(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】リチウム二次電池用電解質およびこれを含むリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0567 20100101AFI20240409BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20240409BHJP
H01M 4/525 20100101ALI20240409BHJP
H01M 4/505 20100101ALI20240409BHJP
H01M 4/58 20100101ALI20240409BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20240409BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
H01M10/0567
H01M10/052
H01M4/525
H01M4/505
H01M4/58
H01M4/36 E
H01M4/38 Z
(21)【出願番号】P 2022562357
(86)(22)【出願日】2021-03-02
(86)【国際出願番号】 KR2021002540
(87)【国際公開番号】W WO2021210775
(87)【国際公開日】2021-10-21
【審査請求日】2022-10-12
(31)【優先権主張番号】10-2020-0045394
(32)【優先日】2020-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】インジュン・パク
(72)【発明者】
【氏名】スジン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジュンヨン・イ
(72)【発明者】
【氏名】テ・ジン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ヘジョン・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】オルガ・ツァイ
(72)【発明者】
【氏名】ヒョンボン・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ジュンミン・ハン
【審査官】結城 佐織
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-187440(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/0567
H01M 10/052
H01M 4/525
H01M 4/505
H01M 4/58
H01M 4/36
H01M 4/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非水性有機溶媒、リチウム塩、および添加剤を含み、
前記添加剤は下記化学式1で表される化合物を含む、
リチウム二次電池用電解質:
【化1】
上記化学式1中、
L
1は、単一結合、置換もしくは非置換の炭素数1~5のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数1~5のシクロアルキレン基、または置換もしくは非置換の炭素数6~15のアリーレン基であり、
Zは、イソシアネート基(-NCO)、イソチオシアネート基(-NCS)、シアネート基(-OCN)、チオシアネート基(-SCN
)、またはイソシアノ基(-NC)であり、
R
1およびR
2は同一であるか互いに異なり、それぞれ独立して水素、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、またはハロゲン化物基である。
【請求項2】
前記Lは単一結合、または置換もしくは非置換の炭素数1~3のアルキレン基であり、
前記Zはイソシアネート基(-NCO)またはイソチオシアネート基(-NCS)であり、
前記R
1およびR
2は互いに同一であるか異なるハロゲン化物基である、請求項1に記載のリチウム二次電池用電解質。
【請求項3】
前記Lは単一結合であり、
前記Zはイソシアネート基(-NCO)またはイソチオシアネート基(-NCS)であり、
前記R
1およびR
2はそれぞれ独立して-Fである、請求項1に記載のリチウム二次電池用電解質。
【請求項4】
前記添加剤は下記化学式2で表される化合物を含むものである、請求項1に記載のリチウム二次電池用電解質。
【化2】
【請求項5】
前記添加剤は電解質総重量に対して0.05重量%~5重量%含まれる、請求項1に記載のリチウム二次電池用電解質。
【請求項6】
前記添加剤は電解質総重量に対して0.1重量%~3重量%含まれる、請求項1に記載のリチウム二次電池用電解質。
【請求項7】
正極活物質を含む正極;
負極活物質を含む負極;および
請求項1~6のうちのいずれか一項によるリチウム二次電池用電解質を含む、リチウム二次電池。
【請求項8】
前記正極活物質は、リチウムニッケル酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物、リチウムニッケルリン酸化物およびこれらの組み合わせから選択されるリチウムニッケル系遷移金属酸化物を含む、請求項7に記載のリチウム二次電池。
【請求項9】
前記負極活物質は、Si系負極活物質またはSn系負極活物質を含む、請求項7に記載のリチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
リチウム二次電池用電解質およびこれを含むリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウム二次電池は再充電が可能であり、従来の鉛蓄電池、ニッケル-カドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池などと比較して単位重量当りエネルギー密度が3倍以上高く高速充電が可能であるため、ノートパソコンや携帯電話機、電動工具、電気自転車用に商品化されており、追加的なエネルギー密度向上のための研究開発が活発に行われている。
【0003】
このようなリチウム二次電池は、リチウムをインターカレーション(intercalation)およびデインターカレーション(deintercalation)することができる正極活物質を含む正極と、リチウムをインターカレーションおよびデインターカレーションすることができる負極活物質を含む負極とを含む電池セルに電解質を注入して使用される。
【0004】
リチウム二次電池は高い駆動電圧で作動するので、リチウムとの反応性の高い水系電解質を使用することができなく、一般に有機電解質が使用される。有機電解質は有機溶媒にリチウム塩を溶解して製造し、有機溶媒は高電圧で安定的であり、イオン伝導度と誘電率が高く粘度が低いのが好ましい。
【0005】
リチウム二次電池にカーボネート系統の極性非水系溶媒などが使用されれば、初期充電時、負極/正極と電解質の間の副反応によって電荷が過量使用される不可逆反応が行われる。前記不可逆反応によって電極表面に電解質成分の分解産物からなる厚いSEI(solid electrolyte interface layer)が形成されて、リチウム二次電池の初期抵抗が増加しサイクル容量維持率が急速に損失して、サイクル寿命特性が低まることがある。特に、高い作動温度および作動電圧では深刻な電解質分解を誘発するため、サイクル寿命特性の低下はさらに大きく現れる。
【0006】
また、電解質のリチウム塩として最も多く使用されているLiPF6は、電解質溶媒と反応して溶媒の枯渇を促進させ多量のガスを発生させる問題を有している。LiPF6が分解されながらHFとPF5などの分解産物を生成し、これは電池で電解質枯渇を引き起こし、高温性能劣化および安全性にぜい弱な結果を招く。
【0007】
電解質の分解産物は電極表面の上に被膜形態に沈着して電池の内部抵抗を増加させ、結局、電池の性能低下および寿命短縮の問題を引き起こす。特に、反応速度が速くなる高温ではこのような副反応がさらに加速化され、副反応で生成された気体成分が電池内部圧力を急激に増加させて電池の安定性側面からも致命的な悪影響を与えることがある。
【0008】
高電圧領域での電解質酸化は非常に加速化され、長期的な充放電過程で電極の抵抗を大きく増加させると知られている。
【0009】
これにより、高電圧および高温条件でも適用可能な電解質が要求されている。即ち、電解質は優れたイオン伝導性および安定性を確保しなければならず、特に高電圧および高温の条件でも副反応が発生しないなどの高い安定性を有していなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
一実施形態は、電解質の分解を抑制し、高電圧条件で正極の表面で起こる副反応を減少させることによって高容量正極に対応した高電圧、高温条件でも保存および寿命特性を向上させることができるリチウム二次電池用電解質を提供する。
【0011】
他の実施形態は、前記リチウム二次電池用電解質を含むことによって高電圧、高温での安定性と寿命特性が向上したリチウム二次電池を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一実施形態は、非水性有機溶媒、リチウム塩、および添加剤を含み、前記添加剤は下記化学式1で表される化合物を含むリチウム二次電池用電解質を提供する。
【0013】
【0014】
上記化学式1中、L1は単一結合、置換もしくは非置換の炭素数1~5のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数1~5のシクロアルキレン基、または置換もしくは非置換の炭素数6~15のアリーレン基であり、Zはイソシアネート基(-NCO)、イソチオシアネート基(-NCS)、シアネート基(-OCN)、チオシアネート基(-SCN)、シアノ基(-CN)、またはイソシアノ基(-NC)であり、R1およびR2は同一であるか互いに異なり、それぞれ独立して水素、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、またはハロゲン化物基である。
【0015】
他の一実施形態では、正極活物質を含む正極、負極活物質を含む負極、および前述のリチウム二次電池用電解質を含むリチウム二次電池を提供する。
【発明の効果】
【0016】
一実施形態によるリチウム二次電池用電解質を含むことによって、高電圧、高温条件で正極活物質を保護することができる被膜を形成することにより、これを含むリチウム二次電池の高温抵抗特性および寿命特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態によるリチウム二次電池を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を詳しく説明する。但し、これは例示として提示されるものであって、これによって本発明が制限されず、本発明は後述の請求項の範疇によってのみ定義されるだけである。
【0019】
本明細書で別途の定義がない限り、“置換”とは、化合物中の水素原子がハロゲン原子(F、Br、ClまたはI)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバモイル基、チオール基、エステル基、カルボキシル基やその塩、スルホン酸基やその塩、リン酸やその塩、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数2~20のアルキニル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、炭素数1~20のヘテロアルキル基、炭素数3~20のヘテロアリールアルキル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数3~15のシクロアルケニル基、炭素数6~15のシクロアルキニル基、炭素数2~20のヘテロシクロアルキル基、およびこれらの組み合わせから選択された置換基で置換されたことを意味する。
【0020】
以下、一実施形態によるリチウム二次電池用電解質について説明する。
一実施形態によるリチウム二次電池用電解質は、非水性有機溶媒、リチウム塩および添加剤を含み、前記添加剤は下記化学式1で表される化合物を含むことができる。
【0021】
【0022】
上記化学式1中、
L1は、単一結合、置換もしくは非置換の炭素数1~5のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数1~5のシクロアルキレン基、または置換もしくは非置換の炭素数6~15のアリーレン基であり、
Zは、イソシアネート基(-NCO)、イソチオシアネート基(-NCS)、シアネート基(-OCN)、チオシアネート基(-SCN)、シアノ基(-CN)、またはイソシアノ基(-NC)であり、
R1およびR2は同一であるか互いに異なり、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、またはハロゲン化物基である。
【0023】
前記リチウム二次電池用電解質は、前記化学式1で表される化合物を含む添加剤を含むことによって、これを含むリチウム二次電池の高温での保存および寿命特性を向上させることができる。
【0024】
特定理論に拘束されようとするのではないが、前記化学式1で表される化合物は分子内P(リン)とO(酸素)の二重結合を含むホスフィン官能基(phosphine group)を含み、前記ホスフィン官能基にイソシアネート基(-NCO)、イソチオシアネート基(-NCS)、シアネート基(-OCN)、チオシアネート基(-SCN)、シアノ基(-CN)、またはイソシアノ基(-NC)の電子求引官能基(electron withdrawing group)が結合される。前記ホスフィン官能基に導入された電子求引官能基は高い双極子モーメント(dipole moment)を有し、正極活物質表面に露出された遷移金属または遷移金属酸化物と強く結合(bonding)することができ、例えば、ニッケル系正極活物質に含まれている遷移金属または遷移金属酸化物と結合して錯体(complex)形態の保護膜(protection layer)を形成することができる。したがって、リチウム二次電池の初期充電時、前記電子求引官能基がホスフィン官能基に結合された前記化学式1で表される化合物は、電極表面に吸着した状態でより堅固且つ稠密な不活性膜を形成することができ、形成された不活性膜が正極活物質表面と強く結合することによって、繰り返される充放電進行による不活性膜の安定性が持続的に維持されてこれを含むリチウム二次電池の高温保存特性および寿命特性を向上させることができる。
【0025】
一例として、前記化学式1中、Lは単一結合、または置換もしくは非置換の炭素数1~3のアルキレン基であり、前記Zはイソシアネート基(-NCO)またはイソチオシアネート基(-NCS)であり、前記R1およびR2は互いに同一であるか異なるハロゲン化物基であってもよい。
【0026】
一実施形態で、前記化学式1中、Lは単一結合であり、Zはイソシアネート基(-NCO)またはイソチオシアネート基(-NCS)であり、R1およびR2はそれぞれ独立して-Fであってもよい。
【0027】
一例として、添加剤は下記化学式2で表される化合物を含むことができる。
【0028】
【0029】
前記添加剤は電解質総重量に対して0.05重量%~5重量%含まれてもよく、例えば0.05重量%~3重量%、例えば0.1重量%~3重量%、例えば0.1重量%~2重量%、例えば0.5重量%~1.5重量%の含量で含まれてもよい。添加剤の含量範囲が前記のような場合、高温での抵抗増加を防止して寿命特性が改善されたリチウム二次電池を実現することができる。
【0030】
前記非水性有機溶媒は、電池の電気化学的反応に関与するイオンが移動できる媒質の役割を果たす。
【0031】
前記非水性有機溶媒としては、カーボネート系、エステル系、エーテル系、ケトン系、アルコール系、または非プロトン性溶媒を使用することができる。
【0032】
前記カーボネート系溶媒としては、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)などを使用することができる。前記エステル系溶媒としては、メチルアセテート、エチルアセテート、n-プロピルアセテート、t-ブチルアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、デカノリド(decanolide)、メバロノラクトン(mevalonolactone)、カプロラクトン(caprolactone)などを使用することができる。前記エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、テトラグリム、ジグリム、ジメトキシエタン、2-メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランなどを使用することができる。また、前記ケトン系溶媒としては、シクロヘキサノンなどを使用することができる。また、前記アルコール系溶媒としてはエチルアルコール、イソプロピルアルコールなどを使用することができ、前記非プロトン性溶媒としてはR-CN(Rは炭素数2~20の直鎖状、分枝状、または環構造の炭化水素基であり、二重結合方向環またはエーテル結合を含むことができる)などのニトリル類、ジメチルホルムアミドなどのアミド類、1,3-ジオキソランなどのジオキソラン類、スルホラン(sulfolane)類などを使用することができる。
【0033】
前記非水性有機溶媒は単独でまたは一つ以上混合して使用することができ、一つ以上混合して使用する場合の混合比率は目的とする電池性能によって適切に調節することができ、これは当該分野に従事する者に広く理解できる。
【0034】
また、前記カーボネート系溶媒の場合、環状(cyclic)カーボネートと鎖状(chain)カーボネートを混合して使用することが良い。この場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートは1:1~1:9の体積比で混合して使用することが電解液の性能に優れるように示されることになる。
【0035】
前記非水性有機溶媒は、前記カーボネート系溶媒以外に芳香族炭化水素系有機溶媒をさらに含んでもよい。この時、前記カーボネート系溶媒と芳香族炭化水素系溶媒は1:1~30:1の体積比で混合されてもよい。
【0036】
前記芳香族炭化水素系溶媒としては、下記化学式2の芳香族炭化水素系化合物を使用することができる。
【0037】
【0038】
上記化学式3中、R4~R9は互いに同一であるか異なり、水素、ハロゲン、炭素数1~10のアルキル基、ハロアルキル基およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものである。
【0039】
前記芳香族炭化水素系溶媒の具体的な例としては、ベンゼン、フルオロベンゼン、1,2-ジフルオロベンゼン、1,3-ジフルオロベンゼン、1,4-ジフルオロベンゼン、1,2,3-トリフルオロベンゼン、1,2,4-トリフルオロベンゼン、クロロベンゼン、1,2-ジクロロベンゼン、1,3-ジクロロベンゼン、1,4-ジクロロベンゼン、1,2,3-トリクロロベンゼン、1,2,4-トリクロロベンゼン、ヨードベンゼン、1,2-ジヨードベンゼン、1,3-ジヨードベンゼン、1,4-ジヨードベンゼン、1,2,3-トリヨードベンゼン、1,2,4-トリヨードベンゼン、トルエン、フルオロトルエン、2,3-ジフルオロトルエン、2,4-ジフルオロトルエン、2,5-ジフルオロトルエン、2,3,4-トリフルオロトルエン、2,3,5-トリフルオロトルエン、クロロトルエン、2,3-ジクロロトルエン、2,4-ジクロロトルエン、2,5-ジクロロトルエン、2,3,4-トリクロロトルエン、2,3,5-トリクロロトルエン、ヨードトルエン、2,3-ジヨードトルエン、2,4-ジヨードトルエン、2,5-ジヨードトルエン、2,3,4-トリヨードトルエン、2,3,5-トリヨードトルエン、キシレン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものである。
【0040】
前記電解液は電池寿命を向上させるためにビニレンカーボネートまたは下記化学式4のエチレン系カーボネート系化合物を寿命向上添加剤としてさらに含んでもよい。
【0041】
【0042】
上記化学式4中、R10およびR11は互いに同一であるか異なり、水素、ハロゲン基、シアノ基(CN)、ニトロ基(NO2)およびフッ素化された炭素数1~5のアルキル基からなる群より選択され、前記R10およびR11のうちの少なくとも一つはハロゲン基、シアノ基(CN)、ニトロ基(NO2)およびフッ素化された炭素数1~5のアルキル基からなる群より選択されるが、但しR10およびR11が全て水素ではない。
【0043】
前記エチレン系カーボネート系化合物の代表的な例としては、ジフルオロエチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ジクロロエチレンカーボネート、ブロモエチレンカーボネート、ジブロモエチレンカーボネート、ニトロエチレンカーボネート、シアノエチレンカーボネートまたはフルオロエチレンカーボネートなどが挙げられる。このような寿命向上添加剤をさらに使用する場合、その使用量は適切に調節することができる。
【0044】
前記リチウム塩は非水性有機溶媒に溶解されて、電池内でリチウムイオンの供給源として作用して基本的なリチウム二次電池の作動を可能にし、正極と負極の間のリチウムイオンの移動を促進する役割を果たす物質である。このようなリチウム塩の代表的な例としては、LiPF6、LiBF4、LiSbF6、LiAsF6、LiN(SO2C2F5)2、Li(CF3SO2)2N、LiN(SO3C2F5)2、Li(FSO2)2N(リチウムビスフルオロスルホニルイミド(lithium bis(fluorosulfonyl)imide:LiFSI)、LiC4F9SO3、LiClO4、LiAlO2、LiAlCl4、LiN(CxF2x+1SO2)(CyF2y+1SO2)(ここで、xおよびyは自然数であり、例えば、1~20の整数である)、LiCl、LiIおよびLiB(C2O4)2(リチウムビスオキサレートボレート(lithium bis(oxalato)borate:LiBOB)からなる群より選択される一つまたは二つ以上が挙げられる。リチウム塩の濃度は0.1M~2.0M範囲内で使用することがよい。リチウム塩の濃度が前記範囲に含まれれば、電解質が適切な伝導度および粘度を有するので優れた電解質性能を示すことができ、リチウムイオンが効果的に移動できる。
【0045】
また他の一実施形態は、正極活物質を含む正極、負極活物質を含む負極、および前述の電解液を含むリチウム二次電池を提供する。
【0046】
前記正極は、電流集電体およびこの電流集電体の上に形成された正極活物質を含む正極活物質層を含むことができる。
【0047】
前記正極活物質としては、リチウムの可逆的なインターカレーションおよびデインターカレーションの可能な化合物(リチエイテッドインターカレーション化合物)を使用することができる。
【0048】
前記正極活物質は具体的に、コバルト、マンガン、ニッケル、およびこれらの組み合わせから選択される金属とリチウムとの複合酸化物のうちの1種以上のものを使用することができ、前記複合酸化物はリチウムの可逆的な挿入および脱離反応が可能な化合物であって、下記化学式のうちのいずれか一つで表される化合物を使用することができる。
【0049】
LiaA1-bXbD2(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5);LiaA1-bXbO2-cDc(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05);LiaE1-bXbO2-cDc(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05);LiaE2-bXbO4-cDc(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05);LiaNi1-b-cCobXcDα(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α≦2);LiaNi1-b-cCobXcO2-αTα(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2);LiaNi1-b-cCobXcO2-αT2(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2);LiaNi1-b-cMnbXcDα(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α≦2);LiaNi1-b-cMnbXcO2-αTα(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2);LiaNi1-b-cMnbXcO2-αT2(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2);LiaNibEcGdO2(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0.001≦d≦0.1);LiaNibCocMndGeO2(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0≦d≦0.5、0.001≦e≦0.1);LiaNiGbO2(0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1);LiaCoGbO2(0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1);LiaMn1-bGbO2(0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1);LiaMn2GbO4(0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1);LiaMn1-gGgPO4(0.90≦a≦1.8、0≦g≦0.5);QO2;QS2;LiQS2;V2O5;LiV2O5;LiZO2;LiNiVO4;Li(3-f)J2(PO4)3(0≦f≦2);Li(3-f)Fe2(PO4)3(0≦f≦2);LiFePO4
【0050】
前記化学式において、AはNi、Co、Mn、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;XはAl、Ni、Co、Mn、Cr、Fe、Mg、Sr、V、希土類元素およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;DはO、F、S、P、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;EはCo、Mn、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;TはF、S、P、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;GはAl、Cr、Mn、Fe、Mg、La、Ce、Sr、V、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;QはTi、Mo、Mn、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;ZはCr、V、Fe、Sc、Y、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;JはV、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0051】
もちろん、これら複合酸化物表面にコーティング層を有するものも使用することができ、または、前記複合酸化物とコーティング層を有する複合酸化物を混合して使用することもできる。このコーティング層はコーティング元素のオキシド、コーティング元素のヒドロキシド、コーティング元素のオキシヒドロキシド、コーティング元素のオキシカーボネートおよびコーティング元素のヒドロキシカーボネートからなる群より選択される少なくとも一つのコーティング元素化合物を含むことができる。これらコーティング層を成す化合物は非晶質または結晶質であってもよい。前記コーティング層に含まれるコーティング元素としてはMg、Al、Co、K、Na、Ca、Si、Ti、V、Sn、Ge、Ga、B、As、Zrまたはこれらの混合物を使用することができる。コーティング層形成工程は前記化合物にこのような元素を使用して正極活物質の物性に悪影響を与えない方法(例えば、スプレーコーティング、浸漬法など)でコーティングすることができればいかなるコーティング方法を使用してもよく、これについては当該分野に従事する者によく理解できる内容であるので、詳しい説明は省略する。
【0052】
一実施形態によれば、前記複合酸化物は具体的にリチウムニッケル系遷移金属酸化物を含むことができる。前記リチウムニッケル系遷移金属酸化物は、リチウムニッケル酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物、リチウムニッケルリン酸化物またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0053】
例えば、前記正極活物質はコバルト、マンガン、ニッケル、アルミニウムおよびこれらの組み合わせから選択される金属とリチウムとの複合酸化物のうちの1種以上のものを使用することができ、一実施形態による正極活物質の最も具体的な例としては下記化学式5の化合物が挙げられる。
【0054】
[化学式5]
Lix2Niy2Coz2Al1-y2-z2O2
上記化学式5中、1≦x2≦1.2、0.6≦y2≦1、そして0≦z2≦0.5であってもよい。
【0055】
正極活物質としてリチウムニッケル系遷移金属酸化物を含み、前記化学式1で表される化合物を含む添加剤が含まれている電解質を含むリチウム二次電池は、優れた常温および高温サイクル寿命特性を示すことができる。特に、このような効果は前記化学式1で表される化合物を含む添加剤の含量が前記範囲に含まれる場合、より顕著に向上できる。
【0056】
前記正極活物質の含量は、正極活物質層全体重量に対して90重量%~98重量%であってもよい。
【0057】
一実施形態において、前記正極活物質層はバインダーおよび導電材を含むことができる。この時、前記バインダーおよび導電材の含量は、正極活物質層全体重量に対してそれぞれ1重量%~5重量%であってもよい。
【0058】
前記バインダーは正極活物質粒子を互いによく付着させ、また正極活物質を電流集電体によく付着させる役割を果たし、その代表的な例としてはポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ジアセチルセルロース、ポリビニルクロリド、カルボキシル化されたポリビニルクロリド、ポリビニルフルオライド、エチレンオキシドを含むポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン-ブタジエンゴム、アクリレーテッドスチレン-ブタジエンゴム、エポキシ樹脂、ナイロンなどを使用することができるが、これに限定されるのではない。
【0059】
前記導電材は電極に導電性を付与するために使用されるものであって、構成される電池において、化学変化を引き起こさず電子伝導性材料であればいずれのものでも使用可能であり、その例として、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維などの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属繊維などの金属系物質;ポリフェニレン誘導体などの導電性ポリマー;またはこれらの混合物を含む導電性材料を使用することができる。
【0060】
前記電流集電体としてはAlを使用することができるが、これに限定されるのではない。
前記負極は、電流集電体およびこの電流集電体の上に形成された負極活物質を含む負極活物質層を含む。
【0061】
前記負極活物質は、リチウムイオンを可逆的にインターカレーション/デインターカレーションすることができる物質、リチウム金属、リチウム金属の合金、リチウムにドープおよび脱ドープ可能な物質または遷移金属酸化物を含む。
【0062】
前記リチウムイオンを可逆的にインターカレーション/デインターカレーションすることができる物質としては炭素系負極活物質であって、リチウムイオン二次電池で一般に使用される炭素系負極活物質はいずれのものでも使用することができ、その代表的な例としては結晶質炭素、非晶質炭素またはこれらを共に使用することができる。前記結晶質炭素の例としては無定形、板状、鱗片状(flake)、球状または繊維状の天然黒鉛または人造黒鉛のような黒鉛が挙げられ、前記非晶質炭素の例としてはソフトカーボン(soft carbon)またはハードカーボン(hard carbon)、メソフェーズピッチ炭化物、焼成されたコークスなどが挙げられる。
【0063】
前記リチウム金属の合金としては、リチウムとNa、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Si、Sb、Pb、In、Zn、Ba、Ra、Ge、AlおよびSnからなる群より選択される金属の合金を使用することができる。
【0064】
前記リチウムにドープおよび脱ドープ可能な物質としてはSi系負極活物質またはSn系負極活物質を使用することができ、前記Si系負極活物質としてはシリコン、シリコン-炭素複合体、SiOx(0<x<2)、Si-Q合金(前記Qはアルカリ金属、アルカリ土類金属、13族元素、14族元素、15族元素、16族元素、遷移金属、希土類元素およびこれらの組み合わせからなる群より選択される元素であり、Siではない)、前記Sn系負極活物質としてはSn、SnO2、Sn-R合金(前記Rはアルカリ金属、アルカリ土類金属、13族元素、14族元素、15族元素、16族元素、遷移金属、希土類元素およびこれらの組み合わせからなる群より選択される元素であり、Snではない)などが挙げられ、またこれらのうちの少なくとも一つとSiO2を混合して使用することもできる。前記元素QおよびRとしては、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Tc、Re、Bh、Fe、Pb、Ru、Os、Hs、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、Sn、In、Tl、Ge、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Po、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものを使用することができる。
【0065】
前記シリコン-炭素複合体は、結晶質炭素およびシリコン粒子を含むコアおよびこのコア表面に位置する非晶質炭素コーティング層を含むシリコン-炭素複合体であってもよい。前記結晶質炭素は、人造黒鉛、天然黒鉛またはこれらの組み合わせであってもよい。前記非晶質炭素前駆体としては、石炭系ピッチ、メソフェーズピッチ(mesophase pitch)、石油系ピッチ、石炭系オイル、石油系中質油またはフェノール樹脂、フラン樹脂、ポリイミド樹脂などの高分子樹脂を使用することができる。この時、シリコンの含量はシリコン-炭素複合体全体重量に対して10重量%~50重量%であってもよい。また、前記結晶質炭素の含量はシリコン-炭素複合体全体重量に対して10重量%~70重量%であってもよく、前記非晶質炭素の含量はシリコン-炭素複合体全体重量に対して20重量%~40重量%であってもよい。また、前記非晶質炭素コーティング層の厚さは5nm~100nmであってもよい。前記シリコン粒子の平均粒径(D50)は10nm~20μmであってもよい。前記シリコン粒子の平均粒径(D50)は好ましく10nm~200nmであってもよい。前記シリコン粒子は酸化された形態で存在でき、この時、酸化程度を示すシリコン粒子内Si:Oの原子含量比率は99:1~33:66重量比であってもよい。前記シリコン粒子はSiOx粒子であってもよく、この時、SiOx中のx範囲は0超過、2未満であってもよい。本明細書で、別途の定義がない限り、平均粒径(D50)は粒度分布で累積体積が50体積%である粒子の直径を意味する。
【0066】
前記Si系負極活物質またはSn系負極活物質は、炭素系負極活物質と混合して使用することができる。Si系負極活物質またはSn系負極活物質と炭素系負極活物質を混合使用時、その混合比は1:99~10:90重量%であってもよい。前記炭素系負極活物質としては、結晶質炭素または非晶質炭素を使用することができる。前記結晶質炭素は人造黒鉛、天然黒鉛またはこれらの組み合わせであってもよい。前記非晶質炭素前駆体としては、石炭系ピッチ、メソフェーズピッチ(mesophase pitch)、石油系ピッチ、石炭系オイル、石油系中質油またはフェノール樹脂、フラン樹脂、ポリイミド樹脂などの高分子樹脂を使用することができる。
【0067】
Si系負極活物質またはSn系負極活物質を含み、前記化学式1で表される化合物を含む添加剤が含まれている電解質を含むリチウム二次電池は、優れた常温および高温サイクル寿命特性を示すことができる。特に、このような効果は、前記化学式1で表される化合物を含む添加剤の含量が前記範囲に含まれる場合、より顕著に向上できる。
【0068】
前記遷移金属酸化物としては、バナジウム酸化物、リチウムバナジウム酸化物またはリチウムチタニウム酸化物などが挙げられる。
【0069】
前記負極活物質層で負極活物質の含量は、負極活物質層全体重量に対して95重量%~99重量%であってもよい。
【0070】
一実施形態において、前記負極活物質層はバインダーを含み、選択的に導電材をさらに含んでもよい。前記負極活物質層でバインダーの含量は負極活物質層全体重量に対して1重量%~5重量%であってもよい。また導電材をさらに含む場合には負極活物質を90重量%~98重量%、バインダーを1重量%~5重量%、導電材を1重量%~5重量%使用することができる。
【0071】
前記バインダーは、負極活物質粒子を互いによく付着させ、また負極活物質を電流集電体によく付着させる役割を果たす。前記バインダーとしては、非水溶性バインダー、水溶性バインダーまたはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0072】
前記非水溶性バインダーとしては、ポリビニルクロリド、カルボキシル化されたポリビニルクロリド、ポリビニルフルオライド、エチレンオキシドを含むポリマー、エチレンプロピレン共重合体、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドイミド、ポリイミドまたはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0073】
前記水溶性バインダーとしては、ゴム系バインダーまたは高分子樹脂バインダーが挙げられる。前記ゴム系バインダーは、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、アクリレーテッドスチレン-ブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(ABR)、アクリルゴム、ブチルゴム、フッ素ゴムおよびこれらの組み合わせから選択されるものであってもよい。前記高分子樹脂バインダーは、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリエピクロロヒドリン、ポリホスファゼン、ポリアクリロニトリル、エチレンプロピレンジエン共重合体、ポリビニルピリジン、クロロスルホン化ポリエチレン、ラテックス、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコールおよびこれらの組み合わせから選択されるものであってもよい。
【0074】
前記負極バインダーとして水溶性バインダーを使用する場合、粘性を付与することができるセルロース系化合物をさらに含むことができる。このセルロース系化合物としては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、またはこれらのアルカリ金属塩などを1種以上混合して使用することができる。前記アルカリ金属としては、Na、KまたはLiを使用することができる。このような増粘剤使用含量は、負極活物質100重量部に対して0.1重量部~3重量部であってもよい。
【0075】
前記導電材は電極に導電性を付与するために使用されるものであって、構成される電池において、化学変化を引き起こさず電子伝導性材料であればいずれのものでも使用可能であり、その例として、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維などの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属繊維などの金属系物質;ポリフェニレン誘導体などの導電性ポリマー;またはこれらの混合物を含む導電性材料を使用することができる。
【0076】
前記集電体としては、銅箔、ニッケル箔、ステンレス鋼箔、チタン箔、ニッケル発泡体(foam)、銅発泡体、伝導性金属がコーティングされたポリマー基材、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものを使用することができる。
【0077】
リチウム二次電池の種類によって正極と負極の間にセパレータが存在することもある。このようなセパレータとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニリデンフルオライドまたはこれらの2層以上の多層膜を使用することができ、ポリエチレン/ポリプロピレンの2層セパレータ、ポリエチレン/ポリプロピレン/ポリエチレンの3層セパレータ、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレンの3層セパレータなどのような混合多層膜を使用することができるのはもちろんである。
【0078】
図1を参照すれば、一実施形態によるリチウム二次電池100は、負極112、負極112と対向して位置する正極114、負極112と正極114の間に配置されているセパレータ113、および負極112、正極114およびセパレータ113を含浸する電解液(図示せず)を含む電池セルと、前記電池セルが入っている電池容器120、および前記電池容器120を密封する密封部材140を含む。
【0079】
以下、本発明の実施例および比較例を記載する。そのような下記の実施例は本発明の一実施形態に過ぎず、本発明が下記の実施例に限定されるのではない。
【実施例】
【0080】
リチウム二次電池の製作
実施例1
正極活物質としてLiNi0.88Co0.105Al0.015O2、バインダーとしてポリビニリデンフルオライドおよび導電材としてカーボンブラックをそれぞれ98:1:1の重量比で混合して、N-メチルピロリドンに分散させて正極活物質スラリーを製造した。
【0081】
前記正極活物質スラリーを20μm厚さのアルミニウム箔の上にコーティングし、100℃で乾燥した後、圧延(press)して正極を製造した。
【0082】
負極活物質としてシリコン-炭素複合体とグラファイトの混合物(混合比は5:95重量比)、スチレン-ブタジエンゴムバインダー、およびカルボキシメチルセルロースをそれぞれ98:1:1の重量比で混合して、蒸留水に分散させて負極活物質スラリーを製造した。
【0083】
前記負極活物質スラリーを10μm厚さの銅箔の上にコーティングし、100℃で乾燥した後、圧延(press)して負極を製造した。
【0084】
前記製造された正極および負極と厚さ25μmのポリエチレン材質のセパレータ、そして電解液を使用してリチウム二次電池を製造した。
【0085】
電解液組成は下記の通りである。
(電解液組成)
塩:1.5M LiPF6
溶媒:エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート:ジメチルカーボネート(EC:EMC:DMC=2:1:7の体積比)
添加剤:下記化学式2で表される化合物0.5重量%
【0086】
【0087】
(但し、前記電解液組成で“重量%”は電解液全体(リチウム塩+非水性有機溶媒+添加剤)含量を基準にしたものである。)
【0088】
実施例2
実施例1で前記化学式2で表される化合物1.0重量%使用したことを除いては実施例1と同様な方法でリチウム二次電池を製造した。
【0089】
実施例3
実施例1で前記化学式2で表される化合物1.5重量%使用したことを除いては実施例1と同様な方法でリチウム二次電池を製造した。
【0090】
実施例4
正極活物質をLiNi0.88Co0.105Al0.015O2の代わりにLiCoO2を使用したことを除いては前記実施例1と同様な方法でリチウム二次電池を製造した。
【0091】
比較例1
添加剤を使用しないことを除いては前記実施例1と同様な方法でリチウム二次電池を製造した。
【0092】
比較例2
添加剤を使用せず、正極活物質をLiNi0.88Co0.105Al0.015O2の代わりにLiCoO2を使用したことを除いては前記実施例1と同様な方法でリチウム二次電池を製造した。
【0093】
評価1:初期放電容量
初期放電容量は次のような方法で測定された。実施例1、2および4、比較例1~2によって製造されたそれぞれのリチウム二次電池を常温(25℃)で1Aの電流で3分間予備充電(pre-charging)を実施した後、24時間リチウム二次電池の電解液含浸のためのエイジング(aging)を実施した。その後、定電流条件下で4.2Vまで充電後、2.5Vまで放電し、これを再びSOC(state of charge)50%水準に充電した後、45℃で3日間エイジングを実施して化成工程を行う。その後、常温(25℃)で定電流-定電圧で1.6C、4.2Vおよび0.025Cカット-オフ充電条件および定電流2.5Cおよび2.5Vカット-オフ放電条件の充放電をそれぞれ1回ずつ実施した後、放電容量を計算してその結果を下記表1および2に示した。
【0094】
【0095】
【0096】
表1および2を参照すれば、実施例1、2および4のリチウム二次電池は本発明範囲内の添加剤を含むことによって、比較例1および2の場合と比較して、初期放電容量が改善されるのを確認することができる。
【0097】
評価2:初期抵抗(DC-IR)
DC-IR(Direct Current Internal Resistance)は次のような方法で測定された。実施例1~2および比較例1によって製造されたそれぞれのリチウム二次電池を常温(25℃)で4Aおよび4.2Vで充電し、100mAでカット-オフして30分間休止させた。その後、10Aおよび10秒、1Aおよび10秒、そして10Aおよび4秒でそれぞれ放電後、18秒地点および23秒地点それぞれでの電流および電圧を測定して、ΔR=ΔV/ΔI式によって初期抵抗(18秒地点での抵抗と23秒地点での抵抗の差)を計算して下記表3に示した。
【0098】
【0099】
表3を参照すれば、実施例1~2のリチウム二次電池は本発明範囲内の添加剤を含むことによって、比較例1の場合と比較して、初期抵抗が減少することが分かる。
【0100】
評価3:高温保存特性
実施例1~3および比較例1によって製造されたリチウム二次電池を60℃で充電状態(SOC、state of charge=100%)で30日間放置して、高温(60℃)放置時内部抵抗増加率を評価してその結果を下記表4に示した。
【0101】
実施例1~3および比較例1の初期DC-IRは、前記評価2と同様な方法で測定した。初期DC-IR測定後、前記実施例1~3および比較例1によって製造されたリチウム二次電池を0.2C 4.3V充電条件および60℃で30日間放置した後、DC-IR(direct current internal resistance)を測定し、放置前後の抵抗増加率を下記式1によって計算してその結果を表4に示した。
【0102】
[式1]
抵抗増加率(%)=[(30日放置した後のDC-IR-初期DC-IR)/初期DC-IR]×100
【0103】
【0104】
表4を参照すれば、実施例1~3によるリチウム二次電池は比較例1の場合と比較して放置前後の抵抗増加率が減少することが分かる。これから、実施例1~3によるリチウム二次電池は本発明範囲内添加剤を含むことによって比較例1の場合と比較して電池の高温安定性が改善されることが分かる。
【0105】
以上を通じて本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるのではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明および添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属するのは当然である。
【符号の説明】
【0106】
100:リチウム二次電池
112:負極
113:セパレータ
114:正極
120:電池容器
140:封入部材