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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】陳列用部材及び物品陳列方法
(51)【国際特許分類】
   A47F 5/00 20060101AFI20240418BHJP
【FI】
A47F5/00 D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018104183
(22)【出願日】2018-05-31
(65)【公開番号】P2019208539
(43)【公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-04-22
【審判番号】
【審判請求日】2022-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(72)【発明者】
【氏名】増田 賢二
(72)【発明者】
【氏名】増田 梢
(72)【発明者】
【氏名】泉 直史
【合議体】
【審判長】村上 聡
【審判官】柿崎 拓
【審判官】関口 哲生
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-116074(JP,A)
【文献】実開昭60-31869(JP,U)
【文献】登録実用新案第3184443(JP,U)
【文献】特開平11-196985(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
什器本体と交差する第1方向に延びるとともに、物品を陳列するように構成された陳列用部材であって、
前記物品を保持するように構成された保持部材を備え、
前記保持部材は、第1の位置と、前記第1の位置よりも前記第1方向に進んだ第2の位置との間で移動するように構成されており、
前記第1方向において前記物品よりも前記1の位置に近い位置に配置され、前記第1方向の移動に伴う前記物品の揺れを抑制する後板部を有し、
前記保持部材は、前記物品を掛けるように構成されている複数のフックを含み、
前記複数のフックの全ては、同じ方向である第2方向に延び、
前記第2方向は、前記第1方向と交差する方向である、陳列用部材。
【請求項2】
前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記保持部材を移動させるように構成された移動部材をさらに備える、請求項1に記載の陳列用部材。
【請求項3】
前記移動部材は、
前記什器本体から前記第1方向に延びるように構成された第1部材と、
前記第1部材に対して前記第1方向に移動するように構成された第2部材とを含み、
前記保持部材は、前記第2部材に取り付けられている、請求項2に記載の陳列用部材。
【請求項4】
前記保持部材における前記第1方向の端部に設けられたプレートをさらに備える、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の陳列用部材。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の陳列用部材を準備するステップと、
前記陳列用部材を用いることによって物品を陳列するステップとを含む、物品陳列方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陳列用部材及び物品陳列方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2011-136084号公報(特許文献1)は、商品を吊支するように構成された支杆を備える商品陳列用吊支装置を開示する。この商品陳列用吊支装置において、支杆は、店内の壁面等に配設された横桟部材に取り付けられている。支杆は、たとえば店内の壁面から前方に突出している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-136084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されている商品陳列用吊支装置において、吊支されている物品(在庫)の数が減少すると、支杆の奥まった場所にだけ物品が残っているという状態が生じる。この状態において、たとえば、両隣の物品の在庫が多いと、物品が両隣の物品に埋もれて目立たない。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、その目的は、在庫の数が減少しても物品を目立たせることが可能な陳列用部材、及び、物品陳列方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある局面に従う陳列用部材は、什器本体と交差する交差方向に延びるとともに、物品を陳列するように構成されている。陳列用部材は、保持部材を備えている。保持部材は、物品を保持するように構成されている。保持部材は、第1の位置と、第1の位置よりも上記交差方向に進んだ第2の位置との間で移動するように構成されている。
【0007】
この陳列用部材においては、保持部材が第1の位置と第2の位置との間で移動することができる。第2の位置は、第1の位置よりも前方に突出した位置である。したがって、この陳列用部材によれば、保持部材を第2の位置に配置することによって物品を前方に配置することができるため、在庫の数が少なくても物品を目立たせることができる。
【0008】
上記陳列用部材は、第1の位置と第2の位置との間で保持部材を移動させるように構成された移動部材をさらに備えてもよい。
【0009】
上記陳列用部材において、移動部材は、什器本体から上記交差方向に延びるように構成された第1部材と、第1部材に対して上記交差方向に移動するように構成された第2部材とを含み、保持部材は、第2部材に取り付けられていてもよい。
【0010】
また、上記陳列用部材において、保持部材は、少なくとも1つのフックを含み、フックは、物品を掛けるように構成されていてもよい。
【0011】
また、上記陳列用部材において、保持部材は、複数のフックを含んでいてもよい。
【0012】
この陳列用部材によれば、複数のフックの各々に異なる種類の物品を掛けることによって、一つの陳列用部材で複数種類の物品を陳列することができる。
【0013】
また、上記陳列用部材は、保持部材における上記交差方向の端部に設けられたプレートをさらに備えていてもよい。
【0014】
この陳列用部材によれば、たとえば、物品のパッケージに示されている訴求ポイントとは異なる訴求ポイントをプレートに示させることができる。
【0015】
本発明の他の局面に従う物品陳列方法は、上記陳列用部材を準備するステップと、上記陳列用部材を用いることによって物品を陳列するステップとを含む。
【0016】
この物品陳列方法に用いられる陳列用部材においては、保持部材が第1の位置と第2の位置との間で移動することができる。第2の位置は、第1の位置よりも前方に突出した位置である。したがって、この物品陳列方法によれば、保持部材を第2の位置に配置することによって物品を前方に配置することができるため、在庫の数が少なくても物品を目立たせることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、在庫の数が減少しても物品を目立たせることが可能な陳列用部材、及び、物品陳列方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】陳列用部材の斜視図である。
図2】陳列用部材を側方(左方)から見た図である。
図3】陳列用部材を下方から見た図である。
図4】陳列用部材を後方から見た図である。
図5】スライドレールが最も短くなった状態の陳列用部材を側方(左方)から見た図である。
図6】スライドレールが最も長くなった状態の陳列用部材を側方(左方)から見た図である。
図7】変形例1に従う陳列用部材を下方から見た図である。
図8】変形例2に従う陳列用部材を左方から見た図である。
図9】変形例3に従う陳列用部材を下方から見た図である。
図10】変形例4に従う陳列用部材を下方から見た図である。
図11】変形例5に従う陳列用部材を左方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0020】
[1.概要]
図1は、本実施の形態に従う陳列用部材10の斜視図である。陳列用部材10は、たとえば、薬局やコンビニ等の店舗において、商品(物品)を陳列するために用いられる。
【0021】
図1に示されるように、陳列用部材10は、たとえば、店舗の什器本体100に取り付けられるように構成されている。陳列用部材10は、什器本体100が延びる方向と略直交(交差)する方向(前方)に延びるとともに、物品50を陳列するように構成されている。
【0022】
具体的には、陳列用部材10において、各物品50は、フック22に掛けられている。陳列用部材10において、前方にはポップホルダ23(プレート)が設けられている。ポップホルダ23には、複数(2つ)のポップ60が挟まれている。複数のポップ60の各々には、たとえば、物品50の「商品名」、「価格」、「宣伝文句」等を示す情報が含まれている。
【0023】
陳列用部材10においては、店舗内で、陳列された物品50の存在をユーザ(お客様)に気付かせるための種々の工夫が取り入れられている。以下、陳列用部材10の構成及び動作について順に説明する。
【0024】
[2.陳列用部材の構成]
図2は、陳列用部材10を側方(左方)から見た図である。図2を参照して、矢印L方向は陳列用部材10の左方を示し、矢印R方向は陳列用部材10の右方を示す。矢印F方向は陳列用部材10の前方を示し、矢印B方向は陳列用部材10の後方を示す。矢印U方向は陳列用部材10の上方を示し、矢印D方向は陳列用部材10の下方を示す。矢印LRFBUD方向の各々は、各図面において共通である。
【0025】
図2に示されるように、陳列用部材10は、角バー固定部40と、スライドレール30と、保持部材20とを含んでいる。
【0026】
角バー固定部40が什器本体100(図1)の角バーに固定されることによって、陳列用部材10が什器本体100に固定される。角バー固定部40は、たとえば、金属で構成されており、固定部本体41と、固定用ネジ42,43とを含んでいる。固定部本体41は、什器本体100の角バーに掛かるように構成されている。固定部本体41において、矢印F方向及び矢印D方向の各々の面にはネジ穴が設けられている。矢印F方向の面に設けられたネジ穴に固定用ネジ42が係合し、矢印D方向の面に設けられたネジ穴に固定用ネジ43が係合する。固定部本体41が什器本体100の角バーに掛けられた状態で、固定用ネジ42,43の各々を締めることによって、角バー固定部40が角バーに固定される。
【0027】
スライドレール30は、矢印FB方向(前後方向)に伸縮するように構成されている。スライドレール30は、たとえば、金属で構成されており、アウターレール31と、インナーレール32とを含んでいる。アウターレール31は矢印FB方向に延びており、矢印B方向の端部が角バー固定部40に固定されている。たとえば、アウターレール31における矢印B方向の端部は、ネジによって角バー固定部40に固定されている。アウターレール31の上面には、矢印FB方向に延びる溝が形成されている。
【0028】
インナーレール32は、矢印FB方向に延びており、アウターレール31の上面に形成された溝内を矢印FB方向にスライド可能に構成されている。アウターレール31上におけるインナーレール32の可動範囲は予め決まっており、インナーレール32がアウターレール31から外れることはない。スライドレール30において、インナーレール32の上面は、アウターレール31の上端よりも上方に位置している。スライドレール30としては、公知の種々のスライドレールを用いることができる。
【0029】
保持部材20は、物品50(図1)を保持するように構成されている。保持部材20は、保持部材本体21と、複数(2つ)のフック22と、ポップホルダ23とを含んでいる。
【0030】
図3は、陳列用部材10を下方から見た図である。図4は、陳列用部材10を後方から見た図である。図3及び図4に示されるように、保持部材本体21は、たとえば、厚紙で形成されており、上板部210と、右板部211と、左板部212と、後板部213と、前板部214とを有している。
【0031】
上板部210は、たとえばネジによって、インナーレール32に固定されている。上板部210がインナーレール32に固定されているため、保持部材20は、インナーレール32とともに、アウターレール31上を矢印FB方向に移動可能である。右板部211は上板部210の右端から下方に延びており、左板部212は上板部210の左端から下方に延びている。左板部212の矢印UD方向(上下方向)の長さは、右板部211の矢印UD方向の長さよりも短い(図2)。後板部213は、右板部211の矢印B方向の端部から矢印L方向に延びている。前板部214は、上板部210の前端から下方に延びている。前板部214の矢印LR方向の長さは、たとえば、物品50(図1)の幅方向(矢印FB方向)の長さと略同一である。
【0032】
複数のフック22の各々は、右板部211に固定されている。たとえば、フック22の矢印R方向の端部に形成されたツメが右板部211に形成された孔に係合することによって、各フック22は右板部211に固定されている。各フック22の矢印UD方向における固定位置は、左板部212の下端よりも下方、かつ、右板部211の下端よりも上方である(図2)。各フック22は、矢印LR方向に延びている。すなわち、各フック22は、スライドレール30(陳列用部材10)が延びる方向と略直交(交差)する方向に延びている。各フック22に掛けられた物品は、矢印L方向を向く。したがって、ユーザは、矢印L方向からフック22に掛けられた物品50の前面を視認することができる。
【0033】
ポップホルダ23は、ポップ60(図1)を挟むように構成されている。ポップホルダ23は、前板部214に貼り付けられている。ポップホルダ23における矢印UD方向の長さは、保持部材本体21の各板部(右板部211,左板部212,後板部213,前板部214)の矢印UD方向の長さよりも長い。陳列用部材10の正面(矢印F方向の場所)に位置するユーザは、陳列された物品50ではなく、ポップホルダ23に挟まれたポップ60を視認可能である。
【0034】
[3.動作]
図5は、スライドレール30が最も短くなった状態の陳列用部材10を側方(左方)から見た図である。図6は、スライドレール30が最も長くなった状態の陳列用部材10を側方(左方)から見た図である。
【0035】
図5及び図6に示されるように、アウターレール31上においてインナーレール32が矢印B方向(後方向)に移動すると、保持部材20が什器本体100側(角バー固定部40側)に移動する。保持部材20の可動範囲における保持部材20の最も後方(矢印B方向)の位置を「第1の位置」とも称する。
【0036】
一方、アウターレール31上においてインナーレール32が矢印F方向(前方向)に移動すると、保持部材20が什器本体100とは反対側に移動する。保持部材20の可動範囲における保持部材20の最も前方(矢印F方向)の位置を「第2の位置」とも称する。すなわち、陳列用部材10においては、保持部材20が第1の位置と第2の位置との間で移動するように構成されている。
【0037】
[4.陳列方法]
陳列用部材10を用いた物品50の陳列方法について次に説明する。まず、作業者は、陳列用部材10と什器本体100とを用意する。作業者は、什器本体100を所望の場所に配置し、什器本体100の角バーの所望の位置に陳列用部材10を取り付ける。この状態で、陳列用部材10が角バーと略直交する方向(矢印FB方向)に延びている。作業者は、陳列用部材10の左方からフック22に物品50を掛ける。所望の数の物品50が掛けられると、陳列作業は完了する。
【0038】
[5.特徴]
<5-1>
以上のように、本実施の形態に従う陳列用部材10においては、保持部材20が第1の位置と第2の位置との間で移動可能である。第2の位置は、第1の位置よりも前方に突出した位置である。通常、店舗において商品(物品)の在庫の数が減少すると、たとえば、什器から前方に延びるフックにおいては、商品が奥まった位置にのみ配置されることとなる。この場合には、奥まった位置に配置された商品が目立たないという事態が生じ得る。また、奥まった位置に配置された商品は、フックから取り外しにくい。陳列用部材10においては、保持部材20が前後方向に可動であり、保持部材20を第2の位置に配置することによって物品50を前方に配置することができる。したがって、陳列用部材10によれば、物品50の在庫が少なくなったとしても、保持部材20を第2の位置に配置することによって、物品50を目立たせることができる。また、陳列用部材10によれば、保持部材20を第2の位置に配置することによって、物品50のフック22からの取外し易さを向上することができる。
【0039】
<5-2>
また、陳列用部材10においては、保持部材20が複数のフック22を含んでいる。保持部材20が複数のフック22を含む理由について次に説明する。近年、都市部の薬局等においては、店舗面積の狭小化が進んでいる。従来であれば、什器から前方に延びるフックには1種類の商品(物品)しか配置できなかった。この場合には、店舗面積が狭くなる程、店舗内に配置可能な商品の種類が減少する。そこで、陳列用部材10においては、保持部材20に複数のフック22を設けることによって、1つの陳列用部材10で陳列可能な物品50の種類を増やしている。これにより、狭い店舗であっても、多種の商品を陳列することができる。なお、陳列用部材10の矢印LR方向の長さは、物品50の幅方向の長さと略同一であるため、什器から前方に延びる1本のフックに商品を陳列する場合と比較して、単位面積当たりで陳列可能な商品の種類は増加しているといえる。
【0040】
<5-3>
また、陳列用部材10においては、複数のフック22の各々が、陳列用部材10が延びる方向と交差する方向(略矢印LR方向)に延びている。すなわち、陳列用部材10においては、各物品50が陳列用部材10の正面(矢印F方向)ではなく、矢印L方向を向く。したがって、この陳列用部材10によれば、陳列用部材10の正面にいないユーザ(たとえば、陳列用部材10の左方に位置するユーザ)に物品50を認識させることができる。また、インナーレール32の矢印FB方向への移動が勢いよく行なわれると、矢印FB方向の力が物品50に加わる。しかしながら、各フック22が矢印LR方向に延びているため、矢印FB方向に力が加わったとしても、物品50がフック22から落下する可能性は低い。
【0041】
<5-4>
また、陳列用部材10においては、前端(矢印F方向の端部)にポップホルダ23が設けられている。ポップホルダ23は、陳列用部材10に陳列される物品50の種類に応じた数のポップ60(図1)を挟むことができる。たとえば、陳列用部材10において、各物品50が側方(矢印L方向)を向いていたとしても、陳列されている各物品50のポップをポップホルダ23に挟んでおくことで、陳列用部材10の正面に位置しているユーザに各物品50の存在をアピールすることができる。また、ポップホルダ23は、面積が比較的広いため、物品50のパッケージには表示しきれない物品50の訴求ポイント等を記載したポップ60を挟むことができる。これにより、物品50の訴求ポイントを十分にユーザに認識させることができる。
【0042】
<5-5>
また、陳列用部材10においては、保持部材本体21が矢印LR方向に延びる後板部213を有する。保持部材本体21が後板部213を有する理由について次に説明する。インナーレール32の矢印FB方向への移動が勢いよく行なわれると、上述のように、物品50に矢印FB方向の力が加わる。この場合に、物品50は、フック22を軸にして矢印FB方向に揺れようとする(回動しようとする)。しかしながら、陳列用部材10においては、保持部材本体21がポップホルダ23(前板部214)及び後板部213を有し、揺れようとする物品50がポップホルダ23(前板部214)及び後板部213に接触する。これにより、物品50の揺れが抑制される。すなわち、後板部213は、たとえば、インナーレール32の移動に伴う物品50の揺れを抑制するために設けられている。
【0043】
[6.変形例]
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。以下、変形例について説明する。但し、以下の変形例は適宜組合せ可能である。
【0044】
<6-1>
上記実施の形態においては、保持部材20において、フック22が左方にのみ延びていた。しかしながら、保持部材においてフックが延びる方向は左方に限定されない。たとえば、保持部材は、左方に延びるフックと、右方に延びるフックとの両方を有していてもよい。また、保持部材は、前方に延びるフックを有していてもよい。また、保持部材は、斜め前方に延びるフックを有していてもよいし、斜め後方に延びるフックを有していてもよい。
【0045】
図7は、変形例1(フックが左右に延びている例)に従う陳列用部材10Aを下方から見た図である。図7に示されるように、陳列用部材10Aは、角バー固定部40Aを介して什器本体100に取り付けられている。陳列用部材10Aに含まれている保持部材20Aおいては、フック22Aが左右方向に延びている。保持部材20Aにおいては4本のフック22Aが設けられているため、陳列用部材10Aによれば、より多くの種類の物品50Aを陳列することができる。
【0046】
図8は、変形例2(フックが前方に延びている例)に従う陳列用部材10Bを左方から見た図である。図8に示されるように、陳列用部材10Bに含まれている保持部材20Bにおいては、フック22Bが前方に延びている。
【0047】
図9は、変形例3(フックが斜め前方に延びている例)に従う陳列用部材10Cを下方から見た図である。図9に示されるように、陳列用部材10Cに含まれている保持部材20Cにおいては、フック22Cが斜め前方に延びている。言い換えると、フック22Cの先端がフック22Cの根元よりも什器本体100から遠い。陳列用部材10Cによれば、陳列用部材10Cの斜め前方に位置するユーザに物品50Cの存在を気付かせることができる。また、陳列用部材10Cにおいては、フックが左右方向を向いている場合と比較して、フック22Cがより前方寄りの方向を向いている。したがって、陳列用部材10Cの正面に立っているユーザは、陳列用部材10Cから物品50Cを容易に取り外すことができる。
【0048】
図10は、変形例4(フックが斜め後方に延びている例)に従う陳列用部材10Dを下方から見た図である。図10に示されるように、陳列用部材10Dに含まれている保持部材20Dにおいては、フック22Dが斜め後方に延びている。言い換えると、フック22Dの先端がフック22Dの根元よりも什器本体100に近い。すなわち、フック22Dの先端は、什器本体100寄りの方向を向いている。陳列用部材10Dによれば、物品50Dの取外しが容易ではないため、万引き等の被害を抑制することができる。
【0049】
<6-2>
また、上記実施の形態においては、保持部材20において、フック22に物品50が陳列された。しかしながら、物品50の陳列は必ずしもフック22によって行なわれる必要はない。たとえば、スライドレールに引出し付きの箱が取り付けられ、箱に設けられた引出し内に物品が陳列されてもよい。
【0050】
図11は、変形例5に従う陳列用部材10Eを左方から見た図である。図11に示されるように、陳列用部材10Eにおいて、スライドレール30Eには保持部材20Eが取り付けられている。スライドレール30Eが矢印FB方向に伸縮するため、保持部材20Eは、矢印FB方向に移動可能である。保持部材20Eにおいては、複数の引出し25が設けられている。各引出し25には、物品50Eが陳列されている。引出し25の数を複数設けることによって、複数種類の物品を陳列することができる。また、保持部材20Eには、ポップホルダ27が設けられている。ポップホルダ27には、各引出し25に陳列される各物品50Eの情報を示すポップを挟むことができる。
【0051】
<6-3>
また、上記実施の形態においては、保持部材20を矢印FB方向に移動させる「移動部材」としてスライドレール30が採用された。しかしながら、保持部材20を矢印FB方向に移動させる部材は、必ずしもスライドレール30である必要はない。移動部材は、たとえば、伸縮可能な棒状部材等であってもよい。
【0052】
<6-4>
また、上記実施の形態において、陳列用部材10は、什器本体100と略直交する方向に延びていた。しかしながら、陳列用部材10が延びている方向は、什器本体100と略直交する方向に限られない。陳列用部材10が延びる方向は、什器本体100が延びる方向と交差していればよい。
【0053】
<6-5>
上記実施の形態においては、保持部材20に2つのフック22が設けられた。しかしながら、保持部材20に設けられるフック22の数は2つに限定されない。たとえば、保持部材20に設けられるフック22の数は1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0054】
<6-6>
上記実施の形態においては、保持部材20の前面にポップホルダ23が設けられた。しかしながら、保持部材20の前面に設けられるプレートは、必ずしもポップホルダ23である必要はない。たとえば、保持部材20の前面に、板状のポップが直接貼り付けられてもよい。
【符号の説明】
【0055】
10,10A,10B,10C,10D,10E 陳列用部材、20,20A,20B,20C,20D,20E 保持部材、21 保持部材本体、22,22A,22B,22C,22D フック、23,27 ポップホルダ、25 引出し、30,30A,30B,30C,30D,30E スライドレール、31 アウターレール、32 インナーレール、40,40A,40B,40C,40D,40E 角バー固定部、41 固定部本体、42,43 固定用ネジ、50,50A,50B,50C,50D,50E 物品、60 ポップ、100 什器本体、210 上板部、211 右板部、212 左板部、213 後板部、214 前板部。
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