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特許7470104中間ブレークスルー処理を用いたハイブリッドレーザスクライビング及びプラズマエッチング手法を使用するウエハダイシング
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】中間ブレークスルー処理を用いたハイブリッドレーザスクライビング及びプラズマエッチング手法を使用するウエハダイシング
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20240410BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
H01L21/78 Q
H01L21/78 S
H01L21/302 105A
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021512937
(86)(22)【出願日】2019-08-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-31
(86)【国際出願番号】 US2019044889
(87)【国際公開番号】W WO2020055523
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-08-01
(31)【優先権主張番号】62/730,827
(32)【優先日】2018-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/516,926
(32)【優先日】2019-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】レイ, ウェイ-ション
(72)【発明者】
【氏名】イートン, ブラッド
(72)【発明者】
【氏名】クマール, アジャイ
【審査官】境 周一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/151254(WO,A2)
【文献】特開2018-110217(JP,A)
【文献】特開2015-201643(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0287638(US,A1)
【文献】米国特許第09018079(US,B1)
【文献】米国特許第09012305(US,B1)
【文献】米国特許第08058181(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の集積回路を含む半導体ウエハをダイシングする方法であって、
前記集積回路を覆い保護する層を含むマスクを前記半導体ウエハの上に形成することと、
間隙を有するパターニングされたマスクを提供して、前記半導体ウエハの前記集積回路間の領域を露出させるために、レーザスクライビングプロセスで前記マスクをパターニングすることと、
前記マスクをパターニングした後に、Arが前記マスクに衝突する第1の物理的衝撃工程と、SF ガスを使用して等方性プラズマエッチングと指向性プラズマエッチングとが交互に反復して行われる第2の反復等方性及び指向性プラズマエッチング工程と、Ar及びSF ガスを使用して指向性プラズマエッチングが行われる第3の指向性ブレークスルー工程とを含むブレークスルー処理を実施することと、
前記ブレークスルー処理を実施した後に、前記集積回路を単一化するために、前記パターニングされたマスクの前記間隙を通して前記半導体ウエハをプラズマエッチングすることと
を含む方法。
【請求項2】
前記ブレークスルー処理の前記第1の物理的衝撃工程が、500Wを上回るソース電力で、00Wのバイアス電力を用いて10秒から120秒の持続時間にわたって実施される、Arのみの物理的衝撃プロセスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ブレークスルー処理の前記第1の物理的衝撃工程により、前記間隙から物理的に付着した破片が除去される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ブレークスルー処理の前記第2の反復等方性及び指向性プラズマエッチング工程が、SFガスのみを使用する反復等方性及び指向性プラズマエッチングプロセスを含み、前記指向性エッチングが、000Wのソース電力及び00Wのバイアス電力を使用して0.4から1.5秒の範囲の持続時間にわたって実施され、前記等方性エッチング部分は、Wのバイアス電力を使用して0.1から0.6秒の範囲の持続時間にわたって実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
5から60秒の範囲の総処理時間にわたる周期的エッチング処理を提供するために、前記等方性及び指向性プラズマエッチングプロセスが反復的に交互に行われる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ブレークスルー処理の前記第3の指向性ブレークスルー工程が、500Wのソース電力及び00WのバイアスでのAr及びSFガスの組み合わせを含み、3から10秒の範囲の持続時間にわたって実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
SFの総量が、SF/Arの総体積の0から40%である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ブレークスルー処理の前記第1の物理的衝撃工程が、500Wを上回るソース電力で、00Wのバイアス電力を用いて10秒から120秒の持続時間にわたって実施される、Arのみの物理的衝撃プロセスを含み、前記ブレークスルー処理の前記第2の反復等方性及び指向性プラズマエッチング工程は、SFガスのみを使用する反復等方性及び指向性プラズマエッチングプロセスを含み、前記指向性エッチングは、000Wのソース電力及び00Wのバイアス電力を使用して0.4から1.5秒の範囲の持続時間にわたって実施され、前記等方性エッチング部分は、Wのバイアス電力を使用して0.1から0.6秒の範囲の持続時間にわたって実施され、前記ブレークスルー処理の前記第3の指向性ブレークスルー工程は、500Wのソース電力と00WのバイアスでのArガス及びSFガスの組み合わせを含み、3から10秒の範囲の持続時間にわたって実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
複数の集積回路を含む半導体ウエハをダイシングするためのシステムであって、
ファクトリインターフェースと、
前記ファクトリインターフェースに連結され、レーザを含むレーザスクライブ装置と、
前記ファクトリインターフェースに連結され、ブレークスルー処理を実施するように構成された第1のプラズマエッチングチャンバであって、前記ブレークスルー処理は、Arがマスクに衝突する第1の物理的衝撃工程と、SF ガスを使用して等方性プラズマエッチングと指向性プラズマエッチングとが交互に反復して行われる第2の反復等方性及び指向性プラズマエッチング工程と、Ar及びSF ガスを使用して指向性プラズマエッチングが行われる第3の指向性ブレークスルー工程とを含む、第1のプラズマエッチングチャンバと、
前記ファクトリインターフェースに連結され、ディープシリコンプラズマエッチング工程を実施するように構成された第2のプラズマエッチングチャンバと
を備えるシステム。
【請求項10】
前記ブレークスルー処理の前記第1の物理的衝撃工程が、500Wを上回るソース電力で、00Wのバイアス電力を用いて10秒から120秒の持続時間にわたって実施される、Arのみの物理的衝撃プロセスを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記ブレークスルー処理の前記第1の物理的衝撃工程により、物理的に付着した破片が間隙から除去される、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記ブレークスルー処理の前記第2の反復等方性及び指向性プラズマエッチング工程は、SFガスのみを使用する反復等方性及び指向性プラズマエッチングプロセスを含み、前記指向性エッチングは、000Wのソース電力及び00Wのバイアス電力を使用して0.4から1.5秒の範囲の持続時間にわたって実施され、前記等方性エッチング部分は、Wのバイアス電力を使用して0.1から0.6秒の範囲の持続時間にわたって実施される、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
5から60秒の範囲の総処理時間にわたる周期的エッチング処理を提供するために、前記等方性及び指向性プラズマエッチングプロセスが反復的に交互に行われる、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記ブレークスルー処理の前記第3の指向性ブレークスルー工程は、500Wのソース電力及び00WのバイアスでのAr及びSFガスの組み合わせを含み、3から10秒の範囲の持続時間にわたって実施される、請求項9に記載のシステム。
【請求項15】
SFの総量が、SF/Arの総体積の0から40%である、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
複数の集積回路を含む半導体ウエハをダイシングする方法であって、
シリコン基板上に配置された集積回路を覆い保護するマスク層を、シリコン基板の上に形成することであって、前記集積回路は、低誘電率材料の層及び銅の層の上に配置された二酸化ケイ素の層を含む、ことと、
前記シリコン基板の前記集積回路間の領域を露出させるために、前記マスク層、前記二酸化ケイ素の層、前記低誘電率材料の層、前記銅の層、及び前記シリコン基板の一部をレーザスクライビングプロセスでパターニングすることと、
前記レーザスクライビングプロセスを実施した後に、ブレークスルー処理を実施することであって、前記ブレークスルー処理は、Arがマスクに衝突する第1の物理的衝撃工程と、SF ガスを使用して等方性プラズマエッチングと指向性プラズマエッチングとが交互に反復して行われる第2の反復等方性及び指向性プラズマエッチング工程と、Ar及びSF ガスを使用して指向性プラズマエッチングが行われる第3の指向性ブレークスルー工程とを含む、ことと、
前記ブレークスルー処理を実施した後に、前記集積回路を単一化するために、前記シリコン基板の露出領域を貫通して前記シリコン基板をプラズマエッチングすることと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年9月13日に出願された米国仮出願第62/730,827号の優先権を主張する2019年7月19日に提出された米国非仮出願第16/516,926号に対する優先権を主張するものである。これらの出願の内容は全て、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明の実施形態は、半導体処理の分野、特に、半導体ウエハをダイシングする方法に関し、各ウエハは、その上に複数の集積回路を有する。
【背景技術】
【0003】
半導体ウエハ処理では、シリコン又は他の半導体材料で構成されたウエハ(基板とも称される)上に集積回路が形成される。一般に、半導電性、導電性、又は絶縁性のいずれかである様々な材料の層が、集積回路を形成するために用いられる。これらの材料は、集積回路を形成するために、様々な周知のプロセスを使用してドープ、堆積、及びエッチングされる。各ウエハは、ダイスとして知られる集積回路を含む多数の個別の領域を形成するように処理される。
【0004】
集積回路形成プロセスに続いて、パッケージングのため、又はより大きな回路内でパッケージングされていない形態で使用するために、ウエハが「ダイシング」され、個別のダイが互いに分離される。ウエハダイシングに使用される2つの主な技法は、スクライビングと鋸引きである。スクライビングでは、ダイヤモンドチップスクライブを、事前に形成されたスクライブラインに沿ってウエハ表面を横切って移動させる。これらのスクライブラインは、ダイス間の間隔に沿って延在する。これらの間隔は一般に「ストリート」と称される。ダイヤモンドスクライブは、ストリートに沿ってウエハ表面に浅い引っかき傷を形成する。ローラー等を用いて圧力を加えると、ウエハはスクライブラインに沿って分離する。ウエハの切断は、ウエハ基板の結晶格子構造に沿ったものとなる。スクライビングは、厚さが約10ミル(1000分の1インチ)以下のウエハに使用され得る。より厚いウエハの場合、現在は、鋸引きがダイシングに好ましい方法である。
【0005】
鋸引きでは、毎分高回転で回転するダイヤモンドチップソーがウエハ表面に接触し、ストリートに沿ってウエハを鋸引きする。ウエハは、フィルムフレーム全体に張られた接着フィルム等の支持部材に装着され、ソーが垂直及び水平ストリートの両方に繰り返し適用される。スクライビング又は鋸引きの問題の1つは、ダイスの切断されたエッジに沿って切り屑や打こんが形成され得ることである。更に、亀裂が形成され、ダイスのエッジから基板に伝播し、集積回路が動作不能になる可能性がある。結晶構造の<110>方向にスクライブできるのは、正方形又は長方形のダイの一辺だけであるため、スクライビングでは特に、切り屑と亀裂が問題になる。この結果、ダイの他辺を劈開すると、ギザギザの分離線が生じる。切り屑と亀裂のために、集積回路への損傷を防ぐ、例えば、切り屑と亀裂を実際の集積回路から離れた場所に維持するにはウエハ上のダイス間に追加の間隔が必要である。間隔要件の結果として、標準サイズのウエハ上にそれほど多くのダイスを形成することができず、回路に使用できるはずのウエハの物的財産が無駄になる。ソーの使用は、半導体ウエハ上の物的財産の浪費を悪化させる。ソーの刃の厚さは約15ミクロンである。したがって、ソーによってできた切断部の周りの亀裂及びその他の損傷が集積回路に害を及ぼさないようにするためには、多くの場合、各ダイスの回路を300から500ミクロン分離させなければならない。更に、切断後、各ダイは、鋸引きプロセスから生じる粒子及びその他の汚染物質を除去するために、かなりの洗浄が必要である。
【0006】
プラズマダイシングも使用されているが、これにも制限があり得る。例えば、プラズマダイシングの実装を妨げる1つの制限はコストであり得る。レジストをパターニングするための標準的なリソグラフィ工程により、実装コストが法外に高くなり得る。プラズマダイシングの実装を妨げ得る別の制限は、ストリートに沿ったダイシングで一般的に遭遇する金属(銅等)のプラズマ処理が、生産の問題又はスループットの制限を引き起こし得ることである。
【発明の概要】
【0007】
本発明の実施形態は、半導体ウエハをダイシングする方法を含み、各ウエハは、その上に複数の集積回路を有する。
【0008】
一実施形態では、複数の集積回路を有する半導体ウエハをダイシングする方法は、集積回路を覆い保護する層を含むマスクを半導体ウエハの上に形成することを含む。間隙を有するパターニングされたマスクを提供して、半導体ウエハの集積回路間の領域を露出させるために、レーザスクライビングプロセスでマスクがパターニングされる。マスクをパターニングした後に、第1の物理的衝撃工程と、第2の反復等方性及び指向性プラズマエッチング工程と、第3の指向性ブレークスルー工程とを含むブレークスルー処理が実施される。ブレークスルー処理を実施した後に、集積回路を単一化するために、パターニングされたマスクの間隙を通して半導体ウエハがプラズマエッチングされる。
【0009】
別の実施形態では、複数の集積回路を有する半導体ウエハをダイシングするためのシステムは、ファクトリインターフェースを含む。レーザスクライブ装置は、ファクトリインターフェースに連結され、レーザを収容する。第1のプラズマエッチングチャンバは、ファクトリインターフェースに連結されてブレークスルー処理を実施するように構成され、ブレークスルー処理は、第1の物理的衝撃工程、第2の反復等方性及び指向性プラズマエッチング工程、及び第3の指向性ブレークスルー工程を含む。第2のプラズマエッチングチャンバは、ファクトリインターフェースに連結され、ディープシリコンプラズマエッチング工程を実施するように構成される。
【0010】
別の実施形態では、複数の集積回路を有する半導体ウエハをダイシングする方法は、シリコン基板上に配置された集積回路を覆い、保護するマスク層をシリコン基板の上に形成することを含む。集積回路は、低誘電率材料の層及び銅の層の上に配置された二酸化ケイ素の層を含む。本方法はまた、シリコン基板の集積回路間の領域を露出させるために、マスク層、二酸化ケイ素の層、低誘電率材料の層、銅の層、及びシリコン基板の一部をレーザスクライビングプロセスでパターニングすることを含む。レーザスクライビングプロセスを実施した後にブレークスルー処理が実施され、ブレークスルー処理は、第1の物理的衝撃工程、第2の反復等方性及び指向性プラズマエッチング工程、及び第3の指向性ブレークスルー工程も含む。ブレークスルー処理を実施した後に、集積回路を単一化するために、シリコン基板の露出領域を貫通してシリコン基板がプラズマエッチングされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】リソグラフィマスクパターニングプロセス後のマスクされたウエハを示す断面図である。
図1B】レーザスクライビングマスクパターニングプロセス後のマスクされたウエハを示す断面図である。
図2A】従来のBT処理と複数工程のBT処理との比較が提供される、本開示の一実施形態に係るレーザスクライブの工程を表す断面図である。
図2B】従来のBT処理と複数工程のBT処理との比較が提供される、本開示の一実施形態に係るブレークスルー(BT)処理の工程を表す断面図である。
図2C】従来のBT処理と複数工程のBT処理との比較が提供される、本開示の一実施形態に係るディーププラズマエッチングの工程を表す断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る、ダイシングされる半導体ウエハを示す上面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る、ダイシングマスクが形成されたダイシングされる半導体ウエハを示す上面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る、複数の集積回路を含む半導体ウエハをダイシングする方法の工程を表すフロー図である。
図6A】本発明の一実施形態に係る、図5のフロー図の工程502に対応する、半導体ウエハをダイシングする方法を実施中の複数の集積回路を含む半導体ウエハを示す断面図である。
図6B】本発明の一実施形態に係る、図5のフロー図の工程504に対応する、半導体ウエハをダイシングする方法を実施中の複数の集積回路を含む半導体ウエハを示す断面図である。
図6C】本発明の一実施形態に係る、図5のフロー図の工程508に対応する、半導体ウエハをダイシングする方法を実施中の複数の集積回路を含む半導体ウエハを示す断面図である。
図7】本発明の一実施形態に係る、より長いパルス時間に対するフェムト秒範囲のレーザパルスを使用することの効果を示す図である。
図8】本発明の一実施形態に係る、半導体ウエハ又は基板のストリート領域で使用され得る材料のスタックを示す断面図である。
図9】本発明の一実施形態に係る、結晶シリコン(c-Si)、銅(Cu)、結晶二酸化ケイ素(c-SiO)、及びアモルファス二酸化ケイ素(a-SiO)の光子エネルギーの関数としての吸収係数のプロットを含む図である。
図10】レーザパルスエネルギー、レーザパルス幅、及びレーザビーム半径の関数としての特定のレーザのレーザ強度の関係を示す方程式である。
図11A-B】本発明の一実施形態に係る、半導体ウエハをダイシングする方法の様々な工程を示す断面図である。
図11C-D】本発明の一実施形態に係る、半導体ウエハをダイシングする方法の様々な工程を示す断面図である。
図12】本発明の一実施形態に係る、ウエハ又は基板のレーザ及びプラズマダイシングのためのツールレイアウトを示すブロック図である。
図13】本発明の一実施形態に係る、例示的なコンピュータシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
各ウエハがその上に複数の集積回路を有する半導体ウエハをダイシングする方法が説明される。以下の説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するために、レーザスクライビング、ブレークスルーエッチング、及びプラズマエッチング条件及び材料レジーム等の多くの特定の詳細が記載される。本発明の実施形態がこれらの特定の詳細なしで実施され得ることは当業者には明らかであろう。他の例では、本発明の実施形態を不必要に不明瞭にしないために、集積回路製造等の周知の態様は詳細には説明されない。更に、図に示す様々な実施形態は例示的な表現であり、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではないことを理解されたい。
【0013】
ダイの単一化のために、中間のマスク開口後洗浄工程を有する、最初のレーザスクライブとそれに続くプラズマエッチングを含むハイブリッドウエハ又は基板ダイシングプロセスが実行され得る。レーザスクライブプロセスを使用して、マスク層、有機及び無機誘電体層、及びデバイス層がきれいに除去され得る。次に、レーザエッチングプロセスが、ウエハ又は基板の露光又は部分エッチングで終了し得る。次に、ダイシングプロセスのプラズマエッチング部分を用いてバルク単結晶シリコン等のウエハ又は基板のバルクを貫通してエッチングして、ダイ又はチップの単一化又はダイシングが行われ得る。
【0014】
本明細書に記載の1又は複数の実施形態は、レーザスクライビングによって作成されたエッチング開口部を備えた半導体ウエハのプラズマダイシングの方法を対象とする。
【0015】
背景を提供するために、ハイブリッドウエハダイシングプロセスでは、マスクコーティングされたウエハ上のシリコン(Si)基板材料の上のスタック層を除去するために、第1のレーザスクライブプロセスを導入する。次に、事前に開けたダイシングストリートに沿って貫通する厚さのトレンチを形成するために、プラズマエッチングプロセスを実行する。プラズマエッチングプロセスは2つの工程を含む。1つは、シリコンのプラズマエッチングが妥当な品質とスループットで進行するレベルまで、事前に開けたトレンチ表面を洗浄する「ブレークスルー」(BT)工程である。しかしながら、スタックの不均一性により、ダイシングストリートに沿った構造(位置合わせマーク、テストパターン等)は、各層の材料の種類と厚さの点で異なる場合がある。その結果、ダイシングストリートに沿った様々な位置でレーザスクライビングプロセスによってアブレーションされた不均一なトレンチの深さとトレンチの清浄度が得られるのが普通である。BT工程は、異物を除去し、Si表面を露出させて、スムーズなプラズマエッチングプロセスを可能にすることを目的とする。ただし、従来のBTプロセスでは、特定のバイアス電力を用い、ArとSFの混合ガスを使用する指向性プラズマエッチングが採用されている。Arガスは物理的衝撃に採用され、SFは主に化学エッチングに使用される。どちらのガスも、「Si」以外の異物を除去することを目的としている。
【0016】
上記のアプローチは、滑らかなSi表面に非常に少量のPRマスクが残るため、Si貫通ビア(TSV)エッチングプロセス等の一般的なプラズマエッチング用途のためのリソグラフィで作成されたフォトレジスト(PR)マスク開口部には適している。ただし、上記のBTアプローチの使用は、PR又は非PRマスクコーティングされたウエハへのレーザスクライビングによって作成されたエッチング開口部に使用される場合に、大きな課題に直面する。特に、レーザプロセスによって形成された非常に粗いトレンチの形成と、トレンチ内に存在するマスク、金属、及び誘電体残留物との組み合わせで、基板との冶金学的接続が形成され得るという問題が発生する。BT時間を追加する、又は高いソース電力又はバイアス電力を使用する、あるいはガス流量を増やすだけでは、開口部の十分な洗浄が達成されず、ウエハ全体のマスク(厚さ)の消費に大きなコストがかかり得ることが分かった。
【0017】
図1Aは、リソグラフィマスクパターニングプロセス後のマスクされたウエハを示す断面図である。図1Aを参照すると、ウエハ102は、リソグラフィプロセスによってパターニングされたマスク104をその上に有する。滑らかなウエハ表面106が露出している。マスク104の残留物108は、滑らかな(鏡面平坦な)ウエハ表面106上に堆積され得る。ブレークスルー(BT)処理は、マスク残留物108が滑らかなウエハ表面106に緩く付着しているため、マスク残留物108の除去にうまく機能し得る。
【0018】
図1Bは、レーザスクライビングマスクパターニングプロセス後のマスクされたウエハを示す断面図である。図1Bを参照すると、ウエハ152は、レーザスクライビングプロセスによってパターニングされたマスク154をその上に有する。そのプロセスにおいてトレンチ156が形成される。マスク104の残留物158は、トレンチ156に堆積され得る。トレンチ156は非常に粗いトレンチであり、鏡面平坦にはほど遠いため、ブレークスルー(BT)処理は、マスク残留物158の除去にうまく機能しないことが分かった。例えば、マスク残留物158の一部は、内部に閉じ込められて溶融してから再固化した誘電体及びSi材料であり得る。開いたトレンチ156の表面には、金属(例えば、デバイス層から)、誘電体、Si溶融物、及びマスク残留物があり得るが、一部のマスク残留物158は、これらの材料によって埋め込まれるか又は閉じ込められ得る。本質的に、マスク除去後のBT工程において、トレンチ156表面全体のマイクロスケールエッチング、及び閉じ込められたマスク残留物158の掘り出し又は除去。
【0019】
本開示の一実施形態によれば、ブレークスルー(BT)プロセスは、(1)BTステップ中の顕著な消費からマスクを保護する、(2)従来のBT時間を短縮又は維持する、(3)高品質のハイスループットエッチングに適したクリーンなトレンチ開口部を達成するという利点を伴って実行される。スクライブされたトレンチの粗い波状プロファイルのために、指向性プラズマ衝撃/エッチングを介した従来のBTは、波状の細部にまで対処しないことが示されていることを理解すべきである。その結果、BTプラズマビームに直接暴露されていない汚染物質や破片は、時間が長くなっても除去されない可能性がある。
【0020】
更なる背景を提供するために、シリコン貫通ビア(TSV)プラズマエッチング又はプラズマウエハダイシング、及びその他の高アスペクト比のディープシリコン(Si)トレンチエッチング用途では多くの場合、マスクがウエハ表面上に接着され、パターニングされる。パターニングされた領域では、マスクが除去され、下にあるSi基板(SiO層を含み得る)が露出する。プラズマエッチング中、パターニングされた領域に露出したSi基板がプラズマエッチングされ、パターニングされていない領域はマスク層によって保護される。プラズマダイシングの品質(側壁プロファイル等)とスループットに影響を与える1つの問題は、パターニングされた領域の清浄度である。パターニングされた領域には多くの場合、マスクの残留物、レーザスクライビングからの破片(例えば、ハイブリッドレーザスクライビングとプラズマエッチングの単一化プロセスの場合)、又は露出したSi表面上の他の種類の汚染が存在する。マスク残留物又は破片は、プラズマエッチングプロセスに影響を及ぼし、エッチング液がマスク残留物又は破片の下のSiに到達するのを阻害することにより、微小の芝生(micro grass)等の欠陥を伴う不完全なエッチングプロファイルを引き起こし得る。
【0021】
本開示の一実施形態によれば、複数工程のブレークスルー(BT)プロセスが実施される。一実施形態では、ブレークスルー処理は、第1の物理的衝撃工程、第2の反復等方性及び指向性プラズマエッチング工程、及び第3の指向性ブレークスルー工程を含み、それらの例示的な実施形態を以下に説明する。
【0022】
図2A~2Cは、従来のBT処理と複数工程のBT処理との比較が提供される、本開示の一実施形態に係るレーザスクライブ、ブレークスルー(BT)処理、及びディーププラズマエッチングの様々な工程を表す断面図である
【0023】
図2Aを参照すると、シリコン基板202は、その上にマスク204を有する。レーザスクライブ206が、マスク204を通して、部分的にシリコン基板202に形成されている。
【0024】
図2Bのパート(a)を参照すると、図2Aの構造に従来のブレークスルー(BT)プロセスが行われ、スクライブされたウエハ212A、処理されたマスク214A、及びBT処理されたトレンチ216Aが形成されている。従来のBTプロセスは約4分間実施され、Ar衝撃プロセスを含む。対照的に、図2Bのパート(b)を参照すると、図2Aの構造に、本開示の一実施形態に係る複数工程のブレークスルー(BT)処理が行われ、スクライブされたウエハ212B、処理されたマスク214B、及びBT処理されたトレンチ216Bが形成されている。複数工程のBT処理は約25秒間実施される。複数工程のBT処理の例を以下に説明する。
【0025】
図2Cの部分(a)を参照すると、図2Bの部分(a)の構造に、ディーププラズマエッチングが行われ、エッチングされたウエハ222A、プラズマ衝撃されたマスク224A、及び深いトレンチ226Aが形成されている。深いトレンチ226Aは、トレンチの底部に芝生の特徴を含む欠陥を有する。図2Cの部分(b)を参照すると、図2Bの部分(b)の構造にディーププラズマエッチングが行われ、エッチングされたウエハ222B、プラズマ衝撃されたマスク224B、及び深いトレンチ226Bが形成されている。深いトレンチ226Bは非常に滑らかで、欠陥が少ない、あるいはまったくない。
【0026】
より具体的には、一実施形態において、ハイブリッドレーザスクライビング及びプラズマエッチングダイ単一化プロセスのためのマスク開口後洗浄が、単一化プロセスのレーザスクライビング及びプラズマエッチングの態様の中間の別個の工程として使用される。マスク開口後洗浄は、レーザスクライビングとプラズマエッチング工程の間に実施されるブレークスルー(BT)プラズマエッチングプロセスとも称され得る。
【0027】
より広い背景を提供するために、従来のウエハダイシングアプローチは、純粋に機械的な分離に基づくダイヤモンドソー切断、最初のレーザスクライビングとそれに続くダイヤモンドソーダイシング、又はナノ秒又はピコ秒レーザダイシングを含む。50ミクロンの厚さのバルクシリコンの単一化等の薄いウエハ又は基板の単一化の場合、従来のアプローチではプロセス品質が低くなる。薄いウエハ又は基板からダイを単一化するときに直面し得る課題のいくつかには、微小亀裂の形成又は異なる層間の層間剥離、無機誘電体層のチッピング、厳密な切断カーフ幅制御の保持、又は正確なアブレーション深さ制御が含まれ得る。本発明の実施形態は、上記課題の1又は複数を克服するのに有用であり得るハイブリッドレーザスクライビング及びプラズマエッチングダイ単一化アプローチを含む。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、レーザスクライビングとプラズマエッチングの組み合わせを使用して、半導体ウエハが個別化された又は単一化された集積回路にダイシングされる。一実施形態では、フェムト秒ベースのレーザスクライビングは、完全でないにしても、本質的に非熱的プロセスとして使用される。例えば、フェムト秒ベースのレーザスクライビングは、熱損傷ゾーンがない又は無視できる程度で局所化され得る。一実施形態では、本明細書のアプローチは、超低誘電率フィルムを有する単一化された集積回路に使用される。従来のダイシングでは、上記低誘電率フィルムに対応するために鋸の速度を落とす必要があり得る。更に、半導体ウエハは、多くの場合、ダイシングの前に薄化され得る。したがって、一実施形態では、マスクパターニングと、フェムト秒ベースのレーザを用いた部分的なウエハスクライビングと、それに続くプラズマエッチングプロセスとの組み合わせが、現在、実用的である。一実施形態では、レーザを用いて直接書き込むことで、フォトレジスト層のリソグラフィパターニング工程の必要性を排除することができ、非常に少ないコストで実行が可能である。一実施形態では、貫通ビアタイプのシリコンエッチングを使用して、プラズマエッチング環境でダイシングプロセスが完了する。
【0029】
したがって、本発明の一態様では、レーザスクライビングとプラズマエッチングの組み合わせを使用して、半導体ウエハが単一化された集積回路にダイシングされ得る。図3は、本発明の一実施形態に係る、ダイシングされる半導体ウエハを示す上面図である。図4は、本発明の一実施形態に係る、ダイシングマスクが形成されたダイシングされる半導体ウエハを示す上面図である。図3を参照すると、半導体ウエハ300は、集積回路を含む複数の領域302を有する。領域302は、垂直ストリート304及び水平ストリート306によって分離されている。ストリート304及び306は、集積回路を含まない半導体ウエハの領域であり、ウエハがそれに沿ってダイシングされる場所として設計されている。本発明の幾つかの実施形態は、ダイスが個別のチップ又はダイに分離されるように、ストリートに沿って半導体ウエハを通してトレンチを切断するためのレーザスクライブ及びプラズマエッチング技術の組み合わせの使用を含む。レーザスクライブとプラズマエッチングプロセスはいずれも結晶構造の配向に依存しないため、ダイシングされる半導体ウエハの結晶構造は、ウエハを通る垂直トレンチを実現するのに重要ではない可能性がある。
【0030】
図4を参照すると、半導体ウエハ300は、半導体ウエハ300上に堆積されたマスク400を有する。マスク400、及び場合によって半導体ウエハ300の一部は、レーザスクライビングプロセスでパターニングされて、半導体ウエハ300がダイシングされるストリート304及び306に沿った場所(例えば、間隙402及び404)を画定する。半導体ウエハ300の集積回路領域は、マスク400によって覆われ、保護されている。マスク400の領域406は、後続のエッチングプロセス中に、集積回路がエッチングプロセスによって劣化しないように配置される。したがって、水平間隙404及び垂直間隙402が領域406の間に形成され、エッチングプロセス中にエッチングされて最終的に半導体ウエハ300がダイシングされる領域を画定する。本明細書に記載の実施形態によれば、プラズマ洗浄工程は、レーザスクライビングに続くが、個別の集積回路302を単一化するために使用されるプラズマエッチングの前に実施される。プラズマ洗浄工程は、マスク400の水平間隙404及び垂直間隙402によって露出した半導体ウエハ300の部分に対して反応性又は非反応性であり得る。
【0031】
図5は、本発明の一実施形態に係る、複数の集積回路を含む半導体ウエハをダイシングする方法の工程を表すフロー図500である。図6A図6Cは、本発明の一実施形態に係る、フロー図500の工程に対応する、半導体ウエハをダイシングする方法を実施中の複数の集積回路を含む半導体ウエハを示す断面図である。
【0032】
フロー図500の工程502、及び対応する図6Aを参照すると、半導体ウエハ又は基板604の上にマスク602が形成される。マスク602は、半導体ウエハ604の表面に形成された集積回路606を覆い保護する層で構成される。マスク602はまた、各集積回路606間に形成された介在するストリート607を覆う。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、マスク602を形成することは、フォトレジスト層又はI線パターニング層等であるがこれらに限定されない層を形成することを含む。例えば、フォトレジスト層等のポリマー層は、リソグラフィプロセスでの使用に適した材料で構成され得る。一実施形態では、フォトレジスト層は、非限定的に、248ナノメートル(nm)レジスト、193nmレジスト、157nmレジスト、極紫外線(EUV)レジスト、又はジアゾナフトキノン増感剤を含むフェノール樹脂マトリクス等のポジ型フォトレジスト材料で構成される。別の実施形態では、フォトレジスト層は、非限定的に、ポリシスイソプレン及びポリビニルシンナマート等のネガ型フォトレジスト材料から構成される。
【0034】
別の実施形態では、マスク602を形成することは、プラズマ堆積プロセスで堆積された層を形成することを含む。例えば、上記一実施形態では、マスク602は、プラズマ堆積されたテフロン又はテフロン様(ポリマーCF)層から構成される。特定の実施形態では、ポリマーCF層は、ガスCを含むプラズマ堆積プロセスで堆積される。
【0035】
別の実施形態では、マスク602を形成することは、水溶性マスク層を形成することを含む。一実施形態では、水溶性マスク層は、水性媒体に容易に溶解する。例えば、一実施形態では、水溶性マスク層は、アルカリ性溶液、酸性溶液、又は脱イオン水に溶解する材料の1又は複数から構成される。一実施形態では、水溶性マスク層は、摂氏約50から160度の範囲で加熱する等の加熱プロセスに暴露されても、その水溶性を維持する。例えば、一実施形態では、水溶性マスク層は、レーザ及びプラズマエッチング単一化プロセスで使用されるチャンバ条件への曝露後に水溶液に溶解する。一実施形態では、水溶性マスク層は、非限定的に、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、デキストラン、ポリメタクリル酸、ポリエチレンイミン、又はポリエチレンオキシド等の材料から構成される。特定の実施形態では、水溶性マスク層は、水溶液中で約1から15ミクロン/分の範囲、より具体的には約1.3ミクロン/分のエッチング速度を有する。
【0036】
別の実施形態では、マスク602を形成することは、UV硬化性マスク層を形成することを含む。一実施形態では、マスク層は、UV硬化性層の接着性を少なくとも約80%低下させるUV光に対する感受性を有する。上記一実施形態では、UV層は、ポリ塩化ビニル又はアクリルベースの材料から構成される。一実施形態では、UV硬化性層は、UV光への曝露時に弱くなる接着特性を有する材料又は材料のスタックから構成される。一実施形態では、UV硬化性接着フィルムは、約365nmのUV光に敏感である。上記一実施形態では、この感光度により、硬化を実施するためのLED光の使用が可能になる。
【0037】
一実施形態では、半導体ウエハ又は基板604は、製造プロセスに耐えるのに適した材料で構成され、その上に半導体処理層が適切に配置され得る。例えば、一実施形態では、半導体ウエハ又は基板604は、結晶シリコン、ゲルマニウム、又はシリコン/ゲルマニウム等であるがこれらに限定されない、グループIVベースの材料から構成される。特定の実施形態では、半導体ウエハ604を提供することは、単結晶シリコン基板を提供することを含む。特定の実施形態では、単結晶シリコン基板は、不純物原子でドープされる。別の実施形態では、半導体ウエハ又は基板604は、例えば、発光ダイオード(LED)の製造に使用されるIII-V材料基板等のIII-V材料から構成される。
【0038】
一実施形態では、半導体ウエハ又は基板604は、集積回路606の一部として、半導体デバイスのアレイをその上又はその中に配置している。上記半導体デバイスの例には、メモリデバイス又はシリコン基板に製造され、誘電体層に包まれた相補型金属酸化膜半導体(CMOS)トランジスタが含まれるが、これらに限定されない。複数の金属相互接続は、デバイス又はトランジスタの上、及び周囲の誘電体層内に形成され得、デバイス又はトランジスタを電気的に結合して集積回路606を形成するために使用され得る。ストリート607を構成する材料は、集積回路606を形成するために使用される材料と類似又は同じであり得る。例えば、ストリート607は、誘電体材料、半導体材料、及びメタライゼーションの層から構成され得る。一実施形態では、ストリート607のうちの1又は複数は、集積回路606の実際のデバイスと同様のテストデバイスを含む。
【0039】
フロー図500の工程504、及び対応する図6Bを参照すると、マスク602がレーザスクライビングプロセスでパターニングされて、間隙610を備えたパターニングされたマスク608が提供され、半導体ウエハ又は基板604の集積回路606間の領域が露出する。したがって、レーザスクライビングプロセスは、集積回路606間に元々形成されたストリート607から材料を除去するために使用される。本発明の一実施形態によれば、レーザスクライビングプロセスでマスク602をパターニングすることは、図6Bに示すように、半導体ウエハ604の集積回路606間の領域に部分的にトレンチ612を形成することを含む。
【0040】
一実施形態では、レーザスクライビングプロセスでマスク606をパターニングすることは、フェムト秒範囲のパルス幅を有するレーザを使用することを含む、すなわち、フェムト秒ベースのレーザスクライビングプロセスが使用される。具体的には、可視スペクトルに加えて紫外線(UV)及び赤外線(IR)範囲(合わせて広帯域光スペクトル)の波長を有するレーザを使用して、フェムト秒ベースのレーザ、すなわち、フェムト秒(10-15秒)の長さのパルス幅を備えたレーザが提供され得る。一実施形態では、アブレーションは、波長に依存しない、又は本質的に依存せず、したがって、マスク602、ストリート607、及び場合によって半導体ウエハ又は基板604の一部のフィルム等の複雑なフィルムに適している。
【0041】
図7は、本発明の一実施形態に係る、より長い周波数に対するフェムト秒範囲のレーザパルスを使用することの効果を示す図である。図7を参照すると、フェムト秒範囲のパルス幅のレーザを使用することにより、熱損傷の問題が軽減又は排除される(例えば、ビア700Cのフェムト秒処理で損傷702Cが最小又はゼロ)のに対し、より長いパルス幅(例えば、ビア700Bのピコ秒処理による損傷702B及びビア700Aのナノ秒処理による重大な損傷702A)。ビア700Cの形成中の損傷の排除又は軽減は、図7に示すように、低エネルギー再結合(ピコ秒ベースのレーザアブレーションで見られる)又は熱平衡(ナノ秒ベースのレーザアブレーションで見られる)の欠如が原因であり得る。
【0042】
パルス幅等のレーザパラメータの選択は、クリーンなレーザスクライブ切断を実現すべく、チッピング、マイクロクラック、層間剥離を最小限に抑える効果的なレーザスクライビング及びダイシングプロセスを開発するために重要のものであり得る。レーザスクライブ切断がクリーンであるほど、最終的なダイ単一化のために実施されるエッチングプロセスがスムーズになり得る。半導体デバイスウエハでは、通常、様々な種類(例えば、導体、絶縁体、半導体)及び厚さの材料の多くの機能層がその上に配置される。上記材料は、非限定的に、ポリマー、金属等の有機材料、又は二酸化ケイ素及び窒化ケイ素等の無機誘電体を含み得る。
【0043】
ウエハ又は基板に配置された個別の集積回路間のストリートは、集積回路自体と同様又は同じ層を含み得る。例えば、図8は、本発明の一実施形態に係る、半導体ウエハ又は基板のストリート領域で使用され得る材料のスタックを示す断面図である。図8を参照すると、ストリート領域800は、可能な相対的厚さが図示された、シリコン基板の上部802、第1の二酸化ケイ素層804、第1のエッチング停止層806、第1の低誘電率誘電体層808(例えば、二酸化ケイ素の誘電率4.0を下回る誘電率を有する)、第2のエッチング停止層810、第2の低誘電率誘電体層812、第3のエッチング停止層814、ドープされていないシリカガラス(USG)層816、第2の二酸化ケイ素層818、及びマスク層820を含む。銅メタライゼーション822は、第1及び第3のエッチング停止層806及び814の間に、第2のエッチング停止層810を貫通して配置される。特定の実施形態では、第1、第2、及び第3のエッチング停止層806、810、及び814は窒化ケイ素で構成され、低誘電率誘電体層808及び812は、炭素ドープ酸化ケイ素材料で構成される。
【0044】
従来のレーザ照射(ナノ秒ベース又はピコ秒ベースのレーザ照射等)では、ストリート800の材料は、光吸収及びアブレーションメカニズムの点でまったく異なる反応を示す。例えば、二酸化ケイ素等の誘電体層は、通常の条件下で、市販されているすべてのレーザ波長に対して本質的に透明である。対照的に、金属、有機物(例えば、低誘電率材料)、及びシリコンは、特にナノ秒ベース又はピコ秒ベースのレーザ照射に応答して、光子を非常に簡単に結合し得る。例えば、図9は、結晶シリコン(c-Si、902)、銅(Cu、904)、結晶二酸化ケイ素(c-SiO、906)、及びアモルファス二酸化ケイ素(a-SiO、908)の光子エネルギーの関数としての吸収係数のプロット900を含む。図10は、レーザパルスエネルギー、レーザパルス幅、及びレーザビーム半径の関数としての所定のレーザのレーザ強度の関係を示す方程式1000である。
【0045】
一実施形態では、方程式1000及び吸収係数のプロット900を使用して、無機及び有機誘電体、金属、及び半導体材料の一般的なエネルギー吸収特性が特定の条件下では大きく異なる可能性があっても、無機及び有機誘電体、金属、及び半導体に本質的に共通のアブレーション効果を有するようなフェムト秒レーザベースのプロセスパラメータが選択され得る。例えば、二酸化ケイ素の吸収率は非線形であり、適切なレーザアブレーションパラメータの下で、有機誘電体、半導体、及び金属の吸収率とより一致させることができる。上記一実施形態では、高強度で短いパルス幅のフェムト秒ベースのレーザプロセスを使用して、二酸化ケイ素層と有機誘電体、半導体、又は金属の1又は複数を含む層のスタックをアブレーションする。特定の実施形態では、フェムト秒ベースのレーザ照射プロセスにおいて約400フェムト秒以下のパルスを使用して、マスク、ストリート、及びシリコン基板の一部を除去する。
【0046】
対照的に、最適でないレーザパラメータが選択された場合、無機誘電体、有機誘電体、半導体、又は金属の2つ以上を含むスタック構造では、レーザアブレーションプロセスによって層間剥離の問題が発生し得る。例えば、レーザは、測定可能な吸収なしに、高バンドギャップエネルギー誘電体(約9eVバンドギャップの二酸化ケイ素等)を透過する。しかしながら、レーザエネルギーは、下にある金属又はシリコン層に吸収されて、金属又はシリコン層の著しい気化を引き起こし得る。気化により高圧が発生し、上にある二酸化ケイ素誘電体層が浮き上がり、深刻な層間剥離や微小亀裂が引き起こされ得る。一実施形態では、ピコ秒ベースのレーザ照射プロセスは、複雑なスタックにおいて微小亀裂及び層間剥離をもたらすが、フェムト秒ベースのレーザ照射プロセスは、同じ材料スタックの微小亀裂又は層間剥離をもたらさないことが実証されている。
【0047】
誘電体層を直接アブレーションできるようにするために、誘電体材料のイオン化を発生させて、それらが光子を強く吸収することによって導電性材料と同様の反応を示すようにする必要があり得る。吸収により、誘電体層の最終的なアブレーションの前に、レーザエネルギーの大部分が下にあるシリコン又は金属層に透過することが妨げられ得る。一実施形態では、無機誘電体のイオン化は、レーザ強度が無機誘電体材料の光子イオン化及び衝突電離を開始させるのに十分に高い場合に適している。
【0048】
本発明の一実施形態によれば、適切なフェムト秒ベースのレーザプロセスは、通常、様々な材料において非線形相互作用をもたらす高いピーク強度(放射照度)によって特徴付けられる。上記一実施形態では、フェムト秒レーザ光源は、約10フェムト秒から500フェムト秒の範囲、好ましくは100フェムト秒から400フェムト秒の範囲のパルス幅を有する。一実施形態では、フェムト秒レーザ光源は、約1570ナノメートルから200ナノメートルの範囲、好ましくは540ナノメートルから250ナノメートルの範囲の波長を有する。一実施形態では、レーザ及び対応する光学システムは、作業面に約3ミクロンから15ミクロンの範囲、好ましくは約5ミクロンから10ミクロンの範囲の焦点を提供する。
【0049】
作業面の空間的ビームプロファイルは、単一モード(ガウス)であり得る、又は成形されたシルクハットプロファイルを有し得る。一実施形態では、レーザ光源は、約200kHzから10MHzの範囲、好ましくは約500kHzから5MHzの範囲のパルス繰り返し率を有する。一実施形態では、レーザ光源は、約0.5uJから100uJの範囲、好ましくは約1uJから5uJの範囲のパルスエネルギーを作業面に送達する。一実施形態では、レーザスクライビングプロセスは、約500mm/秒から5m/秒の範囲、好ましくは約600mm/秒から2m/秒の範囲の速度でワークピース表面に沿って実施される。
【0050】
スクライビングプロセスは、単一パスのみ、又は複数パスで実施され得るが、一実施形態では、好ましくは1から2パスである。一実施形態では、ワークピースのスクライビング深さは、約5ミクロンから50ミクロンの範囲の深さ、好ましくは約10ミクロンから20ミクロンの深さの範囲である。レーザは、所定のパルス繰り返し率での単一パルスの列又はパルスバーストの列のいずれかに適用され得る。一実施形態では、生成されるレーザビームの切断カーフ幅は、約2ミクロンから15ミクロンの範囲であるが、シリコンウエハのスクライビング/ダイシングでは、デバイス/シリコン界面で測定して、好ましくは約6ミクロンから10ミクロンの範囲である。
【0051】
レーザパラメータは、無機誘電体(二酸化ケイ素等)のイオン化を達成し、無機誘電体を直接アブレーションする前に下層の損傷によって引き起こされる層間剥離とチッピングを最小限に抑えるのに十分高いレーザ強度を提供する等の利点と強みを有するように選択され得る。また、正確に制御されたアブレーション幅(例えば、切断カーフ幅)及び深さを有して、産業用途に有意義なプロセススループットを提供するようにパラメータが選択され得る。上記のように、フェムト秒ベースのレーザは、ピコ秒ベース及びナノ秒ベースのレーザアブレーションプロセスと比較して、上記の強みを提供するのにはるかに適している。しかしながら、フェムト秒ベースのレーザアブレーションのスペクトルでも、特定の波長が他よりも優れた性能を提供する場合がある。例えば、一実施形態では、UV範囲に近い又はUV範囲にある波長を有するフェムト秒ベースのレーザプロセスは、IR範囲に近い又はIR範囲にある波長を有するフェムト秒ベースのレーザプロセスよりもクリーンなアブレーションプロセスを提供する。上記の特定の実施形態では、半導体ウエハ又は基板のスクライビングに適したフェムト秒ベースのレーザプロセスは、約540ナノメートル以下の波長を有するレーザに基づく。上記の特定の実施形態では、約540ナノメートル以下の波長を有するレーザの約400フェムト秒以下のパルスが使用される。しかしながら、代替の実施形態では、デュアルレーザ波長(例えば、IRレーザとUVレーザの組み合わせ)が使用される。
【0052】
ここで、フロー図500の工程506を参照し、再び図6Bを参照すると、中間のブレークスルー処理が実施される。一実施形態では、中間のブレークスルー処理は、プラズマベースのプロセスである。一実施形態では、ブレークスルー処理は、第1の物理的衝撃工程、第2の反復等方性及び指向性プラズマエッチング工程、及び第3の指向性ブレークスルー工程を含む。
【0053】
一実施形態では、第1の物理的衝撃工程は、比較的高いソース電力(例えば、約1500Wを超える)及びバイアス電力(例えば、約200W)を用いた、10秒を上回る最大約120秒の持続時間にわたるArのみの物理的衝撃である。第1の物理的衝撃工程は、レーザスクライブされたトレンチの内側から明らかに物理的に付着した破片を除去する。更に、非トレンチ開口領域でのマスク層の凝縮がこのプロセスで発生する可能性があり、これによりマスクのエッチング耐性が高まりやすくなり得る。
【0054】
一実施形態では、第2の反復等方性及び指向性プラズマエッチング工程は、SFガスのみを使用する反復等方性及び指向性プラズマエッチングプロセスを含む。一実施形態では、指向性エッチングは、約1000Wのソース電力及び約200Wのバイアス電力を使用して、0.4から1.5秒の範囲の持続時間にわたって実施される。等方性エッチング部分は、0.1から0.6秒の範囲の持続時間の間バイアスされていない(0Wバイアス電力)。等方性プラズマエッチングプロセスと指向性プラズマエッチングプロセスが交互に繰り返され、5から60秒の範囲の合計処理時間において周期的なエッチング処理が提供される。一実施形態では、エッチングプロセスの等方性部分は、処理の指向性プラズマエッチング部分に直接暴露されていない波状の細部の洗浄を可能にする。
【0055】
一実施形態では、第3の指向性ブレークスルー工程は、約1500Wのソース電力及び約200WのバイアスでのAr及びSFガスの組み合わせの使用を含む。一実施形態では、第3の指向性ブレークスルー工程は、3から10秒の範囲の持続時間にわたって実施される。特定の実施形態では、SFの総量は、SF/Arの総体積の50%未満であり、特定の実施形態では、SF/Arの総体積の約20~40%である。
【0056】
フロー図500の工程508、及び対応する図6Cを参照すると、半導体ウエハ604は、パターニングされたマスク608の間隙610を通してエッチングされ、集積回路606が単一化される。本発明の一実施形態によれば、半導体ウエハ604のエッチングは、図6Cに示すように、最終的に半導体ウエハ604を貫通して完全にエッチングするために、レーザスクライビングプロセスで形成された(そして場合により反応性マスク開口後の洗浄工程で延長された)トレンチ612のエッチングを含む。
【0057】
一実施形態では、半導体ウエハ604のエッチングは、プラズマエッチングプロセスを使用することを含む。一実施形態では、シリコン貫通ビアタイプのエッチングプロセスが使用される。例えば、特定の実施形態では、半導体ウエハ604の材料のエッチング速度は、毎分25ミクロンを上回る。ダイ単一化プロセスのプラズマエッチング部分に超高密度プラズマ源が使用され得る。上記プラズマエッチングプロセスを実施するのに適したプロセスチャンバの例は、米国カリフォルニア州サニーベールのアプライドマテリアルズ社から入手可能なApplied Centura(登録商標)Silvia(商標)Etchシステムである。Applied Centura(登録商標)Silvia(商標)Etchシステムは、容量性及び誘導性RF結合を組み合わせており、磁気増強によって改善された場合でも、容量性結合のみの場合よりもはるかに独立したイオン密度とイオンエネルギーの制御が可能である。この組み合わせにより、イオンエネルギーからイオン密度を効果的に分離できるため、非常に低い圧力でも、損傷を与える可能性のある高いDCバイアスレベルなしで比較的高密度のプラズマが実現可能である。これにより、プロセスウィンドウが非常に広くなる。しかしながら、シリコンをエッチングすることができる任意のプラズマエッチングチャンバが使用可能である。例示的な実施形態では、ディープシリコンエッチングを使用して、本質的に正確なプロファイル制御及び実質的にスカラップのない側壁を維持しながら、従来のシリコンエッチング速度の約40%を上回るエッチング速度で単結晶シリコン基板又はウエハ604がエッチングされる。特定の実施形態では、シリコン貫通ビアタイプのエッチングプロセスが使用される。エッチングプロセスは、反応性ガスから生成されたプラズマに基づいており、反応性ガスは、一般に、SF、C、CHF、XeF等のフッ素ベースのガス、又は比較的速いエッチング速度でシリコンをエッチングできる他の任意の反応性ガスである。一実施形態では、マスク層608は、図6Cに示すように、単一化プロセスの後に除去される。
【0058】
別の実施形態では、図6Cに関連して説明するプラズマエッチング工程は、従来のボッシュタイプの堆積/エッチング/堆積プロセスを使用して、基板604を貫通してエッチングする。一般に、ボッシュタイプのプロセスは、堆積、指向性衝撃エッチング、及びシリコンが完全にエッチングされるまで何度も繰り返して行われる(サイクル)等方性化学エッチングの3つの副工程で構成される。ただし、ボッシュプロセスの結果として、側壁の表面は、図2Aに示すように、粗くなり得るスカラップ構造になる。これは特に、レーザスクライビングプロセスが、リソグラフィで定義されたエッチングプロセスが達成するよりもはるかに粗い開口トレンチを生成する場合の効果である。上記の粗いダイのエッジは、予想よりも低いダイ破断強さにつながる。更に、ボッシュプロセスの堆積副ステップにおいてフッ素が豊富なテフロンタイプの有機フィルムが生成され、エッチングフロントが進むにつれて側壁から除去されないすでにエッチングされた側壁が保護される(通常、上記ポリマーは異方的にエッチングされたトレンチの底部から定期的に除去されるのみである)。したがって、異方性ボッシュタイプのプラズマエッチング工程後の集積回路は、単一化された形態である。続いて、一実施形態では、等方性化学湿式エッチング又はプラズマエッチングを適用して、側壁から基板(例えば、シリコン)の薄層を穏やかにエッチングすることによって側壁を滑らかにする。一実施形態では、エッチングの等方性部分は、側壁平滑化処理のためのエッチング液としてのNF及びCFの組み合わせから生成されたプラズマに基づく。また、1000W等のより高いバイアス電力が使用される。一実施形態では、側壁平滑化のためのエッチング液としてNFとCFの組み合わせから生成されたプラズマを使用する利点は、より低い等方性エッチング速度(約0.15μm/分以下)にあり、平滑化処理がより制御可能である。高バイアス電力を適用して、比較的高い指向性エッチング速度を達成し、側壁のリッジ又は縁をエッチング除去する。
【0059】
したがって、フロー図500及び図6A図6Cを再び参照すると、ウエハダイシングは、マスク層を貫通し、ウエハストリート(メタライゼーションを含む)を貫通し、部分的にシリコン基板に入る最初のレーザアブレーションによって実施され得る。レーザパルス幅は、フェムト秒の範囲で選択され得る。次に、マスク開口後プラズマ洗浄工程が実施され得る。次に、後続のシリコン貫通ディーププラズマエッチングによってダイの単一化が完了され得る。本発明の一実施形態に係る、ダイシング用の材料スタックの特定の例を、図11A図11Dに関連して以下に説明する。
【0060】
図11Aを参照すると、ハイブリッドレーザアブレーション及びプラズマエッチングダイシングのための材料スタックは、マスク層1102、デバイス層1104、及び基板1106を含む。マスク層、デバイス層、及び基板は、バッキングテープ1110に貼り付けられたダイアタッチフィルム1108の上に配置されている。一実施形態では、マスク層1102は、マスク602に関連して上述したように、フォトレジスト層、プラズマ堆積テフロン層、水溶性層、又はUV硬化性層である。デバイス層1104は、1又は複数の金属層(銅層等)及び1又は複数の低誘電率誘電体層(炭素ドープ酸化物層等)の上に配置された無機誘電体層(二酸化ケイ素等)を含む。デバイス層1104はまた、集積回路間に配置されたストリートを含み、ストリートは、集積回路と同じ又は類似の層を含む。基板1106は、バルク単結晶シリコン基板である。
【0061】
一実施形態では、バルク単結晶シリコン基板1106は、ダイアタッチフィルム1108に貼り付けられる前に、裏側から薄化される。薄化は、裏側研磨プロセスによって実施され得る。一実施形態では、バルク単結晶シリコン基板1106は、約50から100ミクロンの範囲の厚さに薄化される。一実施形態では、薄化することは、レーザアブレーション、プラズマ洗浄、及びプラズマエッチングダイシングプロセスの前に実施されることに留意することが重要である。一実施形態では、マスク層1102は約5ミクロンの厚さを有し、デバイス層1104は約2から3ミクロンの範囲の厚さを有する。一実施形態では、ダイアタッチフィルム1108(又は薄化された又は薄いウエハ又は基板をバッキングテープ1110に結合させ得る任意の適切な代替物)は、約20ミクロンの厚さを有する。
【0062】
図11Bを参照すると、フェムト秒ベースのレーザスクライビングプロセス1112等のレーザスクライビングプロセスでマスク1102、デバイス層1104、及び基板1106の一部がパターニングされ、基板1106のトレンチ1114が形成される。図11Cを参照すると、シリコン貫通ディーププラズマエッチングプロセス1116を使用して、トレンチ1114をダイアタッチフィルム1108まで延長させ、ダイアタッチフィルム1108の上部を露出させ、シリコン基板1106を単一化する。デバイス層1104は、シリコン貫通ディーププラズマエッチングプロセス1116の間、マスク層1102によって保護される。一実施形態では、ブレークスルー処理は、レーザスクライビングプロセス1112の後、及びシリコン貫通ディーププラズマエッチングプロセス1116の前に実施される。一実施形態では、ブレークスルー処理は、第1の物理的衝撃工程、第2の反復等方性及び指向性プラズマエッチング工程、及び第3の指向性ブレークスルー工程を含み、これらの例示的な実施形態は上記に記載されている。
【0063】
図11Dを参照すると、単一化プロセスは、ダイアタッチフィルム1108のパターニング、バッキングテープ1110の上部の露出、及びダイアタッチフィルム1108の単一化を更に含み得る。一実施形態では、ダイアタッチフィルムは、レーザプロセス又はエッチングプロセスによって単一化される。更なる実施形態は、その後、基板1106の単一化された部分を(例えば、個別の集積回路として)バッキングテープ1110から取り外すことを含み得る。一実施形態では、単一化されたダイアタッチフィルム1108は、基板1106の単一化された部分の裏側に保持される。他の実施形態は、デバイス層1104からマスキング層1102を除去することを含み得る。一実施形態では、単一化された集積回路は、パッケージングのためにバッキングテープ1110から取り外される。上記一実施形態では、パターニングされたダイアタッチフィルム1108は、各集積回路の裏側に保持され、最終パッケージに含まれる。しかしながら、別の実施形態では、パターニングされたダイアタッチフィルム1108は、単一化プロセス中又はその後に除去される。
【0064】
単一のプロセスツールは、ハイブリッドレーザアブレーション、プラズマ洗浄、及びプラズマエッチング単一化プロセスの多く又はすべての工程を実施するように構成され得る。例えば、図12は、本発明の一実施形態に係る、ウエハ又は基板のレーザ及びプラズマダイシングのためのツールレイアウトを示すブロック図である。
【0065】
図12を参照すると、プロセスツール1200は、複数のロードロック1204が連結されたファクトリインターフェース1202(FI)を含む。クラスタツール1206は、ファクトリインターフェース1202に連結されている。クラスタツール1206は、プラズマエッチングチャンバ1208等の1又は複数のプラズマエッチングチャンバを含む。レーザスクライブ装置1210もまた、ファクトリインターフェース1202に連結されている。プロセスツール1200の全体的な接地面積は、一実施形態では、図12に示すように、約3500ミリメートル(3.5メートル)×約3800ミリメートル(3.8メートル)であり得る。
【0066】
一実施形態では、レーザスクライブ装置1210は、フェムト秒ベースのレーザを収容する。フェムト秒ベースのレーザは、上記レーザアブレーションプロセス等の、ハイブリッドレーザ及びエッチング単一化プロセスのレーザアブレーション部分を実施するのに適している。一実施形態では、フェムト秒ベースのレーザに対してウエハ又は基板(又はそのキャリア)を移動させるように構成された可動ステージもレーザスクライブ装置1200に含まれる。特定の実施形態では、フェムト秒ベースのレーザも可動である。レーザスクライブ装置1210の全体的な接地面積は、一実施形態では、図12に示すように、約2240ミリメートル×約1270ミリメートルであり得る。
【0067】
一実施形態では、1又は複数のプラズマエッチングチャンバ1208は、パターニングされたマスクの間隙を通してウエハ又は基板をエッチングし、複数の集積回路を単一化するように構成される。上記一実施形態では、1又は複数のプラズマエッチングチャンバ1208は、ディープシリコンエッチングプロセスを実施するように構成される。特定の実施形態では、1又は複数のプラズマエッチングチャンバ1208は、米国カリフォルニア州サニーベールのアプライドマテリアルズ社から入手可能なApplied Centura(登録商標)Silvia(商標)Etchシステムである。エッチングチャンバは、単結晶シリコン基板又はウエハ上又は中に収容された単一集積回路を作成するために使用されるディープシリコンエッチング用に特別に設計され得る。一実施形態では、高密度プラズマ源がプラズマエッチングチャンバ1208に含まれ、高いシリコンエッチング速度を促進する。一実施形態では、複数のエッチングチャンバがプロセスツール1200のクラスタツール1206部分に含まれ、単一化又はダイシングプロセスの高い製造スループットを可能にする。しかしながら、別の実施形態では、専用のプラズマエッチングチャンバは、ブレークスルー処理を実施するために構成される。一実施形態では、ブレークスルー処理は、第1の物理的衝撃工程、第2の反復等方性及び指向性プラズマエッチング工程、及び第3の指向性ブレークスルー工程を含み、これらの例示的な実施形態が上記に記載される。
【0068】
ファクトリインターフェース1202は、レーザスクライブ装置1210を備えた外部製造施設とクラスタツール1206との間のインターフェースに適した大気ポートであり得る。ファクトリインターフェース1202は、ウエハ(又はそのキャリア)をストレージユニット(前方開口型統一ポッド等)からクラスタツール1206又はレーザスクライブ装置1210、あるいはその両方に移送するためのアーム又はブレードを備えたロボットを含み得る。
【0069】
クラスタツール1206は、単一化の方法における機能を実施するのに適した他のチャンバを含み得る。例えば、一実施形態では、追加のエッチングチャンバの代わりに、堆積チャンバ1212が含まれる。堆積チャンバ1212は、ウエハ又は基板のレーザスクライビングの前に、ウエハ又は基板のデバイス層上又はその上方にマスク堆積させるように構成され得る。上記一実施形態では、反応性プラズマ洗浄工程を実施するための別個のエッチングチャンバが含まれ、堆積チャンバ1212は、フォトレジスト(PR)の層又はプラズマ堆積テフロンの層を堆積させるのに適している。別のそのような実施形態では、非反応性プラズマ洗浄工程を実施するために別個のエッチングチャンバが含まれ、堆積チャンバ1212は、水溶性材料の層を堆積させるのに適している。別の実施形態では、追加のエッチングチャンバの代わりに、湿式/乾式ステーション1214が含まれる。湿式/乾式ステーションは、基板又はウエハのレーザスクライブ及びプラズマエッチング単一化プロセスに続いて、残留物及びフラグメントを洗浄するため、又はマスクを除去するために適し得る。一実施形態では、計測ステーションもまた、プロセスツール1200の構成要素として含まれる。
【0070】
本発明の実施形態は、コンピュータシステム(又は他の電子デバイス)をプログラムして本発明の実施形態に係るプロセスを実施するために使用され得る命令を格納した機械可読媒体を含み得るコンピュータプログラム製品又はソフトウェアとして提供され得る。一実施形態では、コンピュータシステムは、図12に関連して説明したプロセスツール1200に結合される。機械可読媒体は、機械(例えば、コンピュータ)によって可読の形式で情報を格納又は送信するための任意の機構を含む。例えば、機械可読(例えば、コンピュータ可読)媒体は、機械(例えば、コンピュータ)可読記憶媒体(例えば、読み取り専用メモリ(「ROM」)、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス等)、機械(例えば、コンピュータ)可読伝送媒体(電気、光、音響、又は他の形態の伝播信号(例えば、赤外線信号、デジタル信号等))等を含む。
【0071】
図13は、コンピュータシステム1300の例示的な形態の機械を示す概略図であり、その内部で、機械に本明細書に記載の方法論のいずれか1又は複数を実施させるための命令のセットが実行され得る。代替の実施形態では、機械は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、イントラネット、エクストラネット、又はインターネット内の他の機械に接続(例えば、ネットワーク化)され得る。機械は、クライアントサーバネットワーク環境ではサーバ又はクライアントマシンの容量で動作し得る、又はピアツーピア(又は分散)ネットワーク環境ではピアマシンとして動作し得る。機械は、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、携帯情報端末(PDA)、携帯電話、Webアプライアンス、サーバ、ネットワークルータ、スイッチ、又はブリッジ、又はその機械によって実行されるアクションを指定する命令のセット(連続的又はその他)を実施できる任意の機械であり得る。更に、単一の機械のみを図示したが、「機械」という用語はまた、本明細書に記載の方法論の任意の1又は複数を実施するための命令のセット(又は複数のセット)を個別に又は共同で実行する任意の機械(例えば、コンピュータ)の集合を含むと解釈されるべきである。
【0072】
例示的なコンピュータシステム1300は、バス1330を介して互いに通信する、プロセッサ1302、メインメモリ1304(例えば、読み取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、同期DRAM(SDRAM)又はRambus DRAM(RDRAM)等のダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)等)、静的メモリ1306(例えば、フラッシュメモリ、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)等)、及び二次メモリ1318(例えば、データストレージデバイス)を含む。
【0073】
プロセッサ1302は、マイクロプロセッサ、中央処理装置等の1又は複数の汎用処理デバイスを表す。より具体的には、プロセッサ1302は、複雑命令セットコンピューティング(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令ワード(VLIW)マイクロプロセッサ、他の命令セットを実行するプロセッサ、又は命令セットの組み合わせを実行するプロセッサであり得る。プロセッサ1302はまた、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサ等のような1又は複数の専用処理デバイスであり得る。プロセッサ1302は、本明細書に記載の工程を実施するための処理ロジック1326を実行するように構成される。
【0074】
コンピュータシステム1300は、ネットワークインターフェースデバイス1308を更に含み得る。コンピュータシステム1300はまた、ビデオディスプレイユニット1310(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオードディスプレイ(LED)、又はブラウン管(CRT))、英数字入力デバイス1312(例えば、キーボード)、カーソル制御デバイス1314(例えば、マウス)、及び信号生成デバイス1316(例えば、スピーカー)も含み得る。
【0075】
二次メモリ1318は、本明細書に記載の方法論又は機能の1又は複数を具体化する1又は複数の命令のセット(例えば、ソフトウェア1322)が格納される、機械アクセス可能な記憶媒体(又はより具体的にはコンピュータ可読記憶媒体)1331を含み得る。ソフトウェア1322はまた、コンピュータシステム1300による実行中に、メインメモリ1304内及び/又はプロセッサ1302内に完全に又は少なくとも部分的に存在し得、メインメモリ1304及びプロセッサ1302もまた機械可読記憶媒体を構成する。ソフトウェア1322は更に、ネットワークインターフェースデバイス1308を介してネットワーク1320を介して送信又は受信され得る。
【0076】
機械アクセス可能な記憶媒体1331は、例示的な実施形態では単一の媒体として図示したが、「機械可読記憶媒体」という用語は、1又は複数の命令のセットを格納する単一の媒体又は複数の媒体(例えば、集中型又は分散型データベース、及び/又は関連するキャッシュとサーバ)を含むと解釈されるべきである。「機械可読記憶媒体」という用語はまた、機械によって実行するための命令のセットを記憶又は符号化することができ、機械に本発明の方法論のいずれか1又は複数を実施させる任意の媒体を含むと解釈されるべきである。したがって、「機械可読記憶媒体」という用語は、非限定的に、固体メモリ、ならびに光及び磁気媒体を含むと解釈されるべきである。
【0077】
本発明の一実施形態によれば、機械アクセス可能な記憶媒体には、データ処理システムに複数の集積回路を有する半導体ウエハをダイシングする方法を実施させる命令が記憶されている。本方法は、集積回路を覆い保護する層を含むマスクを半導体ウエハの上に形成することを含む。間隙を有するパターニングされたマスクを提供して、半導体ウエハの集積回路間の領域を露出させるために、レーザスクライビングプロセスでマスクがパターニングされる。マスクをパターニングした後に、第1の物理的衝撃工程と、第2の反復等方性及び指向性プラズマエッチング工程と、第3の指向性ブレークスルー工程とを含むブレークスルー処理が実施される。ブレークスルー処理を実施した後に、集積回路を単一化するために、パターニングされたマスクの間隙を通して半導体ウエハがプラズマエッチングされる。
【0078】
したがって、各ウエハが複数の集積回路を有する半導体ウエハをダイシングする方法が開示されている。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10
図11A-B】
図11C-D】
図12
図13