有する液体を吐出する装置(例えばインクジェット記録装置1)であって、前記液体吐出ヘッドは、ヘッド幅方向のピッチが第一ピッチP1となるように配列された2以上のノズルからなる第一ノズル群(例えば通常領域)と、ヘッド幅方向のピッチが該第一ピッチとは異なる第二ピッチP2となるように配列された2以上のノズルからなる第二ノズル群(狭領域)とが、ヘッド幅方向の両端部にそれぞれ位置し、前記複数の液体吐出ヘッドは、ヘッド幅方向に沿って並べされる2つの液体吐出ヘッドのうちの一方の液体吐出ヘッド(例えば記録ヘッド3)の前記第一ノズル群のヘッド幅方向位置が他方の液体吐出ヘッド(例えば記録ヘッド4)の前記第二ノズル群のヘッド幅方向位置と重複するように、配置され、前記第一ノズル群と前記第二ノズル群との間で画像濃度が互いに異なるものとなるように、前記画像情報を変換する画像情報変換手段(例えば制御部600)を有することを特徴とするものである。
これによれば、第一ノズル群と第二ノズル群との間で駆動信号を異ならせる構成を採用しなくても、また、第一ノズル群と第二ノズル群との間でノズルピッチ以外の構成を異ならせる構成を採用しなくても、第一ノズル群と第二ノズル群との間で生じるヘッド幅方向単位長あたりの液体吐出量の違いを抑制することができる。
【符号の説明】
【0108】
1 :インクジェット記録装置
2 :ヘッドユニット
2K,2C,2M,2Y:記録部
3,4 :記録ヘッド
5 :ノズル
20 :ヘッド駆動部
21 :駆動波形補正部
22 :ヘッド制御部
23 :基本駆動波形生成部
24 :駆動波形補正情報保持部
403 :キャリッジ
404 :液体吐出ヘッド装置
405 :主走査モータ
406 :駆動プーリ
407 :従動プーリ
408 :タイミングベルト
410 :用紙
412 :搬送ベルト
413 :搬送ローラ
414 :テンションローラ
416 :副走査モータ
417 :タイミングベルト
418 :タイミングプーリ
420 :維持回復機構
421 :キャップ部材
422 :ワイパ部材
440 :液体吐出ユニット
441 :ヘッドタンク
442 :カバー
443 :コネクタ
444 :流路部品
450 :液体カートリッジ
451 :カートリッジホルダ
452 :送液ユニット
456 :チューブ
493 :主走査移動機構
494 :供給機構
495 :搬送機構
600 :制御部
610 :CPU
620 :記憶部
630 :RAM
640 :ROM
710 :搬送駆動部
720 :操作表示部
730 :入出力インタフェース
740 :バスライン
800 :外部装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0109】
【文献】特開2000-190484号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14