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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】供給装置及び供給方法
(51)【国際特許分類】
   B05C 11/10 20060101AFI20240411BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20240411BHJP
   B05D 1/18 20060101ALI20240411BHJP
   C03C 25/104 20180101ALI20240411BHJP
【FI】
B05C11/10
B05D3/00 B
B05D1/18
C03C25/104
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020030980
(22)【出願日】2020-02-26
(65)【公開番号】P2021133299
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【弁理士】
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 洋
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 純平
(72)【発明者】
【氏名】矢部 史尋
(72)【発明者】
【氏名】藤田 征大
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 尚
【審査官】山本 晋也
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-024393(JP,A)
【文献】特開2004-034391(JP,A)
【文献】特開2009-183172(JP,A)
【文献】特開2004-244195(JP,A)
【文献】特開平01-278311(JP,A)
【文献】特開2009-142745(JP,A)
【文献】特開2007-245024(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C
B05D
B29B
B29C
C03C
G02B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバの外周に被覆層となる樹脂を供給する供給システムであって、
供給装置を有し、
前記供給装置は、
樹脂を貯蔵し、前記樹脂の取り出し口を有する少なくとも1つの第1の貯蔵容器と、
前記第1の貯蔵容器に貯蔵された前記樹脂の量を測定する第1の測定機構と、
前記第1の測定機構により測定された前記樹脂の量に基づき、前記取り出し口の側に前記第1の貯蔵容器を傾斜させる傾斜機構と
を有し、
前記取り出し口は、前記第1の貯蔵容器の側部に設けられ、
前記供給装置は、前記第1の貯蔵容器が設置された設置部を有し、
前記傾斜機構は、前記設置部を傾斜させることにより前記第1の貯蔵容器を傾斜させ、
前記供給装置は、前記傾斜機構により傾斜させられた前記第1の貯蔵容器の転倒又は滑りを防止する歯止めを有し、
前記供給システムは、
前記第1の貯蔵容器よりも小型の少なくとも1つの第2の貯蔵容器と、
前記第1の貯蔵容器と前記第2の貯蔵容器とを接続する配管と、
前記配管の流路を開閉する開閉機構と、
前記第1の貯蔵容器から前記第2の貯蔵容器に前記樹脂を移送するポンプと、
前記第2の貯蔵容器に貯蔵された前記樹脂の量を測定する第2の測定機構と、
前記開閉機構及び前記ポンプを制御する制御装置と
を有し、
前記制御装置は、前記第2の測定機構により測定された前記樹脂の量に基づき、前記開閉機構を開放して前記ポンプによりクリーンルーム外に設置した前記第1の貯蔵容器から前記クリーンルームに設置した前記第2の貯蔵容器に前記樹脂を移送する
ことを特徴とする供給システム
【請求項2】
前記第1の測定機構は、前記樹脂の前記量として前記樹脂の重量を測定する
ことを特徴とする請求項1記載の供給システム
【請求項3】
前記傾斜機構は、前記第1の測定機構により測定された前記樹脂の量に応じて、前記第1の貯蔵容器が傾斜する角度を変更する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の供給システム
【請求項4】
前記第1の測定機構は、前記樹脂の量を測定した測定値に基づきアラームを発する
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の供給システム
【請求項5】
前記配管は、遮光性を有する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の供給システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の供給システムを用いた供給方法であって、
前記第1の貯蔵容器に貯蔵された前記樹脂の量を測定し、
前記樹脂の量に基づき、前記取り出し口の側に前記第1の貯蔵容器を傾斜させる
ことを特徴とする供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給装置及び供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、走行中の光ファイバの被覆を行うダイスに向けてこのダイスよりも重力的に上方位置に設けた大容量のタンクから被覆用の樹脂を供給する線条体被覆用樹脂供給方法が記載されている。特許文献1に記載の方法は、ダイス内の圧力を検出し、この検出した圧力に応じてタンクとダイスとの供給路に設けた電磁バルブの開度量を適宜可変制御し、ダイスの内圧を常時一定にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-309268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、ダイスよりも上方に位置するタンクの底部からダイスに樹脂を供給しているため、タンクの底部に沈殿した異物が存在する場合に異物とともに樹脂をダイスに供給するおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、上述した課題を鑑み、樹脂への異物の混入を低く抑制しつつ効率よく樹脂を供給することができる供給装置及び供給方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によれば、樹脂を貯蔵し、前記樹脂の取り出し口を有する貯蔵容器と、前記貯蔵容器に貯蔵された前記樹脂の量を測定する測定機構と、前記測定機構により測定された前記樹脂の量に基づき、前記取り出し口の側に前記貯蔵容器を傾斜させる傾斜機構とを有することを特徴とする供給装置が提供される。
【0007】
本発明の他の観点によれば、樹脂の取り出し口を有する貯蔵容器に貯蔵された前記樹脂の量を測定し、前記樹脂の量に基づき、前記取り出し口の側に前記貯蔵容器を傾斜させることを特徴とする供給方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、樹脂への異物の混入を低く抑制しつつ効率よく樹脂を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施形態による樹脂供給装置を含む樹脂供給システムを示す概略図である。
図2図2は、本発明の一実施形態による樹脂供給装置を示す概略図である。
図3図3は、本発明の一実施形態による樹脂塗布装置における樹脂塗布部の例を示す概略図である。
図4図4は、本発明の一実施形態による樹脂供給システムにおける処理を示すフローチャートである。
図5図5は、本発明の一実施形態による樹脂供給装置における大型貯蔵容器の傾斜を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[一実施形態]
本発明の一実施形態による樹脂供給装置及び樹脂供給方法について図1乃至図5を用いて説明する。
【0011】
はじめに、本実施形態による樹脂供給装置を含む樹脂供給システムの構成について図1乃至図3を用いて説明する。図1は、本実施形態による樹脂供給システムを示す概略図である。図2は、本実施形態による樹脂供給装置を示す概略図である。図3は、本実施形態による樹脂塗布装置における樹脂塗布部の例を示す概略図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態による樹脂供給システム1は、樹脂供給装置10と、樹脂塗布装置20と、制御装置30とを含んでいる。本実施形態による樹脂供給システム1は、樹脂供給装置10から樹脂塗布装置20に樹脂が供給され、樹脂塗布装置20において対象物への樹脂の塗布作業が実施されるように構成された供給システムである。樹脂供給システム1は、例えば後述するように、線引き装置において線引きされる光ファイバを樹脂の塗布対象として、光ファイバの外周に樹脂を塗布して1次被覆層(プライマリ層)、2次被覆層(セカンダリ層)等の被覆層を形成するものである。
【0013】
樹脂供給装置10は、樹脂を貯蔵するための貯蔵エリアを提供する貯蔵室SRに設置されている。樹脂塗布装置20及び制御装置30は、樹脂の塗布作業を実施するための作業エリアを提供するクリーンルームCRに設置されている。貯蔵室SRは、クリーンルームCRとは別個に設けられた部屋である。クリーンルームCRは、樹脂塗布装置20による塗布作業に要求される所定の範囲の空気清浄度が確保され、貯蔵室SRよりも空気清浄度が高く維持されている部屋である。本実施形態では、クリーンルームCRとは別個の部屋である貯蔵室SRに樹脂供給装置10が設置されて樹脂が貯蔵されるため、クリーンルームCRのスペースを有効活用することができる。
【0014】
なお、樹脂供給装置10は、必ずしも貯蔵室SRに設置されている必要はなく、樹脂塗布装置20とともにクリーンルームCRに設置されていてもよい。また、樹脂塗布装置20は、必ずしもクリーンルームCRに設置されている必要はなく、樹脂の塗布環境に要求される条件に適合する場所に設置することができる。また、制御装置30も、必ずしもクリーンルームCRに設置されている必要はなく、管理室等の別個の部屋に設置されていてもよい。
【0015】
樹脂供給装置10は、樹脂塗布装置20に樹脂を供給する供給装置である。樹脂供給装置10は、貯蔵部102-1、102-2と、傾斜機構104-1、104-2とを有している。また、樹脂供給装置10は、供給元配管106-1、106-2と、供給元配管108と、開閉弁110-1、110-2と、開閉弁112-1、112-2と、開閉弁114と、駆動源116とを有している。
【0016】
貯蔵部102-1は、設置部120-1と、大型貯蔵容器122-1と、重量測定機構124-1と、重量モニタ126-1と、歯止め128-1とを有している。また、貯蔵部102-2は、設置部120-2と、大型貯蔵容器122-2と、重量測定機構124-2と、重量モニタ126-2と、歯止め128-2とを有している。
【0017】
傾斜機構104-1、104-2、重量測定機構124-1、124-2、開閉弁110-1、110-2、開閉弁112-1、112-2、開閉弁114及び駆動源116は、それぞれ制御装置30に通信可能に接続されている。
【0018】
貯蔵部102-1における設置部120-1は、図2に示すように、大型貯蔵容器122-1が出し入れ可能に収納されて設置された箱体である。設置部120-1は、特に限定されるものではないが、例えば、直方体状又は立方体状の箱体である。設置部120-1の少なくとの一側面には、側板の全部又は一部を欠いた開口部130-1が設けられている。開口部130-1には、後述するように設置部120-1に収納された大型貯蔵容器122-1の取り出し口134-1が向けられる。
【0019】
また、設置部120-1において、開口部130-1が設けられた側面とは反対の側面側の天板の端部には、取っ手132-1が設けられている。
取っ手132-1は、後述するように、設置部120-1の開口部130-1とは反対の側面側の天板の端部を傾斜機構104-1が持ち上げて設置部120-1を傾斜させる際に使用される。
【0020】
大型貯蔵容器122-1は、樹脂塗布装置20に供給すべき液体状の樹脂を貯蔵する。大型貯蔵容器122-1は、特に限定されるものではないが、例えば、直方体状又は立方体状の容器である。大型貯蔵容器122-1の側部には、貯蔵された樹脂を取り出すための取り出し口134-1が設けられている。大型貯蔵容器122-1の重量は、特に限定されるものではないが、貯蔵可能な最大重量の樹脂を貯蔵した状態で例えば1000kgfである。
【0021】
大型貯蔵容器122-1に貯蔵される樹脂は、特に限定されるものではなく、樹脂を塗布する対象物に応じて適宜選定することができる。例えば、樹脂は、紫外線が照射されることにより液体から固体へと硬化する紫外線硬化型樹脂である。
【0022】
大型貯蔵容器122-1の材質は、特に限定されるものではなく、樹脂の材質等に応じて適宜選定することができ、例えば、金属製であってもプラスチック製であってもよい。例えば、大型貯蔵容器122-1の材質は、紫外線硬化型樹脂を貯蔵する場合、紫外線による樹脂の劣化防止のため、少なくとも紫外線を遮光する遮光性を有する材質のものとすることができる。
【0023】
大型貯蔵容器122-1は、設置部120-1の底面に設置された重量測定機構124-1上に載置されて設置部120-1に収納されている。大型貯蔵容器122-1は、取り出し口134-1が開口部130-1を向くように配置されている。
【0024】
設置部120-1に収納された大型貯蔵容器122-1の開口部130-1側における重量測定機構124-1の端部上には、傾斜機構104-1により傾斜させられた大型貯蔵容器122-1の転倒及び滑りを防止するための歯止め128-1が設置されている。歯止め128-1は、大型貯蔵容器122-1の取り出し口134-1が設けられた側部に沿って、取り出し口134-1よりも低い高さでの壁状に形成された壁状部材である。大型貯蔵容器122-1は、傾斜機構104-1による傾斜に際して、歯止め128-1によりその側部が支持されることにより転倒及び滑りが防止される。なお、歯止め128-1は、大型貯蔵容器122-1の転倒又は滑りを防止するように構成されていればよい。また、歯止め128-1の構造は、特に限定されるものではなく、大型貯蔵容器122-1の転倒又は滑りを防止することができるものであればよい。
【0025】
重量測定機構124-1は、設置部120-1に収納された大型貯蔵容器122-1に貯蔵された樹脂の重量を測定する。重量測定機構124-1は、貯蔵された樹脂を含む大型貯蔵容器122-1の総重量を測定し、総重量から空の大型貯蔵容器122-1の重量を差し引く。これにより、重量測定機構124-1は、大型貯蔵容器122-1に貯蔵された樹脂の重量を測定することができる。重量測定機構124-1は、空の大型貯蔵容器122-1の重量を予め記憶している。なお、重量測定機構124-1は、大型貯蔵容器122-1に貯蔵された樹脂の重量を反映して示す重量として、貯蔵された樹脂を含む大型貯蔵容器122-1の総重量を測定するものであってもよい。重量測定機構124-1は、特に限定されるものではないが、例えば、歪みゲージ式、静電容量式等のロードセルにより構成されている。
【0026】
また、重量測定機構124-1は、測定した樹脂の重量を示す重量信号を制御装置30及び重量モニタ126-1に送信する。重量測定機構124-1は、重量信号を連続的又は定期的に送信することができる。
【0027】
また、重量測定機構124-1は、大型貯蔵容器122-1に貯蔵された樹脂の重量を測定した測定値を監視し、測定値に基づきアラームを発して通知するアラーム機能を有していてもよい。この場合、重量測定機構124-1は、測定値が所定の値を下回った場合にアラームを発して通知することができる。また、この場合、重量測定機構124-1は、特に限定されるものではないが、例えば、重量モニタ126-1への表示出力、スピーカ(図示せず)への音声出力、制御装置30へのアラーム信号の送信等により、アラームを通知することができる。作業者は、アラームにより大型貯蔵容器122-1の交換時期を知ることができる。
【0028】
重量モニタ126-1は、重量測定機構124-1に通信可能に接続されている。重量モニタ126-1は、重量測定機構124-1から受信した重量信号に基づき、大型貯蔵容器122-1に貯蔵されている樹脂の重量を表示する表示部である。重量モニタ126-1は、その表示内容を作業者が視認することができるように設置部120-1内又は設置部120-1外に設置されている。重量モニタ126-1は、例えば、大型貯蔵容器122-1に貯蔵されている樹脂の重量の経時変化を示すグラフ形式で樹脂の重量を表示することができる。作業者は、重量モニタ126-1の表示内容を目視することにより、大型貯蔵容器122-1に貯蔵されている樹脂の重量を確認することができる。
【0029】
こうして、貯蔵部102-1が構成されている。なお、貯蔵部102-2も、貯蔵部102-1と同様の機能及び構成を有している。設置部120-2は設置部120-1に、大型貯蔵容器122-2は大型貯蔵容器122-1に、重量測定機構124-2は重量測定機構124-1に、重量モニタ126-2は重量モニタ126-1に、歯止め128-2は歯止め128-1に対応している。また、設置部120-2には、開口部130-1に対応する開口部130-2が設けられている。また、設置部120-2には、取っ手132-1に対応する取っ手132-2が設けられている。また、大型貯蔵容器122-2には、取り出し口134-1に対応する取り出し口134-2が設けられている。
【0030】
傾斜機構104-1は、制御装置30による制御に従って、重量測定機構124-1により測定された樹脂の重量に基づき、大型貯蔵容器122-1を収納した設置部120-1を傾斜させて、設置部120-1とともに大型貯蔵容器122-1を傾斜させる。傾斜機構104-1は、大型貯蔵容器122-1を、その側部に設けられた取り出し口134-1の側に傾斜させる。
【0031】
より具体的には、傾斜機構104-1は、設置部120-1及び大型貯蔵容器122-1を傾斜させるに際して、設置部120-1に設けられた取っ手132-1を介して、設置部120-1の開口部130-1とは反対側の天板端部を吊り上げる。これにより、傾斜機構104-1は、開口部130-1を向く取り出し口134-1を含む大型貯蔵容器122-1の側部が前傾するように、設置部120-1とともに大型貯蔵容器122-1を傾斜させる。
【0032】
傾斜機構104-1により設置部120-1を傾斜させることにより、設置部120-1に設置された大型貯蔵容器122-1を傾斜させるため、大型貯蔵容器122-1として傾斜させるための構造を有する特殊な容器を採用する必要ない。このため、大型貯蔵容器122-1として、汎用の容器を使用することができる。
【0033】
傾斜機構104-1は、特に限定されるものではないが、例えば、ワイヤにより吊り上げ可能なフックを有するクレーンである。この場合、傾斜機構104-1は、引っ掛け穴が設けられた取っ手132-1にフックを掛けてワイヤで吊り上げ、フックの位置を開口部130-1の側に所定の距離だけ移動する。これにより、傾斜機構104-1は、所定の前傾角度で設置部120-1及び大型貯蔵容器122-1を傾斜させることができる。
【0034】
なお、傾斜機構104-2も、傾斜機構104-1と同様の機能及び構成を有し、制御装置30による制御に従って、上記と同様にして設置部120-2及び大型貯蔵容器122-2を傾斜させるものである。
【0035】
供給元配管106-1、106-2及び供給元配管108は、大型貯蔵容器122-1、122-2に貯蔵された樹脂を樹脂塗布装置20に供給するための樹脂の流路となる配管である。供給元配管106-1、106-2及び供給元配管108は、大型貯蔵容器122-1、122-2と小型貯蔵容器204-1~204-6とを接続する配管の一部を構成する。
【0036】
供給元配管106-1、106-2及び供給元配管108の材質は、特に限定されるものではなく、樹脂の材質等に応じて適宜選定することができる。例えば、供給元配管106-1、106-2及び供給元配管108の材質は、紫外線硬化型樹脂を供給する場合、紫外線による樹脂の劣化防止のため、少なくとも紫外線を遮光する遮光性を有する材質のものとすることができる。具体的には、供給元配管106-1、106-2及び供給元配管108の材質は、例えば、ステンレス鋼(Steel Special Use Stainless、SUS)とすることができる。
【0037】
供給元配管106-1の上流端は、大型貯蔵容器122-1の取り出し口134-1に接続されている。供給元配管106-2の上流端は、大型貯蔵容器122-2の取り出し口134-2に接続されている。
【0038】
供給元配管106-1の下流端及び供給元配管106-2の下流端は、供給元配管108の上流端に接続されている。供給元配管108の下流端は、後述するポンプ202の吸込口に接続されている。
【0039】
開閉弁110-1及び開閉弁112-1は、それぞれ供給元配管106-1の上流部及び下流部に設けられている。開閉弁110-2及び開閉弁112-2は、それぞれ供給元配管106-2の上流部及び下流部に設けられている。開閉弁114は、供給元配管108に設けられている。
【0040】
供給元配管106-1、106-2及び供給元配管108は、傾斜機構104-1、104-2による大型貯蔵容器122-1、122-2の傾斜に応じて、例えば、移動可能に支持されている。また、供給元配管106-1、106-2及び供給元配管108は、傾斜機構104-1、104-2による大型貯蔵容器122-1、122-2の傾斜に応じて、例えば、屈曲可能に構成されていてもよい。
【0041】
開閉弁110-1、110-2、開閉弁112-1、112-2及び開閉弁114は、制御装置30による制御に従って開閉し、それぞれが設けられた配管の樹脂が流れる流路を開閉する開閉機構である。開閉弁110-1、110-2、開閉弁112-1、112-2及び開閉弁114は、特に限定されるものではないが、例えば、電動式、空気圧式、油圧式等の駆動方式の開閉弁である。開閉弁110-1、110-2、開閉弁112-1、112-2及び開閉弁114は、これらに駆動方式に応じた駆動力を供給する駆動源116に接続されている。
【0042】
駆動源116は、制御装置30による制御に従って動作し、開閉弁110-1、110-2、開閉弁112-1、112-2及び開閉弁114に駆動力を供給する。
【0043】
こうして、樹脂供給装置10が構成されている。
【0044】
樹脂塗布装置20は、樹脂供給装置10から供給された樹脂を対象物に塗布する塗布装置である。樹脂塗布装置20は、ポンプ202と、小型貯蔵容器204-1~204-6と、樹脂塗布部206-1~206-6とを有している。また、樹脂塗布装置20は、供給先配管208と、供給先配管210-1~210-6と、供給先配管212-1~212-6と、開閉弁214-1~214-6とを有している。また、樹脂塗布装置20は、重量測定機構216-1~216-6と、駆動源218とを有している。
【0045】
ポンプ202、開閉弁214-1~214-6、重量測定機構216-1~216-6及び駆動源218は、それぞれ制御装置30に通信可能に接続されている。
【0046】
ポンプ202は、樹脂供給装置10の大型貯蔵容器122-1又は122-2から小型貯蔵容器204-1~204-6に樹脂を移送する移送機構である。ポンプ202は、制御装置30による制御に従って動作し、樹脂供給装置10から供給された樹脂を小型貯蔵容器204-1~204-6に送り出して移送する。ポンプ202の吸込口には、樹脂供給装置10の供給元配管108の下流端が接続されている。ポンプ202の吐出口には、供給先配管208の上流端が接続されている。
【0047】
供給先配管208及び供給先配管210-1~210-6は、樹脂供給装置10から供給された樹脂を小型貯蔵容器204-1~204-6に供給するための流路となる配管である。供給先配管208及び供給先配管210-1~210-6は、大型貯蔵容器122-1、122-2と小型貯蔵容器204-1~204-6とを接続する配管の一部を構成する。
【0048】
供給先配管212-1~212-6は、それぞれ小型貯蔵容器204-1~204-6に貯蔵された樹脂を樹脂塗布部206-1~206-6に供給するための樹脂の流路となる配管である。供給先配管212-1~212-6は、それぞれ小型貯蔵容器204-1~204-6と樹脂塗布部206-1~206-6とを接続する配管である。
【0049】
供給先配管208、供給先配管210-1~210-6及び供給先配管212-1~212-6の材質は、特に限定されるものではなく、樹脂の材質等に応じて適宜選定することができる。例えば、供給先配管208、供給先配管210-1~210-6及び供給先配管212-1~212-6の材質は、紫外線硬化型樹脂を供給する場合、紫外線による樹脂の劣化防止のため、少なくとも紫外線を遮光する遮光性を有する材質のものとすることができる。具体的には、供給先配管208、供給先配管210-1~210-6及び供給先配管212-1~212-6の材質は、例えば、ステンレス鋼(Steel Special Use Stainless、SUS)とすることができる。
【0050】
供給先配管208の下流端は、供給先配管210-1~210-6の上流端のそれぞれに分岐して接続されている。供給先配管210-1~210-6の下流端は、それぞれ小型貯蔵容器204-1~204-6の導入口に接続されている。供給先配管212-1~212-6の上流端は、それぞれ小型貯蔵容器204-1~204-6の導出口に接続されている。供給先配管212-1~212-6の下流端は、それぞれ樹脂塗布部206-1~206-6に接続されている。
【0051】
開閉弁214-1~214-6は、それぞれ供給先配管210-1~210-6に設けられている。開閉弁214-1~214-6は、制御装置30による制御に従って開閉し、それぞれが設けられた配管の樹脂が流れる流路を開閉する開閉機構である。開閉弁214-1~214-6は、特に限定されるものではないが、例えば、電動式、空気圧式、油圧式等の駆動方式の開閉弁である。開閉弁214-1~214-6は、これらに駆動方式に応じた駆動力を供給する駆動源218に接続されている。
【0052】
駆動源218は、制御装置30による制御に従って動作し、開閉弁214-1~214-6に駆動力を供給する。
【0053】
小型貯蔵容器204-1~204-6は、それぞれ樹脂供給装置10から供給された樹脂を貯蔵する。小型貯蔵容器204-1~204-6に貯蔵された樹脂は、それぞれ樹脂塗布部206-1~206-6に供給される。小型貯蔵容器204-1~204-6は、それぞれ大型貯蔵容器122-1、122-2よりも樹脂の貯蔵量が少なく、大型貯蔵容器122-1、122-2よりも小型の貯蔵容器である。小型貯蔵容器204-1~204-6の重量は、特に限定されるものではないが、貯蔵可能な最大重量の樹脂を貯蔵した状態で例えば10kgfである。なお、小型貯蔵容器204-1~204-6は、互いに同一の容器であってもよいし、互いに異なる容器であってもよい。
【0054】
小型貯蔵容器204-1~204-6は、それぞれ供給先配管210-1~210-6の下流端が接続されて樹脂が導入される導入口を有している。また、小型貯蔵容器204-1~204-6は、それぞれ供給先配管212-1~212-6の上流端が接続されて樹脂が導出される導出口を有している。
【0055】
小型貯蔵容器204-1~204-6の材質は、特に限定されるものではなく、樹脂の材質等に応じて適宜選定することができ、例えば、金属製であってもプラスチック製であってもよい。例えば、小型貯蔵容器204-1~204-6の材質は、紫外線硬化型樹脂を貯蔵する場合、紫外線による樹脂の劣化防止のため、少なくとも紫外線を遮光する遮光性を有する材質のものとすることができる。
【0056】
重量測定機構216-1~216-6は、それぞれ小型貯蔵容器204-1~204-6に貯蔵された樹脂の重量を測定する。重量測定機構216-1~216-6は、それぞれ、貯蔵された樹脂を含む小型貯蔵容器204-1~204-6の総重量を測定し、総重量から空の小型貯蔵容器204-1~204-6の重量を差し引く。これにより、重量測定機構216-1~216-6は、小型貯蔵容器204-1~204-6に貯蔵された樹脂の重量を測定することができる。重量測定機構216-1~216-6は、それぞれ空の小型貯蔵容器204-1~204-6を予め記憶している。なお、重量測定機構216-1~216-6は、それぞれ、小型貯蔵容器204-1~204-6に貯蔵された樹脂の重量を反映して示す重量として、貯蔵された樹脂を含む小型貯蔵容器204-1~204-6の総重量を測定するものであってもよい。重量測定機構216-1~216-6は、特に限定されるものではないが、例えば、歪みゲージ式、静電容量式等のロードセルにより構成されている。ロードセルにより構成された重量測定機構216-1~216-6の場合、重量測定機構216-1~216-6上にそれぞれ小型貯蔵容器204-1~204-6が設置される。
【0057】
また、重量測定機構216-1~216-6は、測定した樹脂の重量を示す重量信号を制御装置30に送信する。重量測定機構216-1~216-6は、重量信号を連続的又は定期的に送信することができる。
【0058】
また、重量測定機構216-1~216-6は、それぞれ、小型貯蔵容器204-1~204-6に貯蔵された樹脂の重量を測定した測定値を監視し、測定値に基づきアラームを発して通知するアラーム機能を有していてもよい。この場合、重量測定機構216-1~216-6は、測定値が所定の値を下回った場合にアラームを発して通知することができる。また、この場合、重量測定機構216-1~216-6は、特に限定されるものではないが、例えば、モニタ(図示せず)への表示出力、スピーカ(図示せず)への音声出力、制御装置30へのアラーム信号の送信等により、アラームを通知することができる。作業者は、アラームにより小型貯蔵容器204-1~204-6の交換時期を知ることができる。
【0059】
樹脂塗布部206-1~206-6は、それぞれ供給先配管212-1~212-6を介して小型貯蔵容器204-1~204-6から供給される樹脂を対象物に塗布する。樹脂塗布部206-1~206-6は、樹脂を塗布すべき対象物に応じて構成することができる。具体的には、樹脂塗布部206-1~206-6は、例えば、コーティングダイス、ディスペンサ等である。
【0060】
樹脂供給システム1は、例えば、図3に示すように、線引き装置により線引きされる光ファイバ40を、樹脂を塗布すべき対象物とすることができる。光ファイバ40は、中心部のコアと、コアの外周を覆うコアよりも屈折率の高いクラッドとを有し、コア中を光が伝搬する線状体である。光ファイバ40が対象物である場合、樹脂塗布部206-1は、上方から下方に走行する光ファイバ40が上部から入線して下部から出線する漏斗状の密閉型又は開放型のコーティングダイスとして構成することができる。この場合、樹脂塗布部206-1であるコーティングダイスに小型貯蔵容器204-1から供給されて満たされた樹脂50中を光ファイバ40が通過する。これにより、光ファイバ40の外周に樹脂が塗布される。光ファイバ40の外周に塗布された樹脂50は、硬化炉にて硬化される。こうして、光ファイバ40の外周に、塗布された樹脂50が硬化されてなる被覆層が形成される。なお、樹脂塗布部206-2~206-6も同様にコーティングダイスとして構成することができる。
【0061】
こうして、樹脂塗布装置20が構成されている。
【0062】
制御装置30は、樹脂供給システム1における樹脂供給装置10の各部及び樹脂塗布装置20の各部の管理及び制御を行う情報処理装置である。制御装置30は、樹脂供給装置10及び樹脂塗布装置20のそれぞれの一部を構成する。制御装置30は、樹脂供給システム1の状況を示す管理画面、樹脂供給システム1を制御するための制御画面等の各種画面を表示する表示部であるモニタ302を有している。また、制御装置30は、種々の演算、制御、判別等の処理を実行するCPU(Central Processing Unit)(図示せず)を有している。また、制御装置30は、CPUによって実行される様々な制御プログラム、CPUが参照するデータベース等を格納する記憶装置(図示せず)を有している。また、制御装置30は、CPUが処理しているデータ、入力データ等を一時的に格納するRAM(Random Access Memory)(図示せず)を有している。
【0063】
なお、制御装置30は、特に限定されるものではないが、パーソナルコンピュータ等の汎用のコンピュータ装置により構成することもできるし、樹脂供給システム1に専用のコンピュータ装置により構成することもできる。また、制御装置30の各機能は、単一のコンピュータ装置により実現することもできるし、複数台のコンピュータ装置により実現することもできる。
【0064】
制御装置30は、樹脂供給装置10における重量測定機構124-1、124-2から受信した重量信号に基づき、大型貯蔵容器122-1、122-2に貯蔵されている樹脂の重量を管理する。制御装置30は、重量測定機構124-1、124-2から受信した重量信号に基づき、大型貯蔵容器122-1、122-2に貯蔵されている樹脂の重量をモニタ302に表示する。制御装置30は、例えば、大型貯蔵容器122-1、122-2に貯蔵されている樹脂の重量の経時変化を示すグラフ形式で樹脂の重量をモニタ302に表示することができる。作業者は、モニタ302の表示内容を目視することにより、大型貯蔵容器122-1、122-2に貯蔵されている樹脂の重量を確認することができる。
【0065】
また、制御装置30は、樹脂供給装置10における傾斜機構104-1、104-2、開閉弁110-1、110-2、開閉弁112-1、112-2、開閉弁114及び駆動源116の動作を制御する。
【0066】
また、制御装置30は、樹脂塗布装置20における重量測定機構216-1~216-6から受信した重量信号に基づき、小型貯蔵容器204-1~204-6に貯蔵されている樹脂の重量を管理する。制御装置30は、重量測定機構216-1~216-6から受信した重量信号に基づき、小型貯蔵容器204-1~204-6に貯蔵されている樹脂の重量をモニタ302に表示する。制御装置30は、例えば、小型貯蔵容器204-1~204-6に貯蔵されている樹脂の重量の経時変化を示すグラフ形式で樹脂の重量をモニタ302に表示することができる。作業者は、モニタ302の表示内容を目視することにより、小型貯蔵容器204-1~204-6に貯蔵されている樹脂の重量を確認することができる。
【0067】
また、制御装置30は、樹脂塗布装置20におけるポンプ202、開閉弁214-1~214-6及び駆動源218の動作を制御する。
【0068】
こうして、樹脂供給装置10と、樹脂塗布装置20と、制御装置30とを含む樹脂供給システム1が構成されている。
【0069】
次に、本実施形態による樹脂供給システム1における処理についてさらに図4及び図5を用いて説明する。図4は、樹脂供給システム1における処理を示すフローチャートである。図5は、樹脂供給装置10における大型貯蔵容器122-1の傾斜を説明する図である。
【0070】
なお、以下では、大型貯蔵容器122-1、122-2のうち、大型貯蔵容器122-1から樹脂の供給を開始し、大型貯蔵容器122-2を予備の貯蔵容器とする場合について説明する。また、大型貯蔵容器122-1、122-2が傾斜されておらず、開閉弁110-1、110-2、開閉弁112-1、112-2、開閉弁114、開閉弁214-1~214-6が閉鎖され、ポンプ202が停止された状態から処理が開始するものとする。
【0071】
処理の間、重量測定機構124-1は、大型貯蔵容器122-1に貯蔵されている樹脂の重量を測定して重量信号を出力する。また、処理の間、重量測定機構216-1~216-6は、小型貯蔵容器204-1~204-6に貯蔵されている樹脂の重量を測定して重量信号を出力する。
【0072】
制御装置30は、重量測定機構216-1~216-6から受信した重量信号に基づき、小型貯蔵容器204-1~204-6に貯蔵されている樹脂の重量が第1の閾値以下であるか否かを判定する(ステップS102)。制御装置30は、小型貯蔵容器204-1~204-6に貯蔵されている樹脂の重量が第1の閾値以下になるまで判定を繰り返す(ステップS102、NO)。第1の閾値は、小型貯蔵容器204-1~204-6について、樹脂を補給すべき樹脂の重量として予め設定された値である。第1の閾値は、特に限定されるものではないが、例えば、小型貯蔵容器204-1~204-6に貯蔵可能な樹脂の最大重量の50%の値に設定することができる。なお、小型貯蔵容器204-1~204-6について、同一の第1の閾値が設定されていてもよいし、互いに異なる第1の閾値が設定されていてもよい。制御装置30は、樹脂の重量が第1の閾値以下であると判定した小型貯蔵容器204-1~204-6について樹脂を補給すべきものとして取り扱う。
【0073】
制御装置30は、樹脂の重量が第1の閾値以下であると判定すると(ステップS102、YES)、大型貯蔵容器122-1に貯蔵されている樹脂の重量について判定を行う。すなわち、制御装置30は、重量測定機構124-1から受信した重量信号に基づき、大型貯蔵容器122-1に貯蔵されている樹脂の重量が第2の閾値以下であるか否かを判定する(ステップS104)。第2の閾値は、大型貯蔵容器122-1について、大型貯蔵容器122-1の傾斜を行うべき樹脂の重量として予め設定された値である。第2の閾値は、特に限定されるものではないが、例えば、大型貯蔵容器122-1に貯蔵可能な樹脂の最大重量の50%、30%等の値に設定することができる。
【0074】
制御装置30は、樹脂の重量が第2の閾値以下でないと判定すると(ステップS104、NO)、大型貯蔵容器122-1の傾斜を行わずに大型貯蔵容器122-1から樹脂を供給するため、ステップS112の処理に移行する。
【0075】
一方、制御装置30は、樹脂の重量が第2の閾値以下であると判定すると(ステップS104、YES)、さらに大型貯蔵容器122-1に貯蔵されている樹脂の重量について判定を行う。すなわち、制御装置30は、重量測定機構124-1から受信した重量信号に基づき、大型貯蔵容器122-1に貯蔵されている樹脂の重量が第3の閾値以下であるか否かを判定する(ステップS106)。第3の閾値は、大型貯蔵容器122-1について、予備の大型貯蔵容器122-2に切り替えるべき樹脂の重量として予め設定された値である。第3の閾値は、第2の閾値よりも小さい値である。第3の閾値は、特に限定されるものではないが、例えば、大型貯蔵容器122-1に貯蔵可能な樹脂の最大重量の10%の値に設定することができる。
【0076】
制御装置30は、樹脂の重量が第3の閾値以下であると判定すると(ステップS106、YES)、樹脂の供給元を大型貯蔵容器122-1から大型貯蔵容器122-2に切り替える(ステップS108)。切り替えに際しては、また、切り替えの際に大型貯蔵容器122-2に無用な空気が入らないように、空気と接触した部分の樹脂は吸引して取り除いてもよい。
【0077】
一方、制御装置30は、樹脂の重量が第3の閾値以下でないと判定すると(ステップS106、NO)、傾斜機構104-1を制御して傾斜機構104-1により大型貯蔵容器122-1を傾斜させる(ステップS110)。
【0078】
傾斜機構104-1は、制御装置30による制御に従って、取り出し口134-1を含む大型貯蔵容器122-1の側部が前傾するように、設置部120-1及び大型貯蔵容器122-1を傾斜させる。傾斜機構104-1は、大型貯蔵容器122-1を、図5(a)に示す傾斜前の状態から図5(b)に示す傾斜後の状態に傾斜させる。これにより、大型貯蔵容器122-1に貯蔵された樹脂の残量が第2の閾値以下になって少なくなった場合に、大型貯蔵容器122-1中の樹脂を取り出し口134-1に向かわせて集めることができる。これにより、樹脂の残量が少なくなった場合にも確実に樹脂を供給することができる。
【0079】
なお、傾斜機構104-1は、制御装置30による制御に従って、重量測定機構124-1から受信した重量信号が示す樹脂の重量に応じて、大型貯蔵容器122-1が傾斜する傾斜角度を変更することができる。すなわち、傾斜機構104-1は、重量測定機構124-1から受信した重量信号が示す樹脂の重量が少ないほど、大型貯蔵容器122-1が傾斜する傾斜角度がより大きくなるように大型貯蔵容器122-1を傾斜させることができる。なお、ここにいう傾斜角度とは、鉛直方向と、取り出し口134-1を含む大型貯蔵容器122-1の側部とがなす角度である。このように樹脂の重量に応じて傾斜角度を変更することにより、大型貯蔵容器122-1中の樹脂をより確実に取り出し口134-1に向かわせて集めることができる。
【0080】
光ファイバの1次被覆層、2次被覆層等の被覆層を形成するための樹脂の供給について、例えば10kgf程度の重量の比較的に小型の貯蔵容器に貯蔵された樹脂を使用することがある。しかしながら、小型の貯蔵容器では、光ファイバの母材が大型化するに従って貯蔵容器を交換する頻度が多くなり、生産効率が悪化していた。また、貯蔵容器の交換に際しては、空気、汚染物質等の異物が貯蔵容器中に侵入する可能性があるため、交換頻度が多くなる小型の貯蔵容器では、品質維持のための管理項目が増加して管理が煩雑となる。
【0081】
一方、例えば1000kgf程度の比較的に大型の貯蔵容器に樹脂を貯蔵して光ファイバの被覆層を形成するための樹脂を供給すると、貯蔵容器を交換する頻度が少なくなるため、生産効率は向上する。しかしながら、大型の貯蔵容器から単に樹脂を供給する場合、貯蔵容器の底部に樹脂が残存してしまい、底部に残存した樹脂は供給することができずに廃棄することになるため、非経済的である。
【0082】
特許文献1に記載されるようにタンクの底部からダイスに樹脂を供給する方法では、タンクの底部に樹脂が残存するのを回避することができるとしても、タンクの底部に沈殿等の異物があった場合に異物がダイスに供給されてしまうおそれがある。また、樹脂を貯蔵する貯蔵容器に圧力をかけて樹脂を圧送する方法もあるが、貯蔵容器自体が金属製ではなく運搬しやすいプラスチック製である場合、圧送には不向きである。また、樹脂を圧送するために金属製の貯蔵容器に樹脂を移し替えることも可能であるが、汚染の発生、無用な空気の混入等の別の問題が発生してしまい、樹脂の品質維持が困難である。
【0083】
これに対して、本実施形態では、大型貯蔵容器122-1の側部に設けられた取り出し口134-1から樹脂を供給するため、大型貯蔵容器122-1の底部に異物が沈殿していても、樹脂への異物の混入を低く抑制しつつ樹脂を供給することができる。さらに、本実施形態では、大型貯蔵容器122-1中の樹脂の残量が少なくなった場合に、傾斜機構104-1により大型貯蔵容器122-1を傾斜して取り出し口134-1から樹脂を供給する。このため、樹脂の残量が少なくなっても大型貯蔵容器122-1から樹脂を供給することができ、供給することができずに大型貯蔵容器122-1に残存する樹脂を低減することができる。また、大型貯蔵容器122-1は、多量の樹脂を貯蔵する大型のものとすることができるため、頻繁に交換する必要がない。このため、本実施形態では、樹脂塗布部206-2~206-6において光ファイバに樹脂を塗布して光ファイバを樹脂で被覆する場合、連続的に光ファイバへの樹脂の被覆が可能になる。
【0084】
したがって、本実施形態によれば、樹脂への異物の混入を低く抑制しつつ効率よく樹脂供給装置10から樹脂塗布装置20へ樹脂を供給することができる。このため、本実施形態によれば、樹脂塗布装置20において対象物に樹脂を塗布する際の生産性を向上することができる。
【0085】
制御装置30は、樹脂の重量が第2の閾値以下でないと判定した場合(ステップS104、NO)、又はステップS108若しくはステップS110の後、樹脂供給装置10の開閉弁を開放する(ステップS112)。すなわち、制御装置30は、ステップS108を経ていない場合には、供給元配管106-1の開閉弁110-1及び開閉弁112-1、並びに供給元配管108の開閉弁114を開放する。一方、制御装置30は、ステップS108を経ている場合には、供給元配管106-2の開閉弁110-2及び開閉弁112-2、並びに供給元配管108の開閉弁114を開放する。
【0086】
次いで、制御装置30は、ポンプ202を駆動する(ステップS114)。
【0087】
次いで、制御装置30は、樹脂塗布装置20の開閉弁を開放する(ステップS116)。すなわち、制御装置30は、供給先配管210-1~210-6の開閉弁214-1~214-6を開放する。ここで、制御装置30は、樹脂を補給すべき小型貯蔵容器204-1~204-6に接続された供給先配管210-1~210-6の開閉弁214-1~214-6を開放することができる。
【0088】
なお、制御装置30は、上記ステップS112、S114、S116を、上記の順序に限らず適時の順序で実行することができる。
【0089】
こうして、開閉弁が開放されてポンプ202が駆動されることにより、樹脂供給装置10から樹脂塗布装置20の小型貯蔵容器204-1~204-6に樹脂が供給される。
【0090】
制御装置30は、重量測定機構216-1~216-6から受信した重量信号に基づき、小型貯蔵容器204-1~204-6の樹脂の重量が補給を完了すべき規定量に達したか否かを判定する(ステップS118)。補給を完了すべき規定量は、予め設定されている。制御装置30は、樹脂の重量が規定量に達するまで判定を継続する(ステップS118、NO)。
【0091】
制御装置30は、樹脂の重量が規定量に達したと判定すると(ステップS118、YES)、ポンプ202を停止する(ステップS120)。
【0092】
次いで、制御装置30は、樹脂塗布装置20の開閉弁を閉鎖する(ステップS122)。すなわち、制御装置30は、供給先配管210-1~210-6の開閉弁214-1~214-6を閉鎖する。
【0093】
次いで、制御装置30は、樹脂供給装置10の開閉弁を閉鎖する(ステップS124)。すなわち、制御装置30は、ステップS108を経ていない場合には、供給元配管106-1の開閉弁110-1及び開閉弁112-1、並びに供給元配管108の開閉弁114を閉鎖する。一方、制御装置30は、ステップS108を経ている場合には、供給元配管106-2の開閉弁110-2及び開閉弁112-2、並びに供給元配管108の開閉弁114を閉鎖する。
【0094】
なお、制御装置30は、上記ステップS120、S122、S124を、上記の順序に限らず適時の順序で実行することができる。
【0095】
樹脂塗布装置20の樹脂塗布部206-1~206-6では、それぞれ小型貯蔵容器204-1~204-6から供給される樹脂が対象物に塗布される(ステップS126)。
【0096】
制御装置30は、例えば処理開始からの経過時間、樹脂残量、樹脂が塗布された対象物の量等に基づき、樹脂の塗布が完了したか否かを判定する(ステップS128)。制御装置30は、樹脂の塗布が完了したと判定すると(ステップS128、YES)、処理を終了する。制御装置30は、樹脂の塗布が完了していないと判定すると(ステップS128、NO)、上記処理を繰り返す。
【0097】
このように、本実施形態によれば、樹脂への異物の混入を低く抑制しつつ効率よく樹脂供給装置10から樹脂塗布装置20へ樹脂を供給することができる。
【0098】
[変形実施形態]
本発明は、上記実施形態に限らず、種々の変形が可能である。
【0099】
例えば、上記実施形態では、重量測定機構124-1、124-2により大型貯蔵容器122-1、122-2に貯蔵された樹脂の重量を測定する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。重量測定機構124-1、124-2に代えて、大型貯蔵容器122-1、122-2に貯蔵された樹脂の体積等の他の樹脂の量を測定する測定機構を用いることができる。この場合、樹脂の重量に代えて他の樹脂の量を基準に処理を行うことができる。
【0100】
また、上記実施形態では、重量測定機構216-1~216-6により小型貯蔵容器204-1~204-6に貯蔵された樹脂の重量を測定する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。重量測定機構216-1~216-6に代えて、小型貯蔵容器204-1~204-6に貯蔵された樹脂の体積等の他の樹脂の量を測定する測定機構を用いることができる。この場合、樹脂の重量に代えて他の樹脂の量を基準に処理を行うことができる。
【0101】
また、上記実施形態では、2つの大型貯蔵容器122-1、122-2を有する樹脂供給装置10の場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。大型貯蔵容器の数は、1つであっても2つを超える複数であってもよい。この場合、大型貯蔵容器の数に応じて、対応する設置部、傾斜機構、供給元配管及び開閉弁の数を変更することができる。
【0102】
また、上記実施形態では、6つの小型貯蔵容器204-1~204-6を有する樹脂塗布装置20の場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。小型貯蔵容器の数は、1つであっても6つ以外の複数であってもよい。この場合、小型貯蔵容器の数に応じて、対応する供給先配管、開閉弁及び樹脂塗布部の数を変更することができる。
【符号の説明】
【0103】
1…樹脂供給システム
10…樹脂供給装置
20…樹脂塗布装置
30…制御装置
40…光ファイバ
102-1、102-2…貯蔵部
104-1、104-2…傾斜機構
106-1、106-2…供給元配管
108…供給元配管
110-1、110-2…開閉弁
112-1、112-2…開閉弁
114…開閉弁
116…駆動源
120-1、120-2…設置部
122-1、122-2…大型貯蔵容器
124-1、124-2…重量測定機構
126-1、126-2…重量モニタ
128-1、128-2…歯止め
130-1、130-2…開口部
132-1、132-2…取っ手
134-1、134-2…取り出し口
202…ポンプ
204-1~204-6…小型貯蔵容器
206-1~206-6…樹脂塗布部
208…供給先配管
210-1~210-6…供給先配管
212-1~212-6…供給先配管
214-1~214-6…開閉弁
216-1~216-6…重量測定機構
218…駆動源
302…モニタ
CR…クリーンルーム
SR…貯蔵室
図1
図2
図3
図4
図5