(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-17
(45)【発行日】2024-04-25
(54)【発明の名称】めっき装置、気泡除去方法、および気泡除去方法をめっき装置のコンピュータに実行させるためのプログラムを格納した記憶媒体
(51)【国際特許分類】
C25D 21/04 20060101AFI20240418BHJP
C25D 17/06 20060101ALI20240418BHJP
C25D 21/12 20060101ALI20240418BHJP
C25D 17/00 20060101ALI20240418BHJP
C25D 7/12 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
C25D21/04
C25D17/06 C
C25D21/12 A
C25D17/00 C
C25D7/12
(21)【出願番号】P 2020166988
(22)【出願日】2020-10-01
【審査請求日】2023-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】辻 一仁
(72)【発明者】
【氏名】下山 正
【審査官】長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-065287(JP,A)
【文献】特開2005-042158(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0237933(US,A1)
【文献】特開2014-132115(JP,A)
【文献】特開平07-157896(JP,A)
【文献】米国特許第10954602(US,B1)
【文献】特開2014-139341(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0166476(US,A1)
【文献】特開2018-145513(JP,A)
【文献】特開2017-115170(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 17/00ー17/28
C25D 21/00-21/22
C25D 7/12
H01L 21/288
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
めっき槽と、
被めっき面を下方に向けた状態で基板を保持するための基板ホルダと、
前記基板ホルダを昇降させるための昇降機構と、
前記基板ホルダに保持された基板と対向するように前記めっき槽内に配置されたアノードと、
前記アノードと前記基板との間に配置された抵抗体と、
前記アノードが配置された領域と前記抵抗体が配置された領域とを隔てるメンブレンと、
リザーバタンクに蓄えられた処理液を前記抵抗体より下方から前記めっき槽に供給するための供給配管と、
前記供給配管を介してめっき槽に供給された処理液を前記抵抗体より下方から前記リザーバタンクに排出するためのバイパス配管と、
を含み、
前記供給配管および前記バイパス配管は、前記めっき槽の前記メンブレンと前記抵抗体との間に接続されて
おり、
前記めっき槽を処理液で満たす際に、処理液の液面が前記抵抗体よりも低い状態で前記バイパス配管、前記リザーバタンク、および前記供給配管を介した処理液の循環を所定時間行った後に、処理液の循環を停止し、前記めっき槽を処理液で満たす、ように構成されている、
めっき装置。
【請求項2】
前記バイパス配管から排出された処理液を含む前記リザーバタンクに蓄えられた処理液を、前記供給配管を介して前記めっき槽へ吐出するためのポンプをさらに含む、
請求項1に記載のめっき装置。
【請求項3】
前記バイパス配管を流れる処理液の流量を調整するように構成された流量調整機構をさ
らに含み、
前記流量調整機構は、前記バイパス配管、前記リザーバタンク、および前記供給配管を介した処理液の循環を所定時間行った後に、処理液の循環を停止するように構成されている、
請求項1または2に記載のめっき装置。
【請求項4】
前記供給配管または前記バイパス配管を流れる処理液中の気泡の存在を検出するように構成された配管気泡検出センサをさらに含む、
請求項1または2に記載のめっき装置。
【請求項5】
前記配管気泡検出センサは、超音波センサである、
請求項4に記載のめっき装置。
【請求項6】
前記配管気泡検出センサの検出結果に応じて前記バイパス配管を流れる処理液の流量を調整するように構成された流量調整機構をさらに含む、
請求項4または5に記載のめっき装置。
【請求項7】
前記抵抗体の前記アノードと対向する面における気泡の存在を検出するための抵抗体気泡検出センサをさらに含む、
請求項1から6のいずれか一項に記載のめっき装置。
【請求項8】
前記抵抗体気泡検出センサは、前記抵抗体の前記アノードと対向する面に沿って超音波を発信するように構成された超音波発信部材と、前記超音波発信部から発信された超音波を受信するように構成された超音波受信部材と、を含む超音波センサである、
請求項7に記載のめっき装置。
【請求項9】
前記めっき槽を傾斜させるように構成された傾斜機構をさらに含み、
前記超音波受信部材は、前記傾斜機構による前記めっき槽の傾斜に伴って傾斜した前記抵抗体の上端の近傍に配置される、
請求項8に記載のめっき装置。
【請求項10】
前記供給配管または前記バイパス配管を流れる処理液を脱気するように構成された脱気モジュールをさらに含む、
請求項1から9のいずれか一項に記載のめっき装置。
【請求項11】
前記抵抗体は、前記アノードと前記基板との間を仕切るように配置された、多孔質の板状部材または前記アノード側と前記基板側とを連通する複数の貫通孔が形成された板状部材を含む、
請求項1から10のいずれか一項に記載のめっき装置。
【請求項12】
前記処理液は、めっき液、または、前記めっき槽を洗浄するための洗浄液である、
請求項1から11のいずれか一項に記載のめっき装置。
【請求項13】
カップ式のめっき装置のめっき槽に処理液を溜める際の気泡除去方法であって、
リザーバタンクに蓄えられた処理液を、前記めっき槽に収容されたアノードと基板との間に配置された抵抗体よりも下方から供給配管を介して前記めっき槽に供給する供給ステップ
を有し、
前記気泡除去方法は、処理液の液面が前記抵抗体よりも低い状態において、
前記供給ステップによって前記めっき槽に供給された処理液を前記抵抗体より下方からバイパス配管を介して前記リザーバタンクに排出する排出ステップと、
前記排出ステップによって排出された処理液を含む前記リザーバタンクに蓄えられた処理液を前記供給配管から前記めっき槽に供給する循環ステップと、
所定時間だけ前記循環ステップを行った後に処理液の循環を停止する停止ステップと、
を含み、
前記めっき槽は、前記アノードが配置された領域と前記抵抗体が配置された領域とを隔てるメンブレンを含み、
前記供給配管および前記バイパス配管は、前記めっき槽の前記メンブレンと前記抵抗体との間に接続されている、
気泡除去方法。
【請求項14】
前記供給配管または前記バイパス配管を流れる処理液中の気泡の存在を検出する配管気泡検出ステップをさらに含む、 請求項13に記載の気泡除去方法。
【請求項15】
前記配管気泡検出ステップの検出結果に応じて前記バイパス配管を流れる処理液の流量を調整する流量調整ステップをさらに含む、
請求項
14に記載の気泡除去方法。
【請求項16】
前記抵抗体の前記アノードと対向する面における気泡の存在を検出するための抵抗体気泡検出ステップをさらに含む、
請求項13から
15のいずれか一項に記載の気泡除去方法。
【請求項17】
前記抵抗体気泡検出ステップを実行する前に、前記めっき槽を傾斜させる傾斜ステップをさらに含む、
請求項
16に記載の気泡除去方法。
【請求項18】
リザーバタンクに蓄えられた処理液を、カップ式のめっき装置のめっき槽に収容されたアノードと基板との間に配置された抵抗体よりも下方から供給配管を介して前記めっき槽に供給する供給ステップと、
処理液の液面が前記抵抗体よりも低い状態において、
前記供給ステップによって前記めっき槽に供給された処理液を前記抵抗体より下方からバイパス配管を介して前記リザーバタンクに排出する排出ステップと、
前記排出ステップによって排出された処理液を含む前記リザーバタンクに蓄えられた処理液を前記供給配管から前記めっき槽に供給する循環ステップと、
所定時間だけ前記循環ステップを行った後に処理液の循環を停止する停止ステップと、
を含む、めっき槽に処理液を溜める際の気泡除去方法をめっき装置のコンピュータに実行させるためのプログラムを格納した記憶媒体であって、
前記めっき槽は、前記アノードが配置された領域と前記抵抗体が配置された領域とを隔てるメンブレンを含み、
前記供給配管および前記バイパス配管は、前記めっき槽の前記メンブレンと前記抵抗体との間に接続されている、
記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、めっき装置、気泡除去方法、および気泡除去方法をめっき装置のコンピュータに実行させるためのプログラムを格納した記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
めっき装置の一例としてカップ式の電解めっき装置が知られている。カップ式の電解めっき装置は、被めっき面を下方に向けて基板ホルダに保持された基板(例えば半導体ウェハ)をめっき液に浸漬させ、基板とアノードとの間に電圧を印加することによって、基板の表面に導電膜を析出させる。
【0003】
例えば特許文献1に開示されているように、カップ式の電解めっき装置では、めっき槽にめっき液を供給し、めっき槽の上縁からオーバーフローしためっき液をタンクに溜めて、タンクに溜められためっき液をめっき槽に循環することが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術の電解めっき装置は、めっき槽への液入れ時に抵抗体の裏面に気泡が停滞することについて考慮されていない。
【0006】
すなわち、カップ式の電解めっき装置は、基板の被めっき面に均一な電界を供給するためにアノードと基板との間に配置された抵抗体を備える場合がある。抵抗体は、多孔質の板状部材またはアノード側と基板側とを連通する複数の貫通穴が形成された板状部材で構成され得る。
【0007】
ここで、めっき槽が空の状態からめっき液などの処理液の液入れを行う際には、処理液の供給配管での空気の巻き込みなどによってめっき槽内に気泡が混入する場合がある。そのまま液入れを継続して処理液をめっき槽に満たすと、小さな気泡は抵抗体の多孔質穴または貫通孔を通って上昇して処理液の液面から抜けるが、抵抗体の多孔質穴または貫通孔よりも大きな気泡は抵抗体の裏面に停滞する場合がある。抵抗体の裏面に気泡が停滞すると、めっき性能に影響を及ぼし得るので好ましくない。
【0008】
そこで、本願は、めっき槽への液入れ時に抵抗体の裏面に気泡が停滞するのを抑制することを1つの目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態によれば、めっき槽と、被めっき面を下方に向けた状態で基板を保持するための基板ホルダと、前記基板ホルダを昇降させるための昇降機構と、前記基板ホルダに保持された基板と対向するように前記めっき槽内に配置されたアノードと、前記アノードと前記基板との間に配置された抵抗体と、リザーバタンクに蓄えられた処理液を前記抵抗体より下方から前記めっき槽に供給するための供給配管と、前記供給配管を介してめっき槽に供給された処理液を前記抵抗体より下方から前記リザーバタンクに排出するためのバイパス配管と、を含む、めっき装置が開示される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本実施形態のめっき装置の全体構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本実施形態のめっき装置の全体構成を示す平面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態のめっきモジュールの構成を概略的に示す縦断面図である。
【
図4】
図4は、抵抗体の裏面に停滞する気泡を模式的に示す図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態のめっきモジュールの処理液の循環経路を概略的に示す図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態のめっきモジュールの処理液の循環経路を概略的に示す図である。
【
図7】
図7は、第3実施形態のめっきモジュールの処理液の循環経路を概略的に示す図である。
【
図8】
図8は、第4実施形態のめっきモジュールの構成を概略的に示す縦断面図である。
【
図9】
図9は、第5実施形態のめっきモジュールの構成を概略的に示す縦断面図である。
【
図10】
図10は、めっきモジュールを用いた気泡除去方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する図面において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0012】
<めっき装置の全体構成>
図1は、本実施形態のめっき装置の全体構成を示す斜視図である。
図2は、本実施形態のめっき装置の全体構成を示す平面図である。
図1、2に示すように、めっき装置1000は、ロードポート100、搬送ロボット110、アライナ120、プリウェットモジュール200、プリソークモジュール300、めっきモジュール400、洗浄モジュール500、スピンリンスドライヤ600、搬送装置700、および、制御モジュール800を備える。
【0013】
ロードポート100は、めっき装置1000に図示していないFOUPなどのカセットに収納された基板を搬入したり、めっき装置1000からカセットに基板を搬出するためのモジュールである。本実施形態では4台のロードポート100が水平方向に並べて配置されているが、ロードポート100の数および配置は任意である。搬送ロボット110は、基板を搬送するためのロボットであり、ロードポート100、アライナ120、および搬送装置700の間で基板を受け渡すように構成される。搬送ロボット110および搬送装置700は、搬送ロボット110と搬送装置700との間で基板を受け渡す際には、図示していない仮置き台を介して基板の受け渡しを行うことができる。
【0014】
アライナ120は、基板のオリエンテーションフラットやノッチなどの位置を所定の方向に合わせるためのモジュールである。本実施形態では2台のアライナ120が水平方向に並べて配置されているが、アライナ120の数および配置は任意である。プリウェットモジュール200は、めっき処理前の基板の被めっき面を純水または脱気水などの処理液で濡らすことで、基板表面に形成されたパターン内部の空気を処理液に置換する。プリウェットモジュール200は、めっき時にパターン内部の処理液をめっき液に置換することでパターン内部にめっき液を供給しやすくするプリウェット処理を施すように構成される。本実施形態では2台のプリウェットモジュール200が上下方向に並べて配置されているが、プリウェットモジュール200の数および配置は任意である。
【0015】
プリソークモジュール300は、例えばめっき処理前の基板の被めっき面に形成したシード層表面等に存在する電気抵抗の大きい酸化膜を硫酸や塩酸などの処理液でエッチング除去してめっき下地表面を洗浄または活性化するプリソーク処理を施すように構成される。本実施形態では2台のプリソークモジュール300が上下方向に並べて配置されているが、プリソークモジュール300の数および配置は任意である。めっきモジュール400は、基板にめっき処理を施す。本実施形態では、上下方向に3台かつ水平方向に4台並べて配置された12台のめっきモジュール400のセットが2つあり、合計24台のめっきモジュール400が設けられているが、めっきモジュール400の数および配置は任意である。
【0016】
洗浄モジュール500は、めっき処理後の基板に残るめっき液等を除去するために基板に洗浄処理を施すように構成される。本実施形態では2台の洗浄モジュール500が上下方向に並べて配置されているが、洗浄モジュール500の数および配置は任意である。スピンリンスドライヤ600は、洗浄処理後の基板を高速回転させて乾燥させるためのモジュールである。本実施形態では2台のスピンリンスドライヤが上下方向に並べて配置されているが、スピンリンスドライヤの数および配置は任意である。搬送装置700は、めっき装置1000内の複数のモジュール間で基板を搬送するための装置である。制御モジュール800は、めっき装置1000の複数のモジュールを制御するように構成され、例えばオペレータとの間の入出力インターフェースを備える一般的なコンピュータまたは専用コンピュータから構成することができる。
【0017】
めっき装置1000による一連のめっき処理の一例を説明する。まず、ロードポート100にカセットに収納された基板が搬入される。続いて、搬送ロボット110は、ロードポート100のカセットから基板を取り出し、アライナ120に基板を搬送する。アライナ120は、基板のオリエンテーションフラットやノッチなどの位置を所定の方向に合わせる。搬送ロボット110は、アライナ120で方向を合わせた基板を搬送装置700へ受け渡す。
【0018】
搬送装置700は、搬送ロボット110から受け取った基板をプリウェットモジュール200へ搬送する。プリウェットモジュール200は、基板にプリウェット処理を施す。搬送装置700は、プリウェット処理が施された基板をプリソークモジュール300へ搬送する。プリソークモジュール300は、基板にプリソーク処理を施す。搬送装置700は、プリソーク処理が施された基板をめっきモジュール400へ搬送する。めっきモジュール400は、基板にめっき処理を施す。
【0019】
搬送装置700は、めっき処理が施された基板を洗浄モジュール500へ搬送する。洗浄モジュール500は、基板に洗浄処理を施す。搬送装置700は、洗浄処理が施された基板をスピンリンスドライヤ600へ搬送する。スピンリンスドライヤ600は、基板に乾燥処理を施す。搬送装置700は、乾燥処理が施された基板を搬送ロボット110へ受け渡す。搬送ロボット110は、搬送装置700から受け取った基板をロードポート100のカセットへ搬送する。最後に、ロードポート100から基板を収納したカセットが搬出される。
【0020】
<めっきモジュールの構成>
次に、めっきモジュール400の構成を説明する。本実施形態における24台のめっきモジュール400は同一の構成であるので、1台のめっきモジュール400のみを説明する。
図3は、第1実施形態のめっきモジュール400の構成を概略的に示す縦断面図である。
図3に示すように、めっきモジュール400は、めっき液を収容するためのめっき槽410を備える。めっき槽410は、上面が開口した円筒形の内槽412と、内槽412の上縁からオーバーフローしためっき液を溜められるように内槽412の周囲に設けられた外槽414と、を含んで構成される。
【0021】
めっきモジュール400は、内槽412の内部を上下方向に隔てるメンブレン420を備える。内槽412の内部はメンブレン420によってカソード領域422とアノード領域424に仕切られる。カソード領域422とアノード領域424にはそれぞれめっき液が充填される。アノード領域424の内槽412の底面にはアノード430が設けられる。カソード領域422にはメンブレン420に対向する抵抗体450が配置される。抵抗体450は、基板Wfの被めっき面Wf-aにおけるめっき処理の均一化を図るための部材である。なお、本実施形態ではメンブレン420が設けられる一例を示したが、メンブレン420は設けられなくてもよい。
【0022】
また、めっきモジュール400は、被めっき面Wf-aを下方に向けた状態で基板Wfを保持するための基板ホルダ440を備える。基板ホルダ440は、図示していない電源から基板Wfに給電するための給電接点を備える。めっきモジュール400は、基板ホルダ440を昇降させるための昇降機構442を備える。昇降機構442は、例えばモータなどの公知の機構によって実現することができる。めっきモジュール400は、昇降機構442を用いて基板Wfをカソード領域422のめっき液に浸漬し、アノード430と基板Wfとの間に電圧を印加することによって、基板Wfの被めっき面Wf-aにめっき処理を施すように構成される。
【0023】
本実施形態のめっきモジュール400は、例えばめっきモジュール400の立ち上げ時のようにめっき槽410が空の状態からめっき液の液入れを行う場合には、カソード領域422とアノード領域424のそれぞれにめっき液を供給するように構成される。アノード領域424には、アノード領域424に接続された図示していない供給配管からめっき液が供給される。一方、
図3に示すように、カソード領域422にめっき液を供給するために、内槽412の側壁412aの抵抗体450より下方かつメンブレン420より上方に供給口412bが形成される。めっきモジュール400は、めっき液を内槽412内のカソード領域422に供給するために供給口412bに接続された供給配管460を備える。
【0024】
ここで、カソード領域422への液入れ時には、めっき液が供給配管460において空気を巻き込むことなどによって内槽412内(カソード領域422)に気泡が混入する場合がある。
図4は、抵抗体450の裏面に停滞する気泡を模式的に示す図である。
図4に示すように、抵抗体450は、アノード430が設置された側と基板Wfが浸漬される側とを連通するように上下方向に伸びる複数の貫通孔452が形成された板状部材によって構成される。空気を巻き込んだめっき液を供給し続けて内槽412にめっき液を満たすと、
図4に示すように、小さな気泡Busは抵抗体450の貫通孔452を通って上昇してめっき液面から抜けるが、抵抗体450の貫通孔452よりも大きな気泡Bubは抵抗体450の裏面454に停滞する場合がある。抵抗体450の裏面454に気泡Bubが停滞すると、めっき性能に影響を及ぼし得るので好ましくない。なお、抵抗体450は、本実施形態の構成に限定されず、例えば多孔質の板状部材などによって構成することもできる。
【0025】
これに対して第1実施形態のめっきモジュール400では、
図3に示すように、内槽412の側壁412aの供給口412bに対向する位置に排出口412cが形成される。めっきモジュール400は、供給配管460を介してめっき槽410(内槽412)に供給されためっき液を排出するために排出口412cに接続されたバイパス配管462を備える。以下、バイパス配管462を用いためっき液の循環について説明する。
【0026】
図5は、第1実施形態のめっきモジュール400の処理液の循環経路を概略的に示す図である。
図5に示すように、めっきモジュール400は、めっき液を溜めるように構成されたリザーバタンク470を備える。供給配管460は、第1の端部460aがリザーバタンク470に接続され、第2の端部460bが内槽412の供給口412bに接続される。供給配管460には、リザーバタンク470に溜められためっき液を内槽412に吐出するためのポンプ472が設けられる。また、供給配管460には、めっき液中に含まれるダストなどの異物を取り除くためのフィルタ474、およびめっき液を所定の温度に保つための恒温器476が設けられる。
【0027】
一方、バイパス配管462は、第1の端部462aが内槽412の排出口412cに接続され、第2の端部462bがリザーバタンク470に接続される。バイパス配管462には、バイパス配管462を流れるめっき液の流量を調整するように構成された流量調整機構480が設けられる。流量調整機構480は、例えば、バイパス配管462を開閉することができる開閉弁であってもよいし、バイパス配管462を流れるめっき液の流量を可変制御することができる絞り弁であってもよい。流量調整機構480によってバイパス配管462にめっき液が流れるようにすれば、供給配管460を介して内槽412に供給されためっき液はバイパス配管462を介してリザーバタンク470に排出される。また、バイパス配管462を介して排出されためっき液を含むリザーバタンク470内のめっき液は、ポンプ472によって供給配管460を介して内槽412に供給される。その結果、めっき液は内槽412とリザーバタンク470との間で循環する。なお、めっきモジュール400は、外槽414に溜められためっき液をリザーバタンク470に戻すための戻し配管464を備える。戻し配管464は、第1の端部464aが外槽414に接続され、第2の端部464bがリザーバタンク470に接続される。
【0028】
めっきモジュール400は、液入れを行う場合、内槽412内のめっき液の液面が抵抗体450の裏面454よりも高くならないようにポンプ472の吐出量を調整しながら内槽412とリザーバタンク470との間でめっき液を循環させる。めっき液に含まれる気泡は、めっき液が内槽412とリザーバタンク470との間で循環している間に、例えば、内槽412内のめっき液の液面またはリザーバタンク470内のめっき液の液面から大気へ抜ける。
【0029】
めっきモジュール400は、例えば実験などによって経験的に得られた所定時間めっき液の循環を行うことによって、めっき液中に含まれる気泡を除去することができる。めっきモジュール400は、めっき液の循環によってめっき液中の気泡を除去した後、流量調整機構480を用いてバイパス配管462を閉じることによってめっき液の循環を停止する。一方、めっきモジュール400は、気泡が含まれないめっき液をポンプ472によって内槽412へ供給し続けることによって抵抗体450の上方まで内槽412にめっき液を満たした後、基板Wfのめっき処理を実行することができる。以上、本実施形態によれば、めっき槽410(内槽412)への液入れ時に抵抗体450の裏面454に気泡Bubが停滞するのを抑制することができる。なお、例えば昇降機構442、ポンプ472、流量調整機構480などのめっきモジュール400を構成する各種部品は、
図3に示すように処理装置810(例えばCPU)および記憶媒体820を備える制御モジュール800によって制御することができる。ただし、上記の態様に限らず、めっきモジュール400は、めっき液の循環によってめっき液中の気泡を除去した後、流量調整機構480を用いてバイパス配管462を流れるめっき液の流量を絞ることによって少量のめっき液をバイパス配管462から流し続けてもよい。この場合、めっきモジュール400は、内槽412へのめっき液の供給量がバイパス配管462からのめっき液の排出量より多くなるようにバイパス配管462を流れるめっき液の流量を絞ることによって、内槽412にめっき液を充填する(満たす)ことができる。
【0030】
なお、本実施形態では排出口412cが供給口412bに対向する位置に形成される例を示したが、これに限定されない。排出口412cは、内槽412の側壁412aの抵抗体450より下方かつメンブレン420より上方に形成されていればよい。めっきモジュール400がメンブレン420を備えない場合には、排出口412cは、内槽412の側壁412aの抵抗体450より下方に形成されていればよい。一例として、排出口412cは、供給口412bよりも上方に位置するように内槽412の側壁412aに形成されてもよい。内槽412に供給されためっき液に含まれる気泡はめっき液の上部に存在するので、排出口412cを供給口412bよりも高い位置に設けることによって気泡を排出口412cから排出し易くなる。また、本実施形態では、めっき槽410へ液入れされる処理液の一例としてめっき液を説明したが、処理液はめっき液に限らず、めっき槽410を洗浄するための洗浄液であってもよい。洗浄液は、例えば、純水であってもよく、希硫酸、クエン酸、添加剤成分など有機物汚染に対してはアルカリ性水溶液(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)やSPM(Sulfuric Acid Hydrogen Peroxide Mixture)溶液であってもよく、金属汚染に対しては硝酸などの水溶液であってもよい。
【0031】
図6は、第2実施形態のめっきモジュールの処理液の循環経路を概略的に示す図である。第2実施形態のめっきモジュールは、配管気泡検出センサ482を備えることを除いて第1実施形態と同様の構成であるため、第1実施形態と重複する構成については説明を省略する。
【0032】
図6に示すように、第2実施形態のめっきモジュール400は、供給配管460を流れるめっき液中の気泡の存在を検出するように構成された配管気泡検出センサ482を備える。配管気泡検出センサ482は、例えば、供給配管460を流れるめっき液に対して超音波を発信するとともにめっき液を伝播した超音波を受信し、受信した超音波の強度に基づいて気泡の存在を検出することができる超音波センサであり得るが、超音波センサには限定されない。第2実施形態のめっきモジュール400は、第1実施形態と同様にめっき液を循環させながら、配管気泡検出センサ482によってめっき液に含まれる気泡が除去されたか否かを判定することができる。
【0033】
第2実施形態のめっきモジュール400では、流量調整機構480は、配管気泡検出センサ482の検出結果に応じてバイパス配管462を流れるめっき液の流量を調整することができる。具体的には、流量調整機構480は、配管気泡検出センサ482によってめっき液中に気泡の存在が所定時間検出されない場合には、バイパス配管462を閉じてめっき液の循環を停止することができる。本実施形態によれば、配管気泡検出センサ482を用いてめっき液中の気泡の存在の有無を確認することができるので、めっき液に気泡が含まれなくなってからめっき液の循環を停止して内槽412にめっき液を溜めることができる。その結果、本実施形態によれば、内槽412への液入れ時に抵抗体450の裏面454に気泡Bubが停滞するのをより確実に抑制することができる。なお、本実施形態では供給配管460に配管気泡検出センサ482が設けられる例を示したが、配管気泡検出センサ482はバイパス配管462に設けられていてもよく、バイパス配管462を流れるめっき液中の気泡の存在を検出することもできる。
【0034】
図7は、第3実施形態のめっきモジュールの処理液の循環経路を概略的に示す図である。第3実施形態のめっきモジュールは、脱気モジュール484を備えることを除いて第2実施形態と同様の構成であるため、第2実施形態と重複する構成については説明を省略する。
【0035】
図7に示すように、めっきモジュール400は、バイパス配管462を流れるめっき液に含まれる気泡を除去するように構成された脱気モジュール484を備える。本実施形態では、めっき液に含まれる気泡は、めっき液が内槽412とリザーバタンク470との間で循環している間に脱気モジュール484によって脱気される。本実施形態では、脱気モジュール484がバイパス配管462に設けられる例を示したが、これに限らず脱気モジュール484は供給配管460に設けられていてもよい。
【0036】
本実施形態によれば、脱気モジュール484を用いることによってめっき液中の気泡を効率よく除去することができるので、内槽412への液入れ時に抵抗体450の裏面454に気泡Bubが停滞するのをより確実に抑制することができる。また、脱気モジュール484を用いることによってめっき液中の気泡を効率よく除去することができるので、気泡除去のためのめっき液の循環時間を短くすることができ、その結果、めっきモジュール400の立ち上げ時などにおけるめっき槽410への液入れを速やかに実行することができる。なお、
図5から
図7の実施形態では、1つのめっき槽410に1つのリザーバタンク470が接続されている例を示したが、これに限定されない。複数(例えば2つ)のめっき槽410が同様の配管構造で1つのリザーバタンク470に接続されていてもよい。すなわち、複数のめっき槽410が1つのリザーバタンク470を同様の配管構造で共用してもよい。
【0037】
図8は、第4実施形態のめっきモジュールの構成を概略的に示す縦断面図である。第4実施形態のめっきモジュールは、抵抗体気泡検出センサ490を備えることを除いて第1実施形態と同様の構成であるため、第1実施形態と重複する構成については説明を省略する。
【0038】
図8に示すように、めっきモジュール400は、抵抗体450のアノード430と対向する面(裏面454)における気泡の存在を検出するための抵抗体気泡検出センサ490を備える。抵抗体気泡検出センサ490は、抵抗体450のアノード430と対向する面(裏面454)に沿って超音波を発信するように構成された超音波発信部材492と、超音波発信部材492から発信された超音波を受信するように構成された超音波受信部材494と、を含む超音波センサで構成され得る。
【0039】
本実施形態によれば、抵抗体気泡検出センサ490によって抵抗体450の裏面454における気泡の存在の有無を確認することができる。したがって、例えば、内槽412への液入れ時にめっき液を循環させることによってめっき液中の気泡を除去し、内槽412にめっき液を満たした後に、抵抗体450の裏面454に気泡が停滞していないことを確認することができる。めっきモジュール400は、抵抗体気泡検出センサ490によって抵抗体450の裏面454に気泡が検出された場合には、アラームを発出して再度めっき液の循環を行うことができる。めっきモジュール400は、抵抗体気泡検出センサ490によって抵抗体450の裏面454に気泡が検出されない場合には、めっき処理を実行することができる。
【0040】
図9は、第5実施形態のめっきモジュールの構成を概略的に示す縦断面図である。第5実施形態のめっきモジュールは、傾斜機構416を備えることを除いて第4実施形態と同様の構成であるため、第4実施形態と重複する構成については説明を省略する。
【0041】
図9に示すように、めっきモジュール400は、めっき槽410を傾斜させるように構成された傾斜機構416を備える。傾斜機構416は、例えばチルト機構などの公知の機構によって実現することができる。めっきモジュール400は、
図9に示すようにめっき槽410を傾斜させた状態で、抵抗体気泡検出センサ490によって抵抗体450の裏面454における気泡の存在の有無を確認することができる。
【0042】
すなわち、円筒形状の内槽412に適合するように抵抗体450は円板状に形成されている。したがって、めっき液の循環によって除去されない気泡がある場合には、気泡は抵抗体450の円形の裏面454のいずれかの場所に停滞することになる。ここで、超音波発信部材492から発信され超音波受信部材494で受信される超音波の伝播経路以外の場所に気泡が停滞している場合には、その気泡が抵抗体気泡検出センサ490によって検出されないおそれがある。
【0043】
これに対して、本実施形態では、めっき槽410を傾斜させることにより抵抗体450も傾斜するので、抵抗体450の裏面454に気泡が停滞している場合には、
図9に示すように、気泡は傾斜した抵抗体450の上端付近に移動する。そして、超音波受信部材494は、めっき槽410の傾斜に伴って傾斜した抵抗体450の上端の近傍に配置される。したがって、本実施形態のめっきモジュール400は、抵抗体450の裏面454に気泡が停滞している場合には、その気泡を抵抗体気泡検出センサ490による超音波の伝播経路に移動させることによって、裏面454に停滞する気泡の存在を確実に検出することができる。
【0044】
なお、めっきモジュール400は、抵抗体気泡検出センサ490によって抵抗体450の裏面454に気泡が検出されない場合には、傾斜機構416によってめっき槽410を水平に戻した後にめっき処理を実行することができる。また、めっきモジュール400は、基板Wfとアノード430とが平行になるように基板ホルダ440を傾斜させてめっき処理を実行することもできる。
【0045】
次に、本実施形態の気泡除去方法について説明する。
図10は、めっきモジュールを用いた気泡除去方法のフローチャートである。本実施形態の気泡除去方法は、めっきモジュール400の液入れ時に実行される。
図10に示すように、気泡除去方法は、ポンプ472を用いてリザーバタンク470に蓄えられためっき液を供給配管460から内槽412に供給する(供給ステップ102)。続いて、気泡除去方法は、供給ステップ102によって内槽412に供給されためっき液をバイパス配管462からリザーバタンク470に排出する(排出ステップ104)。
【0046】
続いて、気泡除去方法は、配管気泡検出センサ482を用いて供給配管460を流れるめっき液中に気泡の存在が検出されるか否かを判定する(配管気泡検出ステップ106)。気泡除去方法は、供給配管460を流れるめっき液中に気泡の存在が検出されたら(配管気泡検出ステップ106,Yes)、排出ステップ104によって排出されためっき液を含むリザーバタンク470に蓄えられためっき液を供給配管460から内槽412に供給する(循環ステップ107)。気泡除去方法は、循環ステップ107の後排出ステップ104へ戻って、排出ステップ104、配管気泡検出ステップ106、および循環ステップ107を繰り返す。
【0047】
なお、めっきモジュール400が配管気泡検出センサ482を備えない場合には、配管気泡検出ステップ106は実行されない。その場合、気泡除去方法は、例えば実験などによって経験的に得られた所定時間、排出ステップ104および循環ステップ107を繰り返してめっき液の循環を行うことによって、めっき液中に含まれる気泡を除去することができる。また、供給ステップ102と循環ステップ107は、リザーバタンク470に蓄えられためっき液をポンプ472によって内槽412に供給するという点では同一の動作であるが、内槽412に供給するめっき液が内槽412から排出されためっき液を含まないか含むかという点で異なるため、別ステップとして記載している。
【0048】
一方、気泡除去方法は、供給配管460を流れるめっき液中に気泡の存在が検出されなかったら(配管気泡検出ステップ106,No)、流量調整機構480を用いてバイパス配管462を流れるめっき液の流量を調整する(流量調整ステップ108)。流量調整ステップ108は、例えば流量調整機構480が開閉弁である場合には、開閉弁を閉じることによってめっき液の循環を停止する。これにより、バイパス配管462からめっき液が排出されなくなる一方、内槽412にはめっき液が供給され続けるので、内槽412にめっき液が満たされる。
【0049】
続いて、気泡除去方法は、傾斜機構416を用いて内槽412を傾斜させる(傾斜ステップ109)。なお、めっきモジュール400が傾斜機構416を備えない場合には、傾斜ステップ109は実行されない。続いて、気泡除去方法は、抵抗体気泡検出センサ490を用いて抵抗体450の裏面454における気泡の存在が検出されるか否かを判定する(抵抗体気泡検出ステップ110)。気泡除去方法は、抵抗体450の裏面454に気泡の存在が検出されたら(抵抗体気泡検出ステップ110,Yes)、アラームを発出する(ステップ112)。
【0050】
一方、気泡除去方法は、抵抗体450の裏面454に気泡の存在が検出されなかったら(抵抗体気泡検出ステップ110,No)、基板Wfを基板ホルダ440に保持する(ステップ114)。続いて、気泡除去方法は、基板Wfをめっき液に浸漬させてめっき処理を実行する(ステップ116)。
【0051】
本実施形態の気泡除去方法によれば、内槽412とリザーバタンク470との間でめっき液を循環させることによって、めっき液に含まれる気泡を、例えば内槽412内のめっき液の液面またはリザーバタンク470内のめっき液の液面から除去することができる。したがって、本実施形態の気泡除去方法によれば、めっき槽410(内槽412)への液入れ時に抵抗体450の裏面454に気泡が停滞するのを抑制することができる。
【0052】
図3などに示すように、制御モジュール800は処理装置810(例えばCPU)および記憶媒体820を備える。記憶媒体820には、めっき装置1000で用いられる各種データの他、上記の気泡除去方法における各ステップをめっき装置1000のコンピュータ(制御モジュール800)に実行させるためのプログラムが格納されている。制御モジュール800の処理装置810(例えばCPU)は、記憶媒体820に格納されたプログラムを読み出して実行することができる。このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記録され、記憶媒体を介して制御モジュール800に提供され得る。或いは、このプログラムは、インターネットなどの通信ネットワークを介して制御モジュール800に提供されてもよい。
【0053】
以上、いくつかの本発明の実施形態について説明してきたが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【0054】
本願は、一実施形態として、めっき槽と、被めっき面を下方に向けた状態で基板を保持するための基板ホルダと、前記基板ホルダを昇降させるための昇降機構と、前記基板ホルダに保持された基板と対向するように前記めっき槽内に配置されたアノードと、前記アノードと前記基板との間に配置された抵抗体と、リザーバタンクに蓄えられた処理液を前記抵抗体より下方から前記めっき槽に供給するための供給配管と、前記供給配管を介してめっき槽に供給された処理液を前記抵抗体より下方から前記リザーバタンクに排出するためのバイパス配管と、を含む、めっき装置を開示する。
【0055】
さらに、本願は、一実施形態として、前記バイパス配管から排出された処理液を含む前記リザーバタンクに蓄えられた処理液を、前記供給配管を介して前記めっき槽へ吐出するためのポンプをさらに含む、めっき装置を開示する。
【0056】
さらに、本願は、一実施形態として、前記供給配管または前記バイパス配管を流れる処理液中の気泡の存在を検出するように構成された配管気泡検出センサをさらに含む、めっき装置を開示する。
【0057】
さらに、本願は、一実施形態として、前記配管気泡検出センサは、超音波センサである、めっき装置を開示する。
【0058】
さらに、本願は、一実施形態として、前記配管気泡検出センサの検出結果に応じて前記バイパス配管を流れる処理液の流量を調整するように構成された流量調整機構をさらに含む、めっき装置を開示する。
【0059】
さらに、本願は、一実施形態として、前記抵抗体の前記アノードと対向する面における気泡の存在を検出するための抵抗体気泡検出センサをさらに含む、めっき装置を開示する。
【0060】
さらに、本願は、一実施形態として、前記抵抗体気泡検出センサは、前記抵抗体の前記アノードと対向する面に沿って超音波を発信するように構成された超音波発信部材と、前記超音波発信部から発信された超音波を受信するように構成された超音波受信部材と、を含む超音波センサである、めっき装置を開示する。
【0061】
さらに、本願は、一実施形態として、前記めっき槽を傾斜させるように構成された傾斜機構をさらに含み、前記超音波受信部材は、前記傾斜機構による前記めっき槽の傾斜に伴って傾斜した前記抵抗体の上端の近傍に配置される、めっき装置を開示する。
【0062】
さらに、本願は、一実施形態として、前記供給配管または前記バイパス配管を流れる処理液を脱気するように構成された脱気モジュールをさらに含む、めっき装置を開示する。
【0063】
さらに、本願は、一実施形態として、前記アノードが配置された領域と前記抵抗体が配置された領域とを隔てるメンブレンをさらに含み、前記供給配管および前記バイパス配管は、前記めっき槽の前記メンブレンと前記抵抗体との間に接続される、めっき装置を開示する。
【0064】
さらに、本願は、一実施形態として、前記抵抗体は、前記アノードと前記基板との間を仕切るように配置された、多孔質の板状部材または前記アノード側と前記基板側とを連通する複数の貫通孔が形成された板状部材を含む、めっき装置を開示する。
【0065】
さらに、本願は、一実施形態として、前記処理液は、めっき液、または、前記めっき槽を洗浄するための洗浄液である、めっき装置を開示する。
【0066】
さらに、本願は、一実施形態として、カップ式のめっき装置のめっき槽に処理液を溜める際の気泡除去方法であって、リザーバタンクに蓄えられた処理液を、前記めっき槽に収容されたアノードと基板との間に配置された抵抗体よりも下方から供給配管を介して前記めっき槽に供給する供給ステップと、前記供給ステップによって前記めっき槽に供給された処理液を前記抵抗体より下方からバイパス配管を介して前記リザーバタンクに排出する排出ステップと、前記排出ステップによって排出された処理液を含む前記リザーバタンクに蓄えられた処理液を前記供給配管から前記めっき槽に供給する循環ステップと、を含む、気泡除去方法を開示する。
【0067】
さらに、本願は、一実施形態として、前記供給配管または前記バイパス配管を流れる処理液中の気泡の存在を検出する配管気泡検出ステップをさらに含む、気泡除去方法を開示する。
【0068】
さらに、本願は、一実施形態として、前記配管気泡検出ステップの検出結果に応じて前記バイパス配管を流れる処理液の流量を調整する流量調整ステップをさらに含む、気泡除去方法を開示する。
【0069】
さらに、本願は、一実施形態として、前記抵抗体の前記アノードと対向する面における気泡の存在を検出するための抵抗体気泡検出ステップをさらに含む、気泡除去方法を開示する。
【0070】
さらに、本願は、一実施形態として、前記抵抗体気泡検出ステップを実行する前に、前記めっき槽を傾斜させる傾斜ステップをさらに含む、気泡除去方法を開示する。
【0071】
さらに、本願は、一実施形態として、リザーバタンクに蓄えられた処理液を、カップ式のめっき装置のめっき槽に収容されたアノードと基板との間に配置された抵抗体よりも下方から供給配管を介して前記めっき槽に供給する供給ステップと、前記供給ステップによって前記めっき槽に供給された処理液を前記抵抗体より下方からバイパス配管を介して前記リザーバタンクに排出する排出ステップと、前記排出ステップによって排出された処理液を含む前記リザーバタンクに蓄えられた処理液を前記供給配管から前記めっき槽に供給する循環ステップと、を含む、めっき槽に処理液を溜める際の気泡除去方法をめっき装置のコンピュータに実行させるためのプログラムを格納した記憶媒体を開示する。
【符号の説明】
【0072】
410 めっき槽
412 内槽
412a 側壁
412b 供給口
412c 排出口
414 外槽
416 傾斜機構
420 メンブレン
422 カソード領域
424 アノード領域
430 アノード
440 基板ホルダ
442 昇降機構
450 抵抗体
452 貫通孔
454 裏面
460 供給配管
462 バイパス配管
470 リザーバタンク
472 ポンプ
480 流量調整機構
482 配管気泡検出センサ
484 脱気モジュール
490 抵抗体気泡検出センサ
492 超音波発信部材
494 超音波受信部材
800 制御モジュール
810 処理装置
820 記憶媒体
1000 めっき装置
Bub 気泡
Wf 基板
Wf-a 被めっき面