(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】放熱器および冷却装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/36 20060101AFI20240423BHJP
H01L 23/473 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
H01L23/36 Z
H01L23/46 Z
(21)【出願番号】P 2020045659
(22)【出願日】2020-03-16
【審査請求日】2022-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【氏名又は名称】尾形 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100173598
【氏名又は名称】高梨 桜子
(72)【発明者】
【氏名】田村 忍
【審査官】豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3084182(JP,U)
【文献】特開2017-130578(JP,A)
【文献】特開2010-10464(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L23/29
H01L23/34 -23/36
H01L23/373-23/427
H01L23/44
H01L23/467-23/473
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に並んで配置され、当該一方向に対して交差する交差方向の一方側に凹んだ凹部が各々に形成された複数のフィンと、
前記複数のフィンの各々の前記凹部に挿入され当該複数のフィンを連結する連結部材と、
を備え、
前記複数のフィンのうちの前記一方向の両端に配置されているフィンは、前記連結部材が入る開口が形成されるとともに前記交差方向の前記一方側を向く壁部が形成された開口部を有
し、
前記開口部は、前記一方向および前記交差方向の何れの方向にも交差する方向において、前記凹部よりも前記フィンの端部に設けられているとともに、当該開口部は、当該フィンの側面から凹むように形成されている
放熱器。
【請求項2】
前記両端に配置されているフィンの少なくとも一方は、前記開口部よりも前記交差方向の前記一方側に設けられ、連結部材が入る開口が形成されるとともに当該一方側の反対側を向く壁部が形成された一方側開口部を有し、
前記交差方向において、前記開口部に形成された前記開口と、前記一方側開口部に形成された前記開口との間には、壁部が設けられている
請求項1記載の放熱器。
【請求項3】
前記一方向において前記複数のフィンよりも一方側から当該複数のフィンよりも当該一方側の反対側にわたって設けられ、前記連結部材との間で当該複数のフィンを挟む挟持部材をさらに備えた、請求項1記載の放熱器。
【請求項4】
一方向に並んで配置され、当該一方向に対して交差する交差方向の一方側に凹んだ凹部が各々に形成された複数のフィンと、
前記複数のフィンの各々の前記凹部に挿入され当該複数のフィンを連結する連結部材と、
を備え、
前記複数のフィンのうちの前記一方向の両端に配置されているフィンは、前記連結部材が入る開口が形成されるとともに前記交差方向の前記一方側を向く壁部が形成された開口部を有し、
前記複数のフィンは、前記凹部よりも前記交差方向の前記一方側に設けられ当該一方側の反対側に凹んだ反対側凹部を有し、
前記開口部は、前記反対側凹部であり、
前記連結部材は、前記反対側凹部に挿入される被挿入部、および、前記一方向において前記複数のフィンよりも一方側に設けられ、当該連結部材のうちの前記凹部に挿入される部分と当該被挿入部とを接続する接続部を有する
放熱器。
【請求項5】
前記接続部は、前記連結部材が前記複数のフィンの前記凹部および前記反対側凹部に挿入されている状態において、前記交差方向に延びて設けられている
請求項
4記載の放熱器。
【請求項6】
前記接続部は、前記フィンの前記交差方向における長さよりも長く形成されるとともに、前記連結部材が前記複数のフィンの前記凹部および前記反対側凹部に挿入されている状態において曲げられて設けられている
請求項
4記載の放熱器。
【請求項7】
前記複数のフィンのうちの前記一方向における前記一方側とは反対側の端に配置されているフィンは、前記連結部材が入る開口が形成されるとともに前記交差方向の前記一方側を向く壁部が形成された第1開口部、および、当該第1開口部よりも当該一方側に設けられ、当該連結部材が入る開口が形成されるとともに当該交差方向における当該一方側の前記反対側を向く壁部が形成された第2開口部を有する
請求項
4記載の放熱器。
【請求項8】
前記連結部材は、前記一方向において前記複数のフィンよりも前記一方側の反対側に設けられ当該連結部材のうちの前記凹部に挿入される部分と前記被挿入部とを接続する反対側接続部を有する
請求項
4記載の放熱器。
【請求項9】
請求項1乃至
8の何れかに記載の放熱器と、
前記放熱器を収容し、当該放熱器における複数のフィンの間に冷却液が流通するケースと、
を備えた、冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱器および冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車、ハイブリッド自動車、電車などに搭載される電力制御装置に用いられるIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などのパワーデバイス(半導体素子)を冷却する液冷式冷却装置用の放熱器として、複数のフィンプレートを有する物が提案されている。
例えば、特許文献1には、フィンプレートに爪部を形成するためのかしめ加工は、係止溝に連結部品の基部を差し込んだ後に、フィンプレートの板幅方向の端面における開口端の近傍を、その周囲よりも陥没するように押し込むことにより行われることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
放熱器には、複数のフィンと、複数のフィンに挿入され複数のフィンを連結する連結部材とが設けられることがある。ここで、放熱器には様々な外力が作用し、放熱器に対して外力が作用すると、連結部材がフィンから抜けるおそれがある。
本発明は、連結部材がフィンから抜けることを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的のもと完成させた本発明は、一方向に並んで配置され、当該一方向に対して交差する交差方向の一方側に凹んだ凹部が各々に形成された複数のフィンと、前記複数のフィンの各々の前記凹部に挿入され当該複数のフィンを連結する連結部材と、を備え、前記複数のフィンのうちの前記一方向の両端に配置されているフィンは、前記連結部材が入る開口が形成されるとともに前記交差方向の前記一方側を向く壁部が形成された開口部を有する放熱器である。
ここで、前記一方向および前記交差方向の何れの方向にも交差する方向において、前記開口部は、前記凹部よりもフィンの端部に設けられていても良い。
また、前記両端に配置されているフィンの少なくとも一方は、前記開口部よりも前記交差方向の前記一方側に設けられ、連結部材が入る開口が形成されるとともに当該一方側の反対側を向く壁部が形成された一方側開口部を有し、前記交差方向において、前記開口部に形成された前記開口と、前記一方側開口部に形成された前記開口との間には、壁部が設けられていても良い。
また、前記一方向において前記複数のフィンよりも一方側から当該複数のフィンよりも当該一方側の反対側にわたって設けられ、前記連結部材との間で当該複数のフィンを挟む挟持部材をさらに備えても良い。
また、前記複数のフィンは、前記凹部よりも前記交差方向の前記一方側に設けられ当該一方側の反対側に凹んだ反対側凹部を有し、前記開口部は、前記反対側凹部であり、前記連結部材は、前記反対側凹部に挿入される被挿入部、および、前記一方向において前記複数のフィンよりも一方側に設けられ、当該連結部材のうちの前記凹部に挿入される部分と当該被挿入部とを接続する接続部を有しても良い。
また、前記接続部は、前記連結部材が前記複数のフィンの前記凹部および前記反対側凹部に挿入されている状態において、前記交差方向に延びて設けられていても良い。
また、前記接続部は、前記フィンの前記交差方向における長さよりも長く形成されるとともに、前記連結部材が前記複数のフィンの前記凹部および前記反対側凹部に挿入されている状態において曲げられて設けられていても良い。
また、前記複数のフィンのうちの前記一方向における前記一方側とは反対側の端に配置されているフィンは、前記連結部材が入る開口が形成されるとともに前記交差方向の前記一方側を向く壁部が形成された第1開口部、および、当該第1開口部よりも当該一方側に設けられ、当該連結部材が入る開口が形成されるとともに当該交差方向における当該一方側の前記反対側を向く壁部が形成された第2開口部を有しても良い。
また、前記連結部材は、前記一方向において前記複数のフィンよりも前記一方側の反対側に設けられ当該連結部材のうちの前記凹部に挿入される部分と前記被挿入部とを接続する反対側接続部を有しても良い。
また、他の観点から捉えると、本発明は、一方向に並んで配置され、当該一方向に対して交差する交差方向の一方側に凹んだ凹部が各々に形成された複数のフィンと、前記複数のフィンの各々の前記凹部に挿入され、当該複数のフィンのうちの前記一方向の両端に配置されているフィンの前記交差方向における前記一方側への移動を抑制する抑制部材と、を備えた、放熱器である。
また、他の観点から捉えると、本発明は、上述した放熱器と、前記放熱器を収容し、当該放熱器における複数のフィンの間に冷却液が流通するケースと、を備えた、冷却装置である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、連結部材がフィンから抜けることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施形態に係る液冷式冷却装置の斜視図である。
【
図5】
図1においてフィンよりも前側からフィンを眺めた場合のフィンの正面図である。
【
図6】(a)、(b)は、連結部材の斜視図である。
【
図7】(a)、(b)は、連結部材をフィンに取り付ける方法について説明するための図である。
【
図8】(a)、(b)は、フィンにおける開口部の変形例を示した図である。
【
図9】(a)、(b)は、フィンにおける開口部の他の変形例を示した図である。
【
図10】第2の実施形態に係る連結部材の斜視図である。
【
図11】(a)乃至(c)は、連結部材をフィンに取り付ける方法について説明するための図である。
【
図12】(a)乃至(c)は、変形例としての連結部材をフィンに取り付ける方法について説明するための図である。
【
図13】(a)、(b)は、変形例としての連結部材をフィンに取り付ける方法について説明するための図である。
【
図14】第3の実施形態に係る連結部材の斜視図である。
【
図15】(a)、(b)は、連結部材をフィンに取り付ける方法について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、実施の形態について詳細に説明する。
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る液冷式冷却装置1の斜視図である。
図2は、
図1のII-II部の断面図である。
図3は、
図2のIII-III部の断面図である。
図4は、放熱器10の斜視図である。
本実施形態に係る液冷式冷却装置1は、矩形状の複数のフィン11を有する放熱器10と、放熱器10を収納するケース20と、を備えている。また、液冷式冷却装置1は、ケース20の外部から内部に冷却液を流入させる入口ジョイント30と、ケース20の内部から外部に冷却液を流出させる出口ジョイント40と、を備えている。
なお、以下の説明では、
図1に示す液冷式冷却装置1の紙面左側を「左側」と称し、紙面右側を「右側」と称し、これらの方向を「左右方向」と称する場合がある。また、
図1に示す液冷式冷却装置1の紙面上側を「上側」と称し、紙面下側を「下側」と称し、これらの方向を「上下方向」と称する場合がある。さらに、
図1に示す液冷式冷却装置1の紙面前側を「前側」と称し、フィン11の後側を「後側」と称し、これらの方向を「前後方向」と称する場合がある。
【0009】
液冷式冷却装置1は、平板状の絶縁部材Iを介してケース20の外面(本実施形態においては上面)に装着された発熱体Pを、ケース20の内部に流通させる冷却液及び放熱器10を用いて冷却する装置である。発熱体Pは、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor))等のパワー半導体デバイスであることを例示することができる。また、発熱体Pは、IGBTと、このIGBTを制御する制御回路とがパッケージ化されたIGBTモジュールや、このIGBTモジュールと自己保護機能とがパッケージ化されたインテリジェントパワーモジュールであることを例示することができる。
【0010】
(放熱器10)
放熱器10は、板状であって板面に直交する方向に並んだ複数のフィン11と、複数のフィン11を連結する連結部材12とを有する。
フィン11は、長手方向が左右方向を向き、短手方向が上下方向を向き、厚さ方向が前後方向を向くように配置されている。また、複数のフィン11は、フィン11の表面に直交する方向に、予め定められた間隔で並べられている。
【0011】
連結部材12は、棒状に形成されている。連結部材12は、複数のフィン11にわたって挿入されることで、複数のフィン11を連結する。連結部材12は、複数のフィン11が並ぶ方向にわたって設けられている。また、本実施形態では、複数の連結部材12がフィン11に挿入されている。より具体的には、フィン11の長手方向における両端部の各々であり且つ、フィン11の短手方向における両端部の各々に、それぞれ連結部材12が挿入されている。
なお、フィン11および連結部材12の構成については、後に詳述する。
【0012】
放熱器10の材質は、アルミニウム又はアルミニウム合金等のアルミニウム材であることを例示することができる。また、放熱器10の材質は、銅、アルミニウム又はアルミニウム合金とカーボンとの複合材であっても良い。また、フィン11の部分がアルミニウムカーボン複合材で、連結部材12がアルミニウム材であっても良い。
また、放熱器10の板厚は、0.3~1.2mmであることを例示することができる。液冷式冷却装置1全体の大きさや、ケース20を流通する冷却液の種類、又はフィン11の熱伝導率に応じて適宜変更される。
【0013】
放熱器10は、複数のフィン11の上端部がケース本体21の頂部21aにおける、発熱体Pが装着される面とは反対側の面(下面)にろう付され、複数のフィン11の下端部がカバー22の上面にろう付されることで、ケース20内に固定される。ろう付する際には、複数のフィン11の上端部とケース本体21とのろう付、複数のフィン11の下端部とカバー22とのろう付、ケース本体21とカバー22とのろう付を全て同時に行うことを例示することができる。
【0014】
(ケース20)
ケース20は、絶縁部材Iを介して発熱体Pが装着されるケース本体21と、ケース本体21の開口部を覆うカバー22とを備えている。
ケース本体21は、平板状の頂部21aと、頂部21aにおける各端部から頂部21aに直交する方向(下方)に突出した側部21bと、側部21bにおける各端部から側部21bに直交する方向に外側に突出したフランジ部21cとを有している。頂部21aにおける、側部21bが設けられた側と反対側の面(上面)の中央部に、絶縁部材Iを介して発熱体Pが装着される。そして、頂部21aにおける、絶縁部材I及び発熱体Pが配置される部位よりも左右方向それぞれの外側には、ケース20の内部と外部とを連通するように貫通された、入口用貫通孔21dと出口用貫通孔21eとが形成されている。
【0015】
カバー22は、平板状であり、かつ、矩形状であり、ケース本体21のフランジ部21cよりも大きい。カバー22における4つの角部には、液冷式冷却装置1を他の部材に取り付けるためのボルト等を通す貫通孔22aが形成されている。
【0016】
ケース20は、ケース本体21のフランジ部21cとカバー22とがろう付されることで、内部に放熱器10を収納可能なように箱状に構成される。ケース本体21及びカバー22は、アルミニウムブレージングシートを使用して成形されることを例示することができる。その際、少なくとも、互いに対向する一面にろう材層が位置する。
そして、ケース本体21とカバー22とがろう付されることで、ケース20内における入口用貫通孔21dよりも下方には流入側空間23が形成され、ケース20内における出口用貫通孔21eよりも下方には流出側空間24が形成される。
【0017】
(入口ジョイント30)
入口ジョイント30は、円筒状の円筒状部31と、直方体状の直方体状部32とを有し、冷却液を流通させることが可能なように、内部が空洞に形成されている。円筒状部31の一方の端部(右端部)は開口しており、他方の端部は直方体状部32と接続している。直方体状部32における一面(下面)には、入口ジョイント30の内部と外部とを連通する貫通孔33が形成されている。入口ジョイント30は、貫通孔33が形成された面が、ケース本体21の頂部21aにおける発熱体Pが装着された面(上面)上に載せられた状態で、ケース本体21にろう付される。その際、入口ジョイント30の貫通孔33と、ケース本体21の入口用貫通孔21dとを介して、入口ジョイント30の内部とケース本体21の内部とが連通される。
【0018】
(出口ジョイント40)
出口ジョイント40は、円筒状の円筒状部41と、直方体状の直方体状部42とを有し、冷却液を流通させることが可能なように、内部が空洞に形成されている。円筒状部41の一方の端部(左端部)は開口しており、他方の端部は直方体状部42と接続している。直方体状部42における一面(下面)には、出口ジョイント40の内部と外部とを連通する貫通孔43が形成されている。出口ジョイント40は、貫通孔43が形成された面が、ケース本体21の頂部21aにおける発熱体Pが装着された面(上面)上に載せられた状態で、ケース本体21にろう付される。その際、出口ジョイント40の貫通孔43と、ケース本体21の出口用貫通孔21eとを介して、出口ジョイント40の内部とケース本体21の内部とが連通される。
【0019】
以上のように構成された液冷式冷却装置1においては、入口ジョイント30の内部及び入口用貫通孔21dを通ってケース20内の流入側空間23に冷却液が流入する。そして、放熱器10における、複数のフィン11の内の互いに隣接するフィン11間の隙間にて形成されるフィン間流路14内を左方向に流れ、流出側空間24に至る。また、放熱器10における最も前側のフィン11とケース本体21の側部21bとの間にて形成される前側流路15、及び、放熱器10における最も後側のフィン11とケース本体21の側部21bとの間の隙間にて形成される後側流路16を通って左方向に流れ、流出側空間24に至る。流出側空間24に至った冷却液は、出口用貫通孔21e及び出口ジョイント40の内部を通ってケース20の外に流出する。
【0020】
そして、発熱体Pから発せられた熱は、絶縁部材I、ケース本体21の頂部21a、及び、放熱器10のフィン11を経て、フィン間流路14、前側流路15、及び、後側流路16を流れる冷却液に放熱される。これにより、発熱体Pが冷却される。
【0021】
なお、入口ジョイント30や出口ジョイント40の形状は、円筒状に限定されない。
入口ジョイント30や出口ジョイント40は、例えば、フランジ状に形成されてもよい。そして、フランジ状の入口ジョイント30や出口ジョイント40が、ケース本体21にろう付されてもよい。
【0022】
(フィン11)
次に、フィン11の構成について説明する。
図5は、
図1においてフィン11よりも前側からフィン11を眺めた場合のフィン11の正面図である。
図5に示すように、フィン11には、上側凹部110と、下側凹部111と、上側開口部112と、下側開口部113とが設けられている。
【0023】
凹部の一例としての上側凹部110は、フィン11の左右方向における両端部にそれぞれ設けられている。上側凹部110は、フィン11の上面から下側に凹んで形成され、フィン11の前側先端から後側先端にわたって設けられている。この上側凹部110には、連結部材12が挿入される。上側凹部110は、左側面を構成し右側を向く左壁面110aと、右側面を構成し左側を向く右壁面110bと、下側面を構成し上側を向く下壁面110cとを有する。
【0024】
反対側凹部の一例としての下側凹部111は、フィン11の左右方向における両端部にそれぞれ設けられている。また、下側凹部111は、左右方向における位置が、上側凹部110が設けられている位置と揃っている。下側凹部111は、フィン11の下面から上側に凹むように形成されることにより、内部に開口を有する。下側凹部111は、フィン11の前側先端から後側先端にわたって設けられている。この下側凹部111には、連結部材12が挿入される。下側凹部111に挿入される連結部材12は、上側凹部110に挿入される連結部材12とは異なる連結部材12である。下側凹部111は、左側面を構成し右側を向く左壁面111aと、右側面を構成し左側を向く右壁面111bと、上側面を構成し下側を向く上壁面111cとを有する。
【0025】
開口部の一例としての上側開口部112は、フィン11の左側端部に設けられている上側凹部110よりも左側と、フィン11の右側端部に設けられている上側凹部110よりも右側とに設けられている。二つの上側開口部112は、左右対称に形成されている。また、上側開口部112は、上側凹部110よりも下側に設けられている。上側開口部112は、フィン11の側面から凹むように形成されることにより、内部に開口を有する。上側開口部112は、上面を構成し下側を向く上壁面112aと、下面を構成し上側を向く下壁面112bと、上側開口部112の最深面を構成し左右方向においてフィン11の外側を向く底壁面112cとを有する。
【0026】
一方側開口部の一例としての下側開口部113は、フィン11の左側端部に設けられている下側凹部111よりも左側と、フィン11の右側端部に設けられている下側凹部111よりも右側とに設けられている。二つの下側開口部113は、左右対称に形成されている。また、下側開口部113は、下側凹部111よりも上側に設けられている。また、下側開口部113は、左右方向における位置が、上側開口部112が設けられている位置と揃っている。下側開口部113は、フィン11の側面から凹むように形成されることにより、内部に開口を有する。下側開口部113は、上面を構成し下側を向く上壁面113aと、下面を構成し上側を向く下壁面113bと、下側開口部113の最深面を構成し左右方向においてフィン11の外側を向く底壁面113cとを有する。
【0027】
(連結部材12)
次に、連結部材12の構成について説明する。
図6(a)および
図6(b)は、連結部材12の斜視図である。なお、
図6(a)以降の図面においては、二つの連結部材12のうち上側に位置している連結部材12を上側の連結部材12と称し、二つの連結部材12のうち下側に位置している連結部材12を下側の連結部材12と称することがある。
図6(a)に示す上側の連結部材12は、複数のフィン11(
図5参照)の上側から複数のフィン11に挿入される。また、下側の連結部材12は、複数のフィン11の下側から複数のフィン11に挿入される。上側の連結部材12と下側の連結部材12とは、同じ構成である。連結部材12は、被挿入部120と、延長部123とを有する。
【0028】
被挿入部120は、前後方向に延びて形成されている。被挿入部120は、複数のフィン11に挿入される。被挿入部120は、放熱器10に設けられている各フィン11に架け渡される基部121と、基部121から突出する突出部122とを有する。また、突出部122には、被挿入部120の長手方向における予め定められた間隔ごとに、窪みを有する突出部凹部1221が設けられている。突出部凹部1221は、突出部122が突出する方向とは反対側に窪んでいる。
【0029】
延長部123は、連結部材12の長手方向における両端部にそれぞれ設けられている。より具体的には、延長部123は、被挿入部120の長手方向における両端に配置されている突出部122からそれぞれ延びて設けられている。延長部123は、突出部122の先端から、左側に延びて形成されている。また、
図6(b)に示すように、延長部123においては、左側の端部123aが、前後方向において連結部材12の内側に折れ曲がることが可能になっている。
【0030】
(連結部材12の取り付け方法)
次に、連結部材12をフィン11に取り付ける方法について説明する。
図7(a)および
図7(b)は、連結部材12をフィン11に取り付ける方法について説明するための図である。以下では、複数のフィン11(
図1参照)の左側端部に連結部材12を取り付ける方法について説明する。なお、
図7(a)および
図7(b)においては、複数のフィン11のうち最も前側に配置されているフィン11を、前側のフィン11と称する。
【0031】
図7(a)に示すように、まず、連結部材12の被挿入部120を、フィン11に挿入する。より具体的には、上側の連結部材12における複数の突出部122(
図6(a)参照)が複数のフィン11において隣接する二つのフィン11の間にそれぞれ入り込むように、上側の連結部材12の基部121を各フィン11の上側凹部110(
図5参照)に挿入する。また、下側の連結部材12における複数の突出部122が複数のフィン11において隣接する二つのフィン11の間にそれぞれ入り込むように、下側の連結部材12の基部121を各フィン11の下側凹部(
図5参照)111に挿入する。
【0032】
次に、
図7(b)に示すように、上側の連結部材12における前側に設けられている延長部123の端部123aを折り曲げて、この端部123aを、前側のフィン11の上側開口部112の内部に入れる。また、下側の連結部材12における前側に設けられている延長部123の端部123aを折り曲げて、この端部123aを、前側のフィン11の下側開口部113の内部に入れる。また、図示を省略するが、複数のフィン11のうちの最も後側に配置されているフィン11においても、上側開口部112に、上側の連結部材12における延長部123の端部123aが入り、下側開口部113に、下側の連結部材12における延長部123の端部123aが入る。
このようにして、連結部材12がフィン11に取り付けられる。また、図示を省略するが、複数のフィン11の右側の端部においても、フィン11の上側と下側とに、それぞれ連結部材12が取り付けられる。
【0033】
なお、本実施形態では、各連結部材12の延長部123は、一つのフィン11のみに入り込んでいる。ただし、上側の連結部材12の延長部123を図示の例よりも長く設けて、延長部123が複数のフィン11の上側開口部112に入るようにしてもよい。また、下側の連結部材12の延長部123を図示の例よりも長く設けて、延長部123が複数のフィン11の下側開口部113に入るようにしてもよい。
【0034】
また、本実施形態では、複数のフィン11の各々に上側開口部112および下側開口部113が設けられているが、これに限定されない。
例えば、複数のフィン11のうちの前後方向における両端に配置されている二つのフィン11のみに、上側開口部112および下側開口部113を設ける構成であってもよい。すなわち、連結部材12の延長部123が入れられるフィン11のみに、上側開口部112や下側開口部113を設ける構成であってもよい。
【0035】
以上の通り、本実施形態では、複数のフィン11のうちの前後方向の両端に配置されているフィン11は、上側の連結部材12が入る開口が形成されるとともに下側を向く上壁面112aが形成された上側開口部112を有する。言い換えると、上側の連結部材12は、複数のフィン11の各々の上側凹部110に挿入され、複数のフィン11のうちの前後方向の両端に配置されているフィン11の下側への移動を抑制する。そのため、連結部材12は、フィン11の移動を抑制する抑制部材としても捉えられる。
【0036】
ここで、例えば、フィン11のうち上側凹部110とは異なる部分には連結部材12を入れることなく、複数のフィン11における各上側凹部110のみに連結部材12を挿入することで、複数のフィン11を連結する構成も考えられる。一例を挙げると、各フィン11のうちの連結部材12が挿入された部分の近傍を、この近傍の部分に凹みが生じるように押圧することにより、各フィン11に連結部材12を押圧させて連結部材12をかしめて、複数のフィン11を連結する手法が考えられる。しかしながら、一般的に、放熱器10には様々な外力が発生する。放熱器10に対して外力が発生すると、フィン11による連結部材12の押圧力が弱まり、フィン11から連結部材12が抜けるおそれがある。また、連結部材12をかしめる構成を用いる場合、フィン11の上側凹部110に厳密な寸法精度が求められることになり、フィン11の生産が煩雑になりやすい。
【0037】
これに対し、本実施形態のように、上側の連結部材12がフィン11の上側凹部110のみならず上側開口部112にも入る場合、フィン11から上側の連結部材12が抜けにくくなる。すなわち、フィン11に下側への外力が作用しフィン11が下側に移動しようとする場合であっても、フィン11の上側開口部112における上壁面112aが連結部材12における延長部123の端部123aの上面に当たり、フィン11の下側への移動が抑制される。そして、フィン11の下側への移動が抑制される分、連結部材12がフィン11から抜けにくくなる。また、この構成を用いる場合、連結部材12をかしめる構成に比べて、フィン11の寸法精度が緩和される。そのため、フィン11の生産が煩雑になることが抑制される。
【0038】
また、本実施形態では、下側の連結部材12は、複数のフィン11よりも前側から複数のフィン11よりも後側にわたって設けられ、上側の連結部材12との間で複数のフィン11を挟む。そのため、下側の連結部材12は、挟持部材としても捉えられる。
この場合、複数のフィン11のうちの、連結部材12の延長部123が挿入されていないフィン11が、下側への外力を受けて下側に移動しようとする場合であっても、このフィン11が下側の連結部材12に当たり、フィン11の下側への移動が抑制される。
【0039】
なお、本実施形態では、上側の連結部材12がフィン11の上側凹部110に挿入され、下側の連結部材12がフィン11の下側凹部111に挿入されることを説明したが、これに限定されない。
例えば、フィン11に下側凹部111を設けなくてもよい。この場合に、下側の連結部材12は、フィン11の下側からフィン11を支持してもよい。また、フィン11に上側凹部110を設けず、上側の連結部材12がフィン11の上側からフィン11を支持する構成であってもよい。
【0040】
(フィン11における開口部の変形例)
図8(a)および
図8(b)は、フィン11における開口部の変形例を示した図である。
図5を用いて説明したフィン11においては、上側開口部112および下側開口部113が、フィン11の側面から凹むように形成されている。ここで、フィン11における開口部の構成は、上述したものに限定されない。
図8(a)に示すように、変形例におけるフィン11には、上側開口部114と、下側開口部115とが設けられている。
【0041】
上側開口部114は、左右方向における位置が、フィン11の上側凹部110が設けられている位置と揃っている。上側開口部114には、開口が形成されている。上側開口部114に形成された開口は、周囲が壁面に覆われている。
一方側開口部の一例としての下側開口部115は、左右方向における位置が、フィン11の下側凹部111が設けられている位置、および上側開口部114が設けられている位置と揃っている。下側開口部115には、開口が形成されている。下側開口部115に形成された開口は、周囲が壁面に覆われている。
【0042】
変形例においては、
図8(b)に示すように、上側の連結部材12の延長部123を、前後方向において連結部材12の内側に折り曲げて、この延長部123をフィン11の上側開口部114に入れる。また、下側の連結部材12の延長部123を、前後方向において連結部材12の内側に折り曲げて、この延長部123をフィン11の下側開口部115に入れる。このようにして、連結部材12がフィン11に取り付けられる。
【0043】
この構成であっても、フィン11が下側への外力を受けて下側へ移動しようとする場合に、上側開口部114の上面が上側の連結部材12の延長部123に当たり、フィン11の下側への移動が抑制されるため、上側の連結部材12がフィン11から抜けにくくなる。また、フィン11が上側への外力を受けて上側へ移動しようとする場合に、下側開口部115の下面が下側の連結部材12の延長部123に当たり、フィン11の上側への移動が抑制されるため、下側の連結部材12がフィン11から抜けにくくなる。
【0044】
なお、
図5に示す例では、左右方向において、上側開口部112や下側開口部113は、上側凹部110や下側凹部111よりもフィン11の端部に設けられている。すなわち、
図5に示す例では、
図8(a)および
図8(b)に示す例に比べて、連結部材12の延長部123を入れるためのフィン11の開口を、左右方向においてフィン11の中心部から遠ざかる側に形成している。この場合、左右方向においてフィン11の中心部に近い領域においてフィン11の面積を確保することができ、左右方向においてフィン11の中心部の付近に設けられる発熱体P(
図1参照)の冷却効率が低下することを抑制できる。
【0045】
(フィン11における開口部の他の変形例(変形例2))
図9(a)および
図9(b)は、フィン11における開口部の他の変形例(変形例2)を示した図である。
図9(a)に示すように、変形例2におけるフィン11には、開口部116が設けられている。
【0046】
開口部116は、上側凹部110および下側凹部111よりも左右方向におけるフィン11の端部に設けられるとともに、上下方向において上側凹部110と下側凹部111との間に設けられている。この開口部116は、フィン11の側面から凹むように形成されることにより、内部に開口を有する。開口部116に形成されている開口は、上下方向に延びて設けられている。開口部116は、上面を構成し下側を向く上壁面116aと、下面を構成し上側を向く下壁面116bと、開口部116の最深面を構成し左右方向においてフィン11の外側を向く底壁面116cとを有する。
【0047】
変形例2においては、
図9(b)に示すように、上側の連結部材12における延長部123の端部123a、および下側の連結部材12における延長部123の端部123aを、フィン11の開口部116の内部に入れる。この場合、開口部116の内部において、上側の連結部材12における延長部123の端部123aは、下側の連結部材12における延長部123の端部123aよりも上側に位置する。このようにして、連結部材12がフィン11に取り付けられる。
【0048】
この構成であっても、フィン11が下側への外力を受けて下側へ移動しようとする場合に、開口部116の上壁面116aが上側の連結部材12の延長部123に当たり、フィン11の下側への移動が抑制されるため、上側の連結部材12がフィン11から抜けにくくなる。また、フィン11が上側への外力を受けて上側へ移動しようとする場合に、開口部116の下壁面116bが下側の連結部材12の延長部123に当たり、フィン11の上側への移動が抑制されるため、下側の連結部材12がフィン11から抜けにくくなる。
【0049】
なお、
図5に示す例では、フィン11は、上側開口部112よりも下側に設けられ、連結部材12が入る開口が形成されるとともに上側を向く下壁面113bが形成された下側開口部113を有する。そして、上下方向において、上側開口部112に形成された開口と、下側開口部113に形成された開口との間には、壁部が設けられている。この場合、開口部116(
図9(a)参照)に上側の連結部材12における延長部123の端部123aと下側の連結部材12における延長部123の端部123aを入れる構成に比べて、延長部123の端部123aの移動が開口部の壁部に規制されやすくなる。
【0050】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態の連結部材は、フィン11の移動を抑制する点で、第1の実施形態の連結部材12と共通する。一方、第1の実施形態においては、フィン11の上側凹部110(
図5参照)と下側凹部111とにそれぞれ異なる連結部材12が挿入される構成を用いた。これに対し、第2の実施形態においては、フィン11の上側凹部110と下側凹部111とに一つの連結部材が挿入される構成を用いる点で、第1の実施形態と異なる。
【0051】
図10は、第2の実施形態に係る連結部材13の斜視図である。なお、第2の実施形態において、第1の実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
図10に示すように、第2の実施形態の連結部材13は、上側被挿入部130と、下側被挿入部133と、接続部136と、上側延長部137と、下側延長部138とを有する。
【0052】
上側被挿入部130は、前後方向に延びて形成されている。上側被挿入部130は、フィン11の上側凹部110(
図5参照)に挿入される。上側被挿入部130は、放熱器10に設けられている各フィン11に架け渡される基部131と、基部131から下側に突出する突出部132とを有する。また、突出部132には、上側被挿入部130の長手方向における予め定められた間隔ごとに、窪みを有する突出部凹部1321が設けられている。突出部凹部1321は、上側に窪んでいる。
【0053】
下側被挿入部133は、上側被挿入部130よりも下側に設けられるとともに、前後方向に延びて形成されている。下側被挿入部133は、フィン11の下側凹部111(
図5参照)に挿入される。下側被挿入部133は、放熱器10に設けられている各フィン11に架け渡される基部134と、基部134から上側に突出する突出部135とを有する。また、突出部135には、下側被挿入部133の長手方向における予め定められた間隔ごとに、窪みを有する突出部凹部1351が設けられている。突出部凹部1351は、下側に窪んでいる。
【0054】
接続部136は、上側被挿入部130と下側被挿入部133とを接続する。より具体的には、接続部136は、上側被挿入部130から下側被挿入部133にわたって設けられることで、上側被挿入部130の後側先端と、下側被挿入部133の後側先端とを接続する。本実施形態では、接続部136の上下方向における長さは、フィン11の上下方向における長さと同じ長さである。
【0055】
上側延長部137は、上側被挿入部130における前側先端に配置されている突出部132から延びて設けられている。上側延長部137は、突出部132の先端から左側に延びて形成されている。また、上側延長部137においては、端部137aが、前後方向において連結部材13の内側に折れ曲がることが可能になっている。
下側延長部138は、下側被挿入部133における前側先端に配置されている突出部135から延びて設けられている。下側延長部138は、突出部135の先端から左側に延びて形成されている。また、下側延長部138においては、端部138aが、前後方向において連結部材13の内側に折れ曲がることが可能になっている。
【0056】
図11(a)乃至
図11(c)は、連結部材13をフィン11に取り付ける方法について説明するための図である。以下では、複数のフィン11(
図1参照)の左側端部に連結部材13を取り付ける方法について説明する。
【0057】
図11(a)に示すように、連結部材13をフィン11に挿入する前において、連結部材13は、上側被挿入部130と下側被挿入部133との上下方向における間隔が、接続部136の上下方向における長さよりも大きくなるように設けられている。この状態で、接続部136が各フィン11よりも後側に位置し、上側被挿入部130が各フィン11よりも上側に位置し、下側被挿入部133が各フィン11よりも下側に位置するように、連結部材13を配置させる。言い換えると、上側被挿入部130および下側被挿入部133が、接続部136を介して各フィン11を跨ぐように、連結部材13を配置させる。
【0058】
次に、対象物を押圧する押圧手段(不図示)を用いて、連結部材13の上側被挿入部130を下側に押圧するとともに、下側被挿入部133を上側に押圧する。これにより、
図11(b)に示すように、上側被挿入部130と下側被挿入部133との間隔が短くなるように連結部材13を変形させるとともに、上側被挿入部130を複数のフィン11の上側凹部110に挿入する。また、下側被挿入部133を複数のフィン11の下側凹部111(
図5参照)に挿入する。
【0059】
次に、
図11(c)に示すように、上側延長部137の端部137aを折り曲げて、この端部137aを、最も前側に配置されているフィン11の上側開口部112の内部に入れる。また、下側延長部138の端部138aを折り曲げて、この端部138aを、最も前側に配置されているフィン11の下側開口部113の内部に入れる。
このようにして、連結部材13がフィン11に取り付けられる。また、図示を省略するが、複数のフィン11の右側の端部においても、連結部材13が各フィン11に取り付けられる。
【0060】
以上の通り、本実施形態では、連結部材13は、下側凹部111に挿入される下側被挿入部133、および、上側被挿入部130と下側被挿入部133とを接続する接続部136を有する。すなわち、本実施形態では、上側凹部110および下側凹部111に、一つの連結部材13が挿入される。
この構成であっても、フィン11が下側への外力を受けて下側へ移動しようとする場合に、下側凹部111(
図5参照)における上壁面111cが下側被挿入部133に当たり、フィン11の下側への移動が抑制されるため、連結部材13がフィン11から抜けにくくなる。また、この場合、最も後側に配置されているフィン11の上側開口部112や下側開口部113に連結部材13を入れる必要がなくなる。
【0061】
また、本実施形態では、最も前側に配置されているフィン11の上側開口部112は、連結部材13が入る開口が形成されるとともに下側を向く上壁面112aが形成された第1開口部として捉えられる。また、最も前側に配置されているフィン11の下側開口部113は、連結部材13が入る開口が形成されるとともに上側を向く下壁面113bが形成された第2開口部として捉えられる。
【0062】
また、本実施形態では、連結部材13の接続部136は、連結部材13が複数のフィン11の上側凹部110および下側凹部111に挿入されている状態において、上下方向に延びて設けられている。
この場合、接続部136がフィン11から上下方向への力を受けても、接続部136が変形しにくい分だけ、上側被挿入部130と下側被挿入部133との間隔が広がりにくくなる。そのため、連結部材13がフィン11から抜けにくくなる。
【0063】
(連結部材13の変形例)
次に、連結部材13の変形例について説明する。
図12(a)乃至
図12(c)は、変形例としての連結部材13をフィン11に取り付ける方法について説明するための図である。
図12(a)に示すように、変形例として連結部材13は、接続部136の上下方向における長さが、フィン11の上下方向における長さよりも長くなっている。そして、これにより、上側被挿入部130の突出部132の先端から、下側被挿入部133の突出部135の先端までの上下方向の間隔が、フィン11の上下方向における長さよりも長くなっている。この場合、
図11(a)に示した例のように、上側被挿入部130と下側被挿入部133との間隔を予め広げなくても、上側被挿入部130および下側被挿入部133が、接続部136を介して各フィン11を跨ぐように、連結部材13を配置させられる。
【0064】
次に、押圧手段(不図示)を用いて、連結部材13の上側被挿入部130を下側に押圧するとともに、下側被挿入部133を上側に押圧する。上側被挿入部130および下側被挿入部133が押圧されると、
図12(b)に示すように、接続部136に、曲げられた曲部1361が生じる。この例では、曲部1361は右側を向いている。また、曲部1361が生じることに伴い、上側被挿入部130と下側被挿入部133との間隔が短くなり、上側被挿入部130が複数のフィン11の上側凹部110に挿入される。また、下側被挿入部133が複数のフィン11の下側凹部111(
図5参照)に挿入される。
【0065】
次に、
図12(c)に示すように、上側延長部137の端部137aを折り曲げて、この端部137aを、最も前側に配置されているフィン11の上側開口部112の内部に入れる。また、下側延長部138の端部138aを折り曲げて、この端部138aを、最も前側に配置されているフィン11の下側開口部113の内部に入れる。
このようにして、連結部材13がフィン11に取り付けられる。また、図示を省略するが、複数のフィン11の右側の端部においても、連結部材13が各フィン11に取り付けられる。
【0066】
以上の通り、変形例では、連結部材13の接続部136は、フィン11の上下方向における長さよりも長く形成されるとともに、連結部材13がフィン11の上側凹部110および下側凹部111に挿入されている状態において曲げられて設けられている。
この場合、上側被挿入部130と下側被挿入部133との間隔が大きい分、上側被挿入部130および下側被挿入部133が接続部136を介して各フィン11を跨ぐように連結部材13を配置させる際、フィン11が連結部材13に当たりにくくなる。そのため、ユーザが連結部材13をフィン11に取り付けやすくなる。
【0067】
なお、
図12(c)に示した例では、連結部材13における接続部136の曲部1361が右側を向いているが、これに限定されない。
例えば、
図13(a)に示すように、曲部1361を左側に向けてもよい。さらに、
図13(b)に示すように、この曲部1361をフィン11に引っ掛けるようにしてもよい。より具体的には、曲部1361を前後方向における連結部材13の内側に曲げ、最も後側に配置されているフィン11における上側開口部112の下壁面112bから下側開口部113の上壁面113aにわたって設けられている壁部に引っ掛けるようにしてもよい。
【0068】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態について説明する。
第3の実施形態は、フィン11の上側凹部110と下側凹部111とに一つの連結部材が挿入される点で、第2の実施形態と共通する。一方、第2の実施形態の連結部材13は、上側被挿入部130(
図10参照)と下側被挿入部133とが前側端部において繋がっていない構成であった。これに対し、第3の実施形態においては、連結部材の上側被挿入部と下側被挿入部とが、連結部材の長手方向における両端部にて繋がっている構成を用いる点で、第2の実施形態と異なる。
【0069】
図14は、第3の実施形態に係る連結部材17の斜視図である。なお、第3の実施形態において、第2の実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
図14に示すように、第3の実施形態の連結部材17は、環状に形成されている。この連結部材17は、上側被挿入部170と、下側被挿入部173と、後側接続部176と、前側接続部177とを有する。
【0070】
上側被挿入部170は、前後方向に延びて形成されている。上側被挿入部170は、フィン11の上側凹部110(
図5参照)に挿入される。上側被挿入部170は、放熱器10に設けられている各フィン11に架け渡される基部171と、基部171から下側に突出する突出部172とを有する。また、突出部172には、上側被挿入部170の長手方向における予め定められた間隔ごとに、窪みを有する突出部凹部1721が設けられている。突出部凹部1721は、上側に窪んでいる。
【0071】
下側被挿入部173は、上側被挿入部170よりも下側に設けられるとともに、前後方向に延びて形成されている。下側被挿入部173は、フィン11の下側凹部111(
図5参照)に挿入される。下側被挿入部173は、放熱器10に設けられている各フィン11に架け渡される基部174と、基部174から上側に突出する突出部175とを有する。また、突出部175には、下側被挿入部173の長手方向における予め定められた間隔ごとに、窪みを有する突出部凹部1751が設けられている。突出部凹部1751は、下側に窪んでいる。
【0072】
後側接続部176は、上側被挿入部170の後側先端から下側被挿入部173の後側先端にわたって設けられることで、上側被挿入部170の後側先端と、下側被挿入部173の後側先端とを接続する。後側接続部176は、上下方向における長さが、フィン11の上下方向における長さよりも長くなっている。
反対側接続部の一例としての前側接続部177は、上側被挿入部170の前側先端から下側被挿入部173の前側先端にわたって設けられることで、上側被挿入部170の前側先端と、下側被挿入部173の前側先端とを接続する。前側接続部177の上下方向における長さは、後側接続部176の上下方向における長さと同じである。
【0073】
図15(a)および
図15(b)は、連結部材17をフィン11に取り付ける方法について説明するための図である。以下では、複数のフィン11(
図1参照)の左側端部に連結部材17を取り付ける方法について説明する。なお、第3の実施形態においては、フィン11に上側開口部112(
図5参照)および下側開口部113が設けられていない。
【0074】
図15(a)に示すように、まず、連結部材17が複数のフィン11を囲うように、連結部材17を配置させる。これにより、連結部材17の上側被挿入部170が各フィン11よりも上側に位置し、下側被挿入部173が各フィン11よりも下側に位置し、後側接続部176が各フィン11よりも後側に位置し、前側接続部177が各フィン11よりも前側に位置するようになる。
【0075】
次に、押圧手段(不図示)を用いて、上側被挿入部170を下側に押圧するとともに、下側被挿入部173を上側に押圧する。これにより、
図15(b)に示すように、後側接続部176に曲がりが生じる。また、図示を省略するが、前側接続部177にも、後側接続部176と同様に、曲がりが生じる。そして、後側接続部176および前側接続部177に曲がりが生じることに伴い、上側被挿入部170と下側被挿入部173との間隔が短くなり、上側被挿入部170が複数のフィン11の上側凹部110に挿入される。また、下側被挿入部173が複数のフィン11の下側凹部111(
図5参照)に挿入される。
【0076】
このようにして、連結部材17がフィン11に取り付けられる。また、図示を省略するが、複数のフィン11の右側の端部においても、連結部材17が各フィン11に取り付けられる。
【0077】
以上の通り、本実施形態では、連結部材17は、複数のフィン11よりも前側に設けられ連結部材17のうちの上側被挿入部170と下側被挿入部173とを接続する前側接続部177を有する。
この構成であっても、フィン11が下側への外力を受けて下側へ移動しようとする場合に、下側凹部111における上壁面111cが下側被挿入部173に当たり、フィン11の下側への移動が抑制されるため、連結部材17がフィン11から抜けにくくなる。また、この場合、フィン11のうち上側凹部110および下側凹部111とは異なる部分に連結部材17を入れる必要がなくなる。そのため、フィン11に形成される開口が少なくなる分だけ、フィン11の面積を確保することができ、フィン11による冷却効率を向上させることができる。
【0078】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記の実施形態に記載の範囲には限定されない。上記の実施形態に、種々の変更又は改良を加えたものも、本発明の技術的範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0079】
本発明では、複数のフィン11の左右方向における両端部にそれぞれ連結部材が取り付けられることを説明したが、これに限定されない。複数のフィン11の左右方向における少なくとも一方の端部に、連結部材が取り付けられればよい。
【0080】
また、本発明にて説明したフィン11は、長手方向に直線状に延びて形成されているが、フィン11の形状は上述したものに限定されない。
フィン11は、例えば、波形に設けられてもよい。すなわち、フィン11は、直線状に延びて形成されるものに限定されない。
【0081】
また、放熱器10に設けられるフィン11の数は、図示の例に限定されない。
放熱器10には、少なくとも二つ以上のフィン11が設けられればよい。
【符号の説明】
【0082】
1…液冷式冷却装置、10…放熱器、11…フィン、12、13、17…連結部材、20…ケース、30…入口ジョイント、40…出口ジョイント、110…上側凹部、111…下側凹部、112…上側開口部、113…下側開口部、P…発熱体、I…絶縁部材