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特許7469555モノアゾ二色性染料化合物、それを含む偏光板組成物、それから形成された偏光板、それを備える光学素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】モノアゾ二色性染料化合物、それを含む偏光板組成物、それから形成された偏光板、それを備える光学素子
(51)【国際特許分類】
   C09B 29/01 20060101AFI20240409BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
C09B29/01
G02B5/30
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023503234
(86)(22)【出願日】2021-07-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-21
(86)【国際出願番号】 KR2021009139
(87)【国際公開番号】W WO2022139100
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-01-17
(31)【優先権主張番号】10-2020-0182531
(32)【優先日】2020-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ソ-ヨン・イム
(72)【発明者】
【氏名】デュイ・ヒエウ・リ
(72)【発明者】
【氏名】ホ-ヨン・イ
(72)【発明者】
【氏名】サン-ア・チェ
【審査官】福山 駿
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-012667(JP,A)
【文献】特表平09-505413(JP,A)
【文献】特開2018-053167(JP,A)
【文献】特開2005-068265(JP,A)
【文献】国際公開第2019/225468(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 1/00-69/10
G02B 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表されるモノアゾ二色性染料化合物。
【化1】
化学式1において、
及びRは、それぞれ独立して、炭素数1~20を有する置換または非置換のアリール基、炭素数1~20を有する置換または非置換のヘテロアリール基、COOR らなる群より選択されたいずれか一つの基であって、
~R10は、炭素数1~20を有し、互いに独立して、それぞれ水素原子、アルコキシ基及びアルコキシアルキル基からなる群より選択されたいずれか一つ;ハロゲン原子またはハロゲン原子を含むアルキル基のうちのいずれか一つ;及びアルコキシ基、アルコキシアルキル基、ハロゲン及びアルキル基からなる群より選択されたいずれか一つ以上に置換または非置換の、複素環基またはアリール基のうちのいずれか一つ;からなる群より選択されたいずれか一つであり、
は、独立して、水素;炭素数1~20を有する置換または非置換のアリール基、炭素数1~20を有する置換または非置換のヘテロアリール基、及び炭素数1~20を有する置換または非置換のアルキル基からなる群より選択されたいずれか一つ;NROH;NHR;NR;OR;COOR;OCOR;SR10;ハロゲン基;OH;CN;COOH;PO;SO;及びNO2からなる群より選択されたいずれか一つの基であって、R~R10は、炭素数1~20を有し、互いに独立して、それぞれ水素原子、アルコキシ基及びアルコキシアルキル基からなる群より選択されたいずれか一つ;ハロゲン原子またはハロゲン原子を含むアルキル基のうちのいずれか一つ;及びアルコキシ基、アルコキシアルキル基、ハロゲン及びアルキル基からなる群より選択されたいずれか一つ以上に置換または非置換の、複素環基またはアリール基のうちのいずれか一つ;からなる群より選択されたいずれか一つであり、
及びXは、それぞれ独立して、NまたはCのいずれか一つであり、
及びYは、それぞれ独立して、SまたはOのいずれか一つであり、
Zは、CNあって、R11は、アルキル基、アリール基、及び置換または非置換のヘテロアリール基からなる群より選択されたいずれか一つである。
【請求項2】
前記R及びRは、それぞれ独立して、COOR あり、Rは、独立して、水素;CN、OH、NHR、NR、OR、及びCOORからなる群より選択されたいずれか一つである、請求項1に記載のモノアゾ二色性染料化合物。
【請求項3】
記R はCOORであり、前記Rは水素である、請求項1に記載のモノアゾ二色性染料化合物。
【請求項4】
前記モノアゾ二色性染料化合物は、下記の式で表される化合物のうちのいずれか一つである、請求項1に記載のモノアゾ二色性染料化合物。
【化2】
【化3】
【請求項5】
液晶化合物と二色性染料化合物とを含む偏光板組成物であって、
前記二色性染料化合物は、請求項1からのいずれか一項に記載のモノアゾ二色性染料化合物である、偏光板組成物。
【請求項6】
請求項に記載の偏光板組成物が硬化して形成された、偏光板。
【請求項7】
前記偏光板の二色比が20~24である、請求項に記載の偏光板。
【請求項8】
前記偏光板の耐熱性が4%以下である、請求項に記載の偏光板。
【請求項9】
前記偏光板の耐光性が4%以下である、請求項に記載の偏光板。
【請求項10】
請求項に記載の偏光板を備える、光学素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶化合物と混合して偏光板を形成する二色性染料化合物、それを含む偏光板組成物、それから形成された偏光板、及びそれを備える光学素子に関する。
本出願は、2020年12月23日付け出願の韓国特許出願第10-2020-0182531号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイや有機発光ダイオードのような光学素子には、光学活性や複屈折性の制御、または、外光反射防止のために偏光板が適用されている。
【0003】
一般に偏光板としては、延伸配向されたポリビニルアルコールまたはその誘導体で製造された偏光膜基材に偏光物質としてヨウ素を吸着及び配向させた偏光板、若しくは、二色性染料を液晶化合物と混合して形成した偏光板が使用される。
偏光板(偏光素子)としてヨウ素を用いたヨウ素系偏光板は、可視光領域における初期偏光性能は優れるものの、近紫外線領域では偏光性能が非常に低く、水及び熱に弱く、さらに高温及び高湿状態で長時間使用する場合は耐久性に問題が生じる。
【0004】
二色性染料化合物を偏光物質として使用する染料系偏光板は、一般に、ヨウ素系偏光板に比べて高温及び高湿条件でより優れた耐久性を有するため、自動車のダッシュボード、飛行機、液晶プロジェクタなどの高い耐熱性、耐久性が必要な部分に使用されるが、その場合も使用される染料と高分子物質によって耐熱性、耐久性に制限がある。
一方、染料系偏光板の偏光物質として使用されるビスアゾ系染料化合物は、合成工程が煩雑で収率も低いという短所もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の第1課題は、二色性が良好であると共に、耐熱性及び耐光性に優れて染料系偏光板に有用に使用可能なモノアゾ二色性染料化合物を提供することである。
本発明の第2課題は、上述した特性を有する偏光板組成物及びそれから形成された偏光板を提供することである。
本発明の第3課題は、上述した特性を有する偏光板を備える光学素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した技術的課題を解決するため、本発明の第1具現例によれば、下記化学式1で表されるモノアゾ二色性染料化合物が提供される。
【0007】
【化1】
【0008】
化学式1において、
及びRは、それぞれ独立して、炭素数1~20を有する置換または非置換のアリール基、炭素数1~20を有する置換または非置換のヘテロアリール基、及び炭素数1~20を有する置換または非置換のアルキル基からなる群より選択されたいずれか一つ;NROH;NHR;NR;OR;COOR;OCOR;SR10;ハロゲン基;OH;CN;COOH;PO;SO;及びNOからなる群より選択されたいずれか一つの基であって、R~R10は、炭素数1~20を有し、互いに独立して、それぞれ水素原子、アルコキシ基及びアルコキシアルキル基からなる群より選択されたいずれか一つ;ハロゲン原子またはハロゲン原子を含むアルキル基のうちのいずれか一つ;及びアルコキシ基、アルコキシアルキル基、ハロゲン及びアルキル基からなる群より選択されたいずれか一つ以上に置換または非置換の、複素環基またはアリール基のうちのいずれか一つ;からなる群より選択されたいずれか一つであり、
は、独立して、水素;炭素数1~20を有する置換または非置換のアリール基、炭素数1~20を有する置換または非置換のヘテロアリール基、及び炭素数1~20を有する置換または非置換のアルキル基からなる群より選択されたいずれか一つ;NROH;NHR;NR;OR;COOR;OCOR;SR10;ハロゲン基;OH;CN;COOH;PO;SO;及びNOからなる群より選択されたいずれか一つの基であって、R~R10は、炭素数1~20を有し、互いに独立して、それぞれ水素原子、アルコキシ基及びアルコキシアルキル基からなる群より選択されたいずれか一つ;ハロゲン原子またはハロゲン原子を含むアルキル基のうちのいずれか一つ;及びアルコキシ基、アルコキシアルキル基、ハロゲン及びアルキル基からなる群より選択されたいずれか一つ以上に置換または非置換の、複素環基またはアリール基のうちのいずれか一つ;からなる群より選択されたいずれか一つであり、
及びXは、それぞれ独立して、N、S、O及びCからなる群より選択されたいずれか一つであり、
及びYは、それぞれ独立して、C、S、O及びNからなる群より選択されたいずれか一つであり、
Zは、CN、COOR11、インダノン及び1,3-ジオキソインダンからなる群より選択されたいずれか一つであって、R11は、アルキル基、アリール基、及び置換または非置換のヘテロアリール基からなる群より選択されたいずれか一つである。
【0009】
本発明の第2具現例によれば、前記R及びRは、それぞれ独立して、CN、OH、NHR、NR、OR、及びCOORからなる群より選択されたいずれか一つであり得、Rは、独立して、水素;CN、OH、NHR、NR、OR、及びCOORからなる群より選択されたいずれか一つであり得る。より具体的には、前記R及びRは、それぞれ独立して、NHR、NR、OR、及びCOORからなる群より選択されたいずれか一つであり得る。最も具体的には、前記RはNRまたはORであり、RはORまたはCOORであり得る。Rは水素であり得る。
【0010】
本発明の第3具現例によれば、前記第1具現例または第2具現例において、X及びXは、それぞれ独立して、NまたはCから選択されたものであり得る。
【0011】
本発明の第4具現例によれば、前記第1~第3具現例のうちのいずれか一つ以上の具現例において、前記Y及びYは、それぞれ独立して、SまたはOから選択されたものであり得る。
【0012】
本発明の第5具現例によれば、前記第1~第4具現例のうちのいずれか一つ以上の具現例において、Zは、具体的にはCN、インダノン及び1,3-ジオキソインダンからなる群より選択されたものであり得る。より具体的には、前記Zは、CNまたはインダノンであり得る。
【0013】
本発明は、第1~第5具現例のうちのいずれか一つ以上の具現例であるモノアゾ二色性染料化合物が液晶化合物と混合された偏光板組成物、及び該組成物が硬化して形成された偏光板を提供する。このような偏光板の二色比(DO)は20~24であり得、偏光板の耐熱性(Δintensity)は4%以下であり得、偏光板の耐光性(Δintensity)は4%以下であり得る。
また、上記のようにして形成された偏光板を備える光学素子を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の二色性染料化合物は、化学式1で表されるモノアゾタイプの二色性染料化合物であって、二色性が良好であると共に、耐熱性及び耐光性に優れるため、苛酷な条件で製造または使用時にも耐久性が良好である。
また、ビスアゾタイプの二色性染料化合物よりも合成が容易であり、収率が高いという長所がある。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を詳しく説明する。本明細書及び特許請求の範囲において使われた用語や単語は通常的及び辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0016】
本発明のモノアゾ二色性染料化合物は、下記化学式1で表され、一側のみにアゾ基を有するモノアゾ化合物である。
【0017】
【化2】
【0018】
化学式1において、
及びRは、それぞれ独立して、炭素数1~20を有する置換または非置換のアリール基、炭素数1~20を有する置換または非置換のヘテロアリール基、及び炭素数1~20を有する置換または非置換のアルキル基からなる群より選択されたいずれか一つ;NROH;NHR;NR;OR;COOR;OCOR;SR10;ハロゲン基;OH;CN;COOH;PO;SO;及びNOからなる群より選択されたいずれか一つの基であって、R~R10は、炭素数1~20を有し、互いに独立して、それぞれ水素原子、アルコキシ基及びアルコキシアルキル基からなる群より選択されたいずれか一つ;ハロゲン原子またはハロゲン原子を含むアルキル基のうちのいずれか一つ;及びアルコキシ基、アルコキシアルキル基、ハロゲン及びアルキル基からなる群より選択されたいずれか一つ以上に置換または非置換の、複素環基またはアリール基のうちのいずれか一つ;からなる群より選択されたいずれか一つであり、
は、独立して、水素;炭素数1~20を有する置換または非置換のアリール基、炭素数1~20を有する置換または非置換のヘテロアリール基、及び炭素数1~20を有する置換または非置換のアルキル基からなる群より選択されたいずれか一つ;NROH;NHR;NR;OR;COOR;OCOR;SR10;ハロゲン基;OH;CN;COOH;PO;SO;及びNOからなる群より選択されたいずれか一つの基であって、R~R10は、炭素数1~20を有し、互いに独立して、それぞれ水素原子、アルコキシ基及びアルコキシアルキル基からなる群より選択されたいずれか一つ;ハロゲン原子またはハロゲン原子を含むアルキル基のうちのいずれか一つ;及びアルコキシ基、アルコキシアルキル基、ハロゲン及びアルキル基からなる群より選択されたいずれか一つ以上に置換または非置換の、複素環基またはアリール基のうちのいずれか一つ;からなる群より選択されたいずれか一つであり、
及びXは、それぞれ独立して、N、S、O及びCからなる群より選択されたいずれか一つであり、
及びYは、それぞれ独立して、C、S、O及びNからなる群より選択されたいずれか一つであり、
Zは、CN、COOR11、インダノン及び1,3-ジオキソインダンからなる群より選択されたいずれか一つであって、R11は、アルキル基、アリール基、及び置換または非置換のヘテロアリール基からなる群より選択されたいずれか一つである。
【0019】
上述したように、ビスアゾタイプの二色性染料化合物は、合成工程が容易ではないため、収率が非常に低いと知られている。本発明の二色性染料化合物は、モノアゾタイプの化合物であるため、合成工程が比較的に容易であり、収率も改善される。また、モノアゾタイプの化合物でありながらも二色性が良好であり、耐熱性及び耐光性に優れる。
【0020】
[化学式1のR、R及びR
及びRは、それぞれ独立して、炭素数1~20を有する置換または非置換のアリール基、炭素数1~20を有する置換または非置換のヘテロアリール基、及び炭素数1~20を有する置換または非置換のアルキル基からなる群より選択されたいずれか一つ;NROH;NHR;NR;OR;COOR;OCOR;SR10;ハロゲン基;OH;CN;COOH;PO;SO;及びNOからなる群より選択されたいずれか一つの基であって、R~R10は、炭素数1~20を有し、互いに独立して、それぞれ水素原子、アルコキシ基及びアルコキシアルキル基からなる群より選択されたいずれか一つ;ハロゲン原子またはハロゲン原子を含むアルキル基のうちのいずれか一つ;及びアルコキシ基、アルコキシアルキル基、ハロゲン及びアルキル基からなる群より選択されたいずれか一つ以上に置換または非置換の、複素環基またはアリール基のうちのいずれか一つ;からなる群より選択されたいずれか一つである。
【0021】
は、独立して、水素;炭素数1~20を有する置換または非置換のアリール基、炭素数1~20を有する置換または非置換のヘテロアリール基、及び炭素数1~20を有する置換または非置換のアルキル基からなる群より選択されたいずれか一つ;NROH;NHR;NR;OR;COOR;OCOR;SR10;ハロゲン基;OH;CN;COOH;PO;SO;及びNOからなる群より選択されたいずれか一つの基であって、R~R10は、炭素数1~20を有し、互いに独立して、それぞれ水素原子、アルコキシ基及びアルコキシアルキル基からなる群より選択されたいずれか一つ;ハロゲン原子またはハロゲン原子を含むアルキル基のうちのいずれか一つ;及びアルコキシ基、アルコキシアルキル基、ハロゲン及びアルキル基からなる群より選択されたいずれか一つ以上に置換または非置換の、複素環基またはアリール基のうちのいずれか一つ;からなる群より選択されたいずれか一つである。
【0022】
、R及びRの「炭素数1~20を有する置換または非置換のアリール基、炭素数1~20を有する置換または非置換のヘテロアリール基、及び炭素数1~20を有する置換または非置換のアルキル基からなる群より選択されたいずれか一つ」において、用語「置換」とは、アリール基、ヘテロアリール基またはアルキル基が、例えばアルコキシ基、アルコキシアルキル基、ハロゲン及びアルキル基からなる群より選択されたいずれか一つ以上に置換されることを含む意味である。
【0023】
前記R及びRは、それぞれ独立して、CN、OH、NHR、NR、OR、及びCOORからなる群より選択されたいずれか一つであり得、Rは、独立して、水素;CN、OH、NHR、NR、OR、及びCOORからなる群より選択されたいずれか一つであり得る。
【0024】
より具体的には、前記R及びRは、それぞれ独立して、NHR、NR、OR、及びCOORからなる群より選択されたいずれか一つであり得る。
最も具体的には、前記RはNRまたはORであり、RはORまたはCOORであり得、Rは水素であり得る。
【0025】
[化学式1のX及びX
及びXは、それぞれ独立して、N、S、O及びCからなる群より選択されたいずれか一つである。
前記X及びXは、より具体的には、それぞれ独立してNまたはCから選択されたものであり得る。
【0026】
[化学式1のY及びY
及びYは、それぞれ独立して、C、S、O及びNからなる群より選択されたいずれか一つである。
前記Y及びYは、より具体的には、それぞれ独立してSまたはOから選択されたものであり得る。
【0027】
[化学式1のZ]
Zは、CN、COOR11、インダノン及び1,3-ジオキソインダンからなる群より選択されたいずれか一つであって、R11は、アルキル基、アリール基、及び置換または非置換のヘテロアリール基からなる群より選択されたいずれか一つである。これら基のうちの一つで構成されたZは、化学式1のモノアゾ二色性染料化合物の耐熱性向上に寄与する。例えば、R11の炭素数は1~20であり得、具体的には1~15であり得、より具体的には1~10であり得る。
前記Zは、具体的には、CN、インダノン及び1,3-ジオキソインダンからなる群より選択されたものであり得る。より具体的には、前記ZはCNまたはインダノンであり得る。
【0028】
化学式1のモノアゾ二色性染料化合物は、最も具体的には、下記の式で表される化合物のうちのいずれか一つであり得る。
【0029】
【化3】
【化4】
【0030】
上述した化学式1のモノアゾ二色性染料化合物は、公知の有機合成化学の方法を組み合わせることで合成し得る。
【0031】
例えば、Dichroic Dyes for Liquid Crystal Display(A.V.lvashchenko著、CRC社、1994)などのテキストを参照して公知の方法を用いて合成し得る。
【0032】
上述した本発明のモノアゾ二色性染料化合物は、液晶化合物とともに偏光板組成物を構成し、該組成物を硬化して偏光板を形成する。すなわち、本発明のモノアゾ二色性染料化合物と液晶化合物とを組み合わせることで、二色性染料化合物の析出を抑制しながら、二色性染料化合物を高い配向度で配向させることができる。
【0033】
本発明の偏光板組成物に含まれる液晶化合物としては、公知の低分子液晶化合物及び高分子液晶化合物をいずれも用い得る。ここで、「低分子液晶化合物」とは、化学構造中に繰り返して単位を持たない液晶化合物を意味する。また、「高分子液晶化合物」とは、化学構造中に繰り返して単位を持つ液晶化合物を意味する。例えば、二色性染料化合物の配向性を向上させるため、硬化性液晶化合物を使用し得るが、具体的には、4-(3-アクリロイルオキシ-プロポキシ)安息香酸o-トリルエステルなどが挙げられる。
【0034】
本発明の偏光板組成物において、化学式1のモノアゾ二色性染料化合物は、偏光板組成物の固形分総重量に対し、例えば2~40重量%含有され得るが、これに限定されるものではない。
【0035】
偏光膜組成物を配合するとき、必要に応じて、赤色を呈する二色性染料、青色を呈する二色性染料及び緑色を呈する二色性染料の混合物、または、赤色を呈する二色性を発現する構造、青色を呈する二色性を発現する構造及び緑色を呈する二色性を発現する構造を有する二色性染料が添加され得、このような二色性染料の混合物が適用された偏光板は、可視光線領域の光をすべて直線偏光させることができる。また、色補正のため、赤色、緑色及び青色の外の他の色の二色性染料、または、赤色、緑色及び青色の外の他の色を呈する二色性を発現する構造を含む二色性染料が偏光板組成物に配合され得る。赤色、青色、緑色、色補正用二色性染料が使用される場合、これらは物質の吸収波長によって如何なる割合で配合されてもよく、配合割合が限定されることはない。
【0036】
その他の添加剤の例としては、これらに限定されないが、当技術分野に一般に知られている触媒、感応剤、安定化剤、連鎖移動剤、抑制剤、促進剤、表面活性成分、潤滑剤、湿潤剤、分散剤、疎水化剤、接着剤、流動改善剤、気泡形成防止剤、希釈剤、着色剤、染料または顔料などが挙げられ、必要に応じてこれら成分が好適に選択されて配合され得る。
【0037】
偏光板組成物は、また、必要に応じて、例えば硬化剤を1~10重量部、より望ましくは2~7重量部で含み得る。すなわち、偏光板組成物を基材上にコーティングして偏光板を形成するとき、電子線を用いて硬化する場合は、偏光板組成物に別途の硬化剤を配合する必要がないが、コーティング後に光硬化または熱硬化して偏光板組成物を乾燥する必要がある場合は、偏光板組成物に別途の硬化剤を配合する。
【0038】
硬化剤としては、当技術分野で一般に使用されるものが使用可能であり、紫外線を用いた光重合開始剤としては、例えばハロメチルオキサジアゾール化合物及びハロメチル-s-トリアジン化合物から選択される少なくとも一つの活性ハロゲン化合物、3-アリール置換クマリン化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物及びその誘導体、シクロペンタジエン-ベンゼン-鉄錯体及びその塩、及びオキシム系化合物からなる群より選択された一種以上が使用可能である。ハロメチルオキサジアゾール化合物である活性ハロゲン化合物の例としては、2-ハロメチル-5-ビニル-1,3,4-オキサジアゾール化合物、2-トリクロロメチル-5-スチリル-1,3,4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-(p-シアノスチリル)-1,3,4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-(p-メトキシスチリル)-1,3,4-オキサジアゾールなどが挙げられる。ハロメチル-s-トリアジン系化合物である活性ハロゲン化合物の例としては、ビニル-ハロメチル-s-トリアジン化合物、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス-ハロメチル-s-トリアジン化合物、及び4-(p-アミノフェニル)-2,6-ジ-ハロメチル-s-トリアジン化合物などが挙げられる。
【0039】
光重合開始剤としては、Ciba Specialty Chemicals製のイルガキュア(Irgacure、登録商標)シリズ(例えば、イルガキュア651、イルガキュア184、イルガキュア500、イルガキュア1000、イルガキュア149、イルガキュア819、イルガキュア261)、ダロキュア(Darocur、登録商標)シリズ(例えば、ダロキュア1173)、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)-ベンゾフェノン、2-(O-ベンゾイルオキシム)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン、1-(O-アセチルオキシム)-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-4-モルホリノブチロフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾリル二量体、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾリル二量体、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾリル二量体、2-(p-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾリル二量体、2-(p-ジメトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾリル二量体、2-(2,4-ジメトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾリル二量体、2-(p-メチルメルカプトフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾリル二量体、ベンゾインイソプロピルエーテルなどが挙げられる。前記硬化剤は、単独でまたは混合物で使用可能である。
【0040】
偏光板組成物のコーティングのため、好適な溶媒を選択してモノアゾ二色性染料化合物などの各成分を配合し得る。溶媒及び組成物における固形分の含量などは、特に限定されず、本発明の目的に合わせて当業者によって容易に選択されて適用され得る。
【0041】
偏光板を形成するため偏光板組成物をコーティングする基材としては、ガラス板またはプラスチック基材が使用可能である。プラスチック基材としては、特に限定されないが、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂またはポリエステル樹脂からなるものなどが使用可能である。
【0042】
偏光板組成物は、スピンコーティング、ブレードコーティング、キャスティングコーティングまたはロールコーティングなどのように当技術分野で一般に使用される薄膜コーティング方法で基材に塗布し得る。前記偏光板組成物は、最終硬化された偏光板の厚さが0.1ミクロン~10ミクロン、望ましくは0.3ミクロン~7ミクロンになるようにコーティングすることが望ましいが、これに限定されない。偏光板組成物を基材にコーティングしてから硬化するときの硬化方法としては、電子線硬化、熱硬化または紫外線硬化のような公知の硬化方法を用い得るが、特に限定されない。
【0043】
一方、二色性染料を用いて製造された偏光板をLCD(Liquid Crystal Display、液晶ディスプレイ)に使用する場合、コーティングされた二色性染料の配向性が重要視される。したがって、二色性染料の配向性を改善するため、基材自体に配向性を付与するか又は別途の配向膜を形成して配向性を付与した後、前記偏光板組成物を用いた偏光板をコーティングし得る。
【0044】
基材に対する配向性は、ラビング法で基材の表面に凹凸を形成して塗膜を形成している分子に向き付け可能性(orientability)を与えることで得られる。また、基材にアゾ系列の化合物、ポリイミド、ポリアミド、ケイ皮酸エステル、アミド酸などからなる別途の配向膜を形成し、該配向膜にラビング法または光配向法で配向性を付与する方法も用いられ得る。また、非接触式表面処理方法として、偏光板に偏光された紫外線を照射して塗膜に異方性を付与する光配向膜法も用いられ得る。
【0045】
本発明のモノアゾ二色性染料化合物を用いて形成された偏光板の表面には、必要に応じて帯電防止処理、コロナ処理、ハードコーティング処理、反射防止処理、防眩処理などの後処理が施され得る。
【0046】
上述した方法によって得られた偏光板は、二色比が良好であり、耐熱性及び耐光性など高温、高湿状態での耐久性に優れて変色や偏光性能の低下が生じ難いため、自動車のダッシュボード、飛行機、液晶プロジェクタなどの高い耐熱性、耐久性及び偏光性が要求される光学素子に使用可能である。このような偏光板の二色比(DO)は20~24であり得、偏光板の耐熱性(Δintensity)は4%以下であり得、偏光板の耐光性(Δintensity)は4%以下であり得る。前記偏光板の二色比(DO)、偏光板の耐熱性(Δintensity)及び偏光板の耐光性(Δintensity)はそれぞれ、二色比の評価、耐熱性の評価及び耐光性の評価の項目に後述する評価方法によって測定された値を意味する。
【0047】
以下、本発明を具体的な実施例を挙げて詳しく説明する。しかし、本発明による実施例は多くの他の形態に変形され得、本発明の範囲が後述する実施例に限定されると解釈されてはならない。本発明の実施例は当業界で平均的な知識を持つ者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0048】
<化合物構造の確認>
液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)によって化合物の構造を確認した。計測対象の化合物をTHFに溶解して計測した。測定したピークを分析してm/z値を確認する形態で行った。
【0049】
<耐光性の評価>
耐光性は、実施例及び比較例で製作した偏光板をレッドレンサーフラッシュLED LENSER P7R(9408R)を用いて、1000lmで1時間露出させた後、吸光度を測定した。初期吸光度と露出後吸光度との差で耐光性を評価した。
耐光性(ΔIntensity)=[(1000lm、1時間後吸光度)-(初期吸光度)]×100(%)
【0050】
<耐熱性の評価>
耐熱性は、実施例及び比較例で製作した偏光板を80℃の恒温恒湿器で250時間維持した後の吸光度と初期吸光度との差で評価した。
耐熱性(ΔIntensity)=[(250時間後の吸光度)-(初期吸光度)]×100(%)
【0051】
<二色比の評価>
二色比は、光学顕微鏡の光源側に直線偏光子を挿入した状態で実施例及び比較例で製作した偏光板を、マルチチャンネル分光器を用いて550~700nmの波長領域の吸光度を測定し、以下の式で二色比を算出した。
二色比(D0)=Az0/Ay0
上記の式において、Az0は光吸収偏光板の吸収軸方向の偏光に対する吸光度を示し、Ay0は偏光板の偏光軸方向の吸光度を示す。
【0052】
<合成例>
中間体1-1の合成
0℃、窒素雰囲気下でDMF10mlに塩化ホスホリル(phosphoryl trichloride、1.27g、8.3mmol)をゆっくり滴下した後、1時間撹拌した。そこに、チエノ[2,3-d]チアゾール-2-アミン(1g、6.4mmol)を投入し80℃に加温して撹拌することで、反応を進行させた。次いで、常温に温度を下げ、水30mlを入れて反応を終結させた。生成された固体に30mlの1N NaOHを投入し、クロロホルム50mlをさらに投入して溶解させた後、水で2回洗浄し、有機層を分離した後、無水硫酸マグネシウムを入れて撹拌してから濾過し、濾液を減圧蒸留した。濃縮した化合物をクロロホルムと酢酸エチルを用いてシリカカラムを通して精製し、固体中間体1-1(0.91g、77%、MS:[M+H]+=184.0)を製造した。
【0053】
【化5】
【0054】
中間体1-2の合成
0℃で、中間体1-1(1g、5.4mmol)を酢酸3ml、プロピオン酸7mlに投入した後、30分間撹拌した。亜硝酸ナトリウム(0.39g、5.7mmol)を硫酸16mlに溶かした後、ゆっくり滴下し、5℃以下に維持しながら30分間撹拌した。N,N-ジエチルアニリン(1.2g、8.1mmol)をメタノール5mlに溶解してゆっくり滴下した後、2時間撹拌した。このとき、pH5-7に維持されるように2N酢酸ナトリウム水溶液で滴定した。反応完了後に、混合物を水とメタノールで2回濾過し洗浄して固体中間体1-2(1.4g、75%、MS:[M+H]+=345.1)を製造した。
【0055】
【化6】
【0056】
合成例1
中間体1-2(0.5g、1.5mmol)と2-(4-ブトキシフェニル)アセトニトリル(0.33g、1.7mmol)をエタノール10mlに溶かした。この混合物溶液にピペリジン5mol%を添加した後、2時間還流させた。反応混合物の温度を常温に下げた後、生成された固体をクロロホルム20mlと水20mlを用いて3回抽出した。硫酸マグネシウムで水を除去し、溶媒を蒸発させた後、クロロホルムと酢酸エチルを用いてシリカカラムを通して精製し、化合物1(0.45g、60%、MS:[M+H]+=515.3)を製造した。
【0057】
【化7】
【0058】
合成例2
2-(4-ブトキシフェニル)アセトニトリルの代わりに2-(4-(ヘキシルオキシ)フェニル)アセトニトリルを使用したことを除き、合成例1と同様にして化合物2(0.45g、57%、MS:[M+H]+=543.8)を製造した。
【0059】
【化8】
【0060】
合成例3
2-(4-ブトキシフェニル)アセトニトリルの代わりに2-(4-((11-ヒドロキシウンデシル)オキシ)フェニル)アセトニトリルを使用したことを除き、合成例1と同様にして化合物3(1.2g、66%、MS:[M+H]+=629.4)を製造した。
【0061】
【化9】
【0062】
合成例4
合成例3で得られた化合物3(0.5g、0.8mmol)と無水メタクリル酸(0.15g、0.95mmol)をクロロホルム30mlに溶かした。この混合物溶液にBHT10mol%、TEA1.1化学当量、DMAP5mol%を投入した後、常温で5時間撹拌した。塩化アンモニウム水溶液で反応を終結させた後、クロロホルム30ml、水30mlで3回抽出した。硫酸マグネシウムで水を除去し、溶媒を蒸発させた後、クロロホルムと酢酸エチルを用いてシリカカラムを通して精製し、化合物4(0.39g、70%、MS:[M+H]+=697.3)を製造した。
【0063】
【化10】
【0064】
合成例5
2-(4-ブトキシフェニル)アセトニトリルの代わりにエチル4-(シアノメチル)ベンゾエートを使用したことを除き、合成例1と同様にして化合物5(0.38g、51%、MS:[M+H]+=501.9)を製造した。
【0065】
【化11】
【0066】
中間体6-1の合成
中間体1-2(0.5g、1.5mmol)と2-シアノ酢酸(0.15g、1.7mmol)をトルエン20mlに溶かした。この混合物溶液に酢酸5mol%を添加した後、一日間還流させた。反応混合物の温度を常温に下げた後、生成された固体を濾過した後、エタノール50mlで洗浄して中間体6-1(0.29g、81%、MS:[M+H]+=411.2)を製造した。
【0067】
【化12】
【0068】
合成例6
0℃で、中間体6-1(0.5g、5.9mmol)と4-ヘキシルフェノール(1.1g、6.5mmol)をクロロホルム50mlに溶かした。DMAP(0.07g、0.58mmol)、EDC(1.0g、6.4mmol)を添加した後、常温まで昇温させて撹拌した。塩化アンモニウム水溶液で反応を終結させた後、クロロホルム20mlで3回抽出し、硫酸マグネシウムで水を除去して溶媒を除去した後、濃縮した化合物をクロロホルムと酢酸エチルを用いてシリカカラムを通して精製し、化合物6(0.8g、55%、MS:[M+H]+=571.3)を製造した。
【0069】
【化13】
【0070】
合成例7
4-ヘキシルフェノールの代わりにブチル-4-ヒドロキシベンゾエートを使用したことを除き、合成例6と同様にして化合物7(1.2g、66%、MS:[M+H]+=587.7)を製造した。
【0071】
【化14】
【0072】
中間体8-1の合成
N,N-ジエチルアニリンの代わりに1-ヘキシルインドリンを使用したことを除き、中間体1-2の合成法と同様にして中間体8-1(1.5g、69%、MS:[M+H]+=399.0)を製造した。
【0073】
【化15】
【0074】
合成例8
2-(4-ブトキシフェニル)アセトニトリルの代わりに2-(4-(ヘキシルオキシ)フェニル)アセトニトリルを使用し、中間体1-2の代わりに中間体8-1を使用したことを除き、合成例1と同様にして化合物8(0.42g、56%、MS:[M+H]+=547.3)を製造した。
【0075】
【化16】
【0076】
中間体9-1の合成
中間体1-2の代わりに中間体8-1を使用したことを除き、中間体6-1合成法と同様にして中間体9-1(0.37g、63%、MS:[M+H]+=466.0)を製造した。
【0077】
【化17】
【0078】
合成例9
中間体6-1の代わりに中間体9-1を使用したことを除き、合成例7と同様にして化合物9(0.28g、53%、MS:[M+H]+=642.1)を製造した。
【0079】
【化18】
【0080】
合成例10
中間体6-1の代わりに中間体9-1を使用したことを除き、合成例6と同様にして化合物10(0.33g、49%、MS:[M+H]+=625.3)を製造した。
【0081】
【化19】
【0082】
合成例11
4-ブチルアニリン(2g、13.4mmol)を塩酸10mlに添加し、亜硝酸ナトリウム(1.017g、14.7mmol)水溶液5mlを滴下して30分間撹拌した。その後、スルファミン酸0.08gを入れてさらに30分間撹拌した。チエノ[2,3-d]チアゾール-2-アミン(0.3g、6.7mmol)をメタノール10mlに溶かした後、ゆっくり滴下し、2時間撹拌した。反応が終結した後、メタノール30ml、水30mlで洗浄し濾過して中間体A-1を製造した。中間体1-1の代わりにA-1を使用したことを除き、中間体1-2の合成法と同様にして固体化合物A(0.28g、37%、MS:[M+H]+=476.2)を製造した。
【0083】
【化20】
【0084】
合成例12
2-アミノ-4-クロロチアゾール-5-カルボアルデヒド(2g、12.3mmol)を硫酸10mlに添加し、亜硝酸ナトリウム(1.018g、14.8mmol)の硫酸水溶液5mlを滴下して30分間撹拌した。その後、スルファミン酸0.08gを入れてさらに30分間撹拌した。N,N-ジエチルアニリン(1.1g、7.4mmol)をメタノール10mlに溶かした後、ゆっくり滴下し、2時間撹拌した。反応が終結した後、メタノール30ml、水30mlで洗浄し濾過して中間体B-1を製造した。次いで、中間体1-2の代わりにB-1を使用したことを除き、合成例2の合成法と同様にして固体化合物B(1.33g、83%、MS:[M+H]+=521.2)を製造した。
【0085】
【化21】
【0086】
<偏光板の製造>
製造例1
COP(シクロオレフィンポリマー)フィルムに2重量%の配向層形成溶液(感光性官能基としてメトキシケイ皮酸(MPN-Ci)を側鎖に持っているポリアクリレート2重量%をシクロペンタノン(CPO)98%に溶かして使用)を1000rpmで10秒間スピンコーティングした後、80℃で2分間乾燥し、UVB250mJで硬化させた。下記の表1に記載された成分及び含量比に従って合成例1の二色性染料などを混合した組成物を常温でシクロペンタノンに溶解して固形分26重量%の偏光板組成物溶液を製造した。反応性液晶自体に硬化剤5重量%が含まれているため、組成物には別途の硬化剤を添加しなかった。
【0087】
【表1】
【0088】
前記偏光板組成物を光配向処理された配向層の上部に1000rpmで30秒間スピンコーティングした。その後、スピンコーティングされた偏光膜形成組成物を120℃で2分間乾燥した。液晶及び染料成分の光架橋結合のため、コーティング層をNガス下でUVBランプによって250mJで硬化させた。硬化された偏光板膜の厚さは0.9μmであった。
【0089】
製造例2
合成例1の化合物1の代わりに合成例2で合成した化合物2を用いたことを除き、製造例1と同様の方法で偏光板膜を製作した。
【0090】
製造例3
合成例1の化合物1の代わりに合成例3で合成した化合物3を用いたことを除き、製造例1と同様の方法で偏光板膜を製作した。
【0091】
製造例4
合成例1の化合物1の代わりに合成例4で合成した化合物4を用いたことを除き、製造例1と同様の方法で偏光板膜を製作した。
【0092】
製造例5
合成例1の化合物1の代わりに合成例5で合成した化合物5を用いたことを除き、製造例1と同様の方法で偏光板膜を製作した。
【0093】
製造例6
合成例1の化合物1の代わりに合成例6で合成した化合物6を用いたことを除き、製造例1と同様の方法で偏光板膜を製作した。
【0094】
製造例7
合成例1の化合物1の代わりに合成例7で合成した化合物7を用いたことを除き、製造例1と同様の方法で偏光板膜を製作した。
【0095】
製造例8
合成例1の化合物1の代わりに合成例8で合成した化合物8を用いたことを除き、製造例1と同様の方法で偏光板膜を製作した。
【0096】
製造例9
合成例1の化合物1の代わりに合成例9で合成した化合物9を用いたことを除き、製造例1と同様の方法で偏光板膜を製作した。
【0097】
製造例10
合成例1の化合物1の代わりに合成例10で合成した化合物10を用いたことを除き、製造例1と同様の方法で偏光板膜を製作した。
【0098】
比較例1
合成例1の化合物1の代わりに合成例11で合成した化合物Aを用いたことを除き、製造例1と同様の方法で偏光板膜を製作した。
【0099】
比較例2
合成例1の化合物1の代わりに合成例12で合成した化合物Bを用いたことを除き、製造例1と同様の方法で偏光板膜を製作した。
上記のように製造された偏光板に対し、二色比、耐熱性及び耐光性を評価して下記の表2に示した。
【0100】
【表2】
【0101】
表2から、本発明による製造例の偏光板は、比較例よりも二色比が向上することが確認できる。また、耐光性及び耐熱性も良好であることが分かる。