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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】薄膜製造方法及び薄膜製造装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/455 20060101AFI20240418BHJP
   H01L 21/318 20060101ALI20240418BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20240418BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20240418BHJP
   H01L 21/285 20060101ALI20240418BHJP
   C23C 16/40 20060101ALI20240418BHJP
   C23C 16/34 20060101ALI20240418BHJP
   C23C 16/14 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
C23C16/455
H01L21/318 B
H01L21/316 X
H01L21/28 301R
H01L21/285 C
C23C16/40
C23C16/34
C23C16/14
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020001132
(22)【出願日】2020-01-08
(65)【公開番号】P2021050410
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-09-06
(31)【優先権主張番号】10-2019-0118417
(32)【優先日】2019-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0137838
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】321001986
【氏名又は名称】ソウルブレイン シーオー., エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】ソン,テホ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソジョン
(72)【発明者】
【氏名】ビョン,ヘラン
(72)【発明者】
【氏名】ヨン,チャンボン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ジェソン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ソクジョン
【審査官】吉森 晃
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-006753(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0315840(US,A1)
【文献】特開2018-164079(JP,A)
【文献】特開2017-112258(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0342391(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/455
H01L 21/318
H01L 21/316
H01L 21/28
H01L 21/285
C23C 16/40
C23C 16/34
C23C 16/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)薄膜形成用成長抑制剤を基板表面に吸着させる工程及びii)成長抑制剤が吸着された基板表面に金属膜前駆体、金属酸化膜前駆体、金属窒化膜前駆体またはシリコン窒化膜前駆体を吸着させる工程を含み、
前記薄膜形成用成長抑制剤は、1,1-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエタン、ジクロロメタン、2-クロロプロパン、1-クロロプロパン、1,2-ジクロロプロパン、1,3-ジクロロプロパン、2,2-ジクロロプロパン、1-クロロペンタン、2-クロロペンタン、3-クロロペンタン、クロロシクロペタン、n-ブチルクロリド、tert-ブチルクロリド、sec-ブチルクロリド、イソブチルクロリド、1,2-ジクロロベンゼン、1,4-ジクロロベンゼン、トリメチルクロロシラン、卜リクロロプロパン、2-クロロ-2-メチルブタン及び2-メチル-1-ペンタンからなる群から選択された1種以上であり、
前記金属はタングステン、コバルト、クロム、アルミニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオビオム、ゲルマニウム、ランタン族元素、アクチニウム族元素、ガリウム、タンタル、ジルコニウム、ルテニウム、銅、チタン、ニッケル、イリジウム及びモリブデンからなる群から選択された1種以上であり、
前記i)薄膜形成用成長抑制剤を基板表面に吸着させる工程は、前記薄膜形成用成長抑制剤をALDチャンバ内に注入してローディングされた基板表面に吸着させる、
膜製造方法
【請求項2】
前記i)薄膜形成用成長抑制剤を基板表面に吸着させる工程は、基板表面に薄膜形成用成長抑制剤の供給時間が1ないし10秒である請求項1に記載の薄膜製造方法。
【請求項3】
前記i)薄膜形成用成長抑制剤を基板表面に吸着させる工程は、基板表面に吸着されていない残留薄膜形成用成長抑制剤をパージガスでパージする請求項1又は2のいずれか1つに記載の薄膜製造方法。
【請求項4】
前記ii)膜前駆体を吸着させる工程は、吸着されていない残留膜前駆体をパージガスでパージする請求項1からのいずれか1つに記載の薄膜製造方法。
【請求項5】
前記薄膜製造方法は、基板表面に前記膜前駆体を吸着させた後、反応ガスを供給する工程、及び前記膜前駆体と反応ガスの反応副生成物をパージガスでパージングする工程を含む請求項1からのいずれか1つに記載の薄膜製造方法。
【請求項6】
前記反応ガスは還元剤、窒化剤または酸化剤である請求項に記載の薄膜製造方法。
【請求項7】
前記薄膜形成用成長抑制剤及び前記膜前駆体は、VFC方式、DLI方式またはLDS方式によって基板表面に移送する請求項1からのいずれか1つに記載の薄膜製造方法。
【請求項8】
前記薄膜形成用成長抑制剤は、2-クロロ-2-メチルブタン、n-ブチルクロリド、トリメチルクロロシラン、2-クロロプロパン、1,2,3-卜リクロロプロパン、2-メチル-1-ペンタン、及び、1,2-ジクロロベンゼンからなる群から選択された1種以上である、請求項1から7のいずれか1つに記載の薄膜製造方法。
【請求項9】
前記薄膜製造方法は、下記数式1で計算されるサイクルあたりの薄膜成長率(オングストローム/Cycle)の減少率が-5%以下である請求項1からのいずれか1つに記載の薄膜製造方法。
[数1]
サイクルあたりの薄膜成長率の減少率(%)=[(薄膜形成用成長抑制剤を使用した時のサイクルあたりの薄膜成長率-薄膜形成用成長抑制剤を使用しなかった時のサイクルあたりの薄膜成長率)/薄膜形成用成長抑制剤を使用しなかった時のサイクルあたりの薄膜成長率]×100
【請求項10】
前記薄膜製造方法によって形成された薄膜は、SIMSによって測定された、200サイクル後に形成された薄膜内残留ハロゲンの強さ(c/s)が10,000以下である請求項1からのいずれか1つに記載の薄膜製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜製造方法及び薄膜製造装置に関し、より詳細には、副反応を抑制して薄膜成長率を適切に下げ、薄膜内工程副生成物を除去することで腐食や劣化を防ぎ、複雑な構造を持つ基板上に薄膜を形成する場合でも段差被覆性(step coverage)及び薄膜の厚さ均一性を大きく向上させる薄膜製造方法及び薄膜製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
メモリ及び非メモリ半導体素子の集積度は日々増加しており、その構造がますます複雑になることに伴い、多様な薄膜を基板に蒸着させるにあたり段差被覆性の重要性がますます増大している。
前記半導体用薄膜は窒化金属、酸化金属、ケイ化金属などからなる。前記窒化金属薄膜としては窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)、窒化ジルコニウム(ZrN)などがあり、前記薄膜は一般的にドーピングされた半導体のシリコン層と層間配線材料として使用されるアルミニウム(Al)、銅(Cu)などとの拡散防止膜(diffusion barrier)として使用される。但し、タングステン(W)薄膜を基板に蒸着する時には接着層として使用される。
基板に蒸着された薄膜が好適で均一な物性を得るためには、形成された薄膜の高い段差被覆性が必須である。したがって、気相反応を主に活用するCVD(chemical vapor deposition)工程よりも表面反応を活用するALD(atomic layer deposition、原子層堆積方法)工程が活用されているが、100%の段差被覆性を具現するためには依然として問題が存在する。
また、前記窒化金属のうち代表的な窒化チタン(TiN)を蒸着させるために使用される四塩化チタン(TiCl4)の場合、製造された薄膜内塩化物のような工程副生成物が残留するようになりアルミニウムなどのような金属の腐食を誘発し、不揮発性副生成物が生成される問題によって膜質の劣化を招く。
したがって、複雑な構造の薄膜形成が可能で、層間配線材料を腐食させない薄膜の製造方法の開発が必要な実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】韓国公開特許第2006-0037241号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来技術の問題点を解決するため、本発明は、副反応を抑制して薄膜成長率を適切に下げ、薄膜内工程副生成物を除去することで腐食や劣化を防止し、複雑な構造を持つ基板上に薄膜を形成する場合でも段差被覆性及び薄膜の厚さ均一性を大きく向上させる薄膜製造方法及び薄膜製造装置を提供することを目的とする。
本発明の上記目的及びその他の目的は、下記で説明された本発明によってすべて達成することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明は、i)薄膜形成用成長抑制剤を基板表面に吸着させる工程、及びii)成長抑制剤が吸着された基板表面に金属膜前駆体、金属酸化膜前駆体、金属窒化膜前駆体またはシリコン窒化膜前駆体を吸着させる工程を含み、前記薄膜形成用成長抑制剤は、化学式(1)で表され、前記金属はタングステン、コバルト、クロム、アルミニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオビオム、ゲルマニウム、ランタン族元素、アクチニウム族元素、ガリウム、タンタル、ジルコニウム、ルテニウム、銅、チタン、ニッケル、イリジウム及びモリブデンからなる群から選択された1種以上であることを特徴とする薄膜製造方法を提供する。
AnBmXo (1)
(式中、Aは炭素またはケイ素であり、Bは水素または炭素数1ないし3のアルキルであり、Xはハロゲンであり、nは1ないし15のいずれかの整数であり、oは1以上の整数であり、mは0ないし2n+1である。)
また、本発明は、ALDチャンバ、薄膜形成用成長抑制剤を気化する第1気化器、気化された薄膜形成用成長抑制剤をALDチャンバ内に移送する第1移送手段、金属膜前駆体、金属酸化膜前駆体、金属窒化膜前駆体またはシリコン窒化膜前駆体を気化する第2気化器及び気化された前記前駆体をALDチャンバ内に移送する第2移送手段を含む薄膜製造装置を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、副反応を抑制し、蒸着速度を低減させて薄膜成長率を適切に下げ、また薄膜内工程副生成物を除去することで腐食や劣化を防ぎ、複雑な構造を持つ基板上に薄膜を形成する場合でも段差被覆性及び薄膜の厚さ均一性を大きく向上させる薄膜製造方法を提供する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】従来のALD工程を説明するための工程図である。
図2】本発明の一実施例に係るALD工程を説明するための工程図である。
図3】本発明の実施例7(SP-TiCl4)及び比較例1(TiCl4)のALDサイクル増加に伴う薄膜厚さの変化を示すグラフである。
図4】本発明の実施例7-1ないし7-3及び比較例1のALDサイクルあたりの薄膜形成用成長抑制剤(SP)のフィーディング時間に伴う蒸着速度の変化を示すグラフである。
図5】本発明の実施例1(SP-TiCl4)及び比較例1(TiCl4)で蒸着されたTIN薄膜に対するTEM写真である。
図6】本発明の追加実施例2及び追加比較例1のALDサイクルあたりの薄膜形成用成長抑制剤(SP)のフィーディング時間(s)に伴う蒸着速度(オングストローム/cycle)変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明者らは、ALDチャンバ内部にローディングされた基板表面に薄膜前駆体化合物を吸着させる前に所定の構造を持つハロゲン置換化合物を成長抑制剤として先に吸着させる場合に蒸着後に形成される薄膜の成長率が低くなり、工程副生成物として残留していたハロゲン化物が大幅に減って段差被覆性などが大きく向上することを確認し、これを基に鋭意研究を重ねて本発明を完成するに至った。
本発明の薄膜製造方法は、i)薄膜形成用成長抑制剤を基板表面に吸着させる工程、及びii)成長抑制剤が吸着された基板表面に金属膜前駆体、金属酸化膜前駆体、金属窒化膜前駆体またはシリコン窒化膜前駆体を吸着させる工程を含み、前記薄膜形成用成長抑制剤は、化学式(1)で表され、前記金属はタングステン、コバルト、クロム、アルミニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオビオム、ゲルマニウム、ランタン族元素、アクチニウム族元素、ガリウム、タンタル、ジルコニウム、ルテニウム、銅、チタン、ニッケル、イリジウム及びモリブデンからなる群から選択された1種以上である。
AnBmXo (1)
(式中、Aは炭素またはケイ素であり、Bは水素または炭素数1ないし3のアルキルであり、Xはハロゲンであり、nは1ないし15のいずれかの整数であり、oは1以上の整数であり、mは0ないし2n+1である。)
このような場合、薄膜形成時に副反応を抑制して薄膜成長率を下げ、また薄膜内工程副生成物を除去することで腐食や劣化が低減され、複雑な構造を持つ基板上に薄膜を形成する場合でも段差被覆性及び薄膜の厚さ均一性を大きく向上させる効果がある。
【0009】
前記i)薄膜形成用成長抑制剤を基板表面に吸着させる工程は、基板表面に薄膜形成用
成長抑制剤の供給時間(Feeding Time)がサイクルあたり好ましくは1ないし10秒、より好ましくは1ないし5秒、さらに好ましくは2ないし5秒、より一層好ましくは2ないし4秒である。この範囲内で薄膜成長率が低く、段差被覆性及び経済性に優れる利点がある。
本記載において、薄膜形成用成長抑制剤の供給時間(Feeding Time)は、チャンバの体積15ないし20L及び流量0.5ないし5mg/sを基準とし、より具体的にはチャンバの体積18L及び流量1ないし2mg/sを基準とする。
前記i)薄膜形成用成長抑制剤を基板表面に吸着させる工程は、好ましい例として、薄膜形成用成長抑制剤をALDチャンバ内に注入してローディングされた基板表面に吸着させる工程を含み、このような場合、副反応を抑制し、蒸着速度を遅らせて薄膜成長率を下げ、また薄膜内工程副生成物を除去する効果が大きい。
前記i)薄膜形成用成長抑制剤を基板表面に吸着させる工程は、好ましくは基板表面に吸着されていない残留薄膜形成用成長抑制剤をパージガスでパージすることを含み、この場合、薄膜形成時に副反応を抑制して薄膜成長率を下げ、また薄膜内工程副生成物を除去することで腐食や劣化が低減し、複雑な構造を持つ基板上に薄膜を形成する場合でも段差被覆性及び薄膜の厚さ均一性を大きく向上させる利点がある。
また、前記ii)金属膜前駆体、金属酸化膜前駆体、金属窒化膜前駆体またはシリコン窒化膜前駆体(以下、「薄膜前駆体」という)を吸着させる工程は、好ましくは吸着されていない残留前駆体をパージガスでパージングすることを含む。
【0010】
前記薄膜製造方法は、好ましくは基板表面に薄膜前駆体を吸着させた後に反応ガスを供給する工程及び薄膜前駆体と反応ガスの反応副生成物をパージガスでパージングする工程を含む。
前記薄膜製造方法は、好ましい一実施例として、a)前記薄膜形成用成長抑制剤を気化してALDチャンバ内のローディングされた基板表面に吸着させる工程と、b)前記ALDチャンバ内部をパージガスで1次パージする工程と、c)膜前駆体を気化してALDチャンバ内のローディングされた基板表面に吸着させる工程と、d)前記ALDチャンバ内部をパージガスで2次パージする工程と、e)前記ALDチャンバ内部に反応ガスを供給する工程及びf)前記ALDチャンバ内部をパージガスで3次パージする工程を含み、このような場合、薄膜成長率が適切に低くなり、薄膜形成時に蒸着温度が高くなっても生成される工程副生成物が効果的に除去されて薄膜の比抵抗が減少し、段差被覆性が大きく向上する利点がある。
前記薄膜形成用成長抑制剤及び膜前駆体は、好ましくはVFC方式、DLI方式またはLDS方式でALDチャンバ内、即ち基板表面に移送され、より好ましくはLDS方式でALDチャンバ内に移送される。
前記薄膜形成用成長抑制剤と前記膜前駆体のALDチャンバ内投入量(mg/cycle)比は、好ましくは1:1.5ないし1:20であり、より好ましくは1:2ないし1:15であり、さらに好ましくは1:2ないし1:12であり、より一層好ましくは1:2.5ないし1:10である。この範囲内でサイクルあたりの薄膜成長率(GPC)の減少率が高く、工程副生成物の低減効果が大きい。
【0011】
前記膜前駆体は、通常ALDに使用可能な薄膜前駆体であれば特に制限されない。
前記金属膜前駆体、金属酸化膜前駆体及び金属窒化膜前駆体は、各々一例として、金属ハライド、金属アルコキシド、アルキル金属化合物、金属アミノ化合物、金属カルボニル化合物、及び置換または非置換シクロペンタジエニル金属化合物などからなる群から選択された1種以上でもよいが、これに制限されるものではない。
【0012】
具体的な例として、前記金属膜前駆体、金属酸化膜前駆体及び金属窒化膜前駆体は、各々テトラクロロチタン(tetrachlorotitan)、テトラクロロゲルマニウム(tetrachlorogemanium)、テトラクロロチン(tetrchlorotin)、トリス(イソプロピル)エチルメチルアミノゲルマニウム(tris(isopropyl)ethylmethyl aminogermanium)、テトラエトキシゲルマニウム(tetraethoxylgermanium)、テトラメチルスズ(tetramethyl tin)、テトラエチルスズ(tetraethyl tin)、ビスアセチルアセトネートスズ(bisacetylacetonate tin)、トリメチルアルミニウム(trimethylaluminum)、テトラキス(ジメチルアミノ)ゲルマニウム(tetrakis(dimethylamino)germanium)、ビス(n-ブチルアミノ)ゲルマニウム(bis(n-butylamino)germanium)、テトラキス(エチルメチルアミノ)スズ(tetrakis(ethylmethylamino)tin)、テトラキス(ジメチルアミノ)スズ(tetrakis(dimethylamino)tin)、Co2(CO)8(dicobalt octacarbonyl)、Cp2Co(biscyclopentadienylcobalt)、Co(CO)3(NO)(cobalt tricarbonyl nitrosyl)、及びCpCo(CO)2(cabalt dicarbonyl cyclopentadienyl)などからなる群から選択された1種以上でもよいが、これに制限されるものではない。
【0013】
前記シリコン窒化膜前駆体は、一例として、(NH2)Si(NHMe)3、(NH2)Si(NHEt)3、(NH2)Si(NHnPr)3、(NH2)Si(NHiPr)3、(NH2)Si(NHnBu)3、(NH2)Si(NHiBu)3、(NH2)Si(NHtBu)3、(NMe2)Si(NHMe)3、(NMe2)Si(NHEt)3、(NMe2)Si(NHnPr)3、(NMe2)Si(NHiPr)3、(NMe2)Si(NHnBu)3、(NMe2)Si(NHiBu)3、(NMe2)Si(NHtBu)3、(NEt2)Si(NHMe)3、(NEt2)Si(NHEt)3、(NEt2)Si(NHnPr)3、(NEt2)Si(NHiPr)3、(NEt2)Si(NHnBu)3、(NEt2)Si(NHiBu)3、(NEt2)Si(NHtBu)3、(NnPr2)Si(NHMe)3、(NnPr2)Si(NHEt)3、(NnPr2)Si(NHnPr)3、(NnPr2)Si(NHiPr)3、(NnPr2)Si(NHnBu)3、(NnPr2)Si(NHiBu)3、(NnPr2)Si(NHtBu)3、(NiPr2)Si(NHMe)3、(NiPr2)Si(NHEt)3、(NiPr2)Si(NHnPr)3、(NiPr2)Si(NHiPr)3、(NiPr2)Si(NHnBu)3、(NiPr2)Si(NHiBu)3、(NiPr2)Si(NHtBu)3、(NnBu2)Si(NHMe)3、(NnBu2)Si(NHEt)3、(NnBu2)Si(NHnPr)3、(NnBu2)Si(NHiPr)3、(NnBu2)Si(NHnBu)3、(NnBu2)Si(NHiBu)3、(NnBu2)Si(NHtBu)3、(NiBu2)Si(NHMe)3、(NiBu2)Si(NHEt)3、(NiBu2)Si(NHnPr)3、(NiBu2)Si(NHiPr)3、(NiBu2)Si(NHnBu)3、(NiBu2)Si(NHiBu)3、(NiBu2)Si(NHtBu)3、(NtBu2)Si(NHMe)3、(NtBu2)Si(NHEt)3、(NtBu2)Si(NHnPr)3、(NtBu2)Si(NHiPr)3、(NtBu2)Si(NHnBu)3、(NtBu2)Si(NHiBu)3、(NtBu2)Si(NHtBu)3、(NH22Si(NHMe)2、(NH22Si(NHEt)2、(NH22Si(NHnPr)2、(NH22Si(NHiPr)2、(NH22Si(NHnBu)2、(NH22Si(NHiBu)2、(NH22Si(NHtBu)2、(NMe22Si(NHMe)2、(NMe22Si(NHEt)2、(NMe22Si(NHnPr)2、(NMe22Si(NHiPr)2、(NMe22Si(NHnBu)2、(NMe22Si(NHiBu)2、(NMe22Si(NHtBu)2、(NEt22Si(NHMe)2、(NEt22Si(NHEt)2、(NEt22Si(NHnPr)2、(NEt22Si(NHiPr)2、(NEt22Si(NHnBu)2、(NEt22Si(NHiBu)2、(NEt22Si(NHtBu)2、(NnPr22Si(NHMe)2、(NnPr22Si(NHEt)2、(NnPr22Si(NHnPr)2、(NnPr22Si(NHiPr)2、(NnPr22Si(NHnBu)2、(NnPr22Si(NHiBu)2、(NnPr22Si(NHtBu)2、(NiPr22Si(NHMe)2、(NiPr22Si(NHEt)2、(NiPr22Si(NHnPr)2、(NiPr22Si(NHiPr)2、(NiPr22Si(NHnBu)2、(NiPr22Si(NHiBu)2、(NiPr22Si(NHtBu)2、(NnBu22Si(NHMe)2、(NnBu22Si(NHEt)2、(NnBu22Si(NHnPr)2、(NnBu22Si(NHiPr)2、(NnBu22Si(NHnBu)2、(NnBu22Si(NHiBu)2、(NnBu22Si(NHtBu)2、(NiBu22Si(NHMe)2、(NiBu22Si(NHEt)2、(NiBu22Si(NHnPr)2、(NiBu22Si(NHiPr)2、(NiBu22Si(NHnBu)2、(NiBu22Si(NHiBu)2、(NiBu22Si(NHtBu)2、(NtBu22Si(NHMe)2、(NtBu22Si(NHEt)2、(NtBu22Si(NHnPr)2、(NtBu22Si(NHiPr)2、(NtBu22Si(NHnBu)2、(NtBu22Si(NHiBu)2、(NtBu22Si(NHtBu)2、Si(HNCH2CH2NH)2、Si(MeNCH2CH2NMe)2、Si(EtNCH2CH2NEt)2、Si(nPrNCH2CH2nPr)2、Si(iPrNCH2CH2iPr)2、Si(nBuNCH2CH2nBu)2、Si(iBuNCH2CH2iBu)2、Si(tBuNCH2CH2tBu)2、Si(HNCHCHNH)2、Si(MeNCHCHNMe)2、Si(EtNCHCHNEt)2、Si(nPrNCHCHNnPr)2、Si(iPrNCHCHNiPr)2、Si(nBuNCHCHNnBu)2
Si(iBuNCHCHNiBu)2、Si(tBuNCHCHNtBu)2、(HNCHCHNH)Si(HNCH2CH2NH)、(MeNCHCHNMe)Si(MeNCH2CH2NMe)、(EtNCHCHNEt)Si(EtNCH2CH2NEt)、(nPrNCHCHNnPr)Si(nPrNCH2CH2nPr)、(iPrNCHCHNiPr)Si(iPrNCH2CH2iPr)、(nBuNCHCHNnBu)Si(nBuNCH2CH2nBu)、(iBuNCHCHNiBu)Si(iBuNCH2CH2iBu)、(tBuNCHCHNtBu)Si(tBuNCH2CH2Bu)、(NHtBu)2Si(HNCH2CH2NH)、(NHtBu)2Si(MeNCH2CH2NMe)、(NHtBu)2Si(EtNCH2CH2NEt)、(NHtBu)2Si(nPrNCH2CH2nPr)、(NHtBu)2Si(iPrNCH2CH2iPr)、(NHtBu)2Si(nBuNCH2CH2nBu)、(NHtBu)2Si(iBuNCH2CH2iBu)、(NHtBu)2Si(tBuNCH2CH2tBu)、(NHtBu)2Si(HNCHCHNH)、(NHtBu)2Si(MeNCHCHNMe)、(NHtBu)2Si(EtNCHCHNEt)、(NHtBu)2Si(nPrNCHCHNnPr)、(NHtBu)2Si(iPrNCHCHNiPr)、(NHtBu)2Si(nBuNCHCHNnBu)、(NHtBu)2Si(iBuNCHCHNiBu)、(NHtBu)2Si(tBuNCHCHNtBu)、(iPrNCH2CH2iPr)Si(NHMe)2、(iPrNCH2CH2iPr)Si(NHEt)2、(iPrNCH2CH2iPr)Si(NHnPr)2、(iPrNCH2CH2iPr)Si(NHiPr)2、(iPrNCH2CH2iPr)Si(NHnBu)2、(iPrNCH2CH2iPr)Si(NHiBu)2、(iPrNCH2CH2iPr)Si(NHtBu)2、(iPrNCHCHNiPr)Si(NHMe)2、(iPrNCHCHNiPr)Si(NHEt)2、(iPrNCHCHNiPr)Si(NHnPr)2、(iPrNCHCHNiPr)Si(NHiPr)2、(iPrNCHCHNiPr)Si(NHnBu)2、(iPrNCHCHNiPr)Si(NHiBu)2及び(iPrNCHCHNiPr)Si(NHtBu)2からなる群から選択された1種以上でもよいが、これに制限されるものではない。
前記nPrはn-プロピルを意味し、iPrはiso-プロピルを意味し、nBuはn-ブチルを、iBuはiso-ブチルを、tBuはtert-ブチルを意味する。
【0014】
前記金属ハライドは、好ましい一例として、テトラハロゲン化チタンが挙げられ、具体的な例として、TiF4、TiCl4、TiBr4及びTiI4からなる群から選択される少なくともいずれか一つであり、例えばTiCl4であることが経済性の側面で好ましいが、これに限定されるものではない。
但し、前記テトラハロゲン化チタンは、熱的安定性に優れて常温で分解されずに液体状態で存在するため、ALDの薄膜前駆体として薄膜を蒸着させるのに有用に使用することができる。
【0015】
前記膜前駆体は、一例として、非極性溶媒と混合してチャンバ内に投入してもよく、この場合、膜前駆体の粘度や蒸気圧を容易に調節可能な利点がある。
前記非極性溶媒は、好ましくはアルカン及びシクロアルカンからなる群から選択された1種以上であり、このような場合、反応性及び溶解度が低く、水分管理が容易な有機溶媒を含みながらも薄膜形成時に蒸着温度が増加しても段差被覆性が向上する利点がある。
より好ましい例として、前記非極性溶媒は、C1ないしC10のアルカンまたはC3ないしC10のシクロアルカンを含み、好ましくはC3ないしC10のシクロアルカンであり、この場合、反応性及び溶解度が低く、水分管理が容易な利点がある。
本記載において、C1、C3などは炭素数を意味する。
前記シクロアルカンは、好ましくはC3ないしC10のモノシクロアルカンであり、前記モノシクロアルカンのうちシクロペンタンが常温で液体であり、最も蒸気圧が高く気相蒸着工程で好ましいが、これに限定されるものではない。
【0016】
前記非極性溶媒は、一例として、水における溶解度(25℃)が200mg/L以下、好ましくは50ないし200mg/L、より好ましくは135ないし175mg/Lである。この範囲内で薄膜前駆体に対する反応性が低く、水分管理が容易な利点がある。
本記載において、溶解度は本発明が属する技術分野で通常使用する測定方法や基準によれば特に制限されず、一例として、飽和溶液をHPLC法により測定することができる。
前記非極性溶媒は、好ましくは薄膜前駆体及び非極性溶媒を合わせた総重量に対して5ないし95重量%含み、より好ましくは10ないし90重量%含み、さらに好ましくは40ないし90重量%含み、最も好ましくは70ないし90重量%含む。
前記非極性溶媒の含量が前記上限値を超過して投入されると、不純物を誘発して抵抗と薄膜内不純物の数値が増加し、前記有機溶媒の含量が前記下限値未満で投入される場合、溶媒添加による段差被覆性の向上効果及び塩素(Cl)イオンのような不純物の低減効果が少ない短所がある。
【0017】
前記薄膜製造方法は、一例として、下記数式1で計算されるサイクルあたりの薄膜成長率(オングストローム/Cycle)の減少率が-5%以下であり、好ましくは-10%以下、より好ましくは-20%以下であり、さらに好ましくは-30%以下、より一層好ましくは-40%以下、最も好ましくは-45%以下である。この範囲内で段差被覆性及び膜の厚さ均一性に優れている。
[数1]
サイクルあたりの薄膜成長率の減少率(%)=[(薄膜形成用成長抑制剤を使用した時のサイクルあたりの薄膜成長率-薄膜形成用成長抑制剤を使用しなかった時のサイクルあたりの薄膜成長率)/薄膜形成用成長抑制剤を使用しなかった時のサイクルあたりの薄膜成長率]×100
前記薄膜製造方法によって形成された薄膜は、SIMSによって測定された、200サイクル後に形成された薄膜内残留ハロゲンの強さ(c/s)が好ましくは10,000以下、より好ましくは8,000以下、さらに好ましくは7,000以下、より一層好ましくは6,000以下である。このような範囲内で腐食及び劣化が防止される効果が優れている。
本記載において、パージングは好ましくは1,000ないし10,000sccm、より好ましくは2,000ないし7,000sccm、さらに好ましくは2,500ないし6,000sccmであり、この範囲内でサイクルあたりの薄膜成長率が好ましい範囲で減少し、工程副生成物が低減する効果がある。
【0018】
前記ALDは、高いアスペクト比が要求される集積回路(IC)製作において非常に有利であり、特に自己制限的な薄膜成長メカニズムによって優れた段差塗布性(conformality)、均一な被覆性(uniformity)及び精密な厚さ制御などのような利点がある。
前記薄膜製造方法は、一例として、50ないし900℃範囲の蒸着温度で実施し、好ましくは300ないし700℃範囲の蒸着温度で、より好ましくは350ないし600℃範囲の蒸着温度で実施し、さらに好ましくは400ないし550℃範囲の蒸着温度で実施し、より一層好ましくは400ないし500℃範囲の蒸着温度で実施するが、この範囲内でALD工程特性を具現しながら優れた膜質の薄膜に成長させる効果がある。
【0019】
前記薄膜製造方法は、一例として、0.1ないし10Torr範囲の蒸着圧力で実施し、好ましくは0.5ないし5Torr範囲の蒸着圧力で、最も好ましくは1ないし3Torr範囲の蒸着圧力で実施するが、この範囲内で均一な厚さの薄膜を得る効果がある。
本記載において、蒸着温度及び蒸着圧力は、蒸着チャンバ内で形成される温度及び圧力によって測定されるか、蒸着チャンバ内の基板に加えられる温度及び圧力によって測定されることができる。
前記薄膜製造方法は、好ましくは前記薄膜形成用成長抑制剤をチャンバ内に投入する前にチャンバ内温度を蒸着温度に昇温する工程、及び/または前記薄膜形成用成長抑制剤をチャンバ内に投入する前にチャンバ内に不活性気体を注入してパージングする工程を含む。
また、本発明は、前記薄膜製造方法を具現することができる薄膜製造装置としてALDチャンバ、薄膜形成用成長抑制剤を気化する第1気化器、気化された薄膜形成用成長抑制剤をALDチャンバ内に移送する第1移送手段、金属膜前駆体、金属酸化膜前駆体、金属窒化膜前駆体またはシリコン窒化膜前駆体を気化する第2気化器及び気化された前記前駆体をALDチャンバ内に移送する第2移送手段を含むことを特徴とする薄膜製造装置を含む。ここで、気化器及び移送手段は本発明が属する技術分野で通常使用される気化器及び移送手段であれば特に制限されない。
【0020】
具体的な例として、前記薄膜製造方法について説明すると、
まず、上部に薄膜が形成され得る基板を原子層蒸着が可能な蒸着チャンバ内に位置させる。
前記基板は、シリコン基板、シリコンオキサイドなどの半導体基板を含む。
前記基板は、その上部に導電層または絶縁層がさらに形成されている場合がある。
前記蒸着チャンバ内に位置させた基板上に薄膜を蒸着するために、上述した薄膜形成用成長抑制剤と、膜前駆体またはこれと非極性溶媒の混合物を各々準備する。
その後、準備した薄膜形成用抑制剤を気化器内に注入した後、気相に変化させて蒸着チャンバに伝達して基板上に吸着させ、非吸着の薄膜形成用抑制剤をパージする。
次に、準備した膜前駆体またはこれと非極性溶媒の混合物を気化器内に注入した後、気相に変化させて蒸着チャンバに伝達して基板上に吸着させ、非吸着の薄膜形成用組成物をパージする。
【0021】
本記載において、薄膜形成用抑制剤及び膜前駆体などを蒸着チャンバに伝達する方式は、一例として、気体流量制御(Mass Flow Controller;MFC)方法を活用して揮発した気体を移送する方式(Vapor Flow Control;VFC)または液体流量制御(Liquid Mass Flow Controller;LMFC)方法を活用して液体を移送する方式(Liquid Delivery System;LDS)を使用し、好ましくはLDS方式を使用する。
薄膜形成用抑制剤及び膜前駆体などを基板上に移動させるためのキャリアガスまたは希釈ガスとしては、アルゴン(Ar)、窒素(N2)、ヘリウム(He)から選択される一つまたは二つ以上の混合気体を使用するが、これに制限されるものではない。
本記載において、パージガスとしては、一例として、不活性ガスを使用し、好ましくは前記キャリアガスまたは希釈ガスを使用する。
次に、反応ガスを供給する。前記反応ガスとしては、本発明が属する技術分野で通常使用される反応ガスであれば特に制限されず、好ましくは還元剤、窒化剤または酸化剤を含む。前記還元剤と基板に吸着された膜前駆体が反応して金属薄膜が形成され、前記窒化剤によっては金属窒化物薄膜が形成され、前記酸化剤によっては金属酸化物薄膜が形成される。
好ましくは、前記還元剤はアンモニアガス(NH3)または水素ガス(H2)であり、前記窒化剤は窒素ガス(N2)であり、前記酸化剤はH2O、H22、O2、O3及びN2Oからなる群から選択された1種以上である。
【0022】
次に、不活性ガスを利用して反応していない残留反応ガスをパージする。これによって、過量の反応ガスだけでなく、生成された副生成物もともに除去することができる。
このように、薄膜形成用抑制剤を基板上に吸着させる工程、非吸着の薄膜形成用抑制剤をパージする工程、膜前駆体を基板上に吸着させる工程、非吸着の薄膜形成用組成物をパージする工程、反応ガスを供給する工程、残留反応ガスをパージする工程を単位サイクルとして、所望の厚さの薄膜を形成するために、前記単位サイクルを繰り返すことができる。
前記単位サイクルは、一例として、100ないし1000回、好ましくは100ないし500回、より好ましくは150ないし300回であり、この範囲内で目的とする薄膜特性が好適に発現する効果がある。
【0023】
図1は従来のALD工程を説明するための工程図であり、下記図2は本発明の一実施例に係るALD工程を説明するための工程図である。図1を参照すると、従来のALD工程のように本発明に係る薄膜形成用成長抑制剤(Inhibitor)を、膜前駆体(例えば、TiCl4)を吸着させる前に先に吸着させて基板表面を保護しない場合、反応ガス(例えば、NH3)と反応して形成された薄膜(例えば、TiN)にHClのような工程副生成物が残るようになり腐食や劣化により基板の性能を低下させる。しかし、図2のように、本発明に係る薄膜形成用成長抑制剤(TSI)を、膜前駆体(例えば、TiCl4)を吸着させる前に先に吸着させて基板表面を保護(Surface Protection;SP)する場合、薄膜(例えば、TiN)形成時に反応ガス(例えば、NH3)と反応して発生したHClのような工程副生成物が薄膜形成用成長抑制剤とともに除去されることで基板の腐食や劣化を防止し、さらにサイクルあたりの薄膜成長率を適切に下げて段差被覆性及び薄膜厚さの均一性も改善させる。
【0024】
本発明の薄膜形成用成長抑制剤は、好ましくは、化学式(1)で表される化合物である。
AnBmXo (1)
(式中、Aは炭素またはケイ素であり、Bは水素または炭素数1ないし3のアルキルであり、Xはハロゲンであり、nは1ないし15のいずれかの整数であり、oは1以上の整数であり、mは0ないし2n+1である。)
このような場合、薄膜形成時に副反応を抑制して薄膜成長率を下げ、また薄膜内工程副生成物を除去することで腐食や劣化が低減され、複雑な構造を持つ基板上に薄膜を形成する場合でも段差被覆性及び薄膜の厚さ均一性を大きく向上させる効果がある。
Bは、好ましくは水素またはメチルであり、前記nは好ましくは2ないし15の整数、より好ましくは2ないし10の整数、さらに好ましくは2ないし6の整数、より一層好ましくは4ないし6の整数であり、この範囲内で工程副生成物の除去効果が大きく、段差被覆性に優れている。
化学式(1)において、Xは、一例としてF、Cl、Br及びIからなる群から選択された1種以上であり、好ましくはCl(塩素)である。この場合、副反応を抑制して工程副生成物を効果的に除去する効果がある。
化学式(1)において、oは、好ましくは1ないし5のいずれかの整数であり、より好ましくは1ないし3の整数であり、さらに好ましくは1または2である。この範囲内で蒸着速度の減少効果が大きく、段差被覆性の改善にさらに効果的な利点がある。
mは、好ましくは1ないし2n+1であり、より好ましくは3ないし2n+1である。この範囲内で工程副生成物の除去効果が大きく、段差被覆性に優れている。
【0025】
化学式(1)で表される化合物は、好ましくは分枝状、環状または芳香族化合物である。具体的な例として、1,1-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエタン、ジクロロメタン、2-クロロプロパン、1-クロロプロパン、1,2-ジクロロプロパン、1,3-ジクロロプロパン、2,2-ジクロロプロパン、1-クロロペンタン、2-クロロペンタン、3-クロロペンタン、クロロシクロペタン、n-ブチルクロリド、tert-ブチルクロリド、sec-ブチルクロリド、イソブチルクロリド、1,2-ジクロロベンゼン、1,4-ジクロロベンゼン、トリメチルクロロシラン、卜リクロロプロパン、2-クロロ-2-メチルブタン及び2-メチル-1-ペンタンなどからなる群から選択された1種以上であり、この場合、工程副生成物の除去効果が大きく、段差被覆性に優れる利点がある。
化学式(1)で表される化合物は、好ましくは原子層蒸着(ALD)工程に使用される。この場合、膜前駆体の吸着を阻害せずに成長抑制剤として基板の表面を効果的に保護し、工程副生成物を効果的に除去する利点がある。
化学式(1)で表される化合物は、好ましくは常温(22℃)で液体であり、密度が0.8ないし1.5g/cm3であり、蒸気圧(20℃)が1ないし300mmHgであり、水における溶解度(25℃)が200mg/L以下であり、この範囲内で段差被覆性及び薄膜の厚さ均一性に優れた効果がある。
より好ましくは、前記化学式1で表される化合物は、密度が0.85ないし1.3g/cm3であり、蒸気圧(20℃)が1ないし260mmHgであり、水における溶解度(25℃)が160mg/L以下であり、この範囲内で段差被覆性及び薄膜の厚さ均一性に優れた効果がある。
【0026】
本発明の半導体基板は、本記載の薄膜製造方法により製造される。この場合、副反応を抑制して薄膜成長率を適切に下げ、また薄膜内工程副生成物を除去することで腐食や劣化が防止され、段差被覆性及び薄膜の厚さ均一性が大きく優れた効果がある。
前記製造された薄膜は、好ましくは厚さが20nm以下であり、比抵抗値が0.1ないし400μΩ・cmであり、ハロゲン含量が10,000ppm以下であり、段差被覆率が90%以上であり、この範囲内で拡散防止膜として性能が優れ、金属配線材料の腐食が低減する効果があるが、これに限定するものではない。
前記薄膜は、厚さが一例として5ないし20nm、好ましくは10ないし20nm、より好ましくは15ないし18.5nm、さらに好ましくは17ないし18.5nmである。この範囲内で薄膜特性に優れた効果がある。
前記薄膜は、比抵抗値が一例として0.1ないし400μΩ・cm、好ましくは50ないし400μΩ・cm、より好ましくは200ないし400μΩ・cm、さらに好ましくは300ないし400μΩ・cm、より一層好ましくは330ないし380μΩ・cm、最も好ましくは340ないし370μΩ・cmであり、この範囲内で薄膜特性に優れた効果がある。
前記薄膜は、ハロゲン含量がより好ましくは9,000ppm以下または1ないし9,000ppm、さらに好ましくは8,500ppm以下または100ないし8,500ppm、より一層好ましくは8,200ppm以下または1,000ないし8,200ppmであり、この範囲内で薄膜特性に優れながら金属配線材料の腐食が低減する効果がある。
【0027】
前記薄膜は、一例として段差被覆率が80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは92%以上であり、この範囲内で複雑な構造の薄膜でも容易に基板に蒸着させることができるため、次世代の半導体装置に適用可能な利点がある。
前記製造された薄膜は、一例として金属窒化膜か金属酸化膜が挙げられ、具体的な例としてはTiN薄膜かTiO2薄膜が挙げられる。
【0028】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例及び図面を提示するが、下記実施例及び図面は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範疇及び技術思想の範囲内で多様な変更及び修正が可能であることは当業者において明白であり、このような変形及び修正は当然添付の特許請求の範囲にも属する。
【0029】
実施例1ないし7
表1に記載された薄膜形成用成長抑制剤と、膜前駆体としてTiCl4を各々準備した。準備した薄膜形成用成長抑制剤をキャニスターに入れて常温でLMFCを利用して0.05g/minの流速で150℃に加熱された気化器に供給した。気化器で気相に気化された薄膜形成用成長抑制剤を3秒間基板がローディングされた蒸着チャンバに投入した後、アルゴンガスを3000sccmで6秒間供給してアルゴンパージングを実施した。この時、反応チャンバ内の圧力は1.3Torrに制御した。次に、準備したTiCl4を別途のキャニスターに入れて常温でLMFCを利用して0.05g/minの流速で150℃に加熱された別途の気化器に供給した。気化器で気相に気化されたTiCl4を3秒間蒸着チャンバに投入した後、アルゴンガスを3000sccmで6秒間供給してアルゴンパージングを実施した。この時、反応チャンバ内の圧力は1.3Torrに制御した。次に、反応性ガスとしてアンモニアを5秒間前記反応チャンバに投入した後、10秒間アルゴンパージングを実施した。この時、金属薄膜が形成される基板を460℃に加熱した。このような工程を200回繰り返して自己-制限原子層であるTiN薄膜を形成した。
【表1】
【0030】
比較例1
実施例1で薄膜形成用成長抑制剤を使用しなかったことと、これに伴い非吸着薄膜形成用成長抑制剤をパージングする工程を省略したことを除き実施例1と同一の方法で基板上にTIN薄膜を形成した。
比較例2及び3
実施例1で上記表1に記載された薄膜形成用成長抑制剤ではなくペンタンまたはシクロペンタンを使用したことを除き実施例1と同一の方法で基板上にTIN薄膜を形成した。
【0031】
1)蒸着評価
表2に示したように、chloro-2-methylbutaneを薄膜形成用成長抑制剤として使用した実施例1と、これを含んでいない比較例1を比較した。その結果、蒸着速度は0.20オングストローム/cycleであり、比較例1と比較した時に55.5%以上蒸着速度が減少した。残りの実施例2ないし7も実施例1と類似する値の蒸着速度であることを確認することができた。また、本発明に係る薄膜形成用成長抑制剤の代わりにペンタンまたはシクロペンタンを使用した比較例2及び3も比較例1と同一の値の蒸着速度であることを確認することができた。この時、蒸着速度の減少はCVD蒸着特性をALD蒸着特性に変化させることを意味するため、段差被覆特性の改善の指標として活用することができる。
【表2】
【0032】
また、表3に示したように、薄膜形成用成長抑制剤であるchloro-2-methylbutaneの注入量に応じて蒸着速度は持続的に減少することを確認することができた。ここで、実施例1-1は実施例1でサイクルあたりの薄膜形成用成長抑制剤の注入量を除き同一の方法で実施した。
【表3】
【0033】
2)不純物低減特性
実施例1及び比較例1で蒸着されたTiN薄膜の不純物低減特性、即ち、工程副生成物低減特性を比較するためにSIMS分析を行い、その結果を以下の表4に示した。

【表4】
表4に示したように、本発明に係る薄膜形成用成長抑制剤を使用した実施例1が、これを使用していない比較例1に比べて1/3の水準に減少することを確認することができた。
【0034】
図3は本発明の実施例7(SP-TiCl4)及び比較例1(TiCl4)のALDサイクル増加に伴う薄膜厚さの変化を示すグラフであり、実施例7の場合、薄膜の厚さが大幅に薄くなったことを確認することができた。
図4は本発明の実施例7-1ないし7-3及び比較例1のALDサイクルあたりの薄膜形成用成長抑制剤(SP)のフィーディング時間に伴う蒸着速度変化を示すグラフであり、比較例1のように本発明に係る薄膜形成用抑制剤を使用していない場合、サイクルあたりの蒸着速度が略0.45オングストローム/cycleだったのが、本発明に係る薄膜形成用抑制剤を各々0.7秒、1秒、2秒投入した実施例7-1、7-2、7-3の場合には蒸着速度が各々0.35オングストローム/cycle、0.2オングストローム/cycle、0.1オングストローム/cycleと大幅に低くなったことを確認することができた。ここで、実施例7-1、7-2、7-3は実施例7での薄膜形成用成長抑制剤の投入量を除き同一の方法で実施した。
【0035】
3)段差被覆特性
実施例1及び比較例1で蒸着されたTiN薄膜をTEMを利用して段差被覆性を確認し、その結果を表5及び図5に示した。
【表5】
表5に示したように、本発明に係る薄膜形成用成長抑制剤を使用した実施例1が、これを使用していない比較例1に比べて段差被覆率が顕著に高いことを確認することができた。また、下記図5のTEM写真を参酌すると、実施例1(SP-TiCl4)で蒸着されたTIN薄膜のTopとbottomの厚さ均一度は、比較例1(TiCl4)で蒸着されたTIN薄膜に比べて段差塗布性(conformality)がさらに優れていることを確認することができた。
【0036】
追加実施例1
前記実施例1で膜前駆体としてTiCl4の代わりにトリス(ジメチルアミノ)シクロペンタジエニルジルコニウム(Tris(dimethylamino)cyclopentadienyl zirconium;CpZr)を使用し、薄膜形成用成長抑制剤のチャンバ内注入量を12mg/secにし、反応ガスとしてアンモニアの代わりにオゾンを使用し、金属薄膜が形成される基板を280ないし340℃に加熱したことを除き、実施例1と同一の方法で工程を行い、ジルコニウム酸化膜(ZrO2薄膜)を形成した。
【0037】
追加実施例2
追加実施例1で薄膜形成用成長抑制剤のチャンバ内注入量を2.3mg/secにして各々1ないし7秒間注入したことと、金属薄膜が形成される基板を310℃に加熱したことを除き、前記追加実施例1と同一の方法で工程を行い、ジルコニウム酸化膜(ZrO2薄膜)を形成した。
【0038】
追加比較例1
追加実施例1で薄膜形成用成長抑制剤を使用していないことを除き、追加実施例1と同一の方法で工程を行いジルコニウム酸化膜(ZrO2薄膜)を形成した。
追加実施例1、2及び追加比較例1で蒸着されたジルコニウム酸化膜に対する蒸着速度、減少率(%)及び厚さ均一度(%)を測定し、その結果を表6及び図6に示した。この時、厚さ均一度(%)は下記数式2で計算した。
[数2]
厚さ均一度(%)=[(MAX-MIN)/(2×AVERAGE)]×100%
MAX、MIN、AVERAGEは厚さの最大値、最小値、平均値を示し、各厚さはエリプソメーター装備を活用して光学的厚さを測定した。
【表6】
表6に示したように、本発明に係る薄膜形成用成長抑制剤を使用して形成されたジルコニウム酸化膜(追加実施例1)は、これを使用していないジルコニウム酸化膜(追加比較例1)に比べて、蒸着温度に伴うALDサイクルあたりの薄膜厚さが0.508ないし0.511オングストロームと非常に一定すると同時に減少率が34.6ないし42.3%範囲まで大幅に低減し、また膜厚の均一度(uniformity)が1.1ないし2.1%範囲内で変動幅が大幅に少ないことを確認することができた。
【0039】
図6は追加実施例2及び追加比較例1を通じたALDサイクルあたりの薄膜形成用成長抑制剤(SP)のフィーディング時間(s)に伴う蒸着速度(オングストローム/cycle)変化を示すグラフであり、追加比較例1のように本発明に係る薄膜形成用抑制剤を使用していない場合、サイクルあたり蒸着速度が約0.8オングストローム/cycleだったのが、本発明に係る薄膜形成用抑制剤を各々1秒、3秒、5秒、7秒投入した追加実施例2の場合には蒸着速度が各々略0.56オングストローム/cycle、0.52オングストローム/cycle、0.51オングストローム/cycle、0.50オングストローム/cycleと大幅に低くなることを確認することができた。ここで、SP-P-SF-P-OF-Pは薄膜形成用成長抑制剤(SP)投入、パージガス(P)投入、薄膜前駆体(SF)投入、パージガス(P)投入、反応ガス(OF)投入、パージガス(F)投入を1サイクルとしたことを意味し、X-2X-5-10-3-6は各工程の投入時間(S)を意味し、Xは0ないし7の整数である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6