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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】シート搬送装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/06 20060101AFI20240418BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240418BHJP
   B41J 13/02 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
B65H5/06 P
G03G15/00 450
B41J13/02
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019189124
(22)【出願日】2019-10-16
(65)【公開番号】P2020116939
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2022-08-24
(31)【優先権主張番号】P 2019007675
(32)【優先日】2019-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】川又 悠司
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 和人
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-061357(JP,U)
【文献】特開2009-057157(JP,A)
【文献】特開2011-123259(JP,A)
【文献】特開2008-230738(JP,A)
【文献】特開2009-062201(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0061784(US,A1)
【文献】中国実用新案第201947357(CN,U)
【文献】韓国公開特許第10-2004-0021316(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00-3/68
B65H 5/06
B41J 13/02
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送されるシートを挟持するローラ対が設けられる支持構造体が、装置本体への収納位置と最大引き出し位置とに移動可能なシート搬送装置であって、
前記支持構造体には、前記ローラ対を構成する2つのローラ間を、前記収納位置では圧接状態に切り替え、前記最大引き出し位置では非圧接状態に切り替える切替機構が設けられ、
前記切替機構は、前記支持構造体が前記最大引き出し位置から前記収納位置へ移動する収納移動の途中で装置本体の接触部材の接触部と接触する被接触部を備えた複数の被接触部材を、該収納移動の方向の互いに異なる位置にそれぞれ備え、該複数の被接触部材の被接触部が該接触部材の接触部に接触することで、前記非圧接状態から前記圧接状態へ切り替えるものであり、
前記接触部材として、第一接触部材と第二接触部材とを有し、
前記第一接触部材の前記接触部は、前記支持構造体が前記最大引き出し位置に位置するときに前記複数の被接触部材の前記被接触部よりも前記収納位置側に位置し、かつ、前記支持構造体が前記収納位置に位置するときに前記複数の被接触部材の前記被接触部よりも前記最大引き出し位置側に位置し、
前記第二接触部材の前記接触部は、前記支持構造体が前記収納位置と前記最大引き出し位置との間に位置するときに前記第一接触部材よりも収納位置側に位置する一部の被接触部材の前記被接触部よりも収納位置側に位置し、かつ、前記支持構造体が前記収納位置に位置するときに前記一部の被接触部材の前記被接触部よりも前記最大引き出し位置側に位置することを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシート搬送装置において、
前記2つのローラ間を圧接状態でロックするロック状態と、該ロックを解除して前記2つのローラ間を非圧接状態にする非ロック状態とに切り替えるロック機構を有し、
前記ロック機構は、前記支持構造体が前記最大引き出し位置に位置する場合だけでなく、前記収納位置と前記最大引き出し位置との間に位置する場合でも、前記非ロック状態に切り替え可能であることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のシート搬送装置において、
前記ローラ対はレジストローラ対であることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項4】
シート搬送手段によって搬送されるシートに画像を形成する画像形成装置であって、
前記シート搬送手段として、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート搬送装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート搬送装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送されるシートを挟持するローラ対が設けられる支持構造体が、装置本体への収納位置と最大引き出し位置とに移動可能なシート搬送装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、レジストローラ対が設けられる搬送手段ユニット(支持構造体)を、装置本体への収納位置から装置本体外部の最大引き出し位置まで引き出し、当該最大引き出し位置でレジストローラ対に挟持されたシートのジャム処理を可能にした装置が開示されている。この装置では、レジストローラ対に挟持されたシートのジャムが発生すると、これをジャム検知手段が検知して所定の駆動手段が作動し、レジストローラ対を構成する2つのローラの一方を他方から離れる方向へ移動して、当該2つのローラ間の圧接状態が解除される。また、ジャム処理後に搬送手段ユニットを収納位置へ戻すと、所定の駆動手段が作動して、レジストローラ対を構成する2つのローラ間が再び圧接状態になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の装置では、ローラ対を備えた支持構造体を収納位置から移動させた後に再び収納位置へ戻したときに、当該ローラ対が圧接状態に切り替わらず、シート搬送不良を引き起こすおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、搬送されるシートを挟持するローラ対が設けられる支持構造体が、装置本体への収納位置と最大引き出し位置とに移動可能なシート搬送装置であって、前記支持構造体には、前記ローラ対を構成する2つのローラ間を、前記収納位置では圧接状態に切り替え、前記最大引き出し位置では非圧接状態に切り替える切替機構が設けられ、前記切替機構は、前記支持構造体が前記最大引き出し位置から前記収納位置へ移動する収納移動の途中で装置本体の接触部材の接触部と接触する被接触部を備えた複数の被接触部材を、該収納移動の方向の互いに異なる位置にそれぞれ備え、該複数の被接触部材の被接触部が該接触部材の接触部に接触することで、前記非圧接状態から前記圧接状態へ切り替えるものであり、前記接触部材として、第一接触部材と第二接触部材とを有し、前記第一接触部材の前記接触部は、前記支持構造体が前記最大引き出し位置に位置するときに前記複数の被接触部材の前記被接触部よりも前記収納位置側に位置し、かつ、前記支持構造体が前記収納位置に位置するときに前記複数の被接触部材の前記被接触部よりも前記最大引き出し位置側に位置し、前記第二接触部材の前記接触部は、前記支持構造体が前記収納位置と前記最大引き出し位置との間に位置するときに前記第一接触部材よりも収納位置側に位置する一部の被接触部材の前記被接触部よりも収納位置側に位置し、かつ、前記支持構造体が前記収納位置に位置するときに前記一部の被接触部材の前記被接触部よりも前記最大引き出し位置側に位置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、収納位置から移動させた支持構造体を再び収納位置へ戻したときに当該支持構造体上のローラ対が圧接状態に切り替わらずにシート搬送不良が引き起こされる可能性を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係るプリンタの概略構成図。
図2】同プリンタの引き出しユニットがプリンタ本体内部の収納位置に位置している状態を示す斜視図。
図3】同引き出しユニットがプリンタ本体外部の引き出し位置まで引き出された状態を示す斜視図。
図4】同引き出しユニット上に搭載されるロック状態のレジストローラ対ユニットを、レジストローラ対の軸方向に直交する断面で示した断面図。
図5】同引き出しユニット上に搭載される非ロック状態のレジストローラ対ユニットを、レジストローラ対の軸方向に直交する断面で示した断面図。
図6】同ロック状態におけるロック機構を、ロックレバー軸の軸中心を通るように切断したときの断面図。
図7】同非ロック状態におけるロック機構を、ロックレバー軸の軸中心を通るように切断したときの断面図。
図8】(a)は、レジストローラ対ユニットを、プリンタ本体側に設けられる接触凸部とともに示す上面図。(b)は、同図(a)において、同レジストローラ対ユニットのユニット開閉部のカバー部を取り外した状態を示す上面図。
図9】同引き出しユニットが引き出し位置に位置するときの、同レジストローラ対ユニットの被接触突起部と、プリンタ本体の接触凸部との位置関係を示す斜視図。
図10図9に対応する側面図。
図11】同引き出しユニットが収納位置に位置するときの、同レジストローラ対ユニットの被接触突起部と、プリンタ本体の接触凸部との位置関係を示す斜視図。
図12図11に対応する側面図(拡大図)。
図13】(a)は、レジストローラ対ユニットの装置前面側部分を、プリンタ本体側に設けられる前面側接触凸部とともに示した斜視図。(b)は、同図(a)において、同レジストローラ対ユニットのユニット開閉部のカバー部を取り外した状態を示す斜視図。
図14】(a)は、レジストローラ対ユニットの装置後面側部分を、プリンタ本体側に設けられる後面側接触凸部とともに示した斜視図。(b)は、同図(a)において、同レジストローラ対ユニットのユニット開閉部のカバー部を取り外した状態を示す斜視図。
図15】同引き出しユニットが引き出し途中位置まで引き出された状態を示す斜視図。
図16】同引き出し途中位置まで引き出した引き出しユニット上のレジストローラ対ユニットのロックを解除した状態を、レジストローラ対18の軸方向に直交する断面で示した断面図。
図17】同引き出しユニットが引き出し途中位置に位置するときの、同レジストローラ対ユニットの被接触突起部と、プリンタ本体の接触凸部との位置関係を示す斜視図。
図18図17に対応する側面図。
図19】前面側ロック爪だけがユニット開閉部のフレーム部に引っ掛かった状態を示す断面図。
図20】収納移動中にプリンタ本体の接触凸部によって同レジストローラ対ユニットの被接触突起部が押し下げられた状態を示す斜視図。
図21図20に対応する側面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係るシート搬送装置を備える画像形成装置として、電子写真方式で画像を形成する電子写真プリンタ(以下、単にプリンタという。)について説明する。
本実施形態では、画像形成装置の一例として、カラーレーザープリンタについて説明するが、画像形成装置としては、カラーのものに限らずモノクロのものでもよく、プリンタに限らず、複写機や複合機等、他の画像形成装置でもよい。また、本発明に係るシート搬送装置を備える画像形成装置としては、電子写真方式に限るものではなく、インクジェット方式等の他の方式の画像形成装置であってもよい。
【0009】
図1は、本実施形態に係るプリンタ100の概略構成図である。
プリンタ100は、プリンタ本体1のほぼ中央に、中間転写ユニット内に配置された中間転写ベルト16が設けられている。中間転写ベルト16の上方には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、黒(K)の各色のトナーで作像を行う4つの作像ユニット2Y,2M,2C,2Kを並べて配置している。4つの作像ユニット2Y,2M,2C,2Kの構成とその動作は実質的に同一であるため、ここでは色を示す符号を省略して作像ユニットについて説明する。
【0010】
作像ユニット2は、中間転写ベルト16の上部の張架面に対向する潜像担持体である感光体12を備え、感光体12の周囲には、帯電手段である帯電装置11、潜像形成手段であるレーザ走査ユニット10及び現像手段である現像装置13等を備える。また、中間転写ベルト16を挟んで感光体12と対向する一次転写ローラ14を備え、一次転写ニップを形成する。
【0011】
また、中間転写ベルト16の下方には、二次転写ローラ15を備え、中間転写ベルト16を挟んで二次転写ローラ15と対向する二次転写対向ローラ16aを備え、二次転写ニップを形成する。
【0012】
プリンタ本体1の下部には、第一から第三の三段の給紙トレイ5が装置本体に対して引き出し可能な給紙装置200を備え、それぞれの給紙トレイ5には、転写紙や樹脂フィルムなどからなる記録材としての用紙Pが収容される。
【0013】
プリンタ100でプリント動作が開始されると、感光体12が図1中の反時計方向に回転駆動され、中間転写ベルト16は図1中の時計回り方向に回転駆動される。このとき、帯電装置11によって感光体12の表面が所定の極性に一様帯電される。次いで、一様帯電された感光体12の表面に、各色のレーザ走査ユニット10から画像情報に基づくレーザ光が照射され、これによって感光体12に静電潜像が形成される。そして、感光体12の表面に形成された静電潜像は、現像装置13によってトナー像として可視像化され、トナー像は一次転写ニップで一次転写ローラ14によって中間転写ベルト16に転写される。なお、トナー像転写後の感光体12の表面に付着する転写残トナーは感光体クリーニング装置によって除去される。
【0014】
カラー画像形成時は上述した画像形成動作が全ての作像ユニット2で行われ、これによって個々の感光体12にそれぞれ形成されたイエロートナー像、シアントナー像、マゼンタトナー像及び黒トナー像が中間転写ベルト16上に順次重ねて転写される。
【0015】
一方、給紙装置200からは用紙Pが給紙される。操作パネル3やパーソナルコンピューター等の入力端末を用いて、三段の給紙トレイ5から使用する給紙トレイ5をユーザーが選択することにより、選択された給紙トレイ5に格納された用紙Pが給紙される。
図1中の符号「19」で示す破線は、プリンタ100内を用紙Pが通過する搬送路を示す。
【0016】
給紙された用紙Pは、レジストローラ対18に向けて送り出され、停止している圧接状態のレジストローラ対18に用紙先端が突き当てられる。これによって用紙Pのスキュー補正(斜行矯正)がなされた後、レジストローラ対18は、中間転写ベルト16上のトナー像と合致するタイミングで用紙Pを二次転写ニップに向けて送り出す。二次転写ニップでのトナー像転写後の中間転写ベルト16の表面に付着する転写残トナーは中間転写ベルトクリーニング装置によって除去される。
【0017】
二次転写ニップでトナー像が転写された用紙Pは、定着装置17に送られ、用紙Pにトナー像が定着された後、片面印刷の場合は、排紙トレイ4に排出される。両面印刷の場合、第一面に画像が形成された用紙Pは、分岐爪40により搬送経路を切り替えることで両面経路へと搬送される。分岐爪40により反転ローラ対41まで送り出された用紙Pは反転ローラ対41の正逆転により、両面ローラ対42へと搬送される。この際、用紙Pの搬送方向に対する表裏は第一面画像形成時と反転する。そして、中継ローラ対43、レジストローラ対18まで用紙Pが搬送された後は、上述したのと同様のプロセスで第二面にも画像形成を施した後、排紙トレイ4に排出される。
【0018】
次に、本実施形態における引き出しユニット30について説明する。
図2は、本実施形態の引き出しユニット30が装置本体であるプリンタ本体1の内部の収納位置に位置している状態を示す斜視図である。
図3は、引き出しユニット30がプリンタ本体1の外部の非収納位置である引き出し位置まで引き出された状態を示す斜視図である。
【0019】
本実施形態において、引き出しユニット30は、プリンタ本体1に対し、保持手段であるスライドレール6によって、装置前後方向に沿ってスライド移動可能に設けられている。レジストローラ対18の付近で用紙Pのジャムが発生した場合、ユーザは、レジストローラ対18が搭載されている引き出しユニット30を、図2に示すプリンタ本体1内の収納位置から装置前面側へ、図3に示す引き出し位置(最大引き出し位置)まで引き出し、紙ジャム処理を実施する。引き出し位置において、ユーザは、レジストローラ対18の圧接状態を解除して非圧接状態に切り替える操作を行うことで、レジストローラ対18に挟持された状態の用紙Pに対する紙ジャム処理を実施することができる。紙ジャム処理の終了後、ユーザは、レジストローラ対18を再び圧接状態に切り替える操作を行い、その後、引き出しユニット30を図2に示す収納位置まで押し込む。これにより、再び、圧接状態のレジストローラ対18によるスキュー補正(斜行矯正)、用紙搬送が可能となる。
【0020】
図4及び図5は、レジストローラ対18を備えたレジストローラ対ユニット60を、レジストローラ対18の軸方向に直交する断面で示した断面図である。
なお、図4及び図5は、後述する図6及び図7に示されたA-A’断面を示すものである。
【0021】
本実施形態のレジストローラ対18は、レジスト駆動ローラ18Aとレジスト従動ローラ18Bとが一対となって構成され、用紙を挟持して搬送する機能に加え、両ローラのニップ部に用紙先端を当接させ、その状態で更に一定量用紙を送って弛みを形成することで、用紙の斜行を矯正する機能をも有している。本実施形態のレジストローラ対18は、レジストローラ対ユニット60に搭載された状態で、引き出しユニット30に搭載されている。
【0022】
本実施形態のレジストローラ対ユニット60は、レジストローラ対18を構成するレジスト駆動ローラ18A及びレジスト従動ローラ18B、ユニット側板61A,61B(図中手前側のユニット側板61Aは図示されていない。)、ユニット側板61A,61Bに対して開閉可能に装着されるユニット開閉部62、ユニット開閉部62上に設けられる被接触部材としての被接触突起部63A,63B(図中手前側の被接触突起部63Aは図示されていない。)、ロックレバー軸64に取り付けられたロック爪65A,65B(図中手前側のロック爪65Aは図示されていない。)などから構成されている。
【0023】
レジスト駆動ローラ18Aは、ローラ軸方向の各端部が2つのユニット側板61A,61Bにそれぞれ回転可能に支持されており、プリンタ本体1に設置されている駆動手段としてのレジストモータ及び駆動伝達機構によって回転駆動される。一方、レジスト従動ローラ18Bは、ローラ軸方向の両端部がユニット開閉部62に回転可能に支持されている。レジスト駆動ローラ18A及びレジスト従動ローラ18Bにそれぞれ取り付けられているギヤが互いに噛み合っており、回転駆動するレジスト駆動ローラ18Aの回転に伴ってレジスト従動ローラ18Bも回転駆動する構成となっている。レジスト従動ローラ18Bへの動力伝達は、本構成に限定されるものではなく、例えば、レジスト駆動ローラ18Aとのニップ部における摩擦抵抗によってレジスト従動ローラ18Bが連れ回る構成であってもよい。
【0024】
ユニット開閉部62は、当該ユニット開閉部62上に固定されたヒンジ62aを介してユニット側板61A,61B上のスタッド61aに回動可能に支持されている。これにより、ユニット開閉部62は、図4に示すようにユニット開閉部62が閉じて後述するロック機構によりロックされた状態(ロック状態)、図5に示すようにユニット開閉部62のロックが解除された状態(ロック解除状態)をとることができる。ユニット開閉部62が閉じられたロック状態では、ユニット開閉部62に支持されたレジスト従動ローラ18Bがユニット側板61A,61Bに支持されたレジスト駆動ローラ18Aに押圧された状態になり、レジストローラ対18は圧接状態となる。一方、ユニット開閉部62のロックが解除されたロック解除状態では、レジスト従動ローラ18Bによるレジスト駆動ローラ18Aへの押圧が解除されるため、レジストローラ対18は非圧接状態となる。
【0025】
ユニット開閉部62の上面(カバー部62cの上面)には、ローラ軸方向の互いに異なる位置に2つの被接触突起部63A,63Bが設けられており、これらの被接触突起部63A,63Bが下方へ押圧されることで、その押圧力がユニット開閉部62に伝わり、ユニット側板61A,61B上のスタッド61aを回動中心としてユニット開閉部62が回動し、ユニット開閉部62が閉じられたロック状態になる。もちろん、ユニット開閉部62の上面(カバー部62cの上面)を直接押し下げても、ユニット開閉部62を閉じてロック状態にすることができる。
【0026】
図6及び図7は、本実施形態におけるロック機構を、ロックレバー軸64の軸中心を通るように切断したときの断面図である。
図8(a)及び(b)は、本実施形態におけるレジストローラ対ユニット60を、プリンタ本体1側に設けられる接触部材としての接触凸部67A,67Bとともに示す上面図である。ただし、図8(b)では、ロック機構の説明のため、ユニット開閉部62のカバー部62cを取り外した状態のレジストローラ対ユニット60を示す。
本実施形態のロック機構は、ユニット開閉部62が閉じられた状態(レジストローラ対18を構成するレジスト駆動ローラ18A及びレジスト従動ローラ18B間が圧接状態)でロックするロック状態(図6図8参照)と、そのロックを解除して当該レジスト駆動ローラ18A及びレジスト従動ローラ18B間を非圧接状態にする非ロック状態(図7参照)とに切り替えるものである。
【0027】
本実施形態のロック機構において、ロックレバー軸64には、レジストローラ対ユニット60の外部に露出したロックレバー66が固定されている。詳しくは、ロックレバー66は、ロックレバー軸64のDカット部分64aに嵌め込まれており、ロックレバー軸64の軸回りで回転不能となっている。また、ロックレバー軸64上に形成された溝64bにEリング64cが嵌め込まれ、ロックレバー66の装置前面側端部がEリング64cに当接することで、ロックレバー軸64に対するロックレバー66の装置前面側(図6中符号Bで示す方向)への移動が規制されている。
【0028】
また、ロックレバー軸64には、2つのロック爪65A,65Bが、ローラ軸方向の互いに異なる位置に固定されている。装置前面側のロック爪65Aは、ロックレバー66と一体形成されており、ロックレバー軸64上に固定されている。装置後面側のロック爪65Bは、ロックレバー軸64のDカット部分64dに嵌め込まれており、ロックレバー軸64の軸回りで回転不能となっている。また、ロックレバー軸64上に形成された溝64eにEリング64fが嵌め込まれており、このEリング64cにロック爪65Bの溝が嵌合している。これにより、ロック爪65Bは、ロックレバー軸64に対してローラ軸方向への移動が規制されている。
【0029】
また、ロックレバー軸64は、ユニット側板61A,61Bに対してローラ軸方向へ移動可能に支持されている。ロックレバー軸64には、スプリング等の付勢手段により、図6中符号Bで示す方向への付勢力が付与されている。ロックレバー66を図7中符号Cで示す方向へ移動させる操作を行うことで、上述した付勢力に抗してロックレバー軸64を図7中符号Cで示す方向へ移動させることができ、これに伴い、2つのロック爪65A,65Bを図7中符号Cで示す方向へ移動させることができる。
【0030】
ユニット開閉部62が閉じた状態では、図6に示すように、ロック爪65A,65Bの先端部(爪形状部)がユニット開閉部62の内部に入り込んでいる。このとき、ロックレバー軸64が図6中符号Bで示す方向へ付勢されていることで、ロック爪65A,65Bは、ユニット開閉部62のフレーム部62bに当接する方向に付勢される。これにより、ロック爪65A,65Bの先端部(爪形状部)がフレーム部62bに引っ掛かり、ユニット開閉部62の開方向への回動が規制され、ロック状態になる。
【0031】
紙ジャム処理時などにユニット開閉部62を開く場合、ユーザは、ロックレバー66を図7中符号Cで示す方向へ移動させる操作を行うことで、ロック爪65A,65Bも同方向へ移動し、ユニット開閉部62のフレーム部62bに対するロック爪65A,65Bの先端部(爪形状部)の引っ掛かりが解除される。これにより、ユニット開閉部62の開方向への回動規制が解除され、非ロック状態になる。
【0032】
非ロック状態になると、圧接状態であったレジストローラ対18が非圧接状態になり、これにより、レジストローラ対18を構成するレジスト駆動ローラ18A及びレジスト従動ローラ18Bの軸間距離は、圧接状態時よりも広がる。その結果、レジスト従動ローラ18Bを支持するユニット開閉部62は、ユニット側板61A,61Bから押し上げられた状態になる。この状態では、ロック爪65A,65Bの先端部(爪形状部)よりもユニット開閉部62のフレーム部62bが上側に位置するため、先端部(爪形状部)がユニット開閉部62の外側に位置する。よって、ユーザがロックレバー66を図7中符号Cで示す方向へ移動させる操作を止めて、付勢力によりロックレバー軸64及びロック爪65A,65Bが図6中符号Bで示す方向へ移動しても、ロック爪65A,65Bの先端部(爪形状部)がフレーム部62bに引っ掛からず、非ロック状態が維持される。
【0033】
ユニット開閉部62を閉じる際、ユニット開閉部62の被接触突起部63A,63Bが下方へ押圧されたり、ユニット開閉部62の上面が直接押し下げられたりすると、ユニット開閉部62のフレーム部62bがロック爪65A,65Bの先端部(爪形状部)の上面に当接する。ロック爪65A,65Bの先端部(爪形状部)の上面は、図示のように傾斜面となっており、ユニット開閉部62の下方への移動に伴い、フレーム部62bがロック爪65A,65Bの傾斜面を摺動し、これにより、ロック爪65A,65Bが上述した付勢力に抗して図7中符号C’で示す方向へ移動する。その後、ロック爪65A,65Bの先端部(爪形状部)がユニット開閉部62の内部に入り込むまでユニット開閉部62が下方へ移動すると、ロックレバー軸64及びロック爪65A,65Bが付勢力により図6中符号Bで示す方向へ移動し、ロック爪65A,65Bの先端部(爪形状部)がフレーム部62bに引っ掛かって、ユニット開閉部62の開方向への回動が規制されたロック状態になる。
【0034】
図9は、引き出しユニット30が引き出し位置に位置するときの、レジストローラ対ユニット60のユニット開閉部62上に設けられる被接触突起部63A,63Bと、プリンタ本体1に設けられる接触部材としての接触凸部67A,67Bとの位置関係を示す斜視図であり、図10は、図9に対応する側面図である。
図11は、引き出しユニット30が収納位置に位置するときの、レジストローラ対ユニット60のユニット開閉部62上に設けられる被接触突起部63A,63Bと、プリンタ本体1に設けられる接触凸部67A,67Bとの位置関係を示す斜視図である。
図12は、図11に対応する側面図(拡大図)である。
図13(a)及び(b)は、本実施形態におけるレジストローラ対ユニット60の装置前面側部分を、プリンタ本体側に設けられる前面側接触凸部とともに示す斜視図である。
図14(a)及び(b)は、本実施形態におけるレジストローラ対ユニット60の装置後面側部分を、プリンタ本体側に設けられる後面側接触凸部とともに示す斜視図である。
ただし、図13(b)及び図14(b)では、ユニット開閉部62のカバー部62cを取り外した状態のレジストローラ対ユニット60をそれぞれ示す。
【0035】
本実施形態においては、引き出しユニット30を収納位置へ移動させる収納移動の途中又は当該収納移動の完了時にレジストローラ対ユニット60の被接触突起部63A,63Bに接触してユニット開閉部62を押し下げる(閉じる)ための接触部材として、ローラ軸方向の互いに異なる位置に2つの接触凸部67A,67Bが、プリンタ本体1に設けられている。具体的には、2つの接触凸部67A,67Bのうち、装置前面側に位置する第一接触部材としての前面側接触凸部67Aは、プリンタ本体1の面板1Aに固定されており、装置後面側に位置する第二接触部材としての後面側接触凸部67Bは、プリンタ本体1に配置された中間転写ユニットの側板1Bに固定されている。
【0036】
2つの接触凸部67A,67Bのうち、装置前面側に位置する第一接触部材としての前面側接触凸部67Aは、引き出しユニット30が引き出し位置に位置するときには、図9及び図10に示すように、レジストローラ対ユニット60の2つの被接触突起部63A,63Bよりも収納位置側(装置後面側)に位置する。また、前面側接触凸部67Aは、引き出しユニット30が収納位置に位置するときには、図11及び図12に示すように、レジストローラ対ユニット60の2つの被接触突起部63A,63Bよりも引き出し位置側(装置前面側)に位置する。
【0037】
このような構成により、仮に、レジストローラ対ユニット60のユニット開閉部62が非ロック状態のまま、引き出しユニット30が引き出し位置から収納位置まで押し込まれたとしても、引き出しユニット30の収納移動中又は収納移動完了時に、引き出しユニット30上におけるレジストローラ対ユニット60の2つの被接触突起部63A,63Bが、いずれも、プリンタ本体1の前面側接触凸部67Aに順次接触する。そして、その接触時に、前面側接触凸部67Aによって各被接触突起部63A,63Bが下方へ押し下げられることで、ユニット開閉部62が押し下げられて閉じられ、ロック状態になる。
【0038】
図15は、引き出しユニット30が、図2に示す収納位置と図3に示す引き出し位置との間の中間位置である引き出し途中位置まで引き出された状態を示す斜視図である。
図16は、引き出し途中位置まで引き出した引き出しユニット30上のレジストローラ対ユニット60のロックを解除した状態を、レジストローラ対18の軸方向に直交する断面で示した断面図である。
なお、図16は、図4及び図5と同じ断面のものである。
【0039】
本実施形態においては、引き出しユニット30を図3に示す引き出し位置まで引き出さなくとも、レジストローラ対ユニット60のユニット開閉部62のロックを解除できる位置(引き出し途中位置)まで引き出せば、図16に示すようにユニット開閉部62のロックを解除して非ロック状態にすることができる。本実施形態の場合、レジストローラ対ユニット60上のロックレバー66がユーザの操作可能な位置まで引き出されれば、そのロックレバー66を操作することで、ユニット開閉部62のロックを解除して非ロック状態にすることができる。
【0040】
ここで、引き出し途中位置では、ユニット開閉部62が非ロック状態になっても、ユニット開閉部62を開く途中で、ユニット開閉部62がプリンタ本体1の中間転写ユニットに接触して、それ以上は開くことができない。したがって、図15に示す引き出し途中位置で開くことのできるユニット開閉部62の開き角は、図3に示す引き出し位置で開くことのできるユニット開閉部62の開き角よりも小さいものとなる。
【0041】
ただし、引き出し途中位置であっても、ユニット開閉部62が非ロック状態となっており、レジスト従動ローラ18Bによるレジスト駆動ローラ18Aへの押圧が解除されていて、レジストローラ対18は非圧接状態となっている。したがって、レジストローラ対18に挟まれている用紙Pを容易に取り出すことができ、紙ジャム処理を実施することが可能である。そのため、ユーザの中には、引き出しユニット30を引き出し位置まで引き出さず、引き出し途中位置までしか引き出さない状態で、ロックレバー66を操作して非ロック状態にし、紙ジャム処理を実施する者もいる。
【0042】
図17は、引き出しユニット30が引き出し途中位置に位置するときの、レジストローラ対ユニット60のユニット開閉部62上に設けられる被接触突起部63A,63Bと、プリンタ本体1に設けられる接触部材としての接触凸部67A,67Bとの位置関係を示す斜視図であり、図18は、図17に対応する側面図である。
引き出し途中位置で紙ジャム処理が実施されると、その後、引き出しユニット30を収納位置まで押し込む際、引き出しユニット30は引き出し途中位置から収納位置まで移動することになる。このとき、引き出しユニット30上のレジストローラ対ユニット60のユニット開閉部62に設けられる2つの被接触突起部63A,63Bのうち、装置後面側に位置する後面側被接触突起部63Bは、図17及び図18に示すように、前面側接触凸部67Aよりも収納位置側(装置後面側)に位置している。そのため、仮に、レジストローラ対ユニット60のユニット開閉部62が非ロック状態のまま、引き出し途中位置から収納位置まで引き出しユニット30が押し込まれた場合、後面側被接触突起部63Bは、プリンタ本体1の前面側接触凸部67Aには接触せず、前面側接触凸部67Aによって下方へ押し下げられない。
【0043】
したがって、プリンタ本体1に設ける接触凸部が前面側接触凸部67Aの1つだけである場合には、後面側被接触突起部63Bは、前面側接触凸部67Aによって下方へ押し下げられないまま、引き出しユニット30が収納位置に達してしまう。この場合、図19に示すように、ロックレバー軸64上に設けられる2つのロック爪65A,65Bのうち、装置前面側に位置する前面側ロック爪65Aについては、前面側接触凸部67Aによって前面側被接触突起部63Aが押し下げられることで、ユニット開閉部62のフレーム部62bに引っ掛かるが、装置後面側に位置する後面側ロック爪65Bについては、前面側接触凸部67Aによって後面側被接触突起部63Bが押し下げられない結果、ユニット開閉部62のフレーム部62bに引っ掛からない。
【0044】
その結果、プリンタ本体1に設ける接触凸部が前面側接触凸部67Aの1つだけである場合、レジストローラ対ユニット60が非ロック状態のまま引き出しユニット30を引き出し途中位置から収納位置まで戻すと、レジストローラ対18の装置前面側は圧接されるが装置後面側は圧接されないという状態になる。そのため、レジストローラ対18は、レジスト駆動ローラ18Aとレジスト従動ローラ18Bとの当接圧がローラ軸方向において不均一となり、レジストローラ対18の本来の機能(斜行矯正機能、用紙搬送機能など)が適切に発揮されないという問題が生じる。
【0045】
そこで、本実施形態においては、レジストローラ対ユニット60の後面側被接触突起部63Bに接触してユニット開閉部62を押し下げる(閉じる)ための接触部材として、前面側接触凸部67Aのほかに、第二接触部材である後面側接触凸部67Bを追加で設けている。この後面側接触凸部67Bは、引き出しユニット30が引き出し途中位置(中間位置)に位置するときには、図17図19に示すように、後面側被接触突起部63B(前面側接触凸部67Aよりも収納位置側(装置後面側)に位置する一部の被接触部材)よりも収納位置側(装置後面側)に位置する。また、引き出しユニット30が収納位置に位置するときには、図11及び図12に示すように、後面側被接触突起部63Bよりも引き出し位置側(装置前面側)に位置する。
【0046】
このような構成により、レジストローラ対ユニット60が非ロック状態のまま引き出しユニット30が引き出し途中位置から収納位置まで戻されても、引き出しユニット30の収納移動中又は収納移動完了時に、後面側被接触突起部63Bは、プリンタ本体1の後面側接触凸部67Bに接触することができる。よって、その接触時には、図20及び図21に示すように、後面側接触凸部67Bによって後面側被接触突起部63Bが下方へ押し下げられる。その結果、引き出しユニット30が収納位置に戻るまでには、前面側接触凸部67Aと後面側接触凸部67Bの両方が下方へ押し下げられるため、前面側ロック爪65Aだけでなく、後面側ロック爪65Bも、ユニット開閉部62のフレーム部62bに引っ掛かって、適切にロック状態になることができる。
【0047】
本実施形態において、レジストローラ対ユニット60の被接触突起部63A,63Bは、図12に示すように、スプリング68A,68Bによって上方に向けて付勢されている。そのため、プリンタ本体1の接触凸部67Bが接触する際の衝撃は、スプリング68A,68Bによって吸収でき、被接触突起部63A,63Bや接触凸部67Bが当該衝撃によって破損することが抑制されている。
【0048】
なお、本実施形態のシート搬送装置は、少なくともレジストローラ対18を含むローラ対に用紙を挟持して搬送する構成を備えている引き出しユニット30と、この引き出しユニット30が着脱可能に装着される装置本体としてのプリンタ本体1とから構成される。ただし、ローラ対に用紙を挟持して搬送する構成を備えたものであればよく、レジストローラ対18以外のローラ対においても適用可能である。
【0049】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する
[第1態様]
第1態様は、搬送されるシート(例えば用紙P)を挟持するローラ対(例えばレジストローラ対18)が設けられる支持構造体(例えばレジストローラ対ユニット60)が、装置本体(例えばプリンタ本体1)への収納位置と最大引き出し位置(例えば引き出し位置)とに移動可能なシート搬送装置であって、前記支持構造体には、前記ローラ対を構成する2つのローラ(例えばレジスト駆動ローラ18A及びレジスト従動ローラ18B)間を圧接状態と非圧接状態とに切り替える切替機構(例えばユニット開閉部62)が設けられ、前記切替機構は、前記支持構造体が前記最大引き出し位置から前記収納位置へ移動する収納移動の途中又は該収納移動の完了時に装置本体の接触部材(例えば接触凸部67A,67B)と接触する複数の被接触部材(例えば被接触突起部63A,63B)を、該収納移動の方向(例えばローラ軸方向)の互いに異なる位置にそれぞれ備え、該複数の被接触部材が該接触部材に接触することで、前記非圧接状態から前記圧接状態へ切り替えるものであり、前記接触部材として、前記支持構造体が前記最大引き出し位置に位置するときに前記複数の被接触部材よりも前記収納位置側に位置し、かつ、前記支持構造体が前記収納位置に位置するときに前記複数の被接触部材よりも前記最大引き出し位置側に位置する第一接触部材(例えば前面側接触凸部67A)と、前記支持構造体が前記収納位置と前記最大引き出し位置との間の中間位置(例えば引き出し途中位置)に位置するときに前記第一接触部材よりも収納位置側に位置する一部の被接触部材(例えば後面側被接触突起部63B)よりも収納位置側に位置し、かつ、前記支持構造体が前記収納位置に位置するときに前記一部の被接触部材よりも前記最大引き出し位置側に位置する第二接触部材(例えば後面側接触凸部67B)とを有することを特徴とするものである。
本態様においては、ローラ対を構成する2つのローラ間を非圧接状態から圧接状態へ切り替える構成が、当該ローラ対の設けられる支持構造体を最大引き出し位置から装置本体の収納位置へ移動させる収納移動に連動して切り替えを行う構成となっている。詳しくは、支持構造体の収納移動の途中又は収納移動の完了時に、当該支持構造体における収納移動方向の互いに異なる位置にそれぞれ備わった複数の被接触部材が、装置本体の接触部材に接触することで、非圧接状態から圧接状態へと切り替える構成となっている。所定の駆動手段を作動して非圧接状態から圧接状態へと切り替える従来構成では、当該駆動手段が故障したり当該駆動手段の制御系が故障したりすることが原因で、支持構造体を収納位置に移動させても、ローラ対が圧接状態に切り替わらず、シート搬送不良を引き起こす。これに対し、本態様によれば、支持構造体の収納移動に連動して切り替えが行われるため、当該切り替えに駆動手段を必要としない。そのため、従来構成で生じていた原因によってローラ対が圧接状態に切り替わらないという事態が発生せず、シート搬送不良が引き起こされる可能性を減らすことができる。
また、支持構造体の収納移動に連動して切り替えが行われる構成であっても、収納位置の支持構造体を、収納位置と最大引き出し位置との間の中間位置までしか移動させずに、再び収納位置へ戻すような操作がなされると、非圧接状態のローラ対が圧接状態に切り替わらない事態が発生し得る。
詳しく説明すると、支持構造体上の切替機構に備わっている複数の被接触部材は、収納移動方向の互いに異なる位置に設けられているため、これら複数の被接触部材に接触する装置本体の接触部材を、支持構造体が最大引き出し位置に位置するときには当該複数の被接触部材よりも収納位置側に位置し、かつ、支持構造体が収納位置に位置するときには当該複数の被接触部材よりも最大引き出し位置側に位置するように配置すれば、単一の接触部材(第一接触部材だけ)であっても、最大引き出し位置の支持構造体を収納位置まで収納移動させる間に、当該複数の被当接部材のすべてが当該単一の接触部材に順次接触する結果、ローラ対は圧接状態に切り替わることができる。
しかしながら、このような単一の接触部材(第一接触部材)では、支持構造体が上述した中間位置までしか移動されなかった場合、当該複数の被接触部材のうちの一部の被接触部材が、当該単一の接触部材よりも収納位置側に位置する。この場合、中間位置から収納位置へと支持構造体を移動させたとき、他部の被接触部材は当該単一の接触部材に接触するが、当該一部の被接触部材は当該単一の接触部材(第一接触部材)に接触せず、ローラ対が圧接状態に切り替わることができない。
そこで、本態様においては、収納位置の支持構造体が中間位置までしか移動されないまま再び収納位置へ戻された場合であっても、ローラ対が圧接状態に切り替わるように、第一接触部材のほかに、第二接触部材を設けている。この第二接触部材を設けたことで、支持構造体が中間位置から収納位置へ移動する際、第一接触部材に接触できない当該一部の被接触部材は、第二接触部材に接触することができるようになる。その結果、支持構造体が中間位置から収納位置へ移動する際でも、複数の被接触部材のすべてが接触部材と接触でき、ローラ対が圧接状態に切り替わることができる。
よって、収納位置の支持構造体が最大引き出し位置まで移動された場合だけでなく、中間位置までしか移動されない場合であっても、支持構造体が収納位置へ戻されたときに、ローラ対が圧接状態に切り替わり、シート搬送不良が引き起こされる可能性を減らすことができる。
【0050】
[第2態様]
第2態様は、第1態様において、前記2つのローラ間を圧接状態でロックするロック状態と、該ロックを解除して前記2つのローラ間を非圧接状態にする非ロック状態とに切り替えるロック機構(例えばロックレバー軸64、ロック爪65A,65B、ロックレバー66)を有し、前記ロック機構は、前記支持構造体が前記最大引き出し位置に位置する場合だけでなく、前記中間位置に位置する場合でも、前記非ロック状態に切り替え可能であることを特徴とするものである。
本態様においては、支持構造体が前記収納位置と前記最大引き出し位置との間の位置(中間位置)までしか移動させていない状態でも、非ロック状態にして、ローラ対を非圧接状態にすることができる。この場合、支持構造体を中間位置から収納位置へ戻す操作がされやすく、非圧接状態のローラ対が圧接状態に切り替わらないという上述した事態が発生しやすい。本態様によれば、このような事態が発生しやすい場合でも、上述したように、支持構造体が中間位置から収納位置へ移動する際でも、複数の被接触部材のすべてが接触部材と接触でき、ローラ対が圧接状態に切り替わることができるので、当該事態の発生が抑制される。
【0051】
[第3態様]
第3態様は、第1又は第2態様において、前記ローラ対はレジストローラ対18であることを特徴とするものである。
これによれば、収納位置の支持構造体が最大引き出し位置まで移動された場合だけでなく、中間位置までしか移動されない場合であっても、支持構造体が収納位置へ戻されたときに、レジストローラ対が圧接状態に切り替わり、レジストローラ対の機能が損なわれる可能性を減らすことができる。
【0052】
[第4態様]
第4態様は、シート搬送手段によって搬送されるシートに画像を形成する画像形成装置(例えばプリンタ100)であって、前記シート搬送手段として、第1乃至第3態様のいずれかのシート搬送装置を用いたことを特徴とするものである。
これによれば、収納位置の支持構造体が最大引き出し位置まで移動された場合だけでなく、中間位置までしか移動されない場合であっても、シート搬送不良が引き起こされずに、適切な画像形成が可能な画像形成装置を提供できる。
【符号の説明】
【0053】
1 :プリンタ本体
1A :面板
1B :中間転写ユニットの側板
2 :作像ユニット
3 :操作パネル
4 :排紙トレイ
5 :給紙トレイ
6 :スライドレール
10 :レーザ走査ユニット
11 :帯電装置
12 :感光体
13 :現像装置
14 :一次転写ローラ
15 :二次転写ローラ
16 :中間転写ベルト
16a :二次転写対向ローラ
17 :定着装置
18 :レジストローラ対
18A :レジスト駆動ローラ
18B :レジスト従動ローラ
30 :引き出しユニット
60 :レジストローラ対ユニット
61A,61B:ユニット側板
62 :ユニット開閉部
62b :フレーム部
63A,63B:被接触突起部
64 :ロックレバー軸
65A,65B:ロック爪
66 :ロックレバー
67A,67B:接触凸部
100 :プリンタ
200 :給紙装置
P :用紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0054】
【文献】特開平6-1471号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
図16
図17
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図20
図21