IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ニコンの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】造形ユニット
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/386 20170101AFI20240423BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20240423BHJP
   B33Y 50/00 20150101ALI20240423BHJP
   B29C 64/268 20170101ALI20240423BHJP
   B33Y 40/20 20200101ALI20240423BHJP
【FI】
B29C64/386
B33Y30/00
B33Y50/00
B29C64/268
B33Y40/20
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2021513062
(86)(22)【出願日】2019-04-09
(86)【国際出願番号】 JP2019015464
(87)【国際公開番号】W WO2020208708
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2022-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【弁理士】
【氏名又は名称】江上 達夫
(72)【発明者】
【氏名】加藤 将
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-336547(JP,A)
【文献】特開2018-141240(JP,A)
【文献】特開2017-222072(JP,A)
【文献】国際公開第2016/042610(WO,A1)
【文献】特開2002-115004(JP,A)
【文献】特開2016-035430(JP,A)
【文献】特開2017-035807(JP,A)
【文献】特開2009-107153(JP,A)
【文献】特開2018-171775(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00 - 64/40
B22F 10/00 - 12/90
B33Y 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材が載置されるテーブルを備え、前記ベース部材上に設定された設定位置に基づいて、前記ベース部材に造形物を造形する造形装置と、
前記設定位置に関する位置情報を出力する出力装置と
を備え、
前記造形装置から取り出された前記ベース部材上の前記造形物は、前記出力装置から出力された前記位置情報を用いて、加工ユニットで加工される造形ユニット。
【請求項2】
前記造形装置は、DED方式で前記造形物を造形する
請求項1に記載の造形ユニット。
【請求項3】
前記造形装置は、扉を備え、
前記ベース部材及び前記ベース部材に造形された前記造形物のうち少なくとも一方は前記扉を介して取り出される
請求項1又は2に記載の造形ユニット。
【請求項4】
前記出力装置は、前記位置情報を、前記造形物に対して加工動作を行う前記加工ユニットに出力する
請求項1から3のいずれか一項に記載の造形ユニット。
【請求項5】
前記位置情報は、前記設定位置と前記ベース部材との相対位置に関する情報を含む
請求項1から4のいずれか一項に記載の造形ユニット。
【請求項6】
前記造形装置は、造形データに基づいて、前記ベース部材上に前記造形物を造形し、
前記出力装置は、前記位置情報として、前記設定位置と関連付けられた前記造形データを出力する
請求項1から5のいずれか一項に記載の造形ユニット。
【請求項7】
前記造形データは、前記造形物を造形するための造形動作の内容を定めるデータを含む
請求項6に記載の造形ユニット。
【請求項8】
前記造形データは、前記造形物の3次元形状データを含む
請求項6又は7に記載の造形ユニット。
【請求項9】
造形された造形物を計測して計測結果を得る計測装置をさらに備え、
前記出力装置は、前記位置情報として、前記設定位置と関連付けられた前記計測結果を出力する、請求項6から8のいずれか一項に記載の造形ユニット。
【請求項10】
前記計測装置は、前記造形ユニットの基準座標系における前記ベース部材の位置を計測し、
前記出力装置は、前記基準座標系における前記設定位置に関する前記位置情報を出力する
請求項9に記載の造形ユニット。
【請求項11】
前記ベース部材を支持する支持装置をさらに備え、
前記基準座標系は、前記支持装置の支持面上での位置を示すための支持位置座標系を含む
請求項10に記載の造形ユニット。
【請求項12】
前記計測装置は、前記造形ユニットの基準座標系における前記ベース部材の部位の位置を計測し、
前記出力装置は、前記設定位置と関連付けられた前記ベース部材の前記部位の位置を出力する
請求項9から11のいずれか一項に記載の造形ユニット。
【請求項13】
前記計測装置は、前記造形物を非接触計測する
請求項9から12のいずれか一項に記載の造形ユニット。
【請求項14】
前記設定位置を設定する制御装置を更に備える
請求項1から13のいずれか一項に記載の造形ユニット。
【請求項15】
前記制御装置は、前記ベース部材上に前記設定位置を設定する
請求項14に記載の造形ユニット。
【請求項16】
前記造形装置は、前記ベース部材を収容する収容空間内で前記造形物を造形し、
前記出力装置は、前記造形装置で造形された前記造形物を前記収容空間外で加工する加工装置に前記位置情報を出力する
請求項1から15のいずれか一項に記載の造形ユニット。
【請求項17】
ベース部材が載置されるテーブルを備え、前記ベース部材に造形物を造形する造形装置と、
前記ベース部材及び前記造形物のうち少なくとも一方の上に設定位置を設定し、前記設定位置に基づいて前記造形装置を制御する制御装置と、
前記設定位置に関する第1位置情報と、前記設定位置と前記造形物の位置との位置関係に関する第2位置情報とを出力する出力装置と
を備え、
前記造形装置から取り出された前記ベース部材上の前記造形物は、前記出力装置から出力された前記第1及び第2位置情報を用いて、加工ユニットで加工される造形ユニット。
【請求項18】
ベース部材が載置されるテーブルを備え、前記ベース部材に造形物を造形する造形装置と、
前記ベース部材及び前記造形物のうち少なくとも一方の上に設定された設定位置と前記造形物の位置との関係に関する位置情報を出力する出力装置と
を備え、
前記造形装置から取り出された前記ベース部材上の前記造形物は、前記出力装置から出力された前記位置情報を用いて、加工ユニットで加工される造形ユニット。
【請求項19】
ベース部材が載置されるテーブルを備え、前記ベース部材に造形物を造形する造形装置と、
前記ベース部材の3次元形状データと、前記造形物の3次元形状データとを出力する出力装置と
を備え、
前記造形装置から取り出された前記ベース部材上の前記造形物は、前記出力装置から出力された前記3次元形状データを用いて、加工ユニットで加工される造形ユニット。
【請求項20】
前記出力装置は、前記ベース部材の3次元形状データと、前記造形物の3次元形状データとを関連付けて出力する
請求項19に記載の造形ユニット。
【請求項21】
前記出力装置は、前記ベース部材上に設定された設定位置に関する情報を出力する
請求項19又は20に記載の造形ユニット。
【請求項22】
前記出力装置は、前記設定位置と、前記ベース部材の前記3次元形状データとを関連付けて出力する
請求項21に記載の造形ユニット。
【請求項23】
前記出力装置は、前記設定位置と、前記造形物の前記3次元形状データとを関連付けて出力する
請求項21又は22に記載の造形ユニット。
【請求項24】
ベース部材が載置されるテーブルを備え、前記ベース部材に造形物を造形する造形装置と、
前記ベース部材及び前記造形物の三次元情報を取得する計測装置と、
前記計測装置による計測結果を出力する出力装置と
を備え、
前記造形装置から取り出された前記ベース部材上の前記造形物は、前記出力装置から出力された前記計測結果を用いて、加工ユニットで加工される造形ユニット。
【請求項25】
前記計測装置は、前記造形物が造形される前及び前記造形物が造形されている間の少なくとも一方の期間において前記ベース部材を計測して第1計測結果を取得し、前記造形物が造形されている間及び前記造形物が造形された後の少なくとも一方の期間において前記造形物を計測して第2計測結果を取得する
請求項24に記載の造形ユニット。
【請求項26】
前記出力装置は、前記第1計測結果と前記第2計測結果とを関連付けて出力する
請求項25に記載の造形ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、造形物を造形するための造形ユニットの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、粉状の材料をエネルギビームで溶融した後に、溶融した材料を固化させることで造形物を造形する装置が記載されている。このような造形物を造形する装置では、造形物を適切に造形することが技術的課題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2017/014909号明細書
【発明の概要】
【0004】
第1の態様によれば、ベース部材上に設定された設定位置に基づいて、前記ベース部材に造形物を造形する造形装置と、前記設定位置に関する位置情報を出力する出力装置とを備える造形ユニットが提供される。
【0005】
第2の態様によれば、ベース部材上に設定された設定位置に基づいて、前記ベース部材に造形物を造形する造形装置と、前記設定位置と前記造形物との相対位置に関する位置情報を出力する出力装置とを備える造形ユニットが提供される。
【0006】
第3の態様によれば、ベース部材上に設定された設定位置に基づいて、前記ベース部材に造形物を造形する造形装置と、前記設定位置と前記造形物の位置との関係に関する位置情報を出力する出力装置とを備える造形ユニットが提供される。
【0007】
第4の態様によれば、ベース部材上に設定位置を設定する制御装置と、前記設定位置に基づいて、前記ベース部材に造形物を造形する造形装置とを備える造形ユニットが提供される。
【0008】
第5の態様によれば、ベース部材に造形物を造形する造形装置と、前記ベース部材及び前記造形物のうち少なくとも一方の上に設定位置を設定し、前記設定位置に基づいて前記造形装置を制御する制御装置と、前記設定位置に関する第1位置情報と、前記設定位置と前記造形物の位置との位置関係に関する第2位置情報とを出力する出力装置とを備える造形ユニットが提供される。
【0009】
第6の態様によれば、ベース部材に造形物を造形する造形装置と、前記ベース部材及び前記造形物のうち少なくとも一方の上に設定された設定位置と前記造形物の位置との関係に関する位置情報を出力する出力装置とを備える造形ユニットが提供される。
【0010】
第7の態様によれば、ベース部材に造形物を造形する造形装置と、前記ベース部材の3次元形状データと、前記造形物の3次元形状データとを出力する出力装置とを備える造形ユニットが提供される。
【0011】
第8の態様によれば、ベース部材に造形物を造形する造形装置と、前記ベース部材及び前記造形物の三次元情報を取得する計測装置と、前記計測装置による計測結果を出力する出力装置とを備える造形ユニットが提供される。
【0012】
第9の態様によれば、ベース部材に造形物を造形する造形装置と、前記ベース部材及び前記造形物を計測する計測装置と、前記計測装置による計測結果を出力する出力装置とを備え、前記計測装置は、前記造形物が造形される前及び前記造形物が造形されている間の少なくとも一方の期間において前記ベース部材を計測して第1計測結果を取得し、前記造形物が造形されている間及び前記造形物が造形された後の少なくとも一方の期間において前記造形物を計測して第2計測結果を取得する造形ユニットが提供される。
【0013】
第10の態様によれば、平面状の側面を有するベース部材の上面に、平面状の面を含む造形物を造形する造形装置と、前記ベース部材の前記側面と前記造形物の前記平面状の面とが平行となるように前記造形装置を制御する制御装置とを備える造形ユニットが提供される。
【0014】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、第1実施形態の加工システムの構造を示す断面図である。
図2図2は、第1実施形態の加工システムのシステム構成を示すシステム構成図である。
図3図3(a)から図3(j)のそれぞれは、投影装置が投影する投影パターンを示す平面図である。
図4図4は、座標マッチング動作の流れを示すフローチャートである。
図5図5は、位置合わせ用の目印が形成された載置面を含むステージを示す平面図である。
図6図6は、図5に示すステージのV-V’断面図である。
図7図7は、位置合わせ用の目印が形成されたビーム検出部材を示す平面図である。
図8図8は、図7に示すビーム検出部材のVII#1-VII#1’断面図である。
図9図9は、図7に示すビーム検出部材のVII#2-VII#2’断面図である。
図10図10は、載置面に載置されたビーム検出部材を示す平面図である。
図11図11は、位置合わせ用の目印が形成された基準部材を示す平面図である。
図12図12は、載置面に載置された基準部材を示す平面図である。
図13図13は、ステージ座標系内での載置面とワークとを示す斜視図である。
図14図14は、第1のワークモデルアライメント動作の流れを示すフローチャートである。
図15図15は、第2のワークモデルアライメント動作の流れを示すフローチャートである。
図16図16は、モデル形状情報が示す3次元モデル(つまり、ワーク)と計測形状情報が示すワークとをパターンマッチングする様子を概念的に示す概念図である。
図17図17は、第3のワークモデルアライメント動作の流れを示すフローチャートである。
図18図18は、指定点において複数のガイド光が交差する様子を示す断面図である。
図19図19は、指定点において複数のガイド光が交差していない様子を示す断面図である。
図20図20(a)は、ユーザ指定点において複数のガイド光が交差しているときの、ワークWの表面(特に、ユーザ指定点)における複数のガイド光のビームスポットを示す平面図であり、図20(b)は、ユーザ指定点において複数のガイド光が交差していないときの、ワークWの表面(特に、ユーザ指定点)における複数のガイド光のビームスポットを示す平面図である。
図21図21は、ステージ座標系内でのワークと3次元構造物とを示す斜視図である。
図22図22は、造形モデルアライメント動作の流れを示すフローチャートである。
図23図23は、ワークモデルの表示例を示す平面図である。
図24図24は、ワークモデルの表示例を示す平面図である。
図25図25は、ワークモデルの表示例を示す平面図である。
図26図26は、ワークモデルの表示例を示す平面図である。
図27図27は、ディスプレイにおける表示例を示す平面図である。
図28図28は、ワークモデル及び造形モデルを示す断面図である。
図29図29は、造形情報の修正例を、造形モデル及びワークモデルと共に概念的に示す断面図である
図30図30(a)から図30(c)のそれぞれは、造形情報を修正する方法の一例を、ワークモデル及び造形モデルと共に概念的に示す断面図である。
図31図31(a)から図31(c)のそれぞれは、造形情報を修正する方法の他の例を、ワークモデル及び造形モデルと共に概念的に示す断面図である。
図32図32(a)から図32(e)のそれぞれは、ワーク上のある領域において光を照射し且つ造形材料を供給した場合の様子を示す断面図である。
図33図23(a)から図33(c)のそれぞれは、3次元構造物を形成する過程を示す断面図である。
図34図34は、第2実施形態の加工システムのシステム構成を示すシステム構成図である。
図35図35は、第2実施形態の加工システムが備える加工ユニットの外観構造を示す斜視図である。
図36図36は、加工ヘッドの構造の一例を示す断面図である。
図37図37は、加工ヘッドの構造の一例を示す断面図である。
図38図38は、プローブを用いてワーク又は3次元構造物を計測する様子を示す平面図である。
図39図39は、プローブを用いてワーク又は3次元構造物を計測する様子を示す平面図である。
図40図40は、プローブを用いてワーク又は3次元構造物を計測する様子を示す平面図である。
図41図41は、プローブを用いてワーク又は3次元構造物を計測する様子を示す平面図である。
図42図42は、プローブを用いてワーク又は3次元構造物を計測する様子を示す平面図である。
図43図43は、ワークモデル及び造形モデルの表示例を示す平面図である。
図44図44(a)から図44(c)のそれぞれは、ワークに設けられる目印の一例を示す平面図である。
図45図45は、基準位置と造形モデルとの位置関係を示す平面図である。
図46図46は、図45に示す基準点が設定された場合にワーク上に形成される3次元構造物を示す平面図である。
図47図47は、加工ユニットが行う加工動作の流れを示すフローチャートである。
図48図48(a)は、ステージが支持しているワーク及び3次元構造物の一例を示す斜視図であり、図48(b)及び図48(c)のそれぞれは、ステージが支持しているワーク及び3次元構造物の一例を示す平面図である。
図49図49(a)は、ステージが支持しているワーク及び3次元構造物の一例を示す斜視図であり、図49(b)は、ステージが支持しているワーク及び3次元構造物の一例を示す平面図である。
図50図50は、図45に示す基準点が設定された場合に造形精度が相対的に悪い造形ユニットによってワーク上に形成された3次元構造物を示す平面図である。
図51図51は、第2実施形態の加工システムの第4変形例におけるシステム構成を示すシステム構成図である。
図52図52は、ワークとは異なる物体を介してワークを支持するステージの一例を示す斜視図である。
図53図53は、固定治具に固定されたワーク上に形成された3次元構造物を示す斜視図である。
図54図54は、固定治具に固定されたワークを支持するステージを示す斜視図である。
図55図55は、加工システムのシステム構成の他の例を示すシステム構成図である。
図56図56(a)は、基準部材の他の例を示す平面図であり、図52(b)は、図56(a)におけるA-A’断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、造形ユニットの実施形態について説明する。以下では、物体の一例であるワークWに付加加工を行うことでワークWに造形物を形成する加工システム(つまり、造形システム)SYSを用いて、造形ユニットの実施形態を説明する。特に、以下では、レーザ肉盛溶接法(LMD:Laser Metal Deposition)に基づく付加加工を行う加工システムSYSを用いて、造形ユニットの実施形態を説明する。レーザ肉盛溶接法に基づく付加加工は、ワークWに供給した造形材料Mを加工光ELで溶融することで、ワークWと一体化された又はワークWから分離可能な3次元構造物STを形成する付加加工である。尚、レーザ肉盛溶接法(LMD)は、ダイレクト・メタル・デポジション、ディレクテッド・エナジー・デポジション、レーザクラッディング、レーザ・エンジニアード・ネット・シェイピング、ダイレクト・ライト・ファブリケーション、レーザ・コンソリデーション、シェイプ・デポジション・マニュファクチャリング、ワイヤ-フィード・レーザ・デポジション、ガス・スルー・ワイヤ、レーザ・パウダー・フージョン、レーザ・メタル・フォーミング、セレクティブ・レーザ・パウダー・リメルティング、レーザ・ダイレクト・キャスティング、レーザ・パウダー・デポジション、レーザ・アディティブ・マニュファクチャリング、レーザ・ラピッド・フォーミングと称してもよい。
【0017】
また、以下の説明では、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸から定義されるXYZ直交座標系を用いて、加工システムSYSを構成する各種構成要素の位置関係について説明する。尚、以下の説明では、説明の便宜上、X軸方向及びY軸方向のそれぞれが水平方向(つまり、水平面内の所定方向)であり、Z軸方向が鉛直方向(つまり、水平面に直交する方向であり、実質的には上下方向)であるものとする。また、X軸、Y軸及びZ軸周りの回転方向(言い換えれば、傾斜方向)を、それぞれ、θX方向、θY方向及びθZ方向と称する。ここで、Z軸方向を重力方向としてもよい。また、XY平面を水平方向としてもよい。
【0018】
(1)第1実施形態の加工システムSYSの構造
初めに、図1及び図2を参照しながら、第1実施形態の加工システムSYSの構造について説明する。図1は、第1実施形態の加工システムSYSの構造の一例を示す断面図である。図2は、第1実施形態の加工システムSYSのシステム構成の一例を示すシステム構成図である。
【0019】
加工システムSYSは、3次元構造物ST(つまり、3次元方向のいずれの方向においても大きさを持つ3次元の物体であり、立体物)を形成可能である。加工システムSYSは、3次元構造物STを形成するための基礎となるワークW上に、3次元構造物STを形成可能である。このワークWをベース部材又は台座と称してもよい。加工システムSYSは、ワークWに付加加工を行うことで、ワークW上に3次元構造物STを形成可能である。ワークWが後述するステージ31である場合には、加工システムSYSは、ステージ31上に、3次元構造物STを形成可能である。ワークWがステージ31によって保持されている(或いは、ステージ31に載置されている)既存構造物である場合には、加工システムSYSは、既存構造物上に、3次元構造物STを形成可能である。この場合、加工システムSYSは、既存構造物と一体化された3次元構造物STを形成してもよい。既存構造物と一体化された3次元構造物STを形成する動作は、既存構造物に新たな構造物を付加する動作と等価とみなせる。尚、既存構造物は例えば欠損箇所がある要修理品であってもよい。加工システムSYSは、要修理品の欠損箇所を埋めるように、要修理品に3次元構造物を形成してもよい。或いは、加工システムSYSは、既存構造物と分離可能な3次元構造物STを形成してもよい。尚、図1は、ワークWが、ステージ31によって保持されている既存構造物である例を示している。また、以下でも、ワークWがステージ31によって保持されている既存構造物である例を用いて説明を進める。
【0020】
上述したように、加工システムSYSは、レーザ肉盛溶接法により3次元構造物STを形成可能である。つまり、加工システムSYSは、積層造形技術を用いて物体を形成する3Dプリンタであるとも言える。尚、積層造形技術は、ラピッドプロトタイピング(Rapid Prototyping)、ラピッドマニュファクチャリング(Rapid Manufacturing)、又は、アディティブマニュファクチャリング(Additive Manufacturing)とも称される。
【0021】
3次元構造物STを形成するために、加工システムSYSは、図1及び図2に示すように、材料供給装置1と、造形装置2と、ステージ装置3と、光源4と、ガス供給装置5と、筐体6と、制御装置7と、計測装置8と、ディスプレイ91と、入力装置92とを備える。造形装置2とステージ装置3と計測装置8とのそれぞれの少なくとも一部は、筐体6の内部のチャンバ空間63IN内に収容されている。
【0022】
材料供給装置1は、造形装置2に造形材料Mを供給する。材料供給装置1は、造形装置2が3次元構造物STを形成するために単位時間あたりに必要とする分量の造形材料Mが造形装置2に供給されるように、当該必要な分量に応じた所望量の造形材料Mを供給する。
【0023】
造形材料Mは、所定強度以上の加工光ELの照射によって溶融可能な材料である。このような造形材料Mとして、例えば、金属材料及び樹脂材料の少なくとも一方が使用可能である。但し、造形材料Mとして、金属材料及び樹脂材料とは異なるその他の材料が用いられてもよい。造形材料Mは、粉状の材料である。つまり、造形材料Mは、粉体である。粉体は、粉状の材料に加えて、粒状の材料を含んでいてもよい。造形材料Mは、例えば、90マイクロメートル±40マイクロメートルの範囲に収まる粒径の粉体を含んでいてもよい。造形材料Mを構成する粉体の平均粒径は、例えば、75マイクロメートルであってもよいし、その他のサイズであってもよい。但し、造形材料Mは、粉体でなくてもよく、例えばワイヤ状の造形材料やガス状の造形材料が用いられてもよい。尚、加工システムSYSは、造形材料Mを荷電粒子線等のエネルギビームで加工して造形物を形成してもよい。
【0024】
造形装置2は、材料供給装置1から供給される造形材料Mを用いて3次元構造物STを形成する。造形材料Mを用いて3次元構造物STを形成するために、造形装置2は、造形ヘッド21と、ヘッド駆動系22と、位置計測装置23と、複数の(例えば、2つの)ガイド光射出装置24とを備える。尚、造形装置2は、造形ユニットと称されてもよい。更に、造形ヘッド21は、照射光学系211と、材料ノズル(つまり造形材料Mを供給する供給系)212とを備えている。造形ヘッド21と、ヘッド駆動系22とは、チャンバ空間63IN内に収容されている。但し、造形ヘッド21及び/又はヘッド駆動系22の少なくとも一部が、筐体6の外部の空間である外部空間64OUTに配置されていてもよい。尚、外部空間64OUTは、加工システムSYSのオペレータが立ち入り可能な空間であってもよい。尚、造形装置2は、造形物たる3次元構造物STを付加加工によって形成する装置でもあるため、付加加工装置と称してもよい。
【0025】
照射光学系211は、射出部213から加工光ELを射出するための光学系(例えば、集光光学系)である。具体的には、照射光学系211は、加工光ELを発する光源4と、光ファイバやライトパイプ等の不図示の光伝送部材を介して光学的に接続されている。照射光学系211は、光伝送部材を介して光源4から伝搬してくる加工光ELを射出する。照射光学系211は、加工光ELがチャンバ空間63INを進むように加工光ELを射出する。照射光学系211は、照射光学系211から下方(つまり、-Z側)に向けて加工光ELを照射する。照射光学系211の下方には、ステージ31が配置されている。ステージ31にワークWが載置されている場合には、照射光学系211は、ワークWに向けて加工光ELを照射する。具体的には、照射光学系211は、加工光ELが照射される(典型的には、集光される)領域としてワークW上に設定される照射領域EAに加工光ELを照射可能である。更に、照射光学系211の状態は、制御装置7の制御下で、照射領域EAに加工光ELを照射する状態と、照射領域EAに加工光ELを照射しない状態との間で切替可能である。尚、照射光学系211から射出される加工光ELの方向は真下(つまり、-Z軸方向と一致)には限定されず、例えば、Z軸に対して所定の角度だけ傾いた方向であってもよい。
【0026】
材料ノズル212は、造形材料Mを供給する供給アウトレット214を有する。材料ノズル212は、供給アウトレット214から造形材料Mを供給する(例えば、噴射する、噴出する、又は、吹き付ける)。材料ノズル212は、造形材料Mの供給源である材料供給装置1と、不図示のパイプ等を介して物理的に接続されている。材料ノズル212は、パイプを介して材料供給装置1から供給される造形材料Mを供給する。材料ノズル212は、パイプを介して材料供給装置1から供給される造形材料Mを圧送してもよい。即ち、材料供給装置1からの造形材料Mと搬送用の気体(例えば、窒素やアルゴン等の不活性ガス)とを混合してパイプを介して材料ノズル212に圧送してもよい。この場合、搬送用の気体として、例えば、ガス供給装置5から供給されるパージガスが用いられてもよい。尚、図1において材料ノズル212は、チューブ状に描かれているが、材料ノズル212の形状は、この形状に限定されない。材料ノズル212は、チャンバ空間63INに向けて造形材料Mを供給する。材料ノズル212は、材料ノズル212から下方(つまり、-Z側)に向けて造形材料Mを供給する。材料ノズル212の下方には、ステージ31が配置されている。ステージ31にワークWが搭載されている場合には、材料ノズル212は、ワークWに向けて造形材料Mを供給する。尚、材料ノズル212から供給される造形材料Mの進行方向はZ軸方向に対して所定の角度(一例として鋭角)だけ傾いた方向であるが、-Z側(つまり、真下)であってもよい。
【0027】
第1実施形態では、材料ノズル212は、照射光学系211が加工光ELを照射する照射領域EAに向けて造形材料Mを供給するように、照射光学系211に対して位置合わせされている。つまり、材料ノズル212が造形材料Mを供給する領域としてワークW上に設定される供給領域MAと照射領域EAとが一致する(或いは、少なくとも部分的に重複する)ように、材料ノズル212と照射光学系211とが位置合わせされている。尚、照射光学系211から射出された加工光ELによって形成される溶融池MPに、材料ノズル212が造形材料Mを供給するように位置合わせされていてもよい。
【0028】
ヘッド駆動系22は、造形ヘッド21を移動させる。ヘッド駆動系22は、例えば、チャンバ空間63IN内で造形ヘッド21を移動させる。ヘッド駆動系22は、X軸、Y軸及びZ軸の少なくとも一つに沿って造形ヘッド21を移動させる。造形ヘッド21がX軸及びY軸の少なくとも一方に沿って移動すると、照射領域EA及び供給領域MAのそれぞれは、ワークW上をX軸及びY軸の少なくとも一方に沿って移動する。更に、ヘッド駆動系22は、X軸、Y軸及びZ軸の少なくとも一つに加えて、θX方向、θY方向及びθZ方向の少なくとも一つの回転方向に沿って造形ヘッド21を移動させてもよい。言い換えると、ヘッド駆動系22は、X軸、Y軸及びZ軸の少なくとも一つの軸回りに造形ヘッド21を回転させてもよい。ヘッド駆動系22は、X軸、Y軸及びZ軸の少なくとも一つの軸回りに造形ヘッド21の姿勢を変えてもよい。ヘッド駆動系22は、例えば、モータ等を含む。
【0029】
尚、ヘッド駆動系22は、照射光学系211と材料ノズル212とを別々に移動させてもよい。具体的には、例えば、ヘッド駆動系22は、射出部213の位置、射出部213の向き、供給アウトレット214の位置及び供給アウトレット214の向きの少なくとも一つを調整可能であってもよい。この場合、照射光学系211が加工光ELを照射する照射領域EAと、材料ノズル212が造形材料Mを供給する供給領域MAとが別々に制御可能となる。
【0030】
位置計測装置23は、造形ヘッド21の位置を計測可能である。位置計測装置23は、例えば、エンコーダ及びレーザ干渉計のうちの少なくとも一方を含んでいてもよい。
【0031】
ガイド光射出装置24は、造形ヘッド21に配置されている。ガイド光射出装置24は、ガイド光GLを射出する。ガイド光射出装置24は、ガイド光GLがチャンバ空間63INを進むようにガイド光GLを射出する。複数のガイド光射出装置24は、複数のガイド光射出装置24からそれぞれ射出される複数のガイド光GLが、造形ヘッド21の下方のある位置において互いに交差するように、位置合わせされている。特に、複数のガイド光射出装置24は、複数のガイド光GLが加工光ELのフォーカス位置において互いに交差するように、位置合わせされている。造形装置2は主として加工光ELのフォーカス位置において物体を加工する(つまり、付加加工する)ことから、複数のガイド光射出装置24は、複数のガイド光GLが造形装置2による付加加工が行われる付加加工位置において互いに交差するように、互いに位置合わせされているとも言える。付加加工位置は、典型的には、照射領域EA及び供給領域MAのそれぞれの位置と少なくとも部分的に重複する。尚、このようなガイド光射出装置24の利用方法については、後に詳述する。尚、複数のガイド光GLが加工光ELのフォーカス位置から外れた位置(デフォーカス位置)において互いに交差するように位置合わせされていてもよい。
【0032】
ステージ装置3は、ステージ31を備えている。ステージ31は、チャンバ空間63INに収容される。ステージ31は、ワークWを支持可能である。尚、ここで言う「ステージ31がワークWを支持する」状態は、ワークWがステージ31によって直接的に又は間接的に支えられている状態を意味していてもよい。ステージ31は、ワークWを保持可能であってもよい。つまり、ステージ31は、ワークWを保持することでワークWを支持してもよい。或いは、ステージ31は、ワークWを保持可能でなくてもよい。この場合、ワークWは、ステージ31に載置されていてもよい。つまり、ステージ31は、ステージ31に載置されたワークWを支持してもよい。このとき、ワークWは、クランプレスでステージ31に載置されていてもよい。従って、本実施形態における「ステージ31がワークWを支持する」状態は、ステージ31がワークWを保持する状態及びワークWがステージ31に載置される状態をも含んでいてもよい。ステージ31を、ワークWを支持する支持装置、ワークWが載置される載置装置、ワークWを保持する保持装置又はテーブルと称してもよい。ステージ31がチャンバ空間63INに収容されるため、ステージ31が支持するワークWもまた、チャンバ空間63INに収容される。更に、ステージ31は、ワークWが保持されている場合には、保持したワークWをリリース可能である。上述した照射光学系211は、ステージ31がワークWを支持している期間の少なくとも一部において加工光ELを照射する。更に、上述した材料ノズル212は、ステージ31がワークWを支持している期間の少なくとも一部において造形材料Mを供給する。尚、材料ノズル212が供給した造形材料Mの一部は、ワークWの表面からワークWの外部へと(例えば、ステージ31の周囲へと)散乱する又はこぼれ落ちる可能性がある。このため、加工システムSYSは、ステージ31の周囲に、散乱した又はこぼれ落ちた造形材料Mを回収する回収装置を備えていてもよい。尚、ステージ31は、ワークWを保持するために、機械的なチャックや真空吸着チャック等を備えていてもよい。
【0033】
光源4は、例えば、赤外光及び紫外光のうちの少なくとも一つを、加工光ELとして射出する。但し、加工光ELとして、その他の波長の光、例えば可視域の波長の光が用いられてもよい。加工光ELは、レーザ光である。この場合、光源4は、半導体レーザ等のレーザ光源を含んでいてもよい。レーザ光源の一例としては、レーザダイオード(LD:Laser Diode)、ファイバ・レーザ、COレーザ、YAGレーザ及びエキシマレーザ等の少なくとも一つがあげられる。但し、加工光ELはレーザ光でなくてもよいし、光源4は任意の光源(例えば、LED(Light Emitting Diode)及び放電ランプ等の少なくとも一つ)を含んでいてもよい。
【0034】
ガス供給装置5は、チャンバ空間631INをパージするためのパージガスの供給源である。パージガスは、不活性ガスを含む。不活性ガスの一例として、窒素ガス又はアルゴンガスがあげられる。ガス供給装置5は、チャンバ空間63INにパージガスを供給する。その結果、チャンバ空間63INは、パージガスによってパージされた空間となる。尚、ガス供給装置5は、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガスが格納されたボンベであってもよい。不活性ガスが窒素ガスである場合には、ガス供給装置5は、大気を原料として窒素ガスを発生する窒素ガス発生装置であってもよい。
【0035】
筐体6は、筐体6の内部空間であるチャンバ空間63INに少なくとも造形装置2及びステージ装置3のそれぞれの少なくとも一部を収容する収容装置である。筐体6は、チャンバ空間63INを規定する隔壁部材61を含む。隔壁部材61は、チャンバ空間63INと、筐体6の外部空間64OUTとを隔てる部材である。隔壁部材61は、その内壁611を介してチャンバ空間63INに面し、その外壁612を介して外部空間64OUTに面する。この場合、隔壁部材61によって囲まれた空間(より具体的には、隔壁部材61の内壁611によって囲まれた空間)が、チャンバ空間63INとなる。尚、隔壁部材61には、開閉可能な扉が設けられていてもよい。この扉は、ワークWをステージ31に載置する際に開かれてもよい。この扉は、ステージ31からワークW及び/又は造形物(例えば、3次元構造物ST)を取り出す際に開かれてもよい。この扉は、造形装置2が造形物を造形している期間中には閉じられていてもよい。
【0036】
制御装置7は、加工システムSYSの動作を制御する。制御装置7は、例えば、CPU(Central Processing Unit)(或いは、CPUに加えて又は代えてGPU(Graphics Processing Unit))と、メモリとを含んでいてもよい。制御装置7は、CPUがコンピュータプログラムを実行することで、加工システムSYSの動作を制御する装置として機能する。このコンピュータプログラムは、制御装置7が行うべき後述する動作を制御装置7(例えば、CPU)に行わせる(つまり、実行させる)ためのコンピュータプログラムである。つまり、このコンピュータプログラムは、加工システムSYSに後述する動作を行わせるように制御装置7を機能させるためのコンピュータプログラムである。CPUが実行するコンピュータプログラムは、制御装置7が備えるメモリ(つまり、記録媒体)に記録されていてもよいし、制御装置7に内蔵された又は制御装置7に外付け可能な任意の記憶媒体(例えば、ハードディスクや半導体メモリ)に記録されていてもよい。或いは、CPUは、実行するべきコンピュータプログラムを、ネットワークインタフェースを介して、制御装置7の外部の装置からダウンロードしてもよい。
【0037】
例えば、制御装置7は、照射光学系211による加工光ELの射出態様を制御してもよい。射出態様は、例えば、加工光ELの強度及び加工光ELの射出タイミングの少なくとも一方を含んでいてもよい。加工光ELがパルス光である場合には、射出態様は、例えば、パルス光の発光時間の長さとパルス光の発光周期との比(いわゆる、デューティ比)を含んでいてもよい。また、射出態様は、例えば、パルス光の発光時間の長さそのものや、発光周期そのものを含んでいてもよい。更に、制御装置7は、ヘッド駆動系22による造形ヘッド21の移動態様を制御してもよい。移動態様は、例えば、移動量、移動速度、移動方向及び移動タイミングの少なくとも一つを含んでいてもよい。更に、制御装置7は、材料供給装置1による造形材料Mの供給態様を制御してもよい。材料ノズル212による造形材料Mの供給態様は、主として、材料供給装置1による造形材料Mの供給態様によって定まる。このため、材料供給装置1による造形材料Mの供給態様を制御することは、材料ノズル212による造形材料Mの供給態様を制御することと等価とみなせる。供給態様は、例えば、供給量(特に、単位時間当たりの供給量)及び供給タイミングの少なくとも一方を含んでいてもよい。
【0038】
制御装置7は、加工システムSYSの内部に設けられていなくてもよく、例えば、加工システムSYS外にサーバ等として設けられていてもよい。この場合、制御装置7と加工システムSYSとは、有線及び/又は無線のネットワーク(或いは、データバス及び/又は通信回線)で接続されていてもよい。有線のネットワークとして、例えばIEEE1394、RS-232x、RS-422、RS-423、RS-485及びUSBの少なくとも一つに代表されるシリアルバス方式のインタフェースを用いるネットワークが用いられてもよい。有線のネットワークとして、パラレルバス方式のインタフェースを用いるネットワークが用いられてもよい。有線のネットワークとして、10BASE-T、100BASE-TX及び1000BASE-Tの少なくとも一つに代表されるイーサネット(登録商標)に準拠したインタフェースを用いるネットワークが用いられてもよい。無線のネットワークとして、電波を用いたネットワークが用いられてもよい。電波を用いたネットワークの一例として、IEEE802.1xに準拠したネットワーク(例えば、無線LAN及びBluetooth(登録商標)の少なくとも一方)があげられる。無線のネットワークとして、赤外線を用いたネットワークが用いられてもよい。無線のネットワークとして、光通信を用いたネットワークが用いられてもよい。この場合、制御装置7と加工システムSYSとはネットワークを介して各種の情報の送受信が可能となるように構成されていてもよい。また、制御装置7は、ネットワークを介して加工システムSYSにコマンドや制御パラメータ等の情報を送信可能であってもよい。加工システムSYSは、制御装置7からのコマンドや制御パラメータ等の情報を、上記ネットワークを介して受信する受信装置を備えていてもよい。加工システムSYSは、制御装置7に対してコマンドや制御パラメータ等の情報を、上記ネットワークを介して送信する送信装置(つまり、制御装置7に対して情報を出力する出力装置)を備えていてもよい。或いは、制御装置7が行う処理のうちの一部を行う第1制御装置が加工システムSYSの内部に設けられている一方で、制御装置7が行う処理のうちの他の一部を行う第2制御装置が加工システムSYSの外部に設けられていてもよい。
【0039】
尚、CPUが実行するコンピュータプログラムを記録する記録媒体としては、CD-ROM、CD-R、CD-RWやフレキシブルディスク、MO、DVD-ROM、DVD-RAM、DVD-R、DVD+R、DVD-RW、DVD+RW及びBlu-ray(登録商標)等の光ディスク、磁気テープ等の磁気媒体、光磁気ディスク、USBメモリ等の半導体メモリ、及び、その他プログラムを格納可能な任意の媒体の少なくとも一つが用いられてもよい。記録媒体には、コンピュータプログラムを記録可能な機器(例えば、コンピュータプログラムがソフトウェア及びファームウェア等の少なくとも一方の形態で実行可能な状態に実装された汎用機器又は専用機器)が含まれていてもよい。更に、コンピュータプログラムに含まれる各処理や機能は、制御装置7(つまり、コンピュータ)がコンピュータプログラムを実行することで制御装置7内に実現される論理的な処理ブロックによって実現されてもよいし、制御装置7が備える所定のゲートアレイ(FPGA、ASIC)等のハードウェアによって実現されてもよいし、論理的な処理ブロックとハードウェアの一部の要素を実現する部分的ハードウェアモジュールとが混在する形式で実現してもよい。
【0040】
計測装置8は、制御装置7の制御下で、計測対象物を計測可能である。計測装置8の計測結果は、計測装置8から制御装置7に出力される。尚、計測装置8は、計測ユニットと称されてもよい。
【0041】
計測は、計測対象物の位置の計測を含んでいてもよい。計測対象物の位置は、計測対象物を細分化した各部分(つまり、各部位)のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の少なくとも一つにおける位置を含んでいてもよい。計測対象物の位置は、計測対象物の表面の位置を含んでいてもよい。計測対象物の表面の位置は、計測対象物の表面を細分化した各部分(つまり、各部位)のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の少なくとも一つにおける位置を含んでいてもよい。計測は、計測対象物の形状(例えば、3次元形状)の計測を含んでいてもよい。計測対象物の形状は、計測対象物を細分化した各部分の向き(例えば、各部分の法線の向きであり、X軸、Y軸及びZ軸の少なくとも一つに対する各部分の傾斜量と実質的に等価)を含んでいてもよい。計測対象物の形状は、計測対象物の表面の形状を含んでいてもよい。計測対象物の表面の形状は、計測対象物の表面を細分化した各部分の向き(例えば、各部分の法線の向きであり、X軸、Y軸及びZ軸の少なくとも一つに対する各部分の傾斜量(つまり、各部分の姿勢)と実質的に等価)を含んでいてもよい。尚、計測は、計測対象物の属性の計測を含んでいてもよい。計測対象物の属性は、例えば、計測対象物の反射率、計測対象物の分光反射率、及び、計測対象物の表面粗さ等の少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0042】
第1実施形態では、計測対象物は、例えば、ステージ31の載置面311上に載置された物体を含む。このため、計測装置8の計測範囲は、載置面311上に載置された物体を計測することができるように所望の範囲に設定されている。載置面311上に載置される物体の一例として、上述したワークWがあげられる。載置面311上に載置される物体の他の一例として、ワークW上に形成される3次元構造物STがあげられる。載置面311上に載置される物体の他の一例として、後述する基準部材34(図11等参照)があげられる。
【0043】
計測装置8は、計測対象物を計測可能である限りはどのような構造を有していてもよい。計測装置8は、計測対象物を計測可能である限りはどのような種類の計測装置であってもよい。図1及び図2は、計測装置8が3Dスキャナである例を示している。つまり、図1及び図2は、計測装置8が光学的に計測対象物を計測する例を示している。図1及び図2は、計測装置8が計測対象物に接触することなく計測対象物を計測する例を示している。つまり、図1及び図2は、計測装置8が計測対象物を非接触計測する例を示している。しかしながら、計測装置8は、光学的手法とは異なる手法、例えば電磁波や音波を用いて計測対象物を計測してもよい。計測装置8は、計測対象物に接触して計測対象物を計測してもよい。計測対象物に接触して計測対象物を計測する計測装置の一例として、計測対象物に対してプローブ等のセンサを押し当てながら計測対象物を計測する計測装置があげられる。
【0044】
計測装置8が3Dスキャナである場合、計測装置8は、例えば、図2に示すように、投影装置81と、撮像装置82とを備えている。図2に示す例では、計測装置8は、複数の撮像装置82を備えている。より具体的には、図2に示す例では、計測装置8は、2つの撮像装置82(具体的には、撮像装置82#1及び撮像装置82#2)を備えている。但し、計測装置8は、単一の撮像装置82を備えていてもよい。
【0045】
投影装置81は、載置面311に対して計測光DLを照射する。計測光DLは、載置面311に所望の投影パターンを投影するための光である。計測光DLは、載置面311に載置された計測対象物に所望の投影パターンを投影するための光である。所望の投影パターンは、1次元の投影パターンを含んでいてもよい。所望の投影パターンは、2次元の投影パターンを含んでいてもよい。投影装置81は、単一種類の投影パターンを計測対象物に投影してもよい。或いは、投影装置81は、複数種類の投影パターンを計測対象物に順に投影してもよい。
【0046】
図3(a)から図3(j)は、投影パターンの一例を示している。図3(a)は、白画像に相当する投影パターンを示している。図3(b)は、黒画像に相当する投影パターンを示している。図3(a)及び図3(b)は、環境光の状態を計測するために用いられてもよい。図3(c)から図3(f)は、互いに異なる複数の縞パターン(例えば、縞の数及び幅が互いに異なる複数の縞パターン)に相当する複数の投影パターンを示している。図3(g)から図3(j)は、互いに位相が異なるグレーパターン(言い換えれば、位相シフトパターン)に相当する複数の投影パターンを示している。
【0047】
投影装置81は、図3(a)及び図3(b)に示す複数の投影パターンを順に投影し、その後、図3(c)から図3(f)に示す複数の投影パターンを順に投影し、その後、図3(g)から図3(j)に示す複数の投影パターンを順に投影してもよい。この場合、図3(g)から図3(j)のそれぞれに示す投影パターンに含まれるグレーコードの周期幅は、図3(c)から図3(f)に示す投影パターンに含まれる縞の最小幅と同じであってもよい。尚、位相シフトパターンが投影された計測対象物を複数の撮像装置82を用いて撮像することで計測対象物の状態を計測する手法の一例として、ステレオ視位相シフト法があげられる。
【0048】
撮像装置82は、載置面311を撮像する。撮像装置82は、載置面311に載置された計測対象物を撮像する。特に、撮像装置82は、計測対象物に投影された投影パターンを撮像する。制御装置7は、撮像装置82の撮像結果(特に、撮像された投影パターンに関する情報)に基づいて、計測装置8が計測した計測対象物に関する計測情報(つまり、計測装置8による計測対象物の計測結果に関する計測情報)を生成する。計測対象物の計測が計測対象物の位置の計測及び計測対象物の形状の計測の少なくとも一つを含んでいるため、計測情報は、計測装置8が計測した計測対象物の位置に関する計測位置情報及び計測装置8が計測した計測対象物の形状に関する計測形状情報の少なくとも一つを含んでいてもよい。この場合、制御装置7は、計測情報(つまり、計測位置情報及び計測形状情報の少なくとも一つ)を生成するための情報生成装置として機能可能である。
【0049】
計測情報は、計測位置情報及び計測形状情報のいずれか一つを含んでいてもよい。計測情報は、計測位置情報及び計測形状情報の双方を含んでいてもよい。特に、計測情報は、計測位置情報と計測形状情報とが対応する情報であってもよい。「計測位置情報と計測形状情報とが対応する計測情報」は、計測対象物の各部分の位置及び形状の双方を特定可能な状態にある情報を意味する。このため、このような計測情報を参照すれば、計測対象物のある部分の位置が特定できるものの、同じ部分の形状を特定することができないという状況は生じない。以下の説明では、説明の便宜上、計測情報は、計測位置情報と計測形状情報が対応している情報である例を用いて説明を進める。尚、このような計測情報は、計測位置情報と計測形状情報とを別個独立した異なる情報として含んでいなくてもよく、計測対象物の各部分の位置及び形状の双方を特定できる限りは、計測情報はどのようなデータ構造を有していてもよい。
【0050】
計測装置8は、隔壁部材83によってチャンバ空間63INから隔離されている。計測装置8は、隔壁部材83によってチャンバ空間63INから隔離された空間に配置されている。これにより、チャンバ空間63INに存在する物質の計測装置8に対する付着が抑制される。尚、チャンバ空間63INに存在する物質の一例として、材料ノズル212からチャンバ空間63INに供給される造形材料M、及び、加工光ELの照射に起因して後述する造形面MSから発生する物質があげられる。加工光ELの照射に起因して後述する造形面MSから発生する物質の一例として、溶融した造形材料Mの微粒子及び溶融したワークWを構成する材料の微粒子の少なくとも一方を含むヒュームがあげられる。
【0051】
隔壁部材83は、投影装置81が照射する計測光DLの光路と隔壁部材83とが交差する位置に、計測光DLが通過可能である一方で上述した物質を遮断可能な光透過部材84を備えている。その結果、計測装置8が隔壁部材83によってチャンバ空間63INから隔離されていたとしても、計測装置8は、チャンバ空間63INに配置される計測対象物に対して計測光DLを適切に照射することができる。尚、計測装置8は隔壁部材83によってチャンバ空間63INから隔離されていなくてもよい。例えば、計測装置8はチャンバ空間63IN内に配置されていてもよい。計測装置8がチャンバ空間63IN内に配置される場合、計測装置8は耐粉塵性を有していてもよい。
【0052】
ディスプレイ91は、制御装置7の制御下で所望の画像を表示可能な表示装置である。例えば、ディスプレイ91は、加工システムSYSに関する情報を表示してもよい。例えば、ディスプレイ91は、3次元構造物STに関する情報を表示してもよい。例えば、ディスプレイ91は、ワークWに関する情報を表示してもよい。例えば、ディスプレイ91は、撮像装置82による撮像結果に関する情報を表示してもよい。
【0053】
尚、ディスプレイ91は、加工システムSYSの内部に設けられていなくてもよい。例えば、ディスプレイ91は、加工システムSYSの外部に、外部ディスプレイとして設けられていてもよい。この場合、ディスプレイ91と加工システムSYSとは、有線及び/又は無線のネットワーク(或いは、ケーブル、データバス及び/又は通信回線)で接続されていてもよい。この場合、制御装置7は、ネットワークを介して、ディスプレイ91との間で各種の情報の送受信(つまり、入出力)が可能となるように構成されていてもよい。ディスプレイ91は、制御装置7との間で(更には、制御装置7を介して又は介することなく加工システムSYSが備えるその他の装置との間で)情報の送受信を行う送受信部(つまり、入出力部)と、画像を表示する表示部とを備えていてもよい。
【0054】
入力装置92は、加工システムSYSの外部からの情報の入力を受け付ける装置である。例えば、入力装置92は、加工システムSYSのユーザからの情報の入力を受け付けてもよい。例えば、入力装置92は、加工システムSYSの外部の装置からの情報の入力を受け付けてもよい。例えば、入力装置92は、加工システムSYSに対して装着可能な記録媒体からの情報の入力を受け付けてもよい。入力装置92の一例として、ユーザが操作可能な操作装置があげられる。操作装置の一例として、キーボード、マウス、タッチパッド、タッチパネル(例えば、ディスプレイ91と一体化されたタッチパネル)及びポインティングデバイスの少なくとも一つがあげられる。入力装置92の他の一例として、加工システムSYSの外部の装置と接続するためのインタフェース装置があげられる。入力装置92の他の一例として、加工システムSYSに対して装着可能な記録媒体を読み取り可能な読取装置があげられる。入力装置92が入力を受け付けた情報(つまり、入力装置92に入力された情報)は、例えば、制御装置7に出力される。
【0055】
入力装置92は、ディスプレイ91の表示画面を介して、情報の入力を受け付けてもよい。例えば、入力装置92は、ディスプレイ91の表示画面上に表示されたGUI(Graphical User Interface)を介して、情報の入力を受け付けてもよい。例えば、入力装置92は、ディスプレイ91の表示画面上に表示されたGUIに対するユーザの操作に関する情報の入力を受け付けてもよい。この場合、ディスプレイ91は、制御装置7の制御下で、入力装置92を介した情報の入力を受け付けるための画像(例えば、上述したGUI)を表示してもよい。このように、ディスプレイ91は入力装置92として兼用されていてもよい。
【0056】
尚、入力装置92は、加工システムSYSの内部に設けられていなくてもよい。例えば、入力装置92は、加工システムSYSの外部に、外部入力装置として設けられていてもよい。この場合、入力装置92と加工システムSYSとは、有線及び/又は無線のネットワーク(或いは、ケーブル、データバス及び/又は通信回線)で接続されていてもよい。この場合、制御装置7は、入力装置92に入力される情報を、ネットワークを介して取得するように構成されていてもよい。言い換えれば、制御装置7は、入力装置92に入力される情報を、ネットワークを介して受信する受信装置として機能するように構成されていてもよい。入力装置92は、制御装置7との間で(更には、制御装置7を介して又は介することなく加工システムSYSが備えるその他の装置との間で)情報の送受信を行う送受信部(つまり、入出力部)と、加工システムSYSの外部からの入力を受け付ける入力受付部とを備えていてもよい。
【0057】
(2)第1実施形態の加工システムSYSの動作
続いて、加工システムSYSの動作の流れについて説明する。第1実施形態では、加工システムSYSは、制御装置7の制御下で、ワークモデルアライメント動作を行う。その後、加工システムSYSは、制御装置7の制御下で、造形モデルアライメント動作を行う。その後、加工システムSYSは、制御装置7の制御下で、造形動作を行う。更に、加工システムSYSは、制御装置7の制御下で、ワークモデルアライメント動作に先立って、座標マッチング動作を行ってもよい。このため、以下では、座標マッチング動作、ワークモデルアライメント動作、造形モデルアライメント動作及び造形動作について順に説明する。
【0058】
(2-1)座標マッチング動作
はじめに、座標マッチング動作について説明する。座標マッチング動作は、造形座標系と、ステージ座標系と、計測座標系とを互いに関連付けるための動作である。造形座標系は、造形ヘッド21の位置を特定するために用いられる3次元座標系である。例えば、ヘッド駆動系22は、造形座標系内において特定される造形ヘッド21の位置に関する情報に基づいて、造形ヘッド21を移動させる。例えば、位置計測装置23は、造形座標系内における造形ヘッド21の位置を計測する。ステージ座標系は、ステージ31上の位置(特に、ステージ31の載置面311上の位置)を特定するために用いられる3次元座標系である。或いは、ステージ座標系は、ステージ31の位置を特定するために用いられる3次元座標系であってもよい。後述するようにステージ駆動系によってステージ31が移動可能である場合には、ステージ駆動系は、ステージ座標系内において特定されるステージ31の位置に関する情報に基づいて、ステージ31を移動させてもよい。計測座標系は、計測装置8が計測した計測対象物の位置を特定するために用いられる3次元座標系である。つまり、計測座標系は、計測装置8の計測範囲内での位置を特定するために用いられる3次元座標系である。制御装置7は、計測装置8の計測結果に基づいて、計測座標系内における計測対象物の位置に関する計測位置情報を生成する。
【0059】
造形座標系とステージ座標系と計測座標系とが互いに関連付けられると、造形座標系、ステージ座標系及び計測座標系のうちのいずれか一つの座標系内のある位置の座標を、造形座標系、ステージ座標系及び計測座標系の別の一つの座標系内のある位置の座標に変換可能となる。従って、座標マッチング動作は、造形座標系内の座標をステージ座標系及び計測座標系のそれぞれの座標に変換するために用いられる情報(例えば、変換行列)、ステージ座標系内の座標を造形座標系及び計測座標系のそれぞれの座標に変換するために用いられる情報(例えば、変換行列)、並びに、計測座標系内の座標を造形座標系及びステージ座標系のそれぞれの座標に変換するために用いられる情報(例えば、変換行列)を取得するための動作と等価であると言える。
【0060】
尚、座標マッチング動作によって得られる情報(例えば、変換行列に関する情報)が制御装置7にとって既に既知の情報である場合には、加工システムSYSは、座標マッチング動作を行わなくてもよい。例えば、座標マッチング動作によって得られる情報が入力装置92を介して加工システムSYSに入力される場合には、加工システムSYSは、座標マッチング動作を行わなくてもよい。
【0061】
以下、このような座標マッチング動作の流れについて、図4を参照しながら説明する。図4は、座標マッチング動作の流れを示すフローチャートである。
【0062】
図4に示すように、加工システムSYSは、座標マッチング動作の一部として、造形座標系とステージ座標系とを関連付ける動作を行う(ステップS111からステップS113)。更に、加工システムSYSは、座標マッチング動作の一部として、計測座標系とステージ座標系とを関連付ける動作を行う(ステップS114からステップS116)。造形座標系とステージ座標系とが関連付けられ且つ計測座標系とステージ座標系とが関連付けられると、造形座標系と計測座標系とは、ステージ座標系を介して間接的に関連付けられている。このため、ステップS111からステップS116までの処理が行われることで、造形座標系とステージ座標系と計測座標系とが互いに関連付けられる。
【0063】
図4は、加工システムSYSが、造形座標系とステージ座標系とを関連付ける動作を行った後に、計測座標系とステージ座標系とを関連付ける動作を行う例を示している。しかしながら、加工システムSYSは、計測座標系とステージ座標系とを関連付ける動作を行った後に、造形座標系とステージ座標系とを関連付ける動作を行ってもよい。
【0064】
造形座標系とステージ座標系とを関連付けるために、まずは、ステージ31の載置面311に、ビーム検出部材32が載置される(ステップS111)。特に、ビーム検出部材32は、ビーム検出部材32と載置面311との位置関係が所望の第1位置関係となるように、載置面311に載置される。第1実施形態では、ビーム検出部材32と載置面311との位置関係が所望の第1位置関係となるようにビーム検出部材32を載置面311に載置するために、ビーム検出部材32と載置面311との双方に、位置合わせ用の目印が形成される。以下、図5から図10を参照しながら、位置合わせ用の目印が形成された載置面311及びビーム検出部材32の一例について説明する。図5は、位置合わせ用の目印が形成された載置面311を含むステージ31を示す平面図である。図6は、図5に示すステージ31のV-V’断面図である。図7は、位置合わせ用の目印が形成されたビーム検出部材32を示す平面図である。図8は、図7に示すビーム検出部材32のVII#1-VII#1’断面図である。図9は、図7に示すビーム検出部材32のVII#2-VII#2’断面図である。図10は、載置面311に載置されたビーム検出部材32を示す平面図である。
【0065】
図5及び図6に示すように、載置面311には、位置合わせ用の目印として、複数のピン312が形成されている。図5及び図6に示す例では、載置面311には、2つのピン312が形成されているが、3つ以上のピン312が形成されていてもよい。ピン312は、載置面311からZ軸方向に沿って突き出る部材である。尚、ステージ座標系内でのピン312の位置に関する情報は、制御装置7にとって既知の情報である。
【0066】
図7から図9に示すように、ビーム検出部材32は、ベース部材321を備えている。ベース部材321は、板状の部材である。ベース部材321は、載置面311に載置可能な形状及びサイズを有している。ベース部材321には、位置合わせ用の目印として、複数の貫通孔322が形成されている。図7及び図8に示す例では、ベース部材321には、2つの貫通孔322が形成されている。貫通孔322は、Z軸方向に沿ってベース部材321を貫通する。
【0067】
第1実施形態では、図10に示す通り、ビーム検出部材32は、貫通孔322にピン312が挿入されるように、載置面311上に載置される。ビーム検出部材32は、貫通孔322にピン312が挿入された状態で載置面311上に載置される。このため、貫通孔322の配列態様は、ピン312の配列態様と同一である。更に、貫通孔322の数は、ピン312の数と同一である(或いは、多くてもよい)。その結果、ビーム検出部材32は、載置面311に対して所望の第1位置関係を有するように載置面311に載置される。ビーム検出部材32は、載置面311上のピン312に対して所望の第1位置関係を有するように載置面311に載置される。ビーム検出部材32は、載置面311のピン312とビーム検出部材32の貫通孔322とがZ軸方向において重なるという所望の第1位置関係を満たすように、載置面311に載置される。ビーム検出部材32は、あるピン312のX軸方向における位置と当該あるピン312に対応する貫通孔322のX軸方向における位置とが同じになり且つあるピン312のY軸方向における位置と当該あるピン312に対応する貫通孔322のY軸方向における位置とが同じになるという所望の第1位置関係を満たすように、載置面311に載置される。
【0068】
ピン312が形成されている位置は、載置面311にビーム検出部材32を載置する際の載置面311上の基準位置として用いられてもよい。この場合、ビーム検出部材32は、載置面311上の基準位置に対して所望の第1位置関係を有するように位置合わせされた状態で載置面311に載置される。
【0069】
ビーム検出部材32は更に、遮光部材323を備えている。遮光部材323は、加工光ELを遮光する部材である。遮光部材323は、ベース部材321の上面(つまり、+Z側を向いた面)に形成されている。遮光部材323の上面は、ベース部材321の上面よりも上方に位置している。但し、遮光部材323の上面は、ベース部材321の上面よりも下方に位置していてもよいし、ベース部材321の上面と同じ高さに位置していてもよい。遮光部材323の少なくとも一部は、ベース部材321と一体化されていてもよい。遮光部材323は、ベース部材321から取り外し可能であってもよい。
【0070】
遮光部材323には、Z軸方向に沿って遮光部材323を貫通する開口324が形成されている。XY平面に沿った面内での開口324の形状は、スリット形状であるが、その他の任意の形状、円形状(ピンホール状)や長丸形状、多角形状等であってもよい。開口324は、加工光ELが通過可能な貫通孔である。
【0071】
ビーム検出部材32は更に、ビーム検出器325を備えている。ビーム検出器325は、開口324を通過した加工光ELを受光できる位置に配置される。そして、開口324は、貫通孔322に対して所定の位置関係を有する位置に配置される。この場合、開口324と貫通孔322との間の位置関係に関する情報は、制御装置7にとって既知の情報である。その結果、例えば、ビーム検出部材32が単一のビーム検出器325(典型的には、受光した加工光ELを光電変換可能な光量センサ等の光電変換器)を備える場合、この光電変換器の出力から開口324と加工光ELとの位置関係を求めることができる。典型的には、ビーム検出器325は、遮光部材323の下方(つまり、-Z側)に配置される。
【0072】
尚、開口324とビーム検出器325との間及び/又は開口324の入射側に、加工光EL又はガイド光GLを拡散させる拡散板が配置されていてもよい。また、開口324の入射側に、開口324を保護するためのカバーガラスが配置されていてもよい。
【0073】
ビーム検出部材32は、上述の通り単一のビーム検出器325を備えていてもよいし、複数のビーム検出器325を備えていてもよい。ビーム検出部材32が複数のビーム検出器325を備えている場合には、遮光部材323には、複数のビーム検出器325にそれぞれ対応する複数の開口324が形成されていてもよい。この場合、各ビーム検出器325は、各ビーム検出器325に対応する開口324を介して各ビーム検出器325に入射してくる加工光ELを検出する。
【0074】
ビーム検出器325の検出結果は、ビーム検出器325に入射した加工光ELの状態に関する情報を含んでいてもよい。例えば、ビーム検出器325の検出結果は、ビーム検出器325に入射した加工光ELの強度(具体的には、XY平面に交差する面内での強度)に関する情報を含む。より具体的には、ビーム検出器325の検出結果は、XY平面に沿った面内における加工光ELの強度分布に関する情報を含む。ビーム検出器325の検出結果は、制御装置7に出力される。
【0075】
再び図4において、ビーム検出部材32が載置面311に載置された後、造形装置2は、ビーム検出部材32に向けて加工光ELを照射する(ステップS112)。特に、造形装置2は、ビーム検出部材32に配置されたビーム検出器325に向けて加工光ELを照射する。ビーム検出部材32が複数のビーム検出器325を備えている場合には、造形装置2は、複数のビーム検出器325に向けて順に加工光ELを照射する。具体的には、ヘッド駆動系22は、ビーム検出器325に向けて加工光ELが照射されるように造形ヘッド21を移動させる。このとき、ヘッド駆動系22は、XY平面に沿った面内において加工光EL(より具体的には、加工光ELの照射領域EA)が開口324を横切るように、造形ヘッド21を移動させてもよい。造形ヘッド21は、ヘッド駆動系22によって移動している期間中に加工光ELを照射する。その結果、造形ヘッド21が移動している期間中のあるタイミングで加工光ELが開口324に照射されることになる。つまり、造形ヘッド21が移動している期間中のあるタイミングで、加工光ELがビーム検出器325によって検出される。
【0076】
その後、制御装置7は、ステップS112におけるビーム検出器325の検出結果に基づいて、造形座標系とステージ座標系とを関連付ける(ステップS113)。具体的には、ビーム検出器325の検出結果は、加工光ELが開口324に照射されていない期間中の加工光ELの強度と比較して、加工光ELの少なくとも一部が開口324に照射されている期間中の加工光ELの強度が大きくなっていることを示している。このため、制御装置7は、ビーム検出器325の検出結果に基づいて、加工光ELが開口324に照射されていた時刻(つまり、加工光ELがビーム検出器325に照射されていた時刻)を特定可能である。更に、制御装置7は、加工光ELが開口324に照射されていた時刻と位置計測装置23の計測結果とに基づいて、加工光ELがビーム検出器325に照射されていた時刻における造形ヘッド21の位置を特定可能である。尚、制御装置7は、ビーム検出器325の出力と位置計測装置23の計測結果とに基づいて、ビーム検出器325に加工光ELを照射可能な状態にある造形ヘッド21の位置を特定可能であってもよい。つまり、制御装置7は、造形座標系内において、ビーム検出器325に加工光ELを照射可能な状態にある造形ヘッド21の位置を特定可能である。尚、ここで言う造形ヘッド21の位置は、造形ヘッド21そのものの位置を含んでいてもよいし、造形ヘッド21に固有の位置を含んでいてもよい。造形ヘッド21に固有の位置の一例として、造形ヘッド21が付加加工を行う付加加工位置(つまり、加工光ELのフォーカス位置)があげられる。更に、上述したように、開口324と貫通孔322との間の位置関係に関する情報は、制御装置7にとって既知の情報である。このため、制御装置7は、開口324に加工光ELを照射可能な状態にある造形ヘッド21の位置に関する情報と、開口324と貫通孔322との間の位置関係に関する情報とに基づいて、造形座標系内において、貫通孔322に加工光ELを照射可能な状態にある造形ヘッド21の位置を特定可能である。更に、上述したように、載置面311にビーム検出部材32が載置されている状況下では、貫通孔322とピン312とはZ軸方向において重なる。このため、貫通孔322に加工光ELを照射可能な状態にある造形ヘッド21の位置は、ピン312に加工光ELを照射可能な状態にある造形ヘッド21の位置と等価とみなせる。更に、上述したように、ステージ座標系内でのピン312の位置に関する情報は、制御装置7にとって既知の情報である。このため、制御装置7は、ピン312に加工光ELを照射可能な状態にある造形ヘッド21の造形座標系内での位置と、ステージ座標系内でのピン312が形成されている位置とが互いに関連付けられるべき位置であると特定することができる。つまり、制御装置7は、造形座標系内でのある特定の位置と、ステージ座標系内でのある特定の位置とが互いに関連付けられるべき位置であると特定することができる。その結果、制御装置7は、造形座標系内でのある特定の位置とステージ座標系内でのある特定の位置とが互いに関連付けられるべき位置であるという特定結果に基づいて、造形座標系とステージ座標系とを関連付けることができる。その結果、制御装置7は、ステージ座標系内の任意の位置に加工光ELを照射可能な状態にある造形ヘッド21の位置を、造形座標系において特定することができる。更には、制御装置7は、造形座標系内の任意の位置に配置された造形ヘッド21が加工光ELを照射する位置(例えば、付加加工位置)を、ステージ座標系において特定することができる。
【0077】
続いて、計測座標系とステージ座標系とを関連付けるために、まずは、ステージ31の載置面311に、基準部材34が載置される。特に、基準部材34は、基準部材34と載置面311との位置関係が所望の第2位置関係となるように、載置面311に載置される。第1実施形態では、基準部材34と載置面311との位置関係が所望の第2位置関係となるように基準部材34を載置面311に載置するために、基準部材34と載置面311との双方に、位置合わせ用の目印が形成される。具体的には、基準部材34を載置面311に載置する場合にも、ビーム検出部材32を載置面311に載置する場合と同様に、載置面311に形成されたピン312が目印として用いられてもよい。このため、以下では、位置合わせ用の目印が形成された載置面311についての説明を省略した上で、図11から図12を参照しながら、位置合わせ用の目印が形成された基準部材34の一例について説明する。図11は、位置合わせ用の目印が形成された基準部材34を示す平面図である。図12は、載置面311に載置された基準部材34を示す平面図である。但し、載置面311に形成されたピン312とは異なる目印が、基準部材34を載置面311に載置するための目印として用いられてもよい。
【0078】
図11に示すように、基準部材34は、ベース部材341を備えている。ベース部材341は、板状の部材である。ベース部材341は、載置面311に載置可能な形状及びサイズを有している。ベース部材341には、位置合わせ用の目印として、複数の貫通孔342が形成されている。図11に示す例では、ベース部材341には、2つの貫通孔342が形成されている。貫通孔342は、Z軸方向に沿ってベース部材341を貫通する。
【0079】
第1実施形態では、図12に示すように、基準部材34は、貫通孔342にピン312が挿入されるように、載置面311上に載置される。このため、貫通孔342の配列パターンは、ピン312の配列パターンと同一である。更に、貫通孔342の数は、ピン312の数と同一である(或いは、多くてもよい)。その結果、基準部材34は、載置面311に対して所望の第2位置関係を有するように載置面311に載置される。基準部材34は、載置面311上のピン312に対して所望の第2位置関係を有するように載置面311に載置される。基準部材34は、載置面311のピン312と基準部材34の貫通孔342とがZ軸方向において重なるという所望の第2位置関係を満たすように、載置面311に載置される。基準部材34は、あるピン312のX軸方向における位置と当該あるピン312に対応する貫通孔342のX軸方向における位置とが同じになり且つあるピン312のY軸方向における位置と当該あるピン312に対応する貫通孔342のY軸方向における位置とが同じになるという所望の第2位置関係を満たすように、載置面311に載置される。
【0080】
ピン312が形成されている位置は、載置面311に基準部材34を載置する際の載置面311上の基準位置として用いられてもよい。この場合、基準部材34は、載置面311上の基準位置に対して所望の第2位置関係を有するように位置合わせされた状態で載置面311に載置される。
【0081】
ベース部材341の上面には、少なくとも一つの基準マーク343が形成されている。ベース部材341には、1つの基準マーク343が形成されていてもよいし、2つの基準マーク343が形成されていてもよいし、3つの基準マーク343が形成されていてもよいし、4つの基準マーク343が形成されていてもよいし、5つ以上の基準マーク343が形成されていてもよい。図11は、ベース部材341の上面に5つの基準マーク343が形成されている例を示している。基準マーク343は、計測装置8によって計測可能なマークである。例えば、基準マーク343は、計測装置8が備える撮像装置82によって撮像可能なマークである。基準マーク343と貫通孔342との間の位置関係に関する情報は、制御装置7にとって既知の情報である。
【0082】
基準マーク343は、ピン312が貫通孔342に挿入されるように基準部材34が載置面311に載置された場合において載置面311上の所定位置(例えば、載置面311の中心)に基準マーク343が配置されるように、ベース部材341上の所定位置に形成されていてもよい。この場合、基準マーク343が配置される載置面311上の所定位置(つまり、ステージ座標系における載置面311上の所定位置)に関する情報は、制御装置7にとって既知の情報であってもよい。また、この場合には、基準マーク343が配置されることになる載置面311上の所定位置が、載置面311に基準部材34を載置する際の載置面311上の基準位置として用いられてもよい。この場合、基準部材34は、載置面311上の基準位置に基準マーク343が配置されるように位置合わせされた状態で載置面311に載置される。尚、この場合には、基準マーク343が配置されている位置と貫通孔342との間の位置関係に関する情報は、制御装置7にとって既知の情報でなくてもよい。
【0083】
尚、図7から図9に示したビーム検出部材32と、図11及び図12に示した基準部材とを同一の部材に設けてもよい。
【0084】
再び図4において、基準部材34が載置面311に載置された後、計測装置8は、基準部材34を計測する(ステップS114)。特に、計測装置8は、基準部材34に形成された基準マーク343を計測する。
【0085】
その後、制御装置7は、ステップS115における計測装置8の計測結果に基づいて、計測座標系とステージ座標系とを関連付ける(ステップS116)。具体的には、制御装置7は、計測装置8の計測結果から、計測座標系における基準マーク343の位置を特定することができる。更に、上述したように、基準マーク343と貫通孔342との間の位置関係に関する情報は、制御装置7にとって既知の情報である。このため、制御装置7は、計測座標系における基準マーク343の位置に関する情報と、基準マーク343と貫通孔342との間の位置関係に関する情報とに基づいて、計測座標系内における貫通孔322の位置を特定可能である。更に、上述したように、載置面311に基準部材34が載置されている状況下では、貫通孔342の位置とピン312の位置とは同じである。このため、計測座標系内における貫通孔342の位置は、計測座標系内におけるピン312の位置と等価とみなせる。更に、上述したように、ステージ座標系内でのピン312の位置に関する情報は、制御装置7にとって既知の情報である。このため、制御装置7は、計測座標系内におけるピン312の位置と、ステージ座標系内でのピン312の位置とが互いに関連付けられるべき位置であると特定することができる。つまり、制御装置7は、計測座標系内でのある特定の位置と、ステージ座標系内でのある特定の位置とが互いに関連付けられるべき位置であると特定することができる。その結果、制御装置7は、計測座標系内でのある特定の位置とステージ座標系内でのある特定の位置とが互いに関連付けられるべき位置であるという特定結果に基づいて、計測座標系とステージ座標系とを関連付けることができる。その結果、制御装置7は、計測対象物のステージ座標系における位置を特定することができる。
【0086】
或いは、上述したように、載置面311上の所定位置(例えば、載置面311の中心)に基準マーク343が配置されるように基準マーク343がベース部材341に形成されている場合には、基準マーク343が配置されるステージ座標系内の所定位置に関する情報は、制御装置7にとって既知の情報である。このため、制御装置7は、計測座標系における基準マーク343の位置に関する情報と、基準マーク343が配置されるステージ座標系内の所定位置とが互いに関連付けられるべき位置であると特定することができる。つまり、制御装置7は、計測座標系内でのある特定の位置と、ステージ座標系内でのある特定の位置とが互いに関連付けられるべき位置であると特定することができる。その結果、制御装置7は、計測座標系内でのある特定の位置とステージ座標系内でのある特定の位置とが互いに関連付けられるべき位置であるという特定結果に基づいて、計測座標系とステージ座標系とを関連付けることができる。
【0087】
尚、ビーム検出部材32を用いて、加工光ELとガイド光GLとの位置ずれを計測してもよい。加工システムSYSが複数のガイド光GLを射出する場合、複数のガイド光GLが交差する位置と加工光ELのフォーカス位置(付加加工位置)との位置ずれを、ビーム検出部材32を用いて計測してもよい。加工光ELとガイド光GLとが位置ずれしていた場合には、加工光ELのフォーカス位置及び/又はガイド光GLの位置(複数のガイド光GLを用いるときには複数のガイド光GLの交差位置)を変更してもよい。
【0088】
(2-2)ワークモデルアライメント動作
続いて、ワークモデルアライメント動作について説明する。ワークモデルアライメント動作は、3次元構造物STを形成するべきワークWの3次元モデルであるワークモデルWMと実際のワークWとの位置合わせを行う動作である。特に、ワークモデルアライメント動作は、基準座標系においてワークモデルWMとワークWとの位置合わせを行う動作である。基準座標系は、加工システムSYSの基準となる座標系である。基準座標系は、制御装置7による制御に際して用いられる座標系である。第1実施形態では、ステージ座標系が基準座標系として用いられるものとする。この場合、ワークモデルアライメント動作は、ステージ座標系においてワークモデルWMとワークWとの位置合わせを行う動作である。但し、計測座標系又は造形座標系が基準座標系として用いられてもよい。ステージ座標系、計測座標系及び造形座標系とは異なる他の座標系が基準座標系として用いられてもよい。
【0089】
ワークモデルWMとワークWとの位置合わせの結果、ワークWに対して位置合わせされたワークモデルWMに関するワーク情報が生成される。ワーク情報は、ワークモデルWMの位置に関するワーク位置情報とワークモデルWMの形状に関するワーク形状情報との双方を含む。ワーク情報は、ワーク位置情報とワーク形状情報とが対応する情報である。ワークモデルWMの位置は、実際のワークWの位置と一致する(或いは、一致していないとしても、実質的にはほぼ一致する)。このため、ワーク位置情報は、ワークWの位置に関する情報と等価とみなせる。ワークモデルWMの形状は、実際のワークWの形状と一致する(或いは、一致していないとしても、実質的にはほぼ一致する)。このため、ワーク形状情報は、実際のワークWの形状に関する情報と等価とみなせる。尚、「ワーク位置情報とワーク形状情報とが対応するワーク情報」は、「計測位置情報と計測形状情報とが対応する計測情報」と同様に、ワークモデルWMの各部分の位置及び形状の双方を特定可能な状態にある情報を意味する。尚、このようなワーク情報は、ワーク位置情報とワーク形状情報とを別個独立した異なる情報として含んでいなくてもよく、ワークモデルWMの各部分の位置及び形状の双方を特定できる限りは、ワーク情報はどのようなデータ構造を有していてもよい。
【0090】
ワーク形状情報は、ワークモデルWMを構成する画素(言い換えれば、体積要素であって、いわゆるボクセル)の位置に関する情報(つまり、画素の位置に関する情報を用いてワークモデルWMの形状を示すデータ)を含んでいてもよい。ワーク形状情報は、ワークモデルWMのポリゴンデータを含んでいてもよい。ワーク形状情報は、ワークモデルWMをスライス処理する(つまり、ワークモデルWMを任意の面方向で所定の厚みにスライスする)ことで得られる各層の断面に関する断面形状データを含んでいてもよい。
【0091】
ワーク位置情報とワーク形状情報とが対応するワーク情報を参照すれば、制御装置7は、ステージ座標系内での載置面311とワークモデルWMとを示す斜視図である図13に示すように、ステージ座標系内において、ワークモデルWMの各部分(例えば、ワークモデルWMの表面の各部分)の位置及び向き(言い換えれば、姿勢)を特定することができる。つまり、制御装置7は、ステージ座標系内において、ワークWの各部分(例えば、ワークWの表面の各部分)の位置及び向き(言い換えれば、姿勢)を特定することができる。その結果、加工システムSYSは、ワーク情報に基づいて、後述する造形動作において、ワーク情報により位置及び向きが判明しているワークWに対して、適切に付加加工を行うことができる。
【0092】
第1実施形態では、加工システムSYSは、ワークモデルアライメント動作として、第1のワークモデルアライメント動作、第2のワークモデルアライメント動作及び第3のワークモデルアライメント動作の少なくとも一つを行う。このため、以下では、第1から第3のワークアライメント動作について順に説明する。
【0093】
尚、ワーク情報が制御装置7にとって既に既知の情報である場合には、加工システムSYSは、ワークモデルアライメント動作を行わなくてもよい。例えば、ワーク情報が入力装置92を介して加工システムSYSに入力される場合には、加工システムSYSは、ワークモデルアライメント動作を行わなくてもよい。
【0094】
(2-2-1)第1のワークモデルアライメント動作
はじめに、図14を参照しながら、第1のワークモデルアライメント動作について説明する。図14は、第1のワークモデルアライメント動作の流れを示すフローチャートである。
【0095】
図14に示すように、まずは、ステージ31の載置面311にワークWが載置される(ステップS121)。その後、計測装置7は、ワークWを計測する(ステップS122)。
【0096】
その後、制御装置7は、ステップS122における計測装置8の計測結果に基づいて、ワーク情報を生成する(ステップS123)。具体的には、上述したように、制御装置7は、計測装置8の計測結果(つまり、撮像装置82の撮像結果)に基づいて、計測装置8が計測したワークWに関する計測情報を生成する。計測情報には、ワークWの形状に関する計測形状情報が含まれている。この計測形状情報は、ワーク形状情報としてそのまま用いられる。更に、計測情報には、ワークWの位置に関する計測位置情報が含まれている。但し、計測位置情報は、計測座標系内でのワークWの位置に関する情報である。このため、制御装置7は、計測位置情報が示す計測座標系内でのワークWの位置を、ステージ座標系内でのワークWの位置に変換する。変換によって取得されたステージ座標系内でのワークWの位置に関する情報が、ワーク位置情報として用いられる。その結果、制御装置7は、ワーク位置情報とワーク形状情報が対応するワーク情報を生成することができる。つまり、制御装置7は、実際のワークWに対応するワークモデルWMに関するワーク情報を生成することができる。
【0097】
(2-2-2)第2のワークモデルアライメント動作
続いて、図15を参照しながら、第2のワークモデルアライメント動作について説明する。図15は、第2のワークモデルアライメント動作の流れを示すフローチャートである。
【0098】
図15に示すように、まずは、ステージ31の載置面311にワークWが載置される(ステップS131)。その後、計測装置7は、ワークWを計測する(ステップS132)。
【0099】
ステップS131からステップS132の処理と相前後して又は並行して、制御装置7は、載置面311に載置されているワークWの形状に対応するワークモデルデータを取得する(ステップS133)。具体的には、制御装置7は、ワークWの形状と同じ又は相似の形状を有するワークモデルWMを示すワークモデルデータを取得する。ワークモデルデータは、ワークモデルWMの特徴に関するワークモデル特徴情報を含んでいる。特に、ワークモデルデータは、ワークモデルWMの特徴の一例であるワークモデルWMの形状に関するワークモデル形状情報を少なくとも含んでいる。
【0100】
ワークモデルデータは、制御装置7が備えるメモリ(つまり、記録媒体)に記録されていてもよい。ワークモデルデータは、制御装置7に内蔵された又は制御装置7に外付け可能な任意の記録媒体(例えば、ハードディスクや半導体メモリ)に記録されていてもよい。この場合、制御装置7は、必要に応じて入力装置92を用いて、これらの記録媒体からワークモデルデータを読み出すことで、ワークモデルデータを取得してもよい。ワークモデルデータは、制御装置7の外部の装置に記録されていてもよい。ワークモデルデータは、加工システムSYSの外部の装置に記録されていてもよい。この場合、制御装置7は、必要に応じて入力装置92を用いて、外部の装置からワークモデルデータをダウンロードすることで、ワークモデルデータを取得してもよい。
【0101】
記録媒体(或いは、外部の装置)には、複数の異なる形状をそれぞれ有する複数のワークモデルWMを示す複数のワークモデルデータが記録されていてもよい。この場合、制御装置7は、複数のワークモデルデータの中から、ワークWの形状に対応する一のワークモデルデータを取得してもよい。その結果、載置面311に載置されるワークWの形状が変わる場合であっても、制御装置7は、ワークWの形状に対応する一のワークモデルデータを適切に取得することができる。或いは、載置面311に載置されるワークWの形状が常に同じである場合には、記録媒体(或いは、外部の装置)には、単一のワークモデルデータが記録されていてもよい。
【0102】
制御装置7は、加工システムSYSのユーザの指示に基づいて、ワークモデルデータを取得してもよい。具体的には、制御装置7は、複数のワークモデルWMを表示するようにディスプレイ91を制御してもよい。更に、制御装置7は、複数のワークモデルWMのうちのいずれか一つを、ワークWの形状と同じ又は相似の形状を有するワークモデルWMとしてユーザに選択させるためのGUIを表示するように、ディスプレイ91を制御してもよい。ユーザは、ワークWを視認することでワークWの形状を把握すると共に、把握したワークWの形状と同じ又は相似の形状を有するワークモデルWMを、入力装置92を用いて選択してもよい。その結果、制御装置7は、ユーザが選択したワークモデルWMを示すワークモデルデータを取得する。或いは、載置面311に載置されるワークWの形状が予め定まっている場合には、制御装置7は、予め定まっているワークWの形状と同じ又は相似の形状を有するワークモデルWMを示すワークモデルデータを取得してもよい。
【0103】
制御装置7は、ユーザの指示に基づいて、取得したワークモデルデータが示すワークモデルWMを修正してもよい。例えば、制御装置7は、ユーザの指示に基づいて、ワークモデルWMの特徴(例えば、形状及びサイズの少なくとも一方)を修正してもよい。ワークWMモデルが修正された場合には、修正後のワークモデルWMに関するワークモデルデータが、以降の処理では用いられる。
【0104】
その後、制御装置7は、ステップS132における計測装置8の計測結果と、ステップS133で取得されたワークモデルデータとに基づいて、ワーク情報を生成する(ステップS134)。
【0105】
具体的には、制御装置7は、ワークモデルデータから、ワークモデルWMの形状に関するワークモデル形状情報を取得する。ワークモデルWMの形状がワークWの形状と同一又は相似であるため、ワークモデル形状情報は、ワークWの形状に関する情報と等価とみなせる。一方で、計測装置8の計測結果に基づいて生成される計測情報にもまた、ワークWの形状に関する計測形状情報が含まれている。しかしながら、計測装置8の計測誤差等に起因して、計測形状情報が示すワークWの形状の精度は、ワークモデル形状情報が示すワークモデルWMの形状の精度よりも低くなる可能性がある。そこで、第1実施形態では、制御装置7は、計測情報に含まれる計測形状情報に代えて、ワークモデルデータから取得されるワークモデル形状情報を、ワーク形状情報として用いる。
【0106】
但し、ワークモデル形状情報は、計測装置8の計測結果に基づいて生成される計測情報とは別個の情報である。このため、ワークモデル形状情報には、載置面311上でのワークWの位置に関する情報が対応付けられていない。つまり、ワークモデル形状情報を参照するだけでは、制御装置7は、ワークモデルWM(つまり、ワークW)が、載置面311上のどの位置に配置されているかを特定することができない。また、ワークモデル形状情報を参照するだけでは、制御装置7は、ワークモデルWM(つまり、ワークW)が、載置面311上でどのような姿勢で配置されているかを特定することができない。また、ワークモデル形状情報を参照するだけでは、制御装置7は、ワークモデルWM(つまり、ワークW)が、載置面311上でどの程度のサイズを有しているかを特定することができない。そこで、制御装置7は、計測情報に含まれるワークWの位置に関する計測位置情報とワークモデル形状情報とを関連付ける。具体的には、制御装置7は、計測位置情報とワークモデル形状情報とを関連付けることで、ワークモデルWMの形状に加えてワークモデルWMの載置面311上での位置をも特定可能なワーク情報を生成する。ワークモデルWMの載置面311上での位置は、それぞれ、ワークWの載置面311上での位置としてそれぞれ利用可能である。このため、制御装置7は、ワークWの載置面311上での位置を特定可能な(更には、当然に形状も特定可能な)ワーク情報を生成することができる。この場合、制御装置7は、計測位置情報とワークモデル形状情報とを関連付ける演算装置として機能可能である。
【0107】
具体的には、制御装置7は、計測装置8の計測結果に基づいて、計測形状情報と計測位置情報とが互いに関連付けられた状態で含まれている計測情報を生成する。その後、制御装置7は、計測位置情報が示すワークWの位置にワークモデルWMを配置するための位置合わせ処理を行う。つまり、制御装置7は、ワークモデルWMを平行移動、拡大、縮小及び/又は回転して計測形状情報が示すワークWに近づける位置合わせ処理を行う。その結果、ワークモデルWMの載置面311上での位置(つまり、ワークWの載置面311上での位置)が判明する。このため、制御装置7は、位置合わせ処理の結果に基づいて、ワーク情報を生成することができる。
【0108】
制御装置7は、位置合わせ処理の一部として、パターンマッチング処理を行ってもよい。以下、パターンマッチング処理を含む位置合わせ処理の一具体例について説明する。制御装置7は、ワークモデルWMに基づいて、ワークモデルWMの複数の特徴点であるワークモデル特徴点を抽出する。制御装置7は、複数の(例えば、3つ以上の)ワークモデル特徴点を抽出する。制御装置7は、入力装置92を用いてユーザが行うワークモデル特徴点を指定するための操作に基づいて、ワークモデル特徴点を抽出してもよい。制御装置7は、ユーザの操作を必要とすることなく、所定の抽出基準に従ってワークモデル特徴点を抽出してもよい。また、制御装置7は、計測情報に基づいて、ワークWの特徴点(具体的には、計測情報から特定可能なワークWの特徴点)であって且つワークモデル抽出点に対応する計測特徴点も抽出する。制御装置7は、複数の(例えば、3つ以上の)計測特徴点を抽出する。制御装置7は、入力装置92を用いてユーザが行う計測特徴点を指定するための操作に基づいて、計測特徴点を抽出してもよい。制御装置7は、ユーザの操作を必要とすることなく、所定の抽出基準に従って計測特徴点を抽出してもよい。その後、制御装置7は、ワークモデル特徴点と計測特徴点とに基づいて、ワークモデルWMと計測情報が示すワークWとをパターンマッチングする。具体的には、制御装置7は、ワークモデルWMと計測情報が示すワークWとをパターンマッチングする様子を概念的に示す概念図である図16に示すように、ワークモデル特徴点が計測特徴点に近づくようにワークモデルWMを平行移動、拡大、縮小及び/又は回転させる。制御装置7は、ワークモデル特徴点と計測特徴点とのずれが所定量以下になるまで(典型的には、最少になるまで)ワークモデルWMを平行移動、拡大、縮小及び/又は回転させる。その結果、計測座標系内において、ワークモデルWMが、計測情報が示すワークWの配置位置と同じ位置に配置されることになる。このため、位置合わせ処理の結果、制御装置7は、計測座標系内でのワークモデルWMの位置を特定することができる。但し、ワーク情報を生成するにあたって、計測座標系内でのワークモデルWMの位置は、上述したように、ステージ座標系内でのワークモデルWMの位置に変換される。その結果、ワーク位置情報として利用可能なワークモデルWMの位置に関する情報が取得される。つまり、ワーク形状情報として利用可能なワークモデル形状情報とワーク位置情報として利用可能なワークモデルWMの位置に関する情報とが対応するワーク情報が、ワークモデルWMに関する情報として取得される。
【0109】
制御装置7は、位置合わせ処理を行うための任意のアルゴリズムを用いて、位置合わせ処理を行ってもよい。このようなアルゴリズムの一例として、複数の点群(例えば、上述したワークモデル特徴点を含む点群と計測特徴点を含む点群)の位置合わせを行うためのICP(Interative Closest Point)アルゴリズムがあげられる。
【0110】
以上説明した第2のワークモデルアライメント動作によれば、第1のワークモデルアライメント動作と比較して、ワーク情報が示すワークモデルWMの形状(つまり、ワークWの形状)がより高精度になる可能性がある。その理由は、上述したとおり、計測形状情報が示すワークWの形状の精度は、ワークモデル形状情報が示すワークモデルWMの形状の精度よりも低くなる可能性があるからである。このため、第2のワークモデルアライメント動作によって生成されたワーク情報を用いることで、加工システムSYSは、後述する造形動作によって3次元構造物STをより高精度に形成することができる可能性がある。
【0111】
尚、上述した説明では、制御装置7は、図15のステップS134において、加工システムSYSが備える計測装置8の計測結果(特に、計測位置情報)と、ステップS133で取得されたワークモデルデータ(特に、ワークモデル形状情報)とに基づいて、ワーク情報を生成している。つまり、制御装置7は、加工システムSYSが備える計測装置8の計測結果から生成される計測位置情報とワークモデル形状情報とを関連付けている。しかしながら、制御装置7は、加工システムSYSの外部から入力装置92を介して計測位置情報を取得すると共に、当該取得した計測位置情報とワークモデル形状情報とに基づいて、ワーク情報を生成してもよい。つまり、制御装置7は、加工システムSYSの外部から入力装置92を介して取得された計測位置情報とワークモデル形状情報とを関連付けてもよい。
【0112】
上述した説明では、図15のステップS134において、加工システムSYSが備える制御装置7が計測位置情報とワークモデル形状情報とを関連付けている。しかしながら、加工システムSYSの外部の装置が、計測位置情報とワークモデル形状情報とを関連付けてもよい。この場合、制御装置7は、ネットワークを介して、計測位置情報とモデル形状情報と加工システムSYSの外部の装置に対して送信(つまり、出力)してもよい。
【0113】
(2-2-3)第3のワークモデルアライメント動作
続いて、図17を参照しながら、第3のワークモデルアライメント動作について説明する。図17は、第3のワークモデルアライメント動作の流れを示すフローチャートである。
【0114】
図17に示すように、まずは、ステージ31の載置面311にワークWが載置される(ステップS141)。その後、計測装置7は、ワークWを計測する(ステップS142)。
【0115】
その後、制御装置7は、載置面311に載置されているワークWの形状に対応するワークモデルデータを取得する(ステップS142)。尚、ステップS142の処理は、上述した第2のワークモデルアライメント動作におけるステップS133の処理と同一であってもよいため、その詳細な説明を省略する。
【0116】
その後、ユーザによって、ワークモデルWMの表面上のある点が、ユーザ指定点として指定される(ステップS143)。具体的には、ユーザは、入力装置92を用いて、ユーザ指定点を指定する。この場合、制御装置7は、ステップS142で取得されたワークモデルデータが示すワークモデルWMを表示するようにディスプレイ91を制御し、ユーザは、ディスプレイ91に表示されたワークモデルWM上においてユーザ指定点を指定してもよい。ユーザ指定点は、ワークモデルWMの表面の特徴的な点であってもよい。ワークモデルWMの表面の特徴的な点の一例として、頂点、角、最も+Z側に位置する点、最も-Z側に位置する点、最も+X側に位置する点、最も-X側に位置する点、最も+Y側に位置する点、及び、最も-Y側に位置する点の少なくとも一つがあげられる。但し、ユーザ指定点は、ワークモデルWMの表面上の点である限りは、どのような点であってもよい。
【0117】
その後、ヘッド駆動系22は、ステップS143で指定されたユーザ指定点に対応するワークW上の点(以降、“ワーク指定点”と称する)と造形装置2とが所望の第3位置関係を有するという位置条件が満たされるように、造形ヘッド21を移動させる(ステップS144)。ワーク指定点は、典型的には、ユーザ指定点と同じ点となる。例えば、ワークモデルWMの頂点がユーザ指定点として指定されている場合には、ワークWの頂点がワーク指定点となる。この場合、第3位置関係に関する情報は、制御装置7にとって既知の情報である。
【0118】
ワーク指定点と造形装置2とが所望の第3位置関係を有する状態の一例として、造形装置2がワーク指定点を加工可能な状態があげられる。造形装置2は主として付加加工位置(つまり、加工光ELのフォーカス位置)において物体を加工することから、ワーク指定点と造形装置2とが所望の第3位置関係を有する状態の一例として、付加加工位置がワーク指定点に設定される状態があげられる。上述したように、複数のガイド光射出装置24からそれぞれ射出される複数のガイド光GLは、付加加工位置において交差する。このため、ワーク指定点と造形装置2とが所望の第3位置関係を有する状態の一例として、複数のガイド光GLがワーク指定点において交差する状態があげられる。つまり、ワーク指定点と造形装置2とが所望の第3位置関係を有する状態の一例として、複数のガイド光GLがワーク指定点に照射される状態があげられる。
【0119】
複数のガイド光GLがワーク指定点において交差するという条件が位置条件として用いられる場合には、複数のガイド光射出装置24は、それぞれ複数のガイド光GLを射出し、ヘッド駆動系22は、ワーク指定点において複数のガイド光GLが交差するように、造形ヘッド21を移動させる(ステップS144)。つまり、ヘッド駆動系22は、造形ヘッド21を移動させることで、ワーク指定点において複数のガイド光GLが交差するようにワークWと付加加工位置との相対的な位置関係を変更する。
【0120】
図18は、ワーク指定点において複数のガイド光GLが交差する様子を示す断面図である。一方で、図19は、ワーク指定点において複数のガイド光GLが交差していない様子を示す断面図である。ヘッド駆動系22は、複数のガイド光GLの状態が図19に示す状態から図18に示す状態へと変化するように(つまり、複数のガイド光GLが交差する点がワーク指定点に近づくように)、造形ヘッド21を移動させる。
【0121】
この場合、ガイド光GLは、ワーク指定点と造形装置2とが所望の第3位置関係を有するようにワーク指定点と造形装置2との位置合わせを行うためのガイド光として機能し得る。ワーク指定点がワークWの表面に指定されることから、ガイド光GLは、ワーク指定点と造形装置2とが所望の第3位置関係を有するようにワークWと造形装置2との位置合わせを行うためのガイド光として機能し得る。
【0122】
制御装置7は、造形ヘッド21を移動させるユーザの指示に基づいて造形ヘッド21が移動するようにヘッド駆動系22を制御してもよい。つまり、ワーク指定点において複数のガイド光GLが交差するか否かをユーザが目視で確認すると共に、ヘッド駆動系22は、ユーザによる確認結果に基づいて造形ヘッド21を移動させてもよい。この場合、ユーザの指示は、入力装置92を介して入力されてもよい。
【0123】
造形ヘッド21を移動させる場合には、制御装置7は、ワークW上でのガイド光GLの状態を撮像するように撮像装置82を制御すると共に、撮像装置82の撮像結果を表示するようにディスプレイ91を制御してもよい。或いは、加工システムSYSが撮像装置82とは異なる撮像装置を備えている場合には、制御装置7は、ワークW上でのガイド光GLの状態を撮像するように他の撮像装置を制御すると共に、他の撮像装置の撮像結果を表示するようにディスプレイ91を制御してもよい。この場合、ユーザは、ディスプレイ91の表示内容を参照しながら、入力装置92を用いて、造形ヘッド21を移動させる指示を入力してもよい。或いは、制御装置7は、撮像装置82の撮像結果(或いは、他の撮像装置の撮像結果、以下同じ)に基づいて造形ヘッド21が移動するようにヘッド駆動系22を制御してもよい。
【0124】
尚、ガイド光GLの波長は、加工光ELの波長と異なっていてもよい。ガイド光GLの波長が加工光ELの波長と異なる場合、撮像装置82又は他の撮像装置の光学系の最もワークW側に、加工光ELを反射しガイド光GLを透過するフィルタが配置されていてもよい。例えば、加工光ELが赤外光の波長帯域であるときには、フィルタとして赤外反射フィルタを用いてもよい。
【0125】
具体的には、ワーク指定点において複数のガイド光GLが交差している場合には、撮像装置82の撮像結果は、図20(a)に示すように、ワークWの表面(特に、ワーク指定点)において複数のガイド光GLのビームスポットが重なっていることを示す。つまり、撮像装置82の撮像結果は、図20(a)に示すように、ワークWの表面(特に、ワーク指定点)に単一のビームスポットが形成されていることを示す。一方で、ワーク指定点において複数のガイド光GLが交差していない場合には、撮像装置82の撮像結果は、図20(b)に示すように、ワークWの表面(特に、ワーク指定点)において複数のガイド光GLのビームスポットが重なっていないことを示す。つまり、撮像装置82の撮像結果は、図20(b)に示すように、ワークWの表面(特に、ワーク指定点)に複数のビームスポットが形成されていることを示す。従って、制御装置7は、撮像装置82の撮像結果に基づいて、ワーク指定点において複数のガイド光GLが交差するか否かを判定することができる。ワーク指定点において複数のガイド光GLが交差していなければ、ユーザ又は制御装置7は、ワークWの表面における複数のガイド光GLの状態が、図20(b)に示す状態から図20(a)に示す状態へと変化するように(つまり、複数のビームスポットが近づくように)、造形ヘッド21を移動させる。
【0126】
その後、ワーク指定点と造形装置2とが所望の第3位置関係を有するという位置条件が満たされるように造形ヘッド21が移動した後、位置計測装置23は、位置条件が満たされた時点での造形ヘッド21の位置を計測する(ステップS145)。上述した例で言えば、位置計測装置23は、ワーク指定点において複数のガイド光GLが交差しているときの造形ヘッド21の位置を計測する(ステップS145)。上述したように、複数のガイド光GLは、付加加工位置において交差する。このため、ステップS145では、位置計測装置23は、ワーク指定点に付加加工位置が設定された状態にある造形ヘッド21の位置を計測していると言える。つまり、ステップS145では、位置計測装置23は、ワーク指定点を加工可能な状態にある造形ヘッド21の位置を計測していると言える。また、付加加工位置は、造形ヘッド21に対して固定された位置関係を有するがゆえに、造形ヘッド21の位置を計測する動作は、付加加工位置を間接的に計測する動作と等価とみなせる。また、付加加工位置がワーク指定点に設定された状態で造形ヘッド21の位置が計測されるがゆえに、造形ヘッド21の位置を計測する(つまり、付加加工位置を間接的に計測する)動作は、ワークW上のワーク指定点の位置を間接的に計測する動作と等価とみなせる。
【0127】
その後、制御装置7は、新たなユーザ指定点が指定されるべきか否かを判定する(ステップS146)。具体的には、制御装置7は、所望数のユーザ指定点が指定され且つ所望数のユーザ指定点のそれぞれを対象に上述したステップS144及びS145の処理が行われたか否かを判定してもよい。所望数は、1つであってもよいし、2つであってもよいし、3つであってもよいし、4つであってもよいし、5つ以上であってもよい。所望数のユーザ指定点が指定されていない(その結果、所望数のユーザ指定点のそれぞれを対象に上述したステップS144及びS145の処理が行われていない)と判定された場合には、制御装置7は、新たなユーザ指定点が指定されるべきであると判定してもよい。他方で、所望数のユーザ指定点が指定され且つ所望数のユーザ指定点のそれぞれを対象に上述したステップS144及びS145の処理が行われたと判定された場合には、制御装置7は、新たなユーザ指定点が指定されなくてもよいと判定してもよい。
【0128】
尚、ユーザ指定点の数が1つであるときには、後述するステップS148において、ワークWのX軸方向の位置、Y軸方向の位置及びZ軸方向の位置が算出可能である。ワークWの形状が制御装置7にとって既知の情報であって且つユーザ指定点の数が2つであるときには、ワークWのX軸方向の位置、Y軸方向の位置及びZ軸方向の位置に加えて、ワークWのZ軸周りの回転θzが算出可能となる。また、ワークWの形状が制御装置7にとって既知の情報であって且つユーザ指定点の数が3つ以上であるときには、ワークWのX軸方向の位置、Y軸方向の位置及びZ軸方向の位置に加えて、ワークWのX軸周りの回転θx、ワークWのY軸周りの回転θy及びワークWのZ軸周りの回転θzが算出可能となる。
【0129】
ステップS146における判定の結果、新たなユーザ指定点が指定されるべきと判定された場合には(ステップS147:Yes)、ユーザによって、ワークモデルWMの表面上のある点(但し、今までユーザ指定点として指定されたことがない点)が、新たなユーザ指定点として指定される(ステップS147)。その後、新たなユーザ指定点を対象に、上述したステップS144及びS145の処理が行われる。
【0130】
他方で、ステップS146における判定の結果、新たなユーザ指定点が指定されなくてもよいと判定された場合には(ステップS147:No)、制御装置7は、ステップS145における位置計測装置23の計測結果と、ステップS142で取得されたワークモデルデータとに基づいて、ワーク情報を生成する(ステップS148)。
【0131】
具体的には、上述したように、ステップS145における位置計測装置23の計測結果は、ワーク指定点と造形装置2とが所望の第3位置関係を有するときの造形ヘッド21の位置を示している。このため、制御装置7は、位置計測装置23の計測結果から、造形座標系におけるワーク指定点の位置を特定することができる。なぜならば、ワーク指定点と造形装置2とが所望の第3位置関係を有しているがゆえに、ワーク指定点と造形ヘッド21とは当然に、制御装置7にとって既知の情報である第3位置関係に関する情報から特定可能な一定の位置関係を有しているからである。
【0132】
その後、制御装置7は、ワークモデルWMのユーザ指定点を、位置計測装置23の計測結果から特定したワーク指定点の位置に配置するための位置合わせ処理を行う。つまり、制御装置7は、ワークモデル形状情報が示すワークモデルWMを平行移動、拡大、縮小及び/又は回転して、ユーザ指定点をワーク指定点の位置に近づける位置合わせ処理を行う。その結果、ワークモデルWMの載置面311上での位置が判明する。このため、制御装置7は、位置合わせ処理の結果に基づいて、ワーク情報を生成する。尚、制御装置7は、位置合わせ処理として、上述した第2のワークモデルアライメント動作で用いられた位置合わせ処理と同様の処理を行ってもよい。例えば、制御装置7は、複数の点群(例えば、モデル指定点を含む点群とユーザ指定点を含む点群)の位置合わせを行うためのICP(Interative Closest Point)アルゴリズムを用いて、位置合わせ処理を行ってもよい。このため、第3のワークモデルアライメント動作における位置合わせ処理の詳細については省略する。
【0133】
以上説明した第3のワークモデルアライメント動作によれば、制御装置7は、計測装置8によるワークWの計測を必要とすることなく、ワーク情報が生成可能となる。このため、計測装置8が計測しにくい又は計測できない形状をワークWが有する場合であっても、制御装置7は、ワーク情報を生成することができる。
【0134】
(2-3)造形モデルアライメント動作
続いて、造形モデルアライメント動作について説明する。造形モデルアライメント動作は、付加加工によって形成されるべき3次元構造物STの3次元モデルである造形モデルPMと、ワークモデルアライメント動作によって生成されたワーク情報が示すワークモデルWMとの位置合わせを行う動作である。特に、造形モデルアライメント動作は、基準座標系において造形モデルPMとワークモデルWMとの位置合わせを行う動作である。上述したように、第1実施形態では、ステージ座標系が基準座標系として用いられる。このため、造形モデルアライメント動作は、ステージ座標系において造形モデルPMとワークモデルWMとの位置合わせを行う動作である。
【0135】
造形モデルPMとワークモデルWMとの位置合わせの結果、ワークモデルWMに対して位置合わせされた造形モデルPMに関する造形情報が生成される。造形モデル情報は、造形モデルPMの位置に関する造形位置情報と造形モデルPMの形状に関する造形形状情報とが対応する情報である。尚、「造形位置情報と造形形状情報とが対応する造形情報」は、造形モデルPMの各部分の位置及び形状の双方を特定可能な状態にある情報を意味する。尚、このような造形情報は、造形位置情報と造形形状情報とを別個独立した異なる情報として含んでいなくてもよく、造形モデルPMの各部分の位置及び形状の双方を特定できる限りは、造形情報はどのようなデータ構造を有していてもよい。
【0136】
造形形状情報は、造形モデルPMを構成する画素(言い換えれば、体積要素であって、いわゆるボクセル)の位置に関する情報(つまり、画素の位置に関する情報を用いて造形モデルPMの形状を示すデータ)を含んでいてもよい。造形形状情報は、造形モデルPMのポリゴンデータを含んでいてもよい。造形形状情報は、造形モデルPMをスライス処理する(つまり、造形モデルPMを任意の面方向で所定の厚みにスライスする)ことで得られる各層の断面に関する断面形状データを含んでいてもよい。
【0137】
造形情報(更には、必要に応じてワーク情報)を参照すれば、制御装置7は、ステージ座標系内でのワークWと3次元構造物STとを示す斜視図である図21に示すように、ステージ座標系内において、ワークWと当該ワークW上に形成するべき3次元構造物STとの位置関係を特定することができる。つまり、制御装置7は、ステージ座標系内において、ワークW上のどの位置に3次元構造物STを形成するべきかを特定することができる。制御装置7は、ステージ座標系内において、ワークW上においてどのような姿勢を有している3次元構造物STを形成するべきかを特定することができる。制御装置7は、ステージ座標系内において、ワークW上においてどのようなサイズを有している3次元構造物STを形成するべきかを特定することができる。その結果、加工システムSYSは、造形情報(更には、必要に応じてワーク情報)に基づいて、後述する造形動作において、ワークW上の適切な位置に3次元構造物STを形成することができる。つまり、加工システムSYSは、ワーク情報によってその位置及び形状を特定可能なワークW上において造形情報によって特定される適切な位置に、造形情報に応じた適切な形状を有する3次元構造物STを形成することができる。
【0138】
尚、造形情報が制御装置7にとって既に既知の情報である場合には、加工システムSYSは、造形モデルアライメント動作を行わなくてもよい。例えば、造形情報が入力装置92を介して加工システムSYSに入力される場合には、加工システムSYSは、造形モデルアライメント動作を行わなくてもよい。
【0139】
以下、図22を参照しながら、造形モデルアライメント動作について説明する。図22は、造形モデルアライメント動作の流れを示すフローチャートである。
【0140】
図22に示すように、制御装置7は、付加加工によって形成するべき3次元構造物STの形状に対応する造形モデルデータを取得する(ステップS151)。具体的には、制御装置7は、3次元構造物STの形状と同じ又は相似の形状を有する造形モデルPMを示す造形モデルデータを取得する。造形モデルデータは、造形モデルPMの特徴に関する造形モデル特徴情報を含んでいる。特に、造形モデルデータは、造形モデルPMの特徴の一例である造形モデルPMの形状に関する造形モデル形状情報を少なくとも含んでいる。
【0141】
造形モデルデータは、制御装置7が備えるメモリ(つまり、記録媒体)に記録されていてもよい。造形モデルデータは、制御装置7に内蔵された又は制御装置7に外付け可能な任意の記録媒体(例えば、ハードディスクや半導体メモリ)に記録されていてもよい。この場合、制御装置7は、必要に応じて入力装置92を用いて、これらの記録媒体から造形モデルデータを読み出すことで、造形モデルデータを取得してもよい。造形モデルデータは、制御装置7の外部の装置に記録されていてもよい。造形モデルデータは、加工システムSYSの外部の装置に記録されていてもよい。この場合、制御装置7は、入力装置92を介して外部の装置から造形モデルデータをダウンロードすることで、造形モデルデータを取得してもよい。
【0142】
記録媒体(或いは、外部の装置)には、複数の異なる形状をそれぞれ有する複数の造形モデルPMを示す複数の造形モデルデータが記録されていてもよい。この場合、制御装置7は、複数の造形モデルデータの中から、3次元構造物STの形状に対応する一の造形モデルデータを取得してもよい。その結果、載置面311に載置される3次元構造物STの形状が変わる場合であっても、制御装置7は、3次元構造物STの形状に対応する一の造形モデルデータを適切に取得することができる。或いは、載置面311に載置される3次元構造物STの形状が常に同じである場合には、記録媒体(或いは、外部の装置)には、単一の造形モデルデータが記録されていてもよい。
【0143】
制御装置7は、加工システムSYSのユーザの指示に基づいて、造形モデルデータを取得してもよい。具体的には、制御装置7は、複数の造形モデルPMを表示するようにディスプレイ91を制御してもよい。更に、制御装置7は、複数の造形モデルPMのうちのいずれか一つを、3次元構造物STの形状と同じ又は相似の形状を有する造形モデルPMとしてユーザに選択させるためのGUIを表示するように、ディスプレイ91を制御してもよい。ユーザは、付加加工によって形成したい3次元構造物STの形状と同じ又は相似の形状を有する造形モデルPMを、入力装置92を用いて選択してもよい。その結果、制御装置7は、ユーザが選択した造形モデルPMを示す造形モデルデータを取得する。或いは、付加加工によって形成するべき3次元構造物STの形状が予め定まっている場合には、制御装置7は、予め定まっている3次元構造物STの形状と同じ又は相似の形状を有する造形モデルPMを示す造形モデルデータを取得してもよい。
【0144】
制御装置7は、ユーザの指示に基づいて、取得した造形モデルデータが示す造形モデルPMを修正してもよい。例えば、制御装置7は、ユーザの指示に基づいて、造形モデルPMの特徴(例えば、形状及びサイズの少なくとも一方)を修正してもよい。造形モデルPMの特徴が修正された場合には、修正後の造形モデルPMに関する造形モデルデータが、以降の処理では用いられる。
【0145】
その後、制御装置7は、ワーク情報に基づいて、ワークモデルWMを表示するようにディスプレイ91を制御する(ステップS152)。つまり、制御装置7は、ステージ座標系内において、ワーク情報が示す形状を有するワークモデルWMを示す画像を、ワーク情報が示す位置(つまり、実際のワークWの位置)に表示するようにディスプレイ91を制御する。この際、制御装置7は、ステージ3(特に、載置面311)と共にワークモデルWMを表示するように、ディスプレイ91を制御してもよい。或いは、制御装置7は、実際のワークW(つまり、実際のワークWを示す画像)を表示するようにディスプレイ91を制御してもよい。例えば、制御装置7は、実際のワークWを撮像している撮像装置82の撮像結果を表示するようにディスプレイ91を制御してもよい。尚、図23は、ワークモデルWMの表示例を示している。
【0146】
その後、制御装置7は、ワークモデルWMと造形モデルPMとの位置合わせ(つまり、ワークWと造形モデルPMとの位置合わせ)を行うための入力をユーザから受け付ける(ステップS153)。具体的には、ステップS152においてワークモデルWMがディスプレイ91に表示されている。このため、ステップS153では、制御装置7は、ディスプレイ91に表示されたワークモデルWMに対する造形モデルPMの位置を指定するための入力をユーザから受け付けてもよい。従って、入力装置92は、造形モデルPMの位置を指定するために用いられる装置であるがゆえに、指定装置と称されてもよい。
【0147】
ユーザは、付加加工によって3次元構造物STの少なくとも一部が形成されるべき位置(つまり、3次元構造物STの少なくとも一部が造形されるべき造形位置)を、造形モデルPMの位置として指定してもよい。造形位置は、付加加工によって形成される3次元構造物STの少なくとも一部が分布する位置を含んでいてもよい。造形位置は、3次元構造物STの少なくとも一部を形成するための付加加工が行われる位置を含んでいてもよい。付加加工は、上述した付加加工位置(典型的には、加工光ELのフォーカス位置)において行われるがゆえに、造形位置は、3次元構造物STの少なくとも一部を形成するために付加加工位置が設定される位置を含んでいてもよい。付加加工は、加工光ELが照射される位置(つまり、照射領域EAが設定される位置)において行われるがゆえに、造形位置は、3次元構造物STの少なくとも一部を形成するために加工光ELが照射される位置(つまり、照射領域EAが設定される位置)を含んでいてもよい。付加加工は、造形材料Mが供給される位置(つまり、供給領域MAが設定される位置)において行われるがゆえに、造形位置は、3次元構造物STの少なくとも一部を形成するために造形材料Mが供給される位置(つまり、供給領域MAが設定される位置)を含んでいてもよい。造形位置は、3次元構造物STを形成するための付加加工が開始される位置(つまり、造形開始位置)を含んでいてもよい。造形位置は、3次元構造物STを形成するための付加加工が終了する位置(つまり、造形終了位置)を含んでいてもよい。造形位置は、3次元構造物STの特徴点が形成されるべき位置を含んでいてもよい。3次元構造物STの特徴的な点の一例として、頂点、角、最も+Z側に位置する点、最も-Z側に位置する点、最も+X側に位置する点、最も-X側に位置する点、最も+Y側に位置する点、及び、最も-Y側に位置する点の少なくとも一つがあげられる。
【0148】
ユーザは、上述した造形位置そのものを造形モデルPMの位置として指定することに加えて又は代えて、上述した造形位置と所定の位置関係を有する位置を、造形モデルPMの位置として指定してもよい。例えば、ユーザは、上述した造形位置から所定方向に所定距離だけオフセットした位置を、造形モデルPMの位置として指定してもよい。
【0149】
ユーザは、入力装置92を用いて、造形モデルPMの位置を指定してもよい。この際、ユーザは、ステップS152でワークモデルWMが表示されたディスプレイ91の表示画面上において、造形モデルPMの位置を指定してもよい。例えば、上述した図23に示すように、ユーザは、入力装置92を用いて、造形モデルPMの位置を指定するためのポインタ911を移動させると共に、造形モデルPMの位置に指定したい位置にポインタ911が位置するタイミングで当該ポインタ911の位置を造形モデルPMの位置として指定してもよい。
【0150】
ユーザは、上述したガイド光射出装置24が射出するガイド光GLを用いて、造形モデルPMの位置を指定してもよい。例えば、ユーザは、入力装置92を用いて、造形ヘッド21を移動させることで複数のガイド光GLをワークWに対して移動させると共に、造形モデルPMの位置として指定したい位置において複数のガイド光GLが交差したタイミングで当該複数のガイド光GLが交差した位置を造形モデルPMの位置として指定してもよい。
【0151】
制御装置7は、造形モデルPMの位置として指定された位置をワークモデルWMと関連付けて表示するように、ディスプレイ91を制御してもよい。例えば、ワークモデルWMの表示例を示す図24に示すように、制御装置7は、造形モデルPMの位置として指定された位置を示す表示物912(図24に示す例では、白丸を示す表示物)を、当該表示物とワークモデルWMとの位置関係が特定できる表示態様で表示するように、ディスプレイ91を制御してもよい。
【0152】
また、図24に示すように、ユーザは、造形モデルPMの位置として、単一の位置を指定してもよい。この場合、ユーザによって指定された位置が、造形モデルPMのある部分の位置(つまり、3次元構造物STのある部分を形成するべき位置(領域))として指定されてもよい。或いは、ユーザによって指定された位置に応じて定まる領域が、造形モデルPMの位置(つまり、3次元構造物STを形成するべき位置)として指定されてもよい。ユーザによって指定された位置に応じて定まる領域の一例として、ユーザによって指定された位置を含む領域、ユーザによって指定された位置を中心とする領域、ユーザによって指定された位置を頂点とする領域、ユーザによって指定された位置を含む境界によって規定される領域、及び、ユーザによって指定された位置に対して所定の位置関係を有する領域の少なくとも一つがあげられる。
【0153】
或いは、ユーザは、ワークモデルWMの表示例を示す図25に示すように、造形モデルPMの位置として、複数の位置を指定してもよい。この場合、ユーザによって指定された複数の位置によって囲まれる領域(図25中の点線で囲まれる領域)が、造形モデルPMの位置(つまり、3次元構造物STを形成するべき位置)として指定されてもよい。ユーザによって指定された複数の位置に対して所定の位置関係を有する領域が、造形モデルPMの位置(つまり、3次元構造物STを形成するべき位置)として指定されてもよい。
【0154】
また、ユーザは、造形モデルPMの位置として、単一の位置を指定すると共に、造形モデルPMの姿勢を指定してもよい。
【0155】
ここで、上述したように、3次元構造物STは、ワークW上に形成される。このため、ユーザは、ワークWの表面上の位置を造形位置として指定する可能性が高い。一方で、ワークWの表面の状態によっては、ワークWの表面上のある位置が造形位置として適切ではない可能性がある。具体的には、ワークWの表面のうち欠陥が生じている面部分は、造形位置として適切ではない可能性がある。尚、ここで言う欠陥は、3次元構造物STの適切な形成にとって障害となる欠陥を意味していてもよい。そこで、ワークWの表面のうち欠陥が生じている面部分が造形位置として指定される可能性を減らすために、制御装置7は、ディスプレイ91の表示例を示す図26に示すように、ワークWの表面のうち欠陥が生じている面部分とワークWの表面のうち欠陥が生じていない面部分とを区別可能な表示態様で、ワークモデルWMを表示してもよい。尚、ワークWの欠陥が生じている部分の上に3次元構造物STを造形して、ワークWを補修する場合には、ワークWの表面のうち欠陥が生じている面部分を造形位置として指定してもよい。
【0156】
造形モデルPMの位置を指定する入力を受け付ける場合には、ディスプレイ91における表示例を示す図27に示すように、制御装置7は、ワークモデルWM(或いは、実際のワークW)に加えて、造形モデルPM(つまり、造形モデルPMの画像)を表示するようにディスプレイ91を制御してもよい。つまり、制御装置7は、ユーザによって指定された位置に配置された造形モデルPMを表示するようにディスプレイ91を制御してもよい。この場合、ユーザは、造形モデルPMが表示されたディスプレイ91の表示画面上において、入力装置92を用いて造形モデルPMを移動させることで、造形モデルPMの位置を指定してもよい。その結果、ユーザは、直感的に造形モデルPMの位置を指定することができる。
【0157】
制御装置7は、ワークモデルWMに対する造形モデルPMの位置を指定するための入力に加えて、ワークモデルWMに対する造形モデルPMの姿勢を指定するための入力をユーザから受け付けてもよい。制御装置7は、ワークモデルWMに対する造形モデルPMの位置を指定するための入力に加えて、ワークモデルWMに対する造形モデルPMのサイズを指定するための入力をユーザから受け付けてもよい。いずれの場合であっても、ユーザは、入力装置92を用いて、造形モデルPMの姿勢及び/又はサイズを指定してもよい。例えば、ユーザは、造形モデルPMが表示されたディスプレイ91の表示画面上において、入力装置92を用いて造形モデルPMを平行移動、回転、拡大及び/又は縮小させることで、造形モデルPMの位置、姿勢及び/又は姿勢を指定してもよい。
【0158】
ステップS153におけるワークモデルWMと造形モデルPMとの位置合わせが完了すると、ステージ座標系内での造形モデルPMの位置(更には、姿勢及び/又はサイズ)が確定する。このため、制御装置7は、ステージ座標系内での造形モデルPMの位置に関する造形位置情報を生成することができる。その結果、制御装置7は、造形モデルPMの位置に関する造形位置情報と造形モデルPMの形状に関する造形形状情報とが対応する造形情報を生成する(ステップS154)。つまり、制御装置7は、ステージ座標系内での位置及び形状が確定した造形モデルPMに関する造形情報を生成する。
【0159】
但し、制御装置7は、必要に応じて、ステップS154で生成した造形情報を修正してもよい。例えば、上述したように、3次元構造物STは、ワークW上に形成される。つまり、造形モデルPMは、ワークモデルWM上に配置されるように、造形モデルPMとワークモデルWMとの位置合わせが行われる。この場合、造形モデルPMのワークモデルWM側を向いた表面の形状と、ワークモデルWMの造形モデルPM側を向いた表面の形状との関係によっては、ステップS154で生成された造形情報を用いて3次元構造物STをワークW上に形成することができないという技術的問題が生ずる可能性がある。具体的には、ワークモデルWM及び造形モデルPMを示す断面図である図28に示すように、造形モデルPMのワークモデルWM側を向いた表面(図28では、-Z側を向いた表面)PMaの形状と、ワークモデルWMの造形モデルPM側を向いた表面(図28では、+Z側を向いた表面)WMaの形状とが相補の関係にない場合には、造形情報を用いると、3次元構造物STとワークWとの間に隙間ができてしまう可能性がある。或いは、造形情報を用いると、ワークWに部分的に食い込む3次元構造物STが形成されてしまう可能性がある。そこで、表面PMaの形状と表面WMaの形状とが相補の関係にない場合には、制御装置7は、造形情報を修正してもよい。具体的には、造形情報の修正例を造形モデルPM及びワークモデルWMと共に概念的に示す断面図である図29に示すように、制御装置7は、修正後の造形情報が示す造形モデルPMの表面PMaの形状が、ワークモデルWMの表面WMaの形状と相補な関係になるように、造形情報(特に、造形形状情報)を修正してもよい。
【0160】
図29に示すように造形情報を修正する方法の一例が、図30(a)から図30(c)に示されている。図30(a)から図30(c)のそれぞれは、造形情報を修正する方法の一例を、ワークモデルWM及び造形モデルPMと共に概念的に示す断面図である。この場合、制御装置7は、図30(a)に示すように、造形モデルPMの表面PMaとワークモデルWMの表面WMaとの間の隙間がなくなるまで造形モデルPMとワークモデルWMとを近づける。つまり、制御装置7は、造形モデルPMの表面PMaとワークモデルWMの表面WMaとの間の隙間がなくなるまで造形モデルPMをワークモデルWMに食い込ませる。その後、制御装置7は、造形モデルPMとワークモデルWMとの重複部分の厚み(つまり、ワークモデルWMに対する造形モデルPMの食い込み量)Dを算出する。その後、図30(b)に示すように、制御装置7は、造形モデルPMの修正前の表面PMaに対して、厚みDを有する造形物に相当する3次元モデルである切代モデルCMを付加する。その後、図30(c)に示すように、制御装置7は、切代モデルCMのワークモデルWMを向いた表面CMaが、ワークモデルWMの表面WMaの形状と相補な関係になるように、切代モデルCMを部分的にカットする。その結果、部分的にカットされた切代モデルCMと造形モデルPMとを含む3次元モデルが、新たな(つまり、修正後)造形モデルPMとして用いられる。従って、制御装置7は、修正後の造形情報が、部分的にカットされた切代モデルCMと修正前の造形モデルPMとを含む3次元モデル(つまり、修正後の造形モデルPM)の位置及び形状に関する情報を含むように、造形情報(特に、造形形状情報)を修正してもよい。
【0161】
図29に示すように造形情報を修正する方法の他の例が、図31(a)から図31(c)に示されている。図31(a)から図31(c)のそれぞれは、造形情報を修正する方法の他の例を、ワークモデルWM及び造形モデルPMと共に概念的に示す断面図である。この場合、制御装置7は、図31(a)に示すように、造形モデルPMの表面PMaとワークモデルWMの表面WMaとの間の隙間がなくなるまで造形モデルPMとワークモデルWMとを近づける。その後、制御装置7は、造形モデルPMとワークモデルWMとの重複部分の厚み(つまり、ワークモデルWMに対する造形モデルPMの食い込み量)Dを算出する。その後、図31(b)に示すように、制御装置7は、造形モデルPMのうちワークモデルWMと重複している部分をカットする。更に、制御装置7は、造形モデルPMのうち厚みDを有する下端部分以外の部分をカットする。その結果、造形モデルPMのうち厚みDを有する下端部分であって且つワークモデルWMと重複してない部分が、補修モデルRMとして残存する。補修モデルRMのワークモデルWMを向いた表面RMaの形状は、ワークモデルWMの表面WMaの形状と相補な関係にある。この補修モデルRMは、造形モデルPMの表面PMaとワークモデルWMの表面WMaとの間の隙間を埋めるための造形物の3次元モデルと等価とみなせる。その後、図31(c)に示すように、造形モデルPMの下端に対して補修モデルRMを付加する。その結果、補修モデルRMと造形モデルPMとを含む3次元モデルが、新たな(つまり、修正後の))造形モデルPMとして用いられる。従って、制御装置7は、修正後の造形情報が、補修モデルRMと修正前の造形モデルPMとを含む3次元モデル(つまり、修正後の造形モデルPM)の位置及び形状に関する情報を含むように、造形情報(特に、造形形状情報)を修正してもよい。
【0162】
(2-4)造形動作
続いて、造形動作について説明する。造形動作は、ワークW上に実際に3次元構造物STを形成するための動作である。
【0163】
上述したように、加工システムSYSは、レーザ肉盛溶接法により3次元構造物STを形成する。このため、加工システムSYSは、レーザ肉盛溶接法に準拠した既存の造形動作を行うことで、3次元構造物STを形成してもよい。以下、レーザ肉盛溶接法を用いて3次元構造物STを形成する造形動作の一例について簡単に説明する。
【0164】
加工システムSYSは、上述したワークモデルアライメント動作によって位置及び形状が特定されるワークW上に、上述した造形モデルアライメント動作によって位置及び形状が特定される3次元構造物STを形成する。つまり、加工システムSYSは、上述したワークモデルアライメント動作によって生成されるワーク情報及び上述した造形モデルアライメント動作によって生成される造形情報に基づいて、ワークW上の所望位置に所望形状の3次元構造物STを形成する。
【0165】
加工システムSYSは、3次元構造物STを形成するために、例えば、Z軸方向に沿って並ぶ複数の層状の部分構造物(以下、“構造層”と称する)SLを順に形成していく。例えば、加工システムSYSは、3次元構造物STをZ軸方向に沿って輪切りにすることで得られる複数の構造層SLを1層ずつ順に形成していく。その結果、複数の構造層SLが積層された積層構造体である3次元構造物STが形成される。以下、複数の構造層SLを1層ずつ順に形成していくことで3次元構造物STを形成する動作の流れについて説明する。
【0166】
まず、各構造層SLを形成する動作について図32(a)から図32(e)を参照して説明する。加工システムSYSは、制御装置7の制御下で、ワークWの表面又は形成済みの構造層SLの表面に相当する造形面MS上の所望領域に照射領域EAを設定し、当該照射領域EAに対して照射光学系211から加工光ELを照射する。尚、照射光学系211から照射される加工光ELが造形面MS上に占める領域を照射領域EAと称してもよい。第1実施形態においては、加工光ELのフォーカス位置(つまり、集光位置)が造形面MSに一致している。その結果、図32(a)に示すように、照射光学系211から射出された加工光ELによって造形面MS上の所望領域に溶融池(つまり、加工光ELによって溶融した金属のプール)MPが形成される。更に、加工システムSYSは、制御装置7の制御下で、造形面MS上の所望領域に供給領域MAを設定し、当該供給領域MAに対して材料ノズル212から造形材料Mを供給する。ここで、上述したように照射領域EAと供給領域MAとが一致しているため、供給領域MAは、溶融池MPが形成された領域に設定されている。このため、加工システムSYSは、図32(b)に示すように、溶融池MPに対して、材料ノズル212から造形材料Mを供給する。その結果、溶融池MPに供給された造形材料Mが溶融する。造形ヘッド21の移動に伴って溶融池MPに加工光ELが照射されなくなると、溶融池MPにおいて溶融した造形材料Mは、冷却されて再度固化(つまり、凝固)する。その結果、図32(c)に示すように、固化した造形材料Mが造形面MS上に堆積される。つまり、固化した造形材料Mの堆積物による造形物が形成される。
【0167】
このような加工光ELの照射による溶融池MPの形成、溶融池MPへの造形材料Mの供給、供給された造形材料Mの溶融及び溶融した造形材料Mの固化を含む一連の造形処理が、図32(d)に示すように、造形面MSに対して造形ヘッド21をXY平面に沿って相対的に移動させながら繰り返される。つまり、造形面MSに対して造形ヘッド21が相対的に移動すると、造形面MSに対して照射領域EAもまた相対的に移動する。従って、一連の造形処理が、造形面MSに対して照射領域EAをXY平面に沿って(つまり、二次元平面内において)相対的に移動させながら繰り返される。この際、加工光ELは、造形面MS上において造形物を形成したい領域に設定された照射領域EAに対して選択的に照射される一方で、造形面MS上において造形物を形成したくない領域に設定された照射領域EAに対して選択的に照射されない(造形物を形成したくない領域には照射領域EAが設定されないとも言える)。つまり、加工システムSYSは、造形面MS上を所定の移動軌跡に沿って照射領域EAを移動させながら、造形物を形成したい領域の分布の態様に応じたタイミングで加工光ELを造形面MSに照射する。尚、造形物を形成したい領域の分布の態様を分布パターンとも構造層SLのパターンとも称してもよい。その結果、溶融池MPもまた、照射領域EAの移動軌跡に応じた移動軌跡に沿って造形面MS上を移動することになる。具体的には、溶融池MPは、造形面MS上において、照射領域EAの移動軌跡に沿った領域のうち加工光ELが照射された部分に順次形成される。更に、上述したように照射領域EAと供給領域MAとが一致しているため、供給領域MAもまた、照射領域EAの移動軌跡に応じた移動軌跡に沿って造形面MS上を移動することになる。その結果、図32(e)に示すように、造形面MS上に、凝固した造形材料Mによる造形物の集合体に相当する構造層SLが形成される。つまり、溶融池MPの移動軌跡に応じたパターンで造形面MS上に形成された造形物の集合体に相当する構造層SL(つまり、平面視において、溶融池MPの移動軌跡に応じた形状を有する構造層SL)が形成される。
【0168】
この際、構造層SLの側面の少なくとも一部は、ワークWの側面の少なくとも一部と平行であってもよい。つまり、加工システムSYSは、平面状の側面を有するワークWの上面に、ワークWの側面の少なくとも一部と平行な面を含む構造層SLを形成してもよい。尚、図32(e)は、構造層SLの側面の少なくとも一部とワークWの側面の少なくとも一部との双方が、Z軸に平行になる例を示している。
【0169】
なお、造形物を形成したくない領域に照射領域EAが設定されている場合、加工光ELを照射領域EAに照射するとともに、造形材料Mの供給を停止してもよい。また、造形物を形成したくない領域に照射領域EAが設定されている場合に、造形材料Mを照射領域ELに供給するとともに、溶融池MPができない強度の加工光ELを照射領域ELに照射してもよい。尚、上述した説明では、造形面MSに対して照射領域EAを移動させたが、照射領域EAに対して造形面MSを移動させてもよい。
【0170】
加工システムSYSは、このような構造層SLを形成するための動作を、制御装置7の制御下で、造形情報(つまり、造形モデルPMに関する情報)に基づいて繰り返し行う。具体的には、まず、造形情報が示す造形モデルPMを積層ピッチでスライス処理してスライスデータを作成する。尚、加工システムSYSの特性に応じてこのスライスデータを一部修正したデータを用いてもよい。加工システムSYSは、ワークWの表面に相当する造形面MS上に1層目の構造層SL#1を形成するための動作を、構造層SL#1に対応する3次元モデルデータ、即ち構造層SL#1に対応するスライスデータに基づいて行う。例えば、加工システムSYSは、構造層SL#1に対応するスライスデータのうち構造層SL#1が存在する領域を通過する、照射領域EA(供給領域MA)の軌跡であるツールパスに関する情報を用いて動作されてもよい。その結果、造形面MS上には、図33(a)に示すように、構造層SL#1が形成される。構造層SL#1は、造形面MSと一体化する(言い換えれば、結合する)。つまり、構造層SL#1は、ワークWと一体化する(言い換えれば、結合する)。その後、加工システムSYSは、構造層SL#1の表面(つまり、上面)を新たな造形面MSに設定した上で、当該新たな造形面MS上に2層目の構造層SL#2を形成する。構造層SL#2を形成するために、制御装置7は、まず、造形ヘッド21がZ軸に沿って移動するようにヘッド駆動系22を制御する。具体的には、制御装置7は、ヘッド駆動系22を制御して、照射領域EA及び供給領域MAが構造層SL#1の表面(つまり、新たな造形面MS)に設定されるように、+Z側に向かって造形ヘッド21を移動させる。これにより、加工光ELのフォーカス位置が新たな造形面MSに一致する。その後、加工システムSYSは、制御装置7の制御下で、構造層SL#1を形成する動作と同様の動作で、構造層SL#2に対応するスライスデータに基づいて、構造層SL#1上に構造層SL#2を形成する。その結果、図33(b)に示すように、構造層SL#2が形成される。構造層SL#1は、造形面MSと一体化する(言い換えれば、結合する)。つまり、構造層SL#1は、構造層SL#2と一体化する(言い換えれば、結合する)。以降、同様の動作が、ワークW上に形成するべき3次元構造物STを構成する全ての構造層SLが形成されるまで繰り返される。その結果、図33(c)に示すように、複数の構造層SLが積層された積層構造物によって、3次元構造物STが形成される。
【0171】
この際、上述したように構造層SLの側面の少なくとも一部がワークWの側面の少なくとも一部と平行である場合には、複数の構造層SLから構成される3次元構造物STの側面の少なくとも一部もまた、ワークWの側面の少なくとも一部と平行であってもよい。つまり、加工システムSYSは、平面状の側面を有するワークWの上面に、ワークWの側面の少なくとも一部と平行な面を含む3次元構造物STを形成してもよい。
【0172】
このように形成された3次元構造物STは、典型的には、ワークWと一体化している(言い換えれば、結合している)。つまり、加工システムSYSは、ワークWと一体化した(言い換えれば、結合した)3次元構造物STを形成する。ワークWと3次元構造物STとが一体化している(言い換えれば、結合している)場合には、ワークWと3次元構造物STとの相対位置は固定されている(つまり、維持される)と言える。つまり、加工システムSYSは、ワークWに対する相対位置が固定された3次元構造物STを形成していると言える。
【0173】
(3)第1実施形態の加工システムSYSの技術的効果
以上説明したように、第1実施形態の加工システムSYSによれば、ワークWに対して適切に付加加工を行うことができる。
【0174】
加工システムSYSは、ワークモデルアライメント動作によってワーク情報を生成すると共に、生成したワーク情報に基づいて位置及び形状が特定されるワークW上に3次元構造物STを形成することができる。このため、加工システムSYSは、ワーク情報を用いない場合と比較して、ワークW上に3次元構造物STを適切に形成することができる。また、ワーク情報は、主として加工システムSYSによって生成されるがゆえに、ワーク情報をユーザ自身が生成する場合と比較して、ユーザの負荷が低減される。
【0175】
加工システムSYSは、造形モデルアライメント動作によって造形位置情報を生成すると共に、生成した造形位置情報に基づいて位置が特定される3次元構造物STをワークW上に形成することができる。このため、加工システムSYSは、造形位置情報を用いない場合と比較して、ワークW上に3次元構造物STを適切に形成することができる。また、造形位置情報は、主として加工システムSYSによって生成されるがゆえに、造形位置情報をユーザ自身が生成する場合と比較して、ユーザの負荷が低減される。
【0176】
(4)第2実施形態の加工システムSYS
続いて、第2実施形態の加工システムSYSについて説明する。以下では、第2実施形態の加工システムSYSを“加工システムSYSa”と称することで、第1実施形態の加工システムSYSと区別する。
【0177】
(4-1)第2実施形態の加工システムSYSaの構造
はじめに、図34及び図35を参照しながら、第2実施形態の加工システムSYSaの構造について説明する。図34は、第2実施形態の加工システムSYSaのシステム構成の一例を示すシステム構成図である。図35は、第2実施形態の加工システムSYSaが備える加工ユニットUNTa2の外観構造を示す斜視図である。尚、以降の説明では、既に説明済みの構成要件については、同一の参照符号を付してその詳細な説明については省略する。
【0178】
図34に示すように、加工システムSYSaは、造形ユニットUNTa1と、加工ユニットUNTa2と、搬送装置10aとを備えている。
【0179】
造形ユニットUNTa1は、第1実施形態の加工システムSYSと同様に、材料供給装置1と、造形装置2と、ステージ装置3と、光源4と、ガス供給装置5と、筐体6と、制御装置7と、計測装置8と、ディスプレイ91と、入力装置92とを備える。このため、造形ユニットUNTa1は、加工システムSYSと同様に、座標マッチング動作、ワークモデルアライメント動作、造形モデルアライメント動作及び造形動作を行うことで、ワークW上に3次元構造物STを形成することができる。造形ユニットUNTa1は、加工システムSYSと比較して、出力装置93aを更に備えているという点で異なる。造形ユニットUNTa1のその他の特徴は、加工システムSYSのその他の特徴と同一であってもよい。
【0180】
出力装置93aは、造形ユニットUNTa1の外部に対して情報を出力する装置である。例えば、出力装置93aは、造形ユニットUNTa1のユーザ及び/又は加工ユニットUNTa2のユーザに対して情報を出力してもよい。例えば、出力装置93aは、造形ユニットUNTa1の外部の装置に対して情報を出力してもよい。具体的には、例えば、出力装置93aは、加工ユニットUNTa2に対して情報を出力してもよい。例えば、出力装置93aは、造形ユニットUNTa1に対して装着可能な記録媒体に対して情報を出力してもよい。出力装置93aの一例として、情報を画像として出力可能なディスプレイ及び情報を音声として出力可能なスピーカの少なくとも一つがあげられる。出力装置93aの他の一例として、造形ユニットUNTa1の外部の装置と接続するためのインタフェース装置があげられる。出力装置93aの他の一例として、造形ユニットUNTa1に対して装着可能な記録媒体に書き込み可能な書き込み装置があげられる。
【0181】
出力装置93aが出力する情報は、造形ユニットUNTa1に関する情報を含んでいてもよい。造形ユニットUNTa1に関する情報は、例えば、造形ユニットUNTa1が行う動作(例えば、座標マッチング動作、ワークモデルアライメント動作、造形モデルアライメント動作及び/又は造形動作)に関する情報を含んでいてもよい。
【0182】
加工ユニットUNTa2は、加工対象物を加工する。第2実施形態では、加工対象物は、3次元構造物ST(つまり、上述した造形ユニットUNTa1が形成した3次元構造物ST)を含む。加工ユニットUNTa2が行う加工動作は、3次元構造物STを加工可能な動作である限りは、どのような動作であってもよい。以下の説明では、説明の便宜上、加工ユニットUNTa2は、3次元構造物STの寸法を、設計上の寸法(つまり、理想的な寸法)に近づけるための仕上げ加工を行うものとする。この場合、例えば、加工ユニットUNTa2は、3次元構造物STの一部を除去する(例えば、切削する)ことで、3次元構造物STに対して仕上げ加工を行ってもよい。つまり、加工ユニットUNTa2は、3次元構造物STに対して除去加工を行ってもよい。
【0183】
加工動作を行うために、加工ユニットUNTa2は、図34及び図35に示すように、入力装置101a(図35では不図示)と、加工装置102aと、ステージ装置103aと、制御装置104a(図35では不図示)とを備えている。尚、図35は、加工ユニットUNTa2が、3つの互いに直交する並進軸と2つの互いに直交する回転軸とを有する加工ユニット(いわゆる、マシニングセンタ)である例を示している。しかしながらが、加工ユニットUNTa2の構造が図35に示す構造に限定されることはない。例えば、加工ユニットUNTa2は、マシニングセンタとは異なる任意の工作機械(例えば、旋盤、ターニングセンタ、複合加工機、ボール盤又は研削盤)であってもよい。
【0184】
入力装置101aは、加工ユニットUNTa2の外部からの情報の入力を受け付ける装置である。例えば、入力装置101aは、ユーザからの情報の入力を受け付けてもよい。具体的には、例えば、入力装置101aは、加工ユニットUNTa2のユーザ及び/又は造形ユニットUNTa1のユーザからの情報の入力を受け付けてもよい。例えば、入力装置101aは、加工ユニットUNTa2の外部の装置からの情報の入力を受け付けてもよい。具体的には、例えば、入力装置101aは、造形ユニットUNTa1から出力される情報の入力を受け付けてもよい。例えば、入力装置101aは、加工ユニットUNTa2に対して装着可能な記録媒体からの情報の入力を受け付けてもよい。入力装置101aの一例として、ユーザが操作可能な操作装置があげられる。操作装置の一例として、キーボード、マウス、タッチパッド、タッチパネル(例えば、加工ユニットUNTa2が備える不図示のディスプレイと一体化されたタッチパネル)及びポインティングデバイスの少なくとも一つがあげられる。入力装置101aの他の一例として、加工ユニットUNTa2の外部の装置と接続するためのインタフェース装置があげられる。入力装置101aの他の一例として、加工ユニットUNTa2に対して装着可能な記録媒体を読み取り可能な読取装置があげられる。入力装置101aが入力を受け付けた情報(つまり、入力装置101aに入力された情報)は、例えば、制御装置104aに出力される。
【0185】
加工装置102aは、3次元構造物ST(つまり、加工対象物)を加工する(例えば、上述したように、除去加工する)。3次元構造物STを加工するために、加工装置102aは、加工ヘッド1021aと、ヘッド駆動系1022a(但し、図35では不図示)と、位置計測装置1023a(但し、図35では不図示)とを備えている。但し、加工装置102aは、ヘッド駆動系1022aと、位置計測装置1023aとを備えていなくてもよい。
【0186】
加工ヘッド1021aは、3次元構造物ST(つまり、加工対象物)を加工する。加工ヘッド1021aは、3次元構造物STを加工可能である限りは、どのような構造を有していてもよい。このような加工ヘッド1021aの一例が、図36及び図37に示されている。図36は、切削工具10211aを用いて3次元構造物STを部分的に切削する加工ヘッド1021aを示している。切削工具10211aの一例として、ドリル、バイト、」フライス、エンドミル、リーマー、タップ、ホブ、ピニオンカッタ、ダイス、ブローチ、トリマ及びルータの少なくとも一つがあげられる。図37は、エネルギビームEBを用いて3次元構造物STを部分的に切削する加工ヘッド1021aを示している。図37に示す例では、加工ヘッド1021aは、照射光学系10212aから3次元構造物STに対してエネルギビームEBを射出することで、3次元構造物STを部分的に除去する。この場合、3次元構造物STのうちエネルギビームEBが照射された部分が蒸発する又はアブレーションされることで、3次元構造物STが部分的に除去される。尚、エネルギビームEBの一例として、光や荷電粒子線等があげられる。
【0187】
ヘッド駆動系1022aは、制御装置104aの制御下で、加工ヘッド1021aを移動させる。ヘッド駆動系1022aは、X軸、Y軸、Z軸、θX方向、θY方向及びθZ方向の少なくとも一つに沿って加工ヘッド1021aを移動させる。ヘッド駆動系1022aは、例えば、モータ等を含む。
【0188】
図35に示す例では、ヘッド駆動系1022aは、並進軸であって且つ互いに直交するX軸及びZ軸に沿って、ステージ装置103aの基台となるベッド1030aに対して加工ヘッド1021aを移動させる。つまり、加工ヘッド1021aは、ベッド1030aに対して、並進2自由度の運動が可能である。
【0189】
位置計測装置1023aは、加工ヘッド1021aの位置を計測可能である。位置計測装置1023aは、例えば、エンコーダ及びレーザ干渉計のうちの少なくとも一方を含んでいてもよい。
【0190】
ステージ装置103aは、ステージ1031aを備えている。ステージ1031aは、ワークW(より具体的には、造形ユニットUNTa1によって3次元構造物STが形成されたワークW)を支持可能である。尚、ここで言う「ステージ1031aがワークWを支持する」状態は、ワークWがステージ1031aによって直接的に又は間接的に支えられている状態を意味していてもよい。ステージ1031aは、ワークWを保持可能であってもよい。つまり、ステージ1031aは、ワークWを保持することでワークWを支持してもよい。或いは、ステージ1031aは、ワークWを保持可能でなくてもよい。この場合、ワークWは、ステージ1031aに載置されていてもよい。つまり、ステージ1031aは、ステージ1031aに載置されたワークWを支持してもよい。このとき、ワークWは、クランプレスでステージ1031aに載置されていてもよい。従って、第2実施形態における「ステージ1031aがワークWを支持する」状態は、ステージ1031aがワークWを保持する状態及びワークWがステージ1031aに載置される状態をも含んでいてもよい。ステージ1031aを、ワークWを支持する支持装置、ワークWが載置される載置装置、ワークWを保持する保持装置又はテーブルと称してもよい。更に、ステージ1031aは、ワークWが保持されている場合には、保持したワークWをリリース可能である。上述した加工ヘッド1021aは、ステージ1031aがワークWを支持している期間の少なくとも一部において3次元構造物STを加工する。尚、ステージ1031aは、ワークWを保持するために、機械的なチャックや真空吸着チャック、磁気的なチャック等を備えていてもよい。
【0191】
ステージ装置103aは更に、ステージ駆動系1032aを備える(但し、図35では不図示)。但し、ステージ装置103aは、ステージ駆動系1032aを備えていなくてもよい。図35に示す例では、ステージ駆動系1032aは、ステージ装置103aのクレードル1033aに対して、回転軸であるC軸周りに回転する(つまり、θZ方向に沿った回転方向に移動する)ようにステージ1031aを移動させる。つまり、ステージ1031aは、クレードル1033aに対して、回転1自由度の運動が可能である。更に、ステージ駆動系1032aは、ステージ装置103aのトラニオン1034aに対して、回転軸であって且つC軸に直交するA軸周りに回転する(つまり、θX方向に沿った回転方向に移動する)ようにクレードル1033aを移動させる。つまり、クレードル1033aは、トラニオン1034aに対して、回転1自由度の運動が可能である。尚、クレードル1033aは、揺動部材又は回転部材と称されてもよい。更に、ステージ駆動系1032aは、ベッド1030aに対して、並進軸であって且つX軸及びZ軸に交差するY軸に沿ってトラニオン1034aを移動させる。つまり、トラニオン1034aは、ベッド1030aに対して、並進1自由度の運動が可能である。尚、トラニオン1034aは、移動部材と称されてもよい。その結果、加工ヘッド1021aは、ステージ1031aに対して、並進3自由度及び回転2自由度の運動が可能となる。ステージ駆動系1032a(更には、ヘッド駆動系1022a)における各送り軸(つまり、X軸に対応する送り軸、Y軸に対応する送り軸、Z軸に対応する送り軸、C軸に対応する送り軸及びA軸に対応する送り軸)は、制御装置7又は制御装置104aの制御下で、サーボモータにより駆動される。
【0192】
但し、加工ヘッド1021aの移動の軸数は、5軸に限らず、3軸、4軸又は6軸であってもよい。また、ステージ1031aが回転2自由度で運動可能でなくてもよく、加工ヘッド1021aが回転2自由度で運動可能であってもよいし、加工ヘッド1021a及びステージ1031aのそれぞれが回転1自由度以上で運動可能であってもよい。
【0193】
このような加工装置102aは、ステージ1031aが支持するワークW又は3次元構造物STを計測する機能を有していてもよい。以下、図38から図42を参照しながら、加工装置102aがワークW又は3次元構造物STを計測する機能について説明する。図38は、ワークW又は3次元構造物STを計測するためのプローブ10213aが取り付けられた加工ヘッド1021aを示す断面図である。図39から図42のそれぞれは、プローブ10213aを用いてワークW又は3次元構造物STを計測する様子を示す平面図である。
【0194】
図38に示すように、加工装置102aがワークW又は3次元構造物STを計測する場合には、加工ヘッド1021aには、プローブ(具体的には、タッチプローブ)10213aが取り付けられる。加工装置102aは、制御装置104aの制御下でプローブ10213aをワークW又は3次元構造物STの所定部分に接触させる。制御装置104aは、プローブ10213aがワークW又は3次元構造物STの所定部分に接触した時の加工ヘッド1021aの位置に基づいて、ワークW又は3次元構造物STの位置を算出する。
【0195】
例えば、図39に示すように、加工装置102aは、ワークWの角(つまり、頂点)にプローブ10213aを接触させてもよい。例えば、加工装置102aは、ワークWの1つの角にプローブ10213aを接触させてもよい。この場合、制御装置104aは、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向のそれぞれにおけるワークWの位置を算出することができる。例えば、加工装置102aは、ワークWの2つの角のそれぞれにプローブ10213aを接触させてもよい。この場合、制御装置104aは、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向のそれぞれにおけるワークWの位置に加えて、θZ方向におけるワークWの位置(つまり、Z軸周りのワークWの回転量)を算出することができる。例えば、加工装置102aは、ワークWの3つの角のそれぞれにプローブ10213aを接触させてもよい。この場合、制御装置104aは、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向のそれぞれにおけるワークWの位置と、θX方向、θY方向及びθZ方向のそれぞれにおけるワークWの位置(つまり、X軸周り、Y軸周り及びZ軸周りのそれぞれのワークWの回転量)を算出することができる。
【0196】
例えば、ワークWの形状が加工ユニットUNTa2にとって既知の形状である場合には、加工装置102aは、ワークWの側面にプローブ10213aを接触させてもよい。例えば、ワークWの形状が平面視において矩形の形状となる(つまり、ワークWの形状が角柱形状である)場合には、加工装置102aは、図40に示すように、ワークWの+X側の側面及び-X側の側面のそれぞれにプローブ10213aを接触させてもよい。この場合、制御装置104aは、X軸方向におけるワークWの中心位置を算出することができる。例えば、ワークWの形状が平面視において矩形の形状となる場合には、加工装置102aは、図40に示すように、ワークWの+Y側の側面及び-Y側の側面のそれぞれにプローブ10213aを接触させてもよい。この場合、制御装置104aは、Y軸方向におけるワークWの中心位置を算出することができる。例えば、ワークWの形状が平面視において円形の形状となる場合(つまり、ワークWの形状が円柱形状となる場合)についても同様に、加工装置102aは、図41に示すように、ワークWの各側面のそれぞれにプローブ10213aを接触させてもよい。この場合、制御装置104aは、ワークWの中心位置(図41に示す例では、XY平面に沿った面内での中心位置)を算出することができる。
【0197】
例えば、ワークWの形状が加工ユニットUNTa2にとって既知の矩形形状である場合には、図42に示すように、加工装置102aは、ワークWの互いに交差する2つの側面のそれぞれの異なる複数個所にプローブ10213aを接触させてもよい。例えば、加工装置102aは、ワークWの第1の側面(図42に示す例では、+X側の側面)の異なる2か所にプローブ10213aを接触させ、且つ、ワークWの第2の側面(図42に示す例では、-Y側の側面)の異なる2か所にプローブ10213aを接触させてもよい。この場合、制御装置104aは、ワークWの第1の側面とワークWの第2の側面との交点(図42に示す例では、ワークWの+X側の側面とワークWの-Y側の側面との交点)の位置を算出することができる。
【0198】
尚、加工装置102aは、プローブ10213aに加えて又は代えて、位置合わせ用のビームを照射可能な照射装置を用いて、ワークWを計測してもよい。具体的には、加工装置102aは、加工ヘッド1021aに取り付けられた照射装置からの位置合わせ用のビームがワークW又は3次元構造物STの所定部分に照射されている時の加工ヘッド1021aの位置に基づいて、ワークW又は3次元構造物STの位置を算出してもよい。
【0199】
再び図34において、制御装置104aは、加工ユニットUNTa2の動作を制御する。制御装置104aは、例えば、CPU(Central Processing Unit)(或いは、CPUに加えて又は代えてGPU(Graphics Processing Unit))と、メモリとを含んでいてもよい。制御装置104aは、CPUがコンピュータプログラムを実行することで、加工ユニットUNTa2の動作を制御する装置として機能する。このコンピュータプログラムは、制御装置104aが行うべき後述する動作を制御装置104a(例えば、CPU)に行わせる(つまり、実行させる)ためのコンピュータプログラムである。つまり、このコンピュータプログラムは、加工ユニットUNTa2に後述する動作を行わせるように制御装置104aを機能させるためのコンピュータプログラムである。CPUが実行するコンピュータプログラムは、制御装置104aが備えるメモリ(つまり、記録媒体)に記録されていてもよいし、制御装置104aに内蔵された又は制御装置104aに外付け可能な任意の記憶媒体(例えば、ハードディスクや半導体メモリ)に記録されていてもよい。或いは、CPUは、実行するべきコンピュータプログラムを、ネットワークインタフェースを介して、制御装置104aの外部の装置からダウンロードしてもよい。
【0200】
例えば、制御装置104aは、加工ヘッド1021aによる3次元構造物STの加工態様を制御してもよい。加工ヘッド1021aが切削工具10211aを含む場合(図36参照)には、加工態様は、切削工具10211aの状態(例えば、切削工具10211aの回転量)を含んでいてもよい。加工ヘッド1021aが照射光学系10212aを含む場合(図37参照)には、加工態様は、エネルギビームEBの状態(例えば、エネルギビームEBの強度及びエネルギビームEBの射出タイミングの少なくとも一つ)を含んでいてもよい。更に、制御装置104aは、ヘッド駆動系1022aによる加工ヘッド1021aの移動態様を制御してもよい。移動態様は、例えば、移動量、移動速度、移動方向及び移動タイミングの少なくとも一つを含んでいてもよい。特に、制御装置104aは、3次元構造物STのうちの加工ユニットUNTa2によって除去されるべき除去対象部分が適切に除去されるように、加工ヘッド1021aの移動態様を制御してもよい。つまり、制御装置104aは、3次元構造物STの除去対象部分に切削工具10211aが接触するように又はエネルギビームEBが照射されるように、加工ヘッド1021aの移動態様を制御してもよい。
【0201】
制御装置104aは、加工ユニットUNTa2の内部に設けられていなくてもよく、例えば、加工ユニットUNTa2外にサーバ等として設けられていてもよい。この場合、制御装置104aと加工ユニットUNTa2とは、有線及び/又は無線のネットワーク(或いは、データバス及び/又は通信回線)で接続されていてもよい。有線のネットワークとして、例えばIEEE1394、RS-232x、RS-422、RS-423、RS-485及びUSBの少なくとも一つに代表されるシリアルバス方式のインタフェースを用いるネットワークが用いられてもよい。有線のネットワークとして、パラレルバス方式のインタフェースを用いるネットワークが用いられてもよい。有線のネットワークとして、10BASE-T、100BASE-TX及び1000BASE-Tの少なくとも一つに代表されるイーサネット(登録商標)に準拠したインタフェースを用いるネットワークが用いられてもよい。無線のネットワークとして、電波を用いたネットワークが用いられてもよい。電波を用いたネットワークの一例として、IEEE802.1xに準拠したネットワーク(例えば、無線LAN及びBluetooth(登録商標)の少なくとも一方)があげられる。無線のネットワークとして、赤外線を用いたネットワークが用いられてもよい。無線のネットワークとして、光通信を用いたネットワークが用いられてもよい。この場合、制御装置104aと加工ユニットUNTa2とはネットワークを介して各種の情報の送受信が可能となるように構成されていてもよい。また、制御装置104aは、ネットワークを介して加工ユニットUNTa2にコマンドや制御パラメータ等の情報を送信可能であってもよい。加工ユニットUNTa2は、制御装置104aからのコマンドや制御パラメータ等の情報を、上記ネットワークを介して受信する受信装置を備えていてもよい。加工ユニットUNTa2は、制御装置104aに対してコマンドや制御パラメータ等の情報を、上記ネットワークを介して送信する送信装置(つまり、制御装置104aに対して情報を出力する出力装置)を備えていてもよい。或いは、制御装置104aが行う処理のうちの一部を行う第1制御装置が加工ユニットUNTa2の内部に設けられている一方で、制御装置104aが行う処理のうちの他の一部を行う第2制御装置が加工ユニットUNTa2の外部に設けられていてもよい。
【0202】
尚、CPUが実行するコンピュータプログラムを記録する記録媒体としては、CD-ROM、CD-R、CD-RWやフレキシブルディスク、MO、DVD-ROM、DVD-RAM、DVD-R、DVD+R、DVD-RW、DVD+RW及びBlu-ray(登録商標)等の光ディスク、磁気テープ等の磁気媒体、光磁気ディスク、USBメモリ等の半導体メモリ、及び、その他プログラムを格納可能な任意の媒体の少なくとも一つが用いられてもよい。記録媒体には、コンピュータプログラムを記録可能な機器(例えば、コンピュータプログラムがソフトウェア及びファームウェア等の少なくとも一方の形態で実行可能な状態に実装された汎用機器又は専用機器)が含まれていてもよい。更に、コンピュータプログラムに含まれる各処理や機能は、制御装置104a(つまり、コンピュータ)がコンピュータプログラムを実行することで制御装置104a内に実現される論理的な処理ブロックによって実現されてもよいし、制御装置104aが備える所定のゲートアレイ(FPGA、ASIC)等のハードウェアによって実現されてもよいし、論理的な処理ブロックとハードウェアの一部の要素を実現する部分的ハードウェアモジュールとが混在する形式で実現してもよい。
【0203】
搬送装置10aは、造形ユニットUNTa1から加工ユニットUNTa2に対して、ワークWを搬送する。搬送装置10aは、例えば、搬送アームを用いてワークWをつかむと共に、つかんだワークWを搬送してもよい。搬送装置10aは、収容容器にワークWを収容すると共に、ワークWが収容された収容容器を搬送することでワークWを搬送してもよい。
【0204】
上述したように、加工システムSYSは、ワークWと一体化した3次元構造物STを形成する。このため、搬送装置10aは、ワークWを搬送することで、実質的には、ワークW上に形成された3次元構造物STを搬送する。搬送装置10aは、ワークWと共に3次元構造物STを搬送する。搬送装置10aは、ワークWと3次元構造物STとの相対位置を維持したまま、ワークWと共に3次元構造物STを搬送する。このため、搬送装置10aは、造形ユニットUNTa1がワークW上に3次元構造物STを形成した後に、造形ユニットUNTa1から加工ユニットUNTa2に対して、ワークW(3次元構造物ST)を搬送する。その後、加工ユニットUNTa2は、搬送装置10aによって造形ユニットUNTa1から搬送されてきた3次元構造物STを加工する。
【0205】
搬送装置10aは、造形ユニットUNTa1から加工ユニットUNTa2にワークWを搬送する。搬送装置10aは、造形ユニットUNTa1がワークW上に3次元構造物STを形成した後に、加工ユニットUNTa2にワークWを搬送する。上述したように、造形ユニットUNTa1はワークWと一体化した(つまり、結合した)3次元構造物STを形成するがゆえに、搬送装置10aは、3次元構造物STと一体化したワークWを搬送する。搬送装置10aは、3次元構造物STと共にワークWを搬送する。搬送装置10aは、3次元構造物STとワークWとの相対位置を維持したまま3次元構造物STと共にワークWを搬送する。尚、加工システムSYSaは搬送装置10aを備えていなくてもよい。
【0206】
(4-2)第2実施形態の加工システムSYSaの動作
続いて、第2実施形態の加工システムSYSaが行う動作について説明する。第2実施形態では、造形ユニットUNTa1が3次元構造物STを形成した後に、加工ユニットUNTa2が3次元構造物STを加工する。従って、以下では、造形ユニットUNTa1が行う動作と加工ユニットUNTa2が行う動作とについて順に説明する。
【0207】
(4-2-1)造形ユニットUNTa1が行う動作
造形ユニットUNTa1は、上述した第1実施形態の加工システムSYSと同様に3次元構造物STを形成する。つまり、造形ユニットUNTa1は、座標マッチング動作を行い、その後ワークモデルアライメント動作を行い、その後造形モデルアライメント動作を行い、その後造形動作を行う。
【0208】
但し、第2実施形態では、造形モデルアライメント動作(或いは、ワークモデルアライメント動作)において、制御装置7は、3次元構造物STを形成する際の基準位置として利用可能な基準点RPを設定(言い換えれば、指定)する。具体的には、図22のステップS153において、制御装置7は、造形モデルPMの位置(例えば、造形位置)を指定する入力を受け付けることに加えて、基準点RPを設定する。尚、基準点RPは、基準位置と称されてもよい。また、基準点RPは、制御装置7によって設定(言い換えれば、指定)されるがゆえに、設定点又は指定点(或いは、設定位置又は指定位置)と称されてもよい。
【0209】
基準点RPは、造形動作での基準位置として用いられてもよい。例えば、基準点RPは、造形モデルPMの位置を特定するための基準として用いられてもよい。基準点RPは、3次元構造物STを形成するべき位置を特定するための基準として用いられてもよい。基準点RPは、造形モデルPMの位置を特定するための原点として用いられてもよい。基準点RPは、3次元構造物STを形成するべき位置を特定するための原点として用いられてもよい。基準点RPは、造形ヘッド21の移動の基準位置として用いられてもよい。この場合、基準点RPは、造形ユニットUNTa1の基準座標系の原点として用いられてもよい。但し、基準点RPは、造形ユニットUNTa1の基準座標系の原点として用いられなくてもよい。このような基準点RPは、原点(例えば、造形原点)と称されてもよい。
【0210】
制御装置7は、ワークモデルWM上に基準点RPを設定する。ワークモデルWMが実際のワークWに対応しているがゆえに、制御装置7は、実質的には、ワークW上に基準点RPを設定する。つまり、制御装置7は、3次元構造物STがその上に形成されるワークW上に(つまり、このようなワークWに対応するワークモデルWM上に)、基準点RPを設定する。
【0211】
ここで、上述したように、ワークW上に形成される3次元構造物STは、ワークWと一体化している。このため、通常であれば、ワークW上に形成された3次元構造物STとワークWとの位置関係が変わることはない。このため、制御装置7は、3次元構造物STとの相対位置が固定された基準点RPを設定していると言える。従って、制御装置7は、ワークW上に基準点RPを設定することに加えて又は代えて、3次元構造物STとの相対位置が固定された物体上に基準点RPを設定してもよい。制御装置7は、3次元構造物STとの相対位置が変わらない物体上に基準点RPを設定してもよい。尚、制御装置7は、3次元構造物ST上に基準点RPを設定してもよい。この場合においても、3次元構造物STとの相対位置が固定された基準点RPが設定可能となる。
【0212】
制御装置7は、造形ユニットUNTa1のユーザの指示に基づいて、基準点RPを設定してもよい。つまり、ユーザは、入力装置92を用いて基準点RPを設定したい位置を指定し、制御装置7は、ユーザが指定した位置に基準点RPを設定してもよい。この場合、制御装置7は、ワークモデルWM及び造形モデルPMを表示するようにディスプレイ91を制御してもよい。尚、図43は、ワークモデルWM及び造形モデルPMの表示例を示す平面図である。更に、ユーザは、ワークモデルWM及び造形モデルPMが表示されたディスプレイ91の表示画面上において、基準点RPを設定したい位置を指定してもよい。例えば、図43に示すように、ユーザは、入力装置92を用いて、基準点RPを設定するためのポインタ913を移動させると共に、基準点RPを設定したい位置にポインタ913が位置するタイミングで当該ポインタ913の位置を基準点RPが設定されるべき位置としてとして指定してもよい。
【0213】
制御装置7は、造形ユニットUNTa1のユーザの指示に基づくことなく、制御装置7自身で基準点RPを設定してもよい。例えば、制御装置7は、ワークモデルWMを示すワークモデルデータに基づいて、ワークモデルWMの特徴点(つまり、ワークWの特徴点)を抽出し、抽出した特徴点の位置に、基準点RPを設定してもよい。つまり、制御装置7は、ワークモデルWMの特徴点を基準点RPに設定してもよい。或いは、例えば、制御装置7は、3次元構造物STとの相対位置が変わらない物体の特徴点を基準点RPに設定してもよい。或いは、制御装置7は、ワークW上に形成されている既存の構造物(例えば、前回の造形動作によって形成された3次元構造物ST)の特徴点を基準点RPに設定してもよい。尚、ある物体の特徴点は、物体の表面上の位置を示す点の集合である点群データによって示される物体の3次元形状のうちの特徴的な位置の点を含んでいてもよい。特徴点の一例として、頂点、角、境界、最も+Z側に位置する点、最も-Z側に位置する点、最も+X側に位置する点、最も-X側に位置する点、最も+Y側に位置する点、及び、最も-Y側に位置する点の少なくとも一つがあげられる。或いは、例えば、制御装置7は、造形モデルPMと所定の位置関係を有するワークW(或いは、3次元構造物STとの相対位置が変わらない物体又はワークW上に形成されている既存の構造物、以下この段落において同じ)上の位置に、基準点RPを設定してもよい。一例として、制御装置7は、造形モデルPMの位置から所定方向に所定距離だけ離れたワークW上の位置に、基準点RPを設定してもよい。或いは、例えば、制御装置7は、ワークWに所定の目印が設けられている場合には、目印の位置又は目印と所定の位置関係を有するワークW上の位置に、基準点RPを設定してもよい。ステージ31にワークWが支持されるときのステージ31に対する目印の位置の条件及び目印と基準点RPとして設定される位置との位置関係に関する条件が予め定められていてもよい。図44(a)から図44(c)のそれぞれは、ワークWに設けられる目印の一例を示す平面図である。図44(a)に示すように、ワークWには、目印の一例としてのマーカMK1が形成されていてもよい。尚、マーカMK1の形状は矩形状(ボックス状)には限定されず、例えば十字状やL字状であってもよい。図44(b)に示すように、ワークWのある辺(例えば、その辺の中央付近)には、目印の一例としての切り欠きMK2が形成されていてもよい。この場合、例えば、切り欠きMK2が形成されている辺がステージ31に向かって手前側に位置するようにワークWが支持されるという条件及び切り欠きMK2に対して左側(例えば、-Y側)の角に基準点RPが設定されるという条件が予め設定されていてもよい。図44(c)に示すように、ワークWのある角には、目印の一例としての切り欠きMK3が形成されていてもよい。この場合、例えば、切り欠きMK3が形成されている角に対して対向する角に基準点RPが設定されるという条件が予め設定されていてもよい。
【0214】
基準点RPが設定された場合には、上述した造形モデルPMの位置を示す造形位置情報は、基準座標系での造形モデルPMの絶対的な位置に加えて又は代えて、基準点RPを基準とする造形モデルPMの相対的な位置を示していてもよい。造形位置情報は、基準点RPと造形モデルPMとの相対位置を示していてもよい。造形位置情報は、基準点RPに対して造形モデルPMがどこに位置しているかを示していてもよい。例えば、図45は、基準点RPと造形モデルPMとの位置関係を示す平面図である。図45に示すように、造形位置情報は、X軸方向における基準点RPと造形モデルPMとの間の距離を示していてもよい。図45に示すように、造形位置情報は、Y軸方向における基準点RPと造形モデルPMとの間の距離を示していてもよい。図面の簡略化のために図示していないものの、造形位置情報は、Z軸方向における基準点RPと造形モデルPMとの間の距離を示していてもよい。図45に示す例では、造形位置情報は、X軸方向における基準点RPと造形モデルPM(より具体的には、造形モデルPMのうちのある部分)との間の距離がxx[mm]であり、且つ、Y軸方向における基準点RPと造形モデルPMとの間の距離がyy[mm]であることを示している。つまり、造形位置情報は、基準座標系において、基準点RPからX軸方向に沿ってxx[mm]だけ離れており且つY軸方向に沿ってyy[mm]だけ離れた位置に3次元構造物STが形成されるべきであることを示している。この場合、このような造形位置情報を含む造形情報は、基準点RPと関連付けられた(より具体的には、基準点RPの位置と関連付けられた)造形情報であるとも言える。また、造形情報が造形位置情報と造形形状情報とが対応付けられた情報であるがゆえに、このような造形位置情報を含む造形情報は、基準点RPと造形情報(例えば、造形形状情報(つまり、造形モデルPM(つまり、3次元構造物ST)の形状)とが関連付けられた造形情報であるとも言える。
【0215】
また、基準点RPがワークW上に設定される場合には、上述したワークモデルWMの位置を示すワーク位置情報は、基準座標系でのワークモデルWMの絶対的な位置に加えて又は代えて、ワークW上に設定された基準点RPの位置を示していてもよい。ワーク位置情報は、基準点RPとワークWとの相対位置を示していてもよい。ワーク位置情報は、基準点RPがワークモデルWMのどこに設定されたかを示していてもよい。具体的には、制御装置7は、ワークモデルアライメント動作において生成したワーク位置情報(つまり、ワーク情報)を、基準点RPに基づいて修正してもよい。制御装置7は、ワークモデルアライメント動作において生成したワーク位置情報(つまり、ワーク情報)に対して、基準点RPに関する情報を付加してもよい。例えば、図45に示すように、ワーク位置情報は、XY平面に沿った面内における形状が正方形となるワークWの+X側且つ-Y側の頂点に基準点RPが設定されていることを示していてもよい。この場合、このようなワーク位置情報を含むワーク情報は、基準点RPと関連付けられた(より具体的には、基準点RPの位置と関連付けられた)ワーク情報であるとも言える。また、ワーク情報がワーク位置情報とワーク形状情報とが対応付けられた情報であるがゆえに、このようなワーク位置情報を含むワーク情報は、基準点RPとワーク情報(例えば、ワーク形状情報(つまり、ワークモデルWM(つまり、ワークW)の形状))とが関連付けられたワーク情報であるとも言える。
【0216】
このように造形モデルアライメント動作によって造形情報が生成された後、造形ユニットUNTa1は、第1実施形態の加工システムSYSと同様に、ワーク情報及び造形情報に基づいて、3次元構造物STを形成するための造形動作を行う。この際、上述したように、基準点RPを基準とする造形モデルPMの相対的な位置をワーク情報が示しているがゆえに、制御装置7は、基準点RPに関する情報に基づいて、ワークWの基準点RPを基準に3次元構造物STが形成されるように、造形装置2を制御してもよい。具体的には、制御装置7は、基準点RPを基準に定まる位置において付加加工が行われるように、造形装置2を制御してもよい。例えば、制御装置7は、ワークWの基準点RPを基準に造形ヘッド21が移動するようにヘッド駆動系22を制御してもよい。例えば、制御装置7は、ワークWの基準点RPを基準に定まる位置(例えば、3次元構造物STを構成する造形物を形成すべき位置)に照射領域EAが重なったタイミングで加工光ELを照射するように、造形装置2を制御してもよい。その結果、ワークWの基準点RP(つまり、ワークモデルWMの基準点RP)に対して所定の位置関係を有する位置に、3次元構造物STが形成される。つまり、基準点RPに対して造形情報が示す位置関係を有する位置に、3次元構造物STが形成される。尚、図46は、図45に示す基準点RPが設定された場合にワークW上に形成される3次元構造物STを示す平面図である。図46に示すように、ワークWの基準点RPからX軸方向に沿ってxx[mm]だけ離れており且つY軸方向に沿ってyy[mm]だけ離れた位置に3次元構造物STが形成される。
【0217】
第2実施形態では更に、出力装置93aは、基準点RPに関する情報(以降、基準点情報と称する)を出力する。具体的には、出力装置93aは、加工ユニットUNTa2に対して基準点情報を出力する。この場合、加工ユニットSYSa2は、基準点情報に基づいて、造形ユニットUNTa1が形成した3次元構造物STを加工する。
【0218】
基準点情報は、基準点RPの位置(例えば、基準座標系における基準点RPの位置)に関する第1情報を含んでいてもよい。具体的には、基準点情報は、基準点RPが設定されたワークモデルWM上の位置を示す第1情報を含んでいてもよい。基準点情報は、ワークモデルWMのうち基準点RPが設定された部分の位置を示す第1情報を含んでいてもよい。つまり、基準点情報は、基準点RPがワークモデルWM上のどの位置に設定されているかを示す第1情報を含んでいてもよい。ワークW上の基準点RPがワークモデルWM上の基準点RPに対応するがゆえに、基準点情報は、基準点RPが設定されたワークW上の位置を示す第1情報を含んでいてもよい。加工ユニットUNTa2は、第1情報を参照することで、造形ユニットUNTa1から搬送装置10aによって搬送されてきたワークW上のどの位置に基準点RPが設定されたかを特定することができる。このような第1情報の一例として、ワークWと基準点RPとの相対位置(つまり、ワークモデルWMと基準点RPとの相対位置)に関する情報があげられる。
【0219】
ワーク情報(具体的には、基準点RPに関付けられたワーク情報)が基準点RPの位置を示していてもよいことは、上述したとおりである。言い換えれば、ワーク情報が基準点RPと関連付けられていてもよいことは、上述したとおりである。この場合、基準点情報は、ワーク情報(特に、基準点RPと関連付けられたワーク情報)を含んでいてもよい。つまり、出力装置93aは、ワーク情報(特に、基準点RPと関連付けられたワーク情報)を、基準点情報として加工ユニットUNTa2に対して出力してもよい。この場合であっても、加工ユニットUNTa2は、ワークW上のどの位置が基準点RPに指定されたかを特定することができる。
【0220】
基準点情報は、基準点RPが関連付けられたワーク情報に加えて又は代えて、計測装置8によるワークWの計測結果に関する計測情報(特に、基準点RPと関連付けられた計測情報)を含んでいてもよい。つまり、出力装置93aは、ワークWの計測結果に関する計測情報(特に、基準点RPと関連付けられた計測情報)を、基準点情報として加工ユニットUNTa2に対して出力してもよい。なぜならば、ワークWの計測結果に関する計測情報は、ワーク情報と同様に、ワークWの形状に関する情報及びワークWの位置に関する情報を含んでいるからである。尚、「基準点RPと関連付けられたワークWの計測情報」は、基準点RPに関する情報を含む計測情報(例えば、基準点RPの位置を特定可能な計測情報)を意味していてもよい。計測装置8は、造形ユニットUNTa1が3次元構造物STを形成する前に(つまり、造形動作を開始する前に)、ワークWを計測してもよい。この場合、基準点情報は、造形ユニットUNTa1が3次元構造物STを形成する前におけるワークWの計測結果に関する計測情報を含んでいてもよい。尚、3次元構造物STを形成する前に(つまり、造形動作を開始する前に)計測装置8がワークWを計測する場合には、ワークW上の特徴点となり得る箇所が3次元構造物STによって遮られる恐れが少ないという利点がある。また、計測装置8は、造形ユニットUNTa1が3次元構造物STを形成している期間中の所望のタイミングでワークWを計測してもよい。この場合、基準点情報は、造形ユニットUNTa1が3次元構造物STを形成している期間中の所望のタイミングにおけるワークWの計測結果に関する計測情報を含んでいてもよい。計測装置8は、造形ユニットUNTa1が3次元構造物STを形成した後に(つまり、造形動作を完了した後に)、ワークWを計測してもよい。この場合、基準点情報は、造形ユニットUNTa1が3次元構造物STを形成した後におけるワークWの計測結果に関する計測情報を含んでいてもよい。
【0221】
基準点情報は、上述した第1情報に加えて又は代えて、基準点RPと3次元構造物STとの相対位置(例えば、基準座標系における基準点RPと3次元構造物STとの相対位置に関する第2情報を含んでいてもよい。つまり、基準点情報は、基準点RPの位置と3次元構造物STの位置との関係(例えば、基準座標系における基準点RPの位置と3次元構造物STの位置との関係)に関する第2情報を含んでいてもよい。具体的には、基準点情報は、基準点RPを起点とする3次元構造物STの形成位置を示す第2情報を含んでいてもよい。つまり、基準点情報は、基準点RPを基準にどの位置に3次元構造物STが形成されるかを示す第2情報を含んでいてもよい。また、造形モデルアライメント動作で指定された造形モデルPMの位置に3次元構造物STが形成されるがゆえに、基準点情報は、基準点RPを基準にどの位置が造形モデルPMの位置として指定されたかを示す第2情報を含んでいてもよい。つまり、基準点情報は、基準点RPと造形モデルPMとの間の位置関係(つまり、基準点RPの位置と造形モデルPMの位置との間の関係)に関する情報を含んでいてもよい。加工ユニットUNTa2は、第2情報を参照することで、基準点RPを基準にどこに3次元構造物STが形成されているかを特定することができる。
【0222】
造形情報(特に、造形位置情報)が基準点RPを基準とする造形モデルPMの相対的な位置を示していてもよいことは、上述したとおりである。言い換えれば、造形情報が基準点RPと関連付けられていてもよいことは、上述したとおりである。この場合、基準点情報は、造形情報(特に、基準点RPと関連付けられた造形情報)を含んでいてもよい。つまり、出力装置93aは、造形情報(特に、基準点RPと関連付けられた造形情報)を、基準点情報として加工ユニットUNTa2に対して出力してもよい。この場合であっても、加工ユニットUNTa2は、基準点RPを基準にどこに3次元構造物STが形成されているかを特定することができる。
【0223】
基準点情報は、基準点RPが関連付けられた造形情報に加えて又は代えて、計測装置8による3次元構造物STの計測結果に関する計測情報(特に、基準点RPと関連付けられた計測情報)を含んでいてもよい。つまり、出力装置93aは、3次元構造物STの計測結果に関する計測情報(特に、基準点RPと関連付けられた計測情報)を、基準点情報として加工ユニットUNTa2に対して出力してもよい。なぜならば、3次元構造物STの計測結果に関する計測情報は、造形情報と同様に、3次元構造物STの形状に関する情報及び3次元構造物STの位置に関する情報を含んでいるからである。尚、「基準点RPと関連付けられた3次元構造物STの計測情報」は、基準点RPに関する情報を含む計測情報(例えば、基準点RPに対する3次元構造物STの位置を特定可能な計測情報)を意味していてもよい。計測装置8は、造形ユニットUNTa1が3次元構造物STを形成している期間中の所望のタイミングで3次元構造物STを計測してもよい。この場合、基準点情報は、造形ユニットUNTa1が3次元構造物STを形成している期間中の所望のタイミングにおける3次元構造物STの計測結果に関する計測情報を含んでいてもよい。計測装置8は、造形ユニットUNTa1が3次元構造物STを形成した後に(つまり、造形動作を完了した後に)、3次元構造物STを計測してもよい。この場合、基準点情報は、造形ユニットUNTa1が3次元構造物STを形成した後における3次元構造物STの計測結果に関する計測情報を含んでいてもよい。
【0224】
(4-2-2)加工ユニットUNTa2が行う動作
加工ユニットUNTa2は、造形ユニットUNTa1が形成した3次元構造物STを加工する(例えば、除去加工)する。例えば、上述したように、加工ユニットUNTa2は、3次元構造物STの寸法を、設計上の寸法(つまり、理想的な寸法)に近づけるための仕上げ加工を行う。その結果、造形ユニットUNTa1が形成した3次元構造物STの寸法精度が相対的に低い場合であっても、加工ユニットUNTa2の加工によって3次元構造物STの寸法精度が向上する。以下、このような加工ユニットUNTa2が行う動作(つまり、加工動作)について、図47を参照しながら説明する。図47は、加工ユニットUNTa2が行う加工動作の流れを示すフローチャートである。
【0225】
図47に示すように、まずは、加工ユニットUNTa2のステージ1031aに3次元構造物STが載置される(ステップS21)。具体的には、加工ユニットUNTa2には、搬送装置10aによって、造形ユニットUNTa1から3次元構造物STが搬送される。具体的には、3次元構造物STがワークWと一体化しているため、加工ユニットUNTa2には、搬送装置10aによって、造形ユニットUNTa1から、ワークWと一体化した3次元構造物STが搬送される。搬送装置10aによって搬送された3次元構造物ST(つまり、ワークWと一体化した3次元構造物ST)は、ステージ1031aに載置される。この際、ステージ1031aは、3次元構造物STを保持してもよい。例えば、加工ヘッド1021aが切削工具10211aを備えている場合には、切削工具10211aから3次元構造物STに加わる力によって、加工動作が行われている期間中にステージ1031a上で3次元構造物STの位置がずれてしまう(つまり、変わってしまう)可能性がある。従って、3次元構造物STの位置ずれを防ぐために、ステージ1031aは、3次元構造物STを保持してもよい。
【0226】
更に、加工ユニットUNTa2の入力装置101aには、造形ユニットUNTa1の出力装置93aが出力した基準点情報が入力される(ステップS22)。つまり、入力装置101aは、基準点情報を取得する。その後、加工ユニットUNTa2は、基準点情報に基づいて、3次元構造物STを加工する(ステップS23からステップS24)。つまり、加工ユニットUNTa2の制御装置104aは、基準点情報に基づいて、3次元構造物STを加工するように加工装置102aを制御する。例えば、制御装置104aは、ワークWの基準点RPを基準に3次元構造物STを加工するように、加工装置102aを制御してもよい。例えば、制御装置104aは、基準点RPを基準に定まる位置において加工(例えば、上述した除去加工であり、実質的には、仕上げ加工)が行われるように、加工装置102aを制御してもよい。例えば、制御装置104aは、ワークWの基準点RPを基準に加工ヘッド1021aが移動するようにヘッド駆動系1022aを制御してもよい。その結果、ワークWの基準点RPに対して所定の位置関係を有する位置に形成された3次元構造物ST対する加工が行われる。つまり、第2実施形態では、加工ユニットUNTa2は、造形ユニットUNTa1が造形動作を行う際に基準にした基準点RPを基準に、3次元構造物STを加工する。言い換えれば、加工ユニットUNTa2が加工動作を行う際に基準位置として用いる基準点は、造形ユニットUNTa1が造形動作を行う際に基準位置として用いる基準点と一致する。
【0227】
基準点情報に基づいて3次元構造物STを加工するために、まず、制御装置104aは、ワークWと加工装置102a(特に、加工ヘッド1021a)との位置合わせを行う(ステップS23)。つまり、制御装置104aは、加工ヘッド1021aの位置出しを行う(ステップS23)。第2実施形態では特に、制御装置104aは、基準点RPと加工装置102a(特に、加工ヘッド1021a)との位置合わせを行うことで、ワークWと加工装置102a(特に、加工ヘッド1021a)との位置合わせを行うものとする。
【0228】
具体的には、制御装置104aは、加工ユニットUNTa2の基準座標系内において、基準点RPと加工ヘッド1021aとの位置合わせを行う。第2実施形態では、加工座標系が加工ユニットUNTa2の基準座標系として用いられるものとする。加工座標系は、加工ヘッド1021aの位置を特定するために用いられる3次元座標系である。例えば、ヘッド駆動系1022aは、加工座標系内において特定される加工ヘッド1021aの位置に関する情報に基づいて、加工ヘッド1021aを移動させる。例えば、位置計測装置1023aは、加工座標系内における加工ヘッド1021aの位置を計測する。尚、第2実施形態では、造形ユニットUNTa1の基準座標系(つまり、第1実施形態の加工システムSYSの基準座標系)を“造形基準座標系”と称し、且つ、加工ユニットUNTa2の基準座標系を“加工基準座標系”と称することで、両者を区別する。
【0229】
尚、基準点RPと加工装置102aとの位置合わせに先立って、上述したプローブ10213a等を用いてワークWが計測されてもよい。つまり、加工基準座標系におけるワークWの位置が計測されてもよい。その上で、加工基準座標系における位置が判明したワークWの基準点RPと加工装置102aとの位置合わせが行われてもよい。
【0230】
基準点RPと加工装置102a(特に、加工ヘッド1021a)との位置合わせを行うために、制御装置104aは、基準点情報に基づいて、ワークW上に設定されている基準点RPと加工装置102a(特に、加工ヘッド1021a)とが所定の位置関係を有するという位置合わせ条件が満たされるように、加工ヘッド1021aを移動させる。
【0231】
例えば、加工ヘッド1021aが切削工具10211aを備えている場合(図36参照)には、位置合わせ条件は、切削工具10211aが基準点RPに位置する(例えば、切削工具10211aの先端が基準点RPに接触する)という第1条件を含んでいてもよい。但し、第1条件が用いられる場合には、基準点RPと加工装置102aとの位置合わせを行う過程で3次元構造物STが誤って加工されることを防止するために、切削工具10211aは停止していることが好ましい。例えば、加工ヘッド1021aが照射光学系10212aを備えている場合(図37参照)には、位置合わせ条件は、照射光学系10212aからのエネルギビームEBが基準点RPに照射されるという第2条件を含んでいてもよい。位置合わせ条件は、照射光学系10212aからのエネルギビームEBの収斂位置が基準点RPに位置するという第2条件を含んでいてもよい。但し、第2条件が用いられる場合には、基準点RPと加工装置102aとの位置合わせを行う過程で3次元構造物STが誤って加工されることを防止するために、エネルギビームEBの強度は、3次元構造物STを加工できないほどに低くなっていることが好ましい。例えば、加工ヘッド1021aに位置合わせ用のプローブ10213a(図38参照)が取り付け可能である場合には、位置合わせ条件は、プローブ10213aが基準点RPに位置する(例えば、プローブ10213aの先端が基準点RPに接触する)という第3条件を含んでいてもよい。例えば、加工ヘッド1021aが位置合わせ用のビームを照射可能な照射装置を備えている場合には、位置合わせ条件は、照射装置からのビームが基準点RPに照射されるという第4条件を含んでいてもよい。位置合わせ条件は、照射装置からのビームの収斂位置が基準点RPに位置するという第4条件を含んでいてもよい。
【0232】
制御装置104aは、基準点情報に基づいて、位置合わせ条件が満たされるように、加工ヘッド1021aを移動させてもよい。具体的には、基準点情報は、上述したように、基準点RPが設定されたワークW上の位置を示している。従って、制御装置104aは、基準点情報に基づいてワークW上に設定された基準点RPを特定し、特定した基準点RPと加工装置102aとが所定の位置関係を有するという位置合わせ条件が満たされるように、加工ヘッド1021aを移動させてもよい。或いは、ワークW上に設定された基準点RPが加工ユニットUNTa2のユーザにとって既知の情報である場合には、制御装置104aは、入力装置101aを介して加工ユニットUNTa2に入力されるユーザの指示に基づいて、基準点RPと加工装置102aとが所定の位置関係を有するという位置合わせ条件が満たされるように、加工ヘッド1021aを移動させてもよい。つまり、ユーザが、位置合わせ条件が満たされるように加工ヘッド1021aを移動させてもよい。
【0233】
その後、制御装置104aは、基準点RPと加工ヘッド1021aとの位置合わせの結果に基づいて、3次元構造物STを加工するように、加工装置102aを制御する(ステップS24)。具体的には、制御装置104aは、位置計測装置1023aの計測結果に基づいて、位置合わせ条件が満たされたときの加工ヘッド1021aの位置を特定する。つまり、制御装置104aは、位置合わせ条件が満たされるように基準点RPと加工ヘッド1021aとが位置合わせされた場合の加工ヘッド1021aの位置を特定する。その後、制御装置104aは、位置合わせ条件が満たされた場合における加工基準座標系内での加工ヘッド1021aの位置に基づいて、加工基準座標系内での基準点RPの位置を特定する。
【0234】
例えば、切削工具10211aが基準点RPに位置する(例えば、切削工具10211aの先端が基準点RPに接触する)という第1条件が位置合わせ条件として用いられる場合には、制御装置104aは、位置合わせ条件が満たされたときの加工ヘッド1021aの位置に基づいて、位置合わせ条件が満たされたときの切削工具10211aの位置(例えば、切削工具10211aの位置)を特定することができる。なぜならば、切削工具10211aが加工ヘッド1021aに取り付けられているがゆえに、通常、切削工具10211aと加工ヘッド1021aとは、制御装置104aにとって既知な特定の位置関係を有しているからである。また、位置合わせ条件が満たされたときの切削工具10211aの位置は、加工基準座標系内での基準点RPの位置と等価であるとみなせる。なぜならば、位置合わせ条件が満たされた時点で切削工具10211aが基準点RPに位置しているからである。従って、制御装置104aは、位置合わせ条件が満たされたときの加工ヘッド1021aの位置に基づいて、位置合わせ条件が満たされたときの切削工具10211aの位置を、加工基準座標系内での基準点RPの位置として特定してもよい。このとき、切削工具1021aの工具径補正を行ってもよい。尚、プローブ10213aが基準点RPに位置する(例えば、プローブ10213aの先端が基準点RPに接触する)という第3条件が位置合わせ条件として用いられる場合も同様に、制御装置104aは、位置合わせ条件が満たされたときの加工ヘッド1021aの位置に基づいて、位置合わせ条件が満たされたときのプローブ10213aの位置を、加工基準座標系内での基準点RPの位置として特定してもよい。
【0235】
例えば、照射光学系10212aからのエネルギビームEBが基準点RPに照射されるという第3条件が位置合わせ条件として用いられる場合には、制御装置104aは、位置合わせ条件が満たされたときの加工ヘッド1021aの位置に基づいて、位置合わせ条件が満たされたときのエネルギビームEBの照射位置を特定することができる。なぜならば、照射光学系10212aが加工ヘッド1021aに取り付けられているがゆえに、通常、エネルギビームEBの照射位置と加工ヘッド1021aとは、制御装置104aにとって既知な特定の位置関係を有しているからである。また、位置合わせ条件が満たされたときのエネルギビームEBの照射位置は、加工基準座標系内での基準点RPの位置と等価であるとみなせる。なぜならば、位置合わせ条件が満たされた時点でエネルギビームEBが基準点RPに照射されているからである。従って、制御装置104aは、位置合わせ条件が満たされたときの加工ヘッド1021aの位置に基づいて、位置合わせ条件が満たされたときのエネルギビームEBの照射位置を、加工準座標系内での基準点RPの位置として特定してもよい。尚、照射装置からのビームが基準点RPに照射されるという第4条件が位置合わせ条件として用いられる場合も同様に、制御装置104aは、位置合わせ条件が満たされたときの加工ヘッド1021aの位置に基づいて、位置合わせ条件が満たされたときのビームの照射位置を、加工基準座標系内での基準点RPの位置として特定してもよい。
【0236】
或いは、制御装置104aは、加工基準座標系内での基準点RPの位置を特定することに代えて、位置合わせ条件が満たされた場合における加工基準座標系内での加工ヘッド1021aの位置を基準に、3次元構造物STを加工するように、加工装置102aを制御してもよい(ステップS24)。なぜならば、位置合わせ条件が満たされた場合における加工基準座標系内での加工ヘッド1021aの位置は、典型的には、加工基準座標系内での基準点RPの位置に対応するからである。このため、位置合わせ条件が満たされた場合における加工基準座標系内での加工ヘッド1021aの位置を基準に3次元構造物STを加工する動作は、実質的には、加工基準座標系内での基準点RPの位置を基準に3次元構造物STを加工する動作と等価であるとみなしてもよい。
【0237】
その後、制御装置104aは、基準点情報に基づいて、加工基準座標系内での基準点RPの位置を基準に、3次元構造物STを加工するように、加工装置102aを制御する(ステップS24)。具体的には、上述したように、基準点情報は、基準点RPを起点とする3次元構造物STの形成位置を示している。このため、制御装置104aは、加工基準座標系内での基準点RPの位置と、基準点情報とに基づいて、加工基準座標系内での基準点RPと3次元構造物STとの相対位置を特定することができる。つまり、制御装置104aは、加工基準座標系内での3次元構造物STの位置を特定することができる。
【0238】
例えば、図48(a)及び図48(b)は、それぞれ、ステージ1031aが支持しているワークW及び3次元構造物STの一例を示す斜視図及び平面図である。図48(a)及び図48(b)示すように、制御装置104aは、基準点情報に基づいて、角柱形状の3次元構造物STの各側面(例えば、+X側の側面、-X側の側面、+Y側の側面及び-Y側の側面)が、ワークWの角に設定された基準点RPからどの程度離れた位置に位置しているのかを特定することができる。図48(b)に示す例では、制御装置104aは、基準点情報に基づいて、3次元構造物STの+X側の側面が基準点RPから距離d11だけ離れた位置に位置しており、3次元構造物STの-X側の側面が基準点RPから距離d12だけ離れた位置に位置しており、3次元構造物STの+Y側の側面が基準点RPから距離d13だけ離れた位置に位置しており、3次元構造物STの-Y側の側面が基準点RPから距離d14だけ離れた位置に位置していると特定することができる。或いは、上述したようにプローブ10213a等を用いてワークWが計測された場合には、図48(c)に示すように、制御装置104aは、基準点情報とワークWの計測結果とに基づいて、角柱形状の3次元構造物STの各側面がワークWの各側面からどの程度離れた位置に位置しているのかを特定することができる。図48(b)に示す例では、制御装置104aは、基準点情報に基づいて、3次元構造物STの+X側の側面がワークWの+X側の側面から距離d21だけ離れた位置に位置しており、3次元構造物STの-X側の側面がワークWの-X側の側面から距離d22だけ離れた位置に位置しており、3次元構造物STの+Y側の側面がワークWの+Y側の側面から距離d23だけ離れた位置に位置しており、3次元構造物STの-Y側の側面がワークWの-Y側の側面から距離d24だけ離れた位置に位置していると特定することができる。
【0239】
例えば、図49(a)及び図49(b)は、それぞれ、ステージ1031aが支持しているワークWの3次元構造物STの他の一例を示す斜視図及び平面図である。図49(a)及び図49(b)示すように、基準点RPが3次元構造物STによって隠されている場合であっても、制御装置104aは、基準点情報に基づいて、角柱形状の3次元構造物STの各側面が、ワークWの中心付近に設定された基準点RPからどの程度離れた位置に位置しているのかを特定することができる。図49(b)に示す例では、制御装置104aは、基準点情報に基づいて、3次元構造物STの+X側の側面が基準点RPから距離d31だけ離れた位置に位置しており、3次元構造物STの-X側の側面が基準点RPから距離d32だけ離れた位置に位置しており、3次元構造物STの+Y側の側面が基準点RPから距離d33だけ離れた位置に位置しており、3次元構造物STの-Y側の側面が基準点RPから距離d34だけ離れた位置に位置していると特定することができる。
【0240】
その結果、制御装置104aは、加工基準座標系内において基準点RPを基準に加工ヘッド1021aをどの方向にどの程度移動させれば、3次元構造物STを適切に加工することができるかを特定することができる。制御装置104aは、加工基準座標系内において基準点RPを基準とする加工ヘッド1021aの移動軌跡(いわゆる、ツールパス)を特定することができる。従って、加工装置2は、3次元構造物STを適切に加工することができる。
【0241】
但し、制御装置104aは、加工基準座標系内での基準点RPの位置と基準点情報とを参照するだけでは、ワークW及び3次元構造物STのそれぞれの形状を高精度に特定することができない可能性がある。このため、第2実施形態では、ワークWの形状に関するワーク形状情報及び3次元構造物STの形状に関する造形形状情報が、基準点情報と関連付けられた状態で、造形ユニットUNTa1の出力装置93aから加工ユニットUNTa2の入力装置101aに入力されてもよい。この場合、制御装置104aは、加工基準座標系内において、ワーク形状情報に基づいて形状が相対的に高精度に特定可能なワークWに対して(特に、ワークW上の基準点RPに対して)、造形形状情報に基づいてその形状が相対的に高精度に特定可能な3次元構造物STがどこに位置しているかを、加工基準座標系内での基準点RPの位置と基準点情報とに基づいて特定することができる。この場合、ワーク形状情報及び造形形状データは、互いに関連付けられた状態で造形ユニットUNTa1から加工ユニットUNTa2に入力されてもよい。「互いに関連付けられた状態にあるワーク情報及び造形情報」とは、ワークモデルWM(ワークW)と造形モデルPM(3次元構造物ST)との位置関係を特定可能な状態にあるワーク情報及び造形情報を意味していてもよい。
【0242】
或いは、ワーク形状情報及び造形形状情報に加えて又は代えて、造形ユニットUNTa1が備える計測装置8の計測結果に関する計測情報が、基準点情報と関連付けられた状態で、造形ユニットUNTa1の出力装置93aから加工ユニットUNTa2の入力装置101aに入力されてもよい。具体的には、例えば、計測装置8を用いたワークWの計測結果に関する計測情報(特に、ワークWの形状に関する計測形状情報)が加工ユニットUNTa2に入力されてもよい。例えば、計測装置8を用いた3次元構造物STの計測結果に関する計測情報(特に、3次元構造物STの形状に関する計測形状情報)が加工ユニットUNTa2に入力されてもよい。この場合、制御装置104aは、加工基準座標系内において、計測形状情報に基づいて形状が相対的に高精度に特定可能なワークWに対して(特に、ワークW上の基準点RPに対して)、計測形状情報に基づいてその形状が相対的に高精度に特定可能な3次元構造物STがどこに位置しているかを、加工基準座標系内での基準点RPの位置と基準点情報とに基づいて特定することができる。この場合、計測情報は、ワークWの計測結果と3次元構造物STの計測結果とが互いに関連付けられた状態で造形ユニットUNTa1から加工ユニットUNTa2に入力されてもよい。尚、「ワークWの計測結果と3次元構造物STの計測結果とが互いに関連付けられた状態にある計測情報」とは、ワークWと3次元構造物STとの位置関係を特定可能な状態にある計測情報を意味していてもよい。尚、計測装置8は、造形ユニットUNTa1が3次元構造物STを形成する前に(つまり、造形動作を開始する前に)、ワークWを計測してもよい。計測装置8は、造形ユニットUNTa1が3次元構造物STを形成している期間中の所望のタイミングでワークW及び3次元構造物STの少なくとも一方を計測してもよい。計測装置8は、造形ユニットUNTa1が3次元構造物STを形成した後に(つまり、造形動作を完了した後に)、ワークW及び3次元構造物STを計測してもよい。
【0243】
(4-3)第2実施形態の加工システムSYSaの技術的効果
第2実施形態の加工システムSYSaは、出力装置93aを更に備えているという点で上述した第1実施形態の加工システムSYSとは異なる造形ユニットUNTa1を備えている。従って、第2実施形態の加工システムSYSaは、上述した第1実施形態の加工システムSYSが享受可能な効果と同様の効果を享受することができる。
【0244】
また、第2実施形態の加工システムSYSaでは、加工ユニットUNTa2は、造形ユニットUNTa1が造形動作を行う際に基準にした基準点RPに関する基準点情報に基づいて、3次元構造物STを加工することができる。具体的には、加工ユニットUNTa2は、造形ユニットUNTa1が造形動作を行う際に基準にした基準点RPを基準に、3次元構造物STを加工することができる。その結果、基準点情報が用いられない場合(つまり、造形ユニットUNTa1が造形動作を行う際に基準にした基準点RPとは関係ない点を基準に3次元構造物STを加工する場合)と比較して、加工ヘッド1021aの位置出しが容易になる。
【0245】
具体的には、造形ユニットUNTa1と加工ユニットUNTa2とが別々の装置であるがゆえに、造形基準座標系と加工基準座標系とが一致するとは限らない。このため、造形基準座標系内における3次元構造物STの位置が既知の情報であったとしても、加工基準座標系内における3次元構造物STの位置も既知の情報になるとは限らない。このため、加工ユニットUNTa2が3次元構造物STを加工するためには、上述した加工ヘッド1021aの位置出し(より具体的には、加工対象物である3次元構造物STと加工ヘッド1021aとの位置合わせ)が必要になる。ここで、仮に基準点情報が用いられない場合には、加工ユニットUNTa2は、加工ヘッド1021aの位置出しを行うために、例えば、3次元構造物STの複数の特徴点と加工ヘッド1021aとの位置合わせを行う必要がある可能性がある。例えば、加工ユニットUNTa2は、3次元構造物STの+X側の端部と加工ヘッド1021aとの位置合わせを行い、3次元構造物STの-X側の端部と加工ヘッド1021aとの位置合わせを行い、その後、X軸方向における3次元構造物STの中心位置を特定する必要がある可能性がある。例えば、加工ユニットUNTa2は、3次元構造物STの+Y側の端部と加工ヘッド1021aとの位置合わせを行い、3次元構造物STの-Y側の端部と加工ヘッド1021aとの位置合わせを行い、その後、Y軸方向における3次元構造物STの中心位置を特定する必要がある可能性がある。例えば、加工ユニットUNTa2は、その他にも必要な動作を行う必要がある可能性がある。従って、3次元構造物STの加工コスト(例えば、時間的なコスト及び費用的なコストの少なくとも一方)が相対的に大きくなる可能性がある。
【0246】
しかるに、第2実施形態では、加工ユニットUNTa2は、加工ヘッド1021aの位置出しを行うために、ワークW(特に、ワークW上の基準点RP)と加工ヘッド1021aとの位置合わせを行えば十分である。加工ユニットUNTa2は、加工ヘッド1021aの位置出しを行うために、3次元構造物STと加工ヘッド1021aとの位置合わせを行わなくてもよくなる。なぜならば、造形ユニットUNTa1が基準点RPを基準に3次元構造物STを形成しているがゆえに、加工ユニットUNTa2は、基準点RPに関する基準点情報を参照すれば、ワークWの基準点RPに対して加工対象物たる3次元構造物STがどこに位置しているかを容易に特定することができるからである。従って、基準点情報を用いる第2実施形態では、基準点情報を用いない場合と比較して、3次元構造物STの加工コストが低減可能になる。
【0247】
また、3次元構造物STと一体化したワークW上に基準点RPが設定されているがゆえに、3次元構造物STが造形ユニットUNTa1から加工ユニットUNTa2に搬送されたとしても、基準点RPと3次元構造物STとの相対位置が変わることはない。つまり、造形ユニットUNTa1のステージ31にワークWが載置されているときの基準点RPと3次元構造物STとの相対位置と、加工ユニットUNTa2のステージ1031aにワークWが載置されているときの基準点RPと3次元構造物STとの相対位置とは同一である。このため、3次元構造物STが造形ユニットUNTa1から加工ユニットUNTa2に搬送されたとしても、加工ユニットUNTa2は、造形ユニットUNTa1が造形動作を行う際に基準にした基準点RPを基準に、3次元構造物STを適切に加工することができる。
【0248】
(4-4)第2実施形態で採用可能な変形例
続いて、第2実施形態で採用可能な変形例について説明する。
【0249】
(4-4-1)第1変形例
造形ユニットUNTa1の造形精度が相対的に悪い場合には、造形情報が示す理想的な位置からずれた(つまり、離れた)位置に3次元構造物STが形成される可能性がある。つまり、3次元構造物STの造形誤差(典型的には、設計値に対する位置ずれ又は形状ずれ)が発生する可能性がある。具体的には、図50は、図45に示す基準点RPが設定された場合において造形精度が相対的に悪い造形ユニットUNTa1によってワークW上に形成された3次元構造物STを示す平面図である。図50に示すように、造形ユニットUNTa1の造形精度が相対的に悪い場合には、本来はワークWの基準点RPからX軸方向に沿ってxx[mm]だけ離れており且つY軸方向に沿ってyy[mm]だけ離れた位置に3次元構造物STが形成されるべき状況であるにも関わらず、実際には、ワークWの基準点RPからX軸方向に沿ってxx[mm]とは異なるxx’[mm]だけ離れており且つY軸方向に沿ってyy[mm]とは異なるyy’[mm]だけ離れた位置に3次元構造物STが形成される可能性がある。或いは、説明の便宜上図示しないものの、本来はある方向(例えば、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の少なくとも一つ)に沿ったサイズがs[mm]となる3次元構造物STが形成されるべき状況であるにも関わらず、実際には、その方向に沿ったサイズがs[mm]とは異なるs’[mm]となる3次元構造物STが形成される可能性がある。
【0250】
一方で、造形ユニットUNTa1から加工ユニットUNTa2に対して出力される基準点情報には、このような3次元構造物STの造形誤差に関する情報が含まれていない。このため、加工ユニットUNTa2は、3次元構造物STの造形誤差が発生しているか否かを判定することができない。このため、加工ユニットUNTa2は、3次元構造物STを適切に加工することができなくなる可能性がある。
【0251】
そこで、第1変形例では、造形ユニットUNTa1は、3次元構造物STの造形誤差に起因した影響を低減するための動作を行ってもよい。具体的には、造形ユニットUNTa1は、3次元構造物STを形成した後に、計測装置8を用いて、実際に形成した3次元構造物STを計測してもよい。計測装置8の計測結果が、造形情報が示す理想的な位置に3次元構造物STが計測されていることを示している場合には、3次元構造物STの造形誤差が発生していないと推定される。一方で、計測装置8の計測結果が、造形情報が示す理想的な位置からずれた位置に3次元構造物STが計測されていることを示している場合には、3次元構造物STの造形誤差が発生していると推定される。この場合には、加工ユニットUNTa2は、3次元構造物STの造形誤差に起因した影響を低減するように、3次元構造物STを加工してもよい。
【0252】
一例として、造形ユニットUNTa1の出力装置93aは、計測装置8の計測結果を、加工ユニットUNTa2に対して出力してもよい。加工ユニットUNTa2は、計測装置8の計測結果に基づいて、3次元構造物STの造形誤差に起因した影響を低減するように、3次元構造物STを加工してもよい。例えば、加工ユニットUNTa2の制御装置104aは、計測装置8の計測結果に基づいて、造形誤差が反映されていない基準点情報を修正して、造形誤差が反映された基準点情報を生成してもよい。造形誤差が反映された基準点情報は、基準点RPと実際の3次元構造物ST(例えば、造形情報が示す理想的な位置からずれた位置に形成された3次元構造物ST)との相対位置を示していてもよい。その後、制御装置104aは、造形誤差が反映された基準点情報に基づいて、3次元構造物STを加工するように加工装置102aを制御してもよい。或いは、例えば、制御装置104aは、計測装置8の計測結果と、造形誤差が反映されていない基準点情報とに基づいて、造形誤差の影響が低減されるよう(例えば、造形誤差に起因した加工精度の悪化を抑制するように)、加工装置102aを制御してもよい。具体的には、例えば、制御装置104aは、計測装置8の計測結果と、造形誤差が反映されていない基準点情報とに基づいて、基準座標系内での実際の3次元構造物STの位置を特定し、実際の位置(つまり、造形誤差が反映された位置)を特定した3次元構造物STを加工するように加工装置102aを制御してもよい。
【0253】
他の一例として、造形ユニットUNTa1の制御装置7は、計測装置8の計測結果に基づいて、造形誤差が反映されていない基準点情報を修正して、造形誤差が反映された基準点情報を生成してもよい。その後、造形ユニットUNTa1の出力装置93aは、造形誤差が反映された基準点情報を加工ユニットUNTa2に対して出力してもよい。この場合、加工ユニットUNTa2は、造形ユニットUNTa1から出力された基準点情報に基づいて、3次元構造物STを加工してもよい。
【0254】
(4-4-2)第2変形例
上述した説明では、基準点情報が造形ユニットUNTa1から加工ユニットUNTa2に対して出力されている。しかしながら、造形ユニットUNTa1及び/又は加工ユニットUNTa2のユーザが、手動で基準点情報を加工ユニットUNTa2に入力してもよい。つまり、造形ユニットUNTa1及び/又は加工ユニットUNTa2のユーザは、キーボード等の入力装置101aを用いて、基準点情報を加工ユニットUNTa2に入力してもよい。つまり、加工ユニットUNTa2による基準点情報の取得経路として、造形ユニットUNTa1から基準点情報を取得する経路に加えて又は代えて、ユーザから基準点情報を取得する経路が存在していてもよい。この場合、造形ユニットUNTa1の出力装置93aは、加工ユニットUNTa2に対して基準点情報を出力しなくてもよい。造形ユニットUNTa1は、出力装置93aを備えていなくてもよい。
【0255】
(4-4-3)第3変形例
上述した説明では、造形ユニットUNTa1及び/又はユーザから加工ユニットUNTa2に対して基準点情報が入力されている。しかしながら、基準点情報に加えて又は代えて、基準点情報とは異なる情報が入力装置101aを介して加工ユニットUNTa2に入力されてもよく、加工ユニットUNTa2は、入力された情報に基づいて3次元構造物STを加工してもよい。つまり、加工ユニットUNTa2の制御装置104aは、基準点情報とは異なる情報に基づいて、3次元構造物STを加工するように加工装置102aを制御してもよい。
【0256】
例えば、制御装置104aは、基準点情報とは異なる情報に基づいて基準点情報を生成し、生成した基準点情報に基づいて、3次元構造物STを加工するように加工装置102aを制御してもよい。例えば、制御装置104aは、基準点情報とは異なる情報に基づいて、基準点情報を生成することなく、3次元構造物STを加工するように加工装置102aを制御してもよい。この場合、制御装置104aは、基準点情報とは異なる情報に基づいて加工基準座標系における3次元構造物STの位置(更には、必要に応じて形状等の他の特性)を特定し、特定した位置に関する情報に基づいて、3次元構造物STを加工するように加工装置102aを制御してもよい。
【0257】
基準点情報とは異なる情報の一例として、ワーク情報及び造形情報があげられる。つまり、ワーク情報及び造形情報が、造形ユニットUNTa1の出力装置93aから加工ユニットUNTa2の入力装置101aに入力されてもよい。この際、ワーク情報及び造形情報は、互いに関連付けられた状態で造形ユニットUNTa1から加工ユニットUNTa2に入力されてもよい。例えば、ワーク情報及び造形情報は、ワーク情報に含まれるワーク形状情報(つまり、ワークモデルWMの3次元形状に関する情報であり、実質的には、ワークWの3次元形状に関する情報)と造形情報に含まれる造形形状情報(つまり、造形モデルPMの3次元形状に関する情報であり、実質的には、3次元構造物STの3次元形状に関する情報)とが関連付けられた状態で造形ユニットUNTa1から加工ユニットUNTa2に入力されてもよい。例えば、ワーク情報及び造形情報は、ワーク情報に含まれるワーク位置情報(つまり、ワークモデルWMの位置に関する情報であり、実質的には、ワークWの位置に関する情報)と造形情報に含まれる造形位置情報(つまり、造形モデルPMの位置に関する情報であり、実質的には、3次元構造物STの位置に関する情報)とが関連付けられた状態で造形ユニットUNTa1から加工ユニットUNTa2に入力されてもよい。尚、「互いに関連付けられた状態にあるワーク情報及び造形情報」とは、ワークモデルWM(ワークW)と造形モデルPM(3次元構造物ST)との位置関係を特定可能な状態にあるワーク情報及び造形情報を意味していてもよい。
【0258】
基準点情報とは異なる情報の他の一例として、造形ユニットUNTa1が備える計測装置8の計測結果に関する計測情報があげられる。つまり、計測情報が、造形ユニットUNTa1の出力装置93aから加工ユニットUNTa2の入力装置101aに入力されてもよい。例えば、造形ユニットUNTa1は、3次元構造物STを形成する前に計測装置8を用いてワークWを計測してもよく、3次元構造物STを形成する前の計測装置8の計測結果に関する計測情報が入力装置101aを介して加工ユニットUNTa2に入力されてもよい。例えば、造形ユニットUNTa1は、3次元構造物STを形成している期間中の所望のタイミングで計測装置8を用いてワークW及び3次元構造物STの少なくとも一方を計測してもよく、3次元構造物STを形成している期間中の所望のタイミングでの計測装置8の計測結果に関する計測情報が入力装置101aを介して加工ユニットUNTa2に入力されてもよい。例えば、造形ユニットUNTa1は、3次元構造物STを形成した後に計測装置8を用いてワークW及び3次元構造物STを計測してもよく、3次元構造物STを形成した後の計測装置8の計測結果に関する計測情報が入力装置101aを介して加工ユニットUNTa2に入力されてもよい。この際、計測情報は、計測情報に含まれるワークWの計測結果と計測情報に含まれる3次元構造物STの計測結果とが関連付けられた状態で造形ユニットUNTa1から加工ユニットUNTa2に入力されてもよい。尚、「ワークWの計測結果と3次元構造物STの計測結果とが関連付けられた状態にある計測情報」とは、ワークモデルWM(ワークW)と造形モデルPM(3次元構造物ST)との位置関係を特定可能な状態にある計測情報を意味していてもよい。
【0259】
或いは、加工ユニットUNTa2は、3次元構造物STを計測するための計測装置を備えていてもよく、加工ユニットUNTa2が備える計測装置の計測結果(つまり、3次元構造物STの計測結果)に基づいて基準点情報を生成してもよい。加工ユニットUNTa2は、加工ユニットUNTa2が備える計測装置の計測結果(つまり、3次元構造物STの計測結果)に基づいて、3次元構造物STを加工してもよい。尚、加工ユニットUNTa2が備える計測装置は、造形ユニットUNTa1が備える計測装置8と同様の構造を有していてもよい。
【0260】
(4-4-4)第4変形例
上述した説明では、造形ユニットUNTa1及び加工ユニットUNTa2が、それぞれ、制御装置7及び制御装置104aを備えている。つまり、加工システムSYSaは、造形ユニットUNTa1及び加工ユニットUNTa2をそれぞれ制御する制御装置7及び制御装置104aを備えている。しかしながら、加工システムSYSaは、制御装置7及び制御装置104aに加えて又は代えて、造形ユニットUNTa1及び加工ユニットUNTa2を制御する共通の制御装置7aを備えていてもよい。つまり、加工システムSYSaは、制御装置7を備えていなくてもよい造形ユニットUNTa1と、制御装置104aを備えていなくてもよい加工ユニットUNTa2と、搬送装置10aと、制御装置7aとを備えていてもよい。尚、図51は、造形ユニットUNTa1及び加工ユニットUNTa2を制御する共通の制御装置7aを備える加工システムSYSaのシステム構成を示すシステム構成図である。図51は、造形ユニットUNTa1が制御装置7を備えていない例を示しているが、造形ユニットUNTa1が制御装置7を備えていてもよい。図51は、加工ユニットUNTa2が制御装置104aを備えていない例を示しているが、加工ユニットUNTa2が制御装置104aを備えていてもよい。以降、制御装置7aを備える加工システムSYSaを、“加工システムSYSa1”と称する。
【0261】
この場合、制御装置7aは、制御装置7が行う動作及び制御装置104aが行う動作の少なくとも一部を行ってもよい。また、加工システムSYSa1が制御装置7aを備える場合には、基準点情報は、必ずしも造形ユニットUNTa1の出力装置93aから加工ユニットUNTa2の入力装置101aに入力されなくてもよい。例えば、制御装置7aは、造形動作において基準点RPを設定し、加工動作において、設定した基準点RPに関する基準点情報に基づいて加工装置102aを制御してもよい。例えば、制御装置7aは、ワーク情報及び造形情報に基づいて3次元構造物STを形成するように造形装置2を制御し、ワーク情報及び造形情報に基づいて基準点情報を生成し、基準点情報に基づいて3次元構造物STを加工するように加工装置102aを制御してもよい。例えば、制御装置7aは、造形動作において造形ユニットUNTa1の制御装置7が生成した基準点RPに関する基準点情報を取得し、取得した基準点情報を加工ユニットUNTa2の入力装置101aに入力してもよい。例えば、制御装置7aは、造形動作において造形ユニットUNTa1の制御装置7が用いたワーク情報及び造形情報を取得し、取得したワーク情報及び造形情報を加工ユニットUNTa2の入力装置101aに入力してもよい。例えば、制御装置7aは、造形動作において造形ユニットUNTa1の制御装置7が生成した基準点RPに関する基準点情報を取得し、取得した基準点情報に基づいて3次元構造物STを加工するように加工装置102aを制御してもよい。例えば、制御装置7aは、造形動作において造形ユニットUNTa1の制御装置7が用いたワーク情報及び造形情報を取得し、取得したワーク情報及び造形情報に基づいて基準点情報を生成し、生成した基準点情報に基づいて3次元構造物STを加工するように加工装置102aを制御してもよい。尚、加工システムSYSa1は搬送装置10aを備えていなくてもよい。また、制御装置7は、加工システムSYSa1の外部に設けられていてもよい。
【0262】
(4-4-5)第5変形例
上述した説明では、造形ユニットUNTa1のステージ31は、ワークW単体を支持している。しかしながら、ステージ31は、ワークWとは異なる物体を介してワークWを支持してもよい。この場合、造形ユニットUNTa1の計測装置8は、ワークWとは異なる物体と共にワークWを計測してもよい。
【0263】
例えば、図52は、ワークWとは異なる物体を介してワークWを支持するステージ31の一例を示す斜視図である。図52に示すように、ステージ31は、例えば、ワークWを固定するための固定治具(例えば、バイス)36aを介してワークWを支持してもよい。つまり、ステージ31は、固定治具36aを支持し、ステージ31に支持されている固定治具36aにワークWが固定されていてもよい。尚、固定治具36aは、例えば、加工ユニットUNTa2による3次元構造物STの加工中にステージ1031aに対して3次元構造物STが位置ずれしないようにワークWを固定するための装置であってもよい。この場合、座標マッチング動作及びワークモデルアライメント動作において、計測装置8は、固定治具36aに固定されたワークWを計測してもよい。つまり、計測装置8は、固定治具36aと共にワークWを計測してもよい。また、固定治具36aがワークWを固定している限りは固定治具36aと3次元構造物STとの相対位置が変わることは殆どないがゆえに、制御装置104aは、固定治具36a上に基準点RPを設定してもよい。また、造形動作において、加工装置2は、固定治具36aに固定されたワークW上に3次元構造物STを形成してもよい。尚、図53は、固定治具36aに固定されたワークW上に形成された3次元構造物STを示す斜視図である。
【0264】
更に、ワークWが固定治具36aに固定されている場合には、搬送装置10aは、固定治具36aに固定されたワークWを搬送してもよい。搬送装置10aは、固定治具36aと共に固定治具36aに固定されたワークWを搬送してもよい。つまり、ワークWとは異なる物体を介してステージ31がワークWを支持している場合には、搬送装置10aは、ワークWとは異なる物体と共にワークWを搬送してもよい。
【0265】
更に、加工ユニットUNTa2のステージ1031aもまた、ワークWを固定するための固定治具36aを介してワークWを支持してもよい。つまり、ステージ1031aは、固定治具36aを支持し、ステージ1031aに支持されている固定治具36aにワークWが固定されていてもよい。尚、図54は、固定治具36aに固定されたワークWを支持するステージ1031aを示す斜視図である。つまり、ワークWとは異なる物体を介してステージ31がワークWを支持している場合には、ステージ1031aは、ワークWとは異なる物体を介してワークWを支持してもよい。
【0266】
固定治具36aは、ステージ1031aに固定されてもよい。その結果、加工ユニットUNTa2による3次元構造物STの加工中におけるステージ1031aに対する3次元構造物STの位置ずれが抑制される。例えば、図54に示すように、固定治具36aに形成されたネジ穴361a及びステージ1031aに形成された溝(例えば、T溝)を介して、固定治具36aがステージ1031aにネジ留めされてもよい。
【0267】
尚、ステージ31は、複数の固定治具36aにそれぞれ固定された複数のワークWを支持してもよい。つまり、ステージ31は、複数の固定治具36aをそれぞれ介して複数のワークWを支持してもよい。この場合、上述したワークモデルアライメント動作は、複数のワークWのそれぞれを対象に行われる。例えば、ステージ31がN(但し、Nは2以上の整数)個のワークWを支持している場合には、第1のワークWに対してワークモデルアライメント動作が行われることで、第1のワークWに関するワーク情報が生成され、第2のワークWに対してワークモデルアライメント動作が行われることで、第2のワークWに関するワーク情報が生成され、・・・、第NのワークWに対してワークモデルアライメント動作が行われることで、第NのワークWに関するワーク情報が生成される。但し、計測装置8の計測範囲に2つ以上のワークWが含まれる場合には、ワークモデルアライメント動作のための計測装置8による計測は、2つ以上のワークWを対象にまとめて行われてもよい。また、3次元構造物STが形成された後に計測装置8が3次元構造物STを形成する場合には、計測装置8は、複数のワークWにそれぞれ形成された複数の3次元構造物STを複数のワークWと共にまとめて又は順に計測してもよい。
【0268】
尚、ステージ31は、固定治具36aを介することなく複数のワークWを支持してもよい。この場合においても同様に、上述したワークモデルアライメント動作は、複数のワークWのそれぞれを対象に行われてもよい。
【0269】
(5)変形例
続いて、第1及び第2実施形態のそれぞれで採用可能な変形例について説明する。
【0270】
(5-1)ステージ駆動系32に関する変形例
第1実施形態の加工システムSYSのシステム構成の他の例(つまり、第2実施形態の造形ユニットUNTa1のシステム構成の他の例)を示す図55に示すように、ステージ装置3は、ステージ31を移動させるためステージ駆動系32を備えていてもよい。ステージ駆動系32は、例えば、チャンバ空間63IN内でステージ31を移動させてもよい。ステージ駆動系32は、X軸、Y軸及びZ軸の少なくとも一つに沿ってステージ31を移動させてもよい。ステージ31がX軸及びY軸の少なくとも一方に沿って移動すると、照射領域EA及び供給領域MAのそれぞれは、ワークW上をX軸及びY軸の少なくとも一方に沿って移動する。更に、ステージ駆動系32は、X軸、Y軸及びZ軸の少なくとも一つに加えて、θX方向、θY方向及びθZ方向の少なくとも一つに沿ってステージ31を移動させてもよい。ステージ駆動系32は、例えば、モータ等を含む。
【0271】
加工システムSYSがステージ駆動系32を備える場合には、ステージ装置3は更に、位置計測装置33を備えていてもよい。位置計測装置33は、ステージ31の位置を計測可能である。位置計測装置33は、例えば、エンコーダ及びレーザ干渉計のうちの少なくとも一方を含んでいてもよい。
【0272】
加工システムSYSがステージ駆動系32を備える場合には、造形装置2は、ヘッド駆動系22を備えてなくてもよい。但し、加工システムSYSがステージ駆動系32を備える場合であっても、造形装置2は、ヘッド駆動系22を備えていてもよい。造形装置2がヘッド駆動系22を備えていない場合には、造形装置2は、位置計測装置23を備えていなくてもよい。
【0273】
加工システムSYSがステージ駆動系32を備えている場合には、上述した造形座標系とステージ座標系とを関連付けるための座標マッチング動作の流れを示す上述した図4のステップS112において、ステージ駆動系32は、ビーム検出器325に向けて加工光ELが照射されるようにステージ31を移動させてもよい。更に、図4のステップS113において、制御装置7は、制御装置7にとって既知の情報であるステージ座標系内でのピン312の位置を、ステージ31の移動量に応じて補正した上で、ピン312に加工光ELを照射可能な状態にある造形ヘッド21の造形座標系内での位置と、ステージ座標系内でのピン312が形成されている位置とが互いに関連付けられるべき位置であると特定してもよい。但し、加工システムSYSがヘッド駆動系22を備えていない(つまり、造形ヘッド21が移動しない)場合には、造形座標系が用いられなくてもよく、この場合には、造形座標系とステージ座標系とを関連付けるための座標マッチング動作の流れを示す上述した図4のステップS111からステップS113の処理が行われなくてもよい。
【0274】
加工システムSYSがステージ駆動系32を備えている場合には、上述した計測座標系とステージ座標系とを関連付けるための座標マッチング動作の流れを示す上述した図4のステップS115において、位置計測装置33は、計測装置8が基準部材34を計測しているときのステージ31の位置を計測してもよい。更に、図4のステップS116において、制御装置7は、ステップS115における計測装置8の計測結果と、ステップS115で計測装置8が基準部材34を計測しているときのステージ31の位置の計測結果とに基づいて、計測座標系とステージ座標系とを関連付けてもよい。具体的には、制御装置7は、計測装置8の計測結果から、計測座標系における基準マーク343の位置を特定することができる。更に、上述したように、基準マーク343と貫通孔322との間の位置関係(つまり、基準マーク343とピン312との間の位置関係)に関する情報は、制御装置7にとって既知の情報である。このため、制御装置7は、計測座標系における基準マーク343の位置に関する情報と、基準マーク343と貫通孔322との間の位置関係に関する情報とに基づいて、計測座標系内における貫通孔322及びピン312の位置を特定可能である。更に、上述したように、ステージ座標系内でのピン312の位置に関する情報は、制御装置7にとって既知の情報である。その結果、制御装置7は、計測座標系内におけるピン312の位置と、ステージ座標系内でのピン312の位置とが互いに関連付けられるべき位置であると特定することができる。但し、ステージ31がステージ駆動系32によって移動した場合には、ステージ座標系内でのピン312の位置は、ステージ駆動系32によるステージ31の移動量だけ補正される。この場合、制御装置7は、計測座標系内におけるピン312の位置と、ステージ座標系内でのピン312の補正後の位置とが互いに関連付けられるべき位置であると特定することができる。その結果、制御装置7は、計測座標系内でのある特定の位置とステージ座標系内でのある特定の位置とが互いに関連付けられるべき位置であるという特定結果に基づいて、計測座標系とステージ座標系とを関連付けることができる。
【0275】
加工システムSYSがステージ駆動系32を備えている場合には、上述した第3のワークモデルアライメント動作の流れを示す上述した図17のステップS144において、ステージ駆動系32は、図17のステップS143で指定されたユーザ指定点と造形装置2とが所望の第3位置関係を有するという位置条件が満たされるように、ステージ31を移動させてもよい。更に、図17のステップS145において、ユーザ指定点と造形装置2とが所望の第3位置関係を有するという位置条件が満たされるようにステージ31が移動した後、位置計測装置33は、位置条件が満たされた時点でのステージ31の位置を計測してもよい。更に、図17のステップS148において、制御装置7は、図17のステップS145における位置計測装置23及び/又は33の計測結果と、ステップS142で取得されたワークモデルデータとに基づいて、ワーク情報を生成してもよい。具体的には、ステップS145における位置計測装置23及び/又は33の計測結果は、ユーザ指定点と造形装置2とが所望の第3位置関係を有するときの造形ヘッド21及び/又はステージ31の位置を示している。このため、制御装置7は、位置計測装置23及び/又は33の計測結果から、造形座標系におけるユーザ指定点の位置及び/又はステージ座標系におけるユーザ指定点の位置を特定することができる。なぜならば、ユーザ指定点と造形装置2とが所望の第3位置関係を有しているがゆえに、ユーザ指定点と造形ヘッド21及び/又はワークWが載置されているステージ31も当然に、制御装置7にとって既知の情報である第3位置関係に関する情報から特定可能な一定の位置関係を有しているからである。その後、制御装置7は、ワークモデルWMのうちのユーザ指定点に対応する点であるワークモデル指定点を、位置計測装置23及び/又は33の計測結果から特定したユーザ指定点の位置に配置するための位置合わせ処理を行ってもよい。その後、制御装置7は、位置合わせ処理の結果に基づいて、ワーク情報を生成してもよい。
【0276】
(5-2)座標マッチング動作に関する変形例
上述した説明では、座標マッチング動作を行うために、ビーム検出部材32が載置面311に載置される。しかしながら、ビーム検出部材32(特に、遮光部材323及びビーム検出器325)がステージ31(例えば、載置面311)に形成されていてもよい。同様に、上述した説明では、座標マッチング動作を行うために、基準部材34が載置面311に載置される。しかしながら、基準部材34(特に、基準マーク343)がステージ31(例えば、載置面311)に形成されていてもよい。
【0277】
上述した説明では、ビーム検出部材32を載置面311に載置する際の位置合わせ用の目印として、ピン312及び貫通孔322が用いられている。しかしながら、ピン312及び貫通孔322は位置合わせ用の目印の一例に過ぎず、ピン312及び貫通孔322とは異なる目印が用いられてもよい。例えば、目印の一例である凸状の構造物が載置面311に形成されており、目印の一例である凹状の構造物がビーム検出部材32に形成されており、凸状の構造物が凹状の構造物にはめ込まれるようにビーム検出部材32が載置面311に載置されることで、ビーム検出部材32と載置面311とが位置合わせされてもよい。例えば、目印の一例である凹状の構造物が載置面311に形成されており、目印の一例である凸状の構造物がビーム検出部材32に形成されており、凸状の構造物が凹状の構造物にはめ込まれるようにビーム検出部材32が載置面311に載置されることで、ビーム検出部材32と載置面311とが位置合わせされてもよい。例えば、ビーム検出部材32の外縁の少なくとも一部に沿った形状を有するガイド部材が目印として載置面311に形成されており、当該ガイド部材にビーム検出部材32の外縁が接触するようにビーム検出部材32が載置面311に載置されることで、ビーム検出部材32と載置面311とが位置合わせされてもよい。基準部材34を載置面311に載置する際の位置合わせ用の目印についても同様である。
【0278】
上述した説明では、計測座標系とステージ座標系とを関連付けるために、造形座標系とステージ座標系とを関連付けるためのビーム検出部材32とは異なる基準部材34が用いられている。しかしながら、ビーム検出部材32が、計測座標系とステージ座標系とを関連付けるための基準部材34として用いられてもよい。この場合、例えば、ビーム検出部材32に形成された遮光部材323、開口324及びビーム検出器325の少なくとも一つが基準マーク343として用いられてもよい。或いは、ビーム検出部材32のベース部材321に、基準マーク343が形成されていてもよい。
【0279】
上述した説明では、基準部材34には、計測装置8によって計測可能なマークが、基準マーク343として形成されている。しかしながら、計測装置8が計測対象物の形状(特に、3次元形状)を計測可能であることを考慮すれば、基準部材34には、基準部材34の他の例を示す断面図である図52(a)及び図52(a)におけるA-A’断面図である図52(b)に示すように、3次元構造を有する立体部材344が、基準マーク343の代替物として形成されていてもよい。例えば、図52(a)及び図52(b)は、球体の少なくとも一部(具体的には、半球)が立体部材344として基準部材34に形成されている例を示している。立体部材344は、3次元構造を有するという点を除いて、基準マーク343と同様の特徴を有していてもよい。その結果、立体部材344が形成されている場合であっても、計測座標系とステージ座標系とが適切に関連付けられる。
【0280】
上述した説明では、座標マッチング動作を行うために、ビーム検出部材32が載置面311に載置される。また、上述した説明では、座標マッチング動作を行うために、基準部材34が載置面311に載置される。しかしながら、ビーム検出部材32又は基準部材34を用いずに、座標マッチング動作を行ってもよい。例えば、ステージ31(例えば、載置面311)に、感光性材料或いは感熱性材料が表面に設けられた感光/感熱部材(一例として感熱紙)を配置し、加工座標系(ヘッド座標系)の原点位置に加工ヘッド21を位置させた状態で加工装置2によって感光/感熱部材に向けて加工光ELを照射する。これにより、感光/感熱部材上には目印が露光され、この目印が加工光基準原点となる。次に、複数のガイド光射出装置24から射出される複数のガイド光GLの交差位置を、感光/感熱部材上の露光された目印の位置に一致させる。これにより、加工座標系と計測座標系とを互いに関連付けることができる。尚、複数のガイド光GLを用いることの代わりに/に加えて、計測装置8を用いて露光された目印の位置を計測してもよい。
【0281】
(5-3)その他の変形例
上述した説明では、造形装置2は、造形材料Mに加工光ELを照射することで、造形材料Mを溶融させている。しかしながら、造形装置2は、任意のエネルギビームを造形材料Mに照射することで、造形材料Mを溶融させてもよい。この場合、造形装置2は、照射光学系211に加えて又は代えて、任意のエネルギビームを照射可能なビーム照射装置を備えていてもよい。任意のエネルギビームは、限定されないが、電子ビーム、イオンビーム等の荷電粒子ビーム又は電磁波を含む。
【0282】
上述した説明では、加工システムSYSは、レーザ肉盛溶接法により3次元構造物STを形成可能である。しかしながら、加工システムSYSは、造形材料Mに加工光EL(或いは、任意のエネルギビーム)を照射することで3次元構造物STを形成可能なその他の方式により造形材料Mから3次元構造物STを形成してもよい。その他の方式として、例えば、粉末焼結積層造形法(SLS:Selective Laser Sintering)等の粉末床溶融結合法(Powder Bed Fusion)、結合材噴射法(Binder Jetting)又は、レーザメタルフュージョン法(LMF:Laser Metal Fusion)があげられる。或いは、加工システムSYSは、造形材料Mに加工光EL(或いは、任意のエネルギビーム)を照射することで3次元構造物STを形成可能な方式とは異なる、付加加工のための任意の方式により3次元構造物STを形成してもよい。
【0283】
上述した説明では、加工システムSYSは、照射光学系211が加工光ELを照射する照射領域EAに向けて材料ノズル212から造形材料Mを供給することで、3次元構造物STを形成している。しかしながら、加工システムSYSは、照射光学系211から加工光ELを照射することなく、材料ノズル212から造形材料Mを供給することで3次元構造物STを形成してもよい。例えば、加工システムSYSは、材料ノズル212から、造形面MSに対して造形材料Mを吹き付けることで、造形面MSにおいて造形材料Mを溶融させると共に、溶融した造形材料Mを固化させることで、3次元構造物STを形成してもよい。例えば、加工システムSYSは、材料ノズル212から造形面MSに対して造形材料Mを含む気体を超高速で吹き付けることで、造形面MSにおいて造形材料Mを溶融させると共に、溶融した造形材料Mを固化させることで、3次元構造物STを形成してもよい。例えば、加工システムSYSは、材料ノズル212から造形面MSに対して加熱した造形材料Mを吹き付けることで、造形面MSにおいて造形材料Mを溶融させると共に、溶融した造形材料Mを固化させることで、3次元構造物STを形成してもよい。このように照射光学系211から加工光ELを照射することなく3次元構造物STを形成する場合には、加工システムSYS(特に、造形ヘッド21)は、照射光学系211を備えていなくてもよい。
【0284】
或いは、加工システムSYSは、付加加工に加えて又は代えて、ワークW等の物体に加工光EL(或いは、任意のエネルギビーム)を照射して物体の少なくとも一部を除去可能な除去加工を行ってもよい。或いは、加工システムSYSは、付加加工及び除去加工の少なくとも一方に加えて又は代えて、ワークW等の物体に加工光EL(或いは、任意のエネルギビーム)を照射して物体の少なくとも一部にマーク(例えば、文字、数字又は図形)を形成可能なマーキング加工を行ってもよい。この場合であっても、上述した効果が享受可能である。
【0285】
(6)付記
以上説明した実施形態に関して、更に以下の付記を開示する。
[付記1]
ベース部材上に設定された設定位置に基づいて、前記ベース部材に造形物を造形する造形装置と、
前記設定位置に関する位置情報を出力する出力装置と
を備える造形ユニット。
[付記2]
前記出力装置は、前記位置情報を、前記造形物に対して加工動作を行う加工ユニットに出力する
付記1に記載の造形ユニット。
[付記3]
前記加工ユニットは、前記出力装置から出力された前記位置情報に基づいて、前記加工動作を行う
付記2に記載の造形ユニット。
[付記4]
前記加工ユニットは、前記出力装置から出力された前記位置情報に基づいて、前記造形物と前記加工ユニットとの位置合わせを行い、前記位置合わせの結果に基づいて前記加工動作を行う
付記2又は3に記載の造形ユニット。
[付記5]
前記造形装置は、前記ベース部材に対する相対位置が固定された前記造形物を造形する
付記1から4のいずれか一項に記載の造形ユニット。
[付記6]
前記造形装置は、前記ベース部材と結合した前記造形物を造形する
付記1から5のいずれか一項に記載の造形ユニット。
[付記7]
前記位置情報は、前記設定位置と前記ベース部材との相対位置に関する情報を含む
付記1から6のいずれか一項に記載の造形ユニット。
[付記8]
前記位置情報は、前記設定位置と前記造形物との相対位置に関する情報を含む
付記1から7のいずれか一項に記載の造形ユニット。
[付記9]
ベース部材上に設定された設定位置に基づいて、前記ベース部材に造形物を造形する造形装置と、
前記設定位置と前記造形物との相対位置に関する位置情報を出力する出力装置と
を備える造形ユニット。
[付記10]
ベース部材上に設定された設定位置に基づいて、前記ベース部材に造形物を造形する造形装置と、
前記設定位置と前記造形物の位置との関係に関する位置情報を出力する出力装置と
を備える造形ユニット。
[付記11]
前記造形装置は、造形データに基づいて、前記ベース部材上に前記造形物を造形し、
前記出力装置は、前記位置情報として、前記設定位置と関連付けられた前記造形データを出力する
付記8から10のいずれか一項に記載の造形ユニット。
[付記12]
前記造形データは、前記造形物を造形するための造形動作の内容を定めるデータを含む
付記11に記載の造形ユニット。
[付記13]
前記造形データは、前記造形物の3次元形状データを含む
付記11又は12に記載の造形ユニット。
[付記14]
造形された造形物を計測して計測結果を得る計測装置をさらに備え、
前記出力装置は、前記位置情報として、前記設定位置と関連付けられた前記計測結果を出力する、付記8から13のいずれか一項に記載の造形ユニット。
[付記15]
前記計測装置は、前記造形ユニットの基準座標系における前記ベース部材の位置を計測し、
前記出力装置は、前記基準座標系における前記設定位置に関する前記位置情報を出力する
付記14に記載の造形ユニット。
[付記16]
前記ベース部材を支持する支持装置をさらに備え、
前記基準座標系は、前記支持装置の支持面上での位置を示すための支持位置座標系を含む
付記15に記載の造形ユニット。
[付記17]
前記計測装置は、前記造形ユニットの基準座標系における前記ベース部材の部位の位置を計測し、
前記出力装置は、前記設定位置と関連付けられた前記ベース部材の前記部位の位置を出力する。
付記14から16のいずれか一項に記載の造形ユニット。
[付記18]
前記出力装置は、前記設定位置に関する情報を出力する
付記9から17に記載の造形ユニット。
[付記19]
前記計測装置は、前記造形物を非接触計測する
付記14から18のいずれか一項に記載の造形ユニット。
[付記20]
前記設定位置を設定する制御装置を更に備える
付記1から19のいずれか一項に記載の造形ユニット。
[付記21]
前記制御装置は、前記ベース部材上に前記設定位置を設定する
付記19に記載の造形ユニット。
[付記22]
ベース部材上に設定位置を設定する制御装置と、
前記設定位置に基づいて、前記ベース部材に造形物を造形する造形装置と
を備える造形ユニット。
[付記23]
前記設定位置を設定するための情報が入力される入力装置を備え、
前記制御装置は、前記入力装置に入力された情報に基づいて、前記設定位置を設定する
付記20から22のいずれか一項に記載の造形ユニット。
[付記24]
前記制御装置は、前記ベース部材に関する情報に基づいて、前記設定位置を設定する
付記20から23のいずれか一項に記載の造形ユニット。
[付記25]
ベース部材に造形物を造形する造形装置と、
前記ベース部材及び前記造形物のうち少なくとも一方の上に設定位置を設定し、前記設定位置に基づいて前記造形装置を制御する制御装置と、
前記設定位置に関する第1位置情報と、前記設定位置と前記造形物の位置との位置関係に関する第2位置情報とを出力する出力装置と
を備える造形ユニット。
[付記26]
ベース部材に造形物を造形する造形装置と、
前記ベース部材及び前記造形物のうち少なくとも一方の上に設定された設定位置と前記造形物の位置との関係に関する位置情報を出力する出力装置と
を備える造形ユニット。
[付記27]
ベース部材に造形物を造形する造形装置と、
前記ベース部材の3次元形状データと、前記造形物の3次元形状データとを出力する出力装置と
を備える造形ユニット。
[付記28]
前記出力装置は、前記ベース部材の3次元形状データと、前記造形物の3次元形状データとを関連付けて出力する
付記27に記載の造形ユニット。
[付記29]
前記出力装置は、前記ベース部材上に設定された設定位置に関する位置情報を出力する
付記27又は28に記載の造形ユニット。
[付記30]
前記出力装置は、前記設定位置と、前記ベース部材の前記3次元形状データとを関連付けて出力する
付記29に記載の造形ユニット。
[付記31]
前記出力装置は、前記設定位置と、前記造形物の前記3次元形状データとを関連付けて出力する
付記29又は30に記載の造形ユニット。
[付記32]
ベース部材に造形物を造形する造形装置と、
前記ベース部材及び前記造形物の三次元情報を取得する計測装置と、
前記計測装置による計測結果を出力する出力装置と
を備える造形ユニット。
[付記33]
前記計測装置は、前記造形物が造形される前及び前記造形物が造形されている間の少なくとも一方の期間において前記ベース部材を計測して第1計測結果を取得し、前記造形物が造形されている間及び前記造形物が造形された後の少なくとも一方の期間において前記造形物を計測して第2計測結果を取得する
付記32に記載の造形ユニット。
[付記34]
前記出力装置は、前記第1計測結果と前記第2計測結果とを関連付けて出力する
付記33に記載の造形ユニット。
[付記35]
ベース部材に造形物を造形する造形装置と、
前記ベース部材及び前記造形物を計測する計測装置と、
前記計測装置による計測結果を出力する出力装置と
を備え、
前記計測装置は、前記造形物が造形される前及び前記造形物が造形されている間の少なくとも一方の期間において前記ベース部材を計測して第1計測結果を取得し、前記造形物が造形されている間及び前記造形物が造形された後の少なくとも一方の期間において前記造形物を計測して第2計測結果を取得する
造形ユニット。
[付記36]
前記出力装置は、前記第1計測結果と前記第2計測結果とを関連付けて出力する
付記35に記載の造形ユニット。
[付記37]
前記造形物を計測する計測装置を更に備える
付記1から31のいずれか一項に記載の造形ユニット。
[付記38]
前記出力装置は、前記ベース部材上に設定された設定位置に関する位置情報と前記計測装置の計測結果とを出力する
付記37に記載の造形ユニット。
[付記39]
前記計測装置の計測結果に基づいて、前記ベース部材上に設定された設定位置に関する位置情報を修正する制御装置を更に備え、
前記出力装置は、修正された前記位置情報を出力する
付記37又は38に記載の造形ユニット。
[付記40]
前記計測装置は、前記造形物を非接触計測する
付記32から39のいずれか一項に記載の造形ユニット。
[付記41]
前記造形装置は、造形位置に材料を供給する供給装置を備え、
前記ベース部材上に設定された設定位置と前記造形位置との位置関係は所定の関係である
付記1から40のいずれか一項に記載の造形ユニット。
[付記42]
前記造形装置は、前記造形位置にエネルギビームを照射するビーム照射装置を備える
付記41に記載の造形ユニット。
[付記43]
前記造形装置は、前記ベース部材に付加加工を行うことで前記造形物を造形する
付記1から42のいずれか一項に記載の造形ユニット。
[付記44]
前記ベース部材には、目印が設けられている
付記1から43のいずれか一項に記載の造形ユニット。
[付記45]
前記目印の位置又は前記目印と所定の関係にある位置を前記ベース部材上の設定位置とする
付記44に記載の造形ユニット。
[付記46]
前記ベース部材の特徴点を前記ベース部材上の設定位置とする
付記1から45のいずれか一項に記載の造形ユニット。
[付記47]
前記特徴点は、前記ベース部材の境界又は前記ベース部材上の構造の境界を含む
付記46に記載の造形ユニット。
[付記48]
前記特徴点は、前記ベース部材の角又は前記ベース部材上の構造の角を含む
付記43又は44に記載の造形ユニット。
[付記49]
平面状の側面を有するベース部材の上面に、平面状の面を含む造形物を造形する造形装置と、
前記ベース部材の前記側面と前記造形物の前記平面状の面とが平行となるように前記造形装置を制御する制御装置と
を備える造形ユニット。
[付記50]
ベース部材上に設定された設定位置に基づいて前記ベース部材に造形された造形物に対して、加工動作を行う加工装置と、
前記設定位置に関する位置情報に基づいて前記加工装置を制御する制御装置と
を備える加工ユニット。
[付記51]
前記位置情報が入力される入力装置を更に備える
付記50に記載の加工ユニット。
[付記52]
前記入力装置には、前記造形物を造形する造形ユニットからの前記位置情報が入力される
付記51に記載の加工ユニット。
[付記53]
前記入力装置には、前記造形物を造形する造形ユニットのユーザ及び前記加工ユニットのユーザのうち少なくとも一方からの前記位置情報が入力される
付記52に記載の加工ユニット。
[付記54]
前記制御装置は、前記造形物を造形するための造形動作の内容を定める造形データに基づいて前記位置情報を生成する
付記50から53のいずれか一項に記載の加工ユニット。
[付記55]
前記制御装置は、前記造形物の3次元形状データを含む造形データに基づいて前記位置情報を生成する
付記50から54のいずれか一項に記載の加工ユニット。
[付記56]
前記造形データが入力される入力装置を更に備える
付記54又は55に記載の加工ユニット。
[付記57]
前記入力装置には、前記造形物を造形する造形ユニットから前記造形データが入力される
付記56に記載の加工ユニット。
[付記58]
前記制御装置は、前記位置情報に基づいて、前記設定位置と前記加工装置との位置合わせを行い、前記位置合わせの結果に基づいて前記加工動作を行うように前記加工装置を制御する
付記50から57のいずれか一項に記載の加工ユニット。
[付記59]
前記造形物を造形する造形ユニットが前記造形物を造形した後に、前記造形物が前記造形ユニットから前記加工ユニットに搬送される
付記50から58のいずれか一項に記載の加工ユニット。
[付記60]
前記ベース部材と共に前記造形物が前記造形ユニットから前記加工ユニットに搬送される
付記59に記載の加工ユニット。
[付記61]
前記ベース部材と前記造形物との相対位置を維持したまま、前記ベース部材と共に前記造形物が前記造形ユニットから前記加工ユニットに搬送される
付記60に記載の加工ユニット。
[付記62]
前記ベース部材と結合した前記造形物が前記造形ユニットから前記加工ユニットに搬送される
付記60又は61に記載の加工ユニット。
[付記63]
前記加工装置は、前記造形ユニットから搬送された前記造形物に対して前記加工動作を行う
付記59から62のいずれか一項に記載の加工ユニット。
[付記64]
前記加工装置は、前記ベース部材と前記造形物との相対位置を維持したまま、前記造形物に対して前記加工動作を行う
付記50から63のいずれか一項に記載の加工ユニット。
[付記65]
前記加工装置は、前記ベース部材と結合した前記造形物に対して前記加工動作を行う
付記50から64のいずれか一項に記載の加工ユニット。
[付記66]
前記加工装置は、前記加工動作として、前記造形物の一部を除去する除去加工動作を行う
付記50から65のいずれか一項に記載の加工ユニット。
[付記67]
ベース部材に造形された造形物に対して加工動作を行う加工装置と、
前記ベース部材に設定された設定位置と前記造形物の位置との関係に関する情報を用いて、前記加工装置を制御する制御装置と
を備える加工ユニット。
[付記68]
ベース部材に造形された造形物に対して加工動作を行う加工装置と、
前記ベース部材の3次元形状データと、前記造形物の3次元形状データとを用いて、前記加工装置を制御する制御装置と
を備える加工ユニット。
[付記69]
前記制御装置は、前記ベース部材の3次元形状データと、前記造形物の3次元形状データとが関連付けられた情報を用いて、前記加工装置を制御する
付記68に記載の加工ユニット。
[付記70]
前記制御装置は、前記ベース部材上に設定された設定位置に関する情報を用いて、前記加工装置を制御する
付記68又は69に記載の加工ユニット。
[付記71]
前記制御装置は、前記設定位置と、前記ベース部材の前記3次元形状データとが関連付けられた情報を用いて、前記加工装置を制御する
付記70に記載の加工ユニット。
[付記72]
前記制御装置は、前記設定位置と、前記造形物の前記3次元形状データとが関連付けられた情報を用いて、前記加工装置を制御する
付記70又は71に記載の加工ユニット。
[付記73]
ベース部材に造形された造形物に対して加工動作を行う加工装置と、
前記ベース部材の第1計測結果と、前記ベース部材及び前記造形物の第2計測結果とを用いて、前記加工装置を制御する制御装置と
を備える加工ユニット。
[付記74]
前記第1計測結果と前記第2計測結果とは関連付けられている
付記73に記載の加工ユニット。
[付記75]
ベース部材上に設定された設定位置に基づいて、前記ベース部材に造形物を造形する造形ユニットと、
前記設定位置に関する位置情報に基づいて、前記造形物に対して加工動作を行う加工ユニットと
を備える加工システム。
[付記76]
前記造形ユニットは、前記位置情報を前記加工ユニットに出力する
付記75に記載の加工システム。
[付記77]
前記加工ユニットは、前記造形ユニットから出力された前記位置情報に基づいて、前記加工動作を行う
付記76に記載の加工システム。
[付記78]
前記造形ユニットは、造形データに基づいて、前記造形物を造形し、且つ、前記造形データを前記加工ユニットに出力し、
前記加工ユニットは、前記造形データに基づいて前記位置情報を生成し、生成した前記位置情報に基づいて、前記造形物に対して前記加工動作を行う
付記75から77のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記79]
前記造形ユニット及び前記加工ユニットの少なくとも一方を制御する制御装置を更に備える
付記75から78のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記80]
前記制御装置は、前記造形ユニットから、前記設定位置に関する位置情報を取得し、取得した前記位置情報を前記加工ユニットに出力する
付記79に記載の加工システム。
[付記81]
前記制御装置は、前記造形ユニットから、造形データを取得し、取得した前記造形データを前記加工ユニットに出力する
付記79又は80に記載の加工システム。
[付記82]
前記制御装置は、前記造形ユニットから、前記設定位置に関する位置情報を取得し、取得した前記位置情報に基づいて前記加工動作を行うように前記加工ユニットを制御する
付記79から81のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記83]
前記制御装置は、前記造形ユニットから、造形データを取得し、取得した前記造形データに基づいて前記設定位置に関する位置情報を生成し、生成した前記位置情報に基づいて前記加工動作を行うように前記加工ユニットを制御する
付記79から82のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記84]
前記制御装置は、前記設定位置に関する位置情報に基づいて前記造形物を造形するように前記造形ユニットを制御すると共に、前記位置情報に基づいて前記加工動作を行うように前記加工ユニットを制御する
付記79から83のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記85]
前記制御装置は、造形データに基づいて前記造形物を造形するように前記造形ユニットを制御すると共に、前記造形データに基づいて前記設定位置に関する位置情報を生成し、生成した前記位置情報に基づいて前記加工動作を行うように前記加工ユニットを制御する
付記79から84のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記86]
前記造形データは、前記造形物を造形するための造形動作の内容を定めるデータを含む
付記78、81、83又は85に記載の加工システム。
[付記87]
前記造形データは、前記造形物の3次元形状データを含む
付記78、81、83、85又は86に記載の加工システム。
[付記88]
前記造形ユニットから前記加工ユニットに前記造形物を搬送する搬送装置を更に備える
付記75から87のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記89]
前記搬送装置は、前記造形ユニットが前記造形物を造形した後に、前記造形ユニットから前記加工ユニットに前記造形物を搬送する
付記88に記載の加工システム。
[付記90]
前記搬送装置は、前記ベース部材と共に前記造形物を前記造形ユニットから前記加工ユニットに搬送する
付記88又は89に記載の加工システム。
[付記91]
前記搬送装置は、前記ベース部材と前記造形物との相対位置を維持したまま、前記ベース部材と共に前記造形物を前記造形ユニットから前記加工ユニットに搬送する
付記90に記載の加工システム。
[付記92]
前記搬送装置は、前記ベース部材と結合した前記造形物を前記造形ユニットから前記加工ユニットに搬送する
付記90又は91に記載の加工システム。
[付記93]
ベース部材上に設定された設定位置に基づいて、前記ベース部材に造形物を造形する造形ユニットと、
前記設定位置と前記造形物との相対位置に関する位置情報に基づいて、前記造形物に対して加工動作を行う加工ユニットと
を備える加工システム。
[付記94]
前記造形装置は、造形データに基づいて、前記ベース部材上に前記造形物を造形し、
前記位置情報は、前記設定位置と関連付けられた前記造形データを含む
付記93に記載の加工システム。
[付記95]
前記造形データは、前記造形物を造形するための造形動作の内容を定めるデータを含む
付記94に記載の加工システム。
[付記96]
前記造形データは、前記造形物の3次元形状データを含む
付記94又は95に記載の加工システム。
[付記97]
造形された造形物を計測する計測ユニットを更に備え、
前記位置情報は、前記設定位置と関連付けられた前記計測ユニットによる計測結果を含む
付記93から96のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記98]
前記計測ユニットは、前記造形ユニットの基準座標系における前記ベース部材の位置を計測し、
前記位置情報は、前記基準座標系における前記設定位置に関する情報を含む
付記97に記載の加工システム。
[付記99]
前記ベース部材を支持する支持装置をさらに備え、
前記基準座標系は、前記支持装置の支持面上での位置を示すための支持位置座標系を含む
付記98に記載の加工システム。
[付記100]
前記計測ユニットは、前記造形ユニットの基準座標系における前記ベース部材の部位の位置を計測し、
前記位置情報は、前記設定位置と関連付けられた前記ベース部材の前記部位の位置に関する情報を含む
付記97から99のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記101]
ベース部材に造形物を造形する造形ユニットと、
前記ベース部材に設定された設定位置と前記造形物の位置との関係に関する情報を用いて、前記ベース部材に造形された造形物に対して加工動作を行う加工ユニットと
を備える加工システム。
[付記102]
ベース部材に造形物を造形する造形ユニットと、
前記ベース部材の3次元形状データと、前記造形物の3次元形状データとを用いて、前記ベース部材に造形された造形物に対して加工動作を行う加工ユニットと
を備える加工ユニット。
[付記103]
前記加工ユニットは、前記ベース部材の3次元形状データと、前記造形物の3次元形状データとが関連付けられた情報を用いて、前記加工動作を行う
付記102に記載の加工システム。
[付記104]
前記加工ユニットは、前記ベース部材上に設定された設定位置に関する情報を用いて、前記加工動作を行う
付記102又は103に記載の加工システム。
[付記105]
前記加工ユニットは、前記設定位置と、前記ベース部材の前記3次元形状データとが関連付けられた情報を用いて、前記加工動作を行う
付記104に記載の加工システム。
[付記106]
前記加工ユニットは、前記設定位置と、前記造形物の前記3次元形状データとが関連付けられた情報を用いて、前記加工動作を行う
付記104又は105に記載の加工システム。
[付記107]
ベース部材に造形物を造形する造形ユニットと、
前記ベース部材に造形された造形物に対して加工動作を行う加工ユニットと
を備え、
前記加工ユニットは、前記ベース部材の第1計測結果と、前記ベース部材及び前記造形物の第2計測結果とを用いて、前記加工動作を行う
加工システム。
[付記108]
前記第1計測結果と前記第2計測結果とは関連付けられている
付記107に記載の加工システム。
[付記109]
前記造形ユニットは、付記1から49のいずれか一項に記載の造形ユニットである
付記75から108のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記110]
前記加工ユニットは、付記50から74のいずれか一項に記載の加工ユニットである
付記75から109のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記111]
造形装置と出力装置とを備える造形ユニットを制御する制御装置であって、
ベース部材上に設定された設定位置に基づいて、前記ベース部材に造形物を造形するように前記造形装置を制御し、
前記設定位置に関する位置情報を出力するように前記出力装置を制御する
制御装置。
[付記112]
造形装置と出力装置とを備える造形ユニットを制御する制御装置であって、
ベース部材上に設定された設定位置に基づいて、前記ベース部材に造形物を造形するように前記造形装置を制御し、
前記設定位置と前記造形物との相対位置に関する位置情報を出力するように前記出力装置を制御する
制御装置。
[付記113]
造形装置と出力装置とを備える造形ユニットを制御する制御装置であって、
ベース部材上に設定された設定位置に基づいて、前記ベース部材に造形物を造形するように、前記造形装置を制御し、
前記設定位置と前記造形物の位置との関係に関する位置情報を出力するように前記出力装置を制御する
制御装置。
[付記114]
前記物体に造形物を造形する造形装置を制御する制御装置であって、
ベース部材上に設定位置を設定し、
前記設定位置に基づいて前記ベース部材に前記造形物を造形するように前記造形装置を制御する
制御装置。
[付記115]
造形装置と出力装置とを備える造形ユニットを制御する制御装置であって、
ベース部材及び造形物のうち少なくとも一方の上に設定位置を設定し、前記設定位置に基づいて、前記ベース部材に前記造形物を造形するように前記造形装置を制御し、
前記設定位置に関する第1位置情報と、前記設定位置と前記造形物の位置との位置関係に関する第2位置情報とを出力するように前記出力装置を制御する
制御装置。
[付記116]
造形装置と出力装置とを備える造形ユニットを制御する制御装置であって、
ベース部材に造形物を造形するように前記造形装置を制御し、
前記ベース部材及び前記造形物のうち少なくとも一方の上に設定された設定位置と前記造形物の位置との関係に関する位置情報を出力するように前記出力装置を制御する
制御装置。
[付記117]
造形装置と出力装置とを備える造形ユニットを制御する制御装置であって、
ベース部材に造形物を造形するように前記造形装置を制御し、
前記ベース部材の3次元形状データと、前記造形物の3次元形状データとを出力するように前記出力装置を制御する
制御装置。
[付記118]
造形装置と計測装置と出力装置とを備える造形ユニットを制御する制御装置であって、
ベース部材に造形物を造形するように前記造形装置を制御し、
前記ベース部材及び前記造形物を計測するように前記計測装置を制御し、
前記計測装置による計測結果を出力するように前記出力装置を制御し、
前記造形物が造形される前及び前記造形物が造形されている間の少なくとも一方の期間において前記ベース部材を計測して第1計測結果を取得し、前記造形物が造形されている間及び前記造形物が造形された後の少なくとも一方の期間において前記造形物を計測して第2計測結果を取得するように、前記計測装置を制御する
制御装置。
[付記119]
造形装置を備える造形ユニットを制御する制御装置であって、
平面状の側面を有するベース部材の上面に、平面状の面を含む造形物を造形するように前記造形装置を制御し、
前記ベース部材の前記側面と前記造形物の前記平面状の面とが平行となるように前記造形装置を制御する
制御装置。
[付記120]
ベース部材上に設定された設定位置に基づいて前記ベース部材に造形された造形物に対して加工動作を行う加工装置を、前記設定位置に関する位置情報に基づいて制御する制御装置。
[付記121]
ベース部材に造形された造形物に対して加工動作を行う加工装置を、前記ベース部材に設定された設定位置と前記造形物の位置との関係に関する情報を用いて制御する制御装置。
[付記122]
ベース部材に造形された造形物に対して加工動作を行う加工装置を、前記ベース部材の3次元形状データと、前記造形物の3次元形状データとを用いて、制御する制御装置。
[付記123]
ベース部材に造形された造形物に対して加工動作を行う加工装置を、前記ベース部材の第1計測結果と、前記ベース部材及び前記造形物の第2計測結果とを用いて、制御する制御装置。
[付記124]
造形ユニットと加工ユニットとを備える加工システムに用いられる制御装置であって、
ベース部材上に設定された設定位置に基づいて前記ベース部材に造形物を造形するように前記造形ユニットを制御し、
前記設定位置に関する位置情報に基づいて前記造形物に対して加工動作を行うように前記加工ユニットを制御する
制御装置。
[付記125]
造形ユニットと加工ユニットとを備える加工システムに用いられる制御装置であって、
ベース部材上に設定された設定位置に基づいて、前記ベース部材に造形物を造形するように前記造形ユニットを制御し、
前記設定位置と前記造形物との相対位置に関する位置情報に基づいて、前記造形物に対して加工動作を行うように前記加工ユニットを制御する
制御装置。
[付記126]
造形ユニットと加工ユニットとを備える加工システムに用いられる制御装置であって、
ベース部材に造形物を造形するように前記造形ユニットを制御し、
前記ベース部材に設定された設定位置と前記造形物の位置との関係に関する情報を用いて、前記ベース部材に造形された造形物に対して加工動作を行うように前記加工ユニットを制御する
制御装置。
[付記127]
造形ユニットと加工ユニットとを備える加工システムに用いられる制御装置であって、
ベース部材に造形物を造形するように前記造形ユニットを制御し、
前記ベース部材の3次元形状データと、前記造形物の3次元形状データとを用いて、前記ベース部材に造形された造形物に対して加工動作を行うように前記加工ユニットを制御する
制御装置。
[付記128]
造形ユニットと加工ユニットとを備える加工システムに用いられる制御装置であって、
ベース部材に造形物を造形するように前記造形ユニットを制御し、
前記ベース部材に造形された造形物に対して加工動作を行う前記加工ユニットを、前記ベース部材の第1計測結果と、前記ベース部材及び前記造形物の第2計測結果とを用いて制御する
制御装置。
[付記129]
ベース部材上に設定された設定位置に基づいて、前記ベース部材に造形物を造形することと、
前記設定位置に関する位置情報を出力することと
を含む造形方法。
[付記130]
ベース部材上に設定された設定位置に基づいて、前記ベース部材に造形物を造形することと、
前記設定位置と前記造形物との相対位置に関する位置情報を出力することと
を含む造形方法。
[付記131]
ベース部材上に設定された設定位置に基づいて、前記ベース部材に造形物を造形することと、
前記設定位置と前記造形物の位置との関係に関する位置情報を出力することと
を含む造形方法。
[付記132]
ベース部材上に設定位置を設定することと、
前記設定位置に基づいて、前記ベース部材に造形物を造形することと
を含む造形方法。
[付記133]
ベース部材に造形物を造形することと、
前記ベース部材及び前記造形物のうち少なくとも一方の上に設定位置を設定することと、
前記設定位置に関する第1位置情報と、前記設定位置と前記造形物の位置との位置関係に関する第2位置情報とを出力することと
を含み、
前記造形することは、前記設定位置に基づいて前記造形物を造形する
造形方法。
[付記134]
ベース部材に造形物を造形することと、
前記ベース部材及び前記造形物のうち少なくとも一方の上に設定された設定位置と前記造形物の位置との関係に関する位置情報を出力することと
を含む造形方法。
[付記135]
ベース部材に造形物を造形することと、
前記ベース部材の3次元形状データと、前記造形物の3次元形状データとを出力することと
を含む造形方法。
[付記136]
ベース部材に造形物を造形することと、
前記ベース部材及び前記造形物を計測することと、
前記計測装置による計測結果を出力することと
を含み、
前記計測することは、前記造形物が造形される前及び前記造形物が造形されている間の少なくとも一方の期間において前記ベース部材を計測して第1計測結果を取得し、前記造形物が造形されている間及び前記造形物が造形された後の少なくとも一方の期間において前記造形物を計測して第2計測結果を取得する
造形方法。
[付記137]
造形物の基準位置としてベース部材上に設定された設定位置に関する位置情報を取得することと、
前記設定位置に基づいて前記ベース部材に造形された前記造形物に対して、前記位置情報に基づいて加工動作を行うことと
を含む加工方法。
[付記138]
ベース部材に造形された造形物に対して加工動作を行うことと、
前記ベース部材に設定された設定位置と前記造形物の位置との関係に関する情報を取得することと
を含み、
前記加工動作を行うことは、前記情報を用いて前記加工動作を行うことを含む
加工方法。
[付記139]
ベース部材に造形された造形物に対して加工動作を行うことと、
前記ベース部材の3次元形状データと、前記造形物の3次元形状データとを取得することと
を含み、
前記加工動作を行うことは、前記ベース部材の前記3次元形状データと、前記造形物の前記3次元形状データと用いて、前記加工動作を行うことを含む
加工方法。
[付記140]
ベース部材に造形された造形物に対して加工動作を行うことと、
前記ベース部材の第1計測結果と、前記ベース部材及び前記造形物の第2計測結果とを取得することと
を含み、
前記加工動作を行うことは、前記第1計測結果と前記第2計測結果とを用いて、前記加工動作を行うことを含む
加工方法。
[付記141]
ベース部材上に設定された設定位置に基づいて、前記ベース部材に造形物を造形することと、
前記位置情報に基づいて前記造形物に対して加工動作を行うことと
を含む加工方法。
[付記142]
ベース部材上に設定された設定位置に基づいて、前記ベース部材に造形物を造形することと、
前記設定位置と前記造形物との相対位置に関する位置情報に基づいて、前記造形物に対して加工動作を行うことと
を含む加工方法。
[付記143]
ベース部材に造形物を造形することと、
前記ベース部材に設定された設定位置と前記造形物の位置との関係に関する情報を用いて、前記ベース部材に造形された造形物に対して加工動作を行うことと
を含む加工方法。
[付記144]
ベース部材に造形物を造形することと、
前記ベース部材の3次元形状データと、前記造形物の3次元形状データとを用いて、前記ベース部材に造形された造形物に対して加工動作を行うことと
を含む加工方法。
[付記145]
ベース部材に造形物を造形することと、
前記ベース部材に造形された造形物に対して加工動作を行うことと
を含み、
前記加工動作を行うことは、前記ベース部材の第1計測結果と、前記ベース部材及び前記造形物の第2計測結果とを用いて、前記加工動作を行うことを含む
加工方法。
【0286】
上述の各実施形態の構成要件の少なくとも一部は、上述の各実施形態の構成要件の少なくとも他の一部と適宜組み合わせることができる。上述の各実施形態の構成要件のうちの一部が用いられなくてもよい。また、法令で許容される限りにおいて、上述の各実施形態で引用した全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。
【0287】
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う造形ユニット、加工ユニット、加工システム、制御装置、造形方法及び加工方法もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0288】
SYS、SYSa 加工システム
UNTa1 造形ユニット
UNTa2 加工ユニット
1 材料供給装置
2 造形装置
21 造形ヘッド
22 ヘッド駆動系
24 ガイド光射出装置
3 ステージ装置
31 ステージ
311 載置面
7 制御装置
8 計測装置
81 投影装置
82 撮像装置
91 ディスプレイ
92 入力装置
93a 出力装置
101a 入力装置
102a 加工装置
1021a 加工ヘッド
1022a ヘッド駆動系
1023a 位置計測装置
103a ステージ装置
W ワーク
M 造形材料
SL 構造層
MS 造形面
EA 照射領域
MA 供給領域
MP 溶融池
EL 加工光
DL 計測光
GL ガイド光
WM ワークモデル
PM 造形モデル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48
図49
図50
図51
図52
図53
図54
図55
図56