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特許7475110読取装置、画像形成装置、位置検出方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】読取装置、画像形成装置、位置検出方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/04 20060101AFI20240419BHJP
   B41J 29/393 20060101ALI20240419BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240419BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240419BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20240419BHJP
   H04N 1/192 20060101ALI20240419BHJP
【FI】
H04N1/04 106Z
B41J29/393 101
G03G15/00 107
G03G21/00 510
G06T1/00 430H
H04N1/192
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018175084
(22)【出願日】2018-09-19
(65)【公開番号】P2019103122
(43)【公開日】2019-06-24
【審査請求日】2021-07-12
【審判番号】
【審判請求日】2023-05-15
(31)【優先権主張番号】P 2017231299
(32)【優先日】2017-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 公晴
(72)【発明者】
【氏名】青柳 広太
(72)【発明者】
【氏名】牧野 英世
(72)【発明者】
【氏名】中山 聡
【合議体】
【審判長】高橋 宣博
【審判官】五十嵐 努
【審判官】樫本 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-83144(JP,A)
【文献】特開2004-336100(JP,A)
【文献】特開2008-167093(JP,A)
【文献】特開2007-304653(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N1/04-1/207
B41J29/00-29/70
G03G15/00
G03G21/00
G06T1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の方向に延びた線を含む基準パターンが配置され、前記所定の方向と直交する方向に相対的に移動する位置基準部材と、
複数画素が配列された読取デバイスと、
前記位置基準部材に配置された前記基準パターンに基づいて前記読取デバイスの各画素の前記直交する方向の座標位置を検出する基準パターン検出部と、
前記基準パターン検出部により検出された少なくとも2つの前記画素の前記直交する方向の座標位置に基づき、少なくとも位置検出に使用する画素での前記直交する方向の第1補正値を算出する補正値算出部と、
前記読取デバイスで読み取ったデータから、被搬送物の外形形状と、当該被搬送物上の画像パターンの位置とを検出する位置検出部と、
前記画像パターンを読み取った出力における、前記第1補正値を用いる書き込み補正のONと書き込み補正のOFFとの比較結果による前記被搬送物内の搬送方向と、前記位置基準部材との差分である角度誤差を、上辺基準場合に直角度より算出、または、側辺基準かつスキュー補正しない場合に副走査レジストずれにより算出し、第2補正値に設定する角度誤差設定部と、
を備え、
前記位置検出部は、前記第1補正値と、前記第2補正値と、を用いて位置検出を行う、
ことを特徴とする読取装置。
【請求項2】
前記補正値算出部は、前記基準パターン検出部により検出された少なくとも2つの前記画素の前記直交する方向の座標位置から前記読取デバイスの傾きを求め、当該読取デバイスの傾きに基づいて前記第1補正値を算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の読取装置。
【請求項3】
プリントエンジン部と、
前記プリントエンジン部に対する被搬送物の搬送を制御する搬送制御部と、
請求項1または2に記載の読取装置と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
複数画素が所定の方向に配列された読取デバイスの前記画素に対応し、前記所定の方向と直交する方向に相対的に移動する位置基準部材に配置されて前記所定の方向に延びた線を含む基準パターンに基づいて、前記読取デバイスの各画素の前記直交する方向の座標位置を検出する基準パターン検出工程と、
前記基準パターン検出工程により検出された少なくとも2つの前記画素の前記直交する方向の座標位置に基づき、少なくとも位置検出に使用する画素での前記直交する方向の第1補正値を算出する補正値算出工程と、
前記読取デバイスで読み取ったデータから、被搬送物の外形形状と、当該被搬送物上の画像パターンの位置とを検出する位置検出工程と、
前記画像パターンを読み取った出力における、前記第1補正値を用いる書き込み補正のONと書き込み補正のOFFとの比較結果による前記被搬送物内の搬送方向と、前記位置基準部材との差分である角度誤差を、上辺基準場合に直角度より算出、または、側辺基準かつスキュー補正しない場合に副走査レジストずれにより算出し、第2補正値に設定する角度誤差設定工程と、
を含み、
前記位置検出工程は、前記第1補正値と、前記第2補正値と、を用いて位置検出を行う、
ことを特徴とする位置検出方法。
【請求項5】
所定の方向に延びた線を含む基準パターンが配置され、前記所定の方向と直交する方向に相対的に移動する位置基準部材と、複数画素が配列された読取デバイスと、を備える読取装置を制御するコンピュータを、
前記位置基準部材に配置された前記基準パターンに基づいて前記読取デバイスの各画素の前記直交する方向の座標位置を検出する基準パターン検出部と、
前記基準パターン検出部により検出された少なくとも2つの前記画素の前記直交する方向の座標位置に基づき、少なくとも位置検出に使用する画素での前記直交する方向の第1補正値を算出する補正値算出部と、
前記読取デバイスで読み取ったデータから、被搬送物の外形形状と、当該被搬送物上の画像パターンの位置とを検出する位置検出部と、
前記画像パターンを読み取った出力における、前記第1補正値を用いる書き込み補正のONと書き込み補正のOFFとの比較結果による前記被搬送物内の搬送方向と、前記位置基準部材との差分である角度誤差を、上辺基準場合に直角度より算出、または、側辺基準かつスキュー補正しない場合に副走査レジストずれにより算出し、第2補正値に設定する角度誤差設定部と、
として機能させ、
前記位置検出部は、前記第1補正値と、前記第2補正値と、を用いて位置検出を行う、
ためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読取装置、画像形成装置、位置検出方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被搬送物の搬送位置および当該被搬送物に対する処理位置の補正を目的として、被搬送物の外形エッジ位置と当該被搬送物に対する処理位置とをCIS(Contact Image Sensor)等の読取デバイスで読み取る技術が開示されている。
【0003】
また、長手方向に目盛りが付けられた基準スケールをスキャナで読み取った画像データと、ラインが印刷されたテストシート(被搬送物)をスキャナで読み取った画像データとに基づいて、テストシート内のラインの長手方向に対する絶対位置を算出する技術も開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術によれば、基準スケールと被搬送物の搬送方向との角度誤差によって、実際の被搬送物の外形エッジ位置が歪んだ形で検出されてしまうことによる位置検出誤差が生じてしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、位置検出結果の精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の読取装置は、所定の方向に延びた線を含む基準パターンが配置され、前記所定の方向と直交する方向に相対的に移動する位置基準部材と、複数画素が配列された読取デバイスと、前記位置基準部材に配置された前記基準パターンに基づいて前記読取デバイスの各画素の前記直交する方向の座標位置を検出する基準パターン検出部と、前記基準パターン検出部により検出された少なくとも2つの前記画素の前記直交する方向の座標位置に基づき、少なくとも位置検出に使用する画素での前記直交する方向の第1補正値を算出する補正値算出部と、前記読取デバイスで読み取ったデータから、被搬送物の外形形状と、当該被搬送物上の画像パターンの位置とを検出する位置検出部と、前記画像パターンを読み取った出力における、前記第1補正値を用いる書き込み補正のONと書き込み補正のOFFとの比較結果による前記被搬送物内の搬送方向と、前記位置基準部材との差分である角度誤差を、上辺基準場合に直角度より算出、または、側辺基準かつスキュー補正しない場合に副走査レジストずれにより算出し、第2補正値に設定する角度誤差設定部と、を備え、前記位置検出部は、前記第1補正値と、前記第2補正値と、を用いて位置検出を行う、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、位置検出結果の精度を向上させることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施の形態にかかる印刷システムのハードウェア構成の一例を示す模式図である。
図2図2は、読取デバイスと位置基準部材と設置態様を示す模式図である。
図3図3は、読取デバイスと位置基準部材との対応位置関係を示す模式図である。
図4図4は、CISを読取デバイスに適用する際の課題を示す図である。
図5図5は、位置基準部材に配置される基準線の一例を示す模式図である。
図6図6は、位置基準部材と読取デバイスとの深度方向の位置関係を示す図である。
図7図7は、位置基準部材と記録媒体の搬送方向との関係を示す図である。
図8図8は、印刷システムのハードウェアの電気的接続の一例を示すブロック図である。
図9図9は、印刷システムの機能構成を示す機能ブロック図である。
図10図10は、読取デバイスの各センサチップの副走査方向の座標算出の一例を示す模式図である。
図11図11は、読取デバイスの傾き補正方法について説明する図である。
図12図12は、記録媒体の外形形状と記録媒体上の画像パターンの位置との算出方法を示す図である。
図13図13は、読取デバイスによる検出画像を例示的に示す図である。
図14図14は、角度誤差の算出手法を示す図である。
図15図15は、角度誤差の補正方法を示す図である。
図16図16は、補正値設定処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
図17図17は、第2の実施の形態にかかる読取装置の外観を示す斜視図である。
図18図18は、読取装置の内部構造を部分的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、読取装置、画像形成装置、位置検出方法およびプログラムの実施の形態を詳細に説明する。以下では、読取装置、画像形成装置が、短時間で大量の枚数を連続して印刷する商業印刷機(プロダクションプリンティング機)などの印刷装置を含む印刷システムに適用された場合を例に挙げて説明するが、これに限定されるものではない。
【0010】
(第1の実施の形態)
[印刷システムのハードウェア構成の説明]
図1は、第1の実施の形態にかかる印刷システム1のハードウェア構成の一例を示す模式図である。図1に示すように、画像形成装置である印刷システム1は、印刷装置100と、媒体位置検出装置200(位置検出装置の一例)と、スタッカ300と、を備える。
【0011】
印刷装置100は、オペレーションパネル101と、タンデム式の電子写真方式の作像部103Y、103M、103C、103Kと、転写ベルト105と、二次転写ローラ107と、給紙部109と、搬送ローラ対102と、定着ローラ104と、反転パス106と、を備える。
【0012】
オペレーションパネル101は、印刷装置100や媒体位置検出装置200に対して各種操作入力を行ったり、各種画面を表示したりする操作表示部である。
【0013】
作像部103Y、103M、103C、103Kは、それぞれ、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、及びクリーニング工程)が行われることによりトナー像が形成され、形成されたトナー像を転写ベルト105に転写する。本実施の形態では、作像部103Y上にイエロートナー像が形成され、作像部103M上にマゼンダトナー像が形成され、作像部103C上にシアントナー像が形成され、作像部103K上にブラックトナー像が形成されるものとするが、これに限定されるものではない。
【0014】
転写ベルト105は、作像部103Y、103M、103C、及び103Kから重畳して転写されたトナー像(フルカラーのトナー画像)を二次転写ローラ107の二次転写位置に搬送する。本実施の形態では、転写ベルト105には、まず、イエロートナー像が転写され、続いて、マゼンダトナー像、シアントナー像、ブラックトナー像が順次重畳して転写されるものとするが、これに限定されるものではない。
【0015】
給紙部109は、処理対象(被搬送物)である複数の記録媒体が重ね合わせて収容されており、記録媒体を給紙する。記録媒体としては、例えば、記録紙(転写紙)が挙げられるが、これに限定されず、例えば、コート紙、厚紙、OHP(Overhead Projector)シート、プラスチックフィルム、プリプレグ、及び銅箔など画像を記録可能な媒体であればどのようなものであってもよい。
【0016】
搬送ローラ対102は、給紙部109により給紙された記録媒体を搬送路a上で矢印s方向に搬送する。
【0017】
二次転写ローラ107は、転写ベルト105により搬送されたフルカラーのトナー画像を、搬送ローラ対102により搬送された記録媒体上に二次転写位置で一括転写する。
【0018】
定着ローラ104は、フルカラーのトナー画像が転写された記録媒体を加熱及び加圧することにより、フルカラーのトナー画像を記録媒体に定着する。
【0019】
印刷装置100は、片面印刷の場合、フルカラーのトナー画像が定着された記録媒体である印刷物を媒体位置検出装置200へ送る。一方、印刷装置100は、両面印刷の場合、フルカラーのトナー画像が定着された記録媒体を反転パス106へ送る。
【0020】
反転パス106は、送られた記録媒体をスイッチバックすることにより記録媒体の表面・裏面を反転して矢印t方向に搬送する。反転パス106により搬送された記録媒体は、搬送ローラ対102により再搬送され、二次転写ローラ107により前回と逆側の面にフルカラーのトナー画像が転写され、定着ローラ104により定着され、印刷物として、媒体位置検出装置200およびスタッカ300へ送られる。
【0021】
印刷装置100の下流に位置する媒体位置検出装置200は、読取デバイス201と、位置基準部材202と、を備える。
【0022】
読取デバイス201は、例えば、複数の撮像素子(CMOSイメージセンサ)をライン状に並べたCIS(Contact Image Sensor:密着型イメージセンサ)等により実現できる。読取デバイス201は、読み取り対象からの反射光を受光して、画像信号を出力する。具体的には、読取デバイス201は、印刷装置100から送られた記録媒体の搬送位置および当該記録媒体に対する処理位置(印刷位置)を読取対象とする。また、読取デバイス201は、位置基準部材202を読取対象とする。
【0023】
読取デバイス201に適用されるCISは、一般的に、複数画素を有するセンサチップ210(図4参照)を主走査方向に複数配列することによって、必要な主走査有効読取長を確保する構成で知られている。
【0024】
位置基準部材202は、複数のセンサチップ210によって構成される読取デバイス201の各センサチップ210の取り付け位置を補正するための基準板である。このように位置基準部材202を用いて読取デバイス201の各センサチップ210の取り付け位置を補正することによって高精度な画像位置検出を行う。
【0025】
そして、媒体位置検出装置200は、読み取りが完了した記録媒体をスタッカ300へ排紙する。
【0026】
スタッカ300は、トレイ301を備える。スタッカ300は、媒体位置検出装置200により排紙された記録媒体をトレイ301にスタックする。
【0027】
次に、媒体位置検出装置200における読取デバイス201と位置基準部材202とについて説明する。
【0028】
ところで、被搬送物の外形エッジ位置と当該被搬送物に対する処理位置とをCIS等の読取デバイスで読み取り、被搬送物の搬送位置および当該被搬送物に対する処理位置を補正する方法では精度が出ない場合がある、という問題があった。
【0029】
図2は、読取デバイス201と位置基準部材202と設置態様を示す模式図である。図2に示すように、位置基準部材202は、モータ204により回転駆動される回転部材203に設けられている。位置基準部材202は、モータ204により等速回転される回転部材203により移動する。位置基準部材202は、回転部材203の回転に伴って所定のタイミングで読取デバイス201の対向面に配置される。
【0030】
このように位置基準部材202を回転させるのは、読取デバイス201の副走査方向への取り付け傾きを検知するために、位置基準部材202を副走査方向に一定速度で移動させ、位置基準部材202上に配置された所定の方向に延びた線を含む基準パターンである基準線X(図4参照)を読み取るためである。
【0031】
なお、図2では位置基準部材202を回転部材203に取り付けて位置基準部材202を副走査方向に一定速度で移動させるようにしたが、これに限るものではない。例えば、位置基準部材202は、直線状に移動可能なように設けられていても良い。
【0032】
図3は、読取デバイス201と位置基準部材202との対応位置関係を示す模式図である。図3に示すように、位置基準部材202は、読取デバイス201の主走査方向の一端部(先端部)の撮像素子である先頭画素に対応する位置を、基準位置(支持点)とする。
【0033】
また、読取デバイス201も、位置基準部材202の基準位置に対応する先頭画素に相当する位置を基準位置(支持点)とする。
【0034】
ここで、CISを読取デバイス201に適用する際の課題について説明する。図4は、CISを読取デバイス201に適用する際の課題を示す図である。図4に示すように、例えば、読取デバイス201が位置基準部材202に対して斜めに取り付けられているような場合、読取デバイス201で読み取った画像そのものでは位置基準部材202に対する位置検出精度が低くなり、正しい補正が出来ない(取り付けばらつき)。
【0035】
加えて、CISを読取デバイス201に適用した場合、図4に示すように、各センサチップ210内での画素は均一で直線状に配置されているが、複数のセンサチップ210の配置が副走査方向にずれる可能性がある(チップ位置ばらつき)。
【0036】
そこで、上記した課題を考慮し、更なる位置検出精度の向上を図るために、以下のような構成が考えられる。
【0037】
ここで、図5は位置基準部材202に配置される基準線の一例を示す模式図である。図5に示すように、位置基準部材202上には、所定の基準線Xが配置されている。位置基準部材202上に配置される基準線Xは、読取デバイス201の主走査方向(所定の方向)に対して平行な線(以降「横線」)と、読取デバイス201の主走査方向に対して直交する方向に延びた直交する線(以降「縦線」)とで構成されている。
【0038】
図5に示すように、縦線は、読取デバイス201の基板上の各センサチップ210に対してそれぞれ読み取れるように、位置基準部材202上に各センサチップ210に対応して等間隔で配置されている。また、横線は、当該縦線の間に配置されている。
【0039】
なお、図5に示すように、位置基準部材202上の縦線と横線の間に隙間を作ることで、仮に横線が読取デバイス201の読取範囲に入っていても、縦線の座標を算出することができるようになっている。
【0040】
理想的には、読取デバイス201のセンサチップ210毎に横線を読み取って各センサチップ210の副走査方向の座標位置を検出するとともに、読取デバイス201の端部のセンサチップ210に対応する2箇所の横線を読み取って読取デバイス201自体の傾きを検出して、読取デバイス201での読み取り結果を補正することが良いが、以下のデメリットがある。
・全画素それぞれで副走査位置を検出しなければならないため、処理の複雑化、処理時間の増大を招く。
・全画素の補正値が算出されるため、全画素補正値を記録しておく必要があり、メモリの容量がその分必要になる。
・補正値を利用する際にも大きいテーブルから情報を引いてくる必要があるため、処理が複雑、時間もかかることになる。
【0041】
そこで、本実施の形態においては、読取デバイス201の端部のセンサチップ210に対応する2箇所の横線を読み取って副走査方向の座標位置を検出し、これらの2箇所の副走査方向の座標位置で求められる傾きを読取デバイス201の傾きとする。そして、読取デバイス201のセンサチップ210毎(画素毎)の傾き度合いは、読取デバイス201の傾きから求めることにより、副走査方向の検出位置、結果記録の削減を可能とする。
【0042】
位置基準部材202は、周辺部材の発熱影響等による膨張・伸縮が発生すると、絶対的な位置基準として機能せず、位置検出精度の悪化を招いてしまう。そこで、位置基準部材202は、読取デバイス201の基板に比べて線膨張係数が低く、位置検出において周囲温度の影響による伸縮量が無視できるほどに小さい材料によって構成されている。本実施の形態においては、想定される温度変化範囲、線膨張係数を考慮し、位置基準部材202は、ガラスで形成されている。なお、位置基準部材202の材料はこれに限るものではなく、読取デバイス201の温度変化範囲が広い場合に精度の高い媒体位置検出を実現するためには、石英ガラスなどを用いるのがより好適である。
【0043】
図6は、位置基準部材202と読取デバイス201との深度方向の位置関係を示す図である。通常、CIS等の読取デバイス201は、高さ(深度)方向に依存して、画像特性が変化する特性を持っている。このような画像特性の代表例として、一般的には、
・MTF(焦点深度)
・照明深度
が挙げられる。また、読取デバイス201によっては、高さ(深度)方向依存に加え、主走査方向位置によっても特性が異なる性質を持つものもある。
【0044】
そこで、本実施の形態においては、読取デバイス201が記録媒体を読み取る際の深度(高さ)方向位置と、読取デバイス201が位置基準部材202上の基準線Xを読み取る際の深度(高さ)方向位置とが一致するように、位置基準部材202と読取デバイス201とが配置されている。これにより、深度方向に依存する読取デバイス201の画像特性差の影響を極力低減することによって、位置検出の精度向上を図ることができる。
【0045】
更に、別の課題について説明する。
【0046】
上述のようにして、読取デバイス201の傾きを求めて位置基準部材202と読取デバイス201との取り付け誤差を補正することができる。しかしながら、記録媒体の搬送方向は、本体側板の組み付け位置精度、前後の搬送ローラの組み付け位置精度や径差や圧偏差によって変わることにより、位置基準部材202と記録媒体の搬送方向とに角度誤差が生じてしまうことがある。
【0047】
図7は、位置基準部材202と記録媒体の搬送方向との関係を示す図である。図7(a)は位置基準部材202と記録媒体に角度誤差が生じている場合、図7(b)は位置基準部材202と記録媒体に角度誤差および記録媒体にスキューが生じている場合を示す。
【0048】
図7(a)に示すように、位置基準部材202と記録媒体に角度誤差が生じている場合、読取デバイス201で読み取られる画像は、角度誤差分だけ四辺の直角度が歪められた平行四辺形として検出される。また、図7(b)に示すように、位置基準部材202と記録媒体に角度誤差および記録媒体にスキューが生じている場合、読取デバイス201で読み取られる画像は、スキュー分だけ四辺の直角度が歪められた平行四辺形として検出される。
【0049】
記録媒体の搬送方向は、本体側板の組み付け位置精度、前後の搬送ローラの組み付け位置精度や径差や圧偏差によって変わることにより装置それぞれによって異なる為、装置毎の補正値が必要となる。
【0050】
図8は、印刷システム1のハードウェアの電気的接続の一例を示すブロック図である。
【0051】
図8に示すように、印刷システム1は、コントローラ10とエンジン部(Engine)60とエンジン部(Engine)70とをPCIバスで接続した構成となる。コントローラ10は、印刷システム1の全体の制御、描画、通信、及び操作表示部であるオペレーションパネル101からの入力を制御するコントローラである。エンジン部60は、PCIバスに接続可能なエンジンであり、例えば、読取デバイス201等のスキャナエンジンなどである。エンジン部60には、エンジン部分に加えて、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分も含まれる。エンジン部70は、PCIバスに接続可能なエンジンであり、例えば、作像部103Y、103M、103C、103Kを含むプロッタ等のプリントエンジンなどである。
【0052】
コントローラ10は、CPU(Central Processing Unit)11と、ノースブリッジ(NB)13と、システムメモリ(MEM-P)12と、サウスブリッジ(SB)14と、ローカルメモリ(MEM-C)17と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)16と、ハードディスクドライブ(HDD)18とを有し、ノースブリッジ(NB)13とASIC16との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス15で接続した構成となる。また、MEM-P12は、ROM12aと、RAM12bとをさらに有する。
【0053】
CPU11は、印刷システム1の全体制御を行うものであり、NB13、MEM-P12およびSB14からなるチップセットを有し、このチップセットを介して他の機器と接続される。
【0054】
NB13は、CPU11とMEM-P12、SB14、AGPバス15とを接続するためのブリッジであり、MEM-P12に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCIマスタおよびAGPターゲットとを有する。
【0055】
MEM-P12は、プログラムやデータの格納用メモリ、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いるシステムメモリであり、ROM12aとRAM12bとからなる。ROM12aは、プログラムやデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリであり、RAM12bは、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いる書き込みおよび読み出し可能なメモリである。
【0056】
SB14は、NB13とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。このSB14は、PCIバスを介してNB13と接続されており、このPCIバスには、ネットワークインタフェース(I/F)部なども接続される。
【0057】
ASIC16は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス15、PCIバス、HDD18およびMEM-C17をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC16は、PCIターゲットおよびAGPマスタと、ASIC16の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM-C17を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などをおこなう複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、エンジン部60やエンジン部70との間でPCIバスを介したデータ転送をおこなうPCIユニットとからなる。このASIC16には、PCIバスを介してUSB40、IEEE1394(the Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)インタフェース(I/F)50が接続される。オペレーションパネル101はASIC16に直接接続されている。
【0058】
MEM-C17は、コピー用画像バッファ、符号バッファとして用いるローカルメモリであり、HDD18は、画像データの蓄積、プログラムの蓄積、フォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。
【0059】
AGPバス15は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレーターカード用のバスインターフェースであり、MEM-P12に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレーターカードを高速にするものである。
【0060】
本実施の形態の印刷システム1で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0061】
さらに、本実施の形態の印刷システム1で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施の形態の印刷システム1で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0062】
[印刷システム1の機能構成の説明]
次に、印刷システム1のCPU11がHDD18やROM12aに記憶されたプログラムを実行することによって発揮する機能について説明する。なお、ここでは従来から知られている機能については説明を省略し、本実施の形態の印刷システム1が発揮する特徴的な機能について詳述する。
【0063】
図9は、印刷システム1の機能構成を示す機能ブロック図である。
【0064】
図9に示すように、印刷システム1のCPU11は、読取制御部110、モータ制御部111、基準パターン検出部である横線検出部112、検出結果格納部113、傾き補正値算出部114、位置検出部115、角度誤差設定部116、として機能する。なお、CPU11は、読取制御部110、モータ制御部111、横線検出部112、検出結果格納部113、傾き補正値算出部114、位置検出部115、角度誤差設定部116、の他に、記録媒体の搬送を制御する搬送制御部等の機能を実現してもよいことは、いうまでもない。
【0065】
なお、本実施の形態においては、印刷システム1が発揮する特徴的な機能をCPU11がプログラムを実行することにより実現するものとしたが、これに限るものではなく、例えば、上述した各部の機能のうちの一部または全部が専用のハードウェア回路で実現されてもよい。
【0066】
モータ制御部111は、モータ204に対して駆動信号を出力し、回転部材203を回転駆動する。また、モータ制御部111は、モータ204に対して駆動停止信号を出力し、回転部材203の回転を停止する。
【0067】
読取制御部110は、読取デバイス201に対して読取開始信号を出力し、読取デバイス201による読み取りを開始させる。また、読取制御部110は、読取デバイス201から読取信号を受け取ると、読取デバイス201に対して読取終了信号を出力し、読取デバイス201による読み取りを終了させる。
【0068】
横線検出部112は、モータ制御部111を介して位置基準部材202を副走査方向に移動させる。また、横線検出部112は、読取制御部110を介して副走査方向に移動する位置基準部材202を読取デバイス201で読み取る。そして、横線検出部112は、読取デバイス201の各センサチップ210の副走査方向の座標位置を検出する。
【0069】
ここで、図10は読取デバイス201の各センサチップ210の副走査方向の座標算出の一例を示す模式図である。図10(a)に示すように、横線検出部112は、読取デバイス201のセンサチップ210毎に、An、An+1、・・・、An+mもしくはBn、Bn+1、・・・、Bn+mの領域で位置基準部材202の横線を読み取り、読取デバイス201の各センサチップ210の副走査方向の座標位置を検出する。
【0070】
上述のように、それぞれのセンサチップ210についてほぼ同じ画素位置において位置基準部材202の横線を読み取る方が補正に対して計算上有利である。しかしながら、これに限るものではなく、位置基準部材202の横線を読み取る画素位置をセンサチップ210毎に任意の画素に変えるようにしてもよい。
【0071】
より詳細には、横線検出部112は、位置基準部材202を副走査方向に回転させながら、読取デバイス201の各センサチップ210のAまたはBの領域(幅m画素)を読み取る。図10(b)に示すように、読取デバイス201の各センサチップ210のライン毎にm画素分の読取値を平均化しデータを記憶部(RAM12bやHDD18など)に格納する。横線検出部112は、得られたデータから立上りエッジと立下りエッジの位置から読取デバイス201の各センサチップ210の座標位置を検出する。
【0072】
検出結果格納部113は、横線検出部112で検出した読取デバイス201の各センサチップ210の座標位置を記憶部(RAM12bやHDD18など)に格納する。
【0073】
傾き補正値算出部114は、読取デバイス201の傾きの補正値を算出する。ここで、図11は読取デバイス201の傾き補正方法について説明する図である。
【0074】
図11に示すように、傾き補正値算出部114は、読取デバイス201の端部のセンサチップ210に対応する2箇所の横線を読み取った副走査方向の座標位置から読取デバイス201全体の傾きを算出する。
【0075】
読取デバイス201の中にセンサチップ210が12個配置され、各センサチップ210あたり216.5画素ある場合の読取デバイス201の傾きの計算例を下記に示す。なお、0.5画素は、センサチップ210間の隙間分の距離である。
読取デバイス201の傾き=(12番目のセンサチップ210の副走査方向の座標位置-1番目のセンサチップ210の副走査方向の座標位置)/(12×216.5)
【0076】
読取デバイス201の全体の傾きを求めた後に、傾き補正値算出部114は、位置検出に使用する画素での副走査方向の補正値を算出する。より詳細には、傾き補正値算出部114は、読取デバイス201の各センサチップ210それぞれの副走査方向の座標位置を記憶部から1箇所取得する。そして、傾き補正値算出部114は、取得した座標位置を基準として、読取デバイス201全体の傾きにセンサチップ210の該当画素をかけることにより、求めたい画素の第1補正値を算出する。
【0077】
副走査方向の第1補正値の計算例を下記に示す。なお、mはセンサチップ210における画素数を示している。そのため、mは1から216の範囲となる。
第1補正値=n番目のセンサチップ210の副走査方向の座標位置+読取デバイス201全体の傾き×m
【0078】
なお、上述のように、位置基準部材202の横線を読み取る画素位置をセンサチップ210毎に任意の画素に変える場合、下記式を適用する。
補正値=n番目のセンサチップ210の副走査方向の位置座標(p画素目)+読取デバイス201全体の傾き×(m-p)
p画素:そのセンサチップの開始からの画素数
【0079】
位置検出部115は、読取デバイス201で読み取った画像から、記録媒体の外形形状と、記録媒体上の画像パターンの位置とを検出する。
【0080】
ここで、図12は記録媒体の外形形状と記録媒体上の画像パターンの位置との算出方法を示す図である。図12(a)、図12(b)に示すように、記録媒体の四隅OにはL字形状の画像パターンPが形成されている。位置検出部115は、主走査方向、副走査方向の画像レベルから用紙エッジ、画像パターンの開始、終了座標を検出する。記録媒体の外形形状を求めたい場合を例として考えると、主走査で4箇所、副走査で4箇所の座標を検出し、その交点を記録媒体の端部の四隅Oとして算出する。図12(c)に示すように、位置検出部115は、交点を求める際に、主走査座標を検出する場合の副走査座標(副走査座標を検出する場合の主走査座標)は、記録媒体のどの位置を読み取ったかによって副走査方向のどの位置か理想的な値として算出する。なお、位置検出部115は、メモリに余裕があり、全画素のデータを取り込んでから記録媒体の端部を算出する場合は四隅Oを直接算出しても良い。
【0081】
ここで、図13は読取デバイス201による検出画像を例示的に示す図であって、(a)は記録媒体の搬送方向が位置基準部材202に対して垂直な場合、(b)は記録媒体の搬送方向が位置基準部材202に対して傾いている場合を示す。
【0082】
図13(b)に示すように、記録媒体の搬送方向が位置基準部材202に対して傾いて角度誤差が有る場合、読取デバイス201で検出した画像は、記録媒体の搬送方向の傾き分歪んで見える。上述した第1補正値は、位置基準部材202と読取デバイス201との間の傾きを補正するために用いられるものであって、記録媒体の搬送方向と位置基準部材202との傾きは、第1補正値だけでは直せない。
【0083】
次に、角度誤差設定部116について説明する。
【0084】
印刷システム1は、上述のように位置基準部材202を用いて位置補正を行った読取デバイス201で、所定の画像、もしくは記録媒体を読み取り、読み取った画像に基づいて書き込みを補正して画像を出力する。例として、本実施形態では、図13に示すようなL字形状の画像パターンPを読み取り、書き込み補正することで画像の形状を補正して四角形を出力する(書き込みの補正のON)。ただし、位置基準部材202と記録媒体とに角度誤差が有る場合、角度誤差を補正せずに位置検出部115における位置検出結果を基に補正すると、四角形にはならずに直角度が歪められた平行四辺形の画像が出力される。また、印刷システム1は、書き込みの補正自体をOFFした何ら形状の補正をしない画像(四角形)を出力する。すなわち、書き込みの補正のONと書き込みの補正のOFFの比較結果による記録媒体の搬送方向と位置基準部材202との差分が角度誤差に相当する。
【0085】
ここで、図14は角度誤差の算出手法を示す図である。図14(a)は上辺基準による角度誤差の算出手法を示すものである。図14(a)に示すように、上辺基準の場合、直角度より角度誤差が算出される。
【0086】
図14(b)は側辺基準、かつ、スキュー補正しない場合の角度誤差の算出手法を示すものである。図14(b)に示すように、側辺基準、かつ、スキュー補正しない場合、副走査レジストずれにより角度誤差が算出される。
【0087】
そこで、本実施形態においては、書き込みの補正OFFと書き込みの補正ONの出力画像の差分を外部の位置測定装置を用いて計測し、計測した差分を記録媒体の搬送方向と位置基準部材202との角度誤差の算出に用いる。ただし、角度誤差の算出に用いるパラメータは、位置補正アルゴリズムによって異なる。なお、出力画像の差分を外部の位置測定装置にて計測して入力するようにしたが、これに限るものではなく、人が計測して印刷システム1に入力するものであっても良いし、印刷システム1に搭載されたスキャナで判断するようにしてもよい。
【0088】
角度誤差設定部116は、外部から入力された出力画像の差分を第2補正値として記憶部に格納して設定する。
【0089】
そして、位置検出部115は、傾き補正値算出部114で算出した画素に対応した第1補正値に対して、第2補正値(角度誤差)分だけオフセットさせる位置補正を行う。
【0090】
図15は、角度誤差の補正方法を示す図である。図15は、読取デバイス201が12チップに分割されているCISを2つ用いた場合の角度誤差補正方法を示すものである。図15に示すように、第2補正値(角度誤差)分だけオフセットさせるとは、読取デバイス201の各センサチップ210に対して基準位置からの距離に応じて角度誤差分だけ副走査方向に補正係数を足すことで実際の誤差補正を示している。この時、位置検出部115は、主走査方向の補正は副走査方向に比べて発生する誤差が十分に小さいので補正は実施しない。
【0091】
次に、印刷システム1が実行する補正値設定処理について説明する。
【0092】
ここで、図16は補正値設定処理の流れを概略的に示すフローチャートである。図16に示すように、横線の読取開始トリガを検出すると、横線検出部112は、位置基準部材202を副走査方向に移動させながら、位置基準部材202の横線の読取を開始する(ステップS1)。より詳細には、横線検出部112は、モータ制御部111を介して位置基準部材202を副走査方向に移動させる。また、横線検出部112は、読取制御部110を介して副走査方向に移動する位置基準部材202を読取デバイス201で読み取る。なお、読取デバイス201による読み取りが終了すると、読取デバイス201は、横線検出部112に対して読取終了トリガを出力する。
【0093】
横線検出部112は、読取終了トリガを受け取ると、位置基準部材202を副走査方向への移動を停止し、待機状態とする。また、横線検出部112は、読取終了トリガを受け取ると、読取デバイス201の各センサチップ210の副走査方向の座標位置を検出する(ステップS2)。
【0094】
次に、検出結果格納部113は、横線検出部112で検出した読取デバイス201の各センサチップ210の座標位置を記憶部に格納する(ステップS3)。
【0095】
次に、傾き補正値算出部114は、読取デバイス201の傾きの補正値(第1補正値)を算出する(ステップS4)。
【0096】
そして、位置検出部115は、傾き補正値算出部114で算出した画素に対応した第1補正値を参照し、位置検出結果に第1補正値に応じた補正を加え(ステップS5)、書き込みの補正OFFの画像を形成させる。
【0097】
その後、角度誤差設定部116は、外部から書き込みの補正OFFと書き込みの補正ONの出力画像の差分が入力されるまで待機する(ステップS6のNo)。外部から書き込みの補正OFFと書き込みの補正ONの出力画像の差分が入力されると(ステップS6のYes)、角度誤差設定部116は、外部から入力された出力画像の差分を第2補正値として、記憶部に格納する(ステップS7)。以上により、補正値設定処理を終了する。
【0098】
その後、位置検出部115は、傾き補正値算出部114で算出した画素に対応した第1補正値に対して第2補正値(角度誤差)分だけオフセットさせる位置補正を、位置検出結果に対して行う。
【0099】
このように本実施の形態によれば、位置基準部材202と被搬送物(記録媒体)の搬送方向との角度誤差が有る場合に、当該角度誤差を位置検出部115にフィードバックさせることで位置検出結果の精度を向上させることができる。
【0100】
なお、本実施の形態においては、読取デバイス201として、所謂、等倍光学系であるCISを適用したが、これに限るものではない。例えば、読取デバイス201は、光源と、複数の反射部材(ミラー)と、結像レンズ、リニアイメージセンサなどで構成される、所謂、縮小光学系の読み取りデバイスであっても構わず、読み取り対象物の位置を検出できるデバイスであれば、位置検出精度を向上することが可能である。
【0101】
なお、本実施の形態においては、読取デバイス201の端部のセンサチップ210に対応する2箇所の横線を読み取った副走査方向の座標位置から読取デバイス201全体の傾きを算出するようにしたが、これに限るものではなく、全てのセンサチップ210に対応する横線を読み取った副走査方向の座標位置から読取デバイス201全体の傾きを算出し、全画素についての補正値を算出するようにしても良い。
【0102】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。
【0103】
第2の実施の形態においては、媒体位置検出装置200の変形例として、MFP(Multifunction Peripheral/Printer/Product)などに用いられるスキャナユニットを適用した点が、第1の実施の形態と異なる。以下、第2の実施の形態の説明では、第1の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態と異なる箇所について説明する。
【0104】
図17は、第2の実施の形態にかかる読取装置400の外観を示す斜視図である。読取装置400は、媒体位置検出装置200の変形例であって、MFPなどに用いられるスキャナユニットである。
【0105】
図17に示すように、読取装置400は、上面にコンタクトガラス410を配置している。コンタクトガラス410は、略長方形に形成されている。読取装置400は、読取装置400内を副走査方向Xに移動するとともに主走査方向Yについてライン状に読み取る読取デバイス201(図18参照)を備えている。読取デバイス201は、コンタクトガラス410上に載置された原稿を読み取る。
【0106】
また、読取装置400は、さらにスリット411を有する。このスリット411には、ガラス411aが嵌め込まれている。読取デバイス201は、このスリット411を介して位置基準部材202(図18参照)を読み取ることができる。さらに、コンタクトガラス410とスリット411との間には、ブリッジ412が形成されている。
【0107】
このような構成において、図17に示すコンタクトガラス410の短辺の一つと、スリット411の長辺の一つとが、ブリッジ412を挟んで隣接している。
【0108】
図18は、読取装置400の内部構造を部分的に示す側面図である。なお、図18(a)は読取デバイス201がスリット411の下方に位置する状態を示している。また、図18(b)は読取デバイス201がコンタクトガラス410の下方に位置する状態を示している。
【0109】
なお、読取装置400の上方には、原稿自動送り装置(ADF;Auto Document Feeder)420が設けられている。ADF420は、コンタクトガラス410上に原稿を載置する際などに開閉される。図18(a)および図18(b)では、ADF420が閉じられた状態を示している。図18(a)および図18(b)に示すように、ADF420は、ADF420が閉じられた状態でスリット411に対向する位置であってADF420の底面に、位置基準部材202を備えている。
【0110】
図18(a)において、読取デバイス201は、スリット411に嵌め込まれたガラス411aの下方に位置する。図18(a)において、読取デバイス201は、スリット411のガラス411aを通して位置基準部材202を読み取る。
【0111】
なお、図18(a)においては、位置基準部材202はADF420の底面であって、DF420が閉じられた状態でスリット411に対向する位置に形成されている状態を示した。しかしながら、位置基準部材202は、ADF420に設けられている必要はなく、ガラス411aに代えて位置基準部材202をスリット411に備えるようにしてもよい。
【0112】
図18(b)において、読取デバイス201は、コンタクトガラス410の下方に位置し、コンタクトガラス410上に載置された原稿Pを読み取る。この時、読取デバイス201は、副走査方向Xに移動しながら原稿Pを読み取る。
【0113】
このような構成において、読取デバイス201が位置基準部材202に対して斜めに取り付けられているような場合も、第1の実施の形態において述べたと同様の課題が生じることになるので、第1の実施の形態の同様の手法によって課題を解決することができる。
【0114】
なお、上記各実施の形態では、本発明の読取装置、画像形成装置を、電子写真方式の印刷装置を含む印刷システムに適用した例を挙げて説明したが、これに限るものではなく、インクジェット方式の印刷装置を含む印刷システムにも適用することができる。
【0115】
また、上記各実施の形態では、本発明の読取装置、画像形成装置を、商業印刷機(プロダクションプリンティング機)などの印刷装置を含む印刷システムに適用した例を挙げて説明したが、これに限るものではなく、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【0116】
さらに、上記各実施の形態では、本発明の読取装置を、画像形成分野の位置検出に適用した例を挙げて説明したが、これに限るものではなく、例えばFA分野における検品などの様々な分野の位置検出アプリケーションに応用が可能である。
【0117】
また、本発明の読取装置は、紙幣の判別、偽造防止を目的として、紙幣が正しい位置、形状に印刷されているかを判別する紙幣読取装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0118】
1 読取装置、画像形成装置
112 基準パターン検出部
114 傾き補正値算出部
115 位置検出部
116 角度誤差設定部
201 読取デバイス
202 位置基準部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0119】
【文献】特開2010-173069号公報
【文献】特開2008-28737号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18