(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】撮像素子、及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20240423BHJP
H04N 25/70 20230101ALI20240423BHJP
H04N 25/702 20230101ALI20240423BHJP
H04N 25/703 20230101ALI20240423BHJP
H04N 25/704 20230101ALI20240423BHJP
H04N 25/705 20230101ALI20240423BHJP
H04N 25/76 20230101ALI20240423BHJP
【FI】
H01L27/146 A
H01L27/146 D
H04N25/70
H04N25/702
H04N25/703
H04N25/704
H04N25/705
H04N25/76
(21)【出願番号】P 2021198748
(22)【出願日】2021-12-07
(62)【分割の表示】P 2016086401の分割
【原出願日】2016-04-22
【審査請求日】2021-12-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智
【審査官】小山 満
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-032207(JP,A)
【文献】特開2015-015295(JP,A)
【文献】特開2012-215785(JP,A)
【文献】特開2001-160973(JP,A)
【文献】特開2010-212649(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0343753(US,A1)
【文献】国際公開第2015/001769(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2012/0249846(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2001/0039061(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第01107316(EP,A2)
【文献】特開2016-038467(JP,A)
【文献】特開2014-086471(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H04N 25/76
H04N 25/703
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系の第1瞳を透過した光を光電変換して電荷を生成する第1光電変換部と前記第1光電変換部に入射する光を遮光する第1遮光部とを有し、前記光学系の焦点検出に用いられ、前記第1光電変換部で生成された電荷に基づく第1信号を出力
し、行方向および列方向に並ぶ複数の領域それぞれに設けられる複数の第1画素と、
前記光学系
の第1瞳を透過した光を光電変換して電荷を生成する第2光電変換部と前記第2光電変換部に入射する光を遮光する第2遮光部とを有し、前記光学系の焦点検出に用いられ、前記第2光電変換部で生成された電荷に基づく第2信号を出力
し、行方向および列方向に並ぶ複数の前記領域それぞれに設けられる複数の第2画素と、を備え、
複数の前記領域のうちの第1領域に設けられた前記第1画素の前記第1遮光部のずらし量と
、前記第1領域に設けられた前記第2画素の前記第2遮光部のずらし量とが異なる撮像素子。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像素子において、
前記光学系の異なる瞳距離に対応するよう、前記第1領域に設けられた前記第1画素の前記第1遮光部のずらし量と、前記第1領域に設けられた前記第2画素の前記第2遮光部のずらし量とが異なる撮像素子。
【請求項3】
請求項1または2に記載の撮像素子において、
前記第1画素と前記第2画素とは、複数の前記領域のうち前記第1領域と第2領域とのそれぞれに設けられ、
前記第1領域に設けられた前記第1画素の前記第1遮光部のずらし量と、前記第2領域に設けられた前記第1画素の前記第1遮光部のずらし量とは異なる撮像素子。
【請求項4】
請求項3に記載の撮像素子において、
前記第1領域と前記第2領域とは、前記光学系の光軸からの距離が異なる撮像素子。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1遮光部は、前記光学系の第1瞳と異なる第2瞳を透過した光を遮光し、
前記第2遮光部は、前記光学系の第2瞳を透過した光を遮光する撮像素子。
【請求項6】
請求項1
から5のいずれか1項に記載の撮像素子において、
前記第1画素と前記第2画素とは、前記光学系の光軸からの距離が同じ位置に配置される撮像素子。
【請求項7】
請求項1から
6のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1領域に設けられる前記第1画素と前記第2画素とは、列方向に並んで設けられる撮像素子。
【請求項8】
請求項1から
7のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記光学系を透過した光を光電変換する光電変換部を有し、画像生成に用いられ、前記光電変換部で生成された電荷に基づく第3信号を出力
し、行方向および列方向に並ぶ複数の前記領域それぞれに設けられる複数の第3画素を備え、
前記第1領域に設けられる前記第1画素と前記第2画素と前記第3画素とは、列方向に並んで設けられる撮像素子。
【請求項9】
請求項
8に記載の撮像素子において、
前記第1領域に設けられる前記第3画素は、列方向において、
前記第1領域に設けられる前記第1画素と前記第2画素との間に配置される撮像素子。
【請求項10】
請求項
8または
9に記載の撮像素子において、
前記第1画素と前記第2画素とは、
複数の前記領域のうち、前記光学系の光軸から離れた領域に設けられる撮像素子。
【請求項11】
請求項1から
10のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1光電変換部の受光面積と前記第2光電変換部との受光面積とは異なる撮像素子。
【請求項12】
請求項1から
11のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記光学系の第2瞳を透過した光を光電変換して電荷を生成する第4光電変換部と前記第4光電変換部に入射する光を遮光する前記第1遮光部とを有し、前記光学系の焦点検出に用いられ、前記第4光電変換部で生成された電荷に基づく第4信号を出力する第4画素と、
前記光学系の第2瞳を透過した光を光電変換して電荷を生成する第5光電変換部と前記第5光電変換部に入射する光を遮光する前記第2遮光部とを有し、前記光学系の焦点検出に用いられ、前記第5光電変換部で生成された電荷に基づく第5信号を出力する第5画素と、を備える撮像素子。
【請求項13】
請求項
12に記載の撮像素子において、
前記第1画素と前記第4画素とは、行方向に並んで設けられ、
前記第2画素と前記第5画素とは、行方向に並んで設けられる撮像素子。
【請求項14】
請求項
12または
13に記載の撮像素子と、
前記第1信号と前記第4信号に基づいてデフォーカス量、または前記第2信号と前記第5信号に基づいてデフォーカス量を算出する算出部と、
を備える撮像装置。
【請求項15】
請求項1から11のいずれか一項に記載の撮像素子と、
前記第1信号または前記第2信号に基づいてデフォーカス量を算出する算出部と、
を備える撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子、及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2つの光電変換部を設けた画素が画素領域に配置され、瞳分割位相差方式の焦点検出を行う技術が知られている(特許文献1参照)。このような技術では、画素領域の周辺部の画素の信号では焦点検出が困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
本発明の第1の態様による撮像素子は、光学系の第1瞳を透過した光を光電変換して電荷を生成する第1光電変換部と前記第1光電変換部に入射する光を遮光する第1遮光部とを有し、前記光学系の焦点検出に用いられ、前記第1光電変換部で生成された電荷に基づく第1信号を出力し、行方向および列方向に並ぶ複数の領域それぞれに設けられる複数の第1画素と、前記光学系の第1瞳を透過した光を光電変換して電荷を生成する第2光電変換部と前記第2光電変換部に入射する光を遮光する第2遮光部とを有し、前記光学系の焦点検出に用いられ、前記第2光電変換部で生成された電荷に基づく第2信号を出力し、行方向および列方向に並ぶ複数の前記領域それぞれに設けられる複数の第2画素と、を備え、複数の前記領域のうちの第1領域に設けられた前記第1画素の前記第1遮光部のずらし量と、前記第1領域に設けられた前記第2画素の前記第2遮光部のずらし量とが異なる撮像素子。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】一実施形態によるデジタルカメラの要部構成を示す横断面図である。
【
図3】
図3(a)~
図3(c)は、画素を拡大した断面図である。
【
図7】
図7(a)は専用画素を説明する図、
図7(b)は専用画素を詳しく表した拡大図である。
【
図9】
図9(a)は専用画素を説明する図、
図9(b)は専用画素を詳しく表した拡大図である。
【
図11】瞳分割位相差方式による焦点検出光束を説明するための撮像素子の断面図である。
【
図12】瞳分割位相差方式による焦点検出光束を説明するための撮像素子の断面図である。
【
図15】変形例2における画素の配列の一部を拡大した図である。
【
図16】大デフォーカス用専用画素を表した拡大図である。
【
図18】専用画素を離散的に配置した第1例を説明する図である。
【
図19】専用画素を離散的に配置した第2例を説明する図である。
【
図20】専用画素を離散的に配置した第3例を説明する図である。
【
図21】変形例6における専用画素を例示する図である。
【
図22】変形例6における専用画素を例示する図である。
【
図23】
図23(a)はスマートフォンの正面を例示する図、
図23(b)はスマートフォンの背面を例示する図である。
【
図24】眼鏡型ウェアラブル機器の外観を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
一実施の形態による固体撮像素子は、1つのマイクロレンズに対して複数の光電変換部を有する画素が、固体撮像素子で画像を生成する光電変換領域の全域にわたって配置される。上記光電変換領域の中央部においては、画素ごとに読み出された一対の光電変換信号が、瞳分割位相差方式の焦点検出に用いられる。
【0007】
上記光電変換領域の中央部では、光電変換部に対してほぼ垂直に光が入射するのに対し、上記光電変換領域の中央部より外側に位置する周辺部(中央部よりも像高が大きい)では、光電変換部に対して斜めに光が入射される。このため、光電変換領域の周辺部には、あらかじめ、斜めに光が入射される場合に適した複数の専用画素を設けておく。これにより、上記光電変換領域の周辺部においても、瞳分割位相差方式の焦点検出を適切に行うことが可能になる。
以下、図面を参照して詳細に説明する。
【0008】
<デジタルカメラの要部構成>
本実施形態による固体撮像素子を搭載する電子機器として、レンズ交換式のデジタルカメラを例にあげて説明する。
図1は、デジタルカメラ201の要部構成を示す横断面図である。デジタルカメラ201は、撮像レンズ202とカメラボディ203とで構成される。撮像レンズ202は、マウント部204を介してカメラボディ203に装着される。
なお、レンズ交換式でなく、撮像レンズ202とカメラボディ203とを一体に構成したレンズ一体型のデジタルカメラ201としてもよい。
【0009】
撮像レンズ202は、レンズ209と、ズーミングレンズ208と、フォーカシングレンズ210と、絞り211と、レンズ制御装置206とを有する。撮像レンズ202は、被写体像をカメラボディ203側の撮像素子212に結像させる。絞り211は、光軸Axを中心に開口径を変化させることにより、撮像レンズ202を通過する被写体光束を制限する。
【0010】
レンズ制御装置206は、不図示のマイクロコンピュータ、メモリ、駆動制御回路などから構成される。レンズ制御装置206は、焦点調節時にフォーカシングレンズ210を光軸Ax方向に進退移動させるためのレンズ駆動を制御する他、絞り調節時には絞り211の開口径を変更するための絞り駆動を制御する。また、レンズ制御装置206は、ズーミングレンズ208およびフォーカシングレンズ210の位置検出や、絞り211の開口径の検出なども行う。
【0011】
レンズ制御装置206はさらに、後述するボディ制御装置214と通信を行う。この通信では、撮像レンズ202からカメラボディ203へレンズ情報(レンズ位置や絞り211の開口径など)が送信され、カメラボディ203から撮像レンズ202へカメラ情報(デフォーカス量や絞り値など)が送信される。
【0012】
カメラボディ203は、撮像素子212と、ボディ制御装置214と、液晶表示素子駆動回路215と、液晶表示素子216と、接眼レンズ217とを有し、メモリカード219が着脱可能に構成されている。撮像素子212は、光電変換部を有する画素が二次元状に配列された固体撮像素子である。撮像素子212の詳細については後述する。
【0013】
ボディ制御装置214は、不図示のマイクロコンピュータ、メモリ、駆動制御回路などから構成される。ボディ制御装置214は、撮像素子212の露光制御と、撮像素子212によって光電変換された信号の読み出しと、撮像素子212から読み出された信号に基づく焦点検出演算と、焦点検出演算結果を用いた撮像レンズ202の焦点調節と、撮像素子212から読み出された信号に対する画像処理と、画像処理後の画像データの記録など、デジタルカメラ201の動作全般を制御する。また、ボディ制御装置214は、電気接点213を介して撮像レンズ202内のレンズ制御装置206と通信を行う。通信内容は、上述したレンズ情報とカメラ情報である。
【0014】
液晶表示素子216は、EVF(Electronic View Finder)として機能する。液晶表示素子駆動回路215は、撮像素子212から読み出された信号に基づき、ライブビュー画像を液晶表示素子216に表示させる。ライブビュー画像は、記録用の撮像に先だって所定のフレームレート(例えば、30fps)で繰り返し撮像するモニタ用画像である。撮影者は、接眼レンズ217を介して液晶表示素子216に表示されたライブビュー画像を観察する。
【0015】
メモリカード219は、画像データ等を保存する記録媒体である。メモリカード219に対する画像データの記録、およびメモリカード219に記録されている画像データの読み出しは、ボディ制御装置214が行う。
【0016】
上記デジタルカメラ201において、撮像レンズ202を通過した光束により、撮像素子212の受光面上に被写体像が形成される。被写体像は、撮像素子212によって光電変換(撮像)される。撮像素子212からは、画像の信号と、焦点検出の信号とが読み出され、ボディ制御装置214へ送られる。
【0017】
ボディ制御装置214は、撮像素子212から読み出された焦点検出の信号に基づいて一対の信号間での像ズレ量を検出し、検出した像ズレ量に基づいてデフォーカス量を算出する。ボディ制御装置214は、デフォーカス量が許容値を超えている場合に合焦していないと判断し、撮像レンズ202のレンズ制御装置206へデフォーカス量とレンズ駆動指示とを送る。レンズ制御装置206が、フォーカシングレンズ210をデフォーカス量分駆動することにより、自動焦点(AF)調節が行われる。
【0018】
<撮像素子の説明>
図2は、撮像素子212を説明する平面図である。
図3(a)は、画素300を拡大した断面図である。
図2の撮像素子212には、画像を生成する領域212a内に画素300が二次元状に配列される。
図3(a)の画素300はそれぞれ、1つのマイクロレンズ10に対して2つの光電変換部S1、S2を有する。光電変換部S1とS2の受光面積は、略等しく構成されている。本実施形態では、1画素につき2つの光電変換部S1およびS2を水平方向に並べた画素300が、
図2の領域212aの全域にわたって配置される例を説明する。
【0019】
各画素300の光電変換部S1、S2は、周辺回路からの駆動信号にしたがってそれぞれ光電変換を行い、光電変換された信号を出力する。
図4は、画素300および周辺回路の回路図である。光電変換部S1およびS2は、それぞれフォトダイオードによって構成される。
【0020】
画素300の光電変換部S1およびS2は、それぞれが入射光に応じた電荷を生成する。光電変換部S1によって生成された電荷は、転送トランジスタTxn1を介して垂直信号線251側に位置するFD(フローティング拡散)領域へ転送される。FD領域は電荷を受け取り、その電荷を電圧に変換する。FD領域の電位に応じた信号は、増幅トランジスタAMPによって増幅される。そして、「行」選択トランジスタSELによって選択された「行」の信号として、垂直信号線251を介して読み出される。リセットトランジスタRESは、FD領域の電位をリセットするリセット部として動作する。
【0021】
一方、光電変換部S2によって生成された電荷は、転送トランジスタTxn2を介して垂直信号線252側に位置するFD(フローティング拡散)領域へ転送される。FD領域は電荷を受け取り、その電荷を電圧に変換する。FD領域の電位に応じた信号は、増幅トランジスタAMPによって増幅される。そして、「行」選択トランジスタSELによって選択された「行」の信号として、垂直信号線252を介して読み出される。リセットトランジスタRESは、FD領域の電位をリセットするリセット部として動作する。周辺回路は、ボディ制御装置214からの指示により、所定のタイミングで上記駆動信号を出力する。
【0022】
なお、光電変換部S1による信号が垂直信号線251を介して読み出され、光電変換部S2による信号が垂直信号線252を介して読み出される場合を例示したが、光電変換部S1と光電変換部S2との間で共通のFD領域を用いることにより、光電変換部S1による信号と、光電変換部S2による信号とを1本の垂直信号線を介して読み出すように構成してもよい。
【0023】
図3(a)に戻り、光電変換部S1とS2との間には、分離遮光部材20aが設けられる。分離遮光部材20aを設けることにより、光電変換部S1と光電変換部S2との間に入射される光を遮る。光電変換部S1と光電変換部S2との間に光が入射された場合、入射光が光電変換部S1およびS2へ漏洩してしまい、光電変換部S1と光電変換部S2との間で信号の分離度が低下する。しかしながら、分離遮光部材20aを設けることによって光電変換部S1と光電変換部S2との間に入射される光を遮ることで、光電変換部S1と光電変換部S2との間の信号の分離度の低下を避けることができる。
【0024】
なお、
図3(a)に例示した三角形の断面形状を有する分離遮光部材20aに代えて、
図3(b)に例示する台形の断面形状を有する分離遮光部材20b、または、
図3(c)に例示する釣り鐘形の断面形状を有する分離遮光部材20cを設けてもよい。いずれの分離遮光部材も、光電変換部S1や光電変換部S2へ斜め方向から直接入射する光を妨げないように、分離遮光部材の断面形状の下側の幅よりも上側の幅が狭くなるように構成されている。
【0025】
図5は、領域212aに設けられた画素300の配列の一部を拡大した図である。
図6は、
図5の各画素300の位置に対応して設けられた色フィルタ310を例示する図である。色フィルタは赤(R)、緑(G)、青(B)の3種類がベイヤー配列されており、それぞれの色に対応する分光特性を有する。
【0026】
図6の色フィルタ310が設けられた
図5の画素300から読み出された信号は、画像の信号としての使用と、焦点検出の信号としての使用が可能である。ボディ制御装置214は、画像の信号として使用する場合と、焦点検出の信号として使用する場合とを切替える。
【0027】
ボディ制御装置214は、ライブビュー画像を取得する場合や記録用画像を取得する場合には、画素300から読み出された信号を画像の信号として用いる。画素300から読み出された信号を画像の信号として用いる場合、ボディ制御装置214は、各画素300における2つの光電変換部S1およびS2からの信号が加算された信号を、その画素位置における画像の信号とする。
【0028】
ボディ制御装置214は、焦点調節時には、設定されたフォーカスエリアに対応する画素300から読み出された信号を焦点検出の信号として用いる。フォーカスエリアは、瞳分割位相差方式の焦点検出用の位相差情報を取得するエリアであり、焦点検出エリア、測距点、オートフォーカス(AF)ポイントとも称される。ボディ制御装置214は、例えば、
図2の領域212aのうち中央部400(斜線で示す)にあらかじめ設けられた15個のフォーカスエリア101のうち、設定されたフォーカスエリアに対応する画素300から焦点検出の信号を読み出す。
【0029】
<専用画素>
図2の領域212aのうち中央部400より外側の周辺部500には、上述した専用画素が設けられる。専用画素は、瞳分割位相差方式の焦点検出用の位相差情報を取得する。像高Hは、領域212aの中心から外側に向かって大きくなるので、中央部400よりも像高Hが大きい周辺部500に専用画素を設けている。
図2の例では、領域212aのうち、例えば、水平方向および垂直方向において領域212aの各辺の長さの4/5で囲まれる領域を中央部400とする。そして、領域212aのうち中央部400に含まれない領域を周辺部500とする。
【0030】
上記4/5は一例であり、2/3であってもよい。すなわち、水平方向および垂直方向において領域212aの各辺の長さの2/3で囲まれる領域を中央部400とし、領域212aのうち中央部400に含まれない領域を周辺部500としてもよい。
なお、領域212aの各辺の長さに基づいて中央部400と周辺部500の境界を定義する代わりに、領域212aにおける外縁の画素位置からの画素数に基づいて中央部400と周辺部500の境界を定義してもよい。例えば、領域212aにおける外縁の画素位置から100画素までを周辺部500とし、この周辺部500の内側を中央部400とする。
【0031】
専用画素は、
図7(a)に例示するような遮光部材Bが設けられた画素410であり、焦点検出の信号のみを出力し、画像の信号を出力しない。
図7(a)は、
図2のフォーカスエリア102に対応する専用画素410を説明する図である。本実施形態では、周辺部500において焦点検出を行うためにあらかじめ設けられた4つのフォーカスエリア102~105に対応する位置に、専用画素410または後述する専用画素420が設けられる。ボディ制御装置214は、周辺部500において焦点検出を行う場合、フォーカスエリア102~105のうち、設定されたフォーカスエリアに対応する専用画素410(420)から読み出された信号を焦点検出の信号として用いる。
【0032】
(1)専用画素を水平方向に並べる例
図7(a)において、専用画素410の並ぶ方向は水平方向であり、2つの光電変換部S1、S2の並ぶ方向と同じである。専用画素410は、
図6に例示した色フィルタ310の緑(G)、青(B)が交互に現れるGB水平ラインに配置される。専用画素410の位置には、緑(G)、青(B)の色フィルタに代えて、遮光部材Bが設けられる。
【0033】
遮光部材Bは、近接する専用画素410の間を跨ぐように設けられる。専用画素410のうち遮光部材Bが設けられない領域には、不図示の白色フィルタが設けられる。白色フィルタは、例えば、緑(G)、青(B)、赤(R)の各色に対応する分光特性を兼ね備えており、全ての可視光を透過する。
【0034】
図7(b)は、専用画素410をさらに詳しく表した拡大図である。上述したように、専用画素410を構成する画素は、専用画素410の上下に隣接する画素300と同様に、それぞれ2つの光電変換部S1およびS2を有する。
【0035】
遮光部材Bは、専用画素410の光電変換部S1、S2の一部または全部を覆うことにより、光電変換部S1、S2へ入射する光束を遮る。遮光部材Bは、遮蔽板(膜)によって構成しても、黒色フィルタによって構成しても、反射板(膜)によって構成してもよいが、本明細書においては遮光部材と呼ぶ。
【0036】
遮光部材Bを設けたことにより、遮光部材Bを挟んで左右両側に位置する専用画素410に分割される光束の比率が異なる。
図7(b)の例では、遮光部材Bの右側(撮像素子212の中心から遠い方)に位置する専用画素410に分配する光束の比率を、遮光部材Bの左側(撮像素子212の中心に近い方)に位置する専用画素410に分配する光束の比率より小さくする。これにより、領域212aの周辺部500のフォーカスエリア102に対応する位置において、後述する焦点検出を適切に行うことが可能になる。
【0037】
図2のフォーカスエリア103に対応する専用画素410は、上述したフォーカスエリア102に対応する専用画素410の場合と同様である。ただし、専用画素410の光電変換部S1、S2と、遮光部材Bとの間の位置関係が左右反対になる。
【0038】
図8は、フォーカスエリア103に対応する専用画素410を詳しく表した拡大図である。
図8において、遮光部材Bの左側(撮像素子212の中心から遠い方)に位置する専用画素410に分配する光束の比率を、遮光部材Bの右側(撮像素子212の中心に近い方)に位置する専用画素410に分配する光束の比率より小さくする。これにより、領域212aの周辺部500のフォーカスエリア103に対応する位置において、後述する焦点検出を適切に行うことが可能になる。
【0039】
(2)専用画素を垂直方向に並べる例
図9(a)は、
図2のフォーカスエリア104に対応する専用画素420を説明する図である。
図9(a)において、専用画素420の並ぶ方向は垂直方向であり、2つの光電変換部S1、S2の並ぶ方向と90度異なる。専用画素420は、
図6に例示した色フィルタ310の緑(G)、青(B)が交互に現れるGB垂直ラインに配置される。専用画素420の位置には、緑(G)、青(B)の色フィルタに代えて、遮光部材Bが設けられる。
【0040】
遮光部材Bは、近接する専用画素420の間を跨ぐように設けられる。専用画素420のうち遮光部材Bが設けられない領域には、不図示の白色フィルタが設けられる。上述したように、白色フィルタは全ての可視光を透過する。
【0041】
図9(b)は、専用画素420をさらに詳しく表した拡大図である。上述したように、専用画素420を構成する画素は、専用画素420の左右に隣接する画素300と同様に、それぞれ2つの光電変換部S1およびS2を有する。
【0042】
遮光部材Bは、専用画素420の光電変換部S1、S2の一部または全部を覆うことにより、光電変換部S1、S2へ入射する光束を遮る。遮光部材Bを設けたことにより、遮光部材Bを挟んで上下両側に位置する専用画素420に分割される光束の比率が異なる。
図9(b)の例では、遮光部材Bの下側(撮像素子212の中心から遠い方)に位置する専用画素420に分配する光束の比率を、遮光部材Bの上側(撮像素子212の中心に近い方)に位置する専用画素420に分配する光束の比率より小さくする。これにより、領域212aの周辺部500のフォーカスエリア104に対応する位置において、後述する焦点検出を適切に行うことが可能になる。
【0043】
図2のフォーカスエリア105に対応する専用画素420は、上述したフォーカスエリア104に対応する専用画素410の場合と同様である。ただし、専用画素420の光電変換部S1、S2と、遮光部材Bとの間の位置関係が上下反対になる。
【0044】
図10は、フォーカスエリア105に対応する専用画素420を詳しく表した拡大図である。
図10において、遮光部材Bの上側(撮像素子212の中心から遠い方)に位置する専用画素420に分配する光束の比率を、遮光部材Bの下側(撮像素子212の中心に近い方)に位置する専用画素420に分配する光束の比率より小さくする。これにより、領域212aの周辺部500のフォーカスエリア105に対応する位置において、後述する焦点検出を適切に行うことが可能になる。
【0045】
<位相差AF(オートフォーカス)動作について>
(1)画素300による信号を焦点検出の信号として用いる場合
ボディ制御装置214は、
図2の中央部400における15個のフォーカスエリア101の中から設定されたフォーカスエリアに対応する画素300から読み出された信号を焦点検出の信号として用いる。なお、撮像素子212は、領域212aの中においていずれの位置でもフォーカスエリアを設定可能であるが、本実施形態では、15個のフォーカスエリア101の中から設定したフォーカスエリアに対応する画素300から読み出された信号を、焦点検出の信号として用いる。
【0046】
ボディ制御装置214は、フォーカスエリアに対応する画素300における2つの光電変換部S1およびS2から読み出し信号を、その画素位置における焦点検出の信号とする。ボディ制御装置214は、焦点検出の信号を用いて、以下のようにデフォーカス量を算出する。
【0047】
図11は、
図2に例示したフォーカスエリア101を設定する場合の、瞳分割位相差方式による焦点検出光束を説明するための撮像素子212の断面図である。
図11において、画素300のうち画素300a~300eが例示される。画素300a~画素300eはそれぞれ、マイクロレンズ10a~10eと、光電変換部S1a、S2a、S1b、S2b、S1c、S2c、S1d、S2d、S1e、S2eとを有する。
【0048】
光電変換部S1a、S1b、S1c、S1d、S1eの平面形状は、マイクロレンズ10a~10eから測距瞳距離dだけ離間した測距瞳面90上において光電変換部S1a、S1b、S1c、S1d、S1eの全てに共通する領域91に投影される。
【0049】
また、光電変換部S2a、S2b、S2c、S2d、S2eの平面形状は、マイクロレンズ10a~10eから測距瞳距離dだけ離間した測距瞳面90上において光電変換部S2a、S2b、S2c、S2d、S2eの全てに共通する領域92に投影される。
【0050】
上記平面形状がそれぞれ投影された測距瞳面90上の一対の領域91、92を、測距瞳と呼ぶ。説明を容易にするために、測距瞳面90は、撮像レンズ202の光学系の射出瞳面と実質的に同じ位置にあるものとする。すなわち、マイクロレンズ10a~10eから測距瞳面90までの測距瞳距離dが、マイクロレンズ10a~10eから撮像レンズ202の光学系の射出瞳面までの射出瞳距離と実質的に等しいとみなす。
【0051】
画素300a~画素300eのうちの画素300cおよび300dを例にあげて説明すると、画素300cは、光電変換部S1cにより、測距瞳91とマイクロレンズ10cとを通過する焦点検出光束81を受光するとともに、光電変換部S2cにより、測距瞳92とマイクロレンズ10cとを通過する焦点検出光束82を受光する。
【0052】
また、画素300dは、光電変換部S1dにより、測距瞳91とマイクロレンズ10dとを通過する焦点検出光束71を受光するとともに、光電変換部S2dにより、測距瞳92とマイクロレンズ10dとを通過する焦点検出光束72を受光する。
【0053】
図11における画素300cおよび300d以外の画素300a、300b、300eにおいても同様である。これにより、複数の画素300における光電変換部S1が、それぞれ測距瞳91に対応する焦点検出光束によって形成される像の強度に対応した信号を出力する。また、複数の画素300における光電変換部S2が、それぞれ測距瞳92に対応する焦点検出光束によって形成される像の強度に対応した信号を出力する。
【0054】
ボディ制御装置214は、複数の画素300の光電変換部S1からそれぞれ出力された信号の列のグループと、上記複数の画素300の光電変換部S2からそれぞれ出力された信号の列のグループとにまとめることによって、測距瞳91と測距瞳92とをそれぞれ通過する一対の焦点検出光束が形成する一対の像の強度分布を示す情報を得る。
【0055】
ボディ制御装置214は、上記一対の像の強度分布に対して像ズレ検出演算処理(相関演算処理、位相差検出処理)を施すことによって、一対の像の像ズレ量を算出する。ボディ制御装置214はさらに、像ズレ量に所定の変換係数を乗算することによって、撮像レンズ202の焦点調節状態を表すデフォーカス量を算出する。このような瞳分割位相差方式によるデフォーカス量演算は公知であるので詳細な説明は省略する。
【0056】
(2)周辺部500の専用画素410による信号を焦点検出の信号として用いる場合
次に、
図2の周辺部500に配列されている専用画素410(
図7(a))、420(
図9(a))によって光電変換された信号を焦点検出の信号として用いる場合を説明する。
【0057】
ボディ制御装置214は、
図2の周辺部500における4個のフォーカスエリア102~105のうち、設定されたフォーカスエリアに対応する専用画素410または420から読み出された信号を焦点検出の信号として用いる。ボディ制御装置214は、焦点検出の信号を用いて、以下のようにデフォーカス量を算出する。
【0058】
図12は、
図2の周辺部500においてフォーカスエリア102を設定する場合の、瞳分割位相差方式による焦点検出光束を説明するための撮像素子212の断面図である。
図12において、専用画素410のうち画素410g~410kが例示される。画素410g~画素410kはそれぞれ、マイクロレンズ10g~10kと、光電変換部S1g、S2g、S1h、S2h、S1i、S2i、S1j、S2j、S1k、S2kとを有する。
【0059】
遮光部材Bで覆われていない光電変換部S1hおよびS2hの平面形状と、遮光部材Bで覆われていない光電変換部S1jおよびS2jの平面形状とが、マイクロレンズ測距瞳面10g~10kから測距瞳距離dだけ離間した測距瞳面90上において領域91に投影される。
【0060】
また、遮光部材Bで覆われていない光電変換部S1iおよびS2iの平面形状と、遮光部材Bで覆われていない光電変換部S1kおよびS2kの平面形状とが、マイクロレンズ10g~10kから測距瞳距離dだけ離間した測距瞳面90上において領域92に投影される。
【0061】
図11の場合と同様に、上記平面形状がそれぞれ投影された測距瞳面90上の一対の領域91、92を、測距瞳と呼ぶ。また、説明を容易にするために、マイクロレンズ10g~10kから測距瞳面90までの測距瞳距離dが、マイクロレンズ10g~10kから撮像レンズ202の光学系の射出瞳面までの射出瞳距離と実質的に等しいとみなす。
【0062】
画素410g~画素410kのうち画素410h~410iを例にあげて説明すると、画素410hは、光電変換部S1hおよびS2hにより、測距瞳91とマイクロレンズ10hとを通過する焦点検出光束181を受光する。また、画素410iは、光電変換部S2iにより、測距瞳92とマイクロレンズ10iとを通過する焦点検出光束182を受光する。
【0063】
図12における画素410hおよび410i以外の画素410j、410kにおいても同様である。これにより、専用画素410を構成する画素410h、410jにおいて、それぞれの光電変換部S1、S2が出力する信号の和が、測距瞳面90において水平方向に分割された測距瞳91に対応する焦点検出光束によって形成される像の強度に対応する。また、専用画素410を構成する画素410i、410kにおいて、それぞれの光電変換部S1、S2が出力する信号の和が、測距瞳面90において水平方向に分割された測距瞳92に対応する焦点検出光束によって形成される像の強度に対応する。
【0064】
ボディ制御装置214は、専用画素410を構成する画素410h、410jによって得られた信号の和で表される信号の列のグループと、専用画素410を構成する画素410i、410kによって得られた信号の和で表される信号の列のグループとにまとめることによって、測距瞳91と測距瞳92とをそれぞれ通過する一対の焦点検出光束が形成する一対の像の強度分布を示す情報を得る。
【0065】
上記一対の像の強度分布に基づいて撮像レンズ202の焦点調節状態を表すデフォーカス量を算出する手法は、上記(1)で説明した画素300による信号を焦点検出の信号として用いる場合と同様である。
【0066】
図12を参照して説明したように、
図2の周辺部500においてフォーカスエリア102を設定する場合には、
図7(a)および
図7(b)に例示した水平方向に並ぶ専用画素410を使用することで、
図2の領域212aの周辺部500において、水平方向に分割した測距瞳91、92に基づく位相差AFを行うことができる。同様に、
図2の周辺部500においてフォーカスエリア103を設定する場合には、
図8に例示した水平方向に並ぶ専用画素410を使用することで、
図2の領域212aの周辺部500において、水平方向に分割した測距瞳91、92に基づく位相差AFを行うことができる。
【0067】
また、図示を省略するが、
図2の周辺部500においてフォーカスエリアを領域104に設定する場合には、
図9(a)および
図9(b)に例示した垂直方向に並ぶ専用画素420を使用することで、
図2の領域212aの周辺部500において、垂直方向に分割した測距瞳に基づく位相差AFを行うことができる。同様に、
図2の周辺部500においてフォーカスエリア105を設定する場合には、
図10に例示した垂直方向に並ぶ専用画素420を使用することで、
図2の領域212aの周辺部500において、垂直方向に分割した測距瞳91、92に基づく位相差AFを行うことができる。
【0068】
<記録用画像の取得について>
上述したように、ライブビュー画像を取得する場合や記録用画像を取得する場合には、画素300から出力される信号が画像の信号として用いられる。上述した専用画素410、420は、専ら焦点検出の信号を出力するので、専用画素410、420の位置において画像の信号が不足する。そこで、ボディ制御装置214は、専用画素410、420を構成する画素位置ごとに、専用画素410、420でない周囲の画素300における2つの光電変換部S1およびS2からの読み出し信号を用いて画像の信号をそれぞれ算出する補間処理を行う。このような補間処理は公知であるので、補間処理についての詳しい説明は省略する。
【0069】
なお、本実施形態においては、専用画素410、420における光電変換部S1、S2のサイズを、通常の画素300の光電変換部S1、S2のサイズと共通にしている。このため、光電変換部S1、S2における静電容量が通常の画素300と専用画素410(420)との間で同等となることから、専用画素410(420)と、通常の画素300との間で光電変換部S1およびS2の読み出し信号レベルを補正する処理の負担を軽減できる。
【0070】
上述した実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)撮像素子212は、撮像レンズ202からの光が入射される領域212aに二次元状に配置され、光電変換部S1、S2が撮像レンズ202の焦点検出の信号を生成する通常の画素300と、領域212aの中央より像高Hが大きな一部の周辺部500に配置され、光電変換部S1、S2が撮像レンズ202の焦点検出の信号を生成する通常の画素300とは異なる専用画素410(420)とを備える。これにより、像高Hが大きな領域212aの周辺部500においても、焦点検出を適切に行い得る。
【0071】
(2)撮像素子212は、撮像レンズ202からの光が入射される領域212aに二次元状に配置され、複数の光電変換部S1、S2がそれぞれ光電変換を行う通常の画素300と、領域212aの周辺部500に配置され、光電変換部S1、S2が撮像レンズ202の焦点調節状態の検出用の光電変換を行う専用画素410(420)とを備える。これにより、領域212aの外縁寄りである周辺部500においても、焦点検出を適切に行い得る。
【0072】
(3)通常の画素300は、撮像レンズ202の瞳の複数の異なる領域を通過した光束を複数の光電変換部S1、S2によってそれぞれ光電変換する。これにより、通常の画素300から出力された複数の光電変換信号を、焦点調節状態を示す焦点検出の信号として用いることができる。
なお、通常の画素300は、2つの光電変換部S1、S2による光電変換信号を個々に出力する場合と、2つの光電変換部S1、S2による光電変換信号を加算して出力する場合とを切り替え可能に構成してもよい。
【0073】
(4)通常の画素300および専用画素410(420)は、それぞれ2つの光電変換部S1、S2によって光電変換を行う。つまり、領域212aの全域には、それぞれ2つの光電変換部S1、S2を有する画素が配される。この結果、撮像素子212の設計時において、全域にわたって共通の素子パターンを用いることができるから、異なる素子パターンを用いる場合に比べて設計が容易になる。
【0074】
(5)周辺部500は、領域212aの外縁から100画素の領域、または領域212aの外縁から所定の範囲の領域(すなわち中央部400に含まれない領域)である。これにより、通常の画素300から出力された光電変換信号を用いると焦点検出が困難な周辺部500において、専用画素410(420)から出力された光電変換信号を用いて焦点検出を適切に行い得る。
【0075】
(6)画素300は、光電変換部S1と光電変換部S2とにより、撮像レンズ202の瞳の第1の領域と第2の領域とをそれぞれ通過した第1の光束と第2の光束とをそれぞれ光電変換する。これにより、画素300から出力された2つの光電変換信号から、瞳分割位相差方式の焦点検出用の位相差情報を得ることができる。
【0076】
(7)専用画素410(420)は、対となる2つの画素のうちの一方の画素における光電変換部S1と光電変換部S2とにより、撮像レンズ202の瞳の第1の領域を通過した第1の光束を光電変換し、対となる2つの画素のうちの他方の画素における光電変換部S1と光電変換部S2とにより、撮像レンズ202の瞳の第2の領域を通過した第2の光束を光電変換する。これにより、専用画素410(420)において対となる2つの画素のうち一方の画素から出力された2つの光電変換信号を加算した信号と、専用画素410(420)において対となる2つの画素のうち他方の画素から出力された2つの光電変換信号を加算した信号とを用いて、瞳分割位相差方式の焦点検出用の位相差情報を得ることができる。
【0077】
(8)専用画素410(420)は、入射される光束を上記対となる2つの画素に分割する遮光部材Bを有する。つまり、遮光部材Bによって、専用画素410(420)において対となる2つの画素間で光束を適切に分割できる。
【0078】
(9)遮光部材Bは、入射される光束を、専用画素410における2つの光電変換部S1、S2の並び方向と同じ方向に分割するので、通常の画素300と専用画素410とで、同じ方向に瞳分割を行うことができる。
【0079】
(10)遮光部材Bは、入射される光束を、専用画素420における2つの光電変換部S1、S2の並び方向と交差する方向に分割するので、通常の画素300と専用画素420とで、異なる方向に瞳分割を行うことができる。
【0080】
(11)専用画素410において対となる2つの画素は、当該画素における2つの光電変換部S1、S2の並び方向と同じ方向に並ぶようにしたので、通常の画素300と専用画素410とで、同じ方向の位相差検出が可能となる。
【0081】
(12)専用画素420において対となる2つの画素は、当該画素における2つの光電変換部S1、S2の並び方向と交差する方向に並ぶようにしたので、通常の画素300と専用画素420とで、異なる方向の位相差検出が可能となる。
【0082】
(13)専用画素410(420)において対となる2つの画素における遮光部材Bの位置は、測距瞳距離dに基づいて決められているので、撮像レンズ202の測距瞳距離dに合わせて適切に瞳分割を行うことができる。
【0083】
(14)通常の画素300における2つの光電変換部S1、S2の間に、入射光を遮る分離遮光部材20aを備えるようにしたので、光電変換部S1と光電変換部S2との間の信号の分離度の低下を避けることができる。
【0084】
(15)専用画素410(420)は、通常の画素300の間に所定の割合で配置されるようにした。すなわち、周辺部500においてあらかじめ設けられた4つのフォーカスエリア102~105に対応する位置に専用画素410(420)を配置したので、画像の信号が不足する位置の数を少なく抑えることができる。
【0085】
(16)専用画素410(420)は、ベイヤー配列の色フィルタにおけるGBライン上に配置するようにしたので、GRライン上に並べる場合に比べて目立ちにくくすることができる。
【0086】
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
(変形例1)
<専用画素を斜め方向に並べる例>
上述した実施形態では、水平方向(2つの光電変換部S1、S2が並ぶ方向)に並べた専用画素410の例と、垂直方向(2つの光電変換部S1、S2が並ぶ方向に垂直な方向)に並べた専用画素420の例を説明した。上述した例に加えて、2つの光電変換部S1、S2が並ぶ方向と45度異なる方向に専用画素を並べるようにしてもよい。
【0087】
変形例1において、撮像素子212の領域212aの周辺部500には、上述した専用画素410、420の他に、専用画素430(
図13)があらかじめ配置される。
図13は、専用画素430を例示する図である。専用画素430には、近接する専用画素430との間を斜めに跨ぐ遮光部材B1、B2が設けられる。
【0088】
ボディ制御装置214は、例えば、
図2の周辺部500においてフォーカスエリア102~105を設定する場合、フォーカスエリア102~105の位置に対応する専用画素430を焦点検出画素とする。
図13の専用画素430は、例えばフォーカスエリア104に対応する。
【0089】
専用画素430において、遮光部材B1および遮光部材B2を設けたことにより、遮光部材B1の上側に位置する光電変換部S1およびS2と、遮光部材B2の下側に位置する光電変換部S1およびS2とに分割される光束の比率が異なる。
なお、専用画素430を構成する画素は、専用画素430の左右に隣接する通常の画素300と同様に、それぞれ2つの光電変換部S1およびS2を有する。
【0090】
図13の例では、遮光部材B1の上側(撮像素子212の中心から遠い方)に位置する専用画素430に分配する光束の比率を、遮光部材B2の下側(撮像素子212の中心に近い方)に位置する専用画素430に分配する光束の比率より小さくする。これにより、領域212aの周辺部500のフォーカスエリア104に対応する位置において、後述する焦点検出を行うことが可能になる。
【0091】
変形例1では、遮光部材B1の上側に位置する専用画素430の光電変換部S1、S2が出力する画素信号の和が、不図示の測距瞳面において斜め方向に分割された下側の測距瞳に対応する焦点検出光束によって形成される像の強度に対応する。また、遮光部材B2の下側に位置する専用画素430の光電変換部S1、S2が出力する画素信号の和が、不図示の測距瞳面において斜め方向に分割された上側の測距瞳に対応する焦点検出光束によって形成される像の強度に対応する。
【0092】
以上説明した変形例1によれば、以下の作用効果を奏する。すなわち、ボディ制御装置214は、周辺部500にフォーカスエリア104を設定する場合において、
図13に例示した斜め方向に並ぶ専用画素430を使用することで、
図2の領域212aの周辺部500において、斜め方向に分割した測距瞳に基づく位相差AFを行うことができる。
なお、
図13は右斜め45度の場合を例示しているが、左斜め45度の方向に専用画素を並べてもよい。
【0093】
(変形例2)
<大デフォーカス用画素>
(1)中央部400の場合
図14(a)は、
図11における測距瞳面90、および分割された測距瞳91および92を抜粋した図である。
図14(a)において、測距瞳91および92の、瞳並び方向(本例では水平方向)の幅はW1である。一般に、この幅W1が大きいとデフォーカス時の像ボケ量が大きくなる。
【0094】
とくに、フォーカシングレンズ210が合焦位置から大きく外れる大デフォーカス時には、像ボケ量が大き過ぎて一対の像の像ズレ量の検出が困難な場合がある。変形例2では、このような場合に備えて撮像素子212に大デフォーカス用画素350(
図15)を備える。
図15は、変形例2における画素300の配列の一部を拡大した図である。
図15によれば、撮像素子212の領域212aにおいて、大デフォーカス用画素350が所定の間隔(例えば、100個の画素300に対して1つの大デフォーカス用画素350の割合)で配置される。
【0095】
大デフォーカス用画素350は、1つのマイクロレンズ(不図示)の後ろに2つの光電変換部S1B、S2Bを有する。水平方向に並ぶ2つの光電変換部S1B、S2Bの水平方向の幅が、それぞれ通常の画素300における2つの光電変換部S1、S2の水平方向の幅より狭い。変形例2においては、通常の画素300と同サイズの2つの光電変換部S1、S2の上にそれぞれ小開口を有する不図示の遮光部材を設けることによって、大デフォーカス用画素350が構成される。
【0096】
大デフォーカス用画素350の一対の光電変換部S1B、S2Bの平面形状を不図示のマイクロレンズにより測距瞳面90に投影すると、それぞれ
図14(b)の測距瞳91B、92Bに対応する。
図14(b)は、測距瞳面90および測距瞳91Bおよび92Bを説明する図である。大デフォーカス用画素350の一対の光電変換部S1B、S2Bによって、測距瞳91Bおよび92Bに分割される。
【0097】
図14(b)を
図14(a)と比べると、大デフォーカス用画素350の場合の測距瞳91Bと92Bの並び方向における片方の測距瞳(例えば92B)の幅W2は、通常の画素300の場合の測距瞳91と92の並び方向における片方の測距瞳(例えば92)の幅W1より小さい。
【0098】
(2)周辺部500の場合
周辺部500に設けられる専用画素410にも、大デフォーカス用画素450を配する。
図16は、
図7(b)に例示した専用画素410に配された大デフォーカス用専用画素450を表した拡大図である。通常の専用画素410に設けられる遮光部材Bの開口410dに比べて、大デフォーカス用専用画素450に設けられる遮光部材Bの開口450dは小さく構成される。
【0099】
大デフォーカス用専用画素450に設けられる遮光部材Bの開口450dの口径Dを、以下のように規定する。不図示のマイクロレンズと遮光部材Bとの間の距離をL、画素300と画素300との間隔(画素ピッチ)をP(=マイクロレンズの水平幅)、マイクロレンズと遮光部材Bとの間の屈折率をnとおく。マイクロレンズのF値は、F=L/(n×P)で表される。
【0100】
そして、大デフォーカス用専用画素450に設けられる遮光部材Bの開口450dの口径Dを、撮像レンズ202の絞り211の値(例えばF8)とそろえる場合には、口径Dの値をD=F×P/8とする。
なお、カメラボディ203との組み合わせが予定されている撮像レンズ202のF値が異なる場合(例えばF5.6)に備えて、口径Dの大きさが異なる開口450dbを有する大デフォーカス用専用画素450bを設けるようにしてもよい。例えば、撮像レンズ202の絞り211の値F5.6とそろえる場合には、開口450dbの口径Dbの値をDb=F×P/5.6とする。そして、口径Dの大デフォーカス用専用画素450と、口径Dbの大デフォーカス用専用画素450bとを備え、カメラボディ203と組み合わせられた撮像レンズ202のF値に応じて大デフォーカス用専用画素450または450bを使い分ける。
【0101】
以上説明した変形例2によれば、
図2の領域212aに、大デフォーカス状態用の瞳分割を行うための2つの光電変換部S1B、S2Bを有する画素350を含めるようにし、領域212aの周辺部500に、大デフォーカス用専用画素450を含めるようにした。これにより、合焦位置が大きく外れた場合でも、いわゆる前ピンなのか、後ピンなのかの切り分けが容易になる。すなわち、大デフォーカス用画素350の場合は、通常画素300の場合と比べてデフォーカス時の像ボケ量が少なくなる。また、大デフォーカス用専用画素450の場合は、通常の専用画素410の場合と比べてデフォーカス時の像ボケ量が少なくなる。
【0102】
なお、
図16において、大デフォーカス用専用画素450に設けられる遮光部材Bの開口450dの形状を四角形に例示したが、四角形に代えて円形状の開口にしてもよい。また、遮光部材Bの開口450dの形状を八角形に構成してもよい。
【0103】
(変形例3)
<専用画素において、遮光部材Bの位置が異なる画素列を設ける例>
上述した説明では、例えば
図7(b)に例示したように、遮光部材Bの右側(撮像素子212の中心から遠い方)に位置する専用画素410に分配する光束の比率を、遮光部材Bの左側(撮像素子212の中心に近い方)に位置する専用画素410に分配する光束の比率より小さくした。すなわち、遮光部材Bの位置を、対応する2つの画素410の位置に対して右側へずらして配置した。
【0104】
遮光部材Bのずらし量は、上述した測距瞳距離dに応じて決定される。この場合において、例えばズーミングレンズ208を移動させて焦点距離が変化する場合や、焦点距離が異なる撮像レンズ202に変更する場合には、撮像レンズ202の測距瞳距離dに応じて遮光部材Bのずらし量を変更したい場合が想定される。
【0105】
そこで、変形例3においては、カメラボディ203との組み合わせが予定される撮像レンズ202の測距瞳距離dに応じて、遮光部材Bのずらし量が異なる複数の専用画素410A~410Cを、撮像素子212にあらかじめ設けておく。
【0106】
図17は、複数の専用画素410A~410Cを説明する図である。
図17において、専用画素410A~410Cはそれぞれ、色フィルタ310の緑(G)、青(B)が交互に現れるGB水平ラインに配置される。
【0107】
専用画素410Bは、遮光部材Bの左側(撮像素子212の中心に近い方)に位置する画素410Bに分配する光束の比率を、遮光部材Bの右側(撮像素子212の中心から遠い方)に位置する画素410Bに分配する光束の比率より小さくする。すなわち、遮光部材Bの位置を、対応する2つの画素410Bの位置に対して左側へずらして配置する。
【0108】
専用画素410Aは、遮光部材Bの左右に位置する画素410Aに分配する光束の比率を、略同じにする。すなわち、遮光部材Bの位置を、対応する2つの画素410Aの位置の中央に配置する。
【0109】
専用画素410Cは、遮光部材Bの右側(撮像素子212の中心から遠い方)に位置する画素410Cに分配する光束の比率を、遮光部材Bの左側(撮像素子212の中心に近い方)に位置する画素410Cに分配する光束の比率より小さくする。すなわち、遮光部材Bの位置を、対応する2つの画素410Cの位置に対して右側へずらして配置する。
【0110】
ボディ制御装置214は、領域212aの周辺部500においてフォーカスエリア102または103を設定する場合に、周辺部500に配列されている専用画素410A~410Cの中から、撮像レンズ202の測距瞳距離dに対応する専用画素を選ぶ。
【0111】
以上説明した変形例3によれば、撮像レンズ202によって測距瞳距離dが異なる場合にも、領域212aの周辺部500のフォーカスエリア102、103に対応する位置において、瞳分割位相差方式の焦点検出を適切に行うことができる。
【0112】
(変形例4)
<専用画素を離散的に設ける例>
上記実施形態においては、
図7(a)、
図9(a)に例示したように、専用画素410を水平方向に連続させたり、専用画素420を垂直方向に連続させたりする例を説明した。しかしながら、専用画素410、420は、必ずしも連続させなくてもよい。
図18は、専用画素410を離散的に配置する第1例を説明する図である。
図18において、専用画素410は、色フィルタ310の緑(G)、青(B)が交互に現れるGB水平ラインに配置されるとともに、専用画素410が所定間隔(例えば4画素おき)で配置される。
【0113】
専用画素410を必ずしも同じ水平ラインに配置しなくてもよい。
図19は、専用画素410を離散的に配置する第2例を説明する図である。
図19において、専用画素410は異なるGB水平ラインに配置される。専用画素410を異なる水平ラインに配置する場合には、画像構造が斜め方向である場合に適した位相差AFを行うことができる。
【0114】
図20は、専用画素410Dを離散的に配置する第3例を説明する図である。
図20において、専用画素410Dはそれぞれ、遮光部材BaおよびBbが異なるGB水平ラインに配置される。すなわち、専用画素410Dを異なる水平ライン間に配置する。専用画素410Dを異なる水平ライン間に配置する場合には、画像構造が斜め方向である場合に適した位相差AFを行うことができる。
【0115】
変形例4によれば、周辺部500において、通常の画素300の配列中に、瞳分割を行う専用画素410(410D)を所定の間隔で配置する。一般に、遮光部材Bを設けた専用画素410(410D)の位置では、周囲に存在する通常の画素300により光電変換された画像の信号を用いて補間処理を行う。
【0116】
補間処理は、上述したように、専用画素410(410D)を構成する画素位置ごとに、周囲の通常の画素300における2つの光電変換部S1およびS2からの読み出し信号を用いて、画像の信号をそれぞれ算出する処理である。専用画素410(410D)を離散的に配置することで、専用画素410(410D)を連続して配置する場合に比べて、補間処理の負担を軽減できる。
【0117】
なお、変形例4においては、遮光部材Bを挟んで左右両側に位置する専用画素410(410D)に分割される光束の比率を異ならせる専用画素410を例に説明したが、遮光部材Bを挟んで上下両側に位置する専用画素420に分割させる光束の比率を異ならせる専用画素420についても同様である。
【0118】
(変形例5)
<光電変換部S1、S2が並ぶ方向>
上述した説明では、撮像素子212の領域212aの全域にわたり、通常の画素300および専用画素410(420)等における2つの光電変換部S1、S2を水平方向に並べる例を説明した。この代わりに、領域212aの全域にわたって通常の画素300および専用画素410(420)等における2つの光電変換部S1、S2を垂直方向に並べる構成にしてもよい。
また、2つの光電変換部S1、S2を水平方向に並べる画素300および専用画素410(420)等と、2つの光電変換部S1、S2を垂直方向に並べる画素300とを、領域212aにおいて混在させてもよい。
【0119】
(変形例6)
<専用画素における光電変換部の構成>
上記実施形態では、専用画素410(420)に2つの光電変換部S1、S2を配置する例を説明した。この代わりに、専用画素410(420)に対しては、1つの画素に1つの光電変換部S3を配置する構成にしてもよい。
【0120】
図21は、変形例6における専用画素410を例示する図である。上記実施形態を図示した
図7(b)と比べると、専用画素410には、2つの光電変換部S1およびS2に代えて、1つの光電変換部S3が設けられる点において相違する。光電変換部S3の受光面積は、2つの光電変換部S1およびS2の受光面積の和と略等しい。
【0121】
図21の遮光部材Bが、2つの画素410に対して1つの割合で設けられる点は
図7(b)の場合と共通である。遮光部材Bは、光電変換部S3の一部を覆うことにより、光電変換部S3へ入射する光束を遮る。これにより、遮光部材Bを挟んで左右両側に位置する専用画素410に分割される光束の比率が異なる。
【0122】
専用画素420に対しても、1つの画素に1つの光電変換部S3を配置する構成にしてもよい。
図22は、変形例6における専用画素420を例示する図である。上記実施形態を図示した
図9(b)と比べると、専用画素420には、2つの光電変換部S1およびS2に代えて、1つの光電変換部S3が設けられる点において相違する。光電変換部S3の受光面積は、2つの光電変換部S1およびS2の受光面積の和と略等しい。
【0123】
図22の遮光部材Bが、2つの画素420に対して1つの割合で設けられる点は
図9(b)の場合と共通である。遮光部材Bは、遮光部材Bを挟んで上下両側に位置する専用画素420に分割される光束の比率を異ならせる。
【0124】
以上説明した変形例6のように専用画素410、専用画素420を構成しても、これら専用画素410、420を構成する画素に分割される光束の比率を異ならせることが可能なので、領域212aの周辺部500のフォーカスエリア102~105に対応する位置において、瞳分割位相差方式の焦点検出を適切に行うことができる。
【0125】
以上の説明では、撮像素子212を搭載するデジタルカメラ201を例に説明したが、撮像素子212は、携帯電話機、スマートフォン、ウェアラブル機器などの電子機器に搭載してもよい。
図23(a)は、スマートフォン50の正面を例示する図であり、
図23(b)は、スマートフォン50の背面を例示する図である。撮像素子212を備えたカメラユニット512が、例えばスマートフォン50の背面に設けられている。
【0126】
図24は、眼鏡型ウェアラブル機器60の外観を例示する図である。撮像素子212を備えたカメラユニット612が設けられている。
【0127】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0128】
10…マイクロレンズ
20a~20c…分離遮光部材
201…デジタルカメラ
202…撮像レンズ
203…カメラボディ
206…レンズ制御装置
210…フォーカシングレンズ
212…撮像素子
212a…領域
214…ボディ制御装置
300…画素
350…大デフォーカス用画素
310…色フィルタ
400…中央部
410A~C、420、430…専用画素
450…大デフォーカス用専用画素
410d、450d…開口
500…周辺部
B、B1、B2、Ba、Bb…遮光部材
H…像高
S1、S2、S3、S1B、S2B…光電変換部