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特許7476117基板用キャリア及び基板を搬送するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】基板用キャリア及び基板を搬送するための方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20240422BHJP
   H01L 21/673 20060101ALI20240422BHJP
   C23C 14/50 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/68 T
C23C14/50 A
C23C14/50 E
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020571352
(86)(22)【出願日】2018-06-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-28
(86)【国際出願番号】 EP2018066937
(87)【国際公開番号】W WO2020001730
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2021-03-10
【審判番号】
【審判請求日】2023-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リンデンベルク, ラルフ
【合議体】
【審判長】恩田 春香
【審判官】中野 浩昌
【審判官】棚田 一也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-39185(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2008-0002372(KR,A)
【文献】特開2011-184802(JP,A)
【文献】特開昭59-54237(JP,A)
【文献】特開2016-172915(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/677
H01L21/673
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空処理システム内で基板(110)を保持し且つ輸送方向(x1)に輸送するように構成されたキャリア(100)であって、
互いの反対側の2つの側方エッジ(200)と、
側方エッジ(200)の間に配置された接合構造(300)であって、基板(110)を露出させる複数の開孔を含む平坦な構造を有する接合構造(300)と、
接合構造(300)に隣接して且つ接合構造(300)から離間させて基板(110)を保持するように構成された保持アセンブリ(400)と
を備え、
前記複数の開孔が50個よりも多い開孔を含み、
前記接合構造が0.8を超える開孔比を有し、
キャリア(100)であって、
前記保持アセンブリは、
前記2つの側方エッジのそれぞれのエッジ接触面を提供する上側保持バーと下側保持バーとを備えており、前記接合構造が前記基板から離間され、前記接合構造は前記基板から少なくとも10mmかつ60mm未満の距離に配置される、キャリア(100)
【請求項2】
輸送方向(x1)に、基板(110)と同じ範囲に又は基板(110)より小さい範囲に延びる、請求項1に記載のキャリア(100)。
【請求項3】
開孔が、連続的に周方向に縁取られる若しくは境界を有するか、又は
各開孔が、湾曲した若しくは曲線的な境界又は多角形の境界を有するか、又は
開孔が連続的に周方向に縁取られる若しくは境界を有し且つ各開孔が湾曲した若しくは曲線的な境界又は多角形の境界を有する、
請求項1または2に記載のキャリア(100)。
【請求項4】
開孔の境界が、少なくとも3つの角を有する多角形として形成されているか、又は
開孔の境界が、3つから6つの角を有する多角形として形成されている、
請求項1から3のいずれか一項に記載のキャリア(100)。
【請求項5】
接合構造(300)が、格子構造を有するか、又はメッシュ状に形成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のキャリア(100)。
【請求項6】
接合構造(300)が、少なくともいくつかの領域内において、均一な開孔のシーケンスによって形成されているか、又は
接合構造(300)が、少なくともいくつかの領域内において、周期的な開孔のシーケンスによって形成されているか、又は
接合構造(300)が、少なくともいくつかの領域内において、均一且つ周期的な開孔のシーケンスによって形成されている、
請求項1から5のいずれか一項に記載のキャリア(100)。
【請求項7】
少なくとも2つの接合構造(300)を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載のキャリア(100)。
【請求項8】
少なくとも2つの接合構造(300)が、少なくとも2つの層(303、304)を含む層状構造に配置されているか、又は
少なくとも2つの接合構造(300)が、少なくとも2つの層(303、304)を含む層状構造に配置されており且つ層(303、304)が上下に配置されているか、又は
少なくとも2つの接合構造(300)が、少なくとも2つの層(303、304)を含む層状構造に配置されており且つ少なくとも2つの接合構造(300)が、非0°、45°、少なくとも30°、及び60°未満からなる群のうちの少なくとも1つである角度だけ回転又は反転された状態で互いに対して配置されているか、又は
少なくとも2つの接合構造(300)が、少なくとも2つの層(303、304)を含む層状構造に配置されており、層(303、304)は上下に配置されており、且つ少なくとも2つの接合構造(300)が、非0°、45°、少なくとも30°、及び60°未満からなる群のうちの少なくとも1つである角度だけ回転又は反転された状態で互いに対して配置されている、
請求項7に記載のキャリア。
【請求項9】
接合構造(300)又は各接合構造(300)が、i)フライス加工された構造又はii)屈曲させたワイヤ構造として形成されているか、又は
上下に配置された接合構造(300)が、接続アセンブリ(305)によって相互接続されているか、又は
上下に配置された接合構造(300)が、接続アセンブリ(305)によって相互接続されており、接続アセンブリはジグザグ形状又は曲線的形状を備えている、
請求項1から8のいずれか一項に記載のキャリア(100)。
【請求項10】
保持アセンブリ(400)が、静電チャックアセンブリ、ヤモリチャックアセンブリ、磁気チャックアセンブリ、及び基板(110)を支持するための支持面からなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のキャリア(100)。
【請求項11】
真空処理システム内で基板(110)を保持し且つ輸送方向(x1)に輸送するように構成されたキャリア(100)であって、
互いの反対側の2つの側方エッジ(200)と、
側方エッジ(200)の間に配置された接合構造(300)であって、基板(110)を露出させる50個よりも多い開孔を含み且つ少なくとも0.8の開孔比を有する平坦な構造を有する接合構造(300)と、
接合構造(300)に隣接して基板(110)を保持するように構成された保持アセンブリ(400)と
を備え、
前記保持アセンブリは、
前記2つの側方エッジのそれぞれのエッジ接触面を提供する上側保持バーと下側保持バーとを備えており、前記接合構造が前記基板から離間され、前記接合構造は前記基板から少なくとも10mmかつ60mm未満の距離に配置される、キャリア(100)
【請求項12】
真空処理システム内で基板(110)を保持し且つ輸送方向(x1)に輸送するように構成されたキャリア(100)であって、
互いの反対側の2つの側方エッジ(200)であって、垂直に配向された基板については上側のエッジと下側のエッジである2つの側方エッジ(200)と、
前記基板(110)を前記キャリア(100)に固定するための少なくとも1つの保持バー(401)であって、前記側方エッジ(200)の少なくとも一方に配置されることで、前記接合構造が前記基板から離間される、保持バー(401)と、
側方エッジ(200)の間に配置された接合構造(300)であって、基板(110)の裏面で基板(110)を露出させる複数の開孔を含む平坦な構造を有する接合構造(300)と
を備え、
前記複数の開孔が50個よりも多い開孔を含み、
前記接合構造が0.8を超える開孔比を有するキャリア(100)。
【請求項13】
キャリア(100)を用いて、堆積チャンバ内で堆積プロセス中に基板(110)を輸送方向(x1)に搬送するための方法(500)であって、前記キャリア(100)が、互いの反対側の2つの側方エッジ(200)であって、上側保持バーと下側保持バーとによってエッジ接触面を提供する、2つの側方エッジ(200)と、前記側方エッジ(200)の間に配置された接合構造(300)であって、複数の開孔を含む平坦な構造を有する接合構造(300)と、前記接合構造(300)に隣接して基板(110)を保持するように構成された保持アセンブリ(400)とを有し、前記接合構造が、前記基板から少なくとも10mmかつ60mm未満の距離に配置され、前記方法が、
側方エッジ(200)の少なくとも一方で、接合構造(300)から離間させて、保持アセンブリ(400)の支持面において基板(110)を支持すること(520)を含み、
前記キャリアは、前記輸送方向(x1)にて前記基板を越えないか、または前記基板を越えて延びることがなく、
前記複数の開孔が50個よりも多い開孔を含み、
前記接合構造が0.8を超える開孔比を有する、方法。
【請求項14】
材料が堆積される基板表面とは反対側の基板表面を加熱すること
をさらに含む、請求項13に記載の方法(500)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施態様は、真空処理システムにおいて基板を搬送するための基板用キャリア及び方法に関する。本開示の実施態様は、特に、基板を保持し且つ真空処理システム内の1つの方向に沿って基板を移動させるように構成されたキャリアに関し、このキャリアは、基板などの物体を、特に本質的に垂直な配向で搬送することができる。具体的には、ここに記載される方法は、堆積チャンバ内で堆積プロセス中に、キャリアを用いて基板を輸送方向に搬送するように適合される。
【背景技術】
【0002】
概して、基板キャリアは、処理対象の基板を支持又は保持するため、及び処理設備内で又は処理設備を通して基板を輸送するために使用される。例えば、基板キャリアは、ガラス又はシリコンなどの材料で作製された基板を処理設備内で又は処理設備を通して輸送するために、ディスプレイ又は光電池産業において使用される。このような基板キャリア又は基板支持体は、特に処理中に反らせてはならない極めて薄い基板に使用される場合、特に重要でありうる。
【0003】
しかしながら、基板キャリアは、処理中に平らな基板を可能にするだけでなく、高性能システムにおいても使用されるように設計されつつも、高い処理速度においてシステムの複雑さを過剰にしないことが有益である。
【0004】
したがって、システムの複雑さと、システムの性能及び基板の品質との間のより好ましい兼ね合いに関して、基板キャリアを改善することが有益であろう。
【発明の概要】
【0005】
一態様によれば、基板を保持し且つ真空処理システム内で輸送方向に輸送するように構成されたキャリアが提供される。このキャリアは、互いの反対側の2つの側方エッジと、それら側方エッジ間に配置された接合構造であって、基板を露出させる複数の開孔を含む平坦な構造を有する接合構造と、接合構造に隣接して且つ接合構造から離間して基板を保持するように構成された保持アセンブリとを含む。
【0006】
本開示の別の態様によれば、基板を保持し且つ真空処理システム内で輸送方向に輸送するように構成されたキャリアが提供される。このキャリアは、互いの反対側の互いの反対側の2つの側方エッジと、それら側方エッジ間に配置された接合構造又は少なくとも1つの接合構造であって、各々が同じ基板を露出させる複数の開孔及び少なくとも0.5の開孔比を含む平坦な構造を有する接合構造又は少なくとも1つの接合構造と、接合構造に隣接して基板を保持するように構成された保持アセンブリとを含む。
【0007】
本開示の別の態様によれば、キャリアを用いて堆積チャンバ内で堆積プロセス中に基板を輸送方向に搬送するための方法が提供される。このキャリアは、互いの反対側の2つの側方エッジと、それら側方エッジの間に配置された接合構造又は少なくとも1つの接合構造であって、各々が同じ基板を露出させる複数の開孔及び少なくとも0.5の開孔比を含む平坦な構造を有する接合構造又は少なくとも1つの接合構造と、接合構造に隣接して基板を保持するように構成された保持アセンブリとを含む。
【0008】
この方法は、保持アセンブリの支持面、例えば側方エッジの少なくとも一方に、基板を静電的若しくは磁気的にチャッキングすること、又は側方エッジの少なくとも一方に基板を機械的に取り付けることを含む。
【0009】
本開示のデバイス及び方法は、システムの複雑さと、システムの性能及び基板の品質との間のより好ましい兼ね合いに関して改善された特性を有する基板キャリアを提供し、基板品質を少しも損なうことなく、又は場合によっては基板品質を改善しながら、より高い輸送能力で堆積チャンバ内で堆積プロセス中に基板を搬送することを可能にする。
【0010】
本開示のさらなる態様、利点、及び特徴は、従属請求項、明細書、及び添付の図面から明らかである。
【0011】
本開示の上記特徴を詳細に理解することができるように、典型的な実施態様を参照することにより、上記に簡単に概説した本開示のより詳細な記載が提供される。添付図面は本開示の実施態様に関するものであり、以下にそれらについて記載する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】ここに記載される実施態様による、接合構造を有するキャリアの斜視図であり、接合構造の開孔は三角形に構成された多角形の境界を有している。
図2】ここに記載される実施態様による、図1に示されるAの拡大斜視図であり、接合構造と保持バーとの間の移行部が例示されている。
図3A】ここに記載される実施態様による接合構造の正面図であり、接合構造の開孔は四角形に構成された多角形の境界を有している。
図3B】ここに記載される実施態様による接合構造の正面図であり、接合構造の開孔は円形の又は曲線的な境界を有している。
図4A】ここに記載される実施態様によるキャリアの概略正面図であり、2つの接合構造が、互いから間隔を空けて前後に配置されている。
図4B】ここに記載される実施態様による、図4Aの線BBに沿って切り取られた断面図であり、基板は保持バーの位置でキャリアに固定されている。
図4C】ここに記載される実施態様による、図4Aの線BBに沿って切り取られた断面図であり、基板は補足的支持構造の位置でキャリアに固定されている。
図5】キャリアを用いて堆積チャンバ内で堆積プロセス中に基板を輸送方向に搬送するための方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここで、本開示の様々な実施態様を詳細に参照する。その1つ又は複数の実施例が図面に示されている。図面についての以下の記載の中で、同じ参照番号は同じ構成要素を指す。概して、個々の実施態様に関する相違のみが記載される。各実施例は、説明のために提供されているのであって、本開示の限定を意味するものではない。1つの実施態様の一部として図示又は記載される特徴は、他の実施態様で又は他の実施態様と共に使用されて、さらなる実施態様を生み出すことができる。記載がこのような修正例及び変形例を含むことが意図されている。
【0014】
以下のセクションは、本書において特定の意味を持ついくつかの用語及び表現を説明又は定義する。
【0015】
「垂直方向」又は「垂直配向」という用語は、「水平方向」又は「水平配向」と区別されると理解される。即ち、「垂直方向」又は「垂直配向」は、実質的に垂直な配向に関する。垂直方向は、重力に対して実質的に平行とすることができる。垂直方向は、例えば±15°だけ重力に対して平行であることから逸脱しうる。
【0016】
ここで使用される「実質的に」という用語は、i)「実質的に」で示される特性の正確な値、量、又は意味を含む又は指すことができるか、或いはii)「実質的に」で示される特性からの特定の逸脱があることを暗示することができる。例えば、「実質的に垂直」という用語は、正確な垂直位置を指すか、又は正確な垂直位置から約1°から約15°の逸脱といった、正確な垂直位置からの何らかの逸脱を有しうる位置を指す。
【0017】
ここに記載される実施態様の中で使用される磁気浮上という用語は、典型的には、基板キャリアなどの物体が磁場以外の支持なしで浮かされる概念として特徴付けることができる。磁力は、重力の影響を打ち消し、物体を移動させる及び/又は輸送するために使用される。
【0018】
図1は、キャリア100の斜視図を示す。図1を参照して説明される詳細は、図1の要素に限定されると理解されるべきではない。むしろ、これらの詳細は、他の図面を例示として参照して説明されるさらなる実施態様と組み合わせることもできる。
【0019】
キャリア100は、処理設備、例えば処理チャンバ、処理ライン、又は処理エリア内で又は処理設備を通して、1つ又は複数の基板110を搬送することができるデバイスとして設計することができる。キャリア100は、基板110を保持及び支持するために十分な強度を提供することができる。特に、キャリア100は、堆積プロセス、特に真空堆積プロセス中に基板110を保持及び支持するために適合されうる。例えば、キャリア100は、例えば低いガス放出速度を有する適切な材料、及び/又は圧力変化に耐えるための対応する機械的剛性を含む安定な設計から作製されることによって、真空状態に適合させることができる。キャリア100は、基板110を固定するため又は基板110を規定された範囲、例えば基板のいくつかの側面に固定するための、クランプ、静電チャック、又は磁気チャックといった装備を提供することができる。
【0020】
いくつかの実施態様によれば、キャリア100は、薄膜基板を搬送するように適合させることができる、及び/又は基板110を固定するための装備は、薄膜基板用に適合させることができる。いくつかの実施態様では、キャリア100は、箔、ガラス、金属、絶縁材料、マイカ、及びポリマーなどを含む1つ又は複数の基板を搬送するように適合させることができる。いくつかの実施例では、キャリア100は、PVD堆積プロセス、CVD堆積プロセス、基板構造化エッジング(substrate structuring edging)、加熱(例えばアニーリング)、又は任意の種類の基板処理に使用されてもよい。ここに記載されるキャリア100の実施態様は、実質的に垂直に配向された基板の非定常的な、即ち連続的な基板処理において特に有用である。当業者であれば、キャリア100が、定常プロセス及び/又は水平に配向された基板を用いるプロセスにも使用できることを理解するであろう。
【0021】
キャリア100は、基板110を保持し且つ真空処理システム内で輸送方向x1に輸送するように構成することができ、互いの反対側の2つの側方エッジ200と、それら側方エッジ200間に配置された接合構造300又は少なくとも1つの接合構造であって、各々が同じ基板110を露出させる複数の開孔310-313及び少なくとも0.5又は少なくとも0.6の開孔比を含む平坦な構造を有する接合構造又は少なくとも1つの接合構造と、接合構造300に隣接して基板110を保持するように構成された保持アセンブリ400とを含む。
【0022】
本開示の実施態様によれば、接合構造300は、キャリア100の両端の2つの側方エッジを接続及び/又は接合する。接合構造は、キャリアに構造的完全性を提供する。さらに、接合構造の開孔比、即ち複数の開孔を有することは、基板の裏面加熱を可能にする。さらに、裏面加熱は、基板から離れた接合構造を有することにより有利に実現することができる。シャドーイングが低減されうる。基板は、キャリアの1つ又は複数のエッジ、例えば、上側方エッジ及び下側方エッジで支持される。後述されるように、基板のためのさらなる支持要素が提供されてもよい。しかしながら、接合構造、例えばキャリアの上側バーと下側バーとを接続する接合構造は、基板から離れている。
【0023】
キャリア100の2つの側方エッジ200は、輸送方向x1に対して横方向の又は実質的に直角な保持方向x2に、互いの反対側に配置することができる。側方エッジ200は、キャリア100の周囲を取り囲む追加の要素、例えばサイドバーとして設計されてもよく、又は例えばキャリア100の一部としてキャリア100に埋め込まれてもよい。
【0024】
座標系、特にデカルト座標系又は場合によっては傾斜座標系は、i)輸送方向x1、ii)重力と実質的に反対で輸送方向x1と実質的に直交する保持方向x2、及びiii)輸送方向x1及び保持方向x2と実質的に直交する交差方向x3によって形成することができる。ここに記載される実施態様では、交差方向x3は、平面キャリア100の表面及び/又はキャリア100によって輸送される平面基板110の表面に実質的に直交し、次にこの表面は、輸送方向x1及び保持方向x2に実質的に平行に配向される。
【0025】
用語「横方向レンジ」、「横方向範囲」又は「横方向エリア」は、交差方向x3に実質的に直角な又は直交する平面に沿ったレンジ、範囲又はエリアと理解される。
【0026】
基板110は、0.5m以上、さらに詳細には1m以上、又は場合によっては5m若しくは10m以上のサイズを有する大面積基板でありうる。例えば、基板110は、ディスプレイ製造のための大面積基板でありうる。
【0027】
本開示において、大面積基板は、約0.67mの基板(0.73×0.92m)に対応するGEN4.5、約1.4mの基板(1.1m×1.3m)に対応するGEN5、約4.29mの基板(1.95m×2.2m)に対応するGEN6、GEN7、GEN7.5、約5.7mの基板(2.2m×2.5m)に対応するGEN8、GEN8.5、又は場合によっては約8.7mの基板(2.85m×3.05m)に対応するGEN10、若しくはGEN10.5とすることができる。GEN11及びGEN12などのさらに次の世代及び対応する基板面積を同様に実装することができる。
【0028】
接合構造300は、交差方向x3に実質的に直角な平面又はエリア内に最大限の広がりを有する、実質的に平坦な又は平面の構造又は本体として設計されてよい。接合構造300は、真空中で脱離の少ない材料、特に金属若しくは金属合金、又は有益な脱離特性を有する他の任意の材料で作製することができる。
【0029】
接合構造300の横方向エリアは、複数又は多数の開孔310~313、即ち、横方向エリアの横方向レンジ全体に分配された開口又は孔を有することができ、これらの開口は、材料のカットアウト又は材料の間隙と見なされる。開孔に関して、用語「複数」は、10、又は20、又は50個の開孔より大きい数を指す。
【0030】
開孔の総面積(支持構造の横方向レンジ全体に分配された開孔の累積面積)は、支持構造の全横方向範囲に対して特定の比率を有する大きさである。この比を開孔比と呼ぶ。換言すれば、開孔比は、例えば支持構成の横方向レンジ上での、支持構成の総面積に対する累積開孔面積の比を表す。
【0031】
接合構造300の開孔比は、所定の限界値、即ち閾値よりも大きくなるように構成される。限界値は、0.95より小さくてもよい、及び/又は0.7、0.8若しくは0.9より大きくてもよい。しかしながら、i)単一の開孔を有する構造(即ち、1つの基板につき単一の開孔)、例えば内部が中空であるフレーム、又はii)2つの開孔を有する構造、例えば互いの反対側の角又はエッジを接続するクロスバーを有するフレームは、本開示による、即ち接合構造300として示される、複数の開孔を有する構造ではない。さらに、開孔を有する接合構造は、基板、即ち、基板受容エリアから離れている。
【0032】
本開示において、「保持アセンブリ」という用語は、基板キャリア100のフレーム部分又は側方エッジ200に接続されうるアセンブリと理解することができる。特に、「保持アセンブリ」は、ここに記載されるような大面積基板を実質的に垂直に保持及び支持するように構成された複数の基板保持要素を有するアセンブリと理解することができる。特に、基板保持要素は、ここに記載されるような大面積基板の外周エッジ200の少なくとも一部分に接触するように配置及び構成することができる。
【0033】
保持アセンブリ400は、i)いずれかの側方エッジ200又は接合構造300の横方向エリア全体に配置することのできる保持ユニット、又はii)いずれかの側方エッジ200に沿って及び/又は接合構造300の横方向エリア全体に分配することのできる複数の保持ユニットを含むことができる。保持アセンブリ400は、いずれかの側方エッジ200に沿って又は接合構造300の横方向エリア全体に配置される、10を超える基板保持ユニットを含むことができる。例えば、基板保持アセンブリ400は、16を超える基板保持ユニット、特に24を超える基板保持ユニットを含むことができる。例えば、基板保持アセンブリ400は、フレームの上側に配置された8個の基板保持ユニットと、フレームの下側に配置された8個の基板保持ユニットとを有する。このような設計は、保持アセンブリ400によって支持される基板の屈曲又は膨張を効果的に低減又は防止するために有益でありうる。
【0034】
各々が同じ基板110を露出させる複数の開孔310~313を含む平坦な構造を接合構造300が有する設計が表現しているのは、同一の基板110が、接合構造300の開口の実質的にすべて又は少なくとも大部分がこの基板110の上又は近くにあるような横方向範囲を有するということである。別の基板又は複数の基板は、開孔310~313の影響を受けない。したがって、熱放射を接合構造300に向けることで、基板110を放射に直接曝すことなく、この基板110を加熱することができる。
【0035】
接合構造300が、特に0.8の値を有する所定の限界値を超える開孔比を有する設計は、有利には、低い熱損失、即ち接合構造300による低い熱吸収で、基板110の横方向エリアに沿って均一な熱及び/又は温度の分配を可能にし、同時に接合構造300の高い機械的安定性を可能にする。キャリアの横方向範囲に沿って閉じた密閉表面、即ち開口のない表面を有する種類の従来のキャリアは、裏側からの放射による基板110の効率的な加熱を可能にしないであろう。開口を1つだけ有する、即ち周辺フレームを有する種類の従来のキャリアは、極めて低い機械的安定性を有する。
【0036】
したがって、従来のアプローチと比較して、本キャリア100の設計、及び特に接合構造300の設計は、キャリア100の熱放射に対する透過性を改善することができ、したがって、基板堆積をもたらす粒子の移動方向とは反対の方向又は空間エリアから基板110を加熱することを可能にすると同時に高い機械的安定性を有する。これは、これらのプロセスが互いに干渉することなく、且つこれらのプロセスの相互干渉を防止するための手段を講じる必要なく、基板加熱及び基板堆積を同時に実行することができることを意味する。これは、システムの複雑さを増加させることなく、処理時間を短縮してシステム性能を改善するという利点を有する。
【0037】
ここに記載される実施態様によれば、各開孔310~313は、連続的に周方向に縁取られるか又は境界を有することができる。これは、開孔エリアの重心に位置し、自身の軸の周りで360°回転する観察者が、周囲の閉じたフレーム又は境界を見ることを意味する。
【0038】
1つの開孔又は各開孔は、例えば図2に示されるように、湾曲した又は曲線的な境界314を有するか、例えば図1又は3Aに示すように、多角形の境界314を有することができ、且つ真空処理システムの処理チャンバ内側の空間に基板110、特に基板の裏側も露出させるように構成することができる。基板110を処理チャンバ内側の空間に露出させることにより、基板110を加熱し、基板110の横方向エリアに沿って均一な熱及び/又は温度分配を低熱損失で達成することが可能になる。
【0039】
図2は、図1に示される詳細Aの斜視図を示し、接合構造300と保持バー401との間の移行部が示されている。図2を参照して説明される詳細は、図2の要素に限定されると理解されるべきではない。むしろ、これらの詳細は、他の図面を参照して例示的に説明されるさらなる実施態様と組み合わせることもできる。
【0040】
ここに記載されるような大面積基板を実質的に垂直に保持及び支持するように構成される保持アセンブリ400の詳細は、図1と組み合わせて図2に見ることができる。特に、保持アセンブリ400の基板保持要素は、2つの側方エッジ200に配置され、基板110の外周縁に接触するように構成することができる。2つの側方エッジ200の各々の上の少なくとも1つの基板保持ユニットは、基板110の対応するエッジに接触し、接触位置を規定するように構成されたエッジ接触面を含みうる。また、2つの側方エッジ200の各々の上の1つの基板保持ユニットに、基板110を保持するための保持力を加えるように構成された力要素を設けてもよい。例えば、力要素はばね要素であってもよい。保持ユニットは、追加的に又は代替的に、保持のためのファンデルワールス力を提供することができる。
【0041】
ここに記載される実施態様によれば、保持アセンブリ400は、側方エッジ200の少なくとも一方に配置される、基板110をキャリア100に固定するための少なくとも1つの保持バー401を含むことができる。特に、保持バー401は、側方エッジ200の各々に配置することができる。
【0042】
ここに記載される実施態様によれば、保持アセンブリ400は、保持バー401の少なくとも一方、特に両方の保持バー401に取り付けられた機械的支持アセンブリを含むことができる。保持アセンブリ400は、基板110を保持バー401上に保持するために、少なくとも1つの保持バー401に、特に保持バー401に沿って多数のクランプが取り付けられた状態で、複数のクランプを含むことができる。
【0043】
ここに記載される実施態様によれば、保持アセンブリ400は、基板110を支持するための静電若しくは磁気チャックアセンブリ及び/又は支持面を含むことができる。静電又は磁気チャックアセンブリは、支持面に配置することができ、1つのチャックゾーン又は別々に配置された複数のチャックゾーンを含むことができる。ここに記載される他の実施態様と組み合わせることのできるさらに別の実施態様によれば、例えば、少なくともガラスエリアの一部に静電チャックを設けることができる。さらに別の追加的又は代替的修正例によれば、例えば、少なくともガラスエリアの一部にヤモリチャックを設けることができる。ヤモリチャックは、チャッキング用の乾燥接着剤、例えば合成剛毛(setae)材を含むチャックである。チャッキングは、ファンデルワールス力を用いて行われる。乾燥接着剤、特に合成剛毛材料の接着能力は、ヤモリの足の接着特性に関連しうる。
【0044】
ここに記載される実施態様によれば、チャックアセンブリ及び/又は支持面は、保持バー401の1つ又は各々の一部に配置することができるか、又はその一部とすることができる。静電又は磁気チャックアセンブリは、支持面に配置することができる、及び/又は基板110が支持面に保持又は固定されるように把持力を提供する1つのチャックゾーン又は別々に配置された複数のチャックゾーンを含むことができる。チャックゾーンは、支持面内部に所定のパターンで分配されうる。さらに、チャックゾーンは、独立して制御可能でありうる。例えば、チャックゾーンは、独立して給電及び給電解除することができる、及び/又はチャックゾーンの各々によって生成される把持力は独立して制御可能である。
【0045】
ここに記載される実施態様によれば、保持アセンブリ400は、輸送方向x1にフレーム部分を有さないように、特に輸送方向に基板の寸法にわたって延びるフレーム部分を輸送方向に有さないように設計することができる。ここに記載される他の実施態様と組み合わせることのできるいくつかの実施態様によるフレーム部分は、基板受容エリアの外側にキャリアの一部分を提供する。保持アセンブリ、特に保持バーは、基板を支持するように適合された保持アセンブリの一部分として理解することのできる基板受容エリアを含むことができる。例えば、基板受容エリアの外側のフレーム部分は、処理システム内部でキャリアを支持する及び/又はキャリアを駆動するように構成することができる。例えば、フレーム部分は、基板、即ち薄いガラス板に接触することなく、ロボット又は輸送機構に接触させることができる。
【0046】
図3Aは、接合構造300の一部分を示す。接合構造は、開孔310と、例えば長方形に構成された多角形境界314とを含む。例えば、境界314は、ワイヤによって提供することができる。ワイヤの場合、側部支持体201を設けることができる。側部支持体は、ワイヤ構造より大きな剛性を提供することができる。側部支持体は、典型的な実施態様によれば、基板受容エリアに設けられる。例えば、キャリアによって支持される基板は、側部支持体と重なってもよく、又は例えば輸送方向の基板寸法が輸送方向のキャリア寸法よりも大きい場合に、側部支持体を越えてもよい。
【0047】
ここに記載される他の実施態様と組み合わせることのできる実施態様によれば、特にキャリア及び基板が輸送方向に本質的に同じ長さを有する場合、エッジ排除要素を1つ又は複数の側部支持体201に設けることができる。さらには、追加的又は代替的に、エッジ除外要素は、上側方エッジ及び/又は下側方エッジ、例えば保持バー401に設けることができる。
【0048】
ここに記載される保持バー401、例えば上側及び下側の保持バーは、基板の外エッジ部分のための支持面を提供する。接合構造は基板から離れている。したがって、保持バーは、基板を保持及び/又は支持する。加えて、随意的修正形態によれば、保持バーは、クランプ又はヤモリパッドなどの基板固定要素を含むこともできる。
【0049】
ここに記載される実施態様によれば、キャリア100の2つの側方エッジ200及び/又は保持アセンブリ400の保持バー401は、保持方向x2に互いの反対側に配置されうる。本開示の実施態様によるキャリアは、連続する基板を互いにより近接して輸送することができ、これにより、有利には、基板の輸送密度及び処理密度を増大させて、システム性能を向上させることができるという効果を有しうる。この構成はまた、キャリア100が輸送方向x1に基板110を越えない又は基板100を越えて延びないという効果を有することができ、したがって堆積プロセス中にキャリア100上のコーティングを減少させることができる。
【0050】
以前から知られているキャリアは、基板受容エリアを取り囲むフレームによって提供することができ、基板は、フレームに接続されたクランプにクランプ留めされ、基板は基板受容エリアの上で実質的に支持されていなかった。このようなフレームは、長方形の大面積基板の四辺に設けられた。さらに、以前から知られているキャリアは、例えば、静電チャックとして提供され、固体表面は、固体表面に取り付けられた基板を有するように提供された。長方形の基板受容エリアを取り囲むように設けられた。キャリア外部のヒータは、ガラスが裏側で固体表面に取り付けられているため、裏側から基板を加熱することができなかった。両選択肢は、側部フレーム部分、即ち、垂直に配向された基板についての垂直フレーム部分を欠点として有していた。側部フレーム部分は、処理システムを通して輸送される2つの基板の距離を増加させた。さらに、側部フレーム部分は、キャリア上に望ましくない堆積を受けやすかった。このような望ましくない堆積のために、頻繁なキャリア洗浄を行なわなければならなかった。
【0051】
本開示の実施態様によれば、基板受容エリア上に延びる側部フレーム部分が提供されない又は実質的に提供されないという意味で「フレームレス」であるキャリアが提供される。例えば、順方向におけるキャリアの長さは、ここに定義される基板サイズ世代のうちの1つにおける大面積基板の長さと実質的に同じ長さとすることができる。メッシュ又は格子構造を有する接合構造は、2つの保持バー、例えば上側保持バーと下側保持バーの間に設けることができる。保持バーは、キャリアを輸送する役割を果たすことができる。接合構造は、複数の開口、例えば10以上の開口を有する構造である。接合構造は、例えば、特にフレームキャリアの側部フレーム部分がない場合に、キャリアに機械的強度を提供する。接合構造は、キャリア内の基板受容エリアの平面から離れて設けられる。したがって、裏面加熱(キャリアの外部)のシェーディング効果を低減して、均一な裏面加熱を可能にすることができる。したがって、既知のフレームキャリア(上述)及び既知のEチャックキャリアの進歩は、ここに記載される実施態様によるフレームレスキャリアによって組み合わせることができる。
【0052】
図3A~3Bは、接合構造の正面図を示す。図3Aに示される接合構造300の開孔310は、長方形に構成された多角形境界314を有する。図3Bに示される接合構造300の開孔312、313は、円形の又は曲線的な境界314を有する。図3A-3Bを参照して説明される詳細は、図3A-3Bの要素に限定されると理解されるべきではない。むしろ、これらの詳細は、他の図面を参照して例示的に説明されるさらなる実施態様と組み合わせることもできる。
【0053】
ここに記載される実施態様によれば、開孔310、311の境界314は、少なくとも3つの角を有する多角形として、特に図1に示されるような3つの角を有する多角形として、又は図3Aに示されるような4つの角を有する多角形として、形成することができる。多角形、特に四角形の場合、対向する辺は、実質的に同じ長さとすることができ、最終的には、多角形のすべての辺は同じ長さを有することができる。例えば、開孔に対して3つから6つの角が設けられてよい。開孔の境界は、少なくとも3つの角を有する多角形として、特に3つから6つの角を有する多角形として形成することができ、ここで、特に多角形の辺の長さは、互いに同じ又はほぼ同じである。
【0054】
ここに記載される実施態様によれば、接合構造300は、格子構造又はメッシュ形状の設計を有することができる。特に、格子は、剛性でありうる材料の幅広の交差した薄いストリップで作製されるフラットパネルとして理解され、一方、例えばメッシュは、可撓性又は延性でありうる材料の接続ストリップで作製される構造として理解される。格子は、例えばプレートからフライス加工されたグレーチングとすることができ、一方メッシュは、例えば編まれた又は織られたワイヤで作製することができ、特にステッチ又はループを有することができる。同様に、接合構造300は、場合によってはグリッド構造を有してもよい。
【0055】
ここに記載される実施態様によれば、接合構造300は、図3A図3Bに示されるように、少なくともいくつかの領域において開孔310~313の均一な及び/又は周期的なシーケンスによって形成されうる。有利には、このような規則的な構造は、基板110の均一な加熱を可能にする。
【0056】
ここに記載される実施態様によれば、キャリア100は、少なくとも2つの接合構造、特に3つ又は4つの接合構造、又は4つを超える複数の接合構造を含むことができる。少なくとも2つの接合構造は、横に並べて配置することができる。追加的に又は代替的に、2つ以上の接合構造を上下に、即ち保持方向に互いに隣接させて設けることができる。キャリアの1つ又は複数の側面(輸送方向に)又は上側及び/又は下側に、異なる又は別個の接合構造を有することにより、基板加熱の均一性に影響を及ぼすことができる。したがって、基板のより良好な温度均一性のために、2つ以上の接合構造が提供されてもよい。
【0057】
ここに記載される実施態様によれば、接合構造は、横に並べて配置することができる。例えば、接合構造は、互いに対して間隔を置いて又は直接隣接して配置することができる。追加的に又は代替的に、接合構造は、少なくとも2つの層303、304を含む層状構造に配置することができる(例えば、図4Bを参照されたい)。2つ以上の層は、互いに上下に、特に実質的に平行に設けることができる。第1の層及び第2の層はまた、互いに隣接させることができ、即ち、図4Aに示される図において互いに隣接させることができる。第1の層及び第2の層は、例えば少なくとも5mm及び/又は40mm未満の距離で離間させることができる。横に並べて及び上下に配置された層の組み合わせも提供することができる。
【0058】
いくつかの実施態様によれば、第1の接合構造は、第1の多角形パターン、例えば、第1の長方形グループを有することができる。第2の接合構造は、第2の多角形パターン、例えば、第2の長方形グループを有することができる。第1の多角形パターンは、第2の多角形パターンと比較して角度移動、回転又は反転された配向を有することができる。第1の接合構造の長方形は、別の接合構造の長方形と比較して回転している。角度は、少なくとも10°、少なくとも30°及び/又は60°未満でありうる。例えば、角度は約45°とすることができる。
【0059】
例えば、キャリアは、互いに隣接して同一平面上に横に並んで配置された2つ以上の接合構造を有することができ、外側横方向の接合構造は、垂直配向を有する格子を有し、中間の格子は、外側の横方向の格子に対して約45°の角度だけ傾斜している。このように組み合わされた構造は、基板が加熱されるときに、改善された温度均一性を提供することができる。
【0060】
垂直配向を有する格子は、両側の2つのエッジが実質的に垂直配向に位置している開孔を有する格子と理解され、傾斜した格子は、ゼロに等しくない角度の周りで垂直格子を傾斜又は回転させることによって得られると理解される。
【0061】
キャリアは、内側層内の接合構造を左側に有し、外側層内の接合構造を中間に有し、内側層及び外側層内に前後に配置された2つの接合構造を右側に有する接合構造の横方向構成を含むことができる。
【0062】
異なる格子配向で相互に離間した平面内に横方向に間隔を空けて配置された接合構造の構成により、基板110上の加熱放射の分配を柔軟に適合させることができる。追加的に又は代替的に、キャリア100の機械的安定性を、それぞれの用途の技術的要件に適合させることができる。調整又は最適化プロセスは、メッシュ密度、開口のサイズ、格子の配向、接合構造間の距離、又は格子の熱伝導率又は導電率などの材料パラメータといったパラメータを変化させることによって、コンピュータ支援シミュレーションを使用して実行することができる。
【0063】
そのような調整又は最適化プロセスは、i)キャリア100のシャドーイング効果、及びii)基板温度の均一性を、例えば、ミーン又は平均基板温度の10%未満(約80℃~120℃でありうる)まで著しく低下させうる。
【0064】
ここに記載される実施態様によれば、接合構造300又は各接合構造は、i)フライス加工プロセスによって、即ちフライス加工された構造として、又はii)屈曲させたワイヤ構造として形成することができる。フライス加工構造が図1、3aに示されており、屈曲させたワイヤ構造が図3A、4Aに示されている。フライス加工構造とワイヤ構造との組み合わせも有益である。フライス加工プロセスの代わりに、接合構造300のグリッド又は格子を薄板へと切断又は成形することもできる。
【0065】
ここに記載される実施態様によれば、接合構造300は、金属を含むことができるか、又は本質的に金属からなってよい。例えば、屈曲させたワイヤ構造は、アルミニウムを含むことができるか、又は本質的にアルミニウムからなってよい。例えば、フライス加工構造は鋼を含むことができる。これにより、真空中での脱離が低減する、及び/又は重量が減少する、及び/又は機械的安定性が良好になる。
【0066】
屈曲ワイヤ構造は、少なくとも2mm及び/又は5mm未満、特に約3mmの直径を有するワイヤから作製することができる。このような設計は、良好な機械的安定性と基板110上の加熱放射の均一な分配との間に妥当な均衡を提供する。上述のような設計パラメータに基づいて、接合構造300は、基板110の良好な熱透過性及び均一な熱照射を有する。
【0067】
図4Aは、キャリア100の概略正面図を示し、図4B~4Cは、図4Aに示される線BBに沿った断面図を示す。図4A-4cを参照して説明される詳細は、図4A-4cの要素に限定されると理解されるべきではない。むしろ、これらの詳細は、他の図面を参照して例示的に説明されるさらなる実施態様と組み合わせることもできる。
【0068】
ここに記載される実施態様によれば、上下に配置される接合構造は、接続アセンブリ305によって相互接続することができる。前記接続アセンブリ305は、ジグザグ形状又は曲線形状、特にワイヤ形状又はストリップ形状の接続要素を含むことができ、この接続要素は、特に、金属、特にアルミニウム又は鋼などの、真空中で脱離の少ない材料で作製することができる。
【0069】
図4Aは、前後に且つ互いから間隔を空けて配置された2つの接合構造を示す。図4Aと、図4Aの線BBに沿った断面図を示す図4B~4cとの組み合わせから、前後に配置された2つの接合構造を接続するジグザグ形状及びストリップ形状の接続要素305を見ることができる。
【0070】
このような接続アセンブリ305は、離間した平面内に配置された接合構造間の機械的に安定で且つ随意で弾性的な接続を可能にし、複合構成のための熱放射に良好な透過性と良好な機械的安定性の対を可能にし、それにより基板110の均一な照射を可能にする。
【0071】
ここに記載される実施態様によれば、保持アセンブリ400は、側方エッジ200の間に配置された本体を含むことができ、本体は支持面を含むことができる。図4Cに示されるように、前記本体は、2つ以上の脚部として実装される基板110のための補足支持構造403として設計されてもよい。本開示の実施態様によれば、基板は、エッジエリアにおいて、例えばエッジエリアにおいてのみ、キャリアに固定することができる。例えば、エッジエリアは、保持バー401(図1参照、例えば頂部保持バー)によって提供されうる。随意で、脚部403などの補足支持体を設けることができる。加えて、ここに記載される任意の種類のチャッキング要素を、脚部403に加えて又はその代わりに使用することができる。
【0072】
脚部403は、基板110に向かって開く水平なV字として設計されてもよく、Vの先端は、最も近位の接合構造302に対して固定され、V字の脚部の前面は、基板110に接触し、基板110に、例えば静電的又は動電的にクランプ力を作用させる。
【0073】
補足支持体構造403は、基板110に向かって開く水平な円錐として設計することもでき、円錐の先端は、最も近位の接合構造302に対して固定され、円錐開孔のリング状の前面は、基板110に接触し、脚部と同様に、基板110にクランプ力を作用させる。円錐は、放熱に対する透過性を改善するために、メッシュ形状の構造を有していてもよい。
【0074】
このような補足支持構造403は、接合構造302に対して基板110を安定に支持することができ、その際の基板110に向けられた加熱放射のシェーディング効果は極わずかである。
【0075】
ここに記載される実施態様によれば、接合構造300は、基板110から一定の距離に、特に少なくとも10mm及び/又は60mm未満の距離に、特に約10、20、30又は40mmの距離に配置される。1、2、3、又は4mmのワイヤ直径と組み合わせて、前記距離レンジ又は前記距離において、接合構造300における熱放射回折効果、即ち、格子(グレーチング)によって生成される半影成分の重なりは、基板110上の強度及び/又は温度の変動がわずかになるような基板110のほぼ均一な熱放射が生成されるように設計することができる。
【0076】
図5は、例えば図示のようなキャリアを用いて堆積チャンバ内で堆積プロセス中に、基板110を輸送方向x1に搬送するための方法500のフロー図を示す。この方法は、ボックス510において、互いの反対側の2つの側方エッジ200と、側方エッジ200の間に配置され、各々が同じ基板を露出させる複数の開孔及び少なくとも0.5、例えば、少なくとも0.7又は少なくとも0.8の開孔比を有する平坦な構造を有する接合構造300と、接合構造400に隣接して基板110を保持するように構成された保持アセンブリ400とを含むキャリア100を提供することを含みうる。この方法は、ボックス520において、基板110を側方エッジ200の少なくとも一方に対して支持することをさらに含みうる。
【0077】
この方法は、さらに、ボックス520において、側方エッジの間に又は側方エッジの少なくとも一方に対して、保持アセンブリの支持面に基板110を静電的又は磁気的にチャッキングすること、又は側方エッジの少なくとも一方に基板を機械的に取り付けることを含みうる。
【0078】
キャリア100を用いて基板110を搬送することは、キャリア100を保持方向x2に保持すること、及び/又はキャリア100を輸送方向x1に移動させることを含みうる。
【0079】
キャリア100は、キャリア100上で保持方向x2に磁力を作用させることによって保持されてもよく、キャリア100を移動させることは、キャリア100上で輸送方向x1に磁力を作用させることによって実現されてもよい。保持方向x2及び輸送方向x1の両方の力は、磁気浮上システムによって作用させてもよい。
【0080】
ここに記載される他の実施態様と組み合わせることのできる本開示の実施態様によれば、フレームレスキャリアは、ローラベースの輸送システム又はベルト駆動式輸送システムなどの機械的輸送システムを用いて真空処理システム内で輸送することができる。追加的に又は代替的に、磁気浮上システムのような非接触輸送システムをフレームレスキャリアの輸送のために設けることができる。フレームレスキャリアの上側方エッジ(又は上側バー)及び/又は下側方エッジ(又は下側バー)は、キャリア輸送システムへのインターフェースとして設けることができる。
【0081】
堆積プロセスは、堆積プロセス中に基板110を加熱することによって容易にすることができる。基板110を加熱するプロセスは、材料が堆積される基板表面とは反対側の基板表面を加熱することによって実行されてもよい。
【0082】
本記載では、ベストモードを含めて本開示を開示するために、また当業者が、任意の装置又はシステムを作製及び使用すること、及び組み込まれる任意の方法を実施することを含めて記載される主題を実施することができるように、実施例を使用している。ここに記載される実施態様は、システムの複雑性とシステム性能及び基板品質との間の良好な兼ね合いを有する真空処理システムにおいて基板を保持し且つ輸送方向に輸送するための、改良された方法及びキャリアを提供する。ここまで様々な具体的実施態様を開示したが、上記の実施態様の相互に非排他的な特徴は互いに組み合わせることができる。特許性のある範囲は特許請求の範囲によって規定され、他の実施例は、特許請求の範囲の文言と相違しない構造要素を有する場合、又は特許請求の範囲の文言と実質的な相違を有さない等価な構造要素を含む場合には、特許請求の範囲内にあることが企図される。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5