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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】ポリマーの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/68 20060101AFI20240423BHJP
   G03F 7/11 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
C08G59/68
G03F7/11 503
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020572256
(86)(22)【出願日】2020-02-12
(86)【国際出願番号】 JP2020005232
(87)【国際公開番号】W WO2020166580
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】P 2019024362
(32)【優先日】2019-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】弁理士法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】津田 悠太朗
(72)【発明者】
【氏名】山口 大希
【審査官】中川 裕文
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-234313(JP,A)
【文献】特開2006-306923(JP,A)
【文献】国際公開第2016/158509(WO,A1)
【文献】特開2013-256014(JP,A)
【文献】国際公開第2011/093474(WO,A1)
【文献】特開平06-016838(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 59/00- 59/72
G03F 7/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応容器中で(A)分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ化合物と、(B)分子内にエポキシ基と反応する官能基を2つ以上有する反応性化合物(ただし、フェノールノボラック樹脂を除く。)とを、同時に添加された(C)重合触媒および(D)共触媒の存在下、50~150℃で反応させることを特徴とするポリマーの製造方法であり、
(C)重合触媒が、第4級アンモニウムまたは第4級ホスホニウムのハロゲン化物塩であり、
(D)共触媒が、ピリジン、N,N-ジメチル-4-アミノピリジン、トリブチルホスフィンまたはトリフェニルホスフィンであり、
上記反応において、更に、有機溶媒として、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、4-メチル-2-ペンタノール、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル、2-ヒドロキシイソ酪酸エチル、エトキシ酢酸エチル、酢酸2-ヒドロキシエチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、2-ヘプタノン、メトキシシクロペンタン、アニソール、γ-ブチロラクトン、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、およびN,N-ジメチルアセトアミドから選ばれる1種以上を用いるポリマーの製造方法。
【請求項2】
(C)成分が、テトラメチルアンモニウムフルオリド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラプロピルアンモニウムクロリド、テトラプロピルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムフルオリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、フェニルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、メチルトリブチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロリド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド、メチルトリフェニルホスホニウムブロミド、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド、ブチルトリフェニルホスホニウムブロミド、ヘキシルトリフェニルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムブロミド、ベンジルトリフェニルホスホニウムブロミド、メチルトリフェニルホスホニウムクロリド、エチルトリフェニルホスホニウムクロリド、ブチルトリフェニルホスホニウムクロリド、ヘキシルトリフェニルホスホニウムクロリド、テトラブチルホスホニウムクロリド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロリド、メチルトリフェニルホスホニウムヨージド、エチルトリフェニルホスホニウムヨージド、ブチルトリフェニルホスホニウムヨージド、ヘキシルトリフェニルホスホニウムヨージド、テトラブチルホスホニウムヨージド、またはベンジルトリフェニルホスホニウムヨージドである請求項1記載のポリマーの製造方法。
【請求項3】
(A)成分が、ジエポキシ化合物、トリエポキシ化合物、テトラエポキシ化合物およびエポキシ基を有するポリマーから選ばれる1種または2種以上である請求項1または2記載のポリマーの製造方法。
【請求項4】
(B)成分の官能基が、水酸基、ホルミル基、カルボキシ基、アミノ基、イミノ基、アゾ基、アジ基、チオール基、スルホ基、アミド基、イミド基、チオカルボキシ基、ジチオカルボキシ基、リン酸基、亜リン酸基、ホスホン酸基、亜ホスホン酸基、ホスフィン酸基、亜ホスフィン酸基、ホスフィン基、酸無水物または酸クロリドである請求項1~のいずれか1項記載のポリマーの製造方法。
【請求項5】
(A)成分が有するエポキシ基と(B)成分が有する官能基との当量比が、(A):(B)=0.1:1.0~1.0:0.1である請求項1~のいずれか1項記載のポリマーの製造方法。
【請求項6】
(C)成分と(D)成分の配合比(モル比)が、0.1:1.0~1.0:0.1であり、かつ(C)成分と(D)成分の合計量が(A)成分1モルに対して、0.0001~0.5モルである請求項1~のいずれか1項記載のポリマーの製造方法。
【請求項7】
有機溶媒の使用量が、(A)成分の質量に対して、0.1~100質量倍である請求項1~のいずれか1項記載のポリマーの製造方法。
【請求項8】
反応時間が、1~30時間である請求項1~のいずれか1項記載のポリマーの製造方法。
【請求項9】
請求項1~のいずれか1項記載の製造方法により得られたポリマーと、有機溶媒とを混合するレジスト下層膜形成組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ化合物と、分子内にエポキシ基と反応する官能基を2つ以上有する反応性化合物とを反応させるポリマーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的にポリマーの分子量は物性に大きく影響するため、分子量の制御はポリマーの製造における共通の課題といえる。少なくとも1種のジエポキシ化合物と2つ以上の反応性官能基を有する化合物(反応性化合物)を反応させるポリマーの製造においては、一般的な方法として非特許文献1に記載されているような方法が知られている。従来、ポリマーの分子量を目的とする範囲に制御するために、反応時間を厳密に管理し、目的の分子量に達した段階で冷却することで、重合反応を強制的に停止させる手法が採られていた。しかしながら、本手法は、製造の規模を拡大した場合、冷却に時間がかかり、目的の分子量に再現性よく制御することが困難である。また、例えば、規模が大きすぎたり、冷却装置にトラブルが生じたりして冷却が遅れた場合には、分子量が過度に増大することによって、反応液が高粘度化し、反応機の攪拌翼を破損するリスクがある。
【0003】
一方、分子量の増大を抑制する手法として、一般的にはジエポキシモノマーと反応性モノマーの当量比を1:1から、大きくずらす手法(例えば、1:1.2等)があるが、大幅な分子量増大は抑制できるものの、目的の分子量で安定化させることはできず、また、過剰に仕込んだモノマーが系内に残留するため、残留モノマーを除去する精製工程が必須となり、生産性の観点から好ましくない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】高分子論文集 Vol.53, No9, p.522-529, (1996)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ化合物と、分子内にエポキシ基と反応する官能基を2つ以上有する反応性化合物との反応系において、分子量が増大し続けることなく、目的とする分子量に精度よく制御することができ、その分子量で安定化させることができるポリマーの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ化合物と、分子内にエポキシ基と反応する官能基を2つ以上有する反応性化合物とを反応させる際に、重合触媒と、該重合触媒とは異なる触媒(共触媒)とからなる2種類以上の触媒を添加することで、その反応系において、分子量が増大し続けることなく、目的とする分子量に精度よく制御することができ、その分子量で安定化させることができる手法を見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、下記のポリマーの製造方法を提供する。
1. (A)分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ化合物と、(B)分子内にエポキシ基と反応する官能基を2つ以上有する反応性化合物とを、(C)重合触媒および(D)共触媒の存在下で反応させることを特徴とするポリマーの製造方法。
2. (C)成分が、4級の第15族元素構造を1つ以上有するオニウム塩である1のポリマーの製造方法。
3. (C)成分の第15族元素が、窒素またはリンである2のポリマーの製造方法。
4. (C)成分の第15族元素構造における置換基が、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~20のアリール基および炭素数7~20のアラルキル基から選ばれる少なくとも1種である2または3のポリマーの製造方法。
5. オニウム塩におけるカウンターアニオンが、ハロゲン化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、酢酸イオン、ギ酸イオン、水酸化物イオン、および炭素数1~20のアルキル基または炭素数6~20のアリール基を有するスルホン酸イオンから選ばれる2~4のいずれかのポリマーの製造方法。
6. (D)成分が、1~3級の第15族元素構造を有する化合物、または芳香環に第15族元素を含むヘテロアリール化合物である1~5のいずれかのポリマーの製造方法。
7. (D)成分の第15族元素が、窒素またはリンである6のポリマーの製造方法。
8. (D)成分が、3級の第15族元素構造を有する化合物、または芳香環に第15族元素を含むヘテロアリール化合物である6または7のポリマーの製造方法。
9. (D)成分の第15族元素構造における置換基が、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~20のアリール基および炭素数7~20のアラルキル基から選ばれる少なくとも1種である6~8のいずれかのポリマーの製造方法。
10. (A)成分が、ジエポキシ化合物、トリエポキシ化合物、テトラエポキシ化合物およびエポキシ基を有するポリマーから選ばれる1種または2種以上である1~9のいずれかのポリマーの製造方法。
11. (B)成分の官能基が、水酸基、ホルミル基、カルボキシ基、アミノ基、イミノ基、アゾ基、アジ基、チオール基、スルホ基、アミド基、イミド基、チオカルボキシ基、ジチオカルボキシ基、リン酸基、亜リン酸基、ホスホン酸基、亜ホスホン酸基、ホスフィン酸基、亜ホスフィン酸基、ホスフィン基、酸無水物または酸クロリドである1~10のいずれかのポリマーの製造方法。
12. (A)成分が有するエポキシ基と(B)成分が有する官能基との当量比が、(A):(B)=0.1:1.0~1.0:0.1である1~11のいずれかのポリマーの製造方法。
13. (C)成分と(D)成分の配合比(モル比)が、0.1:1.0~1.0:0.1であり、かつ(C)成分と(D)成分の合計量が(A)成分1モルに対して、0.0001~0.5モルである1~12のいずれかのポリマーの製造方法。
14. 更に、有機溶媒として、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、4-メチル-2-ペンタノール、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル、2-ヒドロキシイソ酪酸エチル、エトキシ酢酸エチル、酢酸2-ヒドロキシエチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、2-ヘプタノン、メトキシシクロペンタン、アニソール、γ-ブチロラクトン、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、およびN,N-ジメチルアセトアミドから選ばれる1種以上を用いる1~13のいずれかのポリマーの製造方法。
15. 有機溶媒の使用量が、(A)成分の質量に対して、0.1~100質量倍である14のポリマーの製造方法。
16. 反応温度が、25~200℃である1~15のいずれかのポリマーの製造方法。
17. 1~16のいずれかの製造方法により得られたポリマーと、有機溶媒とを混合するレジスト下層膜形成組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るポリマーの製造方法によれば、目的とするポリマーの重量平均分子量を容易に制御することができ、所望の重量平均分子量を有するポリマーを再現性よく製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係るポリマーの製造方法は、(A)分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ化合物と、(B)分子内にエポキシ基と反応する官能基を2つ以上有する反応性化合物とを、(C)重合触媒および(D)共触媒の共存下で反応させることを特徴とするものである。
【0010】
(A)分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ化合物は、本発明では、得られるポリマーの重量平均分子量を精度よく制御することを考慮すると、ジエポキシ化合物、トリエポキシ化合物、テトラエポキシ化合物およびエポキシ基を有するポリマーが好ましく、ジエポキシ化合物およびトリエポキシ化合物がより好ましく、ジエポキシ化合物がより一層好ましい。
なお、本発明において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるポリスチレン換算値である。
【0011】
(A)成分のジエポキシ化合物、トリエポキシ化合物、テトラエポキシ化合物として好ましい化合物としては、例えば、下記式(A1)~(A9)で表される化合物が挙げられる。
【0012】
【化1】
【0013】
式(A1)~(A3)中、E1は、下記式(a-1)で表される基である。
【化2】
(式中、m1は0~4の整数、m2は0または1、m3は0または1、m4は1または2であり、m3が1の場合、m1およびm2は同時に0にならない。)
【0014】
式(A1)および(A2)中、R1aおよびR2aは、それぞれ独立して、水素原子、酸素原子もしくは硫黄原子で中断されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、酸素原子もしくは硫黄原子で中断されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基、酸素原子もしくは硫黄原子で中断されていてもよい炭素数2~10のアルキニル基、ベンジル基またはフェニル基を表し、該フェニル基は、炭素数1~6のアルキル基、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基および炭素数1~6のアルキルチオ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの1価の基で置換されていてもよい。
【0015】
式(A3)中、R3aは、水素原子、酸素原子もしくは硫黄原子で中断されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、酸素原子もしくは硫黄原子で中断されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基、酸素原子もしくは硫黄原子で中断されていてもよい炭素数2~10のアルキニル基、ベンジル基、フェニル基または上記E1を表し、該フェニル基は、炭素数1~10のアルキル基、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、および炭素数1~6のアルキルチオ基から選ばれる少なくとも1つの1価の基で置換されていてもよい。
【0016】
炭素数1~10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、シクロプロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、シクロブチル基、1-メチル-シクロプロピル基、2-メチル-シクロプロピル基、n-ペンチル基、1-メチル-n-ブチル基、2-メチル-n-ブチル基、3-メチル-n-ブチル基、1,1-ジメチル-n-プロピル基、1,2-ジメチル-n-プロピル基、2,2-ジメチル-n-プロピル基、1-エチル-n-プロピル基、シクロペンチル基、1-メチル-シクロブチル基、2-メチル-シクロブチル基、3-メチル-シクロブチル基、1,2-ジメチル-シクロプロピル基、2,3-ジメチル-シクロプロピル基、1-エチル-シクロプロピル基、2-エチル-シクロプロピル基、n-ヘキシル基、1-メチル-n-ペンチル基、2-メチル-n-ペンチル基、3-メチル-n-ペンチル基、4-メチル-n-ペンチル基、1,1-ジメチル-n-ブチル基、1,2-ジメチル-n-ブチル基、1,3-ジメチル-n-ブチル基、2,2-ジメチル-n-ブチル基、2,3-ジメチル-n-ブチル基、3,3-ジメチル-n-ブチル基、1-エチル-n-ブチル基、2-エチル-n-ブチル基、1,1,2-トリメチル-n-プロピル基、1,2,2-トリメチル-n-プロピル基、1-エチル-1-メチル-n-プロピル基、1-エチル-2-メチル-n-プロピル基、シクロヘキシル基、1-メチル-シクロペンチル基、2-メチル-シクロペンチル基、3-メチル-シクロペンチル基、1-エチル-シクロブチル基、2-エチル-シクロブチル基、3-エチル-シクロブチル基、1,2-ジメチル-シクロブチル基、1,3-ジメチル-シクロブチル基、2,2-ジメチル-シクロブチル基、2,3-ジメチル-シクロブチル基、2,4-ジメチル-シクロブチル基、3,3-ジメチル-シクロブチル基、1-n-プロピル-シクロプロピル基、2-n-プロピル-シクロプロピル基、1-i-プロピル-シクロプロピル基、2-i-プロピル-シクロプロピル基、1,2,2-トリメチル-シクロプロピル基、1,2,3-トリメチル-シクロプロピル基、2,2,3-トリメチル-シクロプロピル基、1-エチル-2-メチル-シクロプロピル基、2-エチル-1-メチル-シクロプロピル基、2-エチル-2-メチル-シクロプロピル基、および2-エチル-3-メチル-シクロプロピル基等が挙げられる。
【0017】
炭素数2~10のアルケニル基としては、エテニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、1-メチル-1-エテニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、2-メチル-1-プロペニル基、2-メチル-2-プロペニル基、1-エチルエテニル基、1-メチル-1-プロペニル基、1-メチル-2-プロペニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、1-n-プロピルエテニル基、1-メチル-1-ブテニル基、1-メチル-2-ブテニル基、1-メチル-3-ブテニル基、2-エチル-2-プロペニル基、2-メチル-1-ブテニル基、2-メチル-2-ブテニル基、2-メチル-3-ブテニル基、3-メチル-1-ブテニル基、3-メチル-2-ブテニル基、3-メチル-3-ブテニル基、1,1-ジメチル-2-プロペニル基、1-i-プロピルエテニル基、1,2-ジメチル-1-プロペニル基、1,2-ジメチル-2-プロペニル基、1-シクロペンテニル基、2-シクロペンテニル基、3-シクロペンテニル基、1-ヘキセニル基、2-ヘキセニル基、3-ヘキセニル基、4-ヘキセニル基、5-ヘキセニル基、1-メチル-1-ペンテニル基、1-メチル-2-ペンテニル基、1-メチル-3-ペンテニル基、1-メチル-4-ペンテニル基、1-n-ブチルエテニル基、2-メチル-1-ペンテニル基、2-メチル-2-ペンテニル基、2-メチル-3-ペンテニル基、2-メチル-4-ペンテニル基、2-n-プロピル-2-プロペニル基、3-メチル-1-ペンテニル基、3-メチル-2-ペンテニル基、3-メチル-3-ペンテニル基、3-メチル-4-ペンテニル基、3-エチル-3-ブテニル基、4-メチル-1-ペンテニル基、4-メチル-2-ペンテニル基、4-メチル-3-ペンテニル基、4-メチル-4-ペンテニル基、1,1-ジメチル-2-ブテニル基、1,1-ジメチル-3-ブテニル基、1,2-ジメチル-1-ブテニル基、1,2-ジメチル-2-ブテニル基、1,2-ジメチル-3-ブテニル基、1-メチル-2-エチル-2-プロペニル基、1-s-ブチルエテニル基、1,3-ジメチル-1-ブテニル基、1,3-ジメチル-2-ブテニル基、1,3-ジメチル-3-ブテニル基、1-i-ブチルエテニル基、2,2-ジメチル-3-ブテニル基、2,3-ジメチル-1-ブテニル基、2,3-ジメチル-2-ブテニル基、2,3-ジメチル-3-ブテニル基、2-i-プロピル-2-プロペニル基、3,3-ジメチル-1-ブテニル基、1-エチル-1-ブテニル基、1-エチル-2-ブテニル基、1-エチル-3-ブテニル基、1-n-プロピル-1-プロペニル基、1-n-プロピル-2-プロペニル基、2-エチル-1-ブテニル基、2-エチル-2-ブテニル基、2-エチル-3-ブテニル基、1,1,2-トリメチル-2-プロペニル基、1-t-ブチルエテニル基、1-メチル-1-エチル-2-プロペニル基、1-エチル-2-メチル-1-プロペニル基、1-エチル-2-メチル-2-プロペニル基、1-i-プロピル-1-プロペニル基、1-i-プロピル-2-プロペニル基、1-メチル-2-シクロペンテニル基、1-メチル-3-シクロペンテニル基、2-メチル-1-シクロペンテニル基、2-メチル-2-シクロペンテニル基、2-メチル-3-シクロペンテニル基、2-メチル-4-シクロペンテニル基、2-メチル-5-シクロペンテニル基、2-メチレン-シクロペンチル基、3-メチル-1-シクロペンテニル基、3-メチル-2-シクロペンテニル基、3-メチル-3-シクロペンテニル基、3-メチル-4-シクロペンテニル基、3-メチル-5-シクロペンテニル基、3-メチレン-シクロペンチル基、1-シクロヘキセニル基、2-シクロヘキセニル基、および3-シクロヘキセニル基等が挙げられる。
【0018】
炭素数2~10のアルキニル基としては、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、4-メチル-1-ペンチニル基、および3-メチル-1-ペンチニル基等が挙げられる。
【0019】
「酸素原子もしくは硫黄原子で中断されていてもよい」とは、例えば、上記アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基の飽和炭素鎖の途中の炭素原子が、酸素原子もしくは硫黄原子で置き換わっていることを指す。例えば、アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基において、任意の炭素原子が酸素原子で置き換わっている場合は、エーテル結合を含むことになり、任意の炭素原子が硫黄原子で置き換わっている場合は、チオエーテル結合を含むことになる。
【0020】
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素原子が挙げられる。
【0021】
炭素数1~6のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、i-ブトキシ基、s-ブトキシ基、t-ブトキシ基、n-ペントキシ基、1-メチル-n-ブトキシ基、2-メチル-n-ブトキシ基、3-メチル-n-ブトキシ基、1,1-ジメチル-n-プロポキシ基、1,2-ジメチル-n-プロポキシ基、2,2-ジメチル-n-プロポキシ基、1-エチル-n-プロポキシ基、n-ヘキシルオキシ基、1-メチル-n-ペンチルオキシ基、2-メチル-n-ペンチルオキシ基、3-メチル-n-ペンチルオキシ基、4-メチル-n-ペンチルオキシ基、1,1-ジメチル-n-ブトキシ基、1,2-ジメチル-n-ブトキシ基、1,3-ジメチル-n-ブトキシ基、2,2-ジメチル-n-ブトキシ基、2,3-ジメチル-n-ブトキシ基、3,3-ジメチル-n-ブトキシ基、1-エチル-n-ブトキシ基、2-エチル-n-ブトキシ基、1,1,2-トリメチル-n-プロポキシ基、1,2,2,-トリメチル-n-プロポキシ基、1-エチル-1-メチル-n-プロポキシ基、および1-エチル-2-メチル-n-プロポキシ基等が挙げられる。
【0022】
炭素数1~6のアルキルチオ基としては、エチルチオ基、ブチルチオ基、およびヘキシルチオ基等が挙げられる。
【0023】
式(A4)~(A9)中、R4aは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~10のアルキル基または炭素数2~10のアルケニル基を表し、-W-は、単結合、-CH2-、-C(CH32-、-C(CF32-、-CO-、-O-、-S-または-SO2-を表す。n1は2~4の整数を表す。n2は2~4の整数を表す。n3およびn4は、それぞれ独立して、0~4の整数を表し、n3+n4は2~4である。n5は2~4の整数を表す。n6およびn7は、それぞれ独立して、0~4の整数を表し、n6+n7は2~4である。n8~n11は、それぞれ独立して、0~4の整数を表し、n8+n9+n10+n11は2~4である。
【0024】
式(A4)~(A9)中、E2は、下記式(a-2)で表される基である。
【化3】
(式中、m5は0~4の整数、m6は0または1、m7は0または1、m8は1または2である。)
【0025】
炭素数1~10のアルキル基および炭素数2~10のアルケニル基としては、上記と同様のものが挙げられる。
【0026】
本発明では、これらのエポキシ化合物の中でも、得られるポリマーの分子量を精度よく制御する点から、式(A3)および(A4)で表されるエポキシ化合物が好ましく、特に以下に示す態様のものをより好適に使用し得る。
【化4】
【0027】
式中、E1およびE2は上記と同様であり、R3a’は、水素原子、酸素原子もしくは硫黄原子で中断されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、酸素原子もしくは硫黄原子で中断されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基、酸素原子もしくは硫黄原子で中断されていてもよい炭素数2~10のアルキニル基、ベンジル基またはフェニル基を表し、該フェニル基は、炭素数1~6のアルキル基、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、および炭素数1~6のアルキルチオ基から選ばれる少なくとも1つの1価の基で置換されていてもよい。
【0028】
上記式(A1)~(A9)で表されるエポキシ化合物の具体例としては、以下の化合物を例示することができるが、これに限定されるわけではない。
【0029】
【化5】
【0030】
【化6】
【0031】
【化7】
【0032】
【化8】
【0033】
【化9】
【0034】
【化10】
【0035】
【化11】
【0036】
【化12】
【0037】
【化13】
【0038】
【化14】
【0039】
【化15】
【0040】
エポキシ基を有するポリマーとしては、例えば、下記式(A10-1)~(A10-12)で表される繰り返し単位を有するポリマーが挙げられる。
【0041】
【化16】
【0042】
また、本発明においては、(A)成分の具体例として、下記式(A11-1)~(A11-2)で表されるエポキシ化合物も挙げることができる。
【0043】
【化17】
【0044】
式(A11-1)中、f、g、h、iはそれぞれ0または1であり、f+g+h+i=1である。
【0045】
(B)分子内にエポキシ基と反応する官能基を2つ以上有する反応性化合物としては、得られるポリマーの重量平均分子量を精度よく制御することを考慮すると、分子内にエポキシ基と反応する官能基を2つ以上有する化合物が好ましく、2~3つ有する化合物がより好ましい。
【0046】
上記官能基としては、例えば、水酸基、ホルミル基、カルボキシ基、アミノ基、イミノ基、アゾ基、アジ基、チオール基、スルホ基、アミド基、イミド基、チオカルボキシ基、ジチオカルボキシ基、リン酸基、亜リン酸基、ホスホン酸基、亜ホスホン酸基、ホスフィン酸基、亜ホスフィン酸基、ホスフィン基、酸無水物または酸クロリドが挙げられる。本発明では、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、イミド基、アミド基が好ましい。
【0047】
上記(B)成分の具体例としては、以下の化合物を例示することができるが、これらに限定されるわけではない。
【0048】
【化18】
【0049】
【化19】
【0050】
【化20】
【0051】
【化21】
【0052】
【化22】
【0053】
(B)成分の配合量は、(A)成分が有するエポキシ基と(B)成分が有する官能基との当量比として設定される。本発明では、上記当量比は、得られるポリマーの重量平均分子量を精度よく制御することを考慮すると、(A):(B)=0.1:1.0~1.0:0.1が好ましく、(A):(B)=0.5:1.0~1.0:0.5がより好ましい。
【0054】
(C)重合触媒は、上述した(A)成分と(B)成分との反応の触媒として配合される成分である。本発明においては、当該(C)成分を後述する(D)共触媒と組み合わせて用いることにより、反応系におけるポリマーの分子量が増大し続けることなく、適当な分子量に制御、安定化させることができる。
【0055】
本発明において、上記(C)成分は、得られるポリマーの重量平均分子量を精度よく制御することを考慮すると、4級の第15族元素構造を1つ以上有するオニウム塩が好ましい。
4級の第15族元素構造の数は、1つまたは2つが好ましく、1つがより好ましい。
第15族元素としては、窒素、リン、ヒ素、アンチモンおよびビスマスが挙げられるが、窒素およびリンが好ましい。
第15族元素構造における置換基としては、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~20のアリール基および炭素数7~20のアラルキル基が挙げられる。
【0056】
炭素数1~20のアルキル基としては、上記炭素数1~10のアルキル基で例示した基に加え、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、n-ノナデシル、n-エイコサニル基等が挙げられる。本発明では、炭素数1~10のアルキル基が好ましく、炭素数1~8のアルキル基がより好ましい。
【0057】
炭素数6~20のアリール基としては、フェニル基、トリル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-アントリル基、2-アントリル基、9-アントリル基、1-フェナントリル基、2-フェナントリル基、3-フェナントリル基、4-フェナントリル基、および9-フェナントリル基等が挙げられる。本発明では、フェニル基が好ましい。
【0058】
炭素数7~20のアラルキル基としては、ベンジル基、p-メチルフェニルメチル基、m-メチルフェニルメチル基、o-エチルフェニルメチル基、m-エチルフェニルメチル基、p-エチルフェニルメチル基、2-プロピルフェニルメチル基、4-イソプロピルフェニルメチル基、4-イソブチルフェニルメチル基、およびα-ナフチルメチル基等が挙げられる。本発明では、ベンジル基が好ましい。
【0059】
上記オニウム塩におけるカウンターアニオンとしては、ハロゲン化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、酢酸イオン、ギ酸イオン、水酸化物イオン、および炭素数1~20のアルキル基または炭素数6~20のアリール基を有するスルホン酸イオン等が挙げられる。ハロゲン化物イオンとしては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオンおよびヨウ化物イオンが挙げられる。本発明においては、ハロゲン化物イオンが好ましい。
【0060】
上記スルホン酸イオンにおいて、炭素数1~20のアルキル基および炭素数6~20のアリール基は、上記と同様である。
【0061】
上記スルホン酸イオンの具体例としては、例えば、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸を挙げることができる。
【0062】
(C)成分の好適な態様としては、例えば、下記式(C1)で表されるオニウム塩が挙げられる。
【0063】
【化23】
(式中、Gは、第15族元素を表し、R1cは、それぞれ独立して、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~20のアリール基または炭素数7~20のアラルキル基を表し、Xc -は、ハロゲン化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、酢酸イオン、ギ酸イオン、水酸化物イオン、または、炭素数1~20のアルキル基または炭素数6~20のアリール基を有するスルホン酸イオンを表す。)
【0064】
第15族元素、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数7~20のアラルキル基、ハロゲン化物イオンおよびスルホン酸イオンは、上記と同様である。
【0065】
本発明において、上記(C)成分としては、第4級アンモニウム塩および第4級ホスホニウム塩が好ましく、第4級ホスホニウム塩がより好ましい。
【0066】
第4級アンモニウム塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウムフルオリド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウム硝酸塩、テトラメチルアンモニウム硫酸塩、テトラメチルアンモニウム酢酸塩、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラプロピルアンモニウムクロリド、テトラプロピルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムフルオリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、フェニルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、メチルトリブチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロリド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリドが挙げられる。
【0067】
第4級ホスホニウム塩としては、例えば、メチルトリフェニルホスホニウムブロミド、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド、ブチルトリフェニルホスホニウムブロミド、ヘキシルトリフェニルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムブロミド、ベンジルトリフェニルホスホニウムブロミド、メチルトリフェニルホスホニウムクロリド、エチルトリフェニルホスホニウムクロリド、ブチルトリフェニルホスホニウムクロリド、ヘキシルトリフェニルホスホニウムクロリド、テトラブチルホスホニウムクロリド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロリド、メチルトリフェニルホスホニウムヨージド、エチルトリフェニルホスホニウムヨージド、ブチルトリフェニルホスホニウムヨージド、ヘキシルトリフェニルホスホニウムヨージド、テトラブチルホスホニウムヨージド、およびベンジルトリフェニルホスホニウムヨージドが挙げられる。本発明では、エチルトリフェニルホスホニウムブロミドおよびテトラブチルホスホニウムブロミドを好適に使用することができる。
【0068】
(C)成分の配合量は、反応を進行させる量であれば特に限定されるものではないが、ポリマーの重合反応を適切に制御することを考慮すると、(A)成分1モルに対して、0.0001~0.5モルが好ましく、0.0005~0.1モルがより好ましく、0.001~0.05モルがより一層好ましい。
【0069】
(D)共触媒は、上記(C)成分と組み合わせて使用される成分であり、(C)成分と組み合わせて用いることにより、反応系におけるポリマーの分子量が増大し続けることなく、適当な分子量に制御、安定化させることができる。
【0070】
本発明において、上記(D)成分は、得られるポリマーの重量平均分子量を精度よく制御することを考慮すると、1~3級の第15族元素構造を有する化合物および芳香環に第15族元素を含むヘテロアリール化合物が好ましく、3級の第15族元素構造を有する化合物および芳香環に第15族元素を含むヘテロアリール化合物がより好ましい。
上記第15族元素としては、窒素、リン、ヒ素、アンチモンおよびビスマス等が挙げられるが、窒素およびリンが好ましい。
第15族元素構造における置換基としては、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~20のアリール基および炭素数7~20のアラルキル基が挙げられる。
【0071】
炭素数1~20のアルキル基としては、上記で例示したものと同様のものを挙げることができる。本発明においては、炭素数1~6のアルキル基が好ましく、炭素数1~4のアルキル基がより好ましい。
【0072】
炭素数6~20のアリール基としては、上記で例示したものと同様のものを挙げることができる。本発明においては、フェニル基が好ましい。
【0073】
炭素数7~20のアラルキル基としては、上記で例示したものと同様のものを挙げることができる。本発明においては、ベンジル基が好ましい。
【0074】
(D)成分の好適な具体例としては、例えば、下記式(D1)または(D2)で表される化合物を挙げることができる。
【化24】
(式中、G1dは、第15族元素を表し、R1dは、それぞれ独立して、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~20のアリール基または炭素数7~20のアラルキル基を表し、R2dは、水素原子、または各々のアルキル基が独立に炭素数1~12のアルキル基であるジアルキルアミノ基を表す。)
【0075】
(D1)において、炭素数1~20のアルキル基としては、上記で例示したものと同様のものが挙げられる。本発明においては、炭素数1~10のアルキル基が好ましく、1~6のアルキル基がより好ましい。
炭素数6~20のアリール基としては、上記で例示したものと同様のものが挙げられる。本発明においては、フェニル基が好ましい。
炭素数7~20のアラルキル基としては、上記で例示したものと同様のものが挙げられる。本発明においては、ベンジル基が好ましい。
【0076】
式(D2)において、炭素数1~12のアルキル基としては、上記炭素数1~20のアルキル基において提示した炭素数1~12のアルキル基と同様のものが挙げられる。本発明では、炭素数1~6のアルキル基が好ましく、1~4のアルキル基がより好ましい。
【0077】
式(D2)で表される化合物の好ましい態様としては、下記式(D2’)で表される態様のものが挙げられる。
【0078】
【化25】
(式中、G1dおよびR2dは、上記と同じ意味を表す。)
【0079】
(D)成分の好適な具体例としては、例えば、ピリジン、N,N-ジメチル-4-アミノピリジン、トリブチルホスフィンおよびトリフェニルホスフィンが挙げられる。
【0080】
(D)成分の配合量は、反応を進行させる量であれば特に限定されるものではないが、ポリマーの重合反応を適切に制御することを考慮すると、(A)成分1モルに対して、0.0001~0.5モルが好ましく、0.0005~0.2モルがより好ましく、0.001~0.1モルがより一層好ましい。
【0081】
また、(C)成分と(D)成分の合計量は、(A)成分1モルに対して、0.0002~0.5モルが好ましく、0.001~0.2モルがより好ましい。
【0082】
(C)重合触媒と(D)共触媒との配合比(モル比)は、得られるポリマーの重量平均分子量を精度よく制御することを考慮すると、0.1:1.0~1.0:0.1が好ましく、0.3:1.0~1.0:0.3がより好ましい。
【0083】
本発明の製造方法においては、公知の有機溶媒を使用することができる。
有機溶媒としては、上記化合物またはその反応生成物を溶解でき、重合反応に影響を及ぼさない溶媒であれば、特に制限なく使用することができる。その具体例としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、4-メチル-2-ペンタノール、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル、2-ヒドロキシイソ酪酸エチル、エトキシ酢酸エチル、酢酸2-ヒドロキシエチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、2-ヘプタノン、メトキシシクロペンタン、アニソール、γ-ブチロラクトン、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、およびN,N-ジメチルアセトアミドが挙げられる。本発明では、これらの溶媒の中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、乳酸ブチル、およびシクロヘキサノンが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテル、およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートがより好ましい。これらの溶剤は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0084】
有機溶媒の使用量は、得られるポリマーの重量平均分子量を精度よく制御することを考慮すると、(A)成分の質量に対して、0.1~100質量倍が好ましく、0.5~20質量倍がより好ましい。
【0085】
反応温度(内温)は、反応を効率的に進行させるとともに、得られるポリマーの重量平均分子量を精度よく制御することを考慮すると、25~200℃が好ましく、50~150℃がより好ましく、80~150℃がより一層好ましい。また、加熱の際には、還流を行ってもよい。
【0086】
反応時間は、反応温度や原料物質の反応性に依存するため一概に規定できないが、通常1~30時間程度であり、反応温度を100~130℃とした場合は、概ね1~15時間程度である。
【0087】
本発明のポリマーの製造方法により得られるポリマーの重量平均分子量Mwは、500~100,000であるが、反応を開始してから一定時間を経過すると、分子量の増大が頭打ちとなり、それ以後は目的とする分子量近傍(概ね±300以内)で安定する。
本発明において、重量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるポリスチレン換算値である。
【0088】
このように、本発明に係るポリマーの製造方法を採用することにより、得られるポリマーの重量平均分子量を精度よく制御することができ、目的とする重量平均分子量を有するポリマーを再現性よく製造することができる。
【0089】
また、本発明の製造方法によって得られるポリマーは、例えば、リソグラフィー用反射防止膜形成組成物、レジスト下層膜形成組成物、レジスト上層膜形成組成物、光硬化性樹脂組成物、熱硬化性樹脂組成物、平坦化膜形成組成物、接着剤組成物、その他の組成物に適用することができる。
【0090】
例えば、得られたポリマーをレジスト下層膜形成組成物に用いる場合には、反応後のポリマー溶液を、架橋剤、架橋触媒等の成分と適宜混合すればよい。
【実施例
【0091】
以下、本発明について実施例および比較例を挙げて詳細に説明するが、本発明は、下記実施例に制限されるものではない。なお、実施例で用いた各測定装置、使用原料の略称および構造は以下のとおりである。
【0092】
[重量平均分子量Mwおよび多分散度Mw/Mnの測定]
ポリマーの重量平均分子量Mwおよび多分散度Mw/Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定で得られたクロマトグラムの各ピークから、検量線に基づいて算出した。測定条件は、以下のとおりである。
〈測定条件〉
装置:HLC-8320GPC(東ソー(株)製)
カラム:Shodex〔登録商標〕(昭和電工(株))
溶離液:10mM 臭化リチウム/DMF
流量:0.6mL/min
カラム温度:40℃
検出器:RI
標準試料:ポリスチレン
【0093】
(A)エポキシ化合物
(a1)モノアリルジグリシジルイソシアヌル酸:分子量269.26
(a2)テレフタル酸ジグリシジルエステル:分子量278.26
【化26】
【0094】
(B)反応性化合物
(b1)アジピン酸:分子量79.10
(b2)3,3-ジチオプロピオン酸:分子量210.26
(b3)バルビタール:分子量184.20
(b4)ビスフェノールA:分子量228.29
【化27】
【0095】
(C)重合触媒
(c1)エチルトリフェニルホスホニウムブロミド:分子量371.26
(c2)テトラブチルホスホニウムブロミド:分子量339.34
【化28】
【0096】
(D)共触媒
(d1)ピリジン:分子量79.10
(d2)N,N-ジメチル-4-アミノピリジン:分子量122.17
(d3)トリブチルホスフィン:Bu3P、分子量202.32
(d4)トリフェニルホスフィン:Ph3P、分子量262.29
【化29】
【0097】
[実施例1]
200mL反応フラスコに、(A)モノアリルジグリシジルイソシアヌル酸12.6g、(B)アジピン酸6.6g、および(C)重合触媒としてエチルトリフェニルホスホニウムブロミド0.84g、(D)共触媒としてピリジン0.18g、プロピレングリコールモノメチルエーテル60gを仕込み、原料溶液を調製した。(C)成分と(D)成分とのモル比は1:1、(A)成分と(B)成分との当量比は1:1.01である。
次いで、この溶液を121℃にて加熱還流を行い1~6時間反応させ、ポリマーを合成した。生成するポリマーのGPC分析を行ったところ、還流温度到達後1時間目のMw=6,400、2時間目のMw=10,100、4時間目のMw=10,500、5時間目のMw=10,400、6時間目のMw=10,400であり、還流温度到達後4時間目以降、重量平均分子量Mwが安定化した。
【0098】
[実施例2]
200mL反応フラスコに、(A)モノアリルジグリシジルイソシアヌル酸12.6g、(B)アジピン酸6.6g、および(C)重合触媒としてエチルトリフェニルホスホニウムブロミド0.84g、(D)共触媒としてピリジン0.26g、プロピレングリコールモノメチルエーテル60gを仕込み、原料溶液を調製した。(C)成分と(D)成分とのモル比は1:1.5、(A)成分と(B)成分との当量比は1:1.01である。
次いで、この溶液を121℃にて加熱還流を行い1~7時間反応させ、ポリマーを合成した。生成するポリマーのGPC分析を行ったところ、還流温度到達後1時間目のMw=6,500、2時間目のMw=8,100、4時間目のMw=8,100、5時間目のMw=8,000、6時間目のMw=7,900、7時間目のMw=7,800であり、還流温度到達後2時間目以降、重量平均分子量Mwが安定化した。
【0099】
[実施例3]
200mL反応フラスコに、(A)モノアリルジグリシジルイソシアヌル酸12.6g、(B)アジピン酸6.6g、および(C)重合触媒としてエチルトリフェニルホスホニウムブロミド0.84g、(D)共触媒としてピリジン0.09g、プロピレングリコールモノメチルエーテル60gを仕込み、原料溶液を調製した。(C)成分と(D)成分とのモル比は1:0.5、(A)成分と(B)成分との当量比は1:1.01である。
次いで、この溶液を121℃にて加熱還流を行い1~7時間反応させ、ポリマーを合成した。生成するポリマーのGPC分析を行ったところ、還流温度到達後1時間目のMw=8,500、2時間目のMw=13,200、4時間目のMw=15,000、5時間目のMw=14,900、6時間目のMw=14,800、7時間目のMw=14,600であり、還流温度到達後4時間目以降、重量平均分子量Mwが安定化した。
【0100】
[実施例4]
200mL反応フラスコに、(A)モノアリルジグリシジルイソシアヌル酸12.6g、(B)アジピン酸6.6g、および(C)重合触媒としてエチルトリフェニルホスホニウムブロミド0.42g、(D)共触媒としてピリジン0.09g、プロピレングリコールモノメチルエーテル60gを仕込み、原料溶液を調製した。(C)成分と(D)成分とのモル比は1.0:1.0、(A)成分と(B)成分との当量比は1:1.01である。
次いで、この溶液を121℃にて加熱還流を行い1~8時間反応させ、ポリマーを合成した。生成するポリマーのGPC分析を行ったところ、還流温度到達後1時間目のMw=3,800、2時間目のMw=9,900、4時間目のMw=13,900、5時間目のMw=14,000、6時間目のMw=14,000、7時間目のMw=13,900、8時間目のMw=13,900であり、還流温度到達後4時間目以降、重量平均分子量Mwが安定化した。
【0101】
[実施例5]
500mL反応フラスコに、(A)モノアリルジグリシジルイソシアヌル酸31.5g、(B)アジピン酸16.4g、および(C)重合触媒としてエチルトリフェニルホスホニウムブロミド1.68g、(D)共触媒としてピリジン0.09g、プロピレングリコールモノメチルエーテル60gを仕込み、原料溶液を調製した。(C)成分と(D)成分とのモル比は1:0.25、(A)成分と(B)成分との当量比は1:1.01である。
次いで、この溶液を121℃にて加熱還流を行い1~8時間反応させ、ポリマーを合成した。生成するポリマーのGPC分析を行ったところ、還流温度到達後1時間目のMw=7,000、2時間目のMw=14,600、4時間目のMw=21,200、5時間目のMw=25,600、6時間目のMw=26,400、7時間目のMw=27,300、8時間目のMw=27,900であり、還流温度到達後6時間目以降、重量平均分子量Mwが安定化した。
【0102】
[実施例6]
500mL反応フラスコに、(A)モノアリルジグリシジルイソシアヌル酸31.5g、(B)アジピン酸16.4g、および(C)重合触媒としてエチルトリフェニルホスホニウムブロミド1.26g、(D)共触媒としてピリジン0.18g、プロピレングリコールモノメチルエーテル60gを仕込み、原料溶液を調製した。(C)成分と(D)成分とのモル比は1:0.67、(A)成分と(B)成分との当量比は1:1.01である。
次いで、この溶液を121℃にて加熱還流を行い1~8時間反応させ、ポリマーを合成した。生成するポリマーのGPC分析を行ったところ、還流温度到達後1時間目のMw=5,200、2時間目のMw=10,800、4時間目のMw=15,900、5時間目のMw=16,300、6時間目のMw=16,300、7時間目のMw=16,100、8時間目のMw=16,100であり、還流温度到達後4時間目以降、重量平均分子量Mwが安定化した。
【0103】
[実施例7]
500mL反応フラスコに、(A)モノアリルジグリシジルイソシアヌル酸31.5g、(B)アジピン酸16.4g、および(C)重合触媒としてエチルトリフェニルホスホニウムブロミド0.84g、(D)共触媒としてピリジン0.26g、プロピレングリコールモノメチルエーテル60gを仕込み、原料溶液を調製した。(C)成分と(D)成分とのモル比は0.67:1、(A)成分と(B)成分との当量比は1:1.01である。
次いで、この溶液を121℃にて加熱還流を行い1~8時間反応させ、ポリマーを合成した。生成するポリマーのGPC分析を行ったところ、還流温度到達後1時間目のMw=3,000、2時間目のMw=7,400、4時間目のMw=12,500、5時間目のMw=12,900、6時間目のMw=12,800、7時間目のMw=12,800、8時間目のMw=12,800であり、還流温度到達後4時間目以降、重量平均分子量Mwが安定化した。
【0104】
[実施例8]
500mL反応フラスコに、(A)モノアリルジグリシジルイソシアヌル酸31.5g、(B)アジピン酸16.4g、および(C)重合触媒としてエチルトリフェニルホスホニウムブロミド0.42g、(D)共触媒としてピリジン0.35g、プロピレングリコールモノメチルエーテル60gを仕込み、原料溶液を調製した。(C)成分と(D)成分とのモル比は0.25:1、(A)成分と(B)成分との当量比は1:1.01である。
次いで、この溶液を121℃にて加熱還流を行い1~8時間反応させ、ポリマーを合成した。生成するポリマーのGPC分析を行ったところ、還流温度到達後1時間目のMw=1,900、2時間目のMw=4,800、4時間目のMw=9,400、5時間目のMw=9,800、6時間目のMw=10,000、7時間目のMw=10,000、8時間目のMw=10,000であり、還流温度到達後4時間目以降、重量平均分子量Mwが安定化した。
【0105】
[比較例1]
200mL反応フラスコに、(A)モノアリルジグリシジルイソシアヌル酸12.6g、(B)アジピン酸6.6g、および(C)重合触媒としてエチルトリフェニルホスホニウムブロミド0.84g、プロピレングリコールモノメチルエーテル60gを仕込み、原料溶液を調製した。(C)成分と(D)成分とのモル比は1:0、(A)成分と(B)成分との当量比は1:1.01である。
次いで、この溶液を121℃にて加熱還流を行い1~6時間反応させ、ポリマーを合成した。生成するポリマーのGPC分析を行ったところ、還流温度到達後1時間目のMw=8,800、2時間目のMw=19,400、4時間目のMw=40,000、5時間目のMw=50,900、6時間目のMw=68,600であり、重量平均分子量Mwは安定化することなく、増大し続けた。
【0106】
[比較例2]
200mL反応フラスコに、(A)モノアリルジグリシジルイソシアヌル酸12.6g、(B)アジピン酸6.6g、(D)共触媒としてピリジン0.18g、プロピレングリコールモノメチルエーテル60gを仕込み、原料溶液を調製した。(C)成分と(D)成分とのモル比は0:1、(A)成分と(B)成分との当量比は1:1.01である。
次いで、この溶液を121℃にて加熱還流を行い1~8時間反応させ、ポリマーを合成した。生成するポリマーのGPC分析を行ったところ、還流温度到達後1時間目のMw=1,300、2時間目のMw=7,300、4時間目のMw=9,600、5時間目のMw=8,700、6時間目のMw=7,900、7時間目のMw=7,500、8時間目のMw=7,200であり、還流温度到達後4時間目に最大値を示した後、重量平均分子量Mwが低下し続けた。
【0107】
実施例1~8および比較例1~2の結果を表1および2にまとめた。
【0108】
【表1】
【0109】
【表2】
【0110】
[実施例9]
200mL反応フラスコに、(A)モノアリルジグリシジルイソシアヌル酸12.6g、(B)アジピン酸6.6g、および(C)重合触媒としてエチルトリフェニルホスホニウムブロミド0.84g、(D)共触媒としてトリフェニルホスフィン0.58g、プロピレングリコールモノメチルエーテル60gを仕込み、原料溶液を調製した。(C)成分と(D)成分とのモル比は1:1、(A)成分と(B)成分との当量比は1:1.01である。
次いで、この溶液を121℃にて加熱還流を行い1~7時間反応させ、ポリマーを合成した。生成するポリマーのGPC分析を行ったところ、還流温度到達後1時間目のMw=7,700、2時間目のMw=12,500、4時間目のMw=13,200、5時間目のMw=13,200、6時間目のMw=13,200、7時間目のMw=13,200であり、還流温度到達後4時間目以降、重量平均分子量Mwが安定化した。
【0111】
[実施例10]
200mL反応フラスコに、(A)モノアリルジグリシジルイソシアヌル酸12.6g、(B)アジピン酸6.6g、および(C)重合触媒としてエチルトリフェニルホスホニウムブロミド0.84g、(D)共触媒としてトリブチルホスフィン0.45g、プロピレングリコールモノメチルエーテル60gを仕込み、原料溶液を調製した。(C)成分と(D)成分とのモル比は1:1、(A)成分と(B)成分との当量比は1:1.01である。
次いで、この溶液を121℃にて加熱還流を行い1~6時間反応させ、ポリマーを合成した。生成するポリマーのGPC分析を行ったところ、還流温度到達後1時間目のMw=6,800、2時間目のMw=10,300、4時間目のMw=10,900、5時間目のMw=10,900、6時間目のMw=10,800であり、還流温度到達後4時間目以降、重量平均分子量Mwが安定化した。
【0112】
実施例9~10の結果を表3にまとめた。
【0113】
【表3】
【0114】
[実施例11]
200mL反応フラスコに、(A)モノアリルジグリシジルイソシアヌル酸11.0g、(B)3,3-ジチオプロピオン酸8.3g、および(C)重合触媒としてエチルトリフェニルホスホニウムブロミド0.73g、(D)共触媒としてピリジン0.15g、プロピレングリコールモノメチルエーテル60gを仕込み、原料溶液を調製した。(C)成分と(D)成分とのモル比は1:1、(A)成分と(B)成分との当量比は1:1.01である。
次いで、この溶液を121℃にて加熱還流を行い1~7時間反応させ、ポリマーを合成した。生成するポリマーのGPC分析を行ったところ、還流温度到達後1時間目のMw=1,800、2時間目のMw=1,800、4時間目のMw=1,800、5時間目のMw=1,800、6時間目のMw=1,700、7時間目のMw=1,800であり、還流温度到達後1時間目以降、重量平均分子量Mwが安定化した。
【0115】
[比較例3]
200mL反応フラスコに、(A)モノアリルジグリシジルイソシアヌル酸11.0g、(B)3,3-ジチオプロピオン酸8.3g、および(C)重合触媒としてエチルトリフェニルホスホニウムブロミド0.73g、プロピレングリコールモノメチルエーテル60gを仕込み、原料溶液を調製した。(C)成分と(D)成分とのモル比は1:0、(A)成分と(B)成分との当量比は1:1.01である。
次いで、この溶液を121℃にて加熱還流を行い1~7時間反応させ、ポリマーを合成した。生成するポリマーのGPC分析を行ったところ、還流温度到達後1時間目のMw=2,000、2時間目のMw=2,900、4時間目のMw=3,500、5時間目のMw=3,700、6時間目のMw=3,800、7時間目のMw=4,000であり、重量平均分子量Mwは安定化することなく、増大し続けた。
【0116】
実施例11および比較例3の結果を表4にまとめた。
【0117】
【表4】
【0118】
[実施例12]
200mL反応フラスコに、(A)モノアリルジグリシジルイソシアヌル酸12.8g、(B)ビスフェノールA 10.4g、および(C)重合触媒としてエチルトリフェニルホスホニウムブロミド0.85g、(D)共触媒としてピリジン0.05g、プロピレングリコールモノメチルエーテル56gを仕込み、原料溶液を調製した。(C)成分と(D)成分とのモル比は1:0.3、(A)成分と(B)成分との当量比は1:1.005である。
次いで、この溶液を121℃にて加熱還流を行い1~7時間反応させ、ポリマーを合成した。生成するポリマーのGPC分析を行ったところ、還流温度到達後1時間目のMw=4,400、2時間目のMw=5,600、5時間目のMw=5,600、6時間目のMw=5,600、7時間目のMw=5,500であり、還流温度到達後2時間目以降、重量平均分子量Mwが安定化した。
【0119】
[比較例4]
200mL反応フラスコに、(A)モノアリルジグリシジルイソシアヌル酸12.8g、(B)ビスフェノールA 10.4g、および(C)重合触媒としてエチルトリフェニルホスホニウムブロミド0.85g、プロピレングリコールモノメチルエーテル56gを仕込み、原料溶液を調製した。(C)成分と(D)成分とのモル比は1:0、(A)成分と(B)成分との当量比は1:1.005である。
次いで、この溶液を121℃にて加熱還流を行い1~7時間反応させ、ポリマーを合成した。生成するポリマーのGPC分析を行ったところ、還流温度到達後1時間目のMw=2,100、2時間目のMw=3,800、4時間目のMw=5,300、5時間目のMw=5,700、6時間目のMw=6,000、7時間目のMw=6,300であり、重量平均分子量Mwは安定化することなく、増大し続けた。
【0120】
実施例12および比較例4の結果を表5にまとめた。
【0121】
【表5】
【0122】
[実施例13]
500mL反応フラスコに、(A)モノアリルジグリシジルイソシアヌル酸34.2g、(B)バルビタール23.5g、および(C)重合触媒としてエチルトリフェニルホスホニウムブロミド2.3g、(D)共触媒としてピリジン0.29g、プロピレングリコールモノメチルエーテル240gを仕込み、原料溶液を調製した。(C)成分と(D)成分とのモル比は1:0.6、(A)成分と(B)成分との当量比は1:1.04である。
次いで、この溶液を121℃にて加熱還流を行い1~6時間反応させ、ポリマーを合成した。生成するポリマーのGPC分析を行ったところ、還流温度到達後1時間目のMw=7,600、2時間目のMw=10,400、4時間目のMw=11,300、6時間目のMw=11,400であり、還流温度到達後4時間目以降、重量平均分子量Mwが安定化した。
【0123】
[比較例5]
500mL反応フラスコに、(A)モノアリルジグリシジルイソシアヌル酸34.2g、(B)バルビタール23.5g、および(C)重合触媒としてエチルトリフェニルホスホニウムブロミド2.3g、プロピレングリコールモノメチルエーテル240gを仕込み、原料溶液を調製した。(C)成分と(D)成分とのモル比は1:0、(A)成分と(B)成分との当量比は1:1.04である。
次いで、この溶液を121℃にて加熱還流を行い1~8時間反応させ、ポリマーを合成した。生成するポリマーのGPC分析を行ったところ、還流温度到達後1時間目のMw=5,400、2時間目のMw=8,900、4時間目のMw=12,100、6時間目のMw=14,100、8時間目のMw=15,800であり、重量平均分子量Mwは安定化することなく、増大し続けた。
【0124】
[実施例14]
500mL反応フラスコに、(A)モノアリルジグリシジルイソシアヌル酸34.1g、(B)バルビタール23.4g、および(C)重合触媒としてテトラブチルホスホニウムブロミド2.1g、(D)共触媒としてピリジン0.48g、プロピレングリコールモノメチルエーテル240gを仕込み、原料溶液を調製した。(C)成分と(D)成分とのモル比は1:1、(A)成分と(B)成分との当量比は1:1.04である。
次いで、この溶液を121℃にて加熱還流を行い1~8時間反応させ、ポリマーを合成した。生成するポリマーのGPC分析を行ったところ、還流温度到達後1時間目のMw=4,700、2時間目のMw=7,000、4時間目のMw=7,900、6時間目のMw=7,900、8時間目のMw=7,900であり、還流温度到達後4時間目以降、重量平均分子量Mwが安定化した。
【0125】
[実施例15]
500mL反応フラスコに、(A)モノアリルジグリシジルイソシアヌル酸34.0g、(B)バルビタール23.3g、および(C)重合触媒としてテトラブチルホスホニウムブロミド2.1g、(D)共触媒としてN,N-ジメチル-4-アミノピリジン0.74g、プロピレングリコールモノメチルエーテル240gを仕込み、原料溶液を調製した。(C)成分と(D)成分とのモル比は1:1、(A)成分と(B)成分との当量比は1:1.04である。
次いで、この溶液を121℃にて加熱還流を行い1~8時間反応させ、ポリマーを合成した。生成するポリマーのGPC分析を行ったところ、還流温度到達後1時間目のMw=5,700、2時間目のMw=5,800、4時間目のMw=5,900、6時間目のMw=5,900、8時間目のMw=5,900であり、還流温度到達後2時間目以降、重量平均分子量Mwが安定化した。
【0126】
[比較例6]
500mL反応フラスコに、(A)モノアリルジグリシジルイソシアヌル酸34.2g、(B)バルビタール23.5g、および(C)重合触媒としてテトラブチルホスホニウムブロミド2.1g、プロピレングリコールモノメチルエーテル240gを仕込み、原料溶液を調製した。(C)成分と(D)成分とのモル比は1:0、(A)成分と(B)成分との当量比は1:1.04である。
次いで、この溶液を121℃にて加熱還流を行い1~8時間反応させ、ポリマーを合成した。生成するポリマーのGPC分析を行ったところ、還流温度到達後1時間目のMw=2,900、2時間目のMw=5,600、4時間目のMw=8,300、6時間目のMw=10,300、8時間目のMw=11,900であり、重量平均分子量Mwは安定化することなく、増大し続けた。
【0127】
実施例13~15および比較例5~6の結果を表6にまとめた。
【0128】
【表6】
【0129】
[実施例16]
200mL反応フラスコに、(A)テレフタル酸ジグリシジルエステル15.3g、(B)アジピン酸7.7g、および重合触媒としてエチルトリフェニルホスホニウムブロミド1.0g、(D)共触媒としてピリジン0.21g、プロピレングリコールモノメチルエーテル56gを仕込み、原料溶液を調製した。(C)成分と(D)成分とのモル比は1:1、(A)成分と(B)成分との当量比は1:1.001である。
次いで、この溶液を105℃にて加熱還流を行い1~6時間反応させ、ポリマーを合成した。生成するポリマーのGPC分析を行ったところ、還流温度到達後1時間目のMw=5,500、2時間目のMw=11,100、4時間目のMw=13,000、5時間目のMw=13,000、6時間目のMw=13,000であり、還流温度到達後4時間目以降、重量平均分子量Mwが安定化した。
【0130】
[比較例7]
200mL反応フラスコに、(A)テレフタル酸ジグリシジルエステル15.3g、(B)アジピン酸7.7g、および(C)重合触媒としてエチルトリフェニルホスホニウムブロミド1.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル56gを仕込み、原料溶液を調製した。(C)成分と(D)成分とのモル比は1:0、(A)成分と(B)成分との当量比は1:1.001である。
次いで、この溶液を105℃にて加熱還流を行い1~6時間反応させ、ポリマーを合成した。生成するポリマーのGPC分析を行ったところ、還流温度到達後1時間目のMw=5,100、2時間目のMw=14,700、4時間目のMw=19,900、5時間目のMw=20,400、6時間目のMw=20,500であり、重量平均分子量Mwは安定化することなく、増大し続けた。
【0131】
実施例16および比較例7の結果を表7にまとめた。
【0132】
【表7】