(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】長い運動能力を有する精密な動的レベリング機構
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20240412BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20240412BHJP
C23C 16/458 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
H01L21/31 B
H01L21/68 N
C23C16/458
(21)【出願番号】P 2020565796
(86)(22)【出願日】2019-05-03
(86)【国際出願番号】 US2019030737
(87)【国際公開番号】W WO2019226295
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-05-06
(32)【優先日】2018-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シャーラー, ジェーソン エム.
(72)【発明者】
【氏名】ローラー, マイケル
(72)【発明者】
【氏名】グエン, トゥン アイン
【審査官】山口 祐一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-297545(JP,A)
【文献】特開2007-088176(JP,A)
【文献】特開平07-161799(JP,A)
【文献】特表2018-518056(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0096874(US,A1)
【文献】米国特許第04083298(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
H01L 21/683
C23C 16/458
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リフトアセンブリであって、
ベースブラケット;
ステム及びペデスタルを含むペデスタルアセンブリを支持するように構成されたペデスタルアセンブリキャリア;及び
各々がピボットジョイントを介して前記ベースブラケットに取り付けられ、かつ、3つ以上の軸受アセンブリによって前記ペデスタルアセンブリキャリアに取り付けられた、3つ以上のサーボモータアセンブリ
を備えた、リフトアセンブリにおいて、各軸受アセンブリが、
ガイドアクチュエータと、前記リフトアセンブリの前記ペデスタルアセンブリキャリアとに接続されたガイドアダプタ;及び
前記ペデスタルアセンブリキャリアに軸受を接続するように前記ガイドアダプタのポケットを介して挿入されたボルト及びバネであって、前記軸受が、内側レース及び外側レースを有しており、前記内側レースは前記ペデスタルアセンブリキャリアに押し付けられており、前記外側レースは前記ガイドアダプタに押し付けられている、ボルト及びバネ
を備えている、
リフトアセンブリ。
【請求項2】
前記ボルト及びバネが軸方向に予荷重をかけられている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記ボルト及びバネが、軸方向
に1.36重量キログラム(kgf)か
ら90.72kgfの予荷重をかけられている、請求項2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記リフトアセンブリが、0.001インチ未満の位置分解能で、3つの自由度で繰り返し運動するように構成されている、請求項1、2、又は3に記載のアセンブリ。
【請求項5】
各ピボットジョイントが1つの回転自由度を有する、請求項1、2、3、又は4に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記軸受が球面スラスト軸受である、請求項1、2、3、4、又は5に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記軸受がアンギュラコンタクト球面軸受である、請求項1、2、3、4、又は5に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記ペデスタルアセンブリキャリアに押し付けられた前記内側レースと、前記ガイドアダプタに押し付けられた前記外側レースとが、該内側レースと外側レースとの間に公称クリアランスを提供する、請求項1、2、3、4、5、6、又は7に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記内側レース及び前記外側レースが、半径方向の運動なしに、互いにスライドするように構成されている、請求項1、2、3、4、5、6、7、又は8に記載のアセンブリ。
【請求項10】
球面スラスト軸受アセンブリにおいて、
ガイドアクチュエータとリフトアセンブリのペデスタルアセンブリキャリアとに接続されたガイドアダプタであって、前記リフトアセンブリが、
ベースブラケット;
ステム及びペデスタルを含むペデスタルアセンブリを支持するように構成されたペデスタルアセンブリキャリア;及び
各サーボモータアセンブリがピボットジョイントを介して前記ベースブラケットに取り付けられ、かつ軸受アセンブリによって前記ペデスタルアセンブリキャリアに取り付けられた、3つ以上のサーボモータアセンブリ
を備えたガイドアダプタ、並びに
前記ペデスタルアセンブリキャリアに軸受を接続するように前記ガイドアダプタのポケットを介して挿入されたボルト及びバネであって、前記軸受が内側レース及び外側レースを有しており、前記内側レースは前記ペデスタルアセンブリキャリアに押し付けられており、前記外側レースは前記ガイドアダプタに押し付けられている、ボルト及びバネ
を備えている、球面スラスト軸受アセンブリ。
【請求項11】
前記ボルト及びバネが軸方向に予荷重をかけられている、請求項10に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記リフトアセンブリが、0.001インチ未満の位置分解能で、3つの自由度で繰り返し運動するように構成されている、請求項10又は11に記載のアセンブリ。
【請求項13】
各ピボットジョイントが1つの回転自由度を有する、請求項10、11、又は12に記載のアセンブリ。
【請求項14】
前記ペデスタルアセンブリキャリアに押し付けられた前記内側レースと前記ガイドアダプタに押し付けられた前記外側レースとが、前記内側レースと前記外側レースとの間に公称クリアランスを提供する、請求項10、11、12、又は13に記載のアセンブリ。
【請求項15】
チャンバであって、
チャンバリッド;
複数のチャンバ壁;
チャンバベース;
前記チャンバリッド、前記複数のチャンバ壁、及び前記チャンバベースによって画定された処理領域;及び
リフトアセンブリ
を備えたチャンバにおいて、前記リフトアセンブリが、
ベースブラケット;
ステム及びペデスタルを含むペデスタルアセンブリを支持するように構成されたペデスタルアセンブリキャリアであって、前記ステムが、前記チャンバベース及び前記ベースブラケットの開口部を通して位置付けられ、前記ペデスタルが前記処理領域に配置される、ペデスタルアセンブリキャリア;並びに
各々がピボットジョイントを介して前記ベースブラケットに取り付けられ、かつ、3つ以上の軸受アセンブリによって前記ペデスタルアセンブリキャリアに取り付けられた、3つ以上のサーボモータアセンブリ
を備えており、各軸受アセンブリが、
ガイドアクチュエータと、前記リフトアセンブリの前記ペデスタルアセンブリキャリアとに接続されたガイドアダプタ;及び
前記ペデスタルアセンブリキャリアに軸受を接続するように前記ガイドアダプタのポケットを介して挿入されたボルト及びバネであって、前記軸受が内側レース及び外側レースを有しており、前記内側レースは前記ペデスタルアセンブリキャリアに押し付けられており、及び前記外側レースは前記ガイドアダプタに押し付けられている、ボルト及びバネ
を備えている、
チャンバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、処理チャンバ内で基板を処理するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ほとんどの半導体デバイス形成プロセスは、基板表面で行われるプロセスの均一性が改善されると、改善される。堆積、エッチング、又は熱処理プロセスの均一性に影響を及ぼしうるパラメータの1つは、処理中に、シャワーヘッドなどの処理チャンバ内に見られる1つ以上のチャンバ構成要素に対する基板の位置である。結果として、処理システムは、通常、1つ以上の処理ステップ中に、処理チャンバ内の1つ以上のチャンバ構成要素に対して基板の均一かつ再現性のある配置を提供するように設計される。
【0003】
酸化物及び窒化物の化学気相堆積プロセスはそれぞれ、シャワーヘッドなどの1つ以上のチャンバ構成要素に対するペデスタルの傾斜及び位置に対して異なる均一性応答を示す。これらの材料は、酸化物膜と窒化物膜とを層状化する交互のプロセスで、同じチャンバ内で堆積される。最適なプロセス結果を保証するために、各層は、最良のプロセス結果を達成するように、シャワーヘッドに対してペデスタルの傾斜と位置を独立して調整することを必要とする。現在、ペデスタルの位置及び向きは、所定の位置分解能で移動するように自動化されてはいない。
【0004】
したがって、位置分解能が改善された、処理チャンバ内にペデスタルを繰り返し位置決めするための精密な動的レベリング機構が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
一実施形態では、リフトアセンブリが提供される。リフトアセンブリは、ベースブラケットと、ステム及びペデスタルを含むペデスタルアセンブリを支持するように構成されたペデスタルアセンブリキャリアと、各々がピボットジョイントを介してベースブラケットに取り付けられ、かつ3つ以上の軸受アセンブリによってペデスタルアセンブリキャリアに取り付けられた3つ以上のサーボモータアセンブリとを備えている。各軸受アセンブリは、ガイドアクチュエータとリフトアセンブリのペデスタルアセンブリキャリアとに接続されたガイドアダプタ、並びに、ペデスタルアセンブリキャリアに軸受を接続するためにガイドアダプタのポケットを介して挿入されたボルト及びバネを含む。軸受は、内側レース及び外側レースを有する。内側レースはペデスタルアセンブリキャリアに押し付けられ、外側レースはガイドアダプタに押し付けられる。
【0006】
別の実施形態では、球面スラスト軸受アセンブリが提供される。球面スラスト軸受アセンブリは、ガイドアクチュエータとリフトアセンブリのペデスタルアセンブリキャリアとに接続されたガイドアダプタを備えている。リフトアセンブリは、ベースブラケット、ステム及びペデスタルを含むペデスタルアセンブリを支持するように構成されたペデスタルアセンブリキャリア、並びに3つ以上のサーボモータアセンブリを備えている。各サーボモータアセンブリは、ピボットジョイントを介してベースブラケットに取り付けられ、かつ軸受アセンブリによってペデスタルアセンブリキャリアに取り付けられる。ボルト及びバネは、ペデスタルアセンブリキャリアに軸受を接続するように、ガイドアダプタのポケットを介して挿入される。軸受は、内側レース及び外側レースを有する。内側レースはペデスタルアセンブリキャリアに押し付けられ、外側レースはガイドアダプタに押し付けられる。
【0007】
さらに別の実施形態では、チャンバが提供される。チャンバは、チャンバリッド、複数のチャンバ壁、チャンバベース、並びに、チャンバリッド、複数のチャンバ壁、及びチャンバベースによって画定された処理領域を含む。チャンバはまた、リフトアセンブリも備えている。リフトアセンブリは、ベースブラケットと、ステム及びペデスタルを含むペデスタルアセンブリを支持するように構成されたペデスタルアセンブリキャリアと、各々がピボットジョイントを介してベースブラケットに取り付けられ、かつ3つ以上の軸受アセンブリによってペデスタルアセンブリキャリアに取り付けられた3つ以上のサーボモータアセンブリとを備えている。ステムはチャンバベース及びベースブラケットの開口部を通して位置付けられ、ペデスタルは処理領域に配置される。各軸受アセンブリは、ガイドアクチュエータとリフトアセンブリのペデスタルアセンブリキャリアとに接続されたガイドアダプタ、並びに、ペデスタルアセンブリキャリアに軸受を接続するためにガイドアダプタのポケットを介して挿入されたボルト及びバネを含む。軸受は、内側レース及び外側レースを有する。内側レースはペデスタルアセンブリキャリアに押し付けられ、外側レースはガイドアダプタに押し付けられる。
【0008】
本開示の上記の特徴を詳細に理解できるように、その一部が添付の図面に示されている実施形態を参照することにより、上に簡単に要約されている本開示のより詳細な説明を得ることができる。しかしながら、添付の図面は例示的な実施形態を示しているにすぎず、したがって、その範囲を限定するとみなすべきではなく、他の等しく有効な実施形態も許容されうることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態による化学気相堆積システムの概略的な断面図
【
図2A】一実施形態によるリフトアセンブリの概略的な断面図
【
図2B】一実施形態による軸受アセンブリの概略的な断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
理解を容易にするため、可能な場合には、図面に共通する同一の要素を示すために同一の参照番号が用いられる。一実施形態の要素及び特徴は、さらなる記載がなくとも、他の実施形態に有益に組み込むことができることが企図されている。
【0011】
本明細書に開示される実施形態は、0.001インチ未満の位置分解能で処理チャンバ内にペデスタルを繰り返し位置決めして、シャワーヘッドに対して基板の及び均一かつ再現性のある配置を提供するための精密な動的レベリング機構に関する。ペデスタルアセンブリキャリアに押し付けられた内側レースとガイドアダプタに押し付けられた外側レースとを有する軸受アセンブリは、内側レースと外側レースとの間に公称クリアランスを提供し、内側レースと外側レースとが半径方向の運動なしに互いにスライドできるようにする。したがって、球面スラスト軸受アセンブリは、0.001インチ未満の位置分解能で、3つの自由度(高さ、ピッチ、及び回転)で移動する柔軟性をリフトアセンブリに与える。
【0012】
図1は、化学気相堆積(CVD)システム100の概略的な断面図である。システム100の一例は、米国カリフォルニア州サンタクララ所在のApplied Materials,Inc.製造のPRECISION(商標)チャンバである。以下に記載されるシステムは例示的なシステムであり、本開示の態様を達成するために、他の製造業者によるシステムを含めた他のシステムを使用又は修正することができることが理解されるべきである。
【0013】
システム100は、処理チャンバ102と、該処理チャンバ102内に基板を持ち上げ、位置決めするための基板支持アセンブリ104とを備えている。処理チャンバ102は、チャンバ壁119、チャンバベース120、及び処理チャンバ102の上部かつチャンバベース120の反対側に配置されたチャンバリッド122を備えている。処理チャンバ102は、チャンバリッド122から懸架され、かつチャンバリッド122から処理チャンバ102内へと下方に突出するシャワーヘッド124を備えている。チャンバ壁119の1つにあるスリットバルブ128は、基板(図示せず)を処理チャンバ102に導入できるようにする。ガス供給源132は、チャンバリッド122内のガス入口通路134を通って、及びシャワーヘッド124の穴126を通じて処理領域130に一又は複数のプロセスガスを供給する。処理領域130は、チャンバリッド122、チャンバ壁119、及びチャンバベース120によって画定される。
【0014】
基板支持アセンブリ104は、概して、ペデスタルアセンブリ106及びリフトアセンブリ108を備えている。ペデスタルアセンブリ106は、処理チャンバ102内で基板(図示せず)を支持するためのペデスタル110を含む。ペデスタル110は、通常、処理中に基板を加熱するための加熱要素(図示せず)を含む。ペデスタル110は、リフトアセンブリ108のペデスタルアセンブリキャリア116に結合したステム112によって支持される。ステム112は、開口部103を通して処理チャンバ102内に配置される。ベローズアセンブリなどの可撓性シール部材118がリフトアセンブリ108と処理チャンバ102との間にシールを提供し、これにより、処理チャンバ102を真空圧などの所望の圧力に維持することができる。リフトアセンブリ108は、シャワーヘッド124に対するペデスタルアセンブリキャリア116の位置及び/又は向きを操作するように構成され、これにより、処理チャンバ102の中心軸101に対してペデスタルアセンブリ106の傾斜をもたらすことができる。
【0015】
ペデスタルアセンブリキャリア116は、概して、3つ以上のサーボモータアセンブリ135、136、137によって、チャンバベース120の開口部103を通って延びる中心軸101に平行な方向に垂直に移動するように適合される(
図2Aに示されている)。球面スラスト軸受アセンブリ140は、ペデスタルアセンブリキャリア116を、処理チャンバ102の下に配置されたサーボモータアセンブリ135、136、137に結合する。例えばピボットジョイント142などの1つの回転自由度のみを有するジョイントが、サーボモータアセンブリ135、136、137をチャンバベース120に接続し、さらには、リフトアセンブリ108をチャンバベース120に固定する。サーボモータアセンブリ135、136、137はそれぞれ、駆動アセンブリと、システムコントローラ199と通信する装置内の構成要素の位置を決定するためのエンコーダアセンブリとを含む。一例では、サーボモータアセンブリ135、136、137内の駆動アセンブリはサーボモータ138を含むが、他のモーションアクチュエータアセンブリも使用することができる。
【0016】
動作中、システムコントローラ199は、サーボモータ138にペデスタルアセンブリキャリア116を直線方向135A、136A、及び137Aに駆動させて(
図2Aに示されている)、処理領域130内のシャワーヘッド124に対する所望の処理位置又はスリットバルブ128に対する基板移送位置にペデスタル110を位置決めする。サーボモータアセンブリ135、136、137は、シャワーヘッド124とペデスタル110との間の距離107が、ペデスタル110の上面110A全体にわたって同じになるように、サーボモータアセンブリ135、136、137が、Z軸に対して同じ速度で、又は中心軸101に沿って平行に、同時に駆動されるときに、シャワーヘッド124に対して水平面で(例えば、X-Y面に平行に)ペデスタル110を上下させることができる。サーボモータアセンブリ135、136、137はまた、シャワーヘッド124に対するペデスタル110の向き(例えば、傾斜)を静的又は動的に操作して、基板全体にわたるプロセス均一性を高めるために、独立して制御することもできる。システムコントローラ199は、システム制御を容易にするために、中央処理装置(CPU)、メモリ、及び支援回路(又はI/O)を含みうる。
【0017】
ペデスタル110の向きが基板の露出面に行われるプロセスの均一性に影響を与える場合にプロセス動作に適応させるために、システムコントローラ199は、3つ以上のサーボモータアセンブリ135、136、137を異なる速度で、異なる方向に、及び/又は異なる垂直位置へと駆動させて、シャワーヘッド124に対してペデスタルアセンブリキャリア116の位置及び/又は向きを操作することができる。ペデスタルアセンブリキャリア116の位置及び/又は向きを操作することにより、中心軸101に対してピボット点105を中心にステム112及びペデスタル110に傾斜を生じさせることができる。球面スラスト軸受アセンブリ140は、ペデスタルアセンブリキャリア116とサーボモータアセンブリ135、136、137との間の移動を容易にする。チャンバベース120に取り付けられ、かつサーボモータアセンブリ135、136、137に取り付けられたピボットジョイント142は、サーボモータアセンブリ135、136、137の異なる運動によって生成された生成モーメントMに起因して屈曲し、これにより、ペデスタルアセンブリキャリア116は、中心軸101に対してある方向に旋回する。ピボットジョイント142の屈曲は、ペデスタルアセンブリキャリア116に結合されたステム112の回転及び変位を可能にする。動作中、サーボモータアセンブリ135、136、137がペデスタルアセンブリキャリア116を垂直に動かすと、ピボット点105もまた、サーボモータアセンブリ135、136、137が動く距離に対する相対的な位置に対応して動くであろう。このようにして、ペデスタル110の位置及び中心軸101に対する傾斜の量を、個々のプロセス動作及びフィルム層ごとに自動的に修正して、フィルムスタックに依存する各堆積層の均一性を改善することができる。
【0018】
図2Aは、リフトアセンブリ108の概略図である。リフトアセンブリ108は、ピボットジョイント142を介してベースブラケット202に、かつ球面スラスト軸受アセンブリなどの軸受アセンブリ140を介してペデスタルアセンブリキャリア116に、それぞれ取り付けられた、3つのサーボモータアセンブリ135、136、137を含む。球面スラスト軸受アセンブリ以外の軸受アセンブリも企図されていることに留意されたい。ベースブラケット202は、リフトアセンブリ108のチャンバベース120への容易な取り付けを促進する。ペデスタル110は、チャンバベース120及びベースブラケット202の開口部103を通して位置付けられたステム112に結合される。ステム112は、ペデスタルアセンブリキャリア116に結合される。可撓性シール部材118は、チャンバベース120に取り付けられ、該チャンバベース120とペデスタルアセンブリキャリア116との間にシールを提供し、処理チャンバ102を所望の圧力に維持可能にする。各軸受アセンブリ140は、ガイドアクチュエータ204に接続されたガイドアダプタ206を備えている。ボルト208及びバネ210は、軸受212をペデスタルアセンブリキャリア116に接続する。軸受アセンブリ140は、
図2Bを参照してより詳細に論じられる。
【0019】
ガイドアダプタ206は、ガイドアクチュエータ204のボールねじ(図示せず)部分に取り付けられる。サーボモータ138は、ガイドアクチュエータ204のボールねじ部分を駆動し、したがって、球面スラスト軸受アセンブリ140及びペデスタルアセンブリキャリア116を、ガイドアクチュエータ204のガイド要素216に沿って垂直方向に駆動する。同じ動的運動プロファイル(例えば、加速度、速度、移動長さ)を使用してサーボモータ138を駆動すると、結果的に、ペデスタルアセンブリキャリア116が上下するときに空間内でのペデスタルアセンブリキャリア116の向きが維持される。しかしながら、異なる動的運動プロファイルを使用してサーボモータを駆動すると、ペデスタルアセンブリキャリア116の向きの操作が可能となり、その結果、ステム112及びペデスタル110に傾斜を生じさせることができる。ベースブラケット202に取り付けられ、かつサーボモータアセンブリ135、136、137に取り付けられたピボットジョイント142は、サーボモータアセンブリ135、136、及び137の運動によってモーメントMが生成されると、屈曲する。
【0020】
本明細書に開示される他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、連続的に振動する動き(例えば、前後の動き)で駆動されるサーボモータアセンブリ135、136、137は、動きAによって表されるように、ある軸で傾斜したペデスタル110を中心軸101の周りで歳差運動させる。動作中、システムコントローラ199は、サーボモータアセンブリ135、136、137を、異なる動的運動プロファイルを使用して連続的に動かして、ペデスタルアセンブリキャリア116及びペデスタル110の位置及び/又は向きを操作する。このような動作により、ペデスタル110がピボット点105を中心に旋回するとき、及び/又は中心軸101に沿って移動するときに、ペデスタル110の位置及び/又は向きを連続的に変化させる。例えば、システムコントローラ199は、サーボモータアセンブリ135、136、137を、異なる動的運動プロファイルを使用して連続的に動かして、ペデスタル110がピボット点105を中心として旋回すると、シャワーヘッド124及び中心軸101に対するペデスタル110の向きが継続的に変化するように、ペデスタルアセンブリキャリア116及びペデスタル110の向きを操作する。サーボモータ138を連続的に駆動することにより、ペデスタル110及びステム112の向きは、静止基準フレーム(例えば、X-Y-Z基準フレーム)に対して1つ以上の方向に連続的に動く。ある軸で傾斜したペデスタル110を、中心軸101を中心として一定期間歳差運動させる連続的な傾斜は、ある特定のCVD堆積膜の堆積にとって改善されたプロセス均一性をもたらす。
【0021】
図2Bは、軸受アセンブリ140の概略的な断面図である。軸受アセンブリ140は、ガイドアクチュエータ204に接続されたガイドアダプタ206を含む。第1の構成では、
図2Bに示されるように、ボルト208及びバネ210は、ガイドアダプタ206のポケット214を介して、軸受212をペデスタルアセンブリキャリア116に接続する。本明細書に開示される他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、軸受212は球面スラスト軸受である。本明細書に開示される他の実施形態と組み合わせることができる別の実施形態では、軸受212はアンギュラコンタクト球面軸受である。2番目の構成では、ボルト208及びバネ210は、ペデスタルアセンブリキャリア116のポケットを介して、軸受212をペデスタルアセンブリキャリア116に接続する。軸受212は、内側レース218及び外側レース220を含む。ボルト208は、バネ210、軸受212を通して、ペデスタルアセンブリキャリア116のねじ穴222に軸方向に挿入される。このような構成では、軸受212は、ペデスタルアセンブリキャリア116に接続される。内側レース218は、軸受212の表面224と接触している。ボルト208及びバネ210は、軸方向に予荷重をかけられる。本明細書に開示される他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、ボルト208及びバネ210は、軸方向に約3重量ポンド(lbf)から約200lbfの予荷重をかけられる。
【0022】
ボルト208及びバネ210は、軸方向に予荷重をかけられ、それによって、外側レース220がガイドアダプタ206に押し付けられ、かつ内側レース218がペデスタルアセンブリキャリア116に押し付けられ、例えば、内側レース218及び外側レース220が互いに対して位置合わせされるなど、内側レース218と外側レース220との間に公称クリアランスを有する。内側レース218と外側レース220との間の公称クリアランスのために、内側レース218をペデスタルアセンブリキャリア116に、かつ外側レース220をガイドアダプタ206に押し付けることにより、内側レース218及び外側レース220は、半径方向運動としても知られる並進運動なしに、任意の方向に互いにスライドすることができるようになる。半径方向運動は、0.001インチ未満の位置分解能などの位置分解能で、繰り返し運動する軸受の能力に影響を与える。したがって、軸受アセンブリ140は、0.001インチ未満の位置分解能で、軸受212の中心点225を中心に、2つの回転自由度(ピッチ及び回転)を繰り返し可能にする。対向する支持位置に構成された3つのサーボモータアセンブリの組合せは、0.001インチ未満の位置分解能で、3つの自由度(高さ、ピッチ、及び回転)で動く柔軟性をリフトアセンブリ108に与えつつ、ペデスタルアセンブリキャリア116の動きを完全に拘束し、シャワーヘッド124に対する基板の均一かつ再現性のある配置を提供する。
【0023】
以上の説明は本開示の例を対象としているが、本開示の基本的な範囲を逸脱することなく、本開示の他の例及びさらなる例を考案することができ、本開示の範囲は以下の特許請求の範囲によって決定される。