(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】情報処理装置、出力方法、および出力プログラム
(51)【国際特許分類】
G01N 21/892 20060101AFI20240416BHJP
B41J 29/393 20060101ALI20240416BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240416BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20240416BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240416BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
G01N21/892 A
B41J29/393 105
B41J29/38 302
B41J29/42 F
G03G21/00 510
G06T1/00 310A
(21)【出願番号】P 2020126830
(22)【出願日】2020-07-27
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】益子 陽太
(72)【発明者】
【氏名】北井 正
(72)【発明者】
【氏名】増田 明
(72)【発明者】
【氏名】小山 貴大
(72)【発明者】
【氏名】山本 賢吾
【審査官】三宅 克馬
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-164033(JP,A)
【文献】特開2016-061603(JP,A)
【文献】特開2010-080969(JP,A)
【文献】特開平09-081735(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/892
B41J 29/393
B41J 29/38
B41J 29/42
G03G 21/00
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置によって記録媒体上に形成された画像を読み取った読み取り画像データを取得する読み取り画像取得部と、
前記画像形成装置が画像形成出力を実行するための出力対象画像データを取得し、当該出力対象画像データに基づいて、前記読み取り画像データの検査を行うための検査用画像データを生成する検査用画像生成部と、
前記記録媒体の搬送によるズレ量に基づいて補正した読み取り画像データと、前記検査用画像生成部により生成された検査用画像データとを比較して画像異常を検出する画像検査部と、
前記画像検査部により画像異常が検出された場合、前記記録媒体の搬送によるズレ量に基づいて補正前の読み取り画像データにおける画像異常部分の位置を強調して出力する出力部と、
を備えた情報処理装置。
【請求項2】
前記出力部は、前記画像検査部により検出される画像異常の種類に応じて、前記強調の種類を変える、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記画像検査部は、前記読み取り画像データが示す画像を所定単位のブロックに分割し、当該読み取り画像データが示す画像を前記検査用画像データが示す画像の位置に射影変換するための変換係数を用いて、前記ブロック毎の前記ズレ量を算出する、請求項1または請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
記録媒体上に形成された画像を読み取った読み取り画像データと、前記読み取り画像データの検査を行うための検査用画像データとを比較した結果が、画像異常を示す結果である場合、前記記録媒体の搬送によるズレ量に基づいて補正前の読み取り画像データが示す画像における画像異常部分の位置を強調して出力する出力部を備えた、情報処理装置。
【請求項5】
画像形成装置によって記録媒体上に形成された画像を読み取った読み取り画像データを取得する読み取り画像取得工程と、
前記画像形成装置が画像形成出力を実行するための出力対象画像データを取得し、当該出力対象画像データに基づいて、前記読み取り画像データの検査を行うための検査用画像データを生成する検査用画像生成工程と、
前記記録媒体の搬送によるズレ量に基づいて補正した読み取り画像データと、前記検査用画像生成工程で生成した検査用画像データとを比較して画像異常を検出する画像検査工程と、
前記画像検査工程で画像異常を検出した場合、前記記録媒体の搬送によるズレ量に基づいて補正前の読み取り画像データにおける画像異常部分の位置を強調して出力する出力工程と、
を含む、出力方法。
【請求項6】
画像形成装置によって記録媒体上に形成された画像を読み取った読み取り画像データを取得する読み取り画像取得ステップと、
前記画像形成装置が画像形成出力を実行するための出力対象画像データを取得し、当該出力対象画像データに基づいて、前記読み取り画像データの検査を行うための検査用画像データを生成する検査用画像生成ステップと、
前記記録媒体の搬送によるズレ量に基づいて補正した読み取り画像データと、前記検査用画像生成ステップで生成した検査用画像データとを比較して画像異常を検出する画像検査ステップと、
前記画像検査ステップで画像異常を検出した場合、前記記録媒体の搬送によるズレ量に基づいて補正前の読み取り画像データにおける画像異常部分の位置を強調して出力する出力ステップと、をコンピュータに実行させる出力プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、出力方法、および出力プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷データに基づいて画像形成した印刷物の結果の有無を判定する技術が既に知られている。例えば、印刷データから生成した基準画像と印刷物を読取部で読み取って生成した読み取り画像との対応部分を比較した差分に基づき、印刷物の結果の有無を画像検査する技術が既に知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、基準画像と読み取り画像との比較をして、欠陥ありと判定した場合、再印刷要求する技術が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基準画像と読み取り画像とを比較した結果、画像異常を検出した場合(欠陥ありと判定した場合)、画像異常部分を示す情報を出力することも考えられる。この場合、適切に画像異常部分を示す情報を出力することが望まれる。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、基準画像と読み取り画像とを比較した結果、画像異常を検出した場合、適切に画像異常を示す情報を出力することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、画像形成装置によって記録媒体上に形成された画像を読み取った読み取り画像データを取得する読み取り画像取得部と、前記画像形成装置が画像形成出力を実行するための出力対象画像データを取得し、当該出力対象画像データに基づいて、前記読み取り画像データの検査を行うための検査用画像データを生成する検査用画像生成部と、前記記録媒体の搬送によるズレ量に基づいて補正した読み取り画像データと、前記検査用画像生成部により生成された検査用画像データとを比較して画像異常を検出する画像検査部と、前記画像検査部により画像異常が検出された場合、前記記録媒体の搬送によるズレ量に基づいて補正前の読み取り画像データにおける画像異常部分の位置を強調して出力する出力部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、基準画像と読み取り画像とを比較した結果、画像異常を検出した場合、適切に画像異常を示す情報を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る検査装置と、当該画像処理装置に接続されたプリンタ(印刷装置)とを含む画像処理システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る検査装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る画像処理システムを構成するプリンタおよび検査装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係るマスタ画像の生成動作を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、本実施形態に係る基準点設定処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る処理対象の画像の領域分割態様を示す図である。
【
図7】
図7は、本実施形態に係るエッジ抽出フィルタの例を示す図である。
【
図8】
図8は、本実施形態に係るエッジ抽出およびコーナー抽出の態様を示す図である。
【
図9】
図9は、本実施形態に係るコーナー検出フィルタの例を示す図である。
【
図10】
図10は、本実施形態に係るコーナー座標テーブルの例を示す図である。
【
図11】
図11は、本実施形態に係る比較検査処理を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、本実施形態に係るマスタ画像の補正動作を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、本実施形態に係る位置ズレ量を説明する図である。
【
図14】
図14は、本実施形態に係る異常個所を示す情報を出力する処理のフローチャートである。
【
図15】
図15は、異常個所を示す部分の座標変換をしないで強調表示した場合と、異常個所を示す部分の座標変換をして強調表示した場合とを比較例を示す図である。
【
図16】
図16は、本実施形態に係る画像異常の種類に応じて、強調表示情報の種類を変える例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、検査装置(情報処理装置)とプリンタ(画像形成装置)とを含む画像処理システムの実施の形態を詳細に説明する。以下では、検査装置(情報処理装置)とプリンタ(画像形成装置)が、短時間で大量の枚数を連続して印刷する商業印刷機(プロダクションプリンティング機)などの印刷装置を含むシステムに適用された場合を例に挙げて説明するが、これに限定されるものではない。
【0010】
図1は、本実施形態に係る検査装置103と、当該検査装置103に接続されたプリンタ101(印刷装置)とを含む画像処理システムの構成の一例を示す図である。プリンタ101は、用紙上(紙面上)に画像形成出力する装置である。プリンタ101は、タッチパネルなどの表示手段も兼ね備えた操作部102、給紙部105、ベルト111、ローラー112、ドラム113、ドラム114、ドラム115、ドラム116、ローラー117、および反転パス118を含む。プリンタ101は、操作部102を介した操作に基づき、外部から印刷画像(RIP画像)を含んだ印刷情報(印刷ジョブ)を受け取った場合、またはプリンタ101内に格納されている印刷ジョブの実行指示を受け取った場合に、印刷ジョブを実行する。プリンタ101は、印刷ジョブの内容に従って、給紙部105が供給する用紙(記録媒体)を図中の点線で示す経路に沿って搬送する。
【0011】
ドラム113、ドラム114、ドラム115、およびドラム116は、それぞれK(ブラック)、C(シアン)、M(マゼンダ)、Y(イエロー)のトナー像をベルト111上に重ね、搬送される用紙にローラー112がトナー像を転写する。ローラー117は、用紙上にトナー像を定着させる。なお、ドラム113、ドラム114、ドラム115、およびドラム116は、電子写真方式(電子写真プロセス)における帯電工程、露光工程、および現像工程が行われることによってトナー像を形成するドラムとする。
【0012】
片面印刷の場合には、用紙はそのまま検査装置103に排紙される。両面印刷の場合には、用紙は反転パス118において反転させられ、さらに反対側の面にもトナー像を転写・定着されて排紙される。
【0013】
検査装置103は、プリンタ101が印刷して出力した用紙(記録媒体)を検査する装置である。より詳細には、検査装置103は、プリンタ101の印刷出力を読み取り、読み取り結果から印刷が正常に行われているか検査する。検査装置103は、読み取りによって得られる読み取り画像と、ユーザが用意した原稿画像データのRIP・印刷・読み取りを想定したマスタ画像との比較によって、印刷品質の検査を行う。
【0014】
検査装置103は、読取部400a、読取部400bを含む。また、検査装置103は、排紙スタッカ104や排紙トレイ141と接続している。
【0015】
検査装置103は、プリンタ101から排紙された用紙の両面に印刷された印刷画像を読取部400aおよび読取部400bによってそれぞれ読み取り、排紙スタッカ104の排紙トレイ141などにスタックする。
【0016】
次に、検査装置103を構成するハードウェアについて説明する。
【0017】
図2は、本実施形態に係る検査装置103のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、検査装置103は、一般的なPC(Personal Computer)やサーバ等の情報処理装置と同様の構成を有する。即ち、検査装置103は、CPU(Central Processing Unit)10、RAM(Random Access Memory)20、ROM(Read Only Memory)30、HDD(Hard Disk Drive)40およびI/F50がバス90を介して接続されている。また、I/F50には、読取部400および専用デバイス80が接続されている。
【0018】
CPU10は演算手段であり、検査装置103全体の動作を制御する。RAM20は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU10が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM30は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD40は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納されている。
【0019】
I/F50は、バス90と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。専用デバイス80は、高速に画像処理を行うための専用の演算装置である。このような演算装置は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)として構成される。また、紙面上に出力された画像を読み取る読取部400における画像処理も、専用デバイス80によって実現される。読取部400は、例えば、検査装置103内部における搬送経路に設置されたラインスキャナやシートスルースキャナである。読取部400は、媒体搬送方向と直交方向に記録素子を複数配置する。なお、検査装置103は、ディスプレイなどの表示手段をさらに有してもよい。
【0020】
このようなハードウェア構成において、ROM30に格納されているプログラムや、HDD40または光学ディスク等の記録媒体からRAM20に読み出されたプログラムに従ってCPU10が演算を行うことにより、ソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、検査装置103の機能を実現する機能ブロックが構成される。
【0021】
本実施形態の検査装置103で実行されるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0022】
また、本実施形態の検査装置103で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施形態の検査装置103で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0023】
続いて、
図3を用いて、プリンタ101および検査装置103の機能を説明する。
図3は、本実施形態に係る画像処理システムを構成するプリンタ101および検査装置103の機能構成を示すブロック図である。
図3に示すように、本実施形態に係るプリンタ101は、RIP201、プリンタ制御部202、および画像生成制御部203を含む。
【0024】
RIP201は、いわゆるラスター・イメージ・プロセッサであり、印刷ジョブに含まれる画像データに基づいて、プリンタ101が画像形成を実行するためのビットマップデータ(RIP画像)を生成する部分である。例えば、RIP201は、PostScript等のPDLやTIFF等の画像を外部装置等から取得し、CMYKのプレーンのRIP画像を生成する。
【0025】
ここで、ビットマップデータは、画像形成を行うべき画像を構成する各画素の情報である。後述する画像生成制御部203は、二値画像に基づいて画像形成を実行するのに対し、印刷ジョブに含まれる画像データは、一般的に256階調等の多値画像となっている。したがって、RIP201は、多値画像である画像データから、二値画像であるビットマップデータへの変換を行う。ここでは、例えば、ビットマップデータを、CMYK各色1ビット、かつ600[dpi]のデータとする。
【0026】
プリンタ制御部202は、RIP201から取得したRIP画像を検査装置103および画像生成制御部203へ送出する部分である。すなわち、プリンタ制御部202は、RIP201からRIP画像を取得すると、取得したRIP画像を検査装置103および画像生成制御部203へ送出する。このように、プリンタ制御部202は、RIP画像を画像生成制御部203および検査装置103へ分配する。
【0027】
また、プリンタ制御部202は、検査装置103による検査結果に関する情報も取得する。プリンタ制御部202は、当該検査結果に関する情報として、検査結果を示す情報(画像異常部分を検出したか否かを示す情報)や検査結果画像を取得する。プリンタ制御部202は、検査結果に関する情報を取得すると、当該検査結果に関する情報を表示手段である操作部102へ表示出力する。例えば、検索結果画像として、画像異常部分の強調表画像を検査装置103から取得した場合、プリンタ制御部202は、当該画像異常部分を強調表示した画像を表示出力する。
【0028】
当該RIP画像は、画像生成制御部203によって紙面上に印刷されることから、当該RIP画像は、画像形成出力を実行するための出力対象画像となる。また、プリンタ制御部202は、当該RIP画像を検査装置103へ送出していることから、出力対象画像送出部として機能する。
【0029】
画像生成制御部203は、プリンタ制御部202から取得したRIP画像に基づいた画像を記録媒体(例えば、紙)に対して画像形成を実行し、印刷済みの印刷用紙(印刷物)を出力する部分である。なお、上述のように、画像形成については電子写真方式によるものとして説明したが、インクジェット方式等の他の画像形成方式を用いるものとしてもよい。
【0030】
このように、画像生成制御部203は、RIP画像を紙面上に画像形成出力する部分である。よって、画像生成制御部203は、画像形成出力部として機能する。
【0031】
次に、検査装置103の各構成について説明する。検査装置103は、マスタ画像生成部211、バッファ213、印刷画像読み取り部214、比較検査部215、および欠陥表示部216(出力部)を含む。
【0032】
マスタ画像生成部211は、上述したようにプリンタ101から入力された二値画像(RIP画像)を取得し、上記検査対象の画像(読み取り画像)と比較するための検査用画像データであるマスタ画像データを生成する。マスタ画像生成部211により生成されるマスタ画像は、例えば、RGB各色8ビット、かつ200[dpi]のデータである。マスタ画像生成部211は、例えば、
図2に示すCPU10によるプログラムの実行によって実現される。
【0033】
マスタ画像生成部211は、上述のように、プリンタ101から入力された二値画像によるマスタ画像データを生成すると共に、読み取り画像データが示す画像(読み取り画像)とマスタ画像データが示す画像(マスタ画像)との位置合わせのための基準を定めるためのマスタ画像の編集を行う。当該編集処理については、後述する。マスタ画像生成部211は、当該マスタ画像や位置合わせのための基準となる情報(基準点情報)をバッファ213に登録する。
【0034】
バッファ213は、マスタ画像生成部211により生成された情報を記憶する部分である。バッファ213は、
図2に示したRAM20やHDD40により実現される。
【0035】
印刷画像読み取り部214は、画像取得部の一例であり、プリンタ101で画像形成(印刷)が実行されて出力された印刷用紙の紙面上に形成された画像をインラインスキャナ等の読取手段で読み取った読み取り画像データを取得する部分である。印刷画像読み取り部214により取得された読み取り画像データが、検査装置103による検査の対象となる。印刷画像読み取り部214により取得された読み取り画像データは、例えばRGB各色8ビット、かつ200[dpi]のデータである。印刷画像読み取り部214は、
図2に示したCPU10によるプログラム、読取部400および専用デバイス80によって実現される。
【0036】
比較検査部215は、印刷画像読み取り部214から入力される読み取り画像データとマスタ画像生成部211が生成したマスタ画像データとを比較し、意図した通りの画像形成出力が実行されているか否かを判断し、画像異常(読み取り画像の異常)を検出する部分である。すなわち、比較検査部215は、印刷画像読み取り部214から入力される読み取り画像とマスタ画像生成部211が生成したマスタ画像データとを比較して検査を行う部分であり、画像検査部として機能する。比較検査部215は、例えば、
図2に示すCPU10によるプログラムの実行によって実現される。
【0037】
比較検査部215は、印刷画像読み取り部214から入力される読み取り画像データとマスタ画像生成部211が生成したマスタ画像データとを比較した結果、読み取り画像の異常を検出しなかった場合、検査結果情報として、読み取り画像が正常である旨をプリンタ101へ送出する。また、比較検査部215は、印刷画像読み取り部214から入力される読み取り画像データとマスタ画像生成部211が生成したマスタ画像データとを比較した結果、読み取り画像の異常を検出した場合、読み取り画像データ、検査結果情報、および欠陥座標情報等を欠陥表示部216へ送出する。ここで、検査結果情報は、画像異常を示す情報を含む情報である。また、欠陥座標情報は、欠陥部分(画像異常部分)の座標を示す情報である。
【0038】
欠陥表示部216は、比較検査部215による検査結果を出力する部分である。具体的に、欠陥表示部216は、比較検査部215による読み取り画像データとマスタ画像データとの比較結果が、画像異常を示す結果である場合、読み取り画像における画像異常部分の位置を強調表示した情報を出力する部分である。比較検査部215は、例えば、
図2に示すCPU10によるプログラムの実行によって実現される。
【0039】
次に、マスタ画像生成部211によるマスタ画像データの生成動作について説明する。
図4は、本実施形態に係るマスタ画像データの生成動作を示すフローチャートである。
図4に示すように、マスタ画像生成部211は、プリンタ101から二値画像を取得すると、CMYK二値、即ち各画素1bitの画像データを、各画素8bitの画像データに変換する(S401)。また、マスタ画像生成部211は、上記変換後の600dpiの画像データをインラインスキャナの読み取り解像度である200dpiに解像度変換する(S402)。
【0040】
更に、マスタ画像生成部211は、CMYK各画素8bitの画像データを、RGB(Red、Green、Blue)各画素24bitに変換する(S403)。
【0041】
S401~S403の処理により、CMYK二値の形式で入力された画像データが、印刷画像読み取り部214によって生成される読み取り画像データに対応した形式に変換され、マスタ画像データが生成される。
【0042】
その後、マスタ画像生成部211は、生成したマスタ画像データにおいて読み取り画像との位置合わせを行うための基準点設定処理を行う(S404)。
【0043】
この基準点設定処理の詳細について、
図5を参照して説明する。
図5は、本実施形態に係る基準点設定処理の詳細を示すフローチャートである。
図5に示すように、マスタ画像生成部211は、まず、生成したマスタ画像データに基づいてエッジ画像を生成する(S501)。
【0044】
ここで、マスタ画像データの元(印刷ジョブに含まれた画像データ)となるユーザ画像データ(ユーザ画像データが示す画像をユーザ画像とする)と、基準点位置を設定するための領域(基準点設定領域)について、
図6を参照して説明する。
図6は、本実施形態に係る処理対象の画像の領域分割態様を示す図である。マスタ画像生成部211は、
図6に示すような、請求書に関するユーザ画像におけるマスタ画像を領域A~領域Dに分けて、基準点位置(基準点の目標となる座標)を設定する。また、マスタ画像生成部211は、各領域で画像全体の中心から遠い点を基準点に設定する。なお、基準点設定領域および基準点の目標となる座標は、任意に設定することができる。
【0045】
図5に戻り、S501において、マスタ画像生成部211は、
図7に示すようなフィルタをマスタ画像に対して適用することにより、エッジ画像を生成する。
図7は、本実施形態に係るエッジ抽出フィルタの例を示す図である。マスタ画像生成部211は、例えば、
図7に示すようなフィルタを、マスタ画像のRGB各プレーンすべての画素に作用させることによりエッジ画像を生成する。
図7に示すフィルタは、互いに隣接する画素の差異に基づいて画像のエッジ(マスク画像に含まれる形状)を抽出するための一般的なフィルタである。
【0046】
ここで、
図8を用いて、エッジ抽出およびコーナー抽出の態様を説明する。
図8は、エッジ抽出およびコーナー抽出の態様を示す図である。マスタ画像生成部211は、例えば、
図8(a)に示すような画像(原画像)に対して
図7に示すようなフィルタを適用すると、
図8(b)に示すようなエッジを抽出する。
【0047】
マスタ画像生成部211は、エッジを抽出した後に、コーナー検出フィルタを用いてエッジのコーナーを検出する。ここで、
図9にコーナー検出フィルタの例を示す。
図9は、本実施例に係るコーナー検出フィルタの例を示す図である。マスタ画像生成部211は、
図9(a)~(d)に示すようなコーナー検出フィルタをエッジ画像のRGB各プレーン全ての画素に対して
図6に示した各基準点設定領域に作用させて、上述したように生成されたエッジ画像におけるエッジのコーナーを抽出する(S502)。
図9(a)~(d)に示すフィルタも、
図7に示すフィルタと同様、互いに隣接する画素の差異に基づいて画像のコーナー(画像中の形状のコーナー)を抽出するためのフィルタである。
【0048】
このようなフィルタの適用により、
図8(b)に示すようなエッジ画像に基づいて
図8(c)に示すようにコーナー(所定の閾値を超えた画素)が抽出される。
図8(c)に示すようにコーナーを抽出すると、マスタ画像生成部211は、抽出したコーナーの画素を基準点候補画素として、当該基準点候補画素の情報(コーナー座標テーブル)を生成する。
【0049】
ここで、
図10に、本実施形態に係るコーナー座標テーブルの例を示す。マスタ画像生成部211は、
図10に示すような、上記基準点候補画素の情報として、番号(基準点候補画素を一意に識別するための番号)と、基準点候補画素の位置を示す座標(X座標、Y座標)と、対象となるプレーンとを有する情報を生成する。
図13に示すテーブルにおいては、マスタ画像生成部211によって抽出されたコーナーの“座標”が、“番号”と関連付けられて格納されている。
【0050】
なお、本実施形態においては、
図7および
図9(a)~(d)に示すフィルタを、それぞれ画像のエッジ抽出および画像のコーナー抽出のために用いるが、これは一例であり、画像のエッジや画像のコーナーを抽出するためのあらゆる手法を用いることが可能である。
【0051】
なお、マスタ画像生成部211は、S501およびS502の処理を、RGBそれぞれの色毎に行う。これにより、RGBそれぞれの色毎に
図10に示したようなテーブルが生成される。S502の処理が完了すると、マスタ画像生成部211は、
図10に示すテーブルに格納されている“座標”のうち、
図6に示す領域A~D毎に、画像の中心から最も遠い座標を基準点として選択する(S503)。なお、マスタ画像生成部211は、各領域の中で、画像の中心から遠い座標を特定できない場合、用紙端のコーナーを基準点とするようにしてもよい。
【0052】
S503の処理において、マスタ画像生成部211は、画像の中心の座標と
図10に示したテーブルに格納されている“座標”それぞれとの直線の間隔を求め、領域A~D毎に、最も間隔の離れている座標を選択する。この他、領域A~D毎に、それぞれの座標について優先順位が設定されており、
図10に示したテーブルに格納されている“座標”のうち、優先順位が最も高い座標を選択するようにしてもよい。
【0053】
S503の処理により、マスタ画像生成部211は、領域A~Dそれぞれについて、合計4点の基準点を選択する。ここでも、マスタ画像生成部211は、RGBそれぞれの色毎に領域A~Dそれぞれについて、合計4点の基準点を選択する。更に、マスタ画像生成部211は、選択された基準点がどのように抽出された点であるかを示す情報を生成し、RGBいずれかを示す“プレーン”、
図6に示す領域A~Dいずれかを示す“領域”、および選択した“座標”を関連付けたテーブル情報(基準点選択結果テーブル)を基準情報として記憶媒体(バッファ213)に記憶(設定)させる。
【0054】
このような処理により、マスタ画像生成部211によるマスタ画像の生成処理および基準点の選択処理(基準点設定処理)が完了する。マスタ画像生成部211は、生成したマスタ画像データおよび基準点選択結果テーブルをバッファ213に入力する。これにより、比較検査部215が比較検査を実行する際に、マスタ画像データおよび基準点選択結果テーブルを参照して比較検査を実行することが可能となる。このように、マスタ画像生成部211は、マスタ画像に対してエッジ画像を生成し、コーナー検出して、当該コーナーを基準点部分として抽出できた場合、抽出した結果に基づいた基準点選択結果テーブルをバッファ213に記憶させる。
【0055】
次に、本実施形態に係る比較検査部215が実行する比較検査処理について説明する。
図11は、本実施形態に係る比較検査処理を示すフローチャートである。まず、印刷画像読み取り部214が、プリンタ101にて印刷された印刷用紙の画像を、読取部400aおよび読取部400bにて両面を読み取り、印刷画像読み取り部214が読み取った結果の画像である読み取り画像データを取得し比較検査部215へ送出する。比較検査部215は、印刷画像読み取り部214から読み取り画像データを取得すると共に(S1101)、バッファ213からマスタ画像データおよび基準点選択結果テーブルを取得する(S1102)。
【0056】
そして、比較検査部215は、マスタ画像データや基準点選択結果テーブルに格納されている情報に基づき、マスタ画像に合わせて読み取り画像を補正する(S1103)。
【0057】
S1103の処理が完了すると、比較検査部215は、マスタ画像を構成する画素と読み取り画像を構成する画素とをそれぞれ比較し、差分画像を抽出(出力)する(S1104)。画像形成出力が好適に実行されていれば、マスタ画像と読み取り画像との差異は少なく、その結果画像を構成する画素の階調値はほとんど同じ値になり、上記減算した結果の差はゼロに近くなる。他方、画像形成出力が意図したとおりに実行されていなければ、画素の階調値に差異が生じ、上記減算した結果の差がゼロに近い値にならない。
【0058】
比較検査部215は、このようにして生成された差分の値について、予め定められた所定の閾値と比較することにより欠陥判定を行う(S1105)。S1105の処理は、RGBそれぞれのプレーンごとに閾値を設定し、算出された差分と比較してもよいし、RGBそれぞれのプレーンについての差分に基づいて明度、色相、彩度全体の色のずれを算出し、その値に対して設定された閾値との比較により欠陥を判定してもよい。このような比較の結果、生成された差分の値が、閾値を超えていなければ、比較検査部215は、読み取り画像に欠陥が無いと判定する。また、当該生成された差分の値が、閾値を超えていれば、比較検査部215は、読み取り画像に欠陥ありと判定する。この場合、比較検査部215は、上記差分画像における、閾値を超えている箇所の座標情報(すなわち、異常部分の座標情報)を抽出する。
【0059】
比較検査部215は、欠陥の有無を判定した結果、欠陥が無い場合、欠陥が無い旨をプリンタ101へ送出する。また、比較検査部215は、欠陥の有無を判定した結果、欠陥が有る場合、読み取り画像等を欠陥表示部216へ送出する。
【0060】
続いて、S1103の処理の詳細について、
図12に示すフローチャートを参照して説明する。
図12は、本実施形態に係る読み取り画像の補正動作を示すフローチャートである。
図12に示すように、比較検査部215は、バッファ213に設定されている基準点選択結果テーブルに基づき、読み取り画像において対応する基準点を抽出する(S1201)。
【0061】
例えば、比較検査部215は、マスタ画像から抽出した基準点座標(基準点選択結果テーブルに登録されている座標)を取得し、当該基準点座標に基づいて位置合わせをする。具体的に、比較検査部215は、読み取り画像上で基準点座標を中心とした32×32画素の領域に対して、マスタ画像上の基準点座標を中心とする16×16画素の画像を基準点画像として、パターンマッチングにより基準点画像と一致度が一番高い領域を探し、読み取り画像における当該領域の中心点を基準点座標とする。
【0062】
S1201において、基準点座標を抽出した後、比較検査部215は、マスタ画像と読み取り画像とのそれぞれに対応する基準点座標から、読み取り画像をマスタ画像の位置に射影変換するための変換係数である座標変換係数を算出する(S1202)。
【0063】
ここで、変換係数を算出する例について説明する。マスタ画像の基準点nの座標を(MXn、MYn)として、読み取り画像の基準点nの座標を(SXn、SYn)とする。マスタ画像と読み取り画像の基準点座標の変換を一次関数で表すと、以下の式のようになる(Cx、Cyは定数)。
MXn=SXn*Ax+SYn*Bx+Cx
MYn=SXn*Ay+SYn*By+Cy
【0064】
Cx、Cyは定数なので、2点の基準点の情報があれば、それぞれ変換係数Ax、Bx、Ay、Byを算出できる。
【0065】
なお、S1202において、比較検査部215は、マスタ画像と読み取り画像とのそれぞれに対応する基準点座標から、変倍率を算出するようにしてもよい。
【0066】
比較検査部215は、読み取り画像を100×100画素単位のブロックに分割し、S1202で算出した座標変換係数を用いて、ブロック毎のマスタ画像に対する位置ズレ量を算出する(S1203)。
【0067】
続いて、比較検査部215は、ブロック毎のマスタ画像に対する位置ズレ量を用いて、読み取り画像のブロック毎の位置を補正する(S1204)。また、比較検査部215は、上記変倍率を用いて、公知技術によるリサンプリングをするようにしてもよい。
【0068】
ここで、
図13を用いて、位置ズレ量について説明する。
図13は、位置ズレ量を説明する図である。
図13に示すように、マスタ画像に対して読み取り画像は、所定量傾いている。一般的に、搬送ローラーなどにより用紙などの記録媒体を搬送する際、搬送ローラーの取り付け状態や、搬送ローラーの偏芯、記録媒体の特性などにより、記録媒体を搬送している際に媒体の姿勢が傾くことにより、媒体を読み取った画像が傾いてしまう。このように、読み取り画像は、記録媒体の搬送によりズレを生じる。すなわち、上述の位置ズレ量は、記録媒体の搬送によるズレ量である。
【0069】
そこで、上述のように、比較検査部215は、座標変換係数を算出する。そして、比較検査部215は、
図13に示す読み取り画像のように、読取画像をブロック(ブロックB1、ブロックB2等)に分割し、座標変換係数を用いて、ブロック毎のマスタ画像に対する位置ズレ量(記録媒体の搬送によるズレ量)を算出する。
図13の例では、ブロックB1の位置ズレ量は、X方向-4、Y方向-3であることを示す。なお、
図13に示す読み取り画像には、画像異常部分350が含まれる。この画像異常部分350は、いわゆる縦スジである。このように、比較検査部215は、座標変換係数を用いて、ブロック毎のマスタ画像に対する位置ズレ量を算出し、当該位置ズレ量に基づいて補正した読み取り画像と、マスタ画像とを比較することで画像異常を検出する。
【0070】
なお、比較検査部215は、
図11に示したS1105において、画像異常を検出した場合、画像異常を検出した旨を示す情報と、読み取り画像と、異常個所を示す情報(差分画像における異常部分の座標情報)と、位置ズレ量等のマスタ画像と読み取り画像との位置関係を示す情報と、座標変換係数とを欠陥表示部216へ送出する。なお、比較検査部215は、S1105において、位置ズレ量等のマスタ画像と読み取り画像との位置関係を示す情報を欠陥表示部216へ送出するのであれば、座標変換係数を送出しなくてもよい。
【0071】
続いて、
図14に示すフローチャートを参照して説明する。
図14は、本実施形態に係る異常個所を示す情報を出力する処理のフローチャートである。
【0072】
図11に示したS1105において、比較検査部215が、画像異常を検出した旨を示す情報と、読み取り画像と、異常個所を示す情報と、マスタ画像と読み取り画像との位置関係を示す情報と、座標変換係数とを欠陥表示部216へ送出すると、欠陥表示部216は、これらの情報を取得する(S1301)。
【0073】
続いて、欠陥表示部216は、異常個所を示す部分の座標変換のために、位置ズレ量の情報(補正値)を取得する(S1302)。
【0074】
欠陥表示部216は、位置ズレ量の情報を用いて、異常個所を示す部分の座標を補正し、読み取り画像における当該補正した位置に強調表示情報を付加して、画像異常を検出した旨を示す情報と、強調表示情報を付加した読み取り画像とをプリンタ101へ送出し、プリンタ101が当該読み取り画像を表示出力する(S1303)。このように、欠陥表示部216は、比較検査部215が、画像異常を検出した場合、位置ズレ量に基づいて画像異常部分(異常個所を示す部分)を補正して、読み取り画像における当該補正した位置に強調表示情報を付加した情報を出力する。
【0075】
ここで、
図15を用いて、異常個所を示す部分の座標変換をしないで強調表示した場合と、異常個所を示す部分の座標変換をして強調表示した場合とを比較する。
図15は、異常個所を示す部分の座標変換をしないで強調表示した場合と、異常個所を示す部分の座標変換をして強調表示した場合とを比較例を示す図である。
【0076】
図15(a)は、異常個所を示す部分の座標変換をしない場合の例を示す図である。
図13でも説明したように、マスタ画像に対して読み取り画像は、所定量分傾いている。上述のように、比較検査部215は、座標変換係数を用いて位置ズレ量を算出し、当該位置ズレ量を用いて読み取り画像データを補正し、補正した後の読み取り画像データとマスタ画像データとを比較して、当該比較した結果として差分画像データを出力する。読み取り画像に画像異常部分350が含まれる場合、当該差分画像に画像異常部分350が含まれる。差分画像に含まれる画像異常部分350は、補正した読み取り画像に基づいたものであるので、補正前の読み取り画像における画像異常部分350と位置が異なる。よって、仮に差分画像中の画像異常部分350に合わせて、強調表示情報360を出力してしまうと、
図15(a)の「欠陥位置表示イメージ」に示すように、補正前の読み取り画像中の画像異常部分350とずれた位置に強調表示情報360を表示することになってしまう。
【0077】
続いて、
図15(b)に、異常個所を示す部分の座標変換をした場合の例を示す。差分画像の画像異常部分350の位置を位置ズレ量に基づいて座標変換して、補正前の読み取り画像中の座標変換した位置に基づいて強調表示情報360を表示すると、
図15(b)の「欠陥位置表示イメージ」に示すように、補正前の読み取り画像の画像異常部分350に合わせた位置に強調表示情報360を表示することができる。
【0078】
なお、上記実施形態においては、コーナー抽出によって得られた基準点の候補のうち、より画像の中心から遠い点を選択する場合を例として説明した。これは、なるべく画像の四つ角に近い位置に基準点を設定することにより、読み取り画像が収縮している場合の基準点のずれが大きくなり、画像の収縮の検知が容易になるためである。
【0079】
なお、上記実施形態においては、
図9(a)~(d)において説明したように、コーナー抽出の際、
図6に示す領域A~Dそれぞれについて異なるフィルタを適用する場合を例として説明した。
図9(a)~(d)は、それぞれ抽出するべきコーナーの位置が異なるフィルタであり、
図9(a)は左上角、
図9(b)は右上角、
図9(c)は左下角、
図9(d)は右下角をそれぞれ抽出するためのフィルタである。これは、
図6に示す領域A~Dそれぞれにおいて抽出されるであろうコーナーに対応している。
【0080】
しかしながら、コーナー抽出の趣旨は画像において特徴的な点を抽出することであり、上記実施形態のように、領域A~Dと
図9(a)~(d)とをそれぞれ1対1で対応させることは必須ではない。
図9(a)~(d)すべてのフィルタを、領域A~Dそれぞれに対してすべて適用し、それぞれの領域から様々な種類のコーナーを抽出してもよい。
【0081】
他方、上記実施形態のように、領域A~Dそれぞれにおいて抽出するべきコーナーの種類を絞ることにより、経験則的に抽出される可能性が高いコーナーの抽出処理のみを行い、負荷を低減して処理を効率化することができる。
【0082】
また、上記実施形態においては、
図8等において説明したように、画像のエッジを抽出した後、エッジ画像のコーナーを抽出する場合を例として説明した。まずエッジ画像を生成することにより、コーナーとして抽出される対象を絞り込むことができ、処理負荷を軽減することができる。しかしながら、エッジ画像の生成は必須ではなく、マスタ画像に対してコーナー抽出処理を実行してもよい。
【0083】
また、上記実施形態においては、特に述べなかったが、欠陥表示部216は、画像異常の種類に応じて、強調表示情報の種類を変えて出力するようにしてもよい。ここで、
図16を用いて、画像異常の種類に応じて、強調表示情報の種類を変える例を説明する。
【0084】
図16は、画像異常の種類に応じて、強調表示情報の種類を変える例を説明する図である。
【0085】
図16(a)に示すように、画像異常部分350が、縦スジを示す場合、点線の強調表示情報360を出力する。
図16(b)に示すように、画像異常部分351が、横スジを示す場合、実線の強調表示情報361を出力する。
図16(c)に示すように、画像異常部分352が、ドット汚れを示す場合、一点鎖線の強調表示情報362を出力する。また、
図16(d)に示すように、画像異常部分353が、白抜けを示す場合、二点鎖線の強調表示情報363を出力する。
【0086】
なお、画像異常部分と、強調表示情報との対応は、
図16に示したものに限られない。画像異常部分を区別できればよい。また、強調表示情報として出力する線の太さを変えたり、当該線の色を変えたりしてもよいし、線の太さと色を組み合わせて区別するようにしてもよい。
【0087】
また、上述の実施形態では、検査装置103が、補正前の読み取り画像における画像異常部分350の部分に強調表示情報360を付した画像をプリンタ101へ送出し、プリンタ101が、当該画像を表示出力する場合について述べたが、これに限られない。例えば、検査装置103が、表示手段を備える場合、当該表示手段に、補正前の読み取り画像における画像異常部分350の部分に強調表示情報360を付した画像を表示出力するようにしてもよい。
【0088】
また、上述の実施形態では、プリンタ101が検査装置103へ印刷用紙を送出し、検査装置103の印刷画像読み取り部214が、当該印刷用紙の紙面上に形成された画像を読み取る場合について述べたが、これに限られない。例えば、プリンタ101が、印刷画像読み取り部214の機能を有していてもよい。
【0089】
以上のように、本実施形態に係る検査装置103では、比較検査部215が、座標変換係数を用いて、ブロック毎のマスタ画像に対する位置ズレ量を算出し、当該位置ズレ量に基づいて補正した読み取り画像と、マスタ画像とを比較することで画像異常を検出する。また、欠陥表示部216は、比較検査部215が、画像異常を検出した場合、位置ズレ量に基づいて画像異常部分(異常個所を示す部分)を補正して、補正前の読み取り画像における当該補正した位置に強調表示情報を付加した情報を出力する。これによって、検査装置103は、読み取り画像中の画像異常部分の位置に合わせて強調表示した情報を出力することができる。すなわち、検査装置103は、画像異常を検出した場合(欠陥ありと判定した場合)、適切に画像異常の場所を示す情報を出力することができる。
【0090】
なお、上記実施の形態では、本発明の画像処理装置である検査装置103を、プリンタ101と組み合わせて適用した例を挙げて説明したが、組み合わせる対象は、プリンタ101に限るものではなく、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機、複写機、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【符号の説明】
【0091】
10 CPU
20 RAM
30 ROM
40 HDD
50 I/F
80 専用デバイス
90 バス
101 プリンタ
103 検査装置
201 RIP
202 プリンタ制御部
203 画像生成制御部
211 マスタ画像生成部
213 バッファ
214 印刷画像読み取り部
215 比較検査部
216 欠陥表示部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0092】