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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】配管溶接部の監視装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/095 20060101AFI20240416BHJP
   B23K 9/028 20060101ALI20240416BHJP
   B23K 31/00 20060101ALI20240416BHJP
   B23K 37/00 20060101ALI20240416BHJP
   B23K 37/047 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
B23K9/095 515A
B23K9/028 F
B23K31/00 N
B23K37/00 301B
B23K37/047 502
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021204570
(22)【出願日】2021-12-16
(65)【公開番号】P2023089826
(43)【公開日】2023-06-28
【審査請求日】2023-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】320011650
【氏名又は名称】大陽日酸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 勝則
【審査官】山内 隆平
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-153356(JP,A)
【文献】特開平08-267285(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0137254(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 9/095
B23K 9/028
B23K 31/00
B23K 37/00
B23K 37/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管の周方向に沿って溶接を行う際に、前記配管の内側から前記配管の溶接部を監視する配管溶接部の監視装置であって、
前記配管の内側から前記配管の溶接部を撮影するカメラと、
前記カメラを保持するカメラ保持部と、
前記配管に固定される配管固定部と、
前記配管の内側にバックシールドガスを導入するガス導入部とを備え
前記配管固定部に対して前記カメラ保持部側を前記配管の軸回りに回転自在に支持する回転支持部を備え、
前記配管の回転に対する前記カメラの供回りを防ぐ供回り防止機構を備えることを特徴とする配管溶接部の監視装置。
【請求項2】
配管の周方向に沿って溶接を行う際に、前記配管の内側から前記配管の溶接部を監視する配管溶接部の監視装置であって、
前記配管の内側から前記配管の溶接部を撮影するカメラと、
前記カメラを保持するカメラ保持部と、
前記配管に固定される配管固定部と、
前記配管の内側にバックシールドガスを導入するガス導入部とを備え、
前記配管固定部に対して前記カメラ保持部側を前記配管の軸回りに回転自在に支持する回転支持部を備え、
前記ガス導入部は、前記回転支持部と前記カメラ保持部との間に配置されていることを特徴とする配管溶接部の監視装置。
【請求項3】
前記配管と前記カメラとの間を電気的に絶縁する絶縁部を備えることを特徴とする請求項2に記載の配管溶接部の監視装置。
【請求項4】
前記絶縁部は、前記回転支持部と前記ガス導入部との間、又は、前記ガス導入部と前記カメラ保持部との間を連結する絶縁筒であることを特徴とする請求項3に記載の配管溶接部の監視装置。
【請求項5】
配管の周方向に沿って溶接を行う際に、前記配管の内側から前記配管の溶接部を監視する配管溶接部の監視装置であって、
前記配管の内側から前記配管の溶接部を撮影するカメラと、
前記カメラを保持するカメラ保持部と、
前記配管に固定される配管固定部と、
前記配管の内側にバックシールドガスを導入するガス導入部とを備え、
前記カメラ保持部と前記溶接部との間に配置された広角レンズを備え、
前記広角レンズの周囲を保持するレンズ保持部を備え、
前記レンズ保持部には、前記バックシールドガスを流通させる流路が設けられていることを特徴とする配管溶接部の監視装置。
【請求項6】
前記カメラ保持部と前記溶接部との間に配置された広角レンズを備えることを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の配管溶接部の監視装置。
【請求項7】
前記広角レンズは、両凸レンズであることを特徴とする請求項5又は6に記載の配管溶接部の監視装置。
【請求項8】
前記カメラ保持部の前記溶接部側の面には、前記バックシールドガスの進入を阻止するカバーレンズが設けられていることを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の配管溶接部の監視装置。
【請求項9】
前記ガス導入部は、前記配管の前記配管固定部が取り付けられる側とは反対側に配置されている請求項1に記載の配管溶接部の監視装置。
【請求項10】
前記配管固定部には、前記バックシールドガスを排出するガス流出口が設けられている請求項9に記載の配管溶接部の監視装置。
【請求項11】
前記カメラ保持部には、前記カメラを操作するための開口部が設けられていることを特徴とする請求項1~5に記載の配管溶接部の監視装置。
【請求項12】
前記配管固定部は、前記配管の径に応じた径を有するアタッチメントを含むことを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の配管溶接部の監視装置。
【請求項13】
配管の周方向に沿って溶接を行う際に、前記配管の内側から前記配管の溶接部を監視する配管溶接部の監視装置であって、
前記配管の内側から前記配管の溶接部を撮影するカメラと、
前記カメラを保持するカメラ保持部と、
前記配管に固定される配管固定部と、
前記配管の内側にバックシールドガスを導入するガス導入部とを備え、
前記ガス導入部は、前記配管固定部と前記カメラ保持部との間に配置されており、
前記配管固定部に対して前記カメラ保持部側が固定されていることを特徴とする配管溶接部の監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管溶接部の監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、金属や非鉄金属などを母材として用いた構造物(被溶接物)の溶接には、従来よりTIG溶接(Tungsten Inert Gas welding)又はプラズマアーク溶接等のGTAW(Gas Tungsten Arc welding)と呼ばれる非消耗電極式のガスシールドアーク溶接が用いられている。
【0003】
また、MIG溶接(Metal Inert Gas welding)、MAG溶接(Metal Active Gas welding)又は炭酸ガスアーク溶接等のGMAW(Gas Metal Arc welding)と呼ばれる消耗電極式のガスシールドアーク溶接が用いられている。
【0004】
これらの溶接方法では、一般に溶接用トーチを使用し、電極と被溶接物(母材)との間でアークを発生させて、このアークの熱により被溶接物を溶かして溶融池(プール)を形成しながら、溶接が行われる。また、溶接中は電極の周囲を囲むトーチノズルからシールドガスを放出し、このシールドガスで大気(空気)を遮断しながら溶接が行われる。
【0005】
ところで、配管を軸回りに回転させながら、この配管の周方向に沿って溶接を自動で行う配管の自動溶接装置では、配管を軸回りに回転させながら溶接を行うため、溶接時に配管の外側から配管の溶接部を監視することが一般的である。
【0006】
一方、溶接後に配管内面の探傷を検査する装置が提案されている。(例えば、下記特許文献1を参照。)。具体的に、この特許文献1には、配管の内面に浸透液を噴霧し、当該内面に洗浄液を噴霧して当該内面の表面上の上記浸透液を除去した後、当該内面に現像液を噴霧し、当該内面をカメラで撮影することにより、当該内面を探傷する配管内面検査装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平9-229875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の検査装置は、溶接後に配管の内側から配管の溶接部を検査するものであり、溶接時に軸回りに回転する配管の内側から配管の溶接部を監視することは不可能な構成となっている。
【0009】
一方、上述した配管の自動溶接装置では、溶接状態の監視を行うため、溶接時に配管の内側から配管の溶接部を監視することが求められている。
【0010】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、配管の周方向に沿って溶接を行う際に、配管の内側から配管の溶接部を監視することを可能とした配管溶接部の監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 配管の周方向に沿って溶接を行う際に、前記配管の内側から前記配管の溶接部を監視する配管溶接部の監視装置であって、
前記配管の内側から前記配管の溶接部を撮影するカメラと、
前記カメラを保持するカメラ保持部と、
前記配管に固定される配管固定部と、
前記配管の内側にバックシールドガスを導入するガス導入部とを備えることを特徴とする配管溶接部の監視装置。
〔2〕 前記配管固定部に対して前記カメラ保持部側を前記配管の軸回りに回転自在に支持する回転支持部を備えることを特徴とする前記〔1〕に記載の配管溶接部の監視装置。
〔3〕 前記配管の回転に対する前記カメラの供回りを防ぐ供回り防止機構を備えることを特徴とする前記〔2〕に記載の配管溶接部の監視装置。
〔4〕 前記ガス導入部は、前記回転支持部と前記カメラ保持部との間に配置されていることを特徴とする前記〔2〕又は〔3〕に記載の配管溶接部の監視装置。
〔5〕 前記配管と前記カメラとの間を電気的に絶縁する絶縁部を備えることを特徴とする前記〔4〕に記載の配管溶接部の監視装置。
〔6〕 前記絶縁部は、前記回転支持部と前記ガス導入部との間、又は、前記ガス導入部と前記カメラ保持部との間を連結する絶縁筒であることを特徴とする前記〔5〕に記載の配管溶接部の監視装置。
〔7〕 前記カメラ保持部よりも前方に配置された広角レンズを備えることを特徴とする前記〔1〕~〔6〕の何れか一項に記載の配管溶接部の監視装置。
〔8〕 前記広角レンズは、両凸レンズであることを特徴とする前記〔7〕に記載の配管溶接部の監視装置。
〔9〕 前記広角レンズの周囲を保持するレンズ保持部を備え、
前記レンズ保持部には、前記バックシールドガスを流通させる流路が設けられていることを特徴とする前記〔7〕又は〔8〕に記載の配管溶接部の監視装置。
〔10〕 前記カメラ保持部の前面には、前記バックシールドガスの進入を阻止するカバーレンズが設けられていることを特徴とする前記〔1〕~〔9〕の何れか一項に記載の配管溶接部の監視装置。
〔11〕 前記ガス導入部は、前記配管の前記配管固定部が取り付けられる側とは反対側に配置されている前記〔2〕又は〔3〕に記載の配管溶接部の監視装置。
〔12〕 前記配管固定部には、前記バックシールドガスを排出するガス流出口が設けられている前記〔11〕に記載の配管溶接部の監視装置。
〔13〕 前記カメラ保持部には、前記カメラを操作するための開口部が設けられていることを特徴とする前記〔1〕~〔12〕の何れか一項に記載の配管溶接部の監視装置。
〔14〕 前記配管固定部は、前記配管の径に応じた径を有するアタッチメントを含むことを特徴とする前記〔1〕~〔13〕の何れか一項に記載の配管溶接部の監視装置。
〔15〕 前記配管固定部に対して前記カメラ保持部側が固定されていることを特徴とする前記〔1〕に記載の配管溶接部の監視装置。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によれば、配管の周方向に沿って溶接を行う際に、配管の内側から配管の溶接部を監視することを可能とした配管溶接部の監視装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る監視装置の配管に取り付けられた状態を示す斜視図である。
図2図1に示す配管に取り付けられた監視装置を示す側面図である。
図3図2に示す監視装置の一部を分解した側面図である。
図4図3に示す監視装置の更に一部を分解した側面図である。
図5図1に示す監視装置が備えるレンズ保持部の構成を示す分解斜視図である。
図6図1に示す監視装置を用いて溶接時に配管の溶接部を撮影した写真である。
図7図1に示す監視装置の配管の内側に嵌め付けられた状態を示す斜視図である。
図8】本発明の他の実施形態に係る監視装置の配管に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
本発明の一実施形態として、例えば図1図7に示す配管溶接部の監視装置1について説明する。
【0015】
なお、図1は、監視装置1の配管Pに取り付けられた状態を示す斜視図である。図2は、監視装置1の構成を示す側面図である。図2は、配管Pに取り付けられた監視装置1を示す側面図である。図3は、監視装置1の一部を分解した側面図である。図4は、監視装置1の更に一部を分解した側面図である。図5は、監視装置1が備えるレンズ保持部の構成を示す分解斜視図である。図6は、監視装置1を用いて溶接時に配管Pの溶接部Wを撮影した写真である。図7は、監視装置1の配管Pの内側に嵌め付けられた状態を示す斜視図である。
【0016】
本実施形態の監視装置1は、図1に示すように、ポジショナ100に取り付けられた配管Pを軸回りに回転させながら、配管Pの周方向に沿ってTIG溶接を自動で行う際に、この配管Pの内側から配管Pの溶接部Wを監視するものである。
【0017】
具体的に、この監視装置1は、図1図4に示すように、配管Pの内側から配管Pの溶接部Bを撮影するカメラ2と、カメラ2を保持するカメラ保持部3と、配管Pに固定される配管固定部4と、配管固定部4に対してカメラ保持部3側を配管Pの軸回りに回転自在に支持する回転支持部5と、配管Pの内側にバックシールドガスを導入するガス導入部6と、配管Pとカメラ2との間を電気的に絶縁する絶縁部7とを備えている。
【0018】
カメラ2は、CCDやCMOSセンサなどの撮像素子を有して、この撮像素子が受像した光を光電変換して電気信号として出力する。これにより、カメラ2では、外部のモニタに画像を表示したり、外部の記憶装置に画像を記録したりすることが可能となっている。
【0019】
カメラ2は、配管Pの内側から配管Pの溶接部Wをワイドダイナミックレンジで撮影する機能(ワイドダイナミックレンジ機能)を有している。ワイドダイナミックレンジ機能では、電子シャッターのシャッター速度を変えながら、被写体(本実施形態では溶接部W)の明部に対応した画像と暗部に対応した画像とを撮像した後、これらの画像をデジタル信号処理で合成することによって、被写体の明部と暗部とを鮮明に映し出した画像を得ることが可能である。
【0020】
カメラ保持部3は、カメラ2の前側、具体的にはカメラ2のレンズ鏡筒2aを内側に保持する略円筒状の保持具8を有している。保持具8は、例えば、アルミニウム合金やマグネシウム合金などの非鉄金属又は金属、若しくは耐熱性及び難燃性を有した樹脂などからなる。保持具8は、レンズ鏡筒2aの周囲を覆った状態で、カメラ2に対してネジ止めなどの固定手段を介して着脱自在に取り付けられている。
【0021】
保持具8の側面部には、カメラ2のレンズ鏡筒2aを操作するための開口部8aが設けられている。これにより、保持具8が取り付けられた状態のまま、カメラ2のピント調整や絞り調整などの操作を行うことが可能である。
【0022】
配管固定部4は、ポジショナ100に取り付けられた配管Pの先端側に監視装置1を固定するものであり、略円筒状の固定具9と、配管Pの径に応じた径を有する略円筒状のアタッチメント10と有している。固定具9及びアタッチメント10は、例えばステンレス鋼などの耐熱性に優れた金属からなる。
【0023】
固定具9は、後述する回転支持部5に対して回転自在に取り付けられている。アタッチメント10は、例えばネジ止めなどの固定手段を介して固定具9の前側に着脱自在に取り付けられている。
【0024】
アタッチメント10は、配管Pの先端側の周囲を覆った状態で、配管Pの外周部に対してネジ止めなどの固定手段を介して着脱自在に取り付けられる。これにより、監視装置1は、配管固定部4を介して配管Pの先端側に片持ち支持された状態で取り付けられる。
【0025】
回転支持部5は、一対のベアリング11a,11bを有し、これら一対のベアリング11a,11bが固定具9を前後方向から挟み込んだ状態で、固定具9を回転自在に支持している。
【0026】
ガス導入部6は、バックシールドガスを導入する略円筒状のガス導入配管12を有している。ガス導入配管12は、例えば、アルミニウム合金やマグネシウム合金などの非鉄金属又は金属、若しくは耐熱性及び難燃性を有した樹脂などからなる。ガス導入配管12は、例えばネジ止めなどの固定手段を介してカメラ保持部3の前側に着脱自在に取り付けられている。
【0027】
また、ガス導入配管12の側面部には、バックシールドガスをガス導入配管12の内側に導入するためのガス流入口12aが設けられている。
【0028】
一方、保持具8の前面には、ガス導入部6からのバックシールドガスの進入を阻止する透明なカバーレンズ13が設けられている。カバーレンズ13は、保持具8とガス導入配管12との間を仕切るように配置されている。
【0029】
絶縁部7は、ベアリング11b(回転支持部5)とガス導入配管12(ガス導入部6)との間を連結する略円筒状の絶縁筒14を有している。絶縁筒14は、例えば絶縁樹脂又はセラミックスからなる。絶縁筒14は、その後端がガス導入配管12の内側に嵌め付けられると共に、その外周部に取り付けられた固定リング14aと固定具9との間でベアリング11bを挟み込むことによって回転自在に支持されている。
【0030】
本実施形態の監視装置1は、図3図5に示すように、固定具9(配管固定部4)とベアリング11a(回転支持部5)との間に配置された広角レンズ15と、広角レンズ15の周囲を保持するレンズ保持部16とを備えている。
【0031】
広角レンズ15は、両凸レンズからなることが好ましい。レンズ保持部16は、広角レンズ15の周囲を前後方向から挟み込む一対のレンズ保持枠16a,16bを有して、絶縁筒14の前端に取り付けられている。一対のレンズ保持枠16a,16bは、円形リング状に形成されると共に、その間にバックシールドガスを流通させるための流路が設けられた構成となっている。
【0032】
具体的に、一対のレンズ保持枠16a,16bのうち、後側のレンズ保持枠16bには、シールドガスを流通させる複数のガス孔17が周方向に並んで設けられている。一対のレンズ保持枠16a,16bは、ワッシャ18を介して広角レンズを挟み込んだ状態で、例えばネジ止めなどの固定手段を介して一体に固定される。
【0033】
これにより、バックシールドガスは、複数のガス孔17から一対のレンズ保持枠16a,16bの間に形成される隙間を通して配管Pの内側へと導入されることになる。
【0034】
本実施形態の監視装置1は、図1に示すように、配管Pを軸回りに回転させながら、溶接時に配管Pの内側から配管Pの溶接部Wを監視する際に、配管Pの回転に対するカメラ2の供回りを防ぐ供回り防止機構19を備えている。
【0035】
本実施形態の監視装置1では、配管固定部4に対してカメラ保持部3側が回転支持部5を介して回転自在に支持されている。供回り防止機構19は、この監視装置1のカメラ保持部3側に重り20を吊り下げられた状態で取り付ける。これにより、監視装置1では、配管固定部4が配管Pと共に回転するものの、重り20は常に鉛直下向きに吊り下げられた状態となるため、配管Pの回転中もカメラ2の正立状態を維持することが可能である。
【0036】
なお、供回り防止機構19については、重り20を吊り下げた状態で取り付ける構成に限らず、配管固定部4に対してカメラ保持部3側が回転しないように、カメラ保持部3側を固定する構成であればよい。
【0037】
以上のような構成を有する本実施形態の監視装置1では、図1に示すように、配管Pを軸回りに回転させながら、配管Pの周方向に沿って溶接を行う際に、配管Pの内側にバックシールドガスを導入しながら、配管Pの内側をカメラ2により撮影する。
【0038】
本実施形態の監視装置1では、図6に示すように、カメラ2を回転させることなく、配管Pの内側をカメラ2により撮影することが可能である。したがって、本実施形態の監視装置1では、配管Pの溶接時に配管Pの内側から配管Pの溶接部Wを全周に亘って監視することが可能である。
【0039】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記監視装置1では、上述した配管固定部4のアタッチメント10を介して配管Pの外周部に取り付けられた構成となっているが、配管Pの径によっては、図7に示すように、配管Pの内側に固定具9を嵌め込んだ状態で取り付けることも可能である。
【0040】
また、上記監視装置1では、上述した保持具8(カメラ保持部3)と絶縁筒14(絶縁部7)との間にガス導入配管12(ガス導入部6)が配置された構成となっているが、ガス導入部6については、回転支持部5とカメラ保持部3との間に配置された構成であればよく、ベアリング11b(回転支持部5)と絶縁筒14(絶縁部7)との間にガス導入配管12(ガス導入部6)を配置することも可能である。
【0041】
また、上記監視装置1では、上述した絶縁筒14(絶縁部7)がベアリング11b(回転支持部5)とガス導入配管12(ガス導入部6)との間を連結した構成となっているが、ガス導入配管12(ガス導入部6)と保持具8(カメラ保持部3)との間を連結する絶縁筒14(絶縁部7)を配置した構成とすることも可能である。
【0042】
また、上記監視装置1では、上述した回転支持部5を備えた構成となっているが、例えば図8に示す監視装置1Aのように、回転支持部5を省略し、配管固定部4に対してカメラ保持部3側が固定された構成としてもよい。なお、図8は、監視装置1Aの配管Pに取り付けられた状態を示す斜視図である。
【0043】
具体的に、この監視装置1Aは、上記監視装置1の構成のうち、ベアリング11a,111b(回転支持部5)を省略することによって、固定具9(配管固定部4)に対して絶縁筒14(絶縁部7)が固定された構成となっている。
【0044】
また、監視装置1Aは、配管Pの一端側に配管固定部4が取り付けられると共に、それとは反対側である配管Pの他端側に、配管Pの内側にバックシールドガスを導入するためのガス導入部6Aが配置された構成となっている。
【0045】
さらに、固定具9(配管固定部4)には、配管Pの内側に導入されたバックシールドガスを排出するためのガス流出口9aが設けられている。
【0046】
なお、上記ガス導入配管12については、ガス流入口12aを封止することによって、絶縁筒14(絶縁部7)と保持具8(カメラ保持部3)との間を連結する連結部材として機能している。一方、ガス導入配管12のガス流入口12aについては、上述したガス流出口9aの代わりに、ガス流出口として機能させることも可能である。
【0047】
以上のような構成を有する本実施形態の監視装置1Aでは、溶接トーチを配管Pに沿って回転させて溶接することにより配管Pを回転させずに溶接することができる。また、配管Pを軸回りに回転させない場合において、配管Pの内側にバックシールドガスを導入しながら、配管Pの内側をカメラ2により撮影することが可能である。
【0048】
なお、固定具9又はアタッチメント10がセラミックスなどの絶縁材料からなる場合、配管Pとカメラ2との間を電気的に絶縁することが可能なことから、この場合は絶縁筒14(絶縁部7)を省略した構成とすることも可能である。
【0049】
また、上記監視装置1は、配管Pの内側に向けて照明光を照射する照明具を備えた構成としてもよい。これにより、配管Pの溶接前や溶接後も、照明光を照射しながら配管Pの内側をカメラ2により撮影することが可能である。
【0050】
なお、上記実施形態では、配管Pを軸回りに回転させながら、この配管Pの周方向に沿ってTIG溶接を自動で行う場合を例示しているが、溶接方法については、TIG溶接のような非消耗電極式のガスシールドアーク溶接に限らず、MIG溶接やMAG溶接、炭酸ガスアーク溶接等の消耗電極式のガスシールドアーク溶接であってもよい。
【符号の説明】
【0051】
1,1A…監視装置 2…カメラ 3…カメラ保持部 4…配管固定部 5…回転支持部 6…ガス導入部 7…絶縁部 8…保持具 8a…開口部 9…固定具 10…アタッチメント 11a,11b…ベアリング 12…ガス導入配管 13…カバーレンズ 14…絶縁筒 15…広角レンズ 16…レンズ保持部 17…ガス孔 18…ワッシャ 19…供回り防止機構 20…重り 100…ポジショナ P…配管 W…溶接部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8