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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】ポンプシステム
(51)【国際特許分類】
   E03B 3/00 20060101AFI20240419BHJP
   F04D 13/08 20060101ALI20240419BHJP
【FI】
E03B3/00 B
F04D13/08 U
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020167495
(22)【出願日】2020-10-02
(65)【公開番号】P2022059730
(43)【公開日】2022-04-14
【審査請求日】2023-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【弁護士】
【氏名又は名称】小林 英了
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】小澤 孝英
(72)【発明者】
【氏名】西村 和馬
(72)【発明者】
【氏名】片山 直輝
(72)【発明者】
【氏名】田辺 凱太
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-171880(JP,A)
【文献】特開平08-338391(JP,A)
【文献】特開2017-101577(JP,A)
【文献】特開平08-302758(JP,A)
【文献】特開2019-154160(JP,A)
【文献】特開平07-139492(JP,A)
【文献】特開平07-268914(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03B 3/00
F04D 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上に設けられており、交流電源に電力線を介して接続されており当該電力線から供給される電力で駆動し且つセンサに接続されている第1の通信インタフェースと、
前記交流電源に電力線を介して接続されており当該電力線から供給される電力で駆動し水中で用いられる水中ポンプユニットと、
を備え、
前記水中ポンプユニットは、ポンプと、当該ポンプを駆動するモータ及び当該モータを駆動するインバータが一体となったインバータ一体型モータと、前記第1の通信インタフェースと電力線通信方式を用いて通信する第2の通信インタフェースと、を有し、
前記第1の通信インタフェースは、前記センサから取得したセンサ値または当該センサ値に応じた指令周波数を、電力線通信方式を用いて前記電力線を介して送信し、
前記第2の通信インタフェースは、前記電力線通信方式で送信されたセンサ値または前記指令周波数を受信し、
前記インバータは、前記受信されたセンサ値に応じたモータ駆動周波数もしくは前記受信された前記指令周波数で前記モータを駆動する
ポンプシステム。
【請求項2】
前記第2の通信インタフェースは、前記センサ値を受信し、
前記インバータ一体型モータは、
センサ値に応じてモータ駆動周波数を決定し、当該モータ駆動周波数で前記モータを駆動するようインバータを制御する制御部を備える
請求項1に記載のポンプシステム。
【請求項3】
前記センサは圧力センサであり、
前記第1の通信インタフェースは、前記センサから圧力値をセンサ値として取得し、当該圧力値を、電力線通信方式を用いて前記電力線を介して送信し、
前記第2の通信インタフェースは、前記圧力値を受信し、
前記制御部は、前記圧力値に応じてモータ駆動周波数を決定し、当該モータ駆動周波数で前記モータを駆動するようインバータを制御する
請求項2に記載のポンプシステム。
【請求項4】
前記センサは複数の圧力センサであり、
前記第1の通信インタフェースは、複数あり、
前記それぞれの第1の通信インタフェースは、それぞれ異なる圧力センサから圧力値を取得し、当該圧力値それぞれを、電力線通信方式を用いて前記電力線で送信し、
前記第2の通信インタフェースは、複数の圧力値を受信し、
前記制御部は、圧力値それぞれに応じてモータ駆動周波数を決定する
請求項3に記載のポンプシステム。
【請求項5】
前記センサは複数あり、
前記第1の通信インタフェースは、複数あり、
前記第1の通信インタフェースそれぞれは、それぞれ異なるセンサからセンサ値を取得し、当該センサ値それぞれを、電力線通信方式を用いて前記電力線で送信し、
前記第2の通信インタフェースは、複数のセンサ値を受信し、
前記制御部は、前記受信されたセンサ値の組み合わせに応じてモータ駆動周波数を決定する
請求項に記載のポンプシステム。
【請求項6】
地上に設けられており、センサに接続されており且つ無線通信可能な第1の通信インタフェースと、
地上に設けられており、交流電源に電力線を介して接続されており当該電力線から供給される電力で駆動し且つ前記第1の通信インタフェースと無線通信可能な第2の通信インタフェースと、
前記交流電源に電力線を介して接続されており当該電力線から供給される電力で駆動し水中で用いられる水中ポンプユニットと、
を備え、
前記水中ポンプユニットは、ポンプと、当該ポンプを駆動するモータ及び当該モータを駆動するインバータが一体となったインバータ一体型モータと、前記第2の通信インタフェースと電力線通信方式を用いて通信する第3の通信インタフェースと、を有し、
前記第1の通信インタフェースは、前記センサから取得したセンサ値または当該センサ値に応じた指令周波数を、無線通信で送信し、
前記第2の通信インタフェースは、無線送信されたセンサ値または指令周波数を受信し、当該センサ値または当該指令周波数を、電力線通信方式を用いて前記電力線を介して送信し、
前記第3の通信インタフェースは、前記電力線通信方式で送信されたセンサ値または前記指令周波数を受信し、
前記インバータは、前記受信されたセンサ値に応じたモータ駆動周波数もしくは前記受信された前記指令周波数で前記モータを駆動する
ポンプシステム。
【請求項7】
前記センサは複数あり、
前記第1の通信インタフェースは、複数あり、
前記第1の通信インタフェースそれぞれは、それぞれ異なるセンサからセンサ値を取得し、当該センサ値それぞれを、無線通信で送信し、
前記第2の通信インタフェースは、前記無線送信されたセンサ値それぞれを受信し、当該センサ値それぞれを、電力線通信方式を用いて前記電力線で送信し、
前記第3の通信インタフェースは、前記電力線通信方式で送信されたセンサ値それぞれを受信し、
前記受信されたセンサ値の組み合わせに応じてモータ駆動周波数を決定する制御部を備える
請求項6に記載のポンプシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
井戸内の水を地上の供給先に移送するためのポンプ装置が知られている。このタイプのポンプ装置は、井戸内に配置された水中ポンプユニットと、吸込管を通じて水中ポンプユニットに接続された陸上ユニットとを備えている。水中ポンプユニットは、水を吸い上げるポンプと、このポンプを駆動するための電動機とを備えている。陸上ユニットは、水中ポンプユニットの電動機を変速可能とするインバータ、該インバータの動作を制御する制御部などの構成要素を備えている。水中ポンプユニットが駆動されると、井戸内の水は吸込管を通じて陸上ユニットに送られ、さらに陸上ユニットに接続された排出管を流れる。
【0003】
供給先にて水の使用が少なくなり、陸上ユニット内を流れる水の流量が所定の値にまで低下すると、制御部は、ポンプの吐出側に設けられた圧力タンクに水を貯めるため、インバータに指令を出して、吐出側圧力が所定の圧力(停止圧力)となるように蓄圧運転を行った後にポンプの運転を停止させる。また、供給先にて水の使用があり、ポンプの吐出側圧力が所定の値(始動圧力)まで低下すると、制御部は、インバータに指令を出して、ポンプを始動させる。ポンプが運転されている間は、制御部は、PI制御によりポンプの吐出側圧力を制御する。具体的には、上記吐出側圧力と目標圧力との偏差を基にしたPI演算にて、電動機の回転速度指令値を算出して、インバータに出力する。その結果、ポンプは、給水先に必要な吐出側圧力にて、水を供給することができる。
【0004】
上述した様なポンプ装置は、陸上ユニットに水中ポンプユニットの電動機を変速可能とするインバータとポンプの吐き出し側圧力を検出する圧力計や流れを検出するフロースイッチが備えられ、ポンプを駆動するためのモータは水中に備えられる構成になっている。そして、前述した吐き出し側の圧力センサで検出した圧力が一定になる様に圧力制御を行い、電動機の回転数を可変速して運転している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許公開2010/12910517号公報
【文献】米国特許公開2011/13116734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、インバータ一体型モータを水中ポンプに適用する場合には、その構造上、水中ポンプユニットのモータを変速可能とするインバータは、モータと一体構造となるため、水中に備えられることになる。このようなケースでは、センサ(例えば圧力センサ)を水中にあるポンプの吐き出し側に取り付け、その信号を水中ポンプユニットのインバータ(あるいは制御部)へ取り込み、制御(例えば圧力制御)を行う場合がある。
【0007】
圧力センサを水中にあるポンプの吐き出し側に取り付け、その信号を水中ポンプユニットのインバータ(あるいは制御部)へ取り込み、圧力制御を行っているようなケースでは(例えば特許文献1または特許文献2参照)、ポンプが水中にあるため、圧力センサの信号をインバータ(あるいは制御部)へ信号を伝えるために、特殊な構造が必要になる。特殊な構造として、例えば、ポンプの側面に信号線用の特別な配管を備える必要がある。
【0008】
この様な特殊な構造は、気密性を保つ必要があり信頼性を保つことが難しい場合があり、またコストアップの要因となっている。また、圧力センサが水中のポンプと一体となっているため、圧力センサ自体が水中に配置されることになり、ポンプの設置される水深により影響を受け、地上における吐出側圧力の情報がない状態で、地上における吐出側圧力が所定の圧力になる様に制御することは難しい。このように、インバータ一体型モータを水中ポンプに適用する場合において、地上におけるセンサ値が所定の値になる様に制御することが難しい。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、インバータ一体型モータを水中ポンプに適用する場合において、地上におけるセンサ値が所定の値になる様に制御することを容易化するポンプシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様に係るポンプシステムは、地上に設けられており、交流電源に電力線を介して接続されており当該電力線から供給される電力で駆動し且つセンサに接続されている第1の通信インタフェースと、前記交流電源に電力線を介して接続されており当該電力線から供給される電力で駆動し水中で用いられる水中ポンプユニットと、を備え、前記水中ポンプユニットは、ポンプと、当該ポンプを駆動するモータ及び当該モータを駆動するインバータが一体となったインバータ一体型モータと、前記第1の通信インタフェースと電力線通信方式を用いて通信する第2の通信インタフェースと、を有し、前記第1の通信インタフェースは、前記センサから取得したセンサ値または当該センサ値に応じた指令周波数を、電力線通信方式を用いて前記電力線を介して送信し、前記第2の通信インタフェースは、前記電力線通信方式で送信されたセンサ値または前記指令周波数を受信し、前記インバータは、前記受信されたセンサ値に応じたモータ駆動周波数もしくは前記受信された前記指令周波数で前記モータを駆動する。
【0011】
この構成によれば、ポンプが設置される水深に影響されずに、地上におけるセンサ値(例えば吐出側圧力)が所定の値(例えば所定の圧力)になる様に制御が可能になる。それとともに、信号用の配線は細いので水中で断線する可能性もあるが、地上の通信インタフェースと水中のインバータ一体型モータの間の配線を信号用に追加することなく、電力線のみの配線となることで、この懸念が解決されるので信頼性が向上する。また、水中でポンプに特別にセンサ(例えば圧力センサ)を取り付ける構造も不要となるという利点がある。またセンサ故障時で、点検、交換作業の際に、水中からポンプを引き上げる必要もないので、メンテナンス作業を行うことが容易になる。
【0012】
本発明の第2の態様に係るポンプシステムは、第1の態様に係るポンプシステムであって、前記第2の通信インタフェースは、前記センサ値を受信し、前記インバータ一体型モータは、センサ値に応じてモータ駆動周波数を決定し、当該モータ駆動周波数で前記モータを駆動するようインバータを制御する制御部を備える。
【0013】
この構成によれば、センサ値に応じて、ポンプを駆動することができる。
【0014】
本発明の第3の態様に係るポンプシステムは、第2の態様に係るポンプシステムであって、前記センサは圧力センサであり、前記第1の通信インタフェースは、前記センサから圧力値をセンサ値として取得し、当該圧力値を、電力線通信方式を用いて前記電力線を介して送信し、前記第2の通信インタフェースは、前記圧力値を受信し、前記制御部は、前記圧力値に応じてモータ駆動周波数を決定し、当該モータ駆動周波数で前記モータを駆動するようインバータを制御する。
【0015】
この構成によれば、ポンプが設置される水深に影響されずに、地上における吐出側圧力が所定の圧力になるように制御が可能になる。
【0016】
本発明の第4の態様に係るポンプシステムは、第3の態様に係るポンプシステムであって、前記センサは複数の圧力センサであり、前記第1の通信インタフェースは、複数あり、前記それぞれの第1の通信インタフェースは、それぞれ異なる圧力センサから圧力値を取得し、当該圧力値それぞれを、電力線通信方式を用いて前記電力線で送信し、前記第2の通信インタフェースは、複数の圧力値を受信し、前記制御部は、圧力値それぞれに応じてモータ駆動周波数を決定する。
【0017】
この構成によれば、制御部は、圧力センサそれぞれが設けられた先での圧力をそれぞれ維持するようにすることができる。
【0018】
本発明の第5の態様に係るポンプシステムは、第1または2の態様に係るポンプシステムであって、前記センサは複数あり、前記第1の通信インタフェースは、複数あり、前記第1の通信インタフェースそれぞれは、それぞれ異なるセンサからセンサ値を取得し、当該センサ値それぞれを、電力線通信方式を用いて前記電力線で送信し、前記第2の通信インタフェースは、複数のセンサ値を受信し、前記制御部は、前記受信されたセンサ値の組み合わせに応じてモータ駆動周波数を決定する。
【0019】
この構成によれば、制御部は、複数のセンサそれぞれが設けられた先での圧力、流量または水位等をそれぞれ維持するようにすることができる。
【0020】
本発明の第6の態様に係るポンプシステムは、地上に設けられており、センサに接続されており且つ無線通信可能な第1の通信インタフェースと、地上に設けられており、交流電源に電力線を介して接続されており当該電力線から供給される電力で駆動し且つ前記第1の通信インタフェースと無線通信可能な第2の通信インタフェースと、前記交流電源に電力線を介して接続されており当該電力線から供給される電力で駆動し水中で用いられる水中ポンプユニットと、を備え、前記水中ポンプユニットは、ポンプと、当該ポンプを駆動するモータ及び当該モータを駆動するインバータが一体となったインバータ一体型モータと、前記第2の通信インタフェースと電力線通信方式を用いて通信する第3の通信インタフェースと、を有し、前記第1の通信インタフェースは、前記センサから取得したセンサ値または当該センサ値に応じた指令周波数を、無線通信で送信し、前記第2の通信インタフェースは、無線送信されたセンサ値または指令周波数を受信し、当該センサ値または当該指令周波数を、電力線通信方式を用いて前記電力線を介して送信し、前記第3の通信インタフェースは、前記電力線通信方式で送信されたセンサ値または前記指令周波数を受信し、前記インバータは、前記受信されたセンサ値に応じたモータ駆動周波数もしくは前記受信された前記指令周波数で前記モータを駆動する。
【0021】
この構成によれば、第1の通信インタフェースと第2の通信インタフェースとの間を無線通信で対応することで、地上の所望のエリア内に設置されたセンサのセンサ値を、水中ポンプに送信する際に、第1の通信インタフェースと第2の通信インタフェースとの間に電力線の設置が必要なくなるので、第1の通信インタフェースの設置に係る労力を低減することができる。
【0022】
本発明の第7の態様に係るポンプシステムは、第6の態様に係るポンプシステムであって、前記センサは複数あり、前記第1の通信インタフェースは、複数あり、前記第1の通信インタフェースそれぞれは、それぞれ異なるセンサからセンサ値を取得し、当該センサ値それぞれを、無線通信で送信し、前記第2の通信インタフェースは、前記無線送信されたセンサ値それぞれを受信し、当該センサ値それぞれを、電力線通信方式を用いて前記電力線で送信し、前記第3の通信インタフェースは、前記電力線通信方式で送信されたセンサ値それぞれを受信し、前記受信されたセンサ値の組み合わせに応じてモータ駆動周波数を決定する制御部を備える。
【0023】
この構成によれば、複数の第1の通信インタフェースと第2の通信インタフェースとの間を無線通信で対応することで、地上の複数の所望のエリア(例えば田畑とか公園とか戸外レジャー施設など)内に設置されたセンサそれぞれのセンサ値を、水中ポンプに送信する際に、複数の第1の通信インタフェースと第2の通信インタフェースとの間にそれぞれ電力線の設置が必要なくなるので、複数の第1の通信インタフェースの設置に係る労力を低減することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一態様によれば、ポンプが設置される水深に影響されずに、地上におけるセンサ値(例えば吐出側圧力)が所定の値(例えば所定の圧力)になる様に制御が可能になる。それとともに、信号用の配線は細いので水中で断線する可能性もあるが、地上の通信インタフェースと水中のインバータ一体型モータの間の配線を信号用に追加することなく、電力線のみの配線となることで、この懸念が解決されるので信頼性が向上する。また、水中でポンプに特別にセンサ(例えば圧力センサ)を取り付ける構造も不要となるという利点がある。またセンサ故障時で、点検、交換作業の際に、水中からポンプを引き上げる必要もないので、メンテナンス作業を行うことが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1の実施形態に係るポンプシステムの概略構成図である。
図2】第1の実施形態の変形例1に係るポンプシステムの概略構成図である。
図3】第1の実施形態の変形例2に係るポンプシステムの概略構成図である。
図4】第1の実施形態の変形例3に係るポンプシステムの概略構成図である。
図5】第2の実施形態に係るポンプシステムの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、各実施形態について、図面を参照しながら説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0027】
<本実施形態の一態様の解決手段の概要>
本実施形態の一態様のポンプシステムは、圧力センサが地上の排水管に設けられ、この圧力センサで検出された圧力情報を、電力線通信(Power Line Communication:PLCともいう)で水中ポンプユニットのインバータ(または水中ポンプユニットの制御部)に伝達し、その圧力情報が示す圧力が所定の圧力になるように、モータを可変速運転する。
【0028】
これにより、ポンプが設置される水深に影響されずに、地上における吐出側圧力が所定の圧力になる様に制御が可能になる。それとともに、信号用の配線は細いので水中で断線する可能性もあるが、地上の陸上ユニットと水中の水中ポンプユニットの間の配線を信号用に追加することなく、電力線のみの配線となることで、この懸念が解決されるので信頼性が向上する。また、水中ポンプユニットに特別にセンサ(例えば圧力センサ)を取り付ける構造も不要となるという利点がある。またセンサ故障時で、点検、交換作業の際に、水中からポンプを引き上げる必要もないので、メンテナンス作業を行うことが容易になる。
【0029】
図1は、第1の実施形態に係るポンプシステムの概略構成図である。図1に示すように、ポンプシステムは、井戸内などの水中に設置して用いられる水中ポンプユニット1と、吸込管14を介して水中ポンプユニット1に接続された陸上ユニット10とを備える。水中ポンプユニット1は、交流電源16に電力線32を介して接続されており当該電力線32から供給される電力で駆動する。
【0030】
水中ポンプユニット1は、羽根車(図示しない)を有するポンプ2と、このポンプ2を駆動するインバータ一体型モータ4とを備える。インバータ一体型モータ4は、交流電源16に電力線32を介して接続されており当該電力線32から供給される電力で駆動し且つ水中で用いられる。インバータ一体型モータ4は例えば、回転軸がポンプ2に接続されポンプ2を駆動するモータ41と、モータ41を駆動するインバータ42と、通信インタフェース43とを有する。なお、本実施形態では、通信インタフェース43は、インバータ一体型モータ4に内蔵されているものとして説明するが、水中ポンプユニット1内であって且つインバータ一体型モータ4に外付けで設けられていてもよい。また、本実施形態では一例としてインバータ42は当該インバータ42を可変速制御する制御部421を有するものとして説明する。なお、制御部421は、インバータ42に内蔵である必要はなく、インバータ42の外部に設けられていてもよい。
【0031】
具体的には例えば、制御部421はインバータ42を構成するスイッチング素子のスイッチング動作を制御することで、モータ41の回転速度、すなわちポンプ2の回転速度を制御する。インバータ42によってモータ41が駆動されると、ポンプ2が回転し、水は吸込管14を通じて陸上ユニット10に送られる。
【0032】
陸上ユニット10は地上に配置されている。陸上ユニット10は、吸込管14に接続された配水管11と、配水管11を流れる水の流量が所定の値にまで低下したことを検知するフロースイッチ12と、ポンプ2の吐出側圧力を測定する圧力センサ13とを備える。フロースイッチ12および圧力センサ13は配水管11に接続されており、圧力センサ13はフロースイッチ12の下流側に設けられている。配水管11の一端は吸込管14に接続され、他端は排出管18に接続されている。排出管18には例えば水栓などの不図示の給水器具が接続されている。吸込管14には、逆止弁20が取り付けられている。この逆止弁20は、ポンプ2が停止したときの水の逆流を防止するために設けられている。さらに、本実施形態では、配水管11には空気抜き管34が接続されており、空気抜き管34には、開閉弁35が配置されている。
【0033】
陸上ユニット10は、ポンプ2の吐出側圧力を保持するための圧力タンク15をさらに備える。圧力タンク15は配水管11に接続されており、圧力センサ13の下流側に設けられている。圧力タンク15は例えば、その耐圧容器の内部にゴム製のブラダを有している。ポンプ2の吐出側圧力が上昇すると、ブラダの外側の空気は圧縮され、水が加圧状態で貯留される。配水管11内の圧力が低下すると、ブラダに保持された水は圧縮された空気によって配水管11内に押し出される。このようにして、ポンプ2が停止しても、しばらくの間、圧力タンク15から配水管11に水が供給される。
【0034】
陸上ユニット10は、通信インタフェース21を更に備え、この通信インタフェース21は、地上に設けられており、電力線32に電力線31を介して接続されており且つセンサ(ここでは一例としてフロースイッチ12と圧力センサ13)に接続されている。この通信インタフェース21は、交流電源16に電力線31を介して接続されており電力線31から供給される電力で駆動する。
通信インタフェース21は、センサ(ここでは一例としてフロースイッチ12及び/または圧力センサ13)から取得したセンサ値または当該センサ値に応じた指令周波数を、電力線通信方式を用いて電力線31及び電力線32を介して通信インタフェース43へ送信する。ここで指令周波数とは、指令されたインバータの出力周波数である。通信インタフェース21を第1の通信インタフェースともいう。
【0035】
通信インタフェース43は、通信インタフェース21によって電力線通信方式で送信されたセンサ値または指令周波数を受信する。本実施系形態ではその一例として、通信インタフェース43がセンサ値を受信する。通信インタフェース43は、第2の通信インタフェースともいう。
【0036】
インバータ42は、通信インタフェース43によって受信されたセンサ値に応じたモータ駆動周波数もしくは受信された指令周波数でモータ41を駆動する。本実施系形態ではその一例として、通信インタフェース43がセンサ値を受信するので、制御部421は一例として、センサ値に応じてモータ駆動周波数を決定し、当該モータ駆動周波数でモータ41を駆動するようインバータ42を制御する。これにより、センサ値に応じて、ポンプを駆動することができる。
【0037】
具体例として、例えばセンサが圧力センサ13の場合について説明する。この場合、通信インタフェース21は、圧力センサ13から圧力値をセンサ値として取得し、当該圧力値を、電力線通信方式を用いて電力線31及び電力線32を介して送信する。通信インタフェース43は、当該圧力値を受信し、制御部421は、当該圧力値に応じてモータ駆動周波数を決定する。具体的には例えば制御部421は、当該圧力値がと目標圧力との偏差を基にしたPI演算にて、モータ駆動周波数を決定する。制御部421は、当該決定したモータ駆動周波数でモータ41を駆動するようインバータ42を制御する。これにより、ポンプが設置される水深に影響されずに、地上における吐出側圧力が所定の圧力になるように制御が可能になる。
【0038】
以上、第1の実施形態に係るポンプシステムS1は、地上に設けられており、交流電源16に電力線31を介して接続されており当該電力線31から供給される電力で駆動し且つセンサ(例えばフロースイッチ12および/または圧力センサ13)に接続されている通信インタフェース21と、前記交流電源16に電力線32を介して接続されており当該電力線32から供給される電力で駆動し水中で用いられる水中ポンプユニット1と、を備える。
水中ポンプユニット1は、ポンプ2と、当該ポンプ2を駆動するモータ41及び当該モータ41を駆動するインバータ42が一体となったインバータ一体型モータ4と、通信インタフェース21と電力線通信方式を用いて通信する通信インタフェース43と、を有する。通信インタフェース21は、前記センサから取得したセンサ値を、電力線通信方式を用いて電力線31、32を介して送信する。通信インタフェース43は、電力線通信方式で送信されたセンサ値を受信する。インバータ42は、受信されたセンサ値に応じたモータ駆動周波数でモータ41を駆動すると、を有する。
【0039】
この構成によれば、ポンプが設置される水深に影響されずに、地上におけるセンサ値(例えば吐出側圧力)が所定の値(例えば所定の圧力)になる様に制御が可能になる。それとともに、信号用の配線は細いので水中で断線する可能性もあるが、地上の通信インタフェース21と水中のインバータ一体型モータ4の間の配線を信号用に追加することなく、電力線のみの配線となることで、この懸念が解決されるので信頼性が向上する。また、水中でポンプに特別にセンサ(例えば圧力センサ)を取り付ける構造も不要となるという利点がある。またセンサ故障時で、点検、交換作業の際に、水中からポンプを引き上げる必要もないので、メンテナンス作業を行うことが容易になる。
【0040】
<変形例1>
続いて第1の実施形態に係る変形例1について図2を用いて説明する。図2は、第1の実施形態の変形例1に係るポンプシステムの概略構成図である。図2に示すように、第1の実施形態に係る変形例1に係るポンプシステムS1bは、図1のポンプシステムS1に比べて、配水管11aに設けられた圧力センサ13aが通信インタフェース21aに接続され、配水管11bに設けられた圧力センサ13bが通信インタフェース21bに接続され、通信インタフェース21aが電力線31aを介して電力線32に接続されており、通信インタフェース21bが電力線31bを介して電力線32に接続されている点で異なっている。
【0041】
この構成により、通信インタフェース21aは、圧力センサ13aから取得したセンサ値を、電力線通信方式を用いて電力線31a、32を介して通信インタフェース43へ送信し、通信インタフェース21bは、圧力センサ13bから取得したセンサ値を、電力線通信方式を用いて電力線31b、32を介して通信インタフェース43へ送信する。これにより、通信インタフェース43は、複数の圧力センサ13からのセンサ値を電力線通信によって受信し、インバータ一体型モータ4の制御部421は、当該受信されたセンサ値に応じたモータ駆動周波数でモータを駆動することができる。
【0042】
このように、水を使用する場所に設置された複数の圧力センサのセンサ値を用いて末端圧制御をする。圧力センサと通信インタフェースをセットにしたものを建物内の吸込管に設けてコンセントに後付けするか、既に設けられた圧力センサに通信インタフェースを跡付けてすることができる。そして、それぞれの使用先での圧力を維持するための末端圧制御を水中ポンプユニット1の制御部421にて実施できる。更に水中ポンプユニット1が有するインバータ一体型モータは、インバータ制御による可変速運転をするので、省エネルギー効果が得られ、また水中で使用するので、発熱を伴うモータ41及び制御部421を冷却することができる。
【0043】
なお、変形例1では、二つの圧力センサの例について説明したが、圧力センサは、一つでもよいし、三つ以上であってもよい。
【0044】
以上、変形例1では、センサは複数の圧力センサであり、地上に設けられる通信インタフェースは、複数あり、通信インタフェース21a、21bそれぞれは、それぞれ異なる圧力センサ13a、13bから圧力値を取得し、当該圧力値それぞれを、電力線通信方式を用いて電力線で送信し、通信インタフェース43は、複数の圧力値を受信し、制御部421は、圧力値それぞれに応じてモータ駆動周波数を決定する。
【0045】
この構成により、制御部421は、圧力センサ13a、13bそれぞれが設けられた先での圧力をそれぞれ維持するようにすることができる。
【0046】
<変形例2>
続いて第1の実施形態に係る変形例2について図3を用いて説明する。図3は、第1の実施形態の変形例2に係るポンプシステムの概略構成図である。図3に示すように、第1の実施形態に係る変形例2に係るポンプシステムS1cは、図1のポンプシステムS1に比べて、配水管11aに設けられたフロースイッチ12が通信インタフェース21aに接続され、配水管11bに設けられた圧力センサ13bが通信インタフェース21bに接続され、水槽17に設けられた水位センサ19が通信インタフェース21cに接続されている点で異なっている。ここで水位センサ19は、水槽17の水位を検知する。更に、通信インタフェース21aが電力線31aを介して電力線32に接続されており、通信インタフェース21bが電力線31bを介して電力線32に接続されており、通信インタフェース21cが電力線31cを介して電力線32に接続されている点でも異なっている。ここで、図3におけるWLは、水槽17の水位を表す。
【0047】
この構成により、通信インタフェース21aは、フロースイッチ12から取得したセンサ値を、電力線通信方式を用いて電力線31a、32を介して通信インタフェース43へ送信する。また通信インタフェース21bは、圧力センサ13bから取得したセンサ値を、電力線通信方式を用いて電力線31b、32を介して通信インタフェース43へ送信する。また通信インタフェース21cは、水位センサ19から取得したセンサ値(ここでは水位)を、電力線通信方式を用いて電力線31c、32を介して通信インタフェース43へ送信する。
【0048】
これにより、通信インタフェース43は、複数のセンサ(ここでは、フロースイッチ12、圧力センサ13b、水位センサ19)からのセンサ値を電力線通信によって受信し、インバータ一体型モータ4の制御部421は、当該受信されたセンサ値に応じたモータ駆動周波数でモータを駆動することができる。具体的には例えば制御部421は、圧力センサ13bで検出した圧力と目標圧力との第1の偏差と水位センサ19が検出した水位と目標水位との第2の偏差を基にしたPI演算(例えば、第1の偏差と第2の偏差の和を最小にするようにする演算)にて、モータ駆動周波数を決定してもよい。
【0049】
このように、地上に設けられた電力線に接続された、あらゆるセンサからの入力を水中ポンプユニット1で受信してその制御部421で制御できる。水位センサ19にも対応できるので、自宅で圧力センサ13bによって目標水圧を維持したい場合にも、田畑等で水位センサ19によって水位管理したいときでも両方対応することができる。更に水中ポンプユニット1が有するインバータ一体型モータは、インバータ制御による可変速運転をするので省エネルギー効果が得られ、また水中で使用するので、発熱を伴うモータ41及び制御部421を冷却することができる。
【0050】
以上、第2の変形例において、センサは複数あり、地上に設けられた第1の通信インタフェースは、複数あり、第1の通信インタフェースそれぞれは、それぞれ異なるセンサからセンサ値を取得し、当該センサ値それぞれを、電力線通信方式を用いて前記電力線で送信する。通信インタフェース43は、複数のセンサ値を受信し、制御部421は、センサ値の組み合わせに応じてモータ駆動周波数を決定する。
【0051】
この構成により、制御部421は、複数のセンサそれぞれが設けられた先での圧力、流量または水位等をそれぞれ維持するようにすることができる。
【0052】
<変形例3>
続いて第1の実施形態に係る変形例3について図4を用いて説明する。図4は、第1の実施形態の変形例3に係るポンプシステムの概略構成図である。図4に示すように、第1の実施形態に係る変形例3に係るポンプシステムS1dは、図1のポンプシステムS1に比べて、配水管11に設けられた圧力センサ13が通信インタフェース21に接続され、必要圧力値を入力可能な入力インタフェース131が圧力センサ13とともに設けられている点で異なっている。ここで、入力インタフェース131は例えばリモコンであってもよい。更に、通信インタフェース21との間で無線通信可能であり電力線33を介して電力線32に接続されており且つ通信インタフェース43との間で電力線通信方式を用いて通信可能な通信インタフェース22を備える点でも異なっている。
【0053】
なお、通信インタフェース21が制御ユニットと接続されていてもよく、制御ユニットが当該センサ値に応じた指令周波数を決定し、通信インタフェース21は当該決定された指令周波数を無線通信で送信してもよい。
【0054】
以上、第1の実施形態に係る変形例3に係るポンプシステムS1dは、地上に設けられており、センサに接続されており且つ無線通信可能な通信インタフェース21と、地上に設けられており、交流電源16に電力線33を介して接続されており当該電力線33から供給される電力で駆動し且つ通信インタフェース21と無線通信可能な通信インタフェース22と、交流電源16に電力線32を介して接続されており当該電力線32から供給される電力で駆動し水中で用いられる水中ポンプユニット1と、を備える。
【0055】
水中ポンプユニット1は、ポンプ2と、当該ポンプ2を駆動するモータ41及び当該モータ41を駆動するインバータ42が一体となったインバータ一体型モータ4と、通信インタフェース22と電力線通信方式を用いて通信する通信インタフェース43(この例では第3の通信インタフェースともいう)と、を有する。
通信インタフェース21は、センサから取得したセンサ値または当該センサ値に応じた指令周波数を、無線通信で送信する。
通信インタフェース22は、前記無線送信されたセンサ値または指令周波数を受信し、当該センサ値または当該指令周波数を、電力線通信方式を用いて前記電力線を介して送信する。
通信インタフェース43は、前記電力線通信方式で送信されたセンサ値または前記指令周波数を受信する。
インバータ42は、前記受信されたセンサ値に応じたモータ駆動周波数もしくは前記受信された前記指令周波数でモータ41を駆動する。
【0056】
この構成により、通信インタフェース21と通信インタフェース22との間を無線通信で対応することで、地上の所望のエリア(例えば田畑とか公園とか戸外レジャー施設など)内に設置されたセンサ(なお、センサは後付け可能)のセンサ値を、水中ポンプに送信する際に、通信インタフェース21と通信インタフェース22との間に電力線の設置が必要なくなるので、通信インタフェース21の設置に係る労力を低減することができる。
【0057】
なお、変形例3ではセンサが一つで通信インタフェース21が一つであったが、変形例2のように、センサが複数あり、通信インタフェース21が複数あってもよい。その場合、ポンプシステムは、地上に設けられた通信インタフェース22(第2の通信インタフェースともいう)は、制御部が付いていてもよく、地上に設けられた複数のセンサのセンサ値それぞれを集めてもよい。この場合、通信インタフェース22と各センサ間の通信は、各種無線通信で対応する。すなわち、通信インタフェース22は、各センサと接続された通信インタフェース21(第1の通信インタフェースともいう)それぞれと無線通信可能である。これにより、地上の特定エリア(例えば、田畑、公園または戸外のレジャー施設など)内に設置された各種センサ(なお、各種センサは後付け可能)のセンサ値を当該センサに接続された通信インタフェース21との無線通信により、通信インタフェース22で集め、通信インタフェース22が水中ポンプユニット1に電力線で接続されており、電力線通信方式で集めたセンサ値それぞれを水中ポンプユニット1へ送信してもよい。これにより、汎用性の高いポンプシステムを構築することができる。なお、通信インタフェース22は制御部と一体のものとして説明したが、別個のものであってもよい。
【0058】
このように、前記センサは複数あり、通信インタフェース21は、複数あり、通信インタフェースそれぞれは、それぞれ異なるセンサからセンサ値を取得し、当該センサ値それぞれを、無線通信で送信する。通信インタフェース22は、無線送信されたセンサ値それぞれを受信し、当該センサ値それぞれを、電力線通信方式を用いて前記電力線で送信する。通信インタフェース43は、前記電力線通信方式で送信されたセンサ値それぞれを受信する。水中ポンプユニットの制御部421は、前記受信されたセンサ値の組み合わせに応じてモータ駆動周波数を決定する。
【0059】
この構成により、複数の通信インタフェース21と通信インタフェース22との間を無線通信で対応することで、地上の複数の所望のエリア(例えば田畑とか公園とか戸外レジャー施設など)内に設置されたセンサそれぞれのセンサ値を、水中ポンプに送信する際に、複数の通信インタフェース21と通信インタフェース22との間にそれぞれ電力線の設置が必要なくなるので、複数の通信インタフェース21の設置に係る労力を低減することができる。
【0060】
<第2の実施形態>
続いて第2の実施形態について図5を用いて説明する。図5は、第2の実施形態に係るポンプシステムの概略構成図である。図5に示すように、第2の実施形態に係るポンプシステムS2は、図1のポンプシステムS1に比べて、水中ポンプユニット1bのインバータ一体型モータ4bにおいて制御部が設けられておらず、そのかわりに、陸上ユニット10bにおいて、通信インタフェース21に接続された制御部23が設けられ、フロースイッチ12と圧力センサ13がこの制御部23に接続されている点が異なっている。制御部23は、フロースイッチ12及び/または圧力センサ13から取得したセンサ値に応じた指令周波数を決定し、電力線通信方式を用いて電力線31、32を介して、当該決定した指令周波数を通信インタフェース21から送信させる。この場合、通信インタフェース43は、電力線通信方式で送信された指令周波数を受信する。そしてインバータ42は、受信された指令周波数でモータ41を駆動する。
【0061】
この構成によれば、ポンプが設置される水深に影響されずに、地上におけるセンサ値(例えば吐出側圧力)が所定の値(例えば所定の圧力)になる様に制御が可能になる。それとともに、信号用の配線は細いので水中で断線する可能性もあるが、地上の通信インタフェースと水中のインバータ一体型モータの間の配線を信号用に追加することなく、電力線のみの配線となることで、この懸念が解決されるので信頼性が向上する。また、水中でポンプに特別にセンサ(例えば圧力センサ)を取り付ける構造も不要となるという利点がある。またセンサ故障時で、点検、交換作業の際に、水中からポンプを引き上げる必要もないので、メンテナンス作業を行うことが容易になる。
【0062】
以上、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 水中ポンプユニット
10、10b 陸上ユニット
11、11a、11b 配水管
12 フロースイッチ
13、13a、13b 圧力センサ
131 入力インタフェース
14 吸込管
15 圧力タンク
16 交流電源
17 水槽
18 排出管
19 水位センサ
2 ポンプ
21、21a、21b 通信インタフェース
22 通信インタフェース
23 制御部
31、31a、31b、31c、32、33 電力線
34 空気抜き管
35 開閉弁
4 インバータ一体型モータ
41 モータ
42 インバータ
421 制御部
43 通信インタフェース
S1、S1b、S1c、S1d、S2 ポンプシステム
図1
図2
図3
図4
図5