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特許7473635デッドボリュームの低減のための清浄なアイソレーションバルブ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】デッドボリュームの低減のための清浄なアイソレーションバルブ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20240416BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20240416BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20240416BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
H01L21/31 C
H01L21/205
H01L21/302 101B
H01L21/302 101C
H01L21/302 101D
C23C16/455
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022517151
(86)(22)【出願日】2020-09-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-21
(86)【国際出願番号】 US2020051514
(87)【国際公開番号】W WO2021055766
(87)【国際公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-05-11
(31)【優先権主張番号】62/902,912
(32)【優先日】2019-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/022,466
(32)【優先日】2020-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】アガルワル, アシュトシュ
(72)【発明者】
【氏名】バルジャ, サンジーヴ
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-014479(JP,A)
【文献】特表2018-533192(JP,A)
【文献】特開2015-015469(JP,A)
【文献】国際公開第2018/202949(WO,A1)
【文献】特開2018-026532(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0170908(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
H01L 21/205
H01L 21/3065
C23C 16/455
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の吸入ラインであって、前記第1の吸入ラインの長さを規定する上流端部と下流端部とを有し、前記第1の吸入ラインの前記下流端部は前記第1の吸入ラインの前記上流端部よりも低い位置にある、第1の吸入ラインと、
第2の吸入ラインであって、前記第2の吸入ラインの長さを規定する上流端部と下流端部とを有し、前記第2の吸入ラインの前記下流端部は前記第2の吸入ラインの前記上流端部よりも高い位置にあり、前記第2の吸入ラインの前記下流端部が、前記第1の吸入ラインの前記長さに沿ったある位置において前記第1の吸入ラインと接続する、第2の吸入ラインと、
前記第2の吸入ラインの前記下流端部にあるシール面であって、前記第1の吸入ラインと前記第2の吸入ラインとの間の流体連結を防ぐために前記第1の吸入ラインと前記第2の吸入ラインとを分離するように構成された、シール面と
を有するバルブを備え
前記シール面が、前記第2の吸入ラインの前記下流端部と前記第1の吸入ラインとを接続する空間内にボールが設けられて成るボールバルブにより構成され、前記ボールは、前記シール面が閉位置にある際の前記ボールの垂直中心軸が、前記第2の吸入ラインの前記下流端部における前記第2の吸入ラインの中心線からずれるように配されている、ガス分配装置。
【請求項2】
前記シール面は、前記第2の吸入ラインを通る流体の動きが、前記第1の吸入ラインに入ることを許容し、前記第1の吸入ラインからの流体が前記第2の吸入ラインの前記下流端部に入ることを防ぐ、請求項1に記載のガス分配装置。
【請求項3】
前記バルブ中にデッドボリュームがない、請求項1または2に記載のガス分配装置。
【請求項4】
前記第1の吸入ラインの前記下流端部と流体連結しているガス分配プレートをさらに備える、請求項1から3のいずれか一項に記載のガス分配装置。
【請求項5】
前記ガス分配プレートがシャワーヘッドを含む、請求項4に記載のガス分配装置。
【請求項6】
前記第1の吸入ラインの前記下流端部と前記ガス分配プレートとの間に遠隔プラズマ源をさらに備える、請求項5に記載のガス分配装置。
【請求項7】
前記第1の吸入ラインの前記下流端部と前記遠隔プラズマ源との間にガスマニホルドをさらに備える、請求項6に記載のガス分配装置。
【請求項8】
前記第2の吸入ラインを通って流れるガスが所定の圧力を超えたときに、前記シール面が開位置に移動する、請求項1から7のいずれか一項に記載のガス分配装置。
【請求項9】
前記第2の吸入ライン中にガス流がないとき、または前記第2の吸入ライン中の圧力が所定のしきい値を下回ったときに、前記シール面が閉位置に移動する、請求項8に記載のガス分配装置。
【請求項10】
処理チャンバであって、
バルブを有するガス分配装置を備え、前記バルブが、
第1の吸入ラインであって、前記第1の吸入ラインの長さを規定する上流端部と下流端部とを有し、前記第1の吸入ラインの前記下流端部は前記第1の吸入ラインの前記上流端部よりも低い位置にある、第1の吸入ラインと、
第2の吸入ラインであって、前記第2の吸入ラインの長さを規定する上流端部と下流端部とを有し、前記第2の吸入ラインの前記下流端部は前記第2の吸入ラインの前記上流端部よりも高い位置にあり、前記第2の吸入ラインの前記下流端部が、前記第1の吸入ラインの前記長さに沿ったある位置において前記第1の吸入ラインと接続する、第2の吸入ラインと、
前記第2の吸入ラインの前記下流端部にあるシール面であって、前記第1の吸入ラインと前記第2の吸入ラインとの間の流体連結を防ぐために前記第1の吸入ラインと前記第2の吸入ラインとを分離するように構成された、シール面と
を備え、前記処理チャンバがさらに、
前記第1の吸入ラインの前記下流端部と流体連結しているガス分配プレートであって、複数の開孔をもつ前面を有し、前記複数の開孔を通ってガスの流れが前記ガス分配プレートを通ることが可能になる、ガス分配プレートと、
前記ガス分配プレートの周りにあるスペーサであって、前記処理チャンバの上部の開口内にある、スペーサと、
前記処理チャンバの内部にある基板支持体であって、前記ガス分配プレートの前記前面からある距離離間した支持体表面を有する、基板支持体と
を備え
前記シール面が、前記第2の吸入ラインの前記下流端部と前記第1の吸入ラインとを接続する空間内にボールが設けられて成るボールバルブにより構成され、前記ボールは、前記シール面が閉位置にある際の前記ボールの垂直中心軸が、前記第2の吸入ラインの前記下流端部における前記第2の吸入ラインの中心線からずれるように配されている、処理チャンバ。
【請求項11】
前記バルブの前記シール面は、前記第2の吸入ラインを通る流体の動きが、前記第1の吸入ラインに入ることを許容し、前記第1の吸入ラインからの流体が前記第2の吸入ラインの前記下流端部に入ることを防ぐ、請求項10に記載の処理チャンバ。
【請求項12】
前記バルブ中にデッドボリュームがない、請求項10または11に記載の処理チャンバ。
【請求項13】
前記ガス分配プレートがシャワーヘッドを含む、請求項10から12のいずれか一項に記載の処理チャンバ。
【請求項14】
前記第1の吸入ラインの前記下流端部と前記ガス分配プレートとの間に遠隔プラズマ源をさらに備える、請求項10から13のいずれか一項に記載の処理チャンバ。
【請求項15】
前記第1の吸入ラインの前記下流端部と前記遠隔プラズマ源との間にガスマニホルドをさらに備える、請求項14に記載の処理チャンバ。
【請求項16】
前記第2の吸入ラインを通って流れるガスが所定の圧力を超えたときに、前記シール面が開位置に移動する、請求項10から15のいずれか一項に記載の処理チャンバ。
【請求項17】
前記第2の吸入ライン中にガス流がないとき、または前記第2の吸入ライン中の圧力が所定のしきい値を下回ったときに、前記シール面が閉位置に移動する、請求項16に記載の処理チャンバ。
【請求項18】
処理方法であって、
デッドボリュームのないバルブの第1の吸入ラインを通して処理チャンバ中に第1のガスを流すことを含み、前記デッドボリュームのないバルブが、
前記第1の吸入ラインの長さを規定する上流端部と下流端部とを有し、前記第1の吸入ラインの前記下流端部は前記第1の吸入ラインの前記上流端部よりも低い位置にある、前記第1の吸入ラインと、
第2の吸入ラインであって、前記第2の吸入ラインの長さを規定する上流端部と下流端部とを有し、前記第2の吸入ラインの前記下流端部は前記第2の吸入ラインの前記上流端部よりも高い位置にあり、前記第2の吸入ラインの前記下流端部が、前記第1の吸入ラインの前記長さに沿ったある位置において前記第1の吸入ラインと接続する、第2の吸入ラインと、
前記第2の吸入ラインの前記下流端部にあるシール面であって、前記シール面が、前記第2の吸入ラインの前記下流端部と前記第1の吸入ラインとを接続する空間内にボールが設けられて成るボールバルブにより、前記第1の吸入ラインと前記第2の吸入ラインとの間の流体連結を防ぐために前記第1の吸入ラインと前記第2の吸入ラインとを分離するように構成されており、前記ボールは、前記シール面が閉位置にある際の前記ボールの垂直中心軸が、前記第2の吸入ラインの前記下流端部における前記第2の吸入ラインの中心線からずれるように配されている、シール面と
を備え、前記処理方法がさらに、
前記デッドボリュームのないバルブの前記第2の吸入ラインを通して前記処理チャンバ中に第2のガスを流すことを含み、
前記第1のガスが前記第2の吸入ライン中に流れず、前記第1のガスと前記第2のガスとを切り替えることが、前記バルブから残留ガスを除くパージステップを含まない、処理方法。
【請求項19】
前記デッドボリュームのないバルブの下流に位置する遠隔プラズマ源中の前記第1のガスまたは前記第2のガスのうちの1つまたは複数からプラズマに点火することをさらに含む、請求項18に記載の処理方法。
【請求項20】
前記第2の吸入ラインを通って流れる第2のガスが所定の圧力を超えたときに、前記第2のガスが前記シール面を開位置に移動させ、前記第2の吸入ライン中にガス流がないとき、または前記第2の吸入ライン中の圧力が所定のしきい値を下回ったときに、前記シール面が閉位置に移動する、請求項18または19に記載の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、一般に、アイソレーションバルブに関する。特に、本開示の実施形態は、低減されたデッドボリューム(dead volume)をもつ、半導体製造のためのアイソレーションバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
様々なバルブを含むガス流路は半導体製造産業において一般的である。現在の流路構成は、プロセスガスが清浄なガスマニホルド中に逆流するのを防ぐためのパージを必要とするデッドボリュームを有する。これは、ガスライン中の気相反応を防ぐために反応ガスが採用される場合に特に重要である。反応生成物は、化学反応または目詰まりを引き起こすことによって機器に損傷を与えることがある。
【0003】
さらに、気相反応からプロセスライン中に残された残留物は後続のプロセスにかなりの悪影響を及ぼすことがある。残留物は、後続のガスまたはプロセス条件と反応し、不要な生成物を生成し得る。残留物はまた、プロセス空間に入り、基板上に微粒子を形成し、製造されているデバイスに損傷を与えることがある。製造機器は、かなりのダウンタイムとスループットの損失とにつながる、目詰まりしたラインとバルブとを除き、交換するために広範な保守にかけられる必要がある。
【0004】
したがって、デッドボリュームを最小にしおよび/または半導体製造中の逆流を防ぐための装置および方法が必要である。
【発明の概要】
【0005】
本開示の1つまたは複数の実施形態は、第1の吸入ライン(inlet line)と第2の吸入ラインとをもつバルブを備えるガス分配装置を対象とする。第1の吸入ラインは、第1の吸入ラインの長さを規定する上流端部と下流端部とを有する。第2の吸入ラインは、第2の吸入ラインの長さを規定する上流端部と下流端部とを有する。吸入ラインの下流端部は第1の吸入ラインの長さに沿って第1の吸入ラインと接続する。シール面(sealing surface)が第2の吸入ラインの下流端部にある。シール面は、第1の吸入ラインと第2の吸入ラインとの間の流体連結を防ぐために第1の吸入ラインと第2の吸入ラインとを分離するように構成される。
【0006】
本開示の追加の実施形態は、第1の吸入ラインと第2の吸入ラインとをもつバルブをもつガス分配装置を備える処理チャンバを対象とする。第1の吸入ラインは、第1の吸入ラインの長さを規定する上流端部と下流端部とを有する。第2の吸入ラインは、第2の吸入ラインの長さを規定する上流端部と下流端部とを有する。吸入ラインの下流端部は第1の吸入ラインの長さに沿って第1の吸入ラインと接続する。シール面が第2の吸入ラインの下流端部にある。シール面は、第1の吸入ラインと第2の吸入ラインとの間の流体連結を防ぐために第1の吸入ラインと第2の吸入ラインを分離するように構成される。ガス分配プレートが第1の吸入ラインの第2の端部と流体連結している。ガス分配プレートは、それを通ってガスの流れがガス分配プレートを通ることを可能にする複数の開孔をもつ前面を有する。スペーサがガス分配プレートの周りにある。スペーサは処理チャンバの上部中の開孔内にある。基板支持体が処理チャンバの内部にあり、ガス分配プレートの前面からある距離離間した支持体表面を有する。
【0007】
本開示のさらなる実施形態は、第1のガスをデッドボリュームのないバルブの第1の吸入ラインを通して処理チャンバ中に流すことを含む処理方法を対象とする。デッドボリュームのないバルブは第1の吸入ラインと第2の吸入ラインとを備える。第1の吸入ラインは、第1の吸入ラインの長さを規定する上流端部と下流端部とを有する。第2の吸入ラインは、第2の吸入ラインの長さを規定する上流端部と下流端部とを有する。吸入ラインの下流端部は第1の吸入ラインの長さに沿って第1の吸入ラインと接続する。シール面が第2の吸入ラインの下流端部にある。シール面は、第1の吸入ラインと第2の吸入ラインとの間の流体連結を防ぐために第1の吸入ラインと第2の吸入ラインとを分離するように構成される。第2のガスがデッドボリュームのないバルブの第2の吸入ラインを通して処理チャンバ中に流される。第1のガスは第2の吸入ライン中に流れない。第1のガスと第2のガスとの間を切り替えることは、バルブから残留ガスを除くパージステップを含まない。
【0008】
上記で具陳された本開示の特徴が詳細に理解され得るように、上記で手短に要約した、本開示のより詳細な説明が、そのうちのいくつかが添付の図面に示されている実施形態を参照することによって得られ得る。しかしながら、本開示は他の等しく効果的な実施形態を認め得るので、添付の図面は、本開示の一般的な実施形態を示しているにすぎず、したがって本開示の範囲を限定すると考えられるべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の1つまたは複数の実施形態による、処理チャンバの断面等角図を示す図である。
図2】本開示の1つまたは複数の実施形態による、処理チャンバの断面図を示す図である。
図3】本開示の1つまたは複数の実施形態による、処理ステーションの分解断面図である。
図4】本開示の1つまたは複数の実施形態による、処理プラットフォームの概略表現である。
図5】本開示の1つまたは複数の実施形態による、デッドボリュームのないバルブをもつガス分配装置の概略表現である。
図5A】本開示の1つまたは複数の実施形態による、シール位置におけるガスバルブの概略表現である。
図5B】本開示の1つまたは複数の実施形態による、開位置におけるガスバルブの概略表現である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示のいくつかの例示的な実施形態について説明する前に、本開示は、以下の説明に記載されている構成またはプロセスステップの詳細に限定されないことを理解されたい。本開示は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施または実行されることが可能である。
【0011】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用する際、「基板」という用語は、プロセスがそれに作用する表面または表面の一部分を指す。また、基板への言及は、文脈が別段に明示しない限り、基板の一部分のみを指すこともあることが当業者によって理解されよう。さらに、基板上に堆積することへの言及は、ベア基板と、1つまたは複数の膜またはフィーチャがその上に堆積または形成された基板の両方を意味することができる。
【0012】
本明細書で使用する「基板」は、任意の基板、または作製プロセス中にその上で膜処理が実行される基板上に形成された材料表面を指す。たとえば、処理がその上で実行され得る基板表面は、適用例に応じて、シリコン、酸化ケイ素、ストレインドシリコン、シリコンオンインシュレータ(SOI)、炭素ドープ酸化ケイ素、アモルファスシリコン、ドープシリコン、ゲルマニウム、ガリウムヒ素、ガラス、サファイア、ならびに金属、金属窒化物、金属合金、および他の導電性材料など、任意の他の材料などの材料を含む。基板は、限定はしないが、半導体ウエハを含む。基板は、基板表面を研磨、エッチング、還元、酸化、ヒドロキシル化、アニーリング、UV硬化、電子ビーム硬化および/または焼成するための前処理プロセスにさらされ得る。基板自体の表面上に直接膜処理することに加えて、本開示では、開示されている膜処理ステップのいずれかも、以下により詳細に開示されているように、基板上に形成された下層上で実行され得、「基板表面」という用語は、文脈が示すように、そのような下層を含むものとする。したがって、たとえば、膜/層または部分膜/層が基板表面上に堆積されている場合、新たに堆積された膜/層の露出した表面が基板表面になる。
【0013】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用する際、「前駆体」、「反応物」、「反応性ガス」などの用語は、基板表面と、または基板表面上に形成された膜と反応することができる任意のガス種を指すために互換的に使用される。
【0014】
本開示は、単一ウエハまたは(バッチとも呼ばれる)マルチウエハプロセスチャンバとともに使用するための基板支持体を提供する。図1および図2は本開示の1つまたは複数の実施形態による処理チャンバ100を示す。図1は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、断面等角図として示された処理チャンバ100を示す。図2は、本開示の1つまたは複数の実施形態による処理チャンバ100を断面で示す。したがって、本開示のいくつかの実施形態は、基板支持体200を組み込んだ処理チャンバ100を対象とする。
【0015】
処理チャンバ100は、壁104と底部106とをもつハウジング102を有する。
ハウジング102は、上部プレート300とともに、処理容量とも呼ばれる内部容量109を規定する。
【0016】
示された処理チャンバ100は複数の処理ステーション110を含む。処理ステーション110は、ハウジング102の内部容量109中に位置し、基板支持体200の回転軸211の周りに円形構成で配置される。各処理ステーション110は、前面114を有する(ガスインジェクタとも呼ばれる)ガス分配プレート112を備える。いくつかの実施形態では、ガス分配プレート112の各々の前面114は実質的に同一平面である。処理ステーション110は、処理がその中で行われることができる領域として規定される。たとえば、いくつかの実施形態では、処理ステーション110は、以下で説明するように、基板支持体200の支持体表面231と、ガス分配プレート112の前面114とによって制限された領域として規定される。示されている実施形態では、ヒーター230は、基板支持体表面として働き、基板支持体200の一部を形成する。
【0017】
処理ステーション110は、任意の好適なプロセスを実行し、任意の好適なプロセス条件を与えるように構成され得る。使用されるガス分配プレート112のタイプは、たとえば、実行される処理のタイプおよびシャワーヘッドまたはガスインジェクタのタイプに依存する。たとえば、原子層堆積装置として動作するように構成された処理ステーション110はシャワーヘッドまたは渦タイプガスインジェクタを有し得る。一方で、プラズマステーションとして動作するように構成された処理ステーション110は、プラズマガスがウエハに向かって流れることを可能にしながらプラズマを生成するための1つまたは複数の電極および/または接地プレート構成を有し得る。図2に示された実施形態は、図面の左側(処理ステーション110a)に、図面の右側(処理ステーション110b)とは異なるタイプの処理ステーション110を有する。好適な処理ステーション110は、限定はしないが、熱処理ステーション、マイクロ波プラズマ、3電極CCP、ICP、平行プレートCCP、UV露光、レーザー処理、ポンピングチャンバ、アニーリングステーションおよび計測ステーションを含む。
【0018】
図3は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、処理ステーション110またはプロセスチャンバにおいて使用するためのガス分配アセンブリ105の分解図を示す。図3に示された実施形態は、一般的な概略であり、詳細(たとえば、ガスチャネル)を省略していることを当業者は認識するであろう。示されているガス分配アセンブリ105は、3つの構成要素、すなわち、ガス分配プレート112と、ふた180と、随意のスペーサ330とを備える。スペーサ330はポンプ/パージスペーサ、インサートまたはポンプ/パージインサートとも呼ばれる。いくつかの実施形態では、スペーサ330は真空(排気)に接続されるか、または真空(排気)と流体連結している。いくつかの実施形態では、スペーサ330は、パージガス源に接続されるか、またはパージガス源と流体連結している。
【0019】
上部プレート300中の開口310は、一様にサイズ決定されるか、または異なるサイズを有し得る。異なるサイズ/形状のガス分配プレート112は、開口310からガス分配プレート112への移行に好適に成形されたポンプ/パージスペーサ330とともに使用され得る。たとえば、図示のように、ポンプ/パージスペーサ330は、側壁335をもつ上部331と底部333とを含む。上部プレート300中の開口310中に挿入されるとき、レッジ334は、開口310中に配置されるように構成される。
【0020】
ポンプ/パージスペーサ330は、ガス分配プレート112がその中に挿入され得る開口339を含む。示されているガス分配プレート112は、ポンプ/パージスペーサ330の上部331に隣接する裏面332によって形成されたレッジと接触し得るフランジ342を有する。ガス分配プレート112の直径または幅は、ポンプ/パージスペーサ330の開口339内に嵌合することができる任意の好適なサイズであり得る。これにより、様々なタイプの(ガスインジェクタとも呼ばれる)ガス分配プレート112が上部プレート300中の同じ開口310内で使用されることが可能になる。
【0021】
図4は、本開示の1つまたは複数の実施形態による処理プラットフォーム400を示す。図4に示された実施形態は、1つの可能な構成を表すものにすぎず、本開示の範囲を限定するとして取られるべきでない。たとえば、いくつかの実施形態では、処理プラットフォーム400は、処理チャンバ100、バッファステーション420および/またはロボット430構成のうちの、図示の実施形態とは異なる数の1つまたは複数を有する。
【0022】
例示的な処理プラットフォーム400は、複数の側面411、412、413、414を有する中央トランスファーステーション410を含む。示されているトランスファーステーション410は、第1の側面411、第2の側面412、第3の側面413および第4の側面414を有する。4つの側面が示されているが、たとえば、処理プラットフォーム400の全体的構成に応じて、トランスファーステーション410に対して任意の好適な数の側面があり得ることを当業者は理解するであろう。いくつかの実施形態では、トランスファーステーション410は、3つの側面、4つの側面、5つの側面、6つの側面、7つの側面または8つの側面を有する。
【0023】
トランスファーステーション410は、その中に配置されたロボット430を有する。ロボット430は、処理中にウエハを移動することが可能な任意の好適なロボットであり得る。いくつかの実施形態では、ロボット430は第1のアーム431と第2のアーム432とを有する。第1のアーム431および第2のアーム432は他のアームとは独立して移動され得る。第1のアーム431および第2のアーム432はx-y平面内でおよび/またはz軸に沿って移動することができる。いくつかの実施形態では、ロボット430は第3のアーム(図示せず)または第4のアーム(図示せず)を含む。アームの各々は、他のアームとは独立して移動することができる。
【0024】
図示された実施形態は6つの処理チャンバ100を含み、2つの処理チャンバは中央トランスファーステーション410の第2の側面412、第3の側面413および第4の側面414の各々に接続される。処理チャンバ100の各々は、異なる処理を実行するように構成され得る。
【0025】
処理プラットフォーム400はまた、中央トランスファーステーション410の第1の側面411に接続された1つまたは複数のバッファステーション420を含むことができる。バッファステーション420は同じまたは異なる機能を実行することができる。たとえば、バッファステーションは、処理され、元のカセットに戻されるウエハのカセットを保持し得るか、またはバッファステーションのうちの1つは、処理の後に他のバッファステーションに移動される処理されていないウエハを保持し得る。いくつかの実施形態では、バッファステーションのうちの1つまたは複数は、処理の前および/または処理の後にウエハを前処理、予熱または洗浄するように構成される。
【0026】
処理プラットフォーム400はまた、中央トランスファーステーション410と処理チャンバ100のいずれかとの間に1つまたは複数のスリットバルブ418を含み得る。スリットバルブ418は、中央トランスファーステーション410内の環境から処理チャンバ100内の内部容量を隔離するために開閉することができる。たとえば、処理チャンバが処理中にプラズマを生成する場合、漂遊プラズマがトランスファーステーション中のロボットに損傷を与えるのを防ぐために、その処理チャンバのためのスリットバルブを閉じることが有用であり得る。
【0027】
処理プラットフォーム400は、ウエハまたはウエハのカセットが処理プラットフォーム400にロードされることを可能にするために、ファクトリインターフェース450に接続され得る。ファクトリインターフェース450内のロボット455は、ウエハまたはカセットをバッファステーションにおよびバッファステーションから移動するために使用され得る。ウエハまたはカセットは中央トランスファーステーション410中のロボット430によって処理プラットフォーム400内で移動され得る。いくつかの実施形態では、ファクトリインターフェース450は別のクラスタツール(すなわち、別の複数チャンバ処理プラットフォーム)のトランスファーステーションである。
【0028】
コントローラ495が与えられ、それの動作を制御するために処理プラットフォーム400の様々な構成要素に結合され得る。コントローラ495は、処理プラットフォーム400全体を制御する単一のコントローラか、または処理プラットフォーム400の個々の部分を制御する複数のコントローラであり得る。たとえば、いくつかの実施形態の処理プラットフォーム400は、個々の処理チャンバ100、中央トランスファーステーション410、ファクトリインターフェース450および/またはロボット430のうちの1つまたは複数のための別個のコントローラを備える。
【0029】
いくつかの実施形態では、処理チャンバ100は、第1の温度または第2の温度のうちの1つまたは複数を制御するように構成された、複数の実質的に同一平面の支持体表面231に接続されるコントローラ495をさらに備える。1つまたは複数の実施形態では、コントローラ495は基板支持200の移動速度を制御する(図2)。
【0030】
いくつかの実施形態では、コントローラ495は、中央処理ユニット(CPU)496と、メモリ497と、サポート回路498とを含む。コントローラ495は、処理プラットフォーム400を直接、または、特定のプロセスチャンバおよび/もしくはサポートシステム構成要素に関連付けられたコンピュータ(もしくはコントローラ)を介して制御し得る。
【0031】
コントローラ495は、様々なチャンバおよびサブプロセッサを制御するために工業環境において使用され得る任意の形態の汎用コンピュータプロセッサのうちの1つであり得る。コントローラ495のメモリ497またはコンピュータ可読媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、フロッピーディスク、ハードディスク、光ストレージ媒体(たとえば、コンパクトディスクまたはデジタルビデオディスク)、フラッシュドライブ、または、ローカルもしくはリモートの任意の他の形態のデジタルストレージなど、容易に利用可能なメモリのうちの1つまたは複数であり得る。メモリ497は、処理プラットフォーム400のパラメータと構成要素とを制御するためにプロセッサ(CPU496)によって動作可能な命令セットを保持することができる。
【0032】
サポート回路498は、従来の様式でプロセッサをサポートするためにCPU496に結合される。これらの回路は、キャッシュ、電源、クロック回路、入出力回路、およびサブシステムなどを含む。1つまたは複数の処理は、プロセッサによって実行または呼び出されたとき、プロセッサに処理プラットフォーム400または個々の処理チャンバの動作を本明細書で説明する様式で制御させるソフトウェアルーチンとしてメモリ498に記憶され得る。ソフトウェアルーチンはまた、CPU496によって制御されるハードウェアから遠隔に位置する第2のCPU(図示せず)によって記憶および/または実行され得る。
【0033】
本開示のいくつかのまたはすべてのプロセスおよび方法はまた、ハードウェアにおいて実行され得る。したがって、プロセスは、ソフトウェアにおいて実装され、たとえば、特定用途向け集積回路もしくは他のタイプのハードウェア実装としてハードウェアにおいて、またはソフトウェアとハードウェアとの組合せとして、コンピュータシステムを使用して実行され得る。ソフトウェアルーチンは、プロセッサによって実行されたとき、汎用コンピュータを、プロセスが実行されるようにチャンバ動作を制御する特定目的コンピュータ(コントローラ)に変換する。
【0034】
いくつかの実施形態では、コントローラ495は、本方法を実行するための個々のプロセスまたはサブプロセスを実行するための1つまたは複数の構成を有する。コントローラ495は、本方法の機能を実行するための中間構成要素に接続され、それらを動作させるように構成され得る。たとえば、コントローラ495は、ガスバルブ、アクチュエータ、モーター、スリットバルブ、真空制御または他の構成要素のうちの1つまたは複数に接続され、それらを制御するように構成され得る。
【0035】
本開示の1つまたは複数の実施形態は、デッドボリュームをなくすか、または低減するためのバルブを提供する。いくつかの実施形態では、バルブはチャンバ中の交互の洗浄とプロセスガス供給を可能にする。本開示のいくつかの実施形態は、逆流を防ぐためのいかなるパージをも必要としない。いくつかの実施形態は、バルブ洗浄からのパージガス流によるガス分配プレート中の左右濃度差をなくす。
【0036】
本開示のいくつかの実施形態は、基板処理チャンバ中にガスを導入するための方法および装置を対象とする。デッドボリュームは、このバルブを使用することでなくされ得る。いくつかの実施形態は、チャンバ中の交互の洗浄とプロセスガス供給を可能にする。いくつかの実施形態では、デッドボリュームを交換するための特別なパージの必要がなくされる。
【0037】
本開示の1つまたは複数の実施形態は、ステーション内の化学作用を抑制し、残留ガス種のクロストークを防ぐために、空間的マルチウエハプロセスツールにおける動き中にシャワーヘッドの上流の圧力を下げる。いくつかの実施形態は、ALDプロセスにおいて行われるCVDタイプ処理を最小にする。いくつかの実施形態は、空間的ツールにおける残留化学作用クロストークを防ぐ。いくつかの実施形態は、時間がかかるパージプロセスとバルブ洗浄プロセスとの必要をなくすことによってサイクル時間を改善する。いくつかの実施形態は、照射後のウエハの上方に低い圧力を作り出すことによって膜質、抵抗率、および/または共形性を改善する。
【0038】
図5は本開示の1つまたは複数の実施形態によるガス分配装置500を示す。当業者によって理解されるように、図示のガス分配装置は、図1図4に関して説明した処理チャンバおよびプロセスツール中に組み込まれ得る。
【0039】
図5は本開示の1つまたは複数の実施形態によるバルブ510を示す。バルブ510はデッドボリュームのないバルブとも呼ばれる。バルブ510は、バルブの本体を通る第1の吸入ライン520を有する。第1の吸入ラインは、第1の吸入ライン520の長さを規定する上流端部522と下流端部524とを有する。
【0040】
バルブ510は第2の吸入ライン530を含む。第2の吸入ライン530は、第2の吸入ライン530の長さを規定する上流端部532と下流端部534とを有する。吸入ラインの形状は変動させられ得、長さはラインの流路の中心線に沿って測定される。
【0041】
第1の吸入ライン520と第2の吸入ライン530とは分岐合流部525において接続する。第2の吸入ライン530の下流端部534は分岐合流部525において第1の吸入ライン520と接続する。いくつかの実施形態の分岐合流部は第1の吸入ライン520の長さに沿って配置される。別の言い方をすれば、分岐合流部525は、第1の吸入ライン520の上流端部522からある距離に、および第1の吸入ライン520の下流端部524からある距離に位置する。分岐合流部525は、第1の入口端部522からの距離と第1の出口端部524からの距離とが同じまたは異なるように位置し得る。いくつかの実施形態では、分岐合流部525は第1の吸入ライン520の長さの約50%に位置する。いくつかの実施形態では、分岐合流部は第1の吸入ライン520の長さの25%から75%までの範囲内にある。
【0042】
バルブ510は、第2の吸入ライン530の下流端部534に位置するシール面540を含む。シール面540は、シール面540の上流で第1の吸入ライン520と第2の吸入ライン530との間の流体連結を防ぐために、第1の吸入ライン520と第2の吸入ライン530とを分離するように構成される。別の言い方をすれば、いくつかの実施形態では、第2の吸入ライン530は、ガスの流れを下流でのみ可能にするように構成されたバルブ510を有する。シール面540は、第1の吸入ライン520と第2の吸入ライン530とを通して流されるべき化学作用に適合する任意の好適な材料から製造され得る。いくつかの実施形態では、シール面540はチェックバルブを備える。
【0043】
示された実施形態では、バルブ510は、可動シール面540としてボールバルブを有する。不十分な流れが第2の吸入ライン530を通るとき、シール面は、ガスが第2の吸入ライン530中に逆流することができず、ガスが第2の吸入ライン530から第1の吸入ライン520中に漏れることができないように、第2の吸入ライン530の下流端部534をカバーするシール位置にある。シール位置にあるシール面540をもつバルブ510が図5および図5Aに示されている。このようにして使用する際、「十分な流れ差分」という用語は、第1の吸入ライン520中のガス流528によってシール面540に加えられる力と、第2の吸入ライン530中のガス流538によってシール面540に加えられる力との間の差を指す。いくつかの実施形態では、シール面540をシール位置に移動するのに十分な流れ差分は、第1の吸入ライン520中のガス流528によって加えられる力が、第2の吸入ライン530中のガス流538によって加えられる力よりも、しきい値だけ大きいことを意味する。いくつかの実施形態のしきい値は、シール面540を開位置からシール位置に移動するために必要とされる力に対する、シール面540をシール位置から開位置に移動するために必要とされる力に少なくとも部分的に基づく。たとえば、いくつかの実施形態のしきい値は、バルブ510を閉じるまたはシールするために必要とされる力が、バルブを開いて第2の吸入ライン530中のガス流538がシール面540を超えて流れることを可能にするために必要とされる力よりも小さい場合、変動し、またはその逆の場合も同様である。
【0044】
図5Bは、開位置におけるシール面540をもつバルブ510を示す。第1の吸入ライン520と第2の吸入ライン530との間に十分な流れ差分があるとき、シール面540は、第2の吸入ライン530の下流端部534から分岐合流部525中に入り、第1の吸入ライン520の下流端部524から出る流体連結が起こることを可能にするように移動する。いくつかの実施形態では、(図5Aに示された)シール位置と(図5Bに示された)開位置との間のシール面540の動きにより、バルブ510内に閉じ込められたガスがバルブ510から押し出されて第1の吸入ライン520中に入る。
【0045】
いくつかの実施形態では、シール面540は、第2の吸入ライン530中の流れによって加えられる力がしきい値よりも大きいときに開位置に移動するように構成される。いくつかの実施形態のしきい値は、シール面540上に第1の吸入ライン520中の流れよりも少ない力を生じ、シール面540を開位置に移動する。
【0046】
いくつかの実施形態のシール面540は、第2の吸入ライン530を通る流体の動きが分岐合流部525において第1の吸入ライン520に入ることを可能にする。いくつかの実施形態では、シール面540は、第1の吸入ライン520からの流体が第2の吸入ライン530の下流端部534に入ることを防ぐ。
【0047】
いくつかの実施形態では、ガスが第2の吸入ライン530を通って流れるとき、シール面540は開位置に移動する。いくつかの実施形態では、第2の吸入ライン530中のガス流および/または圧力は、シール面540を移動するための所定の圧力および/または流量を超える。いくつかの実施形態では、シール面540は、第2の吸入ライン530中にガス流がないとき、または第2の吸入ライン530中の圧力が所定のしきい値を下回ったときに、(図5に示された)閉位置に移動する。いくつかの実施形態では、シール面540を開く/閉じるためのしきい値は第2の吸入ライン530と第1の吸入ライン520との間の差圧に基づく。いくつかの実施形態では、シール面を開くためのしきい値は、シール面を閉じるためのしきい値とは異なる。
【0048】
いくつかの実施形態では、バルブ510中にデッドボリュームがない。デッドボリュームは、ガスが渦を形成し、詰まり、それにより、流れが停止された後に、そのガス種の一部が残留し、次のガス流に追加され得る空間である。
【0049】
図5には2つの吸入ラインが示されているが、3つ以上の吸入ラインが本開示の範囲内であることを当業者は認識するであろう。たとえば、バルブは、第2の分岐合流部(図示せず)において第1の吸入ライン520または第2の吸入ライン530に接続する第3の吸入ライン(図示せず)を有することができる。いくつかの実施形態では、第3の吸入ラインは第2の吸入ライン530と同じ分岐合流部525において第1の吸入ライン520に接続する。いくつかの実施形態では、第3の吸入ラインはパージラインとして構成される。
【0050】
ガス分配装置500のいくつかの実施形態はガス分配アセンブリ105を含む。示されている実施形態は、ガス分配プレート112を装置500の一部として示す。いくつかの実施形態では、ガス分配プレート112は第2の端部524および第1の吸入ライン520と流体連結している。いくつかの実施形態では、ガス分配プレート112はシャワーヘッドを含む。
【0051】
図5は、随意の遠隔プラズマ源550を含む実施形態を示す。いくつかの実施形態の遠隔プラズマ源(RPS)550は第1の吸入ライン520の下流端部524とガス分配プレート112との間に配置される。遠隔プラズマ源550は、当業者に知られている任意の好適なプラズマ源であり得る。好適な供給源は、限定はしないが、容量結合プラズマ(CCP)源、誘導結合プラズマ(ICP)源、マイクロ波プラズマ源を含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、第1の吸入ライン520の下流端部524とガス分配プレート112との間に(図4に示された)ガスマニホルド560がある。いくつかの実施形態では、ガスマニホルドは、バルブ510から出るガス流を複数のプロセスチャンバまたは処理ステーションに分離する。いくつかの実施形態では、第1の吸入ライン520の下流端部524と遠隔プラズマ源550との間にガスマニホルド560がある。
【0053】
本明細書全体にわたる「一実施形態」、「いくつかの実施形態」、「1つまたは複数の実施形態」または「実施形態」への言及は、実施形態に関して説明した特定の特徴、構造、材料、または特性が本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体にわたる様々な場所における「1つまたは複数の実施形態では」、「いくつかの実施形態では」、「一実施形態では」または「実施形態では」などのフレーズの出現は必ずしも本開示の同じ実施形態を指すとは限らない。さらに、特定の特徴、構造、材料、または特性は1つまたは複数の実施形態において任意の好適な様式で組み合わせられ得る。
【0054】
本明細書の開示について特定の実施形態に関して説明したが、説明された実施形態は本開示の原理および適用例を示すものにすぎないことを当業者は理解するであろう。本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、本開示の方法および装置に対して様々な改変および変形が行われ得ることが当業者に明らかになろう。したがって、本開示は添付の特許請求の範囲内の改変および変形ならびにそれらの均等物を含むことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図5A
図5B