(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】レトルトもち精麦食品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 7/10 20160101AFI20240416BHJP
A23L 3/00 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
A23L7/10 H
A23L3/00 101C
(21)【出願番号】P 2020197856
(22)【出願日】2020-11-30
【審査請求日】2023-04-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000001421
【氏名又は名称】キユーピー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591263514
【氏名又は名称】コープ食品株式会社
(72)【発明者】
【氏名】久 一治
【審査官】川崎 良平
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-165258(JP,A)
【文献】特開2015-084759(JP,A)
【文献】特開2014-187996(JP,A)
【文献】特開2012-060996(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 7/00- 7/104
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レトルトもち精麦食品であって、
レトルト処理後のもち精麦の膨潤率が220%以上290%以下であり、
該レトルトもち精麦食品30gと清水60gを300mLビーカーに入れ、マグネチックスターラーを用いて120rpm3分間撹拌した後の上清のBrix値が0.7質量%以上0.9質量%以下である、
レトルトもち精麦食品。
【請求項2】
水戻ししたもち精麦を40℃以上65℃以下の清水中で20分以上加熱処理し、
加熱処理したもち精麦を容器に充填してレトルト処理を行う、
レトルトもち麦食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、もち精麦のモチモチとした食感が好ましく、もち精麦の粒の形を維持したまま単粒化しやすい、食品のトッピングに適したレトルトもち精麦食品に関する。
【背景技術】
【0002】
もち精麦を用いた食品には、白米と混ぜて炊飯する生のもち精麦の他、電子レンジ加熱を行うことにより喫食できるレトルト米飯食品や、簡便に即食可能なレトルト処理済みの製品がある。
レトルトのもち精麦製品は、そのモチモチとした食感が好まれ、主食として喫食する他、サラダやスープ等のトッピングとして使用される場面も増えてきている一方、炊飯されたもち精麦のように粒の形が崩れてデンプンが過度に漏出することにより、もち精麦の粒同士が結着して単粒化しにくい状態になりがちである。このような状態のもち精麦はモチモチとした食感は有するものの、食品にかけやすいパラパラとした状態ではないため、サラダやスープ等へのトッピングとして使用する場合に使い勝手の良さに欠ける。
【0003】
もち精麦を用いた食品に関する技術としては、例えば、もち精麦の異臭抑制を目的としたもの(特許文献1)等があるが、もち精麦のモチモチした食感と、もち精麦の粒の形を維持したまま単粒化しやすい状態を両立することに着目したものはない。
もち精麦を単粒化しやすくする一般的な方法としては、例えば、もち精麦の粒を食用油脂でコーティングする方法が考えられるが、やや油っぽい食味になる、あるいは保存中の食用油脂の酸化により食味が低下する等の課題があり、もち精麦を単粒化しやすくするさらなる技術が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、もち精麦のモチモチとした食感が好ましく、もち精麦の粒の形を維持したまま単粒化しやすい、食品のトッピングに適したレトルトもち精麦食品を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、前記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた。その結果、もち精麦食品中のBrix値が特定の範囲となるようにすることで、もち精麦の食感や食味を損なうことなく、もち精麦の粒の形を維持したまま単粒化しやすくなることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、
(1)レトルトもち精麦食品であって、
レトルト処理後のもち精麦の膨潤率が220%以上290%以下であり、
該レトルトもち精麦食品30gと清水60gを300mLビーカーに入れ、マグネチックスターラーを用いて120rpm3分間撹拌した後の上清のBrix値が0.7質量%以上0.9質量%以下である、
レトルトもち精麦食品、
(2)水戻ししたもち精麦を40℃以上65℃以下の清水中で20分以上加熱処理し、
加熱処理したもち精麦を容器に充填してレトルト処理を行う、
レトルトもち麦食品の製造方法、
である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、もち精麦のモチモチとした食感が好ましく、もち精麦の粒の形を維持したまま単粒化しやすい、食品のトッピングに適したレトルトもち精麦食品を得ることができる。したがって、もち精麦の食シーンを広げることが期待される
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下本発明を詳細に説明する。
なお、本発明において「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を意味する。
【0010】
<本発明の特徴>
本発明は、レトルトもち精麦食品であって、レトルトもち精麦食品の膨潤率とBrix値が特定の範囲となるようにすることで、もち精麦のモチモチとした食感が好ましく、もち精麦の粒の形を維持したまま単粒化しやすい、食品のトッピングに適した状態であることに特徴を有する。
【0011】
<レトルトもち精麦食品>
本発明のレトルトもち精麦食品は、水戻し後、湯中で加熱したもち麦をレトルト処理したものであり、容器に充填密封して提供される。
用いる容器は、缶、ビン、プラスチック製の袋状容器などが挙げられるが、使い勝手等の観点から、プラスチック製の袋状容器がよい。
また、もち精麦食品は含気包装、真空包装のどちらでもよいが、もち精麦の単粒化のしやすさの観点から、含気包装されたものであるとよい。
本発明のレトルトもち精麦食品は、食品のトッピングに適したパラパラとした状態を有しており、特にサラダやスープ等へのトッピングに好ましく用いることができる。
【0012】
<もち精麦>
もち精麦とは、もち種の大麦を精麦して外皮を除去し、胚乳だけの粒としたものである。本発明のもち精麦は一般に流通しているものを用いることができる。
【0013】
<レトルト処理後のもち精麦の膨潤率>
レトルト処理後のもち精麦の膨潤率は、220%以上290%以下であり、さらに230%以上280%以下であるとよい。ここで、本発明においては、もち精麦の膨潤率は、水戻し前の生のもち精麦の質量に対する、レトルト後のもち精麦の質量の割合である。
もち精麦の膨潤率が前記範囲より小さいと、もち精麦が硬いままでモチモチとした食感が得られない。
もち精麦の膨潤率が前記範囲より大きいと、もち精麦が過度にやわらかくなって粒の形が崩れ、べたついて板状に結着する等してもち精麦を単粒化しにくく、食品のトッピングに適するパラパラとした状態とならない。また、もち精麦が容器にはりついて取り出しにくくなる。
【0014】
<レトルトもち精麦食品のBrix値>
本発明のレトルトもち精麦食品のBrix値は0.7%以上0.9%以下である。
Brix値が前記範囲より低いと、もち精麦は単粒化しやすいが、もち精麦が硬いままでモチモチとした食感が得られない。
Brix値が前記範囲より高いと、もち精麦がべたついて単粒化しにくく、食品のトッピングに適するパラパラとした状態とならない。
なお、レトルトもち精麦食品のBrix値の測定条件の詳細は後述するが、レトルトもち精麦食品30gと清水60gを300mLビーカーに入れ、マグネチックスターラーを用いて120rpm3分間撹拌した後の上清を測定した値であり、測定には糖度計を用いる。
【0015】
<その他原料>
本発明のレトルトもち精麦食品には、上記原料の他、本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択し、配合することができる。具体的には、例えば、うるち米、もち米、黒米、赤米、もち玄麦(もち種の大麦を精麦する前のもの)、押し麦、ライ麦、粟、稗、キビ、キヌア、アマランサス、トウモロコシ等の穀類、大豆、小豆、えんどう豆、ひよこ豆、レッドキドニー、ガルバンゾー等の豆類、人参、ゴボウ、レンコン、オリーブ等の野菜、酢酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸等の有機酸又はその塩及びこれらを含む食用酢等の酸味料、トレハロース等の糖類、でん粉分解物、デキストリン、アスコルビン酸、ビタミンE等の酸化防止剤、塩化カルシウム、乳酸カルシウム等のカルシウム塩、食塩等が挙げられる。
【0016】
<レトルトもち精麦食品の製造方法>
本発明のレトルトもち精麦食品は、水戻ししたもち精麦を湯中で加熱処理した後、レトルト処理を行うことにより製造される。
【0017】
<生のもち精麦の水戻し>
レトルトもち精麦食品に用いる生のもち精麦は乾物であるため、水戻しを行う。水戻しは常法により行えばよく、例えば、生のもち精麦が十分に浸る量の清水と生のもち精麦をタンクに入れて浸漬する方法や、生のもち精麦をタンクに入れて水を注加する方法がある。ここで、水戻しに用いる清水の量はもち精麦が十分に吸水できる程度であればよく、具体的には生のもち精麦の3質量倍以上であるとよく、5質量倍以上であるとさらによい。
水戻しの時間はもち精麦が十分に吸水できる程度であればよく、具体的には3時間以上浸漬するとよく、6時間以上浸漬するとなおよい。また、水戻しに使用する清水の温度は、常温であるとよい。
水戻し後のもち精麦の膨潤率は190%以上であるとよい。ここで、水戻し後のもち精麦の膨潤率とは、水戻し前の生のもち精麦の質量に対する、水戻し後の吸水したもち精麦の質量の割合である。
このようにして得られた水戻し後のもち精麦の膨潤率は、生のもち精麦の吸水性を考慮すると220%程度となるが、もち精麦の粒の形を維持したまま単粒化しやすくする観点から、210%以下とするとなおよい。
【0018】
<水戻し後のもち精麦の水切り>
水戻ししたもち精麦は、十分に水切りする。水切りの方法は特に限定されないが、吸水したもち精麦の粒が傷ついたり崩れたりしない方法で行うとよく、例えば、メッシュやザル等に静置する方法、タンクから排水する方法が挙げられる。
【0019】
<水切り後のもち精麦の加熱処理>
水切りしたもち精麦は、喫食に適する状態とすることを目的に加熱を行う。具体的には、水切り後のもち精麦を、清水に投入して所定の温度に到達した後、所定の時間加熱する。
なお、水切り後のもち精麦は、加熱前の清水に投入してから後述の温度まで加温して加熱してもよく
後述の温度に調整された清水に投入して加熱してもよい。
加熱処理に用いる清水の量は、もち精麦の吸水に不足しない程度の量であればよい。清水の量の上限は特に限定しないが、経済効率の観点から、もち精麦の4~6質量倍程度であればよい。
【0020】
<加熱処理温度>
水切りしたもち精麦の加熱温度は40℃以上65℃以下であり、さらに45℃以上60℃以下であるとよい。
加熱温度が前記範囲より低いと、もち精麦が硬いままでモチモチとした食感が得られない。
加熱温度が前記範囲より高いと、もち精麦が過度にやわらかくなってもち精麦の粒の形が崩れ、もち精麦が結着してしまい、単粒化しにくい。
【0021】
<加熱処理時間>
水切りしたもち精麦の加熱時間とは、清水に投入された水切りしたもち精麦が所定の加熱処理温度に達温してからの加熱時間をいう。
水切りしたもち精麦の加熱時間は20分以上であり、さらに25分以上であるとよい。
加熱時間が前記範囲より短いと、もち精麦が硬いままでモチモチとした食感が得られない。
加熱時間の上限は特に限定されないが、長時間加熱しても膨潤率はほぼ変化しないため、生産性の観点から120分以下がよく、さらに80分以下であるとよい。
【0022】
<容器充填>
加熱処理されたもち精麦は、容器に充填し、密封する。用いる容器は特に限定されないが、消費者の使い勝手等を考慮すると、プラスチック製の袋状容器がよい。
もち精麦食品は、空気等の気体とともに容器に充填密封する含気包装でもよく、容器充填後に脱気した真空包装でもよいが、もち精麦の粒の形を維持したまま単粒化しやすい状態を保持する観点から、含気包装とするのがよい。また、もち精麦食品とともに充填する気体は、もち精麦食品の品質を一定期間保持する上では不活性気体であるとよく、食品工業上使用しやすい窒素を用いるとよい。
含気包装のもち精麦食品は、もち精麦食品の容器に充填し、容器上部のヘッドスペースを気体で置換した後、容器を密封することで得られる。
【0023】
<レトルト処理>
容器に充填密封されたもち精麦食品は、レトルト処理に供される。
レトルト処理は常法により行えばよく、具体的には、容器に充填密封したもち精麦食品をレトルト釜に入れ、一般的な条件でレトルト処理を行う。
【0024】
<その他の工程>
本発明のレトルトもち精麦食品の製造においては、前述したもち精麦の水戻し、水切り、加熱処理、レトルト処理の前後で、もち精麦の洗浄や他の原料との混合等を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜行うことができる。
【0025】
以下、本発明について、実施例、比較例及び試験例に基づき具体的に説明する。なお、本発明は、これらに限定するものではない。
【実施例】
【0026】
[実施例1]
生のもち精麦1kgと常温の清水5kgをタンクに入れて8時間静置し、生のもち精麦の水戻しを行った。水戻したもち精麦の膨潤率は200%であった。
水戻ししたもち精麦を水切りした後、水切りしたもち精麦の5質量倍の清水に投入して加温し、55℃に到達してから30分間加熱した。加熱したもち精麦を清水中から取り出して水切りした後、40gを100mm×140mm×25mmのプラスチック製の袋状容器に充填し、該袋状容器のヘッドスペースを窒素置換した後、口部を熱シールして密封し、120℃で40分間レトルト処理を行い、本発明のレトルトもち精麦食品を得た。
【0027】
[試験例1]レトルト処理後のもち精麦の形及び食感
レトルト処理後のもち精麦の形は、専門のパネルが目視で確認し評価を行った。また、レトルト処理後のもち精麦の食感も、専門のパネルが喫食して評価を行った。
【0028】
[試験例2]レトルト処理後のもち精麦の膨潤率測定
レトルトもち精麦食品の膨潤率は、水戻し前の生のもち精麦(乾物)の質量、及び、レトルト処理後のもち精麦の質量を測定し、水戻し前の生のもち精麦(乾物)の質量を100%として、そこからの増質量分を100分率として算出した。
【0029】
[試験例3]レトルトもち精麦食品のBrix値測定
レトルトもち精麦食品のBrix値を測定した。測定方法及び測定に用いた機器は以下のとおりである。
<使用機器>
300mLビーカー
マグネチックスターラー((株)井内盛栄堂社製、型番TR-300H)
糖度計((株)アタゴ社製、型番RX-5000α)
<測定条件>
実施例1のレトルトもち精麦食品30gと清水60gを300mLビーカーに入れ、もち精麦が清水に完全に浸る状態でマグネチックスターラーを用いて120rpmで3分間撹拌した後、上清を採取し、前述の糖度計を用いてBrix値を測定した。
【0030】
実施例1において、レトルト後のもち精麦の膨潤率は260%であり、もち精麦の粒の形が維持され、モチモチと弾力のある食感が好ましいものであった。また、レトルトもち精麦食品のBrix値は0.8%であり、もち精麦は単粒化しやすく、食品のトッピングに適したパラパラとした状態であった。
【0031】
[実施例2]
加熱温度を45℃に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2のレトルトもち精麦食品を得た。
得られたレトルトもち精麦食品において、レトルト処理後のもち精麦の膨潤率は230%であり、もち精麦の粒の形が維持され、もち麦の食感はやや硬めではあったが問題のない程度であった。また、レトルトもち精麦食品のBrix値は0.7%であり、もち精麦は単粒化しやすく、食品のトッピングに適したパラパラとした状態であった。
【0032】
[実施例3]
加熱温度を60℃に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例3のレトルトもち精麦食品を得た。
得られたレトルトもち精麦食品において、レトルト処理後のもち精麦の膨潤率は280%であり、もち精麦の粒の形が維持され、モチモチとした食感が好ましいものであった。また、レトルトもち精麦食品のBrix値は0.8%であり、もち精麦は単粒化しやすく、食品のトッピングに適したパラパラとした状態であった。
【0033】
[実施例4]
加熱温度を65℃に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例4のレトルトもち精麦食品を得た。
得られたレトルトもち精麦食品において、レトルト処理後のもち精麦の膨潤率は280%であり、もち精麦の粒の形が維持され、モチモチとした食感が好ましいものであった。また、レトルトもち精麦食品のBrix値は0.9%であり、もち精麦は単粒化しやすく、食品のトッピングに適したパラパラとした状態であった。
【0034】
[実施例5]
加熱時間を50分に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例5のレトルトもち精麦食品を得た。
得られたレトルトもち精麦食品において、レトルト処理後のもち精麦の膨潤率は280%であり、もち精麦の粒の形が維持され、モチモチとした食感が好ましいものであった。また、レトルトもち精麦食品のBrix値は0.8%であり、もち精麦は単粒化しやすく、食品のトッピングに適したパラパラとした状態であった。
【0035】
[比較例1]
加熱温度を70℃に変更した以外は実施例1と同様にして、比較例1のレトルトもち精麦食品を得た。
得られたレトルトもち精麦食品は、もち精麦の粒の形が崩れてもち精麦の粒同士が板状に結着し、容器壁面に付着しているもち精麦もあった。レトルト処理後のもち精麦の膨潤率は300%であり、もち精麦が過度に柔らかくなっていてモチモチとした食感は得られなかった。なお、レトルトもち精麦食品のBrix値は0.9%であった。
【0036】
[比較例2]
加熱温度を35℃に変更した以外は実施例1と同様にして、比較例2のレトルトもち精麦食品を得た。
得られたレトルトもち精麦食品において、もち精麦の粒の形は維持されており、食品のトッピングに適したパラパラとした状態であったものの、もち精麦が硬いままでモチモチとした食感は得られなかった。なお、レトルト処理後のもち精麦の膨潤率は200%、レトルトもち精麦食品のBrix値は0.6であった。
【0037】
[比較例3]
加熱時間を10分に変更した以外は実施例1と同様にして、比較例3のレトルトもち精麦食品を得た。
得られたレトルトもち精麦食品は、もち精麦の粒の形は維持されており、食品のトッピングに適したパラパラとした状態であったものの、もち精麦が硬いままでモチモチとした食感は得られなかった。なお、レトルト処理後のもち精麦の膨潤率は200%、レトルトもち精麦食品のBrix値は0.6であった。
【0038】
[実施例6]
加熱処理後、水切りしたもち精麦と、常法により加熱処理したえんどう豆及び黒米を混合した以外は実施例1と同様にして、えんどう豆と黒米を混合したレトルトもち精麦食品を得た。なお、もち精麦、えんどう豆及び黒米の混合割合は、70:15:15である。また、実施例6において、Brix値はもち精麦のみを取り出して測定したものである。
得られたレトルトもち精麦食品において、もち精麦の膨潤率は280%であり、もち精麦の粒の形が維持され、モチモチとした食感が好ましいものであった。また、レトルトもち精麦食品のBrix値は0.7%であり、もち精麦は単粒化しやすく、食品のトッピングに適したパラパラとした状態であった。