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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】ヒートシンク
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/427 20060101AFI20240411BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
H01L23/46 B
H05K7/20 B
H05K7/20 R
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020064698
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021163875
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2022-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】志村 隆広
【審査官】井上 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-114341(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0051498(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0164459(US,A1)
【文献】特開2006-032798(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/427
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1伝熱板材と、
内面が前記第1伝熱板材の内面に対向し、受熱する第1受熱面を外面に有する第2伝熱板材と、
前記第1伝熱板材の外面に設けられ、複数のフィンを有する第1放熱フィン部と、
前記第1伝熱板材の内面および前記第2伝熱板材の内面の間に配置され、前記第1伝熱板材の内面と接する第1主面および前記第2伝熱板材の内面と接する第2主面を有するヒートパイプ部と
を備え、
前記ヒートパイプ部は
前記第2伝熱板材の内面に位置する前記第1受熱面の裏面部分から前記第1伝熱板材の一端部側および前記第2伝熱板材の一端部側に延在し、前記裏面部分よりも前記第1伝熱板材の一端部側および前記第2伝熱板材の一端部側に配置され、
前記裏面部分よりも前記第1伝熱板材の他端部側および前記第2伝熱板材の他端部側には延在せず、前記裏面部分よりも前記第1伝熱板材の他端部側および前記第2伝熱板材の他端部側には配置されず、
前記裏面部分は、前記第1伝熱板材の一端部および前記第2伝熱板材の一端部、ならびに前記第1伝熱板材の他端部および前記第2伝熱板材の他端部には配置されないことを特徴とするヒートシンク。
【請求項2】
前記第1放熱フィン部の前記複数のフィンは、風導入側から風排出側に向かって延在する、請求項1に記載のヒートシンク。
【請求項3】
前記第1伝熱板材の内面および前記第2伝熱板材の内面の間に設けられ、前記第1伝熱板材の内面と、前記第2伝熱板材の内面と、前記ヒートパイプ部の前記第1主面および前記第2主面を連結する側面とに、それぞれ接する少なくとも1つ以上の伝熱ブロックをさらに備える、請求項1または2に記載のヒートシンク。
【請求項4】
前記第1伝熱板材は、前記内面に、前記ヒートパイプ部の少なくとも一部を収容する第1溝部を備える、請求項1~3のいずれか1項に記載のヒートシンク。
【請求項5】
前記第2伝熱板材は、前記内面に、前記ヒートパイプ部の少なくとも一部を収容する第2溝部を備える、請求項1~4のいずれか1項に記載のヒートシンク。
【請求項6】
前記第1伝熱板材の前記一端部に対向する、前記第1伝熱板材の他端部および前記第1放熱フィン部の他端部は、それぞれ、前記第2伝熱板材の前記一端部に対向する他端部側から前記裏面部分側までの間に位置する、請求項1~5のいずれか1項に記載のヒートシンク。
【請求項7】
前記第2伝熱板材は、前記外面に、前記第1受熱面で受熱する熱量よりも小さい熱を受熱する1つ以上の第2受熱面をさらに有する、請求項1~6のいずれか1項に記載のヒートシンク。
【請求項8】
前記第2伝熱板材における前記ヒートパイプ部よりも前記第2伝熱板材の他端部側の内面に設けられ、複数のフィンを有する、前記第1放熱フィン部より小さい第2放熱フィン部をさらに備える、請求項6または7に記載のヒートシンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヒートシンクに関する。
【背景技術】
【0002】
パソコンなどの電気機器用や車載用などの様々な用途に用いられている電子機器に搭載されている演算処理部などが高速化している。演算処理部などの高速化が進むにつれて、演算処理部などの発熱量は増加する。
【0003】
また、電子機器には、従来から小型化に対する要求がある。電子機器の小型化が進むと、電子機器を構成する様々な部材の高密度化および高集積化が図られるため、演算処理部などから発生する熱により、電子機器の稼働時の温度は増加する。
【0004】
電子機器の温度が所定値以上になると、電子機器が正常に駆動せず、電子機器が故障する可能性がある。よって、電子機器の発熱体である演算処理部などを冷却し、電子機器の温度上昇を抑制する必要がある。
【0005】
例えば、特許文献1には、一方の面に発熱部品と熱的に接続され、薄板フィンからなる第1放熱フィン部が熱的に接続された第1伝熱板材と、一方の面に薄板フィンからなる第2放熱フィン部が熱的に接続された第2伝熱板材と、第1伝熱板材の他方の面と第2伝熱板材の他方の面との間に熱的に接続されたヒートパイプと、ヒートパイプの側面および下面に熱的に接続され、第2伝熱板材との間でヒートパイプを挟むように、熱的に接続されて配置された伝熱ブロックと、を備えるヒートシンクが記載されている。伝熱ブロックは、ヒートパイプの側面側となる側端部にそれぞれ位置して互いに連結された2つの両端ブロック部と、2つの前記両端ブロック部の連結部分に一体または別体に設けられて2つの該両端ブロック部と熱的に接続される受熱部と、を有して、ヒートパイプの長手方向に第1伝熱板材と熱的に接続されて配置されている。2つの両端ブロック部は、それぞれ厚みのあるブロックであり、ヒートパイプ側の該両端ブロック部の側面がヒートパイプの側面にそれぞれ接触して熱的に接続され、2つの該両端ブロック部の連結部分が該両端ブロック部に比べて薄い板状になっている。受熱部は、両端ブロック部に比べて薄い板状であり、一方の面が発熱部品に接続され、他方の面がヒートパイプの下面と熱的に接続されている。ヒートパイプは、上下の面が2つの両端ブロック部の連結部分及び第1伝熱板材と、第2伝熱板材と、の間に挟まれている。ヒートパイプの側面が2つの両端ブロック部の間に挟まれて、第1伝熱板材、第2伝熱板材及び伝熱ブロックと熱的に接続されている。
【0006】
特許文献1に記載のヒートシンクには、第1伝熱板材および第2伝熱板材の長手方向の全面に配置されるヒートパイプ、ヒートパイプの側面側に配置される複数の両端ブロック部、複数の両端ブロック部の連結部分に配置される受熱部などが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第5684228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、ヒートシンクは、高い冷却性能を維持しつつ、構成を小規模化して製造コストを抑制する要求がある。ヒートシンクは、このような要求に応えるべく、更なる改善の余地がある。
【0009】
本開示の目的は、構成を小規模化しつつ、高い冷却性能を維持することができるヒートシンクを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[1] 第1伝熱板材と、内面が前記第1伝熱板材の内面に対向し、受熱する第1受熱面を外面に有する第2伝熱板材と、前記第1伝熱板材の外面に設けられ、複数のフィンを有する第1放熱フィン部と、前記第1伝熱板材の内面および前記第2伝熱板材の内面の間に配置され、前記第1伝熱板材の内面と接する第1主面および前記第2伝熱板材の内面と接する第2主面を有し、前記第2伝熱板材の内面に位置する前記第1受熱面の裏面部分から前記第1伝熱板材と前記第2伝熱板材の一端部側に延在しているヒートパイプ部とを備えることを特徴とするヒートシンク。
[2] 前記第1放熱フィン部の前記複数のフィンは、風導入側から風排出側に向かって延在する、上記[1]に記載のヒートシンク。
[3] 前記第1伝熱板材の内面および前記第2伝熱板材の内面の間に設けられ、前記第1伝熱板材の内面と、前記第2伝熱板材の内面と、前記ヒートパイプ部の前記第1主面および前記第2主面を連結する側面とに、それぞれ接する少なくとも1つ以上の伝熱ブロックをさらに備える、上記[1]または[2]に記載のヒートシンク。
[4] 前記第1伝熱板材は、前記内面に、前記ヒートパイプ部の少なくとも一部を収容する第1溝部を備える、上記[1]~[3]のいずれか1項に記載のヒートシンク。
[5] 前記第2伝熱板材は、前記内面に、前記ヒートパイプ部の少なくとも一部を収容する第2溝部を備える、上記[1]~[4]のいずれか1つに記載のヒートシンク。
[6] 前記第1伝熱板材の前記一端部に対向する、前記第1伝熱板材の他端部および前記第1放熱フィン部の他端部は、それぞれ、前記第2伝熱板材の前記一端部に対向する他端部側から前記裏面部分側までの間に位置する、上記[1]~[5]のいずれか1つに記載のヒートシンク。
[7] 前記第2伝熱板材は、前記外面に、前記第1受熱面で受熱する熱量よりも小さい熱を受熱する1つ以上の第2受熱面をさらに有する、上記[1]~[6]のいずれか1つに記載のヒートシンク。
[8] 前記第2伝熱板材の前記ヒートパイプ部よりも前記他端部側の内面に設けられ、複数のフィンを有する、前記第1放熱フィン部より小さい第2放熱フィン部をさらに備える、上記[6]または[7]に記載のヒートシンク。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、構成を小規模化しつつ、高い冷却性能を維持することができるヒートシンクを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、第1実施形態のヒートシンクの一例を示す上面斜視図である。
図2図2は、図1のヒートシンクの一例を示す下面斜視図である。
図3図3は、図1のヒートシンクから第1放熱フィン部を除いた構成を示す斜視図である。
図4図4は、図1のヒートシンクから第1放熱フィン部および第1伝熱板材を除いた構成を示す斜視図である。
図5図5は、第1実施形態のヒートシンクの他の例から第1放熱フィン部および第1伝熱板材を除いた構成を示す斜視図である。
図6図6は、第1実施形態のヒートシンクの他の例を構成する第1伝熱板材の一例を示す斜視図である。
図7図7は、第1実施形態のヒートシンクの他の例を構成する第2伝熱板材の一例を示す斜視図である。
図8図8は、第1実施形態のヒートシンクの他の例を示す下面斜視図である。
図9図9は、第1実施形態のヒートシンクの他の例から第1放熱フィン部および第1伝熱板材を除いた構成を示す斜視図である。
図10図10は、第2実施形態のヒートシンクの一例を示す上面斜視図である。
図11図11は、図10のヒートシンクから第1放熱フィン部および第1伝熱板材を除いた構成を示す斜視図である。
図12図12は、第3実施形態のヒートシンクの一例を示す上面斜視図である。
図13図13は、第3実施形態のヒートシンクの他の例を示す上面斜視図である。
図14図14は、第3実施形態のヒートシンクの他の例を示す上面斜視図である。
図15図15は、比較例1のヒートシンクを示す上面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態に基づき詳細に説明する。
【0014】
本研究者は、鋭意研究を重ねた結果、ヒートシンクを構成するヒートパイプ部の構成に着目することで、構成の小規模化および高い冷却性能の維持を図った。
【0015】
実施形態のヒートシンクは、第1伝熱板材と、内面が第1伝熱板材の内面に対向し、受熱する第1受熱面を外面に有する第2伝熱板材と、第1伝熱板材の外面に設けられ、複数のフィンを有する第1放熱フィン部と、第1伝熱板材の内面および第2伝熱板材の内面の間に配置され、第1伝熱板材の内面と接する第1主面および第2伝熱板材の内面と接する第2主面を有し、第2伝熱板材の内面に位置する第1受熱面の裏面部分から第1伝熱板材と第2伝熱板材の一端部側に延在しているヒートパイプ部とを備える。
【0016】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態のヒートシンクの一例を示す上面斜視図である。図2は、図1のヒートシンクの一例を示す下面斜視図である。図3は、図1のヒートシンクから第1放熱フィン部を除いた構成を示す斜視図である。図4は、図1のヒートシンクから第1放熱フィン部および第1伝熱板材を除いた構成を示す斜視図である。
【0017】
図1~4に示すように、第1実施形態のヒートシンク1は、第1伝熱板材10と、第1伝熱板材10に対向配置される第2伝熱板材20と、第1伝熱板材10の外面10bに設けられる第1放熱フィン部30と、第1伝熱板材10の内面10aおよび第2伝熱板材20の内面20aの間に配置されるヒートパイプ部40とを備える。
【0018】
第1伝熱板材10の一方の主面である内面10aは、ヒートパイプ部40側を向く面である。第1伝熱板材10の他方の主面である外面10bは、内面10aと反対側の面である裏面であり、第1放熱フィン部30を支持する。第1伝熱板材10は、例えば熱伝導性の高い金属から構成される。
【0019】
第2伝熱板材20の一方の主面である内面20aは、第1伝熱板材10の内面10aに対向する。例えば、第2伝熱板材20の内面20aの大きさは、第1伝熱板材10の内面10aと同じである。第2伝熱板材20は、第1伝熱板材10と同様に、熱伝導性の高い金属などから構成される。第2伝熱板材20の他方の主面である外面20bは、受熱する第1受熱面21を有する。
【0020】
ヒートシンク1の第1受熱面21は、電子機器に搭載されている第1被冷却部材50と接する部分である。第2伝熱板材20は、第1被冷却部材50の熱を第1受熱面21から受熱する。
【0021】
第1被冷却部材50は、ヒートシンク1で冷却する発熱部材である。例えば、第1被冷却部材50は、IC(集積回路)、ECU(エンジンコントロールユニット)などである。
【0022】
ここでは、図2に示すように、第1被冷却部材50は、第2伝熱板材20の外面20bに設けられる凹部22内に収容される。凹部22の底部が第1受熱面21である。凹部22内の第1被冷却部材50は、凹部22の底部である第1受熱面21と接する。第1被冷却部材50で発生した熱は、第1受熱面21を介して、第2伝熱板材20に伝達される。第1被冷却部材50を収容している凹部22には、半田などの接合材が充填されてもよい。
【0023】
第1被冷却部材50の熱は、第1受熱面21から第2伝熱板材20に伝わった後、ヒートパイプ部40や第1放熱フィン部30に伝わる。このように、第1被冷却部材50の熱は、第2伝熱板材20を介して、ヒートパイプ部40や第1放熱フィン部30に伝わる。
【0024】
第1伝熱板材10の外面10b上に設けられる第1放熱フィン部30は、複数のフィン31を有する。例えば、第1放熱フィン部30は、図1に示すように、第1伝熱板材10の外面10bの全面に設けられる。複数のフィン31は、薄板状であり、所定のフィンピッチを空けて離間配置される。第1放熱フィン部30は、第1伝熱部材10と接した状態で接合している。例えば、第1放熱フィン部30は、押し出し材のように第1伝熱板材10と一体成形されてもよく、第1伝熱板材10の外面10bに接合されてもよい。
【0025】
ヒートシンク1の第1放熱フィン部30には、ヒートシンク1を冷却するための冷却用の風が流れる。例えば、不図示の吸込みファンによって、ヒートシンク1の外部からヒートシンク1に風を導入してもよいし、吐出しファンによって、ヒートシンク1から外部に風を排出してもよい。
【0026】
第1伝熱板材10から第1放熱フィン部30に伝わる熱は、第1放熱フィン部30から放熱される。第1放熱フィン部30から放熱された熱は、第1放熱フィン部30を構成する複数のフィン31の間を一定方向に流れる風によってヒートシンク1の外部に排出される。一定方向とは、ヒートシンク1の風導入側Wから風排出側Wの方向である。
【0027】
第1放熱フィン部30を構成する複数のフィン31は、ヒートシンク1の風導入側Wから風排出側Wに向かって延在することが好ましい。例えば、図1では、第1放熱フィン部30には、ヒートシンク1の一端部側である風導入側Wからヒートシンク1の他端部側である風排出側W、具体的には図1の左側から右側に向かって、風が流れる。一端部側である風導入側Wから第1放熱フィン部30に導入された風は、複数のフィン31の間を効率的に流れ、他端部側である風排出側Wからヒートシンク1の外部に排出される。第1放熱フィン部30内を流れる風の圧力損失が抑制されるため、ヒートシンク1の冷却性能が向上する。
【0028】
第1伝熱板材10および第2伝熱板材20の間に設けられるヒートパイプ部40は、第1伝熱板材10の内面10aと接する第1主面40aを有する。また、ヒートパイプ部40は、第2伝熱板材20の内面20aと接する第2主面40bを有する。
【0029】
第1伝熱板材10と第2伝熱板材20とに挟まれているヒートパイプ部40は、第2伝熱板材20の内面20aに位置する、第1受熱面21の裏面部分23から、第1伝熱板材10と第2伝熱板材20の一端部10W、20W側に延在している。
【0030】
裏面部分23は、第2伝熱板材20の外面20bに設けられる第1受熱面21の裏面側に位置する部分である。すなわち、裏面部分23の位置は、第2伝熱板材20を介して、第1受熱面21の位置に対応している。また、第1伝熱板材10と第2伝熱板材20の一端部10W、20Wは、ヒートシンク1における同じ端部を意味する。
【0031】
上記のように、ヒートパイプ部40は、内面20aの裏面部分23から、第1伝熱板材10と第2伝熱板材20の一端部10W、20W側、すなわちヒートシンク1の一端部側に向かって延在する。ここでは、ヒートパイプ部40は、裏面部分23から、第1伝熱板材10と第2伝熱板材20の一端部10W、20Wまで延在する。この場合、ヒートパイプ部40の一端部40Wは、第1伝熱板材10と第2伝熱板材20の一端部10W、20W上に配置され、ヒートパイプ部40の他端部40Wは、裏面部分23上に配置される。
【0032】
また、裏面部分23から一端部10W、20W側に延在しているヒートパイプ部40について、ヒートパイプ部40の一端部40Wは、一端部10W、20W上ではなく、裏面部分23から一端部10W、20Wまでの間に配置されてもよい。
【0033】
裏面部分23から延在するヒートパイプ部40は、第1伝熱板材10と第2伝熱板材20の一端部10W、20W側のみに配置され、裏面部分23よりも第1伝熱板材10と第2伝熱板材20の他端部10W、20W側には延在しない。ヒートパイプ部40の他端部40Wは、裏面部分23よりも第1伝熱板材10と第2伝熱板材20の他端部10W、20W側には配置されない。
【0034】
ヒートパイプ部40は、第2伝熱板材20の内面20aにおいて、裏面部分23を含む第2伝熱板材20の一端部20W側に配置され、従来のヒートシンクのように、第2伝熱板材20の内面20aの全面には配置されない。
【0035】
ヒートパイプ部40の他端部40W側の端部分は、第2伝熱板材20の内面20aの裏面部分23と接する。第1受熱面21で第1被冷却部材50から第2伝熱板材20に伝わった多くの熱は、裏面部分23からヒートパイプ部40に伝達される。裏面部分23は、ヒートパイプ部40に対する放熱面として作用する。
【0036】
ヒートパイプ部40および第1伝熱板材10の接触面積、ならびにヒートパイプ部40および第2伝熱板材20の接触面積を増やすため、ヒートパイプ部40は扁平筒型や平板型が好ましい。上記の接触面積が増加すると、伝熱効率が増加するため、ヒートシンク1の冷却性能が向上する。
【0037】
ヒートパイプ部40は、少なくとも1つ以上のヒートパイプ41を有する。ここでは、図1~4に示すように、扁平筒形状を有する4つのヒートパイプ41(41a、41b、41c、41d)が設けられる。
【0038】
ヒートパイプ部40の内部には、作動流体の流路となる不図示の空間と共に、空間内に収容される不図示の作動流体が設けられる。ヒートパイプ部40の受熱側、すなわちヒートパイプ部40の裏面部分23と接する部分では、放熱面である裏面部分23から伝わる熱によって、作動流体が蒸発し、蒸発した作動流体の蒸気がヒートパイプ部40の放熱側である一端部40Wに移動する。第1伝熱板材10と第2伝熱板材20の一端部10W、20W側に位置するヒートパイプ部40の一端部40Wでは、作動流体の蒸気が冷却されて再び液相状態に戻る。液相状態に戻った作動流体は、ヒートパイプ部40の受熱側である他端部40Wに再び移動する。このような作動流体の蒸発および凝縮による液相-気相間の相転移や、作動流体の循環によって、ヒートパイプ部40の熱の移動が行われる。
【0039】
ヒートシンク1は、主に以下の冷却経路によって第1被冷却部材50を冷却する。
【0040】
まず、第1被冷却部材50で発生した熱は、第1受熱面21から第2伝熱板材20に伝達される。第1被冷却部材50から第2伝熱板材20に伝達した熱は、優先的に裏面部分23からヒートパイプ部40に伝達される。第2伝熱板材20からヒートパイプ部40に伝達した熱の一部は、ヒートパイプ部40内の作動流体によって冷却される。第2伝熱板材20からヒートパイプ部40に伝達した熱の残部は、第1伝熱板材10に伝達される。第1伝熱板材10に伝達した熱は、第1放熱フィン部30に伝達されて、第1放熱フィン部30から放熱される。第1放熱フィン部30から放熱された熱は、第1放熱フィン部30を流れる風によって、ヒートシンク1の外部に排出される。こうして、ヒートシンク1は、第1被冷却部材50の高温化を抑制できる。
【0041】
従来のヒートシンクでは、裏面部分23上に設けられているヒートパイプ部が第2伝熱板材20の他端部20W側にも延在している。一方、第1実施形態のヒートシンク1では、裏面部分23上に設けられているヒートパイプ部40は、第1伝熱板材10と第2伝熱板材20の他端部10W、20W側には設けられない。このように、従来よりもヒートパイプ部40の設置面積を減少するため、ヒートシンク1の構成を小規模化できる。そして、ヒートシンク1の製造コストが削減できると共に、ヒートシンク1の製造が容易になる。また、ヒートシンク1は、ヒートパイプ部40の一部を裏面部分23から第1伝熱板材10と第2伝熱板材20の他端部10W、20W側に延在しなくても、ヒートシンク1を構成する部材間で効率的に熱が伝達され、ヒートパイプ部40での冷却および第1放熱フィン部30での放熱が良好に行われる。そのため、ヒートシンク1は、従来のヒートシンクの冷却性能を維持できる。
【0042】
また、裏面部分23上に配置されるヒートパイプ部40の他端部40Wは、裏面部分23の一端部23Wよりも第2伝熱板材20の他端部20W側に位置することが好ましく、図4に示すように裏面部分23の他端部23Wと同じ位置であることがより好ましい。裏面部分23の一端部23Wは、第2伝熱板材20の一端部20W側の端部であり、裏面部分23の他端部23Wは、第2伝熱板材20の他端部20W側の端部である。ヒートパイプ部40の他端部40Wの位置が上記構成であると、ヒートパイプ部40と裏面部分23との接触面積が増加し、放熱面である裏面部分23からヒートパイプ部40に伝達される熱が増加する。そのため、ヒートシンク1の冷却性能が向上する。
【0043】
また、ヒートパイプ部40が複数のヒートパイプ41を有する場合、図4に示すように、各ヒートパイプ41の湾曲部42の数が異なることが好ましい。図4では、ヒートパイプ41aの湾曲部42が2つ、ヒートパイプ41bの湾曲部42が1つ、ヒートパイプ41cの湾曲部42が1つ、ヒートパイプ41dの湾曲部42が2つであり、各ヒートパイプの湾曲部42の数は異なる。各ヒートパイプ41の湾曲部42の数が異なると、ヒートパイプ部40の冷却効率を高めるように各ヒートパイプ41を配置できる。そのため、ヒートシンク1の冷却性能が向上する。
【0044】
また、ヒートパイプ部40が複数のヒートパイプ41を有する場合、図4に示すように、ヒートパイプ41の湾曲部42の湾曲方向が異なることが好ましい。図4では、ヒートパイプ41aの湾曲部42およびヒートパイプ41bの湾曲部42の湾曲方向が互いに異なり、ヒートパイプ41cの湾曲部42およびヒートパイプ41dの湾曲部42の湾曲方向が互いに異なる。ヒートパイプ41の湾曲部42の湾曲方向が異なると、ヒートパイプ部40の冷却効率を高めるように各ヒートパイプ41を配置できる。そのため、ヒートシンク1の冷却性能が向上する。
【0045】
また、封止部43がヒートパイプ部40の他端部40W側に形成される場合、図5に示すように、封止部43の全体は、裏面部分23の他端部23Wよりも第2伝熱板材20の他端部20W側に設けられることが好ましい。封止部43は、ヒートパイプ部40と第2伝熱板材20との溶接などで形成される。封止部43の内部には、ヒートパイプ部40の作動流体が循環していないので、封止部43は、ヒートパイプ部40の冷却機能を有さない。
【0046】
このような構成では、封止部43は、第2伝熱板材20の裏面部分23上には配置されず、裏面部分23と接していない。ヒートパイプ部40および封止部43が裏面部分23に接する場合に比べて、裏面部分23とヒートパイプ部40との接触面積が増えるので、裏面部分23からヒートパイプ部40への熱の伝達は向上する。そのため、ヒートシンク1の冷却性能が向上する。
【0047】
また、図6に示すように、第1伝熱板材10は、内面10aに、ヒートパイプ部40の少なくとも一部を収容する第1溝部10cを備えることが好ましい。第1伝熱板材10の内面10aに設けられる第1溝部10cには、ヒートパイプ部40の第1主面40a側の部分、より好ましくはヒートパイプ部40の全てが収容される。また、ヒートパイプ部40を収容した第1溝部10cには、接合材が充填されてもよい。第1伝熱板材10の第1溝部10cの形状は、ヒートパイプ部40の形状に応じて適宜設定される。ヒートパイプ部40が第1溝部10cに収容されると、ヒートシンク1の厚みが減少するため、ヒートシンク1を小型化できる。さらには、ヒートシンク1の剛性が増加する。
【0048】
また、図7に示すように、第2伝熱板材20は、内面20aに、ヒートパイプ部40の少なくとも一部を収容する第2溝部20cを備えることが好ましい。第2伝熱板材20の内面20aに設けられる第2溝部20cには、ヒートパイプ部40の第2主面40b側の部分、より好ましくはヒートパイプ部40の全てが収容される。また、ヒートパイプ部40を収容した第2溝部20cには、接合材が充填されてもよい。第2伝熱板材20の第2溝部20cの形状は、ヒートパイプ部40の形状に応じて適宜設定される。ヒートパイプ部40が第2溝部20cに収容されると、ヒートシンク1の厚みが減少するため、ヒートシンク1を小型化できる。さらには、ヒートシンク1の剛性が増加する。
【0049】
また、第1伝熱板材10の第1溝部10cがヒートパイプ部40の第1主面40a側の部分のみを収容する場合や、第2伝熱板材20の第2溝部20cがヒートパイプ部40の第2主面40b側の部分のみを収容する場合、上記のヒートシンク1の小型化および剛性の観点から、ヒートシンク1は第1溝部10cおよび第2溝部20cを有することがより好ましい。
【0050】
また、図8に示すように、第2伝熱板材20は、外面20bに、第1受熱面21で受熱する熱量よりも小さい熱を受熱する1つ以上の第2受熱面24をさらに有することが好ましい。ヒートシンク1の第2受熱面24は、電子機器に搭載されている1つ以上の第2被冷却部材51と接する部分である。第1被冷却部材50の発熱量に比べて、第2被冷却部材51の発熱量は小さい。ここでは、第2伝熱板材20は図2に示すような凹部22を具備せずに、第1被冷却部材50および第2被冷却部材51は第2伝熱板材20の外面20bに設けられる。第2伝熱板材20は、第1被冷却部材50の熱を第1受熱面21から受熱することに加えて、各第2被冷却部材51の熱を第2受熱面24から受熱する。
【0051】
電子機器には、第1被冷却部材50に加えて、第1被冷却部材50よりも発熱量の小さい第2被冷却部材51が搭載されることが多い。第2被冷却部材51が複数である場合、各第2被冷却部材51の種類は、同じでもよいし、異なってもよい。第2伝熱板材20が第2受熱面24を有すると、第1被冷却部材50に加えて、第2被冷却部材51の熱についても、第2伝熱板材20に伝達される。ヒートシンク1は、第1被冷却部材50および第2被冷却部材51を搭載する電子機器の高温化をさらに抑制できる。
【0052】
また、図9に示すように、ヒートパイプ41は平板型であることが好ましい。ヒートパイプ41が平板型であると、ヒートパイプ部40と第1伝熱板材10との接触面積およびヒートパイプ部40と第2伝熱板材20との接触面積が増加するので、熱の伝達がさらに向上する。そのため、ヒートシンク1の冷却性能がさらに向上する。
【0053】
上記したように、第1実施形態のヒートシンク1によれば、ヒートシンクを構成するヒートパイプ部40の一部を放熱面である裏面部分23よりも第1伝熱板材10と第2伝熱板材20の他端部10W、20W側に設けなくても、高い冷却性能を維持することができる。また、従来よりもヒートパイプ部40の設置面積を減少するため、ヒートシンク1の構成を小規模化できると共に、ヒートシンク1の製造コストを削減することができる。
【0054】
なお、上記では、図2に示すように、第1被冷却部材50が凹部22内に収容される例について示したが、ヒートシンク1は凹部22を備えずに、第1被冷却部材50が第2伝熱板材20の外面20bに設けられてもよい。
【0055】
(第2実施形態)
図10は、第2実施形態のヒートシンクの一例を示す概略図である。図11は、図10のヒートシンクから第1放熱フィン部および第1伝熱板材を除いた構成を示す斜視図である。
【0056】
なお、以下に示す実施形態では、第1実施形態のヒートシンクと同一の構成部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略または簡略する。
【0057】
第2実施形態のヒートシンク2において、伝熱ブロック60の構成が追加されること以外は、第1実施形態のヒートシンク1の構成と基本的に同じである。そのため、ここでは、その異なる構成について主に説明する。
【0058】
図10~11に示すように、ヒートシンク2は、第1伝熱板材10の内面10aおよび第2伝熱板材20の内面20aの間に設けられ、第1伝熱板材10の内面10aと、第2伝熱板材20の内面と、ヒートパイプ部40の第1主面40aおよび第2主面40bを連結する側面40cとに、それぞれ接する少なくとも1つ以上の伝熱ブロック60をさらに備える。
【0059】
伝熱ブロック60の第1主面60aは、第1伝熱板材10の内面10aと接する。伝熱ブロック60の第2主面60bは、第2伝熱板材20の内面20aと接する。伝熱ブロック60の側面60cは、ヒートパイプ部40の側面40cと接する。伝熱ブロック60の第2主面60bは、第1主面60aと反対側の面である裏面である。伝熱ブロック60の側面60cは、第1主面60aおよび第2主面60bを連結する面である。伝熱ブロック60は、例えば第1伝熱板材10や第2伝熱板材20と同様の材料から構成される。
【0060】
伝熱ブロック60は、裏面部分23に対して、第2伝熱板材20の一端部20Wから他端部20Wに向かう方向に対し垂直な方向に隣接している。ここでは、2つの伝熱ブロック60は、それぞれ、一端部20Wから他端部20Wに向かう方向に対して垂直な方向に、裏面部分23を介して対向して配置される。裏面部分23は、2つの伝熱ブロック60の間に配置される。
【0061】
一端部20Wから他端部20Wに向かう方向に対して、垂直な方向に沿って裏面部分23に隣接する伝熱ブロック60では、主に、裏面部分23側を向く側面60cが、裏面部分23上に位置するヒートパイプ部40の他端部40W側の端部分の側面40cと接する。さらに、ヒートパイプ部40の形状によっては、伝熱ブロック60の一端部20W側の側面60cが、裏面部分23以外に位置するヒートパイプ部40の部分の他端部20W側を向く側面40cと接することもある。
【0062】
裏面部分23からヒートパイプ部40に伝達した熱は、伝熱ブロック60および第1伝熱板材10に伝達されると共に、ヒートパイプ部40内の作動流体によって冷却される。このように、第1被冷却部材50から第2伝熱板材20に伝達した熱は、ヒートシンク2内を効率的に伝達する。そのため、ヒートシンク2の冷却性能はさらに向上する。
【0063】
上記したように、第2実施形態のヒートシンク2によれば、伝熱ブロック60によって、ヒートパイプ部40からの熱を伝熱ブロック60および第1伝熱板材10に効率的に伝達できる。そのため、ヒートシンク2の冷却性能はさらに向上する。
【0064】
(第3実施形態)
図12は、第3実施形態のヒートシンクの一例を示す上面斜視図である。図13は、第3実施形態のヒートシンクの他の例を示す上面斜視図である。
【0065】
第3実施形態のヒートシンク3において、第1伝熱板材10および第1放熱フィン部30の構成が異なること以外は、第1実施形態のヒートシンク1の構成と基本的に同じである。そのため、ここでは、その異なる構成について主に説明する。
【0066】
図12に示すように、第1伝熱板材10の一端部40Wに対向する、第1伝熱板材10の他端部10Wおよび第1放熱フィン部30の他端部30Wは、それぞれ、第2伝熱板材20の一端部20Wに対向する他端部20W側から裏面部分23側までの間に位置する。すなわち、第3実施形態の第1伝熱板材10および第1放熱フィン部30は、上記第1実施形態および第2実施形態の第1伝熱板材10および第1放熱フィン部30に比べて、第1伝熱板材10の一端部10Wから他端部10Wに向かう方向の長さが短い。
【0067】
第1伝熱板材10および第1放熱フィン部30、特に第1放熱フィン部30の長さを短くすることで、第1放熱フィン部30を流れる風の圧力損失の低下が抑制され、第1放熱フィン部30を流れる風の流量が増加する。第1放熱フィン部30から風に伝達される熱の量は増加する。そのため、ヒートシンク3の冷却性能はさらに向上する。
【0068】
さらに、第1伝熱板材10および第1放熱フィン部30の長さが短縮化するため、ヒートシンク3の構成をさらに小規模化することができる。
【0069】
また、上記のヒートシンク3の冷却性能や小規模化などの観点から、図13に示すように、第1伝熱板材10の他端部10Wおよび第1放熱フィン部30の他端部30Wは、それぞれ、裏面部分23の他端部23Wと同じ位置であることがより好ましい。このような構成であると、第1放熱フィン部30を流れる風の圧力損失の低下がさらに抑制される。さらに、このような構成であると、ヒートシンク3において、第1伝熱板材10と第2伝熱板材20の一端部10W、20W側のみに第1放熱フィン部30およびヒートパイプ部40が配置される。第1伝熱板材10と第2伝熱板材20の一端部30W、40W側が風導入側である場合、風排出側よりも風導入側の風の温度が低いため、風はヒートシンク3を効率的に冷却できる。
【0070】
また、ヒートシンク3は、図14に示すように、第2伝熱板材20のヒートパイプ部40よりも他端部20W側の内面20aに設けられ、複数のフィン36を有する、第1放熱フィン部30より小さい第2放熱フィン部35をさらに備えることが好ましい。第1放熱フィン部30と同様に、第2放熱フィン部35を構成する複数のフィン36は、ヒートシンク1の風導入側Wから風排出側Wに向かって延在することが好ましい。第1放熱フィン部30を出た風は、第2放熱フィン部35に入る。
【0071】
第2放熱フィン部35が第2伝熱板材20の内面20aに設けられると、第2伝熱板材20の熱は、ヒートパイプ部40に加えて、第2放熱フィン部35にも伝達する。第2放熱フィン部35に伝達した熱は、第2放熱フィン部35から放熱される。第2放熱フィン部35から放熱された熱は、第1放熱フィン部30から第2放熱フィン部35に流れる風によって、ヒートシンク3の外部に排出される。そのため、ヒートシンク3の冷却性能はさらに向上する。また、フィン36のフィンピッチは、フィン31と同じでもよいが、第2放熱フィン部35の冷却性能と風の圧力損失とのバランスを考慮すると、フィン31よりも大きいことが好ましい。また、ヒートシンク3が上記の第2被冷却部材51と接する第2受熱面24を外面20bに有する場合、第2放熱フィン部35は、第2伝熱板材20の内面20aにおいて、外面20bの第2受熱面24の裏面部分に配置されることが好ましい。
【0072】
上記したように、第3実施形態のヒートシンク3によれば、第1伝熱板材10および第1放熱フィン部30の他端部10W側の部分を削除して、第1伝熱板材10および第1放熱フィン部30の長さを短縮化する。第1放熱フィン部30を流れる風の圧力損失を抑制できるため、ヒートシンク2の冷却性能はさらに向上する。さらに、ヒートシンク3の構成を小規模化できる。
【0073】
以上、実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の概念および特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含み、本開示の範囲内で種々に改変することができる。
【実施例
【0074】
次に、実施例および比較例について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0075】
(実施例1および比較例1)
実施例1として、上記の図1の構成を有するヒートシンク1を製造した。また、比較例1として、図15に示す構成を有するヒートシンク1aを製造した。比較例1のヒートシンク1aでは、裏面部分23の他端部23Wより第1伝熱板材10と第2伝熱板材20の他端部10W、20W側にもヒートパイプ部40を設けた。
【0076】
第1放熱フィン部30の構成について、フィンピッチを3mm、フィン31の肉厚を0.5mm、フィン31の長さを264mmとした。不図示の吸込みファンでヒートシンクの風導入側Wから第1放熱フィン部30に風を導入しながら、第1被冷却部材50を30分間稼動した。そして、稼働後の第1被冷却部材50の温度、および第1放熱フィン部30から排出された風の流量を測定した。
【0077】
実施例1では、稼働後の第1被冷却部材50の温度は102.6℃、風の流量は0.362m/分であった。一方、比較例1では、稼働後の第1被冷却部材50の温度は102.6℃、風の流量は0.365m/分であった。実施例1および比較例1では、フィン31の長さが同じであったので、風の流量はほぼ同様であった。さらに、実施例1では、裏面部分23の他端部23Wよりも第1伝熱板材10と第2伝熱板材20の他端部10W、20W側にはヒートパイプ部40を設けなかったが、ヒートシンク1を構成する部材間で効率的に熱が伝達された。そのため、実施例1のヒートシンク1は、比較例1のヒートシンク1aと同様の高い冷却性能を得た。
【0078】
(実施例2)
実施例2として、上記の図13の構成を有するヒートシンク3を製造した。実施例2では、第1伝熱板材10の他端部10Wおよび第1放熱フィン部30の他端部30Wと、裏面部分23の他端部23Wとを同じ位置にした。そして、上記実施例1と同様にして、稼働後の第1被冷却部材50の温度、および第1放熱フィン部30から排出された風の流量を測定した。
【0079】
実施例2では、稼働後の第1被冷却部材50の温度は101.8℃、風の流量は0.410m/分であった。実施例2では、裏面部分23の他端部23Wよりも第2伝熱板材20の他端部20W側には第1放熱フィン部30を設けなかったため、風の流量が実施例1および比較例1よりも増加した。その結果、実施例2のヒートシンク1は、実施例1および比較例1に比べて、高い冷却性能を得た。
【符号の説明】
【0080】
1、1a、2、3、3a ヒートシンク
10 第1伝熱板材
10a 第1伝熱板材の内面
10b 第1伝熱板材の外面
10c 第1溝部
10W 第1伝熱板材の一端部
10W 第1伝熱板材の他端部
20 第2伝熱板材
20a 第2伝熱板材の内面
20b 第2伝熱板材の外面
20c 第2溝部
20W 第2伝熱板材の一端部
20W 第2伝熱板材の他端部
21 第1受熱面
22 凹部
23 第1受熱面の裏面部分
23W 裏面部分の一端部
23W 裏面部分の他端部
24 第2受熱面
30 第1放熱フィン部
30W 第1放熱フィン部の一端部
30W 第1放熱フィン部の他端部
31 第1放熱フィン部のフィン
35 第2放熱フィン部
36 第2放熱フィン部のフィン
40 ヒートパイプ部
40a 第1主面
40b 第2主面
40c 側面
40W ヒートパイプ部の一端部
40W ヒートパイプ部の他端部
41、41a、41b、41c、41d ヒートパイプ
42 湾曲部
43 封止部
50 第1被冷却部材
51 第2被冷却部材
60 伝熱ブロック
60a 第1主面
60b 第2主面
60c 側面
風導入側
風排出側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15