(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】光拡散板、画像表示装置及び面光源装置
(51)【国際特許分類】
G02B 5/02 20060101AFI20240422BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20240422BHJP
G09F 13/04 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
G02B5/02 B
F21S2/00 431
G09F13/04 Z
(21)【出願番号】P 2018075913
(22)【出願日】2018-04-11
【審査請求日】2020-10-29
【審判番号】
【審判請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100142309
【氏名又は名称】君塚 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】恩田 智士
【合議体】
【審判長】里村 利光
【審判官】井口 猶二
【審判官】清水 康司
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-250295(JP,A)
【文献】特開2013-190761(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/02
G02F 1/1335
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明樹脂と光拡散剤の粒子とを含む透明樹脂組成物からなる光拡散板の製造方法であって、
前記透明樹脂と前記光拡散剤の界面に、前記透明樹脂の成分と前記光拡散剤の成分が混合した混合層を形成する工程を有し、
前記混合層を形成する工程において、下記式(1)で規定する屈折率変化率a(μm
-1)が0.025≦a≦0.45を満たすよう
に制御する、光拡散板の製造方法。
a=(n
B-n
A)/L・・・(1)
[式(1)中、n
Aは透明樹脂の屈折率、n
Bは光拡散剤の屈折率、Lは混合層の厚み(μm)を表す。]
【請求項2】
透明樹脂と光拡散剤の粒子とを含む透明樹脂組成物からなる光拡散板の製造方法であって、
前記透明樹脂と前記光拡散剤の界面に、前記透明樹脂の成分と前記光拡散剤の成分が混合した混合層を形成する工程を有し、
前記混合層を形成する工程において、前記混合層の厚み(L)と前記光拡散剤の平均粒子径(D)が0.02≦L/D≦0.20を満たすよう
に制御する、光拡散板の製造方法。
【請求項3】
前記混合層を形成する工程において、さらに、下記式(1)で規定する屈折率変化率a(μm
-1)が0.025≦a≦0.45を満たすよう
に制御する、請求項2に記載の光拡散板の製造方法。
a=(n
B-n
A)/L・・・(1)
[式(1)中、n
Aは透明樹脂の屈折率、n
Bは光拡散剤の屈折率、Lは混合層の厚み(μm)を表す。]
【請求項4】
前記透明樹脂の屈折率(n
A)及び前記光拡散剤の屈折率(n
B)を、前記透明樹脂の屈折率(n
A)と前記光拡散剤の屈折率(n
B)の屈折率差(Δn=n
B-n
A)が0.05以上0.10以下となるよう
に選択する、請求項1又は3に記載の光拡散板の製造方法。
【請求項5】
前記混合層の厚み(L)が0.05μm以上3.0μm以下である、請求項2~4のいずれか一項に記載の光拡散板の製造方法。
【請求項6】
光拡散剤の平均粒子径(D)が1.0μm以上8.0μm以下である、請求項2~5のいずれか一項に記載の光拡散板の製造方法。
【請求項7】
前記透明樹脂が、(メタ)アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂から選ばれる少なくとも1種類である、請求項1~6のいずれか一項に記載の光拡散板の製造方法。
【請求項8】
光拡散剤が、架橋重合体微粒子である、請求項1~7のいずれか一項に記載の光拡散板の製造方法。
【請求項9】
架橋重合体微粒子が、(メタ)アクリル酸メチル単量体由来の繰り返し単を含む共重合体である、請求項8に記載の光拡散板の製造方法。
【請求項10】
架橋重合体微粒子が、(メタ)アクリル酸メチル単量体由来の繰り返し単位と多官能(メタ)アクリレート単量体由来の繰り返し単位を含む共重合体(a)、または、(メタ)アクリル酸メチル単量体由来の繰り返し単位とスチレン系単量体単量体由来の繰り返し単位と多官能(メタ)アクリレート単量体由来の繰り返し単位を含む共重合体(b)のいずれかである、請求項9に記載の光拡散板の製造方法。
【請求項11】
前記共重合体(a)又は共重合体(b)が、分子内に3個以上10個以下の(メタ)アクリロイル基を有する単量体由来の繰り返し単位を含む、請求項10に記載の光拡散板の製造方法。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の光拡散板の製造方法を含む画像表示装置の製造方法。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか一項に記載の光拡散板の製造方法を含む面光源装置の製造方法であって、前記光拡散板の側端面の少なくとも一部の領域に光源を配置する、面光源装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光拡散板、画像表示装置及び面光源装置に関する。
さらに詳しくは、光拡散性と入射光に対する透明性に優れた光拡散板と前記光拡散板を含む画像表示装置及び面光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パソコン等のモニターや液晶テレビ等の画像表示装置に使用されるバックライトや、シーリングライト等の室内照明、照明看板等の照明装置に使用される面光源装置の発光体として、透明樹脂と透明な光拡散剤を含む光拡散板が知られている。
近年、画像表示装置や面光源装置の大型化に伴って、光路長が長くても高輝度であることが求められており、光拡散性と入射光に対する透明性に優れた光拡散板に対する要求が高まっている。
【0003】
例えば、特許文献1には、中心部から外縁部に向かって屈折率が減少している光拡散剤を、透明基材中に分散した光拡散シートが開示されている。
特許文献2には、透明基材と光拡散層を含み、光拡散層が連続相を形成しており、透明基材と光拡散層の界面に屈折率分布型の反射防止層を有する光拡散板が開示されている。
特許文献3には、内部と表面で屈折率が異なる屈折率分布構造を有する粒子を、透明基材中に分散含有した光拡散板が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平2-120702号公報
【文献】特開平6-109906号公報
【文献】特開平6-347617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の光拡散板は、透明基材・光拡散剤の境界領域において、屈折率の変化率が小さいため、入射光は光拡散剤で十分に拡散されず、輝度が不十分であった。すなわち、光拡散性が不十分であった。
また、特許文献2に記載の光拡散板は、光拡散層と透明基材の界面に反射防止層が介在しているので、光拡散板の入射端面付近の光拡散性は良好だが、光拡散層が連続相を形成しているが故に、入射光は光拡散板内を十分に進むことができず、入射端面から離れるほど、輝度が不十分となる。すなわち、入射光に対する透明性が不十分であった。
また、特許文献3には、透明基材・屈折率分布構造を有する粒子の境界領域において、単位長さあたりの屈折率の変化率を制御することは何ら述べられていない。すなわち、特許文献3の光拡散板は、光拡散性と入射光に対する透明性を十分に制御しているとはいえなかった。
【0006】
本発明はこれらの問題点を解決することを目的とする。すなわち、本発明の目的は、光拡散性と入射光に対する透明性に優れた光拡散板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するため検討を重ねた結果、本発明に至った。
すなわち、本発明の第一の要旨は、透明樹脂と光拡散剤の粒子とを含む透明樹脂組成物からなる光拡散板であって、透明樹脂と光拡散剤の界面に、透明樹脂の成分と光拡散剤の成分が混合してなる混合層を有し、下記式(1)で規定する屈折率変化率a(μm-1)が0.025≦a≦0.45を満たす光拡散板に関する。
a=(nB-nA)/L・・・(1)
[式(1)中、nAは透明樹脂の屈折率、nBは光拡散剤の屈折率、Lは混合層の厚み(μm)を表す。]
本発明の第二の要旨は、透明樹脂と光拡散剤の粒子とを含む透明樹脂組成物からなる光拡散板であって、透明樹脂と光拡散剤の界面に、透明樹脂の成分と光拡散剤の成分が混合してなる混合層を有し、前記混合層の厚み(L)と前記光拡散剤の平均粒子径(D)が0.02≦L/D≦0.20を満たす光拡散板に関する。
本発明の第三の要旨は、前記光拡散板を含む画像表示装置に関する。
本発明の第四の要旨は、前記光拡散板を含む面光源装置であって、前記光拡散板の側端面の少なくとも一部の領域に光源を配置した面光源装置に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、光拡散性と入射光に対する透明性(以下、単に「透明性」という。)に優れる光拡散板を提供することができる。
本発明の光拡散板は、光拡散性と透明性に優れているので、光路長が長くても高輝度であり、近年、大型化が進みつつある、パソコン等のモニターや液晶テレビ等の画像表示装置に使用されるバックライトや、シーリングライト等の室内照明、照明看板等の照明装置に使用される面光源装置の発光体に好適である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの態様のみに限定されるものではない。
本発明において、「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」から選ばれる少なくとも1種を意味する。
本発明において、「単量体」は未重合の化合物を意味し、「繰り返し単位」は単量体が重合することによって形成された前記単量体に由来する単位を意味する。繰り返し単位は、重合反応によって直接形成された単位であってもよく、ポリマーを処理することによって前記単位の一部が別の構造に変換された単位であってもよい。
本発明において、「質量%」は全体量100質量%中に含まれる所定の成分の含有量を示す。
特に断らない限り、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味し、「A~B」は、A以上B以下であることを意味する。
【0010】
一般的に、光源から光拡散板に入射された光は、透明樹脂と光拡散剤の界面で屈折又は反射を繰り返しながら、光拡散板中を進み、反射された光が、光拡散板の出射面から外部に取り出される。
しかし、本発明者らの検討によれば、透明樹脂組成物と光拡散剤の界面において、単位長さあたりの屈折率の変化率が大きいほど、光拡散板の入射端面付近で入射光の多くが反射光として外に取り出されてしまい、入射端面から離れるほど輝度が低下する傾向があり、一方、透明樹脂組成物と光拡散剤の界面において、単位長さあたりの屈折率の変化率が小さいほど、光拡散板の入射端面付近では、入射光の多くは反射光されずに光拡散板の内部を進み、入射端面から離れるほど輝度が徐々に高くなる傾向があることが明らかになった。
そこで、本発明者らは更に検討した結果、透明樹脂組成物と光拡散剤の界面において、透明樹脂の成分と光拡散剤の成分が混合した混合層を形成させ、且つ、該混合層の形態が特定の条件を満たすように制御することで、光拡散性と透明性を優れたものにできることを見出して、本発明に至った。
【0011】
<光拡散板>
本発明の光拡散板は、後述する透明樹脂と後述する光拡散剤の粒子とを含む透明樹脂組成物からなる。
本発明の光拡散板において、前記光拡散剤は、前記透明樹脂中に、独立した状態で分散している。ここで独立した状態とは、光拡散剤が凝集して連続相を形成することなく、一次粒子又は二次粒子の状態で透明樹脂中に分散している状態をいう。光拡散剤が独立した状態で分散している場合には、光拡散層が連続相を形成している場合と比較して、光拡散板の透明性と光拡散性を良好にできる。
さらに本発明の光拡散板においては、前記透明樹脂と前記光拡散剤の界面に、該透明樹脂の成分と該光拡散剤の成分とが混合してなる、後述する混合層を有している。混合層を有することにより、光拡散板の透明性と光拡散性を良好にできる。
【0012】
本発明の光拡散板の一実施形態は、下記式(1)で規定する屈折率変化率a(μm-1)が0.025≦a≦0.45を満たす光拡散板である。
a=(nB-nA)/L・・・(1)
式(1)中、nAは前記透明樹脂固有の屈折率、nBは前記光拡散剤固有の屈折率、Lは混合層の厚み(μm)を表す。
前記屈折率変化率aの下限は、特に制限されるものではないが、光拡散板の透明性が良好となる観点から、0.025以上が好ましい。0.05以上がより好ましく、0.10以上がさらに好ましい。一方、前記屈折率変化率aの上限は、光拡散板の光拡散性が良好となる観点から、0.45以下が好ましい。0.35以下より好ましく、0.15以下がさらに好ましい。
屈折率変化率aを0.025≦a≦0.45とするには、前記透明樹脂の種類や屈折率、光拡散剤の種類や屈折率、光拡散剤として用いる後述する共重合体(a)又は後述する共重合体(b)を構成する単量体単位の種類や組成、後述する光拡散板の製造条件(重合温度、重合時間、重合開始剤の種類、添加量)を、当業者が公知技術に従い、調整することで、制御できる。
【0013】
本発明の光拡散板の別の一実施形態は、前記混合層の厚み(L)と前記光拡散剤の平均粒子径(D)の比率(L/D)は、0.02≦L/D≦0.20を満たす光拡散板である。L/Dの下限は、光拡散板の透明性が良好となる観点から、0.02以上が好ましい。0.04以上がより好ましい。L/Dの上限は、光拡散板の光拡散性が良好となる観点から、0.20以下が好ましい。0.10以下がより好ましい。
L/Dを0.02≦L/D≦0.20とするには、前述した、透明樹脂の種類、光拡散剤の種類、光拡散剤として用いる共重合体(a)又は共重合体(b)を構成する単量体単位の種類や組成、後述する光拡散板の製造条件により調整することができる。
【0014】
本発明においては、光拡散板の厚みは特に制限されないが、厚みの上限は、面光源の軽量化の点で10mm以下が好ましく、6mm以下がより好ましく、4mm以下がさらに好ましい。LED等の光源から出射された光を効率よく光拡散板の内部に入射させる点で、光拡散板の厚みの下限は1.5mm以上が好ましく、3mm以上がより好ましい。
【0015】
前記透明樹脂組成物は、前記光拡散剤を、該透明樹脂組成物の総質量に対して0.5質量%以上45質量%以下の範囲で含有量することができる。光拡散剤の含有量の下限は、光拡散性が強くなり十分な拡散性を得ることができる観点から、0.5質量%以上が好ましい。光拡散剤の含有量の上限は、光拡散板の全光線透過率や衝撃強度の低下を抑制でき、また光拡散板を安定に製造できる観点から、45質量%以下が好ましい。
【0016】
<透明樹脂>
透明樹脂は、本発明の光拡散板の構成成分の一つである。
本発明に使用される透明樹脂としては、透明性の樹脂であれば特に限定されるものではなく、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂が挙げられる。
【0017】
(メタ)アクリル系樹脂としては、光透過率の高さ、耐熱性、力学的特性及び成形加工性のバランスの観点から、メタクリル酸メチルの単独重合体(PMMA)、又は、メタクリル酸メチル単位を80質量%以上100質量%未満及びメタクリル酸メチル以外のその他単量体単位0質量%を超えて20質量%以下含有する共重合体が挙げられる。
前記その他単量体としては、メタクリル酸メチルと共重合可能な単量体であれば、特に限定されるものではなく、具体的にはアクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸i-プロピル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸i-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ボルニル、(メタ)アクリル酸ノルボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアダマンチル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ノルボルニルメチル、(メタ)アクリル酸メンチル、(メタ)アクリル酸フェンチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸シクロデシル、(メタ)アクリル酸4-t-ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸トリメチルシクロヘキシル等が挙げられる。これらは単独で使用又は2種以上を併用できる。
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの中でも、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸n-エチル、アクリル酸n-プロピル及びアクリル酸2-エチルヘキシルからなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体は、樹脂成形体の熱分解性を抑制し、耐候性、加熱成形性が良好となる点から好ましい。
(メタ)アクリル系樹脂は、光透過率の高さ、耐熱性、力学的特性及び成形加工性に優れているので好ましい。高い衝撃強度が要求される用途に光拡散板を使用する場合には、耐衝撃性メタクリル系樹脂を用いることができる。
【0018】
スチレン系樹脂としては、光透過率の高さ、耐熱性、力学的特性及び成形加工性のバランスの観点から、スチレンの単独重合体、又は、スチレン由来の繰り返し単位を50質量%以上含むスチレン共重合体を挙げることができる。具体的には、メタクリル酸メチル-スチレン系樹脂(MS樹脂)が挙げられる。
【0019】
<光拡散剤>
光拡散剤は、本発明の光拡散板の構成成分の一つである。
本発明に使用される光拡散剤としては、光拡散機能を有する光拡散物質のことで、例えば、透明樹脂と屈折率の異なる有機系光拡散剤の粒子が挙げられる。具体的には、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂(屈折率1.49)、メチルメタクリレート・スチレン系樹脂(屈折率1.55)、ポリカーボネート系樹脂(屈折率1.57)、メラミン系樹脂(屈折率1.57)、ポリスチレン樹脂(屈折率1.60)、架橋ポリスチレン系樹脂(屈折率1.61)、塩化ビニル系樹脂(屈折率1.60)、ベンゾグアナミン-メラミンホルムアルデヒド系樹脂(屈折率1.68)等の有機系微粒子が挙げられる。
透明樹脂組成物中における光拡散剤の形状としては、特に制限されるもではなく、例えば、真球状、球状、鱗片状及び不定形状が挙げられる。
【0020】
透明樹脂組成物中の、光拡散剤の平均粒子径(D)は、特に制限されるものではないが、1.0~8.0μmであることが好ましく、より好ましくは1.5~7.0μm、さらに好ましくは2.0~6.0μmの範囲である。光拡散剤の平均粒子径(D)の下限が1.0μmより小さい場合には、散乱により透過光が黄色く着色したり、シースルーが発生しやすくなり十分な光拡散効果を得られない。光拡散剤の平均粒子径(D)が8.0μmより大きい場合には、光拡散性が低下して光拡散板のギラツキ及び輝度ムラは発生しやすくなり、所要の光拡散性を得ようとすると必要な添加量が多くなり過ぎて光拡散板の製造が困難になったり、衝撃強度が低下する。
なお、本発明において、平均粒子径(D)とは、光学顕微鏡を用いて倍率1000倍で観察された任意の分散粒子又は凝集粒子20個について、分散粒子の一次粒子径又は凝集粒子の二次粒子径を測定し、平均した値である。なお、上記の凝集粒子とは、分散粒子(一次粒子)が接触して形成された二次粒子のことをいう。また、光拡散剤の粒径分布としては、平均粒子径(20点)の標準偏差を算出して、これを上記の平均粒子径で除した値を粒径分布の指標とした。
【0021】
本発明の光拡散板においては、光拡散剤の粒子の粒径分布の標準偏差は、特に制限されるものではないが、光拡散板の散乱特性にばらつきが少なくなり、曇価の設計が容易となる観点から、前記平均粒子径(D)の8%以下が好ましい。5%以下がより好ましく、3%以下がさらに好ましい。
【0022】
本発明の光拡散板においては、前記透明樹脂の屈折率(nA)と前記光拡散剤の屈折率(nB)との屈折率差(Δn=nB-nA)の下限は、特に制限されるものではないが、光拡散板の光拡散効果が良好となり視野角を広くできること、及び、光拡散板の添加量を増量する必要がないので光拡散板の透明性を維持できることから、0.05以上が好ましい。一方、前記屈折率差の上限は、光拡散板の透明性が良好となることから、0.10以下が好ましい。
透明樹脂の屈折率(nA)は、特に制限されるものではないが、好ましくは1.45~2.00である。
光拡散剤の屈折率(nB)は、特に制限されるものではなく、上述したように前記屈折率差(Δn=nB-nA)が、0.05以上0.10以下となるように、適宜選択すればよい。前記屈折率差(Δn)が小さすぎると反射防止性が低下し、大きすぎると、反射光の色味が強くなり、好ましくない。
透明樹脂に(メタ)アクリル系樹脂(屈折率1.49)を用いる場合、光拡散剤の屈折率は1.54以上1.58以下とすることができる。
【0023】
本発明の光拡散板においては、前記光拡散剤に、架橋重合体微粒子を用いることができる。架橋重合体微粒子を用いることにより、光拡散剤を、粒子形状を維持したまま透明樹脂中に分散させ、透明樹脂と光拡散剤の界面に前記混合層を形成できるので、光拡散板の透明性を良好にできる。
【0024】
前記架橋重合体微粒子は、透明樹脂中での分散性が優れているので、光拡散板の透明性をより優れたものにでき、且つ、透明樹脂と光拡散剤の界面に前記混合層を効率的に形成できる観点から、下記の共重合体(a)または(b)のいずれかが好ましい。
共重合体(a):(メタ)アクリル酸メチル単量体由来の繰り返し単位と、多官能(メタ)アクリレート単量体由来の繰り返し単位を含む共重合体である。
共重合体(b):(メタ)アクリル酸メチル単量体由来の繰り返し単位とスチレン系単量体単量体由来の繰り返し単位と、後述する多官能(メタ)アクリレート単量体由来の繰り返し単位を含む共重合体である。
【0025】
さらに、前記共重合体(a)又は共重合体(b)は、後述する多官能(メタ)アクリレート単量体として、3個以上10個以下の(メタ)アクリロイル基を分子内に有する単量体を含むことにより、光拡散剤を、粒子形状を維持したまま透明樹脂中に分散させ、透明樹脂と光拡散剤の界面に前記混合層をより効率的に形成できるので、光拡散板の透明性がより良好となる。
【0026】
<多官能(メタ)アクリレート単量体>
多官能(メタ)アクリレート単量体は、前記共重合体(a)又は共重合体(b)の構成単位の一つである。
多官能(メタ)アクリレート単量体は、(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する単量体が挙げられる。
例えば、(メタ)アクリロイルオキシ基に結合する残基が炭化水素基又はその誘導体である単量体が挙げられ、その分子内にはエーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合等の結合を含むことができる。或いは又、1モルの多価アルコールと、3モル以上の(メタ)アクリル酸又はその誘導体とから得られるエステル化物及び多価アルコールと、多価カルボン酸又はその無水物と、(メタ)アクリル酸又はその誘導体とから得られる線状のエステル化物が挙げられる。
尚、ここでいう「多価アルコール」とは、分子中に水酸基を2個以上有するアルコールを意味する。「多価カルボン酸」とは、分子中にカルボキシル基を2個以上有するカルボン酸を意味する。「(メタ)アクリル酸の誘導体」とは、(メタ)アクリル酸の水素原子が、他の官能基に置換された化合物を意味する。
「線状」とは、直鎖状及び分岐鎖状を意味する。
具体的な多官能(メタ)アクリレート単量体としては、WO2015/182744号国際公開公報の、段落0028~0032、段落0034に開示されている化合物の中から、(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する単量体を適宜選択して用いることができる。
前記共重合体(a)又は共重合体(b)に使用される多官能(メタ)アクリレート単量体の種類は、本発明の光拡散剤に要求される性能を満たすように、当業者が公知技術に従い、適宜選択することがきる。
【0027】
本発明においては、前記光拡散剤には、1種類の光拡散剤を単独又は2種類以上の光拡散剤を併用して用いることができる。
2種類以上の光拡散剤を用いる場合、例えば、第1の光拡散剤はポリメチルメタクリレート微粒子(屈折率1.49)から構成され、第2の光拡散剤は例えばポリスチレン系樹脂(屈折率1.59)から構成することができる。
或いはまた、第1の光拡散剤はポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒子径1.5μm、屈折率1.49)から構成され、第2の光拡散剤はポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒子径3.0μm、屈折率1.49)から構成することができる。
或いはまた、第1の光拡散剤は前記共重合体(a)から構成され、第2の光拡散剤は前記共重合体(a)から構成することができる。
【0028】
<混合層>
本発明の光拡散板は、透明樹脂と光拡散剤の界面に、透明樹脂の成分と光拡散剤の成分とが混合してなる混合層を有することにより、光拡散板の透明性と光拡散性をより優れたものにできる。
前記混合層の厚み(L)の下限は、特に制限されるものではないが、光拡散板の透明性が良好となる観点から、0.05μm以上が好ましい。0.1μm以上より好ましく、1.0μm以上がさらに好ましい。一方、前記混合層の厚み(L)の上限は、光拡散板の光拡散性が良好となる観点から、3.0μm以下が好ましい。2.0μm以下より好ましく、1.5μm以下がさらに好ましい。
混合層の厚み(L)を0.05μm以上3.0μm以下とするには、前述した、透明樹脂の種類、光拡散剤の種類、光拡散剤として用いる共重合体(a)又は共重合体(b)を構成する単量体単位の種類や組成、光拡散板の製造条件(重合温度、重合時間、重合開始剤の種類・添加量)を、当業者が公知技術に従い、調整することで、制御できる。
【0029】
また、本発明においては、下記式(1)に規定する屈折率変化率a(μm-1)が0.025≦a≦0.45を満たすことが好ましい。
a=(nB-nA)/L・・・(1)
式(1)中、nAは前記透明樹脂固有の屈折率、nBは前記光拡散剤固有の屈折率、Lは混合層の厚み(μm)を表す。
【0030】
前記屈折率変化率aの下限は、特に制限されるものではないが、光拡散板の透明性が良好となる観点から、0.025以上が好ましい。0.05以上がより好ましく、0.10以上がさらに好ましい。一方、前記屈折率変化率aの上限は、光拡散板の光拡散性が良好となる観点から、0.45以下が好ましい。0.35以下より好ましく、0.15以下がさらに好ましい。
屈折率変化率aを0.025≦a≦0.45とするには、前述した、透明樹脂の種類や屈折率、光拡散剤の種類や屈折率、光拡散剤として用いる共重合体(a)又は共重合体(b)を構成する単量体単位の種類や組成、光拡散板の製造条件(重合温度、重合時間、重合開始剤の種類、添加量)を、当業者が公知技術に従い、調整することで、制御できる。
【0031】
<光拡散板の製造法>
本発明の光拡散板の製造方法は特に限定されるものではなく、例えば、後述するセルキャスト法や連続キャスト法等の公知の注型重合法を用いて製造できる。
注型重合法は、対向配置された2枚の無機ガラス板または金属板(SUS板)の周辺を、軟質樹脂チューブ等のガスケットでシールして、これを鋳型とし、続いて、後述する重合性原料を前記鋳型に注入して、重合させることによりシート状の樹脂組成物を形成する。次いで、得られた樹脂組成物を鋳型から剥離して板状の樹脂成形体(光拡散板)を得る方法である。
注型重合用の鋳型の形態は特に限定されず、公知の鋳型を用いることができる。光拡散板を得るための鋳型としては、例えば、セルキャスト用の鋳型と連続キャスト用の鋳型が挙げられる。
セルキャスト用の鋳型としては、例えば、無機ガラス板、クロムメッキ金属板、ステンレス鋼板等の2枚の板状体を所定間隔で対向配置し、その縁部にガスケットを配置して、板状体とガスケットにより密封空間を形成させたものが挙げられる。
連続キャスト用の鋳型としては、例えば、同一方向へ同一速度で走行する一対のエンドレスベルトの対向する面と、エンドレスベルトの両側辺部においてエンドレスベルトと同一速度で走行するガスケットとにより密封空間を形成させたものが挙げられる。
注型重合法を用いた場合の重合方法は、特に制限されるものではなく、例えば、アクリル系重合体やスチレン系樹脂の製造に用いられる公知の重合方法を採用できる。具体的には、単量体を重合溶媒として用いるいわゆるバルク重合法(塊状重合法)を、ラジカル重合の条件化で行うことができる。
前記重合性原料は、後述するように単量体と光拡散剤を含み、注型重合法時に光拡散剤を単量体で膨潤させることにより、透明樹脂と光拡散剤の界面に、透明樹脂の成分と光拡散剤の成分が混合した混合層を形成する。
【0032】
本発明においては、混合層の厚み(L)と光拡散剤の平均粒子径(D)が0.02≦L/D≦0.20を満たすことが重要であり。L/Dは、透明樹脂の種類や屈折率、光拡散剤の種類や屈折率、光拡散剤として用いる共重合体(a)又は共重合体(b)を構成する単量体単位の種類や組成、光拡散板の製造条件(重合温度、重合時間、重合開始剤の種類・添加量)を調整することで、制御できる。
【0033】
さらに、本発明においては、混合層の厚み(L)や、光混合層における屈折率の変化の度合い(屈折率変化率a)を制御することがより好ましい。これらは、透明樹脂の種類や屈折率、光拡散剤の種類や屈折率、光拡散剤として用いる共重合体(a)又は共重合体(b)を構成する単量体単位の種類や組成、光拡散板の製造条件(重合温度、重合時間、重合開始剤の種類・添加量)を調整することで、制御できる。
鋳型の空隙の間隔は所望の厚さの樹脂板が得られるように適宜調整されるが、一般的には1~30mmである。
【0034】
<重合性原料>
重合性原料は、本発明の透明樹脂組成物の原料である。
前記透明樹脂が(メタ)アクリル系樹脂の場合、重合性原料は、メタクリル酸メチルの単独物と光拡散剤と公知の重合開始剤の混合物、又は、メタクリル酸メチル80質量%以上100質量%未満及び上述したその他単量体0質量%を超えて20質量%以下を含む単量体組成物と光拡散剤と公知の重合開始剤との混合物を用いることができる。
前記透明樹脂がスチレン系樹脂の場合、重合性原料は、スチレンの単独物と光拡散剤と公知の重合開始剤の混合物、又は、スチレン50質量%以上100質量%未満含む単量体組成物と光拡散剤と公知の重合開始剤との混合物を用いることができる
【0035】
本発明の光拡散板を用いて構成される面光源装置は、例えばパソコン等のモニター、液晶テレビ等の液晶表示装置のバックライトやシーリングライト等の室内照明、照明看板等の照明装置に使用される光源に好適である。
【0036】
<画像表示装置>
本発明の光拡散板は、透明性と光拡散性に優れているので、パソコン等のモニターや液晶テレビ等の画像表示装置に使用されるバックライトに好適である。また、透明性に優れているので、サイズの大きい用途でも均一な拡散光を得られるので、画像表示装置に好適である。
<面光源装置>
本発明の光拡散板は、透明性と光拡散性に優れているので、光拡散板の側端面の少なくとも一部の領域に光源を配置して、シーリングライト等の室内照明、照明看板等の照明装置に使用される面光源装置として用いることができる。本発明の光拡散板は、透明性と光拡散性に優れているので、高輝度で、サイズの大きい用途でも均一な拡散光を得らることから、面光源装置に好適である。
【実施例】
【0037】
以下に本発明を、実施例を用いて説明する。以下において、「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。
【0038】
また、実施例及び比較例で使用した化合物の略号は以下の通りである。
MMA:メタクリル酸メチル
光拡散剤(1):架橋アクリル樹脂粒子(平均粒子径6μm、屈折率1.56)(商品名:アトパールGS、根上工業社製)
光拡散剤(2):メタクリル酸メチル-スチレン系樹脂(MS樹脂)の架橋粒子(平均粒子径5μm、屈折率1.59)(商品名:エポスターMA2003、日本触媒社製)
光拡散剤(3):架橋スチレン樹脂粒子(平均粒子径5μm、屈折率1.59)(商品名:SX-500H、テクノポリマー社製)
光拡散剤(4):市販の非架橋アクリル樹脂粒子(平均粒子径12μm、屈折率1.56)
光拡散剤(5):架橋シリコーン樹脂微粒子(平均粒子径4.5μm、屈折率1.42)(商品名:トスパール145A、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)
【0039】
<評価方法>
実施例及び比較例における評価は以下の方法により実施した。
【0040】
(1)全光線透過率
光拡散板の透明性の指標として、JIS K 7375に準拠して、光拡散板の全光線透過率(%)を測定した。
(2)ヘーズ値
光拡散板の透明性の指標として、JIS K 7136に示される測定法に準拠して、ヘイズ計(日本電色工業(株)製、商品名:HAZE METER NDH4000)を用いて、光拡散板のヘーズ値を測定した。
(3)光拡散剤の平均粒子径(D)
光拡散板を切断し、ウルトラミクロトーム(ライカ製、商品名:EM-ULTRACUTUCT)を用いて、切断面から小片を切り出して、これを光学顕微鏡の観察用サンプルとした。前記観察用サンプルについて、光学顕微鏡を用いて倍率1000倍で観察された任意の光拡散剤の分散粒子又は凝集粒子20個について、分散粒子の一次粒子径又は凝集粒子の二次粒子径を測定し、その平均値を平均粒子径(D)とした。分散粒子が観察されないときは「N.D.」とした。なお、分散粒子(一次粒子)が接触して形成された二次粒子を凝集粒子とした。
(4)屈折率
反射分光膜厚計(大塚電子株式会社製、商品名;FE-3000)を用いて光拡散板の透明樹脂と光拡散剤の屈折率を測定した。測定は20℃で行なった。
(5)輝度
光拡散板の光拡散性の指標として、下記の手順に従い、光拡散板の輝度を測定した。
光拡散板(長さ200mm、幅50mm及び厚さ3mm)の厚み5mm×幅50mmの面の一方を光入射端面、幅50mm×長さ200mmの面の一方を光出射面とした。LED光源(5mm表面実装型)40個が5mm間隔で並べられたLEDエッジライトを、前記光入射端面に隣接するように配置した。LED光源の出力は、試験片から出射する光の輝度の最大値が2200cd/m2以下となるように調整した。
輝度計(機種名:RISA-COLOR/CD7、(有)ハイランド製)を用い、光入射端面から60mmの位置の輝度(1)、及び、前記光入射端面に対向する端面(光入射端面から200mm)から40mmの位置の輝度(2)を測定した(輝度の単位:cd/cm2)。光拡散板3点を用いて、各光拡散板につき1回測定を行い、その平均値を輝度とした。
(6)混合層の厚み(L)
光拡散板を主表面に対して垂直方向に切断し、次いで切断面からミクロトームを用いて透過型電子顕微鏡用の小片を切り出した。透過型電子顕微鏡(日立製作所製、装置名:H-7000型)を用いて、光拡散板の断面を観察してTEM観察像を取得した。得られたTEM観察像より、樹脂基材(A)の層/混合層/硬化被膜(B)の層の3層構造が観察された領域について、混合層の膜厚を求めた。
【0041】
[実施例1]
(導光体の作製)
冷却管、温度計及び攪拌機を備えた反応器に、単量体としてMMA92部及びアクリル酸ブチル1部を供給し、窒素ガスで液層部をバブリングして窒素置換した後、加熱を開始した。内温が80℃になった時点で、ラジカル重合開始剤として2,2’-アゾビス-(2,4-ジメチルバレロニトリル)0.12部及び連鎖移動剤としてn-ドデシルメルカプタン0.075部を供給し、更に内温が100℃になるまで加熱して、100℃で9分間保持した。
その後、減圧冷却により25℃まで冷却し、アクリルシラップAを得た。得られたアクリルシラップAの重合率は、約25%であった。
アクリルシラップA93部に、MMA7部及び光拡散剤(2)0.001部を分散させ、分散シラップを得た。
次いで、前記分散シラップ100部に、重合開始剤として2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)0.03部及び紫外線吸収剤として2-(5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-ベンゾトリアゾール0.005部を添加し、30分間攪拌して重合性原料を作製した。
この重合性原料を、軟質樹脂製ガスケットを介して3mmの間隔で積層された2枚の強化ガラス板(長さ300mm、幅300mm、厚さ6mm)から構成される鋳型に注入した。
続いて、70℃の温水中に浸漬して2時間重合させ、次いで130℃の空気浴にて1時間重合させて板状のアクリル樹脂板(長さ280mm、幅280mm及び厚さ3mm)を得た。
得られたアクリル樹脂板を長さ200mm、幅50mmの大きさにパネルソー(シンクス(株)製、商品名:SZIVG-4000)で切断し、1つの端面を研削研磨機(宏邦産業(株)製、商品名:CGS-1600)にて鏡面研磨加工して光拡散板を得た。得られた光拡散板の評価結果を表1に示す。
[比較例1]
光拡散剤として、光拡散剤(2)を使用した以外は、実施例1と同様の方法で光拡散板を得た。得られた光拡散板の評価結果を表1に示す。
【0042】
実施例1及び2の光拡散板は、輝度(1)及び輝度(2)が高い値を示し、輝度と入射光に対する透明性に優れていた。
比較例1の光拡散板は、L/Dが小さすぎるため、輝度(1)の値は大きいが、輝度(2)の値が低く、入射光に対する透明性が不十分であった。
比較例2の光拡散板は、L/Dが大きすぎるため、輝度(1)及び輝度(2)の値が低く、輝度が不十分であった。
比較例3の光拡散板は、混合層が形成されないため、輝度(1)及び輝度(2)の値が低く、輝度が不十分であった。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の光拡散板は、透明性と入射光に対する光拡散性に優れている。このような光拡散板は、面光源装置の発光体や、パソコン等のモニターや液晶テレビ等の画像表示装置に使用されるバックライトに好適に用いることができる。
【0044】