(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】基板洗浄装置及び基板洗浄方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240415BHJP
B08B 3/02 20060101ALI20240415BHJP
B08B 5/02 20060101ALI20240415BHJP
【FI】
H01L21/304 643C
H01L21/304 643A
B08B3/02 B
B08B5/02 Z
(21)【出願番号】P 2022065855
(22)【出願日】2022-04-12
【審査請求日】2023-11-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】316011226
【氏名又は名称】AIメカテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【氏名又は名称】西 和哉
(72)【発明者】
【氏名】山田 芳裕
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-007663(JP,A)
【文献】特開2001-170584(JP,A)
【文献】特開2022-003705(JP,A)
【文献】特開2015-005567(JP,A)
【文献】特開2016-012629(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B08B 1/00 - 1/54
B08B 3/00 - 3/14
B08B 5/00 -13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転する基板に洗浄液を供給して基板を洗浄する装置であって、
基板を載置して回転するテーブルと、
前記洗浄液の噴出方向を基板から外した状態で設置されるスプレーノズルと、を備え、
前記噴出方向を基板から外したまま前記スプレーノズルから噴出した前記洗浄液のミストが基板に落ちることで前記テーブル上の基板に前記洗浄液を供給する、基板洗浄装置。
【請求項2】
前記スプレーノズルは、前記テーブルに載置された基板より上方であって、平面視で前記基板より外側に配置される、請求項1に記載の基板洗浄装置。
【請求項3】
前記スプレーノズルは、前記噴出方向が下向きでかつ鉛直方向に対して角度30°~60°の範囲に設定される、請求項1又は請求項2に記載の基板洗浄装置。
【請求項4】
前記スプレーノズルは、鉛直方向及び水平方向の少なくとも一方に移動可能に設けられる、請求項1又は請求項2に記載の基板洗浄装置。
【請求項5】
前記スプレーノズルは、複数設置される、請求項1又は請求項2に記載の基板洗浄装置。
【請求項6】
複数の前記スプレーノズルは、前記洗浄液の前記噴出方向が互いに異なる、請求項5に記載の基板洗浄装置。
【請求項7】
前記スプレーノズルは、鉛直方向の軸まわりに揺動可能に設けられる、請求項1又は請求項2に記載の基板洗浄装置。
【請求項8】
前記スプレーノズルの揺動範囲は、前記洗浄液の前記噴出方向が平面視で基板と重なる範囲に設定される、請求項7に記載の基板洗浄装置。
【請求項9】
前記スプレーノズルは、水平方向の軸まわりに揺動可能に設けられる、請求項1又は請求項2に記載の基板洗浄装置。
【請求項10】
前記テーブルの回転と、前記スプレーノズルからの前記洗浄液の噴出とを制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記テーブルの回転に対応させて、前記スプレーノズルから前記洗浄液を噴出させる、請求項1又は請求項2に記載の基板洗浄装置。
【請求項11】
基板を回転させつつスプレーノズルから洗浄液を噴出して基板を洗浄する方法であって、
前記スプレーノズルから、噴出方向を基板から外して前記洗浄液を噴出させることにより、
前記噴出方向を基板から外して噴出した前記洗浄液のミストが基板に落ちることで基板に前記洗浄液を供給することを含む、基板洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板洗浄装置及び基板洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体等の基板を洗浄する際、基板を回転させつつ、基板の上方に配置されたノズルから基板の上面に向かって洗浄液を供給し、洗浄液を基板の上面に拡げて洗浄するスピン方式の基板洗浄装置が知られている(例えば、特許文献1から3)。特許文献1から3では、ノズルが基板の上方に配置され、ノズルから供給された洗浄液は、基板の上面のほぼ中心部に向けて供給される。基板の中心部に供給された洗浄液は、基板の回転により基板の外周に向けて拡がり、基板の上面全体を洗浄する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-201627号公報
【文献】特開2019-41116号公報
【文献】特開2021-16007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板上に形成されるパターン、電子部品(以下、「電子部品等」という。)の中には、基板との密着性が弱い場合がある。このような基板を洗浄する際、基板に向けてノズルから洗浄液が供給されると、洗浄液の液圧によって密着性の弱い電子部品等の全部又は一部が基板から剥離するおそれがある。基板から電子部品等が剥離すると、電子デバイスの品質にも影響を及ぼすだけでなく、電子デバイス製造時の歩留まりを低下させることになり好ましくない。
【0005】
本発明は、基板に供給する洗浄液の液圧を低くして、洗浄液の供給による基板へのダメージを軽減させ、基板との密着性の弱い電子部品等の剥離を防止することが可能な基板洗浄装置及び基板洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係る基板洗浄装置は、回転する基板に洗浄液を供給して基板を洗浄する装置であって、基板を載置して回転するテーブルと、洗浄液の噴出方向を基板から外した状態で設置されるスプレーノズルと、を備え、噴出方向を基板から外したままスプレーノズルから噴出した洗浄液のミストが基板に落ちることでテーブル上の基板に洗浄液を供給する。
また、本発明の態様に係る基板洗浄装置は、回転する基板に洗浄液を供給して基板を洗浄する装置であって、基板を載置して回転するテーブルと、洗浄液の噴出方向を基板から外した状態で設置されるスプレーノズルと、を備え、スプレーノズルから噴出した洗浄液のミストが基板に落ちることでテーブル上の基板に洗浄液を供給する。
【0007】
本発明の態様に係る基板洗浄方法は、基板を回転させつつスプレーノズルから洗浄液を噴出して基板を洗浄する方法であって、スプレーノズルから、噴出方向を基板から外して洗浄液を噴出させることにより、噴出方向を基板から外して噴出した洗浄液のミストが基板に落ちることで基板に洗浄液を供給することを含む。
また、本発明の態様に係る基板洗浄方法は、基板を回転させつつスプレーノズルから洗浄液を噴出して基板を洗浄する方法であって、スプレーノズルから、噴出方向を基板から外して洗浄液を噴出させることにより、洗浄液の液滴が基板に落ちることで基板に洗浄液を供給することを含む。
【発明の効果】
【0008】
上記した態様の基板洗浄装置及び基板洗浄方法によれば、スプレーノズルから洗浄液を噴出する方向が基板から外れた向きに設定され、スプレーノズルから噴出した洗浄液は、ミスト(液滴、霧状)となって基板の上面に落ちることで基板に供給され、基板に対する洗浄液の液圧が小さくなる。その結果、洗浄液の供給による基板へのダメージが軽減され、基板との密着性が弱い電子部品等であっても、基板から剥離することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る基板洗浄装置の一例を示す側面図である。
【
図2】第1実施形態に係る基板洗浄装置の一例を示す平面図である。
【
図3】スプレーノズルの噴出方向を上下方向に変更する一例を示す側面図である。
【
図4】スプレーノズルの噴出方向を水平方向に変更する一例を示す平面図である。
【
図5】スプレーノズルを水平方向に移動させる一例を示す平面図である。
【
図6】スプレーノズルを鉛直方向に移動させる一例を示す側面図である。
【
図7】スプレーノズルの噴出方向を上下方向に揺動する一例を示す側面図である。
【
図8】スプレーノズルの噴出方向を水平方向に揺動する一例を示す平面図である。
【
図9】実施形態に係る基板洗浄方法の一例を示すフローチャートである。
【
図10】変形例に係る基板洗浄装置を示す側面図である。
【
図11】変形例に係る基板洗浄装置の他の例を示す側面図である。
【
図12】第2実施形態に係る基板洗浄装置の一例を示す平面図である。
【
図13】第3実施形態に係る基板洗浄装置の一例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施形態を説明するが、本発明は以下に説明する内容に限定されない。図面においては、各構成をわかりやすくするために、一部を強調して、あるいは一部を簡略化して表しており、実際の構造又は形状、縮尺等が異なっている場合がある。図面ではXYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。XY面は水平面である。XY面における一方向をX方向と表記する。水平面においてX方向に直交する方向をY方向と表記する。X方向及びY方向に垂直な方向をZ方向と表記する。なお、X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の指す方向が+方向であり、矢印の指す方向と反対の方向が-方向である。
【0011】
<第1実施形態>
[基板洗浄装置]
第1実施形態に係る基板洗浄装置100について説明する。
図1は、第1実施形態に係る基板洗浄装置100の一例を示す側面図である。
図2は、第1実施形態に係る基板洗浄装置100の一例を示す平面図である。基板洗浄装置100は、例えば、半導体装置を製造する際に基板Wの上面に付着する付着物(残渣)又は基板Wに形成された膜(以下、「付着物等」という)などを基板Wから除去するために用いられる。基板Wは、例えば、電子部品又は電子回路等が形成された半導体基板である。本実施形態では、平面視において円形状の基板Wを示しているが、基板Wが円形状であることに限定されず、矩形状(正方形状、長方形状)の角型基板であってもよい。
【0012】
上記した付着物等としては、例えば、接着層など基板Wに形成された膜(層)である。接着層を構成する物質としては、例えば、炭化水素樹脂、アクリル-スチレン系樹脂、マレイミド系樹脂、エラストマー樹脂、ポリサル系樹脂のいずれか又はこれらを組み合わせた樹脂等の化合物が挙げられる。また、他の付着物としては、例えば、基板Wと支持体とが光反応層を介して積層されている場合に、この積層体から支持体を除去した後に基板Wの上面に付着した光反応層の残渣である。光反応層を構成する物質としては、例えば、フルオロカーボン、光(例えばレーザ光)吸収性を有している構造をその繰返し単位に含んでいる重合体、無機物、赤外線吸収性の構造を有する化合物等が挙げられる。
【0013】
基板洗浄装置100は、
図1及び
図2に示すように、テーブル10と、収容部20と、ノズル駆動部30と、スプレーノズル40と、洗浄液供給部50と、制御部60とを備える。テーブル10は、軸部11を備えている。軸部11は、テーブル10の下面の中心部から下方(-Z方向)に延びて設けられている。軸部11は、不図示の軸受け等により中心軸AX1の軸まわりに回転可能に支持されている。中心軸AX1は、鉛直方向と平行である。テーブル10は、軸部11とともに中心軸AX1の軸まわりに回転する。軸部11は、回転駆動部12に接続されている。回転駆動部12は、軸部11を介してテーブル10を回転させる。回転駆動部12は、テーブル10を中心軸AX1の軸まわりに所定の回転数で回転方向Pに向けて回転させる。回転駆動部12としては、例えば、電動モータ等が用いられる。
【0014】
テーブル10は、上面において基板Wが載置される。テーブル10は、例えば、平面視で円形状であり、上面の直径は、基板Wの直径よりやや大きく設定されている。すなわち、テーブル10の中心軸AX1に基板Wの中心部Oを合わせた状態で基板Wがテーブル10の上面に載置された際、基板Wの外縁部Eが、テーブル10の上面における外周縁の内側となるようにしている。
【0015】
テーブル10は、例えば、基板Wが載置される範囲に不図示の吸引部が設けられている。吸引部は、例えば、複数の放射状の溝と、複数の環状の溝とが組み合わされてテーブル10の上面に形成され、これら溝の一部が吸引ポンプに接続されて形成される。テーブル10に基板Wが載置された後、吸着部の吸引ポンプを駆動させることで、基板Wは、吸着部によってテーブル10の上面に保持される。なお、吸着部の形態については任意であり、基板Wをテーブル10の上面に保持可能な任意の形態を適用することができる。
【0016】
収容部20は、テーブル10を収容する。収容部20は、例えば、基板洗浄装置100の不図示の基台等に固定される。収容部20は、例えば、テーブル10の周囲を囲むカップ形状である。収容部20の材質としては、金属、樹脂が挙げられるが、基板Wに洗浄液Lを供給する際に洗浄液Lが付着する場合があるので、洗浄液Lの成分に耐性を有している素材が好ましい。収容部カップは、底部に軸部11を挿通する挿通孔21が設けられている。
【0017】
ノズル駆動部30は、支柱31と、昇降部32と、回転部33と、支持部34と、軸部35と、アーム36と、駆動部37とを備える。支柱31は、鉛直方向(Z方向)に延びて設けられ、例えば、基板洗浄装置100の不図示の基台等に固定される。昇降部32は、鉛直方向に移動可能に支柱31に支持される。支柱31には鉛直方向の不図示のガイド部を備えており、昇降部32は、このガイド部に沿って鉛直方向に移動可能である。回転部33は、昇降部32の上面側(+Z面側)に設けられる。回転部33は、不図示の軸受けを介して昇降部32に保持されており、昇降部32に対して回転軸AX2の軸まわりに回転可能である。回転軸AX2は、鉛直方向と並行である。
【0018】
支持部34は、回転部33の上面から上方に延びて設けられる。支持部34は、平面視において回転軸AX2から外れた位置に設けられる。支持部34は、回転部33が回転軸AX2の軸まわりに回転した際、回転部33と一体となって回転軸AX2の軸まわりを周回する。軸部35は、支持部34の側面から水平方向に延びて設けられる。軸部35は、不図示の軸受けを介して支持部34に保持されており、支持部34に対して回転軸AX3の軸まわりに回転可能である。回転軸AX3は水平方向と平行であり、回転軸AX2と直交する。また、軸部35は、回転部33が回転軸AX2の軸まわりに回転した際、支持部34とともに回転軸AX2の軸まわりに回転する。
【0019】
アーム36は、棒状体であって軸部35に保持される。アーム36は、軸部35に備える挿通孔に一部を挿通した状態で軸部35に取り付けられる。アーム36の長さは任意である。また、アーム36は、軸部35に対する取付位置を変更可能であってもよい。つまり、アーム36の先端に取り付けられるスプレーノズル40と、軸部35との間隔を調整可能であってもよい。アーム36は、回転部33が回転軸AX2の軸まわりに回転した際、回転軸AX2を中心として水平方向に揺動する。また、アーム36は、軸部35が回転軸AX3の軸まわりに回転した際、回転軸AX3を中心として上下方向に揺動する。
【0020】
駆動部37は、ノズル駆動部30の各部を駆動する。駆動部37は、支柱31に対して昇降部32を昇降させる。また、駆動部37は、昇降部32に対して回転部33を回転させる。また、駆動部37は、支持部34に介して軸部35を回転させる。なお、駆動部37は、各部を駆動するための個別の駆動源を備える形態であってもよいし、1つの駆動源を用いて伝達経路を切り替えることで各部を駆動する形態であってもよい。駆動部37の駆動源としては、例えば電動モータ、シリンダ装置などが用いられる。
【0021】
スプレーノズル40は、アーム36の先端に取り付けられる。スプレーノズル40は、基板Wの上方において平面視で基板Wより外側に配置される。本実施形態では、スプレーノズル40は、収容部20の上部より上方であって、収容部20より外側に配置されている。平面視におけるスプレーノズル40の位置は、アーム36の長さ、又は軸部35に対するアーム36の固定位置などで調節可能である。スプレーノズル40は、アーム36を介して軸部35に連結されている。従って、スプレーノズル40は、アーム36が回転軸AX2を中心として水平方向に揺動することで水平方向に揺動し、アーム36が回転軸AX3を中心として上下方向に揺動することで上下方向に揺動する。
【0022】
スプレーノズル40は、洗浄液Lを噴出する噴出口41を備える。噴出口41から噴出した洗浄液Lは、ミストmとなりかつ噴出口41から拡がりながら進むことになる。このとき、スプレーノズル40における洗浄液Lの噴出方向Dは、
図1に示すように、基板Wの上面から外れた方向に設定されている。すなわち、スプレーノズル40は、洗浄液Lの噴出方向Dを基板Wの外縁部Eより外側に向けるように配置されている。また、平面視において、洗浄液Lの噴出方向Dは、
図2に示すように、基板Wの中心部Oを通過するように設定されている。噴出口41から噴出方向Dに噴出した洗浄液Lは、ミストm(液滴、霧状など)となって基板Wに落ちることで基板Wに供給される。基板Wに供給された洗浄液Lは、基板Wが中心軸AX1の軸まわりに回転することで遠心力により基板Wの上面を拡がって基板Wを洗浄する。なお、洗浄液Lの噴出方向Dの詳細については後述する。
【0023】
スプレーノズル40は、洗浄液供給部50に接続されている。洗浄液Lは、不図示の供給管を介して洗浄液供給部50からスプレーノズル40に送られる。なお、供給管としては、例えばフレキシブルチューブなどが用いられる。供給管の素材は、洗浄液Lの成分に耐性を有している素材であれば、公知の素材が用いられる。例えば、供給管の素材としては、金属、塩化ビニル等の樹脂などが挙げられる。洗浄液供給部50は、例えば、洗浄液Lを貯留するタンクと、洗浄液Lを送液する送液ポンプと、流量調整部とを有している。この流量調整部によりスプレーノズル40に送る洗浄液Lの単位時間当たりの流量を調整する。
【0024】
洗浄液Lは、基板Wの上面に付着する付着物層の洗浄に必要な液体であり、例えば、純水、有機溶剤等が用いられる。例えば、基板Wの上面に付着する付着物等が、基板Wに設けられた接着層である場合は、洗浄液Lとして有機溶剤等が用いられる。また、基板Wの上面に付着する付着物が、上記した光反応層である場合は、洗浄液Lとして有機溶剤を用いて洗浄し、その後純水で洗浄を行う。
【0025】
なお、上記したノズル駆動部30は一例であり、この形態に限定されない。ノズル駆動部30は、スプレーノズル40による洗浄液Lの噴出方向DをX方向、Y方向、Z方向、及びこれらを合成した方向に移動させる任意の駆動系を用いることができる。例えば、ノズル駆動部30は、スプレーノズル40を先端に保持したロボットアーム(多関節アーム)が用いられてもよい。
【0026】
制御部60は、基板洗浄装置100を統括して制御し、例えば、コンピュータが用いられる。制御部60は、回転駆動部12、駆動部37、及び洗浄液供給部50を制御する。制御部60は、回転駆動部12を制御することにより、テーブル10の回転及び停止、さらにテーブル10の回転時において洗浄液供給部50を駆動させることで、スプレーノズル40から洗浄液Lを噴出させるように制御する。また、制御部60は、駆動部37を制御することにより、スプレーノズル40による洗浄液Lの噴出方向Dを設定することができる。制御部60は、スプレーノズル40の高さ、スプレーノズル40の回転軸AX2を中心とした水平方向の揺動量、スプレーノズル40の回転軸AX3を中心とした上下方向の揺動量を制御することで、洗浄液Lの噴出方向Dを設定する。なお、噴出方向Dは、制御部60に備える不図示の記憶部に予め記憶されている設定が用いられてもよいし、オペレータにより適宜設定されてもよい。
【0027】
図3は、スプレーノズル40の噴出方向Dを上下方向に変更する一例を示す側面図である。スプレーノズル40は、ノズル駆動部30において、アーム36が回転軸AX3を中心として揺動することで上下方向に揺動可能である。上記したように、スプレーノズル40の噴出方向Dは、基板Wから外れた方向に設定される。従って、
図3に示すように、スプレーノズル40の噴出方向Dは、水平方向と平行な噴出方向DAと、基板Wの外縁部Eに向けた噴出方向DBとの間に設定可能である。なお、本実施形態において、基板Wから外れた噴出方向Dは、基板Wの外縁部Eに向けた噴出方向DBを含む意味で用いている。
【0028】
噴出方向Dは、スプレーノズル40の噴出口41から噴出する洗浄液Lの状態によって設定される。つまり、噴出する洗浄液Lのミストmの粒径が大きい場合は、噴出方向DA又は噴出方向DAに近い方向に設定される。噴出方向DA又は噴出方向DAに近い方向であっても、ミストmの落下が速いので、洗浄液Lを適切に基板Wに供給可能である。一方、噴出する洗浄液Lのミストmの粒径が小さい場合は、噴出方向DB又は噴出方向DBに近い方向に設定される。噴出する洗浄液Lのミストmの粒径が小さくても、噴出方向DB又は噴出方向DBに近い方向に設定されることで、洗浄液Lを適切に基板Wに供給可能である。洗浄液Lのミストmの粒径については、スプレーノズル40を交換又は調整することにより、用途に応じて適宜設定でき、例えば、粒径が大きい場合は、300~1000μm、小さい場合は、0.01~100μmである。
【0029】
図4は、スプレーノズル40の噴出方向Dを水平方向に変更する一例を示す平面図である。スプレーノズル40は、ノズル駆動部30において、アーム36が回転軸AX2を中心として揺動することで水平方向に揺動可能である。
図2に示す例では、噴出方向Dが平面視で基板Wの中心部Oと重なるように設定されているが、この形態に限定されない。噴出方向Dは、平面視で基板Wの中心部Oから外れる形態であってもよい。
図4に示すように、スプレーノズル40の噴出方向Dは、平面視で基板Wの外縁部Eとの接線方向の一つである噴出方向DCと、基板Wの外縁部Eとの接線方向の他の一つである噴出方向DDとの間に設定可能である。
【0030】
噴出方向Dを平面視で中心部Oより噴出方向DC側に設定するか、中心部Oより噴出方向DD側に設定するかは、基板Wの回転方向Pとの関係で設定されてもよい。噴出方向Dを中心部Oより噴出方向DC側に設定する場合、噴出口41から噴出した洗浄液Lの方向(ミストmの流れ)が基板Wの回転方向Pとは逆向きとなる。つまり、ミストmをやや強めに基板Wに供給することが可能となる。また、噴出方向Dを中心部Oより噴出方向DD側に設定する場合、噴出口41から噴出した洗浄液Lの方向(ミストmの流れ)が基板Wの回転方向Pとは同じ向きとなる。つまり、ミストmを緩やかに基板Wに供給することが可能となる。
【0031】
図5は、スプレーノズル40を水平方向に移動させる一例を示す平面図である。
図4に示すように、スプレーノズル40は、噴出方向Dを-X方向に向けたまま、Y方向に移動可能としてもよい。ノズル駆動部30の支柱31は、レールRに沿って移動可能に設けられる。レールRは、Y方向に延びて設けられる。支柱31は、駆動部37によりレールRに沿ってY方向に移動する。スプレーノズル40は、支柱31のY方向の移動により、Y方向に移動する。従って、平面視において、基板Wに対する噴出方向DのY方向の位置は、スプレーノズル40のY方向の位置により任意に設定可能である。
【0032】
図6は、スプレーノズル40を鉛直方向に昇降させる一例を示す側面図である。上記したように、昇降部32は、駆動部37により、支柱31に備える不図示のガイド部に沿って昇降可能である。駆動部37により昇降部32を昇降させる機構としては、例えば、電動モータを駆動源とするボールねじ機構、ラックアンドピニオン機構などが用いられる。また、スプレーノズル40が下向きに設定されている場合には、昇降部32を上昇させてスプレーノズル40の位置を高くすることで、噴出方向Dを基板Wから外すことが可能となる。
【0033】
上記した実施形態では、洗浄液Lの噴出時にスプレーノズル40の位置を固定している形態を例に挙げて説明しているが、この形態に限定されない。例えば、洗浄液Lの噴出とともにスプレーノズル40を移動させてもよい。
図7は、スプレーノズル40の噴出方向Dを上下方向に揺動する一例を示す側面図である。上記したように、スプレーノズル40は、回転軸AX3を中心として、噴出口41の向きを上下方向に変えることが可能である。制御部60は、洗浄液供給部50を駆動してスプレーノズル40から洗浄液Lを噴出させつつ、ノズル駆動部30を駆動してスプレーノズル40を上下方向に揺動させてもよい。その結果、洗浄液Lの噴出方向Dが、上下方向に揺動される。
【0034】
上下方向における噴出方向Dの揺動範囲は、例えば、
図3に示すような噴出方向DAから噴出方向DBの範囲に設定されてもよい。また、上下方向に噴出方向Dを揺動させる場合、揺動範囲の一部において噴出方向Dが基板Wに向けられてもよい。この形態であっても、噴出方向Dを基板Wに向ける時間が短いため、基板Wに与えるダメージは大きくならない。なお、スプレーノズル40を上下方向に揺動させることに代えて、
図6に示すように、スプレーノズル40から洗浄液Lを噴出させつつ、昇降部32を昇降させてスプレーノズル40を昇降させてもよい。スプレーノズル40の昇降範囲の一部において、スプレーノズル40を上下方向に揺動させる場合と同様に、噴出方向Dが基板Wに向けられてもよい。
【0035】
図8は、スプレーノズル40の噴出方向Dを水平方向に揺動する一例を示す平面図である。上記したように、スプレーノズル40は、回転軸AX2を中心として、噴出口41の向きを水平方向に変えることが可能である。制御部60は、洗浄液供給部50を駆動しスプレーノズル40から洗浄液Lを噴出させつつ、ノズル駆動部30を駆動してスプレーノズル40を水平方向に揺動させてもよい。その結果、洗浄液Lの噴出方向Dが、水平方向に揺動される。
【0036】
水平方向における噴出方向Dの揺動範囲は、例えば、
図4に示すような噴出方向DCから噴出方向DDの範囲に設定されてもよい。また、平面視において噴出方向Dが基板Wから外れる範囲を含めて、噴出方向Dの揺動範囲が設定されてもよい。なお、スプレーノズル40を水平方向に揺動させることに代えて、
図5に示すように、スプレーノズル40から洗浄液Lを噴出させつつ、支柱31を+Y方向及び-Y方向に往復移動させてもよい。スプレーノズル40の往復移動範囲の一部において、スプレーノズル40を水平方向に揺動させる場合と同様に、平面視において噴出方向Dが基板Wから外れてもよい。
【0037】
[基板洗浄方法]
実施形態に係る基板洗浄方法について説明する。
図9は、実施形態に係る基板洗浄方法の一例を示すフローチャートである。この基板洗浄方法は、上記した基板洗浄装置100により実行される。
図9に示すように、先ず、テーブル10に基板Wが載置される(ステップS01)。ステップS01において、基板Wは、例えば搬送装置によりテーブル10に載置される。この搬送装置は、例えば基板Wの上面を吸着する吸着パッドを備え、吸着パッドで基板Wを吸着した状態で搬送し、テーブル10に基板Wを載置する。その後、吸着パッドによる吸着を解放して基板洗浄装置100から退避することで、基板Wは、テーブル10に載置された状態となる。
【0038】
また、基板Wがテーブル10に載置された後、制御部60は、不図示の吸着部を駆動し、基板Wをテーブル10に吸着保持させる。なお、基板Wがテーブル10に載置された後、基板Wの吸着に先立って、基板Wの中心部Oと中心軸AX1とを一致させるように、基板Wのアライメントを行ってもよい。このような基板Wのアライメントを行う場合は、基板Wのアライメント後に、吸着部による基板Wの吸着を行う。
【0039】
次に、制御部60は、テーブル10を回転させる(ステップS02)。ステップS02において、制御部60は、回転駆動部12を駆動して、軸部11を介してテーブル10を回転させる。制御部60は、基板Wから除去する付着物等の種類などにより、テーブル10の回転数を適宜変更することが可能である。テーブル10の回転数の値は、制御部60が備える不図示の記憶部等に予め設定されていてもよいし、オペレータにより適宜設定されてもよい。
【0040】
次に、制御部60は、ノズル駆動部30を駆動して、スプレーノズル40の噴出方向Dを基板Wから外して設定する(ステップS03)。ステップS03において、制御部60は、洗浄する基板Wの直径に関する情報を予め取得している。制御部60は、基板Wの直径に関する情報に基づいて、スプレーノズル40の噴出口41の向き(噴出方向D)が基板Wから外れるようにノズル駆動部30を制御する。制御部60は、ノズル駆動部30の駆動部37を駆動して、スプレーノズル40の高さ、Y方向の位置、上下方向における噴出口41の向き、及び水平方向における噴出口41の向き等を設定する。
【0041】
このとき、上記した実施形態で示したように、スプレーノズル40を上下方向に揺動させる場合、制御部60は、スプレーノズル40の上下方向における揺動範囲、水平方向における揺動範囲を設定する。スプレーノズル40の向き、揺動範囲等は、基板Wの直径、除去する付着物等に対応付けられて予め不図示の記憶部等に記憶されている。制御部60は、記憶部に記憶された設定値に基づいてスプレーノズル40の向き、揺動範囲等を設定する。ただし、スプレーノズル40の向き、揺動範囲等は、予め設定された値で設定されることに限定されず、オペレータにより手動で設定されてもよい。
【0042】
次に、制御部60は、洗浄液Lを噴出させる(ステップS04)。ステップS04において、制御部60は、洗浄液供給部50を駆動してスプレーノズル40から洗浄液Lを噴出させる。スプレーノズル40から噴出させる洗浄液Lの量又は噴出時間は、予め不図示の記憶部等により記憶されている。制御部60は、予め記憶部等に記憶された所定量又は所定時間に基づいて、洗浄液Lをスプレーノズル40から噴出させる。スプレーノズル40から噴出させる洗浄液Lの量又は噴出時間は、テーブル10の回転数に対応させて設定されてもよい。ただし、スプレーノズル40から噴出させる洗浄液Lの量又は噴出時間は、予め設定された値で設定されることに限定されず、オペレータにより手動で設定されてもよい。
【0043】
上記したステップS03では、噴出方向Dが基板Wから外れた方向に設定されるので、ステップS04において噴出された洗浄液Lは、基板Wの上面にミストmとなって落ちることになる。その結果、基板Wの上面に対して洗浄液Lが低い液圧で供給されるので、基板Wの電子部品等へのダメージを軽減することができる。基板Wの上面に供給された洗浄液Lは、基板Wが中心軸AX1の軸まわりに回転することで、遠心力により基板Wの全面に拡がり、基板Wの上面の付着物等を除去する。
【0044】
次に、制御部60は、洗浄液Lの噴出を停止する(ステップS05)。ステップS05において、制御部60は、洗浄液Lを所定量噴出させた後、又は洗浄液Lの噴出が所定時間経過した後、洗浄液供給部50の駆動を停止し、スプレーノズル40から洗浄液Lの噴出を停止させる。制御部60は、例えば、不図示のタイマ等による所定時間の経過を取得し、洗浄液供給部50の駆動を停止してスプレーノズル40への洗浄液Lの供給を停止させる。なお、制御部60は、洗浄液供給部50に備える流量調整部から洗浄液Lを送った流量に関する情報を取得して、所定の流量を送ったタイミングで洗浄液供給部50の駆動を停止させてもよい。
【0045】
次に、制御部60は、テーブル10の回転を停止させる(ステップS06)。ステップS06において、制御部60は、回転駆動部12を制御してテーブル10の回転を停止させる。次に制御部60は、基板Wをテーブル10から搬出する(ステップS07)。ステップS07において、制御部60は、スプレーノズル40を基板Wの上方から退避させる。続いて、制御部60は、テーブル10の吸着部による基板Wの吸着を解除する。その結果、基板Wは、テーブル10から搬出可能な状態となる。テーブル10上の基板Wは、例えば、上記した搬送装置によりテーブル10から搬出される。
【0046】
上記した一連のステップが行われることで、基板Wの洗浄が完了する。なお、上記したステップS02のテーブル10の回転と、ステップS03のスプレーノズル40の向きの設定とは、同時に行われてもよいし、ステップS03がステップS02より先に行われてもよい。また、ステップS07の基板Wの搬出に先だって、基板Wを乾燥させるステップが実行されてもよい。この乾燥ステップは、基板Wをテーブル10に載置した状態で、基板Wを加熱又は非加熱で所定時間維持する形態が適用されてもよい。
【0047】
このように、第1実施形態によれば、洗浄液Lの噴出方向Dが基板Wから外れた方向に設定されるので、基板Wの上面にミストmとなって洗浄液Lが落ちることにより、基板Wの上面に対する液圧が小さい。そのため、基板W上の電子部品等に強い圧力をかけることがなく、基板Wから電子部品等が剥離すること等抑制することができる。
【0048】
上記した実施形態では、スプレーノズル40が基板Wの上方から外れて配置される形態を例に挙げて説明しているが、この形態に限定されない。スプレーノズル40は、基板Wの上方に配置されてもよい。
図10は、変形例に係る基板洗浄装置100を示す側面図である。
図10に示すように、スプレーノズル40は、基板Wの上方に配置され、鉛直方向に対して角度V1の向きで噴出方向Dが設定されている。
図10に示す形態では、角度V1は約30°である。この場合であっても、洗浄液Lの噴出方向Dは、基板Wの外縁部Eから外側に向けられるように設定されている。また、
図10に示す形態であっても、上記した実施形態と同様に、洗浄液Lは、ミストmとなって基板Wの上面に落ちることになる。なお、
図10に示す形態において、スプレーノズル40を上下方向又は水平方向に揺動させてもよい点は、上記した実施形態と同様である。
【0049】
図11は、変形例に係る基板洗浄装置100の他の例を示す側面図である。
図11に示すように、スプレーノズル40は、基板Wの上方に配置され、鉛直方向に対して角度V2の向きで噴出方向Dが設定されている。
図11に示す形態では、角度V1は約60°である。この場合であっても、洗浄液Lの噴出方向Dは、基板Wの外縁部Eから外側に向けられるように設定されている。また、
図11に示す形態であっても、上記した実施形態と同様に、洗浄液Lは、ミストmとなって基板Wの上面に落ちることになる。なお、
図11に示す形態において、スプレーノズル40を上下方向又は水平方向に揺動させてもよい点は、上記した実施形態と同様である。
【0050】
図10及び
図11に示すように、スプレーノズル40を基板Wの上方に配置した場合であっても、噴出方向Dを下向きでかつ鉛直方向に対して角度30°から60°の範囲に設定することで、洗浄液Lの噴出方向Dを基板Wの外縁部Eから外側に外すことが可能となる。このように、スプレーノズル40を基板Wの上方にも配置可能であるので、スプレーノズル40の配置のバリエーションを拡げることが可能となる。なお、上記したように、洗浄液Lは、スプレーノズル40の噴出口41から拡がって噴出する。従って、
図10及び
図11に示す形態であっても、洗浄液Lは、基板Wの中心部O及びその近傍に対しても供給される。
【0051】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る基板洗浄装置200について説明する。上記した第1実施形態では、1つのスプレーノズル40を用いる形態を例に挙げて説明しているが、この形態に限定されない。複数のスプレーノズル40が用いられる形態であってもよい。
図12は、第2実施形態に係る基板洗浄装置200の一例を示す平面図である。なお、
図12において、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略又は簡略化する。
【0052】
図12に示すように、基板洗浄装置200は、3つのスプレーノズル40が平面視において収容部20(基板W)の周囲に配置されている。3つのスプレーノズル40は、収容部20の周囲を等間隔で(120°間隔で)配置されている。なお、3つのスプレーノズル40を収容部20の周囲を等間隔で配置することに限定されず、異なる間隔で配置されてもよい。また、3つのスプレーノズル40は、同一のタイプが用いられてもよいし、異なるタイプが用いられてもよい。3つのスプレーノズル40は、それぞれノズル駆動部30によって洗浄液Lの噴出方向Dが設定される。3つのスプレーノズル40は、洗浄液Lの噴出方向Dとして、それぞれ噴出方向D1、D2、D3に設定される。
【0053】
噴出方向D1、D2、D3は、それぞれ基板Wの外縁部Eの外側に向けて設定される。ただし、噴出方向D1、D2、D3において、基板Wから外れる長さ(鉛直方向に対する角度)は、3つのスプレーノズル40で同一であってもよいし、異なってもよい。また、噴出方向D1、D2、D3は、平面視においてそれぞれ基板Wの中心部Oを通るように設定される。ただし、噴出方向D1、D2、D3のうち少なくとも1つを基板Wの中心部Oから外れるように設定されてもよい。
【0054】
3つのスプレーノズル40は、洗浄液供給部50から洗浄液Lが送られる。この場合、1つの洗浄液供給部50から3つのスプレーノズル40に洗浄液Lが送られる形態であってもよいし、3つのスプレーノズル40に対して個別の洗浄液供給部50から洗浄液Lが送られる形態であってもよい。この場合、3つのスプレーノズル40から異なる種類の洗浄液Lを噴出させることが可能となる。また、3つのスプレーノズル40から洗浄液Lを噴出するタイミング、洗浄液Lの噴出量は、同一であってもよいし、異なってもよい。3つのスプレーノズル40における噴出方向D1、D2、D3、洗浄液Lの噴出に関しては制御部60によって制御される。
【0055】
このように、第2実施形態においても、上記した第1実施形態と同様に、洗浄液Lが基板Wの上面にミストmとなって落ちることにより、基板Wの上面に対する液圧を小さくすることができる。また、3つのスプレーノズル40から洗浄液Lを噴出させるので、基板Wの上面に対して広く洗浄液Lを供給できる。また、3つのスプレーノズル40から洗浄液Lを噴出するので、短時間で所定量の洗浄液Lを噴出させることができ、基板Wの洗浄を効率よく行うことができる。なお、第2実施形態では、3つのスプレーノズル40を用いているが、2つ又は4つ以上のスプレーノズル40が用いられてもよい。
【0056】
<第3実施形態>
第3実施形態に係る基板洗浄装置300について説明する。上記した第2実施形態では、複数のスプレーノズル40を収容部20(基板W)の周囲に配置する形態を例に挙げて説明しているが、この形態に限定されない。複数のスプレーノズル40が上下方向に配置される形態であってもよい。
図13は、第3実施形態に係る基板洗浄装置300の一例を示す平面図である。なお、
図13において、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略又は簡略化する。
【0057】
図13に示すように、基板洗浄装置300は、2つのスプレーノズル40が上下に配置されている。2つのスプレーノズル40は、ノズル駆動部30Aによって支持される。ノズル駆動部30Aは、回転部33(
図2参照)から上方に延びる支持部34Aを備えている。支持部34Aは、第1実施形態の支持部34より上下方向が長くなっている。支持部34Aには上下に2つの軸部35が設けられ、それぞれの軸部35を介してスプレーノズル40が支持されている。2つのスプレーノズル40は、同一のタイプが用いられてもよいし、異なるタイプが用いられてもよい。
【0058】
2つのスプレーノズル40は、ノズル駆動部30Aによって洗浄液Lの噴出方向Dが設定される。2つのスプレーノズル40は、洗浄液Lの噴出方向Dとして、それぞれ噴出方向D4、D5に設定される。噴出方向D4、D5は、それぞれ基板Wの外縁部Eの外側に向けて設定される。ただし、噴出方向D4、D5において、基板Wから外れる長さ(鉛直方向に対する角度)は、2つのスプレーノズル40で同一であってもよいし、異なってもよい。例えば、噴出方向D5が噴出方向D4より下向きに設定されてもよい。すなわち、鉛直方向に対する噴出方向D5の角度が、鉛直方向に対する噴出方向D4の角度より小さくてもよい。
【0059】
また、平面視における噴出方向D4、D5は、上記したように1つの支持部34Aが用いられることで同一となる。例えば、噴出方向D4、D5は、平面視において基板Wの中心部Oを通るように設定されてもよいし、基板Wの中心部Oから外れるように設定されてもよい。なお、2つのスプレーノズル40をそれぞれ個別に水平方向に揺動させる構成が適用されてもよい。
【0060】
2つのスプレーノズル40は、洗浄液供給部50から洗浄液Lが送られる。この場合、1つの洗浄液供給部50から2つのスプレーノズル40に洗浄液Lが送られる形態であってもよいし、2つのスプレーノズル40に対して個別の洗浄液供給部50から洗浄液Lが送られる形態であってもよい。この場合、2つのスプレーノズル40から異なる種類の洗浄液Lを噴出させることが可能となる。また、2つのスプレーノズル40から洗浄液Lを噴出するタイミング、洗浄液Lの噴出量は、同一であってもよいし、異なってもよい。2つのスプレーノズル40における噴出方向D4、D5、洗浄液Lの噴出に関しては制御部60によって制御される。
【0061】
このように、第3実施形態においても、上記した第1実施形態と同様に、洗浄液Lが基板Wの上面にミストmとなって落ちることにより、基板Wの上面に対する液圧を小さくすることができる。また、2つのスプレーノズル40から洗浄液Lを噴出させるので、基板Wの上面に対して広く洗浄液Lを供給できる。また、2つのスプレーノズル40から洗浄液Lを噴出するので、短時間で所定量の洗浄液Lを噴出させることができ、基板Wの洗浄を効率よく行うことができる。なお、第3実施形態では、2つのスプレーノズル40を用いているが、3つ以上のスプレーノズル40が用いられてもよい。
【0062】
以上、実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態に限定されない。上記した実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることは当業者において明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。上記した実施形態で説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上記した実施形態で説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、実施形態において示した各動作の実行順序は、前の動作の結果を後の動作で用いない限り、任意の順序で実現可能である。また、上記した実施形態における動作に関して、便宜上「まず」、「次に」、「続いて」等を用いて説明したとしても、この順序で実施することが必須ではない。
【符号の説明】
【0063】
10・・・テーブル
20・・・収容部
30、30A・・・ノズル駆動部
35・・・アーム
36・・・揺動・昇降駆動部
40・・・スプレーノズル
41・・・噴出口
50・・・洗浄液供給部
60・・・制御部
100、200、300・・・基板洗浄装置
AX1・・・中心軸
AX2・・・回転軸
AX3・・・回転軸
D、DA、DB、DC、DD、D1、D2、D3、D4、D5・・・噴出方向
E・・・外縁部
L・・・洗浄液
m・・・ミスト
O・・・中心部
W・・・基板