(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】ポリイミド系樹脂フィルムおよびそれを用いたディスプレイ装置用基板、および光学装置
(51)【国際特許分類】
C08G 73/10 20060101AFI20240423BHJP
【FI】
C08G73/10
(21)【出願番号】P 2022549091
(86)(22)【出願日】2021-09-08
(86)【国際出願番号】 KR2021012174
(87)【国際公開番号】W WO2022055235
(87)【国際公開日】2022-03-17
【審査請求日】2022-08-16
(31)【優先権主張番号】10-2020-0114807
(32)【優先日】2020-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0119263
(32)【優先日】2021-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、ミン ウク
(72)【発明者】
【氏名】キム、キュンファン
(72)【発明者】
【氏名】パク、チャン ヒョ
【審査官】久保 道弘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/159184(WO,A1)
【文献】特表2022-519404(JP,A)
【文献】特開平05-112644(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 73/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表されるポリイミド繰り返し単位を含むポリイミド系樹脂を含み、
ガラス転移温度が400℃以上であり、
10μm厚さでの厚さ方向の位相差値が150nm以下である、ポリイミド系樹脂フィルム:
[化学式1]
【化1】
前記化学式1において、
X
1は四価の官能基であり、
前記X
1
で示される四価の官能基は下記化学式3で表される四価の官能基のうち一つを含み、
[化学式3]
【化5】
前記化学式3において、Arはフルオレニレン基を含み、
Y
1は
下記化学式2-1で表される官能基であり、
[化学式2-1]
【化3】
前記化学式2-1において、Q
5
~Q
6
は互いに同一または異なり、それぞれ独立してハロアルキル基であり、q5~q6は互いに同一または異なり、それぞれ独立して0または1の整数であり、(q5+q6)は1または2の整数である。
【請求項2】
ヘイズ値が1.5%以下である、請求項1に記載のポリイミド系樹脂フィルム。
【請求項3】
黄色度指数が15以下である、請求項1または2に記載のポリイミド系樹脂フィルム。
【請求項4】
380nm以上780nm以下の波長での平均透過度が60%以上である、請求項1から3のいずれか一項に記載のポリイミド系樹脂フィルム。
【請求項5】
前記
化学式2-1で表される官能基は最大光吸収波長が280nm以上300nm以下である芳香族化合物に由来したものである、請求項1から
4のいずれか一項に記載のポリイミド系樹脂フィルム。
【請求項6】
前記
化学式2-1で表される官能基は下記化学式2-2で表される官能基を含む、請求項1から
5のいずれか一項に記載のポリイミド系樹脂フィルム:
[化学式2-2]
【化4】
。
【請求項7】
前記化学式3で表される四価の官能基は下記化学式3-1で表される官能基を含む、請求項
1から6のいずれか一項に記載のポリイミド系樹脂フィルム:
[化学式3-1]
【化6】
。
【請求項8】
前記ポリイミド系樹脂は前記化学式1で表されるポリイミド繰り返し単位以外に、下記化学式5で表されるポリイミド繰り返し単位をさらに含む、請求項1から
7のいずれか一項に記載のポリイミド系樹脂フィルム:
[化学式5]
【化8】
前記化学式5において、
X
2は前記X
1と異なる四価の官能基であり、
Y
2は電子求引性基が少なくとも1以上置換された
、炭素数24以上の芳香族二価官能基である。
【請求項9】
前記X
2は下記化学式6で表される四価の官能基のうち一つである、請求項
8に記載のポリイミド系樹脂フィルム:
[化学式6]
【化9】
前記化学式6において、R
1~R
6はそれぞれ独立して水素または炭素数1~6のアルキル基であり、L
3は単結合、-O-、-CO-、-COO-、-S-、-SO-、-SO
2-、-CR
7R
8-、-(CH
2)
t-、-O(CH
2)
tO-、-COO(CH
2)
tOCO-、-CONH-、フェニレンまたはこれらの組み合わせからなる群より選ばれたいずれか一つであり、前記R
7および前記R
8はそれぞれ独立して水素、炭素数1~10のアルキル基、または炭素数1~10のハロアルキル基のうち一つであり、tは1~10の整数である。
【請求項10】
前記化学式1で表されるポリイミド繰り返し単位および化学式5で表されるポリイミド繰り返し単位はポリイミド系樹脂に含有された全体繰り返し単位に対して95モル%以上である、請求項
8または
9に記載のポリイミド系樹脂フィルム。
【請求項11】
請求項1から1
0のいずれか一項に記載のポリイミド系樹脂フィルムを含む、ディスプレイ装置用基板。
【請求項12】
請求項1から1
0のいずれか一項に記載のポリイミド系樹脂フィルムを含む、光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互引用]
本出願は2020年9月8日付韓国特許出願第10-2020-0114807号および2021年9月7日付韓国特許出願第10-2021-0119263号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は高耐熱性を有し、優れた光学特性および低い厚さ方向の位相差(Rth)を実現できるポリイミド系樹脂フィルムおよびそれを用いたディスプレイ装置用基板、および光学装置に関する。
【背景技術】
【0003】
表示装置の市場は大面積が容易でかつ薄型および軽量化が可能な平板ディスプレイ(Flat Panel Display;FPD)を中心に急速に変化している。このような平板ディスプレイには液晶表示装置(Liquid Crystal Display;LCD)、有機発光表示装置(Organic Light Emitting Display;OLED)または電気泳動表示装置(electrophoretic display;EPD)等がある。
【0004】
特に、最近ではこのような平板ディスプレイの応用と用途をより拡張するために、前記平板ディスプレイに可撓性基板を適用した、いわゆるフレキシブルディスプレイ素子等への関心が集中している。このようなフレキシブルディスプレイ素子は主にスマートフォン等モバイル機器を中心に適用が検討されており、徐々にその応用分野が拡張されている。
【0005】
一般に、フレキシブルディスプレイ素子および照明素子を製作することにおいて硬化したポリイミドの上にbuffer layer、active layer、gate insulator等多層の無機膜を成膜してTFT素子を製造している。
【0006】
しかし、ポリイミド層(基板層)に光が放出される時上記のように無機膜からなる多層の上部層の屈折率とポリイミド層の屈折率の差によって放出効率が減少し得る。
【0007】
また、ポリイミド層(基板層)に含まれるポリイミド材料は400℃以上の高温で硬化時ポリイミドの劣化による光学特性の減少が発生し得る。
【0008】
そこで、高耐熱性と優れた光学特性を満たし得る新たなポリイミドの開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は高耐熱性を有し、優れた光学特性および低い厚さ方向の位相差(Rth)を実現できるポリイミド系樹脂フィルムに関する。
【0010】
また、本発明は前記ポリイミド系樹脂フィルムを用いたディスプレイ装置用基板、および光学装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、本明細書では、下記化学式1で表されるポリイミド繰り返し単位を含むポリイミド系樹脂を含み、ガラス転移温度が400℃以上であり、10μm厚さでの厚さ方向の位相差値が150nm以下である、ポリイミド系樹脂フィルムを提供する。
[化学式1]
【化1】
前記化学式1において、X
1は四価の官能基であり、Y
1は電子求引性基が少なくとも1以上置換された炭素数24以上の芳香族二価官能基である。
【0012】
本明細書ではまた、前記ポリイミド系樹脂フィルムを含む、ディスプレイ装置用基板が提供される。
【0013】
本明細書ではまた、前記ポリイミド系樹脂フィルムを含む、光学装置が提供される。
【0014】
以下、発明の具体的な実施形態によるポリイミド系樹脂フィルムおよびそれを用いたディスプレイ装置用基板、および光学装置についてより詳細に説明する。
【0015】
本明細書で明示的な言及がない限り、専門用語は単に特定の実施例を言及するためのものであり、本発明を限定することを意図しない。
【0016】
本明細書で使用される単数形は文脈上明らかに逆の意味を示さない限り複数形も含む。
【0017】
本明細書で使用される「含む」の意味は、特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素および/または成分を具体化し、他の特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素、成分および/または群の存在や付加を除外させるものではない。
【0018】
そして、本明細書で「第1」および「第2」のように序数を含む用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的で使用され、前記序数によって限定されない。例えば、本発明の範囲内で第1構成要素は第2構成要素と名付けられてもよく、同様に第2構成要素は第1構成要素と名付けられてもよい。
【0019】
本明細書で(共)重合体は重合体または共重合体をすべて含む意味であり、前記重合体は単一繰り返し単位からなる単独重合体を意味し、共重合体は2種以上の繰り返し単位を含有する複合重合体を意味する。
【0020】
本明細書で、置換基の例示は以下で説明するが、これに限定されるものではない。
【0021】
本明細書で、「置換」という用語は化合物内の水素原子の代わりに他の官能基が結合することを意味し、置換される位置は水素原子が置換される位置すなわち、置換基が置換可能な位置であれば限定されず、2以上置換される場合、2以上の置換基は互いに同一または異なってもよい。
【0022】
本明細書で「置換または非置換された」という用語は、重水素;ハロゲン基;シアノ基;ニトロ基;ヒドロキシ基;カルボニル基;エステル基;イミド基;アミド基;1次アミノ基;カルボキシ基;スルホン酸基;スルホンアミド基;ホスフィンオキシド基;アルコキシ基;アリールオキシ基;アルキルチオキシ基;アリールチオキシ基;アルキルスルホキシ基;アリールスルホキシ基;シリル基;ホウ素基;アルキル基;シクロアルキル基;アルケニル基;アリール基;アラルキル基;アラルケニル基;アルキルアリール基;アルコキシシリルアルキル基;アリールホスフィン基;またはN、OおよびS原子のうち1個以上を含むヘテロ環基からなる群より選ばれた1個以上の置換基で置換または非置換されるか、前記例示した置換基のうち2以上の置換基が連結された置換または非置換されたことを意味する。例えば、「2以上の置換基が連結された置換基」はビフェニル基であり得る。すなわち、ビフェニル基はアリール基であり得、2個のフェニル基が連結された置換基と解釈されることもできる。
【0023】
本明細書で、
【化2】
または
【化3】
は他の置換基に連結される結合を意味し、直接結合はLで表される部分に別途の原子が存在しない場合を意味する。
【0024】
本明細書において、芳香族(aromatic)はヒュッケル則(Huckels Rule)を満たす特性として、前記ヒュッケル則により次の三つの条件をすべて満たす場合を芳香族であると定義することができる。
1)空のp-オービタル、不飽和結合、孤立電子対等によって完全にコンジュゲーションをなしている4n+2個の電子が存在しなければならない。
2)4n+2個の電子は平面形態の異性体を構成しなければならず、環構造をなさなければならない。
3)環のすべての原子がコンジュゲーションに参加できなければならない。
【0025】
本明細書において、アルキル基はアルカン(alkane)に由来する一価の官能基であり、直鎖または分枝鎖であり得、前記直鎖アルキル基の炭素数は特に限定されないが1~20であることが好ましい。また、前記分枝鎖アルキル基の炭素数は3~20である。アルキル基の具体的な例としてはメチル、エチル、プロピル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、1-メチル-ブチル、1-エチル-ブチル、ペンチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、ヘキシル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、ヘプチル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシル、オクチル、n-オクチル、tert-オクチル、1-メチルヘプチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルペンチル、n-ノニル、2,2-ジメチルヘプチル、1-エチル-プロピル、1,1-ジメチル-プロピル、イソヘキシル、2-メチルペンチル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシル、2,6-ジメチルヘプタン-4-イル等があるが、これらに限定されない。前記アルキル基は置換または非置換され得、置換される場合の置換基の例示は上述したとおりである。
【0026】
本明細書において、ハロアルキル基は上述したアルキル基にハロゲン基が置換された官能基を意味し、ハロゲン基の例としてはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素がある。前記ハロアルキル基は置換または非置換され得、置換される場合の置換基の例示は上述したとおりである。
【0027】
本明細書において、多価官能基(multivalent functional group)は、任意の化合物に結合された複数の水素原子が除去された形態の残基であり、例えば二価官能基、三価官能基、四価官能基が挙げられる。一例として、シクロブタンに由来する四価の官能基はシクロブタンに結合された任意の水素原子4個が除去された形態の残基を意味する。
【0028】
本明細書で、電子求引性基(Electro-withdrawing group)は、ハロアルキル基、ハロゲン基、シアノ基、ニトロ基、スルホン酸基、カルボニル基およびスルホニル基からなる群より選ばれた1種以上を含み得、好ましくはトリフルオロメチル基(-CF3)等のハロアルキル基であり得る。
【0029】
本明細書で、直接結合または単結合は該当位置にいかなる原子または原子団も存在しないため、結合線で連結されることを意味する。具体的には、化学式中のL1、L2で表される部分に別途の原子が存在しない場合を意味する。
【0030】
本明細書で、重量平均分子量はGPC法によって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量を意味する。前記GPC法によって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量を測定する過程では、通常知られている分析装置と示差屈折率検出器(Refractive Index Detector)等の検出器および分析用カラムを用いることができ、通常適用される温度条件、溶媒、flow rateを適用することができる。前記測定条件の具体的な例としては、Polymer Laboratories PLgel MIX-B 300mm長さのカラムを用いてWaters PL-GPC220機器を用いて、評価温度は160℃であり、1,2,4-トリクロロベンゼンを溶媒として使用し、流速は1mL/minの速度であり、サンプルは10mg/10mLの濃度に調製した後、200μLの量で供給し、ポリスチレン標準を用いて形成された検定曲線を用いてMwの値を求めることができる。ポリスチレン標準品の分子量は2,000/10,000/30,000/70,000/200,000/700,000/2,000,000/4,000,000/10,000,000の9種を使用した。
【0031】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0032】
1.ポリイミド系樹脂フィルム
発明の一実施形態によれば、前記化学式1で表されるポリイミド繰り返し単位を含むポリイミド系樹脂を含み、ガラス転移温度が400℃以上であり、10μm厚さでの厚さ方向の位相差値が150nm以下であるポリイミド系樹脂フィルムが提供されることができる。
【0033】
本発明者らは前記一実施形態のポリイミド系樹脂フィルムのようにガラス転移温度が400℃以上であり、10μm厚さでの厚さ方向の位相差値が150nm以下を満たすと、400℃以上の高温で硬化を行ったポリイミド樹脂フィルムでも無色透明な光学特性および低い厚さ方向の位相差(Rth)特性により光学的等方性が高くなり、前記ポリイミド系樹脂フィルムが適用されたディスプレイの対角視野角を確保して優れた視感性を実現できることを実験によって確認して発明を完成した。
【0034】
特に、前記ポリイミド系樹脂は前記化学式1で表されるポリイミド繰り返し単位で、ジアミン由来のY1官能基が電子求引性基が少なくとも1以上置換された炭素数24以上の芳香族二価官能基のように従来に比べて芳香族性(aromaticity)を増加させた官能基を含有することにより、ポリイミド分子間のorderingとorientation特性を向上させて高温硬化により得られるポリイミドフィルムでも十分な耐熱性を確保してこれをプラスチック基板として使用する場合、プラスチック基板に形成された金属層を熱処理する時プラスチック基板が熱によって損傷することを防止することができ、500℃に近接するLTPS(low temperature polysilane)工程を用いるOLED(organic light emitting diode)デバイスに適用時にも熱分解されず優れた熱安全性を実現することができる。
【0035】
また、前記ポリイミド系樹脂は前記化学式1で表されるポリイミド繰り返し単位で、ジアミン由来のY1官能基が電子求引性基が少なくとも1以上置換された炭素数24以上の芳香族二価官能基のように従来に比べて芳香族性(aromaticity)を増加させた官能基を含有することにより、平面屈折率値の平均値と厚さ方向の屈折率の間の差が減少することにより、低い厚さ方向の位相差(Rth)を実現することができる。
【0036】
また、ポリイミド樹脂合成に使用されるジアミン単量体化合物に、電子求引効果を付与できるトリフルオロメチル基(-CF3)等の電子求引性基を置換基として導入して、イミド鎖内に存在するPi-電子のCTC(charge transfer complex)の形成を抑制することにより透明性を確保して優れた光学特性を実現することができる。
【0037】
具体的には、本発明によるポリイミドフィルムは屈折率を上昇させることができ、フレキシブルディスプレイ素子で基板層として用いられ、素子を構成する各層との屈折率の差を減少させることができ、これにより、内部で消滅する光の量を減らして光放出(bottom emission)効率を効果的に増大させることができる。
【0038】
前記ポリイミド系樹脂はポリイミド、そしてその前駆体重合体であるポリアミック酸、ポリアミック酸エステルをすべて含むものを意味する。すなわち、前記ポリイミド系高分子はポリアミック酸繰り返し単位、ポリアミック酸エステル繰り返し単位、およびポリイミド繰り返し単位からなる群より選ばれた1種以上を含むことができる。すなわち、前記ポリイミド系高分子はポリアミック酸繰り返し単位1種、ポリアミック酸エステル繰り返し単位1種、ポリイミド繰り返し単位1種、またはこれらの2種以上の繰り返し単位が混合された共重合体を含むことができる。
【0039】
前記ポリアミック酸繰り返し単位、ポリアミック酸エステル繰り返し単位、およびポリイミド繰り返し単位からなる群より選ばれた1種以上の繰り返し単位は前記ポリイミド系高分子の主鎖を形成することができる。
【0040】
特に、前記ポリイミド系樹脂は化学式1で表されるポリイミド繰り返し単位を含むことができる。
【0041】
前記化学式1において、X1は任意の四価の官能基であり、前記X1はポリイミド系樹脂合成に使用されるテトラカルボン酸二無水物化合物から誘導された官能基である。
【0042】
具体的には、前記X1は四価の官能基は多重環を含有する芳香族四価官能基を含むことができる。前記多重環を含有する芳香族四価官能基を前記X1に含むと、多重環によって立体障害が増加した構造がポリイミド鎖構造に導入されることによって、厚さ方向にorientationを増加させて等方性を誘導して低い厚さ方向の位相差(Rth)特性によりディスプレイの対角視野角を確保して優れた視感性を実現することができ、熱による変形を緩和させて耐熱性を向上させることができ、加熱工程後の冷却工程時に発生するフィルムの収縮現象を緩和させることができる。
【0043】
より具体的には、前記X
1は四価の官能基は下記化学式3で表される官能基を含むことができる。
[化学式3]
【化4】
前記化学式3において、Arは多重環芳香族二価官能基である。前記多重環芳香族二価官能基は多重環芳香族炭化水素(polycyclic aromatic hydrocarbon)化合物またはその誘導体化合物に由来する二価の官能基であって、フルオレニレン基を含むことができる。前記誘導体化合物は1以上の置換基が導入されるか、炭素原子がヘテロ原子に代替された化合物をすべて含む。
【0044】
より具体的には、前記化学式3のArにおいて、多重環芳香族二価官能基は少なくとも2以上の芳香族環化合物が含有された縮合環型二価官能基を含むことができる。すなわち、前記多重環芳香族二価官能基は、官能基の構造内に少なくとも2以上の芳香族環化合物が含有され、のみならず官能基が縮合環(fused ring)構造を有することができる。
【0045】
前記芳香族環化合物は1以上のベンゼン環を含有するアレーン化合物、または前記アレーン化合物内の炭素原子がヘテロ原子に代替されたヘテロアレーン化合物を含むことができる。
【0046】
前記芳香族環化合物は多重環芳香族二価官能基内に少なくとも2以上含有され得、前記2以上の芳香族環化合物それぞれは直接縮合環を形成したり、あるいは他の環構造を媒介として縮合環を形成することができる。一例として2個のベンゼン環がシクロアルキル環構造にそれぞれ接合される場合、シクロアルキル環を媒介として2個のベンゼン環が縮合環を形成したと定義することができる。
【0047】
前記少なくとも2以上の芳香族環化合物が含有された縮合環型二価官能基は少なくとも2以上の芳香族環化合物が含有された縮合環化合物またはその誘導体化合物に由来する二価の官能基であって、前記誘導体化合物は1以上の置換基が導入されるか、炭素原子がヘテロ原子に代替された化合物をすべて含む。
【0048】
前記多重環芳香族二価官能基の例は大きく限定されるものではないが、一例として前記化学式3で表される四価の官能基は下記化学式3-1で表される官能基が挙げられる。
[化学式3-1]
【化5】
【0049】
一方、前記化学式1において、Y1は電子求引性基が少なくとも1以上置換された炭素数24以上、または24以上30以下、または24以上28以下の芳香族二価官能基であり、前記Y1はポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、またはポリイミド合成時に使用されるジアミン化合物に由来する官能基であり得る。
【0050】
前記Y1において炭素数24以上の芳香族二価官能基は芳香族環化合物を4個以上含むことができる。このように4個以上の芳香族環化合物が含有されることにより、高分子鎖間のCTC(charge transfer complex)効果が強化されて面配向屈折率が増加して非等方性を誘導し、ポリイミド系樹脂は分子間のorderingとorientation特性が向上して、高温硬化により得られるポリイミドフィルムでも十分な耐熱性および工程効率性を確保することができる。
【0051】
前記Y1において芳香族二価官能基の炭素数が24未満に減少すると、芳香族環化合物の個数が3個以下に減少して芳香族性(aromaticity)が減少することにより、高分子鎖間のCTC(charge transfer complex)効果と、ポリイミド分子間のorderingとorientation特性が相対的に弱くなって高温硬化により得られるポリイミドフィルムにおける耐熱性および工程効率性が顕著に不良である問題が発生し得る。
【0052】
前記炭素数24以上の芳香族二価官能基はクアテルフェニレン基、およびペンタフェニレン基からなる群より選ばれた1種以上を含むことができる。具体的には、前記炭素数24以上の芳香族二価官能基は最大光吸収波長が280nm以上300nm以下である芳香族化合物に由来したものであり得る。
【0053】
例えば、炭素数が12個であるビフェニレン基の場合、最大光吸収波長が247nmであり、炭素数が18個であるテルフェニレン基の場合、最大光吸収波長が274nmであることに対して、炭素数が24個であるクアテルフェニレン基の場合、最大光吸収波長が292nmを示し得る。
【0054】
前記最大光吸収波長はCH2Cl2溶媒を用いて、従来の知られている光吸収波長の測定方法および装備を制限なく適用して測定することができる。
【0055】
前記電子求引性基はハロアルキル基、ハロゲン基、シアノ基、ニトロ基、スルホン酸基、カルボニル基およびスルホニル基からなる群より選ばれた1種以上を含むことができる。
【0056】
電気陰性度が高いトリフルオロメチル基(-CF3)等の電子求引置換基が置換されることにより、前記ポリイミド樹脂鎖内に存在するPi-電子のCTC(charge transfer complex)の形成を抑制する効果が増加して向上した透明性を確保することができる。すなわち、ポリイミド構造内または鎖間packingを減少させることができ、立体障害および電気的効果によって発色源間の電気的な相互作用を弱化させて可視光領域で高い透明性を示すようにすることができる。
【0057】
具体的には、前記Y
1の電子求引性基が少なくとも1以上置換された炭素数24以上の芳香族二価官能基は下記化学式2で表される官能基を含むことができる。
[化学式2]
【化6】
前記化学式2において、Q
1~Q
4は互いに同一または異なり、それぞれ独立して電子求引性基であり、q1~q4は互いに同一または異なり、それぞれ独立して0~4の整数であり、pは1~10、または1~3の整数である。
【0058】
より具体的には、前記化学式1において、Y1は電子求引性基が1以上、または3以下、または1~3、または1~2個置換され得る。
【0059】
具体的には、前記Y
1の電子求引性基が少なくとも1以上置換された炭素数24以上の芳香族二価官能基は下記化学式2-1で表される官能基を含むことができる。
[化学式2-1]
【化7】
前記化学式2-1において、Q
5~Q
6は互いに同一または異なり、それぞれ独立して電子求引性基であり、q5~q6は互いに同一または異なり、それぞれ独立して0または1の整数であり、(q5+q6)は1または2の整数である。
【0060】
前記化学式1において、Y1に電子求引性基が2個超過、または3個超過で過度に多くなる場合、化学式1で表されるポリイミド繰り返し単位の構造が相対的にbulkyになり、過度な電子求引性基の導入により電子密度が不足になり、熱的特性(Tg,CTE)が低下する技術的問題が発生し得る。
【0061】
例えば、前記Y
1の電子求引性基が少なくとも1以上置換された炭素数24以上の芳香族二価官能基は下記化学式2-2で表される官能基を含むことができる。
[化学式2-2]
【化8】
【0062】
前記ポリイミド系樹脂は下記化学式4で表されるテトラカルボン酸二無水物および電子求引性基が少なくとも1以上置換された炭素数24以上の芳香族ジアミンの結合物を含むことができる。
[化学式4]
【化9】
前記化学式4において、Ar'は多重環芳香族二価官能基である。前記多重環芳香族二価官能基は多重環芳香族炭化水素(polycyclic aromatic hydrocarbon)化合物に由来する二価の官能基であって、フルオレニレン基またはその誘導体化合物に由来する二価の官能基であって、フルオレニレン基を含むことができる。前記誘導体化合物は1以上の置換基が導入されるか、炭素原子がヘテロ原子に代替された化合物をすべて含む。
【0063】
前記化学式4で表されるテトラカルボン酸二無水物の具体的な例としては9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物(9,9-Bis(3,4-dicarboxyphenyl)fluorene Dianhydride,BPAF)が挙げられる。
【0064】
前記電子求引性基が少なくとも1以上置換された炭素数24以上の芳香族ジアミンは上述した電子求引性基が少なくとも1以上置換された炭素数24以上の芳香族二価官能基の両末端にアミノ基(-NH2)が結合した化合物であって、電子求引性基が少なくとも1以上置換された炭素数24以上の芳香族二価官能基に係る説明は上述したとおりである。
【0065】
前記電子求引性基が少なくとも1以上置換された炭素数24以上の芳香族ジアミンの具体的な例としては下記化学式aで表されるジアミンが挙げられる。
[化学式a]
【化10】
【0066】
前記化学式aで表されるジアミンは全体ジアミンを基準として95モル%以上、または96モル%以上、または97モル%以上、または98モル%以上、または99モル%以上、または100モル%以下、または95モル%~100モル%、または96モル%~100モル%、または97モル%~100モル%、または98モル%~100モル%、または99モル%~100モル%で含有されることができる。
【0067】
より具体的には、前記ポリイミド系樹脂は前記化学式4で表されるテトラカルボン酸二無水物の末端無水物基(-OC-O-CO-)と、電子求引性基が少なくとも1以上置換された炭素数24以上の芳香族ジアミンの末端アミノ基(-NH2)の反応でアミノ基の窒素原子と無水物基の炭素原子の間の結合が形成されることができる。
【0068】
また、前記ポリイミド系樹脂は前記化学式1で表されるポリイミド繰り返し単位以外に、下記化学式5で表されるポリイミド繰り返し単位をさらに含むことができる。
[化学式5]
【化11】
前記化学式5において、X
2は前記X
1と異なる四価の官能基であり、Y
2は電子求引性基が少なくとも1以上置換された炭素数24以上の芳香族二価官能基である。
【0069】
前記X
2は下記化学式6で表される四価の官能基のうち一つであり得る。
[化学式6]
【化12】
前記化学式6において、R
1~R
6はそれぞれ独立して水素または炭素数1~6のアルキル基であり、L
3は単結合、-O-、-CO-、-COO-、-S-、-SO-、-SO
2-、-CR
7R
8-、-(CH
2)
t-、-O(CH
2)
tO-、-COO(CH
2)
tOCO-、-CONH-、フェニレン、またはこれらの組み合わせからなる群より選ばれたいずれか一つであり、前記でR
7およびR
8はそれぞれ独立して水素、炭素数1~10のアルキル基、または炭素数1~10のハロアルキル基のうち一つであり、tは1~10の整数である。
【0070】
前記化学式6で表される官能基の具体的な例としては下記化学式6-1で表される官能基、または下記化学式6-2で表される官能基、または下記化学式6-3で表される官能基が挙げられる。
[化学式6-1]
【化13】
[化学式6-2]
【化14】
[化学式6-3]
【化15】
【0071】
すなわち、前記ポリイミド系高分子は、テトラカルボン酸二無水物由来の繰り返し単位が前記化学式3で表される官能基である化学式1で表される繰り返し単位を含有する第1繰り返し単位;およびテトラカルボン酸二無水物由来の繰り返し単位が前記化学式6で表される官能基である化学式5で表される繰り返し単位を含有する第2繰り返し単位;を含むことができる。前記第1繰り返し単位および第2繰り返し単位は前記ポリイミド系高分子内でランダムに配列してランダム共重合体をなすか、第1繰り返し単位間のブロック、第2繰り返し単位間のブロックを形成してブロック共重合体をなすことができる。
【0072】
前記化学式1で表される繰り返し単位および前記化学式5で表される繰り返し単位を含むポリイミド系高分子はジアミン化合物と共に互いに異なる2種以上のテトラカルボン酸二無水物化合物を反応させて製造することができ、前記2種のテトラカルボン酸二無水物を同時に添加してランダム共重合体を合成したり、順次添加してブロック共重合体を合成することができる。
【0073】
前記化学式5で表されるポリイミド繰り返し単位はポリイミド系樹脂に含有された全体繰り返し単位に対して1モル%以上99モル%以下で含有される。
【0074】
前記化学式1で表されるポリイミド繰り返し単位および化学式5で表されるポリイミド繰り返し単位はポリイミド系樹脂に含有された全体繰り返し単位に対して95モル%以上、または96モル%以上、または97モル%以上、または98モル%以上、または99モル%以上、または100モル%以下、または95モル%~100モル%、または96モル%~100モル%、または97モル%~100モル%、または98モル%~100モル%、または99モル%~100モル%で含有されることができる。
【0075】
すなわち、前記ポリイミド系樹脂は前記化学式1で表されるポリイミド繰り返し単位および化学式5で表されるポリイミド繰り返し単位のみで形成されているか、大部分が前記化学式1で表されるポリイミド繰り返し単位および化学式5で表されるポリイミド繰り返し単位からなる。
【0076】
前記化学式1で表されるポリイミド繰り返し単位および化学式5で表されるポリイミド繰り返し単位はポリイミド系樹脂に含有された全体繰り返し単位に対して95モル%未満で含有される場合、相対的に線形性が高いジアミン構造に由来する前記化学式1で表されるポリイミド繰り返し単位および化学式5で表されるポリイミド繰り返し単位の含有量が減少し、相対的に線形性が低いその他ジアミン構造に由来するポリイミド繰り返し単位が増加することにより耐熱性(Tg,CTE)が低下する技術的問題が発生し得る。
【0077】
より具体的には、前記ポリイミド系樹脂は電子求引性基が少なくとも1以上置換された炭素数24以上の芳香族二価官能基を誘導できるジアミン以外に他のジアミンが混合されていないか、1モル%未満のきわめて一部で混合され得る。
【0078】
前記ポリイミド系樹脂の重量平均分子量(GPC測定)は大きく限定されるものではないが、例えば、1000g/mol以上200000g/mol以下、または10000g/mol以上200000g/mol以下であり得る。
【0079】
本発明によるポリイミド系樹脂は堅固な構造による耐熱性、機械的強度等の特性をそのまま維持しつつ、優れた無色透明な特性を示すことができ、素子用基板、ディスプレイ用カバー基板、光学フィルム(optical film)、IC(integrated circuit)パッケージ、接着フィルム(adhesive film)、多層FRC(flexible printed circuit)、テープ、タッチパネル、光ディスク用保護フィルム等のような多様な分野に使用することができ、特にディスプレイ用カバー基板に好適である。
【0080】
一方、前記一実施形態のポリイミド系樹脂フィルムは前記ポリイミド系樹脂が400℃以上の温度で硬化した硬化物を含むことができる。前記硬化物は前記ポリイミド系樹脂が含有された樹脂組成物の硬化工程を経て得られた物質を意味し、前記硬化工程は400℃以上、または400℃以上500℃以下の温度で行われ得る。
【0081】
より具体的には前記ポリイミド系樹脂フィルムを合成する方法の例は大きく限定されるものではなく、例えば、前記ポリイミド系樹脂を含有する樹脂組成物を基板に塗布して塗膜を形成する段階(段階1);前記塗膜を乾燥する段階(段階2);前記乾燥された塗膜を熱処理して硬化する段階(段階3)を含む、フィルムの製造方法を用いることができる。
【0082】
前記段階1は、上述したポリイミド系樹脂を含有する樹脂組成物を基板に塗布して塗膜を形成する段階である。前記ポリイミド系樹脂を含有する樹脂組成物を基板に塗布する方法は特に制限されず、例えばスクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェット等の方法が用いられる。
【0083】
そして、前記ポリイミド系樹脂を含有する樹脂組成物は有機溶媒に溶解または分散させたものであり得る。このような形態を有する場合、例えばポリイミド系樹脂を有機溶媒の中で合成した場合は、溶液は得られる反応溶液それ自体であってもよく、また、この反応溶液を他の溶媒で希釈したものであってもよい。また、ポリイミド系樹脂を粉末として得た場合には、これを有機溶媒に溶解させて溶液としたものであってもよい。
【0084】
前記有機溶媒の具体的な例としては、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、N-メチルカプロラクタム、2-ピロリドン、N-エチルピロリドン、N-ビニルピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラメチルウレア、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルスルホキシド、ガンマ-ブチロラクトン、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-エトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、1,3-ジメチル-イミダゾリジノン、エチルアミルケトン、メチルノニルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジグライム、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が挙げられる。これらは単独で用いることもでき、混合して用いることもできる。
【0085】
前記ポリイミド系樹脂を含有する樹脂組成物はフィルム形成工程時の塗布性等の工程性を考慮して適切な粘度を有し得る量の固形分を含むことができる。例えば、全体樹脂の含有量が5重量%以上25重量%以下になるように組成物の含有量を調節することができ、または5重量%以上20重量%以下、または5重量%以上15重量%以下に調節することができる。
【0086】
また、前記ポリイミド系樹脂を含有する樹脂組成物は有機溶媒のほかに他の成分をさらに含むことができる。非制限的な例として、前記ポリイミド系樹脂を含有する樹脂組成物が塗布された時、膜厚の均一性や表面平滑性を向上させるか、あるいは基板との密着性を向上させるか、あるいは誘電率や導電性を変化させるか、あるいは緻密性を増加させる添加剤がさらに含まれ得る。このような添加剤としては界面活性剤、シラン系化合物、誘電体または架橋性化合物等を例示することができる。
【0087】
前記段階2は、前記ポリイミド系樹脂を含有する樹脂組成物を基板に塗布して形成された塗膜を乾燥する段階である。
【0088】
前記塗膜の乾燥段階はホットプレート、熱風循環炉、赤外線炉等の加熱手段によって実施されることができ、50℃以上150℃以下、または50℃以上100℃以下の温度で行われ得る。
【0089】
前記段階3は、前記乾燥された塗膜を熱処理して硬化する段階である。この時、前記熱処理はホットプレート、熱風循環炉、赤外線炉等の加熱手段によって実施されることができ、400℃以上、または400℃以上500℃以下の温度で行われ得る。
【0090】
前記ポリイミド系樹脂フィルムの厚さは大きく限定されるものではないが、例えば、0.01μm以上1000μm以下の範囲内で自由に調節可能である。前記ポリイミド系樹脂フィルムの厚さが特定の数値だけ増加または減少する場合、ポリイミド系樹脂フィルムで測定される物性もまた、一定の数値だけ変化し得る。
【0091】
前記ポリイミド系樹脂フィルムは10μm厚さでの厚さ方向の位相差値が150nm以下、または0.1nm以上150nm以下、または10nm以上150nm以下であり得る。このように、低い厚さ方向の位相差(Rth)特性により光学的等方性が高くなり、前記ポリイミド系樹脂フィルムが適用されたディスプレイの対角視野角を確保して優れた視感性を実現することができる。
【0092】
また、透明なディスプレイの実現の際、上部にポリイミドが存在する構造で光が透過する時の歪曲現象が相対的に減少して、透過する光の屈折を補正するための補償フィルムをさらに使用しなくても良い工程上の効率性および経済的効率性を確保することができる。
【0093】
前記厚さ方向の位相差は550nm波長に対して測定したものであり得、測定方法および装備の例は具体的に限定されず、従来の厚さ方向の位相差の測定に用いられた多様な方法を制限なく適用することができる。
【0094】
具体的には、厚さ方向位相差Rthは次の数式により計算することができる。
[数式]
Rth(nm)=|[(nx+ny)/2]-nz|×d
(前記数式において、nxは波長550nmの光で測定されるポリイミド樹脂フィルムの面内の屈折率のうち最も大きい屈折率であり;nyは波長550nmの光で測定されるポリイミド樹脂フィルムの面内の屈折率のうちnxと垂直な屈折率であり;nzは波長550nmの光で測定されるポリイミド樹脂フィルムの厚さ方向の屈折率であり;dはポリイミドフィルムの厚さである。)
【0095】
すなわち、前記厚さ方向位相差Rthは厚さ方向屈折率値(nz)と平面屈折率値の平均値[(nx+ny)/2]の差の絶対値をフィルム厚さに乗じて得た値であって、厚さ方向屈折率値(nz)と平面屈折率値の平均値[(nx+ny)/2]の差が小さいほど低い値を示す。
【0096】
前記ポリイミド系樹脂フィルムは10μm厚さでの厚さ方向の位相差値が150nm以下を満たすことにより、前記ポリイミド系樹脂フィルムが適用されたディスプレイ上で厚さ方向屈折率値(nz)と平面屈折率値の平均値[(nx+ny)/2]の差が少なくなることにより優れた視感性を実現することができる。
【0097】
前記ポリイミド系樹脂フィルムが10μm厚さでの厚さ方向の位相差値が150nm超過で過度に増加すると、透明なディスプレイの実現の際上部にポリイミドが存在する構造で光が透過する時歪曲現象が発生して、透過する光の屈折を補正するために追加で補償フィルムを使用しなければならない工程上の効率性および経済的効率性が減少し得る。
【0098】
一方、前記ポリイミド系樹脂フィルムはガラス転移温度が400℃以上、または400℃以上500℃以下であり得る。そのため、500℃に近接するLTPS(low temperature polysilane)工程を用いるOLED(organic light emitting diode)デバイスに適用する時にも熱分解されず優れた熱安全性を実現することができる。
【0099】
また、前記ポリイミド系樹脂フィルムが400℃以上、または400℃以上500℃以下の温度でガラス転移温度を有することにより、高温硬化により得られるポリイミドフィルムでも十分な耐熱性を確保し、これをプラスチック基板として使用する場合、プラスチック基板に形成された金属層を熱処理する時プラスチック基板が熱によって損傷することを防止することができる。
【0100】
前記ガラス転移温度を測定する方法の例は大きく限定されるものではないが、例えば熱機械分析装置(TMA(TA社のQ400))を用いて、フィルムを引っ張る力を0.02Nに設定し、100~350℃の温度範囲で5℃/minの昇温速度で1次昇温工程を行った後、350~100℃の温度範囲で4℃/minの冷却速度で冷却(cooling)した後再び100~450℃の温度範囲で5℃/minの昇温速度で2次昇温工程を行って、2次昇温工程での昇温区間で見られる変曲点をTgとして求める。
【0101】
前記ポリイミド系樹脂フィルムはガラス転移温度が400℃未満で過度に減少すると、耐熱性が不足して寸法安定性が不足するので、TFT工程で耐えることができない限界がある。
【0102】
具体的には、前記ポリイミド系樹脂フィルムはヘイズ値が1.5%以下、または0.1%以上1.5%以下であり得る。また、前記ポリイミド系樹脂フィルムは黄色度指数が15以下、または1以上15以下であり得る。
【0103】
前記ヘイズは厚さ10±2μmの前記ポリイミドフィルム試料から測定する。前記ポリイミドフィルムの厚さが特定の数値だけ増加または減少する場合、ポリイミドフィルムで測定される物性もまた、一定の数値だけ変化し得る。
【0104】
また、前記ポリイミド系樹脂フィルムは380nm以上780nm以下の波長帯での平均透過度が60%以上、または60%以上99%以下であり得る。前記透過度は厚さ10±2μmの前記ポリイミドフィルム試料から測定することができる。前記ポリイミドフィルムの厚さが特定の数値だけ増加または減少する場合、ポリイミドフィルムで測定される物性もまた、一定の数値だけ変化し得る。
【0105】
2.ディスプレイ装置用基板
一方、発明のまた他の実施形態によれば、前記他の実施形態のポリイミド系樹脂フィルムを含むディスプレイ装置用基板が提供されることができる。前記ポリイミド系樹脂フィルムに関する内容は前記一実施形態で上述した内容をすべて含むことができる。
【0106】
前記基板を含むディスプレイ装置は、液晶表示装置(liquid crystal display device,LCD)、有機発光ダイオード(organic light emitting diode,OLED)、フレキシブルディスプレイ(Flexible Display)、または巻込可能なディスプレイ装置(rollable display or foldable display)等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0107】
前記ディスプレイ装置は適用分野および具体的な形態等によって多様な構造を有することができ、例えばカバープラスチックウィンドウ、タッチパネル、偏光板、バリアフィルム、発光素子(OLED素子等)、透明基板等を含む構造であり得る。
【0108】
上述した他の実施形態のポリイミド系樹脂フィルムはこのような多様なディスプレイ装置において基板、外部保護フィルムまたはカバーウィンドウ等の多様な用途に使用することができ、より具体的には基板に適用することができる。
【0109】
例えば、前記ディスプレイ装置用基板は、素子保護層、透明電極層、シリコン酸化物層、ポリイミド系樹脂フィルム、シリコン酸化物層およびハードコート層が順次積層された構造を備えることができる。
【0110】
前記透明ポリイミド基板は耐溶剤性または水分透過性および光学的特性をより向上させる側面から透明ポリイミド系樹脂フィルムと硬化層の間に形成された、シリコン酸化物層を含み得、前記シリコン酸化物層はポリシラザンを硬化させて生成されるものであり得る。
【0111】
具体的には、前記シリコン酸化物層は前記透明ポリイミド系樹脂フィルムの少なくとも一面上にコート層を形成する段階の前にポリシラザンを含む溶液をコートおよび乾燥した後前記コートされたポリシラザンを硬化させて形成されるものであり得る。
【0112】
本発明によるディスプレイ装置用基板は上述した素子保護層を含むことによって優れた反り特性および耐衝撃性を有し、耐溶剤性、光学特性、水分透過度および耐スクラッチ性を有する透明ポリイミドカバー基板を提供することができる。
【0113】
3.光学装置
一方、発明のまた他の実施形態によれば、前記他の実施形態のポリイミド系樹脂フィルムを含む光学装置が提供されることができる。前記ポリイミド系樹脂フィルムに関する内容は前記一実施形態で上述した内容をすべて含むことができる。
【0114】
前記光学装置は光によって実現される性質を用いた各種装置がすべて含まれ得、例えば、ディスプレイ装置が挙げられる。前記ディスプレイ装置の具体的な例としては、液晶表示装置(liquid crystal display device,LCD)、有機発光ダイオード(organic light emitting diode,OLED)、フレキシブルディスプレイ(Flexible Display)、または巻込可能なディスプレイ装置(rollable display or foldable display)等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0115】
前記光学装置は適用分野および具体的な形態等によって多様な構造を有することができ、例えばカバープラスチックウィンドウ、タッチパネル、偏光板、バリアフィルム、発光素子(OLED素子等)、透明基板等を含む構造であり得る。
【0116】
上述した他の実施形態のポリイミド系樹脂フィルムはこのような多様な光学装置において基板、外部保護フィルムまたはカバーウィンドウ等の多様な用途に使用することができ、より具体的には基板に適用することができる。
【発明の効果】
【0117】
本発明によれば、高耐熱性を有し、優れた光学特性および低い厚さ方向の位相差(Rth)を実現できるポリイミド系樹脂フィルムおよびそれを用いたディスプレイ装置用基板、および光学装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0118】
発明を下記の実施例でより詳細に説明する。ただし、下記の実施例は本発明を例示するだけであり、本発明の内容は下記の実施例によって限定されない。
【0119】
<実施例:ポリイミドフィルムの製造>
実施例1
(1)ポリイミド前駆体組成物の製造
窒素気流が流れる攪拌機内に有機溶媒DEAcを満たした後、反応器の温度を25℃に維持した状態で下記化学式aで表されるジアミン0.735molを同じ温度で添加して溶解させた。下記化学式aで表されるジアミンが添加された溶液に酸二無水物として下記化学式bで表される9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物(9,9-Bis(3,4-dicarboxyphenyl)fluorene Dianhydride,BPAF)0.3675molおよび3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(3,3',4,4'-Biphenyltetracarboxylic dianhydride,BPDA)0.3675molを同じ温度で添加して24時間の間攪拌してポリイミド前駆体組成物を得た。
[化学式a]
【化16】
[化学式b]
【化17】
【0120】
(2)ポリイミドフィルムの製造
前記ポリイミド前駆体組成物をガラス基板上にスピンコートした。ポリイミド前駆体組成物が塗布されたガラス基板をオーブンに入れて5℃/minの速度で加熱し、80℃で30分、400℃で30分を維持して硬化工程を行った。硬化工程を完了した後に、ガラス基板を水に浸してガラス基板の上に形成されたフィルムを剥がしてオーブンで100℃で乾燥して、厚さが10μmのポリイミドフィルムを製造した。
【0121】
実施例2
酸二無水物として3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(3,3',4,4'-Biphenyltetracarboxylic dianhydride,BPDA)の代わりに4,4'-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(4,4'-(Hexafluoroisopropylidene)diphthalic anhydride、6-FDA)を使用したことを除いては前記実施例1と同様の方法でポリイミドフィルムを製造した。
【0122】
実施例3
酸二無水物として3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(3,3',4,4'-Biphenyltetracarboxylic dianhydride,BPDA)の代わりにピロメリット酸二無水物(pyromellitic dianhydride,PMDA)を使用したことを除いては前記実施例1と同様の方法でポリイミドフィルムを製造した。
【0123】
<比較例:ポリイミドフィルムの製造>
比較例1
ジアミンとして前記化学式aで表されるジアミンの代わりにp-フェニレンジアミン(p-phenylenediamine,p-PDA)を使用したことを除いては前記実施例1と同様の方法でポリイミドフィルムを製造した。
【0124】
比較例2
ジアミンとして前記化学式aで表されるジアミンの代わりに化学式cで表される2,2'-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(2,2'-Bis(trifluoromethyl)benzidine,TFMB)を使用したことを除いては前記実施例1と同様の方法でポリイミドフィルムを製造した。
[化学式c]
【化18】
【0125】
比較例3
ジアミンとして前記化学式aで表されるジアミンの代わりに化学式dで表される4,4'-DDS(4,4'-diaminodiphenyl sulfone)を使用したことを除いては前記実施例1と同様の方法でポリイミドフィルムを製造した。
[化学式d]
【化19】
【0126】
比較例4
(1)ポリイミド前駆体組成物の製造
窒素気流が流れる攪拌機内に有機溶媒DEAcを満たした後、反応器の温度を25℃に維持した状態で下記化学式eで表されるジアミン0.735molを同じ温度で添加して溶解させた。下記化学式eで表されるジアミン0.735molが添加された溶液に酸二無水物として下記化学式bで表される9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物(9,9-Bis(3,4-dicarboxyphenyl)fluorene Dianhydride,BPAF)0.3675molおよび3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(3,3',4,4'-Biphenyltetracarboxylic dianhydride,BPDA)0.3675molを同じ温度で添加して24時間の間攪拌してポリイミド前駆体組成物を得た。
[化学式e]
【化20】
[化学式b]
【化21】
【0127】
(2)ポリイミドフィルムの製造
前記ポリイミド前駆体組成物をガラス基板上にスピンコートした。ポリイミド前駆体組成物が塗布されたガラス基板をオーブンに入れて5℃/minの速度で加熱し、80℃で30分、400℃で30分を維持して硬化工程を行った。硬化工程を完了した後に、ガラス基板を水に浸してガラス基板の上に形成されたフィルムを剥がしてオーブンで100℃で乾燥して、厚さが10μmのポリイミドフィルムを製造した。
【0128】
比較例5
(1)ポリイミド前駆体組成物の製造
窒素気流が流れる攪拌機内に有機溶媒DEAcを満たした後、反応器の温度を25℃に維持した状態で下記化学式aで表されるジアミン0.6615mol、下記化学式dで表される4,4'-DDS(4,4'-diaminodiphenyl sulfone)0.0735molを同じ温度で添加して溶解させた。下記化学式aで表されるジアミン0.6615mol、下記化学式dで表される4,4'-DDS(4,4'-diaminodiphenyl sulfone)0.0735molが添加された溶液に酸二無水物として下記化学式bで表される9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物(9,9-Bis(3,4-dicarboxyphenyl)fluorene Dianhydride,BPAF)0.3675molおよび3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(3,3',4,4'-Biphenyltetracarboxylic dianhydride,BPDA)0.3675molを同じ温度で添加して24時間の間攪拌してポリイミド前駆体組成物を得た。
[化学式a]
【化22】
[化学式b]
【化23】
[化学式d]
【化24】
【0129】
(2)ポリイミドフィルムの製造
前記ポリイミド前駆体組成物をガラス基板上にスピンコートした。ポリイミド前駆体組成物が塗布されたガラス基板をオーブンに入れて5℃/minの速度で加熱し、80℃で30分、400℃で30分を維持して硬化工程を行った。硬化工程を完了した後に、ガラス基板を水に浸してガラス基板の上に形成されたフィルムを剥がしてオーブンで100℃で乾燥して、厚さが10μmのポリイミドフィルムを製造した。
【0130】
<実験例:実施例および比較例で得られたポリイミドフィルムの物性測定>
前記実施例および比較例から得られたポリイミドフィルムから物性を下記方法で測定し、その結果を表1に示した。
【0131】
1.厚さ方向位相差(Rth)
測定装置としてAXOMETRICS社製の商品名「アクソスキャン(AxoScan)」を用いて、実施例および比較例で製造したポリイミドフィルムの550nmの光に対する屈折率の値をインプットした後、温度:25℃、湿度:40%の条件下で波長550nmの光を用いて、厚さ方向のレターデーションを測定した後、求めた厚さ方向のレターデーション測定値(測定装置の自動測定による測定値)を使用して、フィルムの厚さ10μm当たりレターデーション値に換算することによって求め、次の基準により評価した。
【0132】
具体的には、厚さ方向位相差Rthは次の数式により計算した。
[数式]
Rth(nm)=|[(nx+ny)/2]-nz|×d
(前記数式において、nxは波長550nmの光で測定されるポリイミド樹脂フィルムの面内の屈折率のうち最も大きい屈折率であり;nyは波長550nmの光で測定されるポリイミド樹脂フィルムの面内の屈折率のうちnxと垂直である屈折率であり;nzは波長550nmの光で測定されるポリイミド樹脂フィルムの厚さ方向の屈折率であり;dはポリイミドフィルムの厚さである。)
【0133】
【0134】
2.ガラス転移温度(Tg)
実施例および比較例で製造したポリイミドフィルムを5×20mm大きさで準備した後アクセサリを用いて試料をロードする。実際に測定されるフィルムの長さは16mmで同一にした。フィルムを引っ張る力を0.02Nに設定して100~350℃の温度範囲で5℃/minの昇温速度で1次昇温工程を行った後、350~100℃の温度範囲で4℃/minの冷却速度で冷却(cooling)した後再び100~450℃の温度範囲で5℃/minの昇温速度で2次昇温工程を行って熱膨張変化様相をTMA(TA社のQ400)で測定した。この時、2次昇温工程での昇温区間で見られる変曲点をTgとして求め、次の基準により評価した。
【0135】
【0136】
3.黄色指数(YI)
color meter(GRETAGMACBETH社のColor-Eye 7000A)を用いてポリイミドフィルムの黄色指数を測定し、次の基準により評価した。
【0137】
【0138】
4.Haze
Hazemeter(NDH-5000)を用いてポリイミドフィルムのヘイズ値を測定し、次の基準により評価した。
【0139】
【0140】
5.透過度
JIS K 7105に基づいて透過率計(モデル名HR-100,Murakami Color Research Laboratory製造)で380nm以上780nm以下の波長帯での平均透過度を測定し、次の基準により評価した。
【0141】
【0142】
【0143】
前記表1に示すように、実施例で得られたポリイミドフィルムは位相差Rth値が150nm以下で示され、200nm以上の比較例1に比べて低いため厚さ方向の位相差範囲でディスプレイに適した視感性を発現できるだけでなく、ガラス転移温度が400℃以上で高く示され、350℃以下の低いガラス転移温度を有する比較例2、3、4、5に比べて優れた耐熱性を有し得ることを確認した。