(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】エネルギー線硬化型フィルム状透明接着剤、これを含むデバイス及び該デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
C09J 7/30 20180101AFI20240411BHJP
C09J 163/02 20060101ALI20240411BHJP
C09J 171/10 20060101ALI20240411BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20240411BHJP
C09J 11/04 20060101ALI20240411BHJP
C09J 5/00 20060101ALI20240411BHJP
H01L 23/29 20060101ALI20240411BHJP
H01L 23/31 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
C09J7/30
C09J163/02
C09J171/10
C09J11/06
C09J11/04
C09J5/00
H01L23/30 C
(21)【出願番号】P 2024505109
(86)(22)【出願日】2023-06-28
(86)【国際出願番号】 JP2023023974
【審査請求日】2024-01-26
(31)【優先権主張番号】P 2022105913
(32)【優先日】2022-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002631
【氏名又は名称】弁理士法人イイダアンドパートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100161469
【氏名又は名称】赤羽 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100141771
【氏名又は名称】星野 宏和
(74)【代理人】
【識別番号】100118809
【氏名又は名称】篠田 育男
(74)【代理人】
【識別番号】100164345
【氏名又は名称】後藤 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100198328
【氏名又は名称】田中 幸恵
(72)【発明者】
【氏名】坂井 小雪
(72)【発明者】
【氏名】徳久 憲司
【審査官】仁科 努
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 7/30
C09J 5/00
C09J 11/04
C09J 11/06
C09J 163/02
C09J 171/10
H01L 23/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水添ビスフェノール構造を有するエポキシ樹脂と、
ガラス転移温度が80~120℃であるフェノキシ樹脂と、アニオン部位にアンチモンを含む光カチオン重合開始剤とを含有する、エネルギー線硬化型フィルム状透明接着剤。
【請求項2】
前記エネルギー線硬化型フィルム状透明接着剤の硬化物のガラス転移温度が80℃以上である、請求項
1に記載のエネルギー線硬化型フィルム状透明接着剤。
【請求項3】
前記エネルギー線硬化型フィルム状透明接着剤の硬化物の平行光線透過率が80%以上である、請求項
2に記載のエネルギー線硬化型フィルム状透明接着剤。
【請求項4】
前記エネルギー線硬化型フィルム状透明接着剤の硬化物の常温における貯蔵弾性率が1.0GPa以上である、請求項
3に記載のエネルギー線硬化型フィルム状透明接着剤。
【請求項5】
シランカップリング剤を含む、請求項
1に記載のエネルギー線硬化型フィルム状透明接着剤。
【請求項6】
硬化遅延剤を含む、請求項
1に記載のエネルギー線硬化型フィルム状透明接着剤。
【請求項7】
充填材を含む、請求項
1に記載のエネルギー線硬化型フィルム状透明接着剤。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれか1項に記載のエネルギー線硬化型フィルム状透明接着剤を用いて構成部材が接着された構造を含むデバイス。
【請求項9】
請求項1~
7のいずれか1項に記載のエネルギー線硬化型フィルム状透明接着剤を用いて構成部材を接着することを含む、デバイスの製造方法。
【請求項10】
前記接着が、デバイスを構成する1つの構成部材の表面に、前記フィルム状接着剤を配し、当該フィルム状接着剤を挟んでデバイスを構成する別の構成部材を配し、当該フィルム状接着剤を硬化反応させる工程によりなされ、前記硬化反応が100~1500mJ/cm
2
の紫外線を照射することによりなされる、請求項9に記載のデバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー線硬化型フィルム状透明接着剤、これを含むデバイス及び該デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラなどの撮影機器には、CMOSイメージセンサ、CCDイメージセンサなどのイメージセンサ(撮像素子)が組み込まれている。イメージセンサは、入射した光をフォトダイオードで光電変換して電気信号に変換し、信号処理を経てデジタル画像が形成される。フォトダイオードの表面には、必要によりカラーフィルタ、マイクロレンズなどが配され、さらにその積層体表面には、通常、ガラス板などの透明保護フィルムが配される。このような透明保護フィルムは、フィルム状接着剤等を介して固定化される。イメージセンサの透明保護フィルムの接着・固定化に用いる接着剤には、光を十分に透過する透明性が求められる。
一方、画像表示装置では、支持基材上に、機能性素子(有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)素子、液晶パネル、マイクロ発光ダイオード(マイクロLED)、トランジスタなどの半導体素子など)などが配され、また、機能性素子の表面に機能層(保護層、ガスバリア層(封止層)、ハードコード層等)等が配される場合もある。これらの機能性素子及び機能層の接着・固定化に用いる接着剤にも十分な透明性が求められる場合がある。
フィルム状接着剤それ自体は種々の組成のものが知られており、イメージセンサや画像表示装置に限らず、電子機器やその部材の製造等において広く用いられている。例えば、半導体チップの製造工程では、フィルム状接着剤がダイアタッチフィルムとして用いられている。
特許文献1は、ガラス転移温度が110℃以上のフェノキシ樹脂と、多官能エポキシ樹脂と、光カチオン重合開始剤とを含有するシート状接着剤を開示し、その具体的な実施形態では、光カチオン重合開始剤として、4-(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェートなどが用いられている。このシート状接着剤は、高温条件下における形状安定性に優れるとされる。
特許文献2は、活性エネルギー線硬化性を有する接着剤であって、接着剤のCIE1976L*a*b*表色系により規定されるa*値およびb*値から算出されるX値を特定の範囲とし、硬化の前後における同表色系により規定される色差ΔE*
aを特定の範囲とした接着剤を開示している。この接着剤は、活性エネルギー線の照射に起因して色が消失する染料と、光開始剤を含有し、さらに、(メタ)アクリル酸エステル重合体、架橋剤、活性エネルギー線硬化性成分を含有する。この接着剤によれば、活性エネルギー線の照射による硬化を容易に確認できるとされる。
特許文献3は、光カチオン重合性化合物としてビスフェノール型エポキシ樹脂100質量部、これに対して光カチオン重合剤として特定のスルホニウムボレート塩を0.1~100質量部含有する有機エレクトロルミネッセンス素子封止剤を開示している。この封止材は、優れた光硬化性を示し、エレクトロルミネッセンス素子の封止に適するとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2020/196240号
【文献】特開2020-26491号
【文献】特許第4933751号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
機能性素子の中には耐熱性の低いものも多く、このような低耐熱性の素子を含むデバイスの製造には、素子のダメージを避けるため、加熱処理を経ずに製造する方法が採用される。このようなデバイスの製造には、接着剤として、常温ないしその近傍の低温域で硬化可能なエネルギー線硬化方式のフィルム状接着剤が用いられることが多い。しかし、フィルム状接着剤は、液状接着剤に比較して分子流動性が低いため、低温域では硬化成分の反応性に劣る傾向がある。
フィルム状接着剤を低温域で効率的に硬化させるためには、液状接着剤に比較してエネルギー線の照射量を多くする必要がある。例えば、特許文献1は、その具体的実施形態において、シート状接着剤の硬化のために2000mJ/cm2の紫外線(UV)照射と、さらに100℃の加熱とを行うことを開示している。また、特許文献2は、その具体的実施形態において、2000mJ/cm2の照射量により、粘着剤層の硬化がほぼ完了することを開示している。また、特許文献3は、その具体的実施形態において、封止材の硬化のために2000mJ/cm2のUV照射と、80℃での養生加熱とを行うことを開示している。一方で、エネルギー線の照射量が多くなると、熱を加えなくても、硬化反応に伴う副反応として発熱現象を生じ、結果的に機能性素子が高温にさらされる場合がある。この場合、接着剤自体の接着力の劣化による信頼性不良や、透明性の低下が生じるという問題が生じやすい。このため、少ないエネルギー線照射量で硬化可能な、高反応性であり、かつ高温下で接着力が低下しにくいフィルム状透明接着剤が望まれている。
また、デバイスによっては、使用中に、高温環境下に置かれたり、内部から生じる熱によりデバイス自体が高温となったりすることが考えられる(例えば、車載用のデバイスなど)ため、このような環境下におけるデバイスの信頼性を高める観点からも、高温下で接着力の低下しにくい接着剤が求められている。
一般的に、接着剤には、接着力を高めるために充填材を添加することが多い。充填材の添加により、接着剤の接着信頼性を向上させることができる。しかし、充填材の添加は接着剤の透明性を低下させるため、充填材を添加する場合には、上記信頼性向上と接着剤の透明性とはいわゆるトレードオフの関係性にある。充填材を入れずとも、高接着信頼性を実現可能なフィルム状透明接着剤が望まれている。
【0005】
本発明は、少ないエネルギー線照射量で硬化して十分な接着力を発揮でき、硬化後の透明性にも優れ、高温下で接着力が低下しにくい、エネルギー線硬化型フィルム状透明接着剤を提供することを課題とする。また、本発明は、上記エネルギー線硬化型フィルム状透明接着剤を含むデバイス、上記エネルギー線硬化型フィルム状透明接着剤を用いるデバイスの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記課題は下記の手段により解決される。
〔1〕
エポキシ樹脂と、フェノキシ樹脂と、アニオン部位にアンチモンを含む光カチオン重合開始剤とを含有する、エネルギー線硬化型フィルム状透明接着剤。
〔2〕
上記フェノキシ樹脂のガラス転移温度が80~120℃である、〔1〕に記載のエネルギー線硬化型フィルム状透明接着剤。
〔3〕
上記エネルギー線硬化型フィルム状透明接着剤の硬化物のガラス転移温度が80℃以上である、〔1〕又は〔2〕に記載のエネルギー線硬化型フィルム状透明接着剤。
〔4〕
上記エネルギー線硬化型フィルム状透明接着剤の硬化物の平行光線透過率が80%以上である、〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載のエネルギー線硬化型フィルム状透明接着剤。
〔5〕
上記エネルギー線硬化型フィルム状透明接着剤の硬化物の常温における貯蔵弾性率が1.0GPa以上である、〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載のエネルギー線硬化型フィルム状透明接着剤。
〔6〕
上記エポキシ樹脂が水添ビスフェノール構造もしくはビスフェノール構造を有する、〔1〕~〔5〕のいずれか1項に記載のエネルギー線硬化型フィルム状透明接着剤。
〔7〕
シランカップリング剤を含む、〔1〕~〔6〕のいずれか1項に記載のエネルギー線硬化型フィルム状透明接着剤。
〔8〕
硬化遅延剤を含む、〔1〕~〔7〕のいずれか1項に記載のエネルギー線硬化型フィルム状透明接着剤。
〔9〕
充填材を含む、〔1〕~〔8〕のいずれか1項に記載のエネルギー線硬化型フィルム状透明接着剤。
〔10〕
〔1〕~〔9〕のいずれか1項に記載のエネルギー線硬化型フィルム状透明接着剤を用いて構成部材が接着された構造を含むデバイス。
〔11〕
〔1〕~〔9〕のいずれか1項に記載のエネルギー線硬化型フィルム状透明接着剤を用いて構成部材を接着することを含む、デバイスの製造方法。
【0007】
本発明において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
【発明の効果】
【0008】
本発明のエネルギー線硬化型フィルム状透明接着剤は、少ないエネルギー線照射量で硬化して十分な接着力を発揮し、透明性が高く、高温下で接着力が低下しにくい。また、本発明のエネルギー線硬化型フィルム状透明接着剤は、耐熱性の低い素子に接着剤として適用しても素子へのダメージを抑えることができ、得られたデバイスの接着信頼性をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施例で調製した剥離フィルム付きフィルム状接着剤の構造を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[エネルギー線硬化型フィルム状透明接着剤]
本発明のエネルギー線硬化型フィルム状透明接着剤(以下、単に「本発明のフィルム状接着剤」とも称す。)は、エポキシ樹脂と、フェノキシ樹脂と、アニオン部位にアンチモンを含む光カチオン重合開始剤とを含有する。本発明のフィルム状接着剤は、硬化前の状態、すなわち、Bステージの状態にあり、エネルギー線照射により硬化して、被着体との接着力を発揮する。したがって、本発明のフィルム状接着剤は、硬化性組成物からなるフィルムである。本発明のフィルム状接着剤は、デバイスの構成部材の接着用途や封止用途に好適に用いることができる。デバイスとしては、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、有機ELデバイス、液晶パネルデバイス、マイクロLEDデバイス、スマートフォン、パソコン、テレビ等が挙げられる。本発明のフィルム状接着剤は、特に、高い透明性が要求される、光学製品の構成部材(例えば、有機ELデバイス、液晶パネル、マイクロLEDデバイス等の構成部材(例えばレンズ、透明保護フィルム、ガラス基板、後述の機能性素子及び機能層、これらの積層体等))等の接着用途や封止用途に好適である。
エネルギー線としては、紫外線(UV)のような光線、または電子線のような電離性放射線が挙げられる。エネルギー線は、紫外線であることが好ましい。
本発明のフィルム状接着剤は、熱重合開始剤を用いないものである。
【0011】
本発明のフィルム状接着剤に含まれる各成分について説明する。
【0012】
(エポキシ樹脂)
本発明のフィルム状接着剤は、少なくとも1種のエポキシ樹脂を含有する。
エポキシ樹脂は、エポキシ基を有する樹脂であればよく、接着剤に使用可能なエポキシ樹脂を広く用いることができる。エポキシ樹脂は、エポキシ基が他の成分の反応性基と反応したり、エポキシ基同士で開環重合したりして、樹脂組成物中に架橋構造を形成するものである。
本発明においてエポキシ樹脂とは、エポキシ当量が3000g/eq以下のものである。なお、本発明において、エポキシ当量とは、1グラム当量のエポキシ基を含む樹脂のグラム数(g/eq)をいう。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、100~3000g/eqであることが好ましく、180~1500g/eqがより好ましい。
エポキシ樹脂が脂環構造を有する場合には、エポキシ当量は大きいことが好ましい。例えば200g/eq以上とすることが好ましく、200~3000g/eqがより好ましく、200~1500g/eqがさらに好ましい。
逆に、エポキシ樹脂が脂環構造を有しない場合は、エポキシ当量はより小さくすることができる。例えば200g/eq未満とすることが好ましく、100~195g/eqがより好ましく、120~195g/eqがさらに好ましく、130~195g/eqがさらに好ましい。
本発明のフィルム状接着剤の硬化物の柔軟性を高める観点からは、脂環構造を有しエポキシ当量の小さいエポキシ樹脂(例えば、エポキシ当量500g/eq以下のエポキシ樹脂、好ましくはエポキシ当量300g/eq以下のエポキシ樹脂)と、脂環構造を有しエポキシ当量の大きいエポキシ樹脂(例えば、エポキシ当量600~1300g/eqのエポキシ樹脂、好ましくはエポキシ当量900~1300g/eqのエポキシ樹脂)とを併用してもよい。
【0013】
エポキシ樹脂の骨格としては、フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、クレゾールノボラック型、ジシクロペンタジエン型、ビフェニル型、フルオレンビスフェノール型、トリアジン型、ナフトール型、ナフタレンジオール型、トリフェニルメタン型、テトラフェニル型、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型、ビスフェノールS型、トリメチロールメタン型等が挙げられる。このうち、樹脂の結晶性が低く、良好な外観を有するフィルム状接着剤を得られるという観点から、トリフェニルメタン型、ビスフェノールA型、クレゾールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型が好ましい。これらは1種を単独で用いても、もしくは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記エポキシ樹脂は、ビスフェノール構造を有するエポキシ樹脂が好ましい。
また、上記エポキシ樹脂は、脂環構造を有するエポキシ樹脂であることが好ましく、水添(水素化)ビスフェノール型エポキシ樹脂(水添ビスフェノール構造を有するエポキシ樹脂)がさらに好ましく、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂がさらに好ましい。
本発明のフィルム状接着剤の硬化物の黄変を低減し、透明性を高める観点からは脂環構造を有するエポキシ樹脂を用いることが好ましく、水添ビスフェノール構造を有するエポキシ樹脂を用いることがより好ましい。
【0014】
エポキシ樹脂は、液状エポキシ樹脂でも、固形エポキシ樹脂でもよい。べたつきを抑え、ハンドリング性を高める観点からは、固形エポキシ樹脂を単独で用いるか、固形エポキシ樹脂と液状エポキシ樹脂とを併用することが好ましい。
【0015】
エポキシ樹脂の重量平均分子量は、100~3000が好ましく、200~1500がより好ましい。
重量平均分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatography)分析による値である。
【0016】
本発明のフィルム状接着剤の固形分(溶媒以外の成分)中、エポキシ樹脂の含有量は、10~80質量%が好ましく、25~80質量%がより好ましく、30~80質量%がさらに好ましく、40~75質量%がさらに好ましく、50~75質量%がさらに好ましく、60~70質量%が最も好ましい。
【0017】
(フェノキシ樹脂)
本発明のフィルム状接着剤は、少なくとも1種のフェノキシ樹脂を含有する。
フェノキシ樹脂は、フィルム状接着剤を形成した際に、常温(23℃)でのフィルムタック性を抑制し、造膜性(フィルム形成性)を付与する成分である。
なお、本発明においてフェノキシ樹脂とは、エポキシ当量(1当量のエポキシ基あたりの樹脂の質量)が3000g/eqを越えるものである。つまり、フェノキシ樹脂の構造を有していても、エポキシ当量が3000g/eq以下である樹脂はエポキシ樹脂に分類される。
【0018】
フェノキシ樹脂は常法により得ることができる。例えば、ビスフェノールもしくはビフェノール化合物とエピクロルヒドリンのようなエピハロヒドリンとの反応、液状エポキシ樹脂とビスフェノールもしくはビフェノール化合物との反応で得ることができる。
【0019】
上記フェノキシ樹脂のガラス転移温度(Tg)は、160℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましく、110℃未満がさらに好ましく、100℃以下がさらに好ましく、90℃以下が特に好ましい。フェノキシ樹脂のTgは0℃以上であることも好ましく、10℃以上であることも好ましく、20℃以上であることも好ましく、30℃以上としてもよく、40℃以上としてもよく、50℃以上としてもよく、60℃以上としてもよく、70℃以上としてもよく、80℃以上であることも好ましい。フェノキシ樹脂のTgは、0~160℃であることも好ましく、10~125℃であることも好ましく、30~120℃であることも好ましく、50~120℃であることも好ましく、70~120℃であることも好ましく、80~120℃であることも好ましく、80℃以上110℃未満であることも好ましく、80~100℃であることも好ましい。本発明のフィルム状接着剤の硬化物の常温(23℃)における貯蔵弾性率を高める観点からは、フェノキシ樹脂のTgは80℃以上であることが好ましい。本発明のフィルム状接着剤の硬化物の透明性をより高める観点からは、フェノキシ樹脂のTgは10~120℃であることが好ましく、80~120℃であることも好ましく、80℃以上110℃未満であることも好ましく、80~100℃であることも好ましい。
上記フェノキシ樹脂のTgは、動的粘弾性測定におけるtanδのピークトップ温度である。具体的には、次のようにTgを決定することができる。
フェノキシ樹脂を溶解してなる溶液を離型フィルム上に塗布し、加熱乾燥し、離型フィルム上にフェノキシ樹脂からなる膜(ポリマー膜)を形成する。このポリマー膜から離型フィルムを剥がして取り除き、このポリマー膜を、動的粘弾性測定装置(商品名:Rheogel-E4000F、ユービーエム社製)を用いて、測定温度範囲20~300℃、昇温速度5℃/min、及び周波数1Hzの条件下で測定する。得られたtanδピークトップ温度(tanδが極大を示す温度)をTgとする。
【0020】
上記フェノキシ樹脂としては、重量平均分子量は、通常、10000以上である。上限値に特に制限はないが、5000000以下が実際的である。
上記フェノキシ樹脂の重量平均分子量は、GPC〔ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography)〕によるポリスチレン換算で求める。
【0021】
フェノキシ樹脂の骨格に着目すると、本発明では、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂、ビフェニル骨格及びシクロヘキサン骨格含有フェノキシ樹脂、又はビスフェノールF+1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル型フェノキシ樹脂を好ましく用いることができる。
【0022】
本発明のフィルム状接着剤中、上記フェノキシ樹脂の含有量は、例えば、上記エポキシ樹脂100質量部に対して30~500質量部とすることができ、30~400質量部としてもよく、30~300質量部としてもよく、40~250質量部としてもよく、40~120質量部としてもよく、40~80質量部とすることも好ましい。
【0023】
(光カチオン重合開始剤)
本発明のフィルム状接着剤は、アニオン部位にアンチモンを含む光カチオン重合開始剤を含有する(以下、単に「光カチオン重合開始剤」とも称す)。「アニオン部位にアンチモンを含む」とはアニオン部位にアンチモン原子を含むアニオンを有することを意味する。
光カチオン重合開始剤は、上記アニオン部位とカチオン部位とを有するオニウム塩であることが好ましく、芳香族オニウム塩であることがより好ましい。
光カチオン重合開始剤のアニオン部位は、アンチモン原子を含むアニオンであればよく、SbF4
-及びSbF6
-が好ましく、SbF6
-がより好ましい。
光カチオン重合開始剤のカチオン部位は特に限定されず、スルホニウム化合物イオン、ヨードニウム化合物イオン、アンモニウム化合物イオン、ホスホニウム化合物イオン、ピリジニウム化合物イオン等が好ましく、スルホニウム化合物イオン、ヨードニウム化合物イオンがより好ましい。
カチオン部位は、光カチオン重合開始剤として機能する構造であれば特に制限されない。光吸収性の観点からは、芳香族基を有することが好ましい。芳香族基としては、アリール基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
光カチオン重合開始剤は、カチオン部位の種類によって分類すると、スルホニウム塩系化合物、ヨードニウム塩系化合物、アンモニウム塩系化合物、ホスホニウム塩系化合物、ピリジニウム塩系化合物ということもできる。これらは1種を単独で用いても、もしくは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
光カチオン重合開始剤は、UVカチオン重合開始剤であることが好ましい。
【0024】
本発明のフィルム状接着剤中、上記光カチオン重合開始剤の含有量は、上記エポキシ樹脂100質量部に対して0.5~30質量部とすることができ、1~20質量部としてもよく、1~15質量部としてもよく、2~10質量部とすることも好ましく、2~8質量部とすることも好ましい。
【0025】
(添加剤)
本発明のフィルム状接着剤は、添加剤としてシランカップリング剤を含んでもよい。シランカップリング剤を用いることにより被着体との密着性をより高めることができ、その結果、接着信頼性を向上させることができる。
シランカップリング剤は、ケイ素原子にアルコキシ基、アリールオキシ基のような加水分解性基が少なくとも1つ結合したものであり、これに加えて、アルキル基、アルケニル基、アリール基が結合してもよい。アルキル基は、アミノ基、アルコキシ基、エポキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基が置換したものが好ましく、アミノ基(好ましくはフェニルアミノ基)、アルコキシ基(好ましくはグリシジルオキシ基)、(メタ)アクリロイルオキシ基が置換したものがより好ましい。
シランカップリング剤は、例えば、2-(3,4-エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0026】
本発明のフィルム状接着剤がシランカップリング剤を含む場合、シランカップリング剤の含有量は、上記エポキシ樹脂100質量部に対して0.1~20質量部とすることができ、0.5~10質量部としてもよく、1~7質量部としてもよく、1~5質量部とすることも好ましく、1~3質量部とすることも好ましい。
【0027】
本発明のフィルム状接着剤は、添加剤として硬化遅延剤を含んでもよい。遅延硬化剤を用いることで、被着体との密着性が向上し、接着力が向上する。
硬化遅延剤としては、接着剤において通常使用されているものを使用できる。硬化遅延剤としては、ポリエーテル化合物等が挙げられる。上記ポリエーテル化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、カリックスアレーン、クラウンエーテル化合物等が挙げられる。なかでも、クラウンエーテル化合物が好適である。クラウンエーテルとしては、18-クラウン-6-エーテル、15-クラウン-5-エーテル等が挙げられる。
【0028】
本発明のフィルム状接着剤が硬化遅延剤を含む場合、硬化遅延剤の含有量は、上記エポキシ樹脂100質量部に対して0.01~20質量部とすることができ、0.1~10質量部としてもよく、0.1~8質量部としてもよく、0.1~5質量部とすることも好ましく、0.1~3質量部とすることも好ましい。
【0029】
本発明のフィルム状接着剤は充填材を含んでもよい。すなわち、本発明のフィルム状接着剤は、充填材を含む形態とでき、充填材を含まない形態ともできる。ただし、本発明のフィルム状接着剤は、充填材を含有せずとも好適な接着力を示す。
充填材は無機充填材が好ましい。無機充填材としては、例えば、シリカ、クレー、石膏、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ(酸化アルミニウム)、酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素等のセラミック類、アルミニウム、銅、銀、金、ニッケル、クロム、鉛、錫、亜鉛、パラジウム、半田等の金属、又は合金類、カーボンナノチューブ、グラフェン等のカーボン類等の種々の無機粉末が挙げられる。
無機充填材は、表面処理や表面改質されていてもよく、このような表面処理や表面改質に使用される剤としては、シランカップリング剤、リン酸もしくはリン酸化合物、界面活性剤等が挙げられる。
無機充填材の形状は、フレーク状、針状、フィラメント状、球状、鱗片状のものが挙げられるが、高充填化及び流動性の観点から球状粒子が好ましい。
【0030】
本発明のフィルム状接着剤が充填材を含む場合、上記フィルム状接着剤中の充填材の含有量は、フィルム状接着剤の固形分中、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、50質量%以下とすることも好ましく、40質量%以下とすることも好ましい。本発明のフィルム状接着剤が充填材を含む場合、上記フィルム状接着剤中の充填材の含有量は1質量%以上とすることができ、2質量%以上としてもよく、4質量%以上とすることも好ましい。本発明のフィルム状接着剤が充填材を含む場合、上記フィルム状接着剤中の充填材の含有量は、フィルム状接着剤の固形分中、71~70質量%とすることができ、2~60質量%とすることもでき、4~50質量%とすることもでき、4~40質量%とすることもでき、10~30質量%とすることも好ましい。
【0031】
本発明のフィルム状接着剤は、有機溶媒、イオントラップ剤(イオン捕捉剤)、硬化触媒、粘度調整剤、酸化防止剤、難燃剤、着色剤等をさらに含有していてもよい。例えば、国際公開第2017/158994号のその他の添加物を含むことができる。
【0032】
本発明のフィルム状接着剤中に占める、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、及び光カチオン重合開始剤の各含有量の合計の割合は、例えば、30質量%以上とすることができ、40質量%以上が好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。当該割合は60質量%以上でもよく、70質量%以上でもよく、80質量%以上でもよく、90質量%以上でもよい。
【0033】
ここで、本発明において「フィルム」とは、厚み200μm以下の薄膜を意味する。形状、大きさ等は、特に制限されず、使用態様にあわせて適宜調整することができる。
本発明のフィルム状接着剤及びこのフィルム状接着剤を硬化してなる硬化物の厚みはいずれも、通常は1~100μmであり、2~80μmが好ましく、5~50μmであることも好ましい。厚みは、接触・リニアゲージ方式(卓上型接触式厚み計測装置)により測定することができる。
【0034】
本発明のフィルム状接着剤の硬化物は、ガラス転移温度(Tg)が64℃以上であることが好ましく、80℃以上であることがより好ましい。上記フィルム状接着剤の硬化物のTgは、動的粘弾性測定におけるtanδのピークトップ温度である。具体的には、次のようにTgを決定することができる。
フィルム状接着剤を、ラミネーターを用いて70℃で厚さ0.3mmとなるまで積層し、上記水銀ランプを用いて、23℃で500mJ/cm2の照射条件で紫外線照射して硬化反応させる。得られた硬化サンプルを5mm幅に切り出し、測定サンプルとする。測定サンプルを、動的粘弾性測定装置RSAIII(TAインスツルメント製)を用いて、チャック間距離20mm、周波数10Hz、測定温度範囲-40℃~250℃、及び昇温速度5℃/minの条件下で測定する。得られたtanδピークトップ温度(tanδが極大を示す温度)を、フィルム状接着剤の硬化物のTgとする。
ここで、本発明のフィルム状接着剤の硬化物のTgがX℃であるとは、硬化物のTgが2つ以上の場合には、最も低温側のTgがX℃であることを意味する。したがって、例えば、本発明のフィルム状接着剤の硬化物のTgが80℃以上とは、硬化物のTgが2つ以上の場合には、最も低温側のTgが80℃以上であることを意味する。
本発明のフィルム状接着剤の硬化物のTgは、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上、さらに好ましくは100℃以上とすることもできる。
本発明のフィルム状接着剤の硬化物のTgは、80~150℃が好ましく、80~140℃がより好ましく、90~130℃がさらに好ましく、100~130℃がさらに好ましい。Tgは、110~125℃とすることもできる。
【0035】
本発明のフィルム状接着剤の硬化物は、平行光線透過率が70%以上であることが好ましい。本発明において、上記平行光線透過率は400nmにおける平行光線透過率を意味する。フィルム状接着剤は、一般的に、エネルギー線の照射により黄変現象を生じやすいため、得られた硬化物の上記波長における平行光線透過率を指標として透明性を評価することができる。すなわち、400nmにおける平行光線透過率に、400nm以外の可視光域における平行光線透過率を代表させることができる。
本発明のフィルム状接着剤の硬化物の平行光線透過率は、80%以上が好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。平行光線透過率の上限は、100%が実際的である。したがって、本発明のフィルム状接着剤の硬化物の平行光線透過率は80~100%であることが好ましい。
平行光線透過率は、分光光度計を用いて測定することができる。具体的には、上記硬化物の平行光線透過率は、次のように決定される。フィルム状接着剤を、ラミネーターを用いて70℃で厚さ0.3mmとなるまで積層し、500mJ/cm2の条件で硬化させる。得られた硬化サンプルを5cm角に切り出し、測定サンプルとする。測定サンプルを、分光光度計(株式会社島津製作所製、紫外可視分光光度計UV-1800)を用いて、波長400nmにおける平行光線透過率を決定する。
【0036】
本発明のフィルム状接着剤の硬化物は、常温(23℃)における貯蔵弾性率(以下、単に「貯蔵弾性率」とも称す。)が0.8GPa以上であることが好ましい。上記硬化物の貯蔵弾性率は、1.0GPa以上であることがより好ましく、1.2GPa以上であることがさらに好ましい。上記硬化物の貯蔵弾性率は、7.0GPa以下が好ましく、6.0GPa以下がより好ましく、5.5GPa以下がさらに好ましく、5.0GPa以下が特に好ましい。上記硬化物の貯蔵弾性率は、0.8~7.0GPaとすることができ、0.8~6.0GPaとすることもでき、1.0~5.5GPaであることも好ましく、1.0~5.0GPaであることも好ましく、1.0~4.0GPaであることも好ましく、1.0~3.0GPaであることも好ましい。
上記硬化物の貯蔵弾性率は、次のように決定される。フィルム状接着剤を、ラミネーターを用いて70℃で厚さ0.3mmとなるまで積層し、500mJ/cm2の条件で硬化させる。得られた硬化サンプルを5mm幅に切り出し、測定サンプルとする。測定サンプルを、動的粘弾性測定装置RSAIII(TAインスツルメント製)を用いて、チャック間距離20mm、周波数10Hzの引張条件で、-40℃より250℃まで、昇温速度5℃/minの条件で昇温し、23℃における貯蔵弾性率を決定する。
【0037】
本発明のフィルム状接着剤の硬化物の貯蔵弾性率は、エポキシ樹脂の化学構造(骨格、官能基の種類等)、分子量、エポキシ当量、及び含有量等、フェノキシ樹脂の化学構造(骨格、官能基の種類等)、分子量、ガラス転移温度、及び含有量等、光カチオン重合開始剤の化学構造(骨格、官能基の種類等)及び含有量等、接着剤中の充填材、及びその他の添加剤の種類や含有量等により制御することができる。
【0038】
本発明のフィルム状接着剤は、フィルム状接着剤の各構成成分を混合してなる組成物(ワニス)を調製し、この組成物を、離型フィルムや所望の基材上に塗工し、必要により乾燥させることにより、上記の離型フィルムや基材上に得ることができる。接着剤層の各構成成分を混合してなる組成物(ワニス)は、通常は有機溶媒を含有する。
塗工方法としては、公知の方法を適宜採用することができ、例えば、ロールナイフコーター、グラビアコーター、ダイコーター、リバースコーター等を用いた方法が挙げられる。
乾燥は、硬化反応を実質的に生じずに有機溶媒を除去してフィルム状接着剤を形成できればよく、例えば、80~150℃の温度で1~20分保持することにより行うことができる。
【0039】
本発明のフィルム状接着剤は、フィルム状接着剤の硬化反応(エポキシ樹脂の硬化反応)を抑制する観点から、使用前(硬化反応前)には遮光して保管されることが好ましい。遮光保管の際の温度条件は特に限定されず、常温でも冷蔵でもよい。
【0040】
[デバイスの製造方法]
本発明のデバイスの製造方法は、本発明のフィルム状接着剤を用いてデバイスを製造する方法であれば、特に限定されない。
本発明のデバイスの製造方法の一実施形態は、本発明のフィルム状接着剤を用いて構成部材を接着することを含む。したがって、本発明のデバイスは、本発明のフィルム状接着剤を用いて構成部材が接着された構造を含む。
本発明のフィルム状接着剤を適用する、デバイスを構成する構成部材としては特に制限されず、例えば、上述した機能性素子及び機能層、これらの積層体等が挙げられる。本発明のデバイスの製造方法の一実施形態は、本発明のフィルム状接着剤で、これらの部材間、例えば、機能性素子を含む積層体(機能性素子と、その片面又は両面に配された種々の機能層との積層体)同士の間、基材と機能性素子を含む積層体との間、第一の基材と第二の基材との間(第一および、第二基材のどちらか、または両方の基材の、接着剤層とは反対側には機能性素子を含む積層体がさらに形成されていてもよい)、などを接着することを含む。したがって、本発明のデバイスの製造方法の一実施形態では、デバイスを構成する1つの構成部材の表面に、本発明のフィルム状接着剤を配し、当該フィルム状接着剤を挟んでデバイスを構成する別の構成部材を配し、当該フィルム状接着剤を硬化反応させる工程を含む。
【0041】
本発明のデバイスの製造方法において、上記の硬化反応の条件は、硬化剤の種類、機能性素子の耐熱性等を考慮して適宜に設定することができる。例えば、水銀ランプ等を用いて、100~1500mJ/cm2の紫外線を照射することにより、接着剤層を十分に硬化させることができる。照射量を低減する観点からは、照射量の上限は、700mJ/cm2以下であることが好ましく、600mJ/cm2以下であることがより好ましい。
【実施例】
【0042】
実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例の形態に限定されるものではない。また、室温とは23℃を意味し、MEKはメチルエチルケトン、PETはポリエチレンテレフタレート、UVは紫外線である。「%」、「部」は、特に断りのない限り質量基準である。
【0043】
<フィルム状接着剤の作製>
(実施例1)
1000mlのセパラブルフラスコ中において、エポキシ樹脂としてST-3000(商品名、水添ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂、エポキシ当量:225g/eq、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製)70質量部、フェノキシ樹脂としてYP-50(商品名、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂、Tg:84℃、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製)30質量部及びMEK30質量部を、温度110℃で2時間加熱攪拌し、樹脂ワニスを得た。さらに、この樹脂ワニスを800mlのプラネタリーミキサーに移し、重合開始剤としてWPI-116(商品名、UVカチオン重合開始剤(ヨードニウム塩型、アニオン部位:SbF6
-)、富士フイルム和光純薬株式会社製)2質量部を加えて、室温において1時間攪拌混合後、真空脱泡して混合ワニスを得た。次いで、得られた混合ワニスを厚み38μmの表面離型処理済みPETフィルム上に塗布して、130℃で10分間加熱乾燥し、縦300mm、横200mm、厚みが20μmである、剥離フィルム付きフィルム状接着剤を得た。
【0044】
(実施例2)
フェノキシ樹脂を、YX7200B35(商品名、ビフェニル骨格及びシクロヘキサン骨格含有フェノキシ樹脂、Tg:150℃、不揮発分35質量%、エポキシ当量:9000g/eq、三菱ケミカル株式会社製)86質量部(うちフェノキシ樹脂(固形分)30質量部)としたこと以外は、実施例1と同様にして離型フィルム付きフィルム状接着剤を得た。
【0045】
(実施例3)
エポキシ樹脂を828(商品名、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量:185g/eq、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製)70質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして剥離フィルム付きフィルム状接着剤を得た。
【0046】
(実施例4)
混合ワニス中に、添加剤としてKBM-402(商品名、シランカップリング剤(3-グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン)、信越化学工業株式会社製)1質量部を加えた以外は、実施例1と同様にして剥離フィルム付きフィルム状接着剤を得た。
【0047】
(実施例5)
混合ワニス中に、添加剤として18-クラウン-6-エーテル(商品名、硬化遅延剤、東京化成工業株式会社製)0.1質量部を加えた以外は、実施例1と同様にして剥離フィルム付きフィルム状接着剤を得た。
【0048】
(実施例6)
エポキシ樹脂をST-3000(商品名、水添ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂、エポキシ当量:225g/eq、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製)50質量部とYX8040(商品名、水添ビスフェノールA型固形エポキシ樹脂、エポキシ当量:1200g/eq、三菱ケミカル株式会社製)20質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして剥離フィルム付きフィルム状接着剤を得た。
【0049】
(実施例7)
混合ワニス中に、充填材としてYC100C-MLA(商品名、シリカフィラースラリー、固形分:60%、株式会社アドマテックス製)33質量部(うちシリカフィラー20質量部)を加えた以外は、実施例1と同様にして剥離フィルム付きフィルム状接着剤を得た。
【0050】
(実施例8)
エポキシ樹脂の配合量を50質量部とし、フェノキシ樹脂の配合量を50質量部とし、重合開始剤をCPI-101A(商品名、UVカチオン重合開始剤(スルホニウム塩型、アニオン部位:SbF6
-)、サンアプロ株式会社製)2質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして剥離フィルム付きフィルム状接着剤を得た。
【0051】
(実施例9)
重合開始剤を、CPI-101A(商品名、UVカチオン重合開始剤(スルホニウム塩型、アニオン部位:SbF6
-)、サンアプロ株式会社製)2質量部としたこと以外は、実施例4と同様にして剥離フィルム付きフィルム状接着剤を得た。
【0052】
(実施例10)
エポキシ樹脂の配合量を30質量部とし、フェノキシ樹脂の配合量を70質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして剥離フィルム付きフィルム状接着剤を得た。
【0053】
(実施例11)
エポキシ樹脂の配合量を50質量部とし、フェノキシ樹脂を、YX7180(商品名、ビスフェノールF+1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル型フェノキシ樹脂、Tg:15℃、三菱ケミカル株式会社製)50質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして離型フィルム付きフィルム状接着剤を得た。
【0054】
(実施例12)
フェノキシ樹脂を、YX7180(商品名、ビスフェノールF+1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル型フェノキシ樹脂、Tg:15℃、三菱ケミカル株式会社製)30質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして離型フィルム付きフィルム状接着剤を得た。
【0055】
(実施例13)
混合ワニス中に、充填材としてYC100C-MLA(商品名、シリカフィラースラリー、固形分:60%、株式会社アドマテックス製)67質量部(うちシリカフィラー40質量部)を加えた以外は、実施例1と同様にして剥離フィルム付きフィルム状接着剤を得た。
【0056】
(比較例1)
エポキシ樹脂の配合量を40質量部とし、フェノキシ樹脂YX7200B35(商品名、ビフェニル骨格及びシクロヘキサン骨格含有フェノキシ樹脂、Tg:150℃、不揮発分35質量%、エポキシ当量:9000g/eq、三菱ケミカル株式会社製)の配合量を171質量部(うちフェノキシ樹脂(固形分)60質量部)とし、重合開始剤をCPI-100P(商品名、UVカチオン重合開始剤(スルホニウム塩型、アニオン部位:PF6
-)、サンアプロ株式会社製)2質量部としたこと以外は、実施例2と同様にして剥離フィルム付きフィルム状接着剤を得た。
【0057】
(比較例2)
エポキシ樹脂の配合量を50質量部とし、フェノキシ樹脂YX7200B35(商品名、ビフェニル骨格及びシクロヘキサン骨格含有フェノキシ樹脂、Tg:150℃、不揮発分35質量%、エポキシ当量:9000g/eq、三菱ケミカル株式会社製)の配合量を142質量部(うちフェノキシ樹脂(固形分)50質量部)とし、重合開始剤をCPI-200K(商品名、UVカチオン重合開始剤(スルホニウム塩型、アニオン部位:PF3(C2F5)3
-)、サンアプロ株式会社製)2質量部としたこと以外は、実施例2と同様にして剥離フィルム付きフィルム状接着剤を得た。
【0058】
(比較例3)
比較例1と同様にして剥離フィルム付きフィルム状接着剤を得た。
【0059】
(比較例4)
重合開始剤をCPI-100P(商品名、UVカチオン重合開始剤(スルホニウム塩型、アニオン部位:PF6
-)、サンアプロ株式会社製)2質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして剥離フィルム付きフィルム状接着剤を得た。
【0060】
(比較例5)
重合開始剤をCPI-200K(商品名、UVカチオン重合開始剤(スルホニウム塩型、アニオン部位:PF3(C2F5)3
-)、サンアプロ株式会社製)2質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして剥離フィルム付きフィルム状接着剤を得た。
【0061】
(比較例6)
フェノキシ樹脂に代えてSG-708-6(商品名、アクリル樹脂、Tg:5℃、ナガセケムテックス株式会社製)50質量部を用い、重合開始剤をTPO(商品名、UVラジカル重合開始剤(2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド)、東京化成工業株式会社製)2質量部としたこと以外は、比較例2と同様にして剥離フィルム付きフィルム状接着剤を得た。
【0062】
(比較例7)
重合開始剤をベンゾフェノン(UVラジカル重合開始剤、東京化成工業株式会社製)2質量部としたこと以外は、比較例6と同様にして剥離フィルム付きフィルム状接着剤を得た。
【0063】
(比較例8)
重合開始剤をWPI-116(商品名、UVカチオン重合開始剤(ヨードニウム塩型、アニオン部位:SbF6
-)、富士フイルム和光純薬株式会社製)2質量部としたこと以外は、比較例6と同様にして剥離フィルム付きフィルム状接着剤を得た。
【0064】
表1に、各実施例及び比較例のフィルム状接着剤の組成を示す。
【0065】
<硬化物(硬化サンプル)の作製、発熱の有無の確認>
各実施例及び比較例において得られた剥離フィルム付きフィルム状接着剤から剥離フィルムをはがし、フィルム状接着剤を、ラミネーターを用いて70℃で厚さ0.3mmとなるまで積層して積層サンプルを得、この積層サンプルを室温(23℃)で、表1の「硬化サンプル作製条件」の「UV照射量」欄に記載のUV照射量でそれぞれ処理して、後述する貯蔵弾性率及び平行光線透過率の評価に用いる硬化サンプル(硬化物)を得た。
その際に、UV照射前後のサンプル表面温度を測定し、UV照射による発熱の有無も評価した。表面温度の測定は、非接触式表面温度計(FT3700、日置電機株式会社製)を用いて行い、UV照射後の表面温度の測定は、UV照射後5秒以内に行った。UV照射前後の表面温度差(UV照射後の表面温度-UV照射前の表面温度)を表1中に記載した。
【0066】
<硬化物の貯蔵弾性率及びガラス転移温度の測定>
フィルム状接着剤の硬化状態の指標として、フィルム状接着剤の硬化物の貯蔵弾性率及びガラス転移温度を測定した。
上記にて作製した硬化サンプルを、5mm幅に切り出し、測定サンプルとした。
測定装置RSAIII(TAインスツルメント製)を用いて、チャック間距離20mm、周波数10Hzの引張条件で、-40℃より250℃まで昇温速度5℃/minの条件で昇温した際の各測定サンプルの粘弾性挙動を測定し、23℃における貯蔵弾性率と、Tgを求めた。Tgは、tanδ極大値を示す温度とし、極大値が2点以上ある場合は、低温側の極大値を示す温度をTgとした。測定結果を表1に示す。
【0067】
<平行光線透過率測定>
フィルム状接着剤の硬化物の透明性を、波長400nmの平行光線透過率により評価した。
上記にて作製した硬化サンプルを5cm角に切り出し、測定サンプルとした。
得られた各測定サンプルの平行光線透過率を、分光光度計(株式会社島津製作所製、紫外可視分光光度計UV-1800)を用いて測定し、波長400nmの平行光線透過率を決定した。
【0068】
<接着信頼性>
フィルム状接着剤の硬化の状態、また、接着力を、フィルム状接着剤の硬化物を介して接着された被着体(ガラス板とダミーチップ)との接着力(せん断強度)の変化率を指標にして評価した。
1)試料の作製
各実施例及び比較例において得られた剥離フィルム付フィルム状接着剤(硬化前)を、先ず、マニュアルラミネーター(商品名:FM-114、テクノビジョン社製)を用いて温度70℃、圧力0.3MPaにおいてダミーシリコンウェハ(8inchサイズ、厚さ350μm)の一方の面に熱圧着させた。その後、フィルム状接着剤から剥離フィルムを剥離した後、同マニュアルラミネーターを用いて室温、圧力0.3MPaにおいてフィルム状接着剤の上記ダミーシリコンウェハとは反対側の面上にダイシングフィルム及びダイシングフレーム(商品名:DTF2-8-1H001、DISCO社製)を圧着させた。次いで、2軸のダイシングブレード(Z1:NBC-ZH2050(27HEDD)、DISCO社製/Z2:NBC-ZH127F-SE(BC)、DISCO社製)が設置されたダイシング装置(商品名:DFD-6340、DISCO社製)を用いて2mm×2mmのサイズになるようにダミーシリコンウェハ側からフィルム状接着剤の厚さ方向に、フィルム状接着剤の厚さ全体に至る深さまでをダイシング(切断)して、ダイシングフィルム上に、接着剤付きダミーチップを得た。
次いで、ダイボンダー(商品名:DB-800、日立ハイテクノロジーズ社製)にて上記接着剤付きダミーチップをダイシングフィルムからピックアップし、80℃、圧力0.1MPa(荷重400gf)、時間1.0秒の条件において上記接着剤付きダミーチップの接着剤側と、被着体基板としてのガラス板(厚さ700μm、縦10mm×横10mm)とをガラス板の中央で貼り合わせて熱圧着した。次いで、UV照射機にて、所定のUV照射量(表の「信頼性評価」の「UV照射量」欄に記載)にてガラス板側からUV照射し、接着剤を硬化させた。このようにして、ダミーチップ-接着剤の硬化物-ガラス板を有する試験片を得た。
2)せん断強度の測定
上記で得られた試験片の接着剤の硬化物とガラス板とのせん断強度は、万能型ボンドテスター(商品名:シリーズ4000PXY、ノードソンアドバンストテクノロジー社製)を用いて測定した。試験条件は、測定スピード100μm/s、測定高さ740μmの条件とし、試験片中のダミーチップを試験片に対して水平に押し出したときの、せん断強度を測定した。上記せん断強度の測定を、2つの測定温度(常温(23℃)及び高温(100℃))で行い、せん断強度の変化率を求め、以下の評価基準で評価した。せん断強度の測定は、フィルム状接着剤の硬化物を介して接着された被着体を上記測定温度にそれぞれ1分保存してから行った。評価A以上を合格とした。
なお、実施例1~13の各フィルム状接着剤はいずれも、UV照射による硬化直後において、十分に高いせん断強度を示すものであった。
せん断強度の変化率={(常温でのせん断強度-高温でのせん断強度)/常温でのせん断強度}×100 [%]
-評価基準-
AA:せん断強度の変化率が5%未満
A:せん断強度の変化率が5%以上10%未満
B:せん断強度の変化率が10%以上40%未満
C:せん断強度の変化率が40%以上
【0069】
【0070】
【0071】
上記表中、接着剤の各成分の配合量を質量部で示す。空欄は、その成分を含有していないことを意味する。
【0072】
上記表に示されるように、重合開始剤として、アニオン部位にアンチモン原子を含まない光カチオン重合開始剤、又は光ラジカル重合開始剤を用いた場合には、500mJ/cm2の少ないUV照射量では硬化不良のために貯蔵弾性率及びTgの少なくとも一方が低く、また、接着信頼性に劣っていた(比較例1~2、4~5)。さらに、比較例1及び2は平行光線透過率も劣っていた。加えて、2000mJ/cm2の通常のUV照射量とすると、貯蔵弾性率及びTgは高くなり、また接着信頼性は向上するものの、発熱があり、また、平行光線透過率に劣る結果となった(比較例3)。平行光線透過率が低くなったのは、発熱による黄変が原因と考えられる。フェノキシ樹脂に代えてアクリル樹脂を用いると、重合開始剤の種類によらず、500mJ/cm2の少ないUV照射量では貯蔵弾性率、接着信頼性、及び透明性のいずれにも劣る結果となった(比較例6~8)。比較例6~8は白濁を生じており、アクリル樹脂とエポキシ樹脂との相溶性が低いことが、透明性が劣る結果となった原因と考えられる。
これに対し、本発明の規定を満たす実施例1~13のフィルム状接着剤は、UV照射量が500mJ/cm2の場合であっても、貯蔵弾性率及びTgが高く、優れた接着信頼性、及び平行光線透過率を示した。本発明のフィルム状接着剤は、少ない照射量で充分な硬化が可能であり、接着力にも、透明性にも、高温下での接着信頼性にも優れることが分かる。また、本発明のフィルム状接着剤を、デバイスの製造に用いることにより、デバイスの信頼性を高めることができることが分かる。
また、フェノキシ樹脂として、Tgが120℃以下のフェノキシ樹脂を用いると透明性をより高めることができることがわかる(実施例1と実施例2の比較)。
エポキシ樹脂として、水添ビスフェノール構造を有するエポキシ樹脂を用いると透明性をより高めることができることがわかる(実施例1と実施例3の比較)。
フェノキシ樹脂としてTgが80℃以上のフェノキシ樹脂を用いると、硬化物の接着力をより高めることができること、具体的には、硬化物のTgや貯蔵弾性率をより高めることができ、接着力の向上に寄与することがわかる(実施例1と実施例11及び12の比較)。
充填材の含有量を、フィルム状接着剤の固形分中の20質量%程度にまで低減すると、平行光線透過率を80%以上へとより確実に高めることができることがわかる(実施例7と実施例13の比較)。
【0073】
本発明をその実施態様とともに説明したが、我々は特に指定しない限り我々の発明を説明のどの細部においても限定しようとするものではなく、添付の請求の範囲に示した発明の精神と範囲に反することなく幅広く解釈されるべきであると考える。
【0074】
本願は、2022年6月30日に日本国で特許出願された特願2022-105913に基づく優先権を主張するものであり、これはここに参照してその内容を本明細書の記載の一部として取り込む。
【符号の説明】
【0075】
1 フィルム状接着剤
2 基材(支持基材)
【要約】
エポキシ樹脂と、フェノキシ樹脂と、アニオン部位にアンチモンを含む光カチオン重合開始剤とを含有する、エネルギー線硬化型フィルム状透明接着剤、このフィルム状透明接着剤を含むデバイス、及びこのフィルム状透明接着剤を用いるデバイスの製造方法。