(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】自己組織化単分子層処理のための化学物質供給チャンバ
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20240416BHJP
C23C 16/455 20060101ALI20240416BHJP
C23C 16/04 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
H01L21/31 B
C23C16/455
C23C16/04
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022176882
(22)【出願日】2022-11-04
(62)【分割の表示】P 2020153837の分割
【原出願日】2017-03-24
【審査請求日】2022-12-05
(32)【優先日】2016-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リャン, チーウェイ
(72)【発明者】
【氏名】カーン, アディーブ
(72)【発明者】
【氏名】コーフマン-オズボーン, トービン
(72)【発明者】
【氏名】ネマニ, シュリニヴァス ディ.
(72)【発明者】
【氏名】ゴデット, ルドヴィーク
【審査官】長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/065790(WO,A1)
【文献】特表2014-531508(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0056071(US,A1)
【文献】特開2016-046524(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0009765(US,A1)
【文献】特開平09-143737(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
C23C 16/455
C23C 16/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理装置であって、
処理空間を画定するチャンバ本体と、
前記処理空間内に配置された基板支持体と、
前記基板支持体の反対側に配置されたシャワーヘッドと、
前記チャンバ本体に連結されたリッドプレートと、
前記リッドプレートと前記シャワーヘッドとの間に配置されたバッキング板と、
前記バッキング板の反対側で前記リッドプレートに結合され、前記バッキング板および前記シャワーヘッドを介して前記処理空間と流体連通している射出アセンブリと、
前記射出アセンブリと流体連通している第1の蒸気生成アセンブリであって、自己組織化単分子層(SAM)前駆体を蒸気状態で前記処理空間に供給するように構成されている、第1の蒸気生成アセンブリと、
前記第1の蒸気生成アセンブリと前記射出アセンブリとの間に配置された第1の加熱された供給導管と、
前記射出アセンブリと流体連通している第2の蒸気生成アセンブリであって、蒸気状態で前記処理空間に共反応物を供給するように構成されている第2の蒸気生成アセンブリと、
前記第2の蒸気生成アセンブリと前記射出アセンブリとの間に配置された第2の加熱された供給導管と、
前記シャワーヘッド内に配置されたシャワーヘッドヒータと、
前記シャワーヘッドヒータを前記シャワーヘッド内に包み込むキャップと、
前記基板支持体の周りで径方向に配置されたポンピングライナーであって、
内側に向いた周辺表面と、
前記内側に向いた周辺表面から前記ポンピングライナーを貫通して延在する前記ポンピングライナーの開口と、を備える、ポンピングライナーと、
を備える基板処理装置。
【請求項2】
前記基板支持体の反対側で前記シャワーヘッドに連結されたシャワーヘッドライナーであって、前記処理空間の体積を減少させるように構成されている、シャワーヘッドライナーをさらに備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記シャワーヘッドが、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、酸化アルミニウム、および窒化アルミニウムからなる群から選択される材料から形成される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の加熱された供給導管および前記第2の加熱された供給導管がヒータアセンブリで被覆されている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の蒸気生成アセンブリおよび前記第2の蒸気生成アセンブリが、アンプル又は直接液体噴射気化器である、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
基板処理装置であって、
処理空間を画定するチャンバ本体と、
前記処理空間内に配置された基板支持体と、
前記基板支持体の反対側に配置されたシャワーヘッドと、
前記チャンバ本体に連結されたリッドプレートと、
前記リッドプレートと前記シャワーヘッドとの間に配置されたバッキング板と、
前記バッキング板の反対側で前記リッドプレートに結合され、前記バッキング板および前記シャワーヘッドを介して前記処理空間と流体連通している射出アセンブリと、
前記射出アセンブリと流体連通している第1の蒸気生成アセンブリであって、自己組織化単分子層(SAM)前駆体を蒸気状態で前記処理空間に供給するように構成されている、第1の蒸気生成アセンブリと、
前記第1の蒸気生成アセンブリと前記射出アセンブリとの間に配置された第1の加熱された供給導管と、
前記射出アセンブリと流体連通している第2の蒸気生成アセンブリであって、アンプル又は直接液体射出気化器であり、蒸気状態で前記処理空間に共反応物を供給するように構成されている第2の蒸気生成アセンブリと、
前記第2の蒸気生成アセンブリと前記射出アセンブリとの間に配置された第2の加熱された供給導管と、
前記基板支持体の反対側で前記シャワーヘッドに連結されたシャワーヘッドライナーであって、
前記シャワーヘッドライナーが、前記処理空間の体積を減少させるように構成され、
かつ、
前記シャワーヘッドの材料と前記シャワーヘッドライナーの材料が同一であり、
前記シャワーヘッドライナーが、
第1の内周及び前記シャワーヘッドと向き合う第1の環状表面を有する第1の環状部
分、
前記シャワーヘッドから離れる方向に前記第1の環状部分から延在する第2の内周を有する第2の環状部分、並びに、
前記基板支持体が処理位置にある時に、前記第1の環状表面から遠ざかる方を向く第2の環状表面と前記基板支持体の外表面との間に間隙が形成されるように前記第2の環状表面で終端する内周面、
及び前記第1の環状表面から前記第2の環状表面へと延在する外周面を備え、
前記シャワーヘッドライナー、前記基板支持体、及び前記シャワーヘッドライナーの前記第1の内周内で前記基板支持体と対向する前記シャワーヘッドの部分が、前記基板支持体が基板処理位置にある時に減少された前記処理空間を区切る、
シャワーヘッドライナーと、
前記基板支持体の周りで径方向に配置され、内側を向く円周面を含むポンピングライナーであって、当該ポンピングライナーの開口が、前記ポンピングライナーの前記内側を向く円周面から前記ポンピングライナーを通って延在し、前記基板支持体
の外周と前記シャワーヘッドライナーの前記第2の環状表面との間の間隙を介して前記減少された処理空間と流体連通し、且つチャンバ排出部と流体連通してガス排出流路を画定し、それにより、不使用のSAM前駆体が、前記基板支持体
の縁の上を、前記シャワーヘッドライナーの前記第2の環状表面と前記基板支持体の周方向表面との間に設けられた前記間隙を通って、前記ポンピングライナーの前記開口まで流れる、ポンピングライナーと
を備え、
前記シャワーヘッドライナーの前記外周面が、前記第1の環状部分から前記第2の環状部分まで、前記ポンピングライナーの前記内側を向く円周面と向かい合う、基板処理装置。
【請求項7】
前記シャワーヘッドが内部に配置されたヒータを有し、当該ヒータが電源に接続されている、請求項
6に記載の装置。
【請求項8】
前記バッキング板が、前記シャワーヘッドへの近接を介して前記バッキング板の伝導熱を提供するためにシャワーヘッドに隣接して配置される、請求項
7に記載の装置。
【請求項9】
前記射出アセンブリと流体連通する洗浄ガス源をさらに備える、請求項
6に記載の装置。
【請求項10】
前記共反応物が、周囲空気、水蒸気、過酸化水素蒸気、有機アルコール蒸気、酸素ガス、及び水素ガスからなる群から選択される、請求項
6に記載の装置。
【請求項11】
前記シャワーヘッドが、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、酸化アルミニウム、および窒化アルミニウムからなる群から選択される材料から形成される、請求項
6に記載の装置。
【請求項12】
前記第1の加熱された供給導管および前記第2の加熱された供給導管がヒータアセンブリで被覆されている、請求項
6に記載の装置。
【請求項13】
前記第1の蒸気生成アセンブリ及び前記第2の蒸気生成アセンブリが
、50℃か
ら200℃の間の温度で液体を気化するように構成されている、請求項
6に記載の装置。
【請求項14】
前記SAM前駆体が、ホスホン酸材料、チオール材料、シリルアミン材料、クロロシラン材料、
オキシシラン材料、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項
6に記載の装置。
【請求項15】
基板処理装置であって、
処理空間を画定するチャンバ本体と、
前記処理空間内に配置された基板支持体と、
前記基板支持体の反対側に配置されたシャワーヘッドと、
前記チャンバ本体に連結されたリッドプレートと、
前記リッドプレートと前記シャワーヘッドとの間に配置されたバッキング板と、
前記バッキング板の反対側で前記リッドプレートに結合され、前記バッキング板および前記シャワーヘッドを介して前記処理空間と流体連通している射出アセンブリと、
前記射出アセンブリと流体連通している第1の蒸気生成アセンブリであって、自己組織化単分子層(SAM)前駆体を蒸気状態で前記処理空間に供給するように構成されている、第1の蒸気生成アセンブリと、
前記第1の蒸気生成アセンブリと前記射出アセンブリとの間に配置された第1の加熱された供給導管と、
前記射出アセンブリと流体連通している第2の蒸気生成アセンブリであって、アンプル又は直接液体射出気化器であり、蒸気状態で前記処理空間に共反応物を供給するように構成されている第2の蒸気生成アセンブリと、
前記第2の蒸気生成アセンブリと前記射出アセンブリとの間に配置された第2の加熱された供給導管と、
前記基板支持体と向き合って前記シャワーヘッドに連結されたシャワーヘッドライナーであって、第1の内周を有する第1の環状部分と、第2の内周を有し且つ前記シャワーヘッドから離れる方向に前記第1の環状部分から延在する第2の環状部分とを備え、
基板処理位置において、前記基板支持体の一部が、前記シャワーヘッドの前記第2の環状部分の一部によって囲まれ、前記シャワーヘッドライナーが、前記処理空間の体積を減少させるように構成され、
前記シャワーヘッドの材料と前記シャワーヘッドライナーの材料が同一であり、
前記シャワーヘッドライナーが、第1の内周及び前記シャワーヘッドと対向する第1の環状表面を有する第1の環状部分と、前記第1の環状部分から、前記シャワーヘッドから離れる方向に延在する第2の内周を有する第2の環状部分、並びに、前記基板支持体が前記基板処理位置にある時に、前記第1の環状表面から遠ざかる方を向く第2の環状表面と前記基板支持体の外表面との間に間隙が形成されるように前記第2の環状表面で終端する内周面と、前記第1の環状表面から前記第2の環状表面へと延在する外周面を備え、
前記シャワーヘッドライナー、前記基板支持体、及び前記シャワーヘッドライナーの前記第1の内周内で前記基板支持体と対向する前記シャワーヘッドの部分が、前記基板支持体が基板処理位置にある時に減少された前記処理空間を区切る、
シャワーヘッドライナーと、
前記基板支持体の周りで径方向に配置され、内側を向く円周面を含むポンピングライナーであって、当該ポンピングライナーの開口が、前記ポンピングライナーの前記内側を向く円周面から前記ポンピングライナーを通って延在し、前記基板支持体
の外周と前記シャワーヘッドライナーの前記第2の環状表面との間の間隙を介して前記減少された処理空間と流体連通し、且つチャンバ排出部と流体連通してガス排出流路を画定し、それにより、不使用のSAM前駆体が、前記基板支持体
の縁の上を、前記シャワーヘッドライナーの前記第2の環状表面と前記基板支持体の周方向表面との間に設けられた前記間隙を通って、前記ポンピングライナーの前記開口まで流れる、ポンピングライナーと
を備え、
前記シャワーヘッドライナーの前記外周面が、前記第1の環状部分から前記第2の環状部分まで、前記ポンピングライナーの前記内側を向く円周面と向かい合う、基板処理装置。
【請求項16】
前記シャワーヘッドが内部に配置されたヒータを有し、当該ヒータが電源に接続されている、請求項
15に記載の装置。
【請求項17】
前記処理空間は、前記基板支持体と前記ポンピングライナーとの間の間隙を通って、チャンバ排出部と流体連通し、前記ポンピングライナーの前記開口と前記間隙がガス排気流路を画定する、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記シャワーヘッドに連結したシャワーヘッドライナーをさらに備え、前記シャワーヘッドライナーが前記処理空間の体積を減少させるように構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記シャワーヘッドの材料と前記シャワーヘッドライナーの材料とが同じ材料であり、前記基板支持体が基板処理位置にあるときに、前記シャワーヘッドライナー、前記基板支持体、及び前記シャワーヘッドが前記処理空間を画定する、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記シャワーヘッドライナーが前記シャワーヘッドに、前記シャワーヘッドライナー内の1または複数の孔を通って配置された連結装置によって連結されている、請求項18に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実装形態は、概して、基板を処理する装置に関する。より具体的には、本明細書に記載された実装形態は、自己組織化単分子層処理のための化学物質供給チャンバに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]サブハーフミクロン及びより小さな特徴を確実に生産することは、半導体デバイスの次世代の超大規模集積(VLSI)及び極超大規模集積(ULSI)の主要な技術的課題のうちの1つである。しかしながら、回路技術の限界が押し上げられ、VLSI及びULSI技術において縮小する寸法により、処理能力にさらに要求が突きつけられることになった。
【0003】
[0003]次世代デバイスで回路密度が増加するにつれて、ビア、トレンチ、コンタクト、ゲート構造、及び他の特徴などの相互配線の幅、並びにそれらの間の誘電材料は、45nm、32nm、さらにそれ以下の寸法に縮小していく。次世代のデバイス及び構造の製造を可能にするために、半導体チップにおいて特徴の3次元(3D)積層が用いられることが多い。特に、半導体チップにおいて3次元(3D)構造を形成するためにフィン電界効果トランジスタ(FinFET)がよく用いられる。トランジスタを従来の2次元の代わりに3次元に配置することによって、複数のトランジスタを互いに非常に接近させて集積化回路(IC)内に配置することができる。回路密度及び積層が増加すると、事前に堆積した材料に後続の材料を選択的に堆積する能力の重要性が増す。
【0004】
[0004]後続の材料堆積の選択性を改善するために、自己組織化単分子層(SAM)をマスキング材として使用することができる。SAMは、概して、表面化学作用に依存し、様々な材料上で好適に形成され得る。しかしながら、SAMを堆積する現在の装置では、遅い堆積速度と、基板上への堆積用の処理空間にSAMを蒸気状態で確実に供給する能力とに悩まされることが多い。例えば、現在の蒸着システムは、加熱したSAM分子溶液の蒸気圧を用いて、非常に低い圧力(例えば、2mTorr)でSAM分子を供給し、基板を化学物質に曝す。この低い蒸気圧によって、結果的に気相内の濃度が低くなり、時間を要するようになり、ある実施例では数日かかる。したがって、ピンホールがない高密度且つ高品質のSAM膜を形成するには相当な時間がかかる。
【0005】
[0005]したがって、当技術分野では、基板処理のための改善された装置が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
[0006]一実装形態では、基板処理装置が提供される。本装置は、処理空間を画定するチャンバ本体、処理空間内に配置された基板支持体、及び基板支持体の反対側に配置されたシャワーヘッドを含む。リッドプレートは、チャンバ本体に連結され得、バッキング板は、リッドプレートとシャワーヘッドとの間に配置され得、射出アセンブリは、バッキング板の反対側でリッドプレートに連結され得る。射出アセンブリは、バッキング板及びシャワーヘッドを介して、処理空間と流体連通し得る。第1の蒸気生成アセンブリは、射出アセンブリと流体連通し得、第1の蒸気生成アセンブリは、自己組織化単分子層(SAM)前駆体を蒸気状態で処理空間に供給するように構成され得る。第1の加熱された供給導管は、第1の蒸気生成アセンブリと射出アセンブリとの間に配置され得る。第2の蒸気生成アセンブリは、射出アセンブリと流体連通し得、第2の蒸気生成アセンブリは、共反応物を蒸気状態で処理空間に供給するように構成され得る。第2の加熱された供給導管は、第2の蒸気生成アセンブリと射出アセンブリとの間に配置され得る。前記第1の蒸気生成アセンブリ及び前記第2の蒸気生成アセンブリが、50℃から200℃の間の温度で液体を気化するように構成されている。
【0007】
[0007]別の実装形態では、基板処理装置が提供される。本装置は、処理空間を画定するチャンバ本体、処理空間内に配置された基板支持体、及び処理空間内で基板支持体の反対側に配置されたヒータを含む。マニホールドは、チャンバ本体に連結され得、マニホールドは、基板支持体とヒータとの間で処理空間内に延在し得る。リッドプレートは、チャンバ本体に連結され得、ヒータは、基板支持体とリッドプレートとの間に配置され得る。流体導管は、ヒータの径方向外側で、リッドプレート及びマニホールドを通って延在し得、蒸気生成アセンブリもチャンバ本体に連結され得る。蒸気生成アセンブリは、流体導管を介して、処理空間と流体連通している射出器を含む。排気口は、射出器の反対側でマニホールド内に配置され得、処理空間内に射出された蒸気は、射出器から排気口へと流れることができる。
【0008】
[0008]さらに別の実装形態では、基板処理装置が提供される。本装置は、処理空間を画定するチャンバ本体、処理空間内に配置された基板支持体、及び処理空間内で基板支持体の反対側に配置されたヒータを含む。リッドプレートは、チャンバ本体に連結され得、ヒータは、基板支持体とリッドプレートとの間に配置され得る。蒸気生成アセンブリは、リッドプレートの中央領域に連結され得、蒸気生成アセンブリは、処理空間と流体連通している射出器を含み得る。SAM前駆体源は、蒸気生成アセンブリを介して、処理空間と流体連通し得、共反応物前駆体源も、蒸気生成アセンブリを介して、処理空間と流体連通し得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
[0009]本開示の上述の特徴を詳細に理解することができるように、上記で簡単に要約された本開示のより具体的な説明は、実装形態を参照することによって、得ることができる。そのうちの幾つかの実装形態は、添付の図面で例示されている。しかしながら、添付図面は、例示的な実装形態を示しており、したがって、本開示の範囲を限定すると見なすべきではなく、その他の等しく有効な実装形態も許容し得ることに留意されたい。
【0010】
【
図1】本明細書に記載された一実装形態に係る、処理チャンバの断面図を示す。
【
図2A】本明細書に記載された一実装形態に係る、
図1の処理チャンバのシャワーヘッドの斜視図を示す。
【
図2B】本明細書に記載された一実装形態に係る、線2Bー2Bに沿って切り取られた、
図2Aのシャワーヘッドの断面図を示す。
【
図3A】本明細書に記載された一実装形態に係る、
図1の処理チャンバのシャワーヘッドライナーの斜視図を示す。
【
図3B】本明細書に記載された一実装形態に係る、線3Bー3Bに沿って切り取られた、
図3Aのシャワーヘッドライナーの断面図を示す。
【
図4】本明細書に記載された一実装形態に係る、
図1の処理チャンバのポンピングライナーの斜視図を示す。
【
図5A】本明細書に記載された一実装形態に係る、処理チャンバの断面図を示す。
【
図5B】本明細書に記載された一実装形態に係る、
図5Aの処理チャンバの拡大図を示す。
【
図5C】本明細書に記載された一実装形態に係る、
図5Aの処理チャンバの基板支持体及びマニホールドの平面図を示す。
【
図6】本明細書に記載された一実装形態に係る、処理チャンバの断面図を示す。
【0011】
[0020]理解を容易にするために、可能な場合には、図に共通する同一の要素を指し示すのに同一の参照番号を使用した。ある実装形態の要素及び特徴は、さらなる記載がなくとも、他の実装形態に有益に組み込むことができると考えられている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0021]本明細書に記載された実装形態は、自己組織化単分子層(SAM)堆積のための装置及び方法に関する。本明細書に記載された装置は、様々な気相の供給装置が流体連結された処理チャンバを含む。SAM前駆体は、気相内の前駆体を維持するように加熱される様々な装置を介して、チャンバの処理空間に供給され得る。一実装形態では、SAM前駆体を供給するように構成された第1のアンプル又は気化器は、処理チャンバの処理空間に流体連結され得る。SAM前駆体と異なる材料を供給するように構成された第2のアンプル又は気化器も処理チャンバの処理空間に流体連結され得る。
【0013】
[0022]図面に示す詳細、寸法、角度、及びその他の特徴の多くは、特定の実装形態の例示に過ぎない。したがって、他の実施形態は、本開示の精神又は範囲から逸脱することなく、他の詳細、構成要素、寸法、角度、及び特徴を有することができる。加えて、本開示のさらなる実装形態は、以下に記載の詳細のうちの幾つかがなくても、実施することが可能である。
【0014】
[0023]「自己組織化単分子膜」(SAM)とは、本明細書で使用される場合、概して、ある表面に(例えば化学結合によって)付着し、その表面に対して(また互いに対してさえも)好適な配向を取る、分子の層を意味する。SAMは、通常、両親媒性分子の組織化された層を含む。この分子内では、分子の一端「頭部基」が、基板に対して固有の可逆的な親和性を示す。頭部基の選択は、SAMの適用に依存し、SAM化合物のタイプは、使用される基板に基づく。概して、頭部基は、アルキル鎖に接続されている。アルキル鎖では、尾部すなわち「末端」が官能化され、例えば濡れ性及び界面物性が変更され得る。SAMを形成する分子は、別の材料上のある材料に選択的に付着(例えば、金属対誘電体)し、密度が十分な場合には、後続する堆積が成功裏に行われ、SAMでコーティングされていない材料上への選択的堆積が可能になる。
【0015】
[0024]
図1は、本明細書に記載された一実装形態に係る、処理チャンバ100の断面図を示す。チャンバ100は、処理空間110を画定するチャンバ本体102を含む。基板支持体104は、処理空間110内に配置され得、シャワーヘッド112は、基板支持体104の反対側に配置され得る。ポンピングライナー150は、チャンバ本体102に連結され得、基板支持体104の径方向外側に配置され得る。リッドプレート124は、シャワーヘッド112に連結され、チャンバ本体102によって支持され得る。バッキング板114は、シャワーヘッド112とリッドプレート124との間に配置され得る。射出アセンブリ126は、リッドプレート124に連結され得、射出アセンブリは、処理空間110と流体連通し得る。
【0016】
[0025]チャンバ本体102は、約300°Cまでの温度に耐える適切な材料から製造され得る。例えば、チャンバ本体102は、アルミニウム、その合金、ステンレス鋼、及びその他の適切な金属材料から形成され得る。スリットバルブ開口160が、チャンバ本体102内に形成され得、それにより、処理空間110との間の基板の搬入と搬出が可能となる。スリットバルブドア158が、チャンバ本体102に連結され得、スリットバルブ開口160を封止且つ開封するために可動であリ得る。一実装形態では、スリットバルブドア158は、チャンバ本体102と同じ材料で形成されてもよい。代替的に、スリットバルブドア158は、チャンバ本体102とは異なる材料で形成されてもよい。
【0017】
[0026]基板支持体104は、処理空間110内に可動に配置され得る。図示されるように、基板支持体104は、上昇した処理位置に配置されている。基板支持体104を下降させて、基板支持体104の基板支持面をスリットバルブ開口160と同一面又はそれより下位にもっていくことができ、それによって基板を基板支持体104上で位置調整することが可能になる。基板支持体は、高温の処理温度における作業に適切な材料から形成され得、金属材料、セラミック材料、又はこれらの組み合わせであってよい。例えば、ペデスタルは、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、又はセラミック材料(例えば、酸化アルミニウム又は窒化アルミニウム)から形成され得る。
【0018】
[0027]基板支持体104は、内部に配置された加熱部材106を有し得、加熱部材106は、電源154に連結され得る。電源154は、処理空間110内で基板支持体104を上昇且つ下降させる電力をさらに供給することができる。加熱部材106は、抵抗ヒータ等であってもよく、任意の所望の配向で、基板支持体104内に配置され得る。例えば、加熱部材106は、螺旋状の配向又は基板支持体を均一に加熱するように構成されたその他の適切な配向(ねじれた経路の配向等)で、基板支持体104内に形成され得る。一実装形態では、加熱部材106は、約100°Cと約300°Cの間の温度まで、基板支持体104を加熱するように構成され得る。
【0019】
[0028]ポンピングライナー150は、基板支持体104及び処理空間110を取り囲むように寸法形成される。基板支持体104と同じように、ポンピングライナー150は、金属材料、セラミック材料、又はこれらの組み合わせによって形成され得る。例えば、ペデスタルは、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、又はセラミック材料(例えば、酸化アルミニウムまたは窒化アルミニウム)から形成され得る。ポンピングライナー150は、内部に形成された開口162を有し得、それにより、処理空間110との間の基板の搬入と搬出が可能となる。開口162は、スリットバルブ開口160と実質的に同一平面に位置付けされ得る。複数の孔152が、ポンピングライナー150の内径に沿って形成され得る。複数の孔152は、処理空間110から排出部へのガスや他の材料の排出をもたらす。したがって、処理空間110は、ポンピングライナー150の孔152を介して、排出部156と流体連通している。
【0020】
[0029]基板支持体104の反対側に配置されたシャワーヘッド112は、チャンバ本体102に直接又は間接に連結され、チャンバ本体102によって支持され得る。シャワーヘッド112は、基板支持体104及びポンピングライナー150に使用されている材料と同様の材料から形成されてもよい。シャワーヘッド112は、内部に形成された複数の第1の通路121を有し得る。複数の第1の通路は、処理空間110から、シャワーヘッド112とバッキング板114との間に形成された第1のプレナム120へと延在する。第1の通路121は、第1のプレナム120から処理空間110への、流体連通と蒸気移動を可能にする。
【0021】
[0030]シャワーヘッドライナー108もさらに処理空間110内に配置され得る。シャワーヘッドライナー108は、シャワーヘッド112と同一又は類似の材料から形成されてもよく、シャワーヘッドライナーは、シャワーヘッド112に連結され得る。一実装形態では、シャワーヘッドライナー108は、リング状体である。シャワーヘッドライナー108は、基板支持体104の外径と実質的に同様の内径を有し得る。シャワーヘッドライナー108の内径は、シャワーヘッドライナー108の最も内側の表面が、第1の通路121の径方向外側にあるようにさらに寸法形成されてもよく、それにより、処理空間110への蒸気の供給が阻まれない。シャワーヘッドライナー108は、処理空間110内で物理的な空間を占めており、処理空間110の体積を減少させる。それによって、基板上にSAM分子を形成するために必要なSAM前駆体の量が減少する。こうして、SAM形成プロセスの効率性が向上する。
【0022】
[0031]シャワーヘッド112は、内部に配置されたヒータ116をさらに有し得る。ヒータ116は、抵抗ヒータ等であり、第1の通路121の径方向外側に、シャワーヘッド112内に配置されてもよい。一実装形態では、ヒータ116は、第1の通路121を実質的に取り囲む円周配向でシャワーヘッド112内に配置され得る。ヒータ116は、シャワーヘッド112の抵抗加熱を可能にするように電源118に連結され得る。一実装形態では、シャワーヘッド112は、約150°Cと約250°Cの間の温度まで加熱されるように構成されている。
【0023】
[0032]バッキング板114は、シャワーヘッドとリッドプレート124との間に配置されるが、第1のプレナム120を部分的に画定し、内部に第2の複数の通路123が配置され得る。第2のプレナム122が、バッキング板114とリッドプレート124との間に形成され得る。通路123は、第2のプレナム122が第1のプレナム120と流体連通することを可能にする。第3の複数の通路125は、第2のプレナム122と射出アセンブリ126との間で、リッドプレート124内に形成され得る。
【0024】
[0033]射出アセンブリ126は、処理空間110に気化材料を供給するように構成されている。作業中、SAM前駆体及び/又は共反応物前駆体などの気化材料は、射出アセンブリ126から、第3の複数の通路125を通って、第2のプレナム122へ供給される。気化材料は、バッキング板114の第2の複数の通路123を通って、第1のプレナム120へ移動し、シャワーヘッド112の第1の複数の通路121を通って、処理空間110へ移動する。基板の処理後、気化材料及びその他の廃液は、ポンピングライナー150の孔152を通り、排出部156を介して、処理空間110から除去され得る。
【0025】
[0034]射出アセンブリ126は、リッドプレート124に連結されたハウジング127、及びハウジング127に連結された射出器128を含む。射出器128は、ハウジング127内に配置され得、射出器128は、第3のプレナム148を含み得る。一実装形態では、第3のプレナム148は、じょうご形状であり得る。第3のプレナム148の形状は、気化材料を処理空間110へ供給する前に、気化材料の混合を促進且つ助長するように構成され得る。第3のプレナム148は、じょうご形状として示されているが、気化材料の混合を促進する他の形状も想定される。
【0026】
[0035]第1のアンプル130が、第1の導管132を介して、射出アセンブリ126に連結され得る。より具体的には、第1のアンプル130は、第1の導管132を介して、射出器128の第3のプレナム148と流体連通し得る。第1の導管132は、第1のアンプル130から第3のプレナム148へと延在し得る。第1のヒータジャケット134は、射出器128を越えて配置された第1の導管132の部分において第1の導管132を取り囲み得る。一実装形態では、第1の導管132の温度を約50°Cから約250°Cの間に維持するために、第1のヒータジャケット134が抵抗加熱され得る。
【0027】
[0036]第1のアンプル130は、SAM前駆体を気化し、処理空間110に供給するように構成されている。本明細書に記載された実装形態に従って利用され得る適切なSAM前駆体の例には、以下に記載される材料が含まれ、それには、それらの材料の組み合わせ、混合物、及びグラフトが含まれ、それに加えて、半導体製造プロセスにおいて連続堆積される材料の堆積を遮断するのに適切な特徴を有する他のSAM前駆体材料が含まれる。一実装形態では、SAM前駆体は、メチルカルボン酸、エチルカルボン酸、プロピルカルボン酸、ブチルカルボン酸、ペンチルカルボン酸、ヘキシルカルボン酸、ヘプチルカルボン酸、オクチルカルボン酸、ノニルカルボン酸、デシルカルボン酸、ウンデシルカルボン酸、ドデシルカルボン酸、トリデシルカルボン酸、テトラデシルカルボン酸、ペンタデシルカルボン酸、ヘキサデシルカルボン酸、ヘプタデシルカルボン酸、オクタデシルカルボン酸、及びノナデシルカルボン酸などのカルボン酸材料であってもよい。
【0028】
[0037]一実装形態では、SAM前駆体は、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、ペンチルホスホン酸、ヘキシルホスホン酸、ヘプチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、ノニルホスホン酸、デシルホスホン酸、ウンデシルホスホン酸、ドデシルホスホン酸、トリデシルホスホン酸、テトラデシルホスホン酸、ペンタデシルホスホン酸、ヘキサデシルホスホン酸、ヘプタデシルホスホン酸、オクタデシルホスホン酸、及びノナデシルホスホン酸などのホスホン酸材料であってもよい。
【0029】
[0038]別の実装形態では、SAM前駆体は、メタンチオール、エタンチオール、プロパンチオール、ブタンチオール、ペンタンチオール、ヘキサンチオール、ヘプタンチオール、オクタンチオール、ノナンチオール、デカンチオール、ウンデカンチオール、ドデカンチオール、トリデカンチオール、テトラデカンチオール、ペンタデカンチオール、ヘキサデカンチオール、ヘプタデカンチオール、オクタデカンチオール、及びノナデカンチオールなどのチオール材料であってよい。
【0030】
[0039]別の実装形態では、SAM前駆体は、トリス(ジメチルアミノ)メチルシラン、トリス(ジメチルアミノ)エチルシラン、トリス(ジメチルアミノ)プロピルシラン、トリス(ジメチルアミノ)ブチルシラン、トリス(ジメチルアミノ)ペンチルシラン、トリス(ジメチルアミノ)ヘキシルシラン、トリス(ジメチルアミノ)ヘプチルシラン、トリス(ジメチルアミノ)オクチルシラン、トリス(ジメチルアミノ)ノニルシラン、トリス(ジメチルアミノ)デシルシラン、トリス(ジメチルアミノ)ウンデシルシラン、トリス(ジメチルアミノ)ドデシルシラン、トリス(ジメチルアミノ)トリデシルシラン、トリス(ジメチルアミノ)テトラデシルシラン、トリス(ジメチルアミノ)ペンタデシルシラン、トリス(ジメチルアミノ)ヘキサデシルシラン、トリス(ジメチルアミノ)ヘプタデシルシラン、トリス(ジメチルアミノ)オクタデシルシラン、及びトリス(ジメチルアミノ)ノナデシルシラン(tris(dimethylamino)nonadecylsilane)などのシリルアミン材料であってもよい。
【0031】
[0040]別の実装形態では、SAM前駆体は、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、プロピルトリクロロシラン、ブチルトリクロロシラン、ペンチルトリクロロシラン、ヘキシルトリクロロシラン、ヘプチルトリクロロシラン、オクチルトリクロロシラン、ノニルトリクロロシラン、デシルトリクロロシラン、ウンデシルトリクロロシラン、ドデシルトリクロロシラン、トリデシルトリクロロシラン、テトラデシルトリクロロシラン、ペンタデシルトリクロロシラン、ヘキサデシルトリクロロシラン、ヘプタデシルトリクロロシラン、オクタデシルトリクロロシラン、及びノナデシルトリクロロシランなどのクロロシラン材料であってもよい。
【0032】
[0041]別の実施形態では、SAM前駆体は、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ノニルトリメトキシシラン、ノニルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ウンデシルトリメトキシシラン、ウンデシルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、トリデシルトリメトキシシラン、トリデシルトリエトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリエトキシシラン、ペンタデシルトリメトキシシラン、ペンタデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、ヘプタデシルトリメトキシシラン、ヘプタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、ノナデシルトリメトキシシラン、及びノナデシルトリエトキシシランなどのオキシシラン材料であってもよい。
【0033】
[0042]別の実装形態では、SAM前駆体は、とりわけ、(1,1,2,2-ペルフルオロデシル)トリクロロシラン、トリクロロ(1,1,2,2-ペルフルオロオクチル)シラン、(トリデカ-フルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロオクチル)トリクロロシラン、(トリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロ-オクチル)トリエトキシシラン、(トリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロオクチル)メチルジクロロシラン、(トリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロオクチル)ジメチルクロロシラン、(ヘプタデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロデシル)トリクロロシランなどのフッ素化R基を有し得る。
【0034】
[0043]第2のアンプル136は、第2の導管138を介して、射出アセンブリ126に連結され得る。より具体的には、第2のアンプル136は、第2の導管138を介して、射出器128の第3のプレナム148と流体連通し得る。第2の導管138は、第2のアンプル136から第3のプレナム148へ延在する。第2のヒータジャケット140は、射出器128を越えて配置された第2の導管138の部分において第2の導管138を取り囲み得る。一実装形態では、第2の導管138の温度を約50°Cから約250°Cの間に維持するために、第2のヒータジャケット140が抵抗加熱され得る。
【0035】
[0044]第2のアンプル136は、共反応物前駆体を気化し、処理空間110に供給するように構成されている。共反応物前駆体の適切な例には、とりわけ、周囲空気、水溶液又は蒸気、過酸化水素の水溶液又は蒸気、有機アルコールの水溶液又は蒸気(メタノール、イソプロパノール、エタノール、及びジオール等)などのヒドロキシル部分の材料が含まれる。ヒドロキシル部分を形成するために、水素ガスと酸素ガスとの組み合わせも使用してよい。さらに他の非ヒドロキシル部分の前駆体を本明細書に記載された実装形態に従って利用してよいと考えられている。非ヒドロキシル部分の前駆体は、とりわけ、窒素ガス、(ジ)イソシアネート、硫化水素、及びアンモニアを含み得る。
【0036】
[0045]一実装形態では、洗浄ガス源142は、第3の導管144を介して、射出アセンブリ126に連結され得る。より具体的には、洗浄ガス源142は、第3の導管144を介して、射出器128の第3のプレナム148と流体連通し得る。第3の導管144は、洗浄ガス源142から第3のプレナム148へ延在し得る。第3のヒータジャケット146が、任意選択的に、射出器128を越えて配置された第3の導管144の部分において第3の導管144を取り囲み得る。一実装形態では、第3のヒータジャケット146は、第3の導管144の温度を約50℃から約250℃の間に維持するために抵抗加熱され得る。洗浄ガス源142によって供給されるガスには、塩素含有材料、フッ素含有材料、及び処理チャンバ100の構成要素の洗浄に適した他の材料が含まれ得る。
【0037】
[0046]別の実装形態では、洗浄ガス源142は、遠隔プラズマ源であリ得る。この実装形態では、遠隔プラズマ源は、洗浄ガスを励起して、ラジカル及び/又はイオンを生成し、プラズマ生成物を処理領域110に供給し得る。一実装形態では、遠隔プラズマ源は、オプションであってもよい。
【0038】
[0047]別の実装形態では、洗浄ガス源142は、キャリアガス源であってもよい。気相のSAM前駆体の供給を促進するため、キャリアガスが使用されてよい。キャリアガスは、SAM前駆体の移動を促進するのに適切な流量で供給され得る。SAM前駆体は、処理空間110に応じて、第3のプレナム148から、第3の通路125を通り、第2のプレナム122及び第2の通路123を通り、第1のプレナム120及び第1の通路121を通って処理空間110に至る。適切なキャリアガスには、希ガスなどといった、SAM分子の基板表面への供給を促進するSAM吸着条件下で、概して不活性なガスが含まれる。
【0039】
[0048]加熱されたシャワーヘッド112及び加熱された基板支持体104は、処理空間110を約50°Cと約250°Cの間の温度まで加熱し得る。アンプル130、136、及び導管132、138は、同様の温度まで加熱され得る。シャワーヘッドライナー108、バッキング板114、リッドプレート124、及び射出アセンブリ126もシャワーヘッド112によって伝導的に加熱することができる。SAM前駆体が沿うように移動する流動経路の温度は、高温に維持され、気化したSAM前駆体の様々な装置での凝結が防止される。処理空間110も約600Torr未満の圧力に維持されてもよい。この圧力もまた、SAM前駆体及び共反応物前駆体の蒸気状態の維持を促進し得る。
【0040】
[0049]運用上の実装形態では、SAM前駆体は、第1のアンプル130から排出部156まで、処理空間110を通って連続的に流動し得る。この実装形態では、処理空間110の圧力は、等圧状態に維持され得る。別の実装形態では、SAM前駆体は、処理空間110を満たし、処理空間110から排出される前に一定期間、処理空間110内で保持され得る。別の実施形態では、共反応物前駆体は、処理空間110内に連続的に流動するか、又は非連続的(例えばパルス状)に供給され得る。別の実装形態では、SAM前駆体と共反応物前駆体は、連続的にであれ静的にであれ、交互に、処理空間110に供給され得る。
【0041】
[0050]
図2Aは、本明細書に記載された一実装形態に係る、
図1のシャワーヘッド112の斜視図を示す。図示の配向では、第1の通路121が形成されたシャワーヘッドの表面206は、処理空間110に隣接するように位置付けされ且つ処理空間110を少なくとも部分的に画定する表面である。シャワーヘッド112から延在するヒータ116もさらに図示されている。熱的又は電気的に導電性のワイヤ等の接続部材202が、ヒータ116から電源118へと延在し得る(図示せず)。
【0042】
[0051]
図2Bは、本明細書に記載された一実装形態に係る、線2Bー2Bに沿って切り取られた、
図2Aのシャワーヘッド112の断面図を示す。図示の実装形態では、ヒータ116がシャワーヘッド112内に配置されている。シャワーヘッド112の本体にボイドが加工されてもよく、それで、ヒータ116がシャワーヘッド112内に挿入され得る。ヒータ116の挿入又は配置の後、キャップ204が、表面206の反対側でシャワーヘッド112に連結され得る。キャップ204は、ヒータ116をシャワーヘッド112内に包み込み、ヒータ116が様々な処理環境に曝されることを防ぐことができる。
【0043】
[0052]
図3Aは、本明細書に記載された一実装形態に係る、シャワーヘッドライナー108の斜視図を示す。図示されているように、シャワーヘッドライナー108は、主にリング形状である。例えば、環状形、楕円形、及び多角形などの様々な他の実装形態の幾何的形状を利用することができることが考えられている。
【0044】
[0053]
図3Bは、本明細書に記載された一実装形態に係る、線3Bー3Bに沿って切り取られた、
図3Aのシャワーヘッドライナー108の断面図を示す。シャワーヘッドライナー108は、第1の表面310と、第1の表面310に対して垂直に配置され且つ第1の表面310から延在する第2の表面308とを含む。第3の表面306は、第2の表面308に対して垂直に配置され、第2の表面308から径方向内側に延在する。一実装形態では、第1の面310と第3の面とは実質的に平行である。第4の表面314は、第3の表面306に対して垂直に配置され、第3の表面306から延在し、第2の表面308に対して平行である。第5の表面304は、第4の表面314に対して垂直に配置され、第4の表面314から延在する。第6の表面302は、第5の表面304に対して垂直に配置され、第5の表面304から第1の表面310まで延在する。
【0045】
[0054]第1の表面310は、チャンバ100内でシャワーヘッド112に隣接して配置され、シャワーヘッド112に接触し得る。第2の表面308は、ポンピングライナー150に隣接して配置され、ポンピングライナー150に接触し得る。第2の表面308は、シャワーヘッドライナー108の外径を画定し、第2の表面308は、ポンピングライナー150の内径より小さい直径を有し得る。第6の表面302は、シャワーヘッドライナー108の内径を画定し、第6の表面302は、第1の通路121の径方向外側に配置され得る。1つ又は複数の孔312が、シャワーヘッドライナー108内に形成され、第1の表面310と第5の表面304との間で延在し得る。シャワーヘッドライナー108をシャワーヘッド112に固定するための、スクリュー等の連結装置のために孔312が設けられ得る。
【0046】
[0055]
図4は、本明細書に記載された一実装形態に係る、ポンピングライナー150の斜視図を示す。図示されているように、ポンピングライナー150は、主にリング形状である。ポンピングライナー150内に形成された開口162は、外周の約25%から約50%の間の大きさで外周に沿って延在し得る。開口162は、基板及びロボット移動ブレードの通過を可能にするよう十分に寸法形成できると考えられている。孔152は、ポンピングライナー150の内径を画定する内表面402に沿って配置され得、孔152は、ポンピングライナー150からポンピングライナー150の外径部分まで延在し得る。ここでは図示されていないが、孔152は、ポンピングライナー150を完全に貫通するように延在しており、これは、
図1でより明確に例示されている。
【0047】
[0056]
図5Aは、本明細書に記載された一実装形態に係る、処理チャンバ500の断面図を示す。チャンバ500は、処理空間506を画定するチャンバ本体502を備えている。基板支持体504は、処理空間506内に配置され得、ヒータ514は、処理空間506内で基板支持体504の反対側に配置され得る。リッドプレート516は、チャンバ本体502に連結され得、蒸気生成アセンブリ518は、リッドプレート516に連結され得る。
【0048】
[0057]チャンバ本体502は、チャンバ本体102と同一又は同様の材料から形成され得る。同様に、基板支持体504は、基板支持体104と同一又は同様の材料から形成され得る。基板支持体504は、内部に配置された加熱部材508を含む。加熱部材508は、電源510に連結され得、基板支持体504を約100°Cから約500°Cの間の温度まで加熱するように構成される。
【0049】
[0058]基板支持体504の反対側に配置されているヒータ514は、ヒータ514と基板支持体504との間の処理空間506を画定し得る。ヒータ514は、電源528に連結され、ヒータ514を約100°Cから約500°Cの間の温度まで加熱するように構成され得る。処理中、処理空間506の温度は、約50°Cから約500°Cの間、例えば、約100°Cから約250°Cの間の温度に維持され得る。ガス源526もヒータ514に連結され得、ガス源526は、処理空間506と流体連通し得る。一実装形態では、ガス源526は、処理空間506に共反応物前駆体を供給するように構成され得る。代替的に、ガス源526は、所望の実装形態に応じて、パージガス、キャリアガス、又は洗浄ガスを処理空間506に供給するように構成され得る。
【0050】
[0059]気化器、直接液体射出気化器等の蒸気生成アセンブリ518は、リッドプレート516に連結され得る。蒸気生成アセンブリ518は、処理空間506の径方向外側でリッドプレート516に連結されている。蒸気生成アセンブリ518の位置と、処理空間506への蒸気の射出箇所とによって、基板がSAM前駆体にクロスフロー型で曝露される。蒸気生成アセンブリ518は、気化器522、及び気化器522から延在する射出器520を含む。気化器522は、SAM前駆体源524に連結され得、気化するためにSAM前駆体を液体形態で受容する。気化器522は、SAM前駆体を気化するため約100°Cから約500°Cの間の温度に維持され得、気化器522の温度は、少なくとも部分的に、SAM前駆体の蒸気圧によって決定され得る。
【0051】
[0060]気化されたSAM前駆体は、気化器522から排出され、射出器520を通って移動し得る。射出機520は、気化器522から蒸気生成アセンブリ518を通って、リッドプレート516へ延在する。蒸気生成アセンブリ518は、ヒータジャケット512によって高温に維持され、それにより、SAM前駆体が蒸気状態に維持される。単一の射出器が図示されているが、
図6で示すような追加の射出器が考えられている。SAM前駆体移動経路は、
図5Bに関連してさらに詳しく説明される。
【0052】
[0061]マニホールド536は、基板支持体504及びヒータ514の径方向外側でチャンバ本体502に連結され得る。マニホールド536は、基板支持体504及びヒータ514と同一又は同様の材料から形成され得る。マニホールド536は、マニホールド536の内径が、基板支持体504の外径及びヒータ514の外径よりも大きくなり、処理空間506を取り囲むように、寸法形成される。蒸気は、射出機520からマニホールド536を通って、射出機520の反対側に配置された出口530まで流動し得る。排出部532が、さらに処理空間506に連結され、処理空間506と流体連通し得る。具体的には、排出部532は、出口530を介して、処理空間506と流体連通し得る。その結果、処理空間の廃液は、出口530を通り、排出部532を介して処理空間506から排出され得る。
【0053】
[0062]断熱材534は、ヒータ514の径方向外側でリッドプレート516に連結され得る。断熱材534は、マニホールド536と同じように寸法形成され得、マニホールド536とリッドプレート516との間に配置され得る。断熱材534は、さらに、チャンバ本体502に連結又は接触し得る。断熱材534は、セラミック材料等の断熱性材料から形成されてもよく、基板支持体504、ヒータ514、及びマニホールド536からリッドプレート516への熱の伝導を低減又は防止するように構成されている。一実装形態では、断熱材534は、オプションであってもよい。この実装形態では、空隙が、リッドプレート516と、基板支持体504、ヒータ514、及びマニホールド536との間の断断層(thermal break)として機能し得る。
【0054】
[0063]
図5Bは、本明細書に記載された一実装形態に係る、
図5Aの処理チャンバ500の拡大図を示す。射出器520は、リッドプレート516内に形成された第1のチャネル548に隣接して、リッドプレート516に延在する。第2のチャネル546は、断熱材534内に形成され得る。断熱材534は、第1のチャネル548に隣接し、第1のチャネル548と整列する。第3のチャネル544は、マニホールド536内に形成され得る。マニホールド536は、第2のチャネル546に隣接し、第2のチャネル546と整列する。第3のチャネル544は、断熱材534の第2のチャネル546から処理空間506に隣接して配置された出口542まで延在し得る。基板支持体504が高温処理位置にあるときに、蒸気生成アセンブリ518から供給される蒸気が、基板支持体504とヒータ514との間の処理空間506に入るように、出口542は位置付けされ得る。したがって、蒸気生成アセンブリ518からの蒸気は、射出器520、第1のチャネル548、第2のチャネル546、及び第3のチャネル544を通って移動し、出口542を通って、処理空間506に至る。
【0055】
[0064]
図5Cは、本明細書に記載された一実装形態に係る、
図5Aの処理チャンバの基板支持体及びマニホールドの平面図を示す。図示のように、第3のチャネル544及び出口542は、出口530の反対側に配置されている。したがって、出口542を出る蒸気は、基板支持体504上に配置された基板にわたって移動し、出口530へと至る。出口530は、マニホールド536内に形成され、マニホールド536の外周の2分の1未満の距離にわたって曲線状に延在し得る。さらに複数の孔540が、基板支持体504内に形成されることにより、そこをリフトピンが通ることが可能となリ得る。
【0056】
[0065]
図6は、本明細書に記載された一実装形態に係る、処理チャンバ600の断面図を示す。チャンバ600は、処理空間606を画定するチャンバ本体602を含む。処理空間606内に基板支持体604が配置され得、基板支持体604の反対側でリッドプレート616がチャンバ本体602に連結され得る。蒸気発生アセンブリ618が、リッドプレート616に連結され得る。
【0057】
[0066]チャンバ本体602は、チャンバ本体502と同一又は同様の材料から形成され得る。同様に、基板支持体604は、基板支持体504と同一又は同様の材料から形成され得る。基板支持体604は、内部に配置された加熱部材608を含む。加熱部材608は、電源610に連結され得、基板支持体604を約100°Cから約500°Cの間の温度まで加熱するように構成される。
【0058】
[0067]気化器、直接液体射出気化器などといった蒸気生成アセンブリ618が、処理空間606の中央近傍でリッドプレート616に連結され得る。蒸気生成アセンブリ618の位置と、処理空間606への蒸気の射出箇所とによって、基板がSAM前駆体にトップダウン型で曝露される。蒸気生成アセンブリ618は、気化器622、及び気化器622から延在する1つ又は複数の射出器612、614を含む。気化器622は、SAM前駆体源624に連結され得、気化するためにSAM前駆体を液体形態で受容する。気化器622は、SAM前駆体を気化するため約100°Cから約500°Cの間の温度に維持され得、気化器622の温度は、少なくとも部分的に、SAM前駆体の蒸気圧によって決定され得る。
【0059】
[0068]気化されたSAM前駆体は、気化器622から排出され、射出器612、614のうちの一方又は双方を通って移動する。射出機612、614は、気化器622から蒸気生成アセンブリ618を通って、リッドプレート616へ延在する。蒸気生成アセンブリ618は、ヒータジャケット628によって高温に維持され得、それにより、SAM前駆体が蒸気状態に維持される。一実装形態では、源624からのSAM前駆体は、射出器612を介し、出口630を通じて処理空間内に導入され得る。ガス源626も処理空間606と流体連通し得る。ガス源626は、蒸気生成アセンブリ618に液体又はガスを導入し得る。生成された蒸気は、射出器614及び出口630を介して、処理空間606に導入され得る。一実装形態では、ガス源626は、共反応物前駆体を供給し得る。別の実装形態では、ガス源626は、所望の実装形態に応じて、パージガス、キャリアガス、又は洗浄ガスを供給し得る。
【0060】
[0069]処理空間606も排出部632と流体連通し得る。その結果、処理空間の廃液は、排出部632を介して、処理空間606から排出され得る。チャンバ500及び600のどちらもが、約600Torr未満の圧力に維持され得る。チャンバ500、600内で実施される処理は、等圧又は非等圧であってよい。同様に、チャンバ500、600内で実施される処理は、等温又は非等温であってよい。
【0061】
[0070]以上の記述は本開示の実装形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他の実装形態及びさらなる実装形態を考案してもよく、本開示の範囲は、下記の特許請求の範囲によって決定される。