(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】電圧コントラストウェーハ検査におけるフラッド帯電及び像形成のための共同電子光学カラム
(51)【国際特許分類】
H01J 37/28 20060101AFI20240410BHJP
H01J 37/244 20060101ALI20240410BHJP
H01J 37/06 20060101ALI20240410BHJP
H01J 37/12 20060101ALI20240410BHJP
H01J 37/147 20060101ALI20240410BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
H01J37/28 B
H01J37/244
H01J37/06 A
H01J37/12
H01J37/147 B
H01L21/66 J
(21)【出願番号】P 2021533474
(86)(22)【出願日】2019-12-13
(86)【国際出願番号】 US2019066116
(87)【国際公開番号】W WO2020123886
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-12-07
(32)【優先日】2018-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャン シンロン
(72)【発明者】
【氏名】シアーズ クリストファー
【審査官】後藤 慎平
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-099540(JP,A)
【文献】特開2002-353279(JP,A)
【文献】米国特許第10096447(US,B1)
【文献】特表2002-524827(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/00-37/36
H01J 27/00-27/26
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走査電子顕微鏡法システムであって、
電子光学サブシステムであって、
電子ビームを発生するように構成された電子源と、
前記電子ビームを試料まで導くように構成された電子光学カラムであって、前記電子光学カラムは、
第1レンズ及び第2レンズを含む二重レンズアセンブリと、
前記二重レンズアセンブリの前記第1レンズと前記第2レンズとの間に配設されたビーム制限開口と、
を備える、電子光学カラムと、
前記試料の表面から散乱させられた電子を検出するように構成された検出器アセンブリと、
を備える、電子光学サブシステムと、
前記電子光学サブシステムに通信可能に結合された制御器であって、前記制御器は、メモリに記憶された1組のプログラム命令を実行するように構成された1つ又は複数のプロセッサを含み、前記プログラム命令は、前記1つ又は複数のプロセッサに、
前記電子光学サブシステムにフラッディング電子ビームを形成させて、前記フラッディング電子ビームを用いて前記試料の一部分の1つ又は複数のフラッディング走査を実行させるように構成された1つ又は複数の制御信号を発生するステップと、
前記電子光学サブシステムに結像電子ビームを形成させて、前記結像電子ビームを用いて前記試料の前記一部分の1つ又は複数の結像走査を実行させるように構成された1つ又は複数の制御信号を発生するステップと、
前記1つ又は複数の結像走査中に前記検出器アセンブリによって取得された1つ又は複数の像を受け取るステップと、
前記1つ又は複数の像に基づいて前記試料の1つ又は複数の特性を決定するステップ
であり、前記試料の表面下の不可視欠陥に起因する誘電率差により生じる表面電圧の変動によって前記不可視欠陥を検出するステップと、
を行わせるように構成されている、制御器と、
を備える走査電子顕微鏡法システム。
【請求項2】
前記フラッディング電子ビームは、前記試料の前記一部分の1つ又は複数の層内に電圧コントラストを誘導するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記フラッディング電子ビームは、フラッディング電子ビーム電流(BC
f)と、フラッディング放出角度(β
f)と、を含み、前記結像電子ビームは、結像電子ビーム電流(BC
i)と、結像
電子ビーム放出角度(β
i)と、を含み、
前記フラッディング電子ビーム電流(BC
f)は、前記結像電子ビーム電流(BC
i)よりも大きい、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記フラッディング電子ビーム電流(BC
f)は、前記結像電子ビーム電流(BC
i)よりも少なくとも10倍大きい、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記フラッディング放出角度(β
f)は、前記結像電子ビーム放出角度(β
i)よりも大きい、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記1つ又は複数のフラッディング走査は、フラッディングモードで実行され、前記1つ又は複数の結像走査は、結像モードで実行され、
前記1つ又は複数のプロセッサは、前記ビーム制限開口の1つ又は複数の特性を選択的に調節することによって、前記フラッディングモードと前記結像モードとの間で前記電子光学サブシステムを切り換えるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記ビーム制限開口の前記1つ又は複数の特性は、前記ビーム制限開口のサイズ、又は前記第1レンズと前記第2レンズとの間での前記ビーム制限開口の位置のうちの少なくとも1つを含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記電子光学サブシステムは、前記試料から発する電子を前記検出器アセンブリまで導くように構成されたウィーンフィルタを更に備え、前記制御器は、前記フラッディングモード及び前記結像モードで、前記ウィーンフィルタを一定強度で作動させるように構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記フラッディング電子ビームと前記結像電子ビームの両方は、前記電子光学カラムによって前記電子源から前記試料まで導かれる、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記電子光学サブシステムは、開口を更に備え、前記二重レンズアセンブリは、前記電子源から前記電子ビームを受け取って、前記電子ビームを前記開口まで導くように構成されている、請求項
3に記載のシステム。
【請求項11】
前記制御器は、前記開口の1つ又は複数の特性を選択的に調節することにより、前記結像電子ビーム電流(BC
i)を調節するように更に構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記二重レンズアセンブリは、第1銃レンズと、第2銃レンズと、を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記二重レンズアセンブリは、銃レンズと、静電レンズと、を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記1つ又は複数の電子光学要素は、前記二重レンズアセンブリの前記第1レンズと前記第2レンズとの間に配設されたビーム制限開口を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記制御器は、前記ビーム制限開口の1つ又は複数の特性を選択的に調節するように構成された1つ又は複数の制御信号を発生することにより、前記電子光学カラムを通して導かれる最大電子ビーム電流を選択するように更に構成されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記電子源は、熱電界放出(TFE)電子源又は冷電界放出(CFE)電子源のうちの少なくとも1つを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記1つ又は複数のフラッディング走査又は前記1つ又は複数の結像走査のうちの少なくとも1つを実行するステップは、
前記試料の前記一部分を1つ又は複数の横方向ストリップに分割するステップであって、前記1つ又は複数の横方向ストリップは、横方向長さ(L)及び帯走査高さ(H)を含む、ステップと、
前記フラッディング電子ビーム又は前記結像電子ビームのうちの少なくとも1つを前記横方向長さ(L)について複数の反復で前記帯走査高さ(H)について垂直方向帯走査パターンに沿って走査するステップと、
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記1つ又は複数のフラッディング走査又は前記1つ又は複数の結像走査のうちの少なくとも1つを実行するステップは、
前記試料の前記一部分を第1横方向ストリップと少なくとも1つの追加の横方向ストリップとに分割するステップであって、前記第1横方向ストリップ及び前記少なくとも1つの追加の横方向ストリップは、横方向長さ(L)及び帯走査高さ(H)を含む、ステップと、
前記フラッディング電子ビーム又は前記結像電子ビームのうちの少なくとも1つを前記帯走査高さ(H)について前記第1横方向ストリップにわたって垂直方向帯走査パターンに沿って走査するステップであって、同時に前記試料の前記一部分を前記第1横方向ストリップの前記横方向長さ(L)に沿った第1横方向に沿って動かす、ステップと、
前記フラッディング電子ビーム又は前記結像電子ビームのうちの少なくとも1つを前記帯走査高さ(H)について前記少なくとも1つの追加の横方向ストリップにわたって垂直方向帯走査パターンに沿って走査するステップであって、同時に前記試料の前記一部分を前記少なくとも1つの追加の横方向ストリップの前記横方向長さ(L)に沿った前記第1横方向とは反対の第2横方向に沿って動かす、ステップと、
を含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記1つ又は複数のフラッディング走査又は前記1つ又は複数の結像走査のうちの少なくとも1つを実行するステップは、
前記試料の前記一部分を第1一次視野(PFOV)と少なくとも1つの追加の一次視野(PFOV)とに分割するステップと、
前記第1PFOVの前記1つ又は複数のフラッディング走査を実行するステップと、
前記第1PFOVの複数のサブ視野(SFOV)にわたってラスタ走査パターンに沿って前記結像電子ビームを走査することによって、前記第1PFOVの前記1つ又は複数の結像走査を実行するステップと、
前記試料を選択的に動かすステップと、
前記少なくとも1つの追加のPFOVの前記1つ又は複数のフラッディング走査を実行するステップと、
前記少なくとも1つの追加のPFOVの複数のサブ視野(SFOV)にわたってラスタ走査パターンに沿って前記結像電子ビームを走査することによって、前記少なくとも1つの追加のPFOVの前記1つ又は複数の結像走査を実行するステップと、
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記第1PFOV又は前記少なくとも1つの追加のPFOVのうちの少なくとも1つのサイズは、前記フラッディング電子ビームのスポットサイズよりも小さい、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記制御器は、前記1つ又は複数の決定された特性に基づいて、1つ又は複数のプロセスツールの1つ又は複数の特性を選択的に調節するように構成された1つ又は複数の制御信号を発生するように更に構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
走査電子顕微鏡法システムであって、
電子光学サブシステムに通信可能に結合された制御器であって、前記制御器は、メモリに記憶された1組のプログラム命令を実行するように構成された1つ又は複数のプロセッサを含み、前記プログラム命令は、前記1つ又は複数のプロセッサに、
前記電子光学サブシステムにフラッディングモードでフラッディング電子ビームを形成させて、前記フラッディング電子ビームを用いて試料の一部分の1つ又は複数のフラッディング走査を実行させるように構成された1つ又は複数の制御信号を発生するステップと、
前記電子光学サブシステムのビーム制限開口の1つ又は複数の特性を選択的に調節するように構成された1つ又は複数の制御信号を発生するステップであって、それにより、前記電子光学サブシステムを前記フラッディングモードから結像モードに切り換え、前記ビーム制限開口は、二重レンズアセンブリの第1レンズと第2レンズとの間に配設されている、ステップと、
前記電子光学サブシステムに前記結像モードで結像電子ビームを形成させて、前記結像電子ビームを用いて前記試料の前記一部分の1つ又は複数の結像走査を実行させるように構成された1つ又は複数の制御信号を発生するステップと、
前記1つ又は複数の結像走査中に、前記電子光学サブシステムの検出器アセンブリによって取得された1つ又は複数の像を受け取るステップと、
前記1つ又は複数の像に基づいて前記試料の1つ又は複数の特性を決定するステップ
であり、前記試料の表面下の不可視欠陥に起因する誘電率差により生じる表面電圧の変動によって前記不可視欠陥を検出するステップと、
を行わせるように構成されている、制御器
を備える走査電子顕微鏡法システム。
【請求項23】
方法であって、
フラッディングモードの電子光学サブシステムを用いてフラッディング電子ビームを形成するステップと、
前記フラッディング電子ビームを用いて試料の一部分の1つ又は複数のフラッディング走査を実行するステップと、
前記電子光学サブシステムのビーム制限開口の1つ又は複数の特性を調節するステップであって、それにより、前記電子光学サブシステムを前記フラッディングモードから結像モードに切り替える、ステップと、
前記結像モードの前記電子光学サブシステムを用いて結像電子ビームを形成するステップと、
前記結像電子ビームを用いて前記試料の前記一部分の1つ又は複数の結像走査を実行するステップと、
前記1つ又は複数の結像走査中に前記試料の前記一部分の1つ又は複数の像を取得するステップと、
前記1つ又は複数の像に基づいて前記試料の1つ又は複数の特性を決定するステップ
であり、前記試料の表面下の不可視欠陥に起因する誘電率差により生じる表面電圧の変動によって前記不可視欠陥を検出するステップと、
を含む、方法。
【請求項24】
前記フラッディング電子ビームは、フラッディング電子ビーム電流(BC
f)及びフラッディング放出角度(β
f)を含み、前記結像電子ビームは、結像電子ビーム電流(BC
i)及び結像
電子ビーム放出角度(β
i)を含み、
前記フラッディング電子ビーム電流(BC
f)は、前記結像電子ビーム電流(BC
i)よりも大きい、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記フラッディング電子ビーム電流(BC
f)は、前記結像電子ビーム電流(BC
i)よりも少なくとも10倍大きく、前記フラッディング放出角度(β
f)は、前記結像電子ビーム放出角度(β
i)よりも大きい、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ビーム制限開口の前記1つ又は複数の特性は、前記ビーム制限開口のサイズ、又は二重レンズアセンブリの第1レンズと第2レンズとの間での前記ビーム制限開口の位置のうちの少なくとも1つを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記1つ又は複数の結像走査を実行するステップは、
前記試料の前記一部分を1つ又は複数の横方向ストリップに分割するステップであって、前記1つ又は複数の横方向ストリップは、横方向長さ(L)及び帯走査高さ(H)を含む、ステップと、
前記結像電子ビームを前記横方向長さ(L)ついて複数の反復で前記帯走査高さ(H)について垂直方向帯走査パターンに沿って走査するステップと、
を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記1つ又は複数の結像走査は、
前記試料の前記一部分を第1横方向ストリップと少なくとも1つの追加の横方向ストリップとに分割するステップであって、前記第1横方向ストリップ及び前記少なくとも1つの追加の横方向ストリップは、横方向長さ(L)及び帯走査高さ(H)を含む、ステップと、
前記帯走査高さ(H)について前記第1横方向ストリップにわたって垂直方向帯走査パターンに沿って前記結像電子ビームを走査するステップであって、同時に前記第1横方向ストリップの前記横方向長さ(L)に沿った第1横方向に沿って前記試料の前記一部分を動かす、ステップと、
前記帯走査高さ(H)について前記少なくとも1つの追加の横方向ストリップにわたって垂直方向帯走査パターンに沿って前記結像電子ビームを走査するステップであって、同時に前記少なくとも1つの追加の横方向ストリップの前記横方向長さ(L)に沿った前記第1横方向とは反対の第2横方向に沿って前記試料の前記一部分を動かす、ステップと、
を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記1つ又は複数の結像走査は、
前記試料の前記一部分を第1一次視野(PFOV)と少なくとも1つの追加の一次視野(PFOV)とに分割するステップと、
前記第1PFOVの前記1つ又は複数のフラッディング走査を実行するステップと、
前記第1PFOVの複数のサブ視野(SFOV)にわたってラスタ走査パターンに沿って前記結像電子ビームを走査することによって、前記第1PFOVの前記1つ又は複数の結像走査を実行するステップと、
前記試料を選択的に動かすステップと、
前記少なくとも1つの追加のPFOVの前記1つ又は複数のフラッディング走査を実行するステップと、
前記少なくとも1つの追加のPFOVの複数のサブ視野(SFOV)をわたってラスタ走査パターンに沿って前記結像電子ビームを走査することによって、前記少なくとも1つの追加のPFOVの前記1つ又は複数の結像走査を実行するステップと、
を含む、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して電子ビームに基づく検査及び精査に関し、より具体的には、フラッド帯電及び像形成を実行するためのジョイント電子光学カラムに関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、米国仮特許出願第62/780,190号の米国特許法第119条(e)の定めによる利益を主張し、この出願は、2018年12月14日に出願され、名称が「JOINT ELECTRON OPTICAL COLUMNS FOR FLOOD CHARGING AND IMAGE FORMING IN VOLTAGE CONTRAST WAFER INSPECTIONS」であり、発明者がXinrong Jiang及びChristopher Searsであり、そして、全体として参照によって本明細書に組み込まれる。
【0003】
自動化検査及び精査システムが、半導体及び関連するマイクロエレクトロニクス産業のためのプロセス制御及び収益管理において重要である。かかる検査及び精査システムは、半導体デバイスの欠陥(例えば、求められない構造又は不純物)を識別するように構成された光学及び電子ビームに基づくシステムを含んでもよい。欠陥は、概して破滅的欠陥(例えば「キラー」欠陥)及びニューサンス欠陥に分類されることがある。破滅的欠陥とは、半導体デバイス上の集積回路の動作に影響を及ぼす欠陥として定義されてもよく、一方、ニューサンス欠陥とは、集積回路の動作に有害な影響を及ぼさない欠陥として定義されてもよい。
【0004】
従来の形態的ウェーハ検査システムは、破滅的欠陥とニューサンス欠陥との間の区別を行わない。それに加えて、形態的ウェーハ検査システムは、典型的には、何らかの形式の精査に、動作可能な集積回路についての合格歩留をもたらすことになる半導体ウェーハが不合格にされないように保証することを求める。それと比べて、電圧コントラストウェーハ検査システムが、破滅的欠陥とニューサンス欠陥とを識別して区別する改善された性能を示すことがある。しかし、従来の電圧コントラストウェーハ検査システムは、大型で高価な電子光学システムを必要とし、そして、連続するフラッディング電子ビームと結像電子ビームとの間の電子光学要素の再編成を必要とすることがある。更に、従来の電圧コントラストウェーハ検査システムの構造的構成が、電圧コントラスト検査中に不良な像形成分解能をもたらすことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2017/0287675号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのため、上記の従来手法の不足内容のうちの1つ又は複数のものを改良するシステム及び方法を提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
走査電子顕微鏡法システムが開示される。実施形態では、走査電子顕微鏡法システムは、電子光学サブシステムと、電子光学サブシステムに通信可能に結合された制御器と、を含む。電子光学サブシステムは、電子ビームを発生するように構成された電子源と、電子ビームを試料まで導くように構成された電子光学カラムと、を含んでもよい。電子光学カラムは、第1レンズ及び第2レンズを含む二重レンズアセンブリと、第1レンズと第2レンズとの間に配設されたビーム制限開口と、を含んでもよい。電子光学サブシステムは、試料の表面から散乱させられた電子を検出するように構成された検出器アセンブリを更に含んでもよい。実施形態では、走査電子顕微鏡法システムの制御器は、電子光学サブシステムにフラッディング電子ビームを形成させて、フラッディング電子ビームを用いて試料の一部分の1つ又は複数のフラッディング走査を実行させるように構成された1つ又は複数の制御信号を発生するステップと、電子光学サブシステムに結像電子ビームを形成させて、結像電子ビームを用いて試料の一部分の1つ又は複数の結像走査を実行させるように構成された1つ又は複数の制御信号を発生するステップと、1つ又は複数の結像走査中に検出器アセンブリによって取得された1つ又は複数の像を受け取るステップと、1つ又は複数の像に基づいて試料の1つ又は複数の特徴を決定するステップと、を行うように構成されてもよい。
【0008】
走査電子顕微鏡法システムが開示される。実施形態では、走査電子顕微鏡法システムは、電子光学サブシステムに通信可能に結合された制御器を含み、制御器は、メモリに記憶された1組のプログラム命令を実行するように構成された1つ又は複数のプロセッサを含み、プログラム命令は、1つ又は複数のプロセッサに、電子光学サブシステムにフラッディング電子ビームを形成させて、フラッディング電子ビームを用いて試料の一部分の1つ又は複数のフラッディング走査を実行させるように構成された1つ又は複数の制御信号を発生するステップと、電子光学サブシステムのビーム制限開口の1つ又は複数の特性を選択的に調節するステップであって、それにより、フラッディングモードから結像モードに電子光学サブシステムを切り換えるように構成された1つ又は複数の制御信号を発生する、ステップと、電子光学サブシステムに結像電子ビームを形成させて、結像電子ビームを用いて試料の一部分の1つ又は複数の結像走査を実行させるように構成された1つ又は複数の制御信号を発生するステップと、1つ又は複数の結像走査中に、電子光学サブシステムの検出器アセンブリによって取得された1つ又は複数の像を受け取るステップと、1つ又は複数の像に基づいて試料の1つ又は複数の特性を決定するステップと、を行わせるように構成されている。
【0009】
方法が開示される。実施形態では、方法は、電子光学サブシステムを用いてフラッディング電子ビームを形成するステップと、フラッディング電子ビームを用いて試料の一部分の1つ又は複数のフラッディング走査を実行するステップと、電子光学サブシステムのビーム制限開口の1つ又は複数の特性を調節するステップであって、それにより、電子光学サブシステムをフラッディングモードから結像モードに切り替える、ステップと、電子光学サブシステムを用いてフラッディング電子ビームを形成するステップと、結像電子ビームを用いて試料の一部分の1つ又は複数の結像走査を実行するステップと、1つ又は複数の結像走査中に試料の一部分の1つ又は複数の像を取得するステップと、1つ又は複数の像に基づいて試料の1つ又は複数の特性を決定するステップと、を含んでもよい。
【0010】
理解されるべきは、上記の概要と下記の詳細な説明の両方が、例示的で説明的であるだけのものであり、クレームされるような本発明についての限定では必ずしもないことである。添付図面は、明細書の一部分内に組み込まれてこれを構成するものであって、本発明の実施形態を図示し、そして、概要と共に発明の原理を説明することに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示の多数の長所が、以下の添付図面を参照することにより当業者によってよりよく理解されることがある。
【
図1】本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、試料内部に電圧コントラストを発生させるために用いられているフラッディング電子ビームについての概念図である。
【
図2A】試料の電圧コントラスト検査を実行するための電子光学カラムを含む走査電子顕微鏡法システムについての図である。
【
図2B】試料の電圧コントラスト検査を実行するための結像電子光学カラム及びフラッディング電子光学カラムを含む走査電子顕微鏡法システムについての図である。
【
図2C】試料の電圧コントラスト検査を実行するための結像電子光学カラム及びフラッディング電子光学カラムを含む走査電子顕微鏡法システムについての図である。
【
図3】像形成分解能と試料帯電速度との間の関係を示すグラフである。
【
図4A】本開示の1つ又は複数の実施形態に従う走査電子顕微鏡法システムについての図である。
【
図4B】本開示の1つ又は複数の実施形態に従う走査電子顕微鏡法システムについての図である。
【
図4C】本開示の1つ又は複数の実施形態に従う走査電子顕微鏡法システムについての図である。
【
図5A】本開示の1つ又は複数の実施形態に従う走査電子顕微鏡法システムの二重レンズアセンブリについての断面図である。
【
図5B】本開示の1つ又は複数の実施形態に従う走査電子顕微鏡法システムの二重レンズアセンブリの断面図である。
【
図6】本開示の1つ又は複数の実施形態に従う走査電子顕微鏡法システムの対物レンズについての断面図である。
【
図7】本開示の1つ又は複数の実施形態に従うスポットサイズと電子ビーム電流との間の関係を示すグラフである。
【
図8A】本開示の1つ又は複数の実施形態に従う電圧コントラスト検査を実行するための帯式走査手順の略図である。
【
図8B】本開示の1つ又は複数の実施形態に従う電圧コントラスト検査を実行するための帯式走査手順の略図である。
【
図9】本開示の1つ又は複数の実施形態に従う電圧コントラスト検査を実行するための段階的手順についての略図である。
【
図10】本開示の1つ又は複数の実施形態に従う電圧コントラスト検査を実行するための方法についての流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示は、特に、特定の実施形態及びその具体的特性について示され説明されている。本明細書に記載された実施形態は、限定的ではなくむしろ例示的なものと考えられる。形式及び詳細における様々な変更及び改造が、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなくなされてもよいことが、当業者には直ちに明らかであるはずである。
【0013】
ここで、開示された主題に詳細な言及がなされ、そして、それは添付図面に示されている。
【0014】
従来の形態的ウェーハ検査システムは、典型的には、半導体デバイス内部の破滅的欠陥とニューサンス欠陥との間の区別を行わない。それに加えて、形態的ウェーハ検査システムは、典型的には、何らかの形式の精査に、動作可能な集積回路の合格歩留をもたらすことになるであろう半導体ウェーハが不合格にされないことを保証することを要求する。それに比べて、電圧コントラストウェーハ検査システムは、破滅的欠陥とニューサンス欠陥とを識別して区別することにおいて改良された性能を示すことがある。しかし、従来の電圧コントラストウェーハ検査システムは、大型で高価な電子光学システムを必要とし、そして、連続するフラッディング走査と結像走査との間で電子光学要素の再編成を必要とすることがある。更に、従来の電圧コントラストウェーハ検査システムの構造的構成は、電圧コントラスト検査中に不良な像形成分解能をもたらすことがある。
【0015】
したがって、本開示の実施形態は、上記で確認された従来の手法の不足内容のうちの1つ又は複数を改良するシステム及び方法を目的とする。本開示の実施形態は、走査電子顕微鏡法システムであって、フラッド帯電走査及び像形成走査のための共同電子光学カラムを利用するシステムを目的とする。本開示の追加実施形態は、試料についての電圧コントラスト検査を実行する走査電子顕微鏡法システムの共同電子光学カラムを利用する方法を目的とする。本開示の更なる実施形態は、走査電子顕微鏡法システムの共同電子光学カラムを用いて電圧コントラスト検査を実行するための走査手順を目的とする。
【0016】
ここで考慮されるのは、本開示の実施形態が、電圧コントラスト検査に必要な連続する電子フラッディング走査及び結像走査を実行するのに必要な構造的構成要素及び電子光学要素の数を有意に低減してもよいことである。更に、本開示の実施形態は、電圧コントラスト検査中に実行される結像走査の分解能を改善するだけでなく、電圧コントラスト検査の全体的な処理能力を改善してもよい。
【0017】
概して
図1~10を参照すると、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、走査電子顕微鏡法システムのためのシステム及び方法が開示されている。
【0018】
図1は、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、試料内部に電圧コントラストを発生させるのに用いられるフラッディング電子ビーム101についての概念図である。
【0019】
電圧コントラスト検査に関連して、荷電粒子が用いられて試料の層上に電圧コントラストを誘導してもよい。例えば、
図1に表すように、試料102(例えば、半導体ウェーハ)は、第1層104a(最上層104a)と、第2層104b(最下層104b)と、を含んでもよい。第1層104aは、複数の導体層区画106a、106b、106cと、複数の絶縁体層区画108a、108b、108cと、を含んでもよい。電圧コントラストは、1つ又は複数のフラッディング電子ビーム101a、101bを試料102の表面まで導くことによって、試料102内部で誘導されてもよい。フラッディング電子ビーム101a、101bは、大きいスポットサイズ及び大きい電子ビーム電流を示してもよく、そして走査方向103に沿って試料102にわたって走査されてもよい。それの追加及び/又は代替として、試料102は、静止フラッディング電子ビーム101a、101bの下方で選択的に動かされることにより、フラッディング電子ビーム101a、101bが、規定のパターンで試料102の表面に入射してもよい。
【0020】
フラッディング電子ビーム101a、101bの荷電粒子(電子)が、試料102の表面に入射するとき、表面電圧が、試料102の層(例えば、第1層104a)内部で誘導されてもよい。誘導表面電圧は、試料102の局所位置(x,y)の関数であってもよく、V(x,y)と定義されてもよい。更に、誘導表面電圧(V(x,y))は、いくつかの因子に依存していてもよく、当該因子は、フラッディング電子ビーム101a、101bの電流、フラッディング電子ビーム101a、101bによるフラッディングの期間、層104a、104bの厚さ、及び層を形成する物質の材料特性(例えば、キャパシタンスの差、誘電率の差)を含むが、これに限定されない。例えば、
図1に示すように、複数の導体層区画106a、106b、106cは、それぞれ表面電圧V
c1、V
c2、V
c3、...V
cjを示してもよい。それに比べて、複数の絶縁体層区画108a、108b、108cは、それぞれ表面電圧V
i1、V
i2、V
i3、...V
ijを示してもよい。
【0021】
図1に示すように、フラッディング電子ビーム101a、101bを用いて1つ又は複数のフラッディング走査を実行した後に、結像電子ビームを利用する1つ又は複数の結像走査が、実行されてもよい。フラッディング電子ビーム101a、101bよりも低い電流を有する結像電子ビームが、
図1に示すように、表面電圧V
cj、V
ijを示す試料102の表面に導かれてもよい。二次電子が、次いで試料102の表面から反射され及び/又は散乱させられて、検出器アセンブリによって収集されてもよい。二次電子の電流及び軌跡が、試料102の表面電圧V
cj、V
ijに少なくとも部分的に基づいてもよい。結像されている構造の電圧が、取得された像内部の構造の輝度を決定する。これに関連して、試料102上の所定位置について検出された二次電子の数が、所定位置における構造の表面電圧を示してもよい。取得された像の正にバイアスされた領域は、より暗く見えることがあり、一方、負にバイアスされた領域は、より明るく見えることがある。したがって、試料102内部の欠陥105a、105bが、試料102の電圧コントラスト像を、欠陥構造を有しない試料102の標準像と比較することによって識別されてもよい。
【0022】
ここで注記されるのは、構造は、試料の層の表面(例えば、表面レベル構造)、又は表面下(例えば、表面下レベル構造)のいずれかに位置してもよいことである。表面レベル構造と表面下レベル構造の両方は、それぞれの層の表面上の電圧コントラストによって完全に特性付けられてもよい。例えば、
図1に表すように、試料102の第1層104aは、導体層区画106b内に第1欠陥105aを含んでもよく、絶縁体層区画108b内に第2欠陥105bを含んでもよい。従来の形態検査システムは、試料102の表面下のこれらの隠れた欠陥105a、105bを識別しないことがある。それに比べて、電圧コントラスト検査システムは、試料102の表面下のこれらの「不可視」欠陥を検出するように構成されてもよい。例えば、欠陥105a、105bに起因する誘電率差は、表面電圧V
c2、V
i2に変動をもたらしてもよく、そのため、電圧コントラストシステムによって識別されてもよい。
【0023】
試料102の表面下の欠陥は、開放ビア、不完全ビアホール、ゲート酸化膜完全性欠陥等を含んでもよいが、これに限定されない。表面下の「不可視」欠陥のように、従来の形態検査システムは、これらの欠陥を識別及び検査することができない場合がある。更に、現在の電圧コントラスト検査システムは、これらの欠陥を検査するとき、不良な像形成分解能を示すことがある。したがって、本開示の実施形態は、電圧コントラスト検査システムであって、従来の形態検査システム及び現在利用可能な電圧コントラスト検査システムと比較して、処理能力及び分解能の改善を示すシステムを目的としている。
【0024】
図2Aは、試料203について電圧コントラスト検査を実行するための電子光学カラム202を含む走査電子顕微鏡法システム200aを示す。特に、
図2Aは、現在入手可能な検査システムによって利用される電子光学カラム202を示す。ここで考慮されるのは、電子光学カラム202に関する簡単な考察が、本開示の付随する利益がそれと比較されてもよいベースラインを提供してもよいことである。
【0025】
電子光学カラム202は、電子ビーム201を発生させて、電子ビームを試料203に向かって導くように構成された電子源204を含んでもよい。電子源204は、熱電界放出(TFE)電子源を含んでもよい。ここで更に詳細に論じられるように、電子源204によって発生させられた電子ビーム201が、フラッディング走査を実行するように構成されたフラッディング電子ビーム201、又は結像走査を実行するように構成された結像電子ビーム201を含んでもよい。
【0026】
電子光学カラム202は、ビーム制限開口210と、銃レンズ212及びカラム開口216の間に配設された電子ビームクロスオーバー205へ電子ビーム201を集束させるように構成された銃レンズ212と、を更に含んでもよい。ビーム制限開口210は、電子源204によって放出された電子ビーム201を受け取って、最大電子電流を示す最大電子ビーム213を伝送するように構成されており、当該最大電子ビームは、電子光学カラム202を通して導かれる。同様に、開口216は、最大電子ビーム213を受け取って、選択された電子ビーム207を伝送するように構成されており、当該選択された電子ビームは、電子光学カラム202を通して試料203まで導かれる。
【0027】
検査に用いられる電子ビーム電流(BCi)(例えば、選択された電子ビーム207の電子電流)は、最大電子ビーム213の電子電流よりも小さい。それに加えて、選択された電子ビーム207の電子電流は、電子ビームクロスオーバー205の位置を変化させることによって、又は銃レンズ212の電圧/励起を調節することによって調節されてもよい。電子ビーム201は、追加として、ブランカー214を制御することによって、検査のために「オン」にされてもよく、又は検査を調節するために(例えば、ステージアセンブリ208を動かすことによって)「オフ」にされてもよい。
【0028】
電子光学カラム202aは、集光レンズ218と、選択された電子ビーム207を受け取って、選択された電子ビーム207を試料203に集束させ/導くように構成された対物レンズ226と、を更に含んでもよい。集光レンズ218及び/又は対物レンズ226の開口数が、電子光学カラム202の像形成光学部品を改善するように選択されてもよい。例えば、試料203に入射する所望の電子ビーム電流(例えば、選択された電子ビーム203の電子ビーム電流)に関して、レンズ収差ぼけと電子間相互作用ぼけとが、最小スポットサイズ及び/又は改善された分解能を与えながら、最適開口数の下でバランスをとられてもよい。最適開口数は、集光レンズ218の最適集束強度(例えば、励起、電圧)を選択することによって決定されてもよい。
【0029】
電子光学カラム202aは、予備走査偏向器220と、主走査偏向器224と、ウィーンフィルタ222と、を更に含んでもよい。予備走査偏向器220及び主走査偏向器224は、デュアル偏向器アセンブリを構成してもよく、そして選択された電子ビーム207を試料203にわたって走査するように構成されてもよい。デュアル偏向器アセンブリは、また、大きい視野(FOV)について軸外収差ぼけ及び歪みを最小化するように構成されてもよい。処理能力に関して、FOVが大きい程、検査を実行する電子光学カラム202aについての処理能力がより高くなる。
【0030】
電子光学カラム202の検出器アセンブリ206は、試料203の表面から発する二次電子209を収集するように構成されてもよい。例えば、選択された電子ビーム207がデュアル偏向器アセンブリを介して試料203にわたって走査されるとき、検査下の領域から発する二次電子209は、ウィーンフィルタ222によって偏向させられて、検出器アセンブリ206によって収集されてもよい。検出器アセンブリ206は、次いで、受け取られた二次電子209に基づいて1つ又は複数の像を発生させるように構成されてもよい。発生させられた像は、その後に処理されて、試料203の特性を識別されてもよい。
【0031】
本明細書で以前に注記したように、電圧コントラスト検査を実行する前に、試料203の層が、最初に、フラッド帯電走査(「フラッディング走査」)を実行することによって帯電させられなければならない。したがって、試料203のフラッド帯電走査を実行するように構成された電子光学システムが用いられなければならない。フラッド帯電走査を実行するための現在の電子光学システムが、
図2Bを参照することによって更に表され説明されてもよい。
【0032】
図2Bは、走査電子顕微鏡法システム200bを示し、当該システムは、結像電子光学カラム202aと、試料203の電圧コントラスト検査を実行するためのフラッディング電子光学カラム202bと、を含む。特に、
図2Bは、現在入手可能な検査システムによって利用される走査電子顕微鏡法システム200bを示す。ここで考慮されるのは、走査電子顕微鏡法システム200bについての簡単な考察が、本開示の付随する利点が比較されてもよいベースラインを提供してもよいことである。
【0033】
電圧コントラスト検査に必要なフラッディング走査及び結像走査を実行するために、走査電子顕微鏡法システム200bは、それぞれの走査のうちのそれぞれのために別個の電子光学カラムを含んでもよい。例えば、走査電子顕微鏡法システム200bは、結像電子ビーム201を用いて結像走査を実行するように構成された結像電子光学カラム202aを含んでもよい。逆に、走査電子顕微鏡法システム200bは、フラッディング電子ビーム211を用いてフラッディング走査を実行するように構成された独立したフラッディング電子光学カラム202bを含んでもよい。ここで注記されるのは、本明細書で異なるように注記されない限り、
図2Aに示す電子光学カラム202aと関連するすべての考察は、
図2Bに示す結像電子光学カラム202aに当てはまると考えられてもよいことである。
【0034】
走査電子顕微鏡法システム200bを用いる電圧コントラスト検査に必要なフラッディング走査を実行するために、ブランカー214が、結像電子光学カラム202aによって発生させられた一次結像電子ビーム201を偏向させる、又は「脇にそらす」ように構成されてもよい。例えば、
図2Bに表すように、ブランカー214は、結像電子ビーム201を偏向させることにより、結像電子ビーム201の全体が開口216によって阻止/遮断されるように構成されてもよい。
【0035】
続いて、ステージアセンブリ208が、結像電子光学カラム202aの光軸からフラッディング電子光学カラム202bの光軸へと試料203を動かすように構成されてもよい。フラッディング電子光学カラム202bは、次いで、1つ又は複数のフラッディング走査を実行することによって試料203内に電圧コントラストを誘導するように構成されてもよい。例えば、電子光学カラム202bの電子源232は、フラッディング電子ビーム211を発生させてもよい。電子源232は、調節可能電子源232を含んでもよく、当該電子源は、様々なフラッディング走査のためのフラッディング電子ビーム211のフラッディング電子電流及び/又はフラッディング電子到着エネルギを選択的に調節するように構成されている。フラッディング電子ビーム211は、ビーム制限開口234を通して導かれて、フラッディングビーム電流を選択してもよく、そして、銃レンズ236が、試料203の表面上にフラッディング電子ビーム211を集束させてもよい。偏向器238は、試料203の表面にわたってフラッディング電子ビーム211を走査することにより、フラッディング走査を実行するように構成されてもよい。
【0036】
試料203の大きい領域を帯電させるためには、フラッディング電子ビーム211は、高い電子電流を示さなければならない。典型的には、フラッディング電子ビーム211は、およそサブμAからμAまでの範囲内の電子ビーム電流を示し、試料203の表面上での帯電到着エネルギは、およそサブkeVからkeVまでの範囲内にある。試料203上でのフラッディング電子ビーム201の帯電ビームスポットは、サイズが数十ミクロン(μm)、数百ミクロン(μm)、最大ミリメートル(mm)のオーダーであってもよい。
【0037】
最終的に、フラッディング電子光学カラム202bを用いて1つ又は複数のフラッディング走査を実行して、試料203内部に電圧コントラストを誘導した後に、ステージアセンブリ208は、結像電子光学カラム202aの光軸内へと試料203を動かして戻すように構成されてもよい。続いて、結像電子光学カラム202aは、結像電子ビーム201を用いて1つ又は複数の結像走査を実行して、電圧コントラスト検査を実行するように構成されてもよい。
【0038】
それぞれのフラッディング電子光学カラム202bと結像電子光学カラム202aとの間で試料203が、動かされなければならないということのために、
図2Bに示す走査電子顕微鏡法システム200bは、概して「試料シフト」又は「ウェーハシフト」フラッド帯電構成と呼ばれてもよい。
【0039】
図2Bに示す走査電子顕微鏡法システム200bの「ウェーハシフト」フラッド帯電構成が、電圧コントラスト検査をうまく実行してもよいけれども、それは、いくつかの欠点を有する。最初に、走査電子顕微鏡法システム200bは、追加の独立した電子光学要素に別個のフラッディング及び結像走査を実行することを要求する。独立した撮像電子光学カラム202a及び独立したフラッディング電子光学カラム202bに対する必要性が、コストの追加、重量の増加、及び全体的な複雑さの増加をもたらす。それに加えて、別個の電子光学カラム202a、202bは、走査電子顕微鏡法システム200bの追加の要素を収容するための大きい真空チャンバーを必要とする。第2に、ステージアセンブリ208及び試料203をそれぞれの電子光学カラム202a、202bの光軸同士の間で動かす必要性が、試料ステージ208のための大きい移動範囲を必要とし、更に必要サイズを増加させる。最後に、走査電子顕微鏡法システム200bは、貧弱な処理能力を被る。ステージアセンブリ208をそれぞれの光軸同士の間で長い距離を動かすことが、検査を減速させる。更に、それぞれの電子光学カラム202a、202bの光学要素は、それぞれの結像/フラッディング走査の間で再整列させられなければならず、更に処理能力を低下させる。
【0040】
少なくとも上記の確認された理由のために、
図2Bに示す走査電子顕微鏡法システム200bは、いくつかの電圧コントラスト検査に適していないことがある。走査電子顕微鏡法システム200bの欠点のうちのいくつかは、フラッディング走査のために結像電子光学カラム202aの光学要素の一部を利用することによって軽減されることがある。このことは、
図2Cを参照することによって更に理解されてもよい。
【0041】
図2Cは、試料203の電圧コントラスト検査を実行するための結像電子光学カラム202a及びフラッディング電子カラム202bを含む走査電子顕微鏡法システム200cを示す。特に、
図2Cは、現在入手可能な検査システムによって利用される走査電子顕微鏡法システム200cを示す。ここで考慮されるのは、走査電子顕微鏡法システム200cについての簡単な考察が、本開示についての付随する利点が比較されてもよいベースラインを提供してもよいことである。
【0042】
ここで更に注記されるのは、
図2Bに示す走査電子光学顕微鏡法システム200bと関連するすべての考察が、本明細書で異なるように注記されない限り、
図2Cに示す走査電子顕微鏡法システム200cに当てはまると考えられてもよいことである。
【0043】
図2Cに示すように、走査電子顕微鏡法システム200cは、また、独立した結像電子光学カラム202aと、独立したフラッディング電子光学カラム202bと、を含んでもよい。しかし、電子光学カラム202a、202bが完全に独立していた、
図2Bの走査電子顕微鏡法システム200bと比較すると、
図2Cの走査電子顕微鏡法システム200cの電子光学カラム202a、202bは、1つ又は複数の光学要素を共有してもよい。例えば、
図2Cに示すように、結像電子光学カラム202aとフラッディング電子光学カラム202bの両方が、対物レンズ226、ウィーンフィルタ222、及び主走査偏向器224を利用してもよい。
【0044】
図2Bと比較すると、
図2Cに示すフラッディング電子光学カラム202bは、フラッディング電子ビーム211をウィーンフィルタ222及び対物レンズ226まで導いてもよい。ウィーンフィルタ222は、フラッディング電子ビーム211を対物レンズ226まで偏向させるように構成されてもよく、当該対物レンズは、次いで、試料203の表面上にフラッディング電子ビーム211を集束させるように構成されてもよい。主走査偏向器224が、次いで、フラッディング走査中に試料203の表面にわたってフラッディング電子ビーム211を走査するように構成されてもよい。以前に注記したように、フラッディング電子ビーム211の帯電到着エネルギは、対物レンズ226の減速電界を調節することによって制御されてもよい。
【0045】
図2Cに示すように、フラッディング電子ビーム211は、ウィーンフィルタ222に近接した電子ビームクロスオーバーを示してもよい。電子ビームクロスオーバーは、銃レンズ236と対物レンズ226との間のフラッディング電子光学カラム202b内部のいずれかの点のところに配置されてもよい。それに加えて、フラッディング電子光学カラム202b内部での電子ビームクロスオーバーの位置を調節することは、フラッディングビームスポットのサイズを調節してもよい。ここで更に注記されるのは、電子ビームクロスオーバーのないフラッディング電子光学カラム202bが、実装されてもよいことである。
【0046】
図2Bの「ウェーハシフト」フラッド帯電構成の欠点と同様に、
図2Cの「共同対物レンズ」フラッド帯電構成は、いくつかの欠点を有する。特に、
図2Bの「ウェーハシフト」フラッド帯電構成と関連するコスト、サイズ、及び全体的複雑性懸念が、また、
図2Cの「共同対物レンズ」フラッド帯電構成に当てはまる。それぞれの電子光学カラム202a、202bの間で電子光学要素を共有することが、また、いくつかの追加の欠点をもたらすことがある。例えば、ウィーンフィルタ222の強度は、それぞれのフラッディング走査及び結像走査のうちのそれぞれに関して調節されることが必要とされることがあり、そして、それぞれの走査同士の間で調節されなければならないことがある。更に、フラッディング走査中にフラッディング電子ビーム211によって発生させられた二次電子209は、検出器アセンブリ206によって収集することが困難である。例えば、フラッディング走査のためのウィーンフィルタ222の強度が、フラッディング電子ビーム211を対物レンズ226と整列させるように最適化されてもよいけれども、エネルギによって、検出器アセンブリ206まで最適に後方に導かれるわけではない、試料203から放出されるべき二次電子209をもたらすことによって、不良な像が発生させられる及び/又は像が全く発生させられないことになる。
【0047】
いくつかの状況において、
図2Aに示す走査電子顕微鏡法システム200aの構成が利用されて、フラッディング走査と結像走査の両方を実行してもよい。例えば、
図2Aを参照すると、電子光学カラム202aは、フラッディング走査と結像走査の両方を実行するように構成されてもよい。この点に関して、電子源204は、フラッディング走査に用いられるべきフラッディング電子ビーム201a、及び結像走査に用いられるべき結像電子ビーム201bを発生させるように構成されてもよい。電子光学カラム202aは、対物レンズ226の減速電界を調節することによってフラッディング電子ビーム201aの帯電到着エネルギを制御するように構成されてもよく、そして、集光レンズ218の強度及び/又は対物レンズ226の強度を調節することによってビームスポットサイズを調節するように構成されてもよい。「フラッディングモード」と「結像モード」との間の転換によって、電子光学カラム202aは、電圧コントラスト検査に用いられるべき共同電子光学カラムとして構成されてもよい。
【0048】
しかし、ここで注記されるのは、
図2Aの電子光学カラム202aをフラッディング走査と結像走査の両方に用いることが、また、いくつかの欠点をもたらすことである。有意に、共同電子光学カラム202aによるフラッド帯電が、電圧コントラスト検査を実行するときに、不良な帯電性能及び/又は不良な像形成分解能を示すことがある。これらの不利益が、
図3を参照して更に理解されてもよい。
【0049】
図3は、像形成分解能と試料帯電速度との間の関係を示すグラフ300である。より詳細には、グラフ300は、
図2Aの電子光学カラム202aによって発生させられたフラッディング電子ビーム201aの電子ビーム電流と
図2Aの電子光学カラム202aの像形成分解能との間の関係を示す。グラフ300のX軸線の電子ビーム電流は、帯電速度に直接関係し、電子ビーム電流が高い程、より速い帯電速度をもたらす。逆に、グラフ300のY軸線のスポットサイズは、像形成分解能に反比例し、スポットサイズが大きい程、より低い像形成分解能をもたらす。
【0050】
図2Aに示す走査電子顕微鏡法システム200aのような電子ビーム検査(EBI)装置についての処理能力を改善するためには、フラッド帯電時間(T
c)(例えば、フラッディング走査の時間)が、試料203全体にわたる検査時間(T
i)(例えば、結像走査の時間)よりも有意により短いことが期待される。例えば、試料203にわたるフラッディング走査のための時間は、試料203についての結像時間以下、例えばT
c≦0.1*T
iであることが期待されてもよい。この制限を満足させるために、I
cと定義されたフラッディング電子ビーム201aの最大電子ビーム電流は、I
iと定義された結像電子ビーム201bの最大電子ビーム電流の少なくとも10倍でなければならない(例えば、I
c≧10*I
i)。
【0051】
ここで注記されるのは、電子ビーム電流制限I
c≧10*I
iが、試料203内部に十分な電圧コントラストを達成するために満足されなければならないことである。例えば、
図1に示す試料102内部での十分な電圧コントラストは、1V<|V
cj-V
ij|<10Vであるような、導体層区画106a~106nと絶縁体層区画108a~108nとの間に1~10Vの電圧コントラスト、を含んでもよい。
【0052】
例えば、
図2Aを参照して、電子ビーム201の3つの最大電子ビーム電流が、10nA、100nA、及び1000nAであると仮定する。3つのそれぞれの最大電子ビーム電流は、ビーム制限開口210の状態を変化させることによって、ビーム制限開口210の第1状態(BLA
1)が10nAの電子ビーム電流に対応し、ビーム制限開口210の第2状態(BLA
2)が100nAの電子ビーム電流に対応し、ビーム制限開口210の第3状態(BLA
3)が1000nAの電子ビーム電流に対応する(例えば、BLA
3>BLA
2>BLA
1)ように規定されてもよい。
【0053】
この例では、
図3に示すグラフ300に関して、BLA
1によって発生させられた電子ビーム201は、曲線302で表され、BLA
2によって発生させられた電子ビーム201は、曲線304で表され、BLA
3によって発生させられた電子ビーム201は、曲線306で表されている。曲線302、304、306は、結像電子ビーム201bがフラッディング電子ビーム201aから選択される場合、スポットサイズの関数である、
図2Aに示す走査電子顕微鏡法システム200aの像形成分解能が有意に減少させられることを示している。例えば、結像電子ビーム201b(BC
i)についての0~10nAの電子ビーム電流が、曲線304(BLA
2)の100nAのフラッディング電子ビーム電流から選択される(例えば、点301a)場合、像形成スポットサイズは、ビーム制限開口210(BLA
2)と開口216との間の90nAの残留電子同士の間のクーロン交互作用効果に起因して急激に増加することになる。別の一例として、結像電子ビーム201b(BC
i)に対する0~100nAの電子ビーム電流が、曲線306(BLA
3)の1000nAのフラッディング電子ビーム電流から選択される(例えば、点301b)場合、像形成スポットサイズは、ビーム制限開口210(BLA
3)と開口216の間の900nAの残留電子同士の間のCクーロン交互作用効果に起因して更により有意に増加することになる。
【0054】
少なくとも上記で説明されたそれらの理由のために、
図2A~2Cに示す走査電子顕微鏡法システム200a、200b、200cのそれぞれは、それらをいくつかの電圧コントラスト検査用途にふさわしくなくするそれら自身のそれぞれの欠点を示す。
【0055】
したがって、本開示の実施形態は、上記で認識された従来の手法の不足内容のうちの1つ又は複数のものを改善する走査電子顕微鏡法システム400及びその関連方法を目的とする。本開示の走査電子顕微鏡法システム400は、像形成分解能及び高速試料帯電速度を保持しながら、フラッド帯電及び像形成のための共同電子光学カラムを利用してもよい。
【0056】
図4A~4Cは、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う走査電子顕微鏡法システム400を示す。より詳細には、
図4Aは、極めて高いフラッディング電子ビーム電流(BC
f)を有するフラッディング電子ビーム401aを用いてフラッディング走査を実行する「フラッディングモード」の走査電子顕微鏡法システム400を示す。それと比べて、
図4Bは、比較的高い結像電子ビーム電流(BC
iH)を有する結像電子ビーム401bを用いて結像走査を実行する「結像モード」の走査電子顕微鏡法システム400を示し、そして、
図4Cは、低い結像電子ビーム電流(BC
iL)を有する結像電子ビーム401bを用いて結像走査を実行する「結像モード」の走査電子顕微鏡法システム400を示す。これらのうちのそれぞれが、順に対象にされる。
【0057】
ここで
図4Aを参照すると、走査電子顕微鏡法システム400は、電子光学サブシステム402と、電子光学サブシステム402に通信可能に結合された制御器404と、を含んでもよいが、これに限定されない。実施形態では、電子光学サブシステム402は、電子ビーム401を発生させるように構成された電子源410と、試料403に電子ビーム401を導くように構成された電子光学カラム405と、試料403から反射及び/又は発出された二次電子411を収集するように構成された検出器アセンブリ434を含んでもよいが、これに限定されない。
【0058】
実施形態では、電子源410は、電子ビーム301を発生させるように構成されたいずれかの電子源を含んでもよく、当該電子源は、熱電界放出(TFE)電子源、冷電界放出(CFE)電子源、電子銃等を含んでもよいが、これに限定されない。ここで更に詳細に考察されるように、電子源410によって発生させられた電子ビーム401は、フラッディング走査(
図4A)を実行するように構成されたフラッディング電子ビーム401a、又は結像走査(
図4B~4C)を実行するように構成された結像電子ビーム401bを含んでもよい。これに関して、
図4Aの「フラッディングモード」で示された電子ビーム401aは、概してフラッディング電子ビーム401aと呼ばれてもよい。電子源410は、電子源410の放出先端部から放出角度407(β)で電子ビーム401を発生/放出するように構成されてもよい。フラッディング走査(β
f)に用いられる最大放出角度407aは、
図4Aに示すように、ビーム制限開口416によって制限されてもよい。
【0059】
電子ビーム401のための電子ビーム電流は、電子源410の放出角度407(β)及び角度強度(J
α)の関数であってもよい。したがって、角度強度(J
α)を有する電子源410について、フラッディング走査に用いられるフラッディング電子ビーム電流BC
Fは、式1によって規定されてもよく、そして、結像走査に用いられる結像電子ビーム電流BC
Iは、式2によって規定されてもよく、
【数1】
【数2】
ここに、BC
fはフラッディング電子ビーム電流であり、BC
iは結像電子ビーム電流であり、J
αは電子源410の角形強度であり、β
fは、フラッディング走査に用いられるフラッディング放出角度407(例えば、
図4Aに示す最大放出角度407a)であり、そして、β
iは、結像走査に用いられる結像放出角度407(例えば、
図4B~4Cに示す放出角度407b、407c)である。これに関して、
図4Aに示すフラッディング電子ビーム401aは、式1によって特性付けられてもよく、そして、
図4B~4Cに示す結像電子ビーム401bは、式2によって特性付けられてもよい。
【0060】
電子光学カラム405は、電子源410から電子ビーム401(例えば、フラッディング電子ビーム401a)を受け取って、試料403まで電子ビーム401を導くように構成された1つ又は複数の電子光学要素を含んでもよい。実施形態では、電子光学カラム405は、第1レンズ414a(例えば、第1銃レンズ414a)と、第2レンズ414b(例えば、第2銃レンズ414b)と、を含む二重レンズアセンブリ412(例えば、二重集束レンズアセンブリ)を含んでもよい。電子光学カラム405は、ビーム制限開口416を更に含んでもよい。例えば、
図4Aに示すように、電子光学カラム405は、二重レンズアセンブリ412の、第1レンズ414aと第2レンズ414bとの間に配設されたビーム制限開口416を更に含んでもよい。ビーム制限開口416は、電子ビーム401を受け取り、電子ビーム401の最大電子ビーム電流を伝送/規定するように構成されてもよく、当該最大電子ビーム電流は、電子光学カラム405を通して導かれることになる。
【0061】
実施形態では、二重レンズアセンブリ412の第1レンズ414aは、第1電子ビームクロスオーバー409a(XO
1)に電子ビーム401を集束させるように構成されている。例えば、第1レンズ414aは、二重レンズアセンブリ412の第1レンズ414aと第2レンズ414bとの間のビーム制限開口416に近接した第1電子ビームクロスオーバー409a(XO
1)に電子ビーム401を集束させるように構成されてもよい。
図4Aに示すように、ビーム制限開口416に近接して第1電子ビームクロスオーバー409a(XO
1)を形成することによって、第1レンズ414aは、電子光学カラム405を通るフラッディング走査に必要な極めて高い電子ビーム電流(例えば、サブμAからμAまで)を可能にしてもよい。
【0062】
続いて、二重レンズアセンブリ412の第2レンズ414bは、第2電子ビームクロスオーバー409b(XO2)に電子ビーム401を集束させて導くように構成されている。例えば、第2レンズ414bは、開口420に近接した第2電子ビームクロスオーバー409b(XO2)に電子ビーム401を集束させるように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、第2電子ビームクロスオーバー409b(XO2)が開口420に近接して形成されることにより、開口を通過させられた電子ビーム401が、フラッディング走査に必要な高い電子ビーム電流を保持してもよい。
【0063】
電子源410及び二重レンズアセンブリ412が、
図5A~5Bを参照して更に表され、記載されることがある。
【0064】
図5Aは、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う走査電子顕微鏡法システム200の二重レンズアセンブリ412についての断面図である。具体的には、
図5Aの上半分が二重レンズアセンブリ412についての詳細断面図の一部分であり、
図5Aの下半分が二重レンズアセンブリ412についてのそれに対応する簡略断面図である。ここで注記されるのは、二重レンズアセンブリ412は、実際には回転対称であってもよく、したがって、
図5Aの表現は、例示目的のためだけに提供されていることである。
【0065】
実施形態では、
図5Aに表すように、電子源410は、チップ440と、サプレッサ442と、引出器444と、を含んでもよいが、これに限定されない。例えば、
図5Aに示す電子源410は、TFE電子源又はCFE電子源を含んでもよい。二重レンズアセンブリ412の第1及び第2レンズ414a、414bは、磁気銃レンズ414a、414bを含んでもよい。例えば、第1レンズ414aは、第1磁極片446aと、第1コイル448aと、を含んでもよく、第2レンズ414bは、第2磁極片446bと、第2コイル448bと、を含んでもよい。実施形態では、磁気銃レンズ414a、414bの磁極片446a、446b及びコイル448a、448bは、真空封止チューブ450によって気中で封止にされて汚染を防ぐ。ビーム制限開口416は、レンズ414a、414bの間に配設されてもよい。
【0066】
実施形態では、ビーム制限開口416のサイズ及び位置が、指定の検査処理能力に対する像形成分解能要件及び/又はフラッド帯電速度要件を満たすように選択的に調節及び/又は最適化されてもよい。ここで注記されるのは、引出器444とアノード(又は接地しているビーム制限開口416)との間の距離が、選択的に調節/最適化されることにより、様々な検査用途に対する電子ビームエネルギ変動要件を満たしてもよいことである。
【0067】
図5Bは、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う走査電子顕微鏡法システム200の二重レンズアセンブリ412の断面図である。
図5Bに示された二重レンズアセンブリ412は、
図5Aに描かれたものに対する追加及び/又は代替の例として提供されている。したがって、二重レンズアセンブリ412の例は、例示目的のためだけに提供されており、そして本明細書で異なるように明記しない限り、限定として考えられてはならない。
【0068】
図5Aについて本明細書で前述したように、
図5Bの上半分は、二重レンズアセンブリ412についての詳細断面図の一部分であり、
図5Bの下半分は、二重レンズアセンブリ412についてのそれに対応する簡略化断面図である。ここで明記されるのは、二重レンズアセンブリ412は、実際には回転対称であってもよく、したがって、
図5Bの表現は、例示目的のためだけに提供されていることである。
【0069】
追加及び/又は代替の実施形態では、二重レンズアセンブリ412の1つ又は複数のレンズ414a、414bは、静電レンズ452を含んでもよい。例えば、
図5Bに示すように、二重レンズアセンブリ412の第2レンズ414bは、静電レンズ452を含んでもよい。例えば、静電レンズ452は、1つ又は複数の接地電極456同士の間に配設された集束電極454を含むアインツェルレンズ及び/又はユニポテンシャルレンズを含んでもよい。追加及び/又は代替の実施形態では、静電レンズ452は、加速レンズ又は減速レンズを含んでもよい。
【0070】
ここで明記されるのは、1つ又は複数の静電レンズ452の使用が、電圧コントラスト検査を実行するときに、電子ビーム電流の高速切換え/調節を提供してもよいことである。この点に関して、1つ又は複数の静電レンズ452の使用は、フラッディング走査(
図4Aに表すフラッディングモード)及び結像走査(
図4B~4Cに表す結像モード)に必要な電子ビーム電流のより高速でより効率的な切替えを提供してもよい。
【0071】
図4Aを再び参照する。実施形態では、電子光学カラム405は、試料403に電子ビーム401を導くように構成された1つ又は複数の追加の電子光学要素を含んでもよい。例えば、電子光学カラム405は、ブランカー418を含んでもよく、当該ブランカーは、検査(例えば、フラッディング走査、結像走査)のために「オン」又は「オフ」にされてもよい。別の例として、電子光学カラム405は、集光レンズ422と、予備走査偏向器424と、ウィーンフィルタ426と、主走査偏向器428と、対物レンズ430と、を更に含んでもよいが、これに限定されない。集光レンズ422及び/又は対物レンズ430の開口数が、電子光学カラム405の像形成光学特性を改善するように選択されてもよい。集光レンズ422及び/又は対物レンズ430は、静電レンズを含むがこれに限定されない、当該技術分野で公知のいずれかの電子光学レンズを含んでもよい。予備走査偏向器424及び主走査偏向器428は、デュアル偏向器アセンブリを構成してもよく、そして試料403にわたって選択された電子ビーム401を走査するように構成されてもよい。追加及び/又は代替の実施形態では、ステージアセンブリ432が選択的に動かされて、試料403にわたって電子ビーム401を走査してもよい。デュアル偏向器アセンブリは、また、大きい視野(FOV)にわたる軸外収差ぼけ及び歪みを最小化するように構成されてもよい。
【0072】
実施形態では、電子光学サブシステム402は、検出器アセンブリ434を更に含んでもよく、当該検出器アセンブリは、電子ビーム401に応じて試料403の表面から反射され、散乱させられ、又は別の態様で発せられた電子411(例えば、二次電子411)を検出するように構成されている。実施形態では、ウィーンフィルタ426は、試料403から散乱させられた電子411を検出器アセンブリ434に方向を変えるように構成されてもよい。検出器アセンブリ434は、受け取られた電子411に基づいて、試料403の1つ又は複数の像を発生させる/取得するように構成されてもよい。
【0073】
実施形態では、走査電子顕微鏡法システム400は、検出器アセンブリ434に通信可能に結合された制御器404を更に含んでもよい。制御器404は、メモリ408に記憶された1組のプログラム命令を実行するように構成された1つ又は複数のプロセッサ406を含んでもよく、1組のプログラム命令は、1つ又は複数のプロセッサ406に本開示の様々なステップ/機能を実行させるように構成されている。例えば、1つ又は複数のプロセッサ406は、電子光学サブシステム402にフラッディング電子ビーム401aを形成させて、フラッディング電子ビーム401aを用いて試料203の一部分についての1つ又は複数のフラッディング走査を実行させるように構成された1つ又は複数の制御信号を発生することと、電子光学サブシステム402に結像電子ビーム401bを形成させて、結像電子ビーム401bを用いて試料403の一部分についての1つ又は複数の結像走査を実行させるように構成された1つ又は複数の制御信号を発生することと、1つ又は複数の結像走査中に検出器アセンブリ434によって取得された1つ又は複数の像を受け取ることと、1つ又は複数の像に基づいて試料403の1つ又は複数の特性を決定することと、を行うように構成されてもよい。これらのステップ/機能のそれぞれが、順に取り上げられるようになる。
【0074】
一実施形態では、制御器404は、1つ又は複数の制御信号を発生するように構成されてもよく、当該制御信号は、電子光学サブシステム402にフラッド電子ビーム401aを形成させて、フラッド電子ビーム401aを用いて試料403の一部分についての1つ又は複数のフラッド走査を実行させるように構成されている。
【0075】
1つ又は複数のフラッディング走査を実行するためのフラッディング電子ビーム401aを発生すると、フラッディング電子ビーム401aは、予備走査偏向器424及び/又は主走査偏向器428を介して試料403の表面にわたって走査されてもよい。フラッディング走査に対する分解能要件が典型的には存在しないという事実のために、制御器404は、予備走査偏向器424及び主走査偏向器428のうちの一方だけ及び/又は両方を用いて試料403にわたってフラッディング電子ビーム401aを走査するように構成されてもよい。追加及び/又は代替の実施形態では、制御器404は、試料403がその上に配設されたステージアセンブリ432を選択的に動かすことによりフラッディング電子ビーム401aを走査することによって、1つ又は複数のフラッディング走査を実行するように構成されてもよい。ここで更に明記されるのは、1つ又は複数のフラッディング走査が試料403上で実行されることにより、試料403の1つ又は複数の層内部に電圧コントラストを誘導することがあることである。
【0076】
ウィーンフィルタ426は、試料403の表面から発する電子411を収集して、検出器アセンブリ434まで電子411を導くように構成されてもよい。検出器アセンブリ434は、1つ又は複数のフラッディング走査中に二次電子411を収集するように構成されてもよく、又は構成されなくてもよい。フラッディング走査中に、検出器アセンブリ434が二次電子411を受け取って像を発生するように構成されている実施形態では、制御器404は、発生させられた像をメモリ408に記憶する及び/又は発生させられた像を廃棄するように構成されてもよい。
【0077】
別の一実施形態では、制御器404は、1つ又は複数の制御信号を発生するように構成されてもよく、当該制御信号は、電子光学サブシステム402に結像電子ビーム401bを形成させて、結像電子ビーム401bを用いて試料403の一部分についての1つ又は複数の結像走査を実行させるように構成されている。このことは、
図4B~4Cを参照して更に理解されてもよい。
【0078】
図4B~4Cは、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う走査電子顕微鏡法システム400を示す。より具体的には、
図4B~4Cは、それぞれ「結像モード」の走査電子顕微鏡法システム400を示し、
図4Bは、比較的高い電子ビーム電流を有する結像電子ビーム401bを用いて結像走査を実行する走査電子顕微鏡法システム400を示し、
図4Cは、低い電子ビーム電流を有する結像電子ビーム401bを用いて結像走査を実行する走査電子顕微鏡法システム400を示す。
【0079】
ここで明記されるのは、
図4Aに示す走査電子顕微鏡法システム400と関連するすべての考察は、本明細書で別様に明記されない限り、適用可能な範囲に関して、
図4B~4Cに示す走査電子顕微鏡法システム400に当てはまると考えられてもよい。逆に、
図4B~4Cに示す走査電子顕微鏡法システム400に関連するすべての考察は、本明細書で別様に明記されない限り、適用可能な範囲に関して、
図4Aに示す走査電子顕微鏡法システム400に当てはまると考えられてもよい。
【0080】
ここで
図4Bを特に参照することになる。
図4Bは、比較的高いビーム電流を有する結像電子ビーム401bを用いて結像走査を実行する走査電子顕微鏡法システム400を示す。実施形態では、第1レンズ414aは、
図4Cに示すものよりもより高いなんらかの励起レベルに設定されてもよい。第1レンズ414aは、結像電子ビーム401bを集束させて、最大結像電子ビームによって示されるような比較的高い未処理/最大電子ビーム電流(BC
iH)を、ビーム制限開口416を通して選択するように構成されてもよい。高い電子ビーム電流(BC
iH)から生じる結像電子ビーム401bは、結像放出角度407b(β
iH)によって特性付けられてもよい。
【0081】
最大結像電子ビームは、第2レンズ414bを用いて結像電子ビーム401bを第2レンズ414bと開口420との間の電子ビームクロスオーバー417(XO1)に導く及び/又は集束させることによって、更に低減/分割されてもよい。この点に関して、開口420が選択的に調節されることにより、選択された結像電子ビーム401bの1つ又は複数の特性を制御してもよい。例えば、開口420が選択的に調節されることにより、結像電子ビーム電流(BCiH)を制御してもよい。言い換えると、開口420は、最大結像電子ビームから選択された結像電子ビームを識別するように構成されてもよい。
【0082】
それと比べて、
図4Cは、低い電子ビーム電流を有する結像電子ビーム401bを用いて結像走査を実行する走査電子顕微鏡法システム400を示す。特に
図4Cを参照すると、第1レンズ414aが、「オフ」に設定されることにより、又は比較的低い励起によって設定されることにより、それを能動状態及び/又は静止状態に維持してもよい。第1レンズ414aによって実行されている集束が全くない及び/又は最小であるならば、電子源410によって発生させられた結像電子ビーム401bの近軸領域放出電子だけが、ビーム制限開口416を通過する。したがって、
図4Cに示す結像放出角度407b(β
iL)は、
図4Aに示すフラッディング放出角度407a(β
f)よりもずっと小さくてもよい(例えば、β
iL<β
f)。更に、
図4Bと比べて、
図4Cに示す結像放出角度407b(β
iL)は、
図4Bに示す結像放出角度407b(β
iH)よりも小さくてもよい(例えば、β
iL<β
iH)。
【0083】
理解されてもよいのは、ビーム制限開口416及び/又は開口420を選択的に修正することは、
図4Aに示すフラッディングモードと
図4B~4Cに示す結像モードとの間で走査電子顕微鏡法システム400を有効に転換させてもよいことである。フラッディング走査は、極めて高い電子ビーム電流(BC
f)を必要とする場合があり、一方、結像走査は、比較的低い、中程度の、比較的高い電子ビーム電流(BC
iH、BC
iL)にわたって実行されてもよい。
【0084】
この点に関して、制御器404は、ビーム制限開口416及び/又は開口420についての1つ又は複数の特性を選択的に修正することにより、フラッディング電子ビーム電流(BC
f)(
図4A)、結像電子ビーム電流(BC
iH、BC
iL)(
図4B~4C)、フラッディング放出角度(β
f)(
図4A)、及び/又は結像放出角度(β
iH、β
iL)(
図4B~4C)を確定するように構成されてもよい。特に、制御器404は、ビーム制限開口416の1つ又は複数の特性を選択的に調節することによって、フラッディングモードと結像モードとの間で電子光学サブシステム402を切り換えるように構成されてもよい。例えば、制御器404は、ビーム制限開口416のサイズ及び/又は二重レンズアセンブリ412内部でのビーム制限開口416の位置(例えば、第1レンズ414aからの距離、第2レンズ414bからの距離)を調節するように構成されてもよい。
【0085】
様々なフラッディングモード及び結像モードについての電子ビーム電流と放出角度との間の関係は、以下の式3によって記述されてもよく、
【数3】
ここに、β
f及びBC
fは、
図4に表すフラッディングモードに用いられるフラッディング放出角度及びフラッディング電子ビーム電流であり、β
iH及びBC
iHは、
図4Bに表す比較的高い電子ビーム電流を有する結像モードで用いられる結像放出角度及び結像電子ビーム電流であり、β
iL及びBC
iLは、
図4Cに表す低い電子ビーム電流を有する結像モードで用いられる結像放出角度及び結像電子ビーム電流である。
【0086】
1つ又は複数の結像走査を実行するために結像電子ビーム401bを発生させると、結像電子ビーム401bは、予備走査偏向器424及び/又は主走査偏向器428を介して試料403の表面にわたって走査されてもよい。典型的には分解能要件を有しないフラッディング走査と対照的に、制御器404は、予備走査偏向器424と主走査偏向器428の両方によって試料403にわたって結像電子ビーム401bを走査することにより、像形成分解能要件を満足させるように構成されてもよい。この点に関して、特定の視野(FOV)にわたる高い像形成分解能要件を有する結像走査について、制御器404は、予備走査偏向器424と主走査偏向器428の両方によって結像電子ビーム401bを走査することにより、予備走査偏向器424と主走査偏向器428との相対強度及び回転比を最適化することによって偏向収差及び歪みを最小化してもよい。追加及び/又は代替の実施形態では、制御器404は、試料403がその上に配設されたステージアセンブリ432を選択的に動かすことにより結像電子ビーム401bを走査することによって、1つ又は複数の結像走査を実行するように構成されてもよい。
【0087】
いくつかの実施形態では、制御器404は、フラッディング走査及び/又は結像走査を実行するときに、試料403を選択的に偏らせることにより、フラッディング電子ビーム401a及び/又は結像電子ビーム401bを遅延させるように構成されてもよい。ここで考慮されるのは、試料403を偏らせることは、制御器404が、最適電圧コントラストについてのフラッディング電子ビーム401a及び/又は結像電子ビーム401bの到着エネルギ(LE)、又は試料403の特定の層についての最適検査条件をより微細に調節することを可能にしてもよいことである。
【0088】
続いて、ウィーンフィルタ426は、試料403の表面から発する電子411を収集して、電子411を検出器アセンブリ434まで導くように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、フラッディング走査及び結像走査にわたって用いられるウィーンフィルタ426の強度が、等しいか又は実質的に等しくてもよい。フラッディング走査及び結像走査についての一定ウィーンフィルタ426強度は、電子ビーム401エネルギが、フラッディングモード(フラッディング走査)と結像モード(結像走査)との間で切り替えるときに変化させられないという事実のために可能であってもよい。
【0089】
したがって、検出器アセンブリ434は、フラッディングモードと結像モードの両方についての同じウィーンフィルタ426強度の下で、電子411を収集するように構成されてもよい。この点に関して、制御器404は、フラッディングモードでフラッディング走査を実行しながら、及び結像モードで結像走査を実行しながら、ウィーンフィルタ426を一定強度で作動させるように構成されてもよい。
図4B~4Cに示すように、試料403についての1つ又は複数の結像走査を実行するときに、検出器アセンブリ434は、試料403の表面から発する二次電子411を収集するように構成されてもよい。検出器アセンブリ432は、収集された/受け取られた二次電子411に基づいて、試料403についての1つ又は複数の像を発生するように更に構成されてもよい。別の一実施形態では、制御器404は、1つ又は複数の結像走査中に検出器アセンブリ434によって取得された1つ又は複数の像を受け取ってもよい。制御器404は、受け取られた像をメモリ408に記憶するように構成されてもよい。
【0090】
重要なことに、フラッディング電子ビーム401aのスポットサイズは、比較的大きくてもよい(数十ミクロンから数百ミクロンまで)。その結果、電子411は、フラッディング走査中に検出器アセンブリ434上に広く分布させられてもよい。したがって、極めて高いフラッディング電子ビーム電流を利用するフラッディングモード中でさえ、検出器アセンブリ434は、過剰励起された電子411から損傷を受けるリスクがない場合がある。
【0091】
別の一実施形態では、制御器404は、1つ又は複数の像に基づいて試料403の1つ又は複数の特性を決定するように構成されてもよい。識別されてもよい試料403についての特性は、試料403の欠陥(例えば、破滅的欠陥、ニューサンス欠陥)の存在、欠陥位置、欠陥サイズ、寸法等を含んでもよいが、これに限定されない。追加及び/又は代替の実施形態では、制御器404は、試料403の1つ又は複数の決定された特性に基づいて、1つ又は複数のプロセスツールの1つ又は複数の特性を選択的に調節するように構成された1つ又は複数の制御信号を発生するように構成されてもよい。この点に関して、制御器404は、フィードフォワード又はフィードバックループにおいて1つ又は複数の制御信号を発生することにより、上流及び/又は下流プロセスツールを選択的に調節するように構成されてもよい。試料403の決定された特性に基づいて調節されてもよいプロセスツールは、リソグラフィツール、エッチングツール、研磨ツール、堆積ツール等を含んでもよいが、これに限定されない。
【0092】
図6は、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う走査電子顕微鏡法システム400の対物レンズ430についての断面図である。実際には、対物レンズ430は、
図6に示すように光軸について回転対称であってもよい。
【0093】
実施形態では、対物レンズ430は、共用される対物レンズ430を含んでもよく、当該対物レンズは、フラッディングモードで実行されるフラッディング走査(
図4A)及び結像モードで実行される結像走査(
図4B~4C)に用いられる。実施形態では、対物レンズ430は、磁極片450及びコイル452を含む磁気集束区画を含んでもよい。対物レンズ430は、接地チューブ456及び荷電制御板(CCP)458を含む静電遅延/帯電区画を更に含んでもよい。二重レンズアセンブリ414について本明細書で注記されるように、接地チューブ454は、磁極片450及びコイル452を気中で封止して、真空状態を汚染から保護するように構成されてもよい。
【0094】
ここで明記されるのは、式3を満たすようにビーム制限開口416及び二重レンズアセンブリ412を最適化することは、従来の手法以上の有意な検査利益を可能にしてもよい。特に、式3に従って走査電子顕微鏡法システム400を利用することは、フラッド帯電速度(例えば、フラッディング走査についてのより短い時間要件)の改善だけでなく、ビーム電流の広範囲にわたる電圧コントラスト検査についての高分解能像形成特性の改善を可能にしてもよい。走査電子顕微鏡法システム400についての付随する利点が、
図7を参照して更に理解されてもよい。
【0095】
図7は、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う像形成分解能と試料帯電速度との間の関係を示すグラフ700である。
図3に関して本明細書で以前に明記されたように、電子ビーム電流が帯電速度に直接関係して、より高い電子ビーム電流がより速い帯電速度をもたらし、そして、スポットサイズが像形成分解能に反比例して、より大きいスポットサイズがより低い像形成分解能をもたらす。曲線702は、低い電子ビーム電流(例えば、BC
iL)を示し、曲線704は、高い電子ビーム電流(例えば、BC
iH)を示し、曲線706は、低い電子ビーム用途に用いられる高い電子ビーム電流の予測を表す。
【0096】
図3に関して本明細書で以前に明記されたように、フラッディング走査(例えば、BC
f=1000nA)に対するフラッディング電子ビーム電流(BC
f)を選択しなければならないならば、非常に不良な像形成分解能しか、結像走査に対する低い結像電子ビーム電流(BC
i)において達成されないことになる(例えば、BC
iL=0~10nA、BC
iH=0~100nA)。不良な像形成分解能は、ビーム制限開口210と開口216との間の電子の強いクーロン交互作用効果に起因することがある。それと比べて、
図7を参照すると、0~10nAと10~100nAの両方についての高分解能は、極めて高いフラッディング電子ビーム電流(例えば、BC
f=1000nA)を用いてフラッディング走査を完了した後に、未処理の低い電子ビーム電流(例えば、BC
iL=10nA)及び未処理の高い電子ビーム電流(例えば、BC
iH=100nA)を用いて別個に達成されてもよい。
【0097】
本開示の追加の実施形態は、フラッディング走査及び/又は結像走査を実行するための技術を目的とする。このことは、
図8A~9を参照して更に理解されてもよい。
【0098】
図8A~8Bは、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、電圧コントラスト検査を実行するための帯式走査手順800についての略図である。いくつかの実施形態では、走査電子顕微鏡法システム400は、帯式走査手順800を実行して、フラッディングモードでフラッディング走査を及び/又は結像モードで結像走査を実行するように構成されてもよい。
【0099】
試料403についての電圧コントラスト検査の処理能力を改善することの1つの課題は、約10×10mmの大きい領域(例えば、パターン付きウェーハ内のダイの領域)内の結像電子ビーム401bを、10×10mmよりも有意に大きい試料403の少なくとも一部分にわたって視察/走査することである。したがって、本開示の実施形態は、電圧コントラスト検査を含む検査についての処理能力を改善するための帯式走査手順800を目的とする。
【0100】
実施形態では、制御器404は、試料403(又は検査下の試料403の一部分)を複数の横方向ストリップ802に論理的に分割することによって帯式走査手順800を実行するように構成されてもよい。例えば、
図8Aに示すように、試料403(又は、検査下の試料403の一部分)は、第1横方向ストリップ802a、第2横方向ストリップ802b、第(m-1)横方向ストリップ802m-1、及び第m横方向ストリップ802mに分割されてもよい。複数の横方向ストリップのうちの1つ又は複数の横方向ストリップは、横方向長さ(L)及び帯走査高さ(H)によって画定されてもよい。実施形態では、
図8Bに示すように、横方向ストリップ802の帯走査高さ(H)は、H=nKPで画定されてもよく、Pは、電子ビーム401(例えば、フラッディング電子ビーム401a、結像電子ビーム401b)のナノメートル(nm)から数十ナノメートル(nm)単位の画素スポットサイズであり、Kはデジタル値1024であり、nは「k次」数である。
【0101】
実施形態では、制御器404は、帯走査高さ(H)について垂直方向帯走査パターン801に沿って電子ビーム401(例えば、フラッディング電子ビーム401a、結像電子ビーム401b)を走査するように構成されてもよい。第1反復803aで帯走査高さ(H)について垂直方向帯走査パターン801に沿って電子ビーム401を走査した後に、制御器404は、第1反復805aで電子ビーム401を後戻りし、次いで、帯走査高さ(H)について垂直方向帯走査パターン801に沿って電子ビーム401を走査することを繰り返すように構成されてもよい。制御器404は、横方向長さ(L)に対して横方向ストリップ802にわたって垂直方向帯走査パターン801に沿って複数の反復803a~803nだけ電子ビーム401を走査するように構成されてもよい。この点に関して、垂直方向帯走査パターン801は、複数の後戻り反復805a~805n-1と組み合わされた複数の垂直方向走査反復803a~803nとして画定されてもよい。
【0102】
いくつかの実施形態では、制御器404は、帯走査高さ(H)について垂直方向帯走査パターン801に沿って電子ビーム401を動かし、(ステージアセンブリ432を介して)試料403を同時に動かすように構成されてもよい。例えば、制御器404は、帯走査高さ(H)について垂直方向帯走査パターン801に沿って電子ビーム401を動かし、同時に横方向長さ(L)に平行な横方向に沿って試料403を動かすように構成されてもよい。制御器404は、ステージアセンブリ432を横方向長さ(L)に平行な横方向に沿って一定速度で動かすことによって、試料403を一定速度で動かすように構成されてもよい。
【0103】
1つの横方向ストリップ802が完了された後に、試料403(例えば、ステージアセンブリ432)が方向転換させられてもよく、そして、後続の横方向ストリップ802が走査されてもよい。例えば、帯走査高さ(H)及び横方向長さ(L)について第1横方向ストリップ802aにわたって垂直方向帯走査パターン801に沿って電子ビーム401を走査した後に、制御器404は、次いで、同じ垂直方向帯走査パターンを用いて第2横方向ストリップ802bにわたって走査を実行するように構成されてもよい。例えば、
図8Aに示すように、制御器404は、帯走査高さ(H)について第1横方向ストリップ802aにわたって垂直方向帯走査パターン801に沿って電子ビーム401を走査し、同時に第1横方向ストリップ802の横方向長さ(L)に沿った第1横方向に沿って試料403を動かすように構成されてもよい。第1横方向ストリップ802aを完了すると、制御器404は、帯走査高さ(H)について第2横方向ストリップ802aにわたって垂直方向帯走査パターン801に沿って電子ビーム401を走査し、同時に、第2横方向ストリップ802の横方向長さ(L)に沿った第1横方向とは反対の第2横方向に沿って試料403を動かすように構成されてもよい。
【0104】
別の一例として、制御器404は、帯走査高さ(H)について第1横方向ストリップ802aにわたって垂直方向帯走査パターン801に沿って電子ビーム401を走査し、同時に第1横方向ストリップ802の横方向長さ(L)に沿った第1横方向に沿って試料403を動かすように構成されてもよい。第1横方向ストリップ802aを完了すると、制御器404は、横方向長さ(L)に沿った第1横方向とは反対の第2横方向に沿って試料403を動かし、次いで、第2横方向ストリップ802bに関して垂直方向帯走査パターン801を繰り返すように構成されてもよい。
【0105】
実施形態において、試料403又は試料403の一部分に関して結像走査を実行する帯式走査手順800の処理能力は、全時間(T
img)の関数として規定されてもよく、当該全体時間は、以下の式4に従って規定されてもよく、
【数4】
ここに、L
dは、検査下の試料403の高さ又は長さ(試料403は、領域L
d*L
dとして規定されてもよい)であり、t
st、t
rt、及びt
pdは、それぞれ、ステージアセンブリ432方向転換時間、走査後戻り時間、及び画素滞留時間である。画素滞留時間t
pdは、画素走査速度(要するにf)、又はt
pd=1/fによって与えられてもよい。画素走査速度fは、フラッディング走査及び/又は結像走査中に信号(S)対雑音(N)比(例えば、SNR)要件によって更に規定されてもよい。信号(S)は、結像電子ビーム電流(BC
i)として規定されてもよく、一方、雑音(N)は、典型的に統計的ショット雑音と考えられる。したがって、結像電子ビーム電流(BC
i)が大きい程、用いることができる走査速度がより大きくなり、それによって、より短い画素滞留時間(t
pd)をもたらす(例えば、BC
iの増加がt
pdを減少させる)。
【0106】
式4に表されるように、帯式走査手順800の処理能力は、電子ビーム401の画素スポットサイズ(P)、結像電子ビーム電流(BCi)、及び帯走査高さ(H)(又は「k次」数n)の光学的能力に従って改善/最適化されてもよい。処理能力は、また、帯式走査手順800/垂直方向帯走査パターン801中に、後戻り時間の電子的能力及びステージアセンブリ432を動かす機械的能力に従って改善/最適化されてもよい。
【0107】
ここで注記されるのは、帯式走査手順800に用いられる帯走査高さ(H)及び/又は横方向長さ(L)が、予備走査偏向器220及び主走査偏向器224を含むデュアル偏向器アセンブリの設計/能力に基づいて設定されてもよいことである。例えば、デュアル偏向器アセンブリの最大走査能力は、帯走査高さ(H)及び/又は横方向長さ(L)を画定してもよい。しかし、ここで更に注記されるのは、帯走査高さ(H)及び/又は横方向長さ(L)の増加が、処理能力を増加させることがあるけれども、軸外ぼけ及び歪みの増加をもたらすことがあることである。
【0108】
結像走査を実行するために帯式走査手順800を用いることに加えて、帯式走査手順800は、フラッディング走査を実行するために追加的及び/又は代替的に用いられてもよい。帯式走査手順800は、また、フラッディング走査に対して有意に単純化されてもよい。特に、フラッディング電子ビーム401aについての画素サイズは、数ナノメートル(nm)から数百ナノメートル(nm)までのオーダーにあってもよい結像電子ビーム401bについての画素サイズと比べて、数百ミクロン(μm)である程大きいものであってもよい。したがって、フラッディング走査のために帯式走査手順800を利用するとき、画素スポットサイズ(P)は、それぞれの横方向ストリップ802に関する帯走査高さ(H)と同じ大きさであるように設定されてもよい。この点について、垂直方向帯走査パターン801に沿ってフラッディング電子ビーム401aを走査することは、フラッディング電子ビーム401aのサイズの増加に起因してフラッディング走査に不必要であってもよい。本明細書で以前に明記されたように、フラッディング電子ビーム401aのより大きい画素スポットサイズは、集光レンズ422及び/又は対物レンズ430の集束強度を選択的に制御することによって達成されてもよい。
【0109】
実施形態では、フラッディング走査(フラッド帯電)を実行する帯式走査手順800の処理能力は、式5によって規定されてもよい全時間(T
chrg)の関数として規定されてもよく、
【数5】
ここに、Hはフラッディング電子ビーム401aの画素スポットサイズであり、vはステージアセンブリ432の速度である。画素スポットサイズの増加に起因して、全フラッド帯電時間(T
chrg)は、全結像時間(T
img)と比べて無視可能であってもよい。T
imgとT
chrgとの間の差は、結像走査に用いられる結像電子ビーム401bの画素サイズに依存する場合がある。例えば、結像電子ビーム401bの大きい画素スポットサイズに対してT
chrg<<0.1*T
imgであり、結像電子ビーム401bの小さい画素スポットサイズに対してT
chrg<<0.01*T
imgである。いくつかの実施形態では、フラッド帯電電圧(例えば、試料403の誘導表面電圧)は、位置の関数(例えば、V
FC(x,y))であって、式6によって規定されてもよく、
【数6】
ここに、BC
fはフラッディング電子ビーム電流であり、ε
0は真空誘電率であり、ε
r(x,y)は局所位置(x,y)における相対真空誘電率であり、d(x,y)は局所位置(x,y)における試料403の層厚である。1~10Vの誘導電圧コントラスト(例えば、V
FC=1~10V)の要件について、式6は、フラッディング走査を実行するために用いられる電子光学サブシステム402の光学部品の設計に用いられてもよい。
【0110】
この点について、試料403の指定電圧コントラスト(VFC)を達成するように意図されたフラッディング走査を実行するとき、制御器404は、式6に従って、フラッディング電子ビーム電流(BCf)、フラッディング電子ビーム(H)の画素サイズ、及びステージアセンブリ432の速度を設定してもよい。一般的に言えば、層の誘導帯電電圧は、ステージアセンブリ432の最高移動速度(例えば、v=100~200mm/s)、サブμA(例えば、BCf=サブμA)オーダーのフラッディング電子ビーム電流、及び数百ミクロン(μm)オーダーのフラッディング電子ビーム401aの画素サイズで十分である(例えば、VFC>10V)。
【0111】
図9は、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、電圧コントラスト検査を実行するための段階的手順900についての略図である。
【0112】
追加及び/又は代替の実施形態では、走査電子顕微鏡法システム400は、段階的手順900を実行することにより、フラッディングモードでフラッディング走査を及び/又は結像モードで結像走査を実行するように構成されてもよい。段階的手順900は、時には「ステップ走査」手順900と称されてもよい。
【0113】
実施形態では、制御器404は、試料403(又は検査下の試料403の一部分)を複数の一次視野(PFOV902)に論理的に分割することによって段階的手順900を実行するように構成されてもよい。例えば、
図9に示すように、制御器404は、検査下の試料403の一部分を第1PFOV902a(PFOV
1)、第2PFOV902b(PFOV
2)、及び第3PFOV902c(PFOV
3)に分割するように構成されてもよい。実施形態では、PFOV902は、何十ミクロン(μm)から数百ミクロン(μm)までのオーダーのサイズにされてもよい。それぞれのPFOV902のサイズは、フラッディング電子ビーム401aのフラッディング画素スポットサイズ901に対して決定されてもよい。例えば、
図9に示すように、PFOV902は、フラッディング画素スポットサイズ901よりも小さいようなサイズにされてもよい。しかし、このことは、本明細書において異なるように明記しない限り、本開示についての限定と考えられるべきではない。
【0114】
別の一実施形態では、制御器404は、PFOV902を複数のサブ視野(SFOV904)に細分するように構成されてもよい。例えば、
図9に示すように、制御器404は、PFOV902bを複数のSFOV904a~904nに分割するように構成されてもよい。複数のSFOV904a~904nは、m×nのアレイを含むがこれに限定されない、当該技術分野で公知のいずれかの構成に配列されてもよい。
【0115】
実施形態では、制御器404は、次のPFOV902に移動する前にそれぞれのPFOV902の1つ又は複数のフラッディング走査、及び1つ又は複数の結像走査を実行するように構成されてもよい。例えば、制御器404は、フラッディングモードである間、フラッディング電子ビーム401aを用いて第1PFOV902aについての1つ又は複数のフラッディング走査を実行するように構成されてもよい。続いて、制御器404は、電子光学サブシステム402を結像モードに切り換えて、複数のSFOV904a~904bにわたって結像電子ビーム401bを走査することによって第1PFOV902aの1つ又は複数の結像走査を実行するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、制御器404は、ラスタ走査パターンに沿って複数のSFOV904a~904bにわたって結像電子ビーム401bを走査するように構成されてもよい。試料403及びステージアセンブリ434は、単一のPFOV902内の複数のSFOV904a~904bにわたって結像電子ビームを走査する間、静止したままであってもよい。
【0116】
第1PFOV902aについてのフラッディング及び結像走査を実行した後に、制御器404は、電子光学サブシステム402をフラッディングモードに切り替えて戻るように構成されてもよい。制御器404は、選択的に試料403を動かすことにより、第2PFOV902bを電子光学サブシステム402の光軸と整列させるように更に構成されてもよい。続いて、制御器404は、第2PFOV904bについての1つ又は複数のフラッディング走査を実行し、電子光学サブシステム402を結像モードに切り換えて戻し、第2PFOV902bの複数のSFOV904a~904nにわたって結像電子ビーム401bを走査することによって第2PFOV902bについての1つ又は複数の結像走査を実行するように構成されてもよい。このフラッディング結像プロセスは、試料403全体(又は、試料403の一部分)が検査されてしまうまで、それぞれのPFOV902a~902nについて継続されてもよい。
【0117】
単一のPFOV(T
PFOV)ついての全フラッド帯電時間は、式7に従って規定及び/又は評価されてもよく、
【数7】
ここに、Pはフラッディング電子ビーム401aのフラッディング画素スポットサイズ901であり、V
FCは所望の誘導電圧コントラストであり、dはPFOV内の試料403の局所層厚であり、BC
fはフラッディング電子ビーム電流である。
【0118】
フラッディング画素スポットサイズ901(P)がPFOV902全体(
図9に示すような)を網羅するのに十分な大きさである実施形態では、単一のPFOV(T
PFOV)についての全フラッド帯電時間は、サブミリ秒オーダーであってもよい。例えば、絶縁体層が1μm厚(d=1μm)であるところの、サイズが100μmである(例えば、フラッディング画素スポットサイズ901よりも小さい)PFOV902についての10V(V
FC=10V)の誘導電圧コントラストを、100nAのフラッディング電子ビーム電流(BC
f=100nA)を用いて達成するためのフラッド帯電を考える。この例では、式7に従うと、単一のPFOV(T
PFOV)について全フラッド帯電時間は、サブミリ秒オーダーであってもよい。したがって、T
PFOVは、ステージアセンブリ434ステッピング時間と比べて無視可能であってもよく、当該ステッピング時間は、典型的にはサブ秒オーダーである。
【0119】
ここで明記されるのは、フラッディング画素スポットサイズ901(P)が、PFOV902全体を網羅する程十分に大きくはないようななんらかの距離が存在することである。例えば、電子光学サブシステム402内での磁気構成要素の磁気速度は、PFOV902全体を網羅する程十分に大きいフラッディング画素スポットサイズ901(P)を生成することを困難にすることがある。しかし、フラッディング画素スポットサイズ901(P)が、PFOV902全体を網羅する程十分に大きくない場合でさえ、フラッディング画素スポットサイズ901(P)は、それでもPFOV902と比べて比較的大きい可能性があり、PFOV902全体を網羅するための最小の走査を必要とすることがある。したがって、サブミリ秒フラッド帯電時間(TPFOV)は、それでも、デュアル偏向器アセンブリ(例えば、予備走査偏向器220及び主走査偏向器224)を用いてPFOV902にわたって比較的大きいフラッディング画素スポットサイズ901(P)を走査することによって達成されることがある。ここで明記されるのは、ミクロンオーダーのフラッディング画素スポットサイズ901(P)が、対物レンズ430の一定励起を保持しながら集光レンズ422の焦点をぼかすことによって達成されてもよい。
【0120】
ここで考慮されるのは、本開示の実施形態は、電圧コントラスト検査システムに用いられる従来のものについての1つ又は複数の不足内容を解決してもよいことである。例えば、フラッディング走査と結像走査の両方を実行するために共同電子光学カラムを用いることによって、本開示の走査電子顕微鏡法システム400は、システムのサイズ、重量、及び複雑さを低減してもよい。それに加えて、電子光学サブシステム402(例えば、二重レンズアセンブリ412、ビーム制限開口416、開口420等)の特性を選択的に調節することによって、本開示の走査電子顕微鏡法システム400は、高速のフラッド帯電速度を可能にし、同時に高い像形成分解能を保持してもよい。特に、本開示の走査電子顕微鏡法システム400は、ビーム制限開口416と開口420との間の残りの電子電流を低減し、それによって残りの電子同士の間のクーロン交互作用効果を低減して、結像走査中の像形成分解能を改善してもよい。
【0121】
ここで注記されるのは、開示された走査電子顕微鏡法システム400の1つ又は複数の構成要素が、該技術分野で公知のいずれかの態様でシステムの様々な別の構成要素に通信可能に結合されてもよいことである。例えば、制御器404、電子光学サブシステム402(例えば、電子源410、ビーム制限開口416、対物レンズ430)、検出器アセンブリ434等は、有線接続(例えば、銅ワイヤ、光ファイバケーブル等)、ワイヤレス接続(例えば、RF結合、IR結合)、データネットワーク通信(例えば、WiFi、WiMax、ブルートゥース(登録商標)、3G、4G、4GLTE、5G等)を介して、互いに及び別の構成要素に通信可能に結合されてもよい。
【0122】
別の一実施形態では、走査電子顕微鏡法システム400は、制御器404を含んでもよい。一実施形態では、制御器404は、1つ又は複数のプロセッサ406及びメモリ408を含む。別の一実施形態では、1つ又は複数のプロセッサ406は、メモリ408に記憶された1組のプログラム命令を実行するように構成されてもよく、1組のプログラム命令は、1つ又は複数のプロセッサ406に本開示のステップを実行させるように構成されている。
【0123】
一実施形態では、1つ又は複数のプロセッサ406は、該技術分野で公知のいずれかの1つ又は複数の処理要素を含んでもよい。この意味で、1つ又は複数のプロセッサ406は、ソフトウェアアルゴリズム及び/又は命令を実行するように構成されたいずれかのマイクロプロセッサタイプデバイスを含んでもよい。一実施形態では、本開示全体を通して記述されたように、1つ又は複数のプロセッサ406は、デスクトップコンピュータ、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、イメージコンピュータ、パラレルプロセッサ、又は走査電子顕微鏡法システム400を作動させるように構成されたプログラムを実行するように構成された別の計算機システム(例えば、ネットワークコンピュータ)から構成されてもよい。認識されるべきは、本開示全体を通して記述されたステップは、単一の計算機システム、又はその代替として複数の計算機システムによって実行されてもよいことである。一般に、「プロセッサ」という用語は、1つ又は複数の処理要素を有するいずれかのデバイスを包含するように広く規定されてもよく、当該処理要素は、メモリ408からのプログラム命令を実行する。更に、走査電子顕微鏡法システム400の様々なサブシステム(例えば、制御器404、電子源410、検出器アセンブリ434)は、プロセッサ、又は本開示全体を通して記述されたステップの少なくとも一部分を実行するのに適した論理要素を含んでもよい。そのため、上記の説明は、本開示についての限定としてではなく、単に例示として解釈されなければならない。
【0124】
メモリ408は、関連する1つ又は複数のプロセッサ406によって実行可能なプログラム命令、及び走査電子顕微鏡法システム400によって発生させられた像を記憶するのに適した、該技術分野で公知のいずれかの記憶媒体を含んでもよい。例えば、メモリ408は、非一過性メモリ媒体を含んでもよい。例えば、メモリ408は、読取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気又は光学メモリデバイス(例えば、ディスク)、磁気テープ、ソリッドステートドライブ等を含んでもよいが、これに限定されない。更に明記されるのは、メモリ408は、1つ又は複数のプロセッサ406と一緒に共通の制御器ハウジング内に収容されてもよいことである。代替の一実施形態では、メモリ408は、プロセッサ406、制御器404等の物理位置に対して遠隔に位置してもよい。別の一実施形態では、メモリ408は、1つ又は複数のプロセッサ406に本開示を通して記述された様々なステップを実行させるためのプログラム命令を保持する。
【0125】
一実施形態では、ユーザインターフェース436は、制御器404に通信可能に結合されている。一実施形態では、ユーザインターフェース436は、1つ又は複数のデスクトップ、タブレット、スマートホン、スマートウォッチ等を含んでもよいが、これに限定されない。別の一実施形態では、ユーザインターフェース436は、ユーザに走査電子顕微鏡法システム400のデータを表示するために用いられるディスプレイを含む。ユーザインターフェース436のディスプレイは、該技術分野で公知のいずれかのディスプレイを含んでもよい。例えば、ディスプレイは、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)ベースのディスプレイ、又はCRTディスプレイを含んでもよいが、これに限定されない。当業者であれば、ユーザインターフェース436との一体化が可能ないずれかの表示装置が、本開示における実装に適していることを認識するはずである。別の一実施形態では、ユーザは、ユーザインターフェース436を介してユーザに表示されたデータに応じる選択及び/又は命令を入力してもよい。例えば、ユーザは、ユーザインターフェース436を介して1つ又は複数の制御命令を入力することにより、フラッディングモードと結像モードとの間で走査電子顕微鏡法システム400を切り換えることができてもよい。
【0126】
図10は、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、電圧コントラスト検査を実行するための方法1000についての流れ図である。ここで明記されるのは、方法1000のステップは、走査電子顕微鏡法システム400によって全部又は一部が実装されてもよいことである。しかし、更に認識されるのは、方法1000は、追加又は代替のシステムレベルの実施形態が方法1000のステップの全部又は一部を実行してもよい走査電子顕微鏡法システム400に限定されないことである。
【0127】
ステップ1002では、フラッディング電子ビームが、フラッディングモードの電子光学サブシステムを用いて形成される。例えば、
図4Aは、フラッディングモードの走査電子顕微鏡法システム400を示す。
図4Aに表すように、制御器404は、電子光学サブシステム402の電子源410にフラッディング電子ビーム401aを発生させるように構成されてもよい。
【0128】
ステップ1004では、試料の一部分の1つ又は複数のフラッディング走査が、フラッディング電子ビームを用いて実行される。1つ又は複数のフラッディング走査が試料403において実行されることにより、試料403の1つ又は複数の層内部に電圧コントラストを誘導してもよい。例えば、フラッディング電子ビーム401aを発生すると、フラッディング電子ビーム401aは、予備走査偏向器424及び/又は主走査偏向器428を介して試料403の表面にわたって走査されてもよい。追加及び/又は代替の実施形態では、制御器404は、試料403が上に配設されているステージアセンブリ432を選択的に動かすことによりフラッディング電子ビーム401aを走査することによって、1つ又は複数のフラッディング走査を実行するように構成されてもよい。
【0129】
ステップ1006では、電子光学サブシステムのビーム制限開口の1つ又は複数の特性が調節されて、電子光学サブシステムをフラッディングモードから結像モードに切り換える。例えば、制御器404は、ビーム制限開口416のサイズ及び/又は二重レンズアセンブリ412内部でのビーム制限開口416の位置(例えば、第1レンズ414aからの距離、第2レンズ414bからの距離)を選択的に調節することによって、電子光学サブシステム402をフラッディングモードと結像モードとの間で切り替えるように構成されてもよい。
【0130】
ステップ1008では、結像電子ビームが、結像モードの電子光学サブシステムを用いて形成される。例えば、
図4B~4Cは、結像モードの走査電子顕微鏡法システム400を示す。
図4B~4Cに表すように、制御器404は、電子光学サブシステム402の電子源410に結像電子ビーム401bを発生させるように構成されてもよい。
【0131】
ステップ1010では、試料の一部分の1つ又は複数の結像走査が、結像電子ビームを用いて実行される。例えば、結像電子ビーム401bを発生すると、結像電子ビーム401bは、予備走査偏向器424及び/又は主走査偏向器428を介して試料403の表面にわたって走査されてもよい。追加及び/又は代替の実施形態では、制御器404は、試料403が上に配設されているステージアセンブリ432を選択的に動かすことにより結像電子ビーム401bを走査することによって、1つ又は複数の結像走査を実行するように構成されてもよい。
【0132】
ステップ1012では、試料の一部分の1つ又は複数の像が、1つ又は複数の結像走査中に取得される。例えば、検出器アセンブリ432は、収集された/受け取られた二次電子411に基づいて試料403の1つ又は複数の像を発生するように構成されてもよい。別の一実施形態では、制御器404は、1つ又は複数の結像走査中に検出器アセンブリ434によって取得された1つ又は複数の像を受け取って、受け取られた像をメモリ408に記憶してもよい。
【0133】
ステップ1014では、試料の1つ又は複数の特性が、1つ又は複数の像に基づいて決定される。識別されてもよい試料403の特性は、試料403についての欠陥の存在(例えば、破滅的欠陥、ニューサンス欠陥)、欠陥位置、欠陥サイズ、寸法等を含んでもよいが、これに限定されない。
【0134】
当業者であれば、本明細書に記載された構成要素(例えば、操作)、デバイス、対象、及びそれらに付随する解説が概念の明快さのために例として用いられていること、及び様々な構成変更が考えられることを認識するであろう。したがって、本明細書で用いられるとき、記載された特定の例及び付随する解説は、それらのより一般的なクラスを表しているように意図されている。一般に、いずれかの特定の典型を用いることは、そのクラスを表していることが意図され、そして、特定の構成要素(例えば、操作)、デバイス、及び対象を含まないことは、限定として考えられるべきではない。
【0135】
当業者であれば、様々な手段であって、それによって本明細書に記載されたプロセス及び/又はシステム及び/又は別の技術が達成されてもよい様々な手段(例えば、ハードウェア、ソフトウェア及び/又はファームウェア)が存在すること、及び好ましい手段は、プロセス及び/又はシステム及び/又は別の技術が配備される状況によって変化するものであることを理解するであろう。例えば、実施者が速度及び正確度が最重要であると決定するならば、実施者は、ハードウェア及び/又はファームウェア手段を主として選んでもよく、代替的に、融通性が最重要であるならば、実施者は、主としてソフトウェア実装を選んでもよく、更に代替的に、実施者は、ハードウェア、ソフトウェア、及び/又はファームウェアのなんらかの組合せを選んでもよい。それゆえに、いくつかの可能な手段であって、それによって、本明細書に記載されたプロセス及び/又はデバイス及び/又は別の技術が達成されてもよいいくつかの可能な手段が存在し、それらの手段のうちのいずれもが、本質的に別のものよりも優れておらず、その理由は、利用されるべきすべての手段が、変化することがある、手段が配備される状況及び実施者の特定の関心(例えば、速度、融通性、又は予測性)に依存する選択であるからである。
【0136】
これまでの説明は、当業者のうちの一人が特定の用途及びそれの要件の状況において提供されるように本発明を作成及び使用することを可能にするように表されている。本明細書で用いられるとき、「最上」、「最下」、「上に」、「下に」、「上側」、「上向き」、「下側」、「下へ」、及び「下向き」等の方向を示す用語は、相対位置を説明のために提供することを目的とし、そして絶対座標系を示すことを目的としていない。記述された実施形態への様々な修正は、当業者には明らかであろう、そして、本明細書で規定された一般的な原理は、別の実施形態に適用されてもよい。そのため、本発明は、表され記載された特定の実施形態に限定されることを意図されないけれども、本明細書で開示された原理及び新規な特性と整合する最も広い範囲と一致しなければならない。
【0137】
本明細書における実質的に全ての複数及び/又は単数用語の使用に関して、当業者は、複数から単数に及び/又は単数から複数に状況及び/又は用途にふさわしいように変換してもよい。様々な単数/複数の置換は、明瞭のために本明細書では明確には記述されない。
【0138】
本明細書に記載された方法の全ては、方法実施形態の1つ又は複数のステップの結果をメモリに記憶することを含んでもよい。結果は、本明細書に記載された結果のうちのいずれかを含んでもよく、該技術分野で公知のいずれかの態様で記憶されてもよい。メモリは、本明細書に記載されたいずれか別の好適な記憶媒体又は該技術分野で公知のいずれか別のメモリを含んでもよい。結果が記憶された後に、結果は、メモリ内でアクセスされ、本明細書に記載された方法又はシステム実施形態のうちのいずれかによって用いられ、ユーザへの表示のためにフォーマットされ、別のソフトウェアモジュール、方法、又はシステムによって用いられる等であってもよい。更に、結果は、「恒久的に」、「半恒久的に」、「一時的に」、又はなんらかの期間の間、記憶されてもよい。例えば、メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)であってもよく、そして、結果は、必ずしもメモリ内に無期限に残存しなくてもよい。
【0139】
更に考慮されるのは、上記の方法についての実施形態のそれぞれは、本明細書に記載されたいずれか別の方法のいずれか別のステップを含んでもよいことである。更に、上記の方法についての実施形態のそれぞれは、本明細書に記載されたシステムのうちのいずれかによって実行されてもよい。
【0140】
本明細書に記載された主題は、時には、別の構成要素内部に包含された、又はそれと接続された異なる構成要素を示す。理解されるべきは、かかる示された構成は、単に例示的なものにすぎず、実際には、同じ機能を達成する多くの別の構成が実施されてもよい。概念的な意味において、同じ機能を達成するための、構成要素についてのいずれかの配置が有効に「関連付けられる」ことにより、所望の機能が達成される。それゆえに、特定の機能を達成するために本明細書において組み合わされたいずれか2つの構成要素が、構成又は中間の構成要素にかかわらず所望の機能が達成されるように、互いに「関連している」と考えられてもよい。同様に、そのように関連付けられたいずれか2つの構成要素は、所望の機能を達成するために互いに「接続されている」又は「結合されている」と考えられてもよく、そのように関連付けられることができるいずれか2つの構成要素は、所望の機能を達成するために互いに「接続可能」であると考えられてもよい。接続可能であることの具体的な例は、物理的に篏合可能な及び/又は物理的に相互作用する構成要素、並びに/あるいは、無線で相互作用可能な及び/又は無線で相互作用する構成要素、並びに/あるいは、論理的に相互作用する及び/又は論理的に相互作用可能な構成要素を含むが、これに限定されない。
【0141】
更に、本発明は、添付クレームによって規定されることを理解すべきである。当業者であれば、一般に、本明細書において、特に添付クレーム(例えば、添付クレームの本文)において用いられている用語が、一般に、「オープン」型用語として意図されている(例えば、用語「を含んでいる」は、「を含んでいるがこれに限定されない」と解釈されなければならず、用語「を有している」は、「を少なくともを有している」と解釈されなければならず、用語「を含む」は、「を含むがこれに限定されない」と解釈されなければならない等である)ことを理解するであろう。更に、当業者であれば、特定数の導入クレーム記載が意図されている場合、かかる意図は、クレームにおいて明示的に記載されていることになり、かかる記載がない場合、かかる意図は存在しないことを理解するであろう。例えば、理解の助けとして、以下の添付クレームは、クレーム記載を導入するために導入句「少なくとも1つ」及び「1つ又は複数の」の使用を含むことがある。しかし、かかる句の使用は、不定冠詞「a」又は「an」によるクレーム記載の導入は、同じクレームが、導入句「1つ又は複数の」又は「少なくとも1つ」、及び「a」又は「an」のような不定冠詞を含む(例えば、「a」及び/又は「an」は、典型的には「少なくとも1つ」又は「1つ又は複数の」を意味すると解釈されるべきである)ときでさえ、かかる導入されたクレーム記載を含むいずれかの特定のクレームを1つのかかる記載だけを含む発明に限定することを意味すると解釈されてはならず、同じことが、クレーム記載を導入するために用いられる定冠詞の使用にもあてはまる。それに加えて、たとえ特定数の導入クレーム記載が明示的に記載されている場合でも、当業者であれば、かかる記載が、一般的には少なくとも記載された数を意味すると解釈されなければならないことを認識するであろう(例えば、別の修飾子を伴わない「2つの記載」という無修飾の記載は、一般的には、少なくとも2つの記載、又は2つ以上の記載を意味する)。更に、「A、B、及びC等のうちの少なくとも1つ」に類似した表記法が用いられる例では、一般に、かかる構成は、当業者がその表記法を理解する意味に意図されている(例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、Aだけ、Bだけ、Cだけ、AとB一緒に、AとC一緒に、BとC一緒に、及び/又はAとBとC一緒に、等を有するシステムを含むが、これに限定されないことになる)。「A、B、又はC等のうちの少なくとも1つ」に類似した表記法が用いられる例において、一般に、かかる構成は、当業者がその表記法を理解する意味に意図されている(例えば、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、Aだけ、Bだけ、Cだけ、AとB一緒に、AとC一緒に、BとC一緒に、及び/又はAとBとC一緒に、等を有するシステムを含むが、これに限定されないことになる)。更に、当業者であれば理解されるように、実質的に2つ以上の代替用語を表すいずれかの離接的語及び/又は句は、明細書、クレーム、又は図面内のいずれにあるかに関係なく、用語のうちの1つ、用語のうちのどちらか、又は両方の用語を含むことの可能性を考慮するように理解されるべきである。例えば、「A又はB」という句は、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むように理解されることになる。
【0142】
本開示及びそれの付随する利点の多くが、前述の記載によって理解されると考えられ、様々な変更が、開示された主題から逸脱することなく、又はそれの具体的な利点の全てを犠牲にすることなく、構成要素の形式、構成、及び配列においてなされてもよいことが明らかであろう。記載された形式は、単に説明的なものであるにすぎず、かかる変更を包含及び含むことが以下のクレームについての意図である。更に、本発明は、添付クレームによって規定されることが理解されるべきである。