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特許7476195薬物送達デバイス向けのアセンブリ、薬物送達デバイス、および薬物送達デバイスを作製する方法
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  • 特許-薬物送達デバイス向けのアセンブリ、薬物送達デバイス、および薬物送達デバイスを作製する方法 図1
  • 特許-薬物送達デバイス向けのアセンブリ、薬物送達デバイス、および薬物送達デバイスを作製する方法 図2
  • 特許-薬物送達デバイス向けのアセンブリ、薬物送達デバイス、および薬物送達デバイスを作製する方法 図3a
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  • 特許-薬物送達デバイス向けのアセンブリ、薬物送達デバイス、および薬物送達デバイスを作製する方法 図5a
  • 特許-薬物送達デバイス向けのアセンブリ、薬物送達デバイス、および薬物送達デバイスを作製する方法 図5b
  • 特許-薬物送達デバイス向けのアセンブリ、薬物送達デバイス、および薬物送達デバイスを作製する方法 図6
  • 特許-薬物送達デバイス向けのアセンブリ、薬物送達デバイス、および薬物送達デバイスを作製する方法 図7
  • 特許-薬物送達デバイス向けのアセンブリ、薬物送達デバイス、および薬物送達デバイスを作製する方法 図8A
  • 特許-薬物送達デバイス向けのアセンブリ、薬物送達デバイス、および薬物送達デバイスを作製する方法 図8B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】薬物送達デバイス向けのアセンブリ、薬物送達デバイス、および薬物送達デバイスを作製する方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/315 20060101AFI20240422BHJP
   A61M 5/20 20060101ALI20240422BHJP
   A61M 5/24 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
A61M5/315 550R
A61M5/20
A61M5/24
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021531700
(86)(22)【出願日】2019-12-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-26
(86)【国際出願番号】 EP2019083217
(87)【国際公開番号】W WO2020114929
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2022-10-14
(31)【優先権主張番号】18306607.5
(32)【優先日】2018-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
【氏名又は名称原語表記】SANOFI
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・ブランケ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・ユーグル
【審査官】川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-506465(JP,A)
【文献】特表2016-530012(JP,A)
【文献】特表2016-530057(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/315
A61M 5/20
A61M 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達デバイス向けのアセンブリであって、
近位端および遠位端を有するハウジング(10)と、
薬物の用量を設定するように用量設定動作で初期位置から用量設定位置へハウジング(10)に対して可動の用量設定部材(60、150)を含む用量設定および駆動機構であって、用量設定動作後、該用量設定および駆動機構の用量送達動作でハウジング(10)に対して遠位方向に変位可能なピストンロッド(30)をさらに含み、用量送達動作中、該ピストンロッドが、設定用量によって判定される変位距離だけ、ハウジング(10)に対して変位される、用量設定および駆動機構と、
案内トラック(42、170)と、
該案内トラック(42、170)と協働するように構成された追跡部材(50、160)と、
該追跡部材(50、160)を用量設定および駆動機構に動作可能に連結するように構成された連結機構とを含み、ここで、
該連結機構は、2つの異なる状態、連結状態および非連結状態を有し、
該連結機構は、非連結状態では互いに係合しないが連結状態では互いに係合する、少なくとも1つの第1の連結機能(62、152)および少なくとも1つの第2の連結機能(50、174)を使用して確立され、
連結状態で、連結インターフェース(52、61;153、173)が確立され、追跡部材(50、160)は、用量設定動作において、案内トラック(42、170)に沿った追跡部材(50、160)と該追跡部材(50、160)の終了位置との間の距離が、用量設定動作で設定された用量によって判定される量だけ低減されるように、連結インターフェースを介して用量設定および駆動機構に動作可能に連結され、
非連結状態で、連結インターフェースは確立されず、連結機構は、非連結状態から連結状態へ切換え可能になるように構成され、該アセンブリは、非連結状態から連結状態へ切り換わることを有効にするために、用量設定および駆動機構の少なくとも1つの用量送達動作を開始しなければならないように構成され、
該連結インターフェイスは、アセンブリの2つの構成要素間で回転不能および/または軸方向にロックされたインターフェイスであり、
非連結状態で、初期位置から用量設定位置への用量設定部材(60、150)の動きが
、案内トラック(42、170)に沿って見た終了位置から追跡部材(50、160)までの距離を変化させないように構成される、前記アセンブリ。
【請求項2】
連結状態へ切り換わった後、連結機構が連結状態に拘束されるように構成された、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
連結状態で、追跡部材(50、160)が連結インターフェース(52、61;153,173)を介して用量設定部材(60、150)に動作可能に連結され、したがって初期位置から用量設定位置への用量設定部材(60、150)の動きの結果、終了位置の方への追跡部材(50、160)と案内トラック(42、170)との間の相対変位が生じるように構成された、請求項1または2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
連結機構は、最初の用量送達動作の終了時に非連結状態から連結状態へ切り換わるように構成される、請求項1~のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項5】
用量設定部材(60、150)は、用量設定動作のために、単位投与量増分だけ、ハウジング(10)に対して増分的に回転可能であり、したがって各設定可能用量は、単位投与量増分の整数倍であり、連結機構は、非連結状態から連結状態への切換えが、用量設定部材(60、150)とハウジング(10)との間の異なる相対角度連結位置で可能になるように構成され、2つの隣接する角度連結位置は、単位投与量増分によって画成された角度だけ分離される、請求項1~のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項6】
作動部材(70)を含み、用量送達動作を開始するために該作動部材を操作しなければならず、該作動部材は、アセンブリが用量設定動作モードになる第1の位置から、アセンブリが用量送達動作モードになる第2の位置へ可動である、請求項1~のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項7】
第2の位置は、案内トラック(42、170)に沿って追跡部材(50、160)の終了位置に向かう方向に、第1の位置から軸方向にずらされる、請求項に記載のアセンブリ。
【請求項8】
非連結状態で、第1の位置から第2の位置への作動部材の動きは、連結機構を非連結状態から連結状態へ切り換えるように、追跡部材(50)へ伝達可能である、請求項またはに記載のアセンブリ。
【請求項9】
案内トラック(42)は、螺旋ねじ山を含み、追跡部材(50)は、連結状態で該螺旋ねじ山(44)に係合され、非連結状態で該螺旋ねじ山から係合解除される、請求項1~のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項10】
非連結状態で、追跡部材が螺旋ねじ山につながる案内トラック(42)の軸方向に延びるセクション(45)に係合されるように構成された、請求項に記載のアセンブリ。
【請求項11】
用量設定動作が行われるとき、非連結状態で、用量設定部材(150)が、追跡部材および案内トラック(170)に対して回転可能であり、連結状態で、用量設定部材(150)が、追跡部材または案内トラック(170)を有する案内部材(40)のいずれかに回転不能にロックされるように構成された、請求項1~10のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項12】
非連結状態で、追跡部材(50)、案内トラック(42)を有する案内部材(40)は、互いに回転不能にロックされ、連結状態で、用量設定動作で用量を設定するために用量
設定部材(60、150)が回転されたとき、追跡部材および案内部材のうちの一方は、追跡部材および案内部材のうちの他方に対して回転するように構成された、請求項1~10のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項13】
請求項1~1のいずれか1項に記載のアセンブリを含む薬物送達デバイスであって、連結機構は連結状態にあり、薬物送達デバイスは、カートリッジユニット(20、100)をさらに含み、該カートリッジユニットは、カートリッジ(100)を含み、該カートリッジ(100)は、薬物と、該カートリッジ(100)のカートリッジ本体内に可動に保持された栓とを含み、ピストンロッドと栓との間の初期距離または間隙は、用量設定動作でアセンブリの用量設定および駆動機構によって設定可能な最小の用量によって判定され、またはそのような最小の用量に対応する変位距離以上である、前記薬物送達デバイス。
【請求項14】
薬物送達デバイスを作製する方法であって:
a)カートリッジユニット(20、100)を提供する工程であって、該カートリッジユニットが、薬物を収容するカートリッジ(100)を含み、該カートリッジのカートリッジ本体内に栓が可動に保持される、工程と、
b)ハウジングユニットを提供する工程であって、該ハウジングユニットが、
遠位端および近位端を有するハウジング(10)、
薬物の用量を設定するように用量設定動作のために初期位置から用量設定位置へハウジング(10)に対して可動の用量設定部材(60、150)を含む用量設定および駆動機構であって、用量設定動作後、該用量設定および駆動機構の用量送達動作でハウジング(10)に対して遠位方向に変位可能なピストンロッド(30)をさらに含み、送達動作中、該ピストンロッド(30)が、設定用量によって判定される変位距離だけ、ハウジング(10)に対して変位される、用量設定および駆動機構、
案内トラック(42、170)、
該案内トラック(42、170)と協働するように構成された追跡部材(50、160)であって、案内トラック(42、170)に対する終了位置を有し、該終了位置からの距離がカートリッジ内に残っている薬物の量を示す、追跡部材を含む、工程と、
c)カートリッジ本体に対する栓の栓位置を判定する工程と、
d)ハウジングユニットおよびカートリッジユニットが連結されている場合、ピストンロッドおよび栓が互いに対して所定の距離をあけて配置されるように、判定された栓位置に基づいて、ハウジング(10)に対するピストンロッド(30)の所望のピストンロッド位置を判定し、所望のピストンロッド位置にくるようにピストンロッドをハウジング(10)に対して遠位方向に変位させなければならない特定の変位距離を判定する工程と、
e)ピストンロッドをハウジング(10)に対して特定の変位距離だけ変位させるために必要とされる用量を設定するように、用量設定部材(60、150)をハウジング(10)に対して用量設定位置まで動かす工程と、
f)ピストンロッド(30)を特定の変位距離だけ変位させて、該ピストンロッドをハウジング(10)に対して所望のピストンロッド位置へ動かすように、用量送達動作を実行する工程と、
g)工程f)中または工程f)後、用量設定および駆動機構を使用して次の用量設定および/または送達動作が実行されたとき、追跡部材が案内トラック(42、170)に沿って終了位置のより近くに配置されるように、追跡部材(50、160)を用量設定および駆動機構に動作可能に連結する工程と、
h)工程g)前もしくは工程g)後、および/または工程f)前もしくは工程f)後、薬物送達デバイスのためにカートリッジユニットおよびハウジングユニットを互いに連結する工程とを含む前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薬物送達デバイス向けのアセンブリ、アセンブリを含む薬物送達デバイス、ならびに複数の薬物送達デバイスを有するセットに関する。本開示はさらに、薬物送達デバイスを製造または作製する方法に関する。薬物送達デバイスは、可変用量デバイスとすることができ、デバイスによって投薬されるべき薬物の用量のサイズは、使用者が設定および/または変更することができる。デバイスは、注射デバイス、たとえばペン型注射器などの針ベースの注射器および/またはペン型デバイスとすることができる。
【背景技術】
【0002】
薬物送達デバイスにおいて、特に医学的な訓練を受けていない患者によって操作される薬物送達デバイスの場合、薬物をリザーバまたはカートリッジから投薬するためにデバイスが使用されている間、薬物送達デバイスによって送達される用量のサイズが、使用者によって設定されたサイズに可能な限り一貫して対応することが最も重要である。多くの場合、薬物送達デバイスは、デバイスの駆動機構によって動かされるピストンロッドを使用し、ピストンロッドは、カートリッジから薬物を投薬するために、薬物を保持するカートリッジのカートリッジ本体内で、栓をカートリッジ本体に対して遠位に駆動するように配置される。薬物送達デバイスの製造中、互いに対向するピストンロッドの遠位端と栓の近位端との間の距離は、デバイスの最初の組立て後に大幅に変動することがある。製造の観点からは、薬物送達デバイスの駆動機構のハウジングに対してピストンロッドをかなり正確に位置決めすることが可能である。しかし通常、たとえば栓に対して一般に使用される変形可能な材料のため、公称では同じ液体充填レベルを有する複数のカートリッジにおいて、カートリッジ本体に対する栓の位置が精密に設定されることを確実にすることは困難である。したがって、カートリッジ本体に対する栓の初期位置は変動することがある。カートリッジ本体の寸法の変動にも類似の影響があるが、栓の影響はより顕著となり得る。上記の変動は、デバイスが組み立てられた後、様々なデバイスにおいて、ピストンロッドの遠位端と栓の近位端との間の距離の変動を増大させる。したがって、デバイスの組立てプロセス中に実現されるべきピストンロッドと栓との間の初期標的距離は、デバイスの組立て中にピストンロッドが栓に圧力をすでにかけることを回避するために、カートリッジ本体に対する広い範囲の可能な栓位置を考慮して、十分な大きさとなるように選択されなければならない。デバイスの組立て中にピストンロッドが栓に圧力をかけることは、たとえば栓に機械的な予圧をかけることから望ましくない。したがって、多くの場合、栓位置の揺らぎのため、比較的大きい初期標的距離が選択されることが必要である。
【0003】
様々なデバイスに対する栓とピストンロッドとの間の画成された初期位置は、駆動機構とカートリッジまたはカートリッジユニットとの間の可変の連結を可能にする方策によって実現することができ、すなわちそれぞれのユニット、カートリッジユニットおよび駆動機構ユニット上に画成された位置を有する固定要素に依拠しない。可変の連結を可能にする連結方法としては、たとえば接着連結または溶接連結が挙げられる。しかし、強固な固定機能または確保機能によって確立された連結、たとえばフォームフィット連結など、より確実な連結が使用されるべきである場合、デバイスの組立て後の栓とピストンロッドとの間の相対位置は、カートリッジユニットの変動のために依然として、場合により大幅に変動する。
【0004】
最初の用量が患者に投与される前に、ピストンロッドと栓との間の画成された位置を実現するために、場合によりいわゆるプライミング工程が使用され、使用者は、薬物の最初の(自己)投与が行われる前に、用量設定および送達工程を実行しなければならない。そのような手順は、「エアショット」と呼ばれることが多い。しかし、使用者がそうするように指示された場合でも、実際にその工程を実行したかどうかが確かではないため、この手順は依然として満足のいくものではない。
【0005】
さらに、カートリッジ内の薬物の内容物または薬物の濃度が増大された場合、ピストンロッドと栓との間の初期距離が大きくなり、したがって薬物送達デバイスによって投薬される正規の用量より大きくなり、たとえば設定可能な最小用量もしくはそれ以上の用量より大きくなり、またはさらには薬物送達デバイスによって1回の投薬動作で投薬することができる設定可能な最大用量より大きくなることも起こり得る。したがって、カートリッジ本体に対して栓を変位させることによって薬物を投薬できるようになる前に、閉じなければならないピストンロッドと栓との間の初期間隙によって、投薬されるように設定された最初の用量が完全に吸収されることがある。当然ながら、これは非常に問題である。さらに、プライミング用量が投薬された場合でも、最初の用量が投薬された後に実質的な間隙が依然として存在し得ることから、第2の用量が依然として正確に投薬されないことがある。
【0006】
理論的には、ピストンロッドの位置は、栓に対する画成された初期位置を有するように、薬物送達デバイスの組立て中に調整することができる。しかし、関連する方策は非常に複雑であり、当然ながらデバイスの全体的なコストを増大させる。
【0007】
画成された初期位置を実現するための別の選択肢は、デバイスが組み立てられた後、ピストンロッドが所望の位置に到達するまでに、好都合にはデバイスが使用者に提供されてもいないうちに、用量を設定し、設定用量を投薬することによって、駆動機構を起動することである。しかし、薬物送達デバイス、特に可変の用量、たとえば使用者が設定可能な用量を投薬するように構成された薬物送達デバイスは、カートリッジの内容物(の終了)またはカートリッジから投薬することができる最大量を追跡する機構を含むことが多い。この機構は、最終用量が投薬されたときにカートリッジ内にいくらかの薬物が依然として残ることが確実になるように寸法設定され、すなわちカートリッジは過充填される。これは、当然ながら、不十分な投与のリスクを回避する働きをする。カートリッジの内容物(の終了)を追跡するための追跡機構は、通常、用量が設定されているが設定用量が送達されるとき案内トラックに対して動かされていないとき、案内トラックに対して終了位置の方へ動かされる追跡部材を有する。追跡部材が終了位置に到達したとき、カートリッジは空であると見なされる。終了位置では、追跡部材によって、設定用量を(さらに)増大させることを防止することができる。
【0008】
通常、薬物送達デバイスは、単位増分の整数倍の量の用量を投薬する。前述したようにピストンロッドと栓との間の初期間隙をなくすために実行することができる用量の最初の設定および投薬中にも追跡部材が動くため、この結果、公称では同一の構造の様々なデバイスを組み立てるとき、カートリッジは、少なくともピストンロッドと栓との間の最大の初期距離に対応する量まで、薬物によって過充填されなければならない。したがって、この過充填された薬物は、通常は投薬されないため、失われる。上記で説明したように、過充填されなければならない薬物の量は、デバイスによって設定することができる最大用量よりはるかに大きいことがある。
【0009】
以下の開示に伴ういくつかの問題について上記で論じたが、上記で開示した構成のいずれかが実際には従来技術であると認めたものではない。逆に、上記は本開示の文脈の説明であると見なされるべきであり、本開示が解決する1つまたはそれ以上の問題を示すことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本開示の目的は、改善された薬物送達デバイスの提供を容易にすることである。この目的は、独立請求項に画成される主題によって実現される。さらに有利な実施形態および改良形態は、残りの開示および従属請求項の主題である。さらに、本開示は、追加の問題に対する追加の解決策を含むことができ、そのような解決策は、特許請求の範囲の主題に一致する必要はなく、逆に独立して請求される可能性もある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の一態様は、薬物送達デバイス向けのアセンブリに関する。本開示の別の態様は、薬物送達デバイスに関し、薬物送達デバイスは、好ましくはアセンブリを含む。本開示のさらに別の態様は、薬物送達デバイスのセットに関する。本開示のさらに別の態様は、薬物送達デバイスを作製または製造する方法に関する。態様の1つに関連して開示する構成は、他の態様にも当てはまる。たとえば、アセンブリに対して開示する構成は、薬物送達デバイスおよび方法にも当てはまり、逆も同様である。同様に、この方法で製造される薬物送達デバイスは、アセンブリを含む薬物送達デバイスとすることができる。また、以下の様々な実施形態で論じる構成は、特に互いを相互に除外しない限り、互いに組み合わせることができる。
【0012】
一実施形態において、アセンブリはハウジングを含む。ハウジングは、遠位端および近位端を有することができる。近位端および遠位端は、ハウジングの両端とすることができる。遠位端は、ハウジングのうち、薬物送達デバイスの投薬端の最も近くに位置しているまたは配置されるべき端部とすることができ、近位端は、ハウジングのうち、投薬端から離れて最も遠くに位置しているまたは配置されるべき端部とすることができる。本明細書では、「遠位」とは、薬物送達デバイスの投薬端の方へ向けられているまたは面する方向、端部、または表面を指定するために使用される。他方では、「近位」は、薬物送達デバイスの投薬端から離れる方へ向けられているまたは面する方向、端部、または表面を指定する端部を指定するために使用される。
【0013】
一実施形態において、アセンブリは、用量設定および駆動機構を含む。用量設定および駆動機構は、好都合には、機構の用量設定動作で用量を設定するように、かつ/または用量投薬もしくは送達動作で設定用量を投薬するように構成される。用量設定および駆動機構は、用量設定動作モードおよび用量投薬動作モードを有することができる。
【0014】
用量設定および駆動機構は、用量設定部材を含むことができる。用量設定部材は、用量設定動作のためにハウジングに対して可動、たとえば回転可能とすることができる。用量設定動作中、用量設定部材は、ハウジングに対して軸方向に固定することができ、またはハウジングに対して軸方向に変位させることができ、たとえば遠位端から離れる方および/もしくは近位端から離れる方へ変位させることができ、軸方向変位の距離は、設定用量のサイズに比例することができる。用量設定部材は、機構の用量送達動作で送達されるべき薬物の用量、たとえば特有のサイズの用量を設定するために、ハウジングに対して初期位置から用量設定位置へ可動とすることができ、そのサイズは、使用者によって、好都合には特定の限度内で、たとえば設定可能な最小用量と設定可能な最大用量との間で選択することができる。設定可能な最大用量は、たとえばアセンブリを有するデバイスから設定可能な最大用量を複数回送達することができるように、カートリッジまたは別のリザーバの内容物全体の一部のみとすることができる。言い換えれば、デバイス内の薬物の量は、複数の用量にとって十分なものとすることができる。初期位置から用量設定位置への用量設定部材の軸方向および/または角度方向の移動距離は、設定用量のサイズによって特有である。用量設定部材は、用量を設定するためにハウジングに対して回転のみが可能とすることができ、または回転可能かつ軸方向に変位可能とすることができる。
【0015】
用量設定および駆動機構は、用量送達動作において、たとえば事前に設定されていた用量を送達するために、ハウジングに対して遠位方向に変位距離だけ変位可能なピストンロッドをさらに含むことができる。ピストンロッドがハウジングに対して変位される変位距離は、設定用量によって、特にそのサイズによって判定することができる。すなわち、異なる設定用量の結果、ハウジングに対するピストンロッドの異なる軸方向変位または遠位変位が生じる。ピストンロッドは、送達動作中、回転しかつ軸方向に動くことができ、または軸方向にのみ動くことができる。ピストンロッドは、ねじ山を有することができる。ピストンロッドは、ハウジングにねじ連結することができる。したがって、このねじ連結によって、ハウジングに対するピストンロッドの回転の結果、ハウジングに対するピストンロッドの軸方向変位をもたらすことができる。
【0016】
用量設定および駆動機構は、ピストンロッドに対して駆動力を提供するためのエネルギー貯蔵部材、たとえばばねを含むことができ、または送達動作中にピストンロッドを駆動するために必要な力を使用者が提供する手動駆動式の機構とすることができる。エネルギー貯蔵部材が使用されるとき、使用者は、用量設定動作において、次の用量送達動作のためのエネルギーをエネルギー貯蔵部材内に貯蔵することができる。別法として、用量設定および駆動機構は、使用者駆動式とすることができ、すなわち使用者は、用量送達動作に必要とされる力(全部)をかけなければならない。
【0017】
一実施形態において、薬物送達デバイスは、アセンブリおよびカートリッジユニットを含む。カートリッジユニットは、ハウジングに、好ましくは恒久的または解放可能に連結することができる。ハウジングは、ハウジングユニットの一部とすることができ、ハウジングユニットは、ハウジング以外に用量設定および駆動機構を含む。ハウジングは、用量設定および駆動機構または少なくともその要素をハウジング内に保持することができる。カートリッジユニットは、カートリッジホルダおよび/またはカートリッジを含むことができ、カートリッジは、カートリッジホルダ内に、たとえば恒久的もしくは解放可能に保持することができ、かつ/またはカートリッジホルダは、カートリッジを受けるように構成される。カートリッジは、薬物を収容することができる。カートリッジのカートリッジ本体内に、栓を可動に保持することができる。薬物は、好ましくは、液体の薬物または薬物調合物である。カートリッジユニットは、ハウジングに恒久的または解放可能に連結することができる。恒久的な連結は、使い捨ての薬物送達デバイスにとって特に有利であり、解放可能な連結は、再利用可能な薬物送達デバイスにとって有利であり、用量設定および駆動機構は、いくつかのカートリッジまたはカートリッジユニットに対して使用することができる。
【0018】
一実施形態において、アセンブリは案内トラックを含む。アセンブリは、案内トラックを有する案内部材を含むことができる。案内部材は、ハウジングに対して可動とすることができる。案内部材は、用量設定および駆動機構の一部とすることができる。別法として、案内トラックは、ハウジング上に設けることができ、またはハウジングに軸方向および/もしくは回転不能に固定された構成要素上に設けることができる。案内トラックは、螺旋トラックもしくはねじ山とすることができ、または少なくとも螺旋ねじ山もしくはトラックを有するセクションを含むことができる。螺旋ねじ山またはトラックは、複数の巻きを有することができる。ねじ山は、自己ロック式とすることができる。自己ロック式のねじ山では、軸方向負荷のみを受けたとき、ねじ山に係合する要素をねじ山に対して動かすことはできない。
【0019】
一実施形態において、アセンブリは、追跡部材を含む。追跡部材は、案内トラックと協働して構成および/または配置することができる。追跡部材は、ナットとすることができる。追跡部材は、案内トラックによって係合、たとえばねじ係合されるように構成することができる。たとえばねじ係合されているとき、案内トラックと追跡部材との間の相対回転の結果、追跡部材と案内トラックとの間の相対運動をもたらすことができる。追跡部材は、好ましくは初期位置から開始して、案内トラックに沿って終了位置の方へ変位させることができる。案内トラックに沿った終了位置から追跡部材までの距離は、カートリッジ内で依然として利用可能であると考えられる薬物の量、すなわちカートリッジの内容物のうち投薬するために利用可能な部分を示すことができる。初期位置では、薬物全体がカートリッジ内に依然として位置することができる。終了位置では、カートリッジは空であると考えることができる。追跡部材は、追跡部材が終了位置にあるとき、用量設定部材を介した用量の増大を阻止または防止するために使用することができる。終了位置で、追跡部材は、設定用量を増大させるはずの方向における追跡部材および案内トラックのさらなる相対運動を防止するエンドストップに当接することができる。
【0020】
一実施形態において、アセンブリは、連結機構を含む。連結機構は、追跡部材を用量設定および駆動機構に動作可能に連結するように、好ましくは用量設定動作中のハウジングに対する用量設定部材の動きが、追跡部材と案内トラックとの間の相対運動、たとえば案内トラックに沿った追跡部材の動きまたは追跡部材に沿った案内トラックの動きに変換されるように構成することができる。用量設定動作における案内トラックに沿ったまたは案内トラックに対する追跡部材の変位は、現在の設定用量のサイズを示すことができる。案内トラックと追跡部材との間の相対運動は、用量設定動作における用量設定部材の動きによって駆動することができる。たとえば、1つの方向(用量が増大される方向)における回転の結果、追跡部材と終了位置との間の距離の低減をもたらすことができる。用量設定部材は、場合によって、追跡部材または案内トラックを有する案内部材を駆動することができる。用量設定動作中、用量が増大されたとき、案内トラックに沿った終了位置と追跡部材との間の距離を低減させることができる。設定用量が減少または補正されたとき、この距離をもう一度増大させることができる。たとえば、1つの方向とは反対の方向(すなわち、用量が減少または補正される方向)における回転の結果、追跡部材と終了位置との間の距離の増大をもたらすことができる。しかし、用量送達動作がトリガ、開始、および/または完了されたとき、好ましくは、案内トラックに沿った終了位置に対する追跡部材の位置を増大させることができなくなる。用量送達動作は、好ましくは、追跡部材と案内トラックとの間の相対位置に影響しない。次の用量設定動作中、すなわち用量送達動作後、追跡部材を終了位置の方へさらに変位させることができる。
【0021】
一実施形態において、連結機構は、2つの異なる状態、連結状態および非連結状態を有する。連結機構は、非連結状態から連結状態へ切換え可能とすることができる。連結機構は、非連結状態では互いに係合しないが連結状態では互いに係合する少なくとも1つの第1の連結機能および少なくとも1つの第2の連結機能を使用して確立することができる。切換えは、これらの機能を互いに係合させるために、第1の連結機能と第2の連結機能との間の相対変位、たとえば軸方向変位を伴うことができる。連結インターフェースは、アセンブリの2つの構成要素間で回転不能および/または軸方向にロックされたインターフェースとすることができる。
【0022】
連結状態で、追跡部材は、連結インターフェースを介して用量設定部材に動作可能に連結することができる。したがって、好都合には、連結状態で連結インターフェースが確立される。用量設定動作において、連結機構が連結状態にあるとき、特に案内トラックに沿った、追跡部材と案内トラックに対する追跡部材の終了位置との間の距離を、用量設定動作で設定された用量によって判定される量だけ低減させることができる。用量設定動作におけるハウジングに対する用量設定部材の動きは、連結状態における案内トラックに対する追跡部材の動きに変換することができる。追跡部材が案内トラックに沿って終了位置に到達したとき、たとえばエンドストップに当接したとき、設定用量を(さらに)増大させることを防止することができる。非連結状態で、連結インターフェースは確立されておらず、または解放されている。したがって、非連結状態で、用量設定および駆動機構ならびに追跡部材はデカップリングまたは連結解除されている。特に、用量設定部材の動きは、追跡部材と案内トラックとの間の相対運動をもたらさない。しかし、用量設定および駆動機構の残りの機能は与えることができる。用量設定動作および次の送達動作を実行することができ、その結果、ピストンロッドは、設定用量によって判定される距離だけハウジングに対して軸方向に変位される。したがって、連結機構が非連結状態にあるとき、用量を設定するために用量設定部材が動かされたときに追跡部材が終了位置の方へ動かないことを確実にすることができる。
【0023】
たとえば薬物送達デバイスの製造中、用量設定および駆動機構と追跡部材または案内トラックとの間のこの選択的な連結を使用して、導入部で説明したカートリッジの過充填を必要とすることなく、カートリッジ内のピストンロッドと栓との間の初期距離を調整することができる。機構が非連結状態にある限り、必要に応じて用量送達動作を行って、ハウジングおよび/または栓に対するピストンロッドの位置を調整することができる。したがって、ハウジングおよびカートリッジユニットが、画成および/または固定された場所、すなわち可変でない場所に、専用の固定機能を有する場合でも、過充填を必要とすることなく、ピストンロッドと栓との間の画成された位置を実現することができる。
【0024】
一実施形態において、連結機構は、非連結状態から連結状態へ切換え可能になるように構成される。アセンブリは、切換えを有効にするために、または非連結状態から連結状態へ切り換えられるように、たとえば用量設定および駆動機構の起動部材を動作させることによって、少なくとも1つの用量送達動作を開始またはトリガしなければならないように構成することができる。切換えは、用量送達動作の開始時、その終了付近、またはその終了時に行うことができる。好ましくは、連結機構を非連結状態から連結状態へ切り換えるために、1回のみまたは厳密に1回の用量送達動作が開始、トリガ、および/または完了されなければならない。
【0025】
上記で論じたように、連結機構を連結状態へ切り換えることができるようになる前に、次の用量送達動作が少なくとも開始またはトリガされた状態で、少なくとも1つの用量設定動作が実行されなければならない。ピストンロッドは、用量送達動作中、設定用量に応じて動かすことができる。設定用量のサイズは、好都合には、ピストンロッドと栓との間の画成された初期間隙に対して、ハウジングに対するピストンロッドの所望の位置を実現するように選択される。このようにして、ピストンロッドと栓との間の画成された初期位置に到達する。この調整は、引き続き組立て業者または製造者の工場内で行うことができ、(最終)使用者によって行われる必要はない。したがって、使用者または薬局に提供されるデバイスでは、機構はすでにその連結状態にあることができる。
【0026】
一実施形態において、機構が連結状態にあるが、まだ一度も用量送達動作を実行するように動作されていないとき、たとえばカートリッジが依然としてその内容物または薬物のすべてを収容しているとき、追跡部材は、案内トラックに対してその初期位置にあることができる。非連結状態で、追跡部材は、案内トラックに沿った初期位置、または異なるもしくは元の位置にあることができる。異なる位置は、初期位置より終了位置からさらに離れることができる。機構が連結状態へ切り換えられたとき、追跡部材を案内トラックに対して元の位置から初期位置へ動かすことができ、好ましくはそれによって連結インターフェースを確立することができる。たとえば、すでに上記で論じたように、連結状態への切換えは、非連結状態における用量設定動作が実行された後、用量送達動作中または用量送達動作の終了付近で実現することができる。
【0027】
好都合には、連結機構は、用量設定および駆動機構を使用して実行される最初の用量送達動作中に、非連結状態から連結状態へ切り換えられるように構成される。これにより、最初の用量設定および送達動作後、アセンブリを含む薬物送達デバイスが画成された状態になり、確実に動作することが保証されることが確実になる。連結機構は、好都合には、正常な用量設定および投薬動作によって、非連結状態から連結状態へ切り換えることができる。したがって、この目的で、余分の動作要素を設ける必要はない。
【0028】
一実施形態において、非連結状態で、追跡部材は、案内トラックおよび/または案内部材に対して回転不能にロックすることができる。したがって、案内トラックと追跡部材との間に相対回転は存在しない。たとえば、どちらも回転しないか、または同速度で回転する。連結状態へ切り換えるために、たとえば案内トラックに対する追跡部材の軸方向シフトによって、回転ロックを解放することができる。連結状態では、用量設定部材の回転が、案内トラックと追跡部材との間の相対回転を引き起こす。
【0029】
一実施形態において、非連結状態で、追跡部材は、案内トラックからデカップリングすることができる。連結状態では、たとえば追跡部材を案内トラックに対して軸方向に動かすことによって、連結を確立することができる。この目的で、以下でより詳細に論じるように、作動部材の軸方向運動を使用することができる。非連結状態で、案内トラックは、追跡部材に対して自由に回転可能とすることができ、または追跡部材に対して回転不能にロックすることができる。
【0030】
一実施形態において、非連結状態で、案内部材および/または追跡部材は、用量設定部材から、たとえば回転可能および/または軸方向にデカップリングされる。したがって、用量設定部材は、案内トラックに沿った追跡部材の相対位置に影響することなく、追跡部材および/または案内部材に対して動かすことができ、たとえば回転させることができる。連結状態で、好ましくは少なくとも用量設定動作が実行されるとき、用量設定部材および案内部材または用量設定部材および追跡部材を回転不能にロックすることができる。
【0031】
一実施形態において、連結機構が非連結状態から連結状態へ切り換えられるときに、追跡部材が特に案内トラックに対して動かされたとき、または案内トラックが追跡部材に対して動かされたとき、相対運動の距離は、設定用量のサイズに依存しない。
【0032】
一実施形態において、連結機構は、連結状態へ切り換わった後、連結状態に拘束される。したがって、連結機構への連結は、不可逆性とすることができる。したがって、使用者は、連結機構を再び非連結状態へ切り換えることができない。使用者が連結機構を非連結状態へ切り換えると、追跡部材が用量設定および駆動機構から連結解除され、追跡部材によってカートリッジの内容物を確実に追跡することができなくなるため、望ましくないはずである。
【0033】
一実施形態において、連結機構は、最初の送達動作中に非連結状態から連結状態へ切り換わるように構成される。好都合には、切換えは、最初の送達動作の開始時または最初の送達動作の終了時に実行される。開始時の切換えは、作動部材によって駆動することができる。用量送達動作の終了時の切換えは、用量設定および駆動機構の1つの要素が止められ、別の要素が止められた要素に対して動くことによって実現することができ、この相対運動中に連結インターフェースが確立される。
【0034】
一実施形態において、薬物送達デバイスで、連結機構は連結状態にあり、好ましくは、デバイスが包装から取り出されるとき、または用量を設定および/もしくは送達するために使用者によって初めて使用されるときは、すでに連結状態にある。したがって、デバイスが使用者によって初めて使用されるときはすぐに使用できる状態にあり、プライミング動作を実行する必要はない。また、上記ですでに説明した場合ほど大幅にカートリッジを過充填する必要がないため、カートリッジが空であると考えられるときのカートリッジ内の薬物の残りは非常にわずかであることが有利である。
【0035】
一実施形態において、アセンブリは、用量標示部材、たとえば数字スリーブを含む。用量標示部材は、用量設定動作中、たとえば設定用量のサイズを示すために、用量設定部材に連結することができる。連結機構が連結状態へ切り換えられたとき、好ましくは連結状態へ切り換えるために開始されたその用量送達手順の終了時に、用量標示部材は、画成された値を示すことができる。この値、たとえばゼロは、後の各用量設定動作の開始時に表示することができる。
【0036】
一実施形態において、用量設定部材は、用量送達動作中にその初期位置の方へ、好都合には用量設定位置から動かされる。連結機構は、用量設定部材がハウジングに対してその初期位置に到達したとき、非連結状態から連結状態へ切り換わるように設計することができる。このようにして、最初の送達動作全体が実行されるまで、連結機構が連結状態へ切り換わらないことを確実にすることができる。次いで、ピストンロッドは、好ましくは、栓に対するその指定の終了位置に到達する。別法として、用量送達動作は、用量設定部材とハウジングとの間の相対角度位置に影響しない。
【0037】
一実施形態において、用量設定部材は、ハウジングに対して可動、好ましくは回転可能である。用量設定部材は、用量設定動作のために、たとえば1つまたはそれ以上の単位投与量増分に対応する距離および/または角度だけ、ハウジングに対して増分的に可動、たとえば回転可能とすることができる。したがって、各設定可能用量は、単位投与量増分の整数倍とすることができる。単位投与量増分は、たとえば、送達予定の薬物の1つの国際単位(1IU;IU:国際単位)または5IUなど複数の国際単位とすることができる。単位投与量増分は、設定可能な最小用量を画成することができ、または設定可能な最小用量に対応することができる。特定のサイズの用量を設定するために必要とされる回転角度は、その用量の単位増分の数によって画成される。単位増分当たりの角度は、その用量における増分の数にかかわらず、同じおよび/または一定とすることができる。2つの隣接する安定した位置を1つの単位投与量増分に対応する角度だけ分離することができる、ハウジングに対する用量設定部材の安定した位置を画成するラチェット機構など、増分的な回転可能性を実現するための様々な方法が存在する。
【0038】
一実施形態において、連結機構は、非連結状態から連結状態への切換えが、用量設定部材とハウジングとの間、用量設定部材と案内部材との間、および/または用量設定部材と追跡部材との間の異なる相対角度連結位置で可能になるように構成される。アセンブリは、各連結位置が、用量が設定されたときに用量設定部材およびハウジングが有することができる相対角度位置になるように構成することができる。
【0039】
一実施形態において、用量設定動作で設定される用量の様々なサイズに対して、連結機構を非連結状態から連結状態へ切り換えることができる。切換えは、すべての設定可能用量に対して、または一部の設定可能用量(以下、「切換え可能用量」とも呼ぶ)のみに対して、可能とすることができる。すなわち、すべての設定可能用量が角度連結位置をもたらすことができるとは限らない。前者の場合、ピストンロッドと栓との間の初期位置は、連結機構が連結状態へ切り換えられるまでは、すべての可能な変位距離だけ、ピストンロッドを変位させることができるため、非常に正確または精密に設定することができるが、機構を設計するときにより多くの労力を必要とすることがある。後者の場合、労力を低減させることができる。切換え可能用量または角度連結位置の数は、その数が様々な設定可能用量の総数より小さいときでも、以下の値:3、4、5、6、7、8、9、10のうちの1つ以上とすることができる。切換え可能用量の数は、以下の値:0.5TD、0.4TD、0.3TD、0.25TDのうちの1つ以下とすることができ、ここでTDは、設定可能用量の総数、すなわち設定可能な最小用量と設定可能な最大用量との間で設定可能な用量の数である。
【0040】
一実施形態において、2つの隣接する角度連結位置、好ましくはいずれか2つの任意の隣接する角度連結位置を、単位投与量増分によって画成された角度だけ分離することができる。たとえば、この角度は、2つの単位投与量増分を分離する角度および/またはこの角度の整数倍に対応することができる。2つの単位投与量増分を分離する角度は、設定用量のサイズを1つの単位投与量増分だけ増大させるように用量設定部材を回転させるために必要とされる角度とすることができる。言い換えれば、2つの隣接する角度連結位置を分離する角度は、1つの単位投与量増分に対応する角度の整数倍とすることができ、この整数は、1より大きくすることができ、または1つの単位投与量増分に対応する角度に等しくすることができる。角度連結位置は、角度方向に均一または均等に分散させることができる。2つの隣接する連結位置間の分離が単位投与量増分に対応する場合、初期間隙の調整が特に細かくなる。しかし、より大きい場合、初期間隙を調整するための選択肢はより制限されるが、それでもなお十分である。
【0041】
一実施形態において、アセンブリは、作動部材、たとえばボタンを含む。作動部材は、用量送達動作を開始またはトリガするために、操作、たとえば押下しなければならない。使用者は、用量送達動作全体にわたって、または用量送達動作を開始もしくはトリガするためにのみ、作動部材を操作または押下しなければならない。前者は、ピストンロッドに対する駆動力が使用者によって好ましくは完全に提供されるアセンブリにとって、特に好適である。後者は、エネルギー貯蔵部材を利用してピストンロッドを駆動するための駆動力を提供する用量設定および駆動機構にとって特に好適である。しかし、そのようなエネルギー貯蔵部材を有する機構の場合でも、送達動作全体にわたって作動部材を押下しなければならない可能性がある。作動部材が解放された場合、送達動作が中断されることがある。作動部材は、アセンブリが用量設定動作モードになる第1の位置から、アセンブリが用量送達動作モードになる第2の位置へ可動とすることができる。作動部材の動きは、ハウジングに対して、用量設定部材に対して、案内部材に対して、案内トラックに対して、および/または追跡部材に対して生じることができる。アセンブリは、第1の位置から第2の位置への作動部材の動きを使用して、連結機構を非連結状態から連結状態へ切り換えるように構成することができる。作動部材は、たとえばばねなどの付勢部材によって、第1の位置へ付勢することができる。したがって、用量設定動作モードが通常の動作モードである。第1の位置および第2の位置は、互いに軸方向にずらすことができる。第2の位置は、第1の位置から遠位にずらすことができる。
【0042】
一実施形態において、第2の位置は、案内トラックに沿って追跡部材の終了位置に向かう方向に、第1の位置から軸方向にずらされる。したがって、作動部材を第1の位置から第2の位置へ動かすとき、好ましくは作動部材の第1の作動中のみ、すなわち最初の用量送達動作が開始されたときのみ、追跡部材を案内トラックに沿って動かすことができる。
【0043】
一実施形態において、アセンブリは、第1の位置から第2の位置への作動部材の動きが追跡部材と案内トラックとの間の相対運動を駆動し、たとえば追跡部材を案内トラックに沿って元の位置から初期位置へ動かし、好都合には連結機構を連結状態へ切り換えるように構成される。第1の位置から第2の位置への作動部材の動きは、好ましくは連結機構を非連結状態から連結状態へ切り換えるように、非連結状態で追跡部材へ伝達可能でありまたは伝達される。たとえば、作動部材の動きを追跡部材へ伝達することができ、したがって追跡部材が、案内トラックに対してたとえば元の位置から初期位置へ動かされる。初期位置で、追跡部材は、案内トラックのねじ山に係合させることができる。元の位置で、追跡部材は、案内トラックのねじ山から係合解除することができる。非連結状態における追跡部材と作動部材との間の当接によって、作動部材の動きを追跡部材へ伝達することができる。追跡部材が作動部材によって一度動かされたとき、第1の位置から第2の位置への作動部材の次の動きは、好都合には、追跡部材に影響しない。
【0044】
一実施形態において、アセンブリは、少なくとも1つのロッキング機能を含む。ロッキング機能は、連結機構が連結状態にあるとき、好都合には切換えが実行された直後にすでに、元のまたは第1の位置の方へ戻る追跡部材の動きを防止するように配置および構成することができる。ロッキング機能は、追跡部材と相互作用して、たとえば案内トラックに沿って終了位置から離れる方への追跡部材の動きを防止するように配置することができる。このようにして、連結機構が非連結状態から連結状態へ再び切り換えられることを防止することができる。
【0045】
一実施形態において、非連結状態で、以下の構成要素:追跡部材、用量設定部材、案内トラックを有する案内部材は、互いに回転不能にロックされる。連結状態で、用量設定動作で用量を設定するために用量設定部材が回転されたとき、追跡部材および案内部材のうちの一方、たとえば追跡部材または案内部材は、追跡部材および案内部材のうちの他方に対して回転可能とすることができる。
【0046】
一実施形態において、案内トラックは、ねじ山、好ましくは螺旋ねじ山を含む。追跡部材は、連結状態でねじ山に係合させることができる。非連結状態で、追跡部材は、ねじ山から係合解除することができ、またはねじ山に係合することができる。追跡部材が非連結状態でねじ山に係合される場合、用量設定動作が非連結状態で実行されたときに案内トラックと追跡部材との間に相対回転が生じないように、非連結状態で用量設定部材を案内部材および/または追跡部材から回転可能にデカップリングすることが好都合である。次いで、用量設定中、案内トラックと追跡部材との間の相対位置は変化しない。
【0047】
一実施形態において、案内トラックは、軸方向に延びるセクションを含む。案内トラックの軸方向に延びるセクションは、螺旋ねじ山へつながることができる。非連結状態で、追跡部材は、軸方向に延びるセクションに係合させることができる。軸方向に延びるセクションは、追跡部材が軸方向に延びるセクションに係合したときに追跡部材が案内トラックまたは案内部材に対して回転不能にロックされるように、追跡部材と協働することができる。軸方向に延びるセクションが延びる軸は、ハウジングの主軸または螺旋ねじ山の螺旋を画成する軸とすることができる。案内トラックのねじ付セクションは、軸方向に延びるセクションから遠位にずらすことができる。ねじ山は、案内トラックの螺旋ねじ付セクションを形成することができる。したがって、追跡部材を、非連結状態から連結状態へ切り換わるとき、作動部材を介して、案内トラックの軸方向に延びるセクションから螺旋ねじ付セクションへ動かすことができる。
【0048】
案内トラックの軸方向に延びるセクションの代わりに、円周方向に延びるセクションが、非連結状態で追跡部材が係合されるねじ山からずれて位置することもできる。次いで、用量設定中、終了位置の方への追跡部材の変位を伴うことなく、案内トラックと追跡部材との間の相対回転が生じることができる。しかし、軸方向に延びるセクションは依然として有利である。なぜならこの場合、用量設定動作中に設定されたすべての用量に対して、非連結状態でも追跡部材と案内トラックとの間の画成された相対位置が存在するからである。
【0049】
一実施形態において、アセンブリは、非連結状態で、用量設定部材が追跡部材および案内トラックに対して回転可能になるように構成される。連結状態で、用量設定部材の回転は、追跡部材または案内トラックを有する案内部材へ伝達することができ、したがって追跡部材を終了位置の方へ変位させるために、案内トラックと追跡部材との間の相対回転が実現される。連結状態へ切り換わったとき、回転ロックを確立することができ、これは場合によって、用量設定部材と追跡部材との間、または用量設定部材と案内部材との間で動作可能である。この実施形態において、追跡部材は、連結状態および非連結状態で案内トラックのねじ山に係合させることができる。
【0050】
一実施形態において、用量設定部材は、非連結状態で案内部材に対して回転可能である。
【0051】
一実施形態において、案内部材および用量設定部材は、連結状態で回転不能にロックされる。したがって、連結状態で、用量設定部材の回転を案内部材へ伝達することができる。案内部材と追跡部材との間の相対回転は、追跡部材と案内トラックとの間の相対変位を引き起こすことができ、したがって追跡部材は、用量設定動作中に案内トラックに沿って終了位置のより近くに位置する。したがって、連結機構は、連結状態で案内部材と用量設定部材との間に回転ロックを提供することができる。回転ロックを適用するために、たとえばインターロック機能による係合によって、たとえば用量設定動作の終了時もしくは終了付近、または初めもしくは開始時もしくは初めもしくは開始付近に、非連結状態から連結状態へ切り換わるとき、案内部材および用量設定部材を互いに対して軸方向に変位させることができる。
【0052】
一実施形態において、案内部材および用量設定部材は、好ましくは連結状態および/または非連結状態で、互いに軸方向にロックされる。連結状態で、用量設定部材および案内部材は、互いに回転不能かつ軸方向にロックすることができる。連結状態で、用量設定部材および案内部材は、単一の部材として作用することができる。しかし、非連結状態では、案内部材と用量設定部材との間の相対回転運動を可能にすることができる。
【0053】
一実施形態において、アセンブリは、連結機構が非連結状態から連結状態へ切り換えられたかどうかにかかわらず、設定用量のサイズに依存しないように構成される。
【0054】
一実施形態において、アセンブリは、連結機構がその連結状態にあるか、それともその非連結状態にあるかにかかわらず、用量送達動作中にアセンブリの要素が互いに対して同じ動きを実行するように構成される。
【0055】
一実施形態において、用量設定部材は、用量送達動作中、ピストンロッドの動きを駆動するように、ピストンロッドに係合される。別法として、ピストンロッドに係合する追加の駆動部材を設けることができ、すなわち用量設定部材に加えてさらなる駆動部材を設けることができる。駆動部材は、案内部材とすることができ、または案内部材とは異なることもできる。
【0056】
一実施形態において、案内部材および用量設定部材は、特に連結状態および/または非連結状態において用量設定動作モードでは互いに対して回転可能である場合でも、用量送達動作モードでは回転不能にロックされる。
【0057】
一実施形態において、連結インターフェースを確立するために必要とされるアセンブリの2つの部材間の連結運動、すなわち相対運動は、設定用量のサイズに依存しない。言い換えれば、連結運動は、設定用量のサイズに依存しない固定の距離の動きとすることができる。
【0058】
一実施形態において、薬物送達デバイスのカートリッジ内の薬物または医薬品有効成分、たとえばインスリンの濃度は、以下の値:カートリッジ内の液体1ml当たり150IU、カートリッジ内の液体1ml当たり200IU、カートリッジ内の液体1ml当たり250IU、カートリッジ内の液体1ml当たり275IU、カートリッジ内の液体1ml当たり300IUのうちの1つ以上である。
【0059】
一実施形態において、薬物送達デバイス内で、カートリッジは満杯とすることができ、すなわちデバイスは、製造者によって送達されたときのその元の状態とすることができる。
【0060】
一実施形態において、薬物送達デバイス内で、連結機構は、その連結状態とすることができる。たとえば製造中、栓の近位面に対するピストンロッドの遠位面の位置を調整するために、非連結状態から連結状態への切換えが使用されていることがある。しかし、連結機構は、機構を再び非連結状態へ切り換えることができないように、その連結状態に拘束することができる。
【0061】
一実施形態において、薬物送達デバイス内で、ピストンロッドと栓との間の好ましくはゼロより大きい初期距離、たとえば薬物を投与するために、または最初の使用前に薬物送達デバイスをプライミングするために、使用者または患者によって行われる場合など、連結機構がその連結状態にある状態で使用者によって最初の用量送達動作が開始される前の距離は、以下の値のうちの1つ以下である:
- 用量設定動作でアセンブリの用量設定および駆動機構によって設定可能な最小の用量によって判定され、もしくはそのような最小の用量に対応する変位距離、たとえば1つの単位投与量増分もしくは設定可能な最小用量に対応する変位距離未満、ならびに/または
- 非連結状態から連結状態への連結機構の切換えを可能にする、用量設定動作でアセンブリの用量設定および駆動機構によって設定可能な最小の用量、すなわち切換え可能な最小の用量に対応する距離、
- Nの単位投与量増分によって判定され、もしくはNの単位投与量増分に対応する変位距離、ここでNは、以下の値:1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20のうちの任意の1つである。
【0062】
一実施形態において、前述の実施形態に対する別法または追加として、ピストンロッドと栓との間の初期距離は、以下の値のうちの1つ以上である:
- Nの単位投与量増分によって判定され、もしくはNの単位投与量増分に対応する変位距離、ここでNは、以下の値:1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20のうちの任意の1つであり;ならびに/または
- 0.2mm、0.5mm、1mm、1.5mm、3mm。
【0063】
具体的には、初期距離は、1つの単位投与量増分の用量に対応する変位距離と、20の単位投与量増分の用量に対応する変位距離との間、たとえば1つの単位投与量増分の用量に対応する距離と、3つの単位投与量増分の用量に対応する距離との間とすることができる。
【0064】
初期距離が、1つの単位投与量増分に対応する距離より大きくなるように選択された場合、デバイスの初期状態で、すなわちデバイスが使用者によってプライミングされていないとき、ピストンロッドと栓との間に接触がないことを保証することができる。これにより、デバイスが初期状態にあるとき、デバイス内でカートリッジユニットとハウジングユニットのピストンロッドとの間に機械的応力が生じることが回避される。初期距離が、上述した値のうちの1つより小さい場合、カートリッジを過充填しなければならない量に依然として耐えることを実現することができる。好ましくは、初期距離は、5つの単位投与量増分、3つの単位投与量増分、または2つの単位投与量増分に対応する距離より小さい。次いで、特定の数、たとえば2つまたは3つの単位投与量増分の用量を設定し、その用量を投薬することによって、デバイスをプライミングすることができる。デバイスから液体が排出された場合、プライミングは成功した。
【0065】
一実施形態において、薬物送達デバイスのセットは、たとえばさらに上述したように、複数の薬物送達デバイスを含むことができる。デバイスは、同じ構造、たとえば部材数、部材間の連結、および/もしくは部材の設計を有することができ、同じ薬物を送達するために提供することができ、同じ充填レベルもしくは体積を有するカートリッジを有することができ、かつ/または異なるデバイスにおいて用量設定動作で設定されたすべての特定の用量に対してピストンロッドを同じ距離だけ変位させる同等の用量設定および駆動機構を有することができる。セット内のデバイスはすべて、さらに上述した値のうちの1つ以下および/または以上のピストンロッドと栓との間の初期距離または間隙を有することができる。セットは、50個またはそれ以上、100個またはそれ以上、または1000個またはそれ以上の薬物送達デバイスなど、10個またはそれ以上の薬物送達デバイスを含むことができる。
【0066】
別法または追加として、カートリッジ本体の近位縁部またはリムから栓の近位面までの距離の変動は、特にセットのすべてのデバイスにわたって得られる初期間隙の変動より大きくすることができる。
【0067】
たとえば、セットのすべてのデバイスにわたって得られる栓からピストンロッドまでの距離の最大値、すなわちセットの最大初期間隙と、セットのすべてのデバイスにわたって得られる栓からピストンロッドまでの距離の最小値、すなわちセットの最小初期間隙との間の差ΔGap;max/minは、以下の値:D1、D2、D3、D4、D5、D6、D7、D8、D9、D10、ΔBung;max/min、0.9ΔBung;max/min、0.8ΔBung;max/min、0.7ΔBung;max/min、0.6ΔBung;max/min、0.5ΔBung;max/min、0.4ΔBung;max/min、0.3ΔBung;max/min、0.2ΔBung;max/min、0.1ΔBung;max/min、0.05ΔBung;max/minのうちの1つ以下とすることができる。ここで、DX(X=1~10)は、用量送達動作中にXの単位投与量増分の用量を投薬するように用量設定動作が実行される前にピストンロッドが有した位置に対して、ピストンロッドが送達動作中に遠位に変位される変位距離とすることができる。DXは、Xの単位投与量増分の用量に対応する変位距離とすることができる。ΔBung;max/minは、セットのすべてのデバイスにわたって得られるカートリッジ本体の近位端から栓までの距離の最大値、すなわち近位端がセット内のすべてのカートリッジのカートリッジ本体の近位端から離れて最も遠い栓と、セットのすべてのデバイスにわたって得られるカートリッジ本体の近位端から栓までの距離の最小値、すなわち近位端がセット内のすべてのカートリッジのカートリッジ本体の近位端のより近くに位置するが、好ましくは依然としてそこから遠位にずれている栓との間の差とすることができる。セットのすべてのデバイスは、D1以上の初期間隙または初期距離を有することができる。
【0068】
一実施形態において、方法は:
a)カートリッジユニットを提供する工程であって、カートリッジユニットが、薬物を収容するカートリッジおよびカートリッジのカートリッジ本体内に可動に保持された栓を含む、工程と;
b)ハウジングユニットを提供する工程であって、ハウジングユニットが、
遠位端および近位端を有するハウジング、
薬物の用量を設定するように用量設定動作のために初期位置から用量設定位置へハウジングに対して可動の用量設定部材を含む用量設定および駆動機構であって、用量設定動作後、用量設定および駆動機構の用量送達動作でハウジングに対して遠位方向に変位可能なピストンロッドをさらに含み、送達動作中、ピストンロッドが、設定用量によって判定される変位距離だけ、ハウジングに対して変位される、用量設定および駆動機構、
案内トラック、
案内トラックと協働するように構成された追跡部材であって、案内トラックに対する終了位置を有し、終了位置からの距離がカートリッジ内に残っている薬物の量を示す、追跡部材を含む、工程と、
c)カートリッジ本体に対する栓の栓位置を判定する工程であって、判定された位置が、製造公差によって変動することができ、たとえば、カートリッジ本体の近位リムから栓の近位面までの距離を判定することができる、工程と、
d)ハウジングユニットおよびカートリッジユニットが連結されている場合、ピストンロッドおよび栓が互いに対して所定の距離をあけて配置されるように、判定された栓位置に基づいて、ハウジングに対するピストンロッドの所望のピストンロッド位置を判定し、所望のピストンロッド位置にくるようにピストンロッドをハウジングに対して遠位方向に変位させなければならない特定の変位距離を判定する工程と;
e)ピストンロッドをハウジングに対して特定の変位距離だけ変位させるために必要とされる用量を設定するように、用量設定部材をハウジングに対して用量設定位置まで動かす工程と、
f)ピストンロッドを特定の変位距離だけ変位させて、ピストンロッドをハウジングに対して所望のピストンロッド位置へ動かすように、用量送達動作を実行する工程と、
g)工程f)中または工程f)後、用量設定および駆動機構を使用して次の用量設定および/または送達動作が実行されたとき、追跡部材が案内トラックに沿って終了位置のより近くに配置されるように、追跡部材を用量設定および駆動機構に動作可能に連結する工程と、
h)工程g)前もしくは工程g)後、および/または工程f)前もしくは工程f)後、薬物送達デバイスのためにカートリッジユニットおよびハウジングユニットを互いに連結する工程とを含む。
【0069】
特定の変位距離に対する用量が設定されるとき、追跡部材は用量設定および駆動機構に動作可能に連結されていないため、用量設定および駆動機構は、内容物追跡装置の端部の位置に影響することなく、初期間隙を調整するように動作することができる。したがって、上記ですでに説明したように、カートリッジを大幅に過充填する必要がなくなる。
【0070】
特に有利な実施形態において、薬物送達デバイス向けのアセンブリは:
近位端および遠位端を有するハウジングと;
薬物の用量を設定するように用量設定動作で初期位置から用量設定位置へハウジングに対して可動の用量設定部材を含む用量設定および駆動機構であって、用量設定動作後、用量設定および駆動機構の用量送達動作でハウジングに対して遠位方向に変位可能なピストンロッドをさらに含み、用量送達動作中、ピストンロッドが、設定用量によって、たとえば設定用量のサイズによって判定される変位距離だけ、ハウジングに対して変位される、用量設定および駆動機構と、
案内トラックと、
案内トラックと協働するように構成された追跡部材と、
追跡部材を用量設定および駆動機構に動作可能に連結するように構成された連結機構とを含み、ここで、
連結機構は、2つの異なる状態、連結状態および非連結状態を有し、連結状態で、連結インターフェースが確立され、追跡部材は、用量設定動作において、案内トラックに沿った追跡部材と追跡部材の終了位置との間の距離が、用量設定動作で設定された用量によって判定される量だけ低減されるように、連結インターフェースを介して用量設定および駆動機構に動作可能に連結され、
非連結状態で、連結インターフェースは確立されず、連結機構は、非連結状態から連結状態へ切換え可能になるように構成され、アセンブリは、非連結状態から連結状態へ切り換わることを有効にするために、用量設定および駆動機構の少なくとも1つの用量送達動作、好ましくは厳密に1つの用量送達動作を開始および/または完了しなければならないように構成される。
【0071】
この実施形態の利点は、上記のさらなる説明および以下の説明から明らかになる。
【0072】
本開示のさらなる利点、便宜、および有利な実施形態は、本明細書に示す図面および例示的な実施形態に関連して以下でさらに論じる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
図1】薬物送達デバイスの一実施形態の斜視図である。
図2図1のデバイスの構成要素の分解図である。
図3a】用量設定状態にある図1のデバイスの近位端の断面図である。
図3b】用量投薬状態にある図1のデバイスの近位端の断面図である。
図4】別の実施形態によるデバイスの詳細を示す断面図である。
図5a】本発明のさらに別の実施形態によるデバイスの詳細を示す断面図である。
図5b図5aの実施形態の詳細図である。
図6図1図5bのデバイスに好適な連結機構の一実施形態を示す図である。
図7図6の連結機構が異なるデバイスにとっても好適であることを示す図である。
図8A】連結機構の別の実施形態を示す図である。
図8B】連結機構の別の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0074】
これらの図面において、同一の要素、同一に作用する要素、および同じ種類の要素には、同じ参照番号を提供することができる。さらに、これらの図面は本開示のいくつかの実施形態を示すに過ぎないことを理解されたい。開示する概念は、以下に開示するものとは異なる設計の薬物送達デバイスにも同様に適用することができる。
【0075】
図1は、注射ペンの形の薬物送達デバイスを示す。デバイスは、遠位端(図1の左端)および近位端(図1の右端)を有する。薬物送達デバイスの構成要素部材は、図2に示されている。薬物送達デバイスは、本体またはハウジング10、カートリッジホルダ20、親ねじ(ピストンロッド)30、駆動スリーブ40、ナット50、用量インジケータ(数字スリーブ、用量設定部材)60、ボタン70、ダイヤルグリップまたは用量セレクタ80、ねじりばね90、カートリッジ100、ゲージ要素110、クラッチ板120、クラッチばね130、および支承部140を含む。ニードルハブおよびニードルカバーを有するニードル配置(図示せず)を、交換することができる追加の構成要素として提供することができる。すべての構成要素は、機構の共通の主軸I(図3b)の周りに同心円状に位置する。
【0076】
ハウジング10または本体は、直径が拡大された近位端を有する略管状の筐体要素である。ハウジング10は、液体医薬品または薬物カートリッジ100およびカートリッジホルダ20のための場所を提供する。図1および図2に示すように、ハウジングは、たとえばツインショット成形によってハウジング本体に組み込まれた第1の窓11aおよび第2の窓(またはレンズ)11bを含む。窓11a、11bは、第1のショット中に、半透明(好ましくは透明)の材料で成形することができ、ハウジングの外側カバーは、第2のショット中に、不透明な材料で成形される。
【0077】
図1図3bの実施形態において、ハウジングは、ハウジングの遠位端付近に内壁として位置する一体部材として、インサート12を含む。インサート12は、半透明の材料で成形することができる。代替として、インサートまたはその部材は、不透明の材料から形成することができ、または図4の実施形態に示すように別個の構成要素部材として形成することができる。
【0078】
インサート12は、カップ状の構成要素部材であり、側壁13と、インサート12を通って延びる管14とを有し、したがって側壁13と管14との間に環状空間を形成する。アーム15が、側壁13から径方向外方へ延びる。底壁16が、インサート12の遠位側で側壁13および管14を連結し、反対に位置する近位側は開いている。インサート12は、様々なインターフェースを有する。たとえば、インサート12の管14は、ピストンロッド30に係合する内側ねじ山17を含む。加えて、管14と外側壁13との間の径方向の空間は、駆動ばね90およびクラッチばね130を受ける支承区域を提供することができる。さらに、インサート12上にスプライン歯18が設けられ、スプライン歯18は、駆動スリーブ40の遠位端に位置する対応するスプライン歯41に係合する。歯18は、駆動スリーブ40と相互作用して、駆動スリーブおよびハウジング10を回転不能に連結しかつ回転可能にデカップリングする。
【0079】
図4の実施形態において、インサートは、内側ハウジングシェルの一体部材であり、内側シェルは、外部ハウジングシェルによって部分的に取り囲まれる。これらのシェルは、これらのシェルが互いに恒久的に取り付けられるように、2回の連続する射出成形ショットによって形成することができる。たとえば、内側シェルは、透明または半透明の材料から形成され、外側シェルは、不透明の材料から形成される。
【0080】
図5aおよび図5bの実施形態において、インサート12は、部分的にはハウジング10とともに1つの単一の構成要素部材として、部分的には別個の構成要素部材19として形成される。圧縮ばねのための環状空間を有するカップ状の本体13およびねじ付管14は、ハウジング10と一体形成され、アーム15を介してハウジング10に連結されており、駆動スリーブ40を回転不能に拘束するためのクラッチ機能18は、ハウジング10に軸方向かつ回転不能に拘束されたリング状の別個の構成要素部材19である。したがって、図5aおよび図5bの実施形態によれば、リング状インサート部材19は、ねじ山17を一体部材として有していない。図5bにより詳細に示すように、リング状インサート部材19は、駆動スリーブ40を回転不能に拘束するための軸方向に向けられたスプライン19aを、内面に含む。リング状インサート部材19は、ハウジング10内に回転不能に保持するためのアームまたはスプライン19bを、その外面にさらに含む。さらに、いくつかのフック状のアーム19cが、ハウジング10内にリング状インサート部材19を軸方向に保持するためのスナップクリップを形成するように設けられる。リング状インサート部材19は、駆動ばね90のフック端91を受け取って固定するための孔またはポケット19dを含む。加えて、リング状インサート部材19上には、インサート部材12、19を軸方向かつ回転不能に付勢して自由な遊びを除去するための機能が存在する。
【0081】
カートリッジホルダ20は、ハウジング10の遠位側に位置しており、ハウジング10の遠位側に恒久的に取り付けることができる。カートリッジホルダは、カートリッジ100を受け取るように管状をなす透明または半透明の構成要素とすることができる。カートリッジホルダ20の遠位端は、ニードル配置を取り付けるための手段を備えることができる。カートリッジホルダ20の上に嵌るように、取外し可能なキャップ(図示せず)を設けることができ、このキャップは、クリップ機能を介してハウジング10上に保持することができる。
【0082】
ピストンロッド30は、スプライン付インターフェースを介して、駆動スリーブ40に回転不能に拘束される。回転されたとき、ピストンロッド30は、ハウジング10のインサート12に対するそのねじ付インターフェースによって、駆動スリーブ40に対して軸方向に動かされる。親ねじ30は、外側ねじ山を有する細長い部材であり、この外側ねじ山は、ハウジング10のインサート12の対応するねじ山に係合する。このインターフェースは、少なくとも1つの長手方向溝またはトラックと、ドライバ40の対応する突起またはスプラインとを含む。その遠位端で、親ねじ30は、支承部140のクリップ取付けのためのインターフェースを備える。
【0083】
駆動スリーブ40は、親ねじ30を取り囲む中空の部材であり、数字スリーブ60内に配置される。駆動スリーブ40は、クラッチ板120とのインターフェースから延びて、クラッチばね130に接触する。駆動スリーブ40は、クラッチばね130の付勢に逆らって遠位方向へ、クラッチばね130の付勢を受けて反対の近位方向へ、ハウジング10、ピストンロッド30、および数字スリーブ60に対して軸方向に可動である。
【0084】
インサート12とのスプライン歯インターフェース18は、用量設定中の駆動スリーブ40の回転を防止する。このインターフェースは、駆動スリーブ40の遠位端に位置する径方向に延びる外側の歯41のリングと、ハウジング構成要素10(インサート12)の対応する径方向に延びる内側の歯18とを含む。ボタン70が押下されたとき(図3b)、これらの駆動スリーブからハウジングインサートへのスプライン歯が係合解除され、駆動スリーブ40がインサートに対して、したがってハウジング10へ回転することが可能になる。クラッチばね130は、駆動スリーブ40の歯41をインサートの歯18に係合させる位置へ、駆動スリーブ40を付勢する(図3a)。ダイヤル設定中は数字スリーブ60とのさらなるスプライン歯インターフェースは係合されないが、ボタン70が押下されると係合し、投薬中の駆動スリーブ40と数字スリーブ60との間の相対回転を防止する。好ましい実施形態において、このインターフェースは、数字スリーブ60の内面のフランジ上の内向きのスプラインと、駆動スリーブ40の径方向に延びる外側スプラインのリングとを含む。これらの対応するスプラインは、それぞれ数字スリーブ60および駆動スリーブ40上に位置し、したがって(軸方向に固定された)数字スリーブ60に対する駆動スリーブ40の軸方向運動が、スプラインを係合または係合解除して、駆動スリーブ40および数字スリーブ60を回転不能に連結または回転可能にデカップリングする。
【0085】
駆動スリーブ40のさらなるインターフェースは、駆動スリーブ40の近位端面に位置するラチェット歯のリングと、クラッチ板120上の対応するラチェット歯のリングとを含む。
【0086】
ドライバ40は、ナット50に対する螺旋トラックを提供するねじ付セクションを有する。加えて、最終用量当接部または止め具が提供され、これは、ナット50の対応する最終用量止め具との相互作用のためのねじ山トラックの端部または好ましくは回転ハードストップとすることができ、したがってドライバのねじ山上のナット50の動きを制限する。ドライバ40の少なくとも1つの長手方向スプラインが、親ねじ30の対応するトラックに係合する。
【0087】
最終用量ナット50は、数字スリーブ60と駆動スリーブ40との間に位置する。最終用量ナット50は、スプライン付インターフェースを介して、数字スリーブ60に回転不能に拘束される。最終用量ナット50は、本明細書に記載する機構の場合はダイヤル設定中または設定中にのみ生じる数字スリーブ60と駆動スリーブ40との間の相対回転が生じたとき、好都合には螺旋トラックによって確立されるねじ付インターフェースを介して、駆動スリーブ40に対して螺旋経路に沿って動く。ここで用量のダイヤル設定は、用量設定動作を指す。代替として、ナット50は、ドライバ40にスプライン連結することができ、数字スリーブ60にねじ留めすることができる。ナット50上に最終用量止め具が提供され、カートリッジ100内の薬剤または薬物の残りの投薬可能な量に対応する用量が設定されると、駆動スリーブ40の止め具に係合する。
【0088】
用量インジケータまたは数字スリーブ60は、管状の要素である。数字スリーブ60は、用量設定(用量セレクタ80を介する)および用量補正中ならびに用量投薬中、ねじりばね90によって回転される。ゲージ要素110とともに、数字スリーブ60は、ゼロ(「静止」)位置および最大用量位置を画成する。したがって、数字スリーブ60は、用量設定部材として見ることができる。
【0089】
製造上の理由で、これらの図に示す実施形態の数字スリーブ60は、数字スリーブ下部60aを含み、数字スリーブ下部60aは、組立て中に数字スリーブ上部60bに強固に固定されて、数字スリーブ60を形成する。数字スリーブ下部60aおよび数字スリーブ上部60bは、数字スリーブ60の成形工具類および組立てを簡略化することだけを目的とした別個の構成要素である。代替として、数字スリーブ60は、単体の構成要素とすることができる。数字スリーブ60は、回転は可能にするが並進運動は可能にしないように、スナップ係合によってハウジング10に拘束される。数字スリーブ60は、その遠位端付近に環状の凹部または溝を含み、この凹部は、ハウジング10の内面の対応するビードに係合する。数字スリーブ下部60aは、ダイヤル設定された薬剤の用量を示すために、ゲージ要素110およびハウジング10内の開口部11a、11bを通して見ることができる一連の数字によって印付けられる。
【0090】
さらに、数字スリーブ下部60aは、ゲージ要素110に係合する外側ねじ山を有する部分を有する。ねじ山の両端には、ゲージ要素110に対する相対運動を制限するためにエンドストップが設けられる。
【0091】
数字スリーブ上部60b上には、スプラインのリングの形態を有するクラッチ機能が、用量設定および用量補正中にボタン70のスプラインと係合するように内向きに設けられる。数字スリーブ60の外面には、クリッカアームが設けられ、駆動スリーブ40およびゲージ部材110と相互作用してフィードバック信号を生成する。加えて、数字スリーブ下部60aは、少なくとも1つの長手方向スプラインを含むスプライン付インターフェースを介して、ナット50およびクラッチ板120に回転不能に拘束される。さらに、数字スリーブ下部60aは、ねじりばね90を取り付けるためのインターフェースを含む。
【0092】
デバイスの近位端を形成するボタン70は、用量セレクタ80に恒久的にスプライン連結される。中心の心棒が、ボタン70の近位作動面から遠位に延びる。心棒は、数字スリーブ上部60bのスプラインに係合するためのスプラインを有するフランジを備える。したがって、心棒はまた、ボタン70が押下されていないときは、スプラインを介して数字スリーブ上部60bにスプライン連結されるが、このスプラインインターフェースは、ボタン70が押下されると切り離される。ボタン70は、スプラインを有する不連続な環状のスカートを有する。ボタン70が押下されたとき、ボタン70上のスプラインはハウジング10上のスプラインに係合し、投薬中のボタン70(したがって用量セレクタ80)の回転を防止する。これらのスプラインは、ボタン70が解放されると係合解除され、用量をダイヤル設定することが可能になる。さらに、ボタンフランジの内側には、クラッチ板120と相互作用するためのラチェット歯のリングが設けられる。
【0093】
用量セレクタ80は、ハウジング10に軸方向に拘束される。用量セレクタ80は、スプライン付インターフェースを介して、ボタン70に回転不能に拘束される。ボタン70の環状スカートによって形成されたスプライン機能と相互作用する溝を含むこのスプライン付インターフェースは、用量ボタン70の軸方向位置にかかわらず係合されたままである。用量セレクタ80または用量ダイヤルグリップは、ぎざぎざの外側スカートを有するスリーブ状の構成要素である。
【0094】
ねじりばね90は、その遠位端ではフック91によってインサート12に、したがってハウジング10に取り付けられ、他端では数字スリーブ60に取り付けられる。ねじりばね90は、数字スリーブ60内に位置し、駆動スリーブ40の遠位部分を取り囲む。ねじりばね90は、組み立てたときに事前に巻かれており、したがって機構がゼロ単位でダイヤル設定されているとき、数字スリーブ60にトルクを印加する。用量セレクタ80を回転させて用量を設定する動作により、数字スリーブ60がハウジング10に対して回転し、ねじりばね90がさらに付勢される。
【0095】
カートリッジ100は、カートリッジホルダ20内に受け入れられる。カートリッジ100は、その近位端に可動のゴム栓を有するガラスアンプルとすることができる。カートリッジ100の遠位端は、穿孔可能なゴム封止を備えており、ゴム封止は、圧着された環状金属バンドによって定位置に保持される。これらの図に示す実施形態において、カートリッジ100は、標準的な1.5mlのカートリッジである。デバイスは、使用者または医療専門家がカートリッジ100を交換することができないという点で、使い捨てとして設計される。しかし、カートリッジホルダ20を取外し可能にし、親ねじ30の巻き直しおよびナット50のリセットを可能にすることで、デバイスの再利用可能な変形形態を提供することもできる。
【0096】
ゲージ要素110は、スプライン付インターフェースを介して、ハウジング10に対する回転は防止するが並進運動は可能にするように拘束される。ゲージ要素110は、数字スリーブ60に切り込まれた螺旋ねじ山に係合する螺旋機能をその内面に有し、したがって数字スリーブ60の回転が、ゲージ要素110の軸方向並進運動を引き起こす。ゲージ要素110上のこの螺旋機能もまた、設定することができる最小および最大用量を制限するために、数字スリーブ60内の螺旋形の切込みの端部に対する止め具当接を作成する。
【0097】
ゲージ要素110は、略板状または帯状の構成要素を有し、この構成要素は、中心のアパーチャまたは窓と、アパーチャの両側に延びる2つのフランジとを有する。フランジは、好ましくは透明ではなく、したがって数字スリーブ60を遮蔽しまたは覆うのに対して、アパーチャまたは窓は、数字スリーブ下部60aの一部分を見ることを可能にする。さらに、ゲージ要素110は、用量投薬の終了時に数字スリーブ60のクリッカアームと相互作用するカムおよび凹部を有する。
【0098】
クラッチ板120は、リング状の構成要素である。クラッチ板120は、スプラインを介して数字スリーブ60にスプライン連結される。クラッチ板120はまた、ラチェットインターフェースを介して駆動スリーブ40に連結される。ラチェットは、各用量単位に対応する数字スリーブ60と駆動スリーブ40との間の戻り止め位置を提供し、時計回りおよび反時計回りの相対回転中に異なる傾斜歯角度で係合する。クラッチ板120上には、ボタン70のラチェット機能との相互作用のためのクリッカアームが設けられる。
【0099】
クラッチばね130は圧縮ばねである。駆動スリーブ40、クラッチ板120、およびボタン70の軸方向位置は、駆動スリーブ40に近位方向の力を印加するクラッチばね130の動作によって画成される。このばね力は、駆動スリーブ40、クラッチ板120、およびボタン70を介して反応され、「静止」しているときは用量セレクタ80によってハウジング10へさらに反応される。ばね力は、駆動スリーブ40とクラッチ板120との間のラチェットインターフェースが常に係合されることを確実にする。「静止」位置で、ばね力はまた、ボタンスプラインが数字スリーブスプラインに係合され、かつ駆動スリーブ歯がハウジング10の歯に係合されることを確実にする。
【0100】
支承部140は、ピストンロッド30に軸方向に拘束され、液体薬剤カートリッジ内の栓に作用する。支承部140は、親ねじ30に軸方向にクリップ留めされるが、回転することは自由である。
【0101】
デバイスが図1および図3aに示す「静止」状態にあるとき、数字スリーブ60は、ゲージ要素110に対するそのゼロ用量当接部に当たり、ボタン70は押し下げられない。それぞれハウジング10およびゲージ要素110の窓11bを通して、数字スリーブ60上の用量マーキング「0」を見ることができる。
【0102】
デバイスの組立て中に印加された複数の事前に巻かれているターンを有するねじりばね90は、数字スリーブ60にトルクを印加し、ゼロ用量当接部によって回転が防止される。
【0103】
使用者は、用量セレクタ80を時計回りに回転させることによって、液体薬剤の可変用量を選択する。用量セレクタ80を時計回りに回転させることで、数字スリーブ60内で同一の回転が生成される。数字スリーブ60の回転は、ねじりばね90の付勢を引き起こし、ねじりばね90に貯蔵されるエネルギーを増大させる。数字スリーブ60が回転するにつれて、ゲージ要素110は、そのねじ係合によって軸方向に並進運動し、それによってダイヤル設定された用量の値またはサイズを示す。この値またはサイズは、単位投与量増分の整数倍またはデバイスの設定可能な最小用量、たとえば1IUまたは5IUとすることができる。ゲージ要素110は、設定された用量の数字だけが使用者に見えることを確実にするために、ダイヤル設定された用量に隣接して数字スリーブ60上に印刷された数字を覆うフランジを、窓区域の両側に有する。
【0104】
この実施形態の特有の構成は、このタイプのデバイスで典型的な個別の用量数字ディスプレイに加えて、視覚フィードバック機能を含むことである。ゲージ要素110の遠位端は、ハウジング10内の小さい窓11aを通して摺動スケールを作成する。代替として、摺動スケールは、異なる螺旋トラック上の数字スリーブ60に係合された別個の構成要素を使用して形成することもできる。
【0105】
使用者によって用量が設定されるとき、ゲージ要素110は軸方向に並進運動し、その距離は設定された用量の大きさに比例して動かされる。この機能は、設定された用量の近似サイズに関する明瞭なフィードバックを使用者に与える。自動注射器機構の投薬速度は、手動の注射デバイスの場合より速くすることができ、したがって投薬中に数値用量ディスプレイを読み取ることが可能でないことがある。ゲージ機能は、投薬中に、用量数字自体を読み取る必要なく、投薬の進捗に関するフィードバックを使用者へ提供する。たとえば、ゲージディスプレイは、ゲージ要素110上の不透明な要素が、下にある対照的に色付きの構成要素を見せることによって形成することができる。別法として、より精密な分解能を提供するために、見せることができる要素に粗い用量数字または他の指標を印刷することができる。加えて、ゲージディスプレイは、用量設定および投薬中にシリンジ動作をシミュレートする。
【0106】
駆動スリーブ40は、用量が設定されて数字スリーブ60が回転されるとき、そのスプライン歯とハウジング10の歯との係合によって、回転が防止される。したがって、ラチェットインターフェースを介して、クラッチ板120と駆動スリーブ40との間に相対回転が生じるはずである。
【0107】
用量セレクタ80を回転させるために必要とされる使用者トルクは、ねじりばね90を巻き上げるために必要とされるトルクと、ラチェットインターフェースを緩めるために必要とされるトルクとの和である。クラッチばね130は、軸方向の力をラチェットインターフェースに提供し、クラッチ板120を駆動スリーブ40へ付勢するように設計される。この軸方向の負荷は、クラッチ板120および駆動スリーブ40のラチェット歯係合を維持するように作用する。ラチェットを用量設定方向に緩めるために必要とされるトルクは、クラッチばね130によって印加される軸方向の負荷、ラチェット歯の時計回りの傾斜角、嵌合面間の摩擦係数、およびラチェットインターフェースの平均半径に応じる。
【0108】
使用者が機構を1つの増分だけ増分させるのに十分に用量セレクタ80を回転させると、数字スリーブ60は、1つのラチェット歯だけ駆動スリーブ40に対して回転する。この時点で、ラチェット歯は、次の戻り止め位置に再係合する。ラチェットの再係合によって可聴クリックが生成され、必要とされるトルク入力の変化によって触覚フィードバックが与えられる。
【0109】
数字スリーブ60および駆動スリーブ40の相対回転が可能にされる。この相対回転はまた、最終用量ナット50をそのねじ経路に沿って駆動スリーブ40上のその最終用量当接部の方へ移動させる。
【0110】
用量セレクタ80に使用者トルクが印加されていない状態で、数字スリーブ60は次に、クラッチ板120と駆動スリーブ40との間のラチェットインターフェースのみによって、ねじりばね90によって印加されるトルクを受けて逆回転することが防止される。ラチェットを反時計回り方向に緩めるために必要なトルクは、クラッチばね130によって印加される軸方向の負荷、ラチェットの反時計回りの傾斜角、嵌合面間の摩擦係数、およびラチェット機能の平均半径に応じる。ラチェットを緩めるために必要なトルクは、ねじりばね90によって数字スリーブ60(したがってクラッチ板120)に印加されるトルクより大きくしなければならない。したがって、これが当てはまることを確実にしながら、ダイヤルアップトルクが可能な限り低いことを確実にするために、ラチェット傾斜角は反時計回り方向に増大される。
【0111】
使用者は次に、用量セレクタ80を時計回り方向に引き続き回転させることによって、選択された用量を増大させることを選ぶことができる。数字スリーブ60と駆動スリーブ40との間のラチェットインターフェースを緩めるプロセスは、各用量増分に対して繰り返される。各用量増分に対してねじりばね90内に追加のエネルギーが貯蔵され、ラチェット歯の再係合によってダイヤル設定された各増分に対して可聴および触覚フィードバックが提供される。用量セレクタ80を回転させるために必要とされるトルクは、ねじりばね90を巻き上げるために必要とされるトルクが増大するにつれて増大する。したがって、ラチェットを反時計回り方向に緩めるために必要とされるトルクは、最大用量に到達したときにねじりばね90によって数字スリーブ60に印加されるトルクより大きくしなければならない。
【0112】
使用者が最大用量限界に到達するまで選択用量を引き続き増大させた場合、数字スリーブ60は、ゲージ要素110の最大用量当接部上でその最大用量当接に係合する。これにより、数字スリーブ60、クラッチ板120、および用量セレクタ80のさらなる回転が防止される。
【0113】
用量の選択中、どれだけ多くの増分が機構によってすでに送達されたかに応じて、最終用量ナット50は、その最終用量当接部を駆動スリーブ40の止め面に接触させることができる。この当接により、数字スリーブ60と駆動スリーブ40との間のさらなる相対回転が防止され、したがって選択することができる用量が制限される。最終用量ナット50の位置は、使用者が用量を設定するたびに生じた数字スリーブ60と駆動スリーブ40との間の相対回転の総数によって判定される。
【0114】
機構が、用量が選択された状態にあるとき、使用者は、任意の数の増分をこの用量から選択解除または減分することが可能である。用量の選択解除は、使用者が用量セレクタ80を反時計回りに回転させることによって実現される。使用者によって用量セレクタ80に印加されるトルクは、ねじりばね90によって印加されるトルクと組み合わせたとき、クラッチ板120と駆動スリーブ40との間のラチェットインターフェースを反時計回り方向に緩めるのに十分になる。ラチェットが緩められると、数字スリーブ60の反時計回りの回転が生じ(クラッチ板120を介する)、それにより数字スリーブ60はゼロ用量位置の方へ戻り、ねじりばね90は緩められる。数字スリーブ60と駆動スリーブ40との間の相対回転により、最終用量ナット50はその螺旋経路に沿って最終用量当接部から離れる方へ戻る。
【0115】
機構が、用量が選択された状態にあるとき、使用者は、用量の送達を開始するように機構を起動することが可能である。用量の送達は、使用者がボタン70を遠位方向へ軸方向に押し下げることによって開始される(図3b)。
【0116】
ボタン70が押し下げられたとき、ボタン70と数字スリーブ60との間のスプラインが係合解除され、ボタン70および用量セレクタ80を送達機構から、すなわち数字スリーブ60、ゲージ要素110、およびねじりばね90から回転可能に切り離す。ボタン70上のスプラインは、ハウジング10上のスプラインに係合し、投薬中のボタン70(したがって用量セレクタ80)の回転を防止する。ボタン70は投薬中に静止しているため、投薬クリッカ機構内で使用することができる。ハウジング10内の止め具機能が、ボタン70の軸方向の移動を制限し、使用者によって印加される軸方向の乱用負荷に反応して、内部構成要素を損傷するリスクを低減させる。
【0117】
クラッチ板120および駆動スリーブ40は、ボタン70とともに軸方向に移動する。これにより、駆動スリーブ40と数字スリーブ60との間のスプライン歯インターフェースが係合し、投薬中の駆動スリーブ40と数字スリーブ60との間の相対回転を防止する。駆動スリーブ40とハウジングインサート12との間のスプライン歯インターフェース18、41が係合解除され、したがって駆動スリーブ40はここで回転することができ、数字スリーブ60およびクラッチ板120を介してねじりばね90によって駆動される。
【0118】
駆動スリーブ40の回転により、ピストンロッド30がこれらのスプライン係合によって回転し、次いでピストンロッド30が、ハウジング10へのそのねじ係合によって前進する。数字スリーブ60の回転はまた、ゲージ要素110を軸方向後方にそのゼロ位置へ横断させ、それによってゼロ用量当接部が機構を停止する。
【0119】
クラッチ板120に一体化されたコンプライアントなカンチレバークリッカアームを介して、用量投薬中の触覚フィードバックが提供される。このアームは、ボタン70の内面のラチェット機能と径方向にインターフェース連結され、それによってラチェット歯の間隔は、単一の増分投薬に必要とされる数字スリーブ60の回転に対応する。投薬中、数字スリーブ60が回転し、ボタン70がハウジング10に回転可能に連結されると、ラチェット機能は、クリッカアームに係合して、各用量増分が送達されるとともに可聴クリックをもたらす。
【0120】
用量の送達は、使用者がボタン70を引き続き押し下げている間、上述した機械的相互作用を介して継続する。使用者がボタン70を解放した場合、クラッチばね130は駆動スリーブ40をその「静止」または初期位置へ(クラッチ板120およびボタン70とともに)戻し、駆動スリーブ40とハウジング10との間のスプラインを係合させて、さらなる回転を防止し、用量送達を停止する。
【0121】
用量の送達中、駆動スリーブ40および数字スリーブ60はともに回転し、したがって最終用量ナット50の相対運動は生じない。したがって、最終用量ナット50は、ダイヤル設定中にのみ、駆動スリーブ40に対して軸方向に移動する。
【0122】
用量の送達が停止された後、数字スリーブ60がゼロ用量当接部へ戻ることによって、使用者はボタン70を解放することができ、それにより駆動スリーブ40とハウジング10との間のスプライン歯を再係合させる。この機構は次に、「静止」状態へ戻る。
【0123】
用量投薬の終了時に、投薬中に提供される「クリック」とは異なる「クリック」の形態で、追加の可聴フィードバックが提供され、数字スリーブ60上のクリッカアームと駆動スリーブ40上の傾斜ならびにゲージ要素110上のカムおよび凹部との相互作用を介して、デバイスがそのゼロ位置へ戻ったことを使用者に通知する。この実施形態により、用量送達の終了時にのみフィードバックを生み出すことが可能になり、ゼロ位置へ戻る方またはゼロ位置から離れる方へデバイスがダイヤル設定された場合、フィードバックは生み出さない。
【0124】
上記で論じた薬物送達デバイスは、機構を増分させることによって事前に設定された任意の数の用量の投与量増分を選択解除または減分するように構成される。上記で開示した機構は、設定用量を減少させるために、ラチェットを緩めることを利用する。このラチェットは、ばねによってかけられる連続して増大するトルクに耐えることが可能でなければならず、ばねによってかけられるトルクは、設定用量のサイズ、すなわち用量が含む単位増分の数とともに増大する。したがって、ラチェットを緩めることは、著しい力を必要とすることがあり、かつ/または著しいノイズを生成することがある。
【0125】
本開示において、「軸方向」、「角度方向」、「円周方向」、または「径方向」を指すとき、これらの方向が指定される軸は、それぞれの構成要素もしくは部材の軸、ハウジングの軸、特にハウジングの主長手方向軸、構成要素もしくは部材が回転する回転軸、および/または薬物送達デバイスの軸、特にデバイスの主長手方向軸とすることができる。軸は、デバイスの近位端および/または遠位端を通って延びるように向けることができる。特に、近位または遠位方向は、軸に平行となることができ、かつ/または軸に沿った方向とすることができる。
【0126】
ハウジングは好都合には静止しており、したがって構成要素または部材が回転しかつ/または軸方向に動く場合、常にハウジングに対して動く。これらの構成要素または部材は、共通の回転軸の周りを回転するように配置することができる。回転軸は、それぞれの部材を通って延びることができる。
【0127】
上記で論じた薬物送達デバイスは、数字スリーブまたは用量インジケータ60を回転させることによって用量が設定されるときにドライバまたは駆動スリーブ40上の案内トラックに沿って変位される追跡部材として、ナット50を含む。したがって、上記におけるナットへの参照は、追跡部材への参照であると見なすことができる。案内部材への参照は、ドライバまたは駆動スリーブ40への参照であると見なすことができる。用量設定部材への参照は、数字スリーブ60または用量セレクタ80を参照すると見なすことができる。しかし、異なる設計の機構が使用された場合、数字スリーブまたは用量インジケータ60が、用量設定部材として作用することができる。ドライバが用量設定部材として働くことも可能である。ドライバ40は、好ましくは、ピストンロッドに直接係合する。ボタン70は、用量設定部材を使用して用量が設定されたときに前述した用量投薬動作を開始するために使用される作動部材として使用することができ、またはそのような作動部材に対応することができる。作動部材が使用者によって動かされたとき、機構を用量設定動作モードから用量投薬動作モードへ切り換えることができる。ボタンを押下することによって、ボタンは、互いに軸方向に、好ましくは軸方向のみにずらされた第1の位置または初期位置から、第2の位置または投薬位置へ動かされる。ボタンは、解放されると、再び初期位置の方へ戻される。作動部材またはボタンは、解放されると、ばねによって初期位置へ戻される。上記で論じた機構では、ボタンの解放は、用量投薬手順を中断させる。したがって、ボタンは、用量投薬手順全体にわたって押下されなければならない。しかし、本明細書に開示する概念はまた、ボタンが押下された後、たとえばボタンを解放することを介して用量送達動作を中断させるという選択肢なく用量が投薬されるデバイスに対しても機能する。
【0128】
ドライバ40の案内トラックまたは螺旋トラックに沿って見た終了位置から追跡部材50までの距離は、上記で論じたように、カートリッジ100内に残っている薬物の量によって特有である。カートリッジ100は、たとえばガラスのカートリッジ本体と、カートリッジ本体の近位端を封止して閉じる栓とを含み、この栓は、カートリッジ本体の遠位端の方へ動かされたとき、特にたとえばニードルユニットによってカートリッジの内部と外部との間の流体連通が確立されているとき、カートリッジまたはカートリッジ本体内の開口部を通ってカートリッジ本体の内部から液体薬物を投薬する。針がなければ、カートリッジの遠位端または投薬端をセプタムによって封止することができる。セプタムは、カートリッジホルダ20の遠位端に取り付けることができるニードルユニットの針によって穿孔可能とすることができる。カートリッジホルダ20は、カートリッジを受けるように設計することができる。カートリッジの構成要素は、ニードルユニットと同様に図面では明示的に示されていない。
【0129】
導入部ですでに論じたように、カートリッジの内容物(の端部)が、追跡部材またはナット50を使用して、特に案内トラックに沿ったその位置を介して追跡される。追跡部材を用量設定および駆動機構に連結することが有利であり、したがって追跡部材は、用量設定駆動機構の少なくとも1つまたは厳密に1つの用量送達動作が開始されて初めて、駆動スリーブ上の案内トラックに対して変位され、すなわち機構を用量設定動作モードから用量送達動作モードへ切り換えるために、作動部材またはボタン70を少なくとも一度作動させなければならず、たとえば少なくとも一度動かさなければならない。したがって、最初の用量設定動作を使用して、ピストンロッドの遠位端とカートリッジ内の栓の近位端との間の所望の初期距離または間隙を実現するように、ハウジング10に対するピストンロッドの位置を調整することができる。この距離は、設定可能用量の1つの単位増分に対応する距離以下とすることができる。1つの増分の用量または設定可能な最小サイズの用量を設定することは、用量設定中、45°以下、たとえば40°以下、および/または5°以上、たとえば10°以上、たとえば30°の用量設定部材の回転を伴うことができる。したがって、初期間隙が製造者によって調整された後に使用者が最初の用量を厳密に設定することができるように、初期距離がゼロより大きいが可能な限り小さいことが確実になる。また、すでに論じたように、カートリッジの過充填が回避される。初期間隙は、設定可能な最小用量または1つの単位投与量増分の用量に対する用量送達動作が完了したときにピストンロッドがハウジングに対して変位される距離以下とすることができる。初期間隙および/または1つの単位投与量増分に対応する距離は、以下の値:0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mmのうちの1つ以上とすることができる。別法または追加として、初期間隙および/または1つの単位投与量増分に対応する距離は、以下の値:2mm、1.5mm、1mm、0.5mmのうちの1つ以下とすることができる。
【0130】
上記で論じたデバイスに好適な連結機構の一実施形態について、そのような連結機構の動作を概略的に示す図6に関連して、A~Eで示したいくつかの図に基づいて以下に論じる。図6に、1つの用量送達動作が開始されて初めて、用量設定中に追跡部材が案内トラックに対して動かされるように、追跡部材を用量設定および駆動機構に連結する際に必要とされる用量設定および駆動機構の主要構成要素の概略図が示されている。(最初の)送達動作の開始前の用量設定動作は、案内トラックに沿った追跡部材の位置に影響しない。図6の図では、例示の目的で、ハウジングまたは本体10は示されていない。また、ピストンロッドも明示的に示されていない。しかし、それにもかかわらず、上記で論じた構成要素のいくつかおよび/またはすべてが、論じた機構内に存在することができる。
【0131】
図6に示すように、案内部材40(ドライバ)が、用量設定部材60(数字スリーブ)内に受け入れられる。しかし、他の配置も同様に可能である。案内部材および/または用量設定部材は、スリーブとすることができる。案内部材40は、案内トラック42を含む。案内トラックは、案内部材の外面に配置することができる。追跡部材50は、案内トラックに係合し、案内トラックに対して終了位置43の方へ移動するように設けられる。終了位置43は、この実施形態において、エンドストップ、好都合には角度エンドストップによって画成され、またはそのようなエンドストップを形成する。示されているように、案内トラック42は、螺旋ねじ山またはトラック44を含む。案内トラック42は、螺旋トラック44に加えて、追加のセクションを有することができる。示されている実施形態において、案内トラック42は、軸方向に延びるセクションまたは軸方向セクション45を有し、セクション45は、螺旋ねじ付セクション、すなわち螺旋ねじ山44に対して近位に配置することができる。軸方向セクション45は、螺旋ねじ山44につながることができる。したがって、セクション44および45は、異なるセクションを有する連続トラックを形成することができる。
【0132】
図A図Eは、アセンブリの異なる状態を示す。図Aで、追跡部材50は、用量設定および駆動機構からデカップリングされており、すなわち機構は、その初期または非連結状態にある。矢印は、送達予定の用量を設定するための、示されていないハウジングに対する数字スリーブ/用量設定部材60の回転を示す。追跡部材50は、係合機能51、たとえば突起、好ましくは径方向向きの突起を介して、案内トラック、たとえば案内部材に連結され、たとえば回転不能にロックされる。
【0133】
追跡部材50は、用量設定部材60の回転ロッキング機能61、たとえば軸方向に延びるスプラインから係合解除されている。したがって、用量設定部材60は、図Aの状況で、用量設定中に案内トラック、案内部材、および/または追跡部材に対して回転する。追跡部材50が、軸方向に延びるセクション45に係合すると、駆動スリーブ/案内部材および/または案内トラックに対する追跡部材の回転運動が防止される。示されているように、追跡部材50が用量設定部材または数字スリーブ60の機能62に摩擦係合した場合、用量設定部材60から追跡部材50へ力を伝達することができるため、相対回転も防止することができる。機能62は、ロッキング機能とすることができ、付勢することができ、たとえば径方向および/または内方へ付勢することができる。図Aの設定運動は、案内トラック42に対する追跡部材50の相対位置に影響しない。特に、追跡部材50は、案内トラック42の螺旋トラック44から係合解除されている。
【0134】
図Aで設定される用量のサイズは、好都合には、次の用量送達動作中にピストンロッドがハウジングに対して特定の変位距離だけ変位され、したがってその特定のカートリッジがカートリッジユニットに入った状態でカートリッジユニットがハウジングに連結されたとき、ハウジングまたはカートリッジの栓に対して所望の位置を取るように選択される。ピストンロッドをどの距離だけ変位させるべきかを判定する前に、カートリッジホルダおよび/またはカートリッジ本体に対する栓位置を判定することが好都合である。次いで、設定される用量は、用量送達動作によって、ピストンロッドを栓に対して所望の位置へ動かすように選択される。カートリッジユニットおよびハウジングは、たとえばねじ連結またはバヨネット連結などのフォームフィット連結のために、好都合には相互に対応する連結機能によって連結される。特に、それぞれの連結機能の軸方向位置は、それぞれの構成要素に対して固定することができ、好ましくは、連結が確立される区域は、連結予定の構成要素に対して移動させることができない。したがって、用量設定および駆動機構を使用してピストンロッドの位置を調整することによって、用量設定および駆動機構を用いる組立てまたは製造中に、栓およびピストンロッドの画成された初期位置、特に画成された初期間隙を、薬物送達デバイスに対して実現することができ、次いで、組み立てられたデバイスは、使用者または患者へ提供される。したがって、薬物送達デバイスのセットでは、ピストンロッドと栓との間の距離の揺らぎを小さく、たとえば栓の近位面とカートリッジもしくはカートリッジ本体の近位縁部との間の距離の揺らぎより小さく、かつ/または1つの単位投与量増分および/もしくは上記および/もしくは下記でさらに言及した値に対応する距離より小さくすることができる。
【0135】
図Bで、作動部材は、使用者によって作動され、たとえばボタン70が押下される。この場合も、動きは矢印によって示されている。作動部材70は、第1の位置から第2の位置へ動かされ、第2の位置は、第1の位置から遠位にずれている。この動きは、用量設定および駆動機構の用量送達動作を開始またはトリガする。ボタンが押し下げられている間に、事前に設定された用量が投薬される。図Bから明らかなように、作動部材70が作動されたとき、案内部材40および案内部材40とともに追跡部材50も同様に、特に用量設定部材60に対して、軸方向に、たとえば遠位に変位される。
【0136】
図Aのロッキング機能62は、径方向内方へ付勢することができる。ロッキング機能62は、径方向に、たとえば内方へ付勢される可撓性アームまたは弾性に取り付けられたアームもしくはフィンガとすることができる。図Aでは、径方向内方への動きは、追跡部材50によって防止される。用量送達動作の開始のためにロッキング機能62が軸方向に変位されたときに、追跡部材50がロッキング機能62を通過した後、径方向(内方へ)の動きが可能になり、ロッキング機能62は、付勢によって動く。ロッキング機能62は、それぞれの機能が追跡部材と径方向に重複する位置へ動き、それによって追跡部材が案内トラック、案内部材、および/または用量設定部材に対して近位方向に動かされることを防止する。また、第1の位置の方への作動部材70の運動中、追跡部材50は、用量設定部材60の回転ロッキング機能61の1つまたはそれ以上に係合される。
【0137】
作動部材70は、解放されたとき、すでに論じたように、クラッチばね130などのばねのために、その第1の位置の方および/またはその第1の位置へ戻る。しかし、追跡部材50は、特にロッキング機能および/またはねじ山44とのその係合のために、定位置に留まる。この動きが、図Cに矢印によって示されており、この動きは、図Cですでに完了している。したがって、案内トラックおよび/または案内部材は、図Cで追跡部材に対して軸方向に変位されており、または逆も同様である。ここで追跡部材は、螺旋ねじ山またはトラック44に沿ってその初期位置を取っている。この図は、製造者によって送達されるとき、すなわちカートリッジが依然として満杯であるときのデバイスの状態を示す。
【0138】
使用者はここで、用量設定および駆動機構の次の通常動作において、用量設定および送達動作を開始することができる。ここで追跡部材50は、追跡部材50上の対応する機能52、たとえば円周方向に配置されかつ/または径方向に向けられた歯に係合する係合機能51および回転ロッキング機能61によって、用量設定および駆動機構に連結される。
【0139】
係合機能51は、図Aの下部の線A-Aに沿った断面図から明らかなように、追跡部材から径方向内方へ突出することができる。対応する機能52は、追跡部材50から径方向外方へ突出することができる。
【0140】
回転ロッキング機能61および/または対応する機能52は、単位投与量増分に従ってピッチを調整することができる。すなわち、用量送達動作が開始されたとき、たとえば作動部材が初めて作動されたとき、各設定可能用量に対して連結機構を係合させることができる。特に、2つの隣接する機能61および/または52、好ましくはいずれか任意の2つの隣接する機能52および/または61を、1つの単位増分に対応する角度、すなわち1つの単位投与量増分の用量を設定するために用量設定部材を回転させなければならない角度だけ分離することができる。
【0141】
案内トラックに沿った追跡部材50の初期位置は、図Cに示されている位置である。軸方向に延びるセクション45の軸方向の延長は、作動部材の第1の位置と第2の位置との間の軸方向の距離に合わせて調整されなければならない。特に、係合機能51の近位向き表面と、(螺旋)ねじ山44の範囲を定める遠位向き表面との間の距離は、好ましくは、第1の位置と第2の位置との間の距離以下である。作動部材70の前の第1の位置は、図Bに破線によって示されている。
【0142】
図Dは、デバイスが送達された状態にあるときの次の用量設定動作、すなわち図Cの状況から開始することを示す。ここで追跡部材は用量設定部材に回転不能にロックされており、したがって用量設定部材の回転に追従するため、用量設定部材60の回転の結果、追跡部材50および案内トラックの相対回転が生じる。案内トラック/案内部材40は、好ましくは、用量設定中にハウジングに対して回転しない。追跡部材50と案内トラック42との間の相対回転の結果、案内トラックまたは螺旋ねじ山44に沿って追跡部材の変位が生じる。
【0143】
図Eは、係合機能51が案内トラックの終了位置に到達し、特にエンドストップに当接した状況を示す。したがって、この位置で、用量のサイズをさらに増大させることが可能でなくなる。好ましくは、用量を減少させることは依然として可能である。
【0144】
設定することができるすべての用量に対して可能な切換え位置を有する代わりに、回転ロッキング機能61および/または対応する機能52はまた、1つの単位増分に対応する角度より大きい角度でピッチを調整することもできる。次いで、追跡部材が用量設定および駆動機構に連結される連結状態への用量設定および駆動機構の切換えを可能にする別個の設定可能用量のみが存在することができる。これはまた、所望の作用を及ぼすことができるが、ピッチは細かければ細かいほどよく、それは組立てプロセス中の栓とピストンロッドとの間の初期間隙の特定の正確な調整がさらに可能になるからである。
【0145】
回転ロッキング機能61の軸方向の延長は、好ましくは、螺旋トラック44の軸方向の延長と、作動部材70が第1の位置から第2の位置へ動かされる距離との和と、少なくとも同じ大きさである。本発明の設計において、この距離は設定用量に関係しない。
【0146】
この実施形態において、図Aに示す非連結状態から図B図C図D、および図Eに示す連結状態への連結機構の切換えは、用量投薬または送達動作の始めまたは開始時に、作動部材の動きを追跡部材へ伝達することによって実行される。追跡部材を案内トラックのねじ山に連結するための案内トラックおよび追跡部材の相対運動は、ばねによって実行される。しかし、作動部材の動きを直接使用して、追跡部材および案内トラックを互いに対して変位させ、追跡部材をねじ山に連結することも考えられる。
【0147】
代替として、機構が非連結状態にある用量設定中、追跡部材を案内部材および用量設定部材の両方に回転不能にロックすることも可能なはずであり、この場合、連結状態で追跡部材と案内トラックとの間の相対回転が可能になり、好都合にはその結果、追跡部材と案内トラックとの間の相対変位が生じる。次いで、追跡部材は、設定用量が増大されるにつれて、終了位置のより近くへ動かすことができる。
【0148】
また、他の構成も可能であり、機構がその非連結状態にあるとき、用量設定動作が実行されている間に追跡部材と終了位置との間の距離が低減されることが回避される。本明細書に与える例は、単なる例示である。同様に、案内トラックを用量設定および駆動機構の可動部材上に設ける必要はない。逆に、案内トラックをハウジング上に設けることもできる。
【0149】
別法または追加として、非連結状態で追跡部材が案内トラックからデカップリングされ、たとえば案内トラックに対して自由に回転可能であり、または案内トラックが追跡部材に対して自由に回転可能である、連結機構を提供することが可能である。このとき追跡部材は、非連結状態で用量設定部材に回転不能にロックすることができる。追跡部材および案内トラックは、機構を非連結状態から連結状態へ切り換えるために、互いに対して、たとえば軸方向に動かすことができ、連結状態で、追跡部材は案内トラックに係合する。案内トラックは、螺旋トラックとすることができる。このとき連結状態で、用量設定中、案内トラックに沿った終了位置から追跡部材までの距離は、設定用量のサイズを示す量だけ低減される。この解決策において、たとえば各設定可能用量に対して、または設定可能用量の一部のみに対して、構成要素によって取られる複数の相対回転位置で、案内トラックおよび追跡部材の係合を可能にするために、複数の引込み機能または引込み斜面を有することが有利である。この目的で、多条ねじ山が好適である。
【0150】
図7は、Novo Nordisk社によって販売されているデバイスであるFlexPenに関するEP1570876B1に開示されている従来技術デバイスで、図6に関連して上記で論じた解決策をどのように実施することができるかを示す。従来技術における解決策とは異なり、従来技術デバイスの現在の設計におけるカートリッジ内容物追跡機構の端部に対する解決策を示す図面の左側の最下位置から、上述したものに本質的に対応する本明細書に提案する解決策を反映した右図の近位位置へ、追跡部材50を動かさなければならない。したがって、作動部材70の動きを追跡部材50へ伝達して、連結機構を非連結状態から連結状態へ切り換えることができる。
【0151】
従来技術デバイスの図の左から右へ延びる線は、提案されている解決策のどの要素が、従来技術デバイスのどの要素に対応するかを示す。EP1570876B1の開示は、デバイス設計に関する機能および他の細部に関係する限り、参照によって本明細書に組み入れる。左図は、従来技術文献から得たものであり、そのため参照番号は本開示の要素を反映するのではなく、従来技術文献の要素を指す。
【0152】
したがって、図6に提示する解決策は広範囲の薬物送達デバイスにも適用可能であることが、容易に明らかである。また、上述した他の解決策も、広範囲のデバイスに適用可能である。
【0153】
図8Aおよび図8Bは、薬物送達デバイスで実施されるのに好適な連結機構のさらに別の実施形態を示す。図8Aは、非連結状態にある連結機構を示し、図8Bは、その連結状態にある機構を示す。これらの図は、連結機構の動作に関連する主要構成要素の概略図に過ぎない。ピストンロッド、用量標示部材もしくは数字スリーブ、および/または薬物を収容するカートリッジなどのさらなる構成要素は、説明を分かりやすくする目的で、明示的に示されていない。機構は、用量設定部材150を含む。この実施形態において、用量設定部材は、ピストンロッド(明示せず)に係合する。ピストンロッドは、たとえばスリーブ状の用量設定部材150の内部で延びることができる。したがって、用量設定部材は、本発明のデバイスにおいて駆動部材として作用することができる。駆動部材として、用量設定部材は、用量送達動作中にピストンロッドへ力を伝達し、この力は、ピストンロッドを遠位に動かすために使用される。用量設定部材150は、内側ねじ山151を含む。内側ねじ山151は、ピストンロッド、たとえばピストンロッド上の外部ねじ山に係合するように構成される。示されているアセンブリは、ハウジング10をさらに含み、ハウジング10は、ピストンロッド、たとえばピストンロッドのねじ山に係合するように構成されたピストンロッド係合機能101を備える。係合機能101および150に係合されたねじ山は、ピストンロッドの異なるねじ山とすることができる。これらのねじ山は、反対の向きまたは同じ向きを有することができる。これらのねじ山は、異なるリードおよび/またはピッチを有することができる。用量設定部材150に係合するピストンロッドのねじ山は、係合機能101に係合するピストンロッドのねじ山より大きいピッチおよび/またはリードを有することができる。ピストンロッドのねじ山は、互いに軸方向にずらすことができる。異なるねじ山によって、機械的利益を実現することができ、それにより使用者が供給しなければならない力が低減されるため、使用者にとって薬物送達デバイスの動作が容易になる。上記で論じたデバイスとは異なり、本発明のデバイスは、好ましくは、完全に使用者駆動式であり、すなわち使用者が、送達動作に必要とされるすべての力を生成しなければならない。このデバイスの用量設定および駆動機構は、Sanofi-Aventis Deutschland GmbHによって販売されているSoloSTARデバイスで使用される機構に対応することができる。その特定のデバイスの概略的な構造は、WO2004/078239A1に開示されており、その内容は、特にデバイスおよびその構成要素の構造ならびにその動作の詳細に関して、参照によって本明細書に組み入れる。
【0154】
デバイスを動作させるために、用量設定部材150は、用量を設定するように、たとえば第1の方向に、ハウジング10に対して回転される。用量設定中、用量設定部材150は、ハウジング10に対して近位に動くことができる。したがって、デバイスの全長は、用量設定中、たとえば設定用量のサイズに比例する量だけ増大することができ、このことは、長さがまったくまたは少なくとも実質上変化しない上記でより詳細に論じたデバイスとは異なることがある。用量設定部材をハウジングに対して、第1の方向とは反対の第2の方向に回転させることによって、用量が設定された後、用量を低減させることができる。
【0155】
作動部材(ボタン)が使用者(明示せず)によって押下されたとき、機構は送達モードに切り換わる。送達モードで、用量設定部材は、たとえばクラッチ機構によって、ハウジングに対して回転不能にロックすることができるが、ハウジングに対して遠位方向へ軸方向に可動とすることができる。ねじ山151は、好ましくは、自己ロックしないねじ山であり、したがって軸方向運動をピストンロッドへ伝達することができ、ピストンロッドは、ピストンロッドへ伝達される軸方向の負荷によって回転される。ピストンロッドが回転したとき、ピストンロッドは、係合機能101とのその係合のために、この図の左側の遠位方向へ軸方向に変位される。
【0156】
示されているアセンブリは、追跡部材160、たとえばナットをさらに含む。追跡部材160は、案内トラック170と協働し、好ましくは案内トラック170に係合されるように構成され、案内トラック170は、たとえば螺旋ねじ山などのねじ山を含み、またはそのようなねじ山からなる。追跡部材は、連結状態および非連結状態で、案内トラック、特に(螺旋)ねじ山に係合させることができる。ねじ山は、一条ねじ山または多条ねじ山とすることができる。案内トラック170は、案内部材171上に設けることができる。追跡部材は、案内トラック150に係合される。また、追跡部材160は、ハウジング内に設けられた回転ロッキング機能102、たとえばスプライン機能に係合される。したがって、追跡部材は、ハウジングに対して回転することはできないが、ハウジングに対して軸方向に変位可能である。
【0157】
案内部材171がハウジング10に対して回転したとき、これにより追跡部材160と案内トラック170との間の相対回転が引き起こされ、その結果、追跡部材および案内トラックの相対変位が生じる。案内トラックは、追跡部材が案内トラックに沿って、用量設定全体にわたって終了位置のより近くに位置し、用量補正中は終了位置から離れて位置するように動かすことができる。追跡部材は、終了位置にあるとき、エンドストップ175に当接することができる。終了位置では、追跡部材がハウジングへのその連結のために回転可能でないことから、設定用量を増大させるための第1の方向への案内部材のさらなる回転を阻止することができる。このとき、設定用量をさらに増大させることができなくなる。代替の構成において、追跡部材は、上記で論じた案内部材と同じように、ハウジングにねじ係合することができ、ハウジングに対して可動の追跡部材キャリア部材にスプライン連結することができる。しかしこのとき、案内トラックはハウジング上に設けられる。
【0158】
図8Aに示す非連結状態で、用量設定部材150は、案内部材171から回転可能にデカップリングされる。用量設定部材150は、好ましくは自由に、案内部材に対して回転可能である。したがって、非連結状態で、用量設定部材150は、特に用量設定中、案内部材171および/または追跡部材160および/または案内トラック170に対して回転することができる。
【0159】
案内部材171および用量設定部材150は、非連結状態で、好ましくは解放可能に、互いに軸方向にロックすることができる。したがって、用量設定部材は、軸方向に変位されたとき、用量設定部材とともに案内部材を保持することができる。この目的で、好ましくは弾性を有しかつ/または径方向および/もしくは内方へ弾性変位可能である径方向外方へ突出するスナップ機能など、用量設定部材の1つまたはそれ以上のロッキング機能152を、用量設定部材上に設けることができる。ロッキング機能152は、案内部材上に設けられた1つまたはそれ以上の対応するロッキング機能172、たとえば1つの好ましくは円周方向に延びる凹部またはリングに係合することができ、これにより好都合には、案内部材171に対する用量設定部材150の360°またはそれ以上の完全な回転可能性が可能になる。したがって、用量設定中、非連結状態で、用量設定部材は、用量設定部材がハウジングに対して近位方向に変位されたとき、軸方向の連結によって、案内部材171を回転させて運搬することができる。しかし、追跡部材160および/または案内トラック/案内部材が非連結状態で用量設定部材150から回転可能にデカップリングされるため、この用量設定運動は、案内トラック170に沿った追跡部材160の相対位置に影響しない。
【0160】
ロッキング機能152は、好ましくは、軸方向ロッキング機能、すなわち2つの部材間の軸方向ロックを確立するように構成された機能であり、このロックは解放可能とすることができる。用量設定部材150は、1つまたは複数の回転ロッキング機能153、たとえば軸方向に延びる1つまたはそれ以上のリブをさらに含む。リブは、径方向の自由端を有することができる。案内部材171は、対応するロッキング機能173、たとえば嵌合リブを有することができる。
【0161】
ロッキング機能173および153は、互いに協働し、たとえば係合して、連結インターフェースとして回転ロックを確立するように構成される。回転ロックが確立されたとき、案内部材171および用量設定部材150はともに回転し、好ましくはこれらの2つの部材間の相対回転運動は可能でない。非連結状態で、回転ロッキング機能173および153は、たとえば互いに軸方向にずれるため、係合解除される。
【0162】
図8Aに示す状況のように、用量が設定され、次の用量投薬動作が開始されたとき、用量設定部材および案内部材は(たとえば、用量設定部材と案内部材との間に提供される軸方向連結のため)、ハウジング10に対して遠位方向に、すなわち図8Aの左側へ動かされる。遠位方向へのハウジング10に対する用量設定部材150および案内部材171の運動中、何らかの段階で、案内部材171は遠位エンドストップ103に当たり、案内部材171のさらなる遠位への動きが防止される。示されている実施形態において、遠位エンドストップ103は、係合機能101を保持する構造によって形成される。しかし、エンドストップは、他の構造によって同様に形成することもできることを理解されたい。案内部材171は、遠位エンドストップに当たったとき、ハウジング10に対して遠位方向に動くことができなくなる。しかし、用量設定部材150は、案内部材およびエンドストップに対して依然として可動である。用量設定部材150がハウジングおよび案内部材に対して遠位方向にさらに動かされると、回転ロッキング機能153および173が係合する。また、軸方向ロッキング機能152および172は係合解除される。機能152は、このプロセス中に内方へ曲げることができる。
【0163】
用量設定部材150が、ロッキング機能172とさらなるロッキング機能174との間の距離によって判定することができる所定の距離だけ、案内部材171に対して動いた後、ロッキング機能152は、ロッキング機能173に係合する。ロッキング機能174およびロッキング機能152は、案内部材171と用量設定部材との間に、好ましくは解放不能または恒久的な軸方向ロックを確立することができる。ロッキング機能174は、1つの好ましくは円周方向に延びる凹部もしくはリングとすることができ、またはそのような凹部もしくはリングを含むことができる。したがって、案内部材171と用量設定部材150との間の相対角度位置で、軸方向ロックを確立することができる。用量送達動作の終了時、すなわち図8Bに示す状況で、アセンブリは連結状態へ切り換えられている。したがって、連結状態で、用量設定部材150および案内部材171は、軸方向ロッキング機能174および152の協働によって軸方向にロックされ、ロッキング機能153および174の協働によって回転不能にロックされる。2つの異なるロッキングインターフェース、軸方向ロックのためのロッキングインターフェースおよび回転ロックのためのロッキングインターフェースを有する代わりに、たとえばロッキング機能174および152によって、複合型の回転および軸方向のロッキングインターフェースを実現することもできることが考えられる。それにもかかわらず、軸方向ロックおよび回転ロックのために別個のインターフェースを有することは、たとえば製造上の観点から、または信頼性に関して、異なるインターフェース機能間で負荷をより広く分散させることができるため、有利である。
【0164】
2つの部材間の相対軸方向運動によって回転ロックが可能になる、案内部材と用量設定部材との間の可能な相対回転または角度位置は、回転ロックを確立する回転ロッキング機能の構成および/または配置、たとえば角度ピッチに依存する。ロッキング機能153、173は、円周方向に配置することができる。これらの機能のピッチは、すべての設定可能用量に対して切換えを有効にするように選択することができ、すなわち1つの単位投与量増分に対応する角度、または設定可能な用量の一部のみ、好ましくは5つ、6つ、7つ、もしくは8つより大きい設定可能用量に対する角度に対応することができる。この機構では、図6に論じた機構とは対照的に、非連結状態から連結状態への切換えは、用量送達動作の終了時に、たとえば最も遠位に配置された部材が遠位エンドストップに当たったときに生じ、他方の部材は、2つの部材が回転不能および軸方向にインターロックされるまで、より遠くへ動かされる。
【0165】
上記で論じた解決策には、用量設定中、非連結状態で、追跡部材と案内トラックとの間の相対回転または角度位置が変化しないという利点がある。しかし、非連結状態で案内トラックと追跡部材との間の相対回転が生じる機構を有することも可能である。この場合、連結機構を実現するための1つの選択肢は、追跡部材が非連結状態で案内トラックから係合解除され、連結状態で案内トラックに係合される場合である。この場合、たとえば少なくとも機構の切換え可能用量に対応する相対角度位置で、追跡部材を案内トラックに係合させることができることを確実にするべきであり、案内トラックは、螺旋ねじ山とすることができ、または螺旋ねじ山を含むことができる。たとえば、そのような機構は、追跡部材が非連結状態で係合される自走領域によって実現することができ、自走領域は、案内トラックから軸方向にずれている。自走領域は、円周方向に延びるナットとして形成することができ、たとえば、追跡部材が自走領域内で案内されている間に、案内トラックに対する追跡部材の軸方向変位を伴うことなく、案内トラックまたは案内トラックを有する案内部材を追跡部材に対して回転させることができる。設定用量が投薬されたとき、追跡部材を案内トラックに対して、または案内トラックを追跡部材に対して、追跡部材が案内トラックに係合されるように動かすことができる。これは、たとえば、ハウジングの内側のピンまたは他の突出部分によって行うことができ、そのようなピンは、好ましくは用量送達動作の終了時に、追跡部材に係合し、したがって案内部材は、追跡部材に対して動かされ、それによって追跡部材および案内トラックを係合させる。案内トラックのねじ山の係合が複数の相対角度位置で可能であることを確実にするために、ねじ山および/または関連する引込み表面への複数の通路が、追跡部材の案内機能を案内して、ねじ山に係合させる。また、この目的で、多条ねじ山も有利である。それぞれのねじ山は、螺旋ねじ山とすることができる。
【0166】
非連結状態における案内トラック/螺旋ねじ山の係合解除に対する別法または追加として、別の選択肢は、非連結状態で、案内トラックを有していない部材、たとえばハウジングにスプライン連結されまたは回転不能にロックされたインターフェースから、追跡部材が係合解除されることである。この係合を確立して、連結状態へ切り換えることができる。非連結状態で、追跡部材は、案内トラックに対して係合または係合解除することができる。
【0167】
一実施形態において、連結インターフェースは、回転不能にロックされたインターフェース、たとえばスプライン付インターフェースとすることができる。非連結状態で、スプライン連結されまたは回転不能にロックされたインターフェースを確立することができる。別法として、非連結状態で、案内トラックと追跡部材との間の相対回転運動、特に自由な相対回転運動を可能とすることができる。別法として、連結インターフェースは、ねじ付インターフェースとすることができる。非連結状態で、ねじ付インターフェースを係合解除することができる。
【0168】
論じている実施形態において、連結インターフェースを確立することができる切換え可能用量または角度連結位置の数は、その数が様々な設定可能用量の総数より小さいときでも、以下の値:3、4、5、6、7、8、9、10のうちの1つ以上とすることができる。切換え可能用量の数は、以下の値:0.5TD、0.4TD、0.3TD、0.25TDのうちの1つ以下とすることができ、ここでTDは、設定可能用量の総数、すなわち設定可能な最小用量と設定可能な最大用量との間で設定可能な用量の数である。設定可能な最大用量は、たとえば80IUなど、50IUより大きくすることができる。
【0169】
一実施形態において、薬物送達デバイスのカートリッジまたはリザーバ内の薬物または医薬品有効成分、たとえばインスリンの濃度は、以下の値:カートリッジ内の液体1ml当たり150IU、カートリッジ内の液体1ml当たり200IU、カートリッジ内の液体1ml当たり250IU、カートリッジ内の液体1ml当たり275IU、カートリッジ内の液体1ml当たり300IUのうちの1つ以上である。別法または追加として、この濃度は、以下の値:カートリッジ内の液体1ml当たり500IU、カートリッジ内の液体1ml当たり450IU、カートリッジ内の液体1ml当たり400IU、カートリッジ内の液体1ml当たり350IUのうちの1つ以下とすることができる。
【0170】
一実施形態において、薬物送達デバイス内で、ピストンロッドと栓との間の好ましくはゼロより大きい初期距離、たとえば薬物を投与するために、または最初の使用前に薬物送達デバイスをプライミングするために、使用者または患者によって行われる場合など、連結機構がその連結状態にある状態で使用者によって最初の用量送達動作が開始される前の距離は、以下の値のうちの1つ以下である:
- 用量設定動作でアセンブリの用量設定および駆動機構によって設定可能な最小の用量によって判定され、もしくはそのような最小の用量に対応する変位距離、たとえば1つの単位投与量増分もしくは設定可能な最小用量に対応する変位距離未満、ならびに/または
- 非連結状態から連結状態への連結機構の切換えを可能にする、用量設定動作でアセンブリの用量設定および駆動機構によって設定可能な最小の用量、すなわち切換え可能な最小の用量に対応する距離、
- Nの単位投与量増分によって判定され、もしくはNの単位投与量増分に対応する変位距離、ここでNは、以下の値:1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20のうちの任意の1つである。
【0171】
一実施形態において、前述の実施形態に対する別法または追加として、ピストンロッドと栓との間の初期距離は、以下の値のうちの1つ以上である:
- Nの単位投与量増分によって判定され、もしくはNの単位投与量増分に対応する変位距離、ここでNは、以下の値:1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20のうちの任意の1つであり;ならびに/または
- 0.2mm、0.5mm、1mm、1.5mm、3mm。
【0172】
具体的には、初期距離は、1つの単位投与量増分の用量に対応する変位距離と、20の単位投与量増分の用量に対応する変位距離との間、たとえば1つの単位投与量増分の用量に対応する距離と、3つの単位投与量増分の用量に対応する距離との間とすることができる。
【0173】
初期距離が、1つの単位投与量増分に対応する距離より大きくなるように選択された場合、デバイスの初期状態で、すなわちデバイスが使用者によってプライミングされていないとき、ピストンロッドと栓との間に接触がないことを保証することができる。これにより、デバイスが初期状態にあるとき、デバイス内でカートリッジユニットとハウジングユニットのピストンロッドとの間に機械的応力が生じることが回避される。初期距離が、上述した値のうちの1つより小さい場合、カートリッジを過充填しなければならない量に依然として耐えることを実現することができる。好ましくは、初期距離は、5つの単位投与量増分、3つの単位投与量増分、または2つの単位投与量増分に対応する距離より小さい。次いで、特定の数、たとえば2つまたは3つの単位投与量増分の用量を設定し、その用量を投薬することによって、デバイスをプライミングすることができる。デバイスから液体が排出された場合、プライミングは成功した。
【0174】
一実施形態において、薬物送達デバイスのセットは、たとえばさらに上述したように、複数の薬物送達デバイスを含むことができる。デバイスは、同じ構造、たとえば部材数、部材間の連結、および/もしくは部材の設計を有することができ、同じ薬物を送達するために提供することができ、同じ充填レベルもしくは体積を有するカートリッジを有することができ、かつ/または異なるデバイスにおいて用量設定動作で設定されたすべての特定の用量に対してピストンロッドを同じ距離だけ変位させる同等の用量設定および駆動機構を有することができる。セット内のデバイスはすべて、さらに上述した値のうちの1つ以下および/または以上のピストンロッドと栓との間の初期距離または間隙を有することができる。セットは、50個またはそれ以上、100個またはそれ以上、または1000個またはそれ以上の薬物送達デバイスなど、10個またはそれ以上の薬物送達デバイスを含むことができる。
【0175】
別法または追加として、カートリッジ本体の近位縁部またはリムから栓の近位面までの距離の変動は、特にセットのすべてのデバイスにわたって得られる初期間隙の変動より大きくすることができる。
【0176】
たとえば、セットのすべてのデバイスにわたって得られる栓からピストンロッドまでの距離の最大値、すなわちセットの最大初期間隙と、セットのすべてのデバイスにわたって得られる栓からピストンロッドまでの距離の最小値、すなわちセットの最小初期間隙との間の差ΔGap;max/minは、以下の値:D1、D2、D3、D4、D5、D6、D7、D8、D9、D10、ΔBung;max/min、0.9ΔBung;max/min、0.8ΔBung;max/min、0.7ΔBung;max/min、0.6ΔBung;max/min、0.5ΔBung;max/min、0.4ΔBung;max/min、0.3ΔBung;max/min、0.2ΔBung;max/min、0.1ΔBung;max/min、0.05ΔBung;max/minのうちの1つ以下とすることができる。ここで、DX(X=1~10)は、用量送達動作中にXの単位投与量増分の用量を投薬するように用量設定動作が実行される前にピストンロッドが有した位置に対して、ピストンロッドが送達動作中に遠位に変位される変位距離とすることができる。DXは、Xの単位投与量増分の用量に対応する変位距離とすることができる。ΔBung;max/minは、セットのすべてのデバイスにわたって得られるカートリッジ本体の近位端から栓までの距離の最大値、すなわち近位端がセット内のすべてのカートリッジのカートリッジ本体の近位端から離れて最も遠い栓と、セットのすべてのデバイスにわたって得られるカートリッジ本体の近位端から栓までの距離の最小値、すなわち近位端がセット内のすべてのカートリッジのカートリッジ本体の近位端のより近くに位置するが、好ましくは依然としてそこから遠位にずれている栓との間の差とすることができる。セットのすべてのデバイスは、D1以上の初期間隙または初期距離を有することができる。
【0177】
上記で論じたデバイスは、好ましくは、使い捨ての薬物送達デバイスである。ここで、追跡部材を用量設定および駆動機構に連結する前に初期間隙を調整する利点は、特に非常に大きい。
【0178】
「医薬品」、「薬剤」または「薬物」という用語は、本明細書で用いられる場合、好ましくは、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで、一実施形態では、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daまでの分子量を有し、かつ/あるいはペプチド、タンパク質、多糖、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体もしくはそのフラグメント、ホルモン、もしくはオリゴヌクレオチド、または上述した薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、さらなる実施形態では、薬学的に活性な化合物は、糖尿病もしくは糖尿病に伴う合併症、たとえば、糖尿病性網膜症、血栓塞栓障害、たとえば、深部静脈血栓塞栓症もしくは肺血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、アンギナ、心筋梗塞、癌、黄斑変性、炎症、枯草熱、アテローム硬化症および/または関節リウマチの治療および/または予防に有用であり、
ここで、さらなる実施形態では、薬学的に活性な化合物は、糖尿病または糖尿病に伴う合併症、たとえば、糖尿病性網膜症の治療および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、さらなる実施形態では、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンもしくはヒトインスリンアナログもしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)もしくはそのアナログもしくは誘導体、もしくはエキセンジン-3もしくはエキセンジン-4またはエキセンジン-3もしくはエキセンジン-4のアナログもしくは誘導体を含む。
【0179】
インスリンアナログは、たとえば、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;位置B28のプロリンがAsp、Lys、Leu、ValまたはAlaに置き換えられたうえに位置B29のLysがProに置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28-B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリンおよびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0180】
インスリン誘導体は、たとえば、B29-N-ミリストイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-パルミトイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-ミリストイルヒトインスリン;B29-N-パルミトイルヒトインスリン;B28-N-ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28-N-パルミトイル-LysB28ProB29ヒトインスリン;B30-N-ミリストイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30-N-パルミトイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29-N-(N-パルミトイル-γ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(N-リトコリル-γ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-des(B30)ヒトインスリンおよびB29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0181】
エキセンジン-4は、たとえば、H-His-Gly-Glu-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Leu-Ser-Lys-Gln-Met-Glu-Glu-Glu-Ala-Val-Arg-Leu-Phe-Ile-Glu-Trp-Leu-Lys-Asn-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser-NH2の配列のペプチドであるエキセンジン-4(1-39)を意味する。
【0182】
エキセンジン-4誘導体は、たとえば、以下のリストの化合物:
H-(Lys)4-desPro36,desPro37エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-(Lys)5-desPro36,desPro37エキセンジン-4(1-39)-NH2、
desPro36エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14 Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14 Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39);もしくは
desPro36[Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14 Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14 Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39)、
(ここで、基-Lys6-NH2が、エキセンジン-4誘導体のC-末端に結合していてもよい);
【0183】
もしくは、以下の配列のエキセンジン-4誘導体:
desPro36エキセンジン-4(1-39)-Lys6-NH2(AVE0010)、
H-(Lys)6-desPro36[Asp28]エキセンジン-4(1-39)-Lys6-NH2、
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-Asn-(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-Asn-(Glu)5-desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-(Lys)6-desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-Lys6-NH2、
H-desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-Asn-(Glu)5-desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-Asn-(Glu)5-desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-(Lys)6-desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-Lys6-NH2、
desMet(O)14 Asp28 Pro36,Pro37,Pro38 エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-Asn-(Glu)5-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-Asn-(Glu)5 desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-Lys6-desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-Lys6-NH2、
H-desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-Asn-(Glu)5-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(S1-39)-(Lys)6-NH2、
H-Asn-(Glu)5-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2;
または前述のいずれか1つのエキセンジン-4誘導体の薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物
から選択される。
【0184】
ホルモンは、たとえば、Rote Liste、2008年版、50章に列挙されている脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたはレギュラトリー活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニスト、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(Somatropine)(ソマトロピン(Somatropin))、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、リュープロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンである。
【0185】
多糖は、たとえば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリンもしくは超低分子量ヘパリンもしくはそれらの誘導体、もしくは硫酸化形たとえばポリ硫酸化形の上述した多糖、および/またはそれらの薬学的に許容可能な塩である。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容可能な塩の例は、エノキサパリンナトリウムである。
【0186】
抗体は、基本構造を共有するイムノグロブリンとしても公知の球状血漿タンパク質(約150kDa)である。これらは、アミノ酸残基に付加された糖鎖を有するので、糖タンパク質である。各抗体の基本的な機能単位はイムノグロブリン(Ig)単量体(Ig単位のみを含む)であり、分泌型抗体は、IgAなどの2つのIg単位を有する二量体、硬骨魚のIgMのような4つのIg単位を有する四量体、または哺乳動物のIgMのように5つのIg単位を有する五量体でもありうる。
【0187】
Ig単量体は、4本のポリペプチド鎖;システイン残基間のジスルフィド結合によって結合した2本の同一の重鎖および2本の同一の軽鎖からなる「Y」字型の分子である。各重鎖は約440アミノ酸長であり、各軽鎖は約220アミノ酸長である。重鎖および軽鎖はそれぞれ、これらの折り畳み構造を安定化する鎖内ジスルフィド結合を含む。各鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインで構成される。これらのドメインは、70~110個のアミノ酸を含み、そのサイズおよび機能に従って異なるカテゴリー(たとえば、可変すなわちV、および定常すなわちC)に分類される。これらは、2つのβシートが、保存されたシステインと他の荷電アミノ酸との間の相互作用によって一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的なイムノグロブリン折り畳み構造を有する。
【0188】
α、δ、ε、γ、およびμで表される5タイプの哺乳動物Ig重鎖が存在する。存在する重鎖のタイプにより抗体のアイソタイプが定義され、これらの鎖はそれぞれ、IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM抗体中に見出される。
【0189】
異なる重鎖はサイズおよび組成が異なり、αおよびγは約450個のアミノ酸を含み、δは約500個のアミノ酸を含み、μおよびεは約550個のアミノ酸を有する。各重鎖は、2つの領域、すなわち定常領域(C)と可変領域(V)とを有する。1つの種において、定常領域は、同じアイソタイプのすべての抗体で本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、αおよびδは、3つのタンデム型のIgドメインと、可撓性を加えるためのヒンジ領域とから構成される定常領域を有し、重鎖μおよびεは、4つのイムノグロブリンドメインから構成される定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なるB細胞によって産生された抗体では異なるが、単一B細胞またはB細胞クローンによって産生された抗体すべてについては同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長であり、単一のIgドメインから構成される。
【0190】
哺乳動物では、λおよびκで表される2タイプのイムノグロブリン軽鎖が存在する。軽鎖は、2つの連続するドメイン、すなわち1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211~217個のアミノ酸である。各抗体は、常に同一である2本の軽鎖を含み、哺乳動物の各抗体につき、軽鎖κまたはλの1つのタイプのみが存在する。
【0191】
すべての抗体の一般的な構造は非常に類似しているが、所与の抗体の固有の特性は、上記で詳述したように、可変(V)領域によって決定される。より具体的には、各軽鎖(VL)について3つおよび重鎖(VH)について3つの可変ループが、抗原との結合、すなわちその抗原特異性に関与する。これらのループは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。VHドメインおよびVLドメインの両方からのCDRが抗原結合部位に寄与するので、最終的な抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組合せであり、どちらか単独ではない。
【0192】
「抗体フラグメント」は、上記で定義した少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含み、そのフラグメントが由来する完全抗体と本質的に同じ機能および特異性を示す。パパインによる限定的なタンパク質消化により、Igプロトタイプが3つのフラグメントに切断される。1つの完全なL鎖と約半分のH鎖とをそれぞれが含む2つの同一のアミノ末端フラグメントが、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズは同等であるが鎖間ジスルフィド結合を有する両方の重鎖の半分の位置でカルボキシル末端を含む第3のフラグメントは、結晶化可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、相補結合部位、およびFcR部位を含む。限定的なペプシン消化により、Fab片とH-H鎖間ジスルフィド結合を含むヒンジ領域の両方を含む単一のF(ab’)2フラグメントが得られる。F(ab’)2は、抗原結合に対して二価である。F(ab’)2のジスルフィド結合を、Fab’を得るために切断することができる。さらに、重鎖および軽鎖の可変領域を融合して、単鎖可変フラグメント(scFv)を形成することができる。
【0193】
薬学的に許容可能な塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩は、たとえば、HClまたはHBr塩である。塩基性塩は、たとえば、アルカリもしくはアルカリ土類、たとえば、Na+、もしくはK+、もしくはCa2+から選択されるカチオン、またはアンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)、(式中、R1~R4は互いに独立に:水素、場合により置換されたC1~C6アルキル基、場合により置換されたC2~C6アルケニル基、場合により置換されたC6~C10アリール基、または場合により置換されたC6~C10ヘテロアリール基を意味する)を有する塩である。薬学的に許容可能な塩のさらなる例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」17版、Alfonso R.Gennaro(編)、Mark Publishing Company、Easton、Pa.、U.S.A.、1985およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0194】
薬学的に許容可能な溶媒和物は、たとえば、水和物である。
【0195】
いくつかの概念について、特有のアセンブリまたはデバイスを参照して上記で論じたが、本明細書に開示する概念は、明示的に記載した構成以外の構成にも用いることができ、たとえば明らかになる構成は、導入部に記載した構成によって包含され、当然ながら、例示的な実施形態にも適用することができる。各事例における主要な態様は、少なくとも1つの用量送達動作が開始されるまで、用量設定動作中に案内トラックに沿った終了位置から追跡部材までの距離が低減されないことである。
【0196】
保護範囲は、本明細書に上述した例に限定されるものではない。本発明は、この構成またはこの構成の組合せが特許請求の範囲または例に明示的に記載されていない場合でも、新規な各特徴および特徴の各組合せ、特に特許請求の範囲に記載の任意の構成のすべての組合せを含む組合せで実施される。
【符号の説明】
【0197】
10 ハウジング(筐体)
11a、b 窓
12 インサート
13 側壁
14 管
15 アーム
16 底壁
17 ねじ山
18 スプライン歯
19 リング状の第2の部材
19a スプライン歯
19b アーム(スプライン)
19c アーム(スナップクリップ)
19d 開口部
20 カートリッジホルダ
30 ピストンロッド(親ねじ)
40 駆動スリーブ(案内部材)
41 スプライン歯
42 案内トラック
43 終了位置
44 螺旋ねじ山
45 軸方向セクション
50 ナット
51 係合機能
52 対応する機能
60 用量設定部材/数字スリーブ
60a 数字スリーブ下部
60b 数字スリーブ上部
61 回転ロッキング機能
62 ロッキング機能
70 ボタン
80 用量セレクタ
90 ねじりばね
91 フック
100 カートリッジ
101 係合機能
102 回転ロッキング機能
103 エンドストップ
110 ゲージ要素
120 クラッチ板
130 クラッチばね
140 支承部
150 用量設定部材
151 ねじ山
152 ロッキング機能
153 回転ロッキング機能
160 追跡部材
170 案内トラック
171 案内部材
172 ロッキング機能
173 ロッキング機能
174 ロッキング機能
175 エンドストップ
I 軸
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5a
図5b
図6
図7
図8A
図8B