(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】力試験機を検証するための検証装置、力試験機を検証する方法、及び力を測定する方法
(51)【国際特許分類】
A61M 5/28 20060101AFI20240412BHJP
G01N 3/00 20060101ALI20240412BHJP
G01N 5/00 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
A61M5/28
G01N3/00 Z
G01N5/00 Z
(21)【出願番号】P 2020531473
(86)(22)【出願日】2018-12-07
(86)【国際出願番号】 EP2018083923
(87)【国際公開番号】W WO2019110778
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2021-12-02
(32)【優先日】2017-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】514099673
【氏名又は名称】エフ・ホフマン-ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ドレーア, サシャ
(72)【発明者】
【氏名】フォーゲルマン, マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ハメリッヒ, ソーベン
(72)【発明者】
【氏名】コンラス, エヴァ
(72)【発明者】
【氏名】モロニ, パオロ
(72)【発明者】
【氏名】クラム, ゲオルク
【審査官】田中 玲子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0343148(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105398821(CN,A)
【文献】米国特許第06105230(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/28
G01N 3/00
G01N 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
注射器構成体(7)、特に、突き刺し針・充填済み注射器(8)と、前記突き刺し針・充填済み注射器(8)と協働する針安全デバイス(9、9’、9”)とを備えた、注射器構成体(7)の動作に関与する力を測定するための力試験機(FTM)を使用する試験プロセスを検証するための力試験機検証装置(1)であって、
注射器構成体代替物(2)、並びに
前記力試験機内の予め規定された位置及び方向で前記注射器構成体代替物(2)を支持するように配置されたホルダ(3)を備え、
前記注射器構成体代替物(2)が、前記注射器構成体のブレークルース力を模倣するように構成されたブレークルース部(4)、及び前記注射器構成体の注入力を模倣するように構成された注入力部(5)を備え、
前記注射器構成体代替物(2)が、前記注射器構成体(7)の針安全デバイス起動力を模倣するように構成された針安全デバイス起動力部(6)を備える、FTM検証装置(1)。
【請求項2】
前記注射器構成体代替物(2)の前記ブレークルース部(4)が、キャリア(41)、及び前記キャリア(41)に対して軸方向(A)へ移動可能な遠位プランジャー(42)を有し、前記遠位プランジャー(42)が、前記注射器構成体(7)の前記ブレークルース力に相当する力が加えられたことによって離脱可能なように前記キャリア(41)に連結されている、請求項1に記載のFTM検証装置(1)。
【請求項3】
前記注射器構成体代替物(2)の前記ブレークルース部(4)の前記キャリア(41)に、第1の磁気要素(43)が装備され、前記注射器構成体代替物(2)の前記ブレークルース部(4)の前記遠位プランジャー(42)が、第2の磁気要素(44)を有し、前記遠位プランジャー(42)が、前記第1の磁気要素(43)と前記第2の磁気要素(44)の間で作用する磁力によって、前記キャリア(41)に連結されている、請求項2に記載のFTM検証装置(1)。
【請求項4】
前記注射器構成体代替物(2)の前記ブレークルース部(4)が、前記キャリア(41)の前記第1の磁気要素(43)と前記遠位プランジャー(42)の前記第2の磁気要素(44)との間の距離が調整可能に予め規定可能であるように、前記キャリア(41)の前記第1の磁気要素(43)と前記遠位プランジャー(42)の前記第2の磁気要素(44)の間に配置された調整可能なスペーサ構造(45)を備える、請求項3に記載のFTM検証装置(1)。
【請求項5】
前記注射器構成体代替物(2)が、前記ホルダ(3)に取り付け可能な支持構造(46)を備える、請求項2から4のいずれか一項に記載のFTM検証装置(1)。
【請求項6】
前記支持構造(46)が、対応する異なった寸法の注射器構成体(7)をシミュレートするように構成された、異なった寸法の注射器構成体代替物(2)を受け入れるように調整可能である、請求項5に記載のFTM検証装置(1)。
【請求項7】
前記注射器構成体代替物(2)の前記ブレークルース部(4)が、遠位スリーブ(47)を備え、前記遠位プランジャー(42)が、前記キャリア(41)に連結されているときに、前記遠位スリーブ(47)を通って軸方向に延在する、請求項2から6のいずれか一項に記載のFTM検証装置(1)。
【請求項8】
前記注射器構成体代替物(2)の前記注入力部(5)が、ばね(52)、前記ばね(52)を収容する外側スリーブ(51)、及び前記外側スリーブ(51)の中に延在する中間プランジャーアセンブリを有し、前記中間プランジャーアセンブリの第1のロッド部材(53a)が、前記外側スリーブ(51)に対して軸方向(A)へ移動可能であり、前記ばね(52)が、前記第1のロッド部材(53a)が前記軸方向(A)に前記外側スリーブ(51)の中へ移動したときに、変形するように配置されている、請求項1から7のいずれか一項に記載のFTM検証装置(1)。
【請求項9】
前記注入力部(5)の前記中間プランジャーアセンブリが、更なるばね(54)、前記更なるばね(54)を収容する内側スリーブ(55)、及び前記内側スリーブ(55)の中に延在する第2のロッド部材(53b)を有し、前記第2のロッド部材(53b)が、前記内側スリーブ(55)に対して前記軸方向(A)へ移動可能であり、前記更なるばね(54)が、前記第2のロッド部材(53b)が前記軸方向(A)に前記内側スリーブ(55)の中へ移動したときに、変形するように配置されている、請求項8に記載のFTM検証装置(1)。
【請求項10】
前記中間プランジャーアセンブリに、丸みを帯びた遠位端部分(56)が装備されている、請求項8又は9に記載のFTM検証装置(1)。
【請求項11】
前記中間プランジャーアセンブリが、前記第2のロッド部材(53b)上に横たわる球(56)を備え、それによって、前記丸みを帯びた遠位端部分を形成する、請求項9に従属するときの請求項10に記載のFTM検証装置(1)。
【請求項12】
前記注入力部(5)の前記中間プランジャーアセンブリの前記遠位端部分(56)が、前記ホルダ(3)が前記力試験機内の前記予め規定された位置及び方向で前記注射器構成体代替物(2)を支持しているときに、前記ブレークルース部(4)の前記遠位プランジャー(42)の近位端と接触する、
請求項8が直接的又は間接的に請求項2に従属するときの請求項10又は11に記載のFTM検証装置(1)。
【請求項13】
前記注射器構成体代替物(2)の前記針安全デバイス起動力部(6)が、前記注入力部(5)の前記中間プランジャーアセンブリが前記力試験機によって進められたときに、前記中間プランジャーアセンブリと接触するように配置された、コネクタ(61)を備える、請求項8から12のいずれか一項に記載のFTM検証装置(1)。
【請求項14】
前記注射器構成体代替物(2)の前記針安全デバイス起動力部(6)が、前記針安全デバイス起動力に相当する力で前記コネクタ(61)を離脱可能に保持する本体(69)を備える、請求項13に記載のFTM検証装置(1)。
【請求項15】
前記コネクタ(61)に、第3の磁気要素(64)が装備され、前記本体(69)に、第4の磁気要素(67)が固定され、前記コネクタ(61)が、前記第3の磁気要素(64)と前記第4の磁気要素(67)の間で作用する磁力により、前記本体(69)によって保持される、請求項14に記載のFTM検証装置(1)。
【請求項16】
前記注射器構成体代替物(2)の前記針安全デバイス起動力部(6)が、前記コネクタ(61)が前記軸方向(A)に移動したときに変形するように配置された最後のばね(65)を備える、請求項13から15のいずれか一項に記載のFTM検証装置(1)。
【請求項17】
前記針安全デバイス起動力部(6)の前記本体(69)が、前記最後のばね(65)を収容する中空内部、及び前記コネクタ(61)が前記最後のばね(65)に向かって貫通移動可能な開口部(66)を備える、請求項14に従属するときの請求項16に記載のFTM検証装置(1)。
【請求項18】
注射器構成体(7)の動作に関与する力を測定するための力試験機を使用する試験プロセスを検証する方法であって、
請求項1から17のいずれか一項に記載のFTM検証装置(1)を取得すること、
前記FTM検証装置(1)を前記注射器構成体(7)の特性に合わせてカスタマイズすること、
前記注射器構成体(7)に応じて前記力試験機を調整すること、
前記力試験機の中に前記FTM検証装置(1)を設けること、及び
前記力試験機を予め規定されたサイクル数だけ動作させることを含む、方法。
【請求項19】
注射器構成体(7)の動作に関与する力を測定するための力試験機(FTM)を使用する試験プロセスを検証するための請求項1から17のいずれか一項に記載の力試験機検証装置(1)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、注射器構成体の動作に関与する力を測定するための力試験機(FTM)を必須の部分として含む試験プロセスを検証するための検証装置に関する。注射器構成体は、突き刺し針(staked-in needle)及び針安全デバイスを有する充填済み注射器を備え得る。また、本発明は、このようなFTM検証装置を採用することにより、注射器構成体の動作に関与する力を測定するためのFTMを必須の部分として含む試験プロセスを検証する方法、並びに注射器構成体の動作に関与する力を測定する方法にも関し、該測定プロセスは、前述の検証方法によって検証されている。
【0002】
[0002] このような検証装置及び方法は、注射器構成体の開発及び製造に関連して配備された試験装備及び試験プロセスが、信頼性が高く、試験されている注射器構成体の動作上の現実を正確且つ精密に反映した一貫した結果を得ることを保証するために使用され得る。
【背景技術】
【0003】
[0003] 一般的に、薬剤製品、バイオテクノロジー製品、医薬品は、それらが意図された用途に適合し、不適切な副作用を有さないことを保証するために厳格に規制されている。製品だけでなく、関連するプロセスも、製造された製品の間違いや不具合を防止し、顧客にソリューションやサービスを提供する際の問題を回避するために、品質保証プログラムを遵守する必要がある。特に、調剤産業又は医療産業の文脈では、製品、デバイス、及びプロセスが、一貫して確実に期待される結果を生み出すことが通常最も重要である。これを保証するために、通常、プロセス及び/又は製品若しくはデバイスが、検証される。
【0004】
[0004] 本明細書で使用される際に「検証」という用語は、特定の用途又は特定の使用の要件や条件が満たされていることを客観的証拠によって確認することに関する。通常、それは、(例えば、試験中に)実行されるプロセスが、予め規定された規格に適合する所望のレベルを全ての段階で維持していることを示す文書化された証拠の作成を含む。次いで、安定した検証されたプロセスの結果は、常に、実生活の中で意図され宣言された通りに作業を遂行できる、製品の生産のはずである。検証は、米国食品医薬品局(FDA)などの、食品、医薬品、及び薬剤の規制当局から要求される。そのような機関によって発行された優良医薬品製造基準ガイドライン(good manufacturing practices guideline)は、最終製品がその意図された目的の所定の仕様及び要件を満たし、所与の範囲内で一貫して機能するかどうかをチェックするために、一組の独立した手順が実施されることを明記している。したがって、規制当局による製品承認を受けるためには、検証が不可欠である。
【0005】
[0005] 検証には、最終的な薬剤製品の開発、試験、及び製造向けに用いられるシステム及び装備の適格性確認も含まれる。精密機器、検査装備、又は特殊な機械では、わずかな不正確さであっても問題を引き起こし、不完全な、矛盾した、又は誤った結果につながる可能性がある。特に、試験装備を検証する誤ったシステムは、誤った仮定につながる可能性があり、最終的には業界の規範を遵守できず、意図した用途に適合した製品を得ることができなくなる。
【0006】
[0006] 典型的には、すぐに使用できる充填済み注射器などの注射器構成体の動作向けにも、品質保証が必要である。したがって、このような注射器構成体を使用して注入している間に関与する力は、その安全で正確な動作のために重要である。例えば、注射器構成体のプランジャーを前進させるためにユーザが加える力が高過ぎるときに、そのような動作は困難又は不正確であり、適切な送達品質は保証できないだろう。したがって、このような注入力は、FTM及び補助装備を必須の部分として含む試験プロセスがしばしば使用される場合に測定される。
【0007】
[0007] しかし、既知の試験プロセスはしばしば完全には信頼できず、その正確さは、試験向けに使用される注射器構成体の挙動における不均一性によって影響を受けることが示されてきた。更に、このような試験プロセスもまた、通常、検証されなければならない。しかし、実際の製品単位(すなわち、単一の注射器構成体)を何回も使用する従来の試験は、当然破壊的であり、繰り返し試験のたびに新しい製品単位が必要であるため、試験プロセスのこのような検証は、資源を消費し、費用がかかる場合がある。
【0008】
[0008] したがって、注射器構成体の動作を試験することに含まれる力の測定を現実的に反映した、信頼性が高くロバストな試験データを繰り返し提供することを可能にする、検証装置が必要とされている。また、注射器構成体の動作に関連して、FTMを必須の部分として含むより正確な試験プロセスを検証することも同時に必要である。
【発明の概要】
【0009】
[0009] 本発明によれば、このニーズは、独立請求項1の特徴によって規定される通りに、力試験機(FTM)検証装置によって、独立請求項19の特徴によって規定される通りに、力試験機を必須の部分として含む試験プロセスを検証する方法によって、及び独立請求項20の特徴によって規定される通りに使用されることによって、解決される。好適な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0010】
[0010] 一態様では、本発明が、力試験機を必須の部分として含む試験プロセスを検証するための力試験機(FTM)検証装置に関する。本発明の特定の文脈において、「検証」という用語は、FTM検証装置及び関連する試験プロセスが、適用されたときに注射器構成体の機能の形態における特性を再現性よくシミュレートすることの確認として、より具体的に理解することができる。FTMは、特に、注射器構成体の動作に関与する力を測定するために使用される。FTM検証装置は、特に、突き刺し針(SIN)・充填済み注射器(PFS)及びSIN PFSと協働する針安全デバイスを備えた注射器構成体の動作中の力を測定するためのFTMを必須の部分として含む試験プロセスを検証するために使用されると殊に考えられる。
【0011】
[0011] 本発明によるFTM検証装置は、注射器構成体代替物、並びにFTM内の予め規定された位置及び方向で注射器構成体代替物を支持するように配置されたホルダを備える。このホルダもまた、試験される注射器構成体を正確に配置するために、検証される試験プロセスにおいて有利に使用される。したがって、通常、ホルダは、検証されるプロセス又はシステムの部分を形成する。
【0012】
[0012] 注射器構成体代替物は、注射器構成体の標準化された又は他の実施形態をシミュレートするか又は模倣するように構成される。例えば、注射器構成体は、1.0ミリリットル又は2.25ミリリットルの医薬物質を投与するように寸法決定された突き刺し針・充填済み注射器(SIN PFS)などの注射器を備えることができる。
【0013】
[0013] FTM検証装置では、注射器構成体代替物が、注射器構成体のブレークルース力(break loose force)を模倣するように構成されたブレークルース部(break loose part)と、注射器構成体の注入力を模倣するように構成された注入力部とを含む。
【0014】
[0014] 本発明の文脈において、PFSと略称される「充填済み注射器」という用語は、注射器に関し、そのバレルは所与の用量の医薬物質又は原体で充填されている。このような充填済み注射器には、突き刺し針(SIN)又は適用前に適切な針と連結するためのアダプターが設けられてよい。
【0015】
[0015] 本明細書で使用される際に、用語「薬物」は、治療的に活性な物質(一般に、医薬品有効成分(API)とも呼ばれる)、並びに複数のこのような治療的に活性な物質の組み合わせに関する。この用語はまた、診断薬又は画像診断薬、例えば、造影剤(例えば、MRI造影剤)、トレーサー(例えば、PETトレーサー)、及びホルモンも包含し、これらは、液体形態で患者に投与する必要がある。
【0016】
[0016] 本明細書で使用される際に、「原体」又は「医薬物質」という用語は、患者への投与に適した形態に製剤化又は再構成された、上で規定されたような薬物に関する。例えば、原体は、薬物の他に、添加剤及び/又は他の補助成分を追加的に含んでよい。本発明の文脈において特に好適な原体は、薬液、特に、例えば、皮下、筋肉内、皮内、又は眼注射用の溶液であってよく、注射器構成体を介して注射することができる。
【0017】
[0017] 本明細書で使用される用語「医療品」は、原体又は複数の原体を含む最終製品に関する。特に、医療品は、適切な用量及び/又は投与のための適切な形態で、原体を有する医療品を使用する準備ができていてよい。例えば、医療品は、注射器構成体や充填済み注射器などの投与デバイスを含んでよい。
【0018】
[0018] 注射器構成体又は注射器は、薬剤送達システムのようなより一般的な用語として考えることができ、これは、原理としては、従来の注射器のように、人間若しくは動物の患者の体内に適切な用量の予め充填された医薬物質を投与するために手動で操作することができ又は自動で動作し得る。本文脈では、注射器又は注射器構成体が、医薬物質で予め充填された容器を収容する自動注射デバイスの形態を採ることもでき、これは、動作時に、容器を患者の送達部位に向かって近位方向に移動させ、容器上の針をデバイスハウジングから突き出して治療薬を患者の体内に注入させる。この自動性は、典型的には、オペレータによってトリガされたときに患者への薬物の送達を自動的に実行する機構によって実現される。したがって、「注射器」という用語は、患者による自己投与を意図した注射デバイス、又は自動注射デバイスなどの経験の少ない人員による投与も含んでよい。これらのデバイスは、熟練していないオペレータによる針ベースの送達デバイスを介した、薬物の投与に関連付けられた操作上及び安全上の課題を克服するように明示的に設計されている。
【0019】
[0019] 好適な実施形態では、注射器構成体が、突き刺し針・充填済み注射器(SIN PFS)を備えるか、又は突き刺し針・充填済み注射器(SIN PFS)である。このようなSIN PFSは、取り扱い及び使用が比較的簡便であることが示されてきた。このような注射器では、医薬物質が、注射器の内部に、適用される準備の整った溶解された又は他の液体形態で提供される。このように、ユーザは、注射器の中に薬液を充填したり、針を注射器本体に手動で組立てたりする必要がなく、すぐに注射できる注射器を受け取る。これにより、使用中の負傷や不適切な取り扱いの発生を最小限に抑えることができる。
【0020】
[0020] 通常、SIN PFSは、注射器本体、突き刺し針、及び硬性針シールド(RNS)から構成される。RNSは、誤って突いて傷つけたり、医薬物質が漏れたり、汚染物が侵入したりすることを防ぐ目的で針を封じ込めることができる。一般的に、RNSは、針に隣接し針を組み込む内側エラストマー部分と、熱硬化性プラスチック材料などで作製することができる外側ソリッド部分とを有する。
【0021】
[0021] 更に、一般的に注射器を動作させるときに、ブレークルース力は、注射器構成体内の注射器のプランジャーのストッパの静的摩擦を克服し、その貯蔵延在位置からプランジャーを動かし始めるのに必要な力である。先ず、注射器のバレルとバレルに沿って摺動するプランジャーのストッパとの間の抵抗を克服し、プランジャーヘッドを動かす必要がある。一例として、ブレークルース力が過剰に増加した場合、注射器構成体内に組み込まれた自動注射器内のばねは、それによって引き起こされる抵抗を克服できないことがあり、その結果、注入を開始することができない。
【0022】
[0022] 更に、注射器の動作では、一旦静的摩擦が克服されると、注射器の内容物を排出するために、注入力が、注射器又は注射器構成体のプランジャーの動きを維持又は持続させるために必要な力である。プランジャーのストッパは、注射器バレルの下方に移動すると、注射器バレルが空になるまで摩擦抵抗を受ける。この抵抗は注入力又は滑走力の一部となり得る。注入力の増大は、注入時間が容認できないほど長いポイントまでプランジャーの動きを遅らせる可能性があり、最悪の場合にはプランジャーを停止させ、完全な投与量が送達されることを妨げ得る。より具体的には、注入力が、プランジャーのストッパと注射器本体又はバレルの内壁との間の上述の摩擦、(その粘性を考慮して)注射器本体の内側に位置付けられ且つ投与される医薬物質によってかけられる流体力学的抵抗又は抗力、比較的小さな直径の針を通して物質を移動させるために克服されるべき抵抗などの、複数の力成分の結果であり得る。また、それは、原体の送達前に圧縮される空気によって加えられる初期的に異なる力の成分も含み得る。したがって、通常、注入力は、物質の粘度、針の内径、バレル、気泡の存在、及び気泡のサイズなどの、複数のパラメータに依存する。注入力は、ブレークルース力より低くいこともあり、同じなこともあり、場合によっては高いこともある。
【0023】
[0023] FTM検証装置のホルダは、注射器構成体代替物と一体化することができ、例えば、注射器構成体代替物において又は注射器構成体代替物内で具現化される特定の手段又は特徴から構成され得る。有利なことに、FTM検証装置のホルダは、注射器構成体代替物とは別個の若しくは分離可能な構築物であるか又はそれを備える。
【0024】
[0024] 特に、ホルダは、一方の側では力試験機に、他方の側では注射器構成体又はその代替物の一部分に連結することができる。
【0025】
[0025] 本発明によるFTM検証装置は、FTMが注射器構成体又は注射器構成体を有する医薬品の試験に使用されるところの、試験プロセスを効率的かつ正確に検証することを可能にする。したがって、FTM検証装置に注入力部並びにブレークルース力部を設けることにより、注射器構成体の動作に関与する力の改善された模倣を可能にする。このように、注射器構成体の動作は、検証がより正確で信頼できるように、より良くシミュレートすることができる。更に、FTM検証装置は、試験プロセスの検証及び調整中に、注射器構成体又は医薬品の無駄を防止することができる。
【0026】
[0026] 好適には、注射器構成体代替物が、ホルダに取り付けることができる支持構造を備える。支持構造の取り付けは、予め規定された距離が、代替物又はその特定の部分とホルダとの間で確立されるようになっていてよい。
【0027】
[0027] 好適には、支持構造が、対応する異なった寸法の注射器構成体をシミュレートするように構成された、異なった寸法の注射器構成体代替物を受け入れるように調整可能である。したがって、異なったサイズ及び種類の注射器の挙動をシミュレートすることができる。また、支持構造は、下にある注入力部から来る背圧が補償されるように構成されてよい。更に、荷重下で、キャリアが支持構造のグリップから滑ることを防止するように、回転防止機能が支持構造内に組み込まれてよい。このような回転防止機能は、スライダー機構又は類似物によって付与されてよく、支持構造及びキャリアの相対的な回転を遮断することができる。
【0028】
[0028] 好適には、注射器構成体代替物のブレークルース部が、キャリアと、キャリアに対して軸方向に移動可能な遠位プランジャーとを有する。この場合、遠位プランジャーは、注射器構成体のブレークルース力に相当する力を加えることによって離脱可能となるようにキャリアに連結されてよい。軸方向は、遠位プランジャーの一般的な移動の方向であってよく、それに沿って力試験機検証装置の全体が延在するところの一般的な長手方向に一致してよい。注射器構成体代替物及びホルダは、実質的に同じ長手方向又は軸方向に沿って延在してよい。
【0029】
[0029] 本発明に関連して、「遠位」という用語は、注射器構成体代替物によって表される、注射器構成体が適用され得る身体又は人体から離れる方向に関する。同様に、「近位」という用語は、注射器構成体代替物によって表される、注射器構成体が適用され得る身体又は人体に向かう方向に関する。例えば、身体又は人体内に穿刺されることを意図した針と、針を通して物質を送達するために押されるプランジャーと、を有する注射器構成体の実施形態では、近位端が、針の先端によって形成され、遠位端が、押されるプランジャーのセクションによって形成される。
【0030】
[0030] 好適には、注射器構成体代替物のブレークルース部が、上述のようなキャリアを有するときに、注射器構成体代替物の支持構造は、キャリアを固定的に保持し、注入力部に対して取り付け可能である。支持構造の取り付けは、好適には、ブレークルース部と注入力部との間で、特定の標準化された特性及び寸法を有する所与の注射器構成体をシミュレートするのに適した、予め規定された相関が確立されるようになっている。
【0031】
[0031] 好適には、注射器構成体代替物のブレークルース部のキャリアに、第1の磁気要素が装備され、注射器構成体代替物の同じブレークルース部の遠位プランジャーが、第2の磁気要素を有する。したがって、遠位プランジャーは、第1の磁気要素と第2の磁気要素の間で作用する磁力によってキャリアに連結される。
【0032】
[0032] 特に、第1の磁気要素と第2の磁気要素のうちの一方は、磁石であってよく又は磁石を備えてよく、第1の磁気要素と第2の磁気要素のうちの他方は、上述の磁力がそれらの間で発揮され得るように、適切な金属などの磁性材料から作製されてよい。第1の磁気要素と第2の磁気要素を有するこのような実施形態では、磁力が、注射器構成体代替物を介してシミュレートされる注射器構成体のブレークルース力と実質的に等しいか又は比例してよい。FTMが遠位プランジャーに力を加えたときに、注射器構成体代替物の更なる動作を可能とするために、そのような磁力は克服されなければならない。これにより、対応する注射器構成体のブレークルース力を適切に模倣することができる。一例として、遠位プランジャーは金属ディスクを組み込むことができ、キャリアには、おそらく専用の陥凹内でキャリアの本体の中に収容される円筒状の磁石又は類似物のアレイが設けられてよい。ブレークルース部の設計は、遠位プランジャーがキャリアから取り外されるために、FTM検証装置が、金属ディスクとキャリアの間に存在する磁力より大きいブレークルース力を加える必要があるようになっている。
【0033】
[0033] 好適には、注射器構成体代替物のブレークルース部は、キャリアの第1の磁気要素と遠位プランジャーの第2の磁気要素との間に配置された調整可能なスペーサ構造を備える。このようなスペーサ構造を設けることによって、キャリアの第1の磁気要素と遠位プランジャーの第2の磁気要素との間の距離が、調整可能に予め規定可能である。このようなスペーサ構造は、FTM検証装置を、模倣される注射器構成体内で与えられる状況に合わせて効率的に調整することを可能にする。したがって、スペーサ構造は、第1の磁気要素と第2の磁気要素の間に配置可能な、一組のプレート又はシート、例えばマイラーディスク(Mylar disc)を備えてよい。磁気要素の間に適切な量のプレート又は シートを配置することにより、第1の磁気要素と第2の磁気要素の間の距離の調整が可能となり、その結果、それらの間の磁力を正確に規定することができる。更に又は代替的に、プレート又はシートは、磁力を調整するための適切な幅を有するプレート又はシートが選択されるように、異なる幅で具現化することができる。
【0034】
[0034] 更に、注射器構成体代替物のブレークルース部は、キャリア内で変位可能に配置された遠位スリーブを備えることができ、その場合、遠位プランジャーは、キャリアに連結されたときに遠位スリーブを通って軸方向に延在する。このような遠位スリーブは、遠位プランジャーのより良好な保持及び誘導を可能にすることができる。有利なことに、遠位スリーブは、軸方向に延在するボア又は貫通孔を含み、そこを通して遠位プランジャーが配置される。
【0035】
[0035] 好適には、注射器構成体代替物の注入力部が、ばね、ばねを収容する外側スリーブ、及び外側スリーブの中に延在する中間プランジャーアセンブリを備える。特に、中間プランジャーアセンブリの第1のロッド部材は、外側スリーブに対して軸方向へ移動可能であり、ばねは、第1のロッド部材が軸方向に外側スリーブの中へ移動されたときに、変形するように配置されてよい。
【0036】
[0036] 本出願の文脈では、「ばね」という用語が、屈曲や圧縮などのように弾性的に変形されたときに弾性力を提供するのに適した任意の要素に関してよい。通常、ばねは、一旦変形されると、それらが元の形態又は形状に戻る傾向があるような弾性要素である。したがって、ばねは、ばねがそうすることを妨げる何らかの手段に力を与える。単純で効率的な実施形態では、ばねが、螺旋状のばねであってよい。
【0037】
[0037] 更に、注入力部は、更なるばね、更なるばねを収容する内側スリーブ、及び内側スリーブの中に延在する第2のロッド部材を備えてよい。この場合、第2のロッド部材は、内側スリーブに対して軸方向へ移動可能とされてよく、更なるばねは、第2のロッド部材が軸方向に内側スリーブの中へ移動されたときに、変形されるように配置されてよい。
【0038】
[0038] 第1のロッド部材の動作の場合と同様に、この文脈における「変形される」という用語は、特に、圧縮されているばね、曲げられているばねなどに関し得る。
【0039】
[0039] このような構成は、多くの注射器構成体で与えられる状況を正確にシミュレートすることを可能にする。例えば、ばねのうちの一方は、プランジャー又はそのストッパと注射器本体又はバレルとの間の摩擦を表すように具現化することができる。更に、同じばねは、それと共に付随する構造により、物質の送達が始まる前に圧縮されなければならない注射器構成体内の気泡を模倣することが可能になる。ばねのうちの他方は、送達される物質の挙動を表すことができ、それは、その粘度などの物質の特性に依存し得る。
【0040】
[0040] 具体的な実施形態では、外側スリーブに対して移動する際の中間プランジャーアセンブリの第1のロッド部材のばね対照作用が、注射器本体又はバレルの内側に位置付けられた医薬物質によって発揮される粘性流体力学的な抵抗又は抗力を有利に模倣することができる。逆に、内側スリーブに対して移動する際の第2のロッド部材のばね対照作用は、プランジャー又はそのストッパと注射器本体又はバレルとの間の上述の摩擦、及び/又は注射器構成体内の気泡の圧縮を有利に模倣することができる。
【0041】
[0041] 本発明の特定の実施形態について、第1のロッド部材が外側スリーブに対して移動を開始する前に、第2のロッド部材が内側スリーブに対して移動することが可能である。第1のロッド部材の移動は、実際には、第2のロッド部材の前進によって誘発され、第2のロッド部材と第1のロッド部材の間の結果としての接触の確立によってトリガされ得る。好適には、内側スリーブが、外側スリーブ内で摺動可能にされる。
【0042】
[0042] 特定の実施形態では、中間プランジャーアセンブリの第1及び第2のロッド部材は、第2のロッド部材が第1のロッド部材に向かって軸方向に摺動した後で、互いに係合するように設計される。係合後に、第1のロッド部材及び第2のロッド部材は、第1のロッド部材が、針安全デバイス起動力部の構成要素に接触するまで、外側スリーブに沿って更に摺動する際に、1つの一体化されたピースとして移動することができる。
【0043】
[0043] 好適には、中間プランジャーアセンブリに、丸みを帯びた又は本質的に球形状の遠位端部分が装備される。特に、中間プランジャーアセンブリは、好適には、第2のロッド部材上に横たわる球を含み、それによって、丸みを帯びた遠位端部分を形成する。球は、例えば、直径が12ミリメートルであり、第2のロッド部材の対応する陥凹に緩く又は移動可能に保持され得る。このような丸みを帯びた遠位端部分によって、指などの人間のインターフェースをシミュレートすることができる。したがって、丸みを帯びた遠位端部分によって、シミュレートされる注射器構成体を使用する個体による操作に続いて、注射器プランジャーの偏位又は傾斜のバランスをとることができる。
【0044】
[0044] この目的のために、注入力部の中間プランジャーアセンブリの遠位端部分は、ホルダが力試験機内の予め規定された位置及び方向で注射器構成体代替物を支持するときに、好適には、ブレークルース部の遠位プランジャーの近位端に接触する。
【0045】
[0045] 本発明によるFTM検証装置の注射器構成体代替物の第3の更なる部分は、好適には、注射器構成体の針安全デバイス起動力を模倣するように構成された針安全デバイス起動力部を備える。
【0046】
[0046] 本発明に関連して、NSDの頭文字で略称される「針安全デバイス」という用語は、注射器のユーザやオペレータを針から保護する構成体に関する。通常、NSDは、注射器が使用された後で、針をカバーするスリーブを備える。例えば、予め充填された薬剤又は原体を投与するために注射器のプランジャーロッドを押すことによって、NSDが針をカバーするようにスリーブを動かすために、NSDの機構がトリガされてよい。通常、NSDは、最初に引っ張られるばねと、移動するプランジャーロッドと相互作用する離脱構造とを備える。針を介して原体を注射器から出すのに十分な程度まで押すためにプランジャーロッドが動かされると、離脱構造は、スリーブを押すばねを起動させ、スリーブを針のそば又は周りに移動させる。
【0047】
[0047] 針安全デバイス起動力は、注射器構成体のNSDの機構をトリガするのに必要な力であってよい。それによって、一旦医薬物質が注射されてしまうと、針がアクセスできないようにするために、注射器プランジャーの動きによって離脱構造が起動される。
【0048】
[0048] 注射器構成体代替物の針安全デバイス起動力部は、好適には、注入力部の中間プランジャーアセンブリが力試験機によって進められたときに、中間プランジャーアセンブリと接触するように配置されたコネクタを備える。この目的のために、コネクタは、プランジャー又はロッド形状とすることができ、軸方向に延在し得る。
【0049】
[0049] 好適には、注射器構成体代替物の針安全デバイス起動力部は、注射器構成体の針安全デバイス起動力に相当する力でコネクタを離脱可能に保持する本体を備える。
【0050】
[0050] 更に、FTM検証装置に針安全デバイス起動力部を装備することによって、このようなNSDを有する注射器構成体をより正確にシミュレートすることができる。これによって、多くの種類の注射器構成体向けの検証の全体的な品質を改善し得る。
【0051】
[0051] コネクタと本体との間の離脱可能な保持を実現するために、好適には、コネクタに、第3の磁気要素が装備され、本体に、第4の磁気要素が装備され、コネクタが、第3の磁気要素と第4の磁気要素との間で作用する磁力により、本体によって保持される。
【0052】
[0052] 好適には、注射器構成体代替物の針安全デバイス起動力部が、コネクタが軸方向に動かされたときに変形するように配置された、最後のばねを備える。針安全デバイス起動力部の本体は、最後のばねを収容し且つそこを通ってコネクタが最後のばねに向かって提供可能なところの開口部と一体化した、中空の内部を備えてよい。
【0053】
[0053] 本発明の別の一態様は、注射器構成体の動作に関与する力を測定するための力試験機を必須の部分として含む試験プロセスを検証する方法に関する。該方法は、上述のFTM検証装置を取得するステップ、FTM検証装置を注射器構成体の特性に合わせてカスタマイズするステップ、注射器構成体に応じて力試験機を調整するステップ、力試験機の中にFTM検証装置を設けるステップ、及び力試験機を予め規定されたサイクル数だけ動作させるステップを含む。このような方法によって、FTM検証装置及びその好適な実施形態に関連して上述された効果及び利益を効率的に実現することができる。
【0054】
[0054] 好適には、FTM検証装置をカスタマイズすることが、注射器構成体のブレークルース力、注射器構成体の注入力、及び注射器構成体の針安全デバイス起動力を評価する予備的なステップを含む。一旦、これらの力が評価されてしまうと、力試験機の調整のカスタマイズが、評価されたブレークルース力、評価された注入力、及び評価された針安全デバイス起動力に従って最終的に決定されてよい。
【0055】
[0055] FTM検出装置を注射器構成体の特性に合わせてカスタマイズすることは、対応する磁力及び/又はばね力を生成することによって、注射器構成体のブレークルース力及び/又は注入力及び/又は針安全デバイス起動力をシミュレートするステップを含んでよい。
【0056】
[0056] 好適には、上述のように引き起こされる磁力を生成することが、磁力を生成するように構成された第1の磁気要素と第2の磁気要素との間の調整可能なスペーサ構造の相互位置によって、力の強さを調整することを含む。(1以上の)ばねの力は、(1以上の)対応するばねを選択すること及び/又は(1以上の)対応するばねに適切に予め張力をかけることによって調整できる。
【0057】
[0057] 本発明の更なる他の一態様は、注射器構成体の動作に関与する力を測定する方法に関する。このような方法は、力試験機を用いて試験プロセスを規定するステップ、上述のような検証方法に従って試験プロセスを検証するステップ、及び検証された試験プロセスにおいて注射器構成体を試験するステップを含む。
【0058】
[0058] 本発明のまた更に別の一態様は、注射器構成体の動作に関与する力を測定するための力試験機を使用する試験プロセスを検証するための上述のFTM検証装置の使用に関する。そのような使用によって、FTM検証装置及びその好適な実施形態に関連して上述された効果及び利益を効率的に実現することができる。
【0059】
[0059] 本発明による力試験機検証装置、及び本発明によるこのようなFTM検証装置によって力試験機を必須の部分として含む試験プロセスを検証する方法が、例示的な実施形態のやり方によって、及び添付の図を参照して、以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【
図1】本発明による、力試験機(FTM)検証装置の一実施形態の斜視図を示す。
【
図2A】FTM検証装置の他の部分に対して予め規定された位置に注射器構成体代替物のブレークルース力部を保持するための支持構造を有する
図1のFTM検証装置の注射器構成体代替物の斜視図を示す。
【
図2B】
図2Aで示される支持構造を有さない、
図1のFTM検証装置の注射器構成体代替物の斜視図を示す。
【
図2C】
図1のFTM検証装置の注射器構成体代替物の断面を示す。
【
図3】
図2Bの注射器構成体代替物のブレークルース部の分解図を示す。
【
図4】
図2Cの注射器構成体代替物の注入力部の断面を示す。
【
図5】
図2Cの注射器構成体代替物の針安全デバイス起動力部の断面を示す。
【
図6】FTMを必須の部分として含む試験プロセスを検証するときに、
図1の注射器構成体代替物を支持し、FTM内で注射器構成体を試験するときに、注射器構成体を支持するように配置されるホルダを示す。
【
図7】
図7は、
図2A、
図2B、及び
図2Cの注射器構成体代替物によって同等にシミュレートすることができる、注射器構成体の一連の斜視断面図を示しており、注射器プランジャーが延伸され且つ注射器針が硬性針シールドによって保護されている初期状態から、針を介して注射器バレルを空にするためにプランジャーが押し込まれてしまい且つ針安全デバイスの機構が針をカバーするようにトリガされた最終配置まで、注射器構成体によって採られたそれぞれの構成を示している。
【発明を実施するための形態】
【0061】
[0060] 以下の記載において、特定の用語は、便宜上の理由で使用され、本発明を限定することを意図したものではない。「右」、「左」、「上(up)」、「下(down)」、「下(under)」、及び「上(above)」という用語は、図中の方向を指す。用語は、明示的に言及された用語のほか、類似の意味をもつ派生語や用語を含む。また、「下」、「下方」、「下側」、「上方」、「上側」、「近位」、「遠位」などの空間的に相対的な用語を用いて、図に示されるように、ある要素又は特徴と他の要素又は特徴との関係を記述することができる。これらの空間的に相対的な用語は、図に示される位置及び方向に加えて、使用又は動作中の装置の異なる位置及び方向を包含することを意図している。例えば、図中のデバイスが上下に反転している場合、他の要素又は特徴の「下方」又は「下」として記載される要素は、他の要素又は特徴の「上方」又は「上」であろう。したがって、「下方」という例示的な用語は、上下の位置及び方向の両方を包含することができる。デバイスは、それ以外のやり方で方向付けられてよく(90度回転され又は他の方向)、本明細書で使用される空間的に相対的な記述は、それに従って解釈される。同様に、様々な軸に沿った及び様々な軸の周りの移動の記述には、様々な特殊なデバイスの位置及び方向が含まれる。
【0062】
[0061] 図並びに様々な態様及び例示的な実施形態の記述の中での繰り返しを避けるために、多くの特徴が多くの態様及び実施形態に共通していることを理解すべきである。記述又は図からの一態様の省略は、その態様が、その態様を組み込んだ実施形態から欠落していることを意味するものではない。その代わりに、その態様は、明瞭さのため、また冗長な説明を避けるために省略されたかもしれない。この文脈では、以下が、この記述の(省略されていない)残りの部分に当てはまる。図面を分かり易くするために、図面が、明細書の記述の直接的に関連する部分では説明されない参照記号を含んでいる場合、以前又は以後の説明のセクションを参照されたい。更に、分かり易くする理由で、図中である部分の全ての特徴に参照記号が提供されていない場合、その部分を示す他の図を参照されたい。2つ以上の図における同様の数字は、同一又は類似の要素を表している。
【0063】
[0062]
図1を最初に参照すると、
図7に示すようなものなどの注射器構成体7の動作に関与する力を測定するための力試験機を必須の部分として含む試験プロセスを検証するための本発明による力試験機(FTM)検証装置1が示され、特に考えられる。
【0064】
[0063] 表されている特定の実施形態に関連して、
図1のFTM検証装置1は、
図7で表されているような突き刺し針・充填済み注射器8と、突き刺し針・充填済み注射器8と協働する針安全デバイス9、9’、9”とを備えた、注射器構成体7に関連する力を測定するようになっている。
【0065】
[0064]
図2A~
図2Cに関連してより詳細に説明されるように、FTM検証装置1は、注射器構成対代替物2、及びFTMにおいて予め規定された位置及び方向で注射器構成体代替物2を支持するように配置されたホルダ3を備える。
【0066】
[0065] 注射器構成体代替物2及びホルダ3は、実質的に一致する長手又は軸方向Aに沿って延在する。また、FTM検証装置1は、軸方向Aが、注射器構成体7の動作をシミュレートするように構成されたその構成要素の動きの一般的な方向に実質的に一致するように設計されている。
【0067】
[0066]
図6で示されているように、ホルダ3は、FTM内での正確な配置のためのコネクタ31を備えてよい。ホルダ3は、軸方向Aに沿って延在する多数のポスト34によって適所に保持されるベースプレート32及びトッププレート33を更に備えてよい。コネクタ31は、有利なことにベースプレート32と一体化され得る。ベースプレート32はまた、注射器構成体代替物2の近位部分を受け入れ安定化するように構成されたソケット35も一体化する。トッププレート33は、注射器構成体代替物2との連結部を組み込んでいる。異なるサイズの注射器構成体をそれぞれ模倣する注射器構成体代替物を収容し、試験するために、異なるトッププレート33及び/又はベースプレート32が、適切に伸長したポスト34のそれぞれの先端に取り付けられてよい。一例として、ベース及び/又はトッププレート及び/又はポストの異なる組を使用して、それぞれ1.0ミリリットル又は2.25ミリリットルを含む注射器構成体をシミュレートすることができる。有利なことに、FTM検証装置1と共に使用される同じホルダ3は、試験プロセスにおいても使用される。したがって、ホルダ3は、検証された試験プロセスにおいて試験される注射器構成体7を支持するように具現化される。例えば、トッププレート33には、試験される注射器構成体7のフィンガーフランジに対応する陥凹が装備されてよい。このようなホルダ3は、検証プロセスにおいてその適切な機能を含むことを可能にする。
【0068】
[0067]
図2A~
図2Cを参照すると、注射器構成体代替物2は、注射器構成体7のブレークルース力を模倣するように構成されたブレークルース部4、及び注射器構成体7の注入力を模倣するように構成された注入力部5を備える。
【0069】
[0068] 特に
図3を参照すると、ブレークルース部4は、キャリア41、及びキャリア41に対して軸方向Aへ移動可能な遠位プランジャー42を有する。プランジャー42は、注射器構成体7のブレークルース力に相当する力を加えることによって離脱可能となるように、キャリア41に連結されている。
【0070】
[0069]
図2C及び
図3は、如何にして、キャリア41に、第1の磁気要素43が装備される一方で、遠位プランジャー42が、第2の磁気要素44を有するかを示している。したがって、遠位プランジャー42は、第1の磁気要素43と第2の磁気要素44の間で作用する磁力によってキャリア41に連結される。
【0071】
[0070] 表されている具体的な実施形態に関連して、遠位プランジャー42は、金属ディスク44を組み込んでいるか、又はこれに取り付けられており、キャリア41には、キャリア41の本体の中に収容された円筒状の磁石43又は類似物のアレイが、専用の陥凹又は溝内に設けられている。円筒状の磁石43を受け入れるように設計された陥凹は、そこを通してプランジャー42を摺動させるところのボアの周りの実質的に円周方向のパターンに従って分布している。金属ディスク44と円筒磁石43との間で作用する磁力の大きさも、したがって、モジュール式の概念に従って、キャリア41内に導入される円筒状の磁石の数に基づいてカスタマイズすることができる。
【0072】
[0071] 更に、注射器構成体代替物2のブレークルース部4は、キャリア41の第1の磁気要素43と遠位プランジャー42の第2の磁気要素44との間に配置された、調整可能なスペーサ構造45を備える。キャリア41の第1の磁気要素43と遠位プランジャー42の第2の磁気要素44の間の距離は、したがって、調整可能に予め規定可能である。その結果、金属ディスク44と円筒磁石43との間で作用する磁力の較正において、更なる柔軟性が提供される。説明したように、このようなスペーサ構造45は、FTM検証装置1のブレークルース力を、模倣される注射器構成体7内で与えられる状況に合わせて効率的に適応させ又は調整することを可能にする。したがって、スペーサ構造45は、第1及び第2の磁気要素43、44の間に配置可能な、一組のプレート又はシート、例えばマイラーディスクを備えてよい。
【0073】
[0072]
図1及び
図2Aでは、注射器構成体代替物2のブレークルース部4が、キャリア41を固定的に保持する支持構造46を備えることが示されている。支持構造46は、ブレークルース部4及び注入力部5が、シミュレートされる注射器構成体7を反映するか又は注射器構成体7に特徴的な互いに予め規定された関係で保持されるように取り付けられる。
【0074】
[0073] 実際、支持構造46は、対応する異なって具現化された注射器構成体7をシミュレートするように構成された、異なって具現化された注射器構成体代替物2を受け入れるように調整可能である。支持構造は、キャリア41の2つの側部支持体46の形態で、注入力部5の動作から来る背圧を補償するように工学的に設計されている。更に、支持構造は、相対的な回転をロックし且つ荷重下でのキャリアと支持体46の相対的な滑りを防止するスライド機構を備えてよい。
【0075】
[0074] ブレークルース部4は、軸方向に移動可能な様態でキャリア41に取り付けられた遠位スリーブ47も備える。その場合、遠位プランジャー42は、キャリア41に連結されているときに、遠位スリーブ47を通って軸方向に延在する。スリーブ47は、プランジャー42に対して安定化効果を有する。
【0076】
[0075] 特に
図2C及び
図4を参照すると、注射器構成体代替物2の注入力部5は、ばね52、ばね52を収容する外側スリーブ51、及び外側スリーブ51の中で延在する中間プランジャーアセンブリを有する。中間プランジャーアセンブリの第1のロッド部材53aは、外側スリーブ51に対して軸方向Aへ移動可能であり、第1のロッド部材53aが、軸方向Aに外側スリーブ51の中へ移動したときに、ばね52が、変形するように配置されている。有利なことに、外側スリーブ51、ロッド部材53a、及びばね52は、(その粘度を考慮したときに)注射器構成体7の注射器本体14の内側に位置付けられた医薬物質によって発揮される流体力学的抵抗又は抗力を、精密に再現するように協働する。
【0077】
[0076] 更に、注入力部5の中間プランジャーアセンブリは、更なるばね54、更なるばね54を収容する内側スリーブ55、及び内側スリーブ55の中に延在する第2のロッド部材53bを有する。第2のロッド部材53bは、内側スリーブ55に対して軸方向Aへ移動可能であり、第2のロッド部材53bが、軸方向Aに内側スリーブ55の中へ移動したときに、更なるばね54が、変形されるように配置されている。有利なことに、内側スリーブ55、第2のロッド部材53b、及び更なるばね54は、プランジャーストッパ13と注射器構成体7の注射器本体14の内壁との間の摩擦をシミュレートするように協働する。その摩擦は、特に、プランジャー11の移動を開始するために克服される必要がある。更に、この構造によって、分注される液体に到達する前のプランジャーの動きを模倣することが可能になる。特に、液体が分注される前の注射器構成体7内の気泡の圧縮をシミュレートすることができる。
【0078】
[0077] 中間プランジャーアセンブリには、丸みを帯びた遠位端部分56も装備されている。この場合に、遠位端部分56は、12ミリメートルの直径を有する球によって形成される。その球は、第2のロッド部材53bの対応する凹陥内に緩く又は可動に保持される。このような丸みを帯びた遠位端部分56又は球によって、指などの人間のインターフェースをシミュレートすることが可能となり、したがって、注射器プランジャー11の偏位又は傾斜のバランスをとることができる。注入力部5の中間プランジャーアセンブリの球形状の遠位端部分56は、ホルダ3が、力試験機内の予め規定された位置及び方向で注射器構成体代替物2を支持するときに、ブレークルース部4の遠位プランジャー42の近位端に接触する。特に、図示されている構成では、球形状の遠位端部分56が、第2の磁気要素44と接触している。
【0079】
[0078] キャリア41から離脱する磁気要素44を介してプランジャー42によって加えられる荷重下で、第2のロッド部材53bは、第1のロッド部材53aが外側スリーブ51に対して移動を開始する前に、内側スリーブ55に対して移動する。第1のロッド部材53aの移動は、実際には、第2のロッド部材53bの前進によって引き起こされ、圧縮された更なるばね54を介して第2のロッド部材53bから第1のロッド部材53aへの十分な圧力を確立することによって、又は第2のロッド部材53bが第1のロッド部材53aと接触している内側スリーブ55に当接することによってトリガされる。それは、その前に何が起きてもそうである。十分な圧力又はそれらの間の当接が確立された後で、第1のロッド部材53a及び第2のロッド部材53bは、実質的に一体的に共に移動する。軸方向Aに進むことにより、第2のロッド部材53bは、第1のロッド部材53aが、針安全デバイス起動力部6のコネクタ61に当接するポイントまで、外側スリーブ51内で移動するようになっている内側スリーブ55を引きずることもできる。この構成では、内側スリーブ55が、その上端に第1の突出57を有する外側スリーブ51内で摺動可能である。更に、外側スリーブ51には、対応する注射器構成体7の延長されたフィンガーフランジ16と等しくなるように設計された第2の突出58が装備されている。
【0080】
[0079] 更に、注射器構成体代替物2は、注射器構成体7の針安全デバイス起動力を模倣するように構成された、針安全デバイス起動力部6を備える。
【0081】
[0080] 針安全デバイス起動力部6は、注入力部5の中間プランジャーアセンブリが力試験機によって進められたときに、中間プランジャーアセンブリと接触するように配置された、スタンプのような又はT字形状のコネクタ61を備える。
図2Cで示されているように、表されている実施形態に関連して、コネクタ61は、注入力部5の外側スリーブ51内で摺動するように構成されたロッド状部を備える。力試験機からの荷重は、第1のロッド部材53aが、コネクタ61と当接したときにコネクタ61に伝達され、その荷重は、コネクタ61を外側スリーブ51の外向きに押し付ける。
【0082】
[0081]
図5を参照すると、注射器構成体代替物2の針安全デバイス起動力部6は、針安全デバイス起動力に相当する力でコネクタ61を離脱可能に保持するように配置された本体69を備える。本体69は、円筒状の部分62を有し、その中空内部は、ねじによって円筒状の部分62に固定されたトッププレート67によってその上端が閉じられ、その下端は、ねじ及びピンによって円筒状の部分62に固定されたボトムプレート68によって閉じられている。針安全起動デバイスに相当する上述の力を提供するために、コネクタ61には、水平な板状の第3の磁気要素64が装備されている。これにより、コネクタ61は、第3の磁気要素64と、本体69に固定された第4の磁気要素を(このように)形成するトッププレート67と、の間で作用する磁力によって本体69に対して保持される。
図5では、針安全デバイス起動力部6が、針安全起動力が既に克服されている状態、すなわち第3の磁気要素64がトッププレート67から離脱して下方に移動している状態で示されている。第3の磁気要素64が依然としてトッププレート67に連結されており、したがって、針安全起動力が未だ克服されていない状況は、
図2Cにおいて見ることができる。
【0083】
[0082] 注射器構成体代替物2の針安全デバイス起動力部6は、コネクタ61が軸方向Aに移動されたときに変形するように配置された最後のばね65を備える。本体69の中空内部は、最後のばね65を収容し、その場合、最後のばね65は、ボトムプレート68上に位置付けられた予め張力がかけられたディスク63と、第3の磁気要素64の下方に位置付けられた予め張力がかけられたディスク63と、の間で締め付けられる。予め張力がかけられたディスク63は、それと第3の磁気要素64との間で作用する磁力を防止するために、アルミニウムなどの非磁性材料又は低磁性材料から作製されている。トッププレート67には、そこを通ってコネクタ61のロッド状部が最後のばね65に向かって延在するところの開口部66が設けられている。
【0084】
[0083]
図7では、注射器8を備えた注射器構成体7の動作のその後のフェーズに関連した針安全デバイスの機能が示されている。針安全デバイスは、ガード本体9、ガード本体9と注射器バレル14との間に配備されたばね9”、及び弾性フィンガー9’のシステムを備えた離脱構造を備える。プランジャー11が、未だ注射器バレル14の外側の最初の遠位位置に延在し、医薬物質が未だ送達されていないときに、ガード本体9は注射器バレル14を覆ってフィットし、ばね9”は圧縮された状態にある。注射を行うことが意図されているときに、針シールド15が取り外され、プランジャーフランジ12に圧力を加えることによって、プランジャー11が、針10に向かって近位方向に前方へ押し出される。全量の注射が完了されるまで、針10を介して医薬物質を注射器8から押し出すために、プランジャー11を移動させる。その結果、弾性フィンガー9’の変形によってトリガされて、離脱構造が起動し、針10が、ガード本体9によって完全に保護されカバーされるように、ばね9”が注射器8を押し戻すように拡張する。
【0085】
[0084] 本発明によるFTM検証装置は、シミュレートされる注射器構成体の特性に基づいてカスタマイズされ、このような注射器構成体の動作に関与する全範囲の力を、ブレークルース力領域、注入力領域、及び針安全デバイス起動力領域のそれぞれにおいて再現することを可能にする。
【0086】
[0085] 本発明の態様及び実施形態を示す本説明及び添付の図面は、保護される発明を規定する特許請求の範囲を限定するものとみなすべきではない。言い換えれば、本発明は、図面及び前述の記述において詳細に示され説明されたが、そのような図及び記述は、図解的又は例示的なものであり、限定するものではないと考えられるべきである。本説明及び特許請求の範囲の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な機械的、組成的、構造的、電気的、及び動作上の変更が可能である。幾つかの事例において、周知の回路、構造、及び技術は、発明を不明瞭にしないように、詳細には示されていない。したがって、以下の特許請求の範囲の範囲及び精神の範囲内で、当業者によって変更及び修正が行われ得ることは、理解されるであろう。特に、本発明は、上述の及び以下に記載される異なる実施形態からの特徴の任意の組み合わせを有する更なる実施形態をカバーする。
【0087】
[0086] また、本開示は、前述又は後述の記載では説明されていないかもしれないが、図面において個別に示されている全ての更なる特徴も含む。また、図に記載された実施形態の単一の代替案及びその特徴の説明及び単一の代替案は、発明の主題から又は開示された主題から排除されてもよい。本開示は、特許請求の範囲又は例示的な実施形態において規定される特徴から成る主題、及びその特徴を備えた主題を含む。
【0088】
[0087] 更に、特許請求の範囲において、「含む、備える(comprising)」という語は、他の要素又はステップを除外するものではなく、「1つの(a)」又は「1つの(an)」という不明確な冠詞は、複数を除外するものではない。単一のユニット又はステップは、特許請求の範囲内に記載された幾つかの特徴の機能を果たすことができる。特定の手段が相互に異なる従属クレームで引用されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせを有利に利用することができないことを示しているわけではない。属性又は値に関連する用語「本質的に」、「約」、「およそ」などは、特に、それぞれ属性又は値を正確に規定する。所与の数値又は範囲の文脈における「約」という用語は、例えば、所与の値又は範囲の20%以内、10%以内、5%以内、若しくは2%以内である値又は範囲を意味する。結合された又は連結されたとして記載された構成要素は、電気的又は機械的に直接接続されてもよく、又はこれらは、1以上の中間構成要素を介して間接的に接続されてもよい。特許請求の範囲内の任意の参照記号は、本範囲を限定するものと解釈すべきではない。