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特許7471054耐プラズマ皮膜塗布のために表面を選択的にパターニングする方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】耐プラズマ皮膜塗布のために表面を選択的にパターニングする方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 4/02 20060101AFI20240412BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20240412BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20240412BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20240412BHJP
   C23C 4/11 20160101ALI20240412BHJP
【FI】
C23C4/02
H01L21/302 101G
H01L21/205
H01L21/31 C
C23C4/11
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019008868
(22)【出願日】2019-01-23
(65)【公開番号】P2019131888
(43)【公開日】2019-08-08
【審査請求日】2022-01-21
(31)【優先権主張番号】15/883,787
(32)【優先日】2018-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アミル・エー.・ヤセリ
(72)【発明者】
【氏名】デュアン・アウトカ
(72)【発明者】
【氏名】ホン・シー
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ダウガティ
【審査官】祢屋 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-190983(JP,A)
【文献】特表2017-520126(JP,A)
【文献】特表2004-521482(JP,A)
【文献】特開2007-232901(JP,A)
【文献】米国特許第04631250(US,A)
【文献】英国特許出願公開第02068834(GB,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0077107(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 4/02
H01L 21/3065
H01L 21/205
H01L 21/31
C23C 4/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理チャンバにおける使用のために部品に耐プラズマセラミック皮膜を提供するための方法であって、
パターニングされたマスクを前記部品上に設置することと、
前記部品および前記マスクを覆って膜を堆積させることと、
前記堆積された膜とともに前記パターニングされたマスクを除去することと、
前記マスクの除去の後、耐プラズマセラミック皮膜を前記部品上に施すことと、
を含み、
前記膜は、単分子層である、方法。
【請求項2】
プラズマ処理チャンバにおける使用のために部品に耐プラズマセラミック皮膜を提供するための方法であって、
パターニングされたマスクを前記部品上に設置することと、
前記部品および前記マスクを覆って膜を堆積させることと、
前記堆積された膜とともに前記パターニングされたマスクを除去することと、
前記マスクの除去の後、耐プラズマセラミック皮膜を前記部品上に施すことと、
を含み、
前記膜は、シラン含有成分もしくは代替の熱的に安定なUV硬化性工業用混合物を含む前駆体から形成された単分子膜または多層膜である、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
前記シラン含有成分は、さらに、ポリマ含有成分を含む、方法。
【請求項4】
プラズマ処理チャンバにおける使用のために部品に耐プラズマセラミック皮膜を提供するための方法であって、
パターニングされたマスクを前記部品上に設置することと、
前記部品および前記マスクを覆って膜を堆積させることと、
前記堆積された膜とともに前記パターニングされたマスクを除去することと、
前記マスクの除去の後、耐プラズマセラミック皮膜を前記部品上に施すことと、
を含み、
前記膜は、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、アルコキシシラン、およびアルキルシランからなる群のうちの少なくとも1つの化学前駆体剤から形成された単分子層である、方法。
【請求項5】
請求項1、2、および4のいずれか1項に記載の方法であって、
前記膜は、約1mm未満の厚さを有する、方法。
【請求項6】
請求項1、2、および4のいずれか1項に記載の方法であって、
前記パターニングされたマスクは、粉体塗装、感光性レジスト、塗料、シリコン、およびハードマスクのうちの少なくとも1つの層を含む、方法。
【請求項7】
請求項1、2、および4のいずれか1項に記載の方法であって、さらに、
前記膜を覆って堆積した前記耐プラズマセラミック皮膜の1つ以上の部分を除去することを含み、イソプロピルアルコール、PVA、代替のソフトスクラブ媒体または研磨媒体、アセトン、フッ化水素/過酸化水素溶液、グリセリンを含むフッ化水素溶液、グリコール類、およびアンモニア含有溶液のうちの少なくとも1つを用いて前記耐プラズマセラミック皮膜を払拭することもしくは浸漬すること、または、洗剤、超音波処理もしくは高周波処理、ウォータージェット、CO2ブラスト、もしくはソフトビードブラストを用いて洗浄することを含む、方法。
【請求項8】
請求項1、2、および4のいずれか1項に記載の方法であって、さらに、
前記膜を覆って堆積した前記耐プラズマセラミック皮膜の1つ以上の部分を除去することを含み、固体CO2屑を約25psiより大きい圧力で前記耐プラズマセラミック皮膜に向けることを含む、方法。
【請求項9】
請求項1、2、および4のいずれか1項に記載の方法であって、
前記耐プラズマセラミック皮膜を施すことは、溶射皮膜を施すことを含む、方法。
【請求項10】
請求項1、2、および4のいずれか1項に記載の方法であって、さらに、
前記パターニングされたマスクを除去した後であって、前記耐プラズマセラミック皮膜を施す前に、洗浄することを含む、方法。
【請求項11】
請求項1、2、および4のいずれか1項に記載の方法であって、
前記耐プラズマセラミック皮膜は、イットリア、ジルコニア、およびアルミナのうちの1つ以上を含む、方法。
【請求項12】
請求項1、2、および4のいずれか1項に記載の方法であって、
前記耐プラズマセラミック皮膜は、III族元素またはIV族元素の1つ以上を含む、方法。
【請求項13】
請求項1、2、および4のいずれか1項に記載の方法であって、さらに、
前記耐プラズマセラミック皮膜を前記部品上に施すことの後に前記膜を除去することを含む、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、
前記膜を除去することは、前記膜を覆って施された前記耐プラズマセラミック皮膜の部分を除去する、方法。
【請求項15】
請求項1、2、および4のいずれか1項に記載の方法であって、さらに、
前記膜を覆って堆積した前記耐プラズマセラミック皮膜の1つ以上の部分を除去することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示は、部品に溶射皮膜を施すための方法に関する。特に、本開示は、部品にパターニングされた溶射皮膜を提供するための方法に関する。
【0002】
溶射皮膜は、部品に耐プラズマ保護を提供するために部品に施される。かかる皮膜は、プラズマ処理チャンバで用いられる。溶射皮膜は、酸化アルミニウム製部品の表面にセラミックイットリウム含有皮膜を施してよい。
【発明の概要】
【0003】
前記のことを達成するため、および、本開示の目的に従って、プラズマ処理チャンバで用いられる耐プラズマセラミック皮膜を部品に提供するための方法が記載される。パターニングされたマスクが部品上に設置される。部品を覆って膜が堆積する。パターニングされたマスクが除去される。耐プラズマセラミック皮膜が部品に施される。
【0004】
本開示のこれらの特徴および他の特徴は、次の図と併せて、以下の本開示の発明を実施するための形態においてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本開示は、付随の図面の図において限定としてではなく例として示され、類似の参照番号は、類似の要素を指す。
【0006】
図1】一実施形態の高レベルフローチャート。
【0007】
図2A図1の実施形態に従って処理された部品の表面の概略断面図。
図2B図1の実施形態に従って処理された部品の表面の概略断面図。
図2C図1の実施形態に従って処理された部品の表面の概略断面図。
図2D図1の実施形態に従って処理された部品の表面の概略断面図。
図2E図1の実施形態に従って処理された部品の表面の概略断面図。
図2F図1の実施形態に従って処理された部品の表面の概略断面図。
【0008】
図3】別の実施形態の高レベルフローチャート。
【0009】
図4A図3の実施形態に従って処理された部品の表面の概略断面図。
図4B図3の実施形態に従って処理された部品の表面の概略断面図。
図4C図3の実施形態に従って処理された部品の表面の概略断面図。
図4D図3の実施形態に従って処理された部品の表面の概略断面図。
図4E図3の実施形態に従って処理された部品の表面の概略断面図。
図4F図3の実施形態に従って処理された部品の表面の概略断面図。
【0010】
図5】一実施形態に従って皮膜を施された少なくとも1つの部品を備えるプラズマ処理チャンバの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、以下に、付随の図面で表すそのいくつかの好ましい実施形態に関して詳細に説明される。以下の説明では、本開示の十分な理解を提供するために、多くの特定の詳細が記載される。しかし、本開示がこれら特定の詳細の一部または全てなしに実施されてよいことは、当業者に明らかであろう。他の例では、本開示を不必要に曖昧にしないように、周知の処理工程および/または処理構造は詳細には説明されていない。
【0012】
イットリア、ジルコニア、アルミナなどのプラズマ溶射皮膜材料は、コンダクタエッチングシステムで用いられるピナクル、高フローライナ、ドアなどの部品のアルマイト表面上に堆積されてきた。しかし、部品設計の変化や部品アーキテクチャの複雑化により、より複雑な部品アーキテクチャにおける皮膜堆積プロセスの正確な制御に関連した全く新しい部品製作の試練が相次いでもたらされた。例えば、一般的に認められる問題は、コンダクタエッチングチャンバで用いられる高フローライナの高アスペクト比ポンプスロットフィーチャにおける皮膜堆積中の過剰噴霧の影響であった。部品上のスロットの表面皮膜に用いる従来の製造方法には、望まない領域にも堆積した過剰噴霧皮膜がある影響なしに、意図した領域内に正確に皮膜を堆積させる選択性がない。過剰噴霧皮膜は、望ましくなく、剥離、チッピング、スカロッピングを含む表面的な異常など、部品品質に関する多くのエスカレーションを引き起こす。さらに重要なことには、かかるエスカレーションは、プロセス試験のために部品がチャンバに設置されると、かかる完成品に対する不十分な欠陥性の懸念ついての悪い認識問題につながる潜在的原因として現れる。
【0013】
これらの懸念を踏まえて、過剰噴霧堆積の問題を解決するために、皮膜製造業者による、プラズマ溶射皮膜堆積プロセス中にハードマスクおよびソフトマスクの両方を試す試みがあった。しかし、従来のアプローチは成功しなかった。進展がなかった1つの理由は、接着剤や塗装などの従来のマスキング材が、溶射皮膜堆積プロセスの条件に不適合であることがわかったからである。使用時に、従来のマスキング材は、反応し、融解し、部品を汚染するリスクを増加させる不要な副生成物を形成することがわかった。ハードマスクのアプローチも、複雑なアーキテクチャ内のスプレーフローパターンを修正する問題を引き起こすことが多いために、堆積プロセスに悪影響を及ぼして粗悪な膜の原因となる事実によって成功しなかった。
【0014】
進展がなかったことで、並行してブラスト法により不要な過剰噴霧堆積物を除去する取り組みがあった。しかし、従来のビードブラスト法の使用も新たな問題を示した。例えば、下部のアルマイト層への皮膜の付着が強力なため、アルミナまたはシリカなどのグリットブラスト媒体が過剰噴霧皮膜を除去するのに用いられてきたが、プロセスが余り選択的ではない場合があった。かかる媒体の使用は、過剰噴霧皮膜を除去するだけでなく、陽極酸化下地層を著しく損傷もするために、バルク状アルミニウムを露出させることがわかった。良い結果をもたらすためのプロセスウィンドウ条件は、非常に狭く、部品を損傷する懸念から生産量を増やせる可能性は低い。
【0015】
プラズマ皮膜堆積条件に適合するマスクとして機能する単分子膜または犠牲無機薄膜を有する表面の改質は、表面特性を変えて、続く溶射皮膜プロセスである付着を最小限にする、またはなくすことができる。これらの改質は、過剰噴霧問題を解決、解消するための独立した有効な方法を提供する。
【0016】
図1は、一実施形態のフローチャートである。部品が洗浄される(ステップ104)。パターニングされたマスクが部品上に設置される(ステップ108)。膜が部品上に堆積する(ステップ112)。パターニングされたマスクが除去される(ステップ116)。部品が洗浄される(ステップ120)。部品に耐プラズマセラミック皮膜が施される(ステップ124)。過剰噴霧皮膜が除去される(ステップ128)。部品が追加洗浄にかけられる(ステップ132)。
【0017】
一例は、溶射皮膜プロセス中の不要な量の過剰噴霧堆積により積載することが知られている機能(高アスペクト比のポンプスロット機能および水スロットなど)を有する表面を備えた、アルマイトまたはアルミニウムなどの材料で作られた加工製作チャンバ部品を処理するための選択的方法を提供している。この例における部品は、アルマイト表面を有する。この方法は、1つのアプローチ順序では、部品上の特定の予めマスキングされた表面領域を選択的に化学処理して、続く皮膜プロセス用のマスクとして機能する単分子膜を用いてそれらの領域を官能化することを含む。複雑な部品アーキテクチャを有する加工製作部品の単分子層官能化領域は、その後の部品表面への皮膜付着を完全に抑制する、および/または、最小限にする。次に、部品は、プラズマ皮膜または任意の代替堆積プロセスを経て、耐プラズマセラミック皮膜によって皮膜されることを意図した所望の場所を皮膜されうる。皮膜完了後は、官能化マスク領域上に堆積された全ての過剰噴霧は、吹き出され、払拭され、または、二酸化炭素(CO2)ブラストまたは代替のソフトビードブラストなどの穏やかな洗浄方法によって容易に洗浄されて、例えばリフトオフ機構によって、全ての不要な残留物を除去しうる。洗浄後の部品は、目立つ過剰噴霧堆積のない、マスキングによって規定された優れた皮膜仕上がりを示す。
【0018】
膜は、気相または液相または他の代替堆積プロセスにおいて、自己集合による単分子層マスクとして施されてよい。膜の目的は、皮膜と表面との間の接着力が変化する(この場合、最小になる、および/または、なくなる)ことで、単分子層マスクの表面上に続いて堆積するあらゆる保護膜の付着を防ぎうるように、表面の反応部分を化学変化させることである。表面付着を調整する化学変化の一例は、アルマイト表面を(例えば、アルマイト(Al-Ox)または水酸化アルミニウム(Al-OH)の極性水酸基をSi-CH2-CH2(CF2-)n-CF3などの非極性基に)置き換えることである。さらに、表面上のかかる単分子層は、通常、低い表面エネルギを有するため、表面間のファン・デル・ワールズ引力の傾向も減少するだろう。
【0019】
第1の実施形態では、シーケンスは、膜によって化学変質されることを意図した領域がマスキングされないように部品をマスキングすることで始まる。あるいは、膜の形成は、表面プラズマ皮膜の前に、溶液中の化学前駆体剤を用いて実施されうる。本実施形態のこれらのステップまたは他のステップは、以下により詳細に説明される。
【0020】
例1
図2Aは、この例ではアルマイト表面を有する部品204の概略断面図である。表面が予め洗浄されて(ステップ104)、有機堆積物もしくは無機堆積物またはマイクロコンタミネーションが除去されることで、化学前駆体剤による次の反応のために表面終端基を化学的に活性化させる(例えば、ヒドロキシル化する)。少なくとも1つの活性表面は、部品204の上に存在し、皮膜付着抑制が必要になるだろう領域のみを露出するマスキング法を用いてマスキングされる(ステップ108)。マスキング法は、ハードマスクまたはソフトマスクを用いて実行されうる。マスキング法で用いられる材料のいくつかの例は、皮膜塗布で用いられるもの(カプトン、粉体塗装、3Mテープ、感光性レジスト、塗料、シリコン、ハードマスクなど)などの粘着テープを含みうる。図2Bは、カプトンマスク208が施された後の部品204の概略断面図である。
【0021】
次に、膜は、部品の表面を覆って堆積する(ステップ112)。本実施形態では、マスキングされた表面の露出領域は、化学前駆体剤と反応する。本実施形態では、この手順は、非水溶媒中に溶解している化合物溶液から化学前駆体剤の単分子層を堆積させることを含んでよい。非水溶媒は、例えば、無水n-ヘキサン、n-ヘプタン、トルエン、クロロホルム、アセトン、NMP(N-メチル-2-ピロリドン)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、DMF(ジメチルホルムアミド)、DMAC(ジメチルアセトアミド)、またはHFE(ハイドロフルオロエーテル)を含んでよい。
【0022】
付着を調整する化学前駆体剤からの化学修飾の一例は、露出したアルマイト表面の極性水酸基(例えば、Al-Ox、Al-OH)を非極性基に置換することである。非極性基は、Si-CH3、Si-R、またはSi-RF(Rは、N-長鎖炭化水素またはフルオロ置換体)などの成分を含有するシラン化合物であってよい。Al-O-Si-R基は、例えば、1H、1H、2H、2H-パーフルオロオクチルトリクロロシラン(FOTS、C8134SiCl3)によって提供されてよい。フッ素置換オルガノシラン終端基は、化学結合形成による過剰な接着力が調整されうる110°から130°より大きい脱イオン水(DIW)接触角で、安定した改質表面を提供する。他の潜在的な表面改質剤の他のいくつかの例は、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、アルコキシシラン、およびアルキルシランを含み、より具体的には、フッ素化または長鎖炭化水素系のトリクロロシラン、ジクロロシラン、モノクロロシラン、トリメトキシシラン、ジメトキシシラン、メトキシシラン、トリエトキシシラン、ジエトキシシラン、およびエトキシシランである。これらシラン類のいくつかは、ポリマ成分含有シランである。
【0023】
例として、FOTSを用いたサンプルプロセスフローは、まず、FOTS1を無水n-ヘキサン9と混ぜ合わせて化学剤の原液を生成することに始まり、次に、密閉反応容器内の110℃のベント型オーブンで原液数滴を改質されるべきサンプルと共同加熱する。30秒後に、原液は完全に蒸発し、FOTS分子はサンプル表面と反応する。気相堆積プロセスのさらなる例は、バルク表面と適合する所望の温度範囲内で化学前駆体剤が容易に気化されうるように、減圧環境下での加熱を用いて化学前駆体剤を気化させることを含んでよい。反応期間は、約2分、約4分、約6分、約8分、約10分、約15分、ならびに、化学前駆体剤の濃度範囲、堆積温度、および堆積時間の組み合わせから形成された全ての範囲を含みうる。このようにして作られた表面は、120°より大きいDIW接触角を有する。
【0024】
あるいは、化学前駆体剤は、湿式処理ステップの間に、改質剤を含む適した溶媒を用いて溶液から追加されてよい。例として、FOTSを用いるサンプルプロセスは、サンプルをHFE-7100(ミネソタ州ミネアポリス所在の3M)のFOTS0.2重量%、トルエン、n-ヘキサン、クロロホルム、アセトン、NPM、DMSO、DMF、またはDMACに窒素下で1時間浸漬させ、続いて未使用のHFE-7100で超音波洗浄し、次に窒素を用いて乾燥させる。
【0025】
図2Cは、膜212が堆積した後の部品204の概略断面図である。本実施形態では、膜212は、部品204の露出面上にのみ堆積し、カプトンマスク208で覆われた領域には堆積しない。
【0026】
膜を形成する化学官能化が完了した後に、パターニングされたマスク(例えば、カプトンマスク208)が除去される(ステップ116)。この方法は、初期のソフトマスクまたはハードマスクを除去し、続いて、以前にマスキングされた領域を洗浄するために、イソプロピルアルコール(IPA)、アセトン、n-ヘキサン、および/もしくはトルエンなどの溶媒を用いて部品表面を浸漬、フラッシング、ならびに/または払拭することを含んでよい。一実施形態では、この洗浄ステップの後に、表面はDIWでフラッシングされる。脱イオン水フラッシングは、約30psiから約50psiであることが好ましい。非排他的には、脱イオン水フラッシング圧のさらなる例は、約10psi、約20psi、約25psi、約35psi、約45psi、約50psi、約60psi、および、開示の値の組み合わせから形成される範囲を含む。貫通孔が存在するように部品が製作される場合は、フラッシングは、孔内部で効率的な液交換があるように行われる。
【0027】
部品204は、追加洗浄が施されてよい(ステップ120)。部品204は、その全ての表面がIPA、および/または、他の前述の溶媒を用いて払拭または浸漬される追加の化学払拭ステップが施され、次に、CO2洗浄などのブラスト洗浄技術が続いてもよい。さらなる実施形態では、この方法には、さらに、部品204の全ての表面をアセトンで払拭/浸漬することが含まれる。別の実施形態では、払拭は、ポリエステルまたはポリウレタン製のクリーンルーム用織布で行われる。他の実施形態では、払拭は、MiraWIPE(商標登録)などの、堆積物を除去するのにより効果的であることが認められる専用の織布で行われる。イソプロピルアルコールおよび/またはアセトンなどの有機溶媒による払拭は、部品をマスキングするのに用いた接着剤からの残留物でありうるオイルおよび他の有機汚染物を除去する。追加の感熱方式、および/または、官能化表面への不当な損害なしにオイルまたは他の汚染物を表面から除去できる、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤などの当業者に周知の化学製剤が用いられてもよいことが予想される。図2Dは、パターニングされたマスクが除去され、部品204が洗浄された後の部品204の概略断面図である。膜212は残っている。
【0028】
一実施形態では、イソプロピルアルコールおよび/またはアセトンによる化学払拭ステップの後に、実施形態は、さらに、皮膜されることを意図した部品204の領域へのプラズマ溶射皮膜堆積のために、プラズマ溶射皮膜環境に部品204を搬送することを含む。部品204の表面に耐プラズマセラミック皮膜が施される(ステップ124)。この例では、耐プラズマセラミック皮膜は、溶射によって施される。溶射は、プラズマ溶射、アーク溶射、およびフレーム/燃焼溶射など、様々な皮膜プロセスを説明するのに用いられる一般用語である。全ての溶射は、固形物を溶融状態または可塑化状態まで加熱するためのエネルギを用いる。融解材料または可塑化材料は、部品204の表面を皮膜するように部品204に向かって加速される。融解材料または可塑化材料は、次に冷却される。プラズマ溶射は、イットリア皮膜を提供するのに用いられることが好ましい。これらの溶射プロセスは、融解材料の代わりに気化材料を用いる気相堆積プロセスとは異なる。溶射皮膜は、イットリア、アルミナ、イットリア安定化ジルコニア、複合配合物、および、高接着強度を持つ同相皮膜などの耐食性材料を提供する、ロボット制御された皮膜システムを用いる。図2Eは、溶射層216が堆積した後の部品204の概略断面図である。
【0029】
次に、過剰噴霧が除去される(ステップ128)。過剰噴霧は、膜212およびその上の溶射部分の除去、または、膜212は除去せずにその上の溶射部分の除去のいずれかによって除去されてよい。部品204は、その全ての表面が再びIPAに浸漬される別の一連の化学洗浄ステップが施されてよい。浸漬、払拭、またはスクラブは、化学官能化領域の上に不十分に吸着または堆積した残留過剰噴霧を除去することを意図している。これは、約5分から約15分の間継続される。IPA浸漬ステップの後に、この方法は、脱イオン水フラッシングステップにおいて、部品204の表面をろ過した脱イオン水でフラッシングすることを含んでよい。脱イオン水フラッシングは、約20psiから約50psiであることが好ましい。次のステップでは、この方法は、さらに、部品204の全ての表面をアセトンに浸漬することを含む。これは、約5分から約15分の間継続される。アセトン浸漬ステップの後に、この方法は、脱イオン水フラッシングステップにおいて、部品204の表面をろ過した脱イオン水で再びフラッシングすることを含んでよい。脱イオン水フラッシングは、約20psiから約50psiであることが好ましい。
【0030】
過剰噴霧が除去された後に、過剰噴霧が発生した領域から軽く付着した残留材料を除去するために、複数の代替経路を通じて追加の洗浄が行われてよい(ステップ132)。一方法では、微細屑の形態の固体CO2は、最初に表面を照射するブラストガスとして圧縮空気と併せて用いられる。テストによって、膜が堆積して過剰噴霧が軽く付着した領域から、過剰噴霧皮膜の粒状堆積物と共に著しい有機汚染および残留物を除去するのに有効なプロセス条件が判明した。一実施形態では、表面の固体CO2ドライアイスコンディショニングは、約25psiから約70psiである。また、CO2ドライアイスブラスト圧の例は、約20psi、約25psi、約30psi、約35psi、約40psi、約50psi、約60psi、約70psi、および、本明細書に開示されたこれら値の組み合わせから形成された全てのその他の範囲を含む。ドライアイス屑は、一連の回転ブレードが備えられたホッパを通った高純度の固体ブロックまたはペレットから製造される。一連の回転ブレードは、約0.5ポンド(約226.80グラム)/分、約1ポンド(約453.59グラム)/分、約1.25ポンド(約566.99グラム)/分、約1.5ポンド(約680.39グラム)/分、約1.75ポンド(約793.79グラム)/分、約2ポンド(約907.18グラム)/分、約2.5ポンド(約1133.98グラム)/分、約2.75ポンド(約1247.38グラム)/分、約3ポンド(約1360.78グラム)/分、最大4ポンド(約1814.37グラム)/分、ならびに、前述の圧力および供給量の組み合わせから形成される全ての他の範囲で供給される。一実施形態では、ドライアイスブラストステップは、扇形の分注ノズルを用いて約30秒から約10分の間継続される。分注ノズルは、1~1.5インチ(2.54~3.81センチ)スワス噴霧パターン内のサブミクロンに削られた氷粒の流れを、作業面に対して浅くかすめる程度から直交するまでの範囲のいずれかの角度で、約1~12インチ(約2.54~30.48センチ)離れた距離から作業面に当てる。別の実施形態では、表面のCO2ドライアイスブラストは、約8分から約20分の間継続される。別の実施形態では、部品のCO2ドライアイスブラストは、約18分から約30分の間継続される。また、CO2ドライアイスブラスト期間の例は、約2分、約4分、約6分、約8分、約10分、約15分、ならびに、前述の噴射時間、作業距離、および噴射角度の組み合わせから形成された全ての範囲を含む。他の実施形態では、過剰噴霧を除去するのに、洗剤、超音波処理もしくは高周波処理、ウォータージェット、または、ソフトビーズなどのソフトブラスト媒体が用いられてよい。
【0031】
他の実施形態では、固体CO2ドライアイスブラストは、官能化単分子層領域上の著しい汚染物および過剰噴霧皮膜粒状堆積物を除去する方法に置き換わりうる。この方法は、まず全ての表面をイソプロピルアルコールで払拭することを含む。この方法は、さらに、全ての表面をアセトンで払拭または浸漬することを含む。払拭は、ポリエステルまたはポリウレタン製のクリーンルーム用織布で行われる。他の実施形態では、払拭は、微粒子状堆積物を除去するのにより有効であることがわかったミラワイプなどの専用の織布で行われる。別の実施形態では、払拭は、ポリビニルアルコール(PVA)ブラシまたはポリビニルアルコール(PVA)スポンジを用いて行われる。別の実施形態では、払拭は、Scotch-Brite(商標登録)パッド、または、代替の研磨メディアを用いて行われる。イソプロピルアルコールおよび/もしくはアセトンなどの溶媒による浸漬または払拭は、著しいオイルおよび他の汚染物を表面から除去する。別の実施形態では、部品は、その後、前述の混合化学溶液、または、それらの連続した組み合わせ(0.01%から28%の希アンモニア溶液(NH4OH:H2O)もしくはSC1溶液(NH4OH:H22:H2O)混合物(1:1:50)の使用など)のいずれかに約1分から約15分の間浸漬されうる。これに、加圧脱イオン水による洗浄が続き、および/または、次に、化学物質もしくは脱イオン水を用いた超音波処理状態もしくは高周波処理状態が続く。
【0032】
過剰噴霧が除去された(ステップ128)後に、追加の洗浄が提供されてよい。図2Fは、膜212上の溶射層216が除去された後の部品204の概略断面図である。この例では、膜212を形成する単分子層は除去されている。
【0033】
例2
他の例では、気相堆積されうる、プラズマ溶射皮膜プロセスと互換性のある無機材料から、薄膜マスクなどの犠牲層が作られる。プラズマ溶射皮膜プロセスが完了した後に、犠牲層は次に、湿式洗浄、および/または、ウェットエッチングされて、溶射皮膜と比べて良い犠牲層のエッチング選択比で過剰噴霧皮膜を切り取り剥離しうる。
【0034】
図3は、この例で用いられるプロセスの高レベルフローチャートである。図4Aは、この例ではアルマイト表面を有する部品404の概略断面図である。この例の始めに、部品404は洗浄される(ステップ304)。洗浄は、有機堆積物もしくは無機堆積物またはマイクロコンタミネーションを除去することで、前駆体溶剤による次の反応のために表面終端基を化学的に活性化(例えば、ヒドロキシル化)したままにする。パターニングされたマスクが部品404上に設置される(ステップ308)。少なくとも1つの活性表面は、部品404の上に存在し、皮膜抑制が必要になるだろう領域のみを露出するためにマスキング方式を用いてマスキングされる。マスキング方式には、ハードマスクまたはソフトマスクが用いられうる。マスキング方式で用いられる材料のいくつかの例は、皮膜塗布で用いられるもの(カプトン、粉体皮膜、感光性レジスト、塗料など)などの粘着テープを含みうる。図4Bは、マスキング方式を用いてカプトンマスク408が施された後の部品404の概略断面図である。
【0035】
犠牲層を形成する露出領域上に膜が堆積する(ステップ312)。マスキングされた表面の露出領域は、無機材料(ポリシリコン、酸化シリコン、犠牲層として機能するAgなどの他の適した無機金属など)の約1nmから約1ミクロンの厚さの薄膜を堆積させる化学気相と反応する。薄犠牲層は、耐プラズマセラミック皮膜の塗布に続く洗浄ステップにおいて選択比を提供する。材料は、選択的にウェットエッチングされて、選択的であって犠牲層とだけ反応して耐プラズマセラミック皮膜を分解しないだろう化学物質を用いて、耐プラズマセラミック皮膜をアンダーカットして剥離させうる。図4Cは、膜412が堆積した後の部品404の概略断面図である。この実施形態では、膜412は、部品404の露出面およびカプトンマスク408の上に堆積する。
【0036】
パターニングされたマスクが除去される(ステップ316)。このステップは、初期のソフトマスクまたはハードマスクを除去し、続いて、IPA、アセトン、n-ヘキサン、および/もしくは、トルエンなどの溶媒で部品の表面を浸漬、フラッシング、ならびに/または払拭などの洗浄をして(ステップ320)、以前にマスキングされた領域を洗浄することを含む。図4Dは、パターニングされたマスクが除去され(ステップ316)、部品が洗浄された(ステップ320)後の部品404の概略断面図である。部品404の表面上に堆積した膜412だけが残っている。
【0037】
耐プラズマセラミック皮膜が部品の表面に塗布される(ステップ324)。イソプロピルアルコールおよび/またはアセトンによる化学払拭ステップの後に、この実施形態は、さらに、皮膜されることを意図した部品の領域上へのプラズマ溶射皮膜堆積のために、部品をプラズマ溶射皮膜環境に搬送することを含む。図4Eは、溶射層416が堆積した後の部品404の概略断面図である。
【0038】
次に、膜および過剰噴霧が除去される(ステップ328)。溶射プロセスの後に、部品は、その全ての表面がIPAに再び浸漬される別の一連の化学洗浄ステップが施されてよい。浸漬、払拭、ブラスト、またはスクラブは、以前のステップで化学官能化領域上に不十分に吸着または堆積したあらゆる残留過剰噴霧を除去することを意図している。図4Fは、膜および膜上の溶射堆積416が除去された後の部品404の概略断面図である。
【0039】
過剰噴霧が発生した終端領域から材料に軽く付着した残留材料を除去するために、いくつかの代替経路を通じてこの追加洗浄が行われてよい(ステップ332)。一方法では、微細屑の形態の固体CO2は、表面を最初に照射するブラストガスとして圧縮空気と併せて用いられる。別の実施形態では、部品は、その後、前述の混合化学溶液、または、その連続する組み合わせ(0.01%から28%の希水酸化カリウムもしくは希アンモニア溶液(NH4OH:H2O)、AMP溶液(NH4OH:H22:H2O)混合物(1:1:2~50)、希フッ化水素/過酸化水素混合液、もしくはグリセリンを含む緩衝アンモニアおよび緩衝フッ化水素溶液、またはグリコール類の使用など)に1分から約30分の間浸漬されてよい。これに、加圧脱イオン水による洗浄が続き、および/または、次にブラスト、スクラブ、化学物質もしくは脱イオン水を用いる超音波処理状態もしくは高周波処理状態が続く。
【0040】
現在の開示は、影響を及ぼす過剰噴霧堆積のない高精度のマスキングによって規定された優れた皮膜仕上がりを示すプラズマ溶射皮膜部品を生成する方法を提供する。この方法は、プラズマ溶射皮膜プロセス条件の直接対象となるバルク材料を用いて、部品を直接ソフトマスキングまたはハードマスキングすることを避ける。この方法は、下地層のアルマイト表面を損傷することがわかっている広いプロセスウィンドウがないことでアルミニウムを露出する、または、不要なブラスト堆積物の発生による著しい汚染を追加するアグレッシブビードブラスト洗浄法を用いることを避ける。過剰噴霧を除去するための従来のビードブラスト媒体およびその技術の使用は、部品アーキテクチャの複雑さ、および、許容可能な結果を達成するためにオペレータから要求される技量のため、製造に全く優しくないこともわかっている。さらに、予想される全ての修理は、かかる非効率および製品歩留まりの悪さのため、製造部品のコストの増加に関連するだろう。
【0041】
提案の方法は、プラズマ溶射条件により適する、バルク汚染に関する問題を引き起こさない無機化合物の単分子膜または薄膜によるバルク表面の直接化学官能化を可能にする。また、仕上がりおよびエッジ急変領域の問題を引き起こす皮膜プロセス中の噴霧流動ダイナミクスを変更しうるハードマスクの使用も避ける。
【0042】
この方法は、残りの部品と化学的に互換性のある軽く付着した過剰噴霧を除去するために、極めてより丁寧でより清潔な技術の使用を可能にする。それらの技術は、乾式アイスブラスト、および/または、犠牲層の化学溶解、および、アンダーカットリフトオフ洗浄機構によって行われうる。これらの顕著な違いは、本製造プロセスの技術態様の複雑さを簡素化するのに役立ち、はるかに製造に優しくコスト効率が良くなるだろう。
【0043】
部品は、プラズマ処理チャンバにおいて用いられてよい。溶射皮膜は、約1000℃までの温度のエッチングプラズマ環境において保護を提供できる。パターニングされた溶射皮膜は、エッチングチャンバの高フローライナに用いられてよい。
【0044】
図5は、一実施形態が用いられうるエッチングリアクタの概略図である。1つ以上の実施形態では、プラズマ処理チャンバ500は、チャンバ壁552に囲まれたエッチングチャンバ549内に、ガス導入口および静電チャック(ESC)508を提供するガス分配板506を備える。エッチングチャンバ549内には、基板支持体であるESC508の上にスタック503が位置する。エッジリング509は、ESC508を取り囲む。ESC源548は、ESC508にバイアスを提供してよい。ガス源510は、ガス分配板506を介してエッチングチャンバ549に接続される。ESC温度制御装置550は、ESC508に接続される。無線周波数(RF)源530は、本実施形態ではESC508およびガス分配板506である下部電極および/または上部電極にRF電力を提供する。例示の実施形態では、400kHz、60MHz、および任意で2MHz、27MHzの電源がRF源530およびESC源548を構成する。本実施形態では、上部電極は接地される。本実施形態では、各周波数に1つの発生器が提供される。他の実施形態では、発生器は別のRF源にあってよい、または、別々のRF発生器が異なる電極に接続されてよい。例えば、上部電極は、異なるRF源に接続された内部電極および外部電極を有してよい。他の実施形態では、他の配置のRF源および電極が用いられてよい。制御装置535は、RF源530、ESC源548、排気ポンプ520、およびガス源510に制御可能に接続される。高フローライナ504は、ガス源からのガスを制限し、スロット502を有する、エッチングチャンバ549内のライナであり、それによりガス源510から排気ポンプ520までを通る制御されたガス流が可能になる。かかるエッチングチャンバの例は、カリフォルニア州フレモント所在のラムリサーチ株式会社によって製造されたExelan Flex(商標登録)である。
【0045】
一実施形態では、アルミニウム製の高フローライナ504の内部は、イットリアの溶射皮膜が塗布される。本実施形態では、高フローライナ504内部のスロット502および様々な部品の内側は、皮膜されない。本実施形態では、皮膜されるべき高フローライナ504内部の部品にパターニングされたマスクが施される(ステップ108)。膜は、スロット502の内側など、皮膜されるべきでない高フローライナ504内部の部品上に堆積する。パターニングされたマスクが除去される(ステップ116)。高フローライナ504の内部がイットリア皮膜で溶射される(ステップ124)。膜で覆われたスロット502および他の部品の内側の過剰噴霧が除去される(ステップ128)。追加洗浄(ステップ132)などの追加処理の後に、高フローライナ504は、プラズマ処理チャンバ内に設置され、プラズマ処理に用いられてよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、過剰噴霧は、膜上に堆積し、次に除去される。他の実施形態では、溶着は膜上に堆積しないため、過剰噴霧の除去ステップは必要ない。いくつかの実施形態では、膜は、シラン含有成分もしくは代替の熱的に安定な紫外線(UV)硬化性工業用混合物を含む前駆体から形成された単分子膜または多層膜であってよい。いくつかの実施形態では、膜は、約1mm未満の厚さを有する。
【0047】
いくつかの実施形態では、溶射皮膜は、他の耐プラズマセラミック皮膜に置き換えられてよい。かかる耐プラズマセラミック皮膜は、溶射、物理気相堆積(PVD)、化学気相堆積(CVD)、プラズマ強化化学気相堆積(PECVD)、原子層堆積(ALD)、または、電気化学堆積によって施されてよい。かかる耐プラズマセラミック皮膜は、皮膜された部品よりもプラズマエッチングまたは腐食により耐性がある。耐プラズマセラミック皮膜は、イットリア、ジルコニア、アルミナ、複合配合物、他のランタン系のIII族元素またはIV族元素から作られうる高接着力を有する同相皮膜のうち1つ以上を含んでよい。
【0048】
本開示は、いくつかの好ましい実施形態に照らして説明されてきたが、本開示の範囲に該当する変更、修正、並べ替え、および様々な代替同等物がある。本開示の方法および装置を実行する多くの代替方法があることにも注意されたい。そのため、以下の添付の特許請求の範囲は、本開示の真の精神および範囲に該当する全てのかかる変更、修正、並べ替え、および様々な代替同等物が含まれると解釈されることを意図している。
本発明は、たとえば、以下のような態様で実現することもできる。
適用例1:
プラズマ処理チャンバにおける使用のために部品に耐プラズマセラミック皮膜を提供するための方法であって、
パターニングされたマスクを前記部品上に設置することと、
前記部品を覆って膜を堆積させることと、
前記パターニングされたマスクを除去することと、
耐プラズマセラミック皮膜を前記部品上に施すことと、
を含む、方法。
適用例2:
適用例1の方法であって、さらに、
前記耐プラズマセラミック皮膜を前記部品上に施すことの後に前記膜を除去することを含む、方法。
適用例3:
適用例2の方法であって、
前記膜を除去することは、前記膜を覆って施された前記耐プラズマセラミック皮膜の部分を除去する、方法。
適用例4:
適用例1の方法であって、さらに、
前記膜を覆って堆積した前記耐プラズマセラミック皮膜の1つ以上の部分を除去することを含む、方法。
適用例5:
適用例1の方法であって、
前記膜は、単分子層である、方法。
適用例6:
適用例1の方法であって、
前記膜は、シラン含有成分もしくは代替の熱的に安定なUV硬化性工業用混合物を含む前駆体から形成された単分子膜または多層膜である、方法。
適用例7:
適用例6の方法であって、
前記シラン含有成分は、さらに、ポリマ含有成分を含む、方法。
適用例8:
適用例1の方法であって、
前記膜は、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、アルコキシシラン、およびアルキルシランからなる群のうちの少なくとも1つの化学前駆体剤から形成された単分子層である、方法。
適用例9:
適用例1の方法であって、
前記膜は、ポリシリコン、酸化シリコン、およびAgからなる群のうちの少なくとも1つの無機材料の層である、方法。
適用例10:
適用例1の方法であって、
前記膜は、約1mm未満の厚さを有する、方法。
適用例11:
適用例1の方法であって、
前記パターニングされたマスクは、カプトン、粉体塗装、3Mテープ、感光性レジスト、塗料、シリコン、およびハードマスクのうちの少なくとも1つの層を含む、方法。
適用例12:
適用例1の方法であって、さらに、
前記膜を覆って堆積した前記耐プラズマセラミック皮膜の1つ以上の部分を除去することを含み、イソプロピルアルコール、PVA、代替のソフトスクラブ媒体または研磨媒体、アセトン、フッ化水素/過酸化水素溶液、グリセリンを含むフッ化水素溶液、グリコール類、およびアンモニア含有溶液のうちの少なくとも1つを用いて前記耐プラズマセラミック皮膜を払拭することもしくは浸漬すること、または、洗剤、超音波処理もしくは高周波処理、ウォータージェット、CO2ブラスト、もしくはソフトビードブラストを用いて洗浄することを含む、方法。
適用例13:
適用例1の方法であって、さらに、
前記膜を覆って堆積した前記耐プラズマセラミック皮膜の1つ以上の部分を除去することを含み、固体CO2屑を約25psiより大きい圧力で前記耐プラズマセラミック皮膜に向けることを含む、方法。
適用例14:
適用例1の方法であって、
前記耐プラズマセラミック皮膜を施すことは、溶射皮膜を施すことを含む、方法。
適用例15:
適用例1の方法であって、さらに、
前記パターニングされたマスクを除去した後であって、前記耐プラズマセラミック皮膜を施す前に、洗浄することを含む、方法。
適用例16:
適用例1の方法であって、
前記耐プラズマセラミック皮膜は、イットリア、ジルコニア、およびアルミナのうちの1つ以上を含む、方法。
適用例17:
適用例1の方法であって、
前記耐プラズマセラミック皮膜は、ランタン系のIII族元素またはIV族元素の1つ以上を含む、方法。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5