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特許7471724光硬化型組成物、その硬化物を含むコーティング層および半導体工程用基材
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  • 特許-光硬化型組成物、その硬化物を含むコーティング層および半導体工程用基材 図1a
  • 特許-光硬化型組成物、その硬化物を含むコーティング層および半導体工程用基材 図1b
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】光硬化型組成物、その硬化物を含むコーティング層および半導体工程用基材
(51)【国際特許分類】
   C08F 290/06 20060101AFI20240415BHJP
   C08G 18/10 20060101ALI20240415BHJP
   C08G 18/44 20060101ALI20240415BHJP
   C08G 18/67 20060101ALI20240415BHJP
   C09D 4/02 20060101ALI20240415BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20240415BHJP
   C09D 175/04 20060101ALI20240415BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20240415BHJP
【FI】
C08F290/06
C08G18/10
C08G18/44
C08G18/67 055
C09D4/02
C09D7/63
C09D175/04
H01L21/78 M
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022551727
(86)(22)【出願日】2021-07-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-18
(86)【国際出願番号】 KR2021009486
(87)【国際公開番号】W WO2022019677
(87)【国際公開日】2022-01-27
【審査請求日】2022-08-26
(31)【優先権主張番号】10-2020-0091287
(32)【優先日】2020-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】サン・ファン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・ウ・チェ
(72)【発明者】
【氏名】キ・スン・ソ
(72)【発明者】
【氏名】クワン・ス・ソ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・ボム・パク
(72)【発明者】
【氏名】ウォン・スプ・チョ
【審査官】堀内 建吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-152289(JP,A)
【文献】特開平10-287718(JP,A)
【文献】特表2002-501556(JP,A)
【文献】特開2015-147700(JP,A)
【文献】特開2016-107409(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 290/06
C08G 18/10
C08G 18/44
C08G 18/67
C09D 4/02
C09D 7/63
C09D 175/04
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソシアネート末端基を有するポリアルキレンカーボネート系ウレタンプレポリマーと反応性基含有(メタ)アクリレート系化合物との反応生成物であるウレタン(メタ)アクリレート系樹脂および(メタ)アクリレート系単量体混合物を含むウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップ;
多官能ウレタン(メタ)アクリレート系化合物;および
多官能(メタ)アクリレート系化合物;を含み、
前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂は、
炭素数1~3の側鎖が少なくとも1つ結合した炭素数1~10のアルキレンを含有するカーボネート繰り返し単位を含む光硬化型組成物。
【請求項2】
前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂の重量平均分子量は、20,000g/mol以上50,000g/mol以下である、請求項1に記載の光硬化型組成物。
【請求項3】
前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップの25℃における粘度は、0.4Pa・s以上3.3Pa・s以下である、請求項1に記載の光硬化型組成物。
【請求項4】
前記ポリアルキレンカーボネート系ウレタンプレポリマーは、
ポリアルキレンカーボネート系ポリオールおよびジイソシアネート系化合物の反応生成物である、請求項1に記載の光硬化型組成物。
【請求項5】
前記ジイソシアネート系化合物の含有量は、前記ポリアルキレンカーボネート系ポリオール100重量部に対して、10重量部以上20重量部以下である、請求項4に記載の光硬化型組成物。
【請求項6】
前記反応性基含有(メタ)アクリレート系化合物の含有量は、前記ポリアルキレンカーボネート系ウレタンプレポリマー100重量部に対して、1重量部以上10重量部以下である、請求項1に記載の光硬化型組成物。
【請求項7】
前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂の含有量は、前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップ100重量部に対して、15重量部以上35重量部以下である、請求項1に記載の光硬化型組成物。
【請求項8】
前記(メタ)アクリレート系単量体混合物は、アルキル基含有(メタ)アクリレート系単量体、脂環族アルキル基含有(メタ)アクリレート系単量体、芳香族基含有(メタ)アクリレート系単量体、および極性官能基含有(メタ)アクリレート系単量体から選択される少なくとも1つのタイプのモノマーを含むものである、請求項1に記載の光硬化型組成物。
【請求項9】
前記(メタ)アクリレート系単量体混合物の含有量は、前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップ100重量部に対して、65重量部以上85重量部以下である、請求項1に記載の光硬化型組成物。
【請求項10】
前記多官能ウレタン(メタ)アクリレート系化合物は、下記化学式1で表される化合物を含むものである、請求項1に記載の光硬化型組成物:
【化1】
化学式1において、
、RおよびRは、それぞれ独立して、炭素数2~10のアルキレンであり、
、RおよびRは、それぞれ独立して、炭素数2~7のアルキレンであり、
、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、またはメチル基であり、
n、j、およびkは、それぞれ独立して、1~3の整数である。
【請求項11】
前記多官能ウレタン(メタ)アクリレート系化合物の含有量は、前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂100重量部に対して、2.5重量部以上7.5重量部以下である、請求項1に記載の光硬化型組成物。
【請求項12】
前記多官能(メタ)アクリレート系化合物の含有量は、前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂100重量部に対して、1重量部以上5重量部以下である、請求項1に記載の光硬化型組成物。
【請求項13】
光開始剤をさらに含み、
前記光開始剤の含有量は、前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂100重量部に対して、0.5重量部以上3重量部以下である、請求項1に記載の光硬化型組成物。
【請求項14】
前記光硬化型組成物の25℃における粘度は、3.0Pa・s以下である、請求項1に記載の光硬化型組成物。
【請求項15】
請求項1に記載の光硬化型組成物の硬化物を含むコーティング層。
【請求項16】
最大厚さと最小厚さとの差で定義される総厚さ偏差が3μm以下である、請求項15に記載のコーティング層。
【請求項17】
基材フィルムと、
請求項15に記載のコーティング層と、を含む半導体工程用基材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、2020年7月22日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2020-0091287号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本発明に組み込まれる。
本発明は、光硬化型組成物、その硬化物を含むコーティング層および半導体工程用基材に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイシング工程や裏面研削工程のような半導体ウエハ加工工程における保護フィルムは、半導体工程用基材および粘着層を含む多層構造のラミネート製品であって、半導体工程中にウエハを一時的に保護するために用いられる。
【0003】
前記半導体工程用基材は、基材フィルムを含み、基材フィルムとして、ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン、エチレン-ビニルアセテート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、またはポリエチレンなどのプラスチックフィルムが主に使用される。このようなプラスチックフィルムは、各種熱可塑性樹脂を溶融させ、溶融した樹脂をT字型ダイ、吸取押出またはカレンダリング工法などに適用して製造される。このように、押出やカレンダリング工法により製造されたフィルムは、生産性に優れ、価格が安いというメリットがある。
【0004】
最近は、裏面研削後のウエハの反りを防止するために、基材フィルム上にポリウレタンコーティング層を形成して応力緩和可能な半導体工程用基材に関する研究が進められている。ただし、ウレタングループ(group)は、親水性が高くて基材フィルムに対する濡れ性(wetting)が良くなく、コーティング性およびコーティング膜の表面品質に劣る問題があった。これは、半導体工程用基材の生産効率を低下させ、生産費用を増加させる問題を引き起こす。
【0005】
そこで、コーティング性および表面品質に優れかつ、応力緩和性能に優れた半導体工程用基材を製造できる技術が必要なのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、コーティング性に優れ、表面品質と厚さ均一性に優れたコーティング層を実現できる光硬化型組成物、光硬化型組成物の硬化物を含むコーティング層、およびコーティング層を含む半導体工程用基材を提供する。
【0007】
ただし、本発明が解決しようとする課題は上述した課題に制限されず、言及されていないさらに他の課題は下記の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施態様は、イソシアネート末端基を有するポリアルキレンカーボネート系ウレタンプレポリマーと反応性基含有(メタ)アクリレート系化合物との反応生成物であるウレタン(メタ)アクリレート系樹脂および(メタ)アクリレート系単量体混合物を含むウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップ;多官能ウレタン(メタ)アクリレート系化合物;および多官能(メタ)アクリレート系化合物;を含み、前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂は、炭素数1~3の側鎖が少なくとも1つ結合した炭素数1~10のアルキレンを含有するカーボネート繰り返し単位を含む光硬化型組成物を提供する。
【0009】
また、本発明の一実施態様は、前記光硬化型組成物の硬化物を含むコーティング層を提供する。
さらに、本発明の一実施態様は、基材フィルムと、前記コーティング層と、を含む半導体工程用基材を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一実施態様に係る光硬化型組成物は、コーティング性に優れ、表面品質と厚さ均一性に優れたコーティング層を実現することができる。
【0011】
また、本発明の一実施態様に係る光硬化型組成物を用いて、応力緩和性能および機械的物性に優れたコーティング層を製造することができる。
【0012】
また、本発明の一実施態様に係るコーティング層は、低いTTV(Total Thickness Variation:総厚さ偏差)を有することにより、表面品質と厚さ均一性に優れる。
【0013】
また、本発明の一実施態様に係るコーティング層は、応力緩和性能および機械的物性に優れる。
【0014】
さらに、本発明の一実施態様に係る半導体工程用基材は、応力緩和性能に優れ、ウエハの加工時に収縮を最小化させることができる。
【0015】
本発明の効果は上述した効果に限定されるものではなく、言及されていない効果は本願明細書および添付した図面から当業者に明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1a】本発明の一実施態様に係る半導体工程用基材を示す図である。
図1b】本発明の一実施態様に係る半導体工程用基材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本願明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
本願明細書全体において、ある部材が他の部材の「上に」位置しているとする時、これは、ある部材が他の部材に接している場合のみならず、2つの部材の間にさらに他の部材が存在する場合も含む。
本願明細書全体において、単位「重量部」は、各成分間の重量の比率を意味する。
【0018】
本願明細書全体において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートを通称する意味で使われる。
本願明細書全体において、「第1」および「第2」のように序数を含む用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的で使われ、前記序数によって限定されない。例えば、発明の権利範囲内において、第1構成要素は第2構成要素と名付けられてもよく、同様に、第2構成要素は第1構成要素と名付けられてもよい。
【0019】
本願明細書全体において、プレポリマー(prepolymer)は、化合物の間にある程度の重合が起こった重合体を意味することができ、完全に重合された状態には至らず、さらなる重合が可能な重合体を意味する。
【0020】
本願明細書全体において、ある化合物の「重量平均分子量」および「数平均分子量」は、その化合物の分子量と分子量分布を用いて計算される。具体的には、50mlのガラス瓶にテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran、THF)と化合物を入れて化合物の濃度が1wt%のサンプル試料を用意し、標準試料(ポリスチレン、polystrene)とサンプル試料をフィルタ(ポアサイズが0.45μm)を通して濾過させた後、GPCインジェクタ(injector)に注入して、サンプル試料の溶離(elution)時間を標準試料のキャリブレーション(calibration)曲線と比較して化合物の分子量および分子量分布を得ることができる。この時、測定機器としてInfinity II 1260(Agilient社)を用いることができ、流速は1.00mL/min、カラム温度は35.0℃に設定することができる。
【0021】
本願明細書全体において、化合物(または組成物)の粘度は、当該温度でブルックフィールド粘度計により測定した値であってもよい。具体的には、化合物(または組成物)を気泡がない状態で脱泡した後、5mL注射器を用いて0.5mLサンプリングして、ブルックフィールド(Brook field)HB40番スピンドル(spindle)にて当該温度(20℃または25℃)で恒温を維持し、10分間粘度を測定して、粘度変化がない時点のcP値を測定する。
【0022】
本願明細書全体において、「アルキル基」は、官能基内に不飽和結合が存在しない鎖状炭化水素構造を含むものを意味する。また、「脂環族アルキル基」は、官能基内に不飽和結合が存在しない炭素環構造を含むことができ、単一環(monocyclic ring)または多重環(polycyclic ring)を含むものを意味する。
【0023】
以下、本明細書についてさらに詳細に説明する。
本発明の一実施態様は、イソシアネート末端基を有するポリアルキレンカーボネート系ウレタンプレポリマーと反応性基含有(メタ)アクリレート系化合物との反応生成物であるウレタン(メタ)アクリレート系樹脂および(メタ)アクリレート系単量体混合物を含むウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップ;多官能ウレタン(メタ)アクリレート系化合物;および多官能(メタ)アクリレート系化合物;を含み、前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂は、炭素数1~3の側鎖が少なくとも1つ結合した炭素数1~10のアルキレンを含有するカーボネート繰り返し単位を含む光硬化型組成物を提供する。
【0024】
本発明の一実施態様に係る光硬化型組成物は、コーティング性に優れ、表面品質と厚さ均一性に優れたコーティング層を実現することができる。また、前記光硬化型組成物を用いて、応力緩和性能および機械的物性に優れたコーティング層を製造することができる。
【0025】
本発明の一実施態様によれば、前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップは、前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂および(メタ)アクリレート系単量体混合物を含むことができる。具体的には、前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂は、炭素数1~3の側鎖が結合した炭素数1~10のアルキレンを含有するカーボネート繰り返し単位を含むことにより、前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂は、大きい重量平均分子量を有することができ、前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップは、比較的低い粘度を有することができる。そのため、前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップを含む前記光硬化型組成物は、ウェッティング性が改善されて、コーティング性に優れることができ、製造されるコーティング層の表面品質と厚さ均一性を向上させることができる。また、前記光硬化型組成物は、応力緩和性能に優れたコーティング層を容易に実現することができる。
【0026】
本発明の一実施態様によれば、前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂の重量平均分子量は、20,000g/mol以上50,000g/mol以下であってもよい。具体的には、前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂の重量平均分子量は、20,000g/mol以上47,000g/mol以下、20,000g/mol以上45,000g/mol以下、20,000g/mol以上42,000g/mol以下、20,000g/mol以上40,000g/mol以下、20,000g/mol以上38,000g/mol以下、20,000g/mol以上35,000g/mol以下、20,000g/mol以上33,000g/mol以下、20,000g/mol以上31,000g/mol以下、25,000g/mol以上50,000g/mol以下、26,000g/mol以上48,000g/mol以下、27,000g/mol以上45,000g/mol以下、28,000g/mol以上40,000g/mol以下、29,000g/mol以上38,000g/mol以下、または30,000g/mol以上35,000g/mol以下であってもよい。
【0027】
前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂の重量平均分子量が前述した範囲内の場合、前記光硬化型組成物は、応力緩和性能および機械的物性が改善されたコーティング層を実現することができる。また、前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂の重量平均分子量を前述した範囲に調節することにより、前記光硬化型組成物のコーティング性が低下することを抑制することができる。
【0028】
本発明の一実施態様によれば、前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップの粘度は、400cP以上3,300cP以下であってもよい。具体的には、20℃における前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップの粘度は、500cP以上3,300cP以下であってもよい。また、25℃における前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップの粘度は、400cP以上3,000cP以下であってもよい。20℃および25℃における前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップの粘度は、前述のように、ブルックフィールドHB40番スピンドルにて測定した値であってもよい。
本発明の一実施態様によれば、20℃における前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップの粘度は、550cP以上3,250cP以下、600cP以上3,200cP以下、700cP以上3,150cP以下、750cP以上3,100cP以下、500cP以上2,500cP以下、550cP以上2,300cP以下、600cP以上2,100cP以下、650cP以上2,000cP以下、700cP以上1,900cP以下、750cP以上1,850cP以下、1,000cP以上3,300cP以下、1,200cP以上3,250cP以下、1,500cP以上3,200cP以下、1,700cP以上3,150cP以下、または1,800cP以上3,100cP以下であってもよい。
【0029】
また、25℃における前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップの粘度は、415cP以上3,200cP以下、430cP以上3,100cP以下、450cP以上3,000cP以下、480cP以上2,800cP以下、400cP以上1,500cP以下、420cP以上1,450cP以下、440cP以上1,400cP以下、450cP以上1,350cP以下、475cP以上1,300cP以下、490cP以上1,260cP以下、750cP以上3,300cP以下、850cP以上3,200cP以下、950cP以上3,000cP以下、1,000cP以上2,800cP以下、または1,200cP以上2,700cP以下であってもよい。
【0030】
20℃および/または25℃における前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップの粘度が前述した範囲内の場合、前記光硬化型組成物のコーティング性を効果的に改善させることができる。また、前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップの粘度を前述した範囲に調節することにより、前記光硬化型組成物で製造されるコーティング層の表面品質と厚さ均一性を向上させることができる。具体的には、後述するコーティング層の総厚さ偏差(TTV)をより効果的に減少させることができる。
【0031】
本発明の一実施態様によれば、前記ポリアルキレンカーボネート系ウレタンプレポリマーは、ポリアルキレンカーボネート系ポリオールおよびジイソシアネート系化合物を含む第1混合物の反応生成物であってもよい。具体的には、ポリアルキレンカーボネート系ポリオールとジイソシアネート系化合物との間の重合反応により前記ポリアルキレンカーボネート系ウレタンプレポリマーが形成される。すなわち、前記ジイソシアネート系化合物のイソシアネート基と前記ポリアルキレンカーボネート系ポリオールのヒドロキシ基との間に反応が進行するにつれてウレタン(urethane)結合が形成され、末端にイソシアネート基を有するポリアルキレンカーボネート系ウレタンプレポリマーが形成される。
【0032】
本発明の一実施態様によれば、前記ポリアルキレンカーボネート系ポリオールは、炭素数1~3の側鎖が少なくとも1つ結合した炭素数1~10のアルキレンを含有するカーボネート繰り返し単位を含むことができる。すなわち、前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂に含まれる炭素数1~3の側鎖が少なくとも1つ結合した炭素数1~10のアルキレンを含有するカーボネート繰り返し単位は、前記ポリアルキレンカーボネート系ポリオールに由来するものであってもよい。
【0033】
本発明の一実施態様によれば、前記ポリアルキレンカーボネート系ポリオールは、1種以上のカーボネート繰り返し単位を含むことができる。具体的には、前記ポリアルキレンカーボネート系ポリオールに含まれたカーボネート繰り返し単位の少なくとも1つは、炭素数1~3の側鎖が少なくとも1つ結合した炭素数1~10のアルキレンを含有するカーボネート繰り返し単位であってもよい。前述したカーボネート繰り返し単位を含む前記ポリアルキレンカーボネート系ポリオールを用いることにより、大きい重量平均分子量を有しながらも粘度が低い前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップを製造することができる。
【0034】
例えば、炭素数1~3の側鎖が少なくとも1つ結合した炭素数1~10のアルキレンを含有するカーボネート繰り返し単位は、下記化学式2で表されるものであってもよい。
【0035】
【化1】
【0036】
前記化学式2において、R11は、炭素数1~10のアルキレンであり、R12は、炭素数1~3のアルキル基である。
【0037】
前記カーボネート繰り返し単位に含まれた炭素数1~10のアルキレンは、直鎖状であってもよい。また、前記カーボネート繰り返し単位に含まれたアルキレンの炭素数は、3~8、5~6、または4~5であってもよい。さらに、前記アルキレンの主鎖には炭素数1~3のアルキル基が少なくとも1つ結合してもよい。具体的には、前記アルキレンにメチル基、エチル基、またはプロピル基が結合してもよい。より具体的には、前記カーボネート繰り返し単位は、メチル基が結合した炭素数4~6のアルキレンを含有することができる。前記カーボネート繰り返し単位に含まれた前記アルキレンの炭素数および前記側鎖の炭素数が前述した範囲内の場合、前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップは、大きい重量平均分子量を有しながらも低い粘度を有することができる。
【0038】
また、前記ポリアルキレンカーボネート系ポリオールは、2以上のヒドロキシ基を含むことができる。具体的には、前記ポリアルキレンカーボネート系ポリオールは、前述したカーボネート繰り返し単位を含むポリアルキレンカーボネート系ジオールであってもよい。
【0039】
本発明の一実施態様によれば、前記ジイソシアネート系化合物は、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、メチレンジフェニルジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メタキシレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、およびテトラメチルキシレンジイソシアネートの少なくとも1つを含むことができる。ただし、前記ジイソシアネート系化合物の種類を前述したものに限定しない。
【0040】
本発明の一実施態様によれば、前記第1混合物に含まれる前記ジイソシアネート系化合物の含有量は、前記ポリアルキレンカーボネート系ポリオール100重量部に対して、10重量部以上20重量部以下であってもよい。具体的には、前記ポリアルキレンカーボネート系ポリオール100重量部に対して、前記ジイソシアネート系化合物の含有量は、11.5重量部以上18重量部以下、12.5重量部以上16重量部以下、10重量部以上15重量部以下、または14重量部以上18重量部以下であってもよい。前記ジイソシアネート系化合物の含有量が前述した範囲内の場合、前記ポリアルキレンカーボネート系ウレタンプレポリマーが安定的に形成される。また、前記ジイソシアネート系化合物の含有量を前述した範囲に調節することにより、大きい重量平均分子量を有しながらも低い粘度を有する前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップを効果的に形成することができる。
【0041】
本発明の一実施態様によれば、前記第1混合物は、粘度調節用単量体を含むことができる。前記第1混合物に粘度調節用単量体を添加することにより、前記ポリアルキレンカーボネート系ウレタンプレポリマーは、適切な粘度を有することができる。粘度調節用単量体を用いて前記ポリアルキレンカーボネート系ウレタンプレポリマーの粘度を調節することにより、前記ポリアルキレンカーボネート系ウレタンプレポリマーは、前記反応性基含有(メタ)アクリレート系化合物と容易に重合可能である。
【0042】
前記粘度調節用単量体は、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、およびトリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートの少なくとも1つを含むことができる。一方、前記第1混合物に含まれた前記粘度調節用単量体は、前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップに残留して、後述する(メタ)アクリレート系単量体混合物に含まれるものであってもよい。すなわち、前記第1混合物に含まれた前記粘度調節用単量体は、前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップに残留することにより、前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップの粘度を前述した範囲に容易に調節することができる。
【0043】
本発明の一実施態様によれば、前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂は、イソシアネート末端基を有するポリアルキレンカーボネート系ウレタンプレポリマーと反応性基含有(メタ)アクリレート系化合物を含む第2混合物の反応生成物であってもよい。すなわち、前記ポリアルキレンカーボネート系ウレタンプレポリマーと前記反応性基含有(メタ)アクリレート系化合物との重合反応により前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂が形成される。具体的には、前記ポリアルキレンカーボネート系ウレタンプレポリマーの末端に位置するイソシアネート基と前記反応性基含有(メタ)アクリレート系化合物の反応性基との間に反応が進行して前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂が形成される。これにより、前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂の末端は、前記反応性基含有(メタ)アクリレート系化合物でアクリレート化してキャッピング(capping)される。また、前記第2混合物は、粘度調節用単量体を含むことができ、前記第2混合物に含まれた前記粘度調節用単量体は、前記第1混合物に含まれた前記粘度調節用単量体が残留したものであってもよい。
【0044】
本発明の一実施態様によれば、前記反応性基含有(メタ)アクリレート系化合物の反応性基は、ヒドロキシ基(-OH)を含むことができる。前記ポリアルキレンカーボネート系ウレタンプレポリマーの末端に位置するイソシアネート基との重合反応性の面で、ヒドロキシ基を反応性基として含有する(メタ)アクリレート系化合物を使用することができる。反応性基としてヒドロキシ基を含有する(メタ)アクリレート系化合物は、前記ポリアルキレンカーボネート系ウレタンプレポリマーの末端に位置するイソシアネート基と反応して、ウレタン結合を形成することができる。前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂は、UVに対する硬化速度が速く、前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップを含む光硬化型組成物の硬化物は、応力緩和性能に優れる。
【0045】
本発明の一実施態様によれば、前記反応性基含有(メタ)アクリレート系化合物は、カルボキシル基を含有しない。すなわち、前記反応性基含有(メタ)アクリレート系化合物は、反応性基としてカルボキシル基を含有しない。前記反応性基含有(メタ)アクリレート系化合物にカルボキシル基が反応性基として含有される場合、前記ポリアルキレンカーボネート系ウレタンプレポリマーの末端に位置するイソシアネート基との反応性が良くなく、前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂を形成することが容易でないことがある。また、前記反応性基含有(メタ)アクリレート系化合物にカルボキシル基が含有される場合、前記光硬化型組成物の硬化物の応力緩和性能が低下する問題が発生しうる。
【0046】
したがって、本発明の一実施態様によれば、カルボキシル基を反応性基として含有しない(メタ)アクリレート系化合物を用いて、前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂を容易に形成することができる。また、応力緩和性能に優れたコーティング層を形成可能な光硬化型組成物を提供することができる。
【0047】
本発明の一実施態様によれば、前記反応性基含有(メタ)アクリレート系化合物は、炭素数4以下のアルキレンを含有することができる。具体的には、前記反応性基含有(メタ)アクリレート系化合物は、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、およびヒドロキシブチル(メタ)アクリレートの少なくとも1つを含むことができる。炭素数4以下のアルキレンを有する反応性基含有(メタ)アクリレート系化合物と前記ポリアルキレンカーボネート系ウレタンプレポリマーに由来する前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂とを含む前記光硬化型組成物は、コーティング性および表面品質と厚さ均一性に優れ、応力緩和性能に優れたコーティング層を実現することができる。
【0048】
本発明の一実施態様によれば、前記第2混合物に含まれる前記反応性基含有(メタ)アクリレート系化合物の含有量は、前記ポリアルキレンカーボネート系ウレタンプレポリマー100重量部に対して、1重量部以上10重量部以下であってもよい。具体的には、前記ポリアルキレンカーボネート系ウレタンプレポリマー100重量部に対して、前記反応性基含有(メタ)アクリレート系化合物の含有量は、1.5重量部以上8.5重量部以下、2重量部以上7重量部以下、3.5重量部以上6.5重量部以下、1重量部以上6重量部以下、1.5重量部以上5.5重量部以下、2重量部以上5重量部以下、2重量部以上4.5重量部以下、3重量部以上10重量部以下、3.2重量部以上8.5重量部以下、3.5重量部以上7.5重量部以下、3.7重量部以上7重量部以下、または4重量部以上6.5重量部以下であってもよい。
【0049】
前記反応性基含有(メタ)アクリレート系化合物の含有量を前述した範囲に調節することにより、前記光硬化型組成物の硬化物を含むコーティング層の応力緩和性能および機械的物性をより改善させることができる。また、前記反応性基含有(メタ)アクリレート系化合物の含有量が前述した範囲内の場合、前記光硬化型組成物のコーティング性が低下することを抑制することができる。
【0050】
本発明の一実施態様によれば、前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂の含有量は、前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップ100重量部に対して、15重量部以上35重量部以下であってもよい。具体的には、前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップ100重量部に対して、前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂の含有量は、17.5重量部以上32.5重量部以下、20重量部以上30重量部以下、23重量部以上28重量部以下、15重量部以上30重量部以下、18重量部以上28.5重量部以下、20重量部以上25重量部以下、20重量部以上35重量部以下、21.5重量部以上33重量部以下、22.5重量部以上30重量部以下、または25重量部以上27.5重量部以下であってもよい。前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂の含有量が前述した範囲内の場合、前記光硬化型組成物は、表面品質と厚さ均一性に優れたコーティング層を提供することができる。また、前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂の含有量を前述した範囲に調節することにより、前記コーティング層の応力緩和性能および機械的物性をより改善することができる。
【0051】
本発明の一実施態様によれば、前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップは、(メタ)アクリレート系単量体混合物を含むことができる。前記(メタ)アクリレート系単量体混合物は、前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップの粘度を調節し、後述する前記光硬化型組成物の光硬化反応にも参加することができる。
【0052】
本発明の一実施態様によれば、前記(メタ)アクリレート系単量体混合物の含有量は、前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップ100重量部に対して、65重量部以上85重量部以下であってもよい。具体的には、前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップ100重量部に対して、前記(メタ)アクリレート系単量体混合物の含有量は、67.5重量部以上82.5重量部以下、70重量部以上80重量部以下、72.5重量部以上77.5重量部以下、65重量部以上80重量部以下、68重量部以上77重量部以下、または70重量部以上75重量部以下であってもよい。
【0053】
前記(メタ)アクリレート系単量体混合物の含有量を前述した範囲に調節することにより、前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップの粘度を前述した範囲に容易に調節することができる。また、前記(メタ)アクリレート系単量体混合物の含有量が前述した範囲を満足する場合、前記光硬化型組成物のコーティング性を向上させることができ、前記光硬化型組成物を用いて製造されるコーティング層の表面品質と厚さ均一性を効果的に向上させることができる。
【0054】
本発明の一実施態様によれば、前記(メタ)アクリレート系単量体混合物は、アルキル基含有(メタ)アクリレート系単量体、脂環族アルキル基含有(メタ)アクリレート系単量体、芳香族基含有(メタ)アクリレート系単量体、および極性官能基含有(メタ)アクリレート系単量体を含むことができる。
【0055】
本発明の一実施態様によれば、前記(メタ)アクリレート系単量体混合物に含まれるアルキル基含有(メタ)アクリレート系単量体は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルブチル(メタ)アクリレート、n-オクチル-5-(メタ)アクリレート、およびイソオクチル(メタ)アクリレートの少なくとも1つを含むことができる。
【0056】
本発明の一実施態様によれば、前記(メタ)アクリレート系単量体混合物に含まれる前記アルキル基含有(メタ)アクリレート系単量体の含有量は、前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップ100重量部に対して、1重量部以上10重量部以下、2.5重量部以上8.5重量部以下、4.5重量部以上7重量部以下、1重量部以上7.5重量部以下、3重量部以上7重量部以下、5重量部以上6.5重量部以下、5重量部以上10重量部以下、または5重量部以上8重量部以下であってもよい。前記アルキル基含有(メタ)アクリレート系単量体の含有量を前述した範囲に調節することにより、前記光硬化型組成物の粘度を適切に調節して濡れ性を向上させ、コーティング面をより均一かつ平坦に形成することができる。また、前記アルキル基含有(メタ)アクリレート系単量体の含有量が前述した範囲内の場合、前記光硬化型組成物の硬化物を含むコーティング層の引張強度と応力緩和物性を改善させることができる。
【0057】
本発明の一実施態様によれば、前記(メタ)アクリレート系単量体混合物に含まれる前記脂環族アルキル基含有(メタ)アクリレート系単量体は、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、およびトリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートの少なくとも1つを含むことができる。
【0058】
本発明の一実施態様によれば、前記(メタ)アクリレート系単量体混合物に含まれる前記脂環族アルキル基含有(メタ)アクリレート系単量体の含有量は、前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップ100重量部に対して、15重量部以上45重量部以下、17.5重量部以上42.5重量部以下、20重量部以上40重量部以下、25重量部以上35重量部以下、15重量部以上40重量部以下、18重量部以上38重量部以下、23重量部以上35重量部以下、28重量部以上33重量部以下、25重量部以上40重量部以下、27.5重量部以上37.5重量部以下、または30重量部以上35重量部以下であってもよい。
【0059】
前記脂環族アルキル基含有(メタ)アクリレート系単量体の含有量を前述した範囲に調節することにより、前記光硬化型組成物の粘度を調節してコーティング性を効果的に向上させることができ、コーティング層の機械的物性を改善させることができる。
【0060】
一方、前記(メタ)アクリレート系単量体混合物に含まれる前記脂環族アルキル基含有(メタ)アクリレート系単量体は、前述のように、前記第1混合物に含まれる粘度調節用単量体であってもよい。すなわち、前記(メタ)アクリレート系単量体混合物に含まれた前記脂環族アルキル基含有(メタ)アクリレート系単量体は、前記第1混合物に含まれた粘度調節用単量体が前記光硬化型組成物に残留したものであってもよい。したがって、前記脂環族アルキル基含有(メタ)アクリレート系単量体の含有量が前述した範囲内の場合、前記ポリアルキレンカーボネート系ウレタンプレポリマーを容易に製造することができ、前記ポリアルキレンカーボネート系ウレタンプレポリマーと前記反応性基含有(メタ)アクリレート系化合物との重合を容易に行うことができる。
【0061】
本発明の一実施態様によれば、前記(メタ)アクリレート系単量体混合物に含まれる芳香族基含有(メタ)アクリレート系単量体は、フェニルベンジル(メタ)アクリレート、フェニルチオエチル(メタ)アクリレート、O-フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、およびナフチルチオエチル(メタ)アクリレートの少なくとも1つを含むことができる。
【0062】
本発明の一実施態様によれば、前記(メタ)アクリレート系単量体混合物に含まれる前記芳香族基含有(メタ)アクリレート系単量体の含有量は、前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップ100重量部に対して、20重量部以上35重量部以下、22.5重量部以上32.5重量部以下、25重量部以上30重量部以下、20重量部以上30重量部以下、23重量部以上28重量部以下、25重量部以上35重量部以下、または27重量部以上33重量部以下であってもよい。前記芳香族基含有(メタ)アクリレート系単量体の含有量が前述した範囲内の場合、前記光硬化型組成物のウェッティング性を改善させることができ、前記光硬化型組成物の硬化物の応力緩和性能および機械的物性を向上させることができる。
【0063】
本発明の一実施態様によれば、前記(メタ)アクリレート系単量体混合物に含まれる前記極性官能基含有(メタ)アクリレート系単量体は、極性官能基としてヒドロキシ基を含有することができる。具体的には、前記極性官能基含有(メタ)アクリレート系単量体は、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、および2-ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレートの少なくとも1つを含むことができる。
【0064】
本発明の一実施態様によれば、前記(メタ)アクリレート系単量体混合物に含まれる前記極性官能基含有(メタ)アクリレート系単量体の含有量は、前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップ100重量部に対して、5重量部以上15重量部以下、7重量部以上12重量部以下、5重量部以上10重量部以下、または8重量部以上15重量部以下であってもよい。前記極性官能基含有(メタ)アクリレート系単量体の含有量を前述した範囲に調節することにより、前記光硬化型組成物のウェッティング性およびコーティング性を向上させることができ、前記光硬化型組成物の硬化物の応力緩和性能を向上させることができる。
【0065】
本発明の一実施態様によれば、前記光硬化型組成物は、多官能ウレタン(メタ)アクリレート系化合物を含むことができる。前記多官能ウレタン(メタ)アクリレート系化合物を含むことにより、前記光硬化型組成物の架橋反応を適切に調節することができ、前記光硬化型組成物は、引張強度および応力緩和特性が改善されたコーティング層を実現することができる。
【0066】
本発明の一実施態様によれば、前記多官能ウレタン(メタ)アクリレート系化合物は、官能基として(メタ)アクリレート基を2以上含有することができる。具体的には、前記多官能ウレタン(メタ)アクリレート系化合物は、(メタ)アクリレート基を2~6、または3~5含有することができる。官能基数が前述した範囲を満足する多官能ウレタン(メタ)アクリレート系化合物を含む前記光硬化型組成物により、応力緩和性能および機械的物性がより改善されたコーティング層を実現することができる。また、前記多官能ウレタン(メタ)アクリレート系化合物は、単独でまたは互いに異なる種類を組み合わせて使用することができる。
【0067】
本発明の一実施態様によれば、前記多官能ウレタン(メタ)アクリレート系化合物は、カプロラクトンアクリレート(caprolactone acrylate)に由来する重合単位と3個以上の(メタ)アクリレート基とを含むことができる。具体的には、前記多官能ウレタン(メタ)アクリレート系化合物は、下記化学式1で表される化合物を含むことができる。
【0068】
【化2】
【0069】
化学式1において、R、RおよびRは、それぞれ独立して、炭素数2~10のアルキレンであり、R、RおよびRは、それぞれ独立して、炭素数2~7のアルキレンであり、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、またはメチル基であり、n、j、およびkは、それぞれ独立して、1~3の整数である。具体的には、前記化学式1において、R、RおよびRは、それぞれ独立して、炭素数3~8のアルキレン、炭素数4~7のアルキレン、または炭素数5~6のアルキレンであってもよい。また、R、RおよびRは、それぞれ独立して、炭素数3~6のアルキレン、または炭素数3~6のアルキレンであってもよい。
【0070】
前記化学式1で表される化合物を含む前記多官能ウレタン(メタ)アクリレート系化合物を含むことにより、前記光硬化型組成物の架橋反応を適切に調節することができ、引張強度および応力緩和特性が改善されたコーティング層を実現可能な光硬化型組成物を提供することができる。
【0071】
本発明の一実施態様によれば、前記多官能ウレタン(メタ)アクリレート系化合物は、下記化学式1-1で表される化合物を含むことができる。
【0072】
【化3】
【0073】
本発明の一実施態様によれば、前記多官能ウレタン(メタ)アクリレート系化合物の重量平均分子量は、2,000g/mol以上5,000g/mol以下であってもよい。具体的には、前記多官能ウレタン(メタ)アクリレート系化合物の重量平均分子量は、2,500g/mol以上4,500g/mol以下、3,000g/mol以上4,000g/mol以下、3,500g/mol以上3,800g/mol以下、2,000g/mol以上4,000g/mol以下、2,300g/mol以上3,800g/mol以下、2,700g/mol以上3,600g/mol以下、3,100g/mol以上3,500g/mol以下、3,000g/mol以上5,000g/mol以下、3,200g/mol以上4,800g/mol以下、3,300g/mol以上4,500g/mol以下、3,500g/mol以上4,200g/mol以下、または3,700g/mol以上4,000g/mol以下であってもよい。
【0074】
前記多官能ウレタン(メタ)アクリレート系化合物の重量平均分子量が前述した範囲内の場合、前記光硬化型組成物の架橋反応を容易に調節することができ、前記光硬化型組成物は、応力緩和性能および引張強度物性に優れたコーティング層を容易に実現することができる。これにより、前記コーティング層が外部衝撃や条件によって変形されることを防止することができ、コーティング層の応力緩和性能が低下することを抑制することができる。また、前記多官能ウレタン(メタ)アクリレート系化合物の重量平均分子量を前述した範囲に調節することにより、前記光硬化型組成物のコーティング性が低下することを抑制することができる。
【0075】
本発明の一実施態様によれば、前記多官能ウレタン(メタ)アクリレート系化合物の含有量は、前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂100重量部に対して、2.5重量部以上7.5重量部以下であってもよい。具体的には、前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂100重量部に対して、3.5重量部以上6重量部以下、4.5重量部以上5.5重量部以下、2.5重量部以上6重量部以下、3重量部以上5.75重量部以下、3.25重量部以上5.5重量部以下、3.5重量部以上5.2重量部以下、3.75重量部以上5重量部以下、4重量部以上4.8重量部以下、4.5重量部以上7.5重量部以下、4.5重量部以上7重量部以下、または4.8重量部以上6.5重量部以下であってもよい。
【0076】
前記多官能ウレタン(メタ)アクリレート系化合物の含有量を前述した範囲に調節することにより、前記光硬化型組成物のコーティング性を改善させることができ、後述するコーティング層の表面品質と厚さ均一性を向上させることができる。また、前記多官能ウレタン(メタ)アクリレート系化合物の含有量が前述した範囲内の場合、前記光硬化型組成物の硬化物の架橋程度を効果的に調節することができ、これにより、コーティング層の応力緩和性能および引張強度を効果的に改善することができる。
【0077】
本発明の一実施態様によれば、前記光硬化型組成物は、多官能(メタ)アクリレート系化合物を含むことができる。前記多官能(メタ)アクリレート系化合物は、官能基として(メタ)アクリレート基を2以上含有することができる。具体的には、前記多官能(メタ)アクリレート系化合物は、(メタ)アクリレート基を2~6、または2~5含有することができる。官能基数が前述した範囲を満足する多官能(メタ)アクリレート系化合物を使用することにより、前記光硬化型組成物の硬化密度を調節および向上させることができ、応力緩和性能および引張強度の調節が容易なコーティング層を実現することができる。
【0078】
本発明の一実施態様によれば、前記多官能(メタ)アクリレート系化合物は、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシル化トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、およびジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートの少なくとも1つを含むことができる。また、前記多官能(メタ)アクリレート系化合物は、単独でまたは互いに異なる種類を組み合わせて使用することができる。
【0079】
本発明の一実施態様によれば、多官能(メタ)アクリレート系化合物の含有量は、前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂100重量部に対して、1重量部以上5重量部以下であってもよい。具体的には、前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂100重量部に対して、前記多官能(メタ)アクリレート系化合物の含有量は、1.5重量部以上4.5重量部以下、2重量部以上4重量部以下、2.5重量部以上3.5重量部以下、1重量部以上3.5重量部以下、1.75重量部以上3.4重量部以下、2.25重量部以上3.3重量部以下、2.75重量部以上3.2重量部以下、2.5重量部以上5重量部以下、2.7重量部以上4.5重量部以下、3重量部以上4重量部以下、または3.2重量部以上3.5重量部以下であってもよい。
【0080】
前記多官能(メタ)アクリレート系化合物の含有量を前述した範囲に調節することにより、前記光硬化型組成物の硬化物の応力緩和性能および機械的物性を向上させることができる。また、前記多官能(メタ)アクリレート系化合物の含有量が前述した範囲内の場合、前記光硬化型組成物のコーティング性およびコーティング膜の表面品質が低下することを抑制することができる。
【0081】
本発明の一実施態様によれば、前記光硬化型組成物は、光開始剤を含むことができる。前記光開始剤として当業界にて用いられる光開始剤を制限なく採用して使用可能である。例えば、前記光開始剤としてHP-8(ミウォンスペシャルティ社)、Irgacure#651(BASF社)、Irgacure#1173(BASF社)、およびCP-4(Irgacure#184)の少なくとも1つを使用することができるが、前記光開始剤の種類を限定するものではない。
【0082】
本発明の一実施態様によれば、前記光開始剤の含有量は前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂100重量部に対して、0.5重量部以上3重量部以下であってもよい。具体的には、前記ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂100重量部に対して、前記光開始剤の含有量は、0.7重量部以上2.75重量部以下、1重量部以上2.5重量部以下、1.5重量部以上2.2重量部以下、または1.7重量部以上2重量部以下であってもよい。前記光開始剤の含有量を前述した範囲に調節することにより、前記光硬化型組成物の光硬化反応を効果的に行うことができる。
【0083】
本発明の一実施態様によれば、前記光硬化型組成物の粘度は、3,000cP以下であってもよい。具体的には、25℃における前記光硬化型組成物の粘度は、400cP以上3,000cP以下であってもよい。より具体的には、25℃における前記光硬化型組成物の粘度は、450cP以上2,900cP以下、500cP以上2,800cP以下、400cP以上2,000cP以下、425cP以上1,800cP以下、450cP以上1,650cP以下、475cP以上1,550cP以下、500cP以上1,450cP以下、525cP以上1,400cP以下、550cP以上1,350cP以下、1,000cP以上3,000cP以下、1,100cP以上2,950cP以下、1,200cP以上2,900cP以下、1,250cP以上2,850cP以下、または1,300cP以上2,800cP以下であってもよい。
【0084】
25℃における粘度が前述した範囲を満足する前記光硬化型組成物は、コーティング性に優れ、前記光硬化型組成物のコーティング膜およびその硬化物を含むコーティング層の表面品質と厚さ均一性に優れる。具体的には、前記光硬化型組成物のコーティング膜および硬化物は、後述する総厚さ偏差(TTV)が効果的に低減できる。
【0085】
本発明の一実施態様は、前記光硬化型組成物の硬化物を含むコーティング層を提供する。
本発明の一実施態様に係るコーティング層は、低いTTVを有することにより、表面品質に優れる。前述のように、前記光硬化型組成物は、ウェッティング性およびコーティング性に優れ、前記光硬化型組成物のコーティング膜は、表面品質と厚さ均一性に優れる。そのため、前記光硬化型組成物のコーティング膜を硬化させて形成した前記コーティング層も、表面品質と厚さ均一性に優れる。また、前記コーティング層は、応力緩和性能および機械的物性に優れる。
【0086】
本発明の一実施態様によれば、300nm以上400nm以下の波長値を有するUVランプを用いて、1.0J/cm~1.5J/cmの光量で照射して前記光硬化型組成物を硬化させることができる。
【0087】
本発明の一実施態様によれば、前記コーティング層は、最大厚さと最小厚さとの差で定義される総厚さ偏差(TTV、Total Thickness Variation)が3μm以下であってもよい。
【0088】
本発明の一実施態様によれば、前記コーティング層は、光硬化型組成物のコーティング方向(MD)を基準として、総厚さ偏差が3μm以下であってもよい。具体的には、コーティング方向(MD)を基準として、前記コーティング層の総厚さ偏差は2μm以下であってもよい。また、前記コーティング層は、前記コーティング方向(MD)に直交する垂直方向(TD)を基準として、総厚さ偏差が3μm以下、または2μm以下であってもよい。前記コーティング方向(MD)および/または垂直方向(TD)に対する総厚さ偏差が前述した範囲を満足する前記コーティング層は、表面品質および厚さ均一性に非常に優れる。
【0089】
本願明細書全体において、前記光硬化型組成物のコーティング方向(MD)は、前記コーティング層を形成するために基材フィルム上に前記光硬化型組成物をコーティング(塗布)する方向で定義される。また、前記垂直方向(TD)は、前述したコーティング方向(MD)に直交する方向で定義される。
【0090】
本発明の一実施態様によれば、前記コーティング層の厚さは、10μm以上100μm以下であってもよい。具体的には、前記コーティング層の厚さは、15μm以上85μm以下、20μm以上75μm以下、25μm以上70μm以下、30μm以上65μm以下、35μm以上60μm以下、40μm以上55μm以下、45μm以上50μm以下、48μm以上50μm以下、49μm以上51μm以下、または53μm以上55μm以下であってもよい。前記コーティング層の厚さを前述した範囲に調節することにより、前記コーティング層の応力緩和性能および機械的物性をより改善させることができる。
【0091】
本発明の一実施態様によれば、前記コーティング層の応力緩和率は、78%以上であってもよい。具体的には、前記コーティング層の応力緩和率は、79%以上、または80%以上であってもよい。また、前記コーティング層の応力緩和率は、82%以下、81%以下、または80%以下であってもよい。前記コーティング層の応力緩和率を後述する実験例に記載されたように測定できる。前述した範囲の応力緩和率を保持する前記コーティング層は、半導体工程用基材として容易に適用可能である。
【0092】
本発明の一実施態様によれば、前記コーティング層の引張強度は、28MPa以上、29MPa以上、または30MPa以上であってもよい。また、前記コーティング層の引張強度は、31MPa以下、30.5MPa以下、または30MPa以下であってもよい。前記コーティング層の引張強度は、後述する実験例に記載されたように測定できる。前述した範囲の引張強度を保持する前記コーティング層は、半導体工程用基材として容易に適用可能である。
【0093】
本発明の一実施態様は、基材フィルムと、前記コーティング層と、を含む半導体工程用基材を提供する。
【0094】
本発明の一実施態様に係る半導体工程用基材は、応力緩和性能に優れ、ウエハの加工時に収縮を最小化させることができる。そのため、前記半導体工程用基材は、バックグラインディング(back grinding)工程またはダイシング(dicing)工程などの半導体工程に容易に適用可能である。さらに、前記コーティング層を含む前記半導体工程用基材を用いて、半導体工程中に発生しうるウエハの反り(warpage)現象を効果的に防止することができる。
【0095】
図1aおよび図1bは、本発明の一実施態様に係る半導体工程用基材を示す図である。
図1aを参照すれば、本発明の一実施態様に係る半導体工程用基材100は、基材フィルム10と、前記基材フィルム10の一面上に備えられるコーティング層20とを含むことができる。この時、前記コーティング層は、前述した光硬化型組成物の硬化物を含む。
【0096】
本発明の一実施態様によれば、前記基材フィルムは、当業界にて用いられる基材フィルムを使用することができる。例えば、前記基材フィルムは、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリオレフィンフィルム、エチレン-ビニルアセテートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、またはポリエチレンフィルムであってもよいが、前記基材フィルムの種類を限定するものではない。
【0097】
本発明の一実施態様によれば、前記基材フィルムの厚さは、10μm以上100μm以下であってもよい。具体的には、前記基材フィルムの厚さは、20μm以上80μm以下、40μm以上60μm以下、10μm以上70μm以下、15μm以上65μm以下、25μm以上62.5μm以下、30μm以上57μm以下、35μm以上55μm以下、45μm以上50μm以下、40μm以上100μm以下、42.5μm以上75μm以下、45μm以上72.5μm以下、または50μm以上65μm以下であってもよい。前記基材フィルムの厚さが前述した範囲内の場合、応力緩和性能および機械的物性に優れた前記半導体工程用基材を実現することができる。
【0098】
本発明の一実施態様によれば、前記基材フィルム上に前記光硬化型組成物を塗布し、前記光硬化型組成物を光硬化させて、基材フィルム上にコーティング層を形成することができる。すなわち、前記コーティング層は、接合フィルムまたは接着剤なしに前記基材フィルム上に備えられる。
【0099】
図1bを参照すれば、本発明の一実施態様に係る半導体工程用基材100は、基材フィルム10と、前記基材フィルム10の一面上に備えられるコーティング層20と、前記コーティング層20の一面上に備えられるハードコート層30とを含むことができる。この時、前記コーティング層20は、前述した光硬化型組成物の硬化物を含む。
【0100】
本発明の一実施態様によれば、前記ハードコート層は、当業界にて用いられるハードコート層を使用することができる。例えば、前記ハードコート層は、溶剤、光(UV)硬化型樹脂、タックフリー(tack-free)添加剤、および光開始剤を含むハードコート層組成物の硬化物を含むことができる。
【0101】
本発明の一実施態様によれば、前記ハードコート層の厚さは、0.5μm以上5μm以下であってもよい。前記ハードコート層の厚さが前述した範囲内の場合、前記半導体工程用基材の耐久性および機械的物性をより改善させることができる。
【0102】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、本発明による実施例は種々の異なる形態に変形可能であり、本発明の範囲が以下に記述する実施例に限定されると解釈されない。本明細書の実施例は当業界における平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
以下、本発明を具体的に説明するために、実施例を挙げて詳細に説明する。
【0103】
ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップの製造
製造例1
5口の2L反応器に、メチル基が側鎖に結合したペンチレンを含有するカーボネート繰り返し単位を含むポリアルキレンカーボネート系ポリオールとしてNippollan963(Tosoh社)、ジイソシアネート系化合物としてイソホロンジイソシアネート(IPDI;Evonik社)とヘキサメチレンジイソシアネート(50M-HDI、旭化成社)、イソボルニルアクリレート(IBOA、Solay社)を投入し、混合して第1混合物を製造した。この時、Nippollan963を100重量部基準として、IPDIの含有量は約13.8重量部、50M-HDIの含有量は約2.0重量部であった。
【0104】
以後、第1混合物を65℃に昇温維持し、スズ系の触媒であるジブチルスズジラウレート(dibutyltin dilaurate;DBTDL)50ppmを投入し、発熱反応を誘導して、イソシアネート末端基を有するポリアルキレンカーボネート系ウレタンプレポリマーを製造した。
【0105】
以後、製造されたポリアルキレンカーボネート系ウレタンプレポリマーと反応性基含有(メタ)アクリレート系化合物である2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-HEMA、日本触媒社)とを混合して第2混合物を製造し、FT-IR(Fourier-transform infrared spectroscopy)で2250cm-1のNCOピークが消滅することを確認することにより、ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂を製造した。この時、ポリアルキレンカーボネート系ウレタンプレポリマー100重量部に対して、2-HEMAの含有量は約6.4重量部であった。
【0106】
以後、製造されたウレタン(メタ)アクリレート系樹脂に、2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)、O-フェニルフェノキシエチルアクリレート(OPPEA;M1142、ミウォンスペシャルティ社)、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)を添加して、ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップを製造した。
【0107】
この時、ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップ100重量部を基準として、ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂の含有量は25重量部、IBOAの含有量は33重量部、2-EHAの含有量は5重量部、OPPEAの含有量は27重量部、2-HEAの含有量は10重量部であった。
【0108】
製造されたウレタン(メタ)アクリレート系樹脂の重量平均分子量は20,100g/molであった。また、製造されたウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップは、40番スピンドルにてブルックフィールド粘度計(10rpmの回転速度)により測定した粘度が20℃で約760cPであり、25℃で約490cPであった。
【0109】
製造例2
前記製造例1において、Nippollan963を100重量部基準として、IPDIの含有量は約12.9重量部、50M-HDIの含有量は約1.4重量部に調節したことを除き、前記製造例1と同様の方法でイソシアネート末端基を有するポリアルキレンカーボネート系ウレタンプレポリマーを製造した。
【0110】
以後、前記製造例1において、ポリアルキレンカーボネート系ウレタンプレポリマー100重量部に対して、2-HEMAの含有量を約4.2重量部に調節したことを除き、前記製造例1と同様の方法でウレタン(メタ)アクリレート系樹脂およびウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップを製造した。
【0111】
製造されたウレタン(メタ)アクリレート系樹脂の重量平均分子量は30,600g/molであった。また、製造されたウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップは、40番スピンドルにてブルックフィールド粘度計(10rpmの回転速度)により測定した粘度が20℃で約1,810cPであり、25℃で約1,250cPであった。
【0112】
製造例3
前記製造例1において、Nippollan963を100重量部基準として、IPDIの含有量は約12.0重量部、50M-HDIの含有量は約0.9重量部に調節したことを除き、前記製造例1と同様の方法でイソシアネート末端基を有するポリアルキレンカーボネート系ウレタンプレポリマーを製造した。
【0113】
以後、前記製造例1において、ポリアルキレンカーボネート系ウレタンプレポリマー100重量部に対して、2-HEMAの含有量を約2.5重量部に調節したことを除き、前記製造例1と同様の方法でウレタン(メタ)アクリレート系樹脂およびウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップを製造した。
【0114】
製造されたウレタン(メタ)アクリレート系樹脂の重量平均分子量は40,100g/molであった。また、製造されたウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップは、40番スピンドルにてブルックフィールド粘度計(10rpmの回転速度)により測定した粘度が20℃で約3,100cPであり、25℃で約2,650cPであった。
【0115】
製造例4
前記製造例2において、ポリアルキレンカーボネート系ポリオールとしてNippollan963の代わりにT5652(旭化成社)を用いたことを除き、前記製造例2と同様の方法でイソシアネート末端基を有するポリアルキレンカーボネート系ウレタンプレポリマー、ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂、およびウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップを製造した。
この時、T5652は、側鎖がないアルキレンを含有するカーボネート繰り返し単位を含むポリアルキレンカーボネート系ポリオールに相当する。
【0116】
製造されたウレタン(メタ)アクリレート系樹脂の重量平均分子量は30,600g/molであった。また、製造されたウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップは、40番スピンドルにてブルックフィールド粘度計(10rpmの回転速度)により測定した粘度が20℃で約3,900cPであり、25℃で約3,500cPであった。
【0117】
製造例5
前記製造例3において、ポリアルキレンカーボネート系ポリオールとしてNippollan963の代わりにT5652(旭化成社)を用いたことを除き、前記製造例3と同様の方法でイソシアネート末端基を有するポリアルキレンカーボネート系ウレタンプレポリマー、ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂、およびウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップを製造した。
【0118】
製造されたウレタン(メタ)アクリレート系樹脂の重量平均分子量は41,000g/molであった。また、製造されたウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップは、40番スピンドルにてブルックフィールド粘度計(10rpmの回転速度)により測定した粘度が20℃で約6,520cPであり、25℃で約4,920cPであった。
【0119】
製造例6
前記製造例2において、ポリアルキレンカーボネート系ポリオールとしてNippollan963の代わりにG3452(旭化成社)を用いたことを除き、前記製造例2と同様の方法でイソシアネート末端基を有するポリアルキレンカーボネート系ウレタンプレポリマー、ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂、およびウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップを製造した。
この時、G3452は、側鎖がないアルキレンを含有するカーボネート繰り返し単位を含むポリアルキレンカーボネート系ポリオールに相当する。
【0120】
製造されたウレタン(メタ)アクリレート系樹脂の重量平均分子量は29,500g/molであった。また、製造されたウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップは、40番スピンドルにてブルックフィールド粘度計(10rpmの回転速度)により測定した粘度が20℃で約5,800cPであり、25℃で約4,100cPであった。
【0121】
製造例7
前記製造例2において、ポリアルキレンカーボネート系ポリオールとしてNippollan963の代わりにT4672(旭化成社)を用いたことを除き、前記製造例2と同様の方法でイソシアネート末端基を有するポリアルキレンカーボネート系ウレタンプレポリマー、ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂、およびウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップを製造した。
この時、T4672は、側鎖がないアルキレンを含有するカーボネート繰り返し単位を含むポリアルキレンカーボネート系ポリオールに相当する。
【0122】
製造されたウレタン(メタ)アクリレート系樹脂の重量平均分子量は30,100g/molであった。また、製造されたウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップは、40番スピンドルにてブルックフィールド粘度計(10rpmの回転速度)により測定した粘度が20℃で約6,890cPであり、25℃で約5,200cPであった。
【0123】
【表1】
【0124】
前記表1中、IPDIと50M-HDIの含有量は、ポリアルキレンカーボネート系ポリオール100重量部に対するものであり、2-HEMAの含有量は、製造されるポリアルキレンカーボネート系ウレタンプレポリマー100重量部に対するものである。
【0125】
光硬化型組成物およびコーティング層を含む半導体工程用基材の製造
実施例1
製造例1で製造されたウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップに、重量平均分子量が3,500g/molの前記化学式1-1(R~Rは水素)で表される3官能ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(GD301、LG化学)、多官能(メタ)アクリレート系化合物として1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA;M200、ミウォンスペシャルティ社)、光開始剤としてIrgacure#651(BASF社)を混合して、光硬化型組成物を製造した。
【0126】
この時、ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップに含まれたウレタン(メタ)アクリレート系樹脂100重量部を基準として、3官能ウレタン(メタ)アクリレート系化合物の含有量は4.8重量部、HDDAの含有量は3.2重量部、光開始剤の含有量は2.0重量部であった。
【0127】
以後、厚さが約50μmのPET基材フィルム上に、製造された光硬化型組成物を、スロットダイを用いて塗布した。以後、窒素条件で340nmの波長値を有するUVランプを用いて総光量を1.5J/cmで照射して前記光硬化性組成物を硬化させた。これにより、PET基材フィルム上に厚さ約51μmのコーティング層が形成された半導体工程用基材を製造した。
【0128】
実施例2
製造例1で製造されたウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップの代わりに製造例2で製造されたウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップを用いたことを除き、前記実施例1と同様の方法でコーティング層およびコーティング層を含む半導体工程用基材を製造した。
【0129】
実施例3
製造例1で製造されたウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップの代わりに製造例3で製造されたウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップを用いたことを除き、前記実施例1と同様の方法でコーティング層およびコーティング層を含む半導体工程用基材を製造した。
【0130】
比較例1
製造例1で製造されたウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップの代わりに製造例4で製造されたウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップを用いたことを除き、前記実施例1と同様の方法でコーティング層およびコーティング層を含む半導体工程用基材を製造した。
【0131】
比較例2
製造例1で製造されたウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップの代わりに製造例5で製造されたウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップを用いたことを除き、前記実施例1と同様の方法でコーティング層およびコーティング層を含む半導体工程用基材を製造した。
【0132】
比較例3
製造例1で製造されたウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップの代わりに製造例6で製造されたウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップを用いたことを除き、前記実施例1と同様の方法でコーティング層およびコーティング層を含む半導体工程用基材を製造した。
【0133】
比較例4
製造例1で製造されたウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップの代わりに製造例7で製造されたウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップを用いたことを除き、前記実施例1と同様の方法でコーティング層およびコーティング層を含む半導体工程用基材を製造した。
【0134】
比較例5
製造例2で製造されたウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップを用い、ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップに含まれたウレタン(メタ)アクリレート系樹脂100重量部を基準として3官能ウレタン(メタ)アクリレート系化合物の含有量を1.0重量部に調節したことを除き、前記実施例1と同様の方法でコーティング層およびコーティング層を含む半導体工程用基材を製造した。
【0135】
比較例6
製造例2で製造されたウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップを用い、ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップに含まれたウレタン(メタ)アクリレート系樹脂100重量部を基準として3官能ウレタン(メタ)アクリレート系化合物の含有量を9.0重量部に調節したことを除き、前記実施例1と同様の方法でコーティング層およびコーティング層を含む半導体工程用基材を製造した。
【0136】
比較例7
製造例2で製造されたウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップを用い、ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップに含まれたウレタン(メタ)アクリレート系樹脂100重量部を基準として多官能(メタ)アクリレート系化合物であるHDDAの含有量を0.5重量部に調節したことを除き、前記実施例1と同様の方法でコーティング層およびコーティング層を含む半導体工程用基材を製造した。
【0137】
比較例8
製造例2で製造されたウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップを用い、ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップに含まれたウレタン(メタ)アクリレート系樹脂100重量部を基準として多官能(メタ)アクリレート系化合物であるHDDAの含有量を8.0重量部に調節したことを除き、前記実施例1と同様の方法でコーティング層およびコーティング層を含む半導体工程用基材を製造した。
【0138】
実験例
粘度の測定
実施例1~実施例3および比較例1~比較例8の光硬化型組成物の粘度(25℃)を測定し、測定された粘度値を下記表2に示した。
【0139】
具体的には、実施例1の光硬化型組成物を気泡がない状態で脱泡した後、5mL注射器を用いて0.5mLサンプリングして、25℃および40番スピンドル(spindle)にて10rpmの回転速度でブルックフィールド粘度計(Brook field HB)により10分間粘度を測定し、粘度変化がない時点のcP値を測定した。
【0140】
以後、実施例2~実施例3および比較例1~比較例8の光硬化型組成物に対しても同様の方法で粘度を測定した。
【0141】
コーティング性評価
実施例1~実施例3および比較例1~比較例8の光硬化型組成物のコーティング性評価を下記のように進行させた。
【0142】
具体的には、半導体工程用基材の製造過程において、光硬化型組成物を塗布する方向をコーティング方向(MD)と定義し、コーティング方向(MD)に光硬化型組成物をコーティング時にポンプにかかる力が高い場合、ポンプ圧によって光硬化型組成物が均一に塗布されずに厚さ偏差が発生するもので、下記の基準に基づいて評価し、その結果を下記表2および表3に示した。
【0143】
<判断基準>
Ο(良好):ポンプにかかる力が1kgf以下
△(可能):ポンプにかかる力が1kgf超過3kgf以下
X(不可):ポンプにかかる力が3kgf超過
総厚さ偏差(TTV、Total Thickness Variation)の測定
【0144】
実施例1~実施例3および比較例1~比較例8で製造されたコーティング層の総厚さ偏差(TTV、Total Thickness Variation)を下記のように測定した。
【0145】
具体的には、半導体工程用基材の製造過程において、光硬化型組成物を塗布する方向をコーティング方向(MD)と定義し、コーティング方向(MD)に直交する方向を垂直方向(TD)と定義した。次に、前記コーティング方向(MD)および前記垂直方向(TD)それぞれに対して、コーティング層の最大厚さと最小厚さとの差を測定して総厚さ偏差を計算し、その結果を下記表2および表3に示した。
【0146】
応力緩和性評価
実施例1~実施例3および比較例1~比較例8で製造された半導体工程用基材の応力緩和性評価を下記のように進行させた。
応力緩和性は、バックグラインディング過程で発生する力によってウエハに衝撃が加えられて割れる現象または反り(warpage)を防止する程度を意味するものであって、実施例1~実施例3および比較例1~比較例8で製造された半導体工程用基材それぞれを15mm×100mm×0.05mm(幅×幅×厚さ)の大きさに試験片を製造した。以後、測定装置(Stable Micro Systems社、texture analyzer)を用いて評価し、40%引張させる時、初期に測定される力(A)と1分後測定される力(B)の変化率を下記式1により導出した。その結果を下記表2および表3に示した。
[式1]
応力緩和率(%)=(A-B)/A×100
引張強度の測定
実施例1~実施例3および比較例1~比較例8で製造された半導体工程用基材の引張強度を下記のように測定した。
【0147】
具体的には、実施例1で製造された半導体工程用基材をASTM D-882規格により加工して試験片を作製した。以後、Universal Testing Machine(Roell Z0.5、Zwick社)を用いて、Tensile方向に力を加えて試験片の破断点で初期長さ対比伸びた長さで引張強度を測定し、測定された値を下記表2に示した。
【0148】
以後、実施例2~実施例3および比較例1~比較例8の半導体工程用基材に対しても同様の方法で引張強度を測定し、その結果を下記表2および表3に示した。
【0149】
【表2】
【0150】
【表3】
【0151】
前記表1を参照すれば、実施例1~実施例3(製造例1~製造例3)で製造されたウレタン(メタ)アクリレート系樹脂は、炭素数1~3の側鎖が少なくとも1つ結合した炭素数1~10のアルキレンを含有するカーボネート繰り返し単位を含むことにより、比較的大きい重量平均分子量を有し、ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップは、20℃および25℃で低い粘度を有していることを確認した。
【0152】
これに対し、 側鎖を持たないアルキレンを含む炭酸塩繰り返し単位を含む比較例1~比較例4(製造例4~製造例7)で製造された(メタ)アクリレート系樹脂は、重量平均分子量は大きいものの、ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂シロップは、20℃および25℃で高い粘度を有していることを確認した。
【0153】
前記表2を参照すれば、本発明の実施例1~実施例3による光硬化型組成物は、25℃で3,000cP以下の粘度を有し、コーティング性(特に、スロットダイコーティング性)に優れていることを確認した。これに対し、比較例1~比較例4による光硬化型組成物は、25℃で2,500cPを超える粘度を有し、コーティング性が実施例1~実施例3に比べて劣ることを確認した。
【0154】
また、本発明の実施例1~実施例3によるコーティング層は、コーティング方向(MD)での総厚さ偏差(TTV)が2μm以下、垂直方向(TD)での総厚さ偏差(TTV)が3μm以下で、表面品質と厚さ均一性に非常に優れていることを確認した。また、本発明の実施例1~実施例3の半導体工程用基材は、応力緩和率が78%以上で応力緩和性能に優れ、適切な引張強度を実現していることを確認した。
【0155】
これに対し、表2および表3を参照すれば、比較例1~比較例4によるコーティング層は、コーティング方向(MD)での総厚さ偏差(TTV)が4μm以上または超過であり、垂直方向(TD)での総厚さ偏差(TTV)が6μm以上で、表面品質と厚さ均一性に劣ることを確認した。3官能ウレタン(メタ)アクリレート系化合物の含有量が少ない比較例5、多官能(メタ)アクリレート系化合物の含有量が少ない比較例7によるコーティング層の場合、コーティング方向(MD)での総厚さ偏差(TTV)が4μm以下の水準で良好であったが、硬化密度が低く形成されて、応力緩和率と引張強度が実施例1~実施例3より低くなることを確認した。
【0156】
また、3官能ウレタン(メタ)アクリレート系化合物の含有量が多い比較例6、多官能(メタ)アクリレート系化合物の含有量が多い比較例8によるコーティング層の場合、硬化密度が高く形成されて、コーティング方向(MD)での総厚さ偏差(TTV)が4μm超過となった。これにより、応力緩和率が70%未満で低くなり、引張強度がやや高くなることを確認した。
【0157】
したがって、本発明の一実施態様に係る光硬化型組成物は、コーティング性に優れ、表面品質および厚さ均一性に優れたコーティング層を実現可能で、ウエハのバックグラインディング工程、ダイシング工程などでウエハの加工品質および加工効率を改善させることができることが分かる。また、本発明の一実施態様に係る光硬化型組成物を用いて製造された半導体工程用基材は、優れた応力緩和率と引張強度を保持して、半導体工程への適用時にウエハの反り現象を効果的に防止できることが分かる。
【符号の説明】
【0158】
100:半導体工程用基材
10:基材フィルム
20:コーティング層
30:ハードコート層
図1a
図1b