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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】研磨装置および半導体素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/30 20120101AFI20240416BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20240416BHJP
   B24B 37/26 20120101ALI20240416BHJP
   B24B 37/24 20120101ALI20240416BHJP
   B24B 57/02 20060101ALI20240416BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
B24B37/30 Z
B24B37/00 K
B24B37/26
B24B37/24 C
B24B57/02
H01L21/304 621D
H01L21/304 622E
H01L21/304 622F
H01L21/304 622R
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022129127
(22)【出願日】2022-08-12
(65)【公開番号】P2023026413
(43)【公開日】2023-02-24
【審査請求日】2022-08-12
(31)【優先権主張番号】10-2021-0107178
(32)【優先日】2021-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】505232852
【氏名又は名称】エスケー エンパルス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK enpulse Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1043,Gyeonggi-daero,Pyeongtaek-si,Gyeonggi-do 17784, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】アン、ジェイン
(72)【発明者】
【氏名】ユン、ジョンウク
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ウンソン
(72)【発明者】
【氏名】ソ、ジャンウォン
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-299732(JP,A)
【文献】特開2000-353678(JP,A)
【文献】特開2011-176342(JP,A)
【文献】特開2021-068904(JP,A)
【文献】特開2000-280166(JP,A)
【文献】特開2000-153450(JP,A)
【文献】特開2011-121147(JP,A)
【文献】特開2001-252859(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B37/00-37/34
H01L21/304;21/463
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
定盤と、
前記定盤上に装着される研磨パッドと、
研磨対象を収容するキャリアと、
少なくとも1つのノズルを含むスラリー供給部とを含み、
前記キャリアが前記定盤の中心から前記定盤の末端に至る軌跡で振動運動をし、
前記スラリー供給部は、前記キャリアの振動運動と同一の軌跡および速度で振動運動し、
前記スラリー供給部は、前記キャリアの周りから離隔され、
前記スラリー供給部は、前記定盤の回転方向を基準として前記キャリアの後方に位置し、
前記キャリアの平面は円形状であり、前記スラリー供給部の平面は円弧形状であり、
前記スラリー供給部が前記キャリアの周りの形状に対応する形態であり、
前記スラリー供給部の曲率半径が4inch~30inchであり、
前記キャリアの直径が100mm~400mmである、
研磨装置。
【請求項2】
前記研磨パッドが研磨面を備えた研磨層を含み、
前記研磨面が前記研磨層の厚さより小さい深さを有する少なくとも1つのグルーブを含み、
前記グルーブの深さが100μm~1500μmであり、
前記グルーブの幅が100μm~1000μmである、
請求項1に記載の研磨装置。
【請求項3】
前記研磨パッドが研磨面を備えた研磨層を含み、
前記研磨面が前記研磨層の厚さより小さい深さを有するグルーブを2以上含み、
隣接した2つのグルーブの間のピッチ(pitch)が2mm~70mmである、
請求項1に記載の研磨装置。
【請求項4】
前記研磨パッドが研磨面を備えた研磨層を含み、
前記研磨層がウレタン系プレポリマーを含む予備組成物の硬化物を含み、
前記予備組成物中のイソシアネート基の含有量(NCO%)が5重量%~11重量%である、
請求項1に記載の研磨装置。
【請求項5】
研磨パッドを定盤上に装着するステップと、
研磨対象をキャリアに装着するステップと、
前記研磨パッドの研磨面と前記研磨対象の被研磨面とが当接するように配置した後、加圧条件下で前記定盤と前記キャリアをそれぞれ回転させて前記研磨対象を研磨させるステップと、
少なくとも1つのノズルを含むスラリー供給部から前記研磨パッドの研磨面上にスラリーを供給するステップと、を含み、
前記研磨対象が半導体基板を含み、
前記キャリアが前記定盤の中心から前記定盤の末端に至る軌跡で振動運動をし、
前記スラリー供給部は、前記キャリアの振動運動と同一の軌跡および速度で振動運動し、
前記スラリー供給部は、前記キャリアの周りから離隔され、
前記スラリー供給部は、前記定盤の回転方向を基準として前記キャリアの後方に位置し、
前記キャリアの平面は円形状であり、前記スラリー供給部の平面は円弧形状であり、
前記スラリー供給部が前記キャリアの周りの形状に対応する形態であり、
前記スラリー供給部の曲率半径が4inch~30inchであり、
前記キャリアの直径が100mm~400mmである、半導体素子の製造方法。
【請求項6】
前記スラリー供給部は、複数のノズルを含み、
各ノズルを介したスラリーの注入量が0ml/分~1,000ml/分の範囲で独立して調節される、
請求項5に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項7】
前記定盤の回転速度が50rpm~150rpmである、
請求項5に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項8】
前記キャリアの回転速度が10rpm~500rpmである、
請求項5に記載の半導体素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
研磨工程に適用される研磨装置に関し、これを半導体素子の製造方法に適用する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
化学機械的平坦化(Chemical Mechanical Planarization、CMP)または化学機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing、CMP)工程は、多様な技術分野において多様な目的によって行われる。CMP工程は、研磨対象の所定の研磨面を対象に行われ、研磨面の平坦化、凝集された物質の除去、結晶格子の損傷の解消、スクラッチおよび汚染源の除去などの目的で行われる。
【0003】
半導体工程のCMP工程技術の分類は、研磨対象の膜質または研磨後の表面の形状によって区分することができる。例えば、研磨対象の膜質によって、単一シリコン(single silicon)またはポリシリコン(poly silicon)に分けられ、不純物の種類によって区分される多様な酸化膜またはタングステン(W)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ルテニウム(Ru)、タンタル(Ta)などの金属膜CMP工程に分類することができる。そして、研磨後の表面の形状によって、基板表面の粗さを緩和させる工程、多層回路配線によって発生する段差を平坦化する工程、研磨後の回路配線を選択的に形成するための素子分離工程に分類することができる。
【0004】
CMP工程は、半導体素子の製造過程で複数適用できる。半導体素子の場合、複数の層を含み、各層ごとに複雑で微細な回路パターンを含む。また、最近、半導体素子は、個別的なチップの大きさは減少し、各層のパターンはより複雑で微細になる方向へ進化している。これにより、半導体素子を製造する過程で回路配線の平坦化の目的だけでなく、回路配線の分離および配線表面の改善の応用などでCMP工程の目的が広がり、その結果、より精巧で信頼性のあるCMP性能が要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一実施形態において、工程の微細で精巧な設計が可能な研磨装置を提供しようとする。具体的には、研磨スラリーの供給において細分化された駆動可能なスラリー供給部を備えて、キャリアおよび定盤の回転および/または振動運動と垂直加圧条件などとの有機的な関係で最適化された駆動が可能な研磨装置を提供しようとする。
【0006】
本発明の他の実施形態において、前記研磨装置を適用した半導体素子の製造方法を提供しようとする。半導体素子の製造は、他の製品に比べて精巧な工程コントロールが非常に重要であり、前記研磨装置を適用することにより、このような要求に符合する研磨工程を提供して良質の半導体素子を得ることができる技術的手段を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態において、定盤と、前記定盤上に装着される研磨パッドと、研磨対象を収容するキャリアと、少なくとも1つのノズルを含むスラリー供給部とを含み、前記キャリアが前記定盤の中心から前記定盤の末端に至る軌跡で振動運動をし、前記スラリー供給部は、前記キャリアの振動運動と同一の軌跡および速度で振動運動する、研磨装置を提供する。
【0008】
前記キャリアの平面は円形状であり、前記スラリー供給部の平面は円弧形状であり、前記スラリー供給部が前記キャリアの周りの形状に対応する形態であってもよい。
【0009】
前記スラリー供給部の曲率半径が4inch~30inchであり、前記キャリアの直径が100mm~400mmであってもよい。
【0010】
前記研磨パッドが研磨面を備えた研磨層を含み、前記研磨面が前記研磨層の厚さより小さい深さを有する少なくとも1つのグルーブを含み、前記グルーブの深さが100μm~1500μmであり、前記グルーブの幅が100μm~1000μmであってもよい。
【0011】
前記研磨パッドが研磨面を備えた研磨層を含み、前記研磨面が前記研磨層の厚さより小さい深さを有するグルーブを2以上含み、隣接した2つのグルーブの間のピッチ(pitch)が2mm~70mmであってもよい。
【0012】
前記研磨パッドが研磨面を備えた研磨層を含み、前記研磨層がウレタン系プレポリマーを含む予備組成物の硬化物を含み、前記予備組成物中のイソシアネート基の含有量(NCO%)が5重量%~11重量%であってもよい。
【0013】
他の実施形態において、研磨パッドを定盤上に装着するステップと、研磨対象をキャリアに装着するステップと、前記研磨パッドの研磨面と前記研磨対象の被研磨面とが当接するように配置した後、加圧条件下で前記定盤と前記キャリアをそれぞれ回転させて前記研磨対象を研磨させるステップと、少なくとも1つのノズルを含むスラリー供給部から前記研磨パッドの研磨面上にスラリーを供給するステップと、を含み、前記研磨対象が半導体基板を含み、前記キャリアが前記定盤の中心から前記定盤の末端に至る軌跡で振動運動をし、前記スラリー供給部は、前記キャリアの振動運動と同一の軌跡および速度で振動運動する、半導体素子の製造方法を提供する。
【0014】
前記スラリー供給部は、複数のノズルを含み、各ノズルを介したスラリーの注入量が0ml/分~1,000ml/分の範囲で独立して調節可能である。
【0015】
前記定盤の回転速度が50rpm~150rpmであってもよい。
【0016】
前記キャリアの回転速度が10rpm~500rpmであってもよい。
【発明の効果】
【0017】
前記研磨装置は、研磨スラリーの供給において細分化された駆動可能なスラリー供給部を備えて、キャリアおよび定盤の回転および/または振動運動と垂直加圧条件などとの有機的な関係で最適化された駆動が可能であるという利点を有する。
【0018】
また、前記研磨装置を適用した半導体素子の製造方法は、他の製品に比べて精巧な工程コントロールが非常に重要な半導体素子の製造において最適な研磨性能を提供して良質の半導体素子を得る効果的な技術的手段になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】一実施形態に係る前記研磨装置の斜視図を概略的に示す図である。
図2】一実施形態に係る前記研磨装置の平面図を概略的に示す図である。
図3】一実施形態に係る前記研磨パッドの厚さ方向の断面を概略的に示す図である。
図4図3のA部分を拡大して示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法は、後述する実施例を参照すれば明確になる。しかし、本発明は以下に開示される実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で実現され、単に本実施例は本発明の開示が完全になるようにし、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は請求項の範疇によってのみ定義される。
【0021】
図面において様々な層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。そして、図面において、説明の便宜のために、一部の層および領域の厚さを誇張して示した。明細書全体にわたって同一の参照符号は同一の構成要素を指し示す。
【0022】
また、本明細書において、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」または「上部に」あるとする時、これは、他の部分の「真上に」ある場合のみならず、その中間にさらに他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の「真上に」あるとする時には、中間に他の部分がないことを意味する。これとともに、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「下に」または「下部に」あるとする時、これは、他の部分の「真下に」ある場合のみならず、その中間にさらに他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の「真下に」あるとする時には、中間に他の部分がないことを意味する。
【0023】
一実施形態において、定盤と、前記定盤上に装着される研磨パッドと、研磨対象を収容するキャリアと、少なくとも1つのノズルを含むスラリー供給部とを含み、前記キャリアが前記定盤の中心から前記定盤の末端に至る軌跡で振動運動をし、前記スラリー供給部は、前記キャリアの振動運動と同一の軌跡および速度で振動運動する研磨装置を提供する。
【0024】
図1は、一実施形態に係る前記研磨装置100の斜視図を概略的に示す図であり、図2は、一実施形態に係る前記研磨装置100の平面図を概略的に示す図である。図1を参照すれば、前記研磨装置100は、定盤120と、前記定盤120上に装着される研磨パッド110とを含む。前記研磨パッド110は、前記定盤120上に装着されて、前記定盤120が回転運動する軌道および速度で同一に回転運動する。
【0025】
図1および図2を参照すれば、前記研磨装置100は、研磨対象130を収容するキャリア160を含む。前記キャリア160は、所定の回転方向R1に回転し、前記研磨対象130は、前記キャリア160の回転運動と同一の軌跡および速度で回転運動する。また、前記キャリア160は、前記定盤120の中心Cから前記定盤120の末端に至る軌跡V1(図2の点線図示)で振動運動をする。前記定盤120が回転運動をすると同時に、前記キャリア160が回転および振動運動をすることにより、前記キャリア160に収容された前記研磨対象130の被研磨面が、前記定盤120に装着された前記研磨パッド110の研磨面11と効率的に摩擦を起こして研磨される。
【0026】
また、前記研磨装置100は、少なくとも1つのノズル141を含むスラリー供給部140を含む。前記スラリー供給部140は、前記研磨パッド110の研磨面上にスラリーを供給して、前記研磨パッド110と前記研磨対象130との界面で物理的化学的研磨を円滑に進行させる役割を果たす。前記スラリー供給部140は、前記研磨パッド110上に所定の高さに離隔配置され、前記研磨パッド110の研磨面11に向かう方向にスラリーを噴射することができる。
【0027】
前記スラリー供給部140は、前記キャリア160の振動運動と同一の軌跡V1および速度で振動運動をする。これにより、前記スラリー供給部140から噴射されるスラリーが前記研磨対象130の被研磨面の全面積にわたって均一に供給されると同時に、有効に活用できずに排出されるスラリーの量を最小化するという利点を得ることができる。従来のスラリー供給部は、ノズルを1つのみ含むか、複数のノズルを含んでいても定められた位置で別の振動運動なしにスラリーを噴射させる構造であった。前記研磨パッド110の研磨面上に噴射されたスラリーは、前記定盤120の回転運動による遠心力によって前記研磨パッド110の全面積にわたって分散して、前記研磨対象130と前記研磨パッド110との界面に移動する。従来の構造のスラリー供給部の場合、スラリーの注入位置が固定されているため、これを介して供給されたスラリーが、前記研磨パッド110と前記研磨対象130との界面上に移動する前に、前記研磨パッド110の外郭へ離脱して捨てられる量が多い問題があった。また、固定された位置のノズルを介して噴射されたスラリーは、単に前記定盤120の回転運動による遠心力によってのみ分散するため、前記研磨対象130と前記研磨パッド110との界面上に均一に供給されにくい問題があった。このような観点から、一実施形態に係る前記研磨装置100は、少なくとも1つのノズル141、具体的には、複数のノズル141を含むスラリー供給部140を含み、前記スラリー供給部140が前記キャリア160の振動運動と同一の軌跡および速度で振動運動する可変性を具備することにより、前記研磨パッド110の外郭へ離脱して捨てられるスラリーの量を最小化し、前記研磨対象130の被研磨面の全面積にわたって均一にスラリーが供給されるようにし、その結果、前述した従来の技術的問題点を解決するという利点を有する。これにより、前記研磨装置100によって研磨された前記研磨対象130は、均一な研磨平坦度を満足し、被研磨面上の欠陥が実質的に発生しない効果を実現することができる。
【0028】
図1および図2を参照すれば、一実施形態において、前記キャリア160の平面は円形状であり、前記スラリー供給部140の平面は円弧形状であり、前記スラリー供給部140は前記キャリア160の周りの形状に対応する形態であってもよい。本明細書において、「円形状」または「円弧形状」は、幾何学的に完璧な円形に起因した構造のみならず、幾何学的区分によれば楕円に相当するが、当該技術分野にて通常円形と認識できる形状を包括すると解釈される。前記スラリー供給部140が前記キャリア160の周りの形状に対応する形態であるというのは、前記スラリー供給部140が前記キャリア160の周りに隙間なく結合可能な場合だけでなく、前記スラリー供給部140が前記キャリア160の周りから所定の間隔で離隔しているものの全体的な形状が対応する場合を含むと解釈される。また、前記スラリー供給部140が前記キャリア160の周りの形状に対応する形態であるというのは、前記スラリー供給部140の任意の2つの地点が前記キャリア160の周りから互いに異なる間隔で離隔していても、前記キャリア160の平面構造である円形状の屈曲方向と、前記スラリー供給部140の平面構造である円弧形状の屈曲方向とが一致する場合を含むと解釈される。前記キャリア160と前記スラリー供給部140が形態上このような相関関係を有することにより、相互同一の軌跡および速度で振動運動するのに容易であり得、前記研磨対象130と前記研磨パッド110との界面にスラリーを均一に分散させる面からより有利であり得る。
【0029】
図1および図2を参照すれば、一実施形態において、前記スラリー供給部140は、前記定盤120の回転方向R2を基準として前記キャリア160の後方に位置することができる。他の側面から説明すれば、前記研磨パッド110の研磨面上の任意の一地点は、前記定盤120の回転によって前記キャリア160に装着された研磨対象130の被研磨面より、前記スラリー供給部140から噴射されたスラリー150を先に対面することができる。このような駆動により、前記スラリー供給部140から噴射されたスラリー150が先に分散した前記研磨パッド110の研磨面が、前記研磨対象130の被研磨面と当接することができ、前記研磨パッド110の外郭へ離脱して捨てられるスラリー150の量を最小化する面からより有利であり得る。
【0030】
一実施形態において、前記スラリー供給部140の平面構造は、前述のように円弧形状であってもよく、その曲率半径が約4inch~約30inch、例えば、約5inch~約30inch、例えば、約10inch~約30inch、例えば、約10inch~約25inchであってもよい。
【0031】
一実施形態において、前記キャリア160の平面構造は、前述のように円形状であってもよく、その直径が約100mm~約400mm、例えば、約200mm~約400mmであってもよく、例えば、約250mm~約400mmであってもよく、例えば、約350mm~約400mmであってもよい。
【0032】
前記スラリー供給部140と前記キャリア160の大きさがそれぞれまたはすべて前述した範囲を満足することにより、前記研磨パッド110の研磨面を最も効率的に活用することができ、装置の駆動が円滑であるという利点を得ることができる。
【0033】
前記研磨装置100は、前記スラリー供給部140の駆動を調節する制御部(図示せず)をさらに含むことができる。前記制御部は、前記スラリー供給部140の運動方式を変更したり、前記スラリー供給部140の少なくとも1つのノズル141を介して流入するスラリー150の流量を調節したり、前記複数のノズル141それぞれのスラリー150の供給の有無およびスラリー150の流入流量を調節する役割を果たすことができる。
【0034】
一実施形態において、前記制御部は、前記スラリー供給部140が前記定盤120の回転方向を基準として前記キャリア160の後方に位置することを前提に、前記キャリア160の回転運動の軌跡に対応する軌道に沿って一部回転運動するように駆動制御することができる。前記スラリー供給部140が複数のノズル141を含み、それぞれのノズル141に対して区別される流量または開閉の有無を設定する場合、必要に応じて前記スラリー供給部140の位置調整が必要であり、前記制御部がこのような駆動を制御することにより、前記スラリー供給部140による均一なスラリー供給効果をさらに向上させることができる。
【0035】
前記スラリー供給部140が複数のノズル141を含み、前記制御部は、前記複数のノズル141それぞれの開閉の有無を独立して制御することができる。前記研磨装置100を適用する研磨対象130の種類、構造、大きさまたは研磨目的によって前記複数のノズル141の一部からのみスラリーを流入する必要がある。この時、前記制御部を介して前記複数のノズル141それぞれの開閉の有無が独立して制御されることにより、多様な研磨対象130に対する優れた研磨性能を実現するのにより有利であり得る。
【0036】
前記スラリー供給部140が複数のノズル141を含み、前記制御部は、前記複数のノズル141それぞれのスラリー150の供給流量を独立して制御することができる。前記研磨対象130の被研磨面の種類、構造、大きさまたは研磨目的によって前記複数のノズル141のスラリーの供給流量を異ならせることでより優れた研磨平坦度の実現が可能である。例えば、研磨工程初期には前記複数のノズル141それぞれのスラリーの供給流量を同一にし、研磨工程が所定の時間進行した時点から一部時間の間は前記複数のノズル141それぞれのスラリーの供給流量を異なって設定して、前記研磨対象130の被研磨面の一部領域が他の領域に比べてより速やかに研磨されるように調節することができる。
【0037】
前記研磨装置100の駆動において、前記研磨パッド110が最適に設計される場合、前述した技術的利点が極大化できる。前記研磨パッド110の構造および組成などの設計によって研磨面の物理的化学的物性が決定されるが、前記キャリア160と前記スラリー供給部140が同時に振動運動する駆動方式に最適化されるように設計された研磨パッド110を適用することにより、前記研磨装置100の技術的利点が極大化できる。
【0038】
図3は、一実施形態に係る前記研磨パッド110の厚さ方向の断面を概略的に示す図である。図3を参照すれば、前記研磨パッド110は、研磨面11を備えた研磨層10を含み、前記研磨面11が前記研磨層10の厚さD1より小さい深さd1を有する少なくとも1つのグルーブ112を含むことができる。この時、前記グルーブ112の深さd1が約100μm~約1500μmであり、前記グルーブ112の幅w1が約100μm~約1000μmであってもよい。
【0039】
前記グルーブ112は、前記スラリー供給部140を介して前記研磨面11上に提供されたスラリーの流動性を調節し、前記研磨面11と前記研磨対象130の被研磨面との直接的な接触面積の大きさを調節して研磨特性を調節するための役割を果たすことができる。前記グルーブ112の深さd1および幅w1がそれぞれまたはすべて前述した範囲を満足することにより、前述のように前記キャリア160と前記スラリー供給部140が同時に振動運動する駆動方式を有する研磨装置に最適化されたスラリーの流動性および研磨性能を確保するのにより有利であり得る。
【0040】
より具体的には、前記グルーブ112の深さd1は、約200μm~約1400μmであってもよく、例えば、約300μm~約1300μmであってもよく、例えば、約400μm~約1200μmであってもよく、例えば、約500μm~約1200μm、例えば、約700μm~約900μmであってもよい。
【0041】
より具体的には、前記グルーブ112の幅w1は、約200μm~約1000μm、例えば、約300μm~約800μm、例えば、約200μm~約700μmであってもよく、例えば、約300μm~約700μmであってもよく、例えば、約400μm~約600μmであってもよい。
【0042】
前記研磨面11は、2以上の複数のグルーブ112を含むことができる。一実施形態において、前記研磨パッド110の平面構造は、実質的に円形状であってもよく、前記複数のグルーブ112は、前記研磨面11上の前記研磨層10の中心から末端に向かって所定の間隔で離隔配置された同心円状構造であってもよい。他の実施形態において、前記複数のグルーブ112は、前記研磨面11上の前記研磨層10の中心から末端に向かって連続形成された放射状構造であってもよい。さらに他の実施形態において、前記複数のグルーブ112は、同心円状構造のグルーブおよび放射状構造のグルーブを同時に含むことができる。
【0043】
一実施形態において、前記研磨パッド110は、研磨面11を備えた研磨層10を含み、前記研磨面11が前記研磨層10の厚さより小さい深さd1を有するグルーブ112を2以上含み、隣接した2つのグルーブ112の間のピッチ(pitch)p1が約2mm~約70mmであってもよい。例えば、各グルーブのピッチp1は、約2mm~約60mmであってもよく、例えば、約2mm~約50mmであってもよく、例えば、約2mm~約10mmであってもよく、例えば、約1.5mm~約5.0mmであってもよく、例えば、約1.5mm~約4.0mmであってもよく、例えば、約1.5mm~約3.0mmであってもよい。
【0044】
前記グルーブ112の深さd1、幅w1およびピッチp1がそれぞれまたはすべて前述した範囲を満足することにより、前述のように前記キャリア160と前記スラリー供給部140が同時に振動運動する駆動方式を有する研磨装置に最適化されたスラリーの流動性および研磨性能を確保するのにより有利であり得る。
【0045】
図3を参照すれば、一実施形態において、前記研磨層10の厚さD1は、約0.8mm~約5.0mm、例えば、約1.0mm~約4.0mm、例えば、約1.0mm~3.0mm、例えば、約1.5mm~約3.0mm、例えば、約1.7mm~約2.7mm、例えば、約2.0mm~約3.5mmであってもよい。
【0046】
図4は、図3のA部分を拡大して示す概略図である。図4を参照すれば、前記研磨層10は、複数の気孔111を含む多孔性構造であってもよい。前記複数の気孔111は、その一部が前記研磨層10の研磨面11上に外部に露出して、前記グルーブ112とは区別される微細凹部113を構成することができる。前記微細凹部113は、前記研磨パッド110の使用中に前記グルーブ112と共に研磨液またはスラリーの流動性および係留空間を決定すると同時に、前記研磨面11に所定の粗さを付与して、前記研磨面11が構造的に前記研磨対象130の被研磨面に対する物理的な摩擦面として機能するようにする。前記複数の気孔111は、前記研磨層10全体に分散したものであって、前記研磨面11が研磨工程中にコンディショナ(Conditioner)などによって研削される過程でも持続的に表面上の所定の粗さを設ける役割を果たすことができる。
【0047】
前記研磨面11は、前記微細凹部113によって所定の表面粗さを有することができる。一実施形態において、前記研磨面11の表面粗さ(Ra)は、約1μm~約20μmであってもよく、例えば、約2μm~約18μmであってもよく、例えば、約3μm~約16μmであってもよく、例えば、約4μm~約14μmであってもよい。前記研磨面11がこのような表面粗さを有することにより、前記キャリア160と前記スラリー供給部140が同時動作する駆動方式に関連して、前記研磨対象130の被研磨面に最適な研磨性能を提供するのにより有利であり得る。
【0048】
前記複数の気孔111は、平均粒径(D50)が約5μm~約200μm、例えば、約20μm~約50μm、例えば、約21μm~約50μm、例えば、約21μm~約40μm、例えば、約21μm~約38μm、例えば、約23μm~約28μmであってもよい。前記複数の気孔111の平均粒径は(D50)は、前記研磨層10の厚さ方向に垂直な方向に切断した任意の一断面に対して100倍拡大して撮影した写真の680μm×480μmの面積を基準として露出した気孔の2次元投影像に対する直径の数平均値として導出される。この時、前記断面の撮影方法は特に限定されないが、例えば、走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)を用いて撮影できる。前記複数の気孔111がこのような大きさ範囲を有することにより、前記研磨面11上に現れる表面粗さが最適に設計可能であり、前記研磨層10が前記研磨対象130に対して提供する弾性力が研磨平坦度および欠陥防止の面から適正範囲に確保されるのに有利であり得る。
【0049】
前記研磨パッド110は、研磨面11を備えた研磨層10を含み、前記研磨層10は、前記研磨面11を介して前記研磨対象130に対して研磨性能を提供する層であって、前記研磨パッド110の本来の機能を行う主な構成と見られる。前記研磨層10の材質および構造などは、前記キャリア160と前記スラリー供給部140が同時動作する駆動方式と連携されて、前記研磨対象130の被研磨面に適正な弾性力および剛性を提供して最終研磨平坦度および研磨率などを優れたものに実現するための重要な要素と見られる。
【0050】
一実施形態において、前記研磨層10は、ウレタン系プレポリマーを含む予備組成物の硬化物を含むことができる。前記「プレポリマー(prepolymer)」は、硬化物の製造において成形しやすいように重合度を中間段階で中止させた比較的低い分子量を有する高分子を意味する。前記プレポリマーは、それ自体で加熱および/または加圧などの追加的な硬化工程を経るか、または他の重合性化合物、例えば、異種のモノマーまたは異種のプレポリマーのような追加化合物と混合して反応させた後、最終硬化物に成形される。
【0051】
前記ウレタン系プレポリマーは、イソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて製造できる。前記ウレタン系プレポリマーは、前記イソシアネート化合物と前記ポリオール化合物とが反応して末端イソシアネート基を含むことができる。また、前記ウレタン系プレポリマーを含む予備組成物は、前記ウレタン系プレポリマーを製造するためのイソシアネート化合物中で反応せずに残っている未反応イソシアネート化合物を含むことができる。これにより、前記ウレタン系プレポリマーを含む予備組成物は、前記末端イソシアネート基または前記未反応イソシアネート化合物に由来する自由イソシアネート基(free-NCO group)を含むことができる。前記「自由イソシアネート基」は、ウレタン反応しない状態のイソシアネート基を意味する。前記予備組成物中の自由イソシアネート基の含有量を「イソシアネート基の含有量(NCO%)」と称し、前記予備組成物のイソシアネート基の含有量(NCO%)は、約5重量%~約11重量%であってもよく、例えば、約5重量%~約10重量%、例えば、約5重量%~約8重量%、例えば、約8重量%~約10重量%、例えば、約8.5重量%~約10重量%であってもよい。前記NCO%は、前記予備組成物の後続の硬化時間および硬化速度を決定し、これは前記研磨層10の弾性力および剛性などの物理的、機械的物性を決定する。前記予備組成物のNCO%が前記範囲を満足することにより、前記研磨層10は、前記キャリア160と前記スラリー供給部140が同時動作する駆動方式と連携されて、前記研磨対象130の被研磨面に適正な弾性力および剛性を有する研磨面11を提供することができ、その結果、前記研磨対象130の被研磨面に対する研磨率および最終研磨平坦度と欠陥防止などの面から優れた研磨性能を実現するのにより有利であり得る。
【0052】
前記イソシアネート化合物は、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを使用することができる。例えば、前記イソシアネート化合物は、芳香族ジイソシアネートを含むことができる。例えば、前記イソシアネート化合物は、芳香族ジイソシアネートおよび脂環族ジイソシアネートを含むことができる。
【0053】
前記イソシアネート化合物は、例えば、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-toluenediisocyanate、2,4-TDI)、2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-toluenediisocyanate、2,6-TDI)、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート(naphthalene-1,5-diisocyanate)、パラ-フェニレンジイソシアネート(p-phenylenediisocyanate)、トリジンジイソシアネート(tolidinediisocyanate)、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4'-diphenylmethanediisocyanate)、ヘキサメチレンジイソシアネート(hexamethylenediisocyanate)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(dicyclohexylmethanediisocyanate)、4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(4,4'-dicyclohexylmethanediisocyanate、H12MDI)、イソホロンジイソシアネート(isoporone diisocyanate)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0054】
前記「ポリオール(polyol)」とは、分子あたり、ヒドロキシ基(-OH)を少なくとも2以上含む化合物を意味する。一実施形態において、前記ポリオール化合物は、ヒドロキシ基が2個である2価アルコール化合物すなわち、ジオール(diol)またはグリコール(glycol);またはヒドロキシ基が3個である3価アルコール化合物すなわち、トリオール(triol)化合物を含むことができる。
【0055】
前記ポリオール化合物は、例えば、ポリエーテル系ポリオール(polyether polyol)、ポリエステル系ポリオール(polyester polyol)、ポリカーボネート系ポリオール(polycarbonate polyol)、アクリル系ポリオール(acryl polyol)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0056】
前記ポリオール化合物は、例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)、ポリプロピレンエーテルグリコール、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール(DEG)、ジプロピレングリコール(DPG)、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレントリオール、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0057】
前記ポリオール化合物は、その重量平均分子量(Mw)が約100g/mol~約3,000g/molであってもよく、例えば、約100g/mol~約2,000g/molであってもよく、例えば、約100g/mol~約1,800g/molであってもよい。
【0058】
一実施形態において、前記ポリオール化合物は、重量平均分子量(Mw)が約100g/mol以上、約300g/mol未満の低分子量ポリオールと、重量平均分子量(Mw)が約300g/mol以上、約1800g/mol以下の高分子量ポリオールとを含むことができる。前記高分子量ポリオールの重量平均分子量(Mw)は、例えば、約500g/mol以上、約1,800g/mol以下であってもよく、例えば、約700g/mol以上、約1,800g/mol以下であってもよい。この場合、前記ポリオール化合物は、前記ウレタン系プレポリマー中で適切な架橋構造を形成することができ、前記ウレタン系プレポリマーを含む予備組成物が所定の工程条件下で硬化して形成された前記研磨層が前述した効果を実現するのにより有利であり得る。
【0059】
前記ウレタン系プレポリマーは、その重量平均分子量(Mw)が約500g/mol~約3,000g/molであってもよく、例えば、約600g/mol~約2,000g/molであってもよく、例えば、約800g/mol~約1,000g/molであってもよい。前記ウレタン系プレポリマーが前述した重量平均分子量(Mw)に相応する重合度を有する場合、前記予備組成物が所定の工程条件下で硬化して形成された前記研磨層が前述した効果を実現するのにより有利であり得る。
【0060】
一実施形態において、前記イソシアネート化合物は、芳香族ジイソシアネートを含むことができる。前記芳香族ジイソシアネートは、例えば、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)を含むことができ、例えば、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)および2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-TDI)を含むことができる。また、前記ポリオール化合物は、例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)およびジエチレングリコール(DEG)を含むことができる。
【0061】
他の実施形態において、前記イソシアネート化合物は、芳香族ジイソシアネートおよび脂環族ジイソシアネートを含むことができる。前記芳香族ジイソシアネートは、例えば、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)を含むことができ、例えば、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)および2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-TDI)を含むことができる。前記脂環族ジイソシアネートは、例えば、4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)を含むことができる。また、前記ポリオール化合物は、例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)およびジエチレングリコール(DEG)を含むことができる。
【0062】
前記予備組成物において、前記ウレタン系プレポリマーを製造するための全体成分中の前記イソシアネート化合物の総量100重量部対比、前記ポリオール化合物の総量は、約100重量部~約300重量部、例えば、約100重量部~約250重量部、例えば、約110重量部~約250重量部、例えば、約120重量部~約240重量部、例えば、約120重量部~約150重量部、例えば、約180重量部~約240重量部であってもよい。
【0063】
前記予備組成物において、前記イソシアネート化合物である前記芳香族ジイソシアネートを含むことができ、前記芳香族ジイソシアネートは、2,4-TDIおよび2,6-TDIを含むことができ、前記芳香族ジイソシアネートは、前記2,4-TDI100重量部対比、前記2,6-TDIを約1重量部~約40重量部、例えば、約1重量部~約30重量部、例えば、約10重量部~約30重量部、例えば、約15重量部~約30重量部、例えば、約1重量部~約10重量部含むことができる。
【0064】
前記予備組成物において、前記イソシアネート化合物が前記芳香族ジイソシアネートおよび前記脂環族ジイソシアネートを含むことができ、前記脂環族ジイソシアネートの総含有量が、前記芳香族ジイソシアネートの総含有量100重量部対比、約0重量部~約30重量部、例えば、約0重量部~約25重量部、例えば、約0重量部~約20重量部、例えば、約5重量部~約30重量部、例えば、約5重量部~約25重量部、例えば、約5重量部~約20重量部、例えば、約5重量部以上、約15重量部未満であってもよい。
【0065】
前記ウレタン系プレポリマーを製造するための各成分の相対含有量比が前述した範囲をそれぞれまたは同時に満足することにより、これから製造された前記研磨層10が前記研磨面11を介して前記研磨対象130の被研磨面に適切な気孔構造、表面硬度、弾性力および剛性を提供することができ、その結果、前記キャリア160と前記スラリー供給部140が同時動作する駆動方式と連携されて、前記研磨装置100が優れた研磨性能を実現させるのにより有利であり得る。
【0066】
一実施形態において、前記予備組成物は、硬化剤をさらに含むことができる。前記硬化剤は、前記ウレタン系プレポリマーと化学的に反応して前記研磨層10の最終硬化構造を形成するための成分として、例えば、アミン化合物またはアルコール化合物を含むことができる。具体的には、前記硬化剤は、芳香族アミン、脂肪族アミン、芳香族アルコール、脂肪族アルコール、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0067】
前記硬化剤は、例えば、4,4'-メチレンビス(2-クロロアニリン)(4,4'-methylenebis(2-chloroaniline);MOCA)、ジエチルトルエンジアミン(diethyltoluenediamine;DETDA)、ジアミノジフェニルメタン(diaminodiphenylmethane)、ジメチルチオトルエンジアミン(dimethyl thio-toluene diamine;DMTDA)、プロパンジオールビスp-アミノベンゾエート(propanediol bis p-aminobenzoate)、Methylene bis-methylanthranilate、ジアミノジフェニルスルホン(diaminodiphenylsulfone)、m-キシリレンジアミン(m-xylylenediamine)、イソホロンジアミン(isophoronediamine)、エチレンジアミン(ethylenediamine)、ジエチレントリアミン(diethylenetriamine)、トリエチレンテトラアミン(triethylenetetramine)、ポリプロピレンジアミン(polypropylenediamine)、ポリプロピレントリアミン(polypropylenetriamine)、ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)メタン(bis(4-amino-3-chlorophenyl)methane)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0068】
一実施形態において、前記硬化剤は、アミン化合物を含むことができ、前記予備組成物中の自由イソシアネート基(-NCO)に対する前記硬化剤中のアミン基((-NH)のモル比が約1:0.60~約1:0.99であってもよく、例えば、約1:0.60~約1:0.95であってもよい。前記予備組成物中の自由イソシアネート基に対する前記硬化剤中のアミン基のモル比が前述した範囲を満足するように前記硬化剤の量を決定することにより、前記予備組成物の硬化時間および硬化速度が前記研磨層10の弾性力および剛性などの物理的、機械的物性を最適に確保できるように調節可能である。その結果、最終硬化した前記研磨層10は、前記キャリア160と前記スラリー供給部140が同時動作する駆動方式と連携されて、前記研磨対象130の被研磨面に適正な弾性力および剛性を有する研磨面11を提供することができ、前記研磨対象130の被研磨面に対する研磨率および最終研磨平坦度と欠陥防止などの面から優れた研磨性能を実現するのにより有利であり得る。
【0069】
一実施形態において、前記予備組成物は、発泡剤をさらに含むことができる。前記発泡剤は、前記研磨層10内の気孔構造を形成するための成分として、固相発泡剤、気相発泡剤、液相発泡剤、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。例えば、前記発泡剤は、固相発泡剤、気相発泡剤、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0070】
前記固相発泡剤の平均粒径は、約5μm~約200μm、例えば、約20μm~約50μm、例えば、約21μm~約50μm、例えば、約21μm~約40μmであってもよい。前記固相発泡剤が後述による熱膨張(expanded)粒子の場合、前記固相発泡剤の平均粒径は、熱膨張粒子自体の平均粒径を意味することができる。前記固相発泡剤が後述による未膨張(unexpanded)粒子の場合、前記固相発泡剤の平均粒径は、熱または圧力によって膨張した後の粒子の平均粒径を意味することができる。前記固相発泡剤の平均粒径が前記範囲を満足することにより、前記予備組成物中に混合される時、凝集なく混合されるのに有利であり、その結果、前記研磨層10内に適切に分散した気孔構造を形成するのに有利であり得る。
【0071】
前記固相発泡剤は、膨張性粒子を含むことができる。前記膨張性粒子は、熱または圧力などによって膨張可能な特性を有する粒子であって、前記研磨層を製造する過程で加えられる熱または圧力などによって最終研磨層内での大きさが決定可能である。前記膨張性粒子は、熱膨張(expanded)粒子、未膨張(unexpanded)粒子、またはこれらの組み合わせを含むことができる。前記熱膨張粒子は、熱によって事前膨張した粒子であって、前記研磨層の製造過程で加えられる熱または圧力による大きさの変化が小さいか、ほとんどない粒子を意味する。前記未膨張粒子は、事前膨張しない粒子であって、前記研磨層の製造過程で加えられる熱または圧力によって膨張して最終大きさが決定される粒子を意味する。
【0072】
前記膨張性粒子は、樹脂材質の外被と、前記外被に封入された内部に存在する膨張誘発成分とを含むことができる。
【0073】
例えば、前記外被は、熱可塑性樹脂を含むことができ、前記熱可塑性樹脂は、塩化ビニリデン系共重合体、アクリロニトリル系共重合体、メタクリロニトリル系共重合体、およびアクリル系共重合体からなる群より選択された1種以上であってもよい。
【0074】
前記膨張誘発成分は、炭化水素化合物、クロロフルオロ化合物、テトラアルキルシラン化合物、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0075】
具体的には、前記炭化水素化合物は、エタン(ethane)、エチレン(ethylene)、プロパン(propane)、プロペン(propene)、n-ブタン(n-butane)、イソブテン(isobutene)、n-ブテン(butene)、イソブテン(isobutene)、n-ペンタン(n-pentane)、イソペンタン(isopentane)、ネオペンタン(neopentane)、n-ヘキサン(n-hexane)、ヘプタン(heptane)、石油エーテル(petroleum ether)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0076】
前記クロロフルオロ化合物は、トリクロロフルオロメタン(trichlorofluoromethane、CClF)、ジクロロジフルオロメタン(dichlorodifluoromethane、CCl)、クロロトリフルオロメタン(chlorotrifluoromethane、CClF)、テトラフルオロエチレン(tetrafluoroethylene、CClF-CClF)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0077】
前記テトラアルキルシラン化合物は、テトラメチルシラン(tetramethylsilane)、トリメチルエチルシラン(trimethylethylsilane)、トリメチルイソプロピルシラン(trimethylisopropylsilane)、トリメチル-n-プロピルシラン(trimethyl-n-propylsilane)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0078】
前記固相発泡剤は、選択的に無機成分処理粒子を含むことができる。例えば、前記固相発泡剤は、無機成分処理された膨張性粒子を含むことができる。一実施形態において、前記固相発泡剤は、シリカ(SiO)粒子処理された膨張性粒子を含むことができる。前記固相発泡剤の無機成分処理は、複数の粒子間凝集を防止することができる。前記無機成分処理された固相発泡剤は、無機成分処理されない固相発泡剤と発泡剤表面の化学的、電気的および/または物理的特性が異なりうる。
【0079】
前記固相発泡剤の含有量は、前記予備組成物100重量部を基準として、約0.5重量部~約10重量部、例えば、約1重量部~約3重量部、例えば、約1.3重量部~約2.7重量部、例えば、約1.3重量部~約2.6重量部であってもよい。前記固相発泡剤の含有量が前記範囲を満足することにより、前記予備組成物中に混合される時、凝集なく混合されるのに有利であり、その結果、前記研磨層10内に適切に分散した気孔構造を形成するのに有利であり得る。
【0080】
前記気相発泡剤は、不活性ガスを含むことができる。前記気相発泡剤は、前記ウレタン系プレポリマーと前記硬化剤とが反応する過程中に投入されて気孔形成要素として使用できる。
【0081】
前記不活性ガスは、前記ウレタン系プレポリマーと前記硬化剤との間の反応に参加しないガスであれば、その種類が特に限定されない。例えば、前記不活性ガスは、窒素ガス(N)、アルゴンガス(Ar)、ヘリウムガス(He)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。具体的には、前記不活性ガスは、窒素ガス(N)またはアルゴンガス(Ar)を含むことができる。
【0082】
一実施形態において、前記発泡剤は、固相発泡剤を含むことができる。例えば、前記発泡剤は、固相発泡剤のみからなってもよい。
【0083】
前記固相発泡剤は、膨張性粒子を含み、前記膨張性粒子は、熱膨張粒子を含むことができる。例えば、前記固相発泡剤は、熱膨張粒子のみからなってもよい。前記未膨張粒子を含まずに熱膨張粒子のみからなる場合、気孔構造の可変性は低下するものの事前予測の可能性が高まって、前記研磨層の全領域にわたって均質な気孔特性を実現するのに有利であり得る。
【0084】
一実施形態において、前記熱膨張粒子は、約5μm~約200μmの平均粒径を有する粒子であってもよい。前記熱膨張粒子の平均粒径は、約5μm~約100μm、例えば、約10μm~約80μm、例えば、約20μm~約70μm、例えば、約20μm~約50μm、例えば、約30μm~約70μm、例えば、約25μm~45μm、例えば、約40μm~約70μm、例えば、約40μm~約60μmであってもよい。前記平均粒径は、前記熱膨張粒子のD50と定義される。
【0085】
一実施形態において、前記熱膨張粒子の密度は、約30kg/m~約80kg/m、例えば、約35kg/m~約80kg/m、例えば、約35kg/m~約75kg/m、例えば、約38kg/m~約72kg/m、例えば、約40kg/m~約75kg/m、例えば、約40kg/m~約72kg/mであってもよい。
【0086】
一実施形態において、前記発泡剤は、気相発泡剤を含むことができる。例えば、前記発泡剤は、固相発泡剤および気相発泡剤を含むことができる。前記固相発泡剤に関する事項は前述した通りである。
【0087】
前記気相発泡剤は、前記ウレタン系プレポリマー、前記固相発泡剤、および前記硬化剤が混合される過程中に所定の注入ラインを介して注入される。前記気相発泡剤の注入速度は、約0.8L/min~約2.0L/min、例えば、約0.8L/min~約1.8L/min、例えば、約0.8L/min~約1.7L/min、例えば、約1.0L/min~約2.0L/min、例えば、約1.0L/min~約1.8L/min、例えば、約1.0L/min~約1.7L/minであってもよい。
【0088】
前記予備組成物は、必要に応じて添加剤をさらに含むことができる。前記添加剤の種類は、界面活性剤、pH調整剤、バインダー、酸化防止剤、熱安定剤、分散安定剤、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。前記「界面活性剤」、「酸化防止剤」などの添加剤を指す名称は、当該物質の主な役割を基準として任意に称する名称であり、それぞれの当該物質が必ずしも名称の指す役割に限る機能だけを行うわけではない。
【0089】
前記界面活性剤は、気孔の凝集または重畳などの現象を防止する役割を果たす物質であれば、特に限定されない。例えば、前記界面活性剤は、シリコーン系界面活性剤を含むことができる。
【0090】
前記界面活性剤は、前記予備組成物100重量部を基準として、約0.2重量部~約2重量部の含有量で使用できる。具体的には、前記界面活性剤は、前記第2ウレタン系プレポリマー100重量部を基準として、約0.2重量部~約1.9重量部、例えば、約0.2重量部~約1.8重量部、例えば、約0.2重量部~約1.7重量部、例えば、約0.2重量部~約1.6重量部、例えば、約0.2重量部~約1.5重量部、例えば、約0.5重量部~1.5重量部の含有量で含まれる。前記範囲内の含有量で界面活性剤を含む場合、気相発泡剤由来の気孔がモールド内で安定して形成および維持できる。
【0091】
前記反応速度調節剤は、反応促進または反応遅延の役割を果たすものであって、目的によって反応促進剤、反応遅延剤、またはこれらのすべてを使用することができる。前記反応速度調節剤は、反応促進剤を含むことができる。例えば、前記反応促進剤は、3級アミン系化合物および有機金属系化合物からなる群より選択された1種以上の反応促進剤であってもよい。
【0092】
具体的には、前記反応速度調節剤は、トリエチレンジアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルブタンジアミン、2-メチル-トリエチレンジアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロパノールアミン、1,4-ジアザビシクロ(2,2,2)オクタン、ビス(2-メチルアミノエチル)エーテル、トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N,N,N,N,N''-ペンタメチルジエチレントリアミン、ジメチルアミノエチルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ベンジルジメチルアミン、N-エチルモルホリン、N,N-ジメチルアミノエチルモルホリン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、2-メチル-2-アザノルボルナン、ジブチルチンジラウレート、スタナスオクトエート、ジブチルチンジアセテート、ジオクチルチンジアセテート、ジブチルチンマレエート、ジブチルチンジ-2-エチルヘキサノエート、およびジブチルチンジメルカプチドからなる群より選択された1種以上を含むことができる。具体的には、前記反応速度調節剤は、ベンジルジメチルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、およびトリエチルアミンからなる群より選択された1種以上を含むことができる。
【0093】
前記反応速度調節剤は、前記予備組成物100重量部を基準として、約0.05重量部~約2重量部、例えば、約0.05重量部~約1.8重量部、例えば、約0.05重量部~約1.7重量部、例えば、約0.05重量部~約1.6重量部、例えば、約0.1重量部~約1.5重量部、例えば、約0.1重量部~約0.3重量部、例えば、約0.2重量部~約1.8重量部、例えば、約0.2重量部~約1.7重量部、例えば、約0.2重量部~約1.6重量部、例えば、約0.2重量部~約1.5重量部、例えば、約0.5重量部~約1重量部の量で使用できる。前記反応速度調節剤が前述した含有量範囲で使用される場合、予備組成物の硬化反応速度を適切に調節して、所望する大きさの気孔および硬度を有する研磨層を形成することができる。
【0094】
図3を参照すれば、前記研磨パッド110は、前記研磨層10の前記研磨面11の裏面上に配置された支持層20をさらに含むことができる。前記支持層20は、構造的に前記研磨層10を支持しながら、研磨工程中に前記研磨面11を介して前記研磨対象130に伝達される圧力および衝撃を適切に調節するバッファ(Buffer)の役割を果たすことができる。これにより、前記支持層20は、前記研磨パッド110を適用した研磨工程において前記研磨対象130に対する損傷および欠陥発生を防止するのに寄与することができる。
【0095】
前記支持層20の構造および材質などが適切に設計されることにより、前記キャリア160と前記スラリー供給部140が同時動作する駆動方式において前述した緩衝効果が極大化できる。一実施形態において、前記支持層20は、不織布またはスエード(Suede)を含むことができるが、これに限定されるものではない。例えば、前記支持層20は、不織布を含むことができる。前記「不織布」は、製織されない繊維の3次元網状構造体を意味する。具体的には、前記支持層20は、不織布と、前記不織布に含浸された樹脂とを含むことができる。
【0096】
前記不織布は、例えば、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含む繊維の不織布であってもよい。
【0097】
前記不織布に含浸された樹脂は、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリブタジエン樹脂、スチレン-ブタジエン共重合樹脂、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン共重合樹脂、スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレン共重合樹脂、シリコーンゴム樹脂、ポリエステル系エラストマー樹脂、ポリアミド系エラストマー樹脂、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。一実施形態において、前記支持層20は、ポリウレタン樹脂を含む樹脂が含浸されたポリエステル繊維を含む繊維の不織布を含むことができる。
【0098】
前記支持層20の厚さは、例えば、約0.5mm~約2.5mm、例えば、約0.8mm~約2.5mm、例えば、約1.0mm~約2.5mm、例えば、約1.0mm~約2.0mm、例えば、約1.2mm~約1.8mmであってもよい。
【0099】
前記支持層20の密度は、約0.1g/cm~1.0g/cm、例えば、約0.1g/cm~約0.8g/cm、例えば、約0.1g/cm~約0.6g/cm、例えば、約0.2g/cm~約0.4g/cmであってもよい。密度がこのような範囲を満足することにより、前記支持層20は、従来とは異なり、複数のノズル141を介してスラリーを供給する前記スラリー供給部140に最適化された前記キャリア160の加圧条件に相応する適した緩衝効果を提供するのにより有利であり得る。
【0100】
図3を参照すれば、前記研磨パッド110は、前記研磨層10と前記支持層20とを付着させるための第1接着層30を含むことができる。具体的には、前記第1接着層30は、ウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、シリコーン系接着剤、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0101】
図1および図3を参照すれば、前記研磨パッド110は、前記支持層20の下面と前記定盤120とを付着させるための第2接着層40をさらに含むことができる。前記第2接着層40は、前記研磨パッド100と研磨装置の定盤とを付着させるための媒介として、例えば、減圧接着剤(Pressure sensitive adhesive、PSA)に由来することができるが、これに限定されるものではない。
【0102】
図1および図2を参照すれば、前記研磨装置100は、コンディショナ170をさらに含むことができる。前記コンディショナ170は、研磨工程全体にわたって前記研磨パッド110が研磨面11が研磨に適した状態で維持されるように調節する役割を果たすことができる。前記研磨対象130は、前記キャリア160によって前記研磨面11に所定の条件で加圧されながら研磨される。これにより、前記研磨面11は、研磨工程が持続するにつれて物理的に圧力を受けて押されながら形態が変化する。前記研磨面11の微細凹部113は、前記研磨対象130の被研磨面に対して物理的な摩擦力を提供するが、このような前記微細凹部113が物理的に押されながら次第に摩擦力の提供効果が減退しうる。したがって、前記コンディショナ170を介して前記研磨面11を粗面化することにより、前記研磨面11が所定の表面粗さを持続的に維持することができる。
【0103】
前記コンディショナ170は、前記研磨面11に向かって突出し、互いに離隔形成された複数の切削チップを含むことができる。前記複数の切削チップは、例えば、多角錐台形状であってもよい。
【0104】
前記コンディショナ170は、回転運動をしながら前記研磨面11を加工することができる。前記コンディショナ170の回転方向は、前記定盤120の回転方向R2と同一または異なっていてもよい。前記コンディショナ170の回転速度は、例えば、約50rpm~約150rpmであってもよく、例えば、約80rpm~約120rpmであってもよい。
【0105】
一実施形態において、前記コンディショナ170は、前記研磨面11に対して加圧されながら前記研磨面11を加工することができる。前記コンディショナ170の前記研磨面11に対する加圧圧力は、例えば、約1lbf~約12lbf、例えば、約3lbf~約9lbfであってもよい。前記コンディショナ170が前記研磨面11に対して所定の加圧条件下で加工駆動されることにより、前記研磨面11のグルーブ構造および表面粗さが研磨工程全体にわたって適切な水準に維持可能であり、これにより、前記研磨対象130の被研磨面と前記研磨面11との間の物理的化学的研磨が、前記複数のノズル141を含むスラリー供給部140と前記キャリア160の同時振動駆動方式と結びついて、最適な研磨性能を実現するうえでより有利であり得る。
【0106】
他の実施形態において、研磨パッドを定盤上に装着するステップと、研磨対象をキャリアに装着するステップと、前記研磨パッドの研磨面と前記研磨対象の被研磨面とが当接するように配置した後、加圧条件下で前記定盤と前記キャリアをそれぞれ回転させて前記研磨対象を研磨させるステップと、少なくとも1つのノズルを含むスラリー供給部から前記研磨パッドの研磨面上にスラリーを供給するステップと、を含み、前記研磨対象が半導体基板を含み、前記キャリアが前記定盤の中心から前記定盤の末端に至る軌跡で振動運動をし、前記スラリー供給部は、前記キャリアの振動運動と同一の軌跡および速度で振動運動する、半導体素子の製造方法を提供する。
【0107】
他の側面から説明すれば、前記半導体素子の製造方法は、図1図4を参照して前述したところによる前記研磨装置100を適用して半導体素子を製造する方法に関する。すなわち、前記図1図4を参照して前述した前記研磨装置100とその下位のすべての構成に関する事項は、繰り返し後述する場合だけでなく、繰り返し後述しない場合にも、その具体事項および技術的利点が以下の前記半導体素子の製造方法に関する説明にすべて統合適用可能である。
【0108】
前記半導体素子の製造方法において、前記研磨対象130は、半導体基板を含むことができる。前記半導体基板は、被研磨面として、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、タングステン膜、タングステン酸化膜、タングステン窒化膜、銅膜、銅酸化膜、銅窒化膜、チタン膜、チタン酸化膜、チタン窒化膜、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。このような膜質を含む半導体基板を研磨対象130とすることにより、前記研磨対象130の被研磨面は、少なくとも1つのノズル141を含むスラリー供給部140を適用し、前記スラリー供給部140と前記キャリア160が同一の軌跡および速度で振動運動する駆動方式を適用した研磨方法により、適切な研磨率、高い研磨平坦度および低い欠陥発生の研磨結果を算出することができる。
【0109】
前記研磨パッド110を前記定盤120上に装着するステップは、前記研磨パッド110の研磨面11の裏面が前記定盤120に付着するように装着するステップであってもよい。一実施形態において、前記研磨面11の裏面と前記定盤120とは減圧接着剤を媒介として付着してもよい。
【0110】
前記研磨対象130を前記キャリア160に装着するステップは、前記研磨対象130の被研磨面が前記研磨面11を向くように装着するステップであってもよい。前記研磨対象130は、前記キャリア160に非接着式で装着される。
【0111】
前記研磨対象130を研磨させるステップは、前記研磨パッド110の研磨面11と前記研磨対象130の被研磨面とが当接するように配置した後、加圧条件下で前記定盤120と前記キャリア160をそれぞれ回転させて行われる。前記研磨面11と前記被研磨面とは直接的に当接してもよく、前記スラリー供給部140を介して提供されたスラリー成分、例えば、研磨粒子を媒介として間接的に当接してもよい。本明細書では、「当接する」というのは、直接的または間接的に当接するすべての場合が含まれると解釈される。
【0112】
前記キャリア160が前記研磨面11に対して所定の加圧条件下で加圧されながら研磨される。この時、前記キャリア160の前記研磨面11に対する加圧荷重は、約0.01psi~約20psi、例えば、約0.1psi~約15psiであってもよい。前記キャリア160の前記研磨面11に対する加圧荷重が前記範囲を満足することにより、前述した膜質を含む半導体基板の被研磨面と前記グルーブ構造および表面粗さを満足する研磨面11との間の物理的化学的研磨が、前記複数のノズル141を含むスラリー供給部140と前記キャリア160の同時振動駆動方式と結びついて、最適な研磨性能を実現するうえでより有利であり得る。
【0113】
前記定盤120と前記キャリア160は、それぞれ回転することができる。前記定盤120の回転方向と前記キャリア160の回転方向とは、時計方向または反時計方向に互いに同一でも、異なっていてもよい。
【0114】
前記定盤120が回転することにより、これに装着された前記研磨パッド110も、同一の軌跡および速度で回転することができる。前記定盤120の回転速度は、例えば、約50rpm~約150rpm、例えば、約80rpm~約120rpm、例えば、約90rpm~約120rpmであってもよい。前記定盤120の回転速度が前記範囲を満足することにより、前述した膜質を含む半導体基板の研磨が、前記複数のノズル141を含むスラリー供給部140と前記キャリア160の同時振動駆動方式と結びついて、最適な研磨性能を実現するうえでより有利であり得る。
【0115】
前記キャリア160の回転速度は、約10rpm~約500rpm、例えば、約30rpm~約200rpm、例えば、約50rpm~約100rpm、例えば、約50rpm~約90rpmであってもよい。前記キャリア160の回転速度が前記範囲を満足することにより、前述した膜質を含む半導体基板の研磨が、前記複数のノズル141を含むスラリー供給部140と前記キャリア160の同時振動駆動方式と結びついて、最適な研磨性能を実現するうえでより有利であり得る。
【0116】
図1および図2を参照すれば、前記キャリア160は、前記定盤120の中心Cから前記定盤120の末端に至る軌跡V1で振動運動をし、前記スラリー供給部140は、前記キャリア160の振動運動と同一の軌跡V1および速度で振動運動することができる。前記スラリー供給部140が前記キャリア160の振動運動と同一の軌跡および速度で振動運動する可変性を適用することにより、前記研磨パッド110の外郭へ離脱して捨てられるスラリーの量を最小化し、前記研磨対象130の被研磨面の全面積にわたって均一にスラリーが供給されるようにし、その結果、前記半導体素子の製造方法によって研磨された前記研磨対象130は、均一な研磨平坦度を満足し、被研磨面上の欠陥が実質的に発生しない効果を実現することができる。
【0117】
前記キャリア160および前記スラリー供給部140の振動運動速度は、約1inch/sec~約20inch/sec、例えば、約1inch/sec~約15inch/sec、例えば、約1inch/sec~約12inch/sec、例えば、約1inch/sec~約10inch/sec、例えば、約1inch/sec~約5inch/secであってもよい。前記範囲の速度で振動運動することにより、外郭へ離脱して捨てられるスラリーの量を最小化するのに有利であり、前記研磨対象130の被研磨面の全面積にわたって均一にスラリーを提供する面からより有利であり得る。
【0118】
前記半導体素子の製造方法において、前記研磨対象130が半導体基板を含み、前記スラリー供給部140が複数のノズル141を含み、前記複数のノズル141は、各ノズルを介したスラリー150の注入量が約0ml/分~約1,000ml/分の範囲で独立して調節可能である。具体的には、前記複数のノズル141は、それぞれのノズル141の開閉の有無が独立して調節可能である。前記複数のノズル141のうちスラリーが注入されるノズル141の場合、その注入量が約10ml/分~約800ml/分であってもよく、例えば、約50ml/分~約500ml/分であってもよい。このような供給流量を適用しかつ、各ノズルを独立して制御することにより、前述した種類の膜質を含む半導体基板の研磨において、適切な研磨率、高い研磨平坦度および低い欠陥発生の研磨結果を算出するのにより有利であり得る。
【0119】
前記半導体素子の製造方法は、コンディショナを介して前記研磨面を加工するステップをさらに含むことができる。前記研磨対象130は、前記キャリア160によって前記研磨面11に所定の条件で加圧されながら研磨される。これにより、前記研磨面11は、研磨工程が持続するにつれて物理的に圧力を受けて押されながら形態が変化する。前記研磨面11の微細凹部113は、前記研磨対象130の被研磨面に対して物理的な摩擦力を提供するが、このような前記微細凹部113が物理的に押されながら次第に摩擦力の提供効果が減退しうる。したがって、前記コンディショナ170を介して前記研磨面11を粗面化することにより、前記研磨面11が所定の表面粗さを持続することができる。
【0120】
前記コンディショナ170は、前記研磨面11に向かって突出し、互いに離隔形成された複数の切削チップを含むことができる。前記複数の切削チップは、例えば、多角錐台形状であってもよい。
【0121】
前記コンディショナ170は、回転運動をしながら前記研磨面11を加工することができる。前記コンディショナ170の回転方向は、前記定盤120の回転方向R2と同一でも、異なっていてもよい。前記コンディショナ170の回転速度は、約50rpm~約150rpm、例えば、約80rpm~約120rpmであってもよい。前記コンディショナ170の回転速度が前記範囲を満足することにより、前述した膜質を含む半導体基板の研磨において前記研磨面11の表面粗さを適正水準で持続するのにより有利であり得る。また、前記複数のノズル141を含むスラリー供給部140と前記キャリア160の同時振動駆動方式に関連して、前記コンディショナ170によって加工された研磨面11の表面状態がスラリー流動性を適切に確保するのにより有利であり得る。
【0122】
前記コンディショナ170は、前記研磨面11に対して加圧されながら前記研磨面11を加工することができる。この時、前記コンディショナ170の前記研磨面11に対する加圧圧力は、例えば、約1lbf~約12lbf、例えば、約3lbf~約9lbfであってもよい。前記コンディショナ170の前記研磨面11に対する加圧荷重が前記範囲を満足することにより、前記研磨面11のグルーブ構造および表面粗さが研磨工程全体にわたって適切な水準に維持可能であり、これにより、前述した膜質を含む半導体基板の被研磨面と前記研磨面11との間の物理的化学的研磨が、前記複数のノズル141を含むスラリー供給部140と前記キャリア160の同時振動駆動方式と結びついて、最適な研磨性能を実現するうえでより有利であり得る。
【0123】
一実施形態に係る前記研磨装置は、研磨スラリーの供給において細分化された駆動可能なスラリー供給部を含み、前記スラリー供給部の駆動が前記キャリアおよび前記定盤の回転および/または振動運動と前記キャリアの前記研磨面に対する垂直加圧条件などとの有機的な関係で最適化された駆動が可能であるという利点を有する。
【0124】
また、一実施形態に係る前記研磨装置を適用した半導体素子の製造方法は、他の製品に比べて精巧な工程コントロールが非常に重要な半導体素子の製造において最適な研磨性能を提供して良質の半導体素子を得るのに効果的な技術的手段になる。
【符号の説明】
【0125】
110:研磨パッド
11:研磨面
111:気孔
112:グルーブ
113:微細凹部
w1:グルーブの幅
d1:グルーブの深さ
p1:グルーブのピッチ
10:研磨層
20:支持層
30:第1接着層
40:第2接着層
D1:研磨層の厚さ
120:定盤
130:研磨対象
140:スラリー供給部
141:ノズル
150:スラリー
160:キャリア
170:コンディショナ
C:定盤の中心
V1:キャリアの振動運動方向
R1:キャリアの回転運動方向
R2:定盤の回転運動方向
図1
図2
図3
図4