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特許7470547ハーネス組付用搬送装置及びワイヤーハーネスの組付方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】ハーネス組付用搬送装置及びワイヤーハーネスの組付方法
(51)【国際特許分類】
   H01B 13/012 20060101AFI20240411BHJP
   B23P 21/00 20060101ALN20240411BHJP
   B23P 19/00 20060101ALN20240411BHJP
【FI】
H01B13/012 D
B23P21/00 306Z
B23P19/00 302G
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020054739
(22)【出願日】2020-03-25
(65)【公開番号】P2021157885
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】西浦 崇郎
(72)【発明者】
【氏名】一村 洋平
(72)【発明者】
【氏名】木村 純也
(72)【発明者】
【氏名】南 達哉
(72)【発明者】
【氏名】中山 智裕
【審査官】中嶋 久雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-073735(JP,A)
【文献】特開2010-086849(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 13/012
B23P 21/00
B23P 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線を配索してワイヤーハーネスを構成する配索盤の上方において、配索箇所に対応して設けられた搬送路と、
搬送対象物を保持するとともに、前記搬送路を走行して保持する前記搬送対象物を搬送する走行体とを有し、
前記搬送路に前記走行体を導入する導入部が備えられ、
前記導入部の下方と、前記搬送対象物を供給する供給部との間を掛け渡す掛け渡し保護部が設けられ、
前記搬送路が、複数方向に延びる前記配索箇所に応じて複数設けられた
ハーネス組付用搬送装置。
【請求項2】
複数の前記搬送路の前記導入部が一箇所にまとめられた
請求項1に記載のハーネス組付用搬送装置。
【請求項3】
前記搬送路の端部に、走行した前記走行体を導出する導出部が備えられた
請求項1又は請求項2に記載のハーネス組付用搬送装置。
【請求項4】
前記搬送対象物が前記電線であり、
前記走行体が前記電線の端部付近を保持するとともに、複数設けられた
請求項1乃至請求項3のうちいずれかに記載のハーネス組付用搬送装置。
【請求項5】
前記搬送路における中間部分に、搬送される前記電線の垂れ下がり部分を支持する電線支持部が設けられた
請求項4に記載のハーネス組付用搬送装置。
【請求項6】
前記搬送路を、前記配索盤の上方において前記配索箇所に対応して吊り下げ支持する支持枠体が設けられた
請求項1乃至請求項5のうちいずれかに記載のハーネス組付用搬送装置。
【請求項7】
前記支持枠体と前記搬送路との間に配置され、前記支持枠体から吊り下げ支持されるとともに、前記搬送路を吊り下げ支持し、前記搬送路を前記支持枠体から間接的に吊り下げ支持する中間支持フレームが設けられた
請求項6に記載のハーネス組付用搬送装置。
【請求項8】
前記支持枠体を前記配索盤と別体構成するとともに、
前記支持枠体に走行移動する走行移動部が設けられた
請求項6又は請求項7に記載のハーネス組付用搬送装置。
【請求項9】
前記配索盤と別体構成した前記支持枠体を、前記配索盤に固定する支持枠体固定部が設けられた
請求項8に記載のハーネス組付用搬送装置。
【請求項10】
電線を配索してワイヤーハーネスを構成する配索盤の上方において、配索箇所に対応して設けられた搬送路に、搬送対象物を保持する走行体を走行させて、前記搬送対象物を前記配索箇所の所定位置に搬送して、前記ワイヤーハーネスを組み付け、
前記搬送路に前記走行体を導入する導入部の下方と、前記搬送対象物を供給する供給部との間に掛け渡し保護部を掛け渡して、前記導入部から前記走行体を導入し、
前記搬送路が、複数方向に延びる前記配索箇所に応じて複数設けられている
ワイヤーハーネスの組付方法。
【請求項11】
一箇所にまとめられた、複数の前記搬送路の前記導入部のうち所定の前記搬送路の前記導入部から前記走行体を導入して、前記搬送対象物を搬送する
請求項10に記載のワイヤーハーネスの組付方法。
【請求項12】
前記搬送路の端部に設けられた導出部から、走行した前記走行体を導出する
請求項10又は請求項11に記載のワイヤーハーネスの組付方法。
【請求項13】
前記搬送対象物が前記電線であり、
前記電線の端部付近のそれぞれを異なる前記走行体で保持し、前記走行体を、前記搬送路を走行させて、前記電線の端部付近を配索経路における所定箇所まで搬送する
請求項10乃至請求項12のうちいずれかに記載のワイヤーハーネスの組付方法。
【請求項14】
前記搬送路における中間部分に設けられた電線支持部で、搬送される前記電線の垂れ下がり部分を支持する
請求項13に記載のワイヤーハーネスの組付方法。
【請求項15】
前記配索盤と別体構成され、前記配索盤の上方において前記配索箇所に対応して前記搬送路を吊り下げ支持する支持枠体を、
前記支持枠体に設けられた走行移動部で、前記配索盤に対して移動する
請求項10乃至請求項14のうちいずれかに記載のワイヤーハーネスの組付方法。
【請求項16】
前記配索盤に対する所定位置に配置した前記支持枠体を、支持枠体固定部で前記配索盤に固定する
請求項15に記載のワイヤーハーネスの組付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、配索盤でワイヤーハーネスを組み付ける際に用いるハーネス組付用搬送装置及びワイヤーハーネスの組付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、複雑な配索経路に沿って配索されるワイヤーハーネスは、特許文献1に示されるように、配索盤と呼ばれる作業台上で、実際の配索経路に即した配索状態で組み付けられ製造される。
昨今、車両には様々な種類の電子機器が搭載されており、仕様や仕向けによって前記ワイヤーハーネスは多様化するとともに複雑化している。
【0003】
前記ワイヤーハーネスが多様化・複雑化すると、前記ワイヤーハーネスを組み付ける際の電線や部品等の取り回しや受け渡しが困難になり、前記ワイヤーハーネスの組み付け効率が低下するおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-222852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、この発明は、前記ワイヤーハーネスが多様化・複雑化しても、前記ワイヤーハーネスの組み付け効率を向上できるハーネス組付用搬送装置及びワイヤーハーネスの組付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、電線を配索してワイヤーハーネスを構成する配索盤の上方において、配索箇所に対応して設けられた搬送路と、搬送対象物を保持するとともに、前記搬送路を走行して保持する前記搬送対象物を搬送する走行体とを有し、前記搬送路に前記走行体を導入する導入部が備えられ、前記導入部の下方と、前記搬送対象物を供給する供給部との間を掛け渡す掛け渡し保護部が設けられ、前記搬送路が、複数方向に延びる前記配索箇所に応じて複数設けられたハーネス組付用搬送装置であることを特徴とする。
【0007】
またこの発明は、電線を配索してワイヤーハーネスを構成する配索盤の上方において、配索箇所に対応して設けられた搬送路に、搬送対象物を保持する走行体を走行させて、前記搬送対象物を前記配索箇所の所定位置に搬送して、前記ワイヤーハーネスを組み付け、前記搬送路に前記走行体を導入する導入部の下方と、前記搬送対象物を供給する供給部との間に掛け渡し保護部を掛け渡して、前記導入部から前記走行体を導入し、前記搬送路が、複数方向に延びる前記配索箇所に応じて複数設けられているワイヤーハーネスの組付方法であることを特徴とする。
【0008】
この発明により、配索盤上で組み付ける前記ワイヤーハーネスの組み付け効率を向上することができる。
詳述すると、電線を配索してワイヤーハーネスを構成する配索盤の上方において、搬送対象物を保持する走行体が走行する搬送路が配索箇所に対応して設けられているため、走行体で保持した搬送対象物を、搬送路に沿って搬送することができる。したがって、前記ワイヤーハーネスの多様化・複雑化に対応したワイヤーハーネスの製造工程であっても、容易に組み付ける電線や部品等を配索盤上で容易に取り回したり、受け渡したりでき、前記ワイヤーハーネスの組み付け効率を向上することができる。
上述の搬送対象物は、電線、電線束、支給されたハーネス、コネクタ等の電子部品、コルゲート、プロテクタあるいはグロメット等の外装品が含まれる。
【0009】
また、前記搬送路に前記走行体を導入する導入部が備えられ、前記導入部の下方と、前記搬送対象物を供給する供給部との間を掛け渡す掛け渡し保護部が設けられている。
これにより、前記搬送路に前記走行体を導入する導入部の下方と、前記搬送対象物を供給する供給部との間に掛け渡し保護部を掛け渡して、前記導入部から前記走行体を導入するため、供給部から供給される搬送対象物が、配索盤上の配索治具や既に配索した電線等に引っかかったりすることを防止でき、効率よく前記ワイヤーハーネスを組み付けることができる。
【0010】
さらにまた、前記搬送路が、複数方向に延びる前記配索箇所に応じて複数設けられている。
これにより、配索方向が複数方向に延びる配索経路であっても、配索経路に沿って前記搬送対象物を搬送することができ、より効率的に前記ワイヤーハーネスを組み付けることができる。
なお、同方向に延びる配索箇所に対して複数の搬送路を設けてもよい。
【0011】
またこの発明の態様として、複数の前記搬送路の前記導入部が一箇所にまとめられてもよい。
この発明により、一箇所にまとめられた、複数の前記搬送路の前記導入部のうち所定の前記搬送路の前記導入部から前記走行体を導入して、前記搬送対象物を搬送するため、搬送路毎に導入部が異なる箇所に配置される場合に比べ、供給部より、効率的に前記搬送対象物を導入して搬送することができる。
【0012】
またこの発明の態様として、前記搬送路の端部に、走行した前記走行体を導出する導出部が備えられてもよい。
この発明により、搬送路を走行して配索経路の所定箇所まで前記搬送対象物を搬送した走行体を、搬送路を逆走させることなく、前記搬送路の端部に設けられた導出部から導出できるため、前記搬送対象物の搬送効率を向上することができる。
【0013】
またこの発明の態様として、前記搬送対象物が前記電線であり、前記走行体が前記電線の端部付近を保持するとともに、複数設けられてもよい。
この発明により、長尺状の前記電線の端部付近のそれぞれを異なる前記走行体で保持し、前記走行体を、前記搬送路を走行させて、前記電線の端部付近を配索経路における所定箇所まで搬送するため、つまり長尺状の電線の両端部をそれぞれ走行体で搬送できるため、配索経路に沿って伸ばすように電線を搬送することができ、搬送された電線を搬送後に配索経路に沿って伸ばす場合に比べ、より効率的に前記ワイヤーハーネスを組み付けることができる。
【0014】
またこの発明の態様として、前記搬送路における中間部分に、搬送される前記電線の垂れ下がり部分を支持する電線支持部が設けられてもよい。
この発明により、前記搬送路における中間部分に設けられた電線支持部で、搬送される前記電線の垂れ下がり部分を支持するため、搬送路を搬送される長尺状の電線が、配索盤上の配索治具や既に配索した電線等に引っかかったりすることを防止でき、効率よく前記ワイヤーハーネスを搬送することができる。
【0015】
またこの発明の態様として、前記搬送路を、前記配索盤の上方において前記配索箇所に対応して吊り下げ支持する支持枠体が設けられてもよい。
この発明により、支持枠体によって吊り下げ支持することで搬送路を配索盤の上部に配置することができる。
【0016】
またこの発明の態様として、前記支持枠体と前記搬送路との間に配置され、前記支持枠体から吊り下げ支持されるとともに、前記搬送路を吊り下げ支持し、前記搬送路を前記支持枠体から間接的に吊り下げ支持する中間支持フレームが設けられてもよい。
【0017】
この発明により、搬送路を支持枠体で直接吊り下げ支持する場合に比べ、スムーズに走行体を走行させる形状且つコンパクトに形成した搬送路を狭ピッチで支持することができる。これにより、より効率的に前記搬送対象物を搬送することができる。
【0018】
またこの発明の態様として、前記支持枠体を前記配索盤と別体構成するとともに、前記支持枠体に走行移動する走行移動部が設けられてもよい。
この発明により、前記配索盤の上方において前記配索箇所に対応して前記搬送路を吊り下げ支持する支持枠体を、前記支持枠体に設けられた走行移動部で、前記配索盤に対して移動することとなる。そのため、前記搬送対象物を配索経路の所定箇所に搬送して、前記ワイヤーハーネスを組み付ける工程以外の工程において、例えば、配索盤から組み付けられた前記ワイヤーハーネスを搬送する工程など支持枠体や搬送路が邪魔になる場合、搬送路ごと支持枠体を配索盤から移動することで、支持枠体や搬送路が邪魔にならず、他の工程を効率よく行うことができる。
【0019】
またこの発明の態様として、前記配索盤と別体構成した前記支持枠体を、前記配索盤に固定する支持枠体固定部が設けられてもよい。
この発明により、前記配索盤に対する所定位置に配置した前記支持枠体を、支持枠体固定部で前記配索盤に固定でき、搬送路が配索盤から不用意に相対移動することを防止できる。殊に、前記搬送対象物を配索経路の所定箇所に搬送して、前記ワイヤーハーネスを組み付ける工程を、各作業エリア間を移動しながら行う配索盤の場合、配索盤の移動に伴って搬送路も移動させることができる。
【発明の効果】
【0020】
この発明により、前記ワイヤーハーネスが多様化・複雑化しても、前記ワイヤーハーネスの組み付け効率を向上できるハーネス組付用搬送装置及びワイヤーハーネスの組付方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】移動作業台車の斜視図。
図2】組立用搬送装置の斜視図。
図3】組立用搬送装置の平面図。
図4】組立用搬送装置の正面図。
図5】ハーネス搬送装置の斜視図。
図6】ハーネス製造システムの平面図。
図7】移動作業台車に対して移動する組立用搬送装置の斜視図。
図8】組立用搬送装置を用いたワイヤーハーネスの組み立て状況の説明図。
図9】組立用搬送装置を用いたワイヤーハーネスの組み立て状況の説明図。
図10】組立用搬送装置を用いたワイヤーハーネスの組み立て状況の説明図。
図11】組立用搬送装置を用いたワイヤーハーネスの組み立て状況の説明図。
図12】ハーネス製造システムの平面図。
図13】組立用搬送装置を用いたワイヤーハーネスの組み立て状況の斜視図。
図14】ハーネス搬送装置を用いた組み付けられたワイヤーハーネスの搬送状況の説明図。
図15】ハーネス搬送装置を用いた組み付けられたワイヤーハーネスの搬送状況の説明図。
図16】ハーネス搬送装置を用いた組み付けられたワイヤーハーネスの搬送状況の説明図。
図17】別の実施形態のハーネス搬送装置の斜視図。
図18】別の実施形態のハーネス搬送装置を用いた組み付けられたワイヤーハーネスの搬送状況の説明図。
図19】別の実施形態のハーネス搬送装置を用いた組み付けられたワイヤーハーネスの搬送状況の説明図。
図20】別の実施形態のハーネス搬送装置を用いた組み付けられたワイヤーハーネスの搬送状況の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
図1は移動作業台車100の斜視図を示し、図2は組立用搬送装置200の斜視図を示し、図3は組立用搬送装置200の平面図を示し、図4は組立用搬送装置200の正面図を示している。なお、図3においては、搬送路230より上方部分の平面図を示し、フレーム210を破線で示している。
【0023】
図5はハーネス搬送装置300の斜視図を示し、図6はハーネス製造システム1の平面図を示し、図7は移動作業台車100に対して移動する組立用搬送装置200の斜視図を示している。
【0024】
図8乃至図11は組立用搬送装置200を用いたワイヤーハーネスWHの組み立て状況の説明図を示している。
詳しくは、図8(a)は、移動作業台車100に対して組立用搬送装置200を移動させるとともに固定した状態の斜視図を示し、図8(b)は、移動作業台車100に対して部品カート250を移動させるとともに固定した状態の斜視図を示している。
【0025】
図9(a)は、部品カート250に対して保護シート242をセットした状態の斜視図を示し、図9(b)は、電線Xの一端部Xaを保持したスライダ260を搬送路230の導入口231から導入した状態の斜視図を示している。
【0026】
図10(a)は、電線Xの一端部Xaを保持したスライダ260を搬送路230の導出口232から導出するとともに、電線Xの他端部Xbを保持したスライダ260を搬送路230の導入口231から導入した状態の斜視図を示し、図10(b)は、電線Xの他端部Xbを保持したスライダ260を搬送路230における導出口232から導出した状態の斜視図を示している。
【0027】
図11(a)は、すべての電線Xを組み付けてワイヤーハーネスWHを構成し、保護シート242を収納するとともに、部品カート250の固定を解消した状態の斜視図を示し、図11(b)は、部品カート250を移動させるとともに、移動作業台車100に対する組立用搬送装置200の固定を解消した状態の斜視図を示している。
【0028】
図12は、移動作業台車100が移動し、ワイヤーハーネスWHの組み付けが完了した状態のハーネス製造システム1の平面図を示し、図13はワイヤーハーネスWHの組み立てが完了した移動作業台車100から組立用搬送装置200を移動させた状態の斜視図を示している。
【0029】
図14(a)は、ワイヤーハーネスWHの組み付けが完了した移動作業台車100の斜視図を示し、図14(b)は、組み付けが完了したワイヤーハーネスWHの中間部分WHCの下に保持シート330を挿入した状態の斜視図を示している。
【0030】
図15(a)は、移動作業台車100に対してハーネス搬送装置300を移動させた状態の斜視図を示し、図15(b)は、ハーネス搬送装置300の載置盤320にワイヤーハーネスWHのサイド部分WHSを載置した状態の斜視図を示している。
【0031】
図16(a)は、ワイヤーハーネスWHのサイド部分WHSを載置した載置盤320に対して、中間部分WHCを持ち上げて保持シート330を載置盤320に固定して、ワイヤーハーネスWHの全体を載置盤320で保持した状態の斜視図を示し、図16(b)は、ワイヤーハーネスWHの全体を載置盤320で保持したハーネス搬送装置300を移動作業台車100から移動させた状態の斜視図を示している。
【0032】
なお、ハーネス製造システム1における長手方向、つまり平面視長方形状に形成したレール11及びレール11によって移動する移動作業台車100の長手方向を長手方向Lとし、長手方向Lに直交する方向を幅方向Wとしている。また、第1作業エリアSa1において、移動作業台車100に対するレール11の平面視外側を幅方向Wの手前側とし、レール11の平面視内側を幅方向Wの奥側としている。
【0033】
ハーネス製造システム1は、図1に示す移動作業台車100、図2に示す組立用搬送装置200及び図5に示すハーネス搬送装置300を用い、複数の電線Xを組み付けてワイヤーハーネスWHを構成するシステムである(図6参照)。
【0034】
詳しくは、ハーネス製造システム1は、図6に示すように、平面視長方形状の4箇所を作業エリアSaとし、2台の移動作業台車100を一方向に移動させながら、電線Xを束ねてワイヤーハーネスWHを構成する。
【0035】
また、4箇所の作業エリアSaに沿って移動作業台車100を移動させる平面視長方形状に挿入されたレール11を備え、レール11の平面視内側に、長手方向Lに延びるサブレール12を2本備えている。なお、作業エリアSaの数や配置は、上述の数や配置に限定されず、ワイヤーハーネスWHを構成する工程や同時施工数に応じて設定すればよい。
【0036】
4箇所のSaのうち、1台の移動作業台車100が第1作業エリアSa1から第2作業エリアSa2に向かう間でワイヤーハーネスWHを組み付け、第2作業エリアSa2の側方に設けられた外装組付作業台2で組み付けられたワイヤーハーネスWHにプロテクタ、グロメット、コルゲートなどの外装品(図示省略)を組み付ける。
【0037】
同様に、もう1台の移動作業台車100が第3作業エリアSa3から第4作業エリアSa4に向かう間でワイヤーハーネスWHを組み付け、第4作業エリアSa4の側方に設けられた外装組付作業台2で組み付けられたワイヤーハーネスWHに外装品(図示省略)を組み付ける。なお、ハーネス製造システム1において移動作業台車100の移動は図示省略する管理装置によって管理している。
【0038】
上述のように、ハーネス製造システム1においてワイヤーハーネスWHを組み付ける移動作業台車100は、図1に示すように、幅方向Wより長手方向Lが長い平面視長方形状の台車110と、台車110上に配置された平面視H型の作業台120とで構成している。なお、台車110の底部に、駆動部によって駆動する車輪(図示省略)を備えている。
【0039】
作業台120は、台車110上に配置され、図示省略する配索治具を上面に複数配置し、配索経路に沿って配索してワイヤーハーネス(図14(a)参照)を構成する配索盤である。
なお、作業台120は、図1に示すように、長手方向Lに延びるサイド配索部121と、サイド配索部121の長手方向Lの中央付近を幅方向Wに連結する中間配索部122とで、長手方向Lに向いた平面視H型に形成している。
【0040】
そして、平面視H型の内側部分は、作業者が作業する内側作業部130となる。
台車110の長手方向Lの端部は、幅方向Wに延びる手すり壁140が設けられ、作業台120と壁140との間に、内側作業部130への出入りする出入口131を設けている。
【0041】
長手方向Lに延びるサイド配索部121の両端部付近には、後述するスライダ260を収容する箱状のハンガ収容部123を設けている。
また、2本のサイド配索部121のうち、移動作業台車100が移動する平面視長方形状のレール11における平面視外側(図1において右下側である幅方向Wの手前側)となるサイド配索部121の上面に、部品カート250を固定するカート固定部124を設けている。
【0042】
また、作業台120における出入口131の近くには、組立用搬送装置200に当接して係止するフレーム係止部125を設けている。
フレーム係止部125は、通常状態では鉛直下向きに延びており、上端付近を中心として枢動して、幅方向Wの手前側に突出するように固定することができる。
【0043】
続いて、ハーネス製造システム1で用いる組立用搬送装置200について説明する。
組立用搬送装置200は、作業台120でワイヤーハーネスWHを組み付ける電線Xを部品カート250から配索経路の所定箇所まで搬送するためのものである。組立用搬送装置200は、側面視門型のフレーム210と、フレーム210から吊り下げ支持された中間フレーム220、中間フレーム220から吊り下げ支持された搬送路230を備えている。
【0044】
フレーム210は、長手方向Lの長さが幅方向Wより長い長方形状、且つ側面視門型状に形成された直方体状の枠体であり、矩形断面の鋼製棒状部材211で構成している。フレーム210は、平面視H型の作業台120より幅方向Wに広く、長手方向Lにおいてわずかに短い平面視長方形状である。
このように直方体形状で形成されたフレーム210は、断面四角形状の金属製の鋼製棒状部材211で構成されている。
【0045】
正面視長方形状に形成されたフレーム210における長手方向Lに延びる底辺部分には、フレーム210を移動可能に構成する車輪212を設けている。
幅方向Wの手前側と奥側のそれぞれに設けられた車輪212のうち、移動作業台車100が移動する平面視長方形状のレール11における平面視内側(図2において左上側)となる、つまり幅方向Wの奥側の車輪212は、レール11の平面視内側において長手方向Lに延びるサブレール12に嵌合し、サブレール12によって転動方向が規制されている。
なお、幅方向Wの手前側の車輪212は、フロア上を転動して、組立用搬送装置200が移動することができる。
【0046】
直方体状の枠体であるフレーム210の上面部分を構成する鋼製棒状部材211における所定位置には、鉛直方向に延び、鋼製棒状部材211と中間フレーム220とを連結する吊下連結部材213を複数設けている。
【0047】
吊下連結部材213を介して、直方体状の枠体であるフレーム210の上面部分を構成する鋼製棒状部材211から吊り下げられる中間フレーム220は、断面丸形のパイプ材221で構成されている。パイプ材221で構成される中間フレーム220は、平面視H型の作業台120におけるサイド配索部121及び中間配索部122の中心軸に対応する平面視H型に形成されている。
なお、中間フレーム220には、パイプ材221の底面側において下方に向かって延び、搬送路230を吊り下げて固定する吊下固定部222を複数設けている。
【0048】
搬送路230は、幅方向Wの手前側における、長手方向Lの中央付近(図4における左右方向の中央付近)に、一端部である導入口231が配置された断面I型の鋼製部材で構成している。なお、一端部を導入口231とした搬送路230の他端部は導出口232としている。
【0049】
また、複数本の搬送路230の導入口231は、上述したように、長手方向Lの中央付近にひとまとめにされており、長手方向Lに並設している。そして、ひとまとめにされた導入口231は、およそ平面視H型の作業台120における中間配索部122に対応する箇所に形成している。
【0050】
搬送路230は、サイド配索部121と中間配索部122とで平面視H型の作業台120を構成する2本サイド配索部121と中間配索部122とに対応し、5種類設けている。
詳しくは、幅方向Wの手前側と奥側の2本のサイド配索部121のうち手前側のサイド配索部121における中間配索部122より一方側(図3及び図4において左側)の部分に対応する第1搬送路230aは、導入口231から幅方向Wの奥側に延び、サイド配索部121に沿うようにカーブして、平面視略L型に形成している。
【0051】
幅方向Wの奥側のサイド配索部121における中間配索部122より一方側(図3及び図4において左側)の部分に対応する第2搬送路230bは、導入口231から中間配索部122に沿って幅方向Wの奥側に延び、サイド配索部121に沿うようにカーブして、平面視略L型に形成している。
中間配索部122に対応する第3搬送路230cは、導入口231から中間配索部122に沿って幅方向Wの奥側に延びている。
【0052】
幅方向Wの奥側のサイド配索部121における中間配索部122より他方側(図3及び図4において右側)の部分に対応する第4搬送路230dは、導入口231から中間配索部122に沿って幅方向Wの奥側に延び、サイド配索部121に沿うようにカーブして、平面視略L型に形成している。
【0053】
幅方向Wの手前側のサイド配索部121における中間配索部122より他方側(図3及び図4において右側)の部分に対応する第5搬送路230eは、導入口231から幅方向Wの奥側に延び、サイド配索部121に沿うようにカーブして、平面視略L型に形成している。
【0054】
なお、第1搬送路230aと第5搬送路230e、及び第2搬送路230bと第4搬送路230dとは、幅方向Wに延びる第3搬送路230cを対称軸として、長手方向Lに対称な向き及び形状で形成している。
【0055】
上述のように、第1搬送路230a乃至第5搬送路230eの5本を有する搬送路230は、全体として、作業台120に対応する平面視略H字状に形成している。なお、図3に示すように、カーブ部分において直交する組立用搬送装置200に対し、搬送路230a,230b,230d,230eは、スライダ260が走行しやすい曲率で曲げられている。
【0056】
第1搬送路230a,第2搬送路230b,第4搬送路230d及び第5搬送路230eの導出口232は、長手方向Lの端部に配置され、第3搬送路230cの導出口232は長手方向Lの中央に配置された導入口231の反対側に配置されている。
【0057】
5本の搬送路230の導入口231がひとまとまりになった部分の下方には、導入口231を覆うラック241が設けられるとともに、導入口231から搬送路230に導入する電線Xを保護する保護シート242(図9参照)をラック241に設けている。保護シート242は、図9(a)に示すように、導入口231から導入する電線Xを供給する部品カート250とラック241とを掛け渡して使用される。保護シート242は、可撓性を有する透明のビニールシートで構成している。
【0058】
ここで、部品カート250について説明する。
部品カート250は、フレームで構成した縦長直方体状のワゴン型であり、底部に車輪251を備え、移動可能に構成している。また、作業台120のカート固定部124に係止して固定する係止固定部252を備えている。
このように構成した部品カート250は、電線Xの端部(Xa,Xb)を保持するスライダ260を係止して収容し、組立用搬送装置200に対して電線Xを供給することができる。
【0059】
スライダ260は、図4に示すように、電線Xの端部(Xa,Xb)を保持する保持部261と、搬送路230に係止して移動するローラ262を備えている。
ローラ262は、断面I型に構成した搬送路230のウェブの両側に配置され、下側のフランジ上面を転動するように構成している。
【0060】
上述のように、フレーム210、中間フレーム220及び搬送路230で構成した組立用搬送装置200には、搬送路230の中間部に対して、搬送される電線Xの垂れ下がりを防止する垂れ下がり防止部270を設けている。
【0061】
詳しくは、防止部270は、中間フレーム220に取付けられ、搬送路230の下方に支持プレート271が配置されるように側面視角型C字状に形成している。
なお、側面視角型C字状に形成した防止部270は、組立用搬送装置200を移動作業台車100にセットした状態で、内側作業部130で作業する作業者に向いて開放される向きで配置されている。
【0062】
次に、組み付けられたワイヤーハーネスWHを作業台120から搬送するためのハーネス搬送装置300について説明する。
ハーネス搬送装置300は、正面視門型の支持フレーム310と、支持フレーム310の上面に備えた載置盤320と、載置盤320の底面側に配置する保持シート330とを有している。
【0063】
支持フレーム310は、移動作業台車100の長手方向Lより長く形成され、その両側の縦フレーム311の下端に車輪312を備え、移動可能に構成している。また、正面視門型の上面部分には長手方向Lに延びる上面フレーム313を幅方向Wの手前側と奥側とにそれぞれ備えている。なお、支持フレーム310には、作業車が把持してハーネス搬送装置300を移動させる持ち手314を適宜の箇所に備えている。
【0064】
載置盤320は、長手方向Lに延びる上面フレーム313を幅方向Wに掛け渡すとともに、幅方向Wの手前側と奥側に突出する幅の平面視長方形状に形成されている。長手方向Lにおいて、載置盤320は、上面フレーム313より2/3程度の長さに形成している。幅方向Wにおいて、載置盤320は、支持フレーム310における上面フレーム313の間隔の2倍程度の幅で形成している。
このように構成した載置盤320の幅方向Wの両端部において、長手方向Lの中央に、保持シート330を係止固定する係止凸部321を設けている(図14参照)。
【0065】
保持シート330は、載置盤320の長手方向Lより短く、幅方向Wより長い平面視長方形状の可撓性を有するシート状である。保持シート330における幅方向Wの両端部には、係止凸部321を挿入して係止する係止孔331を設けている。
【0066】
このように構成した移動作業台車100、組立用搬送装置200及びハーネス搬送装置300を用いて電線Xを組み付けてワイヤーハーネスWHを構成する方法について説明する。
先ず、図5に示すように、ハーネス製造システム1における第1作業エリアSa1及び第3作業エリアSa3に配置された移動作業台車100に作業員が乗り込む。そして、図7に示すように、作業員が乗り込んだ移動作業台車100に対して組立用搬送装置200を移動させる。
【0067】
詳しくは、サブレール12を規制されて組立用搬送装置200を図7に示す矢印の方向に移動させる。なお、組立用搬送装置200を移動作業台車100に対して矢印方向に移動させるが、移動作業台車100もレール11に沿って移動しており、パイプ材221を囲うラック241が移動作業台車100の長手方向Lの中央付近に位置するまで移動する。
【0068】
そして、フレーム係止部125を枢動させて、移動作業台車100に対して組立用搬送装置200を係止して固定する(図8(a)参照)。これにより、組立用搬送装置200は、レール11に沿って移動する移動作業台車100とともに移動することとなる。
【0069】
図8(b)に示すように、組立用搬送装置200が係止固定された移動作業台車100に対して部品カート250を移動させる。部品カート250には、電線Xの端部Xa,Xbを保持したスライダ260を係止し、複数収容している。
【0070】
具体的には、部品カート250の長手方向Lの一方に電線Xの一端部Xaを保持するスライダ260を係止し、他方側に他端部Xbを保持するスライダ260を係止し、スライダ260同士の間の電線Xを部品カート250の内部に収容している。
【0071】
そして、部品カート250の係止固定部252を移動作業台車100のカート固定部124に係止して固定する。これにより、組立用搬送装置200と同様に、部品カート250も、移動する移動作業台車100とともに移動することとなる。
【0072】
さらには、ラック241に備えた保護シート242を展開して、部品カート250に掛け渡すようにセットする(図9(a)参照)。
これにより、導入口231の下方と作業台120の上面との間に展開されたラック241が配置されることとなる。
【0073】
続いて、図9(b)に示すように、電線Xの一端部Xaを保持したスライダ260を第1搬送路230aの導入口231から導入する。そして、図10(a)に示すように、一端部Xaを保持するスライダ260を、第1搬送路230aを走行させて、所定位置まで一端部Xaを搬送した後、一端部Xaをスライダ260から外して、スライダ260を第1搬送路230aの導出口232から導出して、スライダ260をハンガ収容部123に収容する。
なお、第1搬送路230aをスライダ260が走行して一端部Xaを搬送する際に、第1搬送路230aに対してセットした防止部270に電線Xを挿入して、電線Xの中間部分を支持する。
【0074】
また、電線Xの他端部Xbを保持したスライダ260を第5搬送路230eの導入口231から導入し、図10(b)に示すように、電線Xの他端部Xbを保持したスライダ260を、第5搬送路230eを走行させる。スライダ260が、所定位置まで他端部Xbを搬送した後、他端部Xbをスライダ260から外して、スライダ260を第5搬送路230eの導出口232から導出して、スライダ260をハンガ収容部123に収容する。
【0075】
なお、第5搬送路230eをスライダ260が走行して他端部Xbを搬送する際に、第5搬送路230eに対してセットした防止部270に電線Xを挿入して、電線Xの中間部分を支持するものの、他端部Xbをスライダ260から取り外した後、防止部270から取外しながら作業台120に設けた配索治具により電線Xを配索する。
【0076】
これをすべての電線Xに対して繰り返し、図11(a)に示すように、すべての電線Xを組み付けてワイヤーハーネスWHを構成する。平面視H型の作業台120で組み付けられたワイヤーハーネスWHは、長手方向Lのサイド部分WHSと、幅方向Wの中間部分WHCとで平面視H型に形成される。
【0077】
このようにすべての電線Xの組み付けが完了すると、ラック241と部品カート250に掛け渡していた保護シート242を収容するとともに、係止固定部252をカート固定部124から取外し、図11(b)に示すように、部品カート250を移動させて撤去する。さらに、フレーム係止部125を枢動させて移動作業台車100に対する組立用搬送装置200の固定を解消する。
【0078】
なお、上述のようにすべての電線Xを組み付けてワイヤーハーネスWHを構成する間に、移動作業台車100は、図12に示すように、第1作業エリアSa1(第3作業エリアSa3)から、外装組付作業台2の側方となる第2作業エリアSa2(第4作業エリアSa4)に移動している。
【0079】
第2作業エリアSa2(第4作業エリアSa4)において、図13に示すように、ワイヤーハーネスWHの組み立てが完了した移動作業台車100から組立用搬送装置200を移動させる。このとき、移動作業台車100とともに第2作業エリアSa2(第4作業エリアSa4)に移動していた組立用搬送装置200を第1作業エリアSa1(第3作業エリアSa3)に向かって移動する。
【0080】
第2作業エリアSa2(第4作業エリアSa4)において組立用搬送装置200が移動した移動作業台車100の作業台120には、図14(a)に示すように、組み付けられたワイヤーハーネスWHが載置されており、これを外装組付作業台2に移動するために、ハーネス搬送装置300を用いる。
【0081】
具体的には、図14(b)に示すように、まず平面視H型のワイヤーハーネスWHの中間部分WHCの下に保持シート330を挿入する。具体的には、ワイヤーハーネスWHの幅方向Wの側方より、中間部分WHCと作業台120との間に保持シート330を挿入する。
【0082】
この状態で、図15(a)に示すように、移動作業台車100に対して幅方向Wの側方からハーネス搬送装置300を移動させてセットする。このとき、移動作業台車100に対してハーネス搬送装置300を、載置盤320の幅方向Wの中心と、作業台120の幅方向Wの中心とが略一致する位置にセットする。
【0083】
このようにセットしたハーネス搬送装置300の載置盤320に対して、載置盤320の幅方向Wの外側から、ワイヤーハーネスWHのサイド部分WHSを載置する。この状態では、中間部分WHCは、載置盤320と保持シート330との間に配置されることとなる。
【0084】
そして、図16(a)に示すように、ワイヤーハーネスWHのサイド部分WHSを載置した載置盤320に対して、中間部分WHCの下に挿入した保持シート330を持ち上げて、保持シート330の幅方向Wの端部を載置盤320の上面側に折り返し、係止凸部321を係止孔331に挿入して保持シート330を載置盤320に固定する。これにより、サイド部分WHSを載置盤320に載置し、中間部分WHCを保持シート330により載置盤320の底面側に持ち上げて、ワイヤーハーネスWHの全体を載置盤320で保持することができる。
【0085】
そして、図16(b)に示すように、ワイヤーハーネスWHの全体を載置盤320で保持したハーネス搬送装置300を移動作業台車100から外装組付作業台2に向かって移動させて、作業台120からワイヤーハーネスWHを搬送することができる。
【0086】
なお、上述の説明において、ハーネス搬送装置300は、移動作業台車100より長手方向Lに長い支持フレーム310で移動可能に構成したが、図17に示す吊下型ハーネス搬送装置400のように、上方に配置された移動レール410から吊下げワイヤー411で載置盤420を吊下げるとともに移動させるように構成してもよい。
【0087】
なお、図17は、吊下型ハーネス搬送装置400の斜視図を示し、図18(a)は、組み付けが完了したワイヤーハーネスWHの中間部分WHCの下に保持シート430を挿入する前の状態の斜視図を示し、図18(b)は、組み付けが完了したワイヤーハーネスWHの中間部分WHCの下に保持シート430を挿入した状態の斜視図を示している。
【0088】
図19(a)は、ワイヤーハーネスWHの組み付けが完了した移動作業台車100に対して吊下型ハーネス搬送装置400を移動させた状態の斜視図を示し、図19(b)は、吊下型ハーネス搬送装置400の載置盤420にワイヤーハーネスWHのサイド部分WHSを載置した状態の斜視図を示している。
【0089】
図20(a)は、ワイヤーハーネスWHのサイド部分WHSを載置した載置盤420に対して、保持シート430を持ち上げて中間部分WHCを載置盤420に固定して、ワイヤーハーネスWHの全体を載置盤420で保持した状態の斜視図を示し、図20(b)は、ワイヤーハーネスWHの全体を載置盤420で保持した吊下型ハーネス搬送装置400を移動作業台車100から移動させた状態の斜視図を示している。
【0090】
吊下型ハーネス搬送装置400は、平面視H型の作業台120の中間配索部122の上方に配置された、幅方向Wに延びる2本の移動レール410と、長手方向Lより幅方向Wに長い載置盤420と、移動レール410から載置盤420を吊上げる吊下げワイヤー411と、保持シート430とを有している。なお、保持シート430は、保持シート330と同様の構成であるため、その詳細な説明を省略する。
【0091】
載置盤420は、上述のハーネス搬送装置300の載置盤320と異なり、作業台120より幅方向Wに長い平面視長方形状であり、四隅を吊下げワイヤー411で吊下げられている。なお、吊下げワイヤー411は、作業台120の上面から所定間隔を隔てた上方に載置盤420が位置する長さである。
【0092】
このように構成した載置盤420の幅方向Wの両端部において、長手方向Lの中央に、保持シート430を係止固定する係止凸部421を設けている。
なお、保持シート430は、載置盤420より幅方向Wに長く、長手方向Lにおいては短い平面視長方形状に形成されている。
【0093】
移動レール410は、幅方向Wに沿って配置されるとともに、載置盤420の長手方向Lの長さに対応する間隔で隔てて2本配置されている。このように、幅方向Wに沿って配置された移動レール410は、吊下げワイヤー411を幅方向Wに移動可能に構成している。なお、本実施形態では、外装組付作業台2と第2作業エリアSa2(第4作業エリアSa4)とを結ぶ幅方向Wに沿って配置されている。
【0094】
吊下型ハーネス搬送装置400を用いて作業台120からワイヤーハーネスWHを搬送するためには、具体的には、図14に示すように、平面視H型のワイヤーハーネスWHの中間部分WHCの下に保持シート430を挿入する。具体的には、ワイヤーハーネスWHの幅方向Wの側方より、ワイヤーハーネスWHと作業台120との間に保持シート430を挿入する。
【0095】
この状態で、図18(b)に示すように、移動作業台車100に対して幅方向Wの側方から吊下型ハーネス搬送装置400を移動させてセットする(図19(a)参照)。このとき、載置盤420の幅方向Wの中心と、作業台120の幅方向Wの中心とが略一致する位置にセットする。
【0096】
図19(b)に示すように、このようにセットした吊下型ハーネス搬送装置400の載置盤420に対して、載置盤420の幅方向Wの外側から、ワイヤーハーネスWHのサイド部分WHSを載置する。この状態では、中間部分WHCは、載置盤420と保持シート430との間に配置されることとなる。
【0097】
そして、図20(a)に示すように、ワイヤーハーネスWHのサイド部分WHSを載置した載置盤420に対して、中間部分WHCの下に挿入した保持シート430を持ち上げて、保持シート430の幅方向Wの端部を載置盤420の上面側に折り返し、係止凸部421を係止孔431に挿入して保持シート430を載置盤420に固定する。これにより、サイド部分WHSを載置盤420に載置し、中間部分WHCを保持シート430により載置盤420の底面側に持ち上げて、ワイヤーハーネスWHの全体を載置盤420で保持することができる。
【0098】
そして、図20(b)に示すように、ワイヤーハーネスWHの全体を保持した載置盤420を移動レール410に沿って移動作業台車100から外装組付作業台2に向かって幅方向Wに移動させて、作業台120からワイヤーハーネスWHを搬送することができる。
【0099】
上述のように、組立用搬送装置200は、電線Xを配索してワイヤーハーネスWHを構成する作業台120の上方において、配索箇所に対応して設けられた搬送路230と、電線Xを保持するとともに、搬送路230を走行して保持する電線Xを搬送するスライダ260とを有するため、作業台120上で組み付けるワイヤーハーネスWHの組み付け効率を向上することができる。
【0100】
詳述すると、電線Xを配索してワイヤーハーネスWHを構成する作業台120の上方において、電線Xを保持するスライダ260が走行する搬送路230が配索箇所に対応して設けられているため、スライダ260で保持した電線Xを、搬送路230に沿って搬送することができる。したがって、ワイヤーハーネスWHの多様化・複雑化に対応した作業台120であっても、容易に組み付ける電線Xや部品等を容易に取り回したり、受け渡したりでき、ワイヤーハーネスWHの組み付け効率を向上することができる。
【0101】
また、搬送路230にスライダ260を導入する導入口231が備えられ、導入口231の下方と、電線Xを供給する部品カート250との間を掛け渡す保護シート242が設けられているため、部品カート250から供給される電線Xが、作業台120上の配索治具や既に配索した電線X等に引っかかったりすることを防止でき、効率よくワイヤーハーネスWHを組み付けることができる。
【0102】
また、搬送路230が、複数方向に延びる配索箇所に応じて複数設けられているため、配索方向が複数方向に延びる配索経路に対しても、配索経路に沿って電線Xを搬送することができ、より効率的にワイヤーハーネスWHを組み付けることができる。
【0103】
また、複数の搬送路230の導入口231が一箇所にまとめられているため、一箇所にまとめられた、複数の搬送路230の導入口231のうち所定の搬送路230の導入口231からスライダ260を導入して電線Xを搬送できる。したがって、搬送路230毎に導入口231が異なる箇所に配置される場合に比べ、部品カート250より、効率的に電線Xを導入して搬送することができる。
【0104】
また、搬送路230を走行して配索経路の所定箇所まで電線Xを搬送したスライダ260を、搬送路230を逆走させることなく、搬送路230の端部に設けられた導出口232から導出できるため、電線Xの搬送効率を向上することができる。
【0105】
また、長尺状の電線Xの端部(Xa,Xb)をそれぞれ異なるスライダ260で保持し、スライダ260を搬送路230を走行させて、電線Xの端部(Xa,Xb)を配索経路における所定箇所まで搬送するため、配索経路に沿って伸ばすように電線Xを搬送することができ、搬送された電線Xを搬送後に配索経路に沿って伸ばす場合に比べ、より効率的にワイヤーハーネスWHを組み付けることができる。
【0106】
また、搬送路230における中間部分に、搬送される電線Xの垂れ下がり部分を支持する防止部270が設けられているため、搬送路230を搬送される長尺状の電線Xが、作業台120上の配索治具や既に配索した電線X等に引っかかったりすることを防止でき、効率よくワイヤーハーネスWHを搬送することができる。
【0107】
また、搬送路230を吊下げ支持するフレーム210と搬送路230との間に配置され、フレーム210から吊り下げ支持されるとともに、搬送路230を吊り下げ支持し、搬送路230をフレーム210から間接的に吊り下げ支持する中間フレーム220によって、搬送路230をフレーム210で直接吊り下げ支持する場合に比べ、スムーズにスライダ260を走行させる形状且つコンパクトに形成した搬送路230を狭ピッチで支持することができる。これにより、より効率的に電線Xを搬送することができる。
【0108】
また、フレーム210が移動作業台車100と別体構成された組立用搬送装置200を、フレーム210に設けられた車輪212で、移動作業台車100に対して移動できる。そのため、作業台120から組み付けられたワイヤーハーネスWHをハーネス搬送装置300で搬送する際に組立用搬送装置200が邪魔になるものの、搬送路230ごとフレーム210を作業台120から移動することで、フレーム210や搬送路230が邪魔にならず、作業台120からワイヤーハーネスWHを効率よくハーネス搬送装置300で搬送することができる。
【0109】
また、移動作業台車100と別体構成したフレーム210を、作業台120に設けたフレーム係止部125で固定するため、搬送路230が移動作業台車100から不用意に相対移動することを防止できる。殊に、電線Xを組み付けてワイヤーハーネスWHを構成する間に、各作業エリアSa間を移動する移動作業台車100とともに搬送路230も移動させることができる。
【0110】
以上、この発明の構成と前述の実施形態との対応において、この発明の電線は電線Xに対応し、
以下同様に、
電線の端部は端部(Xa,Xb)に対応し、
ワイヤーハーネスはワイヤーハーネスWHに対応し、
配索盤は作業台120に対応し、
搬送路は搬送路230に対応し、
搬送対象物は電線Xに対応し、
走行体はスライダ260に対応し、
ハーネス組付用搬送装置は組立用搬送装置200に対応し、
導入部は導入口231に対応し、
供給部は部品カート250に対応し、
掛け渡し保護部は保護シート242に対応し、
導出部は導出口232に対応し、
電線支持部は防止部270に対応し、
支持枠体はフレーム210に対応し、
中間支持フレームは中間フレーム220に対応し、
走行移動部は車輪212に対応し、
支持枠体固定部はフレーム係止部125に対応するも、この発明は、前述の実施形態に限定されるものではない。
【0111】
上述の説明では、組立用搬送装置200で電線Xを搬送したが、複数の電線Xを予め束状にまとめた電線束、支給されたハーネス、コネクタ等の電子部品、コルゲート、プロテクタあるいはグロメット等の外装品を搬送してもよい。また、上述の説明では、多様化・複雑化に対応した作業台120を前提に説明しているが、作業台120は、例えば大型のワイヤーハーネスの組立に用いられるものなどであってもよい。上述の説明と同様に、ワイヤーハーネスの組み付け効率を向上させることができる。
【0112】
上述の説明では、保持シート330(430)を可撓性を有するシート状で構成したが、ネット状に構成してもよいし、板状であってもよい。
また、ワイヤーハーネスWHはサイド部分WHSと中間部分WHCとで平面視H型に形成したが、平面視T型、L型、X型、角型U型、V型、W型、+型など適宜の平面視形状で形成してもよい。なお、この場合、ワイヤーハーネスWHの形状に応じた形状で作業台120及び中間フレーム220を構成すればよい。
【符号の説明】
【0113】
120…作業台
125…フレーム係止部
200…組立用搬送装置
210…フレーム
212…車輪
220…中間フレーム
230…搬送路
231…導入口
232…導出口
242…保護シート
250…部品カート
260…スライダ
270…防止部
X…電線
Xa,Xb…端部
WH…ワイヤーハーネス
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