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特許7468685活性エネルギー線硬化性組成物、硬化物、レンズ及びカメラモジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】活性エネルギー線硬化性組成物、硬化物、レンズ及びカメラモジュール
(51)【国際特許分類】
   C08F 290/06 20060101AFI20240409BHJP
   C08F 220/20 20060101ALI20240409BHJP
   C08F 230/08 20060101ALI20240409BHJP
   G02B 1/04 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
C08F290/06
C08F220/20
C08F230/08
G02B1/04
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022555408
(86)(22)【出願日】2021-09-30
(86)【国際出願番号】 JP2021036033
(87)【国際公開番号】W WO2022075162
(87)【国際公開日】2022-04-14
【審査請求日】2022-12-20
(31)【優先権主張番号】P 2020170362
(32)【優先日】2020-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100215935
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 茂輝
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(72)【発明者】
【氏名】男庭 一輝
(72)【発明者】
【氏名】井口 優子
(72)【発明者】
【氏名】石丸 竜士
(72)【発明者】
【氏名】中村 厚
【審査官】谷合 正光
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-035600(JP,A)
【文献】国際公開第2008/108390(WO,A1)
【文献】特開2011-225779(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 290/06
C08F 220/20
C08F 230/08
G02B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含有する活性エネルギー線硬化性組成物であって、
一分子中に下記一般式(1)、(2)及び(3)からなる群から選ばれる少なくとも一つの構造と2個以上の(メタ)アクリロイル基とを有する(メタ)アクリロイル基変性オルガノシラン又は(メタ)アクリロイル基変性シリコーンオリゴマーである化合物(A)と、
下記一般式(4)で表されるポリカーボネートジオールジ(メタ)アクリレート(B)と、
一分子中に6個以上の(メタ)アクリロイル基と多分岐構造とを有する化合物(D)とを含有し、
前記化合物(A)を、前記化合物(A)を除く(メタ)アクリロイル基を有する化合物の合計質量100質量%に対して、2.5~40質量%含み、
前記ポリカーボネートジオールジ(メタ)アクリレート(B)を、前記活性エネルギー線硬化性組成物中に20~60質量%含み、
前記化合物(D)を、前記活性エネルギー線硬化性組成物中に10~35質量%含むことを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物。
【化1】
(式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、炭素原子数1~10のアルキル基、アルコキシ基、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基及び(メタ)アクリロイルオキシアルキルオキシ基を示す。Xはメチレン基又は酸素原子を示す。)
【化2】
(式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を示し、Rは、それぞれ独立して、炭素原子数1~10の炭化水素基を示す。nは1~10の整数である。)
【請求項2】
前記一般式(4)中のR2が、それぞれ独立して、炭素原子数5~6の直鎖状炭化水素基、シクロヘキサン構造、又はイソソルバイド構造を有するものである請求項1記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
【請求項3】
前記活性エネルギー線硬化性組成物が、さらに、一分子中に1又は2個の(メタ)アクリロイル基とアルキレングリコール構造とを有する化合物(C)を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
【請求項4】
前記アルキレングリコール構造がエチレングリコール、プロピレングリコール、及びネオペンチルグリコールからなる群より選ばれる1種以上である請求項3記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
【請求項5】
前記アルキレングリコール構造の繰り返し単位数が2~15の整数である請求項3又は4記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
【請求項6】
前記多分岐構造が、デンドロン構造、デンドリティック構造、ハイパーブランチ構造、及びスター構造からなる群より選ばれる1種以上である請求項1~5のいずれか一項記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
【請求項7】
前記活性エネルギー線硬化性組成物が、さらに、一分子中に1又は2個の(メタ)アクリロイル基と一分子中に1個以上の水酸基とを有する化合物(E)を含有するものである請求項1~6のいずれか一項記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
【請求項8】
前記化合物(E)が、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールカーボネート変性2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、及びエチレンオキサイド変性ソルビトールジ(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上である請求項7記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項記載の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物。
【請求項10】
請求項9記載の硬化物を有することを特徴とするレンズ。
【請求項11】
請求項9記載の硬化物を有することを特徴とするウェハレベルレンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性エネルギー線硬化性組成物、硬化物、レンズ及びカメラモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンやモバイルパソコン等の電子機器向け小型カメラモジュールの需要が急速に拡大しており、カメラモジュールの生産効率向上を目指した開発が精力的に取り組まれている。また、電子機器の薄型化が進んだことから、カメラモジュールの薄型化に対する要求も厳しくなっている。従来、シクロオレフィンポリマーに代表される熱可塑性樹脂を用いたインジェクションモールド等により樹脂レンズを成型し、レンズユニットを組み上げる方法によりカメラモジュールは生産されてきた。しかしながら、従来の方法では生産性と薄型化に限界があった。このような市場動向に伴い、レプリカ法により成形したウェハレベルレンズを重ね合わせてレンズユニットを組み上げることで、生産性と薄型化を両立させたカメラモジュールの生産方法が開示されている(特許文献1)。
【0003】
一般的にレンズユニットは光学定数、主に屈折率(n)とアッベ数(ν)、が異なるレンズを複数重ね合わせて色収差を補正し、高画素化を実現している。また、前記ウェハレベルレンズに用いる材料としては、生産性、透明性及び耐熱性等の観点から活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が好適に用いられている。取り分け中屈折率で高アッベ数な光学定数を有するウェハレベルレンズ用材料として脂肪族骨格を有するポリカーボネートジオール(メタ)アクリレートを用いた樹脂組成物が開示されている(特許文献2)。
【0004】
ウェハレベルレンズは基板への直接実装が想定されることから、半田リフロー(170℃~260℃)に耐えられる耐熱性が求められる。耐熱性の向上にはチオール化合物や酸化防止剤を添加する方法が開示されている(特許文献3、特許文献4)。また、使用様態に合わせて高温高湿下での信頼性確認のため湿熱試験(85℃-85%RH-1000h)に耐えうる耐湿熱性が求められる。しかしながら、85℃-85%RHという過酷な温湿度試験条件において、基板ハガレやレンズ内部の欠陥が発生することのない優れた耐湿熱性を有するウェハレベルレンズの報告はなされていない。取り分け、中屈折率で高アッベ数な光学定数を示す脂肪族骨格は疎水的で湿熱試験後に異常が発生しやすいという課題がある。
【0005】
撮像時のコントラストを向上させる目的でレンズ表面に反射防止層を設けることが一般的になされている。ウェハレベルレンズにも同様の反射防止層を設けた場合、実装後の半田リフロー工程を経て反射防止層にクラックが発生してしまう課題がある。既に、半田リフロー工程における反射防止層の耐クラック性に優れたレンズ用樹脂組成物として、シリカ微粒子を配合する方法が開示されている(特許文献5、特許文献6)。しかし、微粒子を用いることで、樹脂組成物中における微粒子の沈降や凝集、樹脂組成物の高粘度化等による製造プロセスでのハンドリング性低下が新たな課題となる。また、反射防止層とレンズの層間密着性が低い場合、湿熱試験により反射防止層の剥離やクラックが発生する。
【0006】
そこで、高いアッベ数及び透過率を有し、優れた耐熱性及び耐湿熱性を有し、かつ熱履歴や高温高湿下での表面に積層された反射防止層等の無機層のクラックや剥離を抑制したレンズを形成可能な材料が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2009-251368号公報
【文献】国際公開第2019/124156号
【文献】特開2014-52424号公報
【文献】国際公開第2018/030351号
【文献】国際公開第2019/142601号
【文献】国際公開第2019/167461号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、高いアッベ数及び透過率を有し、半田リフロー後も透過率変化が少なく、優れた耐熱性及び耐湿熱性を有し、表面に成膜された無機層が熱履歴を経てもなおクラックが発生しない耐クラック性を有し、かつ表面に成膜された無機層との密着性に優れるレンズを形成可能な活性エネルギー線硬化性組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含有する活性エネルギー線硬化性組成物であって、一分子中に下記一般式(1)、(2)及び(3)からなる群から選ばれる少なくとも一つの構造と2個以上の(メタ)アクリロイル基とを有する化合物(A)と、下記一般式(4)で表されるポリカーボネートジオールジ(メタ)アクリレート(B)とを含有し、前記(A)成分を、(A)成分を除く(メタ)アクリロイル基を有する化合物の合計質量100質量%に対して、1質量%以上50質量%未満含むことを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物を用いることで上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含有する活性エネルギー線硬化性組成物であって、一分子中に下記一般式(1)、(2)及び(3)からなる群から選ばれる少なくとも一つの構造と2個以上の(メタ)アクリロイル基とを有する化合物(A)と、下記一般式(4)で表されるポリカーボネートジオールジ(メタ)アクリレート(B)とを含有し、前記(A)成分を、(A)成分を除く(メタ)アクリロイル基を有する化合物の合計質量100質量%に対して、1質量%以上50質量%未満含むことを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物、硬化物、レンズ及びカメラモジュールに関する。
【0011】
【化1】
(式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、炭素原子数1~10のアルキル基、アルコキシ基、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基又は(メタ)アクリロイルオキシアルキルオキシ基を示す。Xはメチレン基又は酸素原子を示す。)
【0012】
【化2】
(式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を示し、Rは、それぞれ独立して、炭素原子数1~10の炭化水素基を示す。nは1~10の整数である。)
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、高いアッベ数及び透過率を有し、半田リフロー後も透過率変化が少なく、優れた耐熱性及び耐湿熱性を有し、表面に成膜された無機層が熱履歴を経てもなおクラックが発生しない耐クラック性を有し、かつ表面に成膜された無機層との密着性に優れるレンズを形成可能な活性エネルギー線硬化性組成物を提供することができる。
【0014】
また本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、活性エネルギー線の照射によって簡便に硬化できるものであり、光インプリントによるレンズ製造に好適に使用することができる。
【0015】
前記に加え、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物により形成されるレンズは高いアッベ数を有するものであり、色収差を小さくすることができる。また、前記レンズは半田リフロー前後で透過率の変化量が小さい耐熱性を有するものであり、ウェハレベルレンズに好適に用いることができる。さらに、高温高湿下でも基材からのハガレや欠陥を生じない耐湿熱性を有することから、長期安定性に優れたウェハレベルレンズとして好適に用いることができる。加えて、レンズ表面に成膜された無機層は熱履歴や高温高湿下によるクラックや剥離の発生が抑制されることから、反射防止層等の無機層を備えたウェハレベルレンズとして好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含有する活性エネルギー線硬化性組成物であって、一分子中に下記一般式(1)、(2)及び(3)からなる群から選ばれる少なくとも一つの構造と2個以上の(メタ)アクリロイル基とを有する化合物(A)と、下記一般式(4)で表されるポリカーボネートジオールジ(メタ)アクリレート(B)とを含有し、前記(A)成分を、(A)成分を除く(メタ)アクリロイル基を有する化合物の合計質量100質量%に対して、1質量%以上50質量%未満含むことを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物である。
【0017】
【化3】
(式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、炭素原子数1~10のアルキル基、アルコキシ基、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基又は(メタ)アクリロイルオキシアルキルオキシ基を示す。Xはメチレン基又は酸素原子を示す。)
【0018】
【化4】
(式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を示し、Rは、それぞれ独立して、炭素原子数1~10の炭化水素基を示す。nは1~10の整数である。)
【0019】
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。また、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル及び/又はメタクリロイルを意味する。さらに、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/又はメタクリルを意味する。
【0020】
前記一分子中に一般式(1)、(2)及び(3)からなる群から選ばれる少なくとも一つの構造と2個以上の(メタ)アクリロイル基とを有する化合物(A)(以下、「(A)成分」と略記する。)としては、一分子中に、前記一般式(1)、(2)及び(3)からなる群から選ばれる少なくとも一つの構造、2個以上の(メタ)アクリロイル基を必須として有するものである。前記(A)成分を用いることで、高いアッベ数と優れた耐熱性及び耐湿熱性を有し、無機層の耐クラック性と密着性に優れるレンズを形成可能な活性エネルギー線硬化性組成物が得られる。
【0021】
前記(A)成分は、前記一般式(1)、(2)及び(3)からなる群から選ばれる少なくとも一つの構造を有することから、オルガノシラン骨格、直鎖状および環状のシロキサン骨格、ランダム型、ラダー型及びかご型のシロセスキオキサン骨格等が含まれる。
【0022】
また、Rとしては、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、炭素原子数1~10のアルキル基、アルコキシ基、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基及び(メタ)アクリロイルオキシアルキルオキシ基が挙げられる。
【0023】
前記炭素原子数1~10のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、s-ペンチル基、イソペンチル基、t-ペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、ネオヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、n-オクチル基、s-オクチル基、イソオクチル基、t-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基等が挙げられる。
【0024】
前記アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、s-ブトキシ基、イソブトキシ基、t-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等が挙げられる。
【0025】
前記(メタ)アクリロイルオキシアルキル基の具体例としては、(メタ)アクリロイルオキシメチル基、(メタ)アクリロイルオキシエチル基、(メタ)アクリロイルオキシプロピル基、(メタ)アクリロイルオキシブチル基、(メタ)アクリロイルオキシペンチル基、(メタ)アクリロイルオキシヘキシル基等が挙げられる。
【0026】
前記(メタ)アクリロイルオキシアルキルオキシ基の具体例としては、(メタ)アクリロイルオキシメチルオキシ基、(メタ)アクリロイルオキシエチルオキシ基、(メタ)アクリロイルオキシプロピルオキシ基、(メタ)アクリロイルオキシブチルオキシ基、(メタ)アクリロイルオキシペンチルオキシ基、(メタ)アクリロイルオキシヘキシルオキシ基等が挙げられる。
【0027】
前記(A)成分の2個以上の(メタ)アクリロイル基は、前記Rの部分骨格として前記一般式(1)、(2)及び(3)に含まれても良い。また、前記(A)成分が鎖状構造の場合、主鎖末端、主鎖骨格内部、分岐鎖末端、分岐鎖骨格内部のいずれかに位置していれば良く、環状分子の場合、環構造に直接結合、連結基を介して結合のいずれかであればよい。前記鎖状構造としては、例えば、ポリアルキレングリコール、ポリエステル、ポリ(メタ)アクリレート、ポリウレタン、ポリシロキサン等が挙げられ、直鎖状構造でも分岐鎖状構造のいずれであっても良い。前記連結基としては、アルキレングリコール、カプロラクトン、アルキレンイソシアネート等が挙げられる。
【0028】
前記(A)成分の具体例としては、例えば、(メタ)アクリロイル基変性オルガノシラン、(メタ)アクリロイル基変性シロキサン、(メタ)アクリロイル基変性ポリシロキサン、(メタ)アクリロイル基変性シロセスキオキサン、(メタ)アクリロイル基変性シリコーンオリゴマー、(メタ)アクリロイル基変性シリコーンオイル等が挙げられる。
【0029】
また、前記(A)成分の市販品としては、例えば、信越化学工業株式会社製「X-12-1048」、「X-12-1050」、「X-12-2475」、「X-12-2430C」、「X-22-164」、「X-22-164AS」、「X-22-164A」、「X-22-164B」、「X-22-164C」、「X-22-164E」、「X-22-2445」、「X-40-2475」、「X-40-9296」、「X-40-9308」、「KP-410」、「KP-411」、「KP-412」、「KP-413」、「KP-414」、「KP-415」、「KP-420」、「KP-423」、「KR-511」、「KR-513」、ビックケミー社製「BYK UV-3500」、「BYK UV-3530」、「BYK UV-3570」、「BYK UV-3575」、「BYK UV-3576」、JNC株式会社製「サイラプレーンFM-7711」、「サイラプレーンFM-7721」、「サイラプレーンFM-7725」、東亞合成株式会社製「AC-SQ TA-100」、「AC-SQ SI-20」、「MAC-SQ TM-100」、「MAC-SQ SI-20」等が挙げられる。
【0030】
前記(A)成分の重量平均分子量は本発明の効果を有する範囲において特に限定されるものではないが、(A)成分以外の(メタ)アクリロイル基を有する化合物と相溶しやすく透過率の高い硬化物が得られることから、100~10,000の範囲が好ましく、200~5000の範囲がより好ましく、300~3000の範囲が特に好ましい。
【0031】
前記(A)成分の含有割合は本発明の効果を有する範囲において特に限定されるものではないが、高いアッベ数を有し、優れた耐熱性及び耐湿熱性を有し、無機層の耐クラック性と密着性に優れるレンズを形成可能な活性エネルギー線硬化性組成物が得られることから、活性エネルギー線硬化性組成物中に、(A)成分を除く(メタ)アクリロイル基を有する化合物の合計質量100質量%に対して、1質量%以上50質量%未満の範囲が好ましく、2.5~40質量%の範囲がより好ましく、5~30質量%の範囲が特に好ましい。
【0032】
本発明において(A)成分以外の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含有しても良い。これら(A)成分以外の(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、本発明の効果が得られる範囲において特に制限されるものではなく、後述する各種(B)~(D)成分として(メタ)アクリロイル基を有するものを用いてもよく、その他の添加成分として(メタ)アクリロイル基を有する化合物を添加して用いてもよい。
【0033】
前記一般式(4)で表されるポリカーボネートジオールジ(メタ)アクリレート(B)(以下、「(B)成分」と略記する。)としては、前記一般式(4)で表される構造を有するものである。前記(B)成分を用いることで高いアッベ数を有し、優れた耐熱性を有するレンズを形成可能な活性エネルギー線硬化性組成物が得られる。
【0034】
前記(B)成分としては、より一層高いアッベ数及び屈折率が得られ、かつ、より一層優れた透明性、柔軟性及び耐熱性を有するレンズを形成可能な活性エネルギー線硬化性組成物が得られることから、前記一般式(4)中、Rは水素原子が好ましく、Rは、それぞれ独立して、炭素原子数5~6の直鎖状炭化水素基、炭素原子数6~10の環状炭化水素基が好ましく、nは4~10の整数が好ましい。また、更に結晶化やレンズの継時的な反りを防止しやすい点から、Rは、それぞれ独立して、炭素原子数5~6の直鎖状炭化水素基、シクロへキサン構造、又はイソソルバイド構造を有するものであることがより好ましく、nは、4~6の整数がより好ましい。
【0035】
なお、前記一般式(4)中、Rが炭素原子数5~6の直鎖状炭化水素基及び炭素原子数6~10の環状炭化水素基を示し、nが4~6の整数を示すものを用いる場合、前記炭素原子数5~6の直鎖状炭化水素基と、前記炭素原子数6~10の環状炭化水素基との質量割合は、直鎖上炭化水素基/環状炭化水素基の比として10/90~90/10の範囲が好ましく、20/80~80/20の範囲がより好ましく、40/60~75/25の範囲が特に好ましい。
【0036】
前記(B)成分としては、例えば、ポリカーボネートジオールと、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸エステルとの反応物等が挙げられる。
【0037】
前記ポリカーボネートジオールとしては、例えば、水酸基を2個以上有する化合物と炭酸エステルとの反応物等が挙げられる。
【0038】
前記水酸基を2個以上有する化合物としては、例えば、直鎖状構造を有するアルキレンジオール、分岐鎖状構造を有するアルキレンジオール、環状構造を有するアルキレンジオール、複素環状構造を有するジオール等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0039】
前記直鎖状構造を有するアルキレンジオールとしては、例えば、1,2-エタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール等が挙げられる。
【0040】
前記分岐鎖状構造を有するアルキレンジオールとしては、例えば、1,2-プロパンジオール1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-ブタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,3-ジメチル-2,3-ブタンジオール、2-エチル-2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,2-ヘプタンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、2,4-ジメチル-2,4-ペンタンジオール、3,6-オクタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、1,2-ノナンジオール、1,8-ノナンジオール、2,8-ノナンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,2-デカンジオール、2,2-ジイソブチル-1,3-プロパンジオール等が挙げられる。
【0041】
前記環状構造を有するアルキレンジオールとしては、例えば、1,2-シクロペンタンジオール、1,3-シクロペンタンジオール、1,2-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,3-アダマンタンジオール、1-ヒドロキシ-3-アダマンチルメタノール等が挙げられる。
【0042】
前記複素環状構造を有するジオールとしては、例えば、3,4-テトラヒドロフランジオール、1,4-ジオキサン-2,3-ジオール、1,1-ビシクロヘキシル-4,4-ジオール、ヘキサヒドロフロ[3,2-b]フラン-3,6-ジオール等が挙げられる。
【0043】
前記炭酸エステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0044】
前記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、n-ヘプチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステルは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0045】
また、前記(B)成分の市販品としては、例えば、宇部興産株式会社製「UH-100DA」、「UM-90(1/3)DA」、「UM-90(1/1)DA」、「UM-90(3/1)DA」、「UH-100DM」、「UM-90(1/3)DM」、「UM-90(1/1)DM」、「UM-90(3/1)DM」等が挙げられる。
【0046】
前記(B)成分の含有割合は、高いアッベ数を有し、優れた耐熱性及び耐湿熱性を有するレンズを形成可能な活性エネルギー線硬化性組成物が得られることから、活性エネルギー線硬化性組成物中に5~70質量%の範囲が好ましく、10~60質量%の範囲がより好ましく、20~50質量%の範囲が特に好ましい。
【0047】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、前記(A)成分、前記(B)成分以外に、耐クラック性を更に向上させる目的で、一分子中に1又は2個の(メタ)アクリロイル基とアルキレングリコール構造とを有する化合物(C)(以下、「(C)成分」と略記する。)を用いることができる。本発明における(C)成分は一分子中に1又は2個の(メタ)アクリロイル基、アルキレングリコール構造を必須として有するものである。前記(C)成分を用いることで、さらに高いアッベ数と優れた耐熱性及び耐湿熱性を有し、無機層の耐クラック性に優れるレンズを形成可能な活性エネルギー線硬化性組成物が得られる。
【0048】
前記アルキレングリコール構造としては、例えば、1,2-エタンジオール(エチレングリコール)、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,2-プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、3-メチル-1,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-ブタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,3-ジメチル-2,3-ブタンジオール、2-エチル-2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,2-ヘプタンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、2,4-ジメチル-2,4-ペンタンジオール、3,6-オクタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、1,2-ノナンジオール、1,8-ノナンジオール、2,8-ノナンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,2-デカンジオール、2,2-ジイソブチル-1,3-プロパンジオール等が挙げられる。これらのアルキレングリコール構造は、一分子中に1種のみで有することも、2種以上を有することもできる。また、これらの中でも、優れた耐熱性と耐湿熱性を有するレンズを形成可能な活性エネルギー線硬化性組成物が得られることから、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコールが好ましい。更に、より優れた耐湿熱性と耐クラック性を有するレンズを形成可能な活性エネルギー線硬化性組成物が得られることから、アルキレングリコール構造の繰り返し単位数が2~15であることが好ましい。
【0049】
また、前記(C)成分は環状構造を有していても良く、例えば、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造、シクロオクタン構造、シクロデカン構造等の単環構造、パーヒドロインデン構造、パーヒドロアントラセン構造、パーヒドロフルオレン構造、パーヒドロフェナントレン構造、パーヒドロアセナフテン構造、パーヒドロフェナレン構造、ノルボルナン構造、イソボルナン構造、イソボルニル構造、アダマンタン構造、ビシクロ[3.3.0]オクタン構造、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン構造、トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン構造、ジシクロペンタニル構造、ジシクロペンテニル構造等の多環構造、テトラヒドロフラン構造、1,3-ジオキソラン構造、1,3-ジオキサン構造、1,4ジオキサン構造、ヘキサヒドロフロ[3,2-b]フラン構造等の複素環構造、ベンゼン構造、ナフタレン構造、フルオレン構造、アセナフテン構造、フェナレン構造、アントラセン構造、フェナントレン構造、テトラセン構造、クリセン構造、ピレン構造、トリフェニレン構造、ペンタセン構造、ベンゾピレン構造、ペリレン構造等の芳香環構造などが挙げられる。これらの環状構造は、一分子中に単独で有することも、2種以上を有することもできる。また、これらの中でも、高いアッベ数を有し、優れた耐熱性を有するレンズを形成可能な活性エネルギー線硬化性組成物が得られることから、シクロヘキサン構造、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン構造が好ましい。
【0050】
前記(C)成分において、前記環状構造と前記(メタ)アクリロイル基は直接結合していてもよく、連結基を介して結合してもよい。
【0051】
前記連結基としては、例えば、酸素原子、炭素原子数1~10の直鎖状及び/又は分岐鎖状炭化水素基、繰り返し数1~10のアルキレンオキサイド基、カプロラクトンの開環重合体である繰り返し数1~10のアルキルエステル基、アミド基等が挙げられる。
【0052】
前記環状構造を有する前記(C)成分の具体例としては、例えば、シクロペンチルアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、1-メチルシクロペンチルアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、1-エチルシクロペンチルアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、シクロヘキシルアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、1-メチルシクロヘキシルアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、1-エチルシクロヘキシルアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキシルアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、4-ターシャリーブチルシクロヘキシルアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、2-シクロヘキシルプロパニルアルキレンオキサイド変性(メタ)アクレート、水添ビスフェノールAアルキレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールFアルキレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、ベンジルアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、フェニルアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、フェノキシベンジルアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、フェニルベンジルアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、ビフェニルアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、ビスフェノールAアルキレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFアルキレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、フルオレンアルキレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、イソボルニルアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、イソボルニルアルキレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレ-ト、ジシクロペンテニルアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレ-ト、トリシクロデカンジオールアルキレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールアルキレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、アダマンチルアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、アダマンチルアルキレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、2-メチルアダマンチルアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、2-エチルアダマンチルアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、2-イソプロピルアダマンチルアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチルアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、(2-オキソ-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチルアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、イソソルバイドアルキレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。また、これらの中でも、高いアッベ数を有し、優れた耐熱性、耐湿熱性及び耐クラック性を有するレンズを形成可能な活性エネルギー線硬化性組成物が得られることから、水添ビスフェノールAアルキレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールアルキレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0053】
また、前記(C)成分の市販品としては、例えば、MIWON社製「Miramer M2040」、「Miramer M231」、「Miramer M233」、「Miramer M235」、「Miramer M281」、「Miramer M283」、「Miramer M1142」、「Miramer M140」、「Miramer M141」、「Miramer M142」、「Miramer M144」、「Miramer M164」、「Miramer M166」、「Miramer M1602」、「Miramer M170」、「Miramer M202」、「Miramer M210」、「Miramer M2100」、「Miramer M2101」、「Miramer M216」、「Miramer M220」、「Miramer M2200」、「Miramer M222」、「Miramer M2300」、「Miramer M2301」、「Miramer M232」「Miramer M240」、「Miramer M241」、「Miramer M244」、「Miramer M245」、「Miramer M280」、「Miramer M282」、「Miramer M284」、「Miramer M286」、「Miramer M290」、新中村化学工業株式会社製「NKエステル A-30G」、「NKエステル A-90G」、「NKエステル A-130G」、「NKエステル A-200」、「NKエステル A-400」、「NKエステル A-600」、「NKエステル A-PTMG-65」、「NKエステル M-20G」、「NKエステル M-30G」、「NKエステル M-40G」、「NKエステル M-90G」、「NKエステル M-130G」、「NKエステル M-30PG」、「NKエステル EH-4E」、「NKエステル B-20G」、「NKエステル S-12E」、「NKエステル 2G」、「NKエステル 3G」、「NKエステル 4G」、「NKエステル 9G」、「NKエステル 14G」、「NKエステル 3PG」、「NKエステル 9PG」、「NKエステル APG-100」、「NKエステル APG-200」、「NKエステル APG-400」、「NKエステル APG-700」、「NKエステル AM-30PG」、「NKエステル AMP-10G」、「NKエステル AMP-20GY」、「NKエステル 702A」、「NKエステル A-LEN-10」、「NKエステル 401P」、「NKエステル A-BPEF」、「NKエステル A-BPE-2」、「NKエステル ABE-300」、「NKエステル A-BPE-4」、「NKエステル A-BPE-10」、「NKエステル A-BPE-20」、「NKエステル A-BPE-30」、「NKエステル A-BPP-3」、「NKエステル A-B1206PE」、「NKエステル PHE-1G」、「NKエステル PHE-2G」、「NKエステル BPE-80N」、「NKエステル BPE-100」、「NKエステル BPE-200」、「NKエステル BPE-300」、「NKエステル BPE-500」、「NKエステル BPE-900」、「NKエステル BPE-1300N」、共栄社化学株式会社製「ライトエステルBC」、「ライトエステル130MA」、「ライトエステルBC」、「ライトエステル2EG」、「ライトエステル3EG」、「ライトエステル4EG」、「ライトエステル9EG」、「ライトエステル14EG」、「ライトアクリレートEC-A」、「ライトアクリレートMTG-A」、「ライトアクリレートEHDG-AT」、「ライトアクリレート130A」、「ライトアクリレートDPM-A」、「ライトアクリレートP2H-A」、「ライトアクリレートP-200A」、「ライトアクリレート3EG-A」、「ライトアクリレート4EG-A」、「ライトアクリレート9EG-A」、「ライトアクリレート14EG-A」、「ライトアクリレートPTMGA-250」、大阪有機化学工業株式会社製「ビスコート#190」、「ビスコート#MTG」、「MPE400A」、「MPE550A」、「ビスコート#310HP」「ビスコート#192」、「ビスコート#700HV」、「ビスコート#540」、共栄社化学株式会社製「ライトエステルPO」、「ライトエステルBP-2EMK」、「ライトアクリレートPO-A」、「ライトアクリレートP2H-A」、「ライトアクリレートP-200A」、「エポキシエステルM-600A」、「ライトアクリレートBP-4PA」、日本化薬株式会社製「KAYARAD PEG400DA」、「KAYARAD PEG400DA」「KAYARAD R-128H」、「KAYARAD R-551」、「KAYARAD R-712」、第一工業製薬株式会社製「ニューフロンティア ME-3」、「ニューフロンティア ME-4S」、「ニューフロンティア MPE-600」、「ニューフロンティア PE-200」、「ニューフロンティア PE-300」、「ニューフロンティア PE-400」、「ニューフロンティア PE-600」、「ニューフロンティア MPEM-400」、「ニューフロンティア TEGDMA」、「ニューフロンティアPHE」、「ニューフロンティアPHE-2」、「ニューフロンティアPHE-2D」、「ニューフロンティアNP-1」、「ニューフロンティアNP-4」、「ニューフロンティアN-177E」、「ニューフロンティアN-PGA」、「ニューフロンティアOPPE」、「ニューフロンティアBPE-4」、「ニューフロンティアBPE-10」、「ニューフロンティアBPE-20」、「ニューフロンティアBPEM-4」、「ニューフロンティアBPEM-10」、「ニューフロンティアHBPE-4」、「ニューフロンティアHBPEM-10」、日立化成株式会社製「ファンクリルFA-240A」、「ファンクリルFA-P240A」、「ファンクリルFA-P270A」、「ファンクリルFA-PTG9A」、「ファンクリルFA-400M(100)」、「ファンクリルFA-240M」、「ファンクリルFA-PTG9M」、「ファンクリルFA-310A」、「ファンクリルFA-314A」、「ファンクリルFA-318A」、「ファンクリルFA-321A」、「ファンクリルFA-324A」、「ファンクリルFA-310M」、「ファンクリルFA-320M」、「ファンクリルFA-321M」、「ファンクリルFA-3218M」等が挙げられる。
【0054】
前記(C)成分の含有割合は、本発明の効果が得られる範囲において限定されるものではないが、高いアッベ数を有し、優れた耐熱性及び耐湿熱性を有するレンズを形成可能な活性エネルギー線硬化性組成物が得られることから、活性エネルギー線硬化性組成物中に、1~40質量%の範囲が好ましく、3~30質量%の範囲がより好ましく、5~20質量%の範囲が特に好ましい。
【0055】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、前記(A)成分、前記(B)成分以外に、耐クラック性を更に向上させる目的で、一分子中に6個以上の(メタ)アクリロイル基及び多分岐構造を有する化合物(D)(以下、「(D)成分」と略記する。)を用いることができる。前記(D)成分は一分子中に6個の(メタ)アクリロイル基及び多分岐構造を必須として有するものである。
【0056】
前記(D)成分の一分子中の(メタ)アクリロイル基は、優れた耐クラック性を有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が得られることから、6~96個の範囲が好ましく、8~64個の範囲がより好ましく、9~48個の範囲が特に好ましい。
【0057】
前記多分岐構造としては、例えば、デンドロン構造、デンドリティック構造(樹枝状構造)、ハイパーブランチ構造(超分岐構造)、スター構造等が挙げられる。これらの多分岐構造は、一分子中に単独で有することも、2種以上を有することもできる。また、これらの中でも、特に優れた耐クラック性を有するレンズを形成可能な活性エネルギー線硬化性組成物が得られることから、デンドリティック構造、ハイパーブランチ構造が好ましい。
【0058】
前記(D)成分の製造方法としては、特に制限されず、適宜公知の方法により製造することができる。例えば、中心コア分子に世代ごとに分子を結合させて分岐を形成するダイバージェント法、予め合成した枝部分をコア分子に結合させるコンバージェント法、2以上の反応点Bを有する分岐部分と別の反応点Aを有するつなぎ部分とを1分子内に持つモノマーABxを用いて1段階で合成する方法等が挙げられる。なかでも、簡便な合成方法の一つとして前記ダイバージェント法が好ましく、例えば、多価アルコール(a)と、一分子中に1つ以上のカルボキシル基及び2つ以上の水酸基を有する化合物(b)とを、エステル化反応させることで多分岐構造を有するポリオール化合物(c)を得る。次いで、前記ポリオール化合物の末端水酸基と(メタ)アクリル酸との脱水縮合によるエステル化反応、前記ポリオール化合物の末端水酸基と(メタ)アクリル酸エステルとのエステル交換反応及び前記ポリオール化合物の末端水酸基と(メタ)アクリロイル基を有するイソシアネート化合物との付加反応等により製造することができる。
【0059】
前記多価アルコール(a)としては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、ジトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、1,2,4-ブタントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ソルビトール、マンニトール及びこれらアルコールのアルキレンオキサイド付加物もしくはカプロラクトンの開環付加物等が挙げられる。これらの多価アルコールは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0060】
前記一分子中に1つ以上のカルボキシル基及び2つ以上の水酸基を有する化合物(b)としては、例えば、2,3-ジヒドロキシプロピオン酸、2,2-ジメチロールプロピオン酸、2,2-ジメチロールブタン酸、酒石酸、2,3-ジヒドロキシ安息香酸、2,4-ジヒドロキシ安息香酸、2,5-ジヒドロキシ安息香酸、2,6-ジヒドロキシ安息香酸、3,4-ジヒドロキシ安息香酸、3,5-ジヒドロキシ安息香酸、3,5-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)安息香酸、2,6-ジヒドロキシ-4-メチル安息香酸、3,5-ジヒドロキシ-4-メチル安息香酸、シトラジン酸、2,3-ジヒドロキシフェニル酢酸、2,4-ジヒドロキシフェニル酢酸、2,5-ジヒドロキシフェニル酢酸、2,6-ジヒドロキシフェニル酢酸、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸、3,5-ジヒドロキシフェニル酢酸及びこれらの誘導体等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0061】
前記ポリオール化合物(c)の市販品としては、例えば、パーストープ社製「BOLTORN H20」、「BOLTORN H30」、「BOLTORN H40」、「BOLTORN H311」、「BOLTORN H2003」、「BOLTORN H2004」、「BOLTORN P500」、「BOLTORN P501」、「BOLTORN P1000」等が挙げられる。
【0062】
また、前記(D)成分の市販品としては、例えば、大阪有機化学工業株式会社製「ビスコート#1000LT」、新中村化学工業製「NKエステル A-HBR-5」、MIWON社製「Miramer SP1106」、Arkema社製「CN2302」、「CN2303」、「CN2304」、IGM社製「Photomer 5500」等が挙げられる。
【0063】
前記(D)成分の含有割合は、本発明の効果が得られる範囲において特に限定されるものではないが、高いアッベ数、優れた耐熱性及び耐湿熱性、優れた耐クラック性を有するレンズを形成可能な活性エネルギー線硬化性組成物が得られることから、活性エネルギー線硬化性組成物中に、1~50質量%の範囲が好ましく、5~40質量%の範囲がより好ましく、10~35質量%の範囲が特に好ましい。
【0064】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、前記(A)成分、前記(B)成分以外に、必要に応じて、耐湿熱性を更に向上させる目的で、一分子中に1又は2個の(メタ)アクリロイル基及び一分子中に少なくとも1個以上の水酸基を有する化合物(E)(以下、「(E)成分」と略記する。)を用いることができる。
【0065】
前記(E)成分としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-1-メチルエチル(メタ)アクリレート2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェニルフェノールプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシ-3-メチルブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシ-1-アダマンチル(メタ)アクリレート、3,5-ジヒドロキシ-1-アダマンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールカーボネート変性2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ソルビトールモノ(メタ)アクリレート、ソルビトールジ(メタ)アクリレート、マンニトールモノ(メタ)アクリレート、マンニトールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、前記化合物が有する水酸基の一部又は全てをアルキレンオキサイド変性、カプロラクトン変性した化合物等も用いることができる。これらの化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。またこれらの中でも、より一層高いアッベ数、耐熱性、耐湿熱性を得られる観点から、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールカーボネート変性2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ソルビトールエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0066】
また、前記(E)成分としては、一分子中に1又は2個のグリシジル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸との反応物、一分子中に(メタ)アクリロイルオキシ基とグリシジル基を有する化合物(d)と、カルボン酸及び/又は無水ジカルボン酸との反応物等のエポキシ(メタ)アクリレートなども用いることができる。
【0067】
前記一分子中に1又は2個のグリシジル基を有する化合物としては、例えば、ドデシルグリシジルエーテル、テトラデシルグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1.6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサン、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノグリシジルエーテル、1,4-シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、3,4,3,4 ジエポキシビシクロヘキシル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ε-カプロラクトン変性3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビスフェノールAモノグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキサイド変性モノグリシジルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキサイド変性ジグリシジルエーテル、ビスフェノールAカプロラクトン変性モノグリシジルエーテル、ビスフェノールAカプロラクトン変性ジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAモノグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAアルキレンオキサイド変性モノグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAアルキレンオキサイド変性ジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAカプロラクトン変性モノグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAカプロラクトン変性ジグリシジルエーテル、ビスフェノールFモノグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキサイド変性モノグリシジルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキサイド変性ジグリシジルエーテル、ビスフェノールFカプロラクトン変性モノグリシジルエーテル、ビスフェノールFカプロラクトン変性ジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFモノグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFアルキレンオキサイド変性モノグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFアルキレンオキサイド変性ジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFカプロラクトン変性モノグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFカプロラクトン変性ジグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0068】
前記一分子中に(メタ)アクリロイル基とグリシジル基を有する化合物(d)としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0069】
前記カルボン酸及び/又は無水ジカルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物、4-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物、1,2,3,6-テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸無水物、メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸無水物、無水コハク酸、オクテニル無水コハク酸、テトラプロペニル無水コハク酸、3-ドデセニル無水コハク酸、3,3,4,4-テトラヒドロ-3,3-ビフラン-2,2,5,5-テトラオン、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸無水物、トリメリット酸無水物、ビス(1,3-ジヒドロ-1,3-ジオキソ-5-イソベンゾフランカルボン酸)2-アセチルオキシ-1,3-プロパンジイル等が挙げられる。
【0070】
前記(E)成分の市販品としては、例えば、MIWON社製「Miramer M100」、「Miramer M1051」、新中村化学工業株式会社製「NKエステル 702A」、「NKエステル 401P」、「NKエステル 701A」、「NKエステルEA-5521」、大阪有機化学工業株式会社製「HEA」、「HPA」、「4-HBA」、「ビスコート#540」、共栄社化学株式会社製「ライトエステルHO-250(N)」、「ライトエステルHOP(N)」、「ライトエステルHOP-A(N)」、「ライトエステルHOA(N)」、「ライトエステルHOB(N)」、「ライトエステルG-101P」、「ライトエステルG-201P」、「ライトアクリレートHOB-A」、「エポキシエステルM-600A」、「HOA-MPE(N)」、第一工業製薬株式会社製「ニューフロンティア PGA」、日本化薬株式会社製「KAYARAD R-128H」、「KAYARAD R-167」、東亜合成株式会社製「アロニックスM-920」、「アロニックスM-926」、三菱ケミカル株式会社製「4HBA」、「CHDMMA」、株式会社ダイセル製「プラクセルHEMAC1」「レジストモノマーHMA」、「レジストモノマーDHMA」等が挙げられる。
【0071】
前記(E)成分の含有割合は本発明の効果が得られる範囲において特に限定されるものではないが、高いアッベ数を有し、優れた耐熱性及び耐湿熱性を有するレンズを形成可能な活性エネルギー線硬化性組成物が得られることから、活性エネルギー線硬化性組成物中に、0.5~20質量%の範囲が好ましく、1~15質量%の範囲がより好ましい。
【0072】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、さらに、必要に応じて、前記(A)成分、前記(B)成分、前記(C)成分、前記(D)成分、前記(E)成分以外に、その他の化合物を用いることもできる。
【0073】
前記その他の化合物としては、例えば、水酸基を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。前記水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、さらに前記水酸基を有する(メタ)アクリレートのアルキレンオキサイド変性及び/又はカプロラクトン変性された化合物、ウレタンアクリレート、アクリル(メタ)アクリレート、ポリエステルポリオール(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート等が挙げられる。
【0074】
また、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、活性エネルギー線を照射することで硬化物やレンズを得ることができる。この活性エネルギー線とは、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等の電離放射線をいう。活性エネルギー線として紫外線を照射する場合には、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物中に光重合開始剤(F)を添加し、硬化性を向上することが好ましい。一方、電子線、α線、β線、γ線等の電離放射線を用いる場合には、光重合開始剤(F)を用いなくても速やかに硬化するので、特に光重合開始剤(F)を添加する必要はない。
【0075】
前記光重合開始剤(F)としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、オリゴ{2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノン}、ベンジルジメチルケタール、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-2-モルホリノ(4-チオメチルフェニル)プロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン系化合物;2,4,6-トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド等のアシルホスフィンオキシド系化合物;ベンジル(ジベンゾイル)、メチルフェニルグリオキシエステル、オキシフェニル酢酸2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルエステル、オキシフェニル酢酸2-(2-オキソ-2-フェニルアセトキシエトキシ)エチルエステル等のベンジル系化合物;ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル-4-フェニルベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチル-ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系化合物;ミヒラ-ケトン、4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系化合物;10-ブチル-2-クロロアクリドン、2-エチルアンスラキノン、9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、1-[4-(4-ベンゾイルフェニルサルファニル)フェニル]-2-メチル-2-(4-メチルフェニルサルフォニル)プロパン-1-オン等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0076】
前記光重合開始剤(F)の市販品としては、例えば、IGM Resins社製「Omnirad 1173」、「Omnirad 184」、「Omnirad 127」、「Omnirad 2959」、「Omnirad 369」、「Omnirad 379」、「Omnirad 907」、「Omnirad 4265」、「Omnirad 1000」、「Omnirad 651」、「Omnirad TPO」、「Omnirad TPO-L」、「Omnirad 819」、「Omnirad 2022」、「Omnirad 2100」、「Omnirad 754」、「Omnirad BP」、「Omnirad 4MBZ」、「Omnirad 4PBZ」、「Omnirad 410」、「Omnirad OMBB」、「Omnirad BMS」、「Omnirad 500」、「Omnirad 81」、「Omnirad ITX」、「Omnirad DETX」、「Omnirad MBF」、「Omnirad EMK」、「Omnirad 784」、「Omnirad 1312」、「Omnirad BCIM」、「Omnirad BL 723」、「Omnirad BL 724」、「Omnirad BL 750」、「Omnirad BL751」、「Omnirad EDB」、「Omnirad EHA」、「Omnirad IADB」、「Esacure KIP 150」、「Esacure KIP 100F」、「Esacure KIP 75LT」、「Esacure KIP IT」、「Esacure TZT」、「Esacure KT55」、「Esacure TZM」、「Esacure ONE」、「Esacure 1001M」、「Esacure KIP 160」、「Esacure A 198」、「Esacure KTO 46」、「Esacure DP 250」、「Omnipol 910」、「Omnipol 9210」、「Omnipol BP」、「Omnipol TX」、「Omnipol 3TX」、「Omnipol BL728」、「Omnipol ASA」、日本化薬株式会社製「KAYACURE DETX」、「KAYACURE MBP」、「KAYACURE DMBI」、「KAYACURE EPA」、「KAYACURE OA」、Stoffa Chemical社製「Vicure 10」、「Vicure 55」、Akzo Nobel社製「Trigonal P1」、SANDOZ社製「SANDORAY 1000」、Upjohn Chemical社製「DEAP」、Ward Blenkinsop社製「Quantacure PDO」、「Quantacure ITX」、「Quantacure EPD」、Runtec社製「Runtecure 1104」等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0077】
前記光重合開始剤(F)の使用量としては、十分な硬化性を得られる観点から、活性エネルギー線硬化性組成物中に、0.05~20質量部の範囲が好ましく、0.1~10質量部の範囲がより好ましく、0.5~5質量部の範囲が特に好ましい。
【0078】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、さらに、必要に応じて、前記(A)~(F)成分以外にもその他の添加剤を含有することができる。
【0079】
前記その他の添加剤としては、例えば、重合禁止剤、光増感剤、表面調整剤、帯電防止剤、消泡剤、粘度調整剤、耐光安定剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、有機顔料、無機顔料、顔料分散剤、シリカビーズ、有機ビーズ等の添加剤;酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化アンチモン等の無機充填剤などが挙げられる。これらその他の添加剤は単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これらの中でも、耐熱性及び耐湿熱性を向上できることから、耐熱安定剤、及び酸化防止剤を添加することが好ましい。
【0080】
前記耐熱安定剤としては、例えば、エタンチオール、2-メチルプロパン-2-チオール、n-ドデカンチオール、2,3,3,4,4,5-ヘキサメチルヘキサン-2-チオール、2-メルカプトエタノール、4-メルカプト-1-ブタノール、メルカプト酢酸メチル、3-メルカプトプロピオン酸メチル、3-メルカプトプロピオン酸2-エチルヘキシル、3-メルカプトプロピオン酸3-メトキシブチル、3-メルカプトプロピオン酸n-オクチル、3-メルカプトプロピオン酸ステアリル、3-(トリメトキシシリル)プロパン-1-チオール、3-(トリエトキシシリル)プロパン-1-チオール、ベンゼンチオール、ベンジルチオール、3-メチルベンゼンチオール、4-メチルベンゼンチオール、ナフタレン-2-チオール、ピリジン-2-チオール、ベンゾイミダゾール-2-チオール、ベンゾチアゾール-2-チオール、1,2―エタンジチオール、1,2-プロパンジチオール、1,3-プロパンジチオール、1,4-ブタンジチオール、2,3-ブタンジチオール、1,5-ペンタンジチオール、1,6-ヘキサンジチオール、1,10-デカンジチオール、2,3-ジヒドロキシ-1,4-ブタンジチオール、3,6-ジオキサ-1,8-オクタンジチオール、3,7-ジチア-1,9-ノナンジチオール、1,4-ビス(3-メルカプトプロピオニルオキシ)ブタン、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、テトラエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、1,2-ベンゼンジチオール、1,3-ベンゼンジチオール、1,4-ベンゼンジチオール、2,3-ジアミノー1,4-ベンゼンジチオール、4,5-ジメチル-O-キシレンジチオール、トルエン-3,4-ジチオール、4,4’-ビフェニルジチオール、1,5-ナフタレンジチオール、6-(ジブチルアミノ)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオール、2-アミノ-1,3,5-トリアジン-4,6-ジチオール、6-アニリノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオール、6-(4’-アニリノフェニル-イソプロピルアミノ)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオール、6-(3’,5’-tert-ブチル-4’-ヒドロキシアニリノ)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオール、キノキサリンー2,3-ジチオール、プリン-2,6-ジチオール、1,3,4-チアジアゾールー2,5-ジチオール、ビス(2-メルカプトエチル)エーテル、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、1,3,5-ベンゼントリチオール、1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリチオール、トリス[2-(3-メルカプトプロピオニルオキシ)エチル]イソシアヌレート、トリス[2-(3-メルカプトブチリルオキシ)エチル]イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトブチレート)等のメルカプト基を有する化合物などが挙げられる。また、これらの耐熱安定剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0081】
前記耐熱安定剤の市販品としては、例えば、花王株式会社製「チオカルコール20」、昭和電工株式会社製「カレンズMT PE1」、「カレンズMT BD1」、「カレンズMT NR1」、「TPMB」、「TEMB」、SC有機化学株式会社製「TMMP」、「TEMPIC」、「PEMP」、「EGMP-4」、「DPMP」、「TMMP II-20P」、「PEMP II-20P」等が挙げられる。
【0082】
前記耐熱安定剤の使用量としては、十分な耐熱性を得られる観点から、活性エネルギー線硬化性組成物中に、0.01~10質量部の範囲が好ましく、0.1~5質量部の範囲がより好ましく、0.5~3質量部の範囲が特に好ましい。
【0083】
前記酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤等が挙げられる。これらの酸化防止剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0084】
前記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、スチレン化フェノール、2,6-ジターシャリーブチル-p-クレゾール、2,5-ジターシャリーブチルヒドロキノン、2,5-ジターシャリーアミルヒドロキノン、3-(3,5-ジターシャリーブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸オクタデシル、2,4-ビス(オクチルチオメチル)-6-メチルフェノール、2,2-メチレンビス(6-ターシャリーブチル-p-クレゾール)、2,2-メチレンビス(6-ターシャリーブチル-4-エチルフェノール)、4,4-ブチリデンビス(6-ターシャリーブチル-m-クレゾール)、4,4-チオビス(6-ターシャリーブチル-m-クレゾール)、2,2-チオジエチルビス[3-(3,5-ジターシャリーブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、1,6-ヘキサンジオールビス[3-(3,5-ジターシャリーブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、ビス[3-(3-ターシャリーブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオンサン][エチレンビス(オキシエチレン)]、ビス[3-[3-(ターシャリーブチル)-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル]プロパン酸]2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン-3,9-ジイルビス(2-メチルプロパン-2,1-ジイル)、N,N-ビス[2-[2-(3,5-ジターシャリーブチル-4-ヒドロキシフェニル)エチルカルボニルオキシ]エチル]オキサミド、N,N-(ヘキサン-1,6-ジイル)ビス[3-(3,5-ジターシャリーブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパンアミド]、2,4,6-トリス(3,5-ジターシャリーブチル-4-ヒドロキシベンジル)メシチレン、1,3,5-トリス(3,5-ジターシャリーブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-ターシャリーブチルフェニル)ブタン、ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジターシャリーブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、ジエチル(3,5-ジターシャリーブチル-4-ヒドロキシベンジル)ホスホネート等が挙げられる。
【0085】
前記フェノール系酸化防止剤の市販品としては、例えば、BASF社製「IRGANOX 1010」、「IRGANOX 1010FF」、「IRGANOX 1035」、「IRGANOX 1035FF(W&C)」、「IRGANOX 1076」、「IRGANOX 1076FD」、「IRGANOX 1098」、「IRGANOX 1135」、「IRGANOX 1330」、「IRGANOX 1520L」、「IRGANOX 245」、「IRGANOX 245FF」、「IRGANOX 259」、「IRGANOX 3114」、川口化学工業株式会社製「ANTAGE BHT」、「ANTAGE DAH」、「ANTAGE DBH」、「ANTAGE W-300」、「ANTAGE W-400」、「ANTAGE W-500」、「ANTAGE クリスタル」、「ANTAGE SP」、「ANTAGE HP-200」、「ANTAGE HP-300」、株式会社ADEKA製「アデカスタブ AO-20」、「アデカスタブ AO-30」、「アデカスタブ AO-40」、「アデカスタブ AO-50」、「アデカスタブ AO-50F」、「アデカスタブ AO-50T」、「アデカスタブ AO-60」、「アデカスタブ AO-60G」、「アデカスタブ AO-80」、「アデカスタブ AO-330」、住友化学株式会社製「SUMILIZER GA-80」、「SUMILIZER GP」、「SUMILIZER MDP-S」、「SUMILIZER WX-R」、「SUMILIZER WX-RC」、三菱ケミカル株式会社製「ヨシノックス BB」、城北化学工業株式会社製「JC-356」等が挙げられる。
【0086】
前記ホスファイト系酸化防止剤としては、例えば、トリス(2-エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイトトリイソデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリ(ステアリル)ホスファイト、ジフェニルモノ(2-エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリクレジルホスファイト、トリス(2,4-ジターシャリーブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、4,4-ブチリデンビス(3-メチル-6-ターシャリーブチルフェニルジトリデシルホスファイト)、テトラ(C12~C15アルキル)-4,4-イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、3,9-ビス(オクタデシルオキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9-ビス(2,6-ジターシャリーブチル-4-メチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、2,4,8,10-テトラキス(1,1-ジメチルエチル)-6-[(2-エチルヘキシル)オキシ]-12H-ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、ビス(デシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、水添ビスフェノールA・ペンタエリスリトールホスファイトポリマー等が挙げられる。
【0087】
前記ホスファイト系酸化防止剤の市販品としては、例えば、BASF社製「IRGAFOS 168」、「IRGAFOS 168FF」、株式会社ADEKA製「アデカスタブ PEP-8」、「アデカスタブ PEP-36」、「アデカスタブ HP-10」、「アデカスタブ 2112」、「アデカスタブ 2112RG」、「アデカスタブ 1178」、「アデカスタブ 1500」、「アデカスタブ C」、「アデカスタブ 135A」、「アデカスタブ 3010」、「アデカスタブ TPP」、城北化学工業株式会社製「JP-360」、「JP-351」、「JP-3CP」、「JP-308E」、「JPE-308E」、「JP-310」、「JP-312L」、「JP-333E」、「JPM-308」、「JPM-311」、「JPM-313」、「JPP-100」、「JA-805」、「JPH-1200」、「JPP-88」、「JPE-10」、「JPE-13R」、「JP-318E」、「JPP-2000PT」、「JP-650」、「JPH-3800」等が挙げられる。
【0088】
前記硫黄系酸化防止剤としては、例えば、3,3-チオジプロピオン酸ジドデシル、3,3-チオビスプロピオン酸ジトリデシル、3,3-チオジプロピオン酸ジオクタデシル、テトラキス[3-(ドデシルチオ)プロピオン酸]ペンタエリトリトール等が挙げられる。
【0089】
前記硫黄系酸化防止剤の市販品としては、例えば、BASF社製「IRGANOX PS800FL」、「IRGANOX PS802FL」、株式会社ADEKA製「アデカスタブ AO-412S」、「アデカスタブ AO-503」、ケミプロ化成株式会社製「KEMINOX PLS」、住友化学株式会社製「SUMILIZER TP-D」等が挙げられる。
【0090】
前記酸化防止剤剤の使用量としては、十分な耐熱性を得られる観点から、活性エネルギー線硬化性組成物中に、0.01~10質量部の範囲が好ましく、0.1~5質量部の範囲がより好ましく、0.5~3質量部の範囲が特に好ましい。
【0091】
前記その他添加剤として、屈折率や熱膨張係数を調整するために無機充填剤が好適に用いられる。前記無機充填剤としては、シリカ微粒子、ジルコニア微粒子、その他の微粒子、等が挙げられ、おのおの独立に1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。前記無機充填剤の粒子径としては1000nm以下が好ましく、500nm以下がより好ましく、100nm以下が特に好ましい。
【0092】
前記シリカ微粒子の市販品としては、例えば、日産化学株式会社製「メタノールシリカゾル」、「MA-ST-M」、「MA-ST-L」、「IPA-ST」、「IPA-ST-L」、「IPA-ST-ZL」、「IPA-ST-UP」、「EG-ST」、「NPC-ST-30」、「PGM-ST」、「DMAC-ST」、「MEK-ST-40、「MEK-ST-L」、「MEK-ST-ZL」、「MEK-ST-UP」、「MIBK-ST」、「MIBK-ST-L」、「CHO-ST-M」、「EAT-ST」、「PMA-ST」、「TOL-ST」、「MEK-AC-2140Z」、「MEK-AC-4130Y」、「MEK-AC-5140Z」、「MIBK-AC-2140Z」、「MIBK-SD-L」、「PGM-AC-2140Y」、「PGM-AC-4140Y」、「MEK-EC-2130Y」、日本触媒株式会社製「シーホスター KE-E10」、「シーホスター KE-E30」、「シーホスター KE-E150」、「シーホスター KE-W10」、「シーホスター KE-W30」、「シーホスター KE-W50」、「シーホスター KE-P10」、「シーホスター KE-P30」、「シーホスター KE-P50」、「シーホスター KE-P100」、「シーホスター KE-P150」、「シーホスター KE-P250」、「シーホスター KE-S10」、「シーホスター KE-S30」、「シーホスター KE-S50」、「シーホスター KE-S100」、「シーホスター KE-S150」、「シーホスター KE-S250」、信越化学株式会社製「QSG-10」、「QSG-30」、「QSG-100」、「QSG-170」、株式会社アドマテックス社製「アドマナノ YA010C」、「YA050C」、「YA100C」、大研化学工業株式会社製「DLSB-001」、「DLSB-002」等が挙げられる。
【0093】
前記ジルコニア微粒子の市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製「ZHR-101」、「ZHR-103」、「ZHR-200」、日本触媒株式会社製「ジルコスターZP-153」、「ジルコスターHR-101」、堺化学工業株式会社製「SZR-W」、「SZR-M」、「SZR-CW」、「SZR-CM」、「SZR-KM」、「SZR-K」、大研化学工業株式会社製「DLZ-001」、「DLZ-007」、「DLZ-003U」、「DLM-001」、「DLM-002」、第一稀元素化学工業株式会社製「ZSL-10A」、「ZSL-10T」、「ZSL-20N」、「ZSL-00014」、アイテック社製「ジルコネオ-Cw」、「ジルコネオ-Ck」、大成化工株式会社製「TZP-103」等が挙げられる。
【0094】
前記その他の微粒子の市販品としては、例えば、チタニア微粒子として、大成化工株式会社製「TTP-113」、「TTP-1132」、チタン酸バリウム微粒子として、第一稀元素化学工業株式会社製「DLB-001」、「DLB-002」、「DLB-003」、アンチモン酸化スズ微粒子として、第一稀元素化学工業株式会社製「DLAT-001」、インジウム酸化スズ微粒子として、第一稀元素化学工業株式会社製「DLIT-001」等が挙げられる。
【0095】
前記活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物を得る方法としては、例えば、基材上に前記活性エネルギー線硬化性組成物を塗工し、その後活性エネルギー線を照射する方法が挙げられる。
【0096】
前記基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂;セルロースアセテート(ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等)、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートブチレート、セルロースアセテートフタレート、硝酸セルロース等のセルロース系樹脂;ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩化ビニル系樹脂;ポリビニルアルコール;エチレン-酢酸ビニル共重合体;ポリスチレン;ポリアミド;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリイミド、ポリエーテルイミド等のポリイミド系樹脂;ノルボルネン系樹脂(例えば、日本ゼオン株式会社製「ゼオノア」)、変性ノルボルネン系樹脂(例えば、JSR株式会社製「アートン」)、環状オレフィン共重合体(例えば、三井化学株式会社製「アペル」)などの樹脂フィルム;シリコン、シリコンカーバイド、シリコンナイトライド、サファイア、アルミニウムナイトライド、窒化ガリウム、リン化ガリウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム等の半導体ウエハー;石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダ石灰ガラス、ケイ酸塩ガラス、光学ガラス(クラウンガラス、フリントガラス)等のガラスなどを用いることができる。
【0097】
前記基材に本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を塗工する方法としては、例えば、ダイコート、マイクログラビアコート、グラビアコート、ロールコート、コンマコート、エアナイフコート、キスコート、スプレーコート、ディップコート、スピンナーコート、刷毛塗り、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバーコート、フローコート、ディスペンサー、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷等が挙げられる。
【0098】
前記活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させる活性エネルギー線としては、上記の通り、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等の電離放射線である。ここで、活性エネルギー線として紫外線を用いる場合、その紫外線を照射する装置としては、例えば、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、無電極ランプ(フュージョンランプ)、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、水銀-キセノンランプ、ショートアーク灯、ヘリウム・カドミニウムレーザー、アルゴンレーザー、太陽光、LEDランプ等が挙げられる。
【0099】
前記活性エネルギー線の照射量(積算光量)としては、100~10,000mJ/cmであることが好ましく、300~8,000mJ/cmであることがより好ましい。なお、前記活性エネルギー線の照射量は、所望の励起波長に適した光量計により測定した値を基準とし、例えば、岩崎電気株式会社アイ紫外線積算照度計 UVPF-A2シリーズ、浜松ホトニクス製紫外線光量計C9536/H9535シリーズ、同C9536/H9958シリーズ、同C10427/H10428シリーズ、ウシオ電機製紫外線積算光量計UIT-201、同UIT-250、同UIT-θシリーズ、等を用いることができる。取り分け本発明においては岩崎電気株式会社アイ紫外線積算照度計 UVPF-A2(PD-365)を用いて測定した積算光量を基準とする。
【0100】
なお、前記活性エネルギー線の照射は、一段階で行ってもよいし、二段階以上に分けて行ってもよい。
【0101】
前記本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物の膜厚としては、硬化物の硬さを十分なものとすることができる点から、1~1000μmの範囲が好ましく、50~500μmの範囲がより好ましい。
【0102】
前記硬化物の屈折率(n)としては、1.40~1.60の範囲であることが好ましく、1.45~1.55の範囲がより好ましい。なお、前記硬化物の屈折率は、JIS試験方法K7142:2014のA法に準拠して測定した値を示す。
【0103】
前記硬化物のアッベ数(ν)としては、53以上であることが好ましく、53~60の範囲であることがより好ましく、55~59の範囲が更に好ましく、56~58の範囲が特に好ましい。なお、前記硬化物のアッベ数はJIS試験方法K7142:2014のA法に準拠して測定した屈折率をもとに算出した値を示す。
【0104】
前記硬化物の光線透過率としては、光学用レンズに好適に使用できる観点から波長410nmにおける光線透過率が85%以上であることが好ましく、88%以上であることがより好ましく、90%以上であることが特に好ましい。光線透過率の測定方法については、実施例にて詳述する。
【0105】
前記硬化物の耐熱試験後の光線透過率としては、半田リフロー耐性を有する光学用レンズに好適に使用できる観点から波長410nmにおける光線透過率が初期の光線透過率から±5%以内であることが好ましく、±3%以内であることがより好ましく、±1%以内であることが特に好ましい。耐熱試験後の光線透過率の測定方法については、実施例にて詳述する。
【0106】
前記硬化物の吸水率としては、高温多湿環境下で硬化物内部に欠陥を生じさせないために、0.1%~4.0%の範囲であることが好ましく、0.3~3.5%の範囲であることがより好ましく、0.5~3.0%の範囲であることが特に好ましい。なお、前記硬化物の吸水率は、JIS試験方法K7209:2000のC法に準拠した測定値を用いて、水中への溶出分を加味した算出値を示す。
【0107】
前記硬化物の耐湿熱性としては、高温多湿環境下で硬化物内部に欠陥を生じさせないために、温度85℃-湿度85%RH-時間1000時間の条件で行った湿熱試験の結果、基材からのハガレがないことが好ましく、硬化物と基材界面に欠陥がないことがより好ましく、硬化物内部に欠陥がないことが特に好ましい。なお、前記硬化物の耐湿熱性の評価方法については、実施例にて詳述する。
【0108】
本発明のレンズは、前記硬化物を有するものである。また、前記レンズは、必要に応じて、前記硬化物の少なくとも片面に無機化合物からなる無機層を有していてもよく、さらに、基材を有していてもよい。
【0109】
なお、本発明のレンズは、インプリント成形により、ウェハレベルレンズとして用いることもできる。
【0110】
本発明のレンズを製造する方法としては、特に制限されず、どのような方法にて製造してもよいが、例えば、前記活性エネルギー線硬化性組成物を、ウエハーやガラス等の基材上に塗布し、金型により所望の形状に賦形した後、活性エネルギー線を照射して前記組成物を仮硬化させる。金型を離型後、未硬化の活性エネルギー線硬化性組成物を溶剤により洗浄する現像工程を経て、再度活性エネルギー線を照射し本硬化を行う。さらに必要に応じて、物理蒸着等により無機化合物からなる無機層を硬化物表面に成膜する。加えて無機層を成膜する場合、必要に応じて、硬化物表面のアッシング等による前処理を行う。最後に前記基材を個片化する方法等が挙げられる。
【0111】
前記溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、イソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン等の環状エーテル系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;トルエン、キシレン、ソルベントナフサ等の芳香族系溶剤;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素系溶剤;カルビトール、セロソルブ、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶剤;アルキレングリコールモノアルキルエーテル、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテル、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート等のグリコールエーテル系溶剤などが挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0112】
前記無機層としては、無機化合物からなる層を意味し、一般に、反射防止、耐擦り傷性等の機能を有するものである。
【0113】
前記無機化合物としては、例えば、金属酸化物、複酸化物、金属窒化物、金属フッ化物、複フッ化物、ケイ素酸化物、ケイ素窒化物及びそれらの混合物等が挙げられる。
【0114】
前記金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、チタン、イットリウム、インジウム、スズ、ジルコニウム、ニオブ、セリウム、ハフニウム、タンタル、等が挙げられる。
【0115】
前記無機層を反射防止膜層として用いる場合、前記反射防止膜層は単層であってもよいが、低屈折率層と、高屈折率層とを有していてもよい。また、低屈折率層と高屈折率層は、それぞれ1層でも複数層であってもよい。なお、低屈折率層と高屈折率層の積層順序も特に限定されない。
【0116】
前記高屈折率層に用いる無機化合物としては、例えば、チタン酸ランタン、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化ハフニウム、酸化セリウム、酸化イットリウム及びそれらの混合物等が挙げられる。
【0117】
前記低屈折率層に用いる無機化合物としては、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、フッ化マグネシウム、フッ化アルミニウム及びそれらの混合物等が挙げられる。
【0118】
前記無機層は、前記樹脂層の表面に成膜することで得られるものである。前記無機層の成膜方法は、特に制限されず、適宜公知の成膜方法を用いることができるが、物理蒸着(PVD)又は化学蒸着(CVD)により成膜することが好ましい。
【0119】
前記成膜方法は、成膜工程の一貫性及び簡素化の観点から、前記物理蒸着(PVD)を用いることがより好ましく、例えば、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング等の方法が挙げられる。
【0120】
前記真空蒸着としては、例えば、抵抗加熱方式、高周波誘導加熱方式、電子ビーム加熱方式等を用いることができる。
【0121】
前記スパッタリングは、DCスパッタでもRFスパッタでもよく、マグネトロンスパッタでもイオンビームスパッタでもよい。また、平行平板ターゲット方式でも対向ターゲット方式でもよい。また、真空チャンバー内に導入する気体としては、例えば、アルゴン、クリプトン、酸素、窒素等が挙げられ、各々単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
【0122】
前記無機層の膜厚は、目的とする機能により適宜調整し得るが、反射防止機能を目的とする場合、10nm~5,000nmの範囲が好ましく、無機層の膜強度と生産性の観点から、100nm~2,000nmの範囲がより好ましく、250nm~1,000nmの範囲が特に好ましい。
【0123】
前記硬化物表面のアッシング等による前処理は、無機層との層間密着性の観点から、光励起アッシングやプラズマアッシング等の方法を用いることができ、これらの併用でも構わない。
【0124】
前記無機層と硬化物の密着性としては、無機層の剥離を抑制する観点から、幅1mmの100マス碁盤目のセロハンテープ剥離による無機層の碁盤目残面積率において、50%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、90%以上が特に好ましい。なお、前記無機層の残存率の評価方法については、実施例にて詳述する。
【0125】
前記無機層の耐クラック性としては、無機層へのクラック発生を抑制する観点から、成膜後の無機層表面にクラックを確認できないことが好ましく、半田リフロー後に無機層表面にクラックを確認できないことがより好ましい。なお、前記無機層の耐クラック性の評価方法については、実施例にて詳述する。
【0126】
以上、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物により形成される硬化物は、高いアッベ数と高光線透過率を有し、耐熱性と耐湿熱性に優れ、硬化物表面に成膜された無機層の耐クラックに優れ、無機層との密着性に優れ、かつ活性エネルギー線の照射によって簡便に硬化できるものであることから、光インプリントによるレンズ製造に好適に使用することができる。
【実施例
【0127】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。
【0128】
なお、本実施例において、重量平均分子量(Mw)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を用い、下記の条件により測定した値である。
【0129】
測定装置 ; 東ソー株式会社製 HLC-8220
カラム ; 東ソー株式会社製ガードカラムHXL-H
+東ソー株式会社製 TSKgel G5000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G4000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G3000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G2000HXL
検出器 ; RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製 SC-8010
測定条件: カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 ;ポリスチレン
試料 ;樹脂固形分換算で0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
【0130】
[合成例1:アクリロイル基及び多分岐構造を有する化合物(D-1)の製造]
温度計、攪拌棒、ディーンスターク装置、空気導入管を具備した反応釜にペンタエリスリトールエチレンオキサイド(4mol)付加物134質量部(1mol)、パラトルエンスルホン酸17質量部(0.1mol)、トルエン200質量部を仕込み、反応釜を攪拌しながら内温110℃へ昇温させた。次に、内温110℃を保持したままジメチロールプロピオン酸1,073質量部(8mol)を反応系内に2時間ごと4回に分けて投入、同時に生成する水を系外に除去しながら10時間反応させた。次に反応混合物を冷却し、アクリル酸1081質量部(15mol)、メトキノン1.24質量部(10mmol)、パラトルエンスルホン酸34質量部(0.2mol)、トルエン500質量部を反応釜に投入した。次に、反応溶液中に空気を吹き込み、反応釜を攪拌しながら内温110℃へ昇温、内温を保持しながら生成する水を系外に除去しつつ、8時間反応させた。次に、20質量%の水酸化ナトリウム水溶液で中和し、食塩水で3回抽出洗浄し、減圧下で未反応アクリル酸及びトルエンを留去し、アクリロイル基及び多分岐構造を有する化合物(D-1)を得た。この化合物(D-1)の重量平均分子量は2200g/molであり、エステル価は200mgKOH/gであった。
【0131】
[実施例1]
(A)成分としてシロキサン化合物(信越化学工業株式会社製「KR-513」);10質量部、B成分としてポリカーボネートジオールジアクリレート(宇部興産株式会社製「UM-90(1/3)DA」:一般式(1)におけるRが水素原子であり、Rがそれぞれ独立して、炭素原子数6の直鎖状炭化水素基とシクロヘキサン構造をランダムに有するものであり、nが4~5のものである。);50質量部、(C)成分としてポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学工業株式会社製「A-400」);20質量部、(D)成分としてアクリロイル基及び多分岐構造を有する化合物(D-1);30質量部、(F)成分として1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製「I-184」);1質量部を混合し、50℃に加温後、ホモディスパ―を使用して回転数1,000rpmで10分間撹拌混合して活性エネルギー線硬化性組成物を調製した。
【0132】
[実施例2~14、比較例1~8]
(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)の種類及び/又は量を表1~3に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様にして活性エネルギー線硬化性組成物を調製した。なお、表3記載の比較例6~8に配合したKBM-13(信越化学工業株式会社製「メチルトリメトキシシラン。(メタ)アクリロイル基を含まない)、KBM-5103(信越化学工業株式会社製。3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン。(メタ)アクリロイル基1個)、KBM-5803(信越化学工業株式会社製。メタクリロイルオクチルトリメトキシシラン。(メタ)アクリロイル基1個。)は本願(A)成分に該当せず比較成分として用いた。なお、実施例1、2、3、及び8は参考例である。
【0133】
[屈折率の測定方法]
実施例及び比較例で得られた活性エネルギー線硬化性組成物を三角プリズム型(厚さ5mm、1辺の長さ10mm)に流し込み、アイグラフィックス株式会社製ベルトコンベアー式紫外線照射装置(120Wメタルハライドランプ)を使用して、3,000mJ/cmの紫外線を照射して三角プリズムを作製した。得られた三角プリズムを株式会社島津製作所製カルニュー精密屈折計「KPR-3000」を使用して25℃におけるd線、F線、C線、各々の屈折率を測定した。なお、硬化物の屈折率(n)に最も近い屈折率(n)を有するマッチング液を適宜選択して用いた。
【0134】
[アッベ数の算出方法]
前記[屈折率の測定方法]にて測定したd線、F線、C線、各々の屈折率を用いて下記式によりアッベ数(ν)を算出した。
【0135】
【数1】
【0136】
[透過率の測定方法]
オクタデシルトリクロロシランにより離型処理を施したガラス板上に、実施例及び比較例で得られた活性エネルギー線硬化性組成物を滴下し、厚み1mmのシムプレートをスペーサーとして油滴の左右に配置後、同様にオクタデシルトリクロロシランにより離型処理を施したガラス板により油滴を挟み込んだ。2枚のガラス板で挟みこまれた活性エネルギー線硬化性組成物の油滴を、岩崎電気株子会社製UV-LED照射装置「LHPUV365/2501」にて照射強度50mW/cm、積算光量8000mJ/cmを照射し、約1mm厚のコイン状硬化物を得た。得られたコイン状硬化物を送風式オーブンにより100℃で20分間加熱した後、日本分光株式会社製紫外可視近赤外分光光度計「V-770」を用いて波長410nmにおける初期透過率を測定した。
【0137】
[耐熱試験後透過率の測定方法]
前記透過率の測定方法において測定したコイン状硬化物を、送風式オーブンにより(1)175℃で10分間加熱した後、日本分光株式会社製紫外可視近赤外分光光度計「V-770」を用いて波長410nmにおける透過率を、各々耐熱試験後透過率1及び耐熱試験後透過率2として測定した。なお、加熱温度は低温溶融半田と通常溶融半田のリフロー工程に準じた温度設定として175℃を用いた。
【0138】
[吸水率の測定方法]
厚み0.5mmのシムプレートとガラス棒を用いて、アクリル板上に実施例及び比較例で得られた活性エネルギー線硬化性組成物を塗工後、アイグラフィックス株式会社製ベルトコンベアー式紫外線照射装置(120Wメタルハライドランプ)にて積算光量3,000mJ/cmの紫外線照射により膜厚0.2mmのシート状硬化物を得た。得られたシート状硬化物をダンベルカッターを用いて長さ5cm×幅5cmに裁断することで吸水率測定用試験片を作製した。作製した前記試験片を送風式オーブンにより50℃で24時間乾燥後、試験片の重量測定を行い初期重量mとした。初期重量測定後、23℃の純水300mlに24時間浸漬させた。純水から引き上げた試験片に残った水分を旭化成株式会社製不織布「ベンコット」にて拭き取った後、試験片の重量測定を行い浸漬後重量m2とした。浸漬後重量測定後、送風式オーブンにより50℃で24時間乾燥させ、試験片の重量測定を行い乾燥重量m3とした。上記m1~m3を用いて、下記式により吸水率を算出した。
【0139】
【数2】
【0140】
[耐湿熱性の評価方法]
実施例及び比較例で得られた活性エネルギー線硬化性組成物を、信越化学工業株式会社製シランカップリング剤「KBM-5103」により密着処理を施したカバーガラス上に滴下し、レンズレプリカにより賦形した後、岩崎電気株式会社製UV-LED照射装置「LHPUV365/2501」にて照射強度50mW/cm、積算光量450mJ/cmの照射により仮硬化させた。レンズレプリカを離型後、プロピレングリコールモノメチルエーテルにより現像処理を行い、未硬化の樹脂組成物を除去した。さらに、積算光量7,550mJ/cmによる本硬化を行った後、送風式オーブンを用いて100℃で90分間のポストベークを行うことで、ウェハレベルレンズを得た。得られたウェハレベルレンズをエスペック株式会社製小型環境試験機「SH-222」を用いて温度85℃、相対湿度85%、で1000時間の耐湿熱試験を行った。試験後レンズを株式会社キーエンス製マイクロスコープ「VHX900」及びオリンパス株式会社製レーザー顕微鏡「OLS5000」を用いて観察し、下記の基準に従い評価した。
【0141】
◎:ハガレ、界面欠陥、内部欠陥が見られない。
〇:ハガレ、界面欠陥は見られないが内部欠陥が1~10個程度。
△:ハガレ、界面異常、内部欠陥の程度が中程度。
×:ハガレ、界面異常、内部欠陥が重度。
【0142】
[耐クラック性の評価方法]
前記耐湿熱性の評価方法に記載のレンズ作製手順と同様にウェハレベルレンズを作製し、株式会社島津製作所製3元マグネトロンスパッタ装置「HSR-522」を用いて、ターゲットSiO、導入ガスはアルゴン、ガス流量15sccm、室温25℃、スパッタ時間:40minの条件でスパッタリングを行い、前記硬化物の表面上に、膜厚0.5μmのシリコン酸化物薄膜を積層させた積層体を得た。前記積層体の表面を株式会社キーエンス製マイクロスコープ「VHX900」で観察し、積層体の初期外観として下記の基準に従い評価した。次に、送風式オーブンを用いて175℃で5分間熱処理を行った後、積層体の表面を株式会社キーエンス製マイクロスコープ「VHX900」で観察し、積層体の耐熱後外観として下記の基準に従い評価した。
◎:スパッタ膜にクラック、シワが見られない。
○:スパッタ膜にごく軽微なクラック、シワが発生。
△:スパッタ膜に軽微なクラック、シワが発生。
×:スパッタ膜にクラック、シワが発生。
【0143】
[密着性の評価方法]
信越化学工業株式会社製シランカップリング剤「KBM-5103」により密着処理を施したガラス上に、実施例及び比較例で得られた活性エネルギー線硬化性組成物を滴下し、厚み0.5mmのシムプレートをスペーサーとして油滴の左右に配置後、オクタデシルトリクロロシランにより離型処理を施したガラス板により油滴を挟み込んだ。2枚のガラス板で挟みこまれた活性エネルギー線硬化性組成物の油滴を、岩崎電気株子会社製UV-LED照射装置「LHPUV365/2501」にて照射強度50mW/cm、積算光量8000mJ/cmを照射し、離型処理を施したガラス板を剥離、送風式オーブンにより100℃で90分間加熱することで、約0.5mm厚の平膜状硬化物を得た。得られた平膜状硬化物を芝浦メカトロニクス株式会社製スパッタリング装置「CFS-12P-100型」を用いて、ターゲットSiO、導入ガスとしてアルゴン(ガス流量27sccm)及び酸素(ガス流量3sccm)、室温25℃、スパッタ時間:26minの条件でスパッタリングを行い、前記平膜状硬化物の表面上に、膜厚0.1μmのシリコン酸化物薄膜を積層させた積層体を得た。上記で得られた積層体表面上にカッターナイフ及びカッターガイドを用いて1mm間隔で縦、横11本の切れ目を入れ、100マスの碁盤目を作製した。次いで、長さ8cmに裁断した3M社製セロハンテープ「Scotch 610」の一端を前記碁盤目表面に密着させた後、もう一端を垂直方向へ瞬間的に引き上げることで、無機膜を剥離させた。剥離後の積層体表面をオリンパス株式会社製レーザー顕微鏡「OLS5000」を用いて観察し、碁盤目上に剥離せずに残った無機膜の残面積比率から、下記の基準に従い評価した。
【0144】
5:残面積比率90%以上。
4:残面積比率70~89%の範囲。
3:残面積比率50~69%の範囲。
2:残面積比率20~49%の範囲。
1:残面積比率1~19%の範囲。
0:残面積比率0%。
【0145】
【表1】
【0146】
【表2】
【0147】
【表3】
【0148】
表1~3中の略語は以下のものを示す。
「X-12-1048」;
アクリロイル基変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)
「X-40-2761」;
アクリロイル基変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)
「4-HBA」;
4-ヒドロキシブチルアクリレート(三菱ケミカル株式会社製)
【0149】
表1~3の評価結果より、実施例1~14の本発明の活性エネルギー線硬化性組成物により形成された硬化物は、高アッベ数、高耐熱性を有し、吸水率が4%以下に制御され、かつ高い耐湿熱性を有することが明らかになった。また、実施例1~14のレンズサンプルは硬化後の反りもなく、割れやヒビもなく外観も良好であった。さらに、積層体は、初期と耐熱試験後を問わず、クラックとシワの発生が抑制されていることが明らかとなった。加えて実施例1~14は無機層と高い層間密着性を有していることが明らかになった。
【0150】
一方、比較例1~2は、本発明にて規定する(A)成分を含有しない活性エネルギー線硬化性組成物の例であるが、無機層との層間密着性が不十分であることが確認された。
【0151】
また、比較例3~4は、本発明にて規定する(A)成分の配合量を50質量部まで増量した活性エネルギー線硬化性組成物の例であるが、耐湿熱試験において界面異常と内部欠陥が発生し、耐湿熱性が不十分であること、耐熱試験後外観にシワとクラックが発生しており、耐クラック性が著しく不十分であることが確認された。
【0152】
比較例5は、本発明にて規定する(B)成分を含有しない活性エネルギー線硬化性組成物の例であるが、耐熱試験において透過率が低下しており、耐熱性が不十分であること、積層体において耐熱試験後にクラックが発生しており、耐クラック性が不十分であることが確認された。
【0153】
比較例6~8は、本発明にて規定する(A)成分に該当しないシラン化合物を含有する活性エネルギー線硬化性組成物の例であるが、積層体において耐熱試験後外観にシワとクラックが発生しており、耐クラック性が著しく不十分であること、無機層との層間密着性が不十分であることが確認された。