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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】磁気トンネル接合装置及びその形成方法
(51)【国際特許分類】
   H10B 61/00 20230101AFI20240422BHJP
   H10N 50/10 20230101ALN20240422BHJP
【FI】
H10B61/00
H10N50/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022156020
(22)【出願日】2022-09-29
(65)【公開番号】P2023086085
(43)【公開日】2023-06-21
【審査請求日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】63/287,734
(32)【優先日】2021-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/725,146
(32)【優先日】2022-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500262038
【氏名又は名称】台湾積體電路製造股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Taiwan Semiconductor Manufacturing Company,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.8, Li-Hsin Rd.6, Hsinchu Science Park, Hsinchu, TAIWAN
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】莊 學理
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ホンチョ
(72)【発明者】
【氏名】ファン,シァンファン
(72)【発明者】
【氏名】張 弘郁
(72)【発明者】
【氏名】郭 耿銘
【審査官】小山 満
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-527097(JP,A)
【文献】国際公開第2019/150885(WO,A1)
【文献】特表2016-505220(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0143324(US,A1)
【文献】特表2016-541123(JP,A)
【文献】特開2013-201220(JP,A)
【文献】特開2010-080649(JP,A)
【文献】特表2011-518440(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0328343(US,A1)
【文献】国際公開第2021/021486(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/131206(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0061052(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0148623(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 61/00
H10N 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上にある第1の伝導特徴と、
前記第1の伝導特徴上にある下部電極と、
前記下部電極上にあり、且つ、前記下部電極上にある参照層と、前記参照層上にあるトンネルバリア層と、前記参照層上にあるフリー層とを含む磁気トンネル接合スタックと、
前記フリー層の側部表面及び前記トンネルバリア層の側部表面に接触し、その底部表面が前記トンネルバリア層の底部表面と面一である第1のスペーサと、
前記第1のスペーサの側部表面全体に接触し、その底部表面が前記トンネルバリア層の底部表面及び前記第1のスペーサの底部表面と面一である第2のスペーサと、
前記磁気トンネル接合スタック上にある上部電極と、
を備える半導体装置。
【請求項2】
前記磁気トンネル接合スタックは、前記参照層と前記トンネルバリア層との間にある段差を含む請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
半導体基板上にある第1の伝導特徴と、
前記第1の伝導特徴上にある下部電極と、
前記下部電極上にあり、且つトンネルバリア層を含む磁気トンネル接合と、
前記磁気トンネル接合上にあり、前記磁気トンネル接合の側部表面に接触する第1のスペーサと、
前記第1のスペーサの側部表面全体に接触し、その底部表面が前記トンネルバリア層の底部表面及び前記第1のスペーサの底部表面と面一である第2のスペーサと、
前記磁気トンネル接合上にある上部電極と、
を含む半導体装置。
【請求項4】
前記磁気トンネル接合は、フリー層と、前記トンネルバリア層と、参照層と、を含み、前記第1のスペーサは、前記フリー層の側部表面及び前記トンネルバリア層の側部表面に接触している請求項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記磁気トンネル接合は、参照層と、前記トンネルバリア層と、フリー層と、を含み、前記第1のスペーサは、前記参照層の側部表面及び前記トンネルバリア層の側部表面に接触し、前記第2のスペーサは前記参照層の上部表面に接触している請求項に記載の半導体装置。
【請求項6】
半導体基板上に下部電極層を堆積するステップと、
前記下部電極層上に磁気トンネル接合膜スタックを堆積するステップと、
前記磁気トンネル接合膜スタック上に上部電極層を堆積するステップと、
前記上部電極層をパターニングするステップと、
第1のエッチングプロセスを実行して前記磁気トンネル接合膜スタックをパターニングするステップと、
前記磁気トンネル接合膜スタックに対して第1のトリミングプロセスを実行するステップと、
前記第1のトリミングプロセスを実行した後、前記磁気トンネル接合膜スタック上に第1のスペーサ層を堆積するステップと、
前記第1のスペーサ層を堆積した後、第2のエッチングプロセスを実行して前記第1のスペーサ層、前記磁気トンネル接合膜スタック及び前記下部電極層をパターニングして、磁気抵抗ランダムアクセスメモリユニットを形成するステップと、
前記第1のスペーサ層の側部表面全体に接触する第2のスペーサ層を形成するステップと、
を含み、
前記第2のスペーサ層の底部表面は、前記第1のスペーサ層の底部表面及び前記磁気トンネル接合膜スタックのトンネルバリア層の底部表面と面一である半導体装置の形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、磁気トンネル接合装置及びその形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体メモリは、集積回路に用いられ、集積回路は、また例えば無線デバイス、テレビ、携帯電話及びパーソナルコンピューティングデバイスを含む電子アプリケーションに用いられる。半導体メモリは、2つの主なカテゴリを含む。1つのカテゴリは揮発性メモリであり、もう1つのカテゴリは不揮発性メモリである。揮発性メモリは、ランダムアクセスメモリ(random access memory;RAM)を含み、ランダムアクセスメモリ(RAM)は、更にスタティックランダムアクセスメモリ(static random access memory;SRAM)及びダイナミックランダムアクセスメモリ(dynamic random access memory;DRAM)という2つのサブカテゴリに分けられることができる。SRAM及びDRAMは、いずれも電源が切断されると記憶されている情報が失われてしまうため、揮発性である。
【0003】
一方、不揮発性メモリは、その中に記憶されているデータを保持することができる。磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(magnetoresistive random-access memory;MRAM)は、不揮発性半導体メモリの1つのタイプである。それぞれいくらかのデータが記憶された複数のMRAMユニットは、MRAMアレイとして配置されてよい。MRAMユニットのそれぞれは、薄型絶縁体により隔離された強磁性板を含む磁気トンネル接合(magnetic tunnel junction;MTJ)スタックを備えてよい。第1の強磁性板の磁極が固定されているが、第2の強磁性板の極性が自由である。論理「0」又は「1」は、第2の強磁性板の極性を変化させることでMTJに記憶可能である。
【発明の概要】
【0004】
本開示の幾つかの実施例によれば、半導体装置は、半導体基板上にある第1の伝導特徴と、前記第1の伝導特徴上にある下部電極と、前記下部電極上にあり、且つ、前記下部電極上にある参照層と、前記参照層上にあるトンネルバリア層と、前記参照層上にあるフリー層とを含む磁気トンネル接合スタックと、前記フリー層の側部表面及び前記トンネルバリア層の側部表面に接触し、その底部表面が前記トンネルバリア層の底部表面と面一である第1のスペーサと、前記磁気トンネル接合スタック上にある上部電極と、を備える。
【0005】
本開示の幾つかの実施例によれば、半導体装置は、半導体基板上にある第1の伝導特徴と、前記第1の伝導特徴上にある下部電極と、前記下部電極上にある磁気トンネル接合と、前記磁気トンネル接合上にあり、前記磁気トンネル接合の側部表面に接触する第1のスペーサと、前記磁気トンネル接合上にある上部電極と、前記下部電極、前記磁気トンネル接合、前記第1のスペーサ及び前記上部電極上にあり、前記磁気トンネル接合及び前記第1のスペーサの側部表面に接触する第1の誘電体層と、を含む。
【0006】
本開示の幾つかの実施例によれば、半導体の形成方法は、半導体基板上に下部電極層を堆積するステップと、前記下部電極層上に磁気トンネル接合膜スタックを堆積するステップと、前記磁気トンネル接合膜スタック上に上部電極層を堆積するステップと、前記上部電極層をパターニングするステップと、第1のエッチングプロセスを実行して前記磁気トンネル接合膜スタックをパターニングするステップと、前記磁気トンネル接合膜スタックに対して第1のトリミングプロセスを実行するステップと、前記第1のトリミングプロセスを実行した後、前記磁気トンネル接合膜スタック上に第1のスペーサ層を堆積するステップと、前記第1のスペーサ層を堆積した後、第2のエッチングプロセスを実行して前記第1のスペーサ層、前記磁気トンネル接合膜スタック及び前記下部電極層をパターニングして、磁気抵抗ランダムアクセスメモリユニットを形成するステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図面に合わせて理解する際に、本開示の態様は、以下の詳細な記述から最もよく理解される。業界の標準慣行に従い、各種の特徴は縮尺通りに描かれていないことに留意されたい。実際には、明らかに説明するために、各種の特徴の寸法は任意に増減可能である。
図1】幾つかの実施例による半導体装置のブロック図である。
図2】幾つかの実施例による半導体装置の横断面図である。
図3-18】幾つかの実施例による半導体装置の中間製造段階の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の開示は、本開示の異なる特徴を実施するための多くの異なる実施例又は実例を提供する。以下、本開示を簡略化するように、部材と配置の特定の実例を記述する。勿論、これらは単に実例に過ぎず、制限しようとするものではない。例えば、以下の記述では、第2の特徴上又はその上に第1の特徴を製造することは、第1の特徴と第2の特徴を直接接触させるように製造する実施例を含んでもよく、第1の特徴と第2の特徴との間に別の特徴を製造して第1の特徴と第2の特徴が直接接触しないことを可能にする実施例を含んでもよい。また、本開示において、各種の実例における素子の符号及び/又はアルファベットを繰り返してよい。この繰り返しは、簡単且つ明瞭にするためであり、それ自身は、説明される各種の実施例及び/又は配置の間の関係を指示しない。
【0009】
また、本明細書において、記述しやすくするために、「下方」、「…の下」、「下」、「…の上」、「上」などの空間相対用語を使用してよく、これらによって、図示するように1つの素子又は特徴ともう1つ(複数)の素子又は特徴との関係を記述する。空間相対用語は、装置の使用時又は操作時における図面に描かれている配向以外の異なる配向を網羅することを意図する。他の形で機器を配向させてもよく(90度回転又は他の配向)、同様に、それに応じて本明細書において使用される空間相対記述語を解釈してよい。
【0010】
各種の実施例は、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(magnetoresistive random-access memory;MRAM)装置を形成するための改良方法及び前記方法により形成されたMRAM装置を提供する。方法は、下部電極を形成するステップと、下部電極上に磁気トンネル接合(magnetic tunnel junction;MTJ)を形成するステップと、MTJ上に上部電極を形成するステップと、を含む。MTJは、参照層(固定層又はピン層とも呼ばれる)と、参照層上にあるトンネルバリア層と、参照層上にあるフリー層と、を含む。幾つかの実施例において、参照層とフリー層の順序は逆であってもよい。上部電極をパターニングし、且つ上部電極をマスクとして下側MTJをパターニングする。イオンビームエッチング(ion beam etching;IBE)プロセスによりMTJをパターニングし、IBEは、大角度IBE(例えば、入射角が30°より大きい)と小角度IBE(例えば、入射角が30°より小さい)の組み合わせを含む。トンネルバリア層を貫通するようにエッチングし、且つ参照層が露出するまで、MTJをパターニングする。上部電極及びMTJ上に窒化ケイ素又は酸化ケイ素などのスペーサ層を形成し、且つIBEを使用することによりスペーサ層及び参照層を貫通するようにエッチングする。大角度IBEによってMTJの側壁が損傷され、これは、得られたMRAMの磁気特性(例えば、スイッチング特性)に悪影響を与え、小角度IBEによってMTJの側壁に金属副生成物のようなものが堆積され、これによって得られたMRAMの短絡を招く恐れがある。フリー層及びトンネルバリア層をエッチングした後にスペーサ層を形成し、フリー層及びトンネルバリア層の側壁をIBEによる損害から保護し、これによって短絡を減少するとともに、得られたMRAMの磁気特性を改良する。これによって装置の欠陥を減少するとともに、装置の効率を改良する。
【0011】
図1は、幾つかの実施例による半導体装置50のブロック図である。半導体装置50は、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)アレイ52、カラムデコーダ54及びロウデコーダ56を含む。MRAMアレイ52は、列及び行で配置されるMRAMユニット58を含む。カラムデコーダ54は、スタティック相補型金属酸化膜半導体(complementary metal-oxide-semiconductor;CMOS)デコーダ、擬似NMOSデコーダなどであってよい。操作中に、カラムデコーダ54は、MRAMアレイ52の一行における個別のワードラインWLを起動することで前記行における所望のMRAMユニット58を選択する。ロウデコーダ56は、スタティックCMOSデコーダ、擬似NMOSデコーダなどであってよく、且つ、ライタドライバ、センスアンプ及びそれらの組み合わせなどを含んでよい。操作中に、ロウデコーダ56は、MRAMアレイ52の一列における所望のMRAMユニット58を選択し、且つ、ビットラインBLにより、選択されたMRAMユニット58からデータを読み取るか又はデータを選択されたMRAMユニット58に書き込む。
【0012】
図2は、幾つかの実施例による半導体装置50の横断面図である。図2は、簡略図であり、且つ、明瞭に例示するために、半導体装置50の一部の特徴が省略されている(後述する)。半導体装置50は、論理エリア50L及びメモリエリア50Mを含む。メモリ装置(例えば、MRAM装置)は、メモリエリア50Mに形成され、論理装置(例えば、論理回路)は、論理エリア50Lに形成される。例えば、MRAMアレイ52(図1を参照)は、メモリエリア50Mに形成されてよく、カラムデコーダ54及びロウデコーダ56(図1を参照)は、論理エリア50Lに形成されてよい。論理エリア50Lは、半導体装置50の大部分の面積を占めてよい。例えば、論理エリア50Lは、半導体装置50の面積の95%~99%を占めてよいが、メモリエリア50Mは、半導体装置50の残りの面積を占める。メモリエリア50Mは、論理エリア50Lのエッジに堆積されてよく、又は、論理エリア50Lは、メモリエリア50Mを囲んでよい。
【0013】
論理エリア50L及びメモリエリア50Mは、基板(例えば、半導体基板60)上に形成される。半導体基板60は、ドープ又はアンドープのシリコンであってもよく、或いは、半導体・オン・インシュレータ(semiconductor-on-insulator;SOI)基板の能動層であってもよい。半導体基板60は、例えば、ゲルマニウムなどの他の半導体材料;炭化ケイ素、ヒ化ガリウム、リン化ガリウム、窒化ガリウム、リン化インジウム、ヒ化インジウム、及び/又はアンチモン化インジウムを含む複合半導体;SiGe、GaAsP、AlInAs、AlGaAs、GaInAs、GaInP、及び/又はGaInAsPを含む合金半導体;又はそれらの組み合わせを含んでよい。例えば、多層基板又は勾配基板などの他の基板を使用してもよい。
【0014】
装置62は、半導体基板60の能動表面に形成される。装置62は、能動装置又は受動装置であってよい。例えば、装置62は、任意の適切な形成方法により形成されたトランジスタ、ダイオード、コンデンサ、抵抗器などであってよい。装置62は、半導体装置50のメモリ装置及び論理装置を形成するように相互接続される。例えば、装置62における一部は、MRAMユニット58のアクセストランジスタであってよい(図1を参照)。
【0015】
1つ又は複数の層間誘電体(inter-layer dielectric;ILD)層64は、半導体基板60上に形成され、導電特徴(例えば、コンタクトプラグ66)は、物理的に形成されて装置62に電気的に結合する。ILD層64は、例えば、酸化ケイ素などの酸化物;リンケイ酸ガラス(phosphosilicate glass;PSG)、ホウケイ酸ガラス(borosilicate glass;BSG)、ホウリンケイ酸ガラス(boron-doped phosphosilicate glass;BPSG)など;窒化ケイ素などの窒化物のような任意の適切な誘電体材料で形成されてよい。ILD層64は、例えば、スピンコート、物理気相成長(physical vapor deposition;PVD)、化学気相成長(chemical vapor deposition;CVD)など、又はそれらの組み合わせなどの任意の適切な堆積プロセスにより形成されてよい。ILD層64における導電特徴は、例えば、堆積、ダマシンプロセス(例えば、シングルダマシンプロセス、デュアルダマシンプロセスなど)など、又はそれらの組み合わせなどの任意の適切なプロセスにより形成されてよい。
【0016】
相互接続構造68は、半導体基板60上(例えば、ILD層64上)に形成される。相互接続構造68は、論理エリア50L及びメモリエリア50Mに集積回路を形成するように装置62を相互接続する。相互接続構造68は、例えば、金属化層M1~M6などの複数の金属化層を含む。図2には、6つの金属化層M1~M6が例示されているが、より多い又はより少ない金属化層を含んでもよいことを理解されたい。金属化層M1~M6のそれぞれは、誘電体層における金属化パターンを含む。金属化パターンは、半導体基板60上の装置62に電気的に結合する。金属化パターンは、金属配線L1~L6及び金属連通ポストV1~V6を含み、金属配線L1~L6及び金属連通ポストV1~V6は、金属間誘電体(inter-metal dielectric;IMD)層D1~D6内に形成される。相互接続構造68は、例えば、シングルダマシンプロセス、デュアルダマシンプロセスなどのダマシンプロセスにより形成されてよい。幾つかの実施例において、コンタクトプラグ66も金属化パターンの部分であり、且つ金属連通ポストV1の最下層を形成することができる。
【0017】
MRAMアレイ52のMRAMユニット58(図1を参照)は、相互接続構造68内に形成される。MRAMユニット58は、金属化層M1~M6の何れか1つに形成されてもよいが、中間金属化層M5に形成されている場合を例示する。MRAMユニット58のそれぞれは、伝導連通ポスト110、伝導連通ポスト110上の下部電極117、下部電極117上の磁気トンネル接合(MTJ)119、及びMTJ 119上の上部電極121を含む。IMD層108は、MRAMユニット58を囲んで形成されてよく、伝導連通ポスト110は、延伸してIMD層108を貫通する。スペーサ132は、MRAMユニット58を囲んで形成されてよい。以下に詳しく説明されるように、スペーサ132は、部分的にMTJ 119を囲んで形成されてよく、且つ、MTJ 119の部分をエッチングプロセスから保護するために用いられることができ、それにより装置の欠陥を減少し、装置の効率を改良する。IMD層108及び/又はスペーサ132は、MRAMユニット58の部材を囲んで保護する。
【0018】
MTJ 119のそれぞれは、いくらかのデータをMRAMユニット58のうちの個別のMRAMユニットに記憶するために提供される。MTJ 119のそれぞれの抵抗はプログラム可能であり、且つ高抵抗状態(論理「0」を表すことができる)と低抵抗状態(論理「1」を表すことができる)との間で変化可能である。従って、MTJ 119が対応するアクセストランジスタを貫通する抵抗をプログラム化することでデータをMRAMユニット58に書き込むことができ、且つ、MTJ 119が対応するアクセストランジスタを貫通する抵抗を量ることでMRAMユニット58からデータを読み取ることができる。
【0019】
MRAMユニット58は、装置62に電気的に結合する。伝導連通ポスト110は、例示される実例における金属配線L4などの下側金属化パターンに物理的且つ電気的に結合する。上部電極121は、例示される実例における金属連通ポストV6などの上側金属化パターンに物理的且つ電気的に結合する。図1に例示されるように、MRAMユニット58は、メモリの列及び行を有するMRAMアレイ52として配置される。金属化パターンは、MRAMアレイ52のアクセス回線(例えば、ワードライン及びビットライン)を含む。例えば、MRAMユニット58の下側にある金属化パターン(例えば、金属化パターンM1~M4)は、MRAMアレイ52の行に沿って設けられるワードラインを含んでよく、MRAMユニット58の上側にある金属化パターン(例えば、金属化パターンM6)は、MRAMアレイ52の列に沿って設けられるビットラインを含んでよい。装置62(例えば、カラムデコーダ54の装置(例えば、アクセストランジスタ))の一部は、MRAMアレイ52のワードラインに電気的に結合する。上部電極121は、MRAMアレイ52のビットラインによりロウデコーダ56の装置などの他の装置に電気的に結合する。
【0020】
図3図18は、幾つかの実施例による半導体装置50の中間製造段階の横断面図である。具体的には、図3図18は、半導体装置50の相互接続構造68(図2を参照)の製造を例示する。前述したように、相互接続構造68は、MRAMアレイ52のMRAMユニット58(図1を参照)を含む。
【0021】
図3において、ILD層64及びコンタクトプラグ66上に相互接続構造68の金属化層(例えば、図2に例示されるM4)を形成する。金属化層M4は、IMD層102(図4におけるIMD層D4に対応する)及び伝導特徴104(図2における金属配線L4に対応する)を含む。IMD層102は、例えば、酸化ケイ素などの酸化物;リンケイ酸ガラス(PSG)、ホウケイ酸ガラス(BSG)、ホウリンケイ酸ガラス(BPSG);窒化ケイ素などの窒化物のような任意の適切な誘電体材料で形成されてよい。IMD層102は、例えば、スピンコート、PVD、CVDなど、又はそれらの組み合わせなどの任意の許容可能な堆積プロセスにより形成されてよい。IMD層102は、k値が約3.0より小さい低k誘電体材料で形成されてよい。IMD層102は、k値が2.5より小さい超低k(extra-low-k;ELK)誘電体材料で形成されてよい。
【0022】
IMD層102内に伝導特徴104を形成し、且つそれを装置62に電気的に結合させる。幾つかの実施例において、伝導特徴104は、1つ又は複数の拡散バリア層及び拡散バリア層上の伝導充填材料を含む。1つ又は複数のエッチングプロセスを利用して、IMD層102に開口を形成する。開口により、下側金属連通ポストなどの下側伝導特徴が露出する。拡散バリア層は、窒化タンタル、タンタル、窒化チタン、チタン、コバルトタングステンなどで形成されてよい。原子層堆積(atomic layer deposition;ALD)などの堆積プロセスにより開口に拡散バリア層を形成してよい。伝導充填材料は、銅、アルミニウム、タングステン、銀、それらの組み合わせなどを含んでよい。電気化学めっきプロセス、CVD、ALD、PVDなど、又はそれらの組み合わせにより、拡散バリア層上の開口に伝導充填材料を形成することができる。実施例において、伝導充填材料は銅であり、且つ、拡散バリア層は、銅のIMD層102への拡散を防止する薄型バリア層である。拡散バリア層及び伝導充填材料を形成した後、例えば平坦化プロセス(例えば、化学機械研磨(chemical mechanical polish;CMP)プロセス)により拡散バリア層及び伝導充填材料の過剰な材料を除去することができる。
【0023】
伝導特徴104及びIMD層102上にエッチングストップ層106を形成する。エッチングストップ層106は、緩衝層と称されてもよい。エッチングストップ層106は、例えば、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、炭化ケイ素(silicon carbide;SiC)、炭窒化ケイ素、オキシ炭窒化ケイ素、オキシ炭化ケイ素(silicon oxycarbide;SiOC)、それらの組み合わせなどの誘電体材料で形成されてよい。エッチングストップ層106は、CVD、PVD、ALD、スピンコートプロセスなど、又はそれらの組み合わせにより形成されてよい。エッチングストップ層106は、複数の誘電体サブ層により形成された複合層であってよい。例えば、エッチングストップ層106は、シリサイドブロッキングサブ層106A(例えば、窒化ケイ素、炭化ケイ素、オキシ炭化ケイ素、炭窒化ケイ素、オキシ炭窒化ケイ素などの1層、又はそれらの組み合わせの層)及びシリサイドブロッキングサブ層106A上に形成される酸化アルミニウムサブ層106Bを含んでよい。このような実施例において、酸化アルミニウムサブ層106Bは、10Å~40Åの範囲内の厚さを有してよく、シリサイドブロッキングサブ層106Aは、10Å~150Åの範囲内の厚さを有してよい。シリサイドブロッキングサブ層106Aは、伝導コンタクトの後続の形成中における過剰なシリサイドの形成を減少することができ、これによって過剰なシリサイドにより提供される経路におけるリーク電流を減少するために用いられることができる。シリサイドブロッキングサブ層106Aは、更にエッチングストップ層とされてもよく、且つ、下側層と酸化アルミニウムサブ層106Bの間の付着を改良するための付着層として用いられてもよい。
【0024】
エッチングストップ層106上にIMD層108を形成する。幾つかの実施例において、IMD層108は、CVDなどにより堆積された酸化ケイ素で形成される。IMD層108は、前駆体(例えば、オルトケイ酸テトラエチル(tetraethyl orthosilicate;TEOS))で形成されてよい。IMD層108は、シリコンリッチ酸化物(silicon-rich oxide;SRO)であってよい。幾つかの実施例において、IMD層108は、PSG、BSG、BPSG、アンドープケイ酸塩ガラス(undoped silicate glass;USG)、フッ化ケイ酸ガラス(fluorosilicate glass;FSG)、SiOCH、流動性酸化物、多孔性酸化物など、又はそれらの組み合わせで形成されてよい。IMD層108は、低k誘電体材料(例えば、k値が約3.0より小さい誘電体材料)で形成されてよい。IMD層108は、約100Åから約900Åまで変化した厚さに形成されてよい。
【0025】
伝導連通ポスト110は、延伸してIMD層108及びエッチングストップ層106を貫通するように形成される。伝導連通ポスト110は、下部電極連通ポストと称されてもよい。幾つかの実施例において、伝導連通ポスト110は、伝導充填材料112、及び伝導充填材料112の側壁と底部表面を内張りした伝導バリア層114を含む。伝導バリア層114は、チタン、窒化チタン、タンタル、窒化タンタル、コバルト、それらの組み合わせなどで形成されてよい。伝導充填材料112は、例えば、銅、アルミニウム、タングステン、コバルト、それらの合金などの金属で形成されてよい。伝導連通ポスト110の形成は、ビア開口を形成するようにIMD層108及びエッチングストップ層106をエッチングすることと、IMD層108及びエッチングストップ層106上に伝導バリア層114を堆積してビア開口内まで延伸させることと、伝導バリア層114上に伝導充填材料112を堆積することと、CMPプロセス又は機械研磨プロセスなどの平坦化プロセスを実行して、伝導バリア層114及び伝導充填材料112のIMD層108上において延伸する部分などの伝導バリア層114及び伝導充填材料112の過剰な部分を除去することと、を含んでよい。
【0026】
図4において、伝導連通ポスト110及びIMD層108上に下部電極層116を形成する。下部電極層116は、例えば、チタン(titanium;Ti)、タンタル(tantalum;Ta)、アルミニウム(aluminum;Al)、タングステン(tungsten;W)、白金(platinum;Pt)、ニッケル(nickel;Ni)、クロム(chromium;Cr)、ルテニウム(ruthenium;Ru)、それらの窒化物、それらの組み合わせ又は多層体などの伝導材料で形成される。下部電極層116は、例えば、CVD、PVD、ALD、電気化学めっき、無電解めっきなどのコンフォーマル堆積プロセスにより堆積されてよい。幾つかの実施例において、下部電極層116は、約50Åから約150Åまで変化した厚さを有する。
【0027】
図5において、下部電極層116上に金属性トンネル接合(MTJ)膜スタック118を形成する。MTJ膜スタック118は多層膜スタックであり、当該多層膜スタックは、下部電極層116上にある参照層118A、参照層118A上にあるトンネルバリア層118B、トンネルバリア層118B上にあるフリー層118C、フリー層118C上にあるメンテナンス層118D、及びメンテナンス層118D上にあるキャッピング層118Eを含む。幾つかの実施例において、MTJ膜スタック118は、約200Åから約250Åまで変化した総厚さを有する。MTJ膜スタック118の各層は、例えば、CVD、PVD、ALD、それらの組み合わせなどの1つ又は複数の堆積方法により堆積されてよい。
【0028】
参照層118Aは、例えば、コバルト鉄(cobalt iron;CoFe)、コバルト鉄ボロン(cobalt iron boron;CoFeB)、コバルトと白金の多層体(Co/Pt)、それらの組み合わせなどの強磁性材料合金で形成されてよい。参照層118Aは、約15Åから約100Åまで変化した厚さを有してよい。トンネルバリア層118Bは、例えば、酸化マグネシウム(magnesium oxide;MgO)、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、それらの組み合わせなどの誘電体材料で形成されてよい。トンネルバリア層118Bは、約5Åから約20Åまで変化した厚さを有してよい。トンネルバリア層118Bの厚さによって、得られたMRAMユニット58における低抵抗状態と高抵抗状態の間の相対的差異が形成される。フリー層118Cは、例えば、コバルト鉄ボロン(cobalt iron boron;CoFeB)などの強磁性材料合金で形成されてよい。フリー層118Cは、保磁場が参照層118Aより低い強磁性材料で形成されてよい。フリー層118Cは、約5Åから約25Åまで変化した厚さを有してよい。
【0029】
MTJ膜スタック118を貫通する抵抗は、参照層118A及びフリー層118Cの磁性配向に応じて変化し、且つ、この現象は、データを得られたMRAMユニット58に記憶するためのものである。参照層118Aは永久磁石であってよく、永久磁石は固定極性であるように設定され、フリー層118Cの磁極は、電界を印加することで変更可能である。フリー層118Cの極性が参照層118Aの極性に合致する場合、MRAMユニット58は低抵抗状態にある。フリー層118Cの極性が参照層118Aの極性と反対である場合、MRAMユニット58は高抵抗状態にある。
【0030】
メンテナンス層118Dは、フリー層118Cの磁気モーメントを一定の方向に維持するために用いられることができる。メンテナンス層118Dは、例えば、酸化マグネシウム(MgO)などの誘電体材料で形成されてよく、且つ、約5Åから約20Åまで変化した厚さを有してよい。キャッピング層118Eは、MTJ膜スタック118の最外層(例えば、最上層)であってよい。キャッピング層118Eは、下側層をエッチングによる損害及び/又は酸化から保護することができる。幾つかの実施例において、キャッピング層118Eは、例えば、モリブデン、ルテニウム、それらの組み合わせ又は多層体などの伝導材料で形成される。幾つかの実施例において、キャッピング層118Eは絶縁材料で形成される。絶縁材料は、実質的に酸素を含有しないものであってよく、且つ窒化ケイ素を含んでよい。キャッピング層118Eは、約10Åから約100Åまで変化した厚さを有してよい。
【0031】
MTJ膜スタック118の材料と構造は、本開示の範疇内にある多くの変形を有してもよいことを理解されたい。例えば、層118A~118Eは、上記で記述された順序と逆である順序で形成されてもよい。従って、キャッピング層118Eは、MTJ膜スタック118の下部層であってもよく、参照層118Aは、MTJ膜スタック118の上部層であってもよい。また、幾つかの実施例において、MTJ膜スタック118の特定の層のみの順序が逆であってもよく、例えば、参照層118Aとフリー層118Cの順序が逆である(下記の図16A図16Bについての記述を参照)。
【0032】
図6において、MTJ膜スタック118上に上部電極層120を形成する。幾つかの実施例において、上部電極層120は、ブランケット層として形成され、且つCVD、PVD、ALD、電気化学めっき、無電解めっきなどにより形成されてよい。上部電極層120は伝導層であり、且つ、例えば、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、ルテニウム(Ru)、それらの窒化物、それらの組み合わせ又は多層体などの伝導材料で形成されてよい。上部電極層120は、約400Åから約800Åまで変化した厚さを有してよい。幾つかの実施例において、上部電極120の厚さは、下部電極層116の厚さより大きくされてよい。上部電極層120は、MTJ膜スタック118の後続のパターニング中のハードマスクとして用いることができる。
【0033】
図7において、上部電極層120上に1つ又は複数のマスクを形成する。マスクは、MRAMユニット58(図1を参照)を形成するための各種の層をパターニングするために用いられることができる。幾つかの実施例において、1つ又は複数のマスクは、1つ又は複数のハードマスク、フォトレジストなどを含む。任意の適切な組成物を有する任意の適切なマスク層を使用してもよい。例えば、上部電極層120上にハードマスク層122を形成してよく、且つハードマスク層122上にフォトレジスト124を形成してよい。
【0034】
ハードマスク層122は、酸化物(例えば、酸化ケイ素)、窒化物(例えば、窒化ケイ素)などで形成されてよい。ハードマスク層122は、CVD、ALDなどにより堆積されてよい。幾つかの実施例において、TEOSを前駆体として用い、酸化ケイ素でハードマスク層122を形成する。ハードマスク層122は、約100Åから約500Åまで変化した厚さを有してよい。
【0035】
フォトレジスト124は、例えば、単層フォトレジスト、二重層フォトレジスト、三重層フォトレジストなどの任意の許容可能なフォトレジストであってもよい。例示された実施例において、フォトレジスト124は、下部層124A、中間層124B及び上部層124Cを含む三重層フォトレジストである。幾つかの実施例において、下部層124Aは、アモルファスカーボンで形成され、中間層124Bは、アモルファスシリコンで形成され、且つ、上部層124Cは、感光性材料で形成される。メモリエリア50Mにおける上部層124Cをパターニングし、上部層124Cのパターンは、後で形成されるMRAMユニット58のパターンに対応する。
【0036】
図8において、フォトレジスト124をエッチングマスクとして用い、ハードマスク層122をエッチングしてパターニングする。続いて、ハードマスク層122をエッチングマスクとして用い、上部電極層120をエッチングしてパターニングし、上部電極121を形成する。ハードマスク層122及び上部電極層120は、例えば、異方性エッチングプロセスなどの適切なエッチングプロセスによりエッチングされてよい。幾つかの実施例において、ハードマスク層122及び上部電極層120は、反応性イオンエッチング(reactive ion etching;RIE)、イオンビームエッチング(IBE)などのプラズマエッチングプロセスによりエッチングされてよい。図8に例示されるように、エッチング後にハードマスク層122は縮小された厚さを有してよく、且つドーム状の上部表面を有してよい。上部電極121は、テーパ状側部表面を有してよく、これらのテーパ状側部表面は、半導体基板60から離れる方向へ狭くなる。一層又は複数層のフォトレジスト124は、エッチングプロセスで消費されてもよく、又は、エッチングプロセスの後に除去されてもよい。エッチングプロセスの後に、ハードマスク層122の上部表面及び側部表面、上部電極121の側部表面、及びMTJ膜スタック118の上部表面(例えば、キャッピング層118Eの上部表面)が露出することができる。
【0037】
図9において、ハードマスク層122及び上部電極121をエッチングマスクとして用い、MTJ膜スタック118の各種の層をエッチングしてパターニングする。図9に例示されるように、パターニングにより、キャッピング層118E、メンテナンス層118D、フリー層118C及びトンネルバリア層118Bを貫通するようにエッチングし、参照層118Aの上部表面を露出させることができる。パターニングは、1つ又は複数のエッチングプロセスを含んでよく、且つ、IBEなどのプラズマエッチングプロセスを含んでよい。
【0038】
幾つかの実施例において、パターニングは、小角度IBEプロセスである第1のメインエッチングプロセスを含んでよい。第1のメインエッチングプロセスは、30°より小さい入射角で実行されるIBEプロセスであってよい。第1のメインエッチングプロセスでは、不活性ガス(例えば、アルゴンガス(Ar)、キセノンガス(Xe)、それらの組み合わせなど)をイオンビーム源として用いることができる。トンネルバリア層118Bが貫通されるまで、第1のメインエッチングプロセスを実行してよい。約50秒から約300秒まで変化した持続時間だけ、第1のメインエッチングプロセスを実行してよい。続いて、MTJ膜スタック118の層の側部表面(例えば、キャッピング層118E、メンテナンス層118D、フリー層118C及びトンネルバリア層118Bの側部表面)に堆積された副生成物を除去するように、大角度トリミングプロセスを実行する。大角度トリミングプロセスは、30°より大きい入射角で実行されるIBEプロセスであってよい。大角度トリミングプロセスによるMTJ膜スタック118の損害を修復するとともに、MTJ膜スタック118の磁気特性を回復するように、小角度トリミングプロセスを実行してよい(例えば、小角度トリミングプロセスは、MTJ膜スタック118のスイッチング特性を改良するために用いられることができる)。小角度トリミングプロセスは、30°より小さい入射角で実行されるIBEプロセスであってよい。大角度トリミングプロセス及び小角度トリミングプロセスでは、不活性ガス(例えば、アルゴンガス(Ar)、キセノンガス(Xe)、それらの組み合わせなど)をイオンビーム源として用いることができる。図9に例示されるように、上部電極121、キャッピング層118E、メンテナンス層118D、フリー層118C及びトンネルバリア層118Bは、テーパ状側部表面を有してよく、これらのテーパ状側部表面は、半導体基板60から離れる方向へ狭くなる。
【0039】
大角度トリミングプロセスと小角度トリミングプロセスの総エッチング時間は200秒より小さくされてよい。大角度トリミングプロセスと小角度トリミングプロセスの総エッチング時間を200秒より小さく保持することにより、大角度トリミングプロセスによるMTJ膜スタック118の磁気特性の損害を防止する(例えば、MTJ膜スタック118のスイッチング特性の劣化を防止する)とともに、小角度トリミングプロセスの副生成物によるMTJ膜スタック118の部分の間の短絡を防止する。これによって出来上がった装置における装置欠陥を減少するとともに、出来上がった装置の効率を改良する。ハードマスク層122は、エッチングプロセスで消費されてもよく、又は、エッチングプロセスの後に除去されてもよい。
【0040】
図10において、上部電極121及びMTJ膜スタック118上にスペーサ層130を形成する。スペーサ層130は、例えば、CVD、ALDなどのコンフォーマルプロセスにより堆積されてよい。スペーサ層130は、上部電極121の上部表面及び側部表面;キャッピング層118E、メンテナンス層118D、フリー層118C及びトンネルバリア層118Bの側部表面;並びに参照層118Aの上部表面に沿って堆積されてよい。スペーサ層130は、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素などの誘電体材料を含んでよい。スペーサ層130は、約100Åから約150Åまで変化した厚さになるまで堆積されてよい。図10に例示されるように、スペーサ層130は、メモリエリア50Mと論理エリア50Lの両者に堆積されてよい。
【0041】
図11において、スペーサ層130、参照層118A、下部電極層116及びIMD層108をエッチングしてパターニングする。パターニングは、1つ又は複数の異方性エッチングプロセスを含んでよい。幾つかの実施例において、1つ又は複数の異方性エッチングプロセスは、IBEなどのプラズマエッチングプロセスを含んでよい。幾つかの実施例において、パターニングは、小角度IBEプロセスである第2のメインエッチングプロセスを含んでよい。第2のメインエッチングプロセスでは、不活性ガス(例えば、アルゴンガス(Ar)、キセノンガス(Xe)、それらの組み合わせなど)をイオンビーム源として用いることができる。パターニングにより、スペーサ層130を貫通するようにエッチングすることでスペーサ132を形成することができ、続いてスペーサ132と上部電極121をマスクとして併用し、参照層118A及び下部電極層116を貫通するようにエッチングするとともに、IMD層108までエッチングする。約50秒から約300秒まで変化した持続時間だけ、第2のメインエッチングプロセスを実行してよい。参照層118Aを貫通するようにエッチングして、参照層118A、トンネルバリア層118B、フリー層118C、メンテナンス層118D及びキャッピング層118Eを含む磁気トンネル接合(MTJ)119を形成する。下部電極層116を貫通するようにエッチングして下部電極117を形成する。下部電極117、MTJ 119及び上部電極121は、MRAMユニット58と総称されてよい。
【0042】
図11に例示されるように、スペーサ132は、上部電極121、キャッピング層118E、メンテナンス層118D、フリー層118C及びトンネルバリア層118Bの側部表面に沿うとともに、参照層118Aの上部表面の部分に沿うように保持することができる。スペーサ132は、傾斜した内側部表面及び外側部表面を有してよい。スペーサ132の側部表面は、参照層118Aのテーパ状側部表面に連続してよい。スペーサ132の上部表面は、上部電極121の上部表面上に設けられてよい。第2のメインエッチングプロセスの後に、図11に例示されるように、上部電極121は突出した上部表面を有してもよいが、幾つかの実施例において、第2のメインエッチングプロセスの後に、上部電極121は平坦な又は凹んだ上部表面を有してもよい。参照層118Aは、テーパ状側部表面を有してよく、これらのテーパ状側部表面は、半導体基板60から離れる方向へ狭くなる。スペーサ132によりキャッピング層118E、メンテナンス層118D、フリー層118C及びトンネルバリア層118Bの側壁が保護されるため、MTJ 119は、段差状構造を有してよく、MTJ 119の幅は、参照層118Aの上部で広くなる。下部電極117の側部表面は、図11に例示されるように垂直であってもよく、又はテーパ状であってもよく、且つ、半導体基板60から離れる方向へ狭くなってよい。IMD層108は、垂直な側壁を含んでよく、且つ、IMD層の上部表面は、U字状部分、V字状部分、水平部分、それらの組み合わせなどを含んでよい。
【0043】
MTJ 119の側部表面に沿ってスペーサ132を提供することで、第2のメインエッチングプロセスによるMTJ 119の損害を防止する。これによって、MTJ 119の磁気特性を改良し(例えば、MTJ 119のスイッチング特性を改良する)、MTJ 119の隣接する部材の間に短絡が発生することを防止し、装置の欠陥を減少するとともに、装置の効率を改良する。
【0044】
図12において、メモリエリア50M上に保護層134を形成し、且つメモリエリア50M及び論理エリア50L上にIMD層136を形成する。保護層134がメモリエリア50Mのみにおいて延伸するように例示されたが、幾つかの実施例において、保護層134は論理エリア50Lにおいて延伸してもよい。幾つかの実施例において、保護層134は、例えば、酸化アルミニウム(aluminum oxide;AlOx)、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、それらの多層の組み合わせなどの誘電体材料で形成されてよい。保護層134は、例えば、CVD、ALDなど、又はそれらの組み合わせなどのコンフォーマル堆積プロセスにより堆積されてよい。保護層134は、IMD層108及びスペーサ132の上部表面及び側部表面;上部電極121の上部表面;及び参照層118及び下部電極117の側部表面に沿って堆積されてよい。幾つかの実施例において、保護層134は、適切なパターニング及びエッチングプロセスにより論理エリア50Lから除去されてよい。保護層134は、MRAMユニット58を保護するために用いられることができる。例えば、保護層134は、後続の処理中にMRAMユニット58内に拡散した湿気(例えば、H2O)と水素ガスの減少に寄与する。保護層134は、約30Åから約500Åまで変化した厚さを有してよい。
【0045】
続いて、メモリエリア50M及び論理エリア50L上にIMD層136を堆積する。幾つかの実施例において、IMD層136は、CVDなどにより堆積された酸化ケイ素で形成される。IMD層136は、前駆体(例えば、TEOS)で形成されてよい。幾つかの実施例において、IMD層136は、PSG、BSG、BPSG、USG、FSG、SiOCH、流動性酸化物、多孔性酸化物など、又はそれらの組み合わせで形成されてよい。IMD層136は、低k誘電体材料(例えば、k値が約3.0より小さい誘電体材料)又は超低k誘電体材料で形成されてよい。IMD層136は、CVD、ALD、スピンコートなどにより堆積されてよい。
【0046】
図13において、IMD層136及び保護層134内に伝導特徴164を形成する。伝導特徴164は、メモリエリア50MにおけるMRAMユニット58、及び論理エリア50Lにおける伝導特徴104に電気的に結合してよい。伝導特徴164は、メモリエリア50M及び論理エリア50Lにおける伝導配線164L、及び論理エリア50Lにおける伝導連通ポスト164Vを含んでよい。伝導特徴164は、適切な方法(例えば、ダマシンプロセス)により形成されてよい。幾つかの実施例において、伝導特徴は、シングルダマシンプロセス、デュアルダマシンプロセスなどにより形成されてよい。幾つかの実施例において、伝導特徴164用の開口は、ビアファーストプロセスにより形成される。幾つかの実施例において、伝導特徴164用の開口は、トレンチファーストプロセスにより形成される。開口は、適切なフォトリソグラフィ及びエッチング技術により形成されてよい。開口は、例えば、銅、アルミニウム、それらの組み合わせなどの適切な伝導材料で充填されてよい。伝導材料を堆積した後、平坦化プロセス(例えば、CMPプロセス)を実行して、IMD層136上において延伸する材料などの過剰な材料を除去する。幾つかの実施例において、伝導特徴164の上部表面は、IMD層136の上部表面と面一である。図13に例示されるように、メモリエリア50Mにおける伝導配線164Lの底部表面は、論理エリア50Lにおける伝導配線164Lの底部表面より高く設けられてよく、上部電極121の上部表面は、伝導連通ポスト164Vの上部表面より高く設けられてよい。伝導連通ポスト164Vと伝導配線164Lは、独立した素子として例示されたが、幾つかの実施例において、例えば、デュアルダマシンプロセスにより伝導連通ポストと伝導配線を形成する実施例において、伝導連通ポストと伝導配線は、連続した伝導特徴であってもよい。
【0047】
トンネルバリア層118Bを貫通するようにエッチングした後及び参照層118Aを貫通するようにエッチングする前に、キャッピング層118E、メンテナンス層118D、フリー層118C及びトンネルバリア層118Bの側部表面に沿ってスペーサ132を形成し、キャッピング層118E、メンテナンス層118D、フリー層118C及びトンネルバリア層118Bの側部表面を、トンネルバリア層118Bを貫通するようにエッチングした後のエッチングプロセスから保護する。これによってMRAMユニット58の磁気特性の損害を防止し(例えば、MRAMユニット58のスイッチング特性の劣化を防止する)、トンネルバリア層118Bを貫通するようにエッチングした後に伝導副生成物がキャッピング層118E、メンテナンス層118D、フリー層118C及びトンネルバリア層118Bの側部表面に堆積されることを防止し、且つMRAMユニット58の間の短絡を防止する。これによって装置の欠陥を減少するとともに、装置の効率を改良する。
【0048】
図14図18には、スペーサ132及びMTJ 119の層の配置が変化した各実施例が例示される。図14において、スペーサ132は、複数層のスペーサ材料を含む。より具体的には、スペーサ132は、第1のスペーサ層132A及び第2のスペーサ層132Bを含む。第1のスペーサ層132Aは、図9に例示される構造上にコンフォーマルに堆積されてよく、上記で図10について記述されたようにスペーサ層130として用いられ、第2のスペーサ層132Bは、第1のスペーサ層132A上にコンフォーマルに堆積されてよい。第1のスペーサ層132A及び第2のスペーサ層132Bは、CVD、ALDなどにより堆積されてよい。第1のスペーサ層132A及び第2のスペーサ層132Bは、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素などの誘電体材料を含んでよい。幾つかの実施例において、第1のスペーサ層132Aと第2のスペーサ層132Bは、同じ材料を含んでもよい。幾つかの実施例において、第1のスペーサ層132Aと第2のスペーサ層132Bは、異なる材料を含んでもよい。第1のスペーサ層132Aは、ALDにより堆積されてよく、第2のスペーサ層132Bは、CVDにより堆積されてよい。
【0049】
ALDにより第1のスペーサ層132Aを堆積することで、第1のスペーサ層132AからMTJ膜スタック118まで(例えば、キャッピング層118E、メンテナンス層118D、フリー層118C及びトンネルバリア層118Bまで)の付着を改良する。第2のスペーサ層132Bを堆積してスペーサ132の形成コストを削減する。第1のスペーサ層132Aは、約50Åから約300Åまで変化した厚さを有してよく、第2のスペーサ層132Bは、約50Åから約300Åまで変化した厚さを有してよい。第2のスペーサ層132Bの側部表面は、参照層118Aのテーパ状側部表面に連続してよい。MTJ 119は、キャッピング層118E、メンテナンス層118D、フリー層118C及びトンネルバリア層118Bを含む第1のテーパ状部分と、参照層118Aの上部表面上にある段差部分と、参照層118Aを含む第2のテーパ状部分と、を含む。続いて、図13の構造に類似する最終構造を形成するように、図14の構造に対して図12及び図13のプロセスを実行してよい。
【0050】
図15A図16Bにおいて、スペーサ132は、MTJ 119を画定するためのエッチングプロセス中において異なる時点で形成される複数層のスペーサ材料を含む。より具体的には、スペーサ132は、キャッピング層118E、メンテナンス層118D、フリー層118C及びトンネルバリア層118Bをパターニングした後に形成される第1のスペーサ層132Aと、参照層118Aを少なくとも部分的にパターニングした後に形成される第2のスペーサ層132B(図16A図16Bに例示される)と、を含む。
【0051】
図15A及び図15Bにおいて、第1のスペーサ層132Aを形成し、且つ参照層118Aをエッチングする。図15A及び図15Bは、図11に類似し、相違点は、第1のスペーサ層132Aを形成した後、参照層118A、下部電極層116及びIMD層108をエッチングすることではなく、参照層118Aのみをエッチングすることにある。第1のスペーサ層132Aは、上記で図10及び図11について説明されたスペーサ132を形成する場合と同じ又は類似する材料及びプロセスで形成されてよい。例えば、第1のスペーサ層132Aは、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素などの誘電体材料を含んでよく、且つ約100Åから約150Åまで変化した厚さになるまで堆積されてよい。第1のスペーサ層132Aは、例えば、CVD、ALDなどのコンフォーマル堆積プロセスにより堆積されてよい。第1のスペーサ層132Aを堆積した後、上記で図11について説明された第2のメインエッチングプロセスと同じ又は類似する第2のメインエッチングプロセスにより第1のスペーサ層132A及び参照層118Aをパターニングしてよく、相違点は、エッチング時間が上記で図11について説明されたエッチング時間より短いことにある。第1のスペーサ層132Aの水平部分を除去し、参照層118Aを貫通するようにエッチングし、且つ下部電極層116が露出するまで、第2のメインエッチングプロセスを実行してよい。図15Bに例示される実施例において、第1のスペーサ層132Aの水平部分を除去し、参照層118A(例えば、参照層118Aを約10Åから約100Åまで変化した深さD1だけエッチングし、約0Åから約90Åまで変化した厚さT1の分がエッチングされないように保持する)を部分的に貫通するようにエッチングするまで、第2のメインエッチングプロセスを実行する。第2のメインエッチングプロセスを実行した後、第1のスペーサ層132Aは、参照層118Aのテーパ状側部表面に連続する側部表面を有してよい。第1のスペーサ層132A及び参照層118Aをパターニングするための第2のメインエッチングプロセスは、小角度IBEプロセスであってよい。約50秒から約300秒まで変化した持続時間だけ、第2のメインエッチングプロセスを実行してよい。
【0052】
図16A及び図16Bにおいて、第2のスペーサ層132Bを形成し、且つ下部電極層116及びIMD層108をエッチングする。第2のスペーサ層132Bは、上記で図10及び図11について説明されたスペーサ132を形成する場合と同じ又は類似する材料及びプロセスで形成されてよい。例えば、第2のスペーサ層132Bは、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素などの誘電体材料を含んでよく、且つ約100Åから約150Åまで変化した厚さになるまで堆積されてよい。第2のスペーサ層132Bは、例えば、CVD、ALDなどのコンフォーマル堆積プロセスにより堆積されてよい。図16Aにおいて、第2のスペーサ層132Bを堆積した後、上記で図11について説明された第2のメインエッチングプロセスと同じ又は類似する第3のメインエッチングプロセスにより第2のスペーサ層132B、下部電極層116及びIMD層108をパターニングしてよい。第2のスペーサ層132Bの水平部分を除去し、下部電極層116を貫通するようにエッチングし、下部電極117を形成し、且つIMD層108内までエッチングするように、第3のメインエッチングプロセスを実行してよい。第2のスペーサ層132B、下部電極層116及びIMD層108をパターニングするための第3のメインエッチングプロセスは、小角度IBEプロセスであってよい。第3のメインエッチングプロセスを実行した後、第2のスペーサ層132Bは、斜角を呈するとともに下部電極117の垂直な側部表面に連続する側部表面を有してよい。MTJ 119は、キャッピング層118E、メンテナンス層118D、フリー層118C及びトンネルバリア層118Bを含む第1のテーパ状部分と、参照層118Aの上部表面上にある段差部分と、参照層118Aを含む第2のテーパ状部分と、を含む。約50秒から約300秒まで変化した持続時間だけ、第3のメインエッチングプロセスを実行してよい。
【0053】
図16Bに例示される実施例において、第2のスペーサ層132Bを形成し、且つ参照層118A、下部電極層116及びIMD層108をエッチングする。第2のスペーサ層132Bを堆積した後、第3のメインエッチングプロセスにより第2のスペーサ層132B、参照層118A、下部電極層116及びIMD層108をパターニングする。第2のスペーサ層132Bの水平部分を除去し、参照層118Aの水平部分を除去し、下部電極層116を貫通するようにエッチングし、下部電極117を形成し、且つIMD層108内までエッチングするように、第3のメインエッチングプロセスを実行してよい。第3のメインエッチングプロセスを実行した後、第2のスペーサ層132Bは、斜角を呈するとともに下部電極117の垂直な側部表面に連続する側部表面を有してよい。MTJ 119は、キャッピング層118E、メンテナンス層118D、フリー層118C及びトンネルバリア層118Bを含む第1のテーパ状部分と、参照層118Aの上部表面上にある第1の段差部分と、参照層118Aを含む第2のテーパ状部分と、参照層118Aの水平表面上にある第2の段差部分と、参照層118Aを含む第3のテーパ状部分と、を含む。約50秒から約300秒まで変化した持続時間だけ、第3のメインエッチングプロセスを実行してよい。
【0054】
キャッピング層118E、メンテナンス層118D、フリー層118C及びトンネルバリア層118Bの側部表面に沿って第1のスペーサ層132Aを提供し、第2のメインエッチングプロセスによるキャッピング層118E、メンテナンス層118D、フリー層118C及びトンネルバリア層118Bの損害を防止する。また、参照層118Aの側部表面に沿って第2のスペーサ層132Bを提供し、第3のメインエッチングプロセスによる参照層118Aの損害を防止する。これによって、MTJ 119の磁気特性を改良し(例えば、MTJ 119のスイッチング特性を改良する)、MTJ 119の隣接する部材の間に短絡が発生することを防止し、装置の欠陥を減少するとともに、装置の効率を改良する。
【0055】
図17及び図18において、スペーサ132は、MTJ 119を画定するためのエッチングプロセス中において異なる時点で形成される複数層のスペーサ材料を含み、且つ、MTJ膜スタック118における参照層118Aとフリー層118Cの順序は逆である。スペーサ132は、キャッピング層118E、メンテナンス層118D、フリー層118A及びトンネルバリア層118Bをパターニングした後に形成される第1のスペーサ層132Aと、フリー層118Cをパターニングした後に形成される第2のスペーサ層132B(図18に例示される)と、を含む。
【0056】
図17において、第1のスペーサ層132Aを形成し、且つフリー層118Cをエッチングする。図17は、図11に類似し、相違点は、第1のスペーサ層132Aを形成した後、フリー層118C、下部電極層116及びIMD層108をエッチングすることではなく、フリー層118Cのみをエッチングすることにある。第1のスペーサ層132Aは、上記で図10及び図11について説明されたスペーサ132を形成する場合と同じ又は類似する材料及びプロセスで形成されてよい。例えば、第1のスペーサ層132Aは、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素などの誘電体材料を含んでよく、且つ約100Åから約150Åまで変化した厚さになるまで堆積されてよい。第1のスペーサ層132Aは、例えば、CVD、ALDなどのコンフォーマル堆積プロセスにより堆積されてよい。第1のスペーサ層132Aを堆積した後、上記で図11について説明された第2のメインエッチングプロセスと同じ又は類似する第2のメインエッチングプロセスにより第1のスペーサ層132A及びフリー層118Cをパターニングしてよく、相違点は、エッチング時間が上記で図11について説明されたエッチング時間より短いことにある。第1のスペーサ層132Aの水平部分を除去し、フリー層118Cを貫通するようにエッチングし、且つ下部電極層116が露出するまで、第2のメインエッチングプロセスを実行してよい。第1のスペーサ層132A及びフリー層118Cをパターニングするための第2のメインエッチングプロセスは、小角度IBEプロセスであってよい。第2のメインエッチングプロセスを実行した後、第1のスペーサ層132Aは、参照層118Cのテーパ状側部表面に連続する側部表面を有してよい。約50秒から約300秒まで変化した持続時間だけ、第2のメインエッチングプロセスを実行してよい。
【0057】
図18において、第2のスペーサ層132Bを形成し、且つ下部電極層116及びIMD層108をエッチングする。第2のスペーサ層132Bは、上記で図10及び図11について説明されたスペーサ132を形成する場合と同じ又は類似する材料及びプロセスで形成されてよい。例えば、第2のスペーサ層132Bは、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素などの誘電体材料を含んでよく、且つ約100Åから約150Åまで変化した厚さになるまで堆積されてよい。第2のスペーサ層132Bは、例えば、CVD、ALDなどのコンフォーマル堆積プロセスにより堆積されてよい。第2のスペーサ層132Bを堆積した後、上記で図11について説明された第2のメインエッチングプロセスと同じ又は類似する第3のメインエッチングプロセスにより第2のスペーサ層132B、下部電極層116及びIMD層108をパターニングしてよい。第2のスペーサ層132Bの水平部分を除去し、下部電極層116を貫通するようにエッチングし、下部電極117を形成し、且つIMD層108内までエッチングするように、第3のメインエッチングプロセスを実行してよい。第3のメインエッチングプロセスは、第2のスペーサ層132B、下部電極層116及びIMD層108をパターニングするために用いられ、且つ小角度IBEプロセスであってよい。第3のメインエッチングプロセスを実行した後、第2のスペーサ層132Bは、斜角を呈するとともに下部電極117の垂直な側部表面に連続する側部表面を有してよい。MTJ 119は、キャッピング層118E、メンテナンス層118D、参照層118A及びトンネルバリア層118Bを含む第1のテーパ状部分と、フリー層118Cの上部表面上にある段差部分と、フリー層118Cを含む第2のテーパ状部分と、を含む。幾つかの実施例において、第2のスペーサ層132Bは、上記で図15B及び図16Bについて説明された実施例に類似するように、フリー層118Cの下半部分に沿って形成することではなく、フリー層118Cの上半部分に沿って形成してもよい。これらの実施例において、MTJ 119は、キャッピング層118E、メンテナンス層118D、参照層118A及びトンネルバリア層118Bを含む第1のテーパ状部分と、参照層118Cの上部表面上にある第1の段差部分と、フリー層118Cを含む第2のテーパ状部分と、フリー層118Cの水平表面上にある第2の段差部分と、フリー層118Cを含む第3のテーパ状部分と、を含む。約50秒から約300秒まで変化した持続時間だけ、第3のメインエッチングプロセスを実行してよい。
【0058】
キャッピング層118E、メンテナンス層118D、参照層118A及びトンネルバリア層118Bの側部表面に沿って第1のスペーサ層132Aを提供し、第2のメインエッチングプロセスによるキャッピング層118E、メンテナンス層118D、参照層118A及びトンネルバリア層118Bの損害を防止する。また、フリー層118Cの側部表面に沿って第2のスペーサ層132Bを提供し、第3のメインエッチングプロセスによるフリー層118Cの損害を防止する。これによって、MTJ 119の磁気特性を改良し(例えば、MTJ 119のスイッチング特性を改良する)、MTJ 119の隣接する部材の間に短絡が発生することを防止し、装置の欠陥を減少するとともに、装置の効率を改良する。
【0059】
実施例によりメリットを達成することができる。例えば、MTJ膜スタック118のエッチング中にMTJ膜スタック118の部分に沿ってスペーサ132を形成し、MTJ膜スタック118の側部表面を、MTJ膜スタック118をエッチングするためのプロセスによる損害から保護する。これによってMTJ 119の磁気特性の損害を防止し(例えば、MTJ 119のスイッチング特性の劣化を防止する)、且つMRAMユニット58の間に短絡が発生することを防止する。これによって装置の欠陥を減少するとともに、装置の効率を改良する。
【0060】
実施例によれば、半導体装置は、半導体基板上にある第1の伝導特徴と、第1の伝導特徴上にある下部電極と、下部電極上にあり、且つ下部電極上にある参照層と、参照層上にあるトンネルバリア層と、参照層上にあるフリー層とを含む磁気トンネル接合(MTJ)スタックと、フリー層の側部表面及びトンネルバリア層の側部表面に接触し、その底部表面がトンネルバリア層の底部表面と面一である第1のスペーサと、MTJスタック上にある上部電極と、を備える。実施例において、半導体装置は、第1のスペーサの側部表面及び参照層の側部表面に接触する誘電体層を更に含む。実施例において、誘電体層は酸化アルミニウムを含む。実施例において、半導体装置は、第1のスペーサの側部表面及び参照層の側部表面に接触する第2のスペーサを更に含む。実施例において、半導体装置は、第1のスペーサの側部表面に接触し、その底部表面がトンネルバリア層の底部表面と面一である第2のスペーサを更に含む。実施例において、MTJスタックは、参照層とトンネルバリア層との間にある段差を含む。
【0061】
別の実施例によれば、半導体装置は、半導体基板上にある第1の伝導特徴と、第1の伝導特徴上にある下部電極と、下部電極上にある磁気トンネル接合(MTJ)と、MTJ上にあり、MTJの側部表面に接触する第1のスペーサと、MTJ上にある上部電極と、下部電極、MTJ、第1のスペーサ及び上部電極上にあり、MTJ及び第1のスペーサの側部表面に接触する第1の誘電体層と、を含む。実施例において、MTJは、フリー層と、トンネルバリア層と、参照層と、を含み、第1のスペーサは、フリー層の側部表面及びトンネルバリア層の側部表面に接触し、且つ、第1の誘電体層は、参照層の側部表面に接触する。実施例において、MTJは、参照層と、トンネルバリア層と、フリー層と、を含み、第1のスペーサは、参照層の側部表面及びトンネルバリア層の側部表面に接触し、且つ、第1の誘電体層は、フリー層の側部表面に接触する。実施例において、第1の誘電体層は酸化アルミニウムを含む。実施例において、第1のスペーサは、上部電極の側部表面に接触し、且つ、第1のスペーサの上部表面は上部電極の上部表面より低い。実施例において、MTJは、第1のスペーサに隣接する段差状構造を含む。実施例において、MTJは、参照層と、トンネルバリア層と、フリー層と、を含み、第1のスペーサは、第1のスペーサ層及び第2のスペーサ層を含み、第1のスペーサ層は、フリー層の側部表面及びトンネルバリア層の側部表面に接触し、且つ、第2のスペーサ層は、参照層の側部表面に接触する。実施例において、MTJは、第1のスペーサ層に隣接する第1の段差と、第2のスペーサ層に隣接する第2の段差と、を含む。
【0062】
別の実施例によれば、半導体装置の形成方法は、半導体基板上に下部電極層を堆積するステップと、下部電極層上に磁気トンネル接合(MTJ)膜スタックを堆積するステップと、MTJ膜スタック上に上部電極層を堆積するステップと、上部電極層をパターニングするステップと、第1のエッチングプロセスを実行してMTJ膜スタックをパターニングするステップと、MTJ膜スタックに対して第1のトリミングプロセスを実行するステップと、第1のトリミングプロセスを実行した後、MTJ膜スタック上に第1のスペーサ層を堆積するステップと、第1のスペーサ層を堆積した後、第2のエッチングプロセスを実行して第1のスペーサ層、MTJ膜スタック及び下部電極層をパターニングして、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)ユニットを形成するステップと、を含む。実施例において、上部電極層は、反応性イオンエッチングプロセスによりパターニングされ、且つ、第1のエッチングプロセスは、入射角が30°より小さいイオンビームエッチングプロセスを含む。実施例において、第1のトリミングプロセスは、第1の入射角が30°より大きい第1のイオンビームエッチングプロセスと、第2の入射角が30°より小さい第2のイオンビームエッチングプロセスと、を含む。実施例において、第1のトリミングプロセスを200秒未満実行する。実施例において、第2のエッチングプロセスは、入射角が30°より小さいイオンビームエッチングプロセスを含む。実施例において、方法は、第1のスペーサ層上に第2のスペーサ層を堆積するステップを更に含み、第1のスペーサ層は原子層堆積により堆積され、第2のスペーサ層は化学気相成長により堆積される。
【0063】
当業者が本開示の態様をよく理解できるように、前述した内容をもって複数の実施例の特徴を概説した。当業者であれば、同じ目的を実現する、及び/又は本明細書において説明された実施例と同じメリットを達成するための他のプロセスと構造を設計又は変更する基礎として本開示を用いることができることを理解すべきである。当業者であれば、このような等価構造が本開示の精神及び範疇から逸脱することはなく、本開示の精神及び範疇から逸脱することなく各種の変更、置換と修正を行うことができることをも意識すべきである。
【符号の説明】
【0064】
50 半導体装置
50M メモリエリア
50L 論理エリア
52 MRAMアレイ
54 カラムデコーダ
56 ロウデコーダ
58 MRAMユニット
60 半導体基板
62 装置
64 ILD層
66 コンタクトプラグ
68 相互接続構造
102 IMD層
104 伝導特徴
106 エッチングストップ層
106A シリサイドブロッキングサブ層
106B 酸化アルミニウムサブ層
108 IMD層
110 伝導連通ポスト
112 伝導充填材料
114 伝導バリア層
116 下部電極層
117 下部電極
118 MTJ膜スタック
118A 参照層
118B トンネルバリア層
118C フリー層
118D メンテナンス層
118E キャッピング層
119 MTJ
120 上部電極層
121 上部電極
122 ハードマスク層
124 フォトレジスト
124A 下部層
124B 中間層
124C 上部層
130 スペーサ層
132 スペーサ
132A 第1のスペーサ層
132B 第2のスペーサ層
134 保護層
136 IMD層
164 伝導特徴
164V 伝導連通ポスト
164L 伝導配線
M1~M6 金属化層
V1~V6 金属連通ポスト
L1~L6 金属配線
D1~D6 金属間誘電体層
BL ビットライン
WL ワードライン
1 深さ
1 厚さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16A
図16B
図17
図18