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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】基板加熱装置および基板処理システム
(51)【国際特許分類】
   G01K 7/02 20210101AFI20240418BHJP
   G01K 1/08 20210101ALI20240418BHJP
   G01K 1/14 20210101ALI20240418BHJP
【FI】
G01K7/02 C
G01K1/08 P
G01K1/14 L
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020024347
(22)【出願日】2020-02-17
(65)【公開番号】P2021128122
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000220239
【氏名又は名称】東京応化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】近藤 士朗
(72)【発明者】
【氏名】小針 倫
(72)【発明者】
【氏名】海老根 尭
(72)【発明者】
【氏名】細田 浩
(72)【発明者】
【氏名】加藤 茂
【審査官】松山 紗希
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2006/003798(WO,A1)
【文献】特開2016-076529(JP,A)
【文献】特開2020-001219(JP,A)
【文献】特開2008-249641(JP,A)
【文献】特開2014-081350(JP,A)
【文献】特開2003-344169(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を収容可能な収容空間が内部に形成されたチャンバと、
前記基板の一方面側に配置されるとともに、前記基板を赤外線によって加熱可能な基板加熱部と、
少なくとも一部が前記収容空間に配置された検知部と、
前記検知部において前記収容空間に配置された部分を少なくとも保護するとともに、前記赤外線を吸収する保護部と、を含み、
前記検知部は、少なくとも先端が前記赤外線の照射方向に対して交差するように配置された熱電対であり、
前記検知部は、前記赤外線の照射方向に対して交差するように延びる横架部材に支持され
前記検知部は、円筒状の前記横架部材に支持されている
基板加熱装置。
【請求項2】
基板を収容可能な収容空間が内部に形成されたチャンバと、
前記基板の一方面側に配置されるとともに、前記基板を赤外線によって加熱可能な基板加熱部と、
少なくとも一部が前記収容空間に配置された検知部と、
前記検知部において前記収容空間に配置された部分を少なくとも保護するとともに、前記赤外線を吸収する保護部と、を含み、
前記検知部は、少なくとも先端が前記赤外線の照射方向に対して交差するように配置された熱電対であり、
前記検知部は、前記赤外線の照射方向に対して交差するように延びる横架部材に支持され
前記検知部は、少なくとも先端が前記基板と前記基板加熱部との間に配置された第一検知部を含む
基板加熱装置。
【請求項3】
前記検知部は、円筒状の前記横架部材に支持されている
請求項に記載の基板加熱装置。
【請求項4】
前記保護部は、黒色の筒体である
請求項1から3のいずれか一項に記載の基板加熱装置。
【請求項5】
前記保護部は、断面視で閉じた環状を有する
請求項1からのいずれか一項に記載の基板加熱装置。
【請求項6】
前記保護部の先端は、開口している
請求項1からのいずれか一項に記載の基板加熱装置。
【請求項7】
前記保護部は、前記検知部に係合する係合部を備える
請求項1からのいずれか一項に記載の基板加熱装置。
【請求項8】
前記検知部は、前記基板から離れて配置されている
請求項1からのいずれか一項に記載の基板加熱装置。
【請求項9】
前記検知部は、少なくとも先端が前記基板と前記基板加熱部との間に配置された第一検知部を含む
請求項1、3からのいずれか一項に記載の基板加熱装置。
【請求項10】
前記基板と前記基板加熱部との間に設けられ、前記赤外線の照射方向に対して交差するように延びる前記横架部材を更に備え、
前記第一検知部は、前記横架部材に支持されている
請求項2または9に記載の基板加熱装置。
【請求項11】
前記検知部は、少なくとも先端が前記基板と前記チャンバの底部との間に配置された第二検知部を含む
請求項10に記載の基板加熱装置。
【請求項12】
前記基板を前記基板の他方面側から支持する支持部材を更に備え、
前記第二検知部は、前記支持部材に支持されている
請求項11に記載の基板加熱装置。
【請求項13】
前記検知部は、前記基板の面内における複数地点の温度を検知可能に複数設けられている
請求項1から12のいずれか一項に記載の基板加熱装置。
【請求項14】
前記基板の一方面には、ポリイミドを形成するための溶液が塗布されている
請求項1から13のいずれか一項に記載の基板加熱装置。
【請求項15】
請求項1から14の何れか一項に記載の基板加熱装置を含む基板処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板加熱装置および基板処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱電対の先端部を基板に接触させ、加熱中の基板の温度を測定する方法がある(例えば、特許文献1参照)。例えば、熱電対は、熱電対素線を金属製シース(鞘)の内部に封入したシース熱電対である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-232684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、熱電対の先端部が露出しているため、加熱により熱電対が変色し劣化してしまう可能性が高い。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本発明は、検知部の劣化を抑制するとともに、検知部の変色や劣化に伴う応答性の変化を抑制することが可能な基板加熱装置および基板処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る基板加熱装置は、基板を収容可能な収容空間が内部に形成されたチャンバと、前記基板の一方面側に配置されるとともに、前記基板を赤外線によって加熱可能な基板加熱部と、少なくとも一部が前記収容空間に配置された検知部と、前記検知部において前記収容空間に配置された部分を少なくとも保護するとともに、前記赤外線を吸収する保護部と、を含む。
この構成によれば、検知部において収容空間に配置された部分を少なくとも保護する保護部を含むことで、検知部に向かう赤外線を保護部で遮ることができる。検知部に向かう赤外線は保護部で吸収されるため、赤外線は検知部に直接照射されない。したがって、検知部の劣化を抑制するとともに、検知部の変色や劣化に伴う応答性の変化を抑制することができる。
【0007】
上記の基板加熱装置において、前記保護部は、黒色の筒体であってもよい。
この構成によれば、保護部で赤外線が効果的に吸収されるため、検知部の応答性を向上することができる。例えば、検知部で基板の温度を検知する場合には、検知温度よりも実際の基板温度が高くなること(基板温度のオーバーシュート)を抑制することができる。
【0008】
上記の基板加熱装置において、前記保護部は、断面視で閉じた環状を有してもよい。
この構成によれば、検知部の外周全体が保護部によって囲まれるため、検知部の劣化をより効果的に抑制するとともに、検知部の変色や劣化に伴う応答性の変化をより効果的に抑制することができる。
【0009】
上記の基板加熱装置において、前記保護部の先端は、開口していてもよい。
この構成によれば、保護部の先端が閉じている場合と比較して、保護部の内部空間の圧力上昇による検知部の抜けを抑制することができる。
【0010】
上記の基板加熱装置において、前記保護部は、前記検知部に係合する係合部を備えてもよい。
この構成によれば、保護部から検知部が抜けることを抑制することができる。
【0011】
上記の基板加熱装置において、前記検知部は、少なくとも先端が前記赤外線の照射方向に対して交差するように配置された熱電対であってもよい。
この構成によれば、熱電対の先端が赤外線の照射方向に対して平行に配置されている場合と比較して、検知部において赤外線が照射される面積が大きくなるため、検知部の応答性をより効果的に向上することができる。
【0012】
上記の基板加熱装置において、前記検知部は、前記基板から離れて配置されていてもよい。
この構成によれば、検知部が接触方式の場合と比較して、基板との接触による摩耗はしないため、検知部の耐久性を向上することができる。加えて、検知部が基板に接触していることを監視する必要がないため、簡便である。
【0013】
上記の基板加熱装置において、前記検知部は、少なくとも先端が前記基板と前記基板加熱部との間に配置された第一検知部を含んでいてもよい。
この構成によれば、基板加熱部から基板に向かう赤外線が第一検知部に照射されるため、第一検知部の応答性を向上することができる。
【0014】
上記の基板加熱装置において、前記基板と前記基板加熱部との間に設けられ、前記赤外線の照射方向に対して交差するように延びる横架部材を更に備え、前記第一検知部は、前記横架部材に支持されていてもよい。
この構成によれば、横架部材によって第一検知部を安定して支持することができる。
【0015】
上記の基板加熱装置において、前記検知部は、少なくとも先端が前記基板と前記チャンバの底部との間に配置された第二検知部を含んでいてもよい。
この構成によれば、チャンバの底部と基板との間を通る赤外線が第二検知部に照射されるため、第二検知部の応答性を向上することができる。
【0016】
上記の基板加熱装置において、前記基板を前記基板の他方面側から支持する支持部材を更に備え、前記第二検知部は、前記支持部材に支持されていてもよい。
この構成によれば、支持部材によって第二検知部を安定して支持することができる。加えて、基板を支持するための支持部材が第二検知部の支持を兼ねるため、第二検知部を支持するための部材を別に設ける場合と比較して、部品点数を削減することができる。
【0017】
上記の基板加熱装置において、前記検知部は、前記基板の面内における複数地点の温度を検知可能に複数設けられていてもよい。
この構成によれば、複数の検知部によって基板の面内の複数地点の温度をリアルタイムで把握することができる。
【0018】
上記の基板加熱装置において、基板の一方面には、ポリイミドを形成するための溶液が塗布されていてもよい。
この構成によれば、ポリイミドの形成時において、検知部の劣化を抑制するとともに、検知部の変色や劣化に伴う応答性の変化を抑制することができる。
【0019】
本発明の一態様に係る基板処理システムは、上記の基板加熱装置を含むことを特徴とする。
この構成によれば、基板処理システムにおいて、検知部の劣化を抑制するとともに、検知部の変色や劣化に伴う応答性の変化を抑制することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、検知部の劣化を抑制するとともに、検知部の変色や劣化に伴う応答性の変化を抑制することが可能な基板加熱装置および基板処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態に係る基板加熱装置の斜視図である。
図2】実施形態に係る基板加熱装置の断面図である。
図3】実施形態に係るヒータユニットの平面図である。
図4】実施形態に係る赤外線ヒータの平面図である。
図5】実施形態に係る温度検知部の支持状態を示す図である。
図6】実施形態に係る保護筒体の斜視図である。
図7】実施形態に係る保護筒体の断面図である。
図8】実施形態に係るヒータユニットのゾーン制御の説明図である。
図9】実施形態の第一変形例に係る保護筒体の斜視図である。
図10】実施形態の第一変形例に係る保護筒体の断面図である。
図11】実施形態の第二変形例に係る温度検知部の支持状態を示す図である。
図12】実施形態の第二変形例に係る保護部を説明するための図である。
図13】実施形態の第三変形例に係る温度検知部の支持状態を示す図である。
図14】実施形態の第四変形例に係る温度検知部の支持状態を示す図である。
図15】実施形態の第五変形例に係る温度検知部の支持状態を示す図である。
図16】実施形態の第六変形例に係る温度検知部の支持状態を示す図である。
図17】実施形態の第七変形例に係る温度検知部の支持状態を示す図である。
図18】実施形態の第七変形例に係る遮蔽部を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。水平面内の所定方向をX方向、水平面内においてX方向と直交する方向をY方向、X方向及びY方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ方向とする。
【0023】
<基板加熱装置>
図1は、実施形態に係る基板加熱装置1の斜視図である。
図1に示すように、基板加熱装置1は、チャンバ2、圧力調整部3、ガス供給部4、ヒータユニット6(基板加熱部)、ベースプレート7、温度検知部9(検知部)、保護筒体60(保護部)、圧力検知部14、気体液化回収部11、冷却部17(図2参照)、遮熱部30、遮蔽部40、遮蔽支持部50及び制御部15を備える。制御部15は、基板加熱装置1の構成要素を統括制御する。
なお、図1においては、チャンバ2を二点鎖線で示している。
【0024】
<チャンバ>
チャンバ2の内部には、基板10を収容可能な収容空間2Sが形成されている。基板10及びヒータユニット6は、共通のチャンバ2に収容されている。チャンバ2は、直方体の箱状に形成されている。
【0025】
図2に示すように、チャンバ2は、上下に分離可能な分割構造を有する。チャンバ2は、下方に開口する箱状に形成された上部構造体21と、上方に開口する箱状に形成された下部構造体22と、上部構造体21と下部構造体22とを分離可能に連結する連結部23と、を備える。
【0026】
上部構造体21は、矩形板状の天板25と、天板25の外周縁に繋がる矩形枠状の上部周壁26と、を備える。
下部構造体22は、天板25と対向する矩形板状の底板27と、底板27の外周縁に繋がる矩形枠状の下部周壁28と、を備える。下部周壁28には、不活性ガスをチャンバ2内に供給するためのゲート29が設けられている。
【0027】
例えば、上部構造体21と下部構造体22との連結を解除し上部構造体21を分離すると、下部構造体22は上方に開口する。下部構造体22が上方に開口した状態で、基板10の搬入及び搬出が可能となる。下部構造体22内に基板10を搬入した後に上部構造体21と下部構造体22とを連結することにより、基板10を密閉空間で収容可能である。例えば、上部構造体21と下部構造体22とをシール部材等を介して隙間なく連結することにより、チャンバ2内の気密性を向上することができる。
【0028】
<圧力調整部>
圧力調整部3は、チャンバ2内の圧力を調整可能である。図1に示すように、圧力調整部3は、チャンバ2に接続された真空配管3aを含む。真空配管3aは、Z方向に延在する円筒状の配管である。例えば、真空配管3aは、X方向に間隔をあけて複数配置されている。図1においては、1つの真空配管3aのみを示している。なお、真空配管3aの設置数は限定されない。真空配管3aはチャンバ2に接続されていればよく、真空配管3aの接続部位は限定されない。図2の例では、真空引きのラインがチャンバ2の底板27に設けられている(図2中矢印Vacuum)。
【0029】
例えば、圧力調整部3は、ポンプ機構等の圧力調整機構を備えている。圧力調整機構は、真空ポンプ13を備えている。真空ポンプ13は、真空配管3aにおいてチャンバ2との接続部(上端部)とは反対側の部分(下端部)から延びるラインに接続されている。
【0030】
圧力調整部3は、ポリイミド膜(ポリイミド)を形成するための溶液(以下「ポリイミド形成用液」という。)が塗布された基板10の収容空間2Sの雰囲気の圧力を調整可能である。例えば、ポリイミド形成用液は、ポリアミック酸又はポリイミドパウダーを含む。ポリイミド形成用液は、矩形板状をなす基板10の第一面10a(上面)にのみ塗布されている。
なお、基板10への塗布物(被処理物)は、ポリイミド形成用液に限定されず、基板10に所定の膜を形成するためのものであればよい。
【0031】
また、圧力調整部3は、収容空間2Sの雰囲気の圧力を調整可能とするものであるが、別途、この圧力調整部3内には、収容空間2Sに窒素(N)、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)等の不活性ガスを供給する機構(以下「不活性ガス供給機構」ともいう。)が設けられていてもよい。これにより、収容空間2Sを所望の圧力条件とするよう調整することができる。
また、後述するガス供給部4のように、圧力調整部3とは別に不活性ガス供給機構が設けられていてもよい。
【0032】
<ガス供給部>
ガス供給部4は、チャンバ2の内部雰囲気の状態を調整可能である。ガス供給部4は、チャンバ2に接続されたガス供給配管4aを含む。ガス供給配管4aは、Z方向に延在する円筒状の配管である。例えば、ガス供給配管4aは、X方向に間隔をあけて複数配置されている。図1においては、1つのガス供給配管4aのみを示している。なお、ガス供給配管4aの設置数は限定されない。真空配管3aは、チャンバ2に接続されていればよく、ガス供給配管4aの接続部位は限定されない。
【0033】
ガス供給部4は、収容空間2Sに不活性ガスを供給することによって収容空間2Sの状態を調整可能である。ガス供給部4は、窒素(N)、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)等の不活性ガスをチャンバ2内へ供給する。図2の例では、N供給部がチャンバ2の天板25及び下部周壁28のそれぞれに2つずつ設けられている(図2中矢印N)。なお、ガス供給部4は、基板降温時にガスを供給することで、前記ガスを基板冷却に使用してもよい。
【0034】
ガス供給部4は、クリーンドライエアー(CDA)を供給することによって収容空間2Sの状態を調整可能である。図2の例では、CDA供給部がチャンバの天板25及び底板27のそれぞれに2つずつ設けられている(図2中矢印CDA)。例えば、ガス供給部4は、ガス供給配管4a内を通る気体中の微細な塵埃を除去するためのダストフィルタと、水分を除去するためのミストフィルタと、を備えていてもよい。
【0035】
ガス供給部4により、チャンバ2の内部雰囲気の酸素濃度を調整することができる。チャンバ2の内部雰囲気の酸素濃度(質量基準)は、低いほど好ましい。具体的には、チャンバ2の内部雰囲気の酸素濃度を、100ppm以下とすることが好ましく、20ppm以下とすることがより好ましい。
例えば、基板10に塗布されたポリイミド形成用液を硬化するときの雰囲気において、このように酸素濃度を好ましい上限以下とすることにより、ポリイミド形成用液の硬化を進行しやすくすることができる。
なお、図2中矢印EXHは、チャンバ2内の気体をチャンバ2外に排出するために下部周壁28に設けられた排気ラインを示す。
【0036】
<ヒータユニット>
図1に示すように、ヒータユニット6は、チャンバ2内の上方に配置されている。図2に示すように、ヒータユニット6は、天板25に支持されている。ヒータユニット6と天板25との間には、ヒータユニット6を支持する支持部材19が設けられている。ヒータユニット6は、チャンバ2内の天板25寄りで定位置に固定されている。ヒータユニット6の赤外線ヒータ140は、支持部材19によって天板25に吊り下げられている。
【0037】
図3は、実施形態に係るヒータユニット6の平面図である。図4は、実施形態に係る赤外線ヒータ140の平面図である。
図3に示すように、ヒータユニット6は、複数(例えば本実施形態では20台)の赤外線ヒータ140を備える。複数の赤外線ヒータ140は、個別に制御可能とされている。制御部15(図1参照)は、複数の赤外線ヒータ140を個別に制御可能である。
【0038】
図1に示すように、赤外線ヒータ140は、基板10を赤外線によって加熱可能である。赤外線ヒータ140は、基板10を段階的に加熱可能である。例えば、基板10の加熱温度範囲は、200℃以上かつ600℃以下の範囲である。赤外線ヒータ140は、基板10の第一面10a(一方面)の側に配置されている。赤外線ヒータ140は、チャンバ2の天板25の側に配置されている。
【0039】
例えば、赤外線ヒータ140のピーク波長範囲は、1.5μm以上4μm以下の範囲である。なお、赤外線ヒータ140のピーク波長範囲は、上記範囲に限らず、要求仕様に応じて種々の範囲に設定することができる。
【0040】
図4に示すように、赤外線ヒータ140は、複数個所で折り曲げられた管状をなしている。赤外線ヒータ140の外形は、平面視で矩形状をなしている。例えば、赤外線ヒータ140の各辺の長さは、250mm程度である。例えば、赤外線ヒータ140は、石英管で形成されている。
【0041】
赤外線ヒータ140は、ストレート部群141と、ベンド部群142と、第一カバー部143と、第二カバー部144と、第一導入部145と、第二導入部146と、を備える。
【0042】
ストレート部群141は、複数(例えば、本実施形態では9つ)のストレート部141a~141iを備える。ストレート部141a~141iは、第一方向V1に長手を有する直管状をなしている。ストレート部141a~141iは、第一方向V1と直交(交差)する第二方向V2に並んで複数配置されている。複数のストレート部141a~141iは、第二方向V2に実質的に同じ間隔U1(中心軸間のピッチ)をあけて配置されている。ストレート部141a,141b,141c,141d,141e,141f,141g,141h,141iは、第二方向V2の一方側から他方側に向けてこの順に配置されている。
【0043】
ベンド部群142は、複数(例えば、本実施形態では8つ)のベンド部142a~142hを備える。ベンド部142a~142hは、外方に凸をなすように折り曲げられている。ベンド部142a~142hは、隣り合う2つのストレート部141a~141iの端部を連結している。例えば、ベンド部142aは、ストレート部141aの一端部とストレート部141bの一端部とを連結している。すなわち、ベンド部142a~142hは、赤外線ヒータ140のうち隣り合う2つのストレート部141a~141iの端部を連結するように屈曲する屈曲部である。平面視で、ベンド部142a~142hは、外方に凸をなすU字管状をなしている。ベンド部142a,142b,142c,142d,142e,142f,142g,142hは、第二方向V2の一方側から他方側に向けてこの順に配置されている。
【0044】
第一カバー部143および第二カバー部144は、複数のベンド部142a~142hを外方から覆うように第二方向V2に直線状に延びている。
第一カバー部143は、4つのベンド部142b,142d,142f,142hを第一方向V1の一方側から覆っている。
第二カバー部144は、4つのベンド部142a,142c,142e,142gを第一方向V1の他方側から覆っている。
【0045】
第一カバー部143は、第二方向V2の一方側のストレート部141aの一端部に連結されている。第一カバー部143は、第二方向V2に長手を有する直管状をなしている。第一カバー部143とベンド部142b,142d,142f,142hとの間の間隔U2(中心軸間のピッチ)は、隣り合う2つのストレート部141a~141iの間の間隔U1と実質的に同じ大きさとされている。
【0046】
第二カバー部144は、第二方向V2の他方側のストレート部141iの一端部に連結されている。第二カバー部144は、L字管状をなしている。すなわち、第二カバー部144は、第二方向V2に長手を有するカバー本体144aと、カバー本体144aの一端部に連結されるとともに第一方向V1に長手を有する延在部144bと、を備えている。第二カバー部144とベンド部142a,142c,142e,142gとの間の間隔U3(中心軸間のピッチ)は、隣り合う2つのストレート部141a~141iの間の間隔U1と実質的に同じ大きさとされている。
【0047】
第一導入部145は、赤外線ヒータ140の一端に設けられている。第一導入部145は、赤外線ヒータ140の一辺の一方側に配置されている。具体的に、第一導入部145は、第一カバー部143の一端に設けられている。第一導入部145の一部は、平面視で赤外線ヒータ140の外形内に入り込んでいる。
【0048】
第二導入部146は、赤外線ヒータ140の他端に設けられている。第二導入部146は、赤外線ヒータ140の一辺の他方側に配置されている。第二導入部146は、第二方向V2において第一導入部145とは反対側に配置されている。具体的に、第二導入部146は、第二カバー部144における延在部144bの一端に設けられている。第二導入部146の一部は、平面視で赤外線ヒータ140の外形内に入り込んでいる。
【0049】
図3に示すように、ヒータユニット6は、複数(例えば本実施形態では20台)の赤外線ヒータ140を敷き詰めて構成されている。
ヒータユニット6は、一対の第一赤外線ヒータ群140Aと、一対の第二赤外線ヒータ群140Bと、を備える。第一赤外線ヒータ群140Aと第二赤外線ヒータ群140Bとは、第二方向V2に交互に敷き詰めて配置されている。
【0050】
第一赤外線ヒータ群140Aは、複数(例えば本実施形態では5台)の第一赤外線ヒータ140a1~140a5を備える。一対の第一赤外線ヒータ群140Aは、合計10台の第一赤外線ヒータ140a1~140a5を備える。複数の第一赤外線ヒータ140a1~140a5は、第一方向V1(一方向)に敷き詰めて配置されている。第一赤外線ヒータ140a1,140a2,140a3,140a4,140a5は、第一方向V1の一方側から他方側に向けてこの順に配置されている。
【0051】
第二赤外線ヒータ群140Bは、複数(例えば本実施形態では5台)の第二赤外線ヒータ140b1~140b5を備える。一対の第二赤外線ヒータ群140Bは、合計10台の第二赤外線ヒータ140b1~140b5を備える。複数の第二赤外線ヒータ140b1~140b5は、第一方向V1に敷き詰めて配置されている。第二赤外線ヒータ140b1,140b2,140b3,140b4,140b5は、第一方向V1と平行な方向の一方側から他方側に向けてこの順に配置されている。
【0052】
第二赤外線ヒータ140b1~140b5は、平面視で第一赤外線ヒータ140a1~140a5と同じ形状を有している。第二赤外線ヒータ140b1~140b5は、平面視で第一赤外線ヒータ140a1~140a5を反転(180度回転)させた形状を有している。具体的に、第二赤外線ヒータ140b1~140b5は、平面視で、第一赤外線ヒータ140a1~140a5を、その中心を起点として、右回り(時計回り)に180度回転させた形状を有している。
【0053】
<ベースプレート>
図1に示すように、ベースプレート7は、チャンバ2内の下方に配置されている。ベースプレート7は、基板10の第一面10aとは反対側の第二面10b(下面)の側に配置されている。図2に示すように、ベースプレート7は、チャンバ2の底板27の側に配置されている。ベースプレート7は、矩形板状をなしている。ベースプレート7には、基板10を下方から支持する支持ピン8(支持部材)が設けられている。
【0054】
支持ピン8は、基板10の第二面10b(他方面)を支持可能である。支持ピン8は、上下に延びる棒状の部材である。支持ピン8の先端(上端)は、基板10の第二面10bに当接している。支持ピン8は、第二面10bと平行な方向(X方向及びY方向)に間隔を空けて複数設けられている。複数の支持ピン8は、それぞれ略同じ長さに形成されている。複数の支持ピン8の先端は、第二面10bと平行な面内(XY平面内)に配置されている。
【0055】
<温度検知部>
温度検知部9は、少なくとも一部が収容空間2Sに配置されている。温度検知部9は、基板10の温度を検知可能である。温度検知部9は、少なくとも先端が赤外線の照射方向に対して交差するように配置されたシース熱電対(熱電対)である。図2においては、赤外線の照射方向J1を鉛直下方として図示している。
【0056】
図5に示すように、温度検知部9は、支持ピン8に取り付けられている。支持ピン8には、温度検知部9の挿通孔を有する固定部材16が連結されている。固定部材16は、支持ピン8の上部に連結されている。温度検知部9は、固定部材16を介して支持ピン8に支持されている。
【0057】
温度検知部9の一部(温度検知部9の途中部分)は、固定部材16に支持されている。温度検知部9において固定部材16の挿通孔から引き出された部分9a(以下「引き出し部9a」ともいう。)は、実質的に水平方向に延在している。温度検知部9の引き出し部9aは、赤外線の照射方向J1に対して略直交するように配置されている。
【0058】
例えば、温度検知部9の引き出し部9aの長さは、30mm程度である。温度検知部9は、固定部材16によって片持ち支持されている。温度検知部9の引き出し部9aは、温度検知部9自体の剛性によって水平姿勢を保持している。温度検知部9の先端は、基板10の第二面10bに対向している。温度検知部9は、保護筒体60を介して基板10の温度を検知する。
【0059】
図2に示すように、温度検知部9は、少なくとも先端が基板10とチャンバ2の底板27(底部)との間に配置されている。温度検知部9の引き出し部9a(図5参照)は、基板10とベースプレート7との間に配置されている。温度検知部9の先端の位置は、ベースプレート7よりも基板10に近い。
【0060】
温度検知部9は、基板10から離れて配置されている。温度検知部9の先端は、基板10の第二面10bに近接している。例えば、温度検知部9の先端と基板10の第二面10bとの間の離反距離(以下「検知距離」ともいう。)は、10mm以上50mm以下である。本実施形態では、検知距離は、30mm程度である。例えば、検知距離は、複数の温度検知部9のそれぞれにおいて実質的に同じとされている。
【0061】
図7に示すように、温度検知部9の引き出し部9a(シース熱電対)は、円柱状を有する。図7の例では、温度検知部9の外径としてシース熱電対の外径を示す。例えば、温度検知部9の外径は、0.3mm以上1.0mm以下である。本実施形態では、温度検知部9の外径は、0.6mm程度である。
【0062】
図2に示すように、温度検知部9は、基板10の面内における複数地点の温度を検知可能に複数設けられている。温度検知部9は、X方向およびY方向のそれぞれに間隔をあけて複数配置されている。本実施形態において、温度検知部9は、3行3列(すなわち、X方向に3個かつY方向に3個)の計9個配置されている。図2においては、X方向に間隔をあけて配置された3個の温度検知部9を示す。温度検知部9は、基板10に設定された複数(例えば9つ)のゾーン毎に配置されている。温度検知部9の先端は、基板10の各ゾーンの温度を検知するセンサとして機能する。
【0063】
なお、温度検知部9の数は9個に限らない。温度検知部9の数は、任意の数に設定可能である。例えば、複数の温度検知部9は、基板10の各ゾーンに対応する位置に配置されることが好ましい。
【0064】
<保護筒体>
図5に示すように、保護筒体60は、温度検知部9において収容空間2Sに配置された部分を少なくとも保護している。保護筒体60は、赤外線ヒータ140(図2参照)からの赤外線を吸収可能である。保護筒体60は、赤外線ヒータ140のピーク波長範囲(例えば1.5μm以上4μm以下の範囲)の赤外線を吸収可能である。
【0065】
保護筒体60は、温度検知部9の引き出し部9aを保護している。保護筒体60は、温度検知部9の引き出し部9aと略平行に水平方向に延在している。保護筒体60は、温度検知部9の引き出し部9aの外周全体を囲んでいる。保護筒体60は、複数の温度検知部9のそれぞれの引き出し部9aを保護している。
【0066】
保護筒体60は、黒色の筒体である。例えば、保護筒体60は、ステンレス鋼(SUS)のパイプ(SUSパイプ)を酸化被膜処理で黒色化したものである。なお、保護筒体60は、これに限らず、黒色塗料やカーボンブラック、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)等で黒色化されていてもよい。
【0067】
図6に示すように、保護筒体60は、円筒状を有する。保護筒体60は、温度検知部9の引き出し部9aと間隔をあけて円筒状に形成されている。保護筒体60の長さは、温度検知部9の引き出し部9aの長さよりも大きい。保護筒体60の基端は、固定部材16に連結されている。保護筒体60の先端は、開口している。図7の断面視で、保護筒体60は、閉じた環状を有する。
【0068】
保護筒体60は、温度検知部9の引き出し部9aの外径以上の内径を有する。例えば、保護筒体60の内径は、0.5mm以上1.5mm以下である。本実施形態では、保護筒体60の内径は、0.8mm程度である。
【0069】
温度検知部9の引き出し部9aと保護筒体60との間には、隙間59が設けられている。隙間59aは、温度検知部9の引き出し部が延びる部分全体にわたって設けられている。例えば、隙間59の間隔は、0.1mm程度である。温度検知部9の引き出し部9aと保護筒体60との間に隙間59がある場合でも、温度検知部9の引き出し部9aは、温度検知部9自体の剛性によって姿勢を保持している。
【0070】
<圧力検知部>
圧力検知部14(図1参照)は、収容空間2Sの圧力(以下「チャンバ内圧力」ともいう。)を検知可能である。例えば、圧力検知部14の本体部(センサ)は、チャンバ2内に配置されている。例えば、圧力検知部14の表示部(圧力表示器)は、チャンバ2外に配置されている。例えば、圧力検知部14は、デジタル圧力センサである。なお、図1では圧力検知部14を1つのみ図示しているが、圧力検知部14の数は1つに限らず、複数であってもよい。
【0071】
<気体液化回収部>
図1に示すように、気体液化回収部11は、圧力調整部3(真空ポンプ13)のラインに接続されている。気体液化回収部11は、圧力調整部3のラインにおいて真空ポンプ13よりも下流側に配置されている。気体液化回収部11は、真空配管3aを通る気体を液化するとともに、基板10に塗布されたポリイミド形成用液から揮発した溶媒を回収可能である。
【0072】
仮に、気体液化回収部11が圧力調整部3のラインにおいて真空ポンプ13よりも上流側に配置されている場合、上流側で液化した液体が次の減圧時に気化されることがあり、真空引き時間が遅延してしまう可能性がある。これに対し、本実施形態によれば、気体液化回収部11が圧力調整部3のラインにおいて真空ポンプ13よりも下流側に配置されていることで、下流側で液化した液体は次の減圧時に気化されることがないため、真空引き時間が遅延することを回避することができる。
【0073】
<冷却部>
冷却部17は、チャンバ2を冷却可能である。図2に示すように、冷却部17は、チャンバ2の構成部材の内部に配置されるとともに、冷媒を通過可能とする冷媒通過部18を備える。例えば、冷媒は、水等の液体である。冷媒通過部18には、不図示のポンプによって冷媒が流れるようになっている。図示はしないが、冷媒通過部18には冷媒の供給口及び排出口が設けられている。なお、冷媒は、水等の液体に限定されない。例えば、冷媒は、空気等の気体であってもよい。
【0074】
冷媒通過部18は、チャンバ2に複数設けられている。図2の例では、冷媒通過部18は、チャンバ2の天板25、底板27及び下部周壁28(ゲート29)のそれぞれに設けられている。これにより、チャンバ2の天板25、底板27及び下部周壁28(ゲート29)のそれぞれの温度を一定に保つことができる。
なお、冷媒通過部18は、上部周壁26には設けられていない。上部周壁26には、チャンバ固定用のボルト(不図示)が設けられるためである。
【0075】
<遮熱部>
遮熱部30は、ヒータユニット6とチャンバ2との間に配置されている。これにより、ヒータユニット6からの赤外線がチャンバ2に直に照射されることを防ぐことができる。遮熱部30は、複数の遮熱板31を備える。遮熱部30は、複数の遮熱板31をその厚み方向に間隔をあけて配置した構造体である。本実施形態では、遮熱部30は、3枚の遮熱板31を備える。例えば、遮熱板31は、ステンレス鋼(SUS)等の金属で形成されている。なお、遮熱板31は、金属に限らず、要求仕様に応じて種々の材料で形成することができる。
【0076】
遮熱部30は、チャンバ2に複数設けられている。図2の例では、遮熱部30は、チャンバ2の天板25、上部周壁26、底板27(ベースプレート7)及び下部周壁28(ゲート29)のそれぞれに臨むように設けられている。これにより、ヒータユニット6からの赤外線がチャンバ2の天板25、上部周壁26、底板27及び下部周壁28(ゲート29)に対して直に照射されることを防ぐことができる。
【0077】
図示はしないが、チャンバ2の天板25に臨む遮熱部30には、支持部材19と重なる部分に貫通孔が形成されている。一方、底板27(ベースプレート7)に臨む遮熱部30には、支持ピン8と重なる部分に貫通孔が形成されている。
【0078】
<遮蔽部>
遮蔽部40は、基板10とヒータユニット6との間に設けられている。遮蔽部40は、基板10を上方から覆うように配置されている。遮蔽部40は、赤外線を透過し、かつ、基板加熱時の昇華物を遮る矩形板状の遮蔽板である。遮蔽部40は、赤外線の照射方向J1に対して略直交するように水平に配置されている。例えば、遮蔽部40は、石英ガラスで形成されている。なお、遮蔽部40は、石英ガラスに限らず、要求仕様に応じて種々の材料で形成することができる。
【0079】
<遮蔽支持部>
遮蔽支持部50は、基板10とヒータユニット6との間に設けられている。遮蔽支持部50は、遮蔽部40を支持する複数の遮蔽支持体51,52を備える。複数の遮蔽支持体51,52は、それぞれ共通である。
【0080】
遮蔽支持体51,52は、赤外線の照射方向J1に対して交差するように延びている。遮蔽支持体51,52は、赤外線の照射方向J1に対して略直交し、且つ、遮蔽部40のX方向端の二辺のそれぞれに対して略平行に延びている。遮蔽支持体51,52は、Y方向に直線状に延びている。遮蔽支持体51,52は、円柱状を有する。なお、遮蔽支持体51,52の形状は、円柱状に限らず、矩形板状等の他の形状であってもよい。
【0081】
図2に示すように、遮蔽部40は、複数の遮蔽支持体51,52に支持されている。複数の遮蔽支持体51,52は、遮蔽部40の一端(X方向の第一辺)に設けられた第一遮蔽支持体51と、遮蔽部40の他端(X方向において第一辺と対向する第二辺)に設けられた第二遮蔽支持体52と、である。
【0082】
第一遮蔽支持体51及び第二遮蔽支持体52のそれぞれの両端部は、下部周壁28のY方向両側面にそれぞれ支持されている。第一遮蔽支持体51及び第二遮蔽支持体52は、互いに略同じ高さに設けられている。本実施形態では、遮蔽部40は、第一遮蔽支持体51及び第二遮蔽支持体52の二本のみで支持されている。第一遮蔽支持体51及び第二遮蔽支持体52の間隔(X方向の間隔)は、基板10の長手方向の長さよりも大きい。
【0083】
<ゾーン制御>
図8は、実施形態に係るヒータユニット6のゾーン制御の説明図である。
図8に示すように、平面視で、ヒータユニット6は、基板10の外形よりも大きい加熱ゾーンBを有する。加熱ゾーンBは、複数(例えは本実施形態では9つ)のゾーンB1~B9(第一ゾーンB1~第九ゾーンB9)を有する。なお、ゾーンの数は、9つに限定されず、適宜変更することができる。
【0084】
平面視で、第一ゾーンB1は、ヒータユニット6の中央部に配置されている。平面視で、第一ゾーンB1は、第二方向V2に長手を有する長方形状をなしている。第一ゾーンB1は、第一赤外線ヒータ140a3と第二赤外線ヒータ140b3とを1台ずつ第二方向V2に敷き詰めた領域に相当する。
【0085】
平面視で、第二ゾーンB2は、ヒータユニット6の-X方向側であって第一ゾーンB1に隣接する位置に配置されている。平面視で、第二ゾーンB2は、正方形状をなしている。第二ゾーンB3は、2台の第一赤外線ヒータ140a1,140a2と2台の第二赤外線ヒータ140b1,140b2とを第一方向V1および第二方向V2のそれぞれに敷き詰めた領域に相当する。
【0086】
平面視で、第三ゾーンB3は、ヒータユニット6の+X方向側であって第一ゾーンB1に隣接する位置に配置されている。平面視で、第三ゾーンB3は、正方形状をなしている。第三ゾーンB3は、2台の第一赤外線ヒータ140a4,140a5と2台の第二赤外線ヒータ140b4,140b5とを第一方向V1および第二方向V2のそれぞれに敷き詰めた領域に相当する。
【0087】
平面視で、第四ゾーンB4は、ヒータユニット6の+Y方向側であって第一ゾーンB1に隣接する位置に配置されている。平面視で、第四ゾーンB4は、正方形状をなしている。第四ゾーンB4は、第一赤外線ヒータ140a3の1台分の領域に相当する。
【0088】
平面視で、第五ゾーンB5は、ヒータユニット6の-Y方向側であって第一ゾーンB1に隣接する位置に配置されている。平面視で、第五ゾーンB5は、第一ゾーンB1を挟んで第四ゾーンB4とは反対側に配置されている。平面視で、第五ゾーンB5は、正方形状をなしている。第五ゾーンB5は、第二赤外線ヒータ140b3の1台分の領域に相当する。
【0089】
平面視で、第六ゾーンB6は、ヒータユニット6の+Y方向側であって第二ゾーンB2および第四ゾーンB4のそれぞれに隣接する位置に配置されている。平面視で、第六ゾーンB6は、第一方向V1に長手を有する長方形状をなしている。第六ゾーンB6は、2台の第一赤外線ヒータ140a1,140a2を第一方向V1に敷き詰めた領域に相当する。
【0090】
平面視で、第七ゾーンB7は、ヒータユニット6の-Y方向側であって第二ゾーンB2および第五ゾーンB5のそれぞれに隣接する位置に配置されている。平面視で、第七ゾーンB7は、第二ゾーンB2を挟んで第六ゾーンB6とは反対側に配置されている。平面視で、第七ゾーンB7は、第一方向V1に長手を有する長方形状をなしている。第七ゾーンB7は、2台の第二赤外線ヒータ140b1,140b2を第一方向V1に敷き詰めた領域に相当する。
【0091】
平面視で、第八ゾーンB8は、ヒータユニット6の+Y方向側であって第三ゾーンB3および第四ゾーンB4のそれぞれに隣接する位置に配置されている。平面視で、第八ゾーンB8は、第四ゾーンB4を挟んで第六ゾーンB6とは反対側に配置されている。平面視で、第八ゾーンB8は、第一方向V1に長手を有する長方形状をなしている。第八ゾーンB8は、2台の第一赤外線ヒータ140a4,140a5を第一方向V1に敷き詰めた領域に相当する。
【0092】
平面視で、第九ゾーンB9は、ヒータユニット6の-Y方向側であって第三ゾーンB3および第五ゾーンB5のそれぞれに隣接する位置に配置されている。平面視で、第九ゾーンB9は、第三ゾーンB3を挟んで第八ゾーンB8とは反対側に配置されている。平面視で、第九ゾーンB9は、第一方向V1に長手を有する長方形状をなしている。第九ゾーンB9は、2台の第二赤外線ヒータ140b4,140b5を第一方向V1に敷き詰めた領域に相当する。
【0093】
複数の赤外線ヒータ140a1~140a5,140b1~140b5は、個別に制御可能とされている。そのため、ヒータユニット6は、第一ゾーンB1から第九ゾーンB2の少なくとも一つを選択的に加熱可能とされている。制御部15(図1参照)は、ヒータユニット6を制御して、第一ゾーンB1から第九ゾーンB9の少なくとも一つを選択的に加熱させる。
【0094】
本実施形態において、温度検知部9は、第一ゾーンB1から第九ゾーンB9のそれぞれに1つずつ配置されている。図8において符号Epは、温度検知部9の先端の配置位置(以下「温度検知位置」ともいう。)を示す。各ゾーンB1~B9において、温度検知位置Epは、平面視で赤外線ヒータ(管状の部分)を避けた位置に配置されている。
【0095】
各ゾーンB1~B9において、温度検知位置Epは、平面視で基板10と重なる位置に配置されている。そのため、各ゾーンB1~B9において、温度検知部9は、基板10の温度を検知可能である。各ゾーンB1~B9における基板10の温度(各温度検知部9の検知結果)は、制御部15(図2参照)に入力される。制御部15は、各温度検知部9の検知結果に基づいて、ヒータユニット6をゾーン毎に制御可能である。これにより、ゾーン毎に基板10の温度を調整することができる。
【0096】
<作用効果>
以上のように、本実施形態によれば、基板加熱装置1は、基板10を収容可能な収容空間2Sが内部に形成されたチャンバ2と、基板10の第一面10a側に配置されるとともに、基板10を赤外線によって加熱可能なヒータユニット6と、少なくとも一部が収容空間2Sに配置された温度検知部9と、温度検知部9において収容空間2Sに配置された部分を少なくとも保護するとともに、赤外線を吸収する保護筒体60と、を含む。
この構成によれば、温度検知部9において収容空間2Sに配置された部分を少なくとも保護する保護筒体60を含むことで、温度検知部9に向かう赤外線を保護筒体60で遮ることができる。温度検知部9に向かう赤外線は保護筒体60で吸収されるため、赤外線は温度検知部9に直接照射されない。したがって、温度検知部9の劣化を抑制するとともに、温度検知部9の変色や劣化に伴う応答性の変化を抑制することができる。
【0097】
本実施形態において、保護筒体60は、黒色の筒体であることで、以下の効果を奏する。
保護筒体60で赤外線が効果的に吸収されるため、温度検知部9の応答性を向上することができる。例えば、温度検知部9で基板10の温度を検知する場合には、検知温度よりも実際の基板温度が高くなること(基板温度のオーバーシュート)を抑制することができる。
【0098】
本実施形態において、保護筒体60は、断面視で閉じた環状を有することで、以下の効果を奏する。
温度検知部9の外周全体が保護筒体60によって囲まれるため、温度検知部9の劣化をより効果的に抑制するとともに、温度検知部9の変色や劣化に伴う応答性の変化をより効果的に抑制することができる。
【0099】
本実施形態において、保護筒体60の先端は、開口していることで、以下の効果を奏する。
保護筒体60の先端が閉じている場合と比較して、保護筒体60の内部空間の圧力上昇による温度検知部9の抜けを抑制することができる。
【0100】
本実施形態において、温度検知部9は、少なくとも先端が赤外線の照射方向J1に対して交差するように配置された熱電対であることで、以下の効果を奏する。
熱電対の先端が赤外線の照射方向J1に対して平行に配置されている場合と比較して、温度検知部9において赤外線が照射される面積が大きくなるため、温度検知部9の応答性をより効果的に向上することができる。
【0101】
本実施形態において、温度検知部9は、基板10から離れて配置されていることで、以下の効果を奏する。
温度検知部9が接触方式の場合と比較して、基板10との接触による摩耗はしないため、温度検知部9の耐久性を向上することができる。加えて、温度検知部9が基板10に接触していることを監視する必要がないため、簡便である。
【0102】
本実施形態において、温度検知部9は、少なくとも先端が基板10とチャンバ2の底板27との間に配置されていることで、以下の効果を奏する。
チャンバ2の底板27と基板10との間を通る赤外線が温度検知部9に照射されるため、温度検知部9の応答性を向上することができる。
【0103】
本実施形態において、基板10を基板10の第二面10b側から支持する支持ピン8を備え、温度検知部9は、支持ピン8に支持されていることで、以下の効果を奏する。
支持ピン8によって温度検知部9を安定して支持することができる。加えて、基板10を支持するための支持ピン8が温度検知部9の支持を兼ねるため、温度検知部9を支持するための部材を別に設ける場合と比較して、部品点数を削減することができる。
【0104】
本実施形態において、温度検知部9は、基板10の面内における複数地点の温度を検知可能に複数設けられていることで、以下の効果を奏する。
複数の温度検知部9によって基板10の面内の複数地点の温度をリアルタイムで把握することができる。
【0105】
本実施形態において、基板10の第一面10bには、ポリイミドを形成するための溶液が塗布されていることで、以下の効果を奏する。
ポリイミドの形成時において、温度検知部9の劣化を抑制するとともに、温度検知部9の変色や劣化に伴う応答性の変化を抑制することができる。
【0106】
<変形例>
なお、上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、設計要求等に基づき種々変更可能である。
上記実施形態においては、基板加熱部は、複数の赤外線ヒータを備えるヒータユニットであるが、これに限らない。例えば、基板加熱部は、単一の赤外線ヒータであってもよい。
【0107】
上記実施形態においては、温度検知部の引き出し部が延びる部分全体にわたって隙間が設けられているが、これに限らない。例えば、図9に示すように、隙間59は、温度検知部9の引き出し部9aが延びる部分の一部のみに設けられていてもよい。例えば、保護筒体160は、温度検知部9の引き出し部9aに係合する係合部161を備えてもよい。例えば、係合部161は、保護筒体160の一部を潰すことにより形成することができる。例えば、図10に示すように、係合部161は、温度検知部9の引き出し部9aの外周に複数個所(例えば3箇所)で当接していてもよい。
この構成によれば、保護筒体160は、温度検知部9に係合する係合部161を備えることで、保護筒体160から温度検知部9が抜けることを抑制することができる。
【0108】
上記実施形態においては、保護部は、温度検知部の引き出し部と間隔をあけて円筒状に形成された保護筒体であるが、これに限らない。例えば、図11に示すように、基板加熱装置は、保護筒体を備えていなくてもよい。例えば、図12に示すように、保護部は、温度検知部9の引き出し部9aの外周に設けられた保護膜260であってもよい。例えば、保護膜260は、温度検知部9の引き出し部9aが延びる部分全体にわたって設けられていてもよい。例えば、保護部は、シース熱電対自体に黒色処理等をしたものであってもよい。保護部には、温度検知部とは別の部材に黒色処理等をしたものに限らず、温度検知部自体に黒色処理等をしたものが含まれる。保護部は、円筒状に限らず、封筒のような扁平状であってもよい。保護部の形状は、要求仕様に応じて種々の形状を採用することができる。保護部の色は、黒色に限らず、要求仕様に応じて種々の色を採用することができる。
【0109】
上記実施形態においては、基板を基板の第二面側から支持する支持ピンを備え、温度検知部は、支持ピンに支持されているが、これに限らない。例えば、図13に示すように、温度検知部9は、支持ピン8以外のピン308(以下「検知部用ピン308」ともいう。)に支持されていてもよい。例えば、検知部用ピン308は、支持ピン8と略平行に延びていてもよい。例えば、検知部用ピン308の先端(上端)は、支持ピン8の先端よりも低い位置にあってもよい。例えば、固定部材16は、検知部用ピン308の先端に連結されていてもよい。
この構成によれば、温度検知部9は、支持ピン8以外の検知部用ピン308に支持されていることで、支持ピン8の位置に左右されずに温度検知部9を配置することができる。したがって、温度検知部9のレイアウトの自由度を向上することができる。
【0110】
上記実施形態においては、温度検知部は、固定部材に支持されているが、これに限らない。例えば、図14に示すように、温度検知部9は、筒状のパイプ416に支持されていてもよい。例えば、パイプ416は、検知部用ピン308の先端に連結されていてもよい。例えば、パイプ416は、複数の検知部用ピン308に跨るように延びていてもよい。例えば、温度検知部9は、パイプ416内を通じて引き出されていてもよい。例えば、パイプ416は、石英やSUSで形成されていてもよい。
【0111】
上記実施形態においては、温度検知部は、少なくとも先端が基板とチャンバの底部との間に配置されているが、これに限らない。例えば、図15に示すように、温度検知部9は、少なくとも先端が基板10とヒータユニット6との間に配置されていてもよい。例えば、温度検知部9は、少なくとも先端が基板10と遮蔽部40との間に配置されていてもよい。例えば、温度検知部9は、温度検知部9の傾きを調整可能な傾き調整機構570にパイプ416を介して支持されていてもよい。例えば、傾き調整機構570は、パイプ416を水平に対して傾動可能に支持する環状の傾動支持部571と、傾動支持部571を上端で支持する調整用ピン572と、を備えていてもよい。例えば、温度検知部9は、それぞれ配置の態様が異なるように複数設けられていてもよい。例えば、一方の温度検知部9は、収容空間2Sに全体が配置されていてもよい。例えば、他方の温度検知部9は、収容空間2Sに一部のみが配置されていてもよい。
この構成によれば、ヒータユニット6から基板10に向かう赤外線が温度検知部9に照射されるため、温度検知部9の応答性を向上することができる。
【0112】
上記実施形態においては、温度検知部は、支持ピンに支持されているが、これに限らない。例えば、図16に示すように、温度検知部9は、基板10とヒータユニット6との間に設けられ、赤外線の照射方向J1に対して交差するように延びる横架部材680に支持されていてもよい。例えば、横架部材680は、X方向に延びる円筒状を有していてもよい。例えば、横架部材680の両端部は、横架支持体681によって支持されていてもよい。例えば、横架部材680は、X方向に間隔をあけて配置された複数の貫通孔680aを有していてもよい。例えば、温度検知部9の引き出し部9aは、横架部材680の貫通孔680aを通じて基板10と横架部材680との間に引き出されていてもよい。
この構成によれば、横架部材680によって温度検知部9を安定して支持することができる。
【0113】
上記実施形態においては、遮蔽部は、矩形板状の遮蔽板であるが、これに限らない。例えば、図17に示すように、遮蔽部740は、赤外線の照射方向J1に対して交差するように延びる円筒状の円筒体741を備えていてもよい。例えば、円筒体741は、X方向に延びていてもよい。例えば、温度検知部9は、円筒体741の内部空間に配置されていてもよい。例えば、図18に示すように、遮蔽部740は、弧状に湾曲する複数の遮蔽体742を更に備えていてもよい。例えば、遮蔽体742は、円筒体741と平行に延びていてもよい。例えば、遮蔽体742は、遮蔽体741の長手方向から見て上側に向かって凸をなすように弧状に湾曲していてもよい。例えば、円筒体741は、隣り合う2つの遮蔽体742の間に配置されていてもよい。
この構成によれば、遮蔽部740によって温度検知部9を安定して支持することができる。
【0114】
上記実施形態においては、保護部は、断面視で閉じた環状を有するが、これに限らない。例えば、保護部は、断面視で開いた環状(例えばC字状)を有していてもよい。
【0115】
上記実施形態においては、保護部の先端は、開口しているが、これに限らない。例えば、保護部の先端は、閉じていてもよい。
【0116】
上記実施形態においては、基板加熱装置は、少なくとも先端が基板とチャンバの底部との間に配置された温度検知部を備えるが、これに限らない。例えば、基板加熱装置は、少なくとも先端が基板と基板加熱部との間に配置された第一検知部と、少なくとも先端が基板とチャンバの底部との間に配置された第二検知部と、を備えていてもよい。温度検知部の設置位置は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0117】
上記実施形態においては、温度検知部が熱電対であるが、これに限らない。例えば、温度検知部は、放射温度計等の非接触温度センサであってもよい。例えば、温度検知部は、非接触温度センサに限らず、接触式温度センサであってもよい。
【0118】
上記実施形態においては、検知部が温度検知部であるが、これに限らない。例えば、検知部は、圧力検知部、酸素濃度検知部など、温度検知部以外の検知部であってもよい。
【0119】
また、上記実施形態の基板加熱装置を含む基板処理システムに本発明を適用してもよい。例えば、基板処理システムは、工場などの製造ラインに組み込まれて用いられ、基板の所定の領域に薄膜を形成するシステムである。図示はしないが、例えば、基板処理システムは、上記基板加熱装置を含む基板処理ユニットと、処理前の基板を収容した搬入用カセットが供給されると共に空の搬入用カセットが回収されるユニットである基板搬入ユニットと、処理後の基板を収容した搬出用カセットが回収されると共に空の搬出用カセットが供給されるユニットである基板搬出ユニットと、基板処理ユニットと基板搬入ユニットとの間で搬入用カセットを搬送すると共に、基板処理ユニットと基板搬出ユニットの間で搬出用カセットを搬送する搬送ユニットと、各ユニットを統括制御する制御ユニットと、を備えている。
この構成によれば、上記基板加熱装置を含むことで、基板処理システムにおいて、検知部の劣化を抑制するとともに、検知部の変色や劣化に伴う応答性の変化を抑制することができる。
【0120】
なお、上記において実施形態又はその変形例として記載した各構成要素は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜組み合わせることができるし、また、組み合わされた複数の構成要素のうち一部の構成要素を適宜用いないようにすることもできる。
【符号の説明】
【0121】
1…基板加熱装置 2…チャンバ 2S…収容空間 6…ヒータユニット(基板加熱部) 9…温度検知部(検知部、第一検知部、第二検知部) 10…基板 10a…第一面(基板の一方面) 27…底板(チャンバの底部) 60,160…保護筒体(保護部) 161…係合部 260…保護膜(保護部) 680…横架部材 J1…赤外線の照射方向
図1
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