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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】アクリル酸の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 51/377 20060101AFI20240415BHJP
   C07C 57/05 20060101ALI20240415BHJP
【FI】
C07C51/377
C07C57/05
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022566253
(86)(22)【出願日】2021-10-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-13
(86)【国際出願番号】 KR2021015176
(87)【国際公開番号】W WO2022114546
(87)【国際公開日】2022-06-02
【審査請求日】2022-10-28
(31)【優先権主張番号】10-2020-0159080
(32)【優先日】2020-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ウンキョ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ミ・キュン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・ホ・シン
(72)【発明者】
【氏名】ヒェビン・キム
【審査官】三須 大樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/043264(WO,A1)
【文献】特開昭56-065841(JP,A)
【文献】特表2003-514885(JP,A)
【文献】国際公開第2015/016217(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳酸原料を水で希釈して第1乳酸水溶液を準備する第1ステップ;
前記第1ステップの水溶液を熱交換し、気化した第2乳酸蒸気および気化していない第3乳酸水溶液を形成する第2ステップ;
前記気化していない第3乳酸水溶液を前記第1ステップの水溶液に含ませる第3ステップ;および
前記気化した第2乳酸蒸気に吸収液を供給および吸収し、吸収された第4乳酸水溶液および吸収されていない第5乳酸蒸気を形成する第4ステップ;
を含むアクリル酸の製造方法であって、
前記吸収液は、水または乳酸水溶液である、アクリル酸の製造方法。
【請求項2】
前記第2ステップは、熱交換器を介して熱交換する工程を含み、
前記熱交換器の内部圧力は0.3bar以上3bar以下であり、前記熱交換器の内部温度は150℃以上300℃以下である、請求項1に記載のアクリル酸の製造方法。
【請求項3】
第4ステップは、吸収装置を介して吸収する工程を含み、
前記吸収装置の内部圧力は0.3bar以上3bar以下であり、前記吸収装置の内部温度は100℃以上230℃以下である、請求項1または2に記載のアクリル酸の製造方法。
【請求項4】
前記第1乳酸水溶液は、水;および乳酸原料を含み、
前記乳酸原料は、乳酸;および乳酸オリゴマーを含み、
前記第1乳酸水溶液100重量部に対して、前記乳酸原料を30重量部以上99重量部以下で含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のアクリル酸の製造方法。
【請求項5】
前記第1乳酸水溶液中の乳酸:乳酸オリゴマーの割合が1:99~30:70である、請求項4に記載のアクリル酸の製造方法。
【請求項6】
前記第2乳酸蒸気中の乳酸:乳酸オリゴマーの割合が80:20~95:5である、請求項1から5のいずれか一項に記載のアクリル酸の製造方法。
【請求項7】
前記第5乳酸蒸気中の乳酸:乳酸オリゴマーの割合が100:0~90:10である、請求項1から6のいずれか一項に記載のアクリル酸の製造方法。
【請求項8】
前記第5乳酸蒸気は、水;および乳酸原料を含み、
前記乳酸原料は、乳酸;および乳酸オリゴマーを含み、
前記第5乳酸蒸気100重量部に対して、前記乳酸原料を10重量部以上80重量部以下で含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のアクリル酸の製造方法。
【請求項9】
前記気化した第2乳酸蒸気に吸収液を供給および吸収し、吸収された第4乳酸水溶液および吸収されていない第5乳酸蒸気を形成し、前記第4乳酸水溶液を前記第1ステップの水溶液に含ませるステップを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のアクリル酸の製造方法。
【請求項10】
前記熱交換器は、流下膜式蒸発器(falling film evaporator)、薄膜蒸発器(wiped film evaporator)、サーモサイホン(thermosyphon)、および強制循環蒸発器(forced circulation evaporator)からなる群より選択される1以上である、請求項2に記載のアクリル酸の製造方法。
【請求項11】
前記吸収装置は、ドラム(drum)、スプレードラム(spray drum)、パッキングカラム(packing column)、およびトレイカラム(tray column)からなる群より選択される1以上である、請求項3に記載のアクリル酸の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年11月24日付けで韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2020-0159080号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては本明細書に含まれる。
本出願は、アクリル酸の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、アクリル酸は、プロピレンの酸化脱水素反応により製造され、アクリル酸は、高吸水性樹脂、塗料、接着剤などの原料になるものであり、その需要が増加している。特に高吸水性樹脂は、オムツなどの衛生用品として用いられている。
【0003】
これまで化学品の多くは、石炭や石油などの化石原料から誘導される原料を用いて製造されてきた。しかし、近年、地球温暖化の防止および環境保護の観点から、炭素源としてリサイクル可能な生物由来の資源を従来の化石原料の代替として用いることが注目されている。例えば、トウモロコシや小麦などのデンプン系バイオマス、サトウキビなどの糖質系バイオマス、および菜種の絞りかすや稲わらなどのセルロース系バイオマスなどといったバイオマス資源を原料として用いる方法の開発が試みられている。
【0004】
すなわち、近年、伝統的な石油化学ベースの製造方法から脱して環境に優しい原料をベースにした化学品を製造することで、持続可能性を得るとともに環境保護の観点から優れた特徴を有する研究が進まれている傾向である。
【0005】
乳酸から他の化学品を製造する反応の形式の一つとして、乳酸を含む原料を蒸発させ、気体状態で触媒と接触させて生成物を得る気相反応が挙げられる。例えば、乳酸を用いてアクリル酸を製造する技術として固体触媒を用いる気相脱水方法が知られており、乳酸の脱水反応は主に気相反応として研究が進行中にある。
【0006】
乳酸は、水がない状況で触媒がなくても液相にてエステル化反応が起こって重合をする物質であり、乳酸が濃縮されて高濃度になるほど、乳酸オリゴマーとして反応する。乳酸がオリゴマー化するにつれて脱水になるため、水なしに乳酸が濃縮されるほど、乳酸のオリゴマー化反応が起こる。
【0007】
乳酸オリゴマーがアクリル酸の製造のための反応器に投入される場合、反応器内にファウリングの発生、反応収率が低くなるため、アクリル酸の製造のために乳酸オリゴマーの含量を減らせる方法が研究中にある。
【0008】
その中、乳酸オリゴマーの含量を低くするために乳酸水溶液状態で気化装置に供給されるが、気化装置において、沸点の低い水が先に気化してから乳酸が気化し、気化中に液相に乳酸が濃縮され、依然として乳酸オリゴマーが生成されるという問題が発生している。
【0009】
また、気化した乳酸水溶液にオリゴマーが含まれないように沸点差を用いて分離する蒸留塔を用いることができるが、この場合にも同様に、乳酸のオリゴマー化反応が起こることで、乳酸オリゴマーが濃縮され、蒸留塔下部の温度が高くなるという問題が発生している。
【0010】
したがって、このような問題を解決するために、乳酸オリゴマーの含量を低くし、生産されるアクリル酸の収率を高める研究が進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】国際公開第2005-095320号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本出願は、アクリル酸の製造方法を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本出願の一実施態様は、乳酸原料を水で希釈して第1乳酸水溶液を準備する第1ステップ;前記第1乳酸水溶液を熱交換し、気化した第2乳酸蒸気および気化していない第3乳酸水溶液を形成する第2ステップ;前記気化していない第3乳酸水溶液を前記第1ステップの水溶液に含ませる第3ステップ;および前記気化した第2乳酸蒸気に吸収液を供給および吸収し、吸収された第4乳酸水溶液および吸収されていない第5乳酸蒸気を形成する第4ステップを含むアクリル酸の製造方法であって、前記吸収液は、水または乳酸水溶液である、アクリル酸の製造方法を提供しようとする。
【発明の効果】
【0014】
本出願の一実施態様によるアクリル酸の製造方法の場合、熱交換器を介して気化した気相の乳酸水溶液に吸収液を供給する工程を追加し、気相の乳酸水溶液中に含まれた乳酸オリゴマーを吸収することで、反応器フィード(feed)として供給される前の乳酸水溶液中のオリゴマーの含量を低減することを特徴とする。
【0015】
特に、熱交換器を経て気化した乳酸蒸気(第2乳酸蒸気)に含まれたオリゴマーを吸収工程により吸収することで、乳酸蒸気中の乳酸オリゴマーの含量を低減して気化器および反応部のファウリング現象を低減することができ、高含量の乳酸単量体が含まれることで生成されるアクリル酸の収率が増加し、損失が生じる部分を最小化して経済性を増大できるという特徴を有することになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本出願の一実施態様によるアクリル酸の製造方法を示す概略図である。
図2】本出願の比較例1によるアクリル酸の製造方法を示す概略図である。
図3】本出願の比較例2によるアクリル酸の製造方法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本明細書についてより詳細に説明する。
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」とする際、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。
【0018】
本明細書において、「p~q」は、「p以上q以下」の範囲を意味する。
以下、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように、本発明の実施形態について添付図面を参照して詳しく説明する。ただし、本発明は、種々の異なる形態で実現されてもよく、ここで説明する実施形態に限定されるものではない。
【0019】
本出願の一実施態様は、乳酸原料を水で希釈して第1乳酸水溶液を準備する第1ステップ;前記第1乳酸水溶液を熱交換し、気化した第2乳酸蒸気および気化していない第3乳酸水溶液を形成する第2ステップ;前記気化していない第3乳酸水溶液を前記第1ステップの水溶液に含ませる第3ステップ;および前記気化した第2乳酸蒸気に吸収液を供給および吸収し、吸収された第4乳酸水溶液および吸収されていない第5乳酸蒸気を形成する第4ステップを含むアクリル酸の製造方法であって、前記吸収液は、水または乳酸水溶液である、アクリル酸の製造方法を提供しようとする。
【0020】
本出願の一実施態様によるアクリル酸の製造方法の場合、熱交換器を介して気化した気相の第2乳酸蒸気に吸収液を供給する工程を追加し、気相の第2乳酸蒸気中に含まれた乳酸オリゴマーを吸収することで、反応器フィードとして供給される前の第2乳酸蒸気中のオリゴマーの含量を低減して第5乳酸蒸気を供給することを特徴とする。
【0021】
特に、熱交換器を経て気化した乳酸蒸気(第2乳酸蒸気)に含まれたオリゴマーを吸収工程により吸収することで、乳酸蒸気中の乳酸オリゴマーの含量を低減して気化器および反応部のファウリング現象を低減することができ、高含量の乳酸単量体が含まれることで生成されるアクリル酸の収率が増加し、損失が生じる部分を最小化して経済性を増大できるという特徴を有することになる。
【0022】
本出願の一実施態様において、乳酸原料を水で希釈して第1乳酸水溶液を準備する第1ステップを提供する。
本出願の一実施態様において、前記乳酸原料は、水;乳酸;および乳酸オリゴマーを含んでもよい。
【0023】
本出願において、前記乳酸は、Lactic acidであって、カルボキシ基、ヒドロキシ基、メチル基、水素の4原子団が結合した不斉炭素原子を有する有機化合物であり、D-乳酸およびL-乳酸をいずれも含み、単独の乳酸単量体を意味し得る。
【0024】
本出願において、前記乳酸オリゴマーは、乳酸が互いに反応して二量体、三量体などを形成した物質を意味し、前記乳酸オリゴマーは、乳酸の二量体~100量体を意味し得る。
【0025】
乳酸は、水がない状況でも、触媒なしに液相にてエステル化反応により重合をする物質であり、乳酸の重合反応により形成された物質をひっくるめて乳酸オリゴマーと表現することができる。すなわち、単独の乳酸単量体を除き、乳酸の重合反応により形成された全ての物質を乳酸オリゴマーと定義することができる。
【0026】
本出願の一実施態様において、前記第1ステップは、乳酸原料状態で水により希釈するステップであり、乳酸オリゴマーの形成の平衡反応中に生産される水の含量を高めてオリゴマーを最小化するためのステップを意味し得る。
【0027】
本出願の一実施態様において、前記第1乳酸水溶液は、水;および乳酸原料を含み、前記乳酸原料は、乳酸;および乳酸オリゴマーを含み、前記第1乳酸水溶液100重量部に対して、前記乳酸原料を30重量部以上99重量部以下で含む、アクリル酸の製造方法を提供する。
【0028】
他の一実施態様において、前記第1乳酸水溶液100重量部に対して、前記乳酸原料を50重量部以上99重量部以下、好ましくは60重量部以上99重量部以下、より好ましくは70重量部以上99重量部以下で含んでもよい。
【0029】
本出願の一実施態様において、前記第1乳酸水溶液は、前記第1ステップにおける乳酸原料を希釈して準備した第1乳酸水溶液、後述する熱交換器にて気化していない第3乳酸水溶液の液相の循環流れ、および吸収工程で用いられた吸収液の液相の循環流れを全て含む乳酸水溶液を意味し得る。
【0030】
本出願の一実施態様において、前記第1乳酸水溶液中の乳酸:乳酸オリゴマーの割合が1:99~20:80である、アクリル酸の製造方法を提供する。
【0031】
他の一実施態様において、前記第1乳酸水溶液中の乳酸:乳酸オリゴマーの割合が1:99~20:80、3:97~20:80、5:95~20:80の割合を満たしてもよい。
【0032】
上記のように、第1乳酸水溶液は3種類の乳酸水溶液が混合された水溶液であり、液相の循環流れにより含まれる第3乳酸水溶液上の乳酸オリゴマーの割合が高いため、上記のように第1乳酸水溶液中の乳酸オリゴマーの割合が高く形成され得る。
【0033】
図1は、本出願の一実施態様によるアクリル酸の製造方法を示す概略図である。特に、前記第1ステップは、乳酸原料を水で希釈して生成された液相乳酸水溶液3、後述する第2ステップで生成される気化していない第3乳酸水溶液の液相の流れ9、および後述する第4ステップで生成される吸収された第4乳酸水溶液8を全て含む第1ステップの水溶液4を準備するステップであってもよい。
【0034】
すなわち、上記のように、各ステップにおける前記第3乳酸水溶液および第4乳酸水溶液を全て液相の流れに沿って再び第1ステップの工程に循環し、失われる乳酸の量を最小化できるという特徴を有することになる。
【0035】
上記のように、第1ステップは、後述する第2ステップである、熱交換するステップに投入される前に乳酸原料を水で希釈するステップに該当することができる。
【0036】
本出願の一実施態様において、前記第1乳酸水溶液を熱交換し、気化した第2乳酸蒸気および気化していない第3乳酸水溶液を形成する第2ステップを提供する。
この際、前記第2ステップは、熱交換器を介して熱交換する工程を含んでもよい。
【0037】
本出願の一実施態様において、前記熱交換器は、流下膜式蒸発器(falling film evaporator)、薄膜蒸発器(wiped film evaporator)、サーモサイホン(thermosyphon)、および強制循環蒸発器(forced circulation evaporator)からなる群より選択される1以上であってもよく、第1乳酸水溶液を気化できるものであれば、これらに限定されない。
【0038】
すなわち、本出願の一実施態様において、前記第2ステップは、第1ステップの水溶液を気化するステップであり、乳酸からアクリル酸を製造する反応は、主に気相の反応として行われており、これにより、液相の第1ステップの水溶液を気相に気化する工程に関するステップであってもよい。
【0039】
本出願の一実施態様によるアクリル酸の製造方法の場合は循環工程を含むものであり、最初の正常状態の工程においては、第1ステップの水溶液は、前記第1乳酸水溶液を含み、その後、循環工程を行う場合には、前記第1ステップの水溶液は、第1乳酸水溶液、後述する第3乳酸水溶液、および後述する第4乳酸水溶液のうち1以上を含んでもよい。
【0040】
本出願の一実施態様において、前記第1ステップの水溶液を気化することで、前記気化した第2乳酸蒸気および気化していない第3乳酸水溶液が形成され、気化した第2乳酸蒸気は、気化していない第3乳酸水溶液に比べて乳酸オリゴマーの含量が低く維持される。
【0041】
前記熱交換器を介して液相の第1ステップの水溶液を気化するステップにおいて、第1ステップの水溶液中に含まれた沸点の低い水が先に気化し、相対的に沸点の高い乳酸が後ほど気化し、気化中に水が気化することで、乳酸が濃縮され、乳酸オリゴマーが形成される。乳酸オリゴマーが気化した第2乳酸蒸気に共に含まれる場合、後ほど反応器に投入され、反応器内にファウリングの発生、生成されるアクリル酸の反応収率の低減という問題が発生し得るところ、後述する第4ステップにおいて、気化した第2乳酸蒸気中の乳酸オリゴマーの含量を低くすることが本発明の特徴である。
【0042】
すなわち、前記第2ステップを経て気化した第2乳酸蒸気状態でも乳酸オリゴマーの含量が高いため問題になり得、本出願においては、前記第2乳酸蒸気における乳酸オリゴマーの含量を低くするために、吸収装置を介して吸収する第4ステップを含むことを特徴とする。
【0043】
本出願の一実施態様において、前記気化していない第3乳酸水溶液は、熱交換器にて液相の循環流れにより再び第1ステップの水溶液に含まれ、これにより、乳酸原料の損失なしに、アクリル酸を製造できるという特徴を有することになる。
【0044】
本出願の一実施態様において、前記熱交換器の内部圧力は0.3bar以上3bar以下であり、前記熱交換器の内部温度は150℃以上300℃以下である、アクリル酸の製造方法を提供する。
【0045】
他の一実施態様において、前記熱交換器の内部圧力は0.3bar以上3.0bar以下、好ましくは0.5bar以上2.5bar以下、より好ましくは1.0bar以上1.5bar以下であってもよい。
【0046】
他の一実施態様において、前記熱交換器の内部温度は200℃以上、好ましくは210℃以上、より好ましくは215℃以上であってもよく、300℃以下であってもよい。
【0047】
前記熱交換器の圧力を前記範囲に調整することで、熱交換器の温度を上記の範囲に好適に維持することができ、また、その後の反応器との圧力差を減らすことができるため、その後の工程のための圧縮器の容量を好適に形成できるという特徴を有することになる。また、前記熱交換器の温度を前記範囲に調節することで、熱交換器の内部に含まれる第1ステップの水溶液を気化させることができ、乳酸原料の分解が起こらないため、アクリル酸の収率を向上させることができるという特徴を有することになる。
【0048】
本出願の一実施態様において、前記第2乳酸蒸気は、水;および乳酸原料を含み、前記乳酸原料は、乳酸;および乳酸オリゴマーを含み、前記第2乳酸蒸気100重量部に対して、前記乳酸原料を15重量部以上80重量部以下で含む、アクリル酸の製造方法を提供する。
【0049】
他の一実施態様において、前記第2乳酸蒸気100重量部に対して、前記乳酸原料は、15重量部以上80重量部以下、好ましくは17重量部以上75重量部以下、より好ましくは20重量部以上60重量部以下であってもよい。
【0050】
本出願の一実施態様において、前記第2乳酸蒸気中の乳酸:乳酸オリゴマーの割合が80:20~95:5である、アクリル酸の製造方法を提供する。この際、割合とは、重量比を意味し得る。
【0051】
他の一実施態様において、前記第2乳酸蒸気中の乳酸:乳酸オリゴマーの割合が80:20~95:5、81:19~93:7、82:18~90:10の範囲を満たしてもよい。
【0052】
前記第2乳酸蒸気は、その後のアクリル酸の製造方法の反応器に含まれるものであり、前記第2ステップを経て気化した第2乳酸蒸気状態での乳酸原料および乳酸原料に含まれる乳酸の割合が前記範囲を満たすことで、反応器に投入される水の量および投入物量が適した特徴を有することになる。その後、前記第2乳酸蒸気は、後述する吸収工程により乳酸オリゴマーの割合を最小化することができる。
【0053】
本出願の一実施態様において、前記気化していない第3乳酸水溶液は、液相の流れにより再び第1ステップの水溶液に含まれてもよく、前記第1乳酸水溶液は、前記気化していない第3乳酸水溶液を含んでもよい。
【0054】
前記第3乳酸水溶液の場合、濃縮された乳酸のオリゴマー化反応により乳酸オリゴマーを形成して気化せずに再循環されるものであり、前記第3乳酸水溶液100重量部に対して、乳酸オリゴマーは、90重量部以上99重量部以下で含まれてもよい。
【0055】
その後、前記第3乳酸水溶液が含まれる第1乳酸水溶液(すなわち、これを第1ステップの水溶液と定義することができる)に水を投入して希釈する工程が行われるため、平衡反応により熱交換器内に投入される乳酸水溶液中の乳酸オリゴマーの含量を最大限低くすることができる。
【0056】
図1は、本出願の一実施態様によるアクリル酸の製造方法を示す概略図である。特に、前記第2ステップは、前記第1ステップの水溶液4を熱交換し、気化した第2乳酸蒸気5および気化していない第3乳酸水溶液9を形成するステップであり、前記第3ステップは、前記気化していない第3乳酸水溶液9を前記第1ステップの水溶液に含ませる液相の循環流れを示すことを意味し得る。
【0057】
本出願の一実施態様において、前記気化した第2乳酸蒸気に吸収液を供給および吸収し、吸収された第4乳酸水溶液および吸収されていない第5乳酸蒸気を形成する第4ステップを含んでもよい。
【0058】
本出願の一実施態様において、前記吸収液を前記第2乳酸蒸気に供給し、乳酸オリゴマーの含量が高い吸収された第4乳酸水溶液を形成し、前記第4乳酸水溶液を再び第1ステップに循環する工程により、原料の損失がない経済的に優れた方法を提供することができる。また、前記第4ステップである吸収工程を経て吸収されていない第5乳酸蒸気を形成するものであり、第5乳酸蒸気中の乳酸オリゴマーの含量を最小化し、その後に行われるアクリル酸の生産方法において、第5乳酸蒸気を用いて反応収率を増加できるという特徴を有することになる。
【0059】
すなわち、前記第2ステップを経て気化した第2乳酸蒸気状態でも乳酸オリゴマーの含量が高いため問題になり得、本出願においては、前記第2乳酸蒸気における乳酸オリゴマーの含量を低くするために、吸収装置を介して吸収する第4ステップを含むことを特徴とする。
【0060】
本出願の一実施態様において、前記吸収された第4乳酸水溶液は、水;および乳酸原料を含んでもよく、前記第4乳酸水溶液は、吸収液とともに循環流れに沿って再び第1ステップの水溶液に含まれてもよい。
【0061】
本出願の一実施態様において、前記吸収装置は、ドラム(drum)、スプレードラム(spray drum)、パッキングカラム(packing column)、およびトレイカラム(tray column)からなる群より選択される1以上である、アクリル酸の製造方法を提供する。
【0062】
本出願の一実施態様において、前記吸収装置は、パッキングまたは多段の吸収塔であってもよい。
【0063】
前記吸収工程は、前記第2乳酸蒸気中の乳酸オリゴマーを吸収および分解して乳酸単量体の含量を高める工程であり、前記吸収工程において、吸収液が用いられてもよく、前記吸収液は、水または乳酸水溶液であってもよい。
【0064】
前記吸収工程により、本出願に係るアクリル酸の製造方法は、乳酸オリゴマーの含量を再度低くする工程を追加し、最終的なアクリル酸の製造方法のための反応器内のファウリングの発生を減らすことができ、反応収率を高めることができ、また、乳酸原料投入量と比べて気化する乳酸の含量を増加させて乳酸の損失を最小化し、経済性を極大化できるという特徴を有することになる。
【0065】
本出願の一実施態様において、前記吸収工程により第5乳酸蒸気が形成されてもよく、前記第5乳酸蒸気は、水;および乳酸原料を含み、前記乳酸原料は、乳酸;および乳酸オリゴマーを含み、前記第5乳酸蒸気100重量部に対して、前記乳酸原料を10重量部以上80重量部以下で含む、アクリル酸の製造方法を提供する。
【0066】
他の一実施態様において、前記第5乳酸蒸気100重量部に対して、前記乳酸原料は、15重量部以上80重量部以下、好ましくは17重量部以上80重量部以下、より好ましくは20重量部以上75重量部以下であってもよい。
【0067】
前記第5乳酸蒸気は、アクリル酸を生産する前の最終的な気化した状態の乳酸水溶液であり、前記第5乳酸蒸気中の乳酸原料の含量が前記範囲を満たすことで、乳酸原料自体の投入物量が好適であり、水の含量を適正範囲に調節することで、相次ぐアクリル酸の製造方法の経済性に優れるという特徴を有することになる。
本出願の一実施態様において、前記第5乳酸蒸気中の乳酸:乳酸オリゴマーの割合が100:0~90:10である、アクリル酸の製造方法を提供する。
他の一実施態様において、前記第5乳酸蒸気中の乳酸:乳酸オリゴマーの割合が100:0~90:10、好ましくは100:0~95:5、より好ましくは100:0~97:3の範囲を満たしてもよい。
【0068】
すなわち、本発明に係るアクリル酸の製造方法は、伝統的な石油化学ベースの製造方法から脱して環境に優しい原料である乳酸をベースにしたアクリル酸を製造することで、持続可能性を得るとともに環境保護の観点から優れた特徴を有することができる。前記第5乳酸蒸気は、最終反応器に投入される状態の乳酸蒸気であり、上記のような吸収工程により、本出願に係るアクリル酸の製造方法は、乳酸オリゴマーの含量を再度低くする工程を追加し、最終的なアクリル酸の製造方法のための反応器内のファウリングの発生を減らすことができ、反応収率を向上できるという特徴を有することになる。
【0069】
本出願の一実施態様において、前記吸収装置の内部圧力は0.3bar以上3bar以下であり、前記吸収装置の内部温度は100℃以上230℃以下である、アクリル酸の製造方法を提供する。
【0070】
他の一実施態様において、前記吸収装置の内部圧力は0.3bar以上3.0bar以下、好ましくは0.5bar以上2.5bar以下、より好ましくは1.0bar以上1.5bar以下であってもよい。
【0071】
前記吸収装置の圧力を前記範囲に調整することで、その後の反応器との圧力差を減らすことができるため、その後の工程のための圧縮器の容量を好適に形成できるという特徴を有することになる。
【0072】
他の実施態様において、前記吸収装置の内部温度は100℃以上230℃以下、好ましくは110℃以上220℃以下、より好ましくは120℃以上200℃以下であってもよい。
【0073】
本出願の一実施態様において、前記気化した第2乳酸蒸気に吸収液を供給および吸収し、吸収された第4乳酸水溶液および吸収されていない第5乳酸蒸気を形成し、前記第4乳酸水溶液を前記第1ステップの水溶液に含ませるステップを含む、アクリル酸の製造方法を提供する。
【0074】
すなわち、前述したように、第1ステップの第1乳酸水溶液は、上記の第4乳酸水溶液を含んでもよい。
【0075】
図1は、本出願の一実施態様によるアクリル酸の製造方法を示す概略図である。特に、前記第4ステップは、前記気化した第2乳酸蒸気5を吸収装置200に供給し、吸収液6により吸収する工程を含んでもよく、その結果、吸収された第4乳酸水溶液8は、循環流れにより第1ステップに循環し、第1ステップの水溶液4を形成し、最終的に乳酸オリゴマーの含量が最小化された、吸収されていない第5乳酸蒸気7が最終的なアクリル酸の生成工程に含まれることになる。
【0076】
本発明の製造方法は、特にアクリル酸の合成に有用であり、具体的に、本発明により得られた乳酸を含む蒸気組成物を脱水触媒と接触させてアクリル酸を製造することができる。生成された反応ガスは、冷却や捕集液との接触により捕集・液化し、抽出、蒸留、結晶化などの精製工程を経て高純度のアクリル酸を得ることができる。生成されたアクリル酸は、吸水性樹脂、塗料や粘着剤などの原料として広く用いられる。
【実施例
【0077】
以下、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように、本発明の実施例について詳しく説明する。ただし、本発明は、種々の異なる形態で実現されてもよく、ここで説明する実施例に限定されるものではない。
【0078】
<製造例>
下記の実施例および比較例は、アスペンテック社のアスペンプラスでシミュレーションされた。
【0079】
<比較例1>
図2から確認できるように、精製された乳酸原料を水で希釈して乳酸原料40%の液相乳酸水溶液3に作った後、熱交換器に投入し、熱交換器にて2%が気化し、気化していない液相は再循環(7)した。再循環液相の流量は、液相乳酸水溶液3と比べて50倍レベルであり、再循環液相の流れと熱交換器Inが出会って熱交換器に投入される。その後、熱交換器にて気化した気相乳酸の流れは、反応器フィードとして用いられる。
【0080】
用いられた熱交換器の圧力は1.5barであり、温度は217℃であり、熱交換器の熱量は0.5MMkcal/hrである。
前記比較例1の運転工程を図2から確認することができ、図2に示すように、液相乳酸水溶液3、第1ステップの水溶液4、第3乳酸水溶液9、および第5乳酸蒸気7の流量および各流れの組成は下記表1のとおりである。
【0081】
【表1】
【0082】
<比較例2>
図3から確認できるように、精製された乳酸原料1を水2で希釈して乳酸原料40%の液相乳酸水溶液3に作った後、熱交換器に投入し、熱交換器にて2%が気化し、気化していない液相は再循環(9)した。
再循環液相の流量は分解槽400に投入され、液相乳酸水溶液3に含まれた水により乳酸オリゴマーが分解される。熱交換器にて生成された乳酸オリゴマーを分解槽にて一部分解した後、再び熱交換器に投入される。気化した気相乳酸の流れは、反応器フィードとして用いられる。
【0083】
前記比較例2の運転工程を図3から確認することができ、図3に示すように、液相乳酸水溶液3、第1ステップの水溶液4、第3乳酸水溶液9、および第5乳酸蒸気7の流量および各流れの組成は下記表2のとおりである。
【0084】
【表2】
【0085】
<比較例3>
乳酸原料1を水2で希釈する際に一部の水2をスチームに代替し、残りの条件は比較例2と同様に行った。この場合、希釈槽300の温度が高くなって希釈槽の大きさが小さくなることができるという長所があるが、各流量および組成は前記比較例2の表2のとおりである。
【0086】
<実施例1>
精製された乳酸原料を水で希釈する際に、前記比較例1とは異なり、水を少なく投入して乳酸原料56%の液相乳酸水溶液に作り、熱交換器に投入した。残りの残った水は吸収液として用い、投入される水の総量は同一に維持し、反応器フィードの乳酸類の濃度を同一に40%となるようにした。
【0087】
熱交換器にて2%が気化し、気化していない液相は再循環して再び熱交換器に投入される。熱交換器にて気化した気相乳酸の流れには水、乳酸、および乳酸オリゴマーが含まれ、その後、吸収装置に投入される。吸収装置には吸収液が投入され、気相中のオリゴマーを吸収して分離し、水および乳酸は気相(第5乳酸蒸気)状態で出て反応器フィードとして用いられる。再循環液相の流量は、液相乳酸水溶液(図1の3番の流れ)と比べて50倍レベルである。
【0088】
用いられた熱交換器の圧力は1.5barであり、温度、238℃であり、熱交換器の熱量は0.5MMkcal/hrである。
【0089】
前記実施例1の運転工程を図1から確認することができ、図1に示すように、液相乳酸水溶液3、第1乳酸水溶液4、第2乳酸蒸気5、吸収液(水)6、第4乳酸水溶液8、第3乳酸水溶液9、および第5乳酸蒸気7の流量および各流れの組成は下記表3のとおりである。
【0090】
【表3】
【0091】
<実施例2>
前記実施例1において、吸収液として、水ではなく乳酸水溶液を用いたことを除いては、前記実施例1と同様に行った。
【0092】
用いられた熱交換器の圧力は1.5barであり、温度は231℃であり、熱交換器の熱量は0.5MMkcal/hrである。
前記実施例2の運転工程を実施例1と同様に図1のように行い、液相乳酸水溶液3、第1乳酸水溶液4、第2乳酸蒸気5、吸収液(乳酸水溶液)6、第4乳酸水溶液8、第3乳酸水溶液9、および第5乳酸蒸気7の流量および各流れの組成は下記表4のとおりである。
【0093】
【表4】
【0094】
前記比較例1、比較例2、実施例1、および実施例2により生成される、反応器フィードとして供給される前の最終的な乳酸蒸気の組成および含量(図1図3における各7番の流れ)を下記表5に示す。
【0095】
【表5】
【0096】
前記表5から分かるように、前記比較例1においては、乳酸原料(乳酸および乳酸オリゴマーの総含量)が約39wt%であるが、そのうち含まれる乳酸は乳酸原料中の85%しかならないことを確認することができ、その残りは乳酸オリゴマーであり、乳酸類中の乳酸オリゴマーの割合が14%レベルであって高含量で含まれることを確認することができた。
【0097】
前記表5の比較例2においては、比較例1に比べて、オリゴマーの含量が減少することを確認することができる。これは、分解槽を経てオリゴマーを分解する工程を追加したためであるが、前記表5から確認できるように、依然として乳酸類中の乳酸オリゴマーの割合が8.5%レベルであって、第5乳酸蒸気自体に相当量の乳酸オリゴマーが含まれることを確認することができた。
【0098】
前記比較例3の場合、乳酸原料1を水2で希釈する際に一部の水2をスチームに代替し、残りの条件は比較例2と同様に行ったものであり、この場合、希釈槽300の温度が高くなって希釈槽の大きさが小さくなることができるという長所があるが、各流量および組成は前記比較例2のとおりであり、同様に依然として乳酸類中の乳酸オリゴマーの割合が8.5%レベルであって、第5乳酸蒸気自体に相当量の乳酸オリゴマーが含まれることを確認することができた。
【0099】
前記表5の実施例1は、本願発明に係る吸収工程を経たものであり、吸収液として水を用い、乳酸原料(乳酸および乳酸オリゴマー)が比較例1と同様に40wt%含まれ、乳酸原料を基準として、乳酸98%、乳酸オリゴマーの割合が2%であって、反応器フィード中の乳酸オリゴマーの含量が低くなったことを確認することができた。
【0100】
また、前記表5の実施例2は、本願発明に係る吸収工程を経たものであり、吸収液として乳酸水溶液を用い、乳酸原料(乳酸および乳酸オリゴマー)が実施例1と同様に40wt%含まれ、乳酸原料を基準として、乳酸99%、乳酸オリゴマーの割合が1%であって、反応器フィード中の乳酸オリゴマーの含量が低くなったことを確認することができた。
【0101】
すなわち、本出願の一実施態様によるアクリル酸の製造方法の場合、熱交換器を介して気化した気相の乳酸水溶液に吸収液を供給する工程を追加し、気相の乳酸水溶液中に含まれた乳酸オリゴマーを吸収することで、反応器フィードとして供給される前の乳酸水溶液中のオリゴマーの含量を低減することを特徴とすることを確認することができた。
【0102】
特に、熱交換器を経て気化した乳酸蒸気(第2乳酸蒸気)に含まれたオリゴマーを吸収工程により吸収することで、乳酸蒸気中の乳酸オリゴマーの含量を低減して気化器および反応部のファウリング現象を低減することができ、高含量の乳酸単量体が含まれることで生成されるアクリル酸の収率が増加し、損失が生じる部分を最小化して経済性を増大できるという特徴を有することを確認することができた。
【0103】
さらに、熱交換器を経る前のステップにおいて吸収液を供給する場合にも、気化した乳酸蒸気に乳酸オリゴマーの含量減少が現れることができるが、このような工程においては、別の分解装置が必要であり、また、分解時に必要な滞留時間が必要であり、分解装置の大きさが大きくなるという短所を有することになる。
【0104】
また、熱交換器を経る前のステップにおいて吸収液としてスチームを供給する場合と比べると、エネルギー使用量が減るという効果があるが、本願発明は、フィード中のオリゴマーの含量減少がスチームを供給する場合に比べて非常に優れるという特徴を有することになる。
【符号の説明】
【0105】
100 ・・・熱交換器
200 ・・・吸収装置
300 ・・・希釈槽
400 ・・・分解槽
1 ・・・乳酸原料
2 ・・・水
3 ・・・液相乳酸水溶液
4 ・・・第1乳酸水溶液
5 ・・・第2乳酸蒸気
6 ・・・吸収液
7 ・・・第5乳酸蒸気
8 ・・・第4乳酸水溶液
9 ・・・第3乳酸水溶液(液相の循環流れ)
図1
図2
図3