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特許7470548ハーネス搬送装置及びワイヤーハーネスの搬送方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】ハーネス搬送装置及びワイヤーハーネスの搬送方法
(51)【国際特許分類】
   B23P 21/00 20060101AFI20240411BHJP
【FI】
B23P21/00 305Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020054740
(22)【出願日】2020-03-25
(65)【公開番号】P2021154405
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】西浦 崇郎
(72)【発明者】
【氏名】南 達哉
(72)【発明者】
【氏名】中山 智裕
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-096823(JP,A)
【文献】特開2015-056245(JP,A)
【文献】特開平09-312107(JP,A)
【文献】特開2017-220425(JP,A)
【文献】米国特許第05152395(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 19/00-21/00
H01B 13/012
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線を配索してワイヤーハーネスを組み付ける配索盤の上方に配置され、組み付けられた前記ワイヤーハーネスの一部を上部に載置する載置部と、
該載置部を前記配索盤の上方に配置するとともに、前記配索盤に対して移動可能な移動支持部と、
前記載置部の底面側に配置されるとともに、前記載置部の上部に前記ワイヤーハーネスの一部が載置された状態において、前記ワイヤーハーネスにおける非載置部分を、前記載置部の底部側で、前記非載置部分の下側を覆うように前記配索盤から前記載置部の底部側に持ち上げて保持する保持部とが備えられた
ハーネス搬送装置。
【請求項2】
前記移動支持部は、前記配索盤の長手方向の長さより長く形成されるとともに、前記長手方向に沿って配置され、
前記保持部は、前記載置部の前記長手方向に対して交差する方向に配置された
請求項1に記載のハーネス搬送装置。
【請求項3】
前記保持部は、可撓性を有するシート状であり、
シート状の前記保持部の端部を前記載置部に固定する固定部が設けられた
請求項1に記載のハーネス搬送装置。
【請求項4】
電線を配索してワイヤーハーネスを組み付ける配索盤に対して移動可能な移動支持部で、前記配索盤の上方に載置部を配置し、
組み付けられた前記ワイヤーハーネスの一部を前記載置部の上部に載置するとともに、
前記載置部の底面側に配置される保持部を予め前記ワイヤーハーネスにおける非載置部分の下方に配置し、前記載置部に前記一部を載置した後、前記保持部で前記非載置部分を前記配索盤から前記載置部の底部側に持ち上げて保持して、前記配索盤から前記ワイヤーハーネスを搬送する
ワイヤーハーネスの搬送方法。
【請求項5】
前記配索盤の長手方向の長さより長く形成された前記載置部を、前記配索盤の前記長手方向に沿って配置し、
前記載置部の前記長手方向に対して交差する方向に配置された前記保持部で前記非載置部分を保持する
請求項4に記載のワイヤーハーネスの搬送方法。
【請求項6】
可撓性を有するシート状の前記保持部で前記非載置部分を前記載置部の底部側に持ち上げた状態で、シート状の前記保持部の端部を前記載置部に固定する
請求項4に記載のワイヤーハーネスの搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、配索盤上で組み付けられた前記ワイヤーハーネスを搬送するハーネス搬送装置及びワイヤーハーネスの搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、複雑な配索経路に沿って配索されるワイヤーハーネスは、特許文献1に示されるように、配索盤と呼ばれる作業台上で、実際の配索経路に即した配索状態で組み付けられ製造される。
昨今、車両には様々な種類の電子機器が搭載されており、仕様や仕向けによって前記ワイヤーハーネスは多様化するとともに複雑化している。
【0003】
前記ワイヤーハーネスが多様化・複雑化することにより、配索盤上で組み付けられた前記ワイヤーハーネスを次工程に回すため、配索盤から搬送する際に注意を要するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-222852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、この発明は、前記ワイヤーハーネスが多様化・複雑化しても、組み付けられた前記ワイヤーハーネスを配索盤から容易に搬送できるハーネス搬送装置及びワイヤーハーネスの搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、電線を配索してワイヤーハーネスを組み付ける配索盤の上方に配置され、組み付けられた前記ワイヤーハーネスの一部を上部に載置する載置部と、該載置部を前記配索盤の上方に配置するとともに、前記配索盤に対して移動可能な移動支持部と、載置部の底面側に配置されるとともに、前記載置部の上部に前記ワイヤーハーネスの一部が載置された状態において、前記ワイヤーハーネスにおける非載置部分を、前記載置部の底部側で、前記非載置部分の下側を覆うように前記配索盤から前記載置部の底部側に持ち上げて保持する保持部とが備えられたハーネス搬送装置であることを特徴とする。
【0007】
あるいは、この発明は、電線を配索してワイヤーハーネスを組み付ける配索盤に対して移動可能な移動支持部で、前記配索盤の上方に載置部を配置し、組み付けられた前記ワイヤーハーネスの一部を前記載置部の上部に載置するとともに、前記載置部の底面側に配置される保持部を予め前記ワイヤーハーネスにおける非載置部分の下方に配置し、前記載置部に前記一部を載置した後、前記保持部で前記非載置部分を前記配索盤から前記載置部の底部側に持ち上げて保持して、前記配索盤から前記ワイヤーハーネスを搬送するワイヤーハーネスの搬送方法であることを特徴とする。
【0008】
この発明により、配索盤から組み付けられた前記ワイヤーハーネスを容易に搬送することができる。
詳述すると、移動支持部によって配索盤に向かって移動させることで、該載置部を前記配索盤の上方に配置することができる。また、配索盤の上方に配置された載置部の上部に、組み付けられた前記ワイヤーハーネスの一部を載置するとともに、載置部に載置されていない非載置部分を保持部で前記載置部の底部側に持ち上げて保持するため、取り回し性の低い長尺状のワイヤーハーネスの全体を載置部で保持することができる。そのため、ワイヤーハーネス全体を保持する載置部を移動支持部で配索盤から移動することで、配索盤で組み付けられたワイヤーハーネスを容易に配索盤から搬送することができる。
【0009】
この発明の態様として、前記移動支持部は、前記配索盤の長手方向の長さより長く形成されるとともに、前記長手方向に沿って配置され、前記保持部は、前記載置部の前記長手方向に対して交差する方向に配置されてもよい。
【0010】
この発明により、配索盤上に組み付けられるワイヤーハーネスを、長手方向に沿って配置された前記移動支持部に支持された前記載置部に載置でき、交差方向に配置された保持部で非載置部分をしっかりと保持することができる。したがって、安定してワイヤーハーネスを載置部で保持して搬送することができる。
【0011】
またこの発明の態様として、前記保持部は、前記非載置部分の下側を覆うように保持する構成であってもよい。あるいは、予め前記非載置部分の下側に前記保持部を配置し、前記載置部に前記一部を載置した後、前記保持部で前記非載置部分を前記載置部の底部側に持ち上げて保持してもよい。
【0012】
この発明により、載置部の底部側において垂れ下がるおそれがある非載置部分全体をしっかりと保持することができる。また、予め前記非載置部分の下方に前記保持部を配置し、前記載置部に前記一部を載置した後、前記保持部で前記非載置部分を前記載置部の底部側に持ち上げて保持するため、載置部に載置されなかった非載置部分を保持部で確実に保持することができる。
【0013】
またこの発明の態様として、前記保持部は、可撓性を有するシート状であり、シート状の前記保持部の端部を前記載置部に固定する固定部が設けられてもよい。あるいは、可撓性を有するシート状の前記保持部で前記非載置部分を前記載置部の底部側に持ち上げた状態で、シート状の前記保持部の端部を前記載置部に固定してもよい。
この発明により、載置部に載置されなかった非載置部分をシート状の保持部で包むようにしっかりと保持することができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明により、前記ワイヤーハーネスが多様化・複雑化しても、組み付けられた前記ワイヤーハーネスを配索盤から容易に搬送できるハーネス搬送装置及びワイヤーハーネスの搬送方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】移動作業台車の斜視図。
図2】組立用搬送装置の斜視図。
図3】組立用搬送装置の平面図。
図4】組立用搬送装置の正面図。
図5】ハーネス搬送装置の斜視図。
図6】ハーネス製造システムの平面図。
図7】移動作業台車に対して移動する組立用搬送装置の斜視図。
図8】組立用搬送装置を用いたワイヤーハーネスの組み立て状況の説明図。
図9】組立用搬送装置を用いたワイヤーハーネスの組み立て状況の説明図。
図10】組立用搬送装置を用いたワイヤーハーネスの組み立て状況の説明図。
図11】組立用搬送装置を用いたワイヤーハーネスの組み立て状況の説明図。
図12】ハーネス製造システムの平面図。
図13】組立用搬送装置を用いたワイヤーハーネスの組み立て状況の斜視図。
図14】ハーネス搬送装置を用いた組み付けられたワイヤーハーネスの搬送状況の説明図。
図15】ハーネス搬送装置を用いた組み付けられたワイヤーハーネスの搬送状況の説明図。
図16】ハーネス搬送装置を用いた組み付けられたワイヤーハーネスの搬送状況の説明図。
図17】別の実施形態のハーネス搬送装置の斜視図。
図18】別の実施形態のハーネス搬送装置を用いた組み付けられたワイヤーハーネスの搬送状況の説明図。
図19】別の実施形態のハーネス搬送装置を用いた組み付けられたワイヤーハーネスの搬送状況の説明図。
図20】別の実施形態のハーネス搬送装置を用いた組み付けられたワイヤーハーネスの搬送状況の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
図1は移動作業台車100の斜視図を示し、図2は組立用搬送装置200の斜視図を示し、図3は組立用搬送装置200の平面図を示し、図4は組立用搬送装置200の正面図を示している。なお、図3においては、搬送路230より上方部分の平面図を示し、フレーム210を破線で示している。
【0017】
図5はハーネス搬送装置300の斜視図を示し、図6はハーネス製造システム1の平面図を示し、図7は移動作業台車100に対して移動する組立用搬送装置200の斜視図を示している。
【0018】
図8乃至図11は組立用搬送装置200を用いたワイヤーハーネスWHの組み立て状況の説明図を示している。
詳しくは、図8(a)は、移動作業台車100に対して組立用搬送装置200を移動させるとともに固定した状態の斜視図を示し、図8(b)は、移動作業台車100に対して部品カート250を移動させるとともに固定した状態の斜視図を示している。
【0019】
図9(a)は、部品カート250に対して保護シート242をセットした状態の斜視図を示し、図9(b)は、電線Xの一端部Xaを保持したスライダ260を搬送路230の導入口231から導入した状態の斜視図を示している。
【0020】
図10(a)は、電線Xの一端部Xaを保持したスライダ260を搬送路230の導出口232から導出するとともに、電線Xの他端部Xbを保持したスライダ260を搬送路230の導入口231から導入した状態の斜視図を示し、図10(b)は、電線Xの他端部Xbを保持したスライダ260を搬送路230における導出口232から導出した状態の斜視図を示している。
【0021】
図11(a)は、すべての電線Xを組み付けてワイヤーハーネスWHを構成し、保護シート242を収納するとともに、部品カート250の固定を解消した状態の斜視図を示し、図11(b)は、部品カート250を移動させるとともに、移動作業台車100に対する組立用搬送装置200の固定を解消した状態の斜視図を示している。
【0022】
図12は、移動作業台車100が移動し、ワイヤーハーネスWHの組み付けが完了した状態のハーネス製造システム1の平面図を示し、図13はワイヤーハーネスWHの組み立てが完了した移動作業台車100から組立用搬送装置200を移動させた状態の斜視図を示している。
【0023】
図14(a)は、ワイヤーハーネスWHの組み付けが完了した移動作業台車100の斜視図を示し、図14(b)は、組み付けが完了したワイヤーハーネスWHの中間部分WHCの下に保持シート330を挿入した状態の斜視図を示している。
【0024】
図15(a)は、移動作業台車100に対してハーネス搬送装置300を移動させた状態の斜視図を示し、図15(b)は、ハーネス搬送装置300の載置盤320にワイヤーハーネスWHのサイド部分WHSを載置した状態の斜視図を示している。
【0025】
図16(a)は、ワイヤーハーネスWHのサイド部分WHSを載置した載置盤320に対して、中間部分WHCを持ち上げて保持シート330を載置盤320に固定して、ワイヤーハーネスWHの全体を載置盤320で保持した状態の斜視図を示し、図16(b)は、ワイヤーハーネスWHの全体を載置盤320で保持したハーネス搬送装置300を移動作業台車100から移動させた状態の斜視図を示している。
【0026】
なお、ハーネス製造システム1における長手方向、つまり平面視長方形状に形成したレール11及びレール11によって移動する移動作業台車100の長手方向を長手方向Lとし、長手方向Lに直交する方向を幅方向Wとしている。また、第1作業エリアSa1において、移動作業台車100に対するレール11の平面視外側を幅方向Wの手前側とし、レール11の平面視内側を幅方向Wの奥側としている。
【0027】
ハーネス製造システム1は、図1に示す移動作業台車100、図2に示す組立用搬送装置200及び図5に示すハーネス搬送装置300を用い、複数の電線Xを組み付けてワイヤーハーネスWHを構成するシステムである(図6参照)。
【0028】
詳しくは、ハーネス製造システム1は、図6に示すように、平面視長方形状の4箇所を作業エリアSaとし、2台の移動作業台車100を一方向に移動させながら、電線Xを束ねてワイヤーハーネスWHを構成する。
【0029】
また、4箇所の作業エリアSaに沿って移動作業台車100を移動させる平面視長方形状に挿入されたレール11を備え、レール11の平面視内側に、長手方向Lに延びるサブレール12を2本備えている。なお、作業エリアSaの数や配置は、上述の数や配置に限定されず、ワイヤーハーネスWHを構成する工程や同時施工数に応じて設定すればよい。
【0030】
4箇所のSaのうち、1台の移動作業台車100が第1作業エリアSa1から第2作業エリアSa2に向かう間でワイヤーハーネスWHを組み付け、第2作業エリアSa2の側方に設けられた外装組付作業台2で組み付けられたワイヤーハーネスWHにプロテクタ、グロメット、コルゲートなどの外装品(図示省略)を組み付ける。
【0031】
同様に、もう1台の移動作業台車100が第3作業エリアSa3から第4作業エリアSa4に向かう間でワイヤーハーネスWHを組み付け、第4作業エリアSa4の側方に設けられた外装組付作業台2で組み付けられたワイヤーハーネスWHに外装品(図示省略)を組み付ける。なお、ハーネス製造システム1において移動作業台車100の移動は図示省略する管理装置によって管理している。
【0032】
上述のように、ハーネス製造システム1においてワイヤーハーネスWHを組み付ける移動作業台車100は、図1に示すように、幅方向Wより長手方向Lが長い平面視長方形状の台車110と、台車110上に配置された平面視H型の作業台120とで構成している。なお、台車110の底部に、駆動部によって駆動する車輪(図示省略)を備えている。
【0033】
作業台120は、台車110上に配置され、図示省略する配索治具を上面に複数配置し、配索経路に沿って配索してワイヤーハーネス(図14(a)参照)を構成する配索盤である。
なお、作業台120は、図1に示すように、長手方向Lに延びるサイド配索部121と、サイド配索部121の長手方向Lの中央付近を幅方向Wに連結する中間配索部122とで、長手方向Lに向いた平面視H型に形成している。
【0034】
そして、平面視H型の内側部分は、作業者が作業する内側作業部130となる。
台車110の長手方向Lの端部は、幅方向Wに延びる手すり壁140が設けられ、作業台120と壁140との間に、内側作業部130への出入りする出入口131を設けている。
【0035】
長手方向Lに延びるサイド配索部121の両端部付近には、後述するスライダ260を収容する箱状のハンガ収容部123を設けている。
また、2本のサイド配索部121のうち、移動作業台車100が移動する平面視長方形状のレール11における平面視外側(図1において右下側である幅方向Wの手前側)となるサイド配索部121の上面に、部品カート250を固定するカート固定部124を設けている。
【0036】
また、作業台120における出入口131の近くには、組立用搬送装置200に当接して係止するフレーム係止部125を設けている。
フレーム係止部125は、通常状態では鉛直下向きに延びており、上端付近を中心として枢動して、幅方向Wの手前側に突出するように固定することができる。
【0037】
続いて、ハーネス製造システム1で用いる組立用搬送装置200について説明する。
組立用搬送装置200は、作業台120でワイヤーハーネスWHを組み付ける電線Xを部品カート250から配索経路の所定箇所まで搬送するためのものである。組立用搬送装置200は、側面視門型のフレーム210と、フレーム210から吊り下げ支持された中間フレーム220、中間フレーム220から吊り下げ支持された搬送路230を備えている。
【0038】
フレーム210は、長手方向Lの長さが幅方向Wより長い長方形状、且つ側面視門型状に形成された直方体状の枠体であり、矩形断面の鋼製棒状部材211で構成している。フレーム210は、平面視H型の作業台120より幅方向Wに広く、長手方向Lにおいてわずかに短い平面視長方形状である。
このように直方体形状で形成されたフレーム210は、断面四角形状の金属製の鋼製棒状部材211で構成されている。
【0039】
正面視長方形状に形成されたフレーム210における長手方向Lに延びる底辺部分には、フレーム210を移動可能に構成する車輪212を設けている。
幅方向Wの手前側と奥側のそれぞれに設けられた車輪212のうち、移動作業台車100が移動する平面視長方形状のレール11における平面視内側(図2において左上側)となる、つまり幅方向Wの奥側の車輪212は、レール11の平面視内側において長手方向Lに延びるサブレール12に嵌合し、サブレール12によって転動方向が規制されている。
なお、幅方向Wの手前側の車輪212は、フロア上を転動して、組立用搬送装置200が移動することができる。
【0040】
直方体状の枠体であるフレーム210の上面部分を構成する鋼製棒状部材211における所定位置には、鉛直方向に延び、鋼製棒状部材211と中間フレーム220とを連結する吊下連結部材213を複数設けている。
【0041】
吊下連結部材213を介して、直方体状の枠体であるフレーム210の上面部分を構成する鋼製棒状部材211から吊り下げられる中間フレーム220は、断面丸形のパイプ材221で構成されている。パイプ材221で構成される中間フレーム220は、平面視H型の作業台120におけるサイド配索部121及び中間配索部122の中心軸に対応する平面視H型に形成されている。
なお、中間フレーム220には、パイプ材221の底面側において下方に向かって延び、搬送路230を吊り下げて固定する吊下固定部222を複数設けている。
【0042】
搬送路230は、幅方向Wの手前側における、長手方向Lの中央付近(図4における左右方向の中央付近)に、一端部である導入口231が配置された断面I型の鋼製部材で構成している。なお、一端部を導入口231とした搬送路230の他端部は導出口232としている。
【0043】
また、複数本の搬送路230の導入口231は、上述したように、長手方向Lの中央付近にひとまとめにされており、長手方向Lに並設している。そして、ひとまとめにされた導入口231は、およそ平面視H型の作業台120における中間配索部122に対応する箇所に形成している。
【0044】
搬送路230は、サイド配索部121と中間配索部122とで平面視H型の作業台120を構成する2本サイド配索部121と中間配索部122とに対応し、5種類設けている。
詳しくは、幅方向Wの手前側と奥側の2本のサイド配索部121のうち手前側のサイド配索部121における中間配索部122より一方側(図3及び図4において左側)の部分に対応する第1搬送路230aは、導入口231から幅方向Wの奥側に延び、サイド配索部121に沿うようにカーブして、平面視略L型に形成している。
【0045】
幅方向Wの奥側のサイド配索部121における中間配索部122より一方側(図3及び図4において左側)の部分に対応する第2搬送路230bは、導入口231から中間配索部122に沿って幅方向Wの奥側に延び、サイド配索部121に沿うようにカーブして、平面視略L型に形成している。
中間配索部122に対応する第3搬送路230cは、導入口231から中間配索部122に沿って幅方向Wの奥側に延びている。
【0046】
幅方向Wの奥側のサイド配索部121における中間配索部122より他方側(図3及び図4において右側)の部分に対応する第4搬送路230dは、導入口231から中間配索部122に沿って幅方向Wの奥側に延び、サイド配索部121に沿うようにカーブして、平面視略L型に形成している。
【0047】
幅方向Wの手前側のサイド配索部121における中間配索部122より他方側(図3及び図4において右側)の部分に対応する第5搬送路230eは、導入口231から幅方向Wの奥側に延び、サイド配索部121に沿うようにカーブして、平面視略L型に形成している。
【0048】
なお、第1搬送路230aと第5搬送路230e、及び第2搬送路230bと第4搬送路230dとは、幅方向Wに延びる第3搬送路230cを対称軸として、長手方向Lに対称な向き及び形状で形成している。
【0049】
上述のように、第1搬送路230a乃至第5搬送路230eの5本を有する搬送路230は、全体として、作業台120に対応する平面視略H字状に形成している。なお、図3に示すように、カーブ部分において直交する組立用搬送装置200に対し、搬送路230a,230b,230d,230eは、スライダ260が走行しやすい曲率で曲げられている。
【0050】
第1搬送路230a,第2搬送路230b,第4搬送路230d及び第5搬送路230eの導出口232は、長手方向Lの端部に配置され、第3搬送路230cの導出口232は長手方向Lの中央に配置された導入口231の反対側に配置されている。
【0051】
5本の搬送路230の導入口231がひとまとまりになった部分の下方には、導入口231を覆うラック241が設けられるとともに、導入口231から搬送路230に導入する電線Xを保護する保護シート242(図9参照)をラック241に設けている。保護シート242は、図9(a)に示すように、導入口231から導入する電線Xを供給する部品カート250とラック241とを掛け渡して使用される。保護シート242は、可撓性を有する透明のビニールシートで構成している。
【0052】
ここで、部品カート250について説明する。
部品カート250は、フレームで構成した縦長直方体状のワゴン型であり、底部に車輪251を備え、移動可能に構成している。また、作業台120のカート固定部124に係止して固定する係止固定部252を備えている。
このように構成した部品カート250は、電線Xの端部(Xa,Xb)を保持するスライダ260を係止して収容し、組立用搬送装置200に対して電線Xを供給することができる。
【0053】
スライダ260は、図4に示すように、電線Xの端部(Xa,Xb)を保持する保持部261と、搬送路230に係止して移動するローラ262を備えている。
ローラ262は、断面I型に構成した搬送路230のウェブの両側に配置され、下側のフランジ上面を転動するように構成している。
【0054】
上述のように、フレーム210、中間フレーム220及び搬送路230で構成した組立用搬送装置200には、搬送路230の中間部に対して、搬送される電線Xの垂れ下がりを防止する垂れ下がり防止部270を設けている。
【0055】
詳しくは、防止部270は、中間フレーム220に取付けられ、搬送路230の下方に支持プレート271が配置されるように側面視角型C字状に形成している。
なお、側面視角型C字状に形成した防止部270は、組立用搬送装置200を移動作業台車100にセットした状態で、内側作業部130で作業する作業者に向いて開放される向きで配置されている。
【0056】
次に、組み付けられたワイヤーハーネスWHを作業台120から搬送するためのハーネス搬送装置300について説明する。
ハーネス搬送装置300は、正面視門型の支持フレーム310と、支持フレーム310の上面に備えた載置盤320と、載置盤320の底面側に配置する保持シート330とを有している。
【0057】
支持フレーム310は、移動作業台車100の長手方向Lより長く形成され、その両側の縦フレーム311の下端に車輪312を備え、移動可能に構成している。また、正面視門型の上面部分には長手方向Lに延びる上面フレーム313を幅方向Wの手前側と奥側とにそれぞれ備えている。なお、支持フレーム310には、作業車が把持してハーネス搬送装置300を移動させる持ち手314を適宜の箇所に備えている。
【0058】
載置盤320は、長手方向Lに延びる上面フレーム313を幅方向Wに掛け渡すとともに、幅方向Wの手前側と奥側に突出する幅の平面視長方形状に形成されている。長手方向Lにおいて、載置盤320は、上面フレーム313より2/3程度の長さに形成している。幅方向Wにおいて、載置盤320は、支持フレーム310における上面フレーム313の間隔の2倍程度の幅で形成している。
このように構成した載置盤320の幅方向Wの両端部において、長手方向Lの中央に、保持シート330を係止固定する係止凸部321を設けている(図14参照)。
【0059】
保持シート330は、載置盤320の長手方向Lより短く、幅方向Wより長い平面視長方形状の可撓性を有するシート状である。保持シート330における幅方向Wの両端部には、係止凸部321を挿入して係止する係止孔331を設けている。
【0060】
このように構成した移動作業台車100、組立用搬送装置200及びハーネス搬送装置300を用いて電線Xを組み付けてワイヤーハーネスWHを構成する方法について説明する。
先ず、図5に示すように、ハーネス製造システム1における第1作業エリアSa1及び第3作業エリアSa3に配置された移動作業台車100に作業員が乗り込む。そして、図7に示すように、作業員が乗り込んだ移動作業台車100に対して組立用搬送装置200を移動させる。
【0061】
詳しくは、サブレール12を規制されて組立用搬送装置200を図7に示す矢印の方向に移動させる。なお、組立用搬送装置200を移動作業台車100に対して矢印方向に移動させるが、移動作業台車100もレール11に沿って移動しており、パイプ材221を囲うラック241が移動作業台車100の長手方向Lの中央付近に位置するまで移動する。
【0062】
そして、フレーム係止部125を枢動させて、移動作業台車100に対して組立用搬送装置200を係止して固定する(図8(a)参照)。これにより、組立用搬送装置200は、レール11に沿って移動する移動作業台車100とともに移動することとなる。
【0063】
図8(b)に示すように、組立用搬送装置200が係止固定された移動作業台車100に対して部品カート250を移動させる。部品カート250には、電線Xの端部Xa,Xbを保持したスライダ260を係止し、複数収容している。
【0064】
具体的には、部品カート250の長手方向Lの一方に電線Xの一端部Xaを保持するスライダ260を係止し、他方側に他端部Xbを保持するスライダ260を係止し、スライダ260同士の間の電線Xを部品カート250の内部に収容している。
【0065】
そして、部品カート250の係止固定部252を移動作業台車100のカート固定部124に係止して固定する。これにより、組立用搬送装置200と同様に、部品カート250も、移動する移動作業台車100とともに移動することとなる。
【0066】
さらには、ラック241に備えた保護シート242を展開して、部品カート250に掛け渡すようにセットする(図9(a)参照)。
これにより、導入口231の下方と作業台120の上面との間に展開されたラック241が配置されることとなる。
【0067】
続いて、図9(b)に示すように、電線Xの一端部Xaを保持したスライダ260を第1搬送路230aの導入口231から導入する。そして、図10(a)に示すように、一端部Xaを保持するスライダ260を、第1搬送路230aを走行させて、所定位置まで一端部Xaを搬送した後、一端部Xaをスライダ260から外して、スライダ260を第1搬送路230aの導出口232から導出して、スライダ260をハンガ収容部123に収容する。
なお、第1搬送路230aをスライダ260が走行して一端部Xaを搬送する際に、第1搬送路230aに対してセットした防止部270に電線Xを挿入して、電線Xの中間部分を支持する。
【0068】
また、電線Xの他端部Xbを保持したスライダ260を第5搬送路230eの導入口231から導入し、図10(b)に示すように、電線Xの他端部Xbを保持したスライダ260を、第5搬送路230eを走行させる。スライダ260が、所定位置まで他端部Xbを搬送した後、他端部Xbをスライダ260から外して、スライダ260を第5搬送路230eの導出口232から導出して、スライダ260をハンガ収容部123に収容する。
【0069】
なお、第5搬送路230eをスライダ260が走行して他端部Xbを搬送する際に、第5搬送路230eに対してセットした防止部270に電線Xを挿入して、電線Xの中間部分を支持するものの、他端部Xbをスライダ260から取り外した後、防止部270から取外しながら作業台120に設けた配索治具により電線Xを配索する。
【0070】
これをすべての電線Xに対して繰り返し、図11(a)に示すように、すべての電線Xを組み付けてワイヤーハーネスWHを構成する。平面視H型の作業台120で組み付けられたワイヤーハーネスWHは、長手方向Lのサイド部分WHSと、幅方向Wの中間部分WHCとで平面視H型に形成される。
【0071】
このようにすべての電線Xの組み付けが完了すると、ラック241と部品カート250に掛け渡していた保護シート242を収容するとともに、係止固定部252をカート固定部124から取外し、図11(b)に示すように、部品カート250を移動させて撤去する。さらに、フレーム係止部125を枢動させて移動作業台車100に対する組立用搬送装置200の固定を解消する。
【0072】
なお、上述のようにすべての電線Xを組み付けてワイヤーハーネスWHを構成する間に、移動作業台車100は、図12に示すように、第1作業エリアSa1(第3作業エリアSa3)から、外装組付作業台2の側方となる第2作業エリアSa2(第4作業エリアSa4)に移動している。
【0073】
第2作業エリアSa2(第4作業エリアSa4)において、図13に示すように、ワイヤーハーネスWHの組み立てが完了した移動作業台車100から組立用搬送装置200を移動させる。このとき、移動作業台車100とともに第2作業エリアSa2(第4作業エリアSa4)に移動していた組立用搬送装置200を第1作業エリアSa1(第3作業エリアSa3)に向かって移動する。
【0074】
第2作業エリアSa2(第4作業エリアSa4)において組立用搬送装置200が移動した移動作業台車100の作業台120には、図14(a)に示すように、組み付けられたワイヤーハーネスWHが載置されており、これを外装組付作業台2に移動するために、ハーネス搬送装置300を用いる。
【0075】
具体的には、図14(b)に示すように、まず平面視H型のワイヤーハーネスWHの中間部分WHCの下に保持シート330を挿入する。具体的には、ワイヤーハーネスWHの幅方向Wの側方より、中間部分WHCと作業台120との間に保持シート330を挿入する。
【0076】
この状態で、図15(a)に示すように、移動作業台車100に対して幅方向Wの側方からハーネス搬送装置300を移動させてセットする。このとき、移動作業台車100に対してハーネス搬送装置300を、載置盤320の幅方向Wの中心と、作業台120の幅方向Wの中心とが略一致する位置にセットする。
【0077】
このようにセットしたハーネス搬送装置300の載置盤320に対して、載置盤320の幅方向Wの外側から、ワイヤーハーネスWHのサイド部分WHSを載置する。この状態では、中間部分WHCは、載置盤320と保持シート330との間に配置されることとなる。
【0078】
そして、図16(a)に示すように、ワイヤーハーネスWHのサイド部分WHSを載置した載置盤320に対して、中間部分WHCの下に挿入した保持シート330を持ち上げて、保持シート330の幅方向Wの端部を載置盤320の上面側に折り返し、係止凸部321を係止孔331に挿入して保持シート330を載置盤320に固定する。これにより、サイド部分WHSを載置盤320に載置し、中間部分WHCを保持シート330により載置盤320の底面側に持ち上げて、ワイヤーハーネスWHの全体を載置盤320で保持することができる。
【0079】
そして、図16(b)に示すように、ワイヤーハーネスWHの全体を載置盤320で保持したハーネス搬送装置300を移動作業台車100から外装組付作業台2に向かって移動させて、作業台120からワイヤーハーネスWHを搬送することができる。
【0080】
なお、上述の説明において、ハーネス搬送装置300は、移動作業台車100より長手方向Lに長い支持フレーム310で移動可能に構成したが、図17に示す吊下型ハーネス搬送装置400のように、上方に配置された移動レール410から吊下げワイヤー411で載置盤420を吊下げるとともに移動させるように構成してもよい。
【0081】
なお、図17は、吊下型ハーネス搬送装置400の斜視図を示し、図18(a)は、組み付けが完了したワイヤーハーネスWHの中間部分WHCの下に保持シート430を挿入する前の状態の斜視図を示し、図18(b)は、組み付けが完了したワイヤーハーネスWHの中間部分WHCの下に保持シート430を挿入した状態の斜視図を示している。
【0082】
図19(a)は、ワイヤーハーネスWHの組み付けが完了した移動作業台車100に対して吊下型ハーネス搬送装置400を移動させた状態の斜視図を示し、図19(b)は、吊下型ハーネス搬送装置400の載置盤420にワイヤーハーネスWHのサイド部分WHSを載置した状態の斜視図を示している。
【0083】
図20(a)は、ワイヤーハーネスWHのサイド部分WHSを載置した載置盤420に対して、保持シート430を持ち上げて中間部分WHCを載置盤420に固定して、ワイヤーハーネスWHの全体を載置盤420で保持した状態の斜視図を示し、図20(b)は、ワイヤーハーネスWHの全体を載置盤420で保持した吊下型ハーネス搬送装置400を移動作業台車100から移動させた状態の斜視図を示している。
【0084】
吊下型ハーネス搬送装置400は、平面視H型の作業台120の中間配索部122の上方に配置された、幅方向Wに延びる2本の移動レール410と、長手方向Lより幅方向Wに長い載置盤420と、移動レール410から載置盤420を吊上げる吊下げワイヤー411と、保持シート430とを有している。なお、保持シート430は、保持シート330と同様の構成であるため、その詳細な説明を省略する。
【0085】
載置盤420は、上述のハーネス搬送装置300の載置盤320と異なり、作業台120より幅方向Wに長い平面視長方形状であり、四隅を吊下げワイヤー411で吊下げられている。なお、吊下げワイヤー411は、作業台120の上面から所定間隔を隔てた上方に載置盤420が位置する長さである。
【0086】
このように構成した載置盤420の幅方向Wの両端部において、長手方向Lの中央に、保持シート430を係止固定する係止凸部421を設けている。
なお、保持シート430は、載置盤420より幅方向Wに長く、長手方向Lにおいては短い平面視長方形状に形成されている。
【0087】
移動レール410は、幅方向Wに沿って配置されるとともに、載置盤420の長手方向Lの長さに対応する間隔で隔てて2本配置されている。このように、幅方向Wに沿って配置された移動レール410は、吊下げワイヤー411を幅方向Wに移動可能に構成している。なお、本実施形態では、外装組付作業台2と第2作業エリアSa2(第4作業エリアSa4)とを結ぶ幅方向Wに沿って配置されている。
【0088】
吊下型ハーネス搬送装置400を用いて作業台120からワイヤーハーネスWHを搬送するためには、具体的には、図14に示すように、平面視H型のワイヤーハーネスWHの中間部分WHCの下に保持シート430を挿入する。具体的には、ワイヤーハーネスWHの幅方向Wの側方より、ワイヤーハーネスWHと作業台120との間に保持シート430を挿入する。
【0089】
この状態で、図18(b)に示すように、移動作業台車100に対して幅方向Wの側方から吊下型ハーネス搬送装置400を移動させてセットする(図19(a)参照)。このとき、載置盤420の幅方向Wの中心と、作業台120の幅方向Wの中心とが略一致する位置にセットする。
【0090】
図19(b)に示すように、このようにセットした吊下型ハーネス搬送装置400の載置盤420に対して、載置盤420の幅方向Wの外側から、ワイヤーハーネスWHのサイド部分WHSを載置する。この状態では、中間部分WHCは、載置盤420と保持シート430との間に配置されることとなる。
【0091】
そして、図20(a)に示すように、ワイヤーハーネスWHのサイド部分WHSを載置した載置盤420に対して、中間部分WHCの下に挿入した保持シート430を持ち上げて、保持シート430の幅方向Wの端部を載置盤420の上面側に折り返し、係止凸部421を係止孔431に挿入して保持シート430を載置盤420に固定する。これにより、サイド部分WHSを載置盤420に載置し、中間部分WHCを保持シート430により載置盤420の底面側に持ち上げて、ワイヤーハーネスWHの全体を載置盤420で保持することができる。
【0092】
そして、図20(b)に示すように、ワイヤーハーネスWHの全体を保持した載置盤420を移動レール410に沿って移動作業台車100から外装組付作業台2に向かって幅方向Wに移動させて、作業台120からワイヤーハーネスWHを搬送することができる。
【0093】
上述のように、ハーネス搬送装置300(吊下型ハーネス搬送装置400)は、電線Xを配索してワイヤーハーネスWHを組み付ける作業台120の上方に配置され、組み付けられたサイド部分WHSを上部に載置する載置盤320(420)と、載置盤320(420)を作業台120の上方に配置するとともに、作業台120に対して移動可能な支持フレーム310(移動レール410及び吊下げワイヤー411)と、載置盤320(420)にサイド部分WHSが載置されたワイヤーハーネスWHにおける中間部分WHCを、載置盤320(420)の底部側に持ち上げて保持する保持シート330(430)とが備えられているため、組み付けられたワイヤーハーネスWHを作業台120から容易に搬送することができる。
【0094】
詳述すると、支持フレーム310(移動レール410及び吊下げワイヤー411)によって作業台120に向かって移動させることで、載置盤320(420)を作業台120の上方に配置することができる。
【0095】
また、作業台120の上方に配置された載置盤320(420)の上部に、組み付けられたサイド部分WHSを載置するとともに、載置盤320(420)に載置されていない中間部分WHCを保持シート330(430)で載置盤320(420)の底部側に持ち上げて保持するため、取り回し性の低い長尺状のワイヤーハーネスWHの全体を載置盤320(420)で保持することができる。
【0096】
そのため、ワイヤーハーネスWHの全体を保持する載置盤320(420)を支持フレーム310(移動レール410及び吊下げワイヤー411)で作業台120から移動することで、作業台120で組み付けられたワイヤーハーネスWHを容易に作業台120から搬送することができる。
【0097】
また、支持フレーム310(移動レール410及び吊下げワイヤー411)は、作業台120の長手方向Lの長さより長く形成されるとともに、長手方向Lに沿って配置され、保持シート330(430)は、載置盤320(420)に対して幅方向Wに配置されているため、作業台120上に組み付けられるワイヤーハーネスWHのサイド部分WHSを、長手方向Lに沿って配置された載置盤320(420)に載置でき、交差方向に配置された保持シート330(430)で中間部分WHCをしっかりと保持することができる。したがって、安定してワイヤーハーネスWHを載置盤320(420)で保持して搬送することができる。
【0098】
また、予め中間部分WHCの下方に保持シート330(430)を挿入し、載置盤320(420)にサイド部分WHSを載置した後、保持シート330(430)で中間部分WHCを載置盤320(420)の底部側に持ち上げて保持しているため、載置盤320(420)の底部側において垂れ下がるおそれがある中間部分WHC全体をしっかりと保持することができる。
【0099】
また、可撓性を有するシート状の保持シート330(430)の端部を載置盤320(420)に固定する係止凸部321(421)が設けられているため、シート状の保持シート330(430)で中間部分WHCを包むようにしっかりと保持することができる。
【0100】
以上、この発明の構成と前述の実施形態との対応において、この発明の電線は電線Xに対応し、
以下同様に、
ワイヤーハーネスはワイヤーハーネスWHに対応し、
配索盤は作業台120に対応し、
ワイヤーハーネスの一部はサイド部分WHSに対応し、
載置部は載置盤320(420)に対応し、
移動支持部は支持フレーム310(移動レール410及び吊下げワイヤー411)に対応し、
非載置部分は中間部分WHCに対応し、
保持部は保持シート330(430)に対応し、
ハーネス搬送装置はハーネス搬送装置300(吊下型ハーネス搬送装置400)に対応し、
長手方向は長手方向Lに対応し、
交差する方向は幅方向Wに対応し、
固定部は係止凸部321(421)に対応
するも、この発明は、前述の実施形態に限定されるものではない。
【0101】
上述の説明では、組立用搬送装置200で電線Xを搬送したが、複数の電線Xを予め束状にまとめた例を示している。また、上述の説明では、多様化・複雑化に対応した作業台120を前提に説明しているが、作業台120は、例えば大型のワイヤーハーネスの組立に用いられるものなどであってもよい。上述の説明と同様に、組み付けられた前記ワイヤーハーネスを配索盤から容易に搬送することができる。
【0102】
上述の説明では、保持シート330(430)を可撓性を有するシート状で構成したが、ネット状に構成してもよいし、板状であってもよい。
また、ワイヤーハーネスWHはサイド部分WHSと中間部分WHCとで平面視H型に形成したが、平面視T型、L型、X型、角型U型、V型、W型、+型など適宜の平面視形状で形成してもよい。なお、この場合、ワイヤーハーネスWHの形状に応じた形状で作業台120及び中間フレーム220を構成すればよい。
【符号の説明】
【0103】
120…作業台
300…ハーネス搬送装置
310…支持フレーム
320…載置盤
321…係止凸部
330…保持シート
400…吊下型ハーネス搬送装置
410…移動レール
411…吊下げワイヤー
420…載置盤
421…係止凸部
430…保持シート
L…長手方向
X…電線
W…短手方向
WH…ワイヤーハーネス
WHC…中間部分
WHS…サイド部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20