(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】無人航空機および照明制御方法
(51)【国際特許分類】
G03B 15/00 20210101AFI20240419BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20240419BHJP
B64D 47/08 20060101ALI20240419BHJP
B64D 47/04 20060101ALI20240419BHJP
H04N 5/222 20060101ALI20240419BHJP
E03F 7/00 20060101ALI20240419BHJP
G03B 15/03 20210101ALI20240419BHJP
G03B 15/05 20210101ALI20240419BHJP
H04N 23/70 20230101ALI20240419BHJP
【FI】
G03B15/00 U
B64C39/02
B64D47/08
B64D47/04
H04N5/222 100
E03F7/00
G03B15/00 T
G03B15/03 Z
G03B15/05
H04N23/70
(21)【出願番号】P 2020134163
(22)【出願日】2020-08-06
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100164471
【氏名又は名称】岡野 大和
(74)【代理人】
【識別番号】100176728
【氏名又は名称】北村 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】内堀 大輔
(72)【発明者】
【氏名】中川 雅史
(72)【発明者】
【氏名】島本 武史
(72)【発明者】
【氏名】海老名 明弘
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 崇弘
(72)【発明者】
【氏名】中西 清史
(72)【発明者】
【氏名】久保 聖治
(72)【発明者】
【氏名】林 明
(72)【発明者】
【氏名】武田 洋生
(72)【発明者】
【氏名】加々見 修
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/059877(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0237948(US,A1)
【文献】特開2016-171441(JP,A)
【文献】特開2017-119502(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 15/00
B64C 13/18
B64C 39/02
B64C 47/08
H04N 23/40 - 23/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下構造物の内部を飛行する無人航空機であって、
前記地下構造物の内部を撮影する撮影装置と、
前記撮影装置の撮影範囲を照明する照明装置と、を備え、
前記照明装置は、照明量を制御可能であ
り、
前記地下構造物の地表開口部の付近の照度値および前記地下構造物の構造データを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された照度値および構造データに基づき、前記地下構造物の内部の照度を推定し、該推定した照度に応じて、前記照明装置の照明量を制御する制御部と、をさらに備える、無人航空機。
【請求項2】
請求項
1に記載の無人航空機において、
前記地下構造物の内部の、床面または天井面、および、壁面からの距離を計測する測距センサをさらに備え、
前記制御部は、前記測距センサの計測結果に基づき、前記地下構造物の内部における前記無人航空機の位置を推定し、前記推定した地下構造物の内部の照度および前記無人航空機の位置に応じて、前記照明装置の照明量を制御する、無人航空機。
【請求項3】
請求項
1または
2に記載の無人航空機において、
前記照明装置は、照明量の配分を制御可能な複数の照明部からなる、無人航空機。
【請求項4】
撮影装置を備え、地下構造物の内部を飛行して前記撮影装置により前記地下構造物の内部を撮影する無人航空機に搭載され、前記撮影装置の撮影範囲を照明する照明装置の照明制御方法であって、
前記地下構造物の地表開口部の付近の照度値および前記地下構造物の構造データを記憶するステップと、
前記記憶された照度値および構造データに基づき、前記地下構造物の内部の照度を推定するステップと、
前記推定した照度に応じて、前記照明装置の照明量を制御するステップと、を含む、照明制御方法。
【請求項5】
請求項
4に記載の照明制御方法において、
前記地下構造物の内部の壁面からの距離を測距センサにより計測するステップと、
前記測距センサの計測結果に基づき、前記地下構造物の内部における前記無人航空機の位置を推定するステップと、をさらに含み、前記推定した地下構造物の内部の照度および前記無人航空機の位置に応じて、前記照明装置の照明量を制御する、照明制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無人航空機および照明制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通信用マンホール、下水道管路などの、地下に設置された地下構造物の点検方法としては、点検作業を行う作業者が地下構造物の内部に入り、目視により点検を行う方法が一般的であった。この方法には、作業者が地下構造物の内部に入る手間および地下での作業に伴う安全性の観点から問題があった。そこで、近年、無人航空機を用いて、地下構造物の点検を行う方法が提案されている(例えば、非特許文献1および非特許文献2参照)。この方法では、撮影装置を搭載した無人航空機に地下構造物の内部を飛行させながら、撮影装置により地下構造物の内部を撮影する。作業者は、撮影装置により撮影された映像を確認することで、地下構造物の内部の点検を行うことができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】谷戸善彦、稲垣裕亮、「下水道管路等閉鎖性空間に対応可能なドローンの開発」、第29回非開削技術研究発表会論文集、pp.25-32、2018.
【文献】磯崎尚、浦部幹夫、滝本麻理奈、「下水道管きょ点検調査におけるドローンの活用に関する研究」、pp.33-40、2018.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
地下構造物は地下に設置されているため、地下構造物の内部には光がほとんど入らない。また、地下構造物の内部を人が往来することを前提としていないため、地下構造物の内部には照明器具が設置されていない。そのため、無人航空機に搭載された撮影装置により地下構造物の内部を撮影するためには、撮影装置の撮影範囲を照明する照明装置を無人航空機に搭載する必要がある。
【0005】
図13は、地下構造物のひとつである通信用マンホール200の構造の一例を示す図である。
【0006】
図13に示すように、通信用マンホール200は、首部210と、躯体部220と、鉄蓋230と、管路240と、ダクト部250とを備える。躯体部220は、天井部221と、床部222と、側壁部223とを備える。躯体部220の天井部221には、首部210が連結される。通信用マンホール200の内部は、首部210の壁面H、天井部221の天井面R、側壁部223の壁面H、床部222の床面Fなどで囲まれる。首部210は、例えば、直径約60cmの略円筒形状の構造体である。首部210の一端は、躯体部220の天井面Rと連結され、首部210の多端は地面Aに露出する。したがって、首部210の多端から躯体部220の内部に入ることができる。首部210の高さは、地面Aと天井部221との距離を示す。首部210は、例えば、鉄筋コンクリートなどで製造される。
【0007】
躯体部220は、例えば、長手方向(X軸方向)の長さが約2.3m、短手方向(Y軸方向)の長さが約1.3m、高さ(Z軸方向の長さ)が約1.5mの箱型形状の構造体である。躯体部220は、首部210と同様に、鉄筋コンクリートなどで製造される。側壁部223には、複数の管路240へと接続される貫通孔が形成される。また、側壁部230には、ダクト部250が設けられる。隣接する通信用マンホール200同士は、直径約
7cmの管路240により接続される。鉄蓋230は、略円柱形状であり、首部210の多端に設けられた、通信用マンホール200の出入口であるマンホール孔Cに嵌合する。マンホール孔Cは、地上部110と地下部Bとの境界に形成されている。マンホール孔Cは、地面Aに露出した、地下構造物である通信用マンホール200の地表開口部である。複数の管路240には、通信ケーブルなどが敷設される。
【0008】
通信用マンホール200が設置される深さによっては、首部210の長さが数mに達する場合がある。この場合、鉄蓋230を開けていても、躯体部220の内部には光が届きにくいので、躯体部220の内部は暗い環境となる。そのため、通信用マンホール200の内部を無人航空機に搭載した撮影装置で撮影するためには、無人航空機は、首部210を通過できるように、小型の機体であることが必要となる。また、撮影装置の撮影範囲を照明する照明装置を無人航空機に搭載する必要がある。
【0009】
無人航空機の機体を小型化すると、無人航空機に搭載することができるバッテリーの容量が小さくなる。バッテリーの容量が小さくなると、照明装置で必要以上に電力を消費すると、無人航空機の飛行時間を十分に確保できなくなってしまう。
【0010】
かかる事情に鑑みてなされた本開示の目的は、無人航空機に搭載された照明装置における電力消費の低減を図ることができる無人航空機および照明制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一実施形態に係る無人航空機は、地下構造物の内部を飛行する無人航空機であって、前記地下構造物の内部を撮影する撮影装置と、前記撮影装置の撮影範囲を照明する照明装置と、を備え、前記照明装置は、照明量を制御可能であり、前記地下構造物の地表開口部の付近の照度値および前記地下構造物の構造データを記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された照度値および構造データに基づき、前記地下構造物の内部の照度を推定し、該推定した照度に応じて、前記照明装置の照明量を制御する制御部と、をさらに備える。
【0012】
一実施形態に係る照明制御方法は、撮影装置を備え、地下構造物の内部を飛行して前記撮影装置により前記地下構造物の内部を撮影する無人航空機に搭載され、前記撮影装置の撮影範囲を照明する照明装置の照明制御方法であって、前記地下構造物の地表開口部の付近の照度値および前記地下構造物の構造データを記憶するステップと、前記記憶された照度値および構造データに基づき、前記地下構造物の内部の照度を推定するステップと、前記推定した照度に応じて、前記照明装置の照明量を制御するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0013】
本開示に係る無人航空機および照明制御方法によれば、無人航空機に搭載された照明装置における電力消費の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示の一実施形態に係る無人航空機の要部構成を示す図である。
【
図3】
図1に示す制御装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図4】本開示の一実施形態に係る無人航空機の他の構成例を示す図である。
【
図5A】
図4に示す測距センサによる計測について説明するための図である。
【
図5B】
図4に示す測距センサによる計測について説明するための図である。
【
図7】本開示の一実施形態に係る無人航空機の別の構成例を示す図である。
【
図8】
図1に示す照明装置の構成の一例を示す図である。
【
図9】
図1に示す照明装置の構成の他の一例を示す図である。
【
図10】
図9に示す照明装置による照明の一例について説明するための図である。
【
図11】
図1に示す撮影装置および照明装置の配置の一例を示す図である。
【
図12B】
図1に示す撮影装置の配置の別の一例を示す図である。
【
図12C】
図1に示す撮影装置の配置のさらに別の一例を示す図である。
【
図13】通信用マンホールの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1は、本開示の一実施形態に係る無人航空機1の要部構成を示す図である。本実施形態に係る無人航空機1は、
図13に示す通信用マンホール200のような地下構造物の内部を飛行し、地下構造物の内部を撮影する。
図1においては、無人航空機1の構成のうち、本開示に特に関係する、地下構造物の内部の撮影および撮影範囲の照明に関係する構成を要部構成として示している。以下では、無人航空機1は、通信用マンホール200の内部の映像を撮影するものとして説明する。
【0017】
図1に示す無人航空機1は、撮影装置2と、照明装置3と、制御装置4とを備える。
【0018】
撮影装置2は、所定の範囲を撮影するカメラである。撮影装置2は、制御装置4の制御に従い撮影を行い、撮影した映像を制御装置4に出力する。
図1においては、撮影装置2が1つである例を示しているが、本開示はこれに限られるものではなく、複数の撮影装置2が無人航空機1に搭載されてよい。なお、
図1においては特に記載していないが、無人航空機1が飛行の推進力を得るためのプロペラは、無人航空機1が飛行可能であり、かつ、撮影装置2による撮影の障害とならない位置であれば、任意の位置に取り付けられてよい。以下の説明においても、無人航空機1が飛行可能であり、かつ、撮影装置2による撮影の障害とならない位置であれば、プロペラは任意の位置に取り付けられてよいため、記載を省略する。
【0019】
照明装置3は、制御装置4の制御に従い発光し、撮影装置2の撮影範囲を照明する。照明装置3は、撮影装置2の撮影範囲を照明可能な態様で、無人航空機1に搭載される。照明装置3は、照明量(明るさ)を制御可能である。
図1においては、照明装置3が1つである例を示しているが、本開示はこれに限られるものではなく、複数の照明装置3が無人航空機1に搭載されてよい。
【0020】
制御装置4は、無人航空機1全体の動作を制御する。制御装置4は、通信部41と、記憶部42と、制御部43とを備える。
【0021】
通信部41は、1つ以上の通信モジュールを含む。通信部41は、例えば、通信モジュールを介して、撮影装置2および照明装置3と通信する。また、通信部41は、例えば、通信モジュールを介して、作業者が有するパーソナルコンピュータ、スマートフォンなどの端末装置と通信を行い、例えば、撮影装置2により撮影された映像を端末装置に送信する。
【0022】
記憶部42は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置またはキャッシュメモリなどであるが、これらに限られない。記憶部42は、制御装置4の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部42は、システムプログラム、アプリケーションプログラムあるいはデータベースなどを記憶する。また、記憶部42は、例えば、通信用マンホール200のマンホール孔C(地表開口部)付近の照度値を記憶する。マンホール孔C付近の照度値は、例えば、別途用意された照度計により計測され、記憶部42に記憶される。また、記憶部42は、例えば、通信用マンホール200の構造データを記憶する。構造データは、通信用マンホール200の規格値であり、通信用マンホール200の設計情報である。
構造データには、例えば、首部210の高さ、躯体部220の大きさ、マンホール孔Cの大きさなどの情報が含まれる。
【0023】
制御部43は、1つ以上のプロセッサを含む。本実施形態において、「プロセッサ」は、汎用のプロセッサまたは特定の処理に特化した専用のプロセッサであるが、これらに限られない。制御部43は、無人航空機1全体の動作を制御する。例えば、制御部43は、無人航空機1が備えるプロペラを回転させ、無人航空機1の飛行を制御する。また、制御部43は、無人航空機1を飛行させながら、撮影装置2に撮影を行わせる。また、制御部43は、照明装置3に、撮影装置2の撮影範囲を照明させる。上述したように、照明装置3は、照明量を制御可能である。制御部43は、地下構造物である通信用マンホール200の内部の照度を推定し、推定した照度に応じて、照明装置3の照明量を制御する。
【0024】
図2は、制御部43の機能ブロック図である。
図2に示すように、制御部43は、照度推定部431と、照明量制御部432とを備える。制御部43の動作の制御に用いられる1以上のプログラムが記憶部42に記憶され、当該プログラムが制御部43により読み込まれることで、制御部43が照度推定部431および照明量制御部432として機能する。
【0025】
照度推定部431は、通信用マンホール200の内部の照度を推定する。具体的には、照度推定部431は、記憶部42に記憶されている、通信用マンホール200の地表開口部であるマンホール孔C付近の照度値および通信用マンホール200の構造データに基づき、通信用マンホール200の内部の照度を推定する。
【0026】
通常、無人航空機1を用いた通信用マンホール200の内部の点検は、鉄蓋230を開けた状態で行われる。そのため、地上部110と唯一連結している首部210を介して、躯体部220の内部に光が入射する。ここで、躯体部220の内部の照度は、首部210を介して入射する地上部110の照度、特に、マンホール孔C付近の照度に影響を受ける。マンホール孔C付近の照度は、昼あるいは夜といった時間帯および晴れあるいは曇りといった天候に影響を受ける。したがって、照度推定部431は、地上部110のマンホール孔C付近の照度から、撮影対象となる躯体部220の内部の壁面の照度を推定する。照度推定部431は、太陽の高度、マンホール孔Cの大きさなども用いて、躯体部220の内部の壁面の照度を推定してもよい。
【0027】
さらに、照度推定部431は、構造データに示される、例えば、首部210の高さあるいは躯体部220の大きさに基づき、躯体部220の内部の照度を推定してよい。例えば、首部210の高さが大きい場合、首部210の高さが小さい場合と比較して、首部210を介して躯体部220に到達する光の量が少なくなるので、躯体部220の内部は暗い空間となる傾向がある。また、例えば、躯体部220が大きい場合、躯体部220が小さい場合と比較して、躯体部220の長手方向奥側の壁面における照度は小さくなる傾向がある。照度推定部431は、これらの傾向に基づき、構造データから躯体部220の内部の照度を推定する。
【0028】
照明量制御部432は、照度推定部431により推定された、躯体部220の内部の照度に応じて、照明装置3の照明量を制御する。例えば、照明量制御部432は、躯体部220が比較的大きく、躯体部220の内部が暗いと推定された場合、躯体部220の長手方向奥側の壁面を撮影するのに必要な照明量となるように、照明装置3の照明量を制御する。また、照明量制御部432は、躯体部220が小さく、躯体部220の内部が比較的明るいと推定された場合、躯体部220の長手方向奥側の壁面を撮影可能な範囲で、照明装置3の照明量が小さくなるように、照明装置3の照明量を制御する。
【0029】
このように本実施形態においては、無人航空機1は、地下構造物の内部を撮影する撮影装置2と、撮影装置2の撮影範囲を照明する照明装置3と、を備える。照明装置3は、照明量を制御可能である。照明装置3の照明量を制御することで、必要以上の照明量で照明装置3に照明させるといったことを防ぎ、照明装置3における電力消費の低減を図ることができる。特に、地下構造物の内部の照度を推定し、推定した照度に応じて、照明装置3の照明量を制御することで、撮影装置2による撮影に必要な照度を確保しつつ、必要以上の照明量で照明することを防ぐことができるので、照明装置3の電力消費の低減を図ることができる。
【0030】
図3は、制御装置4の動作の一例を示すフローチャートであり、本実施形態に係る照明装置3の照明制御方法について説明するための図である。
【0031】
記憶部42は、通信用マンホール200のマンホール孔C付近の照度値および通信用マンホール200の構造データが入力され、入力された照度値および構造データを記憶する(ステップS11)。
【0032】
照度推定部431は、記憶部42に記憶された照度値および構造データに基づき、通信用マンホール200の内部の照度を推定する(ステップS12)。
【0033】
無人航空機1が通信用マンホール200の内部を飛行し、撮影装置2により通信用マンホール200の内部を撮影する際には、照明量制御部432は、照度推定部431により推定された通信用マンホール200の内部の照度に応じて、照明装置3の照明量を制御する(ステップS13)。
【0034】
このように、本実施形態に係る照明制御方法は、地下構造物の地表開口部(通信用マンホール200のマンホール孔C)付近の照度値および地下構造物の構造データを記憶するステップと、記憶された照度値および構造データに基づき、地下構造物の内部の照度を推定するステップと、推定した照度に応じて、照明装置3の照明量を制御するステップと、を含む。
【0035】
地下構造物の内部の照度を推定し、推定した照度に応じて、照明装置3の照明量を制御することで、撮影装置2による撮影に必要な照度を確保しつつ、必要以上の照明量で照明することを防ぐことができるので、照明装置3の電力消費の低減を図ることができる。
【0036】
なお、制御部43は、通信用マンホール200の内部の照度および通信用マンホール200の内部を飛行する無人航空機1の位置に応じて、照明装置3の照明量を制御してもよい。このような制御を行う無人航空機1aの構成例を
図4に示す。
【0037】
図4に示す無人航空機1aは、撮影装置2と、照明装置3と、制御装置4aと、測距センサ5とを備える。
図4に示す無人航空機1aは、
図1に示す無人航空機1と比較して、測距センサ5を追加した点と、制御装置4を制御装置4aに変更した点とが異なる。
【0038】
測距センサ5は、超音波センサあるいはレーザセンサなどであり、対象物との距離を計測する。測距センサ5は、無人航空機1が通信用マンホール200の内部を飛行している状態で、通信用マンホール200の床面Fまたは天井面Rからの距離、および、躯体部220の壁面Hからの距離を計測する。
【0039】
図5A,5Bは、測距センサ5による計測について説明するための図である。
図5Aは、通信用マンホール200を短手方向(Y軸方向)から見た図である。
図5Bは、通信用マンホール200を上から(地上部110側から)見た図である。
【0040】
図5A,5Bに示すように、測距センサ5は、無人航空機1aが通信用マンホール200の内部を飛行している状態で、通信用マンホール200の内部の床面Fおよび躯体部220の壁面H(長手方向(X軸方向)および短手方向(Y軸方向)の側壁部223の壁面H)からの距離を計測する。測距センサ5は、計測結果を制御装置4aに出力する。なお、
図5Aにおいては、測距センサ5が通信用マンホール200の床面Fからの距離を計測する例を示しているが、本開示はこれに限られない。測距センサ5は、天井面Rからの距離を計測してもよい。
【0041】
図4を再び参照すると、制御装置4aは、
図1に示す制御装置4と比較して、制御部43を制御部43aに変更した点が異なる。
図6は、制御部43aの機能ブロックである。
【0042】
図6に示す制御部43aは、照度推定部431と、位置推定部433と、照明量制御部432aと、を備える。制御部43aは、
図2に示す制御部43と比較して、位置推定部433を追加した点と、照明量制御部432を照明量制御部432aに変更した点とが異なる。
【0043】
位置推定部433は、測距センサ5の計測結果に基づき、通信用マンホール200の内部における無人航空機1の位置を推定する。躯体部220の長手方向の長さ、短手方向の長さおよび高さは構造データから既知であるため、位置推定部433は、測距センサ5により計測された、躯体部220の床面F(または天井面R)および躯体部220の壁面Hからの距離に基づき、通信用マンホール200の内部における無人航空機1の位置を推定することができる。位置推定部433は、通信用マンホール200の内部における無人航空機1の位置の推定結果を照明量制御部432aに出力する。
【0044】
照明量制御部432aは、照度推定部431により推定された通信用マンホール200の内部の照度、および、位置推定部433により推定された通信用マンホール200の内部における無人航空機1の位置に基づき、照明装置3の照明量を制御する。
【0045】
例えば、撮影対象となる壁面に無人航空機1が近づくほど、壁面までの距離が近いため、撮影装置2の撮影範囲(画角)に収まる壁面の面積は小さくなる。さらに、無人航空機1は撮影対象となる壁面に近いため、照明装置3の照明量は小さくても、撮影装置2の撮影範囲を十分な照度で照らすことができる。一方、撮影対象となる壁面から無人航空機1が離れるほど、撮影装置2の撮影範囲に収まる壁面の面積は大きくなる。さらに、無人航空機1は撮影対象となる壁面に遠いので、照明装置3の照明量を大きくしなければ、撮影装置2の撮影範囲を十分な照度で照らすことができない。そこで、照明量制御部432aは、例えば、撮影対象となる壁面と無人航空機1との間の距離に応じて、照明装置3の照明量を制御する。
【0046】
また、首部210と躯体部220との連結部分付近の壁面あるいは首部210の直下の床面では、地上部110からの光が首部210を介して入射しやすいので、明るい環境となる。一方、躯体部220の長手方向奥側の壁面は外部からの光が入射しにくいので、暗い環境となる。そこで、照明量制御部432aは、例えば、無人航空機1が躯体部220の長手方向奥側を飛行しているか、首部210の直下付近を飛行しているかに応じて、照明装置3の照明量を制御する。
【0047】
上述した無人航空機1,1aにおいては、通信用マンホール200の内部の照度が推定され、推定された照度に応じて、照明装置3の照明量が制御される例を用いて説明したが、本開示はこれに限られるものではない。通信用マンホール200の内部の照度が計測されてもよい。以下では、
図7を参照して、通信用マンホール200の内部の照度を計測す
る機能を備える、本実施形態に係る無人航空機1bの構成について説明する。
【0048】
図7に示す無人航空機1bは、撮影装置2と、照明装置3と、制御装置4bと、照度センサ6とを備える。
図7に示す無人航空機1bは、
図1に示す無人航空機1と比較して、照度センサ6を備える点と、制御装置4を制御装置4bに変更した点とが異なる。
【0049】
照度センサ6は、周辺の照度を計測し、計測結果を制御装置4bに出力する。照度センサ6は、無人航空機1bが通信用マンホール200の内部を飛行している状態で、周辺の照度、すなわち、通信用マンホール200の内部の照度を計測する。
【0050】
制御装置4bは、
図1に示す制御装置4と比較して、制御部43を制御部43bに変更した点が異なる。
【0051】
制御部43bは、照度センサ6により計測された照度に応じて、照明装置3の照明量を制御する。制御部43bは、通信用マンホール200の内部の照度を推定する必要がない。したがって、制御部43bは、通信用マンホール200の内部の照度を推定する機能を備えていなくてよい。
【0052】
無人航空機1bが照度センサ6を備えることで、無人航空機1bの周辺の照度を随時、取得することができる。そのため、無人航空機1bの移動に伴う照度の変化に対応して、より効率的な照明装置3の照明量の制御が可能となる。
【0053】
次に、撮影装置2および照明装置3の構成および配置の例について説明する。なお、以下では、
図1に示す無人航空機1を例として説明するが、
図4に示す無人航空機1aあるいは
図7に示す無人航空機1bについても同様である。
【0054】
照明装置3を部分的に明るさを変化させることか可能な構成とすることで、より効率的な照明が可能となる。以下では、このような照明装置3の構成例について説明する。
【0055】
図8は、撮影装置2および照明装置3などが収容される、無人航空機1の本体部7を上面7U側から見た図である。
【0056】
図8に示す照明装置3は、本体部7の上面7Uであって、本体部7の前面7F側に設けられた照明部3aと、本体部7の上面7Uであって、本体部7の後面7B側に設けられた照明部3bとを備える。撮影装置2は、本体部7の上面7Uであって、照明部3aと照明部3bとの間に設けられる。
【0057】
照明部3aと照明部3bとは独立して照明量を制御可能である。したがって、
図8に示す照明装置3によれば、2つの領域(本体部7の前方の領域および本体部7の後方の領域)で照明量を変化させることができる。このように、照明装置3は、照明量の配分を調整可能な複数の照明部3a,3bから構成されてよい。
【0058】
例えば、無人航空機1により躯体部220の天井部221を撮影する際に、無人航空機1の本体部7の前面7Fが躯体部220の長手方向奥側に向いているとする。このような状況で撮影される映像は、長手方向手前側よりも長手方向奥側の方が暗くなる。
図8に示す照明装置3によれば、本体部7の前面7F側に設けられた照明部3aの照明量を大きく、本体部7の後面7B側に設けられた照明部3bの照明量を小さくすることで、撮影対象となる壁面を一定の照度で照明することができる。
【0059】
図8においては、本体部7の前面7F側には1つの照明部3aが設けられ、本体部7の
後面7B側には1つの照明部3bが設けられる例を示しているが、本開示はこれに限られるものではない。例えば、
図9に示すように、本体部7の前面7F側には、横方向に並ぶ2つの照明部3a,3cが設けられ、本体部7の後面7B側には、横方向に並ぶ2つの照明部3b,3dが設けられてもよい。照明装置3は、n(nは1以上の整数)個の照明部から構成されてよい。
【0060】
図10は、
図9に示す照明装置3による、躯体部220の天井部221の撮影の際の照明の一例について説明するための図である。
図10は、通信用マンホール200を上から(地上部110側から)見た図である。
【0061】
図10に示すように、例えば、躯体部220の角付近の天井部221を撮影する場合、照明量制御部432は、首部210の中心210Cからの距離が遠い順に照明部3a~3dの照明量を大きくする。
図10に示す例では、照明量制御部432は、照明部3cの照明量を最も大きくし、照明部3bの照明量を最も小さくする。
【0062】
図8,9においては、無人航空機1の本体部7の上面7Uに撮影装置2および照明装置3が設けられる例を示しているが、本開示はこれに限られるものではない。
【0063】
図11は、撮影装置2および照明装置3の配置の他の一例を示す図である。
図11は、無人航空機1の本体部7を側面7S側から見た図である。
【0064】
図11に示すように、撮影装置2および照明装置3は、本体部7の側面7Sに配置されてもよい。
図11では、本体部7の側面7Sであって、本体部7の前面7F側に、上下に並ぶ2つの照明部3a,3cが配置され、本体部7の側面7Sであって、本体部7の後面7B側に、上下に並ぶ2つの照明部3b,3dが配置されている。撮影装置2は、照明部3a,3cと、照明部3b,3dとの間に配置されている。
【0065】
上述したように、撮影装置2は、無人航空機1に複数搭載されてもよい。
【0066】
図12Aは、無人航空機1の本体部7を、側面7S側から見た図である。
図12Bは、無人航空機1の本体部7を、上面7U側から見た図である。また、
図12Cは、無人航空機1の本体部7を、側面7S側から見た図である。
【0067】
図12Aに示すように、本体部7の上面7Uと本体部7の下面7Lとにそれぞれ、撮影装置2が配置されてよい。また、
図12Bに示すように、本体部7の2つの側面7Sにそれぞれ、撮影装置2が配置されてよい。
図12A,12Bに示す例では、撮影装置2として広角カメラを用いることで、本体部7の対向する面にそれぞれ配置された2つの撮影装置2により、無人航空機1の周囲全面を撮影することができる。また、
図12Cに示すように、本体部7の上面7U、下面7L、前面7F、後面7Bおよび両方の側面7Sにそれぞれ、撮影装置2が配置されてよい。
【0068】
図12A~
図12Cでは、照明装置3の記載を省略しているが、照明装置3は、撮影装置2の撮影範囲を照明可能な態様で配置される。
【0069】
このように本実施形態においては、無人航空機1は、地下構造物の内部を撮影する撮影装置2と、撮影装置2の撮影範囲を照明する照明装置3と、を備える。照明装置3は、照明量を制御可能である。
【0070】
照明装置3の照明量を制御することで、必要以上の照明量で照明装置3に照明させるといったことを防ぎ、照明装置3における電力消費の低減を図ることができる。
【0071】
上述の実施形態は代表的な例として説明したが、本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変更および置換が可能であることは当業者に明らかである。したがって、本発明は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形および変更が可能である。例えば、実施形態の構成図に記載の複数の構成ブロックを1つに組み合わせたり、あるいは1つの構成ブロックを分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0072】
1,1a,1b 無人航空機
2 撮影装置
3 照明装置
3a,3b,3c,3d 照明部
4,4a,4b 制御装置
5 測距センサ
6 照度センサ
7 本体部
41 通信部
42 記憶部
43,43a,43b 制御部
110 地上部
200 通信用マンホール(地下構造物)
210 首部
220 躯体部
221 天井部
222 床部
223 側壁部
230 鉄蓋
240 管路
431 照度推定部
432,432a 照明量制御部
433 位置推定部