(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】発光装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/54 20100101AFI20240410BHJP
G02B 3/08 20060101ALN20240410BHJP
【FI】
H01L33/54
G02B3/08
(21)【出願番号】P 2022051787
(22)【出願日】2022-03-28
【審査請求日】2023-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100138863
【氏名又は名称】言上 惠一
(72)【発明者】
【氏名】志村 正二郎
(72)【発明者】
【氏名】大村 和佳
【審査官】皆藤 彰吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-191712(JP,A)
【文献】特開2002-346995(JP,A)
【文献】特開2009-226457(JP,A)
【文献】特開2017-201684(JP,A)
【文献】特開2003-089538(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0366903(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0087505(KR,A)
【文献】国際公開第2021/161367(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/54
G02B 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子が配置された少なくとも1つの基板部と、前記基板部と連続する枠部とを含む集合基板を準備する集合基板準備工程と、
前記集合基板における前記基板部の外周ラインに沿ってレーザ光を走査して照射し、前記基板部を前記集合基板から分離する第1照射工程と、
前記第1照射工程の後、分離された前記基板部と前記枠部との間において、前記外周ラインに沿って前記レーザ光を走査して照射し、前記基板部の外周側面に表面加工を施す第2照射工程と、を含む、発光装置の製造方法。
【請求項2】
前記集合基板は前記枠部を介して互いに離隔して配置される複数の前記基板部を含み、
前記第2照射工程は、前記複数の基板部に対する前記第1照射工程が終了した後に実施される、請求項1に記載の発光装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1照射工程及び/又は前記第2照射工程は、前記レーザ光を前記外周ラインに沿って1周走査して照射する1サイクル照射を複数回含む、請求項1又は2に記載の発光装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1照射工程は、
前記1サイクル照射を少なくとも1回含み、前記集合基板における前記外周ラインに沿って溝部を形成する仮分離工程と、
前記1サイクル照射を少なくとも1回含み、前記集合基板から前記基板部を分離する分離工程と、を含む、請求項3に記載の発光装置の製造方法。
【請求項5】
前記第2照射工程の後、前記基板部における前記発光素子の上方にレンズ部材を配置するレンズ部材配置工程をさらに含み、
前記レンズ部材配置工程において、前記基板部の前記外周側面と前記レンズ部材とが接着部材を介して接着される、請求項1から4のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項6】
前記集合基板準備工程において、
前記集合基板は、1つの前記基板部及び該基板部に連続する前記枠部を含む矩形の単位領域を複数含み、
複数の前記単位領域は、n行m列(n≧2,m≧2)のマトリクス状に配列されている、請求項1から5のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項7】
前記第1照射工程及び/又は前記第2照射工程において、
前記集合基板は、前記基板部の下方に配置される基板部支持部と、前記枠部の下方に配置される枠部支持部と、を含む集合基板支持部材によって支持されている、請求項6に記載の発光装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1照射工程及び/又は前記第2照射工程において、
前記集合基板支持部材における前記枠部支持部は、列方向に隣接する複数の前記単位領域に跨がって、該単位領域それぞれの前記枠部を支持する第1支持部材を少なくとも1つ含む、請求項7に記載の発光装置の製造方法。
【請求項9】
前記枠部支持部は、さらに、行方向に隣接する複数の前記単位領域に跨がって、該単位領域それぞれの前記枠部を支持する第2支持部を少なくとも1つ含む、請求項8に記載の発光装置の製造方法。
【請求項10】
第1照射工程及び/又は第2照射工程において、
前記集合基板における前記枠部支持部は、行方向に隣接する2つの前記単位領域それぞれの1つの角部と、該2つの前記単位領域それぞれと列方向に隣接し、かつ互いに隣接する他の2つの前記単位領域それぞれの1つの角部と、を一括して支持する第1柱状部を含む、請求項7に記載の発光装置の製造方法。
【請求項11】
前記第1照射工程及び/又は前記第2照射工程において、
前記集合基板は、前記外周ラインを露出させ、前記枠部の上面を固定する押さえ治具によって固定されている、請求項6から10のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項12】
前記第1照射工程及び/又は前記第2照射工程において、
前記押さえ治具は、列方向に隣接する複数の前記単位領域に跨がって、該単位領域それぞれの前記枠部を支持する第3支持部を少なくとも1つ含む、請求項11に記載の発光装置の製造方法。
【請求項13】
前記押さえ治具は、さらに、行方向に隣接する複数の前記単位領域に跨がって、該単位領域それぞれの前記枠部を一括して支持する第4支持部を少なくとも1つ含む、請求項12に記載の発光装置の製造方法。
【請求項14】
前記第1照射工程及び/又は前記第2照射工程において、
前記押さえ治具は、行方向に隣接する2の前記単位領域それぞれの1つの角部と、該2つの前記単位領域それぞれと列方向に隣接し、かつ互いに隣接する他の2つの前記単位領域それぞれの1つの角部と、を一括して支持する第2柱状部を含む、請求項11に記載の発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子が配置された基板にレンズが接着された発光装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような発光装置においては、さらに歩留まりを向上させることが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の実施形態に係る発光装置の製造方法は、歩留まりが向上できる発光装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施形態に係る発光装置の製造方法は、発光素子が配置された少なくとも1つの基板部と、基板部と連続する枠部とを含む集合基板を準備する集合基板準備工程と、集合基板における基板部の外周ラインに沿ってレーザ光を走査して照射し、基板部を集合基板から分離する第1照射工程と、第1照射工程の後、分離された基板部と枠部との間において、外周ラインに沿ってレーザ光を走査して照射し、基板部の外周側面に表面加工を施す第2照射工程と、を含む。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一実施形態に係る発光装置の製造方法は、歩留まりが向上できる発光装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の実施形態に係る発光装置の概略上面図である。
【
図2】
図1の発光装置のA1-A1線断面を示す図である。
【
図3】
図1の発光装置の製造方法を示すブロック図である。
【
図4A】
図1の発光装置の製造方法の一工程を示す概略上面図である。
【
図4B】
図1の発光装置の製造方法の一工程を示す概略上面図である。
【
図4D】
図1の発光装置の製造方法における集合基板支持部材を示す概略上面図である。
【
図4E】
図1の発光装置の製造方法における押さえ治具を示す概略上面図である。
【
図4F】
図1の発光装置の製造方法の一工程を示す概略断面図である。
【
図4G】
図1の発光装置の製造方法の一工程を示す概略断面図である。
【
図4H】
図1の発光装置の製造方法の一工程を示す概略断面図である。
【
図5A】集合基板支持部材の他の形態を示す概略上面図である。
【
図5B】集合基板支持部材の他の形態を示す概略上面図である。
【
図5C】集合基板支持部材の他の形態を示す概略上面図である。
【
図6A】押さえ治具の他の形態を示す概略上面図である。
【
図6B】押さえ治具の他の形態を示す概略上面図である。
【
図6C】押さえ治具の他の形態を示す概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、本開示に係る発明を実施するための実施形態を説明する。なお、以下に説明する、本開示に係る発光装置の製造方法は、本開示に係る発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本開示に係る発明を以下のものに限定しない。
各図面中、同一の機能を有する部材には、同一符号を付している場合がある。要点の説明または理解の容易性を考慮して、便宜上実施形態を分けて示す場合があるが、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換または組み合わせは可能である。後述の実施形態では、前述と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については、実施形態ごとには逐次言及しないものとする。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張して示している場合もある。断面図として、切断面のみを示す端面図を用いる場合がある。
【0009】
(発光装置)
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る発光装置の製造方法によって製造される発光装置1は、基板2と、基板2の上面に配置された発光素子13aと、発光素子13aを覆うように基板2上に配置されるレンズ部材5と、を含む。
【0010】
(基板)
基板2は、発光素子13aが配置される部材である。基板2は、基体3と、配線4と、を含む。
基板2は、上面3aと、下面3bと、上面3a及び下面3bを接続する側面3cと、を有する。基板2は、例えば、平板状の部材である。基板2は、上面視において、レンズ部材5に内包されている。
配線4は、
図2に示すように、基板2の上面3a及び下面3bに配置されている。配線4は、基板2の上面3aに配置される第1配線4aと、基板2の下面3bに配置される第2配線4bとを含む。第1配線4aと第2配線4bとは、ビア等の内層配線を介して電気的に接続されている。第1配線4aには、発光素子13aが電気的に接続される。第2配線4bは、発光装置1の外部電極として機能する。
基体3としては、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等のセラミック基板、アルミニウム、銅等の金属基板、ガラスエポキシ等の樹脂基板等を挙げることができる。また、配線4は、発光素子13aに電力を供給する配線であり、基体3の上面に所定形状にパターニングされている。配線4は、金属材料を用いることができ、例えば、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、ロジウム(Rh)、銅(Cu)、チタン(Ti)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、タングステン(W)等の単体金属またはこれらの金属を含む合金を好適に用いることができる。さらに好ましくは、光反射性に優れた銀(Ag)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、ロジウム(Rh)等の単体金属またはこれらの金属を含む合金を用いることができる。
【0011】
(光源)
発光装置1において、発光素子13aは光源13として基板2上に配置されている。光源13は、少なくとも1つの発光素子13aを含む。ここでは、光源13は、発光素子13aと、発光素子13aの側面を被覆する被覆部材15と、発光素子13aの上面に配置される透光性部材14とを備える。透光性部材14の上面は光源13の発光面として、被覆部材15から露出している。光源13は一例として略直方体形状であり、上面に発光面を備え、下面に正負の電極13bを備える。光源13は、はんだ、バンプ等の当該分野で公知の接合部材12を介して基板2上に配置されている。ここでは、2つの光源13が、側面同士を対向させて基板2上に配置されている。
【0012】
(発光素子)
発光素子13aは、例えばサファイア等の透光性の支持基板と半導体層とを備える。半導体層は、例えば、支持基板側から順に、n側半導体層と活性層とp側半導体層とを備えている。紫外光や、青色光から緑色光の可視光を発光可能な発光素子13aとしては、例えば、窒化物半導体であるInXAlYGa1-X-YN(0≦X≦1、0≦Y≦1、X+Y<1)等で表されるGaN系やInGaN系を用いることができる。なお、発光素子13aの平面視形状は、例えば矩形形状であるが、円形、楕円形、三角形、六角形等の多角形であってもよい。発光素子13aは、同一面側に正負の電極を有するものが好ましく、これにより、基板2にフリップチップ実装することができる。
【0013】
(透光性部材)
透光性部材14は、平面視形状が略矩形形状の板状の部材であり、発光素子13aの上面を覆うように発光素子13a上に配置されている。透光性部材14は、透光性の樹脂や、セラミックス、ガラス等の無機物を用いることができる。樹脂としては、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂を用いることができる。また、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、メチルペンテン樹脂、ポリノルボルネン樹脂などの熱可塑性樹脂を用いることができる。なかでも、耐光性、耐熱性に優れるシリコーン樹脂又はその変性樹脂を好適に用いることができる。なお、ここでの透光性とは、発光素子13aからの光の60%以上を透過し得る性質を指す。さらに、透光性部材14は、光拡散部材や、発光素子13aからの光の少なくとも一部を波長変換する蛍光体を含有してもよい。蛍光体を含有する透光性部材14としては、上述した樹脂材料、セラミックス、ガラス等に蛍光体を含有させたものや、蛍光体の焼結体等が挙げられる。
【0014】
蛍光体としては、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Y3(Al,Ga)5O12:Ce)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Lu3(Al,Ga)5O12:Ce)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Tb3(Al,Ga)5O12:Ce)、CCA系蛍光体(例えば、Ca10(PO4)6Cl2:Eu)、SAE系蛍光体(例えば、Sr4Al14O25:Eu)、クロロシリケート系蛍光体(例えば、Ca8MgSi4O16Cl2:Eu)、βサイアロン系蛍光体(例えば、(Si,Al)3(O,N)4:Eu)若しくはαサイアロン系蛍光体(例えば、Ca(Si,Al)12(O,N)16:Eu)等の酸窒化物系蛍光体、SLA系蛍光体(例えば、SrLiAl3N4:Eu)、CASN系蛍光体(例えば、CaAlSiN3:Eu)、SCASN系蛍光体(例えば、(Sr,Ca)AlSiN3:Eu)若しくはBSESN系蛍光体((Ba,Sr)2Si5N8)等の窒化物系蛍光体、KSF系蛍光体(例えば、K2SiF6:Mn)、KSAF系蛍光体(例えば、K2Si0.99Al0.01F5.99:Mn)若しくはMGF系蛍光体(例えば、3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn)等のフッ化物系蛍光体、ペロブスカイト構造を有する蛍光体(例えば、CsPb(F,Cl,Br,I)3)、又は、量子ドット蛍光体(例えば、CdSe、InP、AgInS2、AgInSe2、AgInGaS2又はCuAgInS2)等を用いることができる。
【0015】
例えば、発光素子13aとして青色発光素子を用い、透光性部材14が黄色蛍光体を含むことにより白色光を発光する光源13とすることができる。
透光性部材14に含まれる光拡散部材としては、例えば、酸化チタン、チタン酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素などを用いることができる。
透光性部材14は、蛍光体を含む透光層及び/又は光拡散部材を含む透光層を含む積層構造であってもよい。
【0016】
(被覆部材)
被覆部材15は、発光素子13aの側面を保護する部材であり、発光素子13aの側面を直接的に又は間接的に被覆する。被覆部材15はさらに透光性部材14の側面を被覆していてもよい。透光性部材14の上面は、被覆部材15から露出し、光源13の発光面(つまり主たる光取り出し面)を構成する。光取り出し効率の観点から、被覆部材15は、高い光反射性を有することが好ましい。被覆部材15は、例えば光反射性物質を含有する樹脂を用いることができる。光反射性物質としては、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、チタン酸カリウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、ムライト等が挙げられる。樹脂としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂を主成分とする樹脂を母材とすることが好ましい。なお、被覆部材15は、必要に応じて、可視光に対して透光性を有する部材で構成することもできる。また、被覆部材15は、必要に応じて、光反射性物質のほかに、カーボン等の光吸収性物質や、顔料、上述した蛍光体を含有することができる。
【0017】
(電子部品)
図1に示すように、発光装置1は、発光素子13aのほかに、電子部品11を含んでいてもよい。電子部品11は、例えば、受光素子、保護素子、コンデンサ、サーミスタ等である。電子部品11はそれぞれ、複数設けられていてもよい。電子部品11は、発光素子13aと同様に、基板2の配線4上に配置することができる。
【0018】
(レンズ部材)
レンズ部材5は、光源13から出射された光を所定の方向に出射させるための部材である。レンズ部材5は、主に光源13から出射された光が透過する光学機能部6と、光学機能部6を取り囲み、光学機能部6を支持する支持部7と、を含む。支持部7は、樹脂等の接着部材を介して基板2に固定される。接着部材としては、透光性の樹脂を用いることが好ましく、例えばシリコーン樹脂を好適に用いることができる。
【0019】
光学機能部6は、例えば、上面視形状が円形のレンズである。光学機能部6は、
図1に示すように、上面視において、少なくとも光源13と重なる位置に配置される。光学機能部6は、ここでは、一例としてフレネルレンズを使用している。フレネルレンズは、凹凸が配置された下面を光源13側に向けて、光源13から出射される光を入射させて、平坦な上面から出射させるように配置されている。光学機能部6としてフレネルレンズを用いることで、光学機能部6の厚みを薄くすることができる。これにより、発光装置1を小型化することができる。また、光学機能部6を薄くすることで、光学機能部6と光源13との間に空気層を配置し易くなる。空気層を配置することで、光源13からの光の広がりを調節することができる。なお、光学機能部6は、光源13の数に応じて複数のレンズ部を有していてもよい。一例として、光学機能部6は、光源13を2つ備える場合には、フレネルレンズで構成される2つのレンズを備える複眼レンズである。
【0020】
図2に示すように、支持部7は、光学機能部6と連続している。レンズ部材5は、光学機能部6と支持部7とがそれぞれ別体でもよいが、光学機能部6と支持部7とが一体であることが好ましい。これにより、光学機能部6と光源13との位置決めを精度よく行うことができる。
支持部7は、基板2に接合される。支持部7は、少なくとも基板2の上面3aの外周及び側面3cと接着部材を介して接合される。
支持部7は、光学機能部6の外縁から側方に延在して光学機能部6を囲むように配置されている。ここでは、光学機能部6の上面は平面であり、支持部7の上面は、光学機能部6と同じ高さになるように配置されている。
支持部7は、下面7a側に、下面7aに連なる段差部8を有する。段差部8は、基板2の上面の外周及び側面3cに嵌合するような形状の凹部である。段差部8には、基板2の上面3aの外周及び側面3cが配置され、段差部8と基板2の上面の外周及び側面3cとが接着部材を介して接合される。これにより、レンズ部材5と基板2とが固定される。
【0021】
2.製造方法
本実施形態に係る発光装置の製造方法は、
図3に示すように、
(1)発光素子13aが配置された少なくとも1つの基板部21と、基板部21と連続する枠部22とを含む集合基板20を準備する集合基板準備工程S1と、
(2)集合基板20における基板部21の外周ラインC1に沿ってレーザ光LZを走査して照射し、基板部21を集合基板20から分離する第1照射工程S2と、
(3)第1照射工程の後、分離された基板部21と枠部22との間において、基板部21の外周ラインC1に沿ってレーザ光LZを走査して照射し、基板部21の外周側面に表面加工を施す第2照射工程S3と、を含む。
【0022】
さらに、本実施形態に係る発光装置の製造方法は、
(4)第2照射工程の後、基板部21における発光素子13aの上方にレンズ部材5を配置するレンズ部材配置工程S4と、
を含んでいてもよい。
【0023】
さらに第1照射工程S2は、
(2-1)1サイクル照射を少なくとも1回含み、集合基板20における基板部21の外周ラインC1に沿って溝部50を形成する仮分離工程S2-1と、
(2-2)1サイクル照射を少なくとも1回含み、集合基板20から基板部21を分離する分離工程S2-2と、
を含んでいてもよい。
以下、
図4Aから
図4Hを参照して各工程について詳細に説明する。
【0024】
(1)集合基板準備工程S1
図4Aは、集合基板準備工程S1において準備する集合基板20の上面図である。
図4Aに示すように、集合基板20は、複数の基板部21と、枠部22とを含む。基板部21は、集合基板20において、製造後の発光装置1の基板2に相当する部分である。複数の基板部21は、枠部22を介して互いに離隔して配置される。基板部21は、後の第1照射工程S2において集合基板20から分離される。すなわち、
図4Aに示す工程において基板部21は集合基板20の一部であり、基板部21と枠部22とは連続している。
【0025】
図4Aに示す一点鎖線は、基板部21の外周ラインC1である。外周ラインC1とは、分離後の基板部21(つまり発光装置1の基板2)の外周として設定されるラインである。第1照射工程S2及び第2照射工程S3において、レーザ光LZは外周ラインC1に沿って照射されるように設定される。
図4Aと同様に、
図4B、
図4C及び
図4Fにおいても、基板部21が分離されていない状態の集合基板20における外周ラインC1を一点鎖線で示す。また、
図4Bにおいて、基板部21が分離されている状態の集合基板20における外周ラインC1を実線で示す。
【0026】
上述したように集合基板20における基板部21は、発光装置1の基板2に相当する部分である。一例では、
図4Aに示すように、上面視における基板部21の外周ラインC1の形状は、円形形状である。しかしながら、基板部21の外周ラインC1の形状は、製造する発光装置の形状に応じて適宜変更することができる。また、基板部21には、上述した発光装置1を構成する光源13及び電子部品11等が配置されている。なお、
図4Aから
図4Gにおいて図の理解を容易にするために、光源13及び電子部品11等は、これらが配置される領域を簡略化して矩形形状で示す。
【0027】
枠部22は、集合基板20における、互いに離隔する複数の基板部21間の領域である。枠部22は、基板部21と同様の部材で構成される。以下では、説明の便宜のために、1つの基板部21と、枠部22における該1つの基板部21を取り囲む領域を単位領域23と呼ぶ。
【0028】
集合基板20は、
図4Aに示すように、1つの基板部21及び該基板部21に連続する枠部22を含む単位領域23を複数含む。複数の単位領域23は、例えば、n行m列(nは2以上の整数、mは2以上の整数)のマトリクス状に配列されている。単位領域23は、例えば、上面視において矩形形状である。集合基板20における各単位領域の境界は、隣接する基板部21間の略中心を通る仮想線として設定することができる。
図4Aから
図4C、及び
図4Fにおいて、単位領域23の境界を二点鎖線で示す。
【0029】
集合基板20は、基板2と同様の部材で構成される。集合基板20の厚さt(
図4C及び
図4Fにおける上面20aと下面20bとの間の距離)は、例えば、0.15mm以上0.25mm以下である。
【0030】
上記の集合基板準備工程S1では、各基板部21に光源13及び電子部品11等が配置されている集合基板20を準備している。しかしながら、集合基板準備工程は、各基板部21に光源13及び電子部品11が配置されていない集合基板20を準備する工程と、集合基板20の各基板部21に光源13及び電子部品等を配置する工程と、を含んでいてもよい。なお、集合基板は、購入等により準備してもよい。
【0031】
(2)第1照射工程S2
図4Bは、集合基板支持部材30上に集合基板20を配置し、集合基板20上に押さえ治具40を配置した状態の上面図である。
図4Cは、
図4BのA2-A2線断面の一部である。
図4B及び
図4Cに示すように、第1照射工程S2では、集合基板20における基板部21の外周ラインC1に沿ってレーザ光LZを走査して照射し、基板部21を集合基板20から分離する。レーザ光LZは、基板部21の外周ラインに沿って、基板部21の上面に垂直に照射されることが好ましい。
【0032】
レーザ光LZは、例えば、パルスレーザ光である。パルスレーザ光のパルス幅Pは、例えば、15ピコ秒以上90ナノ秒以下が挙げられ、5ナノ秒以上75ナノ秒以下が好ましい。パルスレーザ光の周波数Fは、例えば、300kHz以上500kHz以下が挙げられる。パルスレーザ光の強度は、例えば、4W以上10W以下が挙げられる。
【0033】
第1照射工程S2は、レーザ光LZを基板部21の外周ラインC1に沿って1周走査して照射する1サイクル照射を複数回含む。1サイクル照射は、外周ラインC1に沿ってレーザ光LZが外周ラインC1の周囲を1周照射することともいえる。
【0034】
1サイクル照射を実施する回数は、例えば、集合基板20から基板部21を分離することができる回数(所定の回数)V2に設定される。所定の回数V2は、集合基板の材料や、上述した各照射条件にもよるが、例えば10回以上40回以下である。
【0035】
第1照射工程S2により、基板部が集合基板20から分離される幅(つまりレーザ光LZにより基板部21の外周が除去される幅であり、基板部21分離後の基板部21の外周と、基板部21が分離された集合基板20の内周との距離)は例えば0.02mm以上0.03mmが挙げられる。これにより、後述する第2照射工程S3における、基板部外周側面の表面加工のためのレーザ光LZの照射を好適に行うことができる。
【0036】
図4B及び
図4Cに示すように、第1照射工程S2において、集合基板20は下面20b側が集合基板支持部材30により支持されている。具体的には、集合基板20は、基板部21の下方に配置される基板部支持部31と、枠部22の下方に配置される枠部支持部32と、を含む集合基板支持部材30によって支持される。集合基板支持部材30は、基板部支持部31の下部及び枠部支持部32の下部に連なる土台部34を含んでいてもよい。例えば、基板部支持部31及び枠部支持部32は、それぞれ平板状の土台部に配置された凸部である。
さらに、集合基板20は、第1照射工程S2において、上面20a側が押さえ治具40によって固定されていることが好ましい。押さえ治具40は、基板部21の外周ラインC1及び外周ラインC1に沿った枠部22の上面の一部領域(つまりレーザ光LZが照射される領域)を露出させ、枠部22の上面22aを固定する。
【0037】
(集合基板支持部材)
図4Dは、集合基板支持部材30の概略上面図である。
図4C及び
図4Dに示すように、集合基板支持部材30は基板部支持部31と枠部支持部32とを含む。基板部支持部31と枠部支持部32とは、
図4Cに示すように、上部が互いに離隔しており、下部が土台部34を介して互いに接続している。ただし、この場合、土台部34がレーザ光LZの照射の影響を受けないように、レーザ光LZの強度等に基づいて基板部支持部31及び枠部支持部32の高さが適宜決定される。例えば、基板部支持部31及び枠部支持部32の高さ(つまりレーザ光LZ照射時に土台部34の上面と集合基板20の下面20bとが離隔する距離)は、それぞれ同じ高さであり、例えば、5mm~50mmが挙げられる。これにより、土台部34における、レーザ光LZの照射に起因するデブリの発生を抑制することができる。
ここで、土台部34は、上面にガラス層等のレーザ光を透過する透光層を備えていてもよい。これにより、仮に土台部34にレーザ光LZが到達して土台部34からレーザ光LZに起因するデブリが発生するとしても、透光層によりデブリの飛散を抑えることができる。
【0038】
(基板部支持部)
1つの基板部21は、少なくとも1つの基板部支持部31により支持される。基板部支持部31は、基板部21を下方から支持する。基板部支持部31は、
図4Dに示すように、例えばn行m列に配列される。基板部支持部31は、例えば、柱状の部材である。基板部支持部31は、例えば、円柱形状の部材である。1つの基板部支持部31及び1つの基板部21は、
図4Bに示すように、上面視形状がともに円形であり、1つの基板部21の平面積は1つの基板部支持部31の平面積より大きい。そして、1つの基板部支持部31は、
図4Bに示すように、上面視において、1つの基板部21の外縁に内包される位置で基板部21を支持するように配置される。
【0039】
(枠部支持部)
枠部支持部32は、例えば、円柱形状の複数の第1柱状部33を含む。複数の第1柱状部33は、集合基板20の枠部22を下方から支持する。枠部支持部32は、枠部22の下面であって、基板部21の下面の外周から少なくとも0.15mm離隔した枠部22の下面に接するように配置される。複数の第1柱状部33は、例えば、各基板部支持部31の周囲に規則的に配置されている。複数の第1柱状部33は、
図4Dに示すように、例えば、(n+1)行(m+1)列に配列されている。この場合、上面視において、k行l列(1≦k≦n,1≦l≦m)の基板部支持部31は、k行l列の第1柱状部33と、k行(l+1)列の第1柱状部33と、(k+1)行l列の第1柱状部33と、(k+1)行(l+1)列の第1柱状部33と、を頂点とする矩形の内側に位置する。
【0040】
また、1つの第1柱状部33は、行方向Xに隣接する単位領域23に跨ってそれぞれの枠部を支持することができる。具体的には、
図4Bに示すように、外周に位置する第1柱状部33を除く第1柱状部33は、行方向Xに隣接する2つの単位領域23それぞれの1つの角部24と、該2つの単位領域23それぞれと列方向Yに隣接し、かつ互いに隣接する他の2つの単位領域23それぞれの1つの角部24と、を一括して支持することができる。これにより、集合基板支持部材30が備える第1柱状部33の数を抑制しながら、各単位領域23を複数の第1柱状部33で安定して支持することができる。
【0041】
上記のように、第1照射工程において、集合基板20が、基板部21を支持する基板部支持部31と枠部を支持する枠部支持部32とを備える集合基板支持部材30によって支持されていることが好ましい。これにより、分離後の基板部と枠部とを同じ高さで支持し続けることができる。第1照射工程において、集合基板支持部材が枠部支持部32を備えない場合、基板部が分離された後の枠部は、例えば落下する。このとき、落下する枠部にレーザ光が照射されるとデブリが発生し、デブリの飛散により、基板部21の下面が汚染される虞がある。
しかしながら、上記の集合基板支持部材30は基板部支持部31に加え枠部支持部32を含む。そのため、枠部22は、基板部21と分離されても落下せず、基板部21と分離される前の位置に留まる。これにより、基板部21と枠部とが分離した後、枠部22にレーザ光LZが照射されることによるデブリの発生が抑制される。これにより、該デブリによって基板部21の下面が汚染されるという上記の問題を解決できる。
なお、上述した集合基板支持部材30において、基板部支持部31及び/又は枠部支持部32は、基板部21及び/又は枠部22を固定するための吸引部を備えていてもよい。これにより、レーザ照射時の集合基板20の反りを抑制することができるため、各単位領域におけるレーザ光の入射角のバラツキを抑制することができる。また、分離後の基板部21及び枠部22をそれぞれ分離前と同じ位置で固定することができる。
【0042】
(押さえ治具)
押さえ治具40は、集合基板20を上方から固定するための部材である。
図4Bに示すように、押さえ治具40は、上面視において、少なくとも複数の基板部21の外周ラインC1及び枠部22の外周ラインC1に沿った領域(つまりレーザ光LZが照射される領域)を露出させて配置される。また、押さえ治具40は、上面視において、複数の基板部21の上面21a全てを露出させて配置されることが好ましい。
【0043】
図4Cに示すように、押さえ治具40は、集合基板20の枠部22上に配置される。さらに、押さえ治具40の少なくとも一部は、集合基板支持部材30の枠部支持部32の上方に配置される。言い換えると、
図4Bに示すように、押さえ治具40は、上面視において、枠部22の少なくとも一部と重なる位置に配置される。具体的には、押さえ治具40は、上面視において、例えば、枠部支持部32の少なくとも一部と重なる位置に配置される。したがって、枠部22の少なくとも一部は、枠部支持部32と押さえ治具40とによって挟まれる。
【0044】
図4Eは、押さえ治具40の概略上面図である。
図4Eに示すように、押さえ治具40は、例えば、行方向Xに延びる第3支持部41を含む。
図4Bに示すように、第3支持部41は、列方向Yに隣接する複数の単位領域23に跨がって、該単位領域23それぞれに含まれる枠部22を支持する。
【0045】
押さえ治具40はさらに、
図4Eに示すように、第3支持部41と接続しており、第3支持部41を囲む第1周囲フレーム42を備えていてもよい。第1周囲フレーム42は、
図4Bに示すように、例えば上面視において、複数の第1柱状部33のうち外周に位置する第1柱状部33の少なくとも一部と重なる。したがって、外周に位置する単位領域23の枠部22の一部は、外周に位置する第1柱状部33と、第1周囲フレーム42と、によって挟まれる。これにより、集合基板20の外周を押さえ治具40と集合基板支持部材30とで上下面から固定することができるため、集合基板20の反りや撓み等の影響を抑制することができる。
【0046】
集合基板支持部材30及び押さえ治具40の材料としては、樹脂材料や金属材料が挙げられるが、強度や耐食性に優れたステンレス鋼等の金属材料を好適に用いることができる。
【0047】
上記のように、第1照射工程において、集合基板20は押さえ治具40によって固定されていることが好ましい。集合基板20はレーザ光LZが照射されると照射時の熱応力によって上方又は下方等に向けて反りが発生する虞があるが、押さえ治具40で固定されることによって応力の影響を抑制することができる。
【0048】
第1照射工程S2は、さらに、仮分離工程S2-1と分離工程S2-2とを含んでいてもよい。
【0049】
(2-1)仮分離工程S2-1
図4Fに示すように、仮分離工程S2-1は、集合基板20における基板部21の外周ラインC1に沿って溝部50を形成する工程である。形成される溝部50の深さd0は、集合基板20の厚さtより小さければよい。
【0050】
仮分離工程S2-1における1サイクル照射の照射回数V1は、例えば、所定の回数V2以下である。照射回数V1は、所定の回数V2にもよるが、例えば、9回以上39回以下である。
【0051】
仮分離工程S2-1は、複数の基板部21それぞれに対して順に実施される。例えば、
図4Bを参照して、仮分離工程S2-1は、1行1列目の基板部21、2行1列目の基板部21、・・・、n行1列目の基板部21、1行2列目の基板部21、2行2列目の基板部21、・・・、n行m列目の基板部21の順に実施される。
図4Bに示す例では、2行2列目の基板部21に仮分離工程S2-1が実施されている状態を示す。
【0052】
仮分離工程S2-1は、複数回実施されてもよい。この場合、仮分離工程が実施される度に溝部50の深さを深くする。具体的には、例えばw回(w≧2)の仮分離工程を含む場合、1回目の仮分離工程において深さd1(d1<t)の溝部50を形成し、2回目の仮分離工程において溝部50の深さが深さd2(d1<d2<t)に至るまでレーザ光LZを照射し、・・・、w回目の仮分離工程において溝部50の深さが深さdw(d(w-1)<dw<t)に至るまでレーザ光LZを照射する。
仮分離工程S2-1が複数回実施される場合も、各仮分離工程S2-1は、複数の基板部21それぞれに対して順に実施される。具体的には、1回目の仮分離工程S2-1を複数の基板部21それぞれに対して順に実施し、2回目の仮分離工程S2-1を複数の基板部21それぞれに対して順に実施し、・・・、q回目の仮分離工程S2-1を複数の基板部21それぞれに対して順に実施する。
【0053】
(2-2)分離工程S2-2
図4Gに示すように、分離工程S2-2は、集合基板20から基板部21を分離する。分離工程S2-2は、複数の基板部21に対する仮分離工程S2-1が終了した後に、実施される。分離工程S2-2は、基板部21の外周ラインC1に沿ってレーザ光LZを走査して照射することで、仮分離工程S2-1で形成された溝部50を集合基板20の下面20bまで貫通させる。これにより、基板部21と枠部22とが分離される。この際、分離された基板部21と枠部22とは、レーザ光LZが照射されることにより生じた空間R1を介して、分離前と同じ位置で、上述した集合基板支持部材30によって支持されている。
【0054】
分離工程S2-2も、仮分離工程S2-1と同様に、複数の基板部21それぞれに対して順に実施される。分離工程S2-2における1サイクル照射の回数V1も、所定の回数V2以下に設定される。
【0055】
上記のように第1照射工程S2が仮分離工程S2-1と分離工程S2-2とを含むことによって、1つの基板部21に一度に実施される1サイクル照射の回数を照射回数V1又は所定の回数V2以下に制限することができる。これにより、各仮分離工程S2-1および分離工程S2-2において、レーザ光LZの照射によって1つの基板部21に加えられる熱量が制限される。その結果、基板部21がレーザ光LZの照射に起因する熱によって変形及び/又は損傷することを抑制できる。
【0056】
(3)第2照射工程S3
第2照射工程S3は、複数の基板部21に対する第1照射工程S2が終了した後に実施される。第2照射工程S3では、分離された基板部21と枠部22との間において、基板部21の外周ラインC1に沿ってレーザ光LZを走査して照射する。該照射により、基板部21の切断面が表面加工される。
【0057】
第2照射工程S3は、レーザ光LZを基板部21の外周ラインC1に沿って1周走査して照射する1サイクル照射V3を複数回含む。第2照射工程S3における1サイクル照射の回数V3もまた、所定の回数V2以下に設定される。照射回数V3は、集合基板の材料や、照射条件にもよるが、例えば5回以上10回以下である。
【0058】
また、第1照射工程S2と第2照射工程S3は、1つの基板部21ごとに連続して実施されてもよいが、複数の基板部21に対する第1照射工程S2が終了した後に、第2照射工程S3が実施されることが好ましい。これにより、1つの基板部21に一度に実施される1サイクル照射の回数を抑えることができるため。レーザ光LZの照射に起因する発熱を抑制することができる。
【0059】
第2照射工程S3は、分離された基板部21が基板部支持部31上に配置され、枠部22が枠部支持部32上に配置されたまま実施することが好ましい。すなわち、第2照射工程S3は、第1照射工程S2が実施された後、基板部21及び枠部22を移動させることなく、第1照射工程S2に続いて実施することが好ましい。第2照射工程S3におけるレーザ光LZの照射強度、走査速度等のレーザ光LZを照射するための設定は、第1照射工程S2における設定と同一であってもよく、変更してもよい。
【0060】
上記のように第1照射工程S2の後にさらに第2照射工程S3を実施することで、基板部21の切断面を滑らかに加工することができる。すなわち、分離後の基板部21それぞれにおける外周側面21cの表面形状のばらつきを抑制することができる。これにより、基板部21の製造時の寸法ばらつきを抑制することができる。
なお、第1照射工程S2と第2照射工程S3とは、それぞれ独立して行ってもよいが、同じ装置上で連続して行うことが好ましい。この際、第1照射工程S2と第2照射工程S3におけるレーザ光LZの照射強度、走査速度等のレーザ光LZを照射するための設定を同条件とすることで、第2照射工程が完了するまでの加工時間を短縮することができる。
【0061】
また、第2照射工程S3においても、枠部22は枠部支持部32に支持されているため、基板部21と分離された枠部22にレーザ光LZが照射さられることによるデブリの発生が抑制される。これにより、該デブリによって基板部21の下面が汚染されることを抑制できる。
【0062】
(4)レンズ部材配置工程S4
図4Hに示すように、レンズ部材配置工程S4では、基板部21における発光素子13aの上方にレンズ部材が配置される。基板部21の外周側面21cとレンズ部材5とは、接着部材を介して接着することができる。レンズ部材5の位置あわせは、基板2の上面3aの外周及び側面3cと支持部7の段差部8とを嵌合させることで行うことができる。ここで、基板2の側面3cは、第2照射工程S3により表面加工が施されている。つまり、表面粗さに起因する寸法ばらつきが抑制されるため、レンズ部材との位置合わせをより正確に行うことができる。
【0063】
(集合基板支持部材及び押さえ治具の他の形態)
以下では、
図5Aから
図6Cを参照して、集合基板支持部材及び押さえ治具の他の形態を説明する。
【0064】
(集合基板支持部材の他の形態)
図5Aに示すように、集合基板支持部材130の枠部支持部132は、行方向Xに延びる第1支持部133を含んでいてもよい。第1支持部133は、例えば、1~(n-1)行に配列される。第1支持部133は、列方向Yに隣接する複数の単位領域23に跨がって、該単位領域23それぞれの枠部22を支持する。
枠部支持部132はさらに、第1支持部133と接続しており、第1支持部133を囲む第2周囲フレーム134を備えていてもよい。第2周囲フレーム134は、例えば、複数の単位領域23のうち外周に位置する単位領域23の枠部22を支持する。
なお、
図5Aから
図5Cは、図面の理解を容易にするため、集合基板支持部材の一部に集合基板20が配置された状態を示し、押さえ治具は省略している。
【0065】
図5Bに示すように、集合基板支持部材130Aの枠部支持部132Aは、第1支持部133に加えて、列方向Yに延びる第2支持部135を少なくとも1つ含んでいてもよい。第2支持部135は、行方向Xに隣接する複数の単位領域23に跨がって、該単位領域23それぞれの枠部22を支持する。枠部支持部132Aが複数の第2支持部135を備える場合、第2支持部135は等間隔で配置されていてもよいし、異なる間隔で配置されていてもよい。
【0066】
また、
図5Cに示すように、集合基板支持部材230は、基板部支持部31と、各基板部支持部31を囲む第1凹部235と、第1凹部235を囲む枠部支持部232と、を含んでいてもよい。第1凹部235は、例えば、n行m列に配列される。上面視において、基板部21の外周ラインC1は第1凹部235と重なる。第1凹部235は、集合基板支持部材230の上面230aに設けられた溝であってもよいし、集合基板支持部材230の上面230aと下面との間を貫通する貫通孔であってもよい。すなわち、集合基板支持部材230において、基板部支持部31と枠部支持部232とは、第1凹部を介して連結した1つの部材であってもよく、離隔した複数の部材の組み合わせ体であってもよい。
【0067】
(押さえ治具の他の形態)
図6Aに示すように、押さえ治具140は、実施形態1で示した行方向Xに延びる第3支持部41に加えて、列方向Yに延びる第4支持部143を少なくとも1つ含んでいてもよい。第4支持部143は、行方向Xに隣接する複数の単位領域23に跨がって、該単位領域23それぞれの枠部22の上面を固定する。第4支持部143は、行方向Xに等間隔に設けられていてもよいし、異なる間隔で設けられていてもよい。なお、
図6Aでは、図面の理解を容易にするため、集合基板20の一部及び集合基板支持部材を省略している。
【0068】
また、
図6Bに示すように、押さえ治具240は、第2柱状部244を少なくとも1つ含んでいてもよい。第2柱状部244は、例えば、円柱状の部材である。
図6Bに示すように、第2柱状部244は、行方向Xに隣接する2の単位領域23それぞれの1つの角部24と、該2つの単位領域23それぞれと列方向Yに隣接し、かつ互いに隣接する他の2つの単位領域23それぞれの1つの角部24と、を一括して支持することができる。
【0069】
また、
図6Cに示すように、押さえ治具340は、複数の第2凹部345を有する部材であってもよい。第2凹部345は、例えば、n行m列に配列される。第2凹部345は、押さえ治具340の上面と下面との間を貫通する貫通孔である。上面視において、基板部21の外周ラインC1を含む基板部21は、第2凹部345から露出する。
なお、
図6Cでは、図面の理解を容易にするため、集合基板支持部材を省略している。
【0070】
本開示に係る発光装置の製造方法において、集合基板支持部材30、130、130A、230と押さえ治具40、140、240、340との組み合わせはいずれの組み合わせであってもよい。
【0071】
以上、本開示の実施形態及び集合基板支持部材及び押さえ治具の他の形態を説明したが、開示内容は構成の細部において変化してもよく、実施形態及び集合基板支持部材及び押さえ治具の他の形態における要素の組合せや順序の変化等は請求された本開示の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【符号の説明】
【0072】
1 発光装置
2 基板
3 基体
3a 上面
3b 下面
4 配線
4a 第1配線
4b 第2配線
5 レンズ部材
6 光学機能部
7 支持部
7a 下面
8 段差部
11 電子部品
12 接合部材
13 光源
13a 発光素子
13b 電極
14 透光性部材
15 被覆部材
20 集合基板
20a 上面
20b 下面
21 基板部
21a 上面
21c 外周側面
22 枠部
22a 上面
23 単位領域
24 角部
30、130、130A、230 集合基板支持部材
31 基板部支持部
31a 上面
32、132、132A、232 枠部支持部
33 第1柱状部
34 土台部
40、140、240、340 押さえ治具
41 第3支持部
42 第1周囲フレーム
50 溝部
133 第1支持部
134 第2周囲フレーム
135 第2支持部
143 第4支持部
230a 上面
235 第1凹部
244 第2柱状部
345 第2凹部
t 厚さ
C1 外周ライン
R1 空間
V1 照射回数
V2 所定の回数
V3 照射回数
X 行方向
Y 列方向
LZ レーザ光