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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/01 20060101AFI20240416BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
G03G15/01 S
G03G15/01 Y
G03G15/00 303
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020123197
(22)【出願日】2020-07-17
(65)【公開番号】P2022019389
(43)【公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【弁理士】
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】仁科 裕章
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-309139(JP,A)
【文献】特開2020-034649(JP,A)
【文献】特開2002-351280(JP,A)
【文献】特開2007-110509(JP,A)
【文献】特開2000-211119(JP,A)
【文献】特開2005-003830(JP,A)
【文献】特開2007-235430(JP,A)
【文献】特開2010-074318(JP,A)
【文献】特開2011-047862(JP,A)
【文献】特開平05-284375(JP,A)
【文献】特開平04-326380(JP,A)
【文献】特開2010-79018(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0125187(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J2/01
2/165-2/20
2/21-2/215
2/47
2/52-2/525
5/00-5/52
21/00-21/18
29/00-29/70
G03G13/01
13/34
15/00-15/01
15/36
21/00-21/02
21/14
21/20
H04N1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の像担持体と、
前記複数の像担持体それぞれを光ビームで走査することによって、潜像画像を形成する走査手段と、
前記複数の像担持体それぞれに形成された潜像画像を、非黒色で且つ互いに異なる色のトナーで現像する現像手段と、
前記複数の像担持体それぞれに現像された画像を重ね合わせて媒体に転写する転写手段と、
前記走査手段、前記現像手段、及び前記転写手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、
複数の色で構成された入力画像を、各々が複数のトナーの色の1つで構成された複数の分解画像と、前記入力画像の黒色の画素位置を示す黒色位置画像とに分解する画像分解部と、
前記複数の分解画像のうちの少なくとも1つに対して、前記黒色位置画像で示される画素位置の画素密度を、第1解像度から前記第1解像度より高い第2解像度に倍密化して、倍密画像を形成する倍密処理部と、
前記倍密画像の倍密化された画素の位置を補正する画素位置補正部と、
補正された前記倍密画像の倍密化された画素を前記第2解像度から前記第1解像度に低解像度化して、補正後の分解画像を形成する低解像度化処理部と、
前記画像分解部で分解された前記分解画像、及び前記低解像度化処理部で形成された前記補正後の分解画像に従って、前記走査手段に光ビームで走査させることによって、前記複数の像担持体に潜像画像を形成させる走査処理部とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記走査手段による光ビームの主走査方向の各画素について、前記主走査方向に直交する副走査方向の補正量を示す補正データを記憶するメモリを備え、
前記画素位置補正部は、前記倍密画像の倍密化された画素それぞれを、前記補正データで示される補正量だけ前記副走査方向にずらすことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像分解部は、前記分解画像のうちの少なくとも1つと、前記黒色位置画像とを、同期させて前記倍密処理部に転送することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記複数のトナーの色は、シアン、マゼンタ、及びイエローであり、
前記倍密処理部は、イエローで構成された前記分解画像を倍密化することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記倍密処理部は、前記分解画像のうちの前記黒色位置画像で示される画素位置の画素を倍密化すると共に、倍密化後の各画素に元の画素の画素値をコピーして、前記倍密画像を形成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記低解像度化処理部は、前記倍密画像の注目画素の画素値と、前記注目画素の周辺の周辺画素の画素値との加重平均値を、前記注目画素及び前記周辺画素に対応する前記補正後の分解画像の画素の画素値とすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子写真方式で媒体上にフルカラーの画像を形成する画像形成装置が知られている。このような画像形成装置は、異なる色のトナーで現像した複数の画像を、重ね合わせて媒体に転写することによって、フルカラーの画像を媒体上に形成する。
【0003】
また、上記構成の画像形成装置において、色の三原色(シアン、マゼンタ、イエロー)のトナーを用いて黒色を表現する所謂「プロセスブラック」と呼ばれる色を用いる装置もある(例えば、特許文献1を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、プロセスブラックの画像を媒体上に転写する場合に、文字の散り、転写不良、定着不良、ゴーストなどの欠陥が発生しやすい。このような欠陥は、プロセスブラックの画像の端部位置で特に発生しやすい。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、プロセスブラックの画像の色ずれを防止可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術的課題を解決するため、本発明の一態様は、複数の像担持体と、前記複数の像担持体それぞれを光ビームで走査することによって、潜像画像を形成する走査手段と、前記複数の像担持体それぞれに形成された潜像画像を、非黒色で且つ互いに異なる色のトナーで現像する現像手段と、前記複数の像担持体それぞれに現像された画像を重ね合わせて媒体に転写する転写手段と、前記走査手段、前記現像手段、及び前記転写手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、複数の色で構成された入力画像を、各々が複数のトナーの色の1つで構成された複数の分解画像と、前記入力画像の黒色の画素位置を示す黒色位置画像とに分解する画像分解部と、前記複数の分解画像のうちの少なくとも1つに対して、前記黒色位置画像で示される画素位置の画素密度を、第1解像度から前記第1解像度より高い第2解像度に倍密化して、倍密画像を形成する倍密処理部と、前記倍密画像の倍密化された画素の位置を補正する画素位置補正部と、補正された前記倍密画像の倍密化された画素を前記第2解像度から前記第1解像度に低解像度化して、補正後の分解画像を形成する低解像度化処理部と、前記画像分解部で分解された前記分解画像、及び前記低解像度化処理部で形成された前記補正後の分解画像に従って、前記走査手段に光ビームで走査させることによって、前記複数の像担持体に潜像画像を形成させる走査処理部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、プロセスブラックの画像の色ずれを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る画像形成装置の基本構成を示した概略図。
図2】画像形成装置が備える光学センサの内部の概略構成を示した図。
図3】位置ずれ検出用のテストパターン画像を示す図。
図4】画像形成装置が備える制御回路の構成を示したブロック図。
図5】位置ずれ量を算出する手法を説明するための模式図。
図6】RAMに記憶される色ずれ補正データを説明するための図。
図7】本実施形態に係る画像形成装置の機能ブロック図。
図8】画像形成処理のフローチャート。
図9】画像形成処理の過程で形成される各画像を示す図。
図10】ずれ量を補正する処理を説明するための図。
図11】本実施形態に適用可能な密度変換処理の原理を説明する図。
図12】本実施形態に適用可能な密度変換処理の例を説明する図。
図13】本実施形態に適用可能な密度変換処理の例を説明する図。
図14】本実施形態に適用可能な密度変換処理の例を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本実施形態に係る画像形成装置100について説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置100の基本構成を示した概略図である。画像形成装置100は、例えばプリンタ、複写機、スキャナ、ファクシミリ等の複数の機能を一つの筐体に纏めたデジタル複合機(MFP:MultiFunction Peripheral)仕様のものである。
【0010】
より詳細には、画像形成装置100は、画像形成手段としての機能、並びにパターン画像形成手段との機能を果たすように、光学装置101、像形成部102、及び転写部103を備える。光学装置101は、半導体レーザ光源、ポリゴンミラー110等の光学要素を含む。像形成部102は、ドラム状の感光体(以下、「感光体ドラム」と呼ぶ)、帯電装置、現像装置等を含む。転写部103は、中間転写ベルト130等を含む。
【0011】
光学装置101は、レーザダイオード(LD)を含む半導体レーザ光源である複数の光源から放出された光ビームBMをポリゴンミラー110により偏向させ、fθレンズを含む走査レンズ111a、111bに入射させる。これらの光ビームBMはイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色の画像に対応した数が発生している。これらの光ビームBMは、それぞれ走査レンズ111a、111bを通過した後、反射ミラー112y、112m、112cで反射され、長尺トロイダルレンズ(以下、WTLレンズと呼ぶ)113y、113m、113cへ入射する。
【0012】
WTLレンズ113y、113m、113cは、それぞれに入射した各色の光ビームBMを整形した後、反射ミラー114y、114m、114cへ偏向させる。そして、反射ミラー114y、114m、114cで反射された各色の光ビームBMは、さらに反射ミラー115y、115m、115cで反射され、それぞれ露光のために使用される光ビームBMとして、感光体ドラム120y、120m、120cへと像状照射される。
【0013】
感光体ドラム120y、120m、120cへの光ビームBMの照射は、上述したように複数の光学要素を使用して行われる。このため、感光体ドラム120y、120m、120cに対する主走査方向及び副走査方向に関してタイミング同期が行われる。以下、感光体ドラム120y、120m、120cに対する主走査方向を光ビームBMの走査方向として定義する。また、副走査方向を主走査方向に対して直交する方向であって、感光体ドラム120y、120m、120cの回転する方向として定義する。
【0014】
感光体ドラム120y、120m、120cは、アルミニウム等の導電性ドラム上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層とを含む光導電層を備えて構成される。光導電層は、それぞれ各色の感光体ドラム120y、120m、120cに対応して配設され、コロトロン、スコロトロン、又は帯電ローラ等を含んで構成される帯電器122y、122m、122cにより表面電荷が付与される。
【0015】
各色の帯電器122y、122m、122cによって感光体ドラム120y、120m、120c上にそれぞれ付与された静電荷は、光ビームBMによりそれぞれ像状露光される。これにより、各色の帯電器122y、122m、122cの被走査面上に静電潜像が形成される。感光体ドラム120y、120m、120cの被走査面上にそれぞれ形成された静電潜像は、現像スリーブ、現像剤供給ローラ、規制ブレード等を含む現像器121y、121m、121cによりそれぞれ現像される。この結果、感光体ドラム120y、120m、120cの被走査面上に現像剤像が形成される。
【0016】
感光体ドラム120y、120m、120cの被走査面上に担持された各現像剤は、搬送ローラ131a、131b、131cにより矢印Dの方向に移動する中間転写ベルト130上に転写される。感光体ドラム120y、120m、120cには中間転写ベルト130を挟んで対向する位置に1次転写ローラ132y、132m、132cが備えられている。中間転写ベルト130は、感光体ドラム120y、120m、120cの被走査面上からそれぞれ転写された各色の現像剤を担持した状態で2次転写部へと搬送される。
【0017】
2次転写部は、2次転写ベルト133と搬送ローラ134a、134bとを含む。2次転写ベルト133は、搬送ローラ134a、134bにより矢印Eの方向に搬送される。この2次転写部には、例えば上質紙を収容する給紙カセット、プラスチックシートを収容するシート収容部等の媒体収容部Tから受像材である媒体Pが搬送ローラ135により供給される。2次転写部では、2次転写バイアスを印加して中間転写ベルト130上に担持された多色現像剤像を2次転写ベルト133上に吸着保持された媒体Pに転写する。媒体Pは、2次転写ベルト133の搬送と共に定着装置136へと供給される。
【0018】
定着装置136は、シリコーンゴム、フッ素ゴム等を含む定着ローラを備えた定着部材137を含む。この定着装置136で媒体Pと多色現像剤像とを加圧加熱し、排紙ローラ138によって媒体Pを印刷物P′として画像形成装置100の外部へと排出する。因みに、多色現像剤像を転写した後の中間転写ベルト130は、クリーニングブレードを含むクリーニング部139によって転写残現像剤が除去された後、次の像形成プロセスへと供給される。
【0019】
感光体ドラム120y、120m、120cは像担持体の一例である。光学装置101は、感光体ドラム120y、120m、120cそれぞれを光ビームで走査することによって、潜像画像を形成する走査手段の一例である。像形成部102は、感光体ドラム120y、120m、120cに形成された潜像画像を非黒色で且つ互いに異なる色(イエロー、マゼンタ、シアン)のトナーで現像する現像手段の一例である。転写部103は、感光体ドラム120y、120m、120cそれぞれに現像された画像を重ね合わせて媒体Pに転写する転写手段の一例である。
【0020】
なお、本実施形態に係る画像形成装置100は、黒色のトナーを用いずに画像を形成する。すなわち、画像形成装置100は、複数の色(イエロー、マゼンタ、シアン)を重ねて黒色を表現する所謂「プロセスブラック」を用いて画像を形成する。但し、本発明は、黒色トナーを用いずに画像を形成する画像形成装置100のみならず、黒色のトナーを節約する際の制御としても適用できる。この場合、画像形成装置100は、黒色の画像を形成するための構成要素を、光学装置101及び像形成部102にさらに備える。
【0021】
また、画像形成装置100は、搬送ローラ131aに対面する位置に、光学センサ5a、5b、5cを備える。また、光学センサ5a、5b、5cは、主走査方向に離間して配置されている。また、光学センサ5a、5b、5cの数は、図1の例に限定されない。光学センサ5a、5b、5cは、中間転写ベルト130上に形成されたパターン画像を光学的に検知するセンサである。
【0022】
画像形成装置100に搭載される制御回路(制御手段)200は、光学センサ5a、5b、5cの検知結果に基づいて基準色に対する各色のスキュー(傾き)、主走査レジストずれ量、副走査レジストずれ量、及び主走査倍率誤差を含む各種のずれ量を算出する。また、制御回路200は、それらの算出結果に基づいて画質調整に係る各種のずれ量を補正し、中間転写ベルト130上にカラー画像を形成させる際の画像形成条件である位置ずれ補正や濃度補正を行う。このようにして、画像調整時のパターン画像の生成に係る各種処理を実行する。
【0023】
制御回路200は、感光体ドラム120y、120m、120cに形成されるパターン画像を発生させるパターン発生手段としての機能を持つ。また、制御回路200は、光学センサ5a、5b、5cから出力される検知信号に基づいて、パターン補正値を算出する補正値算出手段としての機能を持つ。詳細については後文で説明する。
【0024】
図2は、図1に示す画像形成装置100が備える光学センサ5aの内部の概略構成を示した図である。なお、その他の光学センサ5b、5cの内部の構成についても共通している。図2に示すように、光学センサ5aは、1個の発光部10aと2個の受光部11a、12aと1個の集光レンズ13aとを備えて構成される。
【0025】
発光部10aは、光を発光する発光素子であり、例えば赤外光を発生する赤外光発光ダイオード(LED)を用いる場合を例示できる。なお、発光素子として、赤外光発光ダイオードに代えてレーザ発光素子等を用いてもよい。また、受光部11aには例えば正反射型受光素子を用い、受光部12aには例えば拡散反射型受光素子を用いる場合を例示できる。これらの受光部11a、12aには、何れもフォトトランジスタを用いた場合を想定しているが、フォトダイオードや増幅回路等から構成されるタイプのものを用いてもよい。
【0026】
この光学センサ5aにおいて、発光部10aから発する光L1は、集光レンズ13aを透過した後、中間転写ベルト130のテストパターンに到達すると、その一部がテストパターン形成領域やテストパターン形成領域のトナー層で正反射する。正反射した光は集光レンズ13aを透過して正反射光L2として受光部11aで受光される。また、光L1の他の一部は、テストパターン形成領域やテストパターン形成領域のトナー層で拡散反射する。拡散反射した光は集光レンズ13aを透過して拡散反射光L3として受光部12aで受光される。受光部11aで受光された正反射光L2や受光部12aで受光された拡散反射光L3は光電変換されてテストパターン検出信号として出力される。
【0027】
図3は、図1に示す画像形成装置100において中間転写ベルト130に対して位置ずれ検出用のテストパターン画像が転写形成された様子を示した模式図である。図3中では中間転写ベルト130上で光学センサ5a、5b、5cに該当する列に位置ずれ検出用のテストパターン画像が形成された様子を示している。但し、印刷動作中のタイミングで色ずれ補正を実施する場合には、光学センサ5bに該当する列にはテストパターン画像は形成されず、その両端となる光学センサ5a、5cに対応する列にのみテストパターン画像が形成される。
【0028】
図4は、画像形成装置100が備える制御回路200の構成を示したブロック図である。制御回路200は、各構成要素を制御して媒体Pに画像を形成する。また、制御回路200は、感光体ドラム120y、120m、120cに位置ずれ検知用のパターン画像を形成し、形成したパターン画像を光学センサ5a、5b、5cで検知し、光学センサ5a、5b、5cの検知結果に基づいて色ずれ補正データを算出する処理を実行する。
【0029】
図4に示すように、この制御回路200では、光学センサ5a、5b、5cそれぞれの受光部11a、12aから出力された検知信号を増幅部201で増幅した後、フィルタ202でライン検知の信号成分のみを通過させる。この後、アナログ/デジタル(A/D)変換部203でアナログデータからデジタルデータに変換してからパターン画像のサンプリングをサンプリング制御部204で制御する。サンプリング制御部204でサンプリングされたパターン画像のデータは先入れ先出し(FIFO)メモリ205に格納される。一組の位置ずれ検知用のパターン画像の検知が終了した後、先入れ先出しメモリ205に格納されていたパターン画像のデータは、入力/出力(I/O)ポート206を介してデータバスにより接続されたCPU209及びRAM208にロードされる。CPU209は、所定の演算処理を行い、上述した各種ずれ量を求める。
【0030】
その他、データバスによりCPU209及びRAM208と入力/出力ポート206とにはROM207が接続されている。このROM207には、上述した各種ずれ量を演算するためのプログラムや、色ずれ補正データの算出及び画像形成を制御するための各種プログラムが格納されている。また、CPU209は、受光部11a、12aからの検知信号を適当なタイミングでモニタしている。これにより、CPU209は、中間転写ベルト130や発光部10aの劣化等が起きても確実にパターン画像の検知ができるように、発光量制御部213によって発光部10aの発光量を制御している。このCPU209での発光量の制御の結果、受光部11a、12aからの検知信号のレベルが常に一定になるように制御される。
【0031】
このように、CPU209とROM207とは、画像形成装置100の全体の動作を制御する機能を持つ。さらに、CPU209は、求めた各種ずれ量のパターン補正値に基づいて書き込み開始のタイミングの設定や画素クロック周波数の変更等を書込制御部210に対して設定する。書込制御部210は、出力周波数を非常に細かく設定できるデバイスとして、VCO(Voltage Controlled Oscillator)を利用したクロックジェネレータ等を備え、この出力を画像クロックとして用いる。そして、書込制御部210は、この画素クロックを基準として、コントローラ211から送られてくる画像データに応じてLD(レーザダイオード)点灯制御部212を駆動することにより、画像を媒体Pに書き込む。
【0032】
図5は、位置ずれ検知用のパターン画像を用いて位置ずれ量を算出する手法を説明するための模式図である。但し、図5中では、光学センサ5aによって位置ずれ検知用のパターン画像のマーク列を検知した場合について説明するが、光学センサ5b、5cについても同様に行う。なお、ここではCPU209がROM207のプログラムに基づいてパターン発生手段の機能を働かせ、パターン画像を中間転写ベルト130の駆動方向に一定の幅で発生させることを前提としている。また、CPU209がROM207のプログラムに基づいて距離算出手段の機能を働かせ、検知信号で示されるパターン画像の中心を基準としてパターン画像間の距離を算出することも前提としている。
【0033】
光学センサ5aでは、位置ずれ検知用のパターン画像のマーク列を検知対象とし、予め決められた一定のサンプリング時間間隔でマーク(パターン画像と同意)を検知すると、受光量に応じた検知信号をCPU209へ出力する。CPU209では、検知信号によるマークの検知の通知を順次受け取ると、各検知の通知の間隔と上記サンプリング時間間隔とに基づいて各横線パターン画像間の距離y1、c1を算出する。同様に、各横線パターン画像とそれらに各々対応する同じ色の斜線パターン画像との間の距離y2、m2、c2を算出する。このようにして、マーク列中の各横線パターン画像間の距離y1、c1と、同じ色の横線パターン画像及び斜線パターン画像の間の距離y2、m2、c2とを求める。この後、求めた距離y1、c1、y2、m2、c2をそれぞれ比較することによって位置ずれ量を算出することができる。
【0034】
図5を参照して具体的に説明すれば、まず副走査方向の位置ずれ量の算出では、横線パターン画像を使用し、基準色であるマゼンタ(M)とその対象色であるイエロー(Y)、シアン(C)との各パターン画像の距離(y1、c1)を算出する。次に、これらの距離(y1、c1)を予め記憶させておいた理想の距離(y0、c0)と比較し、距離y1-理想の距離y0、距離c1-理想の距離c0の値から基準色のマゼンタ(M)に対する対象色のイエロー(Y)、シアン(C)の位置ずれ量を算出できる。なお、基準色はマゼンタ(M)に限定されず、イエロー(Y)でもよいし、シアン(C)でもよい。
【0035】
また、主走査方向の位置ずれ量の算出では、まずイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)の各色の横線パターン画像と斜線パターン画像との距離(y2、m2、c2)を算出する。次に、算出した距離(y2、m2、c2)を用いて、基準色のマゼンタ(M)の距離と対象色の距離との差分値を算出する。これらの差分値が主走査方向の位置ずれ量に相当する。その理由は、斜線パターン画像を主走査方向に対して例えば所定の角度(例えば45度を例示できる)だけ傾斜させているため、主走査方向に位置ずれを生じている場合、横線パターン画像との距離が他の色についての距離よりも広がったり狭まったりするためである。すなわち、マゼンタ(M)とイエロー(Y)、マゼンタ(M)とシアン(C)の主走査方向の位置ずれ量は、距離m2-距離y2、距離m2-距離c2で求められる。このようにして、副走査方向及び主走査方向の位置ずれ量を取得することができる。
【0036】
図6は、RAM208(メモリ)に記憶される色ずれ補正データを説明するための図である。色ずれ補正データ(補正データ)は、光学装置101による光ビームBMの主走査方向の各画素について、副走査方向の補正量を示すデータである。色ずれ補正データは、光学センサ5a、5b、5cによるパターン画像の検知結果に基づいて生成され、予めRAM208に記憶されているものとする。
【0037】
図6(a)は、主走査方向の複数の位置で算出した複数のずれ量を、トナーの色毎にプロットした図である。すなわち、図6(a)において、横軸が主走査方向の位置を示し、縦軸が副走査方向のずれ量を示す。なお、図6(a)は、9個の光学センサの検知結果に基づいている。また、算出した値(プロットの値)の間は、線形補間などによって算出された値が設定される。さらに、図6(a)のグラフは、前述の算出方法によらず、中間転写ベルト130に転写されたパターン画像を専用の治具(例えば、カメラ)を用いて計測した結果に基づいて生成されてもよい。
【0038】
図6(a)に示すずれ量は、ポリゴンミラー110から感光体ドラム120に至る光学系(例えば、fθレンズ)の特性によって異なる。そのため、図6(a)のずれ量は、画像形成装置100毎及び色毎に異なる値となる。そこで、図6(a)の結果から図6(b)に示す色ずれ補正データを生成する。なお、本実施形態では、補正対象色(例えば、イエロー)の色ずれ補正データのみがRAM208に記憶される例を説明するが、全ての色(すなわち、イエロー、マゼンタ、シアン)それぞれの色ずれ補正データがRAM208に記憶されていてもよい。
【0039】
例えば、画像サイズがA3で、主走査方向の解像度が1200dpiの場合、色ずれ補正データは、主走査方向の画素数26,362個のデータ領域が必要になる。そして、図6(b)に示すように、26,362個のデータ領域のそれぞれに、当該画素に対応する副走査方向の補正量が格納される。各データ領域に格納される値は、例えば、正の値が副走査方向の上流側への補正量を示し、負の値が副走査方向の下流側への補正量を示し、絶対値が補正量の大きさ(ずれる画素の数)を示す。
【0040】
図6(a)のずれ量と、図6(b)の補正量とは、絶対値が同一で符号が逆の値である。すなわち、色ずれ補正データは、光学系の特性によって生じるずれ量を補正(相殺)するためのデータである。そして、色ずれ補正データは、後述する倍密処理部302で生成される倍密画像の主走査方向の画素数に対応する数の補正量を含む。但し、色ずれ補正データの具体的なデータ構造は、図6(b)の例に限定されない。
【0041】
以下、図7図10を参照して、制御回路200について説明する。図7は、本実施形態に係る画像形成装置100の機能ブロック図である。図8は、画像形成処理のフローチャートである。図9は、画像形成処理の過程で形成される各画像を示す図である。図10は、ずれ量を補正する処理を説明するための図である。
【0042】
図7に示すように、制御回路200は、画像分解部301と、倍密処理部302と、画素位置補正部303と、低解像度化処理部304と、LD点灯制御部305C、305M、305Y(走査処理部)とを主に備える。図7に示す各ブロックは、ROM207に記憶されたプログラムをCPU209が実行することによって実現される機能ブロックである。
【0043】
制御回路200は、例えば、媒体Pに画像を形成する指示を受け付けた場合に、図8に示す画像形成処理を実行する。制御回路200は、例えば、画像形成装置100に搭載されたスキャナやファクシミリから入力画像を取得してもよいし、通信インタフェースを通じて外部装置から入力画像を取得してもよい。
【0044】
入力画像は、媒体Pに記録すべき画像である。また、入力画像は、黒色を含むフルカラーの画像である。本実施形態に係る入力画像は、例えば図9に示すように、シアンで表現される画素(“◇”)と、イエローで表現される画素(“〇”)と、黒色で表現される画素(“×”)とを含む。但し、入力画像の具体例は図9の例に限定されず、マゼンタで表現される画素(“△”)や、2以上の色を重ねて表現される画素を含んでもよい。
【0045】
まず、画像分解部301は、取得した入力画像を、複数の分解画像(Cy画像、Ma画像、Ye画像)と、Bk用位置画像(黒色位置画像)とに分解する(S801)。また、画像分解部301は、画像形成に適した画素配置にするために、ディザ処理などの画像処理を実施してもよい。
【0046】
分解画像は、複数のトナーの色の1つで構成された単色の画像である。すなわち、入力画像は、複数の分解画像を重ね合わせることによって得られる画像である。Bk用位置画像は、入力画像の黒色の画素位置を示す画像である。入力画像、分解画像、及びBk用位置画像は、画像サイズ及び解像度(=第1解像度)が同一の画像である。
【0047】
より詳細には、画像分解部301は、入力画像を構成する複数の画素それぞれのシアンの階調(すなわち、当該画素に使用するシアンのトナー量)を示すCy画像と、入力画像を構成する複数の画素それぞれのマゼンタの階調(すなわち、当該画素に使用するマゼンタのトナー量)を示すMa画像と、入力画像を構成する複数の画素それぞれのイエローの階調(すなわち、当該画素に使用するイエローのトナー量)を示すYe画像とを形成する。また、画像分解部301は、入力画像を構成する複数の画素のうち、入力画像の黒色の画素に画素値“1”を設定し、その他の画素に画素値“0”を設定したBk用位置画像を形成する。
【0048】
そして、画像分解部301は、Ye画像及びBk用位置画像を倍密処理部302に同期させて転送する。これにより、画像データの転送タイミング調整が不要になるので、倍密処理部302での画素比較が容易になる。また、画像分解部301は、Cy画像をLD点灯制御部305Cに転送し、Ma画像をLD点灯制御部305Mに転送する。
【0049】
次に、倍密処理部302は、画像分解部301で形成されたBk用位置画像に基づいて、画像分解部301で分解されたYe画像を倍密化して、倍密画像を形成する(S802)。より詳細には、倍密処理部302は、Ye画像のうちのBk用位置画像で示される画素位置(すなわち、画素値“1”の画素位置)の画素密度を、第1解像度(例えば、1200dpi)から第2解像度(例えば、2400dpi)に倍密化する。
【0050】
倍密処理部302は、例えば図9に示すように、対象となる領域の画素密度を倍密化(図9の例では4倍)したうえで、倍密化後の各画素に元の画素の画素値をコピーする。なお、倍密処理部302は、Bk用位置画像で示される画素位置のみを倍密化することに代えて、Ye画像全体を倍密化してもよい。また、倍密処理部302は、後述する画素位置補正部303で使用するために、Ye画像と同様の方法でBk位置用画像も倍密化する。
【0051】
次に、画素位置補正部303は、倍密処理部302で倍密化されたYe画像の画素の位置を、色ずれ補正データに基づいて補正する(S803)。より詳細には、画素位置補正部303は、倍密化されたYe画像を構成する複数の画素のうち、Bk用位置画像で示される画素位置の画素それぞれを、色ずれ補正データで示される補正量だけ副走査方向にずらす。
【0052】
画素位置補正部303は、例えば図10に示すように、倍密画像補正用ラインメモリをRAM208に確保する。次に、画素位置補正部303は、倍密画像の主走査方向の1ラインずつを倍密画像補正用ラインメモリに転送する際に、当該ラインの画素を倍密化したBk用位置画像及び色ずれ補正データに基づいて補正する。以下、図10に示す倍密画像の“line”の位置の画素列を補正する場合について説明する。
【0053】
まず、画素位置補正部303は、倍密画像の“line”の位置の画素列のうち、Bk用位置画像の対応する画素に画素値“0”が設定されている画素(右の2画素)を、そのまま転送する。一方、画素位置補正部303は、倍密画像の“line”の位置の画素列のうち、Bk用位置画像の対応する画素に画素値“1”が設定されている画素(左の4画素)を、色ずれ補正データで示される補正量(図10の例では”1”)だけずれた画素(Line-1)の画素値に置換して転送する。また、置換する画素が存在しない場合は、予め定められた画素値(例えば、“0”)を設定する。
【0054】
なお、図10では簡素化のために、倍密画像の各画素に「画素値あり」を示す“1”、「画素値なし」を示す“0”を設定しているが、実際には階調(例えば、16階調)を示す値が格納される。また、図10では簡素化のために、色ずれ補正データに非黒色を示す“x”及び黒色を示す“1”のいずれかを設定しているが、色ずれ補正データの設定値はこれに限定されない。
【0055】
次に、低解像度化処理部304は、画素位置補正部303で画素の位置が補正されたYe画像のうち、倍密化された画素を第2解像度から第1解像度に低解像度化して、補正後の分解画像(Ye画像)を形成する(S804)。低解像度化処理部304は、例えば、倍密画像の注目画素の画素値と、注目画素の周辺の周辺画素の画素値との加重平均値を、注目画素及び周辺画素に対応する補正後の分解画像の画素の画素値とする。低解像度化処理部304の処理の詳細は、図11図15を参照して後述する。
【0056】
次に、LD点灯制御部305C、305M、305Yは、光学装置101に光ビームBMで感光体ドラム120C、120M、120Yを走査させることによって、Cy画像、Ma画像、及び補正後のYe画像に対応する潜像画像を感光体ドラム120C、120M、120Yに形成する(S805)。
【0057】
より詳細には、LD点灯制御部305Cは、画像分解部301から転送されたCy画像に従って、レーザダイオード(Cy_LD)から出力される光ビームBMで感光体ドラム120Cを走査することによって、Cy画像に対応する潜像画像を感光体ドラム120Cに形成する。また、LD点灯制御部305Mは、画像分解部301から転送されたMa画像に従って、レーザダイオード(Ma_LD)から出力される光ビームBMで感光体ドラム120Mを走査することによって、Ma画像に対応する潜像画像を感光体ドラム120Mに形成する。
【0058】
さらに、LD点灯制御部305Yは、低解像度化処理部304で低解像度化された補正後のYe画像に従って、レーザダイオード(Ye_LD)から出力される光ビームBMで感光体ドラム120Yを走査することによって、Ye画像に対応する潜像画像を感光体ドラム120Yに形成する。このとき、レーザダイオード(Ye_LD)から出力される光ビームBMは、fθレンズの特性などによって理想的な位置からズレる。そして、このズレと画素位置補正部303での補正とが相殺されて、感光体ドラム120Yの理想的な位置に光ビームBMが到達する。
【0059】
次に、制御回路200は、感光体ドラム120C、120M、120Yそれぞれに形成された潜像画像を、現像器121C、121M、121Yに対応する色のトナーで現像させる。次に、制御回路200は、感光体ドラム120C、120M、120Yそれぞれに現像された画像を重ねて、フルカラーの画像として中間転写ベルト130に転写する。そして、制御回路200は、中間転写ベルト130に転写されたフルカラーの画像を媒体Pに転写する(S806)。
【0060】
次に、図11図14を参照して、低解像度化処理部304の処理を説明する。なお、図11図14の例では、1200dpiの画像を600dpiの画像にする例を説明するが、2400dpiの画像を1200dpiにする場合も同様である。
【0061】
この場合、入力データ(解像度が1200dpiの二値濃度画像)に含まれる各画素の濃度を変換して画素密度が半分であっても擬似的に同等の解像度からなる画像を形成できるようにするために、0.5倍密変換処理が実行される。例えば、図11(a)に例示するように、主走査方向と副走査方向で解像度を半分に縮小した画像データを生成する。この図11(a)に示すような濃度分布を形成するために、レーザダイオード(Cy_LD、Ma_LD、Ye_LD)の出力を、図11(b)のように制御する。図11(b)に示す点線の曲線は、600dpiに相当する密度で構成されているレーザダイオード(Cy_LD、Ma_LD、Ye_LD)の位置から出射される光エネルギーの変位を示している。図11(b)に示すように、三つの発光素子を駆動して光エネルギーを放出すると、これらが合成された実線の曲線で表現されている光エネルギーの変位が得られる。この実線の光エネルギーにおいて、所定の閾値を超えた部分だけが画像形成に寄与するように調整すれば、図11(c)に例示するように、あたかも1200dpiの解像度からなる濃度配置と同様の画像を形成することができる。
【0062】
上記の0.5倍密変換処理の概要をより詳細に説明する。図12に示す濃度配置パターンは、1200dpiの二値濃度画像データに係るものとする。これを0.5倍密変換処理によって600dpiの多値濃度画像データに変換するとき、まず、副走査方向の解像度を半分にする処理を実行する。
【0063】
図12に例示する濃度配置からなる二値濃度画像データに対して、まず、副走査方向の0.5倍密処理を実行するために、低解像度化処理部304は、ある画素を注目画素とし、注目画素に対して副走査方向における前後に配置される画素を周辺画素とする。そして、低解像度化処理部304は、注目画素を含む主走査方向のラインと、周辺画素を含む主走査方向のラインを参照して、0.5倍密処理後の注目画素の階調を決定する。
【0064】
なお、走査周期の一周期内での注目画素は、y、y+2、y+2、y+4、y+6・・・になる。注目画素のラインと、周辺画素である副走査方向の前後のライン、例えばy-1のラインとy+1のラインの三つのラインを参照し、0.5倍密後の注目画素の階調D1(x,y)を決定する。より詳細には、以下の式(1)に例示するように、注目画素の濃度値に係数「2」を掛けて重み付けを行い、0.5倍密後の画素濃度D´(x,y)を決定する。なお、画像端に関しては、画像領域外を白画素として判定する。
【0065】
D´(x,y)=D(x,y-1)+2×D(x,y)+D(x,y+1)…式(1)
【0066】
なお、入力データの濃度値のデータ長が4bitの場合は、式(1)におけるD´(x,y)の取り得る階調を示す値の範囲は「0~60」になる。この場合、階調を表現するには6bitのメモリを持たせる必要がある。1画素4bitのデータ転送を想定した場合には、16値コードに階調情報を割り当てる必要がある。この場合、D´の値を右方向に2bit分、ビットシフト処理を行うことで、取り得る階調値の範囲を「0~15」にし、D1(16値コード)算出する。yラインについては、x+1以降の主走査位置についても、同様の処理を行う。
【0067】
次走査の注目画素はy+2のラインとなり、副走査方向の前後のライン(y+1とy+3)が周辺画素となる。以降の走査についても同様に処理を行う。これによって、図13に例示する状況になる。
【0068】
続いて、低解像度化処理部304は、副走査0.5倍密処理を行った画素に対して、主走査0.5倍密処理を行う。低解像度化処理部304は、主走査方向の二つの画素を参照して0.5倍密後の注目画素の階調を決定する。低解像度化処理部304は、副走査0.5倍密処理を行った主走査方向の連続した二つの画素に対し、主0.5倍密後の注目画素の階調D2を決定する。ここでは、D1(x,y)とD1(x+1,y)に対して処理を行う場合について説明する。
【0069】
低解像度化処理部304は、D1(x,y)とD1(x+1,y)を加算した結果に「1/2」を掛けて算出した値に階調値(0~15)を割り当てる。また、主走査方向に位相情報を与える場合、以下の様に濃度算出してもよい。
【0070】
例えば、D1(x,y)=D1(x+1,y)=0の場合は、全白として判定して、16値コードに割り当てる。D1(x,y)=D1(x+1,y)=15の場合は、全黒として判定して、16値コードに割り当てる。それ以外の場合は、D1(x,y)とD1(x+1、y)の階調の大小関係から、主走査方向の左右位相を判定する。後段への出力として、16値コードに位相情報と階調を割り当てるため、D1(x,y)とD1(x+1,y)を加算した結果に対して、「1/4」を掛けて階調値(0~7)を割り当てる。この場合、小数点以下は四捨五入する。より詳細には、D1(x,y)>D1(x+1,y)の場合は、左位相とする。また、D1(x,y)<D1(x+1,y)の場合は、右位相とする。そして、D1(x,y)=D1(x+1,y)の場合は、予め決められた設定値により左位相、右位相を選択する。
【0071】
上記にて説明したような流れで、0.5倍密変換処理を行うことで、図12に例示した画像データから図14に例示した画像データを生成することができる。この0.5倍密処理において、走査ラインの画素(注目画素)と、注目画素の周辺の画素(周辺画素)では濃度計算が異なる。したがって、注目画素の濃度値を示す注目画素データと、周辺画素の濃度値を示す周辺画素データの値が異なる状況になりうる。
【0072】
上記の実施形態によれば、例えば以下の作用効果を奏する。
【0073】
上記の実施形態によれば、色ずれ補正データを用いてYe画像をすることによって、光学系の特性による色ずれを相殺することができる。また、Ye画像を倍密化してから補正するので、微小単位で色ずれを補正することができる。その結果、プロセスブラックの端部における色ずれを防止することができる。なお、画素位置補正部303による補正は黒色の画素のみに行われるので、補正時に発生する濃度の変化による影響が出力画像に及ばない。
【0074】
なお、上記の実施形態では、最も色ずれが目立つYe画像のみを補正する例を説明したが、Cy画像、Ma画像、及びYe画像のうちの少なくとも1つを補正すればよい。但し、画素位置補正部303による補正にはラインメモリが必要になるので、色ずれが目立つ色のみに限定して補正を行うことによって、回路規模を小さくできる。
【0075】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0076】
5a,5b,5c :光学センサ
10a :発光部
11a,12a:受光部
13 :中間転写ベルト
13a :光学フィルタ
29 :CPU
100 :画像形成装置
101 :光学装置
102 :像形成部
103 :転写部
110 :ポリゴンミラー
111 :走査レンズ
112,114,115:反射ミラー
113 :レンズ
120 :感光体ドラム
121 :現像器
122 :帯電器
130 :中間転写ベルト
131,134,135:搬送ローラ
132 :1次転写ローラ
133 :2次転写ベルト
136 :定着装置
137 :定着部材
138 :排紙ローラ
139 :クリーニング部
200 :制御回路
201 :増幅部
202 :フィルタ
203 :変換部
204 :サンプリング制御部
205 :メモリ
206 :ポート
207 :ROM
208 :RAM
209 :CPU
210 :書込制御部
211 :コントローラ
212 :点灯制御部
213 :発光量制御部
301 :画像分解部
302 :倍密処理部
303 :画素位置補正部
304 :低解像度化処理部
305 :LD点灯制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0077】
【文献】特許第4748198号公報
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14