(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】積層された導体ライン及び空隙を有する半導体チップ
(51)【国際特許分類】
H01L 21/768 20060101AFI20240412BHJP
H01L 23/532 20060101ALI20240412BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
H01L21/90 N
H01L21/88 R
(21)【出願番号】P 2021537926
(86)(22)【出願日】2020-03-28
(86)【国際出願番号】 US2020025568
(87)【国際公開番号】W WO2020210064
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2023-03-08
(32)【優先日】2019-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591016172
【氏名又は名称】アドバンスト・マイクロ・ディバイシズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ADVANCED MICRO DEVICES INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100111615
【氏名又は名称】佐野 良太
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】リチャード シュルツ
【審査官】宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-147054(JP,A)
【文献】特開2015-167153(JP,A)
【文献】特開2012-080006(JP,A)
【文献】特開平10-294368(JP,A)
【文献】特表2010-519723(JP,A)
【文献】国際公開第2009/063591(WO,A1)
【文献】特表2020-515029(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0015137(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0330790(US,A1)
【文献】特開平09-008036(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/768
H01L 21/3205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップ(15)であって、
基板(50)と、
前記基板上の複数のメタライゼーション層(75,80)と、
前記複数のメタライゼーション層のうち何れかの層における第1の導体ライン(175b)と、前記第1の導体ラインに対して間隔を置いて配置された、前記複数のメタライゼーション層のうち何れかの層における第2の導体ライン(175c)であって、第1の導体ライン及び第2の導体ラインの各々は、
第1の誘電体層(195)に配置された第1のライン部分(190)と、前記第1のライン部分に積層され
、第2の誘電体層(205)に配置された第2のライン部分(200)と、を有する、第2の導体ラインと、
前記第1の導体ラインと第2のラインとの間に配置された部分であって、空隙(185a)を有する部分を含む
第3の誘電体層(187)と、を備える、
半導体チップ。
【請求項2】
前記複数のメタライゼーション層のうち何れかの層の第3の導体ライン(175a)は、第1のライン部分(190)と、前記第1のライン部分に積層された第2のライン部分(200)と、を含み、
前記複数のメタライゼーション層のうち何れかの層は、導電性ビア(180a)を有し、
前記第1のライン部分及び前記導電性ビアは、共有の隣接するバルク導体部分(230)と、共有の隣接するバリア層(225)と、を備える、
請求項1の半導体チップ。
【請求項3】
前記第2のライン部分は第1の厚さを有し、
前記空隙は、前記第1の厚さよりも厚い第2の厚さを有する、
請求項1の半導体チップ。
【請求項4】
前記複数のメタライゼーション層のうち別の層において複数の導体ラインを備え、
前記複数の導体ラインの各々は第1の厚さを有し、
前記複数のメタライゼーション層のうち何れかの層の前記第1の導体ラインは、前記第1の厚さよりも厚い第2の厚さを有する、
請求項1の半導体チップ。
【請求項5】
前記複数のメタライゼーション層のうち別の層において複数の導電性ビア(140a,140b)を備え、
前記複数の導電性ビアの各々は第1の厚さを有し、
前記メタライゼーション層のうち何れかの層の第3の導体ラインは、第1のライン部分と、前記第1のライン部分に積層された第2のライン部分と、を備え、
前記メタライゼーション層のうち何れかの層は、前記第1のライン部分に接続された導電性ビアを有し、
前記導電性ビアは、前記第1の厚さよりも厚い第2の厚さを有する、
請求項1の半導体チップ。
【請求項6】
前記複数のメタライゼーション層のうち何れかの層(80)は、第1の誘電体層(195)と、前記第1の誘電体層に積層された第2の誘電体層(205)と、を備え、
前記第1の導体ライン及び前記第2の導体ラインの各々は、前記第1の誘電体層に部分的に配置されており、前記第2の誘電体層に部分的に配置されている、
請求項1の半導体チップ。
【請求項7】
前記複数のメタライゼーション層のうち別の層(75)において複数の導体ライン(135a,135b)を備え、
前記複数の導体ラインは第1の横方向の間隔を有し、
前記複数のメタライゼーション層のうち何れかの層の前記第1の導体ライン及び前記第2の導体ラインは、前記第1の横方向の間隔よりも小さい第2の横方向の間隔を有する、
請求項1の半導体チップ。
【請求項8】
前記半導体チップは、回路基板(20)を含み、前記回路基板に実装されている、
請求項1の半導体チップ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
現在利用可能な集積回路は、日常的に何百万もの個々のトランジスタ及び他の電子部品を含む。このような回路の多数のコンポーネントの相互接続の殆どは、グローバルな相互接続レベルとして機能する1つ以上のメタライゼーション層を介して設けられる。1つの従来のサブトラクティブプロセス(subtractive process)では、各メタライゼーション層は、通常、集積回路の基板上に単一の連続層として堆積され、その後、リソグラフィでパターニングされ、エッチングされ、金属ラインが必要とされない領域から金属が除去される。別のプロセスでは、デュアルダマシン手順が使用される。
【0002】
多層メタライゼーション回路では、個々の金属層は、典型的には、1つ以上の層間誘電体層(ILD)によって垂直方向に分離されている。隣接する金属層間の電気的接触は、ILDの開口部又はビアによって設けられる。ビアは、通常、ILDの選択された部分のマスキング及びその後のエッチングによって形成される。次に、ビアは、導体材料又は場合によっては導電性材料の組み合わせで充填させる。半導体製造業界で使用される「ビア」という用語は、開口部自体を意味するだけでなく、導電性材料で充填された開口部も意味するようになってきている。
【0003】
メタライゼーションの導体ライン間の間隔が狭まると、このような隣接するライン間のキャパシタンスが増加し、容量性遅延に起因した性能低下が発生する。ライン間隔が狭くなることによる容量の増加に対抗するために使用される1つの従来技術は、隣接するライン間の空隙を使用するものである。単層導体ラインは、誘電体材料で充填された間隙で構成される。誘電体が化学気相成長によって堆積されると、隣接するラインの対向する壁が誘電体でコーティングされる。最終的に、誘電体材料が架橋(bridges)し、ライン間の誘電体に空隙が残る。
【0004】
本発明の上記及び他の利点は、以下の詳細な説明を読み、図面を参照することによって明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】例示的な半導体チップデバイスの構造の部分分解図である。
【
図4】メタライゼーション層から分解されたいくつかの例示的な導体ラインの図である。
【
図6】一対の例示的なメタライゼーション層の初期処理を示す断面図である。
【
図7】
図6と同様の断面図であるが、追加のメタライゼーション層を生成するための追加の処理を示す図である。
【
図8】
図7と同様の断面図であるが、追加のメタライゼーション層を構成するための追加の処理を示す図である。
【
図9】
図8と同様の断面図であるが、追加のメタライゼーション層を構成するための追加の処理を示す図である。
【
図10】
図9と同様の断面図であるが、追加のメタライゼーション層を構成するための追加の処理を示す図である。
【
図11】
図10と同様の断面図であるが、追加のメタライゼーション層を構成するための追加の処理を示す図である。
【
図12】
図11と同様の断面図であるが、追加のメタライゼーション層を構成するための追加の処理を示す図である。
【
図13】
図12と同様の断面図であるが、追加のメタライゼーション層を構成するための追加の処理を示す図である。
【
図14】
図13と同様の断面図であるが、追加のメタライゼーション層を構成するための追加の処理を示す図である。
【
図15】
図14と同様の断面図であるが、追加のメタライゼーション層を構成するための追加の処理を示す図である。
【
図16】
図15と同様の断面図であるが、追加のメタライゼーション層を構成するための追加の処理を示す図である。
【
図17】
図16と同様の断面図であるが、追加のメタライゼーション層を構成するための追加の処理を示す図である。
【
図18】
図17と同様の断面図であるが、追加のメタライゼーション層を構成するための追加の処理を示す図である。
【
図19】
図18と同様の断面図であるが、追加のメタライゼーション層を構成するための追加の処理を示す図である。
【
図20】
図19と同様の断面図であるが、追加のメタライゼーション層を構成するための追加の処理を示す図である。
【
図21】
図20と同様の断面図であるが、追加のメタライゼーション層を構成するための追加の処理を示す図である。
【
図22】
図21と同様の断面図であるが、追加のメタライゼーション層を構成するための追加の処理を示す図である。
【
図23】
図22と同様の断面図であるが、追加のメタライゼーション層を構成するための追加の処理を示す図である。
【
図24】
図23と同様の断面図であるが、追加のメタライゼーション層を構成するための追加の処理を示す図である。
【
図25】
図24と同様の断面図であるが、追加のメタライゼーション層を構成するための追加の処理を示す図である。
【
図26】
図25と同様の断面図であるが、追加のメタライゼーション層を構成するための追加の処理を示す図である。
【
図27】
図3と同様の断面図であるが、代替の例示的な半導体チップメタライゼーション層の構造を示す図である。
【
図28】
図3と同様の断面図であるが、半導体チップの別の代替の例示的なメタライゼーション層の構造を示す図である。
【
図29】分解された半導体チップデバイスを有する電子デバイスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
開示された構成は、隣接する導体ライン間の層間誘電体層の空隙を利用して、ライン間隔が狭くなることに伴うキャパシタンスの増加を相殺する半導体チップのメタライゼーションを提供する。ただし、ライン間隔がより狭い状態で電気的性能をさらに改善するために、開示された技術は、積層されたラインで構成される導体ワイヤを利用する。空隙によって区切られた各隣接ラインは、第1のラインと、第1のラインに積層された第2のラインと、から構成される。このプロセスは、ビア相互接続を提供するために、周知のダブルダマシンメタライゼーションプロセスに直接組み込むことができる。このようにして、従来技術で許容されているものよりも高いアスペクト比の導体ラインを、非常に困難であり非常に高いアスペクト比のディープトレンチエッチング技術に頼る必要なしに構成することができる。既存のタイプのバリア層及び材料を使用することができる。大幅な抵抗の低減とキャパシタンスとのトレードオフを実現することができる。より低い抵抗では、別のルーティングに必要なライン数を減らすことができ、これにより、ルーティング輻輳タイミング(routing congestion timings)及び消費されるチップ面積を改善することができる。開示された構成では、エレクトロマイグレーション及び電力低下のパフォーマンスが向上し、導体ワイヤの抵抗に対する出力ドライバの感度を低減することができる。
【0007】
本発明の一態様によれば、基板と、基板上の複数のメタライゼーション層と、複数のメタライゼーション層のうち何れかの層における第1の導体ラインと、第1の導体ラインに対して間隔を置いて配置された、複数のメタライゼーション層のうち何れかの層における第2の導体ラインであって、第1の導体ライン及び第2の導体ラインの各々は、第1のライン部分と、第1のライン部分に積層された第2のライン部分と、を有する、第2の導体ラインと、第1の導体ラインと第2の導体ラインとの間に配置された部分であって、空隙を有する部分を含む誘電体層と、を含む半導体チップが提供される。
【0008】
半導体チップにおいては、複数のメタライゼーション層のうち何れかの層の第3の導体ラインは、第1のライン部分と、第1のライン部分に積層された第2のライン部分と、を含み、複数のメタライゼーション層のうち何れかの層は導電性ビアを有し、第1のライン部分及び導電性ビアは、共有の隣接するバルク導体部分と、共有の隣接するバリア層と、を有する。
【0009】
半導体チップにおいては、第2のライン部分は第1の厚さを有し、空隙は、第1の厚さよりも厚い第2の厚さを有する。
【0010】
半導体チップにおいては、複数のメタライゼーション層のうち別の層において複数の導体ラインを備え、複数の導体ラインの各々は第1の厚さを有し、複数のメタライゼーション層のうち何れかの層の第1の導体ラインは、第1の厚さよりも厚い第2の厚さを有する。
【0011】
半導体チップにおいては、複数のメタライゼーション層の別の層において複数の導電性ビアを備え、複数の導電性ビアの各々は第1の厚さを有し、複数のメタライゼーション層のうち何れかの層の第3の導体ラインは、第1のライン部分と、第1のライン部分に積層された第2のライン部分と、を備え、複数のメタライゼーション層のうち何れかの層は、第1のライン部分に接続された導電性ビアを有し、導電性ビアは、第1の厚さよりも厚い第2の厚さを有する。
【0012】
半導体チップにおいては、複数のメタライゼーション層のうち何れかの層は、第1の誘電体層と、第1の誘電体層に積層された第2の誘電体層と、を備え、第1の導体ライン及び第2の導体ラインの各々は、第1の誘電体層に部分的に配置されており、第2の誘電体層に部分的に配置されている。
【0013】
半導体チップにおいては、複数のメタライゼーション層のうち別の層において複数の導体ラインを備え、複数の導体ラインは第1の横方向の間隔を有し、複数のメタライゼーション層のうち何れかの層の第1の導体ライン及び第2の導体ラインは、第1の横方向の間隔よりも小さい第2の横方向の間隔を有する。
【0014】
半導体チップは、回路基板を含み、回路基板に実装されている。
【0015】
本発明の別の態様によれば、基板と、基板上の第1のメタライゼーション層と、第1のメタライゼーション層上の第2のメタライゼーション層と、第1のメタライゼーション層における複数の導体ラインであって、複数の導体ラインの各々がアスペクト比を有する、複数の導体ラインと、第2のメタライゼーション層における第1の導体ラインと、第1の導体ラインに対して間隔を置いて配置された、第2のメタライゼーション層における第2の導体ラインであって、第1の導体ライン及び第2の導体ラインの各々は、第1のライン部分と、第1のライン部分に積層された第2のライン部分と、を有し、複数の導体ラインのアスペクト比よりも大きいアスペクト比を有する、第2の導体ラインと、第1の導体ラインと第2のラインとの間に配置された部分であって、空隙を有する部分を有する誘電体層と、を含む半導体チップが提供される。
【0016】
半導体チップにおいては、第2のメタライゼーション層の第3の導体ラインは、第1のライン部分と、第1のライン部分に積層された第2のライン部分と、を含み、第2のメタライゼーション層は導電性ビアを有し、第1のライン部分及び導電性ビアは、共有の隣接するバルク導体部分と、共有の隣接するバリア層と、を有する。
【0017】
半導体チップにおいては、第1のメタライゼーション層において複数の導電性ビアを備え、複数の導電性ビアの各々は第1の厚さを有し、第2のメタライゼーション層の第3の導体ラインは、第1のライン部分と、第1のライン部分に積層された第2のライン部分と、を含み、第2のメタライゼーション層は、第1のライン部分に接続された導電性ビアを有し、導電性ビアは、第1の厚さよりも厚い第2の厚さを有する。
【0018】
半導体チップにおいては、第2のメタライゼーション層は、第1の誘電体層と、第1の誘電体層に積層された第2の誘電体層と、を含み、第1の導体ライン及び第2の導体ラインの各々は、第1の誘電体層に部分的に配置されており、第2の誘電体層に部分的に配置されている。
【0019】
半導体チップにおいては、複数の導体ラインは第1の横方向の間隔を有し、第2のメタライゼーション層の第1の導体ライン及び第2の導体ラインは、第1の横方向の間隔より小さい第2の横方向の間隔を有する。
【0020】
半導体チップは、回路基板を含み、半導体チップは、回路基板に実装されている。
【0021】
本発明の別の態様によれば、半導体チップを製造する方法が提供される。この方法は、複数のメタライゼーション層を基板上に製造することと、複数のメタライゼーション層のうち何れかの層において、第1の導体ラインと、第1の導体ラインに対して間隔を置いて配置された第2の導体ラインと、を製造することであって、第1の導体ライン及び第2の導体ラインの各々は、第1のライン部分と、第1のライン部分に積層された第2のライン部分と、を有する、ことと、第1の導体ラインと第2のラインとの間に配置された部分であって、空隙を有する部分を含む誘電体層を製造することと、を含む。
【0022】
方法は、複数のメタライゼーション層のうち何れかの層において、第1のライン部分と、第1のライン部分に積層された第2のライン部分と、を含む第3の導体ラインを製造することと、複数のメタライゼーション層のうち何れかの層において導電性ビアを製造することであって、第1のライン部分及び導電性ビアは、共有の隣接するバルク導体部分と、共有の隣接するバリア層と、を備える、ことと、を含む。
【0023】
方法においては、第2のライン部分は第1の厚さを有し、空隙は、第1の厚さよりも厚い第2の厚さを有する。
【0024】
方法は、複数のメタライゼーション層のうち別の層において複数の導体ラインを製造することであって、複数の導体ラインの各々は第1の厚さを有し、何れかの層の第1の導体ラインは、第1の厚さよりも厚い第2の厚さを有する、ことを含む。
【0025】
方法は、複数のメタライゼーション層の別の層において複数の導電性ビアを製造することであって、複数の導電性ビアの各々は第1の厚さを有する、ことと、複数のメタライゼーション層のうち何れかの層において、第1のライン部分と、第1のライン部分に積層された第2のライン部分と、を含む第3の導体ラインを製造することであって、複数のメタライゼーション層のうち何れかの層は、第1のライン部分に接続された導電性ビアを有し、導電性ビアは、第1の厚さよりも厚い第2の厚さを有する、ことと、を含む。
【0026】
方法においては、複数のメタライゼーション層のうち何れかの層は、第1の誘電体層と、第1の誘電体層に積層された第2の誘電体層と、を備え、第1の導体ライン及び第2の導体ラインの各々は、第1の誘電体層に部分的に配置されており、第2の誘電体層に部分的に配置されている。
【0027】
方法は、複数のメタライゼーション層のうち別の層において複数の導体ラインを製造することであって、複数の導体ラインは第1の横方向の間隔を有し、何れかの層の第1の導体ライン及び第2の導体ラインは、第1の横方向の間隔よりも小さい第2の横方向の間隔を有する、ことを含む。
【0028】
方法は、半導体チップを回路基板に実装することを含む。
【0029】
以下に説明する図面では、同一の要素が複数の図に現れる場合、概して、符号が繰り返される。次に、図面、特に
図1を参照すると、回路基板20に実装可能な半導体チップ15を含む半導体チップデバイス10の例示的な実施形態の部分分解図が示されている。半導体チップ15は、回路基板から分解されて示されている。半導体チップ15は、回路基板20に冶金学的に結合し、半導体チップ15が回路基板20に実装されている場合に、複数の接合部又は他のタイプのはんだ接合部を形成するように設計された複数の相互接続構造25を含む。半導体チップ15の2つの縁部30,40が
図1に示されている。
【0030】
本明細書に開示された例示的な構成は、半導体チップ15や回路基板20の特定の機能に依存しない。したがって、半導体チップ15は、例えば、インターポーザ、マイクロプロセッサ、グラフィックスプロセッサ、マイクロプロセッサ/グラフィックスプロセッサの組み合わせ、特定用途向け集積回路、メモリデバイス等のように、電子機器で使用される様々な異なるタイプの回路デバイスの何れかであってもよく、シングルコア又はマルチコアであってもよい。半導体チップ15は、シリコン又はゲルマニウム等のバルク半導体、或いは、絶縁体上の半導体材料(例えば、シリコンオンインシュレータ材料、さらにはインシュレータ材料)で構成することができる。したがって、「半導体チップ」という用語は、絶縁材料をも意図している。必要に応じて、積層されたダイを使用してもよい。
【0031】
回路基板20は、上述したタイプの他の半導体チップ、半導体チップパッケージ基板、回路カード、又は、実質的に任意の他のタイプのプリント回路基板であってもよい。モノリシック又はラミネート構造を使用することができる。ビルドアップ設計は、ラミネートの一例である。これに関して、回路基板20は、1つ以上のビルドアップ層が形成され、その下に追加の1つ以上のビルドアップ層が形成される中央コアから構成され得る。コア自体は、1つ以上の層のスタックで構成することができる。いわゆる「コアレス」設計も使用することができる。回路基板20の層は、金属相互接続が散在する様々な周知のエポキシ又は他の樹脂等の絶縁材料から構成することができる。ビルドアップ以外の多層構成を使用することができる。任意に、回路基板20は、パッケージ基板又は他のプリント回路基板に適した周知のセラミック又は他の材料から構成することができる。
【0032】
半導体チップ15のさらなる詳細は、
図2を参照することによって理解することができる。
図2は、半導体チップ15の側面30の拡大した図である。
図2に示すように、半導体チップ15は、基板又はバルク半導体層50と、バルク層50に配置されたデバイス層55と、複数のメタライゼーション層60,65,70,75,80,85,90と、を含む。以下により詳細に説明するように、各メタライゼーション層は、層間誘電体層(ILD)内に散在し、導電性ビアを介して、隣接するメタライゼーション層と垂直に相互接続されたメタライゼーショントレースの層を含む。この例示的な構成では、7つのメタライゼーション層60,65,70,75,80,85,90が示されている。しかし、当業者は、メタライゼーション層の数が7以外であってもよいことを理解するであろう。
【0033】
半導体チップ15のさらなる詳細は、
図3及び
図4も参照することによって理解することができる。
図3は、断面3-3から得られた
図1の断面図である。また、
図4は、メタライゼーション層70の導体の一部の部分分解図である。断面3-3の切断面の位置及びサイズのために、半導体チップ15のごくわずかな部分のみが
図3に示されており、実際に、
図3の焦点は、メタライゼーション層60,65,70,75,80,85,90のサブセットのみであり、特に、メタライゼーション層70,75,80,85に当てられていることに留意されたい。メタライゼーション層85の一部のみが
図3に示されていることに留意されたい。最初に、メタライゼーション層70に注目する。メタライゼーション層70は、ILD97に散在する複数の導体ライン95a,95b,95c,95d,95e(別のものは見えない)を含む。ごくわずかな導体ライン95a,95b,95c,95d,95eが示されているが、メタライゼーション層70及び他のメタライゼーション層60,75,80,85,90の何れかは、図に示されているものよりもはるかに多くなる可能性があるということを理解されたい。導体ライン95a,95b,95c,95d,95eの各々は、バリア層100及びバルク導体105からなり、いくつかの典型的なラインの幅x
1及び典型的な間隔x
2で製造されている。バリア層100は、金属イオン及び他の不純物の移動を防止するように設計されている。導体ライン95a,95b,95c,95d,95eの一部又は全ては、複数のビア(そのうち2つが
図3及び4にて見えており、それぞれ110a,110bとラベル付けされている)と、
図4において見えている別のビア110cと、によって、下方の次のメタライゼーション層(この場合、
図2に示す層65)と相互接続されている。ビア110a,110b,110cは、図に示されているものよりもはるかに多くなる可能性がある。ビア110a、110b及び110cは、好ましくは、ダブルダマシンプロセスを使用して構成され、実際に、ビア110aのバリア層100及びバルク導体が、ライン95aのバリア層100及びバルク導体105と隣接し、ライン95dに対するビア110b、ライン95eに対するビア110cについても同様である。ビア110a,110b,110cは、円筒形、正方形又は他のフットプリントであってもよい。ビア110a,110bは、それぞれ、
図4のライン95a,95dの下側112a,112dから仮想的に分解されて示されており、
図4にこの円筒形の配置を示す。なお、下側112a及び112dは、
図3では見えず、したがって、破線で示されていることに留意されたい。バリア層100は、Ti、TiN、Ta、TaN、Ta、Ru、Co等と、これらの積層体等から構成することができる。バルク導体105は、銅、銀、アルミニウム、プラチナ、金、パラジウム、Co、Ru、必要に応じて、これら若しくは他の導体材料の組み合わせ又は積層体で構成され得る。めっき、化学気相成長、物理気相成長等の周知の材料堆積プロセスを使用することができる。ILD97は、様々な層間誘電体材料(例えば、テトラエチルオルトシリケート、他の様々なガラス、K値が約3.0未満のいわゆる「低K」材料、又は、K値が約2.7未満の「超低K」材料)で構成することができ、これらの材料は、何れも変位した導体層間の寄生を低減させるのに有利である。例示的な材料には、例えば、多孔質炭素ドープ酸化物(p-SiCOH)、ナノ多孔質有機ケイ酸塩、及び、ブラックダイヤモンドフィルムが含まれる。本明細書に開示される他の導体ライン及びILDは、同じ材料から生成することができる。
【0034】
導体ライン95a,95b,95c,95dは、いくらかの所望の厚さz
1で製造され、ビア110a,110bは、いくらかの所望の高さz
2で製造され、ILD97は、ビア110a,110b及びライン95a,95b,95c,95dの両方の前に、いくらかの所望の厚さz
3で製造される。これらの厚さz
1、z
2、z
3は、
図2に示され、少なくとも部分的に
図3に示された多くのメタライゼーション層60,65,70,75,80,85,90を通して利用され得る標準的な設計ルールの決定厚さであり得る。ただし、以下により詳細に説明するように、メタライゼーション層の別の層、特に以下に説明するメタライゼーション層80は、標準の厚さ及び高さz
1、z
2、z
3から逸脱して、間隔の狭いラインに対して異なるRC動作を実現する。
【0035】
図3を再び参照すると、メタライゼーション層75は、メタライゼーション層70に製造されたエッチング停止層130からなる。エッチング停止層130の目的は、以下により詳細に説明する。メタライゼーション層75は、複数の導体ライン135a,135b,135c,135d,135e(及び、可視ではないその他)と、ILD137に散在している複数の導電性ビア140a,140bと、を含む。ごく少数の導体ライン135a,135b,135c,135d,135eのみが示されているが、メタライゼーション層75及び他のメタライゼーション層60,75,80,85,90の何れも、より多くのこのようなラインを含むことができることを理解されたい。この例示的な構成では、導体ライン135a,135b,135c,135d,135eと導体ライン95a,95b,95c,95d,95eは、同じ一般的な方向、つまり、ページの内外に延びる方向に整列している。ただし、他の構成では、導体ラインは、1つのメタライゼーション層から次のメタライゼーション層に方向を変えることができる。例えば、メタライゼーション層70の導体ライン95a,95b,95c,95d,95eは、ページの内外にあってもよく、一方、導体ライン135a,135b,135c,135d,135eは、ページに平行に整列され、したがって、導体ライン95a,95b,95c,95d,95eに直交し、又は、その逆になる。この交互の整列方向は、メタライゼーション層の一部又は全てに存在し得る。導体ライン135a,135b,135c,135d,135e及び導電性ビア140a,140bは、上記のメタライゼーション層70の導体ライン95a,95b,95c,95d,95e及び導電性ビア110a,110b,110cと同様であってもよい。したがって、ライン135a,135b,135dは、それぞれバリア層145及びバルク導体部分150と、ライン135c,135eと、を含むことができ、導電性ビア140a,140bは、同様に、隣接するバリア層145及びバルク導体部分150を含むことができる。ILD137は、上記のILD97と同様にすることができる。同じ寸法z
1、z
2、z
3は、ライン135a,135b,135c,135d,135e、ビア140a,140b、及び、ILD137に使用することができる。導体ライン135cとビア140a、及び、ライン135aとビア140bを区切るラベルのない破線に留意されたい。これらの破線は、単に、下面112a,112bに非常によく似た、導体ライン135c,135eの不可視の下面を表している。
【0036】
さらに
図3を参照すると、ビア140a,140bは、メタライゼーション層70の導体ライン95c,95eのうち1つ以上と電気的に相互接続する。これらのビア140a,140bが下にあるライン95c,95eに接続する場合、バリア金属層160が製造される。バリア層160は、Ti、TiN、Ta、TaN、Ta、Ru、Co等と、これらの積層体等から構成することができる。バリア層160の目的は、製造中、特に、空気又は他のプロセスへの曝露がライン95c,95eのバルク導体材料105を損傷する可能性がある時点において、導体ライン95c,95eのバルク導体材料105を保護することである。
【0037】
メタライゼーション層70の導体ライン95a,95b,95c,95d,95eと、メタライゼーション層75の導体ライン135a,135b,135c,135d,135eとは、所定の厚さz1で製造することができ、ビア110,140は、所定の高さz2で製造することができ、ILD97,137は、所定の高さz3で製造することができる。その寸法、z1、z2、z3は、様々なメタライゼーション層65,70,75,80,85,90全体で使用することができるが、以下に詳細に説明するいくつかの例外を除く。この標準的な厚さ及び高さz1、z2、z3を利用すると、ある層から次の層への処理を簡素化できるが、これらのパラメータは、層毎に変えることもできることを理解されたい。メタライゼーション層70の導体ライン95a,95b,95c,95d,95e及びメタライゼーション層の導体ライン135a,135b,135c,135d,135eは、以下の設計のアスペクト比A1によって構成されていることに留意されたい。
A1=z1/x1 (1)
【0038】
次に、メタライゼーション層80を
図3と併せて説明する。メタライゼーション層75は、メタライゼーション層75,70といくつかの重要な点で異なる。メタライゼーション層75,70と同様に、メタライゼーション層80は、複数の導体ライン175a,175b,175c,175d,175eと、複数の導電性ビアと、を含み、そのうちの1つが可視であり、180aと分類されている。ビア180aに加えて、多くのそのような導電性ビアが存在し得る。バリア層182は、導電性ビア180aと、その下にある導体ライン135aと、の間に形成されることに留意されたい。バリア層182は、バリア層160と同様の材料を使用して構成することができる。しかし、導体ライン175a,175b,175c,175d,175eは、ダブルダマシン層プロセスで単一ダマシン層を使用して構成される。導体ライン175b,175c,175d,175eは、空隙185a,185b,185cを介して横方向に分離され、空隙185a,185b,185cは、それぞれ、導体ライン175b,175c,175d,175eの間に散在する部分を有する誘電体層187に形成される。導体ライン175b,175c,175d,175eは、それぞれ、第1のILD195に配置された第1のライン部分190と、下部190に形成され、概ね別のILD205に配置され、空隙185a,185b,185cが形成される誘電体層187のある程度の部分に配置される第2のライン部分200と、からなる。第1のライン部分190は、ダブルダマシンプロセスを使用して構成され、第1のライン部分190と導電性ビア180aの両方(及び、可視ではない別のもの)を同時に製造する。別のエッチング停止層213は、ILD195,137間に製造される。導体ライン175a,175b,175c,175d,175eの第2のライン部分200は、それぞれ、バリア層215及びバルク導体部分220を含むことができる。ライン175a,175b,175d,175eの第1のライン部分190は、それぞれ、バリア層225及びバルク導体部分230を含むことができるが、バリア層225と、導体ライン175aの第1のライン部分190のバルク導体部分230と、ビア180aとは、ダブルダマシンとして製造され、したがって隣接している。ライン175aとビア180aの第1のライン部分190とを区切るラベルのない破線に留意されたい。この破線は、それぞれ、導体ライン95a,95dの下面112a,112dと非常によく似ており、ライン175aの第1のライン部分190の不可視の下面を単に表している。エッチング停止層210は、ILD195,205間に製造される。
【0039】
メタライゼーション層80の隣接する導体ライン175b,175c間、又は、175d,175e間の間隔x3を可能な限り小さくし、充填密度の改善をもたらすことができることが望ましい。したがって、隣接する導体ライン175b,175c間、又は、175d,175e間の間隔x3は、他の場所で使用される間隔x2と同じか、おそらくx2よりも小さくすることができる。しかし、間隔x2よりも間隔x3を小さく製造することは、同じ層内のライン、例えばライン175d,175e間の横方向のキャパシタンスを比例的に増大上昇させる。ライン175d,175e等の隣接する導体ライン間のキャパシタンスを増加させることがある別の考慮事項は、このような隣接するライン175d,175eの剪断長さである。例えば、メタライゼーション層80が信号の重要な水平ルーティングに使用される場合、導体ライン175a,175b,175d,175d,175eは長い配線になる傾向がある。配線が長くなると、キャパシタンスが増加する。横方向の間隔をx2からx3に縮小させること及び/又はラインの長さが増加することのキャパシタンスの増加に対抗するために、誘電体層187は、好ましくは、上述したような低K又は超低K材料から製造され、空隙185a,185b,185cとともに製造される。空隙185a,185b,185cを有する低K誘電体層187を使用することにより、ライン175b,175c間、ライン175c,175d間等の隣接するライン間のキャパシタンスを減少させる。
【0040】
導体ライン175a,175b,175c,175d,175e及びビア180aは、導体ライン95a,95b,95c,95d,95e及びビア110a又はライン135a,135b,135c,135d,135e及びビア140a,140bのアスペクト比A
1よりも高いアスペクト比で製造することができる。比較的高い、したがって、より大きな導体ライン175a,175b,175c,175d,175eは、対応する幅のライン95a,95b,95c,95d,95e,135a,135b,135c,135d,135eよりも、比例的に抵抗が少ない。この例示的な構成では、導体ライン175a,175b,175c,175d,175eは、メタライゼーション層70,75等の他の場所で使用されるラインの厚さz
1の乗数である所定の厚さz
4で製造することができる。例えば、z
4は、次式で得ることができる。
z
4=k
1z
1 (2)
式中、k
1は、ある乗数である。厚さz
4は、第2のライン部分200の厚さz
5と第1のライン部分190の厚さz
6との組み合わせであることに留意されたい。第2のライン部分200の厚さz
5は、他の場所(例えば、メタライゼーション層70,75)で使用されるラインの厚さz
1の乗数である。例えば、z
5は、以下により得られる。
z
5=k
2z
1 (3)
式中、k
2は、ある乗数である。第1のライン部分190の厚さz
6は、メタライゼーション層70,75等の他の場所で使用されるラインの厚さz
1の乗数である。例えば、z
6は、次式により得られる。
z
6=k
3z
1 (4)
式中、k
3は、ある乗数である。ビア180aは、メタライゼーション層70,75等の他の場所で使用されるビアの高さz
2の乗数である所定の高さz
7で製造することができる。例えば、z
7は、次式で得られる。
z
7=k
4z
2
式中、k
4は、ある乗数である。ILD195は、事前に選択された高さz
8で製造される。式中、z
8は、次式によって得られる。
z
8=z
6+z
7 (5)
ILD205は、事前に選択された高さz
5で製造されている。当然、第1のライン部分190を生成するための厚さz
8及びエッチングの深さは、z
7及びz
6の値を決定する。いくつかの例示的な値を次の表に示す。
【表1】
第1のライン部分190及び第2のライン部分200を積層することにより、抵抗の低い大きな導体ライン175a,175b,175c,175d,175eを、次式によって得られるアスペクト比A
2を用いて構成することができる。
A
2=z
4/x
1 (6)
これは、非常に困難な高いアスペクト比の誘電体の方向性エッチング技術を試行する必要がなく、標準的なアスペクト比A
2より大きくなっている。ただし、アスペクト比A
2が大きくなると、導体ライン175a,175b,175b等の隣接するラインの間隔のキャパシタンスCは、隣接するライン175a,175b間等のオーバーラップ領域が増加するため、増加する。ただし、キャパシタンスCの増加は、抵抗Rの減少によって相殺されるため、全体的なRCの積、つまり抵抗にキャパシタンスを掛けたものは、比較的同じままであるはずである。この例示的な構成では、プロセスは、導体ライン175a,175b,175c,175d,175eの厚さを、導体ライン95a,95b,95c,95d,95e,135a,135b,135c,135d,135eよりも1.5倍厚くし、ビア180aの厚さを、ビア110a,140a等よりも1.5倍厚くするように調整されている。ただし、乗数k
1,k
2,k
3,k
4は、様々な値をとることができることを理解されたい。z
7の値は、導体ライン175a,175b等と、導体ライン135a,135b等の下にある導体との間に、許容可能な垂直のキャパシタンスを生成するように選択できることに留意されたい。さらに、z
7の値は、第1のライン部分の高さz
6と組み合わされたビアの高さz
7の値を設定し、z
7とz
6は、以下のように、ほぼ反比例する。
【数1】
【0041】
空隙185A,185B,185Cは、必ずしも半導体チップ15の全体に亘って(すなわち、ページの内外及び
図1に示すY軸に沿って)延びていないことを理解されたい。実際、空隙185a,185b,185cは、様々な長さであってもよく、隣接していなくてもよく、すなわち、セグメントからなっており、ビアの位置の近くに配置されることを回避するようにする。これに関して、
図3の断面5-5で得られる断面図である
図5に注目する。断面5-5は、ILD205、誘電体層187、空隙185a,185b,185c及び
図3では見えなかった別の空隙185dを通過する。導体ライン175a,175b,175c,175d,175の第2のライン部分200を断面5-5に示し、バリア層215及びバルク導体220を露出させている。
図5から明らかなように、空隙185a,185bは、破線の円235によって表されるビアの位置の手前で終了し、空隙185c,185dは、何れも、破線の円235によって表されるビアの位置の手前で終了する。ビアの位置235,240を、空隙185a,185b等の進入禁止ゾーンとして扱うことで、プロセスのミスアライメントが後続的なビアのマスキングとエッチングの定義中に発生した場合に、ビアの材料があふれる(spillover)可能性を回避する。
【0042】
メタライゼーション層80を製造するための例示的な方法を、
図6~
図26を参照して説明する。以下に説明する処理ステップの一部は、メタライゼーション層70,75等の他のメタライゼーション層を製造するプロセスに共通しており、それらの場合、共通性が指摘される。プロセスは、ウェーハレベル又はダイレベルベースで実行することができる。
図6に注目する。この図は、
図3と同様の断面図であるが、製造されたメタライゼーション層70,75及び
図2及び
図3に示すメタライゼーション層80を製造するための初期の処理のみを示している。メタライゼーション層70は、ILD97、導体ライン95a,95b,95c,95d,95e、ビア110a,110b及びエッチング停止層130を製造するために、既に多数の処理ステップを経ており、メタライゼーション層75及びILD137、導体トレース又はライン135a,135b,135c,135d,135e、ビア140a,140bの構成に関しても同様であることを理解されたい。ダブルダマシン処理を用いて、導体ライン95a,95d及び下にあるビア110a,110b、並びに、導体ライン135c,135e及び下にあるビア140a,140b等のラインやビアを同時に製造する。次に、
図2及び
図3に示すメタライゼーション層80の初期の製造に再び注目する。
図6に示すように、最初に、エッチング停止層213がメタライゼーション層75に製造される。エッチング停止層213は、有利には、
図3に示す、後に堆積するILD195内のトレンチ及びビアをエッチングするのに用いられるエッチングプロセスに対して比較的耐性がある材料から製造される。エッチング停止層213の例示的な材料には、ALO
X、SiCN、酸窒化シリコン等が含まれる。周知のCVD技術を使用して、エッチング停止層213を製造することができる。
【0043】
次に、
図7に示すように、ILD195を、エッチング停止層213及びその下にあるメタライゼーション層70,75上に製造する。上述したように、ILD195は、ILD97について記載したタイプの材料から構成され、厚さz
8まで堆積される。エッチング停止層213の厚さは、下にあるILD195の厚さに比べて比較的薄く、したがって、深さz
8は、エッチング停止層213の厚さを含むと予想される。上述したように、周知のCVDプロセスを使用して、ILD195を堆積させることができる。
【0044】
次に、
図8に示すように、ハードマスク層250がILD195に適用され、レジストマスク255がハードマスク層250に適用され、適切な開口部260でパターニングされる。ハードマスク材料層250は、有利には、窒化ケイ素又は他の適切なハードマスク材料から構成され、ILD195のトレンチをその後のエッチングで定義するのためのハードエッチングマスクとして機能し、これにおいて
図3に示す第1のライン部分190が製造される。したがって、レジストマスク255の開口部260は、それらの第1のライン部分190の将来の位置に対応するように適切なサイズ及び配置にされている。周知のCVDプロセスを使用してハードマスク材料層255を堆積することができ、周知のスピンコーティング又は他の塗布プロセスに続く適切なベーキング及びフォトリソグラフィを使用して、マスク255を塗布及びパターニングすることができる。メタライゼーション層70,75、エッチング停止層213及びILD195は、これらの処理ステップの影響を受けないままである。
【0045】
次に、
図9に示すように、ハードマスク材料層250は、エッチングプロセスを受けて、開口部260及びレジスト層255と整列し、上述したように、
図3に示す第1のライン部分190の将来の位置に対応する複数の開口部265を形成する。例えば、CF
4+O
2、NF
3又は他の適切な化学物質を使用する反応性イオンエッチング等の周知の方向性エッチング技術及び化学物質を使用して、ハードマスク層250をエッチングすることができる。エンドポイントの検出は、タイミング又は発光分光法によって行うことができる。メタライゼーション層70,75、エッチング停止層213及びILD195は、これらの処理ステップの影響を受けないままである。ハードマスク層250の開口部265のエッチングの定義に従って、レジストマスク255を、周知のアッシング、溶剤ストリッピング、又は、これらの組み合わせを使用して剥離し、第2のレジストマスク270をハードマスク層250上に塗布し、
図10に示すようにパターニングする。マスク270は、
図9に示すマスク255と同様に、同じ種類の材料で構成し、処理することができる。ここで、マスク270は、複数の開口部についてリソグラフィでパターニングされるが、そのうちの1つは、275とラベル付けされ、適切なサイズにされ、
図3に示すビア180a等のビアが後続的に製造される位置に配置される。後続のトレンチエッチングのみに使用されるハードマスク層250の開口部265は、マスク270によって覆われている。メタライゼーション層70,75、エッチング停止層213及びILD195は、これらの処理ステップの影響を受けないままである。
【0046】
次に、
図11に示すように、レジストマスク270を所定の位置に配置し、開口部275で適切にパターニングされた状態で、方向性エッチングをILD195において実行し、ビアホール280をマスク開口部275と整列させて生成する。このビアホール280は、通常、同じフットプリントを有するが、
図3に示す、後で形成されるビア180aの後続的な最終的な深さは、必ずしも同じではない。例えば、CF
4、CF
4+O
2、SF
6、NF
3又は他の適切な化学物質を使用する反応性イオンエッチング等の周知の方向性エッチング技術及び化学物質を使用して、ILD195をエッチングすることができる。エンドポイントの検出は、タイミング又は発光分光法によって行うことができる。ILD195の開口部280のエッチングに続いて、レジストマスク270は、本明細書の他の箇所で説明するフォトレジストストリッピング技術を使用して、
図12に示すように剥離される。メタライゼーション層70,75、エッチング停止層213及びILD195は、これらの処理ステップの影響を受けないままである。ただし、ハードマスク250が露出しており、エッチングマスクとして機能する準備ができている。
【0047】
次に、
図13に示すように、ハードマスク250をエッチングマスクとして使用して、ILD195の第2のエッチングを実行する。この場合、エッチングは、ハードマスキング開口部265の位置、したがって、後に形成される第1のライン部分190(
図3を参照)の位置で、ILD195にトレンチ285を形成する。このエッチングは、ビアホールド280をエッチング停止部213まで深くする。
図11に関連して説明したのと同じエッチング技術を、ここでも使用することができる。もちろん、エッチング停止層213は、ILDエッチングを実行するために使用されるエッチングケミストリー(etch chemistries)に対して比較的耐性のある材料から有利に製造される。このエッチングにより、肩部(shoulder)290が形成されることに留意されたい。この肩部290は、上から見た場合、ビアホール280のフットプリントに対応する周囲を有する縁部として表れ、ビアホール280が円形の場合、肩部290は、上から見たときに円形になる。メタライゼーション層70,75及びILD195は、これらの処理ステップの影響を受けないままである。
【0048】
トレンチ285のエッチングの定義とビアホール280の深化に続いて、ハードマスク層250が、
図14に示すように、エッチング除去され、ILD195を露出させ、トレンチ285及びビアホールを露出させる。様々な周知のエッチング技術を使用して、ハードマスク層250の開口部265をエッチングするために、ハードマスク層250を剥離することができる。例えば、熱リン酸浸漬(hot phosphoric acid dip)や、本明細書の他の場所で説明されるドライエッチング技術等が挙げられる。メタライゼーション層70,75は、これらの処理ステップの影響を受けないままである。
【0049】
次に、
図15に示すように、別のエッチングプロセスが実行される。下にある導体ライン135aとオーミック接触する導電性ビア180aを製造する前に、ビアホール280の位置でエッチング停止層213に開口部を生成する必要がある。
図15に示すように、ILD195に対して選択的なプラズマを用いた周知のエッチングケミストリーを使用して、エッチング停止層215を貫通するのに適した化学物質によるクイックエッチングが実行される。開口部292を形成するためのエッチングは、ILD195の構造的完全性に実質的に影響を及ぼさない程度に十分に短いと予想される。メタライゼーション層70,75は、これらの処理ステップの影響を受けないままである。
【0050】
次に、
図16に示すように、バリア金属堆積プロセスを実行して、下にある導体ライン135aとオーミック接触するバリア層182を形成する。周知のCVD、PVD又はめっきプロセスを使用して、バリア層182を製造することができる。メタライゼーション層70,75は、これらの処理ステップの影響を受けないままである。
【0051】
次に、
図17に示すように、バリア層225を堆積して、ビアホール280及びトレンチ285を充填する。周知のCVD又はPVDプロセスを使用して、バリア層225を形成することができる。バリア層225の一部は、バリア層182に接触する。メタライゼーション層70,75は、これらの処理ステップの影響を受けないままである。
【0052】
次に、
図18に示すように、めっきプロセスを有利に実行して、ブランケット導体層294を形成する。続いて、導体層294を研磨して、
図3に示す上記のバルク導体部分230を形成する。ブランケット導体層294は、バリア層225の上を充填し、当然、トレンチ285及びビアホール280を充填する。この段階で、ブランケット導体層294は、
図19に示すように、化学機械研磨等によって研磨されて戻され、ブランケット導体層294及びILD195の上方に突出するバリア層225の一部を除去し、それによって、第1のライン部分190を生じさせ、デュアルダマシンの性質のために、導電性ビア180aを同時に形成する。メタライゼーション層70,75及びエッチング停止部213は、これらの処理ステップの影響を受けないままである。ここで、第1のライン部分190及びビア180aを生成するために説明した技術を使用して、ラインの太さ及びビアの高さが異なっているにもかかわらず、
図3に示すメタライゼーション層70,75の導体ライン95a,95b,95c,95d,95e,135a,135b,135c,135d,135e、ビア110a,110b,140a,140b、ILD97,137、エッチング停止部130及びバリア170を製造することができることを理解されたい。
【0053】
次に、
図20に示すように、エッチング停止層210は、エッチング停止層213について他の箇所で開示されたのと同じタイプの材料及び技術を使用して、ILD195及び第1のライン部分190上に製造される。メタライゼーション層70,75及びエッチング停止部213は、これらの処理ステップの影響を受けないままである。
【0054】
次に、
図21に示すように、ILD205は、エッチング停止層210に製造される。ILD195を形成するために使用されるのと同じタイプの材料及び技術を使用して、ILD205を製造することができる。メタライゼーション層70,75、ILD195及びエッチング停止部213は、これらの処理ステップの影響を受けないままである。メタライゼーション層70,75及びエッチング停止部213は、これらの処理ステップの影響を受けないままである。
【0055】
図22から明らかなように、第1のライン部分を形成するために使用される処理ステップ190が繰り返されて、ILD205の第2のライン部分200が形成され、これは、下部190と共に、導体ライン175a,175b,175c,175d,175eを構成する。これらの処理ステップは、完成した導体ライン175a,175b,175c,175d,175eを形成するために、上述したハードマスク及び複数のフォトレジストマスキングステップ及びエッチングと、それに続く材料の堆積及び研磨と、を含み、導体ラインの各々は、バリア層215及びバルク導体層220から構成されている。メタライゼーション層70,75及びエッチング停止部213は、これらの処理ステップの影響を受けないままである。
【0056】
次に、
図23に示すように、レジストマスク295がILD205に適用され、所望のフットプリントに対応する開口部300と、ILD205にエッチングされる開口部の位置と、で適切にパターニングされ、上述した空隙185a,185b,185c,185dが製造される。他のフォトレジストマスクについて、上述したのと同じタイプの技術を使用して、レジストマスク295を適用及びパターニングし、開口部300をパターニングすることができる。メタライゼーション層70,75、ILD195及びエッチング停止部213は、これらの処理ステップの影響を受けないままである。
【0057】
次に、
図24に示すように、ILD205を方向性エッチングして、マスクされた開口部300と整列した複数の開口部305を形成する。開口部300を形成するためのこのエッチングは、様々な方法で実施することができる。
図24に開示された例示的な構成において、エッチングは、開口部305がILD205だけでなく、エッチング停止層210及びILD195の一部を貫通するが、第1のライン部分190の底部310の手前で停止するように実行される。開口部305の深さは、その後に形成される空隙185a,185b,185c,185dの垂直範囲を決定する。高い空隙185a,185b,185c,185dが、より低いキャパシタンスを示すが、深さが底部310に到達しないように又はエッチング停止層210を貫通しないように、開口部305のエッチングを実行することが望ましい。ILD195をエッチングするために、本明細書の他の箇所で開示されているエッチングケミストリー及び技術をここで使用することができる。メタライゼーション層70,75及びエッチング停止部213は、これらの処理ステップの影響を受けないままである。
【0058】
次に、
図25に示すように、誘電体層187は、周知のCVDプロセス及び既に開示されている材料を使用して、ILD205上に製造される。誘電体層187のCVDプロセスの前に、
図24に示すレジストマスク295は、本明細書の他の箇所に開示されている技術を使用して剥離される。層187を形成するためのCVDプロセスが進むにつれて、ILD205及びILD195の開口部305の側壁及び底部310は、位置312a,312b,312cで架橋が発生するまで誘電体物質187で徐々にコーティングされ、上述した空隙185a,185b,185cを形成する。メタライゼーション層70,75及びエッチングストップ213は、これらの処理ステップによる影響を受けないままである。
【0059】
次に、
図26に示すように、メタライゼーション層85の誘電体材料を、誘電体層187上に塗布し、メタライゼーション層を製造するための残りの多数の処理ステップを実行することができる。典型的には、これらは、例えば、メタライゼーション層75を製造するために使用される処理ステップ等のように、空隙185a,185b,185cを有しないメタライゼーション層を製造するために利用されるタイプの処理ステップである。メタライゼーション層70,75、エッチング停止部213、誘電体層187、ILD195,205は、これらの処理ステップの影響を受けないままである。
【0060】
上述したように、空隙のメタライゼーション層のILDと導体ライン及びビアの寸法は、特定のレベルのキャパシタンスと抵抗を達成するように調整することができる。例えば、
図28は、
図3と同様の断面図であるが、導電ラインとビアを形成するために、ダブルダマシン処理で同じ基本的なシングルダマシンを利用する代替の例示的なメタライゼーション層80’の断面図である。しかし、この例示的な構成では、異なる乗数を使用して、様々な導体構造の空間的関係を変更することができる。この例示的な構成では、プロセスは、導体ライン175a’,175b’,175c’,175d’の厚さz
4を、メタライゼーション層70の導体ライン95a,95b,95c,95d,95eの厚さz
1よりも2.0倍厚くし、ビア180A’の高さz
7を、ビア110a,110bの高さz
2と同一にするように調整される。同じ基本的なラインの幅x
1を使用することができる。以下の表2は、いくつかの例示的なパラメータを示している。
【表2】
乗数k
1,k
2,k
3,k
4は様々な値をとり得ることを理解されたい。ILD195の厚さz
8は、厚さz
4,z
5,z
6及び高さz
7に対応するように調整することができる。誘電体層187の空隙185a’ ,185b’ ,185c’は、
図3に示す構成よりも高くなり、ILD195は、ライン175a’,175b’間等でより深くエッチングされる。第1のライン部分190及び第2のライン部分200を使用する同じ基本的な積層ライン構造が使用されているが、適切な厚さである。導体ライン175a’,175b’,175c’,175d’のアスペクト比は、メタライゼーション層70よりも大きくすることができることに留意されたい。
【0061】
図28に示す別の代替的な例示的な構成では、プロセスは、メタライゼーション層80’’の導体ライン175a’’,175b’’,175c’’,175d’’,175d’’,175e’’の厚さz
4を、メタライゼーション層70の導体ライン95a,95b,95c,95d,95eの厚さの1.5倍厚くし、ビアの高さ180a’’を、ビア110a,140a等よりも2.0倍高くなるように調整される。しかし、乗数k
1,k
2,k
3,k
4は、様々な値をとることができることを理解されたい。以下の表3は、いくつかの例示的なパラメータを示している。
【表3】
ILD195の厚さz
8は、厚さz
4,z
5,z
6及び高さz
7に対応するように調整できる。誘電体層187の空隙185a’’ ,185b’’ ,185c’’は、
図3に示す構成のように短くなり、ILD195は、ライン175a’’,175b’’間等でより深くエッチングされない。実際、エッチング停止層210は、空隙185a’’,185b’’,185c’’が形成される誘電体層187の下限を設定する。適切な厚さではあるが、第1のライン部分190及び第2のライン部分200を使用する、同じ基本的な積層ライン構造が使用される。導体ライン175a’’,175b’’,175c’’,175d’’,175e’’のアスペクト比は、メタライゼーション層70の場合よりも大きくなり得ることに留意されたい。
【0062】
開示された半導体チップの任意の構成を電子デバイスに配置することができる。
図29は、電子デバイス350から分解された半導体チップデバイス10を示す図である。電子デバイス350は、コンピュータ、デジタルテレビ、ハンドヘルドモバイルデバイス、パーソナルコンピュータ、サーバ、メモリデバイス、グラフィックスカード等のアドインボード、又は、半導体を使用する任意の他のコンピューティングデバイスであってもよい。
【0063】
本発明は、様々な修正及び代替形態を受け入れることができるが、特定の実施形態を例として図に示しており、本明細書で詳細に説明している。しかし、本発明は、開示された特定の形態に限定されることを意図するものではないことを理解されたい。むしろ、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨及び範囲内に含まれる全ての修正、均等物及び代替物を包含するものである。