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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】基板搬送装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20240416BHJP
   B25J 19/00 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B25J19/00 A
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022127986
(22)【出願日】2022-08-10
(62)【分割の表示】P 2020130724の分割
【原出願日】2012-07-13
(65)【公開番号】P2022160659
(43)【公開日】2022-10-19
【審査請求日】2022-08-10
(31)【優先権主張番号】61/507,276
(32)【優先日】2011-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/510,819
(32)【優先日】2011-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】13/547,786
(32)【優先日】2012-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522041444
【氏名又は名称】ブルックス オートメーション ユーエス、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キャベニー、ロバート ティー
【審査官】宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-332599(JP,A)
【文献】特開平05-316706(JP,A)
【文献】特開2001-112223(JP,A)
【文献】特開2007-325433(JP,A)
【文献】特表2010-532154(JP,A)
【文献】特開2001-009770(JP,A)
【文献】特開2000-167792(JP,A)
【文献】特表2010-527148(JP,A)
【文献】特表平08-506771(JP,A)
【文献】特開2006-109654(JP,A)
【文献】特開2009-303331(JP,A)
【文献】国際公開第2006/006554(WO,A1)
【文献】米国特許第05899658(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
B25J 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、
前記フレームに移動可能に接続された少なくとも1つのアームリンクと、
前記フレームに接続され、列で配置された駆動モータを含み、前記少なくとも1つのアームリンクを駆動するための駆動セクションとを備えた基板搬送装置であって、
列の駆動モータのそれぞれは、
ハウジング壁と、
前記ハウジング壁に取り付けられたモータステータと、
少なくとも部分的に前記ハウジング壁内に配置されたモータロータと、
ステータシールとを有し、
前記ステータシールが、前記モータステータと前記モータロータとの間に配置され、前記モータロータを取り囲み、前記ステータシールは、前記モータステータを前記モータロータから密閉するために前記モータロータに面する、ハウジング壁シール表面と接続するシーリング表面インターフェースを有し、
前記列の駆動モータは、互いに対して異なる高さに配置され、
前記モータロータに面する前記シーリング表面インターフェースにおいて、列で配置された駆動モータのそれぞれの前記ステータシールに接続された前記ハウジング壁シール表面が、ともに、列で配置された前記ステータシールにより密閉される前記駆動モータの実質的に連続的なシールインターフェースを形成し、前記モータロータ、前記モータステータ、および各モータのエンコーダの間に連続的なバリヤシールを形成する、
基板搬送装置。
【請求項2】
前記駆動セクションが、前記少なくとも1つのアームリンクに接続される請求項1記載の基板搬送装置。
【請求項3】
前記モータステータが、真空から隔離される請求項1記載の基板搬送装置。
【請求項4】
少なくとも部分的に前記フレーム内に配置され、前記少なくとも1つのアームリンクの伸長および後退方向を含む平面に対して略垂直方向に前記少なくとも1つのアームリンクを線形移動させるように構成された第2の駆動セクションをさらに備える請求項1記載の基板搬送装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つのアームリンクが、前記少なくとも1つのアームリンクと前記フレームとの間の相対的軸運動に適合するように構成されたシールによって前記フレームに接続され、前記シールが、前記アームリンクの一方側に位置し、前記駆動セクションが、前記アームリンクの他方側に位置する請求項1記載の基板搬送装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つのアームリンクが、ショルダー回転軸の周りで前記フレームに回転可能に接続されたアッパーアームと、エルボ回転軸の周りで前記アッパーアームに回転可能に接続されたフォアアームと、リスト回転軸の周りで前記フォアアームに回転可能に接続された少なくとも1つの基板ホルダーとを備え、前記列の駆動モータが、列の2つの駆動モータを含み、列の各駆動モータは、前記アッパーアームと前記フォアアームのそれぞれの回転を駆動する請求項2記載の基板搬送装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つのアームリンクが、ショルダー回転軸の周りで前記フレームに回転可能に接続されたアッパーアームと、エルボ回転軸の周りで前記アッパーアームに回転可能に接続されたフォアアームと、リスト回転軸の周りで前記フォアアームに回転可能に接続された少なくとも1つの基板ホルダーとを備え、前記列の駆動モータは、列の少なくとも2つの駆動モータを含み、列の各駆動モータは、前記アッパーアーム、前記フォアアームおよび前記少なくとも1つの基板ホルダーのそれぞれの回転を駆動する請求項2記載の基板搬送装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つのアームリンクが、ショルダー回転軸の周りで前記フレームに回転可能に接続されたアッパーアームと、前記アッパーアームの長さの少なくとも一部に沿って線形移動するために前記アッパーアームに移動可能に取り付けられた少なくとも1つの基板ホルダーとを備え、前記列の駆動モータは、列の少なくとも2つの駆動モータを含み、前記列の少なくとも2つの駆動モータの一方が、前記アッパーアームの回転を駆動し、前記列の少なくとも2つの駆動モータの他方が、前記少なくとも1つの基板ホルダーのそれぞれの線形移動を駆動する請求項1記載の基板搬送装置。
【請求項9】
前記列の駆動モータのそれぞれと相互作用するエンコーダーをさらに備え、前記エンコーダーが、センサシステムと少なくとも1つのスケールとを備え、前記センサシステムが、前記ハウジング壁に取り付けられ、前記スケールが、前記列の駆動モータのそれぞれの前記モータロータに組み込まれ、前記センサシステムと前記スケールの間のインターフェース面は、前記列の駆動モータのそれぞれの前記モータステータと前記モータロータの間のインターフェース面に対して所定の角度をなして配置される請求項1記載の基板搬送装置。
【請求項10】
列の各駆動モータが、列で配置されたモータモジュールを形成する請求項1記載の基板搬送装置。
【請求項11】
列の各モータモジュールの前記モータステータが、真空から隔離される請求項10記載の基板搬送装置。
【請求項12】
フレームと、
前記フレームに移動可能に接続された少なくとも1つのアームリンクと、
前記フレームに接続され、列で配置された駆動モータを含み、前記少なくとも1つのアームリンクを駆動するための駆動セクションとを備えた基板搬送装置であって、
列の駆動モータのそれぞれは、
カバーと、
前記カバーに取り付けられたモータステータと、
少なくとも部分的に前記カバー内に配置されたモータロータと、
ステータシールとを有し、
前記ステータシールが、前記モータステータと前記モータロータとの間に配置され、前記モータロータを取り囲み、前記ステータシールは、前記モータステータを前記モータロータから密閉するために前記モータロータに面する、シーリングカバー表面と接続するシーリング表面インターフェースを有し、
前記列の駆動モータは、互いに対して異なる高さに配置され、
前記モータロータに面する前記シーリング表面インターフェースにおいて、列で配置された駆動モータのそれぞれの前記ステータシールに積み重なって接続された前記シーリングカバー表面が、ともに、前記ステータシールにより密閉される前記列の駆動モータの実質的に連続的なシールインターフェースを形成し、前記モータロータ、前記モータステータ、および各モータのエンコーダの間に連続的なバリヤシールを形成する、
基板搬送装置。
【請求項13】
各モータモジュールの前記モータステータが、真空から隔離される請求項12記載の基板搬送装置。
【請求項14】
前記駆動セクションが、前記少なくとも1つのアームリンクに接続される請求項12記載の基板搬送装置。
【請求項15】
少なくとも部分的に前記フレーム内に配置され、前記少なくとも1つのアームリンクの伸長および後退方向を含む平面に対して略垂直方向に前記少なくとも1つのアームリンクを線形移動させるように構成された第2の駆動セクションをさらに備える請求項12記載の基板搬送装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つのアームリンクが、前記少なくとも1つのアームリンクと前記フレームとの間の相対的軸運動に適合するように構成されたシールによって前記フレームに接続され、前記シールが、前記アームリンクの一方側に位置し、前記駆動セクションが、前記アームリンクの他方側に位置する請求項12記載の基板搬送装置。
【請求項17】
前記少なくとも1つのアームリンクが、ショルダー回転軸の周りで前記フレームに回転可能に接続されたアッパーアームと、エルボ回転軸の周りで前記アッパーアームに回転可能に接続されたフォアアームと、リスト回転軸の周りで前記フォアアームに回転可能に接続された少なくとも1つの基板ホルダーとを備え、前記列の駆動モータが、列の2つの駆動モータを含み、列の各駆動モータは、前記アッパーアームと前記フォアアームのそれぞれの回転を駆動する請求項12記載の基板搬送装置。
【請求項18】
前記少なくとも1つのアームリンクが、ショルダー回転軸の周りで前記フレームに回転可能に接続されたアッパーアームと、エルボ回転軸の周りで前記アッパーアームに回転可能に接続されたフォアアームと、リスト回転軸の周りで前記フォアアームに回転可能に接続された少なくとも1つの基板ホルダーとを備え、前記列の駆動モータは、列の少なくとも2つの駆動モータを含み、列の各駆動モータは、前記アッパーアーム、前記フォアアームおよび前記少なくとも1つの基板ホルダーのそれぞれの回転を駆動する請求項12記載の基板搬送装置。
【請求項19】
前記少なくとも1つのアームリンクが、ショルダー回転軸の周りで前記フレームに回転可能に接続されたアッパーアームと、前記アッパーアームの長さの少なくとも一部に沿って線形移動するために前記アッパーアームに移動可能に取り付けられた少なくとも1つの基板ホルダーとを備え、前記列の駆動モータは、列の少なくとも2つの駆動モータを含み、前記列の少なくとも2つの駆動モータの一方が、前記アッパーアームの回転を駆動し、前記列の少なくとも2つの駆動モータの他方が、前記少なくとも1つの基板ホルダーのそれぞれの線形移動を駆動する請求項12記載の基板搬送装置。
【請求項20】
前記列の駆動モータのそれぞれと相互作用するエンコーダーをさらに備え、前記エンコーダーが、センサシステムと少なくとも1つのスケールとを備え、前記センサシステムが、前記カバーに取り付けられ、前記スケールが、前記列の駆動モータのそれぞれの前記モータロータに組み込まれ、前記センサシステムと前記スケールの間のインターフェース面は、前記列の駆動モータのそれぞれの前記モータステータと前記モータロータの間のインターフェース面に対して所定の角度をなして配置される請求項12記載の基板搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例示的な本実施形態は、概してロボットシステムの駆動部に関し、より詳細にはロボットシステムのスピンドル駆動部に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の真空ロボットは、モータとエンコーダーを真空から隔離するために磁性流体シールまたはリップシールのいずれかを用いている。あるいは、Brooks MAGNATRAN(登録商標)製品の場合には、隔壁を用いてモータステータを隔離するが、磁気ロータとエンコーダーは直接、真空環境に置く。これらの両方の場合において、モータがベローズの下に位置し、シャフトがモータとロボットのアームリンクを接続するために用いられる。
【発明の概要】
【0003】
ステータを固定内側支柱に取り付け、ロータをステータの外側に取り付ける逆の駆動デザインを活用することは有利である。
【0004】
開示された実施形態の前述の態様と他の特徴は、添付の図面に関連して以下で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】開示された実施形態の態様による特徴を組み込んだ基板処理装置の一部を示す概略図である。
図2】開示された実施形態の態様による特徴を組み込んだ基板処理装置の一部を示す概略図である。
図3】開示された実施形態の態様による基板搬送装置の概略図である。
図4A】開示された実施形態の態様によるロボット駆動システムの断面図である。
図4B】開示された実施形態の態様によるロボット駆動システムの断面図である。
図4C】開示された実施形態の態様によるロボット駆動システムの断面図である。
図4D】開示された実施形態の態様によるロボット駆動システムの断面図である。
図5A】開示された実施形態の態様による移送装置の一部を示す断面図である。
図5B】開示された実施形態の態様による図5Aの移送装置の一部を示す断面図である。
図6】開示された実施形態の態様による移送装置の一部を示す断面図である。
図7】開示された実施形態の態様による移送装置の一部を示す断面図である。
図8】開示された実施形態の態様による移送装置の一部を示す断面図である。
図9】開示された実施形態の態様による移送装置の一部を示す断面図である。
図10】開示された実施形態の態様による例示的なセンサシステムの一部を示す。
図11】開示された実施形態の態様による強磁性要素の周りの磁気センサの例示的な配置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1は、開示された実施形態の態様による特徴を組み込んだ基板処理装置の概略図である。開示された実施形態の態様は図面を参照して説明するが、その態様は多くの代替的な形態で実施され得ることを理解すべきである。さらに、任意の適切なサイズ、形、種類の要素や材料を用いてもよい。さらに、開示された実施形態の態様を真空ロボットとの関連で説明するが、開示された実施形態の態様は駆動モータが使用され得るどんな状況も含んでいることに留意すべきである。
【0007】
図1に示す基板処理装置100は、開示された実施形態の態様による特徴を組み込んでいる典型的な基板処理ツールである。この実施例において、基板処理装置100は一般的なバッチ処理ツール構造を有するものとして示される。他の態様において、このツールは任意の所望の配置を有していてもよく、例えば、ツールは基板のシングルステップ処理を行うよう構成されていてもよいし、あるいは図2に示すような直線配置または直交配置(カルテシアン配置)であってもよい。さらに他の態様において、基板処理装置は、ソーター、ストッカー、計測ツール等の任意の所望の種類のものであってもよい。基板処理装置100で処理される基板Sは、任意の適切な基板であってよく、例えば限定されないが、液晶ディスプレイパネル、ソーラパネル、直径200mm、300mm、450mmウェハなどの半導体ウェハ、または任意の他の所望の直径の基板、ブランク基板などの基板処理装置100によって処理するのに適切な任意の適切な形、サイズ、厚さを有する任意の他の種類の基板、または例えば特定の寸法や特定の質量などの基板に類似した特徴を有するものであってもよい。
【0008】
ある態様において、装置100は通常、フロントセクション105を有してもよく、このフロントセクションは例えばミニエンバイロメントおよび隣接する雰囲気的に隔離可能または密閉されたセクション110を形成し、このセクション110は制御された密閉雰囲気を保持するために外部環境から密閉可能で、例えば真空チャンバとして機能するように備えられてもよい。他の態様において、この密閉雰囲気セクションは不活性ガス(例えば窒素)または任意の他の環境的に密閉されたおよび/または制御された雰囲気を保持してもよい。
【0009】
フロントセクション105は通常、例えば1つまたは2つ以上の基板保持カセット115およびフロントエンドロボット120を有してもよい。またフロントセクション105は、例えばアライナ162またはその中に設置されるバッファなどの他のステーションまたはセクションを有してもよい。セクション110は1つまたは2つ以上の処理モジュール125および真空ロボットアーム130を有してもよい。処理モジュール125は材料の蒸着、エッチング、焼成、研磨、イオン注入洗浄などの任意の適切な種類のものであってもよい。理解されるように、例えばロボット基準フレームなどの所望の基準フレームに対する各モジュールの位置は、コントローラ170によって記録できる。また、1つまたは2つ以上のモジュールは、例えば基板上の基準(図示せず)を用いて定められる、基板の所望の向きで基板Sを処理することができる。また処理モジュールにおける基板の所望の向きもコントローラ170で記録することができる。また密閉されたセクション110は、ロードロックと称される1つまたは2つ以上の中間チャンバを有してもよい。図1に示す装置100は2つのロードロック、すなわちロードロック135とロードロック140を有する。ロードロック135、140は接続部(インターフェース)として作用し、フロントセクション105から密閉されたセクション110までの間を、密閉されたセクション110中のいかなる環境的に密閉された雰囲気の完全性をも乱すことなく、基板Sを通過させる。基板処理装置100は通常、基板処理装置100の動作を制御するコントローラ170を備える。ある実施形態において、コントローラは2005年7月11日に出願された米国特許出願第11/178,615号明細書で記載されるようにクラスター化された制御構造の一部であってもよく、この開示内容はその全体を参照することによって本明細書に含まれている。コントローラ170はプロセッサ173とメモリ178を有する。上記のことに加えて、メモリ178は、オンザフライで基板の偏心とずれを検出し修正する技術を含むプログラムを有していてもよい。さらにメモリ178は、処理モジュールおよび基板処理装置のセクション105と110の他の部分またはステーションの温度および/または圧力などの処理パラメータ、処理中の基板Sの一時的な情報、および基板の計量(metrology)情報、および装置と基板の位置推算データをオンザフライの基板の偏心の測定に適用する、アルゴリズム等のプログラムを備えることができる。
【0010】
ATM(大気)ロボットとも称されるフロントエンドロボット120は、駆動セクション150と1つまたは2つ以上のアーム155を備えていてもよい。少なくとも1つのアーム155は駆動セクション150に取り付けることができる。少なくとも1つのアーム155は、リスト160に連結することができ、次に1つまたは2つ以上の基板Sを把持するために1つまたは2つ以上のエンドエフェクタ165に連結される。エンドエフェクタ165はリスト160に回転可能に連結してもよい。ATMロボット120は、基板をフロントセクション105内のどの位置へも移動させられるように構成されてもよい。例えば、ATMロボット120は、基板を基板保持カセット115とロードロック135とロードロック140との間で移動させることができる。またATMロボット120は基板Sをアライナ162へ、およびアライナ162から移動させることができる。駆動セクション150はコントローラ170から指令を受け取ることができ、それに応答して、ATMロボット120の径方向の動作、円周方向の動作、上昇方向の動作、それらを組み合わせた動作、および他の動作を指示することができる。
【0011】
真空ロボットアーム130はセクション110の中央チャンバ175内に取り付けてもよい。コントローラ170は開口部180、185をサイクル動作させ、処理モジュール125とロードロック135とロードロック140との間で基板を移動させるための真空ロボットアーム130の動作を調整するように動作することができる。真空ロボットアーム130は駆動セクション190(詳細は下記のとおり)と1つまたは2つ以上のエンドエフェクタ195を備えてもよい。他の態様において、ATMロボット120と真空ロボットアーム130は任意の適切な種類の搬送装置であってもよく、例えば限定されないが、スライド式アームロボット、SCARA(選択的柔軟多関節ロボットアーム)型ロボット、関節アームロボット、フロッグレッグ型装置、または双対称(bi-symmetric)搬送装置などであってもよい。
【0012】
図2を参照すると、開示された実施形態の態様による特徴を組み込んだ別の基板処理装置10の平面図が示されている。基板処理装置10は直線配置または直交配置(カルテシアン配置)を有し、基板Sが細長い搬送チャンバを通って搬送ロボット間で送られることが示されている。基板処理システム10、またはツールは通常、処理セクション13とインターフェースセクション12を有する。ツール10のインターフェースセクションと処理セクションは互いに接続され、その間でワークピースの搬送を可能にする。ツールの処理セクション13は、図1に関する上述のものと実質的に同様の処理モジュールやチャンバを有してもよい。処理モジュールはワークピース搬送チャンバ16によって接続され、そこで処理プロトコルに従って、ワークピースを所望の処理モジュール間で移動させることができる。搬送チャンバは、その中でワークピースを動かし処理モジュール125へ移動させることができる搬送ロボット20を有する。処理モジュールと同様の雰囲気を搬送チャンバ内に保持するため、または図1に関する上述の方法と実質的に同様の方法でワークピースを処理モジュール間で移動させるのに適切な雰囲気を保持するために、処理モジュール125と搬送チャンバは雰囲気的に隔離され、それによって外部雰囲気から環境的に密閉された、制御された雰囲気を保持することができる。ツールのインターフェースセクション12は、ツールの処理セクション13およびその制御された密閉雰囲気とツールの外部との間のワークピースのロード/アンロードインターフェースを提供する。適切な環境インターフェースセクションの例は2005年7月11日に出願された米国特許出願第11/178,836号明細書で開示され、その全体を参照することによって本明細書に含まれている。こうして、このツールのインターフェースセクションは、運搬装置でツールの外側に移動させられるワークピースを運搬装置からツールへ降ろし、またはその逆を行うことを可能にする。搬送チャンバは搬送チャンバモジュールで構成され、例えば直線状に細長い搬送チャンバを形成するために端と端とが接続されていてもよい。したがって、搬送チャンバの長さは、搬送チャンバモジュールを加えたり取り外したりすることによって変更可能である。搬送チャンバモジュールは、所望の搬送チャンバモジュールを隣接する搬送チャンバの部分から隔離できる入口/出口ゲートバルブを有してもよい。セクション12と同様のツールのインターフェースセクションは、ワークピースをツールの中の所望の位置にロード/アンロードできるように、直線状に細長い搬送チャンバに沿って任意の所望の位置に配置されてもよい。(複数の)処理モジュールは搬送チャンバの長さに沿って配置されてもよい。(複数の)処理モジュールは搬送チャンバの長さに対して角度をつけた方向に積み重ねられてもよい。搬送チャンバモジュールは、所望の搬送チャンバモジュールを処理モジュールから隔離する入口/出口ゲートバルブを有してもよい。搬送システム20は搬送チャンバを貫いて配置される。複数の搬送チャンバモジュールはそれぞれモジュールへの、固定インターフェース/取付具を有する一体型の可動アームと、ワークピースを保持し、搬送チャンバに沿って搬送チャンバと処理モジュールの間で、直線的にワークピースを動かすことが可能な、可動エンドエフェクタを有してもよい。異なる搬送チャンバモジュール内の搬送アームは連携して、直線的に配置された搬送システムの少なくとも一部を形成してもよい。ツールの搬送システム、処理モジュール、処理セクション、インターフェースセクション、および任意の他の部分の操作は、上述したコントローラ170と実質的に同様のコントローラ400によって制御されてもよい。搬送チャンバとその中の搬送システムは、搬送チャンバの中で複数のワークピースの搬送路を定めるように配置されてもよい。搬送路は、ワークピースの前進、後退用に搬送チャンバの中で二分したり専用のものとしたりしてもよい。また搬送チャンバは、搬送チャンバの異なるセクションが異なる雰囲気を保持できるようにする中間のロードロックを有し、ワークピースが搬送チャンバの異なる雰囲気のセクションの間を通過できるようにしてもよい。搬送チャンバは、ワークピースが搬送チャンバの所望の場所に挿入されたり、そこから取り出されたりすることができる入口/出口ステーションを有してもよい。例えば、入口/出口ステーションはインターフェースセクション12の反対側に、または搬送チャンバの他の所望の場所に位置してもよい。搬送チャンバの入口/出口ステーションは、搬送チャンバの入口/出口ステーションと離れたツールのインターフェースセクション12とをつなぐワークピース急送通行路と連通することができる。ワークピース急送通行路は搬送チャンバ16から独立して分離可能であってもよい。ワークピース急送通行路は1つまたは2つ以上のインターフェースセクション12と連通し、それによってワークピースはインターフェースセクションと通行路との間で移動され得る。ワークピースは迅速にツールの前進したセクションに配置され、処理後に搬送チャンバに影響を及ぼすことなく急送通行路を介してインターフェースセクション12に戻され、仕掛品(WIP)の減少をもたらす。また搬送チャンバは中間に入口/出口ステーションを有することができ、その中のいくつかは急送通行路と連通し、それによってワークピースをその間で移動させることができる。これによってワークピースは、処理の流れに影響を及ぼすことなく、処理中の所望の中間地点で挿入したり取り出したりすることができる。このことは2006年5月26日に出願された米国特許出願第11/442,511号明細書に記載され、この開示内容はその全体を参照することによって本明細書に含まれている。
【0013】
インターフェースセクション12は、ロードロックを介在することなく搬送チャンバに直接結合する(図1に示すように)。他の態様において、ロードロックはインターフェースセクション12と搬送チャンバの間に配置してもよい。図2に示すインターフェースセクションは、ワークピースをロードポートLPに結合されたカセット115から搬送チャンバ16まで移動させるワークピース搬送部15を有する。ワークピース搬送部15はインターフェースセクションチャンバ14の内部に配置され、上記の搬送部150と実質的に同様であってもよい。またインターフェースセクションは、ワークピースSのためのアライナステーション、バッファステーション、計量ステーション、および任意の他の所望のハンドリングステーションなどのワークピースステーションAを備えていてもよい。
【0014】
開示された実施形態のいくつかの態様が、例えば図3の搬送部800など、真空ロボットまたは搬送部に関して本明細書で説明されるが、開示された実施形態は、例えば限定されないが、大気環境、制御された大気環境、および/または真空環境などの任意の適切な環境で動作する任意の適切な搬送部または他の処理装置(例えばアライナなど)で使用され得ることを理解すべきである。ある態様において、搬送部800は、例えば独立して複数のワークピースを移動させるための個別に可動な複数のエンドエフェクタを有してもよい。図3に示す搬送部800は、例えば多関節リンクアームとして示され、例えば回転、伸長/後退および/または上昇(例えばZ軸動作)における任意の適切な数の自由度を有することができる。また例示的な実施形態の態様を組み込む搬送部は、例えば限定されないがスライドアームロボット構造、ロボットアームの「フロッグレッグ」構造、ロボットのSCARAアーム構造、関節アームロボット、または双対称搬送装置などの任意の適切な構造を有してもよいことも理解すべきである。例示的な実施形態の駆動システムが用いられるロボットアームの適切な例は、米国特許第4,666,366号明細書、第4,730,976号明細書、第4,909,701号明細書、第5,431,529号明細書、第5,577,879号明細書、第5,720,590号明細書、第5,899,658号明細書、第5,180,276号明細書、第5,647,724号明細書、および2005年6月9日に出願された米国特許出願第11/148,871号明細書、2008年5月8日に出願された第12/117,415号明細書、2007年4月6日に出願された第11/697,390号明細書、2005年7月11日に出願された第11/179,762号明細書、2011年11月10日に出願された第13/293,717号明細書、2012年3月12日に出願された第13/417,837号明細書に記載され、その開示内容はその全体を参照することによって本明細書に含まれている。
【0015】
図3および4A~4Dを参照して、開示された実施形態の態様を組み込む例示的な搬送装置800を開示された実施形態の態様に従って詳細に説明する。1つのSCARAアームが図3および4A~4Dに示され、開示された実施形態の態様は、任意の適切な数のロボットアームを有する上記の装置などの任意の適切な種類のロボットアームに組み込まれ得ることに留意する。この態様において、搬送装置は、フレーム840、アッパーアーム810、フォアアーム820、および少なくとも1つのエンドエフェクタ830を備える。駆動セクション1600は少なくとも部分的にアッパーアーム810内に配置されてもよく、少なくとも1つの駆動モータ1602A、1602Bを備えていてもよい。ここで2つのモータ1602A、1602Bが例示目的で、積み重ねられた駆動モータとして配置されていることが示され、各駆動モータ1602A、1602Bのステータ1603A、1603Bの少なくとも一部がアームリンク810に配置される(例えば各駆動モータのステータの少なくとも一部が同一のアームリンクまたは共通のアームリンク、または単一のアームリンク、または1つのアームリンクの中に配置される)。少なくとも1つの駆動モータ1602A、1602Bはそれぞれステータ1603A、1603Bとロータ1604Aと1604Bを有していてもよい。ステータ1603A、1603Bは、フレームに固定された固定支柱1610の周りに巻き付けられたステータ巻線を備えていてもよく、それによって支柱1610とステータ1603A、1603Bはロボットのアームリンク810、820、830の動きに対して回転方向に静止を保つ。ロータ1604Aと1604Bは、ロータがそれぞれのステータを取り囲み(例えば逆駆動モータ(inverted drive motor))、コンパクトな設計で、従来のシャフトドライブより高いトルクを与えられるシャフトレスモータを形成するように構成されてもよい。「シャフトレス」の用語は、ロータとロータによって駆動される部材との間に実質的に延伸部分または部材がないことを意味し、ロータの高さはステータの高さと略一致するか、ステータの高さ(例えばステータの巻線の高さ)より低いことに留意する。さらなる実施例を参照すると、ロータとロータによって駆動される部材との間の係合インターフェースはステータに近接している。ステータとロータは例えば米国特許第7,834,618号明細書と2008年6月27日に出願された米国特許出願第12/163,993号明細書と2008年6月27日に出願された第12/163,996号明細書に記載された特徴などを含んでもよく、この開示内容はその全体を参照することによって本明細書に含まれている。さらに、下記により詳細に説明するように、シャフトレスモータの回転位置を特定するエンコーダーまたは他の適切なセンサはステータの外形のスペース内または寸法(例えば高さ)内に配置されてもよく、それによってシャフトレスモータまたは積み重なったモータの高さ以下におさまる。
【0016】
この態様において、2つの駆動モータ1602A、1602Bは一方のモータの上に他方のモータが積み重ねられる。駆動モータ1602A、1602Bは、任意の適切な数のアームリンクを駆動するための任意の適切な数の自由度を与えるために複数のモータを容易に導入できるように積み重ねることができてもよい。他の態様において、任意の適切な数の駆動モータ(すなわち、少なくとも1つまたは2つ以上)は任意の適切な数の駆動部を有する任意の適切な構造で使用され得る。この構造は限定されないが、例えば、積み重ねられた逆駆動構造、直列逆駆動構造、または任意の他の適切な構造などである。ここで駆動モータ1603Aのロータ1604Aは、アームリンク810とシャフトレスで連結され、それによってロータ1604Aが回転すると、アームリンク810はそれと共に回転する。例えば、ロータ1604Aは任意の適切な方法でアームリンク810の下面に取り付けることができる。モータ1603Bのロータ1604Bは、プーリ1605を備えることができる(一体的に形成されても連結されてもどちらでもよい)。プーリは、任意の適切な伝動部材1605Xを介して、エルボプーリ1620に連結されてもよい。ある態様において、伝動部材1605Xはベルト、バンド、ワイヤ、または任意の他の適切な伝動部材であってもよい。エルボプーリ1620は、任意の適切な方法でフォアアーム820に適切に接続されてもよく、それによってロータ1604Bが回転すると、フォアアーム820がエルボ回転軸EXの周りを回転する。
【0017】
図10と11も参照すると、逆駆動部1602A、1602Bはロータ1604A、1604Bの回転を探知するための任意の適切なセンサを備えることができる。ある態様において、任意の適切なエンコーダー1640A、1640Bは、各ロータ1604A、1604Bの回転を感知するために適切な位置に設置され得る。ある態様において、エンコーダー1640A、1640Bは、各ロータ1604A、1604Bと直接相互作用(インターフェース、interface)してもよく(例えば、センサースケールがロータに組み込まれるなど)、エンコーダー1640A、1640Bは固定支柱1610に固定して配置されるか、または従属し、それによってセンサシステム5500とエンコーダーのスケール(または強磁性ターゲット)5555との間のインターフェース面が、例えばセンサシステム5500が実質的にステータ1603A、1603Bの高さの範囲内に配置されるように、ステータ1603A、1603Bとロータ1604A、1604Bとの間のインターフェース面に対してある角度をなして配置される。単なる例示であるが、センサシステム5500と強磁性ターゲット5555との間のインターフェース面IPSSは、ステータ1603A、1603Bとロータ1604Aと1604Bとの間のインターフェース面IPSRに略直角であるように示される。ロータ1604A、1604Bは、エンコーダー1640A、1640Bのセンサシステム5500が位置測定のために検出するインクリメンタルスケール1640IN(図4C)または絶対スケール1640AB(図4C)などの任意の適切なスケールまたは強磁性ターゲット5555を備えることができる。任意の適切なシール1640S(図4C)がエンコーダー1640A、1640Bを例えば搬送装置のアームが動作する環境(例えば真空環境他)から密閉するために、または隔離するために、備えられてもよい。例えば、シール1640Sは、エンコーダー1640A、1640Bとそれらのそれぞれのロータとの間に配置することができる。シール1640Sは、エンコーダー1640A、1640Bが、インクリメンタルスケール1640IN(図4C)または絶対スケール1640AB(図4C)などのスケールまたは強磁性ターゲット5555を読み取れる、または感知/検出できるように構成すればよい。
【0018】
図10は本明細書で開示された実施形態の態様で使用するのに適切なセンサシステム5500の例を示す。センサシステム5500は、インクリメンタルまたは絶対位置スケールおよび/または強磁性ターゲット5555から例えばセンサシステムの基準フレームまでの距離を読み取るために、任意の適切な磁気回路原理を用いてもよく、その原理とは、例えば米国特許第7,834,618号明細書に記載のもの(その開示内容はその全体が本明細書に含まれる)である。強磁性ターゲット5555は平面または曲面であってもよく、または例えば上記のスケールなどのターゲットに取り付けられるか、埋め込まれるか、または内蔵される任意の適切な外形を有していてもよい。センサシステム5500は強磁性要素5505、磁気源5510、例えば永久磁石、いくつかの磁気センサ5515、5520、5525、5530、および調整回路5535を備えていてもよい。強磁性要素5505は磁気源5510を制限(circumscribe)してもよい。他の態様において、強磁性要素5505は磁気源5510を取り囲んだり、または包囲してもよい。少なくとも1つの例示的な実施形態において、強磁性要素5505は閉鎖端部5565と開放端部5570を有したカップ形状であってもよい。磁気源5510は磁化方向が強磁性要素5505の対称軸に平行である円筒形状であってもよい。磁気源5510は永久磁石、電磁石、または任意の他の適切な磁力源であってもよい。磁気源5510は、強磁性要素の内部で、吸引力によって強磁性要素5505の中心に取り付けられ、例えば接着剤などの適切な固定手段を用いて定位置に保持することができる。ある態様において、センサシステム5500はカップの開放面5570が強磁性ターゲット5555に面するように置かれてもよい。
【0019】
図10に示すセンサシステム5500は、磁束密度がカップの軸に対して対称であるように、または磁気源5510と強磁性要素5505との間のいかなる同心境界に対しても対称であるように、強磁性要素5505と磁気源5510との間に磁気回路を確立することができる。強磁性要素5505の形状は磁界の形状に影響を及ぼす。強磁性要素5505がカップ形状である態様において、磁界は相対的に制限され、強磁性ターゲットへの距離5560における変化に対する感度を向上させることにつながる。強磁性要素5505は、特定の形状をした磁界を作るのに適した形状を有してもよい。いくつかの態様において、強磁性要素5505はまた、センサシステム5500と強磁性ターゲット5555との間の距離の変化に対する一定の感度を与えるように構成されてもよい。
【0020】
磁気センサ5515、5520、5525、5530は、磁束密度を感知するよう動作してもよく、強磁性要素5505の対称軸から一定の径方向距離にある軌道配置上に位置してもよい。また磁気センサは出力がほぼ同じになるように配置されてもよい。4つの磁気センサが示されているが、任意の適切な数の磁気センサが用いられてもよいことを理解すべきである。磁気センサ5515、5520、5525、5530の出力は任意の適切な調整回路5535に与えることができる。調整回路5535は、例えば補償、フィルタリング、ノイズ低減、または任意の他の適切な信号処理などのセンサ出力を処理する信号処理回路を備えていてもよい。センサ出力信号は通常、センサシステム出力5550を与えるために処理され得る。付加的なセンサの使用は、システムのノイズ排除性を高め得る。また強磁性要素5505は、周囲環境からの外部磁気妨害を最小限に抑える磁気センサ用の磁気分離ケージとして動作できる。このようにしてセンサシステム5500は、磁気センサによって検出された磁束密度ベクトルにおける変化を測定するように構成される。ある態様において、センサシステム5500は強磁性ターゲット5555の存在によって磁束密度ベクトルの変化が測定できる。
【0021】
図11は強磁性要素の周りの磁気センサの配置の例を示す。この態様において、磁気センサは、強磁性要素5505と磁気源5510との間の磁束密度ラインに対して交互の配向で5610と5615、5620と5625、5630と5635、5640と5645のペアで配置することができる。この態様において、各センサのペアは差動出力を与え得る。加算回路5650と差動調整回路5655は調整回路5535の一部であってもよく、さらに差動信号としてセンサシステム出力5550を与えてもよい。特に信号が低いレベルで、好ましくない電気電磁環境にさらされるか、またはかなりの距離を伝達される場合、差動出力を用いることはノイズ排除性を高め得る。例えば、センサシステム出力5550を差動信号として与えることは、出力が読取装置5660に与えられるため、ノイズ排除性を高め得る。
【0022】
他の態様において、磁気センサは対称軸から同じ径方向距離に配置されなくてもよく、それらの出力は必ずしも同じである必要がなく、それでも出力は有効なターゲット距離を出すよう適切に処理され得る。任意の数の磁力センサは、グループ分けされないで使用されても、あるいは任意の適切な数または配置でグループ分けされて使用されてもよいことを理解すべきである。
【0023】
図10に戻ると、強磁性ターゲット5555はセンサシステム5500の前に配置されると、磁力センサ5515、5520、5525、5530によって検出される磁束密度のベクトルを変え、そのため出力信号5550に影響を及ぼす。強磁性ターゲット5555とセンサシステムの間の距離5560はセンサシステム出力5550の値を決め得る。センサシステム出力5550は、強磁性ターゲット5555に取り付けられた、または内蔵された1つまたは2つ以上のスケールによって導かれた磁束の変化に応じて変化し得る。
【0024】
磁気源5510と強磁性要素5505の形状は、特定の磁束密度パターンまたは構造を得るために、またはセンサシステム出力5550または距離5560を最適化または向上させるために変更され得る。例えば、いくつかの実施形態において、強磁性要素5505と磁気源5510の少なくとも1つは円筒、円錐、立方体、または他の多面体、放物体、または任意の他の適切な形状であってもよい。上記のとおり、任意の数のセンサが用いられ得る。さらに、センサは特定の磁束密度パターンを得るために、またはセンサシステムの出力5550または距離5560を最適化するために、任意の適切な配置を有してもよい。
【0025】
センサシステム5500は、ターゲットのロータまたはスケールをセンサシステムから分離できる非磁性材料の壁を使用して本明細書で開示された実施形態の態様に用いられることに適している。センサシステム5500は真空自動化システムの実施形態で使用されることに適している。センサシステム5500は、特に本明細書に開示の実施形態の全ての態様に関して磁束、間隔(gap)、スケールを測定するのに適している。
【0026】
図3および4A~4Dを再度参照すると、理解されるように、ある態様において、搬送装置800は、アームの回転中心軸X沿ってロボットアームを直線的に動かすためのZ軸駆動部800Zを備えることができる。ベローズまたは他の適切なシール1699が、少なくとも1つのアームリンクとフレームとの間で、相対的な軸運動(例えば垂直、Z軸)に適合させるために備えられてもよく、シールはアームの一方の側に配置され、駆動モータ1602A、1602B(例えば駆動セクション)はアームの他方の側に配置される。理解されるように、この配置によって固定支柱1610の長さはZ軸駆動部によって与えられるZストロークの長さから独立または切り離すことが可能になる。
【0027】
図4Cおよび4Dを参照して、アーム810内の駆動セクションの密閉について説明する。理解されるように、ステータ1603A、1603Bはロボットアームが動作する真空環境から任意の適切な方法で隔離される。ある態様において、隔離は任意の適切な隔壁を用いて、例えば隔壁612を用いて行うことができる。他の態様において、任意の適切なステータ1603A、1603Bを隔離する手段が用いられ得る。ロータ1604A、1604Bの磁石1604Mはまた、任意の適切な方法で真空から隔離され得る。ある態様において、磁気隔離は例えば磁性流体シール1670を用いて実施されてもよい。他の態様において、磁気隔離の任意の適切な手段が、ロータ磁石をロボットアームが動作する真空環境から隔離するために使用されてもよい。さらなる別の実施形態において、可変式リラクタンスモータが磁石の必要性を取り除くために使用されてもよい。図4Dはロボットアームが動作する真空環境を密閉するためのシールSLの位置の例示的な図である。
【0028】
本明細書で開示された駆動モータは、例えば2008年7月7日に出願された米国特許出願第12/175,278号明細書、2011年10月11日に出願された第13/270,844号明細書、2011年10月11日出願の第13/270,844号明細書で開示のもの(その開示内容はその全体を参照することによって本明細書に含まれる)などの任意の適切な駆動システムに適用され得ることに留意する。
【0029】
図5Aと5Bを参照して、開示された実施形態の別の態様において、例示的な搬送装置1799の一部が開示されている。例示的な搬送装置は、例えばフレーム、少なくとも1つまたは2つ以上のシャフトレス駆動セクション、Z軸に沿った動作を可能にするZモータ、および少なくとも1つまたは2つ以上のロボットアームを備える点で上記の搬送装置800とほぼ同じである。少なくとも1つまたは2つ以上の駆動セクションは、ロボットアームの伸長/後退を行うためのロボットアームのリンクを回転させるためにショルダー回転軸Xで例えばフレーム840などのフレームに取り付けられてもよい。1つまたは2つ以上の駆動セクションはさらにZモータ/駆動システムに接続され、ロボットアームの伸長/後退の軸R(図3)に略垂直な方向のZ軸に沿ったロボットアームの移動を可能にする。図5Aと5Bに示す開示された実施形態の例示的な態様は、少なくとも2つの駆動セクション1700Aと1700Bとを備え、2つのロボットアーム1720A、1720B(アームがアッパーアーム810とフォアアーム820と少なくとも1つのエンドエフェクタ830を備える点で、図3に関する上記のロボットアームと実質的に同様であり得る)を有する。他の態様において、搬送装置1799は2つのロボットアームと2つの駆動セクションより、ロボットアームおよび駆動セクションを多く備えてもよいし、少なく備えてもよい(例えば搬送装置1799が少なくとも1つのロボットアームと少なくとも1つの駆動セクションを有する)。ある態様において、一方の駆動セクション1700Aは実質的にアーム1720Aと1720Bの間に配置され、他方の駆動セクション1700Bは例えばアーム1720Bより下(またはアーム1720Aより上)などのアームの反対側に配置されるように、駆動セクション1700A、1700Bは、アーム1720Aと1720Bの間に配置または分配されるか、またはアーム1720A、1720Bとともに「層状にされる」。別の態様において、駆動セクション1700A、1700Bは各アーム1720A、1720Bの内部の少なくとも一部に配置されてもよい。さらに別の態様において、駆動セクション1700A、1700Bの両方は、互いに対して左右反対の構造または逆さまの構造(例えば駆動セクション1700Aはアーム1720Aの底部からアームに接続され、駆動セクション1700Bはアーム1720Bの最上部からアームに接続される)を有するようにアーム1720A、1720Bの間に配置されてもよい。開示された実施形態の他の態様において、他の構造が可能である。例えば、1つだけの駆動セクションと1つだけのロボットアームを有する構造、3つ以上の駆動セクションと3つ以上のロボットアームを有する構造、ロボットアーム内の同一平面内に配置された複数の駆動セクションを有する直列構造、1つまたは2つ以上のZ軸駆動部を有する構造、またはこれらの任意の組み合わせである。さらに他の態様において、搬送装置の任意の適切な構造は、図5Aと5Bの駆動モータが搬送装置の構造に組み込まれることが可能であってもよい。
【0030】
この態様において、支柱1701はフレーム840に固定される。固定支柱1701は、開示された実施形態のある態様において分かれたものであってもよく(図5Aの1701Aを参照)、例えば互いに連結した様々なセクションまたは部分を有していてもよい。固定支柱1701Aの様々な部分は任意の適切な方法で共に連結されてもよい。また例えばシール1710などの任意の適切なシールが、固定支柱1701Aの様々な部分の間に備えられていてもよい。他の態様において、固定支柱1701は単一の一体構造または任意の他の適切な構造であってもよい。1つまたは2つ以上のロボットアーム1720A、1720Bは、例えば下記のような任意の適切な方法で、固定支柱1701に回転可能に取り付けられていてもよい。各ロボットアーム1720A、1720Bは、内部ロータ1705A、1705B、ステータ1703A、1703B、外部ロータ1704A、1704Bを含む独自の駆動セクションを備えていてもよい。
【0031】
内部ロータ1705A、1705Bは、任意の適切な方法で固定支柱1701に移動可能に取り付けられてもよく、それによって内部ロータ1705A、1705Bは固定支柱1701の周りを回転自在であってもよい。内部ロータ1705A、1705Bは、例えばベアリング1702A、1702Bなどの任意の適切な方法で固定支柱1701上で支持されてもよい。開示された実施形態の他の態様において、ベアリングは、内部ロータ1705Aと1705Bを支持するために、図5Aと5Bに示す場所以外の任意の他の適切な場所に配置されてもよい。ステータ1703A、1703Bが内部ロータ1705A、1705Bの周りを取り囲み(例えば、内部ロータ1705A、1705Bと同心円をなして)、内部ロータ1705A、1705Bが固定支柱1701の周りを回転自在であるように同一平面にあることによって、内部ロータ1705A、1705Bは、ステータ1703A、1703Bの中に入れ子になっていてもよい。内部ロータ1705A、1705Bはステータと相互作用(インターフェース)するように構成されてもよく、例えば内部ロータとステータとの間で相互作用(インターフェース)するように構成された磁石などの適切なインターフェースコンポーネント1705A’、1705B’を備えてもよい。
【0032】
さらに図5Aと5Bを参照すると、ステータ1703A、1703Bはまた、固定支柱1701に対して回転方向で静止するように、固定支柱1701に接続されてもよい。開示された実施形態のある態様において、ステータ1703A、1703Bは任意の適切な方法で固定支柱1701またはフレーム840(図3)に接続されてもよく、それによってステータ1703A、1703Bは固定支柱1701に対して回転方向で静止できる。ステータ1703A、1703Bのそれぞれは分かれたステータであってもよく、例えばステータ1703A、1703Bは2つの個別に動作可能な巻線一式を備えるよう分けられていてもよい。例えばステータ1703A、1703BのセグメントAなどの一方のセグメントは、内部ロータ1705A、1705Bを駆動するよう構成されてもよい。例えばステータ1703A、1703BのセグメントBなどの他方のセグメントは、外部ロータ1704A、1704Bを駆動するよう構成されてもよい。各セグメントA、Bは、それぞれのアームリンクを回転させるための所望のトルクを与えるよう適切な大きさにされてもよい。例えば、ステータセグメントAは、外部ロータ1704A、1704Bより小さい半径を有する内部ロータ1705A、1705Bを回転させる十分なトルクを与えるためにステータセグメントBより大きくすることができる(例えば内部ロータのステータと相互作用(インターフェース)する部分は、外部ロータのステータと相互作用(インターフェース)する部分より半径が小さくてもよい)。他の態様において、セグメントBはセグメントAより大きくてもよく、またはセグメントAとBはほぼ同じ大きさであってもよい。またある態様において、巻線セグメントA、Bは互いに2組のコイルを入れ子にすることによって形成されてもよいことに留意する。他の態様において、内部巻線と外部巻線のコイルは2つのパーツとして互いに入れ子になっていてもよい。ステータ1703A、1703Bの各セグメントA、Bは、例えば各セグメントA、Bを独立して励磁するよう構成されたコントローラ170、400によって制御されてもよく、それによってステータ1703A、1703Bの各セグメントA、Bは互いのそれぞれ対応する内部および外部ロータ(それぞれ1705A、1705Bと1704A、1704B)を独立して駆動することができる。他の態様において、ステータ1703A、1703BのセグメントA、Bは任意の適切なコントローラまたは複数のコントローラによって制御されてもよく、それによって対応する内部および外部ロータは一斉にまたは共に駆動させられてもよい。さらに開示された実施形態の別の態様において、ステータ1703Aと1703Bは2つの別個のステータから成り(実質的にセグメントAとBに相当)、ここで一方のステータ(例えば内部ステータ)が他方のステータ(例えば外部ステータ)の中に入れ子になるよう配置されてもよく、それによって外部ステータは内部ステータの周りを実質的に取り囲む。
【0033】
開示された実施形態のある態様において、外部ロータ1704A、1704Bは固定支柱1701の周りに延び、実質的に固定支柱1701を取り囲み、実質的にステータ1703A、1703Bの周りを取り囲み、それによってステータ1703A、1703Bは実質的に外部ロータ1704A、1704Bの中に入れ子になる。さらに外部ロータ1704A、1704Bは固定されたステータ1703A、1703Bの周りを回転自在となるように配置される。外部ロータ1704A、1704Bは、例えばベアリング1702C、1702Dなどの任意の適切な方法で、固定支柱1701上に支持され、それによって固定支柱1701から独立して回転自在である。別の態様において、外部ロータ1704A、1704Bは任意の適切な構造を有し、搬送装置1799の任意の適切な構造に取り付けられ、それによって固定支柱および/またはステータ1703A、1703Bに対して回転自在である。外部ロータ1704A、1704Bはステータと相互作用(インターフェース)するよう構成されてもよく、例えば外部ロータとステータとを相互作用(インターフェース)させるよう構成された磁石などの適切なインターフェースコンポーネント1704A’、1704B’を備えていてもよい。
【0034】
開示された実施形態のある態様において、本明細書に記載のロータは永久磁石を使用してもよいが、他の態様においては、上記のとおり、ロータはリラクタンス型ロータまたは任意の他の適切なロータタイプとしても構成されてもよいことに留意する。入れ子になったロータとステータを有する駆動セクションの他の例は米国特許第7,891,935号明細書および2011年2月18日に出願された米国特許出願第13/030,856号明細書に記載され、その開示内容はその全体を参照することによって本明細書に含まれる。
【0035】
さらに図5Aと5Bを参照すると、2つの駆動セクション1700Aと1700Bは、ショルダー軸Xの周りのそれぞれのアームのショルダーに配置されるように積み重ねられて配置される。上記のように、駆動セクション1700A、1700Bとアーム1720A、1720Bは任意の適切な数の自由度と任意の適切な構造を有するよう構成されてもよい。ある態様において、2つの駆動セクション1700Aと1700Bとアーム1720A、1720Bは互いに実質的に同様であってもよく、よって駆動セクション1700A、1700Bは、アーム1720Aの駆動セクション1700Aに関して説明する。ある態様において、内部ロータ1705Aは、例えばプーリ1707Aに任意の適切な方法で接続されてもよく、それによって内部ロータ1705Aが回転するとプーリ1707Aが内部ロータ1705Aと共に回転する。プーリ1707Aは内部ロータ1705Aに内蔵されてもよく(すなわちロータとの一体構造)、または任意の適切な方法で内部ロータ1705Aと連結されてもよい。プーリ1707Aが回転すると、プーリ1707Aは任意の適切な伝動部材1709Aによって、アッパーアーム810に対してフォアアーム820(図3)を回転させるために、ロボットアームのエルボ部においてエルボ軸EXの周りに配置された別のプーリ1712Aを回転させることができる。次に外部ロータ1704Aが任意の適切な方法でアッパーアームに接続させられ得る。開示された実施形態のある態様において、外部ロータ1704Aはアッパーアームに直接連結されてもよく、それによって外部ロータ1704Aが回転するとアッパーアームは外部ロータ1704Aと共に回転する。別の態様において、外部ロータ1704Aはアームインターフェース(図示せず)を介してアッパーアームに接続され、それによって外部ロータ1704Aが回転するとアッパーアームはアームインターフェースを介して外部ロータ1704Aと共に回転する。上記のとおり、駆動セクション1700Aと1700Bが実質的に同様であるので、この構造は駆動セクション1700Bでも使用することができる(例えば内部ロータプーリ1707B、伝動部材1709B、エルボプーリ1712B、外部ロータ1704Bはアッパーアームを回転させるためにアーム1720Bのアッパーアーム810に接続され得ることを参照)。別の態様において、任意の他の適切な構造が使用されてもよい。
【0036】
さらに図5Aと5Bを参照すると、駆動セクション1700Aと1700Bは、上記と実質的に同じ方法で駆動セクションの回転を探知するための任意の適切なセンサを備えることができる。例えば、駆動セクション1700Aを参照すると(駆動セクション1700Bは同様に構成され得る)、エンコーダー1741A(駆動セクション1700Bについてはエンコーダー1741Bも参照)が内部ロータ1705A(または駆動セクション1700Bの場合はロータ1705B)の回転を探知するために配置され、一方で第2のエンコーダー1740A(駆動セクション1700Bについてはエンコーダー1740Bを参照)が外部ロータ1704A(駆動セクション1700Bの場合はロータ1704B)の回転を探知するために構成されてよい。エンコーダー1740Aと1741は前述のエンコーダー1640Aおよび1640Bと実質的に同じであり得る。エンコーダーは搬送装置内の任意の適切な位置または場所に配置され、回転の探知を可能にし、限定されないが、例えば絶対スケール、インクリメンタルスケール、または任意の他の適切なスケールなどの任意のスケールを用いるよう構成されてもよい。
【0037】
また駆動セクション1700Aと1700Bは大気密閉部/真空密閉部を備えるよう構成されてもよい。例えば、ステータ1703A、1703Bは、ロボットアームが任意の適切な方法で動作する真空環境から隔離されてもよい。例えば、隔離は隔壁1711A、1711Bなどの任意の適切な隔壁によって行うことができる。開示された実施形態のある態様において、内部ロータ1705A、1705Bの磁石1705A’、1705B’もまた、任意の適切な方法で、例えば上記のように真空環境から隔離されてもよい。開示された実施形態の別の態様において、外部ロータ1704A、1704Bの磁石1704A’、1704B’もまた、例えば上記のような任意の適切な方法で、真空環境から隔離されてもよい。例えば、そうした磁石1705A’、1705B’、1704A’、1704B’を隔離する一手段は、上記のシールと同様の磁性流体シールS1、S2、S3、S4であってもよい。さらなる開示された実施形態の別の態様において、開示された駆動セクションはまた、磁石の必要性をなくす可変式リラクタンスモータを用いてもよい。
【0038】
図5Aと5Bに示す開示された実施形態の態様において、わずか2つの自由度が駆動セクション内で開示された。しかし、開示された実施形態の他の態様において、付加的なステータとロータがロボットアームが利用できる自由度の数を増やせるように、内部ロータと外部ロータとの間にステータとロータ(図示せず)を追加して配置することによって、駆動セクション内の自由度の数を増やすことは可能である。任意の適切な数のステータとロータは、上記と実質的に同じ方法で、同心状に配置され、入れ子になってもよい。
【0039】
図6を参照すると、デュアルアーム搬送装置の一部が、開示された実施形態の態様に従って示されている。駆動モータとアームとの接続(例えばアームが駆動される方法)は、例えば米国特許第5,720,590号明細書、第5,899,658号明細書、および第5,813,823号明細書に記載のものなどの任意の適切な接続であってもよく、その開示内容はその全体を参照することによって本明細書に含まれていることに留意する。図6において、垂直に対向したSCARAアームの構造(フォアアームとエンドエフェクタは、明確にするため破線ブロック600、601に示していない)を例えば2011年11月10日に出願された米国特許出願第13/293,717号明細書と2012年3月12日に出願された第13/417,837号明細書に記載されるように示されるが、その開示内容はその全体を参照することによって本明細書に含まれている。ここで、アーム2000と2001のそれぞれが図3に関する上記のものと実質的に同じであってもよく、図4A~5Bのうちのいずれか1つまたはそれ以上に関する上記のものと実質的に同じ駆動セクション2000D、2001D(それぞれが例えば2つのモータを有するが、他の態様においてはモータの数は2つより多くても少なくてもよい)を備える。例えば、ある態様において、駆動セクション2000D、2001Dの両方は共通の駆動構造(例えば両方の駆動セクションは図4A~4Dに関して上記のように構成される、あるいは両方の駆動セクションは図5A~5Bに関して上記のように構成される)を有してもよい。別の態様において、駆動セクション2000D、2001Dは異なる構造(例えば一方の駆動セクションは図4A~4Dに関して上記のように構成され、他方の駆動セクションは図5A~5Bに関して上記のよう構成されてもよい)を有してもよい。
【0040】
図7は別のデュアルSCARAアーム構造を示し、ここで各アーム2010、2011(それぞれは図3に関して上記のものと実質的に同じであってもよい)は、図4A~5Bのうちのいずれか1つまたはそれ以上に関して上記のものと実質的に同じ駆動セクション2010D、2011D(それぞれは例えば2つのモータを有するが、他の態様においてモータの数は2つより多くても少なくてもよい)を備える。この態様において、アーム2010、2011は、各アーム2010、2011のフォアアームとエンドエフェクタ(明確にするため破線ボックス600、601によって示す)が、例えばアッパーアームの最上部に位置するように構成され、しかし他の態様においてはフォアアームとエンドエフェクタがそれぞれのアッパーアームの底部に位置してもよい。
【0041】
図8と9を参照すると、デュアルアーム構造を有する搬送ロボットのアームの一部は、開示された実施形態の態様に従って示されている。各アーム2020、2021は、図3に関して上記のものと実質的に同じであってもよく、上記と実質的に同じ2つの駆動モータを備えるが、ただしこの態様においては、モータは上下に垂直に積み重ねられないで、それぞれのアームリンク内の同一水平面に配置されるという点が異なる。図9図8に示す構造と実質的に同じシングルアーム構造2030を示し、例えば図8において、2つのアーム2020、2021はそれぞれ共通シャフト1801に取り付けられ、それによってショルダー軸Xの周りを回転可能で、一方図9ではシングルアーム2030のみがシャフト1801に取り付けられ、他の点ではアーム2020、2021、2030の駆動モータ構造は実質的に同じである。例示のために、アーム2020、2021、2030の駆動モータをアーム2030に関して説明する。この態様において、各駆動モータ2030A、2030Bは、上記と同じステータ2030SA、2030SBとロータ2030RA、2030RBを備える。ある態様において、駆動モータ2030A、2030Bは可変式リラクタンスモータであってもよく、それによって例えば搬送ロボットが動作する真空環境にさらされる磁石はなく、その代わりに任意の適切なシールが、ロータおよび/またはステータの磁気部品を任意の適切な方法で隔離するために設置されてもよい。駆動モータ2030Aのステータ2030SAはシャフト1801に固定されてもよく、それによって例えばアッパーアーム810に対して回転方向で静止する。ロータ2030RAは任意の適切な方法でアッパーアーム810内に取り付けられて固定され、それによってアッパーアーム810とロータ2030RAは一体となって回転する(例えばステータ2030SAがショルダー軸Xの周りでの回転のためにロータ2030RAを駆動する時、アッパーアーム810はロータ2030RAと共に回転する)。駆動モータ2030Bのステータ2030SBは、アッパーアーム810内に配置されたシャフト1900に固定して取り付けられてもよく、それによってステータ2030SAはシャフト1900に対して回転方向で固定される。ロータ2030RBは、任意の適切な方法でアッパーアーム810内に取り付けられ、それによってステータ2030SBの周りを回転可能である。ロータ2030RBは、フォアアーム820(図3)を上記と実質的に同じ方法で駆動回転させるために任意の適切な伝動によってロータ2030RBとエルボプーリ1620を接続する内蔵プーリを備えてもよい(または他の態様において、プーリは任意の適切な方法でロータに取り付けられてもよい)。例えば、エルボプーリは任意の適切な方法でフォアアーム820に固定して取り付けられてもよく、それによってエルボプーリ1620が回転する時、フォアアーム820はそれと共に回転する。他の態様において、ロータ2030RBは、任意の適切な方法でエルボプーリ1620の回転を駆動してもよい。開示された実施形態のさらなる他の態様において、任意の適切なロボットアームの構造が使用されてもよい。例示的な実施形態の駆動システムが使用され得るロボットアームの適切な例は、2011年10月11日に出願された米国特許出願第13/270,844号明細書に記載され、その開示内容はその全体を参照することによって本明細書に含まれている。
【0042】
開示された実施形態のうち、開示された実施形態の1つまたは2つ以上の態様に従って、基板搬送装置が提供される。基板搬送装置はフレームと、フレームに回転可能に接続された少なくとも1つのアームリンクと、シャフトレス駆動セクションとを備える。シャフトレス駆動セクションは、シャフトレスインターフェースを介してフレームに対して少なくとも1つのアームリンクを回転させるための積み重なった駆動モータを有し、その積み重なった駆動モータのそれぞれはフレームに対して固定された固定支柱に配置されたステータコイルを有するステータと、ステータの周囲をほぼ取り囲むロータとを有する。それによってロータはフレームに対して少なくとも1つのアームリンクのそれぞれを回転させるために少なくとも1つのアームリンクのそれぞれに接続され、少なくとも1つのアームリンクのそれぞれを伸長または後退させる。積み重なった駆動モータは、各ステータの少なくとも一部が少なくとも1つのアームリンクの共通のアームリンクの内部にあるように少なくとも1つのアームリンクに配置される。
【0043】
開示された実施形態の1つまたは2つ以上の態様に従って、シャフトレス駆動セクションは実質的に少なくとも1つのアームリンクの内部に配置される。
【0044】
開示された実施形態の1つまたは2つ以上の態様に従って、ステータコイルは真空から隔離される。
【0045】
開示された実施形態の1つまたは2つ以上の態様に従って、基板搬送装置はフレーム内部に少なくとも一部配置され、少なくとも1つのアームリンクの伸長または後退の方向を含む平面に対して略垂直方向(例えば垂直、Z軸)に、少なくとも1つのアームリンクを線形移動させるよう構成された、第2の駆動セクションをさらに備える。さらに、少なくとも1つのアームリンクは、少なくとも1つのアームリンクとフレームの間の相対的軸運動(例えば垂直、Z軸)に適合できるシールによってフレームに接続され、ここでシールはアームの一方側に位置し、第1の駆動セクションはアームの他方側に位置する。
【0046】
開示された実施形態の1つまたは2つ以上の態様に従って、少なくとも1つのアームリンクは、ショルダー回転軸の周りでフレームに回転可能に接続されたアッパーアームと、エルボ回転軸の周りでアッパーアームに回転可能に接続されたフォアアームと、リスト回転軸の周りでフォアアームに回転可能に接続された少なくとも1つの基板ホルダーとを備え、少なくとも1つの駆動モータは少なくとも2つの積み重なった駆動モータを備え、各モータはアッパーアームとフォアアームのそれぞれの回転を駆動する。
【0047】
開示された実施形態の1つまたは2つ以上の態様に従って、少なくとも1つのアームリンクは、ショルダー回転軸の周りでフレームに回転可能に接続されたアッパーアームと、エルボ回転軸の周りでアッパーアームに回転可能に接続されたフォアアームと、リスト回転軸の周りでフォアアームに回転可能に接続された少なくとも1つの基板ホルダーとを備え、少なくとも1つの駆動モータは少なくとも3つの積み重なった駆動モータを備え、各モータはアッパーアーム、フォアアーム、および少なくとも1つの基板ホルダーのそれぞれの回転を駆動する。
【0048】
開示された実施形態の1つまたは2つ以上の態様に従って、少なくとも1つのアームリンクはショルダー回転軸の周りでフレームに回転可能に接続されたアッパーアームと、アッパーアームの長さの少なくとも一部に沿って線形移動するためにアッパーアームに移動可能に取り付けられた少なくとも1つの基板ホルダーとを備え、少なくとも1つの駆動モータは少なくとも2つの積み重なった駆動モータを備え、ここで少なくとも2つの積み重なった駆動モータの一方はアッパーアームの回転を駆動し、少なくとも2つの積み重なった駆動モータの他方は少なくとも1つの基板ホルダーのそれぞれの線形移動を駆動する。
【0049】
開示された実施形態の1つまたは2つ以上の態様に従って、シャフトレス駆動セクションは、少なくとも1つのアームリンクが動作する環境からステータを密閉するためのシールを備える。さらに各ロータはそれぞれのステータと相互作用(インターフェース)する磁石を備え、駆動セクションは、少なくとも1つのアームリンクが動作する環境からロータの磁石を密閉するためのシールを備える。
【0050】
開示された実施形態の1つまたは2つ以上の態様に従って、シャフトレス駆動セクションの高さは、基板搬送装置のZ軸移動から分離される。
【0051】
開示された実施形態の1つまたは2つ以上の態様に従って、基板搬送装置が提供される。基板搬送装置は、フレームと、フレームに回転可能に接続された少なくとも1つのアームリンクと、実質的に少なくとも1つのアームリンクの内部に配置されたシャフトレス分散型(distributed)駆動セクションとを備える。シャフトレス分散型駆動セクションは少なくとも2つの駆動モータを備え、少なくとも2つの駆動モータの1つが少なくとも1つのアームリンクをフレームに対して回転させるために少なくとも1つのアームリンクに接続され、少なくとも2つの駆動モータが少なくとも1つのアームリンクの内部で共通の水平面に沿って並んで配置される。
【0052】
開示された実施形態の1つまたは2つ以上の態様に従って、少なくとも2つの駆動モータのそれぞれがステータと、ステータの周囲をほぼ取り囲むロータとを備える。
【0053】
開示された実施形態の1つまたは2つ以上の態様に従って、基板搬送装置はフレームの内部に少なくとも一部配置され、少なくとも1つのアームリンクの伸長または後退の方向に対して略垂直方向に少なくとも1つのアームリンクを線形移動させるよう構成された第2の駆動セクションをさらに備える。
【0054】
開示された実施形態の1つまたは2つ以上の態様に従って、基板搬送装置が提供される。基板搬送装置はフレーム、および該フレームに回転可能に接続され、少なくとも1つのアッパーアームとフォアアームを有する少なくとも1つのアームを備える。また基板搬送装置はフレームに接続されたシャフトレス駆動セクションを備える。シャフトレス駆動セクションは、少なくとも2つの入れ子になったステータコイルを有するステータ、ステータによって周囲をほぼ取り囲まれた内部ロータ、およびステータの周囲をほぼ取り囲む外部ロータを備える少なくとも1つの駆動モータを備え、それによって内部ロータはフォアアームを回転させるためにフォアアームに接続され、外部ロータはアッパーアームを回転させるためにアッパーアームに接続される。
【0055】
開示された実施形態の1つまたは2つ以上の態様に従って、基板搬送装置は、フレームの内部に少なくとも一部配置され、少なくとも1つのアームリンクの伸長または後退の方向を含む平面に対して略垂直方向に少なくとも1つのアームリンクを線形移動させるよう構成された、第2の駆動セクションを備える。
【0056】
前述の説明は、開示された実施形態の態様の単なる例示であるということを理解すべきである。様々な代替および修正が、開示された実施形態の態様から逸脱することなく当業者によって考案され得る。したがって、開示された実施形態の態様は、添付の請求項の範囲内にある、全てのこうした代替、修正、および変形を含むことを意図している。さらに、異なる特徴が互いに異なる従属項や独立項に挙げられているという単なる事実は、これらの特徴の組み合わせを有利に用いることができないということを示しておらず、こうした組み合わせは本発明の態様の範囲内にある。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11