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特許7472647シート処理装置、ラミネート処理装置、画像形成装置及び画像形成システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】シート処理装置、ラミネート処理装置、画像形成装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 37/04 20060101AFI20240416BHJP
   B65H 5/06 20060101ALI20240416BHJP
   B65H 7/02 20060101ALI20240416BHJP
   B65H 41/00 20060101ALI20240416BHJP
   B29C 63/02 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
B65H37/04 A
B65H5/06 M
B65H7/02
B65H41/00 B
B29C63/02
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020086162
(22)【出願日】2020-05-15
(65)【公開番号】P2021178729
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋航
(72)【発明者】
【氏名】古橋朋裕
(72)【発明者】
【氏名】浅野翔
(72)【発明者】
【氏名】鈴木義人
(72)【発明者】
【氏名】門馬真也
(72)【発明者】
【氏名】秋山城治
(72)【発明者】
【氏名】原口陽介
(72)【発明者】
【氏名】野▲崎▼航
【審査官】正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-068115(JP,A)
【文献】特開平06-122153(JP,A)
【文献】特開平09-150456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 37/04
B65H 5/06
B65H 7/02
B65H 41/00
B29C 63/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚のシートが重ねられ、その一部が接合された2枚重ねシートにシート状媒体を挟み込むシート処理装置において、
前記シート状媒体を搬送する第1搬送手段と、
前記2枚重ねシートを搬送する第2搬送手段と、を備え、
前記2枚重ねシートに前記シート状媒体を搬送方向に沿って複数枚挿入する複数挿入モードを有し、
前記2枚重ねシートは、接合された端部を下流側として搬送され、
前記第2搬送手段は、前記2枚重ねシートの接合された端部が、前記第2搬送手段のニップ部よりも下流の任意の位置に達した時点で停止して、前記2枚重ねシートを保持し、
前記第1搬送手段が、少なくとも1枚の前記シート状媒体を前記第2搬送手段の前記ニップ部に突き当てることで、前記2枚重ねシートに対する前記シート状媒体の相対位置を調整することを特徴とするシート処理装置。
【請求項2】
搬送方向における、前記2枚重ねシートの先端部から前記シート状媒体の先端部までの距離を任意に調整可能であることを特徴とする請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項3】
前記2枚重ねシートに少なくとも2枚の前記シート状媒体を挿入する際、それぞれの前記シート状媒体の相対位置を任意に調整可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載のシート処理装置。
【請求項4】
搬送方向における、前記2枚重ねシートの後端部から前記シート状媒体の後端部が突出しない範囲において、前記シート状媒体の相対位置を任意に調整可能であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシート処理装置。
【請求項5】
搬送方向における、前記2枚重ねシートの先端部の位置を検出する検出手段を有し、
前記検出手段の検出結果に基づいて、前記2枚重ねシートに対する前記シート状媒体の相対位置を調整することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のシート処理装置。
【請求項6】
前記シート状媒体を搬送する前記第1搬送手段の線速は、前記2枚重ねシートを搬送する前記第2搬送手段の線速よりも大きく、
前記シート状媒体を、前記第1搬送手段及び前記第2搬送手段の線速差でもって前記第2搬送手段のニップ部に突き当てることで、前記2枚重ねシートに対する前記シート状媒体の相対位置を調整することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のシート処理装置。
【請求項7】
前記第2搬送手段は、少なくとも1枚の前記シート状媒体を前記第2搬送手段のニップ部に把持する際、前記シート状媒体が前記2枚重ねシートに対し、所望の相対位置となるように前記2枚重ねシートの搬送開始のタイミングを制御することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のシート処理装置。
【請求項8】
前記シート状媒体の搬送方向長さが閾値以下である場合、前記複数挿入モードに自動で切り替わることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のシート処理装置。
【請求項9】
回転部材と、
前記2枚重ねシートを前記回転部材に搬送する搬送手段と、
を備え、
前記2枚のシートを前記回転部材に巻き付けることで、前記2枚重ねシートのそれぞれのシート間に巻き付け周長差を生じさせ、前記2枚のシートを剥離することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載のシート処理装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載のシート処理装置と、
前記2枚重ねシートを加熱及び加圧可能な熱加圧部材と、
を備えることを特徴とするラミネート処理装置。
【請求項11】
画像形成を行う画像形成部と、
請求項1乃至9のいずれか一項に記載のシート処理装置、又は、請求項10に記載のラミネート処理装置と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
画像形成装置と、
請求項1乃至9のいずれか一項に記載のシート処理装置、又は、請求項10に記載のラミネート処理装置と、
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項13】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載のシート処理装置、又は、請求項10に記載のラミネート処理装置が、画像形成装置に対して着脱可能に構成されていることを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート処理装置、ラミネート処理装置、画像形成装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
2枚のシートが重ねられ、一辺が接合(接続)された2枚重ねシート(ラミネートシート又はラミネートフィルム)内に、中紙類(用紙、写真など)を挿入し、熱と圧力を加えて2枚重ねシートを接着するラミネート処理という技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1は、前端が接続されているラミネートフィルムを分離解放手段(上部、下部バキューム)で分離し、その後、保護紙葉体を挿入するラミネート装置を開示している。
【0004】
また、特許文献2は、ラミネートシートの厚みに応じて定着ユニット部の動作制御をすることにより、所望のラミネート加工ができる画像形成装置を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ラミネートシートと中紙のサイズによっては、そのラミネートシート内に中紙を1枚から複数枚挿入することもできる。しかし、上記従来技術は、中紙を複数枚挿入する構成を開示していない。
【0006】
また、ラミネートシートに対し、挿入される中紙の挿入位置を調整することができないため、用途に制約があり、ユーザの要望に応えられていないという問題があった。
【0007】
そこで本発明は、2枚重ねシート(ラミネートシート)に少なくとも1枚のシート状媒体(中紙)を挿入可能であり、2枚重ねシートに対するシート状媒体の相対位置を調整できるシート処理装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、2枚のシートが重ねられ、その一部が接合された2枚重ねシートにシート状媒体を挟み込むシート処理装置において、前記シート状媒体を搬送する第1搬送手段と、前記2枚重ねシートを搬送する第2搬送手段と、を備え、前記2枚重ねシートに前記シート状媒体を搬送方向に沿って複数枚挿入する複数挿入モードを有し、前記2枚重ねシートは、接合された端部を下流側として搬送され、前記第2搬送手段は、前記2枚重ねシートの接合された端部が、前記第2搬送手段のニップ部よりも下流の任意の位置に達した時点で停止して、前記2枚重ねシートを保持し、前記第1搬送手段が、少なくとも1枚の前記シート状媒体を前記第2搬送手段の前記ニップ部に突き当てることで、前記2枚重ねシートに対する前記シート状媒体の相対位置を調整することを特徴とするシート処理装置によって解決される。
【発明の効果】
【0009】
本発明のシート処理装置は、2枚重ねシート内に1枚から複数枚の中紙を自動で挿入でき、また、2枚重ねシートに対するシート状媒体の相対位置を、それぞれ任意に調整可能できる。したがって、ユーザの要望に柔軟に応えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るシート処理装置の全体構成図である。
図2図1に示したシート処理装置の主要部分を示す構成図(その1)である。
図3】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その2)である。
図4】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その3)である。
図5】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その4)である。
図6】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その5)である。
図7】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その6)である。
図8】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その7)である。
図9】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その8)である。
図10】剥離した2枚のシートの案内経路についての変形例である。
図11】シート処理装置の単数挿入モードを示す構成図(その1)である。
図12】シート処理装置の単数挿入モードを示す構成図(その2)である。
図13】シート処理装置の単数挿入モードを示す構成図(その3)である。
図14】シート処理装置の複数挿入モードを示す構成図(その1)である。
図15】シート処理装置の複数挿入モードを示す構成図(その2)である。
図16】シート処理装置の複数挿入モードを示す構成図(その3)である。
図17】シート処理装置の複数挿入モードを示す構成図(その4)である。
図18】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その9)である。
図19】シート処理装置が備える剥離爪の模式図である。
図20】剥離爪の駆動構成の例を示す模式図である。
図21】剥離爪をシートSに挿入した状態を示す斜視図である。
図22図8における、剥離爪とシートSの状態を示す斜視図である。
図23図8における、剥離爪とシートSの状態を示す斜視図(その2)である。
図24】シートSに対する中紙Pの相対位置の調整を示す構成図(その1)である。
図25】シートSに対する中紙Pの相対位置の調整を示す構成図(その2)である。
図26】シートSに対する中紙Pの相対位置の調整を示す構成図(その3)である。
図27】シートSに対する中紙Pの相対位置の調整を示す構成図(その4)である。
図28】シートSに対する中紙Pの相対位置の調整を示す構成図(その5)である。
図29】シートSに対する中紙Pの相対位置の調整を示す構成図(その6)である。
図30】シートSに対する中紙Pの相対位置の調整を示す構成図(その7)である。
図31】シートSに対する中紙Pの相対位置の調整を示す構成図(その8)である。
図32】操作パネルに表示される、サイズ及び挟み込み枚数を設定する操作画面の一例である。
図33】操作パネルに表示される、中紙の相対位置を設定する操作画面の一例である。
図34】本発明に係るシート処理装置を備えるラミネート処理装置の一例を示す全体構成図である。
図35】本発明に係るラミネート処理装置を備える画像形成装置の一例を示す全体構成図である。
図36】本発明に係るラミネート処理装置を備える画像形成装置の変形例を示す全体構成図である。
図37】シート給紙から中紙を挟みこみ、ラミネート処理完了までの一連の動作を説明するフローチャートである。
図38】シート給紙から中紙を挟みこみ、ラミネート処理完了までの一連の動作を説明するフローチャート(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係るシート処理装置の全体構成図である。本実施形態のシート処理装置100は、2枚重ねシート(以下、シートSという)を互いに剥離し、その剥離したシートS内にシート状媒体(以下、中紙Pという)を挿入して挟持させるものである。
【0012】
ここで、シートSとは、2枚のシートが重ねられ、その一部(又は一辺)が接合された2枚重ねシートである。2枚重ねシートとしては、例えば、片側を透明ポリエステルシートなどの透過性シートとし、反対側を透明又は不透明シートとして、それらの一辺で接合したものがある。また、2枚重ねシートには、ラミネートフィルムも含まれる。
【0013】
中紙Pは、それら2枚重ねシートに挿入されるシート状媒体の一例である。シート状媒体には、普通紙以外に、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙など)、トレーシングペーパ、OHPシートなどが含まれる。
【0014】
図1に示すように、シート処理装置100は、シートSを積載する第1積載手段であるシートトレイ102と、シートトレイ102からシートSを給送するピックアップローラ105と、搬送ローラ対107とを備える。またシート処理装置100は、中紙Pを積載する第2積載手段である給紙トレイ103と、給紙トレイ103から中紙Pを給送するピックアップローラ106とを備える。
【0015】
シートトレイ102には、シートSのサイズ(搬送方向長さ)を検出するシートサイズ検出手段であるサイズセンサC6が設けられ、給紙トレイ103には、中紙Pのサイズ(搬送方向長さ)を検出する媒体サイズ検出手段であるサイズセンサC7が設けられている。
【0016】
これらサイズセンサC6及びサイズセンサC7はそれぞれ、搬送方向に並んで配置された複数のセンサを備える。積載されるシートS(又は中紙P)のサイズによってセンサの検出結果が変わるため、シートS(又は中紙P)の搬送方向長さを検出できる。
【0017】
搬送ローラ対107の搬送方向下流には、シートSの搬送位置を検出する搬送センサC1が設けられ、ピックアップローラ106の搬送方向下流には、中紙Pの搬送位置を検出する搬送センサC2が設けられている。
【0018】
なお、これら搬送センサC1、C2を用いて、シートS(又は中紙P)の搬送方向長さを検出してもよい。
【0019】
またシート処理装置100は、搬送ローラ対107及びピックアップローラ106の下流に、第1搬送手段である入口ローラ対108と、回転部材としての巻付けローラ109と、第2搬送手段である出口ローラ対113と、排紙トレイ104などを備える。巻付けローラ109と出口ローラ対113の間に、シートSの幅方向に移動可能に設けられた剥離爪116を備える。
【0020】
入口ローラ対108の搬送方向下流には、シートS及び中紙Pの搬送位置を検出する搬送センサC3が設けられ、巻付けローラ109の搬送方向下流には、シートSの状態を検出する異常状態検出センサC4が設けられている。そして、出口ローラ対113の搬送方向下流には、シートSの搬送位置を検出する搬送センサC5が設けられている。
【0021】
なお、ピックアップローラ105、搬送ローラ対107、入口ローラ対108、及び巻付けローラ109は、第1給送手段の一例であり、ピックアップローラ106、入口ローラ対108、及び巻付けローラ109は第2給送手段の一例である。
【0022】
シート処理装置100の外装部には、シート処理装置100における情報表示や、操作入力の受付を行う表示操作手段である操作パネル10が設置されている。また、この操作パネル10は、ユーザに知覚信号を発する報知手段としての役割を兼ねる。なお、代替として、操作パネル10以外の報知手段を、シート処理装置100に別途設ける構成としてもよい。
【0023】
本実施形態のシート処理装置100は、シートSと中紙Pを別々のトレイに積載し、シートSを搬送しながら、2枚のシートに剥離・開口し、その開口内に中紙Pを挿入する。そして、中紙Pが挿入されたシートSを、排紙トレイ104に排出・積載する。
【0024】
図2は、図1に示したシート処理装置の主要部分を示す構成図(その1)である。図2に示すように、入口ローラ対108及び出口ローラ対113は、それぞれ、例えば対となった2つのローラであり、駆動手段(モータなど)により回転駆動される。入口ローラ対108は一方向に回転駆動され、出口ローラ対113は正逆方向に回転駆動されることで、シートS及び中紙Pを挟持して搬送する。
【0025】
入口ローラ対108は、シートS及び中紙Pを出口ローラ対113に向けて搬送する。この搬送方向を正搬送方向(矢印A方向)と呼ぶ。
【0026】
一方、出口ローラ対113は、その回転を正逆の両方向に切り替え可能である。挟持したシートSを正搬送方向である排紙トレイ104(図1参照)に向けて搬送できるとともに、その逆方向(引き戻す方向)となる巻付けローラ109に向けてシートSを搬送することもできる。この巻付けローラ109に向けて搬送する方向(正搬送方向に対し、逆方向)を、逆搬送方向(矢印B方向)と呼ぶ。
【0027】
また、シート処理装置100は、これら入口ローラ対108と出口ローラ対113との間に、回転部材である巻付けローラ109と、剥離爪116とを備える。巻付けローラ109は、駆動手段(モータなど)により正逆方向に回転駆動され、その回転を両方向(時計回り/反時計回り)に切り替え可能である。
【0028】
巻付けローラ109は、ローラ部材111と、ローラ部材111に設けられ、シートSを把持する可動の把持手段110とを有する。可動の把持手段110は、ローラ部材111とともにシートSの先端を把持することを特徴とする。この把持手段110は、ローラ部材111の外周に一体に成形してもよいし、別部品として構成してもよい。
【0029】
続いて、図1図18を用いて、シート処理装置100の一連の動作、すなわちシートSの剥離から中紙Pの挿入までの動作を説明する。なお、図3図18において、図1、2と同一物には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0030】
図1において、シートトレイ102上のシートSは、2枚のシートの接合された一部が、ピックアップローラ105の給送方向(搬送方向)の下流側に位置するように積載される。そして、シート処理装置100は、シートトレイ102上のシートSをピックアップローラ105にてピックし、搬送ローラ対107により入口ローラ対108に向けて搬送する。
【0031】
次いで、図2に示すように、入口ローラ対108により、シートSを巻付けローラ109に向けて搬送する。ここでシート処理装置100は、シートSの4辺中の一辺である端部が接合された側を正搬送方向(矢印A方向)の下流側として搬送する。
【0032】
続いて図3に示すように、シート処理装置100は、正搬送方向におけるシートSの後端部が巻付けローラ109を通過した時点で、その搬送を一時停止する。なお、これら動作は、搬送センサC3によるシートSの先端検出をトリガとし、搬送センサC3から指定量搬送することで実施される。
【0033】
次に、図4に示すように、シート処理装置100は、把持手段110を開口するとともに、出口ローラ対113の回転方向を反転し、把持手段110の開口部に向けて、シートSを逆搬送方向(矢印B方向)に搬送する。
【0034】
続いて、図5に示すように、シート処理装置100は、シートSの端部を開口した把持手段110に挿入した時点で搬送を停止し、把持手段110を閉じてシートSの端部を把持する。なお、これら動作は、シートSを指定量搬送することで実施される。
【0035】
次いで、図6に示すように、シート処理装置100は巻付けローラ109を反時計回りに回転し、シートSを巻付けローラ109に巻き付ける。ここでシートSは、2枚のシートの接合されていない側から巻付けローラ109に巻き付けられる。
【0036】
図7に示すように、シートSを巻付けローラ109に巻き付けると、2枚重ねシートの巻き付け周長差(巻き付け量の差)によって内周側のシートが余り、シートSの接合した端に向けて弛みが生じる。その結果、2枚のシート間に空間が生じる。この生じた空間に剥離爪116をシートSの両側から挿入することで、2枚のシート間の空間を確実に維持することができる。なお、これら動作は、搬送センサC5によるシートSの先端検出をトリガとし、搬送センサC5から指定量搬送することで実施される。
【0037】
ここで、剥離爪116について補足説明する。
【0038】
図19はシート処理装置が備える剥離爪の模式図であり、図20は剥離爪の駆動構成の例を示す模式図である。また、図21は剥離爪をシートSに挿入した状態を示す斜視図である。
【0039】
図19に示すように、剥離爪116は、搬送方向上流側から見て、高さ方向の寸法が幅方向中央から後端に向けて徐々に大きくなっている。また、高さ方向から見て、搬送方向の寸法は、先端から中央に向けて徐々に大きくなっている。そして、幅方向から見て、剥離爪116は、十時型の形状となっている。
【0040】
また、図20に示すように、本実施形態では、2つの剥離爪116を互いに対向させて配置し、それぞれを(a)ベルト駆動、又は(b)ラック&ピニオンなどにより接近/離間する構成としている。
【0041】
本実施形態の剥離爪116は、上記形状を有し、シートSの幅方向に移動可能な構成であるため、図21に示すようにシートSに生じた空間にスムーズに挿入できる。
【0042】
シート処理装置100の一連の動作説明に戻る。シート処理装置100は、シートSに生じた空間に剥離爪116を挿入した状態で(図7参照)、巻付けローラ109を時計回りに回転し、図8に示すように、シートSの剥離した空間をシートSの正搬送方向(矢印A方向)における後端部まで移動させる。そして、指定量移動した時点で把持手段110を開放し、シートSの後端を上下に分離した状態とする。
【0043】
この状態で、シート処理装置100はシートSの搬送を一時停止し、今度は剥離爪116をシート幅方向へ更に移動することで、シートSの後端の全域を剥離する。なお、これら動作は、搬送センサC5によるシートSの先端検出をトリガとし、搬送センサC5から指定量搬送することで実施される。
【0044】
図22は、図8における、剥離爪116とシートSの状態を示す斜視図である。剥離爪116は、剥離したシートSをそれぞれ異なる方向へと案内する分岐爪の形状(機能)も有するため(図19参照)、シートSの2枚のシートは、それぞれ別の経路に搬送可能な姿勢となる。
【0045】
また、剥離爪116は幅方向に移動可能な構成(図20参照)であるため、図23に示すように、シートSの姿勢を支えるのに適した位置に配置できる。したがって、シートSのサイズや腰の強さが変わっても、シートSを所望の分岐方向へ案内できる。これは、搬送路幅全域に亘るシート分岐用部材、及び分岐爪の駆動装置が不要になるため、従来と比較して低コストにできる。
【0046】
続いて図9に示すように、シート処理装置100は、シートSの後端の全域を剥離した状態から、今度は出口ローラ対113を反時計回りに回転し、シートSを逆搬送方向(矢印B方向)に搬送する。すなわち、シートSの剥離された2枚のシートは、剥離爪116によりそれぞれ上下方向に案内され、2枚のシート全体が互いに剥離される。
【0047】
そして、シート処理装置100はシートSの搬送を一時停止し、シートSの接合部を出口ローラ対113にて把持(ニップ)した状態とする。したがって、シートSは接合された一辺を端として、大きく開口することになる。
【0048】
なお、これら動作は、搬送センサC5によるシートSの先端検出をトリガとし、搬送センサC5から指定量搬送することで実施される。
【0049】
(変形例)
図10は、剥離した2枚のシートの案内経路についての変形例である。先の図9では、(a)シートSの接合部から上下シートとも同方向に案内する経路を示した。これ以外にも、(b)逆S字を描いて案内する経路や、(c)S字を描いて案内する経路など、上下シートをそれぞれ反対方向に案内してもよい。
【0050】
本実施形態のシート処理装置100は、シートSのサイズ(搬送方向長さ)と、中紙Pのサイズ(搬送方向長さ)によって、シートS内に中紙Pを1枚から複数枚挿入できる。まず、シートSに中紙Pを1枚挿入する単数挿入モードを説明し、その次に、シートSに中紙Pを搬送方向に沿って複数枚挿入する複数挿入モードを説明する。
【0051】
(単数挿入モード)
図11に示すように、シート処理装置100は、入口ローラ対108を回転し、給紙トレイ103(図1参照)から搬送された中紙Pを出口ローラ対113に向けて正搬送方向(矢印A方向)に搬送する。
【0052】
続いて、図12に示すように、シート処理装置100は、出口ローラ対113を回転してシートSと中紙Pを合流させ、開口したシートS内に中紙Pを挿入する。
【0053】
次いで、図13に示すように、シート処理装置100は、出口ローラ対113により、中紙Pが挿入されたシートSを正搬送方向(矢印A方向)に搬送することで、シートSの2枚のシートを再度重ね、開口を閉じる。そして、中紙Pが挟み込まれたシートSを、出口ローラ対113、又はそれ以降に配置されたローラなど(不図示)により、排紙トレイ104に排出・積載する(図1参照)。
【0054】
続いて、複数挿入モードを説明する。複数挿入モードとは、シート搬送方向において、複数枚の中紙P(以下の実施形態では2枚)を挿入可能なモードである。
【0055】
(複数挿入モード)
図14に示すように、シート処理装置100は、入口ローラ対108を回転し、給紙トレイ103(図1参照)から搬送された1枚目の中紙(以下、第1中紙P1と呼ぶ)を出口ローラ対113に向けて正搬送方向(矢印A方向)に搬送する。
【0056】
次いで、図15に示すように、シート処理装置100は、出口ローラ対113を回転してシートSと第1中紙P1を合流させ、開口したシートS内に第1中紙P1を挿入する。このとき、給紙トレイ103(図1参照)から搬送された2枚目の中紙(以下、第2中紙P2と呼ぶ)を出口ローラ対113に向けて正搬送方向(矢印A方向)に搬送する。
【0057】
次いで、図16に示すように、シート処理装置100は、入口ローラ対108を回転してシートSと第2中紙P2を合流させ、開口したシートS内に第2中紙P2を更に挿入する。
【0058】
そして、図17に示すように、シート処理装置100は、出口ローラ対113により、第1中紙P1及び第2中紙P2が挿入されたシートSを正搬送方向(矢印A方向)に搬送することで、シートSの2枚のシートを再度重ね、開口を閉じる。
【0059】
なお、中紙が3枚以上であっても、ほぼ同様の動作で挟み込むことができる。
【0060】
代替例として、シート処理装置がシートSを加熱及び加圧可能な熱加圧装置を備える場合、図18に示すように、分岐爪118にて経路を切り替えて、熱加圧装置へ搬送してもよい。これは複数挿入モードだけでなく、単数挿入モードも同様である。
【0061】
このように、本実施形態のシート処理装置100は、シートSへの中紙Pの挿入処理を制御することができる。
【0062】
続いて、本発明の特徴的構成について説明する。
【0063】
本実施形態のシート処理装置100は、シートSに対する中紙Pの相対位置を調整できることを特徴とする。
【0064】
具体的には、シートSに1枚目の中紙を挿入する際、
(1)シートSの接合部への突き当て(図24)、
(2)シートSの突出量の調整(図25)、
(3)線速差の調整(図26)、
(4)合流タイミングの制御(図27
の4種類の位置合わせを実施することを特徴とする。
以下、順に説明する。
【0065】
(シートSの接合部への突き当て)
図24に示すように、シート処理装置100は、シートSに中紙P1を合流させる際、出口ローラ対113にてシートSの接合部を把持(ニップ)し、中紙P1の搬送方向に対して開口させる。そして、このシートSの接合部に中紙P1を突き当てることで、中紙P1の位置合わせを実施する。
【0066】
(シートSの突出量の調整)
図25に示すように、シート処理装置100は、搬送方向におけるシートSの先端部の、出口ローラ対113のニップ部からの突出量Lを調整する。そして、その状態で、中紙P1を出口ローラ対113のニップ部に突き当てることで、シートSと中紙P1の位置合わせを実施する。なお、この突出量Lは、搬送センサC5により検出される。
【0067】
このように、搬送方向におけるシートSの先端部から中紙P1の先端部までの距離を任意に調整することで、シートSと中紙P1の相対位置を調整できる。また、中紙P1を出口ローラ対113のニップ部に突き当てることで、中紙P1の傾き補正を行うことができる。
【0068】
(線速差の調整)
図26(a)に示すように、シート処理装置100は、シートSの剥離完了後、剥離したシートSを保持して搬送する出口ローラ対113の線速V1を、中紙P1を搬送する入口ローラ対108の線速V2よりも小さくする(V1<V2)。そして、図26(b)に示すように、シートSの接合部との位置合わせを考慮したタイミングで、中紙P1を出口ローラ対113のニップ部に突き当てることで、シートSと中紙P1の位置合わせを実施する。
【0069】
したがって、シートSと中紙P1の相対位置を調整でき、かつ、出口ローラ対113と入口ローラ対108の両方が停止しないため、生産性を向上できる。
【0070】
(合流タイミングの制御)
図27に示すように、シート処理装置100は、シートSの剥離完了後、剥離したシートSを保持する出口ローラ対113の搬送開始のタイミングを制御し、中紙P1がシートSに対し、所望の相対位置で合流できるようにする。
【0071】
すなわち、図27(a)に示すように、中紙P1が出口ローラ対113のニップ部に到達する前に、出口ローラ対113はシートSの搬送を開始する。そして、図27(b)に示すように、中紙P1がシートSに対し、所望の相対位置となった時点で、シートSに中紙P1を合流させる。
【0072】
これにより、中紙PをシートSや出口ローラ対113のニップ部に突き当てることなく、シートSと中紙Pの相対位置を調整できる。
【0073】
続く2枚目以降の中紙を挿入する際には、
(1)出口ローラ対のニップ部への突き当て(図28)、
(2)線速差の調整(図29)、
(3)合流タイミングの制御(図30
の3種類の位置合わせを実施することができる。
【0074】
(出口ローラ対のニップ部への突き当て)
図28に示すように、シート処理装置100は、搬送方向におけるシートSの出口ローラ対113のニップ部からの突出量L2(第1中紙P1の後端と第2中紙P2の先端との距離)を調整する。そして、中紙P2を出口ローラ対113のニップ部に突き当てることで、シートSと中紙P2の位置合わせを実施する。なお、この突出量L2は、搬送センサC5により検出される。
【0075】
(線速差の調整)
図29(a)に示すように、シート処理装置100は、シートSの剥離完了後、剥離したシートSを保持して搬送する出口ローラ対113の線速V1を、第2中紙P2を搬送する入口ローラ対108の線速V2よりも小さくする(V1<V2)。そして、図29(b)に示すように、中紙P1の後端部との位置合わせを考慮したタイミングで、後続の第2中紙P2をシートSに突き当て、シートSと中紙Pの位置合わせを実施する。
【0076】
(合流タイミングの制御)
図30(a)に示すように、第2中紙P2が出口ローラ対113のニップ部に到達する前に、出口ローラ対113は中紙P1を挟持したシートSを排紙側に搬送する。そして、図30(b)に示すように、中紙P1の後端部との位置合わせを考慮したタイミングで、シートSに中紙P2を合流させる。これにより、中紙P2をシートSや出口ローラ対113のニップ部に突き当てることなく、シートSと中紙P2の相対位置を調整できる。
【0077】
そして、図31に示すように、出口ローラ対113にて、シートSと中紙P2の両方を把持(ニップ)した状態で搬送することで、複数の中紙の挿入を完了する。上記の中紙の相対位置の設定は、最終中紙Pの後端部がシートSの後端部から突出しない範囲において調整可能とする。
【0078】
続いて、シート処理装置100が、シートS及び中紙Pのサイズ(搬送方向長さ)と、挟み込む中紙Pの枚数を取得する構成について説明する。
【0079】
先の図1に示したように、本実施形態のシート処理装置100は、シートサイズ検出手段であるサイズセンサC6、及び媒体サイズ検出手段であるサイズセンサC7を備える。これらセンサの検出結果からシート処理装置100は、中紙Pの搬送方向長さが閾値以下である場合、複数挿入モードに自動で切り替えて挿入処理を行う。一方、中紙Pの搬送方向長さが閾値以上である場合、単数挿入モードに自動で切り替えて挿入処理を行う。
【0080】
特に、中紙Pの搬送方向長さが、シートSの搬送方向長さの半分以下である場合、複数挿入モードに自動で切り替えて、挿入処理を行うとしてもよい。また、複数挿入モードの場合、シートSに挟み込む中紙Pの枚数は、シートSのサイズと中紙Pのサイズの商から算出される。
【0081】
なお、上記サイズセンサC6及びサイズセンサC7に替えて、又は加えて、搬送センサC1、C2を用いてもよい。
【0082】
このように、本実施形態のシート処理装置100は、シートS及び中紙Pのサイズに応じて、自動的に挿入処理を制御できる。
【0083】
次に、ユーザが挿入処理を選択できる構成について説明する。図32は、操作パネルに表示される、サイズ及び挟み込み枚数を設定する操作画面の一例である。
【0084】
図32(a)に示すように、本実施形態のシート処理装置100では、ユーザが操作パネル10の画面をタッチすることで、ラミネートフィルム(シートS)のサイズと挟み込む中紙Pのサイズ、及び、挟み込む中紙Pの枚数を選択・入力できる。
【0085】
ただし、中紙Pの搬送方向長さの総和が、シートSの搬送方向長さ以上である場合、シート処理装置100は異常と判定する。図32(b)に示すように、操作パネル10にエラーメッセージを表示し、ユーザに再度の選択・入力を促す。
【0086】
より具体的には、サイズ条件として、
シートSの搬送方向長さをL1、中紙Pの搬送方向長さをL2、
シートSに挟み込む中紙Pの枚数をnとして、
L1≧L2*nである場合、操作パネル10はユーザの入力を受け付ける。そして、シート処理装置100は、シートSへの中紙Pの挿入処理を実施する。
【0087】
一方、L1<L2*nである場合、操作パネル10にエラーメッセージを表示し、ユーザに再度の選択・入力/調整を促す。
【0088】
このようにして、ユーザは、操作パネル10にて、中紙Pを1枚挿入する単数挿入モードと、中紙Pを複数枚挿入する複数挿入モードのいずれかを選択できる。
【0089】
なお、シート処理装置100が上記サイズ条件を用いて、自動的に挿入処理を制御してもよい。
【0090】
図33は、操作パネルに表示される、中紙の相対位置を設定する操作画面の一例である。図33(a)に示すように、シート端部と中紙先端の距離(長さa)、それぞれの中紙の相対距離(長さb)を設定可能である。中紙Pの搬送方向長さの総和、シート端部と中紙先端の距離、及び、それぞれの中紙Pの相対距離の総和が、シートSの搬送方向長さ以下である場合、調整が可能である。
【0091】
ただし、シートSの搬送方向長さ以上である場合、シート処理装置100は異常と判定する。図33(b)に示すように、操作パネル10にエラーメッセージを表示し、ユーザに再度の選択・入力を促す。
【0092】
このように、本実施形態のシート処理装置100は、シートSの搬送方向長さと、中紙Pの搬送方向長さと、シートSに挟み込む中紙Pの枚数に応じて、シートSへの中紙Pの挿入処理を制御する。したがって、シートSに単数~複数枚の中紙Pを、シートSと中紙P2の相対位置を調整しながら、自動で挿入できる。
【0093】
また、例えば、バキューム装置を用いる特許文献1のラミネート装置に比べ、単純な構成であり、装置全体を簡略化、小型化できる。
【0094】
さらに、本実施形態のシート処理装置100は、図1で示したように、シートSと中紙Pを別々のトレイに積載し、それぞれ別々に搬送できる。このため、シートSと中紙Pを予め決められた順番に積載する必要がなく、利便性を向上できる。なお、本実施形態では、トレイ102にシートSを積載し、トレイ103に中紙Pを積載するようにしたが、これに限定されない。トレイ102に中紙Pを積載し、トレイ103にシートSを積載してもよい。
【0095】
続いて、本発明に係るシート処理装置を備えるラミネート処理装置、画像形成装置及び画像形成システムについて説明する。
【0096】
図34は、本発明に係るシート処理装置を備えるラミネート処理装置の一例を示す全体構成図である。ラミネート処理装置200は、先に説明したシート処理装置100と、シートSの搬送経路を切り替える分岐爪118と、シートSを加熱及び加圧可能な熱加圧部材である熱加圧ローラ120と、熱加圧ローラ120の下流に設けられた排出ローラ121とを備える。
【0097】
このラミネート処理装置200は、シートSの給紙、剥離、中紙Pの挿入、及び熱加圧によるラミネート処理までの一連の動作を1台で実施できる構成である。この一連の動作を、人手を要さずに自動で実施でき、従来技術よりも利便性を向上できる。
【0098】
図35は、本発明に係るラミネート処理装置を備える画像形成装置の一例を示す全体構成図である。この画像形成装置300は、ラミネート処理装置部として、内部にラミネート処理装置200aを備える。
【0099】
ここで、ラミネート処理装置200aは、シートS又は中紙Pを積載するシートトレイ102を備えるとともに、シートS及び/又は中紙Pを画像形成装置300から給紙可能な構成である。したがって、画像形成装置300(例えば、プリンタ、コピー機など)により、シートS又は中紙Pに画像をインラインで挿入できる。
【0100】
画像形成装置本体300の構成を具体的に説明する。図35に示すように、画像形成装置本体300内には、中間転写装置150が設けられている。中間転写装置150は、複数のローラに掛けまわしてエンドレスの中間転写ベルト152をほぼ水平に張り渡し、反時計まわりに走行する。
【0101】
中間転写装置150の下には、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの作像装置154c、154m、154y、154kが、中間転写ベルト152の張り渡し方向に沿って四連タンデム式に並べて設けられている。各作像装置154は、図中時計まわりに回転するドラム状の像担持体のまわりに帯電装置、現像装置、転写装置、クリーニング装置などを設置して構成される。各作像装置154の下には、露光装置156が設けられている。
【0102】
露光装置156の下には、給紙装置158が設けられている。給紙装置158は、シートSを収納する第1給紙カセット160と、中紙Pを収納する第2給紙カセット162とを備える。なお、第1給紙カセット160は、2枚重ねシートを積載する第3積載手段の一例であり、第2給紙カセット162は、シート状媒体を積載する第4積載手段の一例である。
【0103】
第1給紙カセット160の右上には、第1給紙カセット160内のシートSを一枚ずつ繰り出して用紙搬送路164に入れる第1給紙コロ166が設けられている。また、第2給紙カセット162の右上には、給紙カセット内の中紙Pを一枚ずつ繰り出して用紙搬送路164に入れる第2給紙コロ168が設けられている。
【0104】
用紙搬送路164は、画像形成装置本体300内の右側に下方から上方に向けて形成され、画像形成装置本体300内のラミネート処理装置200aへと通ずる。用紙搬送路164には、搬送ローラ170、中間転写ベルト152と対向して二次転写装置174、定着装置176、一対の排紙ローラよりなる排紙装置178などが順に設けられている。
【0105】
なお、第1給紙コロ166、搬送ローラ170及び用紙搬送路164は、第1給紙カセット160(第3積載手段)から2枚重ねシートを給送する第3給送手段の一例である。また、第2給紙コロ168、搬送ローラ170及び用紙搬送路164は、第2給紙カセット162(第4積載手段)からシート状媒体を給送する第4給送手段の一例である。さらに、中間転写装置150、及び定着装置176などは、2枚重ねシート又はシート状媒体に画像を形成する画像形成部の一例である。
【0106】
続いて、本実施形態の画像形成装置300において、シートSに画像形成をした後、ラミネート処理を行う動作について説明する。
【0107】
シートSに画像を形成する際、はじめに、画像読取装置188で原稿画像を読み取り、露光装置156で書き込みを行う。次いで、各作像装置154c、154m、154y、154kのそれぞれの像担持体上に各色トナー画像を形成し、そのトナー像を一次転写装置180c、180m、180y、180kで順次転写して中間転写ベルト152上にカラー画像を形成する。
【0108】
一方、画像形成装置300は、第1給紙コロ166を回転してシートSを繰り出して用紙搬送路164に入れる。そして、用紙搬送路164を通して搬送ローラ170で搬送してタイミングを取って二次転写位置へと送り込み、上記したように中間転写ベルト152上に形成したカラー画像が二次転写装置174でシートSに転写される。
【0109】
画像転写後のシートSは、定着装置176で画像定着後、排紙装置178でラミネート処理装置200aに送られる。
【0110】
また、画像形成装置300は、第2給紙コロ168を回転して中紙Pを繰り出して用紙搬送路164に入れ、排紙装置178でラミネート処理装置200aに送る。
【0111】
このようにして、画像形成されたシートSと、中紙Pをラミネート処理装置200aに送ることで、ラミネート処理が行われる。ラミネート処理の詳細は、上記したので省略する。
【0112】
本実施形態の画像形成装置300は、上記した構成であるので、中紙Pに画像形成をした後に、ラミネート処理装置200aにより、ラミネート処理を行うこともできる。また、中紙PとシートSに画像形成した後に、ラミネート処理を行うこともできる。
【0113】
次に、本発明に係るシート処理装置を備える画像形成装置の変形例、及び画像形成システムについて説明する。
【0114】
図36は、本発明に係るラミネート処理装置を備える画像形成装置の変形例を示す全体構成図である。この画像形成装置400は、画像形成装置本体側に本体排出ローラ122と、本体排紙トレイ123とを備える点で、図35の画像形成装置300と異なる。
【0115】
画像形成装置400は、ラミネート処理を実施しない場合、本体排出ローラ122を用いて画像形成した記録媒体を本体排紙トレイ123に排出できる。したがって、画像形成装置400は、ラミネート処理をしない場合、画像形成の出力速度を下げない。
【0116】
なお、画像形成装置400は、ラミネート処理装置200aを内部に脱着可能に備える構成としてもよい。すなわち、ラミネート処理が不要な際は、ラミネート処理装置200aを画像形成装置400から外してもよい。
【0117】
また、その外したラミネート処理装置200aに、中紙Pを積載する給紙トレイ103と、給紙トレイ103から中紙Pを給送するピックアップローラ106とを装着し、図34に示すものと同様なラミネート処理機単体として利用できるとしてもよい。
【0118】
図35に示した画像形成装置300、及び図36に示した画像形成装置400は、ラミネート処理機に代えて、シート処理装置を備える構成としてもよい。また、図36に示した画像形成装置400では、シート処理装置を着脱可能な構成としてもよい。
【0119】
また、画像形成システムとして、画像形成装置と、前記画像形成装置に着脱可能に接続されたシート処理装置100、又はラミネート処理装置200を備えるシステムを構成してもよい。さらにまた、給紙装置(スタッカ)、及び/又はくるみ製本装置などを備えるシステムを構成してもよい。なお、シートSを定着装置176の間を通す場合、そのシートSは、定着温度では接着されず、それよりも高温の熱を与えることにより接着されるものである。
【0120】
さらに、画像形成装置300、400は、シートSと中紙に画像を形成する方式として、電子写真方式を用いているがこれに限定されるものでなく、インクジェット方式や孔版印刷方式などの公知の画像形成方式を用いてもよい。
【0121】
図37は、シート給紙から中紙を挟みこみ、ラミネート処理完了までの一連の動作を説明するフローチャートである。また、図38は、本発明の特徴部分を説明するフローチャートである。
【0122】
先に、図37のフローチャートを用いて、対応する図面の番号を示しながら説明し、その後、図38のフローチャートを用いて、本発明の特徴部分(図37で示すA、B部分)の説明をする。
【0123】
まず、ステップS01において、シート処理装置100は、ユーザが複数挿入モードを選択したか否かを判定する。複数挿入モードが選択された場合、ステップS02において中紙枚数を選択させる。
【0124】
すなわち、操作パネル10により、ユーザにラミネートフィルムサイズ設定値、中紙サイズ設定値、及び挟み込み枚数を設定させる(図32(a)参照)。
【0125】
一方、複数挿入モードが選択されなかった場合、ステップS03に移行し、シート処理装置100は、単数挿入モードが選択されたと判定する。
【0126】
次いで、ステップS11において、シート処理装置100は、シートSの給紙を開始する(図1参照)。次いで、ステップS12において、搬送センサC3にシートSの先端が到着したか判定する(図2参照)。ステップS13にて、シート処理装置100は、シートSを搬送センサC3から指定量搬送したことを判定すると、その搬送を一時停止する(図3参照)。続いて、ステップS14にて、把持手段110を開口するとともに、ステップS15においてシートSを逆搬送方向に搬送する(図4参照)。
【0127】
ステップS16において、シート処理装置100は、シートSを指定量搬送したことを判定すると、ステップS17にてシートSの搬送を一時停止する。そして、ステップS18において、把持手段110を閉じ、シートSの端部を把持する(図5参照)。
【0128】
続いてステップS19において、シート処理装置100は巻付けローラ109を反時計回りに回転し、シートSを巻付けローラ109に巻き付ける(図6参照)。次いで、ステップS20において、搬送センサC5にシートSの先端が到着したか判定する。ステップS21にて、シート処理装置100は、シートSを搬送センサC5から指定量搬送したことを判定すると、ステップS22において、異常状態検出センサC4を用いてシートSの状態を検出する。
【0129】
この異常状態検出センサC4は、シートSの2枚のシート間に生じた空間の寸法が、所定の閾値を超えているかを検出する異常検出手段である。ステップS23において、シート処理装置100は、異常状態検出センサC4の検出結果から、シートSの状態が正常(空間の寸法が、所定の閾値以上)であると判定した場合、ステップS24aに移行する。
【0130】
一方、ステップS23において、シートSの状態が異常(空間の寸法が、所定の閾値より下)であると判定した場合、ステップS24bに移行し、シート処理装置100は異常を通知し、シート処理を停止する。
【0131】
ステップS24aに移行した場合、シート処理装置100は、生じた空間に剥離爪116をシートSの両側から挿入する(図7参照)。次に、ステップS25において、シート処理装置100は、剥離爪116をシートSの両側から挿入した状態で、巻付けローラ109を今度は時計回りに回転し、シートSを正搬送方向に搬送する。
【0132】
次いで、ステップS26において、搬送センサC5にシートSの先端が到着したか判定する。ステップS27にて、シート処理装置100は、シートSを搬送センサC5から指定量搬送したことを判定すると、ステップS28において、把持手段110を開口する。
【0133】
次いで、ステップS29において、シート処理装置100はシートSの搬送を一時停止し、ステップS30にて、剥離爪116をシート幅方向へ更に移動する(図8参照)。これにより、シートSの後端を上下に分離した状態とする。
【0134】
ステップS31において、シート処理装置100はシートSを逆搬送方向に搬送する。次いで、ステップS32において、搬送センサC5にシートSの先端が到着したか判定する。ステップS33にて、シート処理装置100は、シートSを搬送センサC5から指定量搬送したことを判定すると、ステップS34にて、その搬送を一時停止する(図9参照)。これにより、シートSの剥離が完了する。
【0135】
続いて、ステップS35において、シート処理装置100は、シートSに挿入する中紙Pに画像形成を行う(インライン)か否か判定する。インラインの場合、ステップS36に移行し、シート処理装置100は、画像形成装置に印刷ジョブを開始させ、中紙Pに画像を形成する。次いで、ステップS37に移行する。
【0136】
一方、ステップS35において、インラインでない場合はステップS37に移行する。
【0137】
ステップS37において、シート処理装置100は、中紙Pを正搬送方向に搬送し、開口したシートS内に中紙Pを挿入する。ここで、単数挿入モードの場合は、先の図11~13に示した動作となり、複数挿入モードの場合は、先の図14~17に示した動作となる。
【0138】
次いで、ステップS38において、シート処理装置100は、選択された枚数の中紙PがシートSに挿入されたか判定する。挿入された場合、ステップS39に移行する。
【0139】
次いで、ステップS39において、分岐爪118にて経路を切り替える。ステップS39において、中紙Pを挟持したシートSを熱加圧装置(定着Md)へ搬送し、熱と圧力を加えることで、ラミネート処理が完了する(図18参照)。
【0140】
なお、インラインの場合(ステップS35でYESの場合)は、シート剥離完了後に画像形成装置へ印刷JOBスタートの通知をして、中紙Pの印刷及び搬送を実施する。この場合、印刷された中紙Pが搬送され、搬送センサC1に到達するまでシート処理装置は待ち状態になる。そのため、印刷された中紙Pの搬送時間を考慮し、例えば、図7に示す剥離爪116の動作完了後に画像形成装置へ印刷JOBスタートを通知してもよい。これにより、生産性を向上できる。
【0141】
続いて、図38のフローチャートを用いて、本発明の特徴部分(図37で示すA、B部分)の説明をする。
【0142】
(A部分の説明)
ステップS01において、シート処理装置100は、ユーザが複数挿入モードを選択したか否かを判定する。複数挿入モードが選択された場合、ステップS02において中紙枚数を選択させる。
【0143】
次いで、ステップS04において、操作パネル10により、ユーザにシート端部と中紙先端の距離(長さa)、及び、それぞれの中紙の相対距離(長さb)を設定させる(図33(a)参照)。
【0144】
次いでステップS05において、シート処理装置100は、中紙Pの搬送方向長さの総和、シート端部と中紙先端の距離、及び、それぞれの中紙Pの相対距離の総和が、シートSの搬送方向長さ以下であるか否かを判定する。YESの場合は、ステップS11に移行し、シートSの給紙を開始する。一方、NOの場合は、ステップS04に戻り、シート処理装置100は、操作パネル10にエラーメッセージを表示し、ユーザに再度の選択・入力を促す(図33(b)参照)。
【0145】
また、ステップS01において、複数挿入モードが選択されなかった場合、ステップS03に移行し、シート処理装置100は、単数挿入モードが選択されたと判定する。次いで、ステップS06において、操作パネル10により、ユーザにシート端部と中紙先端の距離(長さa)を設定させる。その後、ステップS11に移行し、シートSの給紙を開始する。
【0146】
(B部分の説明)
ステップS31において、シート処理装置100はシートSを逆搬送方向に搬送する。次いで、ステップS31aにおいて、センサC4にシートSの先端が到着したか判定する。続いてステップS31bにて、シート処理装置100は、シートSの接合部を出口ローラ対113のニップ部まで搬送した後に停止するか判定する。
【0147】
停止しない場合(NOの場合)、ステップS32にてシート処理装置100は、搬送センサC5にシートSの先端が到着したか判定する。ステップS33にて、シート処理装置100は、シートSを搬送センサC5から指定量搬送したことを判定すると、ステップS34にて、その搬送を一時停止する。
【0148】
一方、ステップS31bにて停止すると判定した場合(YESの場合)、ステップS34にて、その搬送を一時停止し、シートSの剥離が完了する。なお、ステップS31bを分岐条件Aとする。
【0149】
続いて、ステップS37において、シート処理装置100は、中紙Pを正搬送方向に搬送し、開口したシートS内に中紙Pを挿入する。ステップS37aにおいて、中紙Pを搬送センサC3から指定量搬送したことを判定すると、ステップS37bにおいて、シート処理装置100は、出口ローラ対113の搬送を開始するか判定する。
【0150】
開始する場合(YESの場合)、ステップS37cに移行し、シート処理装置100は、出口ローラ対113の線速(V1)と入口ローラ対108の線速(V2)とを等しくするか否かを判定する。等しくする場合(YESの場合)、ステップS37dに移行し、シートSを指定量搬送した時点で、中紙Pが出口ローラ対113に達することで、両者が交流する(合流タイミングの制御 図27、30参照)。
【0151】
一方、ステップS37cにおいて、線速を等しくしない場合(NOの場合)、ステップS37eに移行し、出口ローラ対113の線速(V1)を入口ローラ対108の線速(V2)よりも小さくして、シートSと中紙Pとを位置合わせする(線速差の調整 図26、29参照)。
【0152】
ここで、先のステップS37bに戻り、シート処理装置100が、出口ローラ対113の搬送を開始しないと判定した場合(NOの場合)、ステップS37fに移行する。ここでシート処理装置100は、シートSの接合部が出口ローラ対113のニップ部にあるか判定する。これは、先の分岐条件Aによって決まる。
【0153】
ステップS37fにおいて、シートSの接合部がニップ部にある場合(YESの場合)、ステップS37gに移行する。シート処理装置100は、中紙PをシートSの接合部に突き当て、その後、出口ローラ対113の搬送を開始する(シートSの接合部への突き当て 図24参照)。
【0154】
一方、ステップS37fにおいて、シートSの接合部がニップ部にない場合(NOの場合)、ステップS37hに移行し、シート処理装置100は、シートSをニップ部から指定量搬送する。そして、ステップS37gに移行し、シート処理装置100は、中紙Pを出口ローラ対113のニップ部に突き当て、その後、出口ローラ対113の搬送を開始する(シートSの突出量の調整 図25、28参照)。
【0155】
次いで、ステップS38に移行し、シート処理装置100は、選択された枚数の中紙PがシートSに挿入されたか判定する。挿入された場合(YESの場合)、ステップS39に移行する。一方、後続の中紙Pがある場合(NOの場合)、ステップS38aにおいて、シート処理装置100は、シートSを指定量搬送し、ステップS37に移行する。
【0156】
この後は、先の図37のフローチャートにて説明したことと同じであるため、説明を省略する。
【0157】
以上、実施形態を用いて本発明を詳細に説明した。この実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して使用できる。例えば、実施形態と変形例をそれぞれ組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0158】
10 操作パネル
100 シート処理装置
102 シートトレイ
103 給紙トレイ
104 排紙トレイ
105、106 ピックアップローラ
107 搬送ローラ対
108 入口ローラ対
109 巻付けローラ
110 把持手段
111 ローラ部材
113 出口ローラ対
116 剥離爪
118 分岐爪
120 熱加圧ローラ
121 排出ローラ
122 本体排出ローラ
123 本体排紙トレイ
150 中間転写装置
152 中間転写ベルト
154c、154k、154m、154y 作像装置
156 露光装置
158 給紙装置
160 第1給紙カセット
162 第2給紙カセット
164 用紙搬送路
166 第1給紙コロ
168 第2給紙コロ
170 搬送ローラ
174 二次転写装置
176 定着装置
178 排紙装置
180c、180k、180m、180y 一次転写装置
188 画像読取装置
200、200a ラミネート処理装置
300、400 画像形成装置
C1、C2、C3、C5 搬送センサ
C4 異常状態検出センサ
C6、C7 サイズセンサ
S シート(2枚重ねシート)
P 中紙(シート状媒体)
P1 第1中紙
P2 第2中紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0159】
【文献】特開2006-160429号公報
【文献】特開平09-164593号公報
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