IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ドクトル・ヨハネス・ハイデンハイン・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツングの特許一覧

特許7469945ワイヤ電極の変位量を検出するセンサ装置
<>
  • 特許-ワイヤ電極の変位量を検出するセンサ装置 図1
  • 特許-ワイヤ電極の変位量を検出するセンサ装置 図2
  • 特許-ワイヤ電極の変位量を検出するセンサ装置 図3
  • 特許-ワイヤ電極の変位量を検出するセンサ装置 図4
  • 特許-ワイヤ電極の変位量を検出するセンサ装置 図5
  • 特許-ワイヤ電極の変位量を検出するセンサ装置 図6
  • 特許-ワイヤ電極の変位量を検出するセンサ装置 図7
  • 特許-ワイヤ電極の変位量を検出するセンサ装置 図8
  • 特許-ワイヤ電極の変位量を検出するセンサ装置 図9
  • 特許-ワイヤ電極の変位量を検出するセンサ装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】ワイヤ電極の変位量を検出するセンサ装置
(51)【国際特許分類】
   B23H 7/02 20060101AFI20240410BHJP
【FI】
B23H7/02 R
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020069013
(22)【出願日】2020-04-07
(65)【公開番号】P2021014007
(43)【公開日】2021-02-12
【審査請求日】2022-11-29
(31)【優先権主張番号】10 2019 210 301.4
(32)【優先日】2019-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390014281
【氏名又は名称】ドクトル・ヨハネス・ハイデンハイン・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】DR. JOHANNES HEIDENHAIN GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】タレク・ヌッツィンガー
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・ホイマン
【審査官】黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-31537(JP,A)
【文献】実開平2-15824(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2010/0187204(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23H 1/00 - 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の測定平面(T1)において基準軸線(O)上に位置する第1の基準点(O1)に関するワイヤ放電加工機のワイヤ電極(1)の変位量(ΔX1,ΔY1)を検出するセンサ装置(10)であって、
前記第1の測定平面(T1)は、前記第1の基準点(O1)と、第1の変位方向(X)と、該第1の変位方向(X)に対して垂直に延びる第2の変位方向(Y)とによって定義され、前記第1の変位方向(X)および前記第2の変位方向(Y)は、それぞれ前記基準軸線(O)に対して垂直に延びる、センサ装置(10)において、
前記センサ装置(10)は、巻線要素配列体(18)を有し、該巻線要素配列体(18)は、前記ワイヤ電極(1)によって生成される交番磁界(11)を捕捉するとともに第1~第4の測定信号(S1~S4)を生成するための、前記第1の測定平面(T1)に配置された少なくとも1つの第1~第4の巻線要素(20.1~20.4)を有し、
前記第1~第4の巻線要素(20.1~20.4)は、第1の平面(A1)および第2の平面(A2)において、前記第1~第4の巻線要素(20.1~20.4)が前記第1の基準点(O1)に関してそれぞれ対偶を成して前記第1および前記第2の変位方向(X,Y)に対向するように配置されており、前記第1の平面(A1)および前記第2の平面(A2)は、それぞれ前記基準軸線(O)に対して平行に延在し、前記第1の平面(A1)および前記第2の平面(A2)は、前記第1の基準点(O1)に関して、前記第2の変位方向(Y)に相互に間隔を置いて対向して配置されていることを特徴とする、センサ装置(10)。
【請求項2】
前記センサ装置(10)は、支持体(12)を有し、該支持体(12)は、前記第1~前記第4の巻線要素(20.1~20.4)が前記第1の平面(A1)および前記第2の平面(A2)において支持されるように構成されている、請求項1に記載のセンサ装置(10)。
【請求項3】
前記支持体(12)は、前記第1の平面(A1)に対して平行な第1の表面(B1)と、前記第2の平面(A2)に対して平行な第2の表面(B2)とを有する、請求項2に記載のセンサ装置(10)。
【請求項4】
前記支持体(12)は、基板のコアとして構成されている、請求項2または3に記載のセンサ装置(10)。
【請求項5】
前記支持体(12)は、前記第1~前記第4の巻線要素(20.1~20.4)を支持するための共通の単一の部分によって形成されている、請求項2から4までのいずれか1項に記載のセンサ装置(10)。
【請求項6】
前記支持体(12)は、前記第1~前記第4の巻線要素(20.1~20.4)を支持するための、相互に分離された2つの部分(12.1,12.2)を有し、両前記部分(12.1,12.2)は、少なくとも1つの別の部分(14.1)を介して相互に結合されている、請求項2から4までのいずれか1項に記載のセンサ装置(10)。
【請求項7】
前記支持体(12)は、凹部(16)を有する、請求項2から6までのいずれか1項に記載のセンサ装置(10)。
【請求項8】
前記凹部(16)は、前記基準軸線(O)に対して平行に前記支持体(12)を通って延在する、請求項7記載のセンサ装置(10)。
【請求項9】
前記凹部(16)は、前記基準軸線(O)の方向に見て、前記第1の変位方向(X)に、前記第2の変位方向(Y)に対向する前記巻線要素(20.1,20.2)の第1の対偶と前記第2の変位方向(Y)に対向する前記巻線要素(20.3,20.4)の第2の対偶との間に延在するとともに、前記第2の変位方向(Y)に、前記第1の平面(A1)と前記第2の平面(A2)との間に延在する、請求項7または8に記載のセンサ装置(10)。
【請求項10】
前記第1の基準点(O1)は、前記凹部(16)の横断面の内側に位置する、請求項7から9までのいずれか1項に記載のセンサ装置(10)。
【請求項11】
前記第1~前記第4の巻線要素(20.1~20.4)は、前記第1の基準点(O1)に関して対称に配置されている、請求項1から10までのいずれか1項に記載のセンサ装置(10)。
【請求項12】
前記第1~前記第4の巻線要素(20.1~20.4)は、共通の構造体として、前記支持体(12)上に形成されている、請求項から10までのいずれか1項に記載のセンサ装置(10)。
【請求項13】
前記センサ装置(10)は、前記第1の測定平面(T1)における変位量(ΔX1,ΔY1)が前記第1~前記第4の測定信号(S1~S4)に基づいて得られるように構成されている、請求項1から12までのいずれか1項に記載のセンサ装置(10)。
【請求項14】
請求項1から13までのいずれか1項に記載のセンサ装置(10)と、ワイヤ電極(1)とを備え、該ワイヤ電極(1)は、無変位状態で、前記基準軸線(O)に対して同軸に前記第1の基準点(O1)を通って延在する、ワイヤ放電加工機。
【請求項15】
前記ワイヤ放電加工機は、交流パルスを生成する信号発生器(3)を有し、前記ワイヤ電極(1)は、該ワイヤ電極(1)に交流パルスが印加されると、捕捉されるべき交番磁界(11)が生成されるように構成されている、請求項14に記載のワイヤ放電加工機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念による、ワイヤ電極の変位量を検出するセンサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上位概念によるセンサ装置は、西独国特許出願公開第2826270号明細書において公知である。センサ装置は、4つの測定電極を有し、測定電極は、それぞれ4つの主軸方向X+、X-、Y+、Y-のうちのいずれか1つの方向にワイヤ電極から間隔を置いて配置されている。装置全体は、1μS/cm~100μS/cmのコンダクタンスを有する誘電物により通過される。XY方向のワイヤ電極の変位量の測定は、4つの測定電極と、4つの全ての測定セル用の共通電極として用いられるワイヤ電極との間の抵抗の変化の検出によって行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】独国特許出願公開第2826270号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の根底を成す課題は、シンプルでコンパクトに構成されているとともに、ワイヤ電極の精密な検出を可能にする、ワイヤ電極の変位量を検出するセンサ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、本発明によれば、請求項1の特徴を有するセンサ装置によって解決される。
【0006】
本発明に従って形成されたセンサ装置は、第1の測定平面において基準軸線上に位置する第1の基準点に関するワイヤ放電加工機のワイヤ電極の変位量を検出するために用いられる。第1の測定平面は、第1の基準点と、第1の変位方向と、第1の変位方向に対して垂直に延在する第2の変位方向とによって定義される。第1および第2の変位方向は、それぞれ基準軸線に対して垂直に延びる。センサ装置は、巻線要素配列体を有する。巻線要素配列体は、ワイヤ電極によって生成される交番磁界を捕捉するとともに第1~第4の測定信号を生成するための、第1の測定平面に配置された少なくとも1つの第1~第4の巻線要素を有する。第1~第4の巻線要素は、第1の平面および第2の平面において、第1~第4の巻線要素が第1の基準点に関してそれぞれ対偶を成して第1および第2の変位方向に対向するように配置されている。第1の平面および第2の平面は、それぞれ基準軸線に対して平行に延びる。第1の平面および第2の平面は、第1の基準点に関して、第2の変位方向に相互に間隔を置いて対向して配置されている。
【0007】
好適には、第1の平面および第2の平面は、互いに平行に配置されている。
【0008】
本発明に係るセンサ装置と、ワイヤ電極とを備え、ワイヤ電極は、無変位状態で、基準軸線に対して同軸に第1の基準点を通って延在する、ワイヤ放電加工機が、請求項14に記載されている。
【0009】
好適には、ワイヤ放電加工機が、交流パルスを生成する信号発生器を有し、ワイヤ電極が、ワイヤ電極に交流パルスが印加されると、捕捉されるべき交番磁界が生成されるように構成されている。ワイヤ電極は、一方では交番磁界を生成するために、他方ではワイヤ放電加工機内に位置する工作物を加工するために用いられる。動作時には、交番磁界は、ワイヤ電極の周りに周方向に延在する。
【0010】
本発明によって、シンプルでコンパクトに構成されたセンサ装置により、共通のユニットを形成する個々の巻線要素の、互いに対するかつセンサ装置の基準点に関する正確な位置決めおよび整列が可能になる。これにより、ワイヤ電極の高い検出精度が達成される。さらに、本発明は、測定平面におけるワイヤ電極の非接触式の2次元の検出の実現を可能にする。この場合、特に、ワイヤ電極と複数の測定電極との間の、抵抗測定に必要な誘電物の使用を省略することができる。
【0011】
本発明の好適な構成は、従属請求項から看取される。
【0012】
本発明に係るセンサ装置の詳細および利点は、添付された図面に基づく実施の形態の以下の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の測定平面に配置された第1~第4の巻線要素を有する、例示的なセンサ装置の斜視図を示す。
図2図1によるセンサ装置の側面図を示す。
図3図2のD-D断面における、図1によるセンサ装置の横断面図を示す。
図4】第1の測定平面に配置された第1~第4の巻線要素と支持体とを有し、支持体は、共通の単一の部分によって形成されている、例示的なセンサ装置の断面図を示す。
図5】第1の測定平面に配置された第1~第4の巻線要素と支持体とを有し、支持体は、相互に分離した2つの部分を有する、例示的なセンサ装置の断面図を示す。
図6】第1の測定平面に配置された第1~第4の巻線要素と支持体とを有し、支持体は、相互に分離した2つの部分を有する、例示的なセンサ装置の断面図を示す。
図7】第1の測定平面に配置された第1~第4の巻線要素とそれぞれ対応付けられた基準巻線要素とを有する、例示的なセンサ装置の側面図を示す。
図8】第1の変位方向に、第1および第2の基準点に関してワイヤ電極が変位した、ワイヤ電極の、検出されるべき角度を具体的に示すための概略図を示す。
図9】ワイヤ電極によって生成される交番磁界を具体的に示すための概略図を示す。
図10図8に具体的に示された角度を特定する第1および第2の評価ユニットを有する、例示的なセンサ装置のブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
例示的なセンサ装置10を、図1図3に基づいて以下に説明する。図1図3によるセンサ装置10は、第1の測定平面T1において基準軸線O上に位置する第1の基準点O1に関する、ワイヤ放電加工機のワイヤ電極1の変位量ΔX1,ΔY1を検出するために用いられる。第1の測定平面T1は、第1の基準点O1と、第1の変位方向Xと、第1の変位方向Xに対して垂直に延びる第2の変位方向Yとによって定義される。第1の変位方向Xおよび第2の変位方向Yは、それぞれ基準軸線Oに対して垂直に延びる。第1の基準点O1および変位量ΔX1,ΔY1は、図3に具体的に示されている。図1および図2では、ワイヤ電極1は、専ら無変位状態で示されている。図3では、ワイヤ電極1は、無変位状態と変位状態とで示されている。無変位状態では、ワイヤ電極1は、第1の基準点O1を通って延在する。基準軸線Oは、無変位状態のワイヤ電極1の長手方向延在部分によって得られる。
【0015】
図1に示されているように、ワイヤ電極1は、送り方向Aに移動可能である。ワイヤ電極1は、ワイヤ放電加工機内に位置する工作物を加工するために用いられる。
【0016】
図1図3によるセンサ装置10は、巻線要素配列体18を有する。巻線要素配列体18は、第1の測定平面T1に配置された、ワイヤ電極1によって生成される交番磁界を捕捉するとともに第1~第4の測定信号S1~S4を生成する第1~第4の巻線要素20.1~20.4を有する。動作時には、交番磁界は、ワイヤ電極1の周りに周方向に延在する。交番磁界は、図9に示されていて、符号11が付されている。交番磁界11は、相応に、第2の測定平面T2においても延在する。
【0017】
図3を参照すると、第1~第4の巻線要素20.1~20.4は、第1の平面A1および第2の平面A2において、第1~第4の巻線要素20.1~20.4が第1の基準点O1に関してそれぞれ対偶を成して第1の変位方向Xおよび第2の変位方向Yに対向するように配置されている。第1の平面A1および第2の平面A2は、それぞれ基準軸線Oに対して平行に延在する。第1の平面A1と第2の平面A2とは、第1の基準点O1に関して第2の変位方向Yに相互に間隔を置いて対向して配置されている。好適には、第1の平面A1および第2の平面Aとは、相互に平行に配置されている。
【0018】
第1~第4の巻線要素20.1~20.4は、ワイヤ電極1の周りに周方向に延在する交番磁界11が各々の巻線要素20.1~20.4に対して略垂直に巻線要素20.1~20.4を通って延在するように配置されるとともに構成されている(図1および図9参照)。第1~第4の巻線要素20.1~20.4の第1~第4の測定信号S1~S4は、変位量ΔX1,ΔY1に依存する。
【0019】
ワイヤ電極1の角度α(図8)を検出するために、センサ装置10は、第1~第4の巻線要素20.1~20.4に対して付加的に、第2の測定平面T2に配置された、巻線要素配列体18の第5~第8の巻線要素20.5~20.8を有することができる。第5~第8の巻線要素20.5~20.8は、交番磁界11を捕捉するとともに第5~第8の測定信号S5~S8を生成するために用いられる。第5~第8の巻線要素20.5~20.8の使用については、図8図10に関連してさらに詳しく後述する。
【0020】
両測定平面T1,T2は、基準軸線O(Z軸)の方向に相互にずらして配置されている(特に図2参照)。図2の側面図では、巻線要素20.1,20.3および20.5,20.7(前側の巻線要素)が視認されるが、これに対して巻線要素20.2,20.4および20.6,20.8(後側の巻線要素)は視認されない。
【0021】
図3を参照すると、第1~第4の巻線要素20.1~20.4は、ワイヤ電極1の精密な検出を可能にする1つのユニットを形成する。ユニットは、シンプルでコンパクトに構成されている。一方では、比較的複雑な、特に交差した配置が回避される。他方では、特に第2の変位方向Yの所要構造空間が縮小される。
【0022】
図4図6には、例示的なセンサ装置10の断面図が示されている。図4図6によるセンサ装置10は、それぞれ第1の測定平面(XY平面)に配置された第1~第4の巻線要素20.1~20.4(図4図6において視認される上側の巻線要素)と支持体12とを有する。図4図6によるセンサ装置10の第1~第4の巻線要素20.1~20.4は、それぞれ図1図3によるセンサ装置10の第1~第4の巻線要素20.1~20.4に対応し、同一の機能を有する。図4図6の断面図は、それぞれ図3に示された断面図に相応する。以下に、図4図6に基づいて支持体12の様々な構成を説明する。支持体12は、第1~第4の巻線要素20.1~20.4を支持するために用いられる。さらに、支持体12は、第2の測定平面(XY平面)に配置された第5~第8の巻線要素20.5~20.8(図4~6において視認されない下側の巻線要素)を支持するのために用いられる。図4図6によるセンサ装置10の第5~第8の巻線要素20.5~20.8は、それぞれ図1に示された第5~第8の巻線要素20.5~20.8に対応し、同一の機能を有する。図4図6によるセンサ装置10の第1~第4の巻線要素20.1~20.4および第5~第8の巻線要素20.5~20.8は、巻線要素配列体18を形成する。
【0023】
支持体12は、第1~第4の巻線要素20.1~20.4が第1の平面A1および第2の平面A2(図4図6参照)において支持されるように構成されている。支持体12は、第1の平面A1を規定する第1の表面B1と、第2の平面A2を規定する第2の表面B2とを有する。第1~第4の巻線要素20.1~20.4は、第1の表面B1または第2の表面B2上に配置されている。たとえば巻線要素20.1,20.3の中央を通って延在する第1の平面A1は、第1の表面B1に対して平行に延在する。たとえば巻線要素20.2,20.4の中央を通って延在する第2の平面A2は、第2の表面B2に対して平行に延在する。好適には、両表面B1,B2は、相互に平行に配置されている。これにより、第1の平面A1および第2の平面A2の位置または向きが規定される。
【0024】
支持体12は、好適には基板のプレート状の(または層状の)コアとして構成されている。第1~第4の巻線要素20.1~20.4は、共通の構造体として、支持体12(つまり基板コア)上に配置されている。これにより、第1の平面A1および第2の平面A2における第1~第4の巻線要素20.1~20.4の位置決めおよび整列に際して高い精度が達成される。
【0025】
図4によるセンサ装置10では、支持体12は、第1~第4の巻線要素20.1~20.4を支持するための共通の単一の部分によって形成されている。この場合、支持体12は、特に一体に形成されている。
【0026】
図5によるセンサ装置10では、支持体12は、第1~第4の巻線要素20.1~20.4を支持するための、相互に分離された2つの部分12.1,12.2を有する。両部分12.1,12.2は、支持体12上に配置された連続する部分14.1、特に上側(Y軸の方向に見て)の積層体(または積層群)を介して相互に結合されている。両部分12.1,12.2は、特に基板コアを形成する。さらに、図5によるセンサ装置10の支持体12上に、相互に分離した別の2つの部分14.21,14.22が配置されており、これらの部分14.21,14.22は、基板コア12.1,12.2の、部分14.1から離反する側に配置されている。両部分14.21,14.22は、特に下側(Y軸の方向に見て)の積層体(または積層群)を形成する。
【0027】
図6によるセンサ装置10では、支持体12は、第1~第4の巻線要素20.1~20.4を支持するための、相互に分離された2つの部分12.1,12.2を有する。両部分12.1,12.2は、支持体12上に配置された連続する2つの部分14.1,14.2を介して、特に上側および下側(Y軸の方向に見て)の積層体(または積層群)を介して相互に結合されている。両部分12.1,12.2は、特に基板コアを形成する。両部分14.1,14.2は、基板コア12.1,12.1のそれぞれ異なる側に配置されている。
【0028】
図5または図6に示された支持体12は、上側または下側の積層体(または積層群)を介して、直接に、つまり他の取付部分を使用することなく、ワイヤ放電加工機の一部に結合する、または取り付けることができる。代替的に、支持体12を取り付けるための、上側または下側の積層体(または積層群)上に配置された別の中間部分が設けられてもよい。積層体または積層群は、たとえば基板コアから離反する側にカバー層を有する。
【0029】
図4図6に示されているように、支持体12は、凹部16を有する。凹部16は、基準軸線O(Z軸)に対して平行に、支持体12を通って延在する。第1~第4の巻線要素20.1~20.4(図4図6において視認される上側の巻線要素)および第5~第8の巻線要素20.5~20.8(図4図6において視認されない下側の巻線要素)は、凹部16の縦方向部分の周りに周方向に分配して配置されている。基準軸線Oの方向に見て、凹部16は、第1の変位方向Xに、第2の変位方向Yで対向する巻線要素20.1,20.2の第1の対偶と、第2の変位方向Yで対向する第2の巻線要素20.3,20.4の第2の対偶との間に、かつ第2の変位方向Yに、第1の平面A1と第2の平面A2との間に延在する。第1の基準点O1は、好適には、凹部16の横断面の内側でほぼ中央に位置する。
【0030】
図4を参照すると、凹部16は、第2の変位方向Yに、ほぼ完全に支持体12を通って延在する。図5を参照すると、凹部16は、第2の変位方向Yに、下側の積層体14.21,14.22を通って上側の積層体14.1の内側の表面C1まで(またはさらに上側の積層体14.1内まで)延在する。図6を参照すると、凹部16は、第2の変位方向Yに、上側の積層体14.1の内側の表面C1から下側の積層体14.2の内側の表面C2まで延在する。
【0031】
好適には、凹部16は、フライス加工によって形成される(特に図4および図5参照)。凹部16は、ワイヤ電極1が送り方向Aに完全に支持体12を通って、かつ第1の変位方向Xおよび第2の変位方向Yに、凹部16の横方向延在部分内で可動であるように構成されている。
【0032】
図1図3によるセンサ装置10または図4図6によるセンサ装置10では、第1~第4の巻線要素20.1~20.4は、第1の基準点O1に関して対称に配置されている。つまり第1の基準点O1は、第1~第4の巻線要素20.1~20.4によって形成されるユニットの中心に位置する。
【0033】
図7は、巻線要素配列体18を有する例示的なセンサ装置10の側面図を示す。図7によるセンサ装置10は、図1図3によるセンサ装置10とは、巻線要素配列体18が、第1~第4の巻線要素20.1~20.4にそれぞれ対応付けられた基準巻線要素22.1~22.4と、第5~第8の巻線要素20.5~20.8にそれぞれ対応付けられた基準巻線要素22.5~22.8とを有することによってのみ相違する。図7の側面図では、巻線要素20.1,20.3にそれぞれ対応付けられた基準巻線要素22.1,22.3は視認されるが、これに対して巻線要素20.2,20.4にそれぞれ対応付けられた基準巻線要素22.2,22.4は視認されない。さらに、図7の側面図では、巻線要素20.5,20.7にそれぞれ対応付けられた基準巻線要素22.5,22.7が視認されるが、これに対して巻線要素20.6,20.8にそれぞれ対応付けられた基準巻線要素22.6,22.8は視認されない。基準巻線要素22.1~22.4は、第1~第4の測定信号S1~S4を標準化するための第1~第4の基準信号R1~R4を生成するために用いられる。基準巻線要素22.5~22.8は、第5~第8の測定信号S5~S8を標準化するための第5~第8の基準信号R5~R8を生成するために用いられる。
【0034】
基準巻線要素22.1~22.4および22.5~22.8は、これらが第1~第4の巻線要素20.1~20.4または第5~第8の巻線要素20.5~20.8をたとえば同心に包囲するように配置されている(図7参照)。この場合、基準巻線要素22.1~22.4および22.5~22.8は、これらが第1~第4の巻線要素20.1~20.4または第5~第8の巻線要素20.5~20.8とほぼ同一の交番磁界11を捕捉するように構成されている。
【0035】
図7に示された配置の代わりに、基準巻線要素22.1~22.4または22.5~22.8は、第1~第4の巻線要素20.1~20.4または第5~第8の巻線要素20.5~20.8の上側および下側(または前側および後側)に配置されても、それぞれZ軸またはY軸の方向に見て、それぞれ異なる寸法でまたは周の範囲に配置されてもよい。この場合、ワイヤ電極1の位置または(横方向の)変位量が、第1~第4の基準信号R1~R4または第5~第8の基準信号R5~R8の和に対する影響を有することはない。
【0036】
図8は、第1の変位方向Xに第1および第2の基準点O1,O2に関するワイヤ電極1の変位量ΔX1,ΔX2が存在する際の、ワイヤ電極1の、検出されるべき角度αを具体的に示すための概略図を示す。第1の基準点O1は、第1の測定平面T1に位置する。第2の基準点O2は、第2の測定平面T2に位置する。Z方向での第1の基準点O1と第2の基準点O2との間(または第1の測定平面T1と第2の測定平面T2との間)の距離に、符号Lが付されている。図8の変位量ΔX1は、図3に示された変位量ΔX1に対応する。図8では、XZ平面における、つまり専ら第1の変位方向Xにワイヤ電極1が変位する場合の角度αが示されている。第2の変位方向Yにワイヤ電極1が変位する場合には、この説明が同様に当てはまる。ワイヤ電極1は、図8では、無変位状態、つまりワイヤ電極1が基準軸線Oに対して同軸に第1および第2の基準点O1,O2を通って延在する状態と、変位状態とで示されている。図8に示された変位状態では、ワイヤ電極1は、基準軸線Oに対して平行の方向(Z方向)に対して角度付けられている。ワイヤ電極1は、変位状態で、基準軸線Oに対して平行に、つまりZ方向に延在してもよい。この場合、第1の変位方向Xでの第1の基準点O1に関する変位量ΔX1と、第1の変位方向Xでの第2の基準点O2に関する変位量ΔX2とは、同一の大きさである(つまりα=0)。
【0037】
図8を参照すると、変位量ΔX1、変位量ΔX2、および第1の基準点O1と第2の基準点O2との間の距離Lに基づいて、Z方向に関して定義されたワイヤ電極1の角度αが得られるように、評価が行われる。評価は、たとえば以下の関係を用いて行われる。
tanα=(ΔX2-ΔX1)/L (式1a)
【0038】
図8に示されていない、第2の変位方向Yにワイヤ電極1が変位する(つまり角度αがYZ平面内にある)場合、評価は、たとえば次の関係を用いて行われる。
tanα=(ΔY2-ΔY1)/L (式1b)
【0039】
ここで、ΔY1,ΔY2は、変位量ΔX1,ΔX2に対応する第2の変位方向Yでの変位量である。変位量ΔX1,ΔX2またはΔY1,ΔY2は、特に図10に関連して後述される式2~5から得られる。式2~5は、第1~第8の測定信号S1~S8の知識(または特定)に基づく。
【0040】
図10は、図8に具体的に示された角度αを特定するための第1および第2の評価ユニット4.1,4.2を有する例示的なセンサ装置10のブロック図を示す。図10によるセンサ装置10は、前述されたセンサ装置10のうちの1つのセンサ装置10の巻線要素配列体18を有する。評価ユニット4.1は、第1~第4の測定信号S1~S4に基づいて第1の測定平面T1における変位量ΔX1,ΔY1を特定するために用いられる。さらに、評価ユニット4.1は、第5~第8の測定信号S5~S8に基づいて第2の測定平面T2における変位量ΔX2,ΔY2を特定するために用いられる。評価ユニット4.1は、巻線要素配列体18に連結されている。巻線要素配列体18は、第1~第8の測定信号S1~S8を生成するための第1~第8の巻線要素20.1~20.8を有する。評価ユニット4.2は、前述の評価を(たとえば式1aまたは式1bを用いて)実行するために用いられる。
【0041】
以下に、図1図3によるセンサ装置10の巻線要素20.1~20.8に基づいて、評価ユニット4.1の機能を詳説する。第1~第4の巻線要素20.1~20.4は、巻線要素20.1,20.2;20.3,20.4の第1および第2の対偶を形成する。第1の対偶の巻線要素20.1,20.2および第2の対偶の巻線要素20.3,20.4は、それぞれ第2の変位方向Yに、第1の基準点O1に関して対向する。第1の対偶の巻線要素20.1,20.2は、第1の基準点O1に関して、第1の側に配置されている。第2の対偶の巻線要素20.3,20.4は、第1の基準点O1に関して、第1の変位方向Xに第1の側とは反対に位置する第2の側に配置されている。
【0042】
第1の対偶の巻線要素20.1,20.2は、第1および第2の測定信号S1,S2を生成するように構成されている。第2の対偶の巻線要素20.3,20.4は、第3および第4の測定信号S3,S4を生成するように構成されている。評価装置4.1によって、第1の変位方向Xでの第1の測定平面T1における変位量ΔX1が、第1および第2の測定信号S1,S2の和と、第3および第4の測定信号S3,S4の和との比較に基づいて特定される。たとえば変位量ΔX1の特定は、第1および第2の測定信号S1,S2の和と、第3および第4の測定信号S3,S4の和との差分形成と、これに続く第1~第4の測定信号S1~S4の和を用いた標準化とによって行われる。そのために、たとえば以下の関係が用いられる。
ΔX1=c1×[(S1+S2)-(S3+S4)]/(S1+S2+S3+S4)
(式2)
ここで、c1は、(無次元の)信号依存値[(S1+S2)-(S3+S4)]/(S1+S2+S3+S4)を長さ寸法に換算するための所定の換算係数である。
【0043】
第1~第4の巻線要素20.1~20.4は、第3および第4の対偶の巻線要素20.1,20.3;20.2,20.4を形成する。第3の対偶の巻線要素20.1,20.3と第4の対偶の巻線要素20.2,20.4とは、それぞれ第1の変位方向Xに、第1の基準点O1に関して対向する。第3の対偶の巻線要素20.1,20.3は、第1の平面A1に配置されており、第4の対偶の巻線要素20.2,20.4は、第2の平面A2に配置されている。第3の対偶の巻線要素20.1,20.3は、第1および第3の測定信号S1,S3を生成するように構成されている。第4の対偶の巻線要素20.2,20.4は、第2および第4の測定信号S2,S4を生成するように構成されている。評価装置4.1によって、第2の変位方向Yでの第1の測定平面T1における変位量ΔY1が、第1および第3の測定信号S1,S3の和と、第2および第4の測定信号S2,S4の和との比較に基づいて特定される。たとえば変位量ΔY1の特定は、第1および第3の測定信号S1,S3の和と、第2および第4の測定信号S2,S4の和との差分形成と、これに続く第1~第4の測定信号S1~S4の和を用いた標準化とによって行われる。そのために、たとえば以下の関係が用いられる。
ΔY1=c1×[(S1+S3)-(S2+S4)]/(S1+S2+S3+S4)
(式3)
ここで、c2は、(無次元の)信号依存値[(S1+S3)-(S2+S4)]/(S1+S2+S3+S4)を長さ寸法に換算するための所定の換算係数である。
【0044】
同様に、評価装置4.1によって、第2の測定平面T2における変位量ΔX2,ΔY2が、第5~第8の測定信号S5~S8に基づいて特定される。そのために、たとえば以下の関係が用いられる。
ΔX2=c3×[(S5+S6)-(S7+S8)]/(S5+S6+S7+S8)
(式4)
ΔY2=c4×[(S5+S7)-(S6+S8)]/(S5+S6+S7+S8)
(式5)
ここで、c3、c4は、(無次元の)信号依存値[(S5+S6)-(S7+S8)]/(S5+S6+S7+S8)または[(S5+S7)-(S6+S8)]/(S5+S6+S7+S8)をそれぞれ長さ寸法に換算するための所定の換算係数である。
【0045】
第1~第4の測定信号S1~S4の和または第5~第8の測定信号S5~S8の和を用いた前述の標準化の代わりに、第1~第4の基準信号R1~R4または第5~第8の基準信号R5~R8を用いた標準化を行ってもよい。
【0046】
好適には、各評価ユニット4.1,4.2は、センサ装置10の一部として設けられている(図10参照)。評価ユニット4.2は、省略してもよい。評価ユニット4.1または両評価ユニット4.1,4.2は、信号処理のためのユニットを形成する。信号処理のためのユニットは、好適には、ワイヤ放電加工機の制御ユニットから独立してまたは分離して設けられている(ケース(i))。代替的に、信号処理のためのユニットは、制御ユニットに統合されてもよい(ケース(ii))。両ケース(i)、(ii)では、センサ装置10が、信号処理のためのユニットを有する。
【0047】
ケース(i)の場合、制御ユニット(図示されていない)は、信号処理のためのユニットによって得られる信号(たとえば変位量ΔX1,ΔY1、変位量ΔX2,ΔY2および/または角度αを表す信号)を入力信号として受信し、受信した信号に基づいてワイヤ電極1を後調整するまたはワイヤ電極1の送り路を修正するためにワイヤ電極1の駆動制御を行うように構成されている。この場合、制御ユニットに統合された、対応する、信号処理のためのユニットの使用は、不要である。ケース(ii)の場合、制御ユニット(図示されていない)は、巻線要素配列体18によって得られる信号(つまり第1~第8の測定信号S1~S8)を入力信号として受信し、受信した信号に基づいて、制御ユニットに統合された、信号処理のためのユニットを用いてワイヤ電極1の駆動制御を行うように構成されている。
【0048】
図9を参照すると、交番磁界11は、少なくとも第1の測定平面T1において延在する。交番磁界11を生成するために、ワイヤ放電加工機の信号発生器3が設けられている。信号発生器3は、ワイヤ電極1に連結されていて、交流パルス(たとえば数アンペアの電流強度と1kHz~1MHzの周波数範囲のパルス周波数とを有する電流パルス)を生成するために用いられる。ワイヤ電極1は、ワイヤ電極1に交流パルスを印加すると、捕捉されるべき交番磁界11が生成されるように構成されている。
【0049】
第1~第4の巻線要素20.1~20.4は、好適には、それぞれ、中心点(または中心線)が第1の測定平面T1に位置する矩形の巻線面を有する(図2参照)。第5~第8の巻線要素20.5~20.8は、好適には、それぞれ、中心点(または中心線)が第2の測定平面T2に位置する矩形の巻線面を有する(図2参照)。第1~第4の巻線要素20.1~20.4および第5~第8の巻線要素20.5~20.8は、特に、生成された交番磁界11を誘導走査するために用いられる。
【0050】
第1~第4の巻線要素20.1~20.4および/または第5~第8の巻線要素20.5~20.8(または基準巻線要素22.1~22.8)は、それぞれ単層または多層に構成されてよい。好適には、第1~第4の巻線要素20.1~20.4または第5~第8の巻線要素20.5~20.8は、それぞれ、絶縁材料と導電性材料(たとえば銅)とから成る積層体によって形成されている(多層)。
【0051】
支持体12は、たとえばセラミック材料またはプラスチックから成る。巻線要素20.1~20.8(または基準巻線要素22.1~22.8)は、レーザを使用して支持体12を構造化することによって作製または製造することができる。特に、LPKF技術またはMID技術を用ることができる。
【0052】
前述の標準化によって、工作物の加工中の電流強度および/またはパルス周波数の変化または変動によって生じる、各々の測定信号S1~S4またはS5~S8(誘導信号)に対する影響を補整することができる。
【0053】
本発明によるワイヤ電極1の検出は、動的に行うことができる。つまり静的な(不変の)変位量ΔX1,ΔY1だけでなく、たとえばワイヤ電極1が振動する場合に時間とともに変化する変位量ΔX1,ΔY1も検出することができる。
【0054】
本発明によって、センサ装置10の最終的な組立において、個々の巻線要素の面倒な後調整を回避することができる。光学センサまたは摺動接点を有する既知の解決手段とは違い、本発明は、汚れの影響を受けにくく、摩耗しない。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下を含む。
1.
第1の測定平面(T1)において基準軸線(O)上に位置する第1の基準点(O1)に関するワイヤ放電加工機のワイヤ電極(1)の変位量(ΔX1,ΔY1)を検出するセンサ装置(10)であって、
前記第1の測定平面(T1)は、前記第1の基準点(O1)と、第1の変位方向(X)と、該第1の変位方向(X)に対して垂直に延びる第2の変位方向(Y)とによって定義され、前記第1の変位方向(X)および前記第2の変位方向(Y)は、それぞれ前記基準軸線(O)に対して垂直に延びる、センサ装置(10)において、
前記センサ装置(10)は、巻線要素配列体(18)を有し、該巻線要素配列体(18)は、前記ワイヤ電極(1)によって生成される交番磁界(11)を捕捉するとともに第1~第4の測定信号(S1~S4)を生成するための、前記第1の測定平面(T1)に配置された少なくとも1つの第1~第4の巻線要素(20.1~20.4)を有し、
前記第1~第4の巻線要素(20.1~20.4)は、第1の平面(A1)および第2の平面(A2)において、前記第1~第4の巻線要素(20.1~20.4)が前記第1の基準点(O1)に関してそれぞれ対偶を成して前記第1および前記第2の変位方向(X,Y)に対向するように配置されており、前記第1の平面(A1)および前記第2の平面(A2)は、それぞれ前記基準軸線(O)に対して平行に延在し、前記第1の平面(A1)および前記第2の平面(A2)は、前記第1の基準点(O1)に関して、前記第2の変位方向(Y)に相互に間隔を置いて対向して配置されていることを特徴とする、センサ装置(10)。
2.
前記センサ装置(10)は、支持体(12)を有し、該支持体(12)は、前記第1~前記第4の巻線要素(20.1~20.4)が前記第1の平面(A1)および前記第2の平面(A2)において支持されるように構成されている、上記1のセンサ装置(10)。
3.
前記支持体(12)は、前記第1の平面(A1)に対して平行な第1の表面(B1)と、前記第2の平面(A2)に対して平行な第2の表面(B2)とを有する、上記2のセンサ装置(10)。
4.
前記支持体(12)は、基板のコアとして構成されている、上記2または3のセンサ装置(10)。
5.
前記支持体(12)は、前記第1~前記第4の巻線要素(20.1~20.4)を支持するための共通の単一の部分によって形成されている、上記2から4までのいずれか1項のセンサ装置(10)。
6.
前記支持体(12)は、前記第1~前記第4の巻線要素(20.1~20.4)を支持するための、相互に分離された2つの部分(12.1,12.2)を有し、両前記部分(12.1,12.2)は、少なくとも1つの別の部分(14.1)を介して相互に結合されている、上記2から4までのいずれか1つのセンサ装置(10)。
7.
前記支持体(12)は、凹部(16)を有する、上記2から6までのいずれか1つのセンサ装置(10)。
8.
前記凹部(16)は、前記基準軸線(O)に対して平行に前記支持体(12)を通って延在する、上記7記載のセンサ装置(10)。
9.
前記凹部(16)は、前記基準軸線(O)の方向に見て、前記第1の変位方向(X)に、前記第2の変位方向(Y)に対向する前記巻線要素(20.1,20.2)の第1の対偶と前記第2の変位方向(Y)に対向する前記巻線要素(20.3,20.4)の第2の対偶との間に延在するとともに、前記第2の変位方向(Y)に、前記第1の平面(A1)と前記第2の平面(A2)との間に延在する、上記7または8のセンサ装置(10)。
10.
前記第1の基準点(O1)は、前記凹部(16)の横断面の内側に位置する、上記7から9までのいずれか1つのセンサ装置(10)。
11.
前記第1~前記第4の巻線要素(20.1~20.4)は、前記第1の基準点(O1)に関して対称に配置されている、上記1から10までのいずれか1つのセンサ装置(10)。
12.
前記第1~前記第4の巻線要素(20.1~20.4)は、共通の構造体として、前記支持体(12)上に形成されている、上記2から11までのいずれか1つのセンサ装置(10)。
13.
前記センサ装置(10)は、前記第1の測定平面(T1)における変位量(ΔX1,ΔY1)が前記第1~前記第4の測定信号(S1~S4)に基づいて得られるように構成されている、上記1から12までのいずれか1つのセンサ装置(10)。
14.
上記1から13までのいずれか1つのセンサ装置(10)と、ワイヤ電極(1)とを備え、該ワイヤ電極(1)は、無変位状態で、前記基準軸線(O)に対して同軸に前記第1の基準点(O1)を通って延在する、ワイヤ放電加工機。
15.
前記ワイヤ放電加工機は、交流パルスを生成する信号発生器(3)を有し、前記ワイヤ電極(1)は、該ワイヤ電極(1)に交流パルスが印加されると、捕捉されるべき交番磁界(11)が生成されるように構成されている、上記14のワイヤ放電加工機。
【符号の説明】
【0055】
1 ワイヤ電極
3 信号発生器
4.1,4.2 評価ユニット
10 センサ装置
11 交番磁界
12 支持体
12.1,12.2 部分
14.1,14.2,14.21,14.22 部分
16 凹部
18 巻線要素配列体
20.1~20.8 巻線要素
22.1~22.8 基準巻線要素
A1,A2 平面
B1,B2 表面
C1~C2 表面
O 基準軸線
O1,O2 基準点
R1~R4 基準信号
S1~S8 信号
T1,T2 測定平面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10