(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】有機発光素子封止用組成物及びこれから製造された有機層を含む有機発光素子表示装置
(51)【国際特許分類】
H10K 50/844 20230101AFI20240419BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20240419BHJP
H10K 85/10 20230101ALI20240419BHJP
H10K 85/60 20230101ALI20240419BHJP
C08F 220/20 20060101ALI20240419BHJP
C08F 230/08 20060101ALI20240419BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240419BHJP
【FI】
H10K50/844
H10K59/10
H10K85/10
H10K85/60
C08F220/20
C08F230/08
G09F9/30 365
(21)【出願番号】P 2019153025
(22)【出願日】2019-08-23
【審査請求日】2022-06-20
(31)【優先権主張番号】10-2018-0103066
(32)【優先日】2018-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】南 成 龍
(72)【発明者】
【氏名】韓 明 淑
(72)【発明者】
【氏名】李 知 娟
【審査官】中山 佳美
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-171734(JP,A)
【文献】特開2009-040811(JP,A)
【文献】特表2008-528657(JP,A)
【文献】特表2016-514756(JP,A)
【文献】特開2014-194881(JP,A)
【文献】国際公開第2015/098647(WO,A1)
【文献】特開2018-109962(JP,A)
【文献】特開2018-088423(JP,A)
【文献】特表2017-523549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/00-99/00
H05B 33/00-33/28
C08F 220/20
C08F 230/08
G09F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記の化学式1の化合物、下記の化学式2の化合物、及び下記の化学式3の化合物のうち1種以上;(B)非シリコン系光硬化性多官能モノマー、及びシリコン系光硬化性多官能モノマーのうち1種以上;(C)光硬化性単官能モノマー;及び(D)開始剤;を含み、
前記(C)光硬化性単官能モノマーは、非シリコン系光硬化性単官能モノマーであって、前記非シリコン系光硬化性単官能モノマーは、芳香族基を有する芳香族系モノ(メタ)アクリレートであり、
前記芳香族系モノ(メタ)アクリレートは、2-フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、2-エチルフェノキシ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-フェニルエチル(メタ)アクリレート、3-フェニルプロピル(メタ)アクリレート、4-フェニルブチル(メタ)アクリレート、2-(2-メチルフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(3-メチルフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(4-メチルフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(4-プロピルフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(4-(1-メチルエチル)フェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(4-メトキシフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(4-シクロへキシルフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(2-クロロフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(3-クロロフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(4-クロロフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(4-ブロモフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(3-フェニルフェニル)エチル(メタ)アクリレート、4-(ビフェニル-2-イルオキシ)ブチル(メタ)アクリレート、3-(ビフェニル-2-イルオキシ)ブチル(メタ)アクリレート、2-(ビフェニル-2-イルオキシ)ブチル(メタ)アクリレート、1-(ビフェニル-2-イルオキシ)ブチル(メタ)アクリレート、4-(ビフェニル-2-イルオキシ)プロピル(メタ)アクリレート、3-(ビフェニル-2-イルオキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2-(ビフェニル-2-イルオキシ)プロピル(メタ)アクリレート、1-(ビフェニル-2-イルオキシ)プロピル(メタ)アクリレート、4-(ビフェニル-2-イルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、3-(ビフェニル-2-イルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、2-(ビフェニル-2-イルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、1-(ビフェニル-2-イルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、2-(4-ベンジルフェニル)エチル(メタ)アクリレート、1-(4-ベンジルフェニル)エチル(メタ)アクリレート又はこれらの構造異性体のうち一つ以上を含み、
前記(A)下記の化学式1の化合物、下記の化学式2の化合物、及び下記の化学式3の化合物のうち1種以上は、前記(A)、(B)、(C)及び(D)の合計(A)+(B)+(C)+(D)100重量部のうち0.01重量部~10重量部で含まれるものである、有機発光素子封止用組成物:
【化1】
(前記化学式1において、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10は、同一又は異なり、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、アミン基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、下記の化学式1-1、下記の化学式1-2、下記の化学式1-3、又は水酸基を有する炭素数1-10のアルキル基であり、
【化2】
(前記各化学式1-1~1-3において、
*は、化学式1の芳香族炭素に対する連結部位であり、
R
11は、水素原子又は炭素数1~5のアルキル基であり、
R
12は、単一結合、炭素数1~10のアルキレン基、又は炭素数6~20のアリーレン基であり、
R
13、R
14、R
15は、同一又は異なり、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキレン基、又は炭素数6~20のアリーレン基であり、
X
1、X
2は、同一又は異なり、それぞれ独立して、O、S、又はNR(Rは、水素原子又は炭素数1~5のアルキル基である)であり、
mは、1~6の整数である。)
nは、1~6の整数である。);
【化3】
(前記化学式2において、
R
20は、下記の化学式a
【化4】
で表される基、又は下記の化学式b
【化5】
で表される基であり、
R
21は、水素原子、置換又は非置換のC
1~C
50の炭化水素基、下記の化学式c
【化6】
で表される基、又は下記の化学式d
【化7】
で表される基であり、
R
22、R
23及びR
24は、置換又は非置換のC
1~C
50の炭化水素基、又は一つ以上のO、N又はS原子団を含有する置換又は非置換のC
1~C
50の炭化水素基であり、
前記R
25、R
26、R
27及びR
28は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、CN、NO
2又はNH
2であり、
前記Xは、*-O-*又は*-N(-E
1)-*であり、前記E
1は、水素原子、置換又は非置換のC
1~C
50の炭化水素基、一つ以上のF、Cl、Br、I、O、N、S、P又はSi原子団を含有する置換又は非置換のC
1~C
50の炭化水素基、下記の化学式e
【化8】
で表される基、又は下記の化学式f
【化9】
で表される基であり、
前記Qは、直鎖又は分枝鎖であるC
2~C
20のアルキレン基、一つ以上の-O-、NH又はNR
34が介在した直鎖又は分枝鎖であるC
2~C
20のアルキレン基、C
5~C
10のシクロアルキレン基、パラ-フェニレン基、下記の化学式g、化学式h、化学式i、化学式j、化学式k、化学式l
【化10】
で表される基(*は結合部位)であり、前記R
34は、水素原子、直鎖又は分枝鎖であるC
1~C
24アルキル基であり、
Lは、C
1~C
12のアルキレン基、C
2~C
12のアルキリデン基、C
5~C
7のシクロアルキレン基、ベンジリデン基又はp-キシリレン基であり、
*は、連結部位である。);
【化11】
(前記化学式3において、
R
1は、置換又は非置換のC
1~C
10のアルキル基、置換又は非置換のC
6~C
20のアリール基、又は置換又は非置換のC
7~C
20のアリールアルキル基であり、
R
2は、置換又は非置換のC
6~C
20のアリール基であり、
R
3は、置換又は非置換のC
1~C
10のアルキレン基、又は置換又は非置換のC
1~C
10のアルキレンオキシ基であり、
R
4は、水素原子、又は置換又は非置換のC
1~C
5のアルキル基である。)。
【請求項2】
前記芳香族系モノ(メタ)アクリレートは、2-フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレートである、請求項1に記載の有機発光素子封止用組成物。
【請求項3】
前記有機発光素子封止用組成物を光硬化させることによって形成された有機層は、波長420nmで光透過率が20%以下である、請求項1
または2に記載の有機発光素子封止用組成物。
【請求項4】
前記化学式1において、R
5、R
10は、それぞれ前記化学式1-2である、請求項1
~3のいずれか1項に記載の有機発光素子封止用組成物。
【請求項5】
前記化学式1の化合物は、下記の化学式1-4及び下記の化学式1-5のうち1種以上を含むものである、請求項1~
4のいずれか1項に記載の有機発光素子封止用組成物
。
【化12】
【請求項6】
前記シリコン系光硬化性多官能モノマーは、下記の化学式5で表示されるものである、請求項1~
5のいずれか1項に記載の有機発光素子封止用組成物:
【化13】
(前記化学式5において、
R
11、R
12は、同一又は異なり、単一結合、置換又は非置換の炭素数1~20のアルキレン基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキレンエーテル基、*-N(R’)-R”-*(*は元素の連結部位、R’は、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、R”は、置換又は非置換の炭素数1~20のアルキレン基)、置換又は非置換の炭素数6~30のアリーレン基、置換又は非置換の炭素数7~30のアリールアルキレン基、又は*-O-R”-*(このとき、*は元素の連結部位、R”は、置換又は非置換の炭素数1~20のアルキレン基)であり、
X
1、X
2、X
3、X
4、X
5、X
6は、同一又は異なり、水素原子、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキルエーテル基、*-N(R’)(R”)(このとき、*は元素の連結部位、R’及びR”は、同一又は異なり、水素原子、又は置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基)、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキルスルフィド基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、又は置換又は非置換の炭素数7~30のアリールアルキル基であり、
X
1、X
2、X
3、X
4、X
5、X
6のうち一つ以上は、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基であり、
Y
1、Y
2は、同一又は異なり、下記の化学式6で表される基であり、
【化14】
(前記化学式6において、
*は元素の連結部位であり、
Z
1は、水素原子、又は置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基である。)
nは、0~30の整数であるか、その平均値が0~30である。)。
【請求項7】
前記有機発光素子封止用組成物は、前記(A)、(B)、(C)及び(D)の合計(A)+(B)+(C)+(D)100重量部のうち前記(A)0.01重量部~10重量部、前記(B)10重量部~80重量部、前記(C)10重量部~60重量部、及び前記(D)1重量部~40重量部を含むものである、請求項1~
6のいずれか1項に記載の有機発光素子封止用組成物。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれか1項に記載の有機発光素子封止用組成物で形成された有機層を含む有機発光素子表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光素子封止用組成物及びこれから製造された有機層を含む有機発光素子表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光素子は、外部の水分、酸素などが浸透すると、損傷しやすくなり、機能がなくなるので、信頼性が低下し得る。よって、有機発光素子は、有機発光素子封止用組成物で封止されなければならない。
【0003】
一方、有機発光素子は、太陽光の露出時に外部UVによって損傷するおそれがあり、その結果、有機発光素子の寿命を短縮させ得る。特に、車両に使用される有機発光素子の場合は、太陽光に相当な時間露出するので、特にUVによる損傷が問題となり得る。また、有機発光素子上に形成される偏光板及び粘着剤にUV吸収剤を含ませることによって外部UVを遮断する方法があるが、有機発光素子と最も隣接して形成された有機層からUV遮断効果を得ることによって、有機発光素子の太陽光による損傷をさらに防止することができる。
【0004】
また、一般に、有機発光素子を封止する封止層は、無機層と有機層の複層構造となっている。無機層と有機層は互いに異なる物性を有するので、無機層と有機層とが交互に積層されることによって、有機発光素子の保護効果をさらに高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】韓国公開特許第2017-0090219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、UV遮断効果に優れた有機層を形成できる有機発光素子封止用組成物を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、プラズマエッチング率が低い有機層を具現できる有機発光素子封止用組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の有機発光素子封止用組成物は、(A)下記の化学式1の化合物、下記の化学式2の化合物、及び下記の化学式3の化合物のうち1種以上;(B)非シリコン系光硬化性多官能モノマー、及びシリコン系光硬化性多官能モノマーのうち1種以上;(C)光硬化性単官能モノマー;及び(D)開始剤;を含み、前記(A)下記の化学式1の化合物、下記の化学式2の化合物、及び下記の化学式3の化合物のうち1種以上は、前記(A)、(B)、(C)及び(D)の合計100重量部のうち0.01重量部~10重量部で含まれてもよい。
【0009】
【0010】
前記化学式1において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、nは、下記の発明の説明で定義した通りである。
【0011】
【0012】
前記化学式2において、R20、R21、R22は、発明の説明で定義した通りである。
【0013】
【0014】
前記化学式3において、R1、R2、R3、R4は、下記の発明の詳細な説明で定義した通りである。
【0015】
本発明の有機発光素子表示装置は、本発明の有機発光素子封止用組成物で形成された有機層を含んでもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、UV遮断効果に優れた有機層を形成できる有機発光素子封止用組成物を提供することができる。
【0017】
本発明は、プラズマエッチング率が低い有機層を具現できる有機発光素子封止用組成物を提供することができる。
【0018】
本発明は、UV遮断効果に優れ、プラズマエッチング率が低い有機層を具現できる有機発光素子封止用組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係る有機発光表示装置の断面図である。
【
図2】本発明の他の実施形態に係る有機発光表示装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、添付の図面を参考にして、実施形態によって本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は、様々な異なる形態に具現可能であり、ここで説明する実施形態に限定されない。図面において、本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略し、明細書全体にわたって同一又は類似する構成要素に対しては同一の図面符号を付した。
【0021】
本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及び/又はメタクリルを意味し得る。
【0022】
本明細書において、「置換の」とは、別途の定義がない限り、本発明の官能基のうち一つ以上の水素原子が、ハロゲン原子(F、Cl、Br又はI)、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、イミノ基(=NH、=NR、Rは、炭素数1~10のアルキル基である。)、アミノ基(-NH2、-NH(R’)、-N(R”)(R’”)、R’、R”、R’”は、それぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基である。)、アミジノ基、ヒドラジン基又はヒドラゾン基、カルボキシ基、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数3~30のヘテロアリール基、又は炭素数2~30のヘテロシクロアルキル基に置換されることを意味し得る。
【0023】
本明細書において、「アリール基」は、環状である置換基の全ての元素がp-オービタルを有しており、これらのp-オービタルが共役(conjugation)を形成している官能基を意味する。アリール基は、単環、非融合型多環又は融合型多環官能基を含む。このとき、融合は、各炭素原子が隣接した各ペアを分けて持つ環状を意味する。アリール基は、2以上のアリール基がシグマ結合を通じて連結された形態であるビフェニル基、テルフェニル基、又はクアテルフェニル基なども含む。アリール基は、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、ピレニル基、クリセニル基などを意味し得る。
【0024】
本明細書において、「アルキレンオキシ基」は、1個以上のアルキレン基と、1個以上の酸素とが連結されている官能基を全て含み得る。例えば、「アルキレンオキシ基」は、(アルキレン基-酸素)n-アルキレン基、(アルキレン基-酸素-アルキレン)n-アルキレン基、アルキレン基-酸素、又は-(酸素-アルキレン基)n-(以上、nは、1~10の整数)を含んでもよい。
【0025】
本発明の一実施形態に係る有機発光素子封止用組成物は、(A)下記の化学式1の化合物、下記の化学式2の化合物、及び下記の化学式3の化合物のうち1種以上;(B)非シリコン系光硬化性多官能モノマー、及びシリコン系光硬化性多官能モノマーのうち1種以上;(C)光硬化性単官能モノマー;及び(D)開始剤;を含み、前記(A)下記の化学式1の化合物、下記の化学式2の化合物、及び下記の化学式3の化合物のうち1種以上は、前記(A)、(B)、(C)及び(D)の合計(A)+(B)+(C)+(D)100重量部のうち0.01重量部~10重量部で含まれてもよい。前記含量範囲で、波長420nm、好ましくは波長410nm、さらに好ましくは波長405nmで光透過率を低下させることによって外部UVからの有機発光素子の損傷を防止することができ、耐プラズマ性を高めることができる。好ましくは、(A)下記の化学式1の化合物、下記の化学式2の化合物、及び下記の化学式3の化合物のうち1種以上は、(A)+(B)+(C)+(D)100重量部のうち1重量部~10重量部、1重量部~8重量部、3重量部~8重量部、例えば、0.01重量部、0.1重量部、1重量部、2重量部、3重量部、4重量部、5重量部、6重量部、7重量部、8重量部、9重量部、10重量部で含まれてもよい。
【0026】
以下、本発明の組成物の各成分に対して詳細に説明する。
【0027】
(A-1)化学式1の化合物
本発明の有機発光素子封止用組成物は、下記の化学式1の化合物を含んでもよい。
【0028】
【0029】
前記化学式1において、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10は、同一又は異なり、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、アミン基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、下記の化学式1-1、下記の化学式1-2、下記の化学式1-3、又は水酸基を有する炭素数1~10のアルキル基であり、
nは、1~6の整数である。
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
前記各化学式1-1~1-3において、
*は、化学式1の芳香族炭素に対する連結部位であり、
R11は、水素原子又は炭素数1~5のアルキル基であり、
R12は、単一結合、炭素数1~10のアルキレン基、又は炭素数6~20のアリーレン基であり、
R13、R14、R15は、同一又は異なり、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキレン基、又は炭素数6~20のアリーレン基であり、
X1、X2は、同一又は異なり、それぞれ独立して、O、S、又はNR(Rは、水素原子又は炭素数1~5のアルキル基である。)であり、
mは、1~6の整数である。
【0034】
好ましくは、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10のうち一つ以上は、前記化学式1-1、前記化学式1-2又は前記化学式1-3になってもよい。また、R5、R10は、それぞれ前記化学式1-2になってもよい。
【0035】
一具体例において、化学式1の化合物は、下記の化学式1-4及び1-5のうちいずれか一つで表示されてもよい。
【0036】
【0037】
【0038】
化学式1の化合物は、当業者に知られている通常の方法で製造することができる。
【0039】
(A-2)化学式2の化合物
本発明の有機発光素子封止用組成物は、下記の化学式2の化合物を含んでもよい。
【0040】
【0041】
前記化学式2において、
R20は、下記の化学式a
【0042】
【0043】
で表される基、又は下記の化学式b
【0044】
【0045】
で表される基であり、
R21は、水素原子、置換又は非置換のC1~C50の炭化水素基、下記の化学式c
【0046】
【0047】
で表される基、又は下記の化学式d
【0048】
【0049】
で表される基であり、
R23は、置換又は非置換のC1~C50の炭化水素基、又は一つ以上のO、N又はS原子団(atomic group)を含有する置換又は非置換のC1~C50の炭化水素基であり、
前記R25、R26、R27及びR28は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、CN、NO2又はNH2であり、
前記Xは、*-O-*又は*-N(-E1)-*であり、前記E1は、水素原子、置換又は非置換のC1~C50の炭化水素基、一つ以上のF、Cl、Br、I、O、N、S、P又はSi原子団を含有する置換又は非置換のC1~C50の炭化水素基、下記の化学式e
【0050】
【0051】
で表される基、又は下記の化学式f
【0052】
【0053】
で表される基であり、
R24は、置換又は非置換のC1~C50の炭化水素基、又は一つ以上のO、N又はS原子団(atomic group)を含有する置換又は非置換のC1~C50の炭化水素基であり、
前記Qは、直鎖又は分枝鎖であるC2~C20のアルキレン基、一つ以上の-O-、NH又はNR34が介在した直鎖又は分枝鎖であるC2~C20のアルキレン基、C5~C10のシクロアルキレン基、パラ-フェニレン基、下記の化学式g、化学式h、化学式i、化学式j、化学式k、化学式l
【0054】
【0055】
で表される基(*は結合部位)であり、
前記R34は、水素原子、直鎖又は分枝鎖であるC1~C24アルキル基であり、
Lは、C1~C12のアルキレン基、C2~C12のアルキリデン基、C5~C7のシクロアルキレン基、ベンジリデン基又はp-キシリレン基であり、
R22は、置換又は非置換のC1~C50の炭化水素基、又は一つ以上のO、N又はS原子団(atomic group)を含有する置換又は非置換のC1~C50の炭化水素基であり、
*は、連結部位である。
【0056】
前記化学式2のR20は、下記の化学式a
【0057】
【0058】
で表される基、又は下記の化学式b
【0059】
【0060】
で表される基であり、
前記*は、化学式2の芳香族炭素に対する連結部位である。具体的には、前記化学式2のR20は、下記の化学式a
【0061】
【0062】
で表される基であってもよい。
【0063】
前記化学式2のR20において、前記R25、R26、R27及びR28は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、-CN、-NO2又は-NH2である。具体的には、前記化学式2のR20において、R25、R26、R27及びR28は、それぞれ独立して、水素原子、Cl又はBrであってもよい。より具体的には、前記化学式2のR20において、R25及びR26は、全て水素原子であるか、水素原子及びCl、水素原子及びBrであり、R27及びR28は、それぞれ独立して、水素原子、Cl又はBrであってもよい。
【0064】
前記化学式2のR21は、水素原子、置換又は非置換のC1~C50の炭化水素基、下記の化学式c
【0065】
【0066】
で表される基、又は下記の化学式d
【0067】
【0068】
で表される基である。
【0069】
前記化学式2のR21において、前記炭化水素基は、直鎖又は分枝鎖アルキル基、直鎖又は分枝鎖アルケニル基、シクロアルキル基、アリールアルキル基、アリール基などを含んでもよい。
【0070】
具体的には、前記化学式2のR21において、前記置換又は非置換のC1~C50の炭化水素基は、C1~C24の直鎖又は分枝鎖であるアルキル基、C2~C18の直鎖又は分枝鎖であるアルケニル基、C5~C12のシクロアルキル基、C7~C15のフェニルアルキル基、フェニル基、フェニル環上にC1~C4のアルキル基1個~4個が置換されたフェニル基、又はフェニル環上にC1~C4のアルキル基1個~4個が置換されたC7~C15のフェニルアルキル基であってもよい。
【0071】
前記C1~C24の直鎖又は分枝鎖であるアルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、tert-アミル基、2-エチルへキシル基、tert-オクチル基、ラウリル基、tert-ドデシル基、トリデシル基、n-ヘキサデシル基、n-オクタデシル基又はエイコシル基などであってもよい。
【0072】
前記C2~C18の直鎖又は分枝鎖であるアルケニル基は、例えば、アリール基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ドセネイル基又はオレイル基である。3個~16個、特に、3個~12個、例えば、2個~6個の炭素原子を有するアルケニル基であってもよい。
【0073】
前記C5~C12のシクロアルキル基は、例えば、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基及びシクロドデシル基である。C1~C4アルキル基で置換されたC5~C8シクロアルキル基は、例えば、メチルシクロペンチル基、ジメチルシクロペンチル基、メチルシクロへキシル基、ジメチルシクロへキシル基、トリメチルシクロへキシル基又はtert-ブチルシクロへキシル基であってもよい。
【0074】
前記C7~C15のフェニルアルキル基は、例えば、ベンジル基、フェネチル基、α-メチルベンジル基又はα,α-ジメチルベンジル基であってもよい。
【0075】
前記フェニル環上にC1~C4のアルキル基1個~4個が置換されたフェニル基は、例えば、トリル基及びキシリル基であってもよい。
【0076】
前記化学式2のR21において、前記R23及びR24は、置換又は非置換のC1~C50の炭化水素基、又は一つ以上のO、N又はS原子団(atomic group)を含有する置換又は非置換のC1~C50の炭化水素基であってもよい。
【0077】
前記化学式2のR21において、前記R25、R26、R27及びR28は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、-CN、-NO2又は-NH2である。具体的には、前記化学式2のR21において、R25、R26、R27及びR28は、それぞれ独立して、水素原子、Cl又はBrであってもよい。より具体的には、前記化学式2のR21において、R25及びR26は、全て水素原子であるか、水素原子及びCl、水素原子及びBrであり、R27及びR28は、それぞれ独立して、水素原子、Cl又はBrであってもよい。
【0078】
前記化学式2のR21において、前記Lは、C1~C12のアルキレン基、C2~C12のアルキリデン基、C5~C7のシクロアルキレン基、ベンジリデン基又はp-キシリレン基であってもよい。
【0079】
前記化学式2のR22、R23及びR24は、置換又は非置換のC1~C50の炭化水素基、又は一つ以上のO、N又はS原子団を含有する置換又は非置換のC1~C50の炭化水素基である。
【0080】
前記化学式2のR22、R23及びR24において、前記炭化水素基は、直鎖又は分枝鎖アルキル基、直鎖又は分枝鎖アルケニル基、シクロアルキル基、アリールアルキル基、アリール基などを含んでもよい。
【0081】
具体的には、前記化学式2のR22、R23及びR24において、前記置換又は非置換のC1~C50の炭化水素基は、C1~C24の直鎖又は分枝鎖アルキル基、C2~C18の直鎖又は分枝鎖アルケニル基、C5~C12のシクロアルキル基、C7~C15のフェニルアルキル基、フェニル基、フェニル環上にC1~C4のアルキル基1個~4個が置換されたフェニル基、又はフェニル環上にC1~C4のアルキル基1個~3個が置換されたC7~C15のフェニルアルキル基であってもよい。
【0082】
具体的には、前記化学式2のR22、R23及びR24において、前記一つ以上のO、N又はS原子団を含有する置換又は非置換のC1~C50の炭化水素基は、一つ以上のO、N又はS原子団が官能基として置換されたり;又は一つ以上のO、N又はS原子団が炭化水素骨格内に介在したもの;を含む。
【0083】
具体的には、前記化学式2のR22、R23及びR24において、O、N又はS原子団は、-OH、-OCO-R31、-OR34、-NCO、-NH2、-O-、-NH-、-NR34-、-OR34、-C(O)-O-R34、-C(O)-NHR34、-C(O)-NR34R’34、-SR33、-NHR33、-N(R33)2、-(CH2)m-CO-X1-(Z)p-Y-R35などを含んでもよい。
【0084】
このとき、前記化学式2のR22、R23及びR24において、R31は、水素原子、直鎖又は分枝鎖であるC1~C18のアルキル基、C5~C12のシクロアルキル基、直鎖又は分枝鎖であるC3~C8のアルケニル基、フェニル基、ナフチル基又はC7~C15のフェニルアルキル基である。
【0085】
このとき、前記化学式2のR22、R23及びR24において、R33は、直鎖又は分枝鎖であるC1~C20のアルキル基、直鎖又は分枝鎖であるC2~C20のヒドロキシアルキル基、直鎖又は分枝鎖であるC3~C18のアルケニル基、C5~C12のシクロアルキル基、C7~C15のフェニルアルキル基、フェニル基、ナフチル基、C1~C4のアルキル基1個又は2個によって置換されたアルキルフェニル基、又はC1~C4のアルキル基1個又は2個によって置換されたナフチル基である。
【0086】
このとき、前記化学式2のR22、R23及びR24において、R34及びR’34は、水素原子、直鎖又は分枝鎖であるC1~C24アルキル基である。
【0087】
より具体的には、前記化学式2のR22、R23及びR24は、-OH、-OCO-R31、-OR34、-NCO、-NH2又はこれらの組み合わせのうち一つ以上の官能基として置換されたC1~C24の直鎖又は分枝鎖アルキル基であってもよい。
【0088】
より具体的には、前記化学式2のR22、R23及びR24は、-O-、-NH-、-NR34-又はこれらの組み合わせのうち一つ以上が介在したC1~C24の直鎖又は分枝鎖アルキル基であってもよい。
【0089】
一具体例において、一つ以上の-O-が介在したアルキル基は、エチレンオキシド単位又はプロピレンオキシド単位、又はこれらの二つの混合から由来し得る。
【0090】
一具体例において、一つ以上の-NH-又は-NR34-が介在したアルキル基は、エチレンジアミンの反復単位であってもよい。
【0091】
より具体的には、前記化学式2のR22、R23及びR24は、-O-、-NH-、-NR34-又はこれらの組み合わせのうち一つ以上が介在したC2~C18の直鎖又は分枝鎖アルケニル基であってもよい。
【0092】
より具体的には、前記化学式2のR22、R23及びR24は、-O-、-NH-、-NR34-又はこれらの組み合わせのうち一つ以上が介在したC2~C18の直鎖又は分枝鎖アルケニル基であってもよい。
【0093】
より具体的には、前記化学式2のR22、R23及びR24は、-OH、OR34、-NH2又はこれらの組み合わせのうち一つ以上の官能基として置換されたC1~C24の直鎖又は分枝鎖アルキル基であってもよい。
【0094】
より具体的には、前記化学式2のR22、R23及びR24は、-OR34、-C(O)-O-R34、-C(O)-NHR34、-C(O)-NR34R’34であってもよい。
【0095】
より具体的には、前記化学式2のR22、R23及びR24は、-SR33、-NHR33、-N(R33)2であってもよい。
【0096】
より具体的には、前記化学式2のR22、R23及びR24は、-(CH2)m-CO-X1-(Z)p-Y-R35であってもよい。
【0097】
このとき、前記化学式2のR22、R23及びR24において、X1は、-O-又は-N(-R36)-である。
【0098】
このとき、前記化学式2のR22、R23及びR24において、Yは、-O-又は-N(-R37)-又は直接結合部位(direct bond)である。
【0099】
このとき、前記化学式2のR22、R23及びR24において、Zは、C2~C12のアルキレン基;1個~3個のN、O又はこれらの組み合わせが介在したC4~C12アルキレン基;C3~C12のアルキレン基、ブテニレン基、ブチニレン基、シクロへキシレン基又はフェニレン基;それぞれヒドロキシル基に置換されたC3~C12のアルキレン基、ブテニレン基、ブチニレン基、シクロへキシレン基又はフェニレン基;下記の化学式g、化学式h、化学式i、化学式j、化学式k、化学式l
【0100】
【0101】
で表される基(ここで、*は結合を示す。);である。
【0102】
具体例において、前記化学式2のR22、R23及びR24において、Yが直接結合である場合、Zが追加的に直接結合であってもよい。
【0103】
このとき、前記化学式2のR22、R23及びR24において、mは、0、1又は2である。
【0104】
このとき、前記化学式2のR22、R23及びR24において、pは1であるか;又はX及びYがそれぞれ-N(-R36)-及び-N(-R37)-である場合、pは0である。
【0105】
このとき、前記化学式2のR22、R23及びR24において、R35は、水素原子、C1~C12のアルキル基、下記の化学式m
【0106】
【0107】
で表される基、下記の化学式n
【0108】
【0109】
で表される基(R24、R25、R26、R27、R28、mは、上記した通りである)、又は-CO-C(R38)=C(H)R39、又は、Yが-N(-R37)-である場合、R37と共に、-CO-CH=CH-CO-を形成する。
【0110】
このとき、前記化学式2のR2において、R38は、水素原子又はメチル基であり、R39は、水素原子、メチル基又は-CO-X1-R40である。
【0111】
このとき、前記化学式2のR2において、R40は、水素原子、C1~C12のアルキル基、下記の化学式o
【0112】
【0113】
で表される基、又は下記の化学式p
【0114】
【0115】
で表される基(上記の化学式m、化学式n、化学式o、化学式p中のR21、R25、R26、R27、R28、X1、Z、m、pは、上述した通りである)である。
【0116】
このとき、前記化学式2のR22において、R36及びR37は、それぞれ独立して、水素原子、C1~C12のアルキル基、1個~3個の酸素原子が介在したC1~C12のアルキル基、1個~3個の酸素原子が介在したC3~C12のアルキル基、シクロへキシル基、C7~C15フェニルアルキル基であってもよく、Zがエチレン基である場合、R36は、R37と共にエチレン基を形成する。
【0117】
前記化学式2の(上記の化学式a、化学式b、化学式c、化学式d、化学式m、化学式n、化学式o、化学式p中の)Xは、*-O-*又は*-N(-E1)-*で、前記E1は、水素原子、置換又は非置換のC1~C50の炭化水素基、又は一つ以上のF、Cl、Br、I、O、N、S、P又はSi原子団を含有する置換又は非置換のC1~C50の炭化水素基、下記の化学式e
【0118】
【0119】
で表される基、又は下記の化学式f
【0120】
【0121】
で表される基である。
【0122】
前記化学式2のE1において、前記炭化水素基は、直鎖又は分枝鎖アルキル基、直鎖又は分枝鎖アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリールアルキル基、アリール基などを含んでもよい。
【0123】
具体的には、前記化学式2のE1において、前記置換又は非置換のC1~C50の炭化水素基は、C1~C24の直鎖又は分枝鎖アルキル基、C2~C18の直鎖又は分枝鎖アルケニル基、C2~C6のアルキニル基、C5~C12のシクロアルキル基、C7~C15のフェニルアルキル基、フェニル基、ナフチル基、フェニル環上にC1~C4のアルキル基1個~4個が置換されたフェニル基、又はフェニル環上にC1~C4のアルキル基1個~3個が置換されたC7~C15のフェニルアルキル基であってもよい。
【0124】
具体的には、前記化学式2のE1において、前記一つ以上のF、Cl、Br、I、O、N、S、P又はSi原子団を含有する置換又は非置換のC1~C50の炭化水素基は、F、Cl、Br、I、O、N、S、P又はSi原子団が官能基として置換されたり;又は一つ以上のF、Cl、Br、I、O、N、S、P又はSi原子団が炭化水素骨格内に介在したもの;を含む。
【0125】
具体的には、前記化学式2のE1において、F、Cl、Br、I、O、N、S、P又はSi原子団は、-F、-OH、-NH2、-NHCOR43、-NR42COR43、-OCOR44、-Si(R49)n(R50)3-n、-Si(R42)3、-N+(R42)3A-、-S+(R42)2A-、オキシラニル基、-CN、-CF3、-NO2、-R45などを含んでもよい。
【0126】
このとき、前記化学式2のE1において、nは、0、1又は2であり;A-は、-N+又は-S+と結合が可能な一般的な陰イオン;を意味する。
【0127】
このとき、前記化学式2のE1において、R42は、直鎖又は分枝鎖であるC1~C18のアルキル基、直鎖又は分枝鎖であるC2~C18のアルケニル基、C5~C10のシクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基、C7~C15のフェニルアルキル基、又は2個のR42がN又はSi原子に結合された場合、これらが結合されている原子と共に環を作って形成されたピロリジン、ピペリジン又はモルホリン構造の基である。
【0128】
このとき、前記化学式2のE1において、R43は、水素原子、OR42、NHR42、N(R42)2であるか、又はR42である。
【0129】
このとき、前記化学式2のE1において、R44は、OR42、NHR42、N(R42)2又はR42である。
【0130】
このとき、前記化学式2のE1において、R45は、水素原子、OH、OR42、NHR42、N(R42)2、O-グリシジル基又はR42である。
【0131】
このとき、前記化学式2のE1において、R46は、OH、OR42、NHR42又はN(R42)2である。
【0132】
このとき、前記化学式2のE1において、R47は、NH2、NHR42又はN(R42)2である。
【0133】
このとき、前記化学式2のE1において、R48は、OH又はOR42である。
【0134】
このとき、前記化学式2のE1において、R49は、Cl又はOR42である。
【0135】
このとき、前記化学式2のE1において、R50は、直鎖又は分枝鎖であるC1~C18のアルキル基である。
【0136】
より具体的には、前記化学式2のE1は、水素原子、C1~C24の直鎖又は分枝鎖であるアルキル基、C2~C18の直鎖又は分枝鎖であるアルケニル基、C2~C6のアルキニル基、C5~C12のシクロアルキル基、C7~C15のフェニルアルキル基、フェニル基、ナフチル基であってもよい。
【0137】
より具体的には、前記化学式2のE1は、一つ以上の-F、-OH、-OR42、-NH2、-NHR42、-N(R42)2、-NHCOR43、-NR42COR43、-OCOR44、-COR45、-SO2R46、-PO(R47)n(R48)2-n、-Si(R49)n(R50)3-n、-Si(R42)3、-N+(R42)3A-、-S+(R42)2A-、-オキシラニル基又はこれらの組み合わせのうち一つ以上の官能基として置換された、C1~C24の直鎖又は分枝鎖であるアルキル基、C2~C18の直鎖又は分枝鎖であるアルケニル基、C2~C6のアルキニル基であってもよい。このとき、nは、0、1又は2であり;A-は、-N+又は-S+と結合が可能な陰イオン;である。
【0138】
より具体的には、前記化学式2のE1は、一つ以上の-O-、-S-、-NH-又は-NR42-、又はこれらの組み合わせのうち一つ以上が介在した、C1~C24の直鎖又は分枝鎖であるアルキル基、C2~C18の直鎖又は分枝鎖であるアルケニル基、C2~C6のアルキニル基、C5~C12のシクロアルキル基、C7~C15のフェニルアルキル基、フェニル基、ナフチル基であってもよい。
【0139】
より具体的には、前記化学式2のE1は、一つ以上のハロゲン原子(-F、-Cl、-Br、-I)、-CN、-CF3、-NO2、-NHR42、-N(R42)2、-SO2R46、-PO(R47)n(R48)2-n、-OH、-OR42、-COR45、-R45又はこれらの組み合わせのうち一つ以上の官能基として置換された、C7~C15のフェニルアルキル基、フェニル基、ナフチル基であってもよい。
【0140】
前記化学式2のE1において、R21、R22、R25、R26、R27及びR28は上述した通りである。
前記化学式2のQは、 直鎖又は分枝鎖であるC2~C20のアルキレン基、一つ以上の-O-、NH又はNR34が介在した直鎖又は分枝鎖であるC2~C20のアルキレン基、C5~C10のシクロアルキレン基、パラ-フェニレン基、下記の化学式g、化学式h、化学式i、化学式j、化学式k、化学式l
【0141】
【0142】
で表される基(*は結合部位)であり、前記R34は、水素原子、直鎖又は分枝鎖であるC1~C24アルキル基である。
【0143】
化学式2の化合物は、当業者に知られている通常の方法で製造したり、商業的に販売されている製品を用いて製造してもよい。
【0144】
具体的には、化学式2の化合物は、下記の化学式2-1~下記の化学式2-12のうちいずれか一つで表示されてもよい。
【0145】
【0146】
【0147】
【0148】
化学式2の化合物は、当業者に知られている通常の方法で製造したり、商業的に販売されている製品を用いて製造してもよい。
【0149】
(A-3)化学式3の化合物
本発明の有機発光素子封止用組成物は、下記の化学式3の化合物を含んでもよい。
【0150】
【0151】
前記化学式3において、
R1は、置換又は非置換のC1~C10のアルキル基、置換又は非置換のC6~C20のアリール基、又は置換又は非置換のC7~C20のアリールアルキル基であり、
R2は、置換又は非置換のC6~C20のアリール基であり、
R3は、置換又は非置換のC1~C10のアルキレン基、置換又は非置換のC1~C10のアルキレンオキシ基、又はC1~C10のアルキレンオキシアルキレン基であり、
R4は、水素原子、又は置換又は非置換のC1~C5のアルキル基である。
【0152】
具体的には、前記化学式3において、R1は、置換又は非置換のC1~C10のアルキル基、好ましくは、置換又は非置換のC1~C5のアルキル基になってもよい。具体的には、前記化学式3において、R2は、置換又は非置換のC6~C18のアリール基、好ましくは、置換又は非置換のC6~C12のアリール基になってもよい。具体的には、前記化学式3において、R3は、置換又は非置換のC1~C5のアルキレン基になってもよい。
【0153】
具体的には、化学式3の化合物は、下記の化学式3-1~下記の化学式3-4のうちいずれか一つで表示されてもよい。
【0154】
【0155】
化学式3の化合物は、当業者に知られている通常の方法で製造することができる。
【0156】
(B)非シリコン系光硬化性多官能モノマー及びシリコン系光硬化性多官能モノマーのうち1種以上
非シリコン系光硬化性多官能モノマーは、シリコン(Si)がない非シリコン系であって、(メタ)アクリレート基間に、置換又は非置換のC1~C20のアルキレン基、好ましくは、非置換のC1~C15のアルキレン基を有するジ(メタ)アクリレートを含んでもよい。このとき、アルキレン基の炭素数は、ジ(メタ)アクリレート基にある炭素を除いたアルキレン基自体にある炭素数のみを意味する。例えば、ジ(メタ)アクリレートは、下記の化学式4で表示されてもよい。
【0157】
【0158】
前記化学式4において、
R7、R8は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基であり、
R9は、置換又は非置換のC1~C20のアルキレン基である。
【0159】
例えば、前記化学式4において、R9は、非置換のC8~C12のアルキレン基になってもよい。より具体的には、ジ(メタ)アクリレートは、オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ウンデカンジオールジ(メタ)アクリレート、及びドデカンジオールジ(メタ)アクリレートのうち一つ以上を含んでもよい。
【0160】
他の具体例において、非シリコン系光硬化性多官能モノマーは、前記ジ(メタ)アクリレート以外に、シリコンがない非シリコン系として、トリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリレート、及びヘキサ(メタ)アクリレートのうち一つ以上をさらに含んでもよい。トリ(メタ)アクリレートは、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどを含む炭素数3~20のトリオール、テトラオール、ペンタオール又はヘキサオールのトリ(メタ)アクリレートを含んでもよい。テトラ(メタ)アクリレートは、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどを含む炭素数4~20のテトラオール、ペンタオール又はヘキサオールのテトラ(メタ)アクリレートを含んでもよい。ペンタ(メタ)アクリレートは、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどを含む炭素数4~20のペンタオール又はヘキサオールのペンタ(メタ)アクリレートを含んでもよい。ヘキサ(メタ)アクリレートは、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどを含む炭素数4~20のヘキサオールのヘキサ(メタ)アクリレートを含んでもよい。
【0161】
非シリコン系光硬化性多官能モノマーは、(A)+(B)+(C)+(D)100重量部のうち10重量部~70重量部、好ましくは、20重量部~60重量部、さらに好ましくは、30重量部~60重量部、例えば、10重量部、20重量部、30重量部、40重量部、50重量部、60重量部、70重量部で含まれてもよい。前記範囲で、クロスリンキング密度を増加させ、膜の強度を上昇させるという効果があり得る。
【0162】
シリコン系光硬化性多官能モノマーは、シリコン(Si)を有するシリコン系ジ(メタ)アクリレートを含んでもよい。組成物は、ジ(メタ)アクリレートとして前記非シリコン系ジ(メタ)アクリレートとシリコン系ジ(メタ)アクリレートとの混合物を含むことによって、組成物の粘度を低下させ、硬化収縮率を低下させるという効果がさらにあり得る。
【0163】
シリコン系ジ(メタ)アクリレートは、下記の化学式5で表示されてもよい。
【0164】
【0165】
前記化学式5において、
R11、R12は、同一又は異なり、単一結合、置換又は非置換の炭素数1~20のアルキレン基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキレンエーテル基、*-N(R’)-R”-*(*は元素の連結部位、R’は、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、R”は、置換又は非置換の炭素数1~20のアルキレン基)、置換又は非置換の炭素数6~30のアリーレン基、置換又は非置換の炭素数7~30のアリールアルキレン基、又は*-O-R”-*(このとき、*は元素の連結部位、R”は、置換又は非置換の炭素数1~20のアルキレン基)であり、
X1、X2、X3、X4、X5、X6は、同一又は異なり、水素原子、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキルエーテル基、*-N(R’)(R”)(このとき、*は元素の連結部位、R’及びR”は、同一又は異なり、水素原子、又は置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基)、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキルスルフィド基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、又は置換又は非置換の炭素数7~30のアリールアルキル基であり、
X1、X2、X3、X4、X5、X6のうち一つ以上は、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基であり、
Y1、Y2は、同一又は異なり、下記の化学式6で表される基であり、
nは、0~30の整数であるか、その平均値が0~30である。
【0166】
【0167】
前記化学式6において、
*は、元素の連結部位であり、
Z1は、水素原子、又は置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基である。
【0168】
前記「単一結合」は、SiとY1とが如何なる元素も介在せずに直接連結(Y1-Si)されたり、SiとY2とが如何なる元素も介在せずに直接連結(Si-Y2)されたことを意味する。
【0169】
具体的には、R11、R12は、炭素数1~5のアルキレン基又は単一結合であってもよい。具体的には、X1、X2、X3、X4、X5、X6は、炭素数1~5のアルキル基又は炭素数6~10のアリール基であり、X1、X2、X3、X4、X5、X6のうち一つ以上は、炭素数6~10のアリール基であってもよい。さらに具体的には、X1、X2、X3、X4、X5、X6は、炭素数1~5のアルキル基又は炭素数6~10のアリール基であり、X1、X2、X3、X4、X5、X6のうち1個、2個、3個又は6個は、炭素数6~10のアリール基であってもよい。より具体的には、X1、X2、X3、X4、X5、X6は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、フェニル基、又はナフチル基であり、X1、X2、X3、X4、X5、X6のうち1個、2個、3個又は6個は、フェニル基又はナフチル基になってもよい。nは1~5の整数になってもよい。
【0170】
具体的には、シリコン系ジ(メタ)アクリレートは、下記の化学式5-1~5-6のうちいずれか一つで表示されてもよい:
【0171】
【0172】
シリコン系ジ(メタ)アクリレートは、分子量が100g/mol~2000g/mol、具体的には、200g/mol~1000g/mol、例えば、100g/mol、200g/mol、300g/mol、400g/mol、500g/mol、600g/mol、700g/mol、800g/mol、900g/mol、1000g/mol、1100g/mol、1200g/mol、1300g/mol、1400g/mol、1500g/mol、1600g/mol、1700g/mol、1800g/mol、1900g/mol、2000g/molになってもよい。前記範囲で、蒸着特性が良好であり、プラズマによるエッチング率が低い有機層を具現することができる。
【0173】
シリコン系ジ(メタ)アクリレートは、通常の方法で製造したり、商業的に市販される製品を用いて製造してもよい。例えば、シリコン系ジ(メタ)アクリレートは、一つ以上のシリコンが連結されたアリール基を有するシロキサン化合物と炭素数を延長させる化合物(例:アリールアルコール)とを反応させた後、(メタ)アクリロイルクロリドを反応させて製造されてもよいが、これに制限されない。又は、シリコン系ジ(メタ)アクリレートは、一つ以上のシリコンが連結されたアリール基を有するシロキサン化合物と(メタ)アクリロイルクロリドとを反応させて製造されてもよいが、これに制限されない。
【0174】
シリコン系光硬化性多官能モノマーは、(A)+(B)+(C)+(D)100重量部のうち10重量部~50重量部、好ましくは10重量部~40重量部、さらに好ましくは10重量部~30重量部、例えば、10重量部、20重量部、30重量部、40重量部、50重量部で含まれてもよい。前記範囲で、クロスリンキング密度を増加させ、膜の強度を上昇させるという効果があり得る。
【0175】
非シリコン系光硬化性多官能モノマー及びシリコン系光硬化性多官能モノマーのうち1種以上は、(A)+(B)+(C)+(D)100重量部のうち10重量部~80重量部、好ましくは20重量部~80重量部、さらに好ましくは50重量部~80重量部、例えば、10重量部、20重量部、30重量部、40重量部、50重量部、60重量部、70重量部、80重量部で含まれてもよい。前記範囲で、クロスリンキング密度を増加させ、膜の強度を上昇させるという効果があり得る。
【0176】
(C)光硬化性単官能モノマー
光硬化性単官能モノマーは、有機発光素子封止用組成物に含まれ、封止用組成物の光硬化率を高めることができる。また、光硬化性単官能モノマーは、有機層の光透過率を高め、封止用組成物の粘度を低下させ得る。
【0177】
好ましくは、光硬化性単官能モノマーは、シリコンを含まない非シリコン系光硬化性単官能モノマーを含んでもよい。
【0178】
非シリコン系光硬化性単官能モノマーは、(C1)芳香族基を有する芳香族系モノ(メタ)アクリレート、及び(C2)芳香族基を有さない非芳香族系モノ(メタ)アクリレートのうち一つ以上を含んでもよい。好ましくは、非シリコン系光硬化性単官能モノマーは、(C1)芳香族基を有する芳香族系モノ(メタ)アクリレートであってもよい。芳香族系モノ(メタ)アクリレートは、非芳香族系モノ(メタ)アクリレートに比べてUV遮断効果がさらに優秀であり、耐プラズマ性がさらに優秀になり得る。
【0179】
(C1)芳香族系モノ(メタ)アクリレートは、置換又は非置換の芳香族基を有するモノ(メタ)アクリレートを含んでもよい。このとき、「芳香族基」は、単環(monocyclic)又は融合された(fused)形態などを含む多環の(polycyclic)芳香族基を意味したり、単環がシグマ結合で連結された形態を意味する。但し、芳香族基は、インドール基を含まない非インドール系である。例えば、芳香族基は、置換又は非置換のC6~C50のアリール基、置換又は非置換のC7~C50のアリールアルキル基、置換又は非置換のC3~C50のヘテロアリール基、及び置換又は非置換のC3~C50のヘテロアリールアルキル基のうち一つ以上を意味し得る。さらに具体的には、芳香族基は、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基、クアテルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、クリセニル基、トリフェニレニル基、テトラセニル基、ピレニル基、ベンゾピレニル基、ペンタセニル基、コロネニル基、オバレニル基、コランニュレニル基、ベンジル基、ピリジニル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、キノキサリニル基、アクリジニル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、フタラジニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、イソキサゾリル基、ベンズイソキサゾリル基、オキサゾリル基、ベンズオキサゾリル基、ピラゾリル基、インダゾリル基、イミダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ピュリニル基、チオフェニル基、ベンゾチオフェニル基、フラニル基、ベンゾフラニル基、及びイソベンゾフラニル基のうち一つ以上になってもよい。
【0180】
例えば、芳香族系モノ(メタ)アクリレートは、下記の化学式7で表示されてもよい。
【0181】
【0182】
前記化学式7において、
R5は、水素原子又はメチル基であり、
sは0~10の整数であり、
R6は、置換又は非置換のC6~C50のアリール基、又は置換又は非置換のC6~C50のアリールオキシ基である。
【0183】
例えば、R6は、フェニルフェノキシエチル基、フェノキシエチル基、ベンジル基、フェニル基、フェニルフェノキシ基、フェノキシ基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、メチルフェニルエチル基、プロピルフェニルエチル基、メトキシフェニルエチル基、シクロへキシルフェニルエチル基、クロロフェニルエチル基、ブロモフェニルエチル基、メチルフェニル基、メチルエチルフェニル基、メトキシフェニル基、プロピルフェニル基、シクロへキシルフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フェニルフェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基、クアテルフェニル基、アントラセニル基、ナフタレニル基、トリフェニレニル基、メチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、メチルエチルフェノキシ基、メトキシフェニルオキシ基、プロピルフェノキシ基、シクロへキシルフェノキシ基、クロロフェノキシ基、ブロモフェノキシ基、ビフェニルオキシ基、テルフェニルオキシ基、クアテルフェニルオキシ基、アントラセニルオキシ基、ナフタレニルオキシ基、トリフェニレニルオキシ基になってもよい。
【0184】
具体的には、芳香族系モノ(メタ)アクリレートは、2-フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、2-エチルフェノキシ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-フェニルエチル(メタ)アクリレート、3-フェニルプロピル(メタ)アクリレート、4-フェニルブチル(メタ)アクリレート、2-(2-メチルフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(3-メチルフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(4-メチルフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(4-プロピルフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(4-(1-メチルエチル)フェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(4-メトキシフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(4-シクロへキシルフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(2-クロロフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(3-クロロフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(4-クロロフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(4-ブロモフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(3-フェニルフェニル)エチル(メタ)アクリレート、4-(ビフェニル-2-イルオキシ)ブチル(メタ)アクリレート、3-(ビフェニル-2-イルオキシ)ブチル(メタ)アクリレート、2-(ビフェニル-2-イルオキシ)ブチル(メタ)アクリレート、1-(ビフェニル-2-イルオキシ)ブチル(メタ)アクリレート、4-(ビフェニル-2-イルオキシ)プロピル(メタ)アクリレート、3-(ビフェニル-2-イルオキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2-(ビフェニル-2-イルオキシ)プロピル(メタ)アクリレート、1-(ビフェニル-2-イルオキシ)プロピル(メタ)アクリレート、4-(ビフェニル-2-イルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、3-(ビフェニル-2-イルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、2-(ビフェニル-2-イルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、1-(ビフェニル-2-イルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、2-(4-ベンジルフェニル)エチル(メタ)アクリレート、1-(4-ベンジルフェニル)エチル(メタ)アクリレート又はこれらの構造異性体のうち一つ以上を含んでもよいが、これに制限されることはない。すなわち、本発明で言及した(メタ)アクリレートは、一例に該当するものに過ぎなく、これに限定されることはない。さらに、本発明は、構造異性体に対応する全てのアクリレートを含む。例えば、本発明の一例として2-フェニルエチル(メタ)アクリレートのみが言及されていたとしても、本発明は、3-フェニルエチル(メタ)アクリレート及び4-フェニル(メタ)アクリレートを全て含む。
【0185】
具体的には、化学式7において、sは1~5の整数で、R6は、置換又は非置換のフェニルフェノキシ基、置換又は非置換のフェニルチオール基、置換又は非置換のビフェニルフェノキシ基、置換又は非置換のテルフェニルフェノキシ基になってもよく、「置換又は非置換」における置換体は、重水素原子、C1~C10のアルキル基、C1~C10のアルコキシ基、C6~C18のアリール基、C3~C18のヘテロアリール基、又はチオール基であってもよい。
【0186】
(C2)非芳香族系モノ(メタ)アクリレートは、置換又は非置換のC1~C20のアルキル基を有するモノ(メタ)アクリレートであってもよい。具体的には、非芳香族系モノ(メタ)アクリレートは、非置換の直鎖状のC1~C20のアルキル基を有するモノ(メタ)アクリレート、さらに具体的には、非置換の直鎖状のC10~C20のアルキル基を有するモノ(メタ)アクリレートになってもよい。例えば、非芳香族系モノ(メタ)アクリレートは、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、及びアラキジル(メタ)アクリレートのうち一つ以上を含んでもよいが、これに制限されない。
【0187】
光硬化性単官能モノマー、好ましくは、非シリコン系光硬化性単官能モノマーは、(A)+(B)+(C)+(D)100重量部のうち10重量部~60重量部、具体的には15重量部~50重量部、より具体的には15重量部~40重量部、例えば、10重量部、20重量部、30重量部、40重量部、50重量部、60重量部で含まれてもよい。前記範囲で、組成物の粘度を低下させ、接着力を増加させるという効果があり得る。
【0188】
(D)開始剤
開始剤は、光硬化性反応を行える通常の光重合開始剤を制限なく含み得る。例えば、光重合開始剤は、トリアジン系、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、ベンゾイン系、リン系、オキシム系又はこれらの混合物を含んでもよい。
【0189】
リン系は、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、ベンジル(ジフェニル)ホスフィンオキシド、又はこれらの混合物になってもよい。例えば、リン系開始剤を使用する場合、本発明の組成物において長波長のUVでより良い開始性能を示すことができる。開始剤は、単独で含まれてもよく、2種以上が混合されて含まれてもよい。
【0190】
開始剤は、(A)+(B)+(C)+(D)100重量部のうち1重量部~40重量部、具体的には1重量部~10重量部、より具体的には1重量部~9重量部、1重量部~8重量部、例えば、1重量部、2重量部、3重量部、4重量部、5重量部、6重量部、7重量部、8重量部、9重量部、10重量部、20重量部、30重量部、40重量部で含まれてもよい。前記範囲で、露光時に光重合が十分に起こり得ると共に、光重合後に残った未反応開始剤によって透過率が低下することを防止することができる。
【0191】
有機発光素子封止用組成物は、前記(A)~(D)を混合して形成してもよい。例えば、有機発光素子封止用組成物は、溶剤を含まない無溶剤タイプで形成してもよい。有機発光素子組成物が無溶剤タイプである場合、100重量部は前記(A)~(D)の総重量に基づく。
【0192】
有機発光素子封止用組成物の光硬化によって形成された有機層は、波長420nm、好ましくは波長410nm、さらに好ましくは波長405nmで光透過率が20%以下、具体的には15%以下、より具体的には10%以下であってもよい。前記範囲で、太陽光の露出による有機発光素子パネルの寿命減少を遮断することができる。
【0193】
有機発光素子封止用組成物は、光硬化型組成物であって、UV波長で10mW/cm2~500mW/cm2で1秒~50秒間の照射によって硬化され得る。
【0194】
有機発光素子封止用組成物は、25±2℃で粘度が7cps~50cpsになってもよい。前記範囲で、封止用組成物の蒸着が可能になる。
【0195】
有機発光素子封止用組成物は、下記の数式2のプラズマによる有機層のエッチング率が10%以下、例えば、10%以下、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下になってもよい。前記範囲で、無機層の蒸着時に損傷しなくなるので、有機発光素子の信頼性を高めることができる。
【0196】
有機発光素子封止用組成物は、有機発光素子を封止するのに使用されてもよい。具体的には、無機層と有機層とが順次形成される封止構造で有機層を形成してもよい。特に、有機発光素子封止用組成物は、フレキシブル有機発光素子表示装置に使用されてもよい。
【0197】
有機発光素子封止用組成物は、装置用部材、特に、ディスプレイ装置用部材であって、周辺環境の気体又は液体、例えば、大気中の酸素及び/又は水分及び/又は水蒸気と電子製品として加工するときに使用された化学物質の透過によって分解されたり不良になり得る装置用部材の封止用途にも使用可能である。例えば、装置用部材は、照明装置、金属センサーパッド、マイクロディスクレーザー、電気変色装置、光変色装置、マイクロ電子機械システム、太陽電池、集積回路、電荷結合装置、発光重合体、発光ダイオードなどになってもよいが、これに制限されない。
【0198】
本発明の有機発光素子表示装置は、本発明の実施形態に係る有機発光素子封止用組成物で形成された有機層を含んでもよい。具体的には、有機発光素子表示装置は、有機発光素子と、有機発光素子上に形成され、無機層及び有機層を含む障壁スタックとを含み、有機層は、本発明の実施形態に係る有機発光素子封止用組成物で形成されてもよい。その結果、有機発光素子表示装置の信頼性が良好になり得る。
【0199】
以下では、
図1を参考にして、本発明の一実施形態に係る有機発光素子表示装置を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る有機発光素子表示装置の断面図である。
【0200】
図1を参照すると、本発明の一実施形態に係る有機発光素子表示装置100は、基板10と、基板10上に形成された有機発光素子20と、有機発光素子20上に形成され、無機層31及び有機層32を含む障壁スタック30とを含み、無機層31は、有機発光素子20と接触する状態となっており、有機層32は、本発明の実施形態に係る有機発光素子封止用組成物で形成されてもよい。
【0201】
基板10は、有機発光素子が形成され得る基板であれば特に制限されなく、例えば、透明ガラス、プラスチックシート、シリコン又は金属基板などの物質からなってもよい。
【0202】
有機発光素子20は、有機発光素子表示装置で通常的に使用されるものであって、
図1に示してはいないが、第1電極、第2電極、及び第1電極と第2電極との間に形成された有機発光膜を含み、有機発光膜は、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、及び電子注入層が順次積層されたものであってもよいが、これに制限されない。
【0203】
障壁スタック30は、有機層及び無機層を含み、有機層と無機層は、それぞれ層を構成する成分が互いに異なるので、それぞれ有機発光素子の封止機能を具現することができる。
【0204】
無機層は、有機層と異なる成分を有することによって、有機層の効果を補完することができる。例えば、無機層は、金属、非金属、金属間化合物又は合金、非金属間化合物又は合金、金属又は非金属の酸化物、金属又は非金属のフッ化物、金属又は非金属の窒化物、金属又は非金属の炭化物、金属又は非金属の酸素窒化物、金属又は非金属のホウ素化物、金属又は非金属の酸素ホウ素化物、金属又は非金属のシリサイド、又はこれらの混合物になってもよい。金属又は非金属は、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、セレニウム(Se)、亜鉛(Zn)、アンチモン(Sb)、インジウム(In)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、ビスマス(Bi)、遷移金属、ランタン族金属などになってもよいが、これに制限されない。具体的には、無機層は、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン窒化物(SiNx)、シリコン酸素窒化物(SiOxNy)、ZnSe、ZnO、Sb2O3、Al2O3などを含むAlOx、In2O3、SnO2になってもよい。
【0205】
無機層は、プラズマ工程、真空工程、例えば、スパッタリング、化学気相蒸着、プラズマ化学気相蒸着、蒸発、昇華、電子サイクロトロン共鳴-プラズマ蒸気蒸着及びその組み合わせで蒸着されてもよい。
【0206】
有機層は、無機層と交互に蒸着するとき、無機層の平滑化特性を確保し、無機層の欠陥が他の無機層に伝播されることを防止することができる。
【0207】
有機層は、本発明の実施形態に係る有機発光素子封止用組成物のコーティング、蒸着、硬化などの組み合わせによって形成されてもよい。例えば、有機発光素子封止用組成物を1μm~50μmの厚さでコーティングし、10mW/cm2~500mW/cm2で1秒~50秒間の照射によって硬化させてもよい。
【0208】
障壁スタックは有機層及び無機層を含み、有機層と無機層の総個数は制限されない。有機層と無機層の総個数は、酸素及び/又は水分及び/又は水蒸気及び/又は化学物質に対する透過抵抗性の水準によって変更可能である。例えば、有機層と無機層の総個数は、10層以下、例えば、2層~7層になってもよく、具体的には、無機層/有機層/無機層/有機層/無機層/有機層/無機層の順に7層で形成されてもよい。
【0209】
障壁スタックにおいて、有機層と無機層とは交互に蒸着されてもよい。これは、上述した組成物が有する物性によって生成された有機層に対する効果のためである。これによって、有機層と無機層は、装置に対する封止効果を補完又は強化することができる。
【0210】
以下では、
図2を参考にして、本発明の他の実施形態に係る有機発光素子表示装置を説明する。
図2は、本発明の他の実施形態に係る有機発光素子表示装置の断面図である。
【0211】
図2を参照すると、本発明の他の実施形態に係る有機発光素子表示装置200は、基板10と、基板10上に形成された有機発光素子20と、有機発光素子20上に形成され、無機層31及び有機層32を含む障壁スタック30とを含み、無機層31は、有機発光素子20が収容された内部空間40を封止し、有機層32は、本発明の実施形態に係る有機発光素子封止用組成物で形成されてもよい。本発明の他の実施形態に係る有機発光素子表示装置200は、無機層が有機発光素子と接触しない点を除いては、本発明の一実施形態に係る有機発光素子表示装置と実質的に同一である。
【実施例】
【0212】
以下では、本発明の好ましい実施例を通じて本発明の構成及び作用をさらに詳細に説明する。但し、これは、本発明の好ましい例示として提示されたものであって、如何なる意味でも、これによって本発明が制限されると解釈してはならない。
【0213】
(製造例1:化学式1-4の化合物の製造)
冷却管及び撹拌機を備えた1000mlフラスコにアセトン300mlを入れ、2,2’-[9,10-アントラセンジイルビス(オキシ)]ビスエタノール(Atomax Co.,Ltd.)50gにトリエチルアミン39gを追加し、0℃で撹拌しながらメタクリロイルクロリド30.2gをゆっくり添加した。フラスコ内の温度を40℃に上げた後、この混合物を1時間にわたって撹拌した。残留溶媒を蒸留で除去し、前記化学式1-4の化合物をHPLC純度96%で得た。
【0214】
(製造例2:化学式3-1の化合物の製造)
冷却管及び撹拌機を備えた1000mlフラスコにシアノ酢酸200gを入れ、2-ヒドロキシエチルメタクリレート320g、トルエン600ml、濃い硫酸3g(大井化金株式会社製)を入れて30分間窒素パージを行った後、160℃で加熱しながら水を除去した。蒸留を通じて、2-プロペン酸-2-メチル-2-[(シアノカルボニル)オキシ]エチルエステル(2-シアノアセトキシエチルメタクリレート、分子量:197.19g/mol)をHPLC純度96%で得た。(1H NMR:δ6.12、s、1H;δ5.62、s、1H;δ4.45、m、2H;δ4.38、m、2H;δ3.01、s、2H;δ1.94、s、3H)。
【0215】
冷却管及び撹拌機を備えた500mlフラスコにKOH 15.2g、ヨードメタン38g、2-フェニル-1H-インドール-3-カルボキシアルデヒド50g、DMF 150gを入れて常温で12時間にわたって撹拌した。蒸留を通じて溶媒を除去し、1-メチル-2-フェニル-1H-インドール-3-カルボキシアルデヒド(分子量:235.28g/mol)をHPLC純度96%で得た。(1H NMR:δ9.76、s、1H;δ8.46、m、1H;δ7.59、m、3H;δ7.52、m、2H;δ7.42、m、3H;δ3.79、s、3H)。
【0216】
冷却管及び撹拌機を備えた500mlフラスコに1-メチル-2-フェニル-1H-インドール-3-カルボキシアルデヒド21g、2-プロペン酸-2-メチル-2-[(シアノカルボニル)オキシ]エチルエステル(2-シアノアセトキシエチルメタクリレート)21.2g、ピペリジン2.3g、ピリジン230gを入れて常温で12時間にわたって撹拌した。蒸留を通じて溶媒を除去した後、エタノールで再結晶し、化学式3-1の化合物(分子量:414.45g/mol)をHPLC純度98%で得た。(1H NMR:δ8.46、m、1H;δ8.17、s、1H;δ7.59、m、3H;δ7.42、m、5H;δ6.15、s、1H;δ5.62、s、1H;δ4.51、m、2H;δ4.42、m、2H;δ3.75、s、3H;δ1.96、s、3H)。
【0217】
(製造例3:化学式5-2の化合物の製造)
冷却管及び撹拌機を備えた1000mlフラスコにエチルアセテート300mlを入れ、3,3-ジフェニル-1,1,5,5-テトラメチルトリシロキサン21g及びアリルアルコール43g(大井化金株式会社製)を入れて30分間窒素パージを行った後、 Pt-on-carbon black powder(Aldrich GmbH)72ppmを追加し、フラスコ内の温度を80℃に上げた後、この混合物を4時間にわたって撹拌した。残留溶媒を蒸留で除去した。得られた化合物71.5gをジクロロメタン300mlに入れ、トリエチルアミン39gを追加し、0℃で撹拌しながらメタクリロイルクロリド30.2gをゆっくり添加した。残留溶媒を蒸留で除去し、化学式5-2の化合物をHPLC純度96%で得た。(1H NMR:δ7.52、m、6H;δ7.42、m、4H;δ6.25、d、2H;δ6.02、dd、2H;δ5.82、t、1H;δ5.59、d、2H;δ3.86、m、4H;δ1.52、m、4H;δ0.58、m、4H;δ0.04、m、12H)。
【0218】
以下では、実施例及び比較例で使用した成分の具体的な仕様を説明する。
【0219】
(A1)製造例1の化合物(化学式1-4の化合物)
(A2)化学式2の化合物としてTinuvin 970(BASF社、6-ブチル-2-[2-ヒドロキシ-3-(1-メチル-1-フェニルエチル)-5-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェニル]ピロロ[3,4-f]ベンゾトリアゾール-5,7(2H,6H)-ジオン)
(A3)製造例2の化合物(化学式3-1の化合物)
(A4)Tinuvin 477(BASF社、2,4,6-トリス[4-(1-オクチルオキシカルボニル)エチルオキシ-2-ヒドロキシフェニル]-1,3,5-トリアジン)
(B1)1,12-ドデカンジオールジアクリレート(Sartomer Co.,Ltd.)
(B2)1,9-ノナンジオールジアクリレート(Sartomer Co.,Ltd.)
(B3)製造例3の化合物(化学式5-2の化合物)
(C1)芳香族系モノ(メタ)アクリレート(M1142、Miwon Co.,Ltd.)
(C2)ラウリルアクリレート(Sartomer Co.,Ltd.)
(D)開始剤:Darocur(登録商標) TPO(BASF社製)(リン系開始剤)。
【0220】
(実施例1)
(A)(A1)製造例1の化合物3重量部、(B1)1,12-ドデカンジオールジアクリレート47重量部、(B3)製造例3の化合物28重量部、(C1)芳香族系モノ(メタ)アクリレート19重量部、及び(D)開始剤3重量部を125mlの褐色ポリプロピレン瓶に入れ、シェイカーを用いて3時間にわたって室温で混合することによって封止用組成物を製造した。
【0221】
(実施例2~実施例6及び比較例1~比較例4)
実施例1における各成分の含量を下記の表1(単位:重量部)のように変更したことを除いては、実施例1と同一の方法で封止用組成物を製造した。
【0222】
実施例及び比較例で製造した封止用組成物に対して下記の物性を測定し、その結果を表1に示した。
【0223】
(1)粘度(単位:cps):実施例及び比較例の封止用組成物に対して25℃で粘度測定器LV DV-II Pro(Brookfield Co.,Ltd.)を用いてスピンドル番号(No.spindle)40で測定した。
【0224】
(2)光硬化率(単位:%):封止用組成物に対してFT-IR(NICOLET 4700、Thermo Co.,Ltd.)を用いて1635cm-1付近(C=C)、1720cm-1付近(C=O)での吸収ピークの強度を測定した。ガラス基板上に封止用組成物をスプレーで塗布し、100mW/cm2での10秒間の照射によってUV硬化させ、20cm×20cm×3μm(横×縦×厚さ)の試験片を得た。硬化されたフィルムを分取し、FT-IR(NICOLET 4700、 Thermo Co.,Ltd.)を用いて1635cm-1付近(C=C)、1720cm-1付近(C=O)での吸収ピークの強度を測定した。光硬化率は、下記の数式1によって計算した。
【0225】
【0226】
前記数式1において、
Aは、硬化されたフィルムに対して1720cm-1付近での吸収ピークの強度に対する1635cm-1付近での吸収ピークの強度の比であり、
Bは、封止用組成物に対して1720cm-1付近での吸収ピークの強度に対する1635cm-1付近での吸収ピークの強度の比である。
【0227】
(3)プラズマエッチング率(単位:%):封止用組成物をSiウェハーに蒸着及び光硬化させることによって有機層を形成した。光硬化によって有機層の初期蒸着高さ(T1、単位:μm)を測定した。ICPパワー:2500W、REパワー:300W、DCバイアス:200V、Arフロー:50sccm、エッチング時間:1min、圧力:10mtorrで有機層にICP CVD(BMR Technology社製)を用いて誘導結合(ICP)プラズマを処理した後、有機層の高さ(T2、単位:μm)を測定した。数式2により、プラズマによる有機層のエッチング率を計算した。前記有機層の高さ(厚さ)は、FE-SEM(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)によって測定した。
【0228】
【0229】
(4)光透過率(単位:%):封止用組成物をN2条件でUV硬化させることによって厚さ10μmのフィルムを製造し、フィルムに対してLambda950(Perkin Elmer Co.,Ltd.)を用いて波長405nmで光透過率を測定した。
【0230】
【0231】
前記表1に示すように、本発明に係る有機発光素子封止用組成物は、UV遮断効果に優れ、プラズマエッチング率が低い有機層を具現することができる。
【0232】
その一方で、本発明の(A)含量範囲を逸脱する比較例1及び比較例4は、プラズマエッチング率が高いか、UV遮断効果が微々たるものであった。また、本発明の(A)の代わりに、他の化合物を含む比較例2及び比較例3は、UV遮断効果が微々たるものであるか、プラズマエッチング率が高かった。
【0233】
本発明の単純な変形及び変更は、本分野で通常の知識を有する者によって容易に実施可能であり、このような変形や変更は、いずれも本発明の領域に含まれるものと見なすことができる。
【符号の説明】
【0234】
10 基板、
20 有機発光素子、
30 障壁スタック、
31 無機層、
32 有機層、
40 内部空間、
100、200 有機発光素子表示装置。