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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】検査治具
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/28 20060101AFI20240423BHJP
   G01R 31/54 20200101ALI20240423BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
G01R31/28 J
G01R31/54
H05K3/00 T
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022126971
(22)【出願日】2022-08-09
(62)【分割の表示】P 2019562869の分割
【原出願日】2018-11-27
(65)【公開番号】P2022169624
(43)【公開日】2022-11-09
【審査請求日】2022-08-09
(31)【優先権主張番号】P 2017248714
(32)【優先日】2017-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】392019709
【氏名又は名称】ニデックアドバンステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 慶
(72)【発明者】
【氏名】生野 裕仁
(72)【発明者】
【氏名】松川 俊英
【審査官】永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-257834(JP,A)
【文献】特開2005-141035(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104793098(CN,A)
【文献】特開2008-14733(JP,A)
【文献】特開2001-349912(JP,A)
【文献】特開2013-24684(JP,A)
【文献】特開平10-26635(JP,A)
【文献】特開平11-94910(JP,A)
【文献】特開2012-211927(JP,A)
【文献】特開2012-83156(JP,A)
【文献】特開2004-309441(JP,A)
【文献】特開2000-241508(JP,A)
【文献】特開平1-57632(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/28
G01R 31/26
G01R 31/50
G01R 1/06
G01R 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象の基板の検査対象部に接触するコンタクト部が設けられた可動板と、
前記可動板を支持する支持部材と、を備え、
前記支持部材には、前記可動板を揺動可能に支持する支持軸を備えた枢支部が設けられ、
前記コンタクト部は、前記可動板の一方の端部に設けられ、
前記支持軸は、前記可動板の他方の端部に設けられ、
前記一方の端部と前記他方の端部との間の部分に力が加えられることによって前記支持軸を支点に前記可動板が回転し前記コンタクト部を前記検査対象部に接触させる検査治具。
【請求項2】
前記コンタクト部には、導電ゴム製の導電コネクタ材が配設されている、請求項1に記載の検査治具。
【請求項3】
前記基板の下方側に配設された第一可動板を有する第一検査治具と、前記基板の上方側に配設された第二可動板を有する第二検査治具と、を備え、
前記第一可動板及び前記第二可動板には、前記コンタクト部が複数個所に分離された状態でそれぞれ設置されるとともに、相隣接する前記コンタクト部の間に、前記枢支部側に向けて凹入する切欠部が形成され、
前記第一検査治具及び前記第二検査治具の支持部材には、前記基板を支持する支持ブロックがそれぞれ設けられ、
当該支持ブロックは、前記切欠部内に導入される突部を有している、請求項1又は2に記載の検査治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の検査に使用される検査治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テーブル上に載置された回路基板の表面側の配線パターンと裏面側の配線パターンとの間の導通検査を行う基板検査装置がある。このような基板検査装置において、基台の上方に上下動可能に設けられて、回路基板の導通検査を行うための検査治具が上面に取り付けられる昇降プレートと、上下方向に延在するねじ部と、このねじ部に螺合するナット部とからなり、昇降プレートを上下動させる複数本の送りねじ部材とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この基板検査装置は、送りねじ部材のねじ部およびナット部のいずれか一方を回転させて昇降プレートを上下動させることにより、回路基板の検査対象部(配線パターン)に検査用のプローブを接触させるように構成されている。
【0003】
また、基板(プリント配線基板)の検査に使用する中継用コネクタのコンタクト部に、異方性導電ゴム等からなる導電コネクタ材を設けることが行われている(例えば、特許文献2参照)。この中継コネクタは、基板の検査対象部に導電コネクタ材を接触させて加圧する等により、電気的な導通が得られるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-183407号公報
【文献】特開2000-208187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1に開示された基板検査装置によれば、送りねじ部材を高速で回転させる等により、所定の重量を有する検査治具及び昇降プレートを迅速に検査位置へ移動させることが可能である。この反面、前記ねじ送り部材有する昇降駆動機構では、その駆動力が大きいので微妙な位置の調節及び圧接力の設定が困難である。したがって、検査治具に設けられた検査用のコネクタ材が、基板の検査対象部に対して強固に圧接されることにより、検査用のプローブ又は検査対象部が損傷したり、逆に検査対象部に対するコネクタ材の圧接が不足することに起因した検査不良が生じたりし易い等の問題がある。
【0006】
一方、上述の特許文献2に開示されているように異方性導電ゴム製の導電コネクタ材を、検査対象部に対応したコンタクト部に設けた構造によれば、柔軟な異方性導電ゴムが基板の検査対象部に面接触するため、細かな電極に対して高い接触安定性が得られる。しかし、前記導電コネクタ材を用いた検査装置では、基板の検査対象部に対する接触圧が少しでも高くなると、導電コネクタ材が損傷し易いという問題がある。しかも、前記導電コネクタ材の板厚方向以外に電流が流れることに起因する誤検出が発生し易い等の問題があった。
【0007】
本発明の目的は、基板の検査対象部及び検査治具のコンタクト部の損傷を抑制することが容易な検査治具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一例に係る検査治具は、検査対象の基板の検査対象部に接触するコンタクト部を有する可動板と、当該可動板を支持する支持部材とを備え、前記支持部材には、前記可動板を揺動可能に支持する支持軸を備えた枢支部と、前記支持軸を支点に前記可動板を揺動変位させて前記コンタクト部を前記検査対象部に接触させる揺動駆動部とが設けられたものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第一実施形態に係る基板検査装置の概略構成を示す側面図である。
図2】基板の要部の具体的構成を示す平面図である。
図3】検査治具の概略構成を示す図1のIII-III線断面図である。
図4】検査治具を基板に近接させた状態を示す断面図である。
図5】基板保持部材の具体的構成を示す断面図である。
図6】基板保持部材を分解した状態を示す斜視図である。
図7】パッキンの他の例を示す斜視図である。
図8】基板保持部材の変形例を示す分解断面図である。
図9】第一検査治具の概略構成を示す平面図である。
図10】支持ブロックの概略構成を示す斜視図である。
図11】第一検査治具の具体的構成を示す断面図である。
図12】第一検査治具の具体的構成を示す図11のXII-XII線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
【0011】
図1は、本発明に係る基板検査装置の全体構成を示す概略説明図、図2は、基板の要部の具体的構成を示す平面図、図3は、検査治具の概略構成を示す図1のIII-III線断面図、図4は、検査治具を基板に近接させた状態を示す断面図である。
【0012】
基板検査装置1は、図1に示すように、基板10を保持する基板保持部材2と、基板10の下方側に配設された第一検査治具4aと、基板10の上方側に配設された第二検査治具4bと、下方の第一検査治具4aを昇降変位させる第一昇降駆動機構5aと、上方の第二検査治具4bを昇降変位させる第二昇降駆動機構5bとを備えている。
【0013】
検査対象の基板10は、例えばプリント配線基板、ガラスエポキシ基板、フレキシブル基板、セラミック多層配線基板、半導体パッケージ用のパッケージ基板、インターポーザ基板、フィルムキャリア等の基板であってもよく、液晶ディスプレイ、EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、タッチパネルディスプレイ等のディスプレイ用の電極板や、タッチパネル用等の電極板であってもよく、半導体ウェハ、半導体チップ、CSP(Chip size package)等の半導体基板であってもよく、種々の基板であってよい。
【0014】
当実施形態における基板10は、基板保持部材2上に保持される基板本体11と、基板保持部材2の側方に突出した状態で設置される側端部12とを有している。この側端部12の上面には、図2及び図3に示すように、配線パターン等からなる検査対象部13U,13Uが、所定間隔おいて左右に分離された状態で配設される。また、相隣接する検査対象部13U,13Uの間には、検査対象部が存在しない平坦面部14Uが形成されている。
【0015】
一方、側端部12の下面には、配線パターン等からなる検査対象部13D,13Dが所定間隔おいて左右に分離された状態で配設されるとともに、相隣接する検査対象部13D,13Dの間には、検査対象部が存在しない平坦面部14Dが形成されている。各検査対象部13Dには、例えば互いに略平行に配置された複数の電極端子が、配線パターンによって形成されている。この各電極端子が、それぞれ検査対象の検査点とされている。
【0016】
また、基板10の上面に設けられた検査対象部13U,13Uと、基板10の下面に設けられた検査対象部13D,13Dとは、図3の左右方向に互いに変位した状態で配設されている。これにより、基板上面の検査対象部13Uと基板下面の平坦面部14Dとが上下に相対向して配設されるとともに、基板下面の検査対象部13Dと基板上面の平坦面部14Uとが上下に相対向して配設されている。各検査対象部13Uには、検査対象部13と同様の複数の電極端子が検査点として形成されている。
【0017】
第一昇降駆動機構5aは、図1に示すように、サーボモータ等からなる回転駆動部51と、この回転駆動部51により回転駆動されるねじ軸52と、このねじ軸52の先端部(上端部)に設けられた昇降板53とを有するねじ送り機構からなっている。この昇降板53の上面には、第一検査治具4aが取り付けられている。
【0018】
第二昇降駆動機構5bは、第一昇降駆動機構5aと同様に、サーボモータ等からなる回転駆動部51と、この回転駆動部51により回転駆動されるねじ軸52とを有するねじ送り機構からなっている。このねじ軸52の先端部(下端部)には、上下一対の昇降板53a,53bが設けられるとともに、下方の昇降板53bの下面に、第二検査治具4bが取り付けられている。
【0019】
そして、基板10の検査を行う際に、第一昇降駆動機構5aの回転駆動部51を作動させてねじ軸52を回転駆動することにより、昇降板53及び第一検査治具4aを、下方の初期位置(図3参照)から、上方の検査待機位置、つまり図4に示すように、基板10の下面に設けられた検査対象部13D,13Dに、後述する第一検査治具4aにおけるコンタクト部63,63の導電コネクタ材の表面が近接した位置に上昇させるように構成されている。
【0020】
また、第二昇降駆動機構5bの回転駆動部51を作動させてねじ軸52を回転駆動することにより、昇降板53a,53b及び第二検査治具4bを、上方の初期位置(図3参照)から、下方の検査待機位置、つまり図4に示すように、基板10の上面に設けられた検査対象部13U,13Uに、後述の第二検査治具4bにおけるコンタクト部63,63の導電コネクタ材の表面が近接した位置に下降させるように構成されている。
【0021】
検査待機位置は、検査対象部13D,13Dと第一検査治具4aにおけるコンタクト部63,63の導電コネクタ材の表面との距離、及び検査対象部13U,13Uと第二検査治具4bにおけるコンタクト部63,63の導電コネクタ材の表面との距離が、例えば0.1mm~10.0mm程度となる位置とされている。
【0022】
第二昇降駆動機構5bには、第二検査治具4bを前記検査待機位置からさらに下降させるように駆動する左右一対の駆動シリンダからなる緩衝駆動部54,54が、昇降板53a,53bの間に設けられている。また、緩衝駆動部54,54の間には、昇降板53b及び第二検査治具4bをその自重に抗して上方に付勢する引張りばねからなる左右一対の付勢部材55,55が配設されている。
【0023】
緩衝駆動部54は、その駆動部に供給される一定圧の駆動エアに応じて第二検査治具4bを下降させることにより、必要に応じて基板10の検査対象部13U,13Uに第二検査治具4bのコンタクト部63,63を当接させる。緩衝駆動部54としては、例えば、例えばSMC(株)製MQQTシリーズのエアシリンダ等の、低摩擦エアシリンダを用いることができる。
【0024】
また、緩衝駆動部54,54を構成する前記エアシリンダは、低摩擦のため圧力制御が容易であり、検査対象部13U,13Uに対するコンタクト部63,63の圧接力を、精度よく制御することが容易である。
【0025】
図5は、基板保持部材の具体的構成を示す断面図、図6は、基板保持部材を分解した状態を示す斜視図、図7は、パッキンの他の例を示す斜視図、基板保持部材の変形例を示す分解断面図である。
【0026】
基板保持部材2は、図5及び図6に示すように、図示を省略した吸引装置の吸引力に応じて基板10を吸着する吸着孔20が形成された吸着板21と、吸着板21の吸着孔20から吸引された空気を吸引装置側に導出する連通孔22が形成された支持板23とを有している。また、吸着板21と中間板25との間には、パッキン24が配設されている。
【0027】
吸着板21は、多数の吸着孔20が一定間隔でマトリックス状に配列されたプレート材からなり、その上面に基板1
0の主要部に対応した大きさ、具体的には基板本体11を載置し得る大きさを有している。
【0028】
支持板23は、吸着板21の吸着孔20に対応した多数の連通孔22が一定間隔でマトリックス状に配列された中間板25と、その裏面を覆う被覆板26とを有している。この被覆板26には、図外の吸引装置に連通する凹部27が形成されている。この凹部27内の空気と、吸着板21の吸着孔20及び中間板25の連通孔22内の空気とが、図5の矢印Qに示すように外部に排出されることにより、吸着板21の表面上に基板10を密着させる負圧が得られるようになっている。
【0029】
パッキン24には、基板10の吸着範囲に対応した大きさを有する開口部28と、開口部28の外周部を囲繞する囲繞部29とが設けられている。そして、吸着板21と中間板25との間にパッキン24を配設して、基板10の吸着範囲外に位置する吸着孔20と連通孔22との連通を遮断することにより、吸着板21の上面に基板10の主要部を強固に密着させる大きな吸引力を生じさせ得るように構成されている。
【0030】
なお、図7に示すように、大きさの異なる開口部28a,28bを有する複数枚のパッキン24a,24bを予め取り揃えた構成とすることが好ましい。そして、基板10の種類に対応した開口部28を有するものをユーザが選択して吸着板21と中間板25との間に配設することにより、基板10の大きさに応じて負圧の生成範囲を変化させることができる。
【0031】
また、図8に示すように、吸着板21の下面に、パッキン24の板厚に対応した突出量を有する複数個の突部30が一定間隔で設けられるとともに、パッキン24の囲繞部29に突部30に設置部に対応する位置に、突部30が嵌入される嵌入孔31が設けられた構成としてもよい。
【0032】
この構成によれば、吸着板21と中間板25との間にパッキン24を配設する際に、突部30をパッキン24の嵌入孔31に嵌入することにより、パッキン24とを正確に位置合わせすることができる。また、吸着板21と中間板25との間に突部30が介在されることにより、吸着板21と中間板25との間隔を一定に保持することが可能となる。このため、吸着板21が変形し易い素材により形成されている場合であっても、前記負圧等に応じて吸着板21が変形するのを抑制することができ、基板10と吸着板21との間に隙間が形成されるのを防止できるという利点がある。
【0033】
図9は、第一検査治具の概略構成を示す平面図、図10は、支持ブロックの概略構成を示す斜視図、図11は、第一検査治具の具体的構成を示す断面図、図12は、第一検査治具の具体的構成を示す図11のXII-XII線断面図である。
【0034】
第一検査治具4a及び第二検査治具4bは、上下対称に配設されている点を除いて同一の構成を有するため、第一検査治具4aの構成のみを以下に説明し、第二検査治具4bの構成についてはその説明を省略する。
【0035】
第一検査治具4aは、基板10の下方側に配設された第一可動板6aと、この第一可動板6aを支持する支持部材7とを有している(図1参照)。第一可動板6aの一側辺部の上面には、図9及び図10に示すように、導電ゴム製の導電コネクタ材が配設されたコンタクト部63,63が設けられている。第一可動板6aの一側辺部上面には、検査対象部13Dの複数の電極端子と対向するように、複数の検出電極が形成されている。そして、複数の検出電極を覆うように導電コネクタ材が配設されて、コンタクト部63が形成されている。
【0036】
コンタクト部63,63に配設される導電コネクタ材としては、加圧時に導通状態となる異方導電性ゴム、例えば株式会社JMT製「加圧導電ゴムPCR(登録商標)」が好適に使用される。なお、上述の加圧導電ゴムに代え、圧力を加えなくとも検査対象部を接触させるだけで板厚方向に導通状態となる異方導電性ゴムを用いてもよい。
【0037】
第一可動板6aは、図11に示すように、プリント配線基板等からなる可動板本体61と、その下面部を補強する補強板62とを有している。第一可動板6aの他側辺部には、コンタクト部63の各検出電極を、図示を省略したワイヤケーブル等を介して図外の検査装置本体と接続するためのコネクタ64が設けられている。また、補強板62の他側辺部には、第一可動板6aを揺動可能に支持する後述の枢支部8が設けられている。
【0038】
第一可動板6aのコンタクト部63,63は、図3に示すように、基板10の下面に設置された検査対象部13D,13Dに対向するように複数個所に分離された状態でそれぞれ設置されている。また、相隣接するコンタクト部63,63の設置個所の間には、枢支部8の設置部側、つまり第一可動板6aの他側辺部側に向けて凹入する切欠部65が形成されている(図9及び図10参照)。
【0039】
支持部材7には、図1図11及び図12に示すように、第一昇降駆動機構5aにより昇降駆動されるベースプレート71と、第一可動板6aの揺動支点となる支持軸81を備えた枢支部8と、支持軸81を支点に第一可動板6aを揺動変位させる揺動駆動部72と、基板10を支持する支持ブロック9とが設けられている。
【0040】
枢支部8は、ベースプレート71に立設された一対の支持プレート82,82と、この支持プレート82,82に両端部が固定された支持軸81と、第一可動板6aの補強板62に固定された軸受部83とを有している。この軸受部83が支持軸81に外嵌されて回動可能に枢支されることにより、第一可動板6aが支持軸81を支点にして揺動可能に支持されている。
【0041】
揺動駆動部72は、第一可動板6aを、支持軸81を支点にして揺動変位させてコンタクト部63,63を基板10の検査対象部13D,13Dに一定圧力で接触させるように構成されている。揺動駆動部72としては、例えば緩衝駆動部54と同様、SMC(株)製MQQTシリーズのエアシリンダ等を用いることができる。
【0042】
ベースプレート71は、第一昇降駆動機構5aの昇降板53に固着された板材からなっている。このベースプレート71と第一可動板6aの補強板62との間には、第一可動板6aを下方に付勢する引張りばねからなる付勢部材73と、第一可動板6aの下面に当接してその下方変位を規制する支柱等からなる規制部材74とが設けられている。
【0043】
揺動駆動部72の非作動時には、付勢部材73により第一可動板6aが下方に付勢されて、その下面が規制部材74の上端面に当接した状態となる。これにより、第一可動板6aの下方変位が規制されて、第一可動板6aの設置状態が略水平に維持されるように構成されている。
【0044】
支持ブロック9は、図3及び図10に示すように、取付ビス等によりベースプレート71の一側辺部上面に取り付けられる取付部91と、この取付部91に立設された複数本の突部92,92とを有している。突部92は、第一可動板6aに形成された切欠部65よりもやや小さい断面形状を有し、突部92の上端部が第一可動板6aの切欠部65内に導入されるようになっている(図9及び図10参照)。
【0045】
そして、後述の導通検査時に、第二検査治具4bの第二可動板6bが揺動駆動部72により駆動されて、図4の矢印Pで示すように、第二可動板6bから基板10の上面に押圧力が付与されると、第一検査治具4aに設けられた支持ブロック9の突部92,92により基板10の下面が支持されることになる。
【0046】
この結果、基板10の下方変位が抑制され、前記押圧力に応じて第二可動板6bのコンタクト部63,63が適度に加圧されることにより導電コネクタ材がその厚み方向に導通する。その結果、検査対象部13U,13Uに形成された各電極端子と、第二可動板6bにおけるコンタクト部63,63の各検出電極とが導通状態となる。
【0047】
また、同様にして、基板10の下方に配設された第一検査治具4aの第一可動板6aが揺動駆動部72によって駆動されることにより、第一可動板6aから基板10の下面に押圧力が付与されると、第二検査治具4bに設けられた支持ブロック9の突部92,92により基板10の上面が支持された状態で、第一可動板6aのコンタクト部63,63が適度に加圧されることにより導電コネクタ材がその厚み方向に導通する。その結果、検査対象部13D,13Dに形成された各電極端子と、第一可動板6aにおけるコンタクト部63,63の各検出電極とが導通状態となる。
【0048】
上述の構成を有する基板検査装置1を使用して基板10の検査を行う場合には、基板10を基板保持部材2に支持させた状態で、第一昇降駆動機構5a及び第二昇降駆動機構5bの回転駆動部51を作動させて、ねじ軸52を回転駆動することにより、第一検査治具4a及び第二検査治具4bを、図4に示す検査待機位置にそれぞれ移動させる。
【0049】
次いで、第一検査治具4a及び第二検査治具4bの揺動駆動部72を作動させることにより、第一可動板6a及び第二可動板6bを、支持軸81を支点にそれぞれ揺動変位させる。これにより、第一可動板6aのコンタクト部63が基板下面の検査対象部13Dに所定の押圧力で圧接されるとともに、第二可動板6bのコンタクト部63が基板上面の検査対象部13Uに所定の押圧力で圧接されることになる。
【0050】
このようにコンタクト部63,63が適度に加圧された状態で、基板10の検査対象部13D,13Uに接触することにより、コンタクト部63,63の各検出電極と、検査対象部13D,13Uの各電極端子とが導通状態となる。そして、例えば第一検査治具4aのコンタクト部63から基板10の検査対象部13D,13Uの電極端子に測定用電流を供給するとともに、この測定用電流に応じて生じた電圧を、第二検査治具4bのコンタクト部63から導電コネクタ材を介して図外の検査装置本体に出力することにより、基板10の良否判定を実行することができる。
【0051】
なお、後述するように第二検査治具4bの揺動駆動部72の作動を必要に応じて停止し、第二可動板6bを水平に保持した状態で、第二昇降駆動機構5bの緩衝駆動部54を作動させて、第二検査治具4bを昇降駆動することにより、第二可動板6bのコンタクト部63を一定の圧力で基板10の検査対象部13Uに接触させることも可能である。
【0052】
上述のように基板10を保持する基板保持部材2と、基板10の検査対象部13D,13Dに接触するコンタクト部63が設けられた第一可動板6a及びこれを支持する支持部材7を有する第一検査治具4aと、基板10の検査対象部13Uに接触するコンタクト部63が設けられた第二可動板6b及びこれを支持する支持部材7を有する第二検査治具4bと、第一検査治具4a及び第二検査治具4bを検査待機位置にそれぞれ移動させる第一昇降駆動機構5a及び第二昇降駆動機構5bとを備え、支持部材7には、第一可動板6a及び第二可動板6bを揺動可能に支持する支持軸81を備えた枢支部8と、支持軸81を支点に第一可動板6a及び第二可動板6bを揺動変位させてコンタクト部63,63を検査対象部13U,13Dにそれぞれ接触させる揺動駆動部72とが設けられた基板検査装置1によれば、検査対象部13U,13D及びコンタクト部63の損傷を抑制しつつ、基板10の検査を正確に行うことができる。
【0053】
すなわち、第一昇降駆動機構5a及び第二昇降駆動機構5bは、第一可動板6a及び第二可動板6bを基板10に近接させた検査待機位置に昇降変位させる機能を有するものであればよく、微妙な位置制御及び駆動力制御は不要である。このため、上述の実施形態に示すように、サーボモータ等からなる回転駆動部51と、この回転駆動部51により回転駆動されるねじ軸52と有し、大きな駆動力が得られるねじ送り機構からなる第一昇降駆動機構5a及び第二昇降駆動機構5bを用いることにより、所定の重量を有する第一検査治具4a及び第二検査治具4bを前記初期位置から検査待機位置に容易かつ迅速に移動させることができる。
【0054】
第一検査治具4a及び
第二検査治具4bを検査待機位置に移動させた状態で、揺動駆動部72により支持軸81を支点に第一可動板6a及び第二可動板6bを揺動変位させてコンタクト部63,63を検査対象部13U,13Dに接触させる際における駆動抵抗は、枢支部8の摺動抵抗だけである。このため、揺動駆動部72として低摩擦かつ高感度のエアシリンダを用いることにより、コンタクト部63,63を検査対象部13U,13Dに適度の圧力で正確に接触させて基板10を適正に検査することができる。
【0055】
なお、サーボモータ等からなる回転駆動部51と、この回転駆動部51により回転駆動されるねじ軸52とを有する上述のねじ送り機構に代え、第一検査治具4a及び第二検査治具4bを初期位置から検査待機位置に容易かつ迅速に移動させることが可能な駆動力を有する油圧シリンダ又は大型のエアシリンダ等により第一昇降駆動機構5a及び第二昇降駆動機構5bを構成してもよい。
【0056】
また、上述のエアシリンダからなる揺動駆動部72に代え、支持軸81を支点に第一可動板6a及び第二可動板6bを揺動変位させるねじ軸と、このねじ軸を回転駆動する小型のサーボモータとを有するねじ送り機構等を用いることも可能である。
【0057】
導電ゴム製の導電コネクタ材をコンタクト部63に配設してなる上述の実施形態に代え、適度の弾力性を有するワイヤプローブからなるプローブ方式の接触端子、又は導電体からなるプランジャーと、このプランジャーをスライド可能に支持する筒状体と、プランジャーの先端部を筒状体外に突出させる方向に付勢する付勢部材等とを有するプローブ方式の接触端子を、コンタクト部63に配設した構成としてもよい。
【0058】
上述の実施形態に示すように、第一可動板6a及び第二可動板6bのコンタクト部63に柔軟な導電ゴム製の導電コネクタ材を配設した構造とした場合には、この導電コネクタ材を検査対象部13U,13Dに面接触させることにより、細かな電極に対して高い接触安定性が得られる等の利点がある。また、前記導電ゴム製の導電コネクタ材は、微細電極でも位置ずれに対して広い許容幅を有し、かつ基板10の検査対象部13U,13Dにダメージを与えることがないとともに、検査治具を軽量かつ薄型に形成できる等の利点がある。
【0059】
なお、上述の導電ゴム製の導電コネクタ材を用いた検査装置では、導電コネクタ材が損傷し易い傾向がある。しかし、上述のように検査待機位置にある第一検査治具4a及び第二検査治具4bを揺動駆動部72により支持軸81を支点に揺動変位させるので、支持軸81で第一検査治具4a及び第二検査治具4bの重量を支えて、小さな力で第一検査治具4a及び第二検査治具4bを揺動変位させることができる。その結果、コンタクト部63,63を検査対象部13U,13Dに圧接する圧力の制御が容易となり、コンタクト部63,63の接触圧力を高精度に制御することができる。従って、導電コネクタ材の損傷を抑制することが容易となる。
【0060】
さらに、上述の実施形態では、基板10の下方側に配設された第一可動板6aを有する第一検査治具4aと、基板10の上方側に配設された第二可動板6bを有する第二検査治具4bと、第一検査治具4aを昇降駆動する第一昇降駆動機構5aと、第二検査治具4bを昇降駆動する第二昇降駆動機構5bとを備えた構成としたため、第一昇降駆動機構5a及び第二昇降駆動機構5bにより、第一可動板6a及び第二可動板6bを基板10に近接させた検査待機位置にそれぞれ迅速に移動させることができる。
【0061】
しかも、第一検査治具4a及び第二検査治具4bの揺動駆動部72を作動させることにより、前記検査待機位置にある第一可動板6a及び第二可動板6bをそれぞれ揺動変位させて、基板10の上面及び下面に設けられた検査対象部13D,13Uに、第一可動板6a及び第二可動板6bのコンタクト部63をそれぞれ適度の圧力で正確に接触させることができるという利点がある。
【0062】
なお、第一可動板6a及び第二可動板6bの一方を省略するとともに、これを駆動する第一昇降駆動機構5a及び第二昇降駆動機構5bの一方を省略した構造としてもよい。例えば、基板の上面側にのみ検査対象部が設けられている場合には、基板10の下方側に配設された第一可動板6aを有する第一検査治具4aと、これを駆動する第一昇降駆動機構5aとを省略した構成とすることができる。
【0063】
また、上述の実施形態では、第一可動板6aおよび第二可動板6bに、コンタクト部63,63が複数個所に分離された状態でそれぞれ設置されるとともに、相隣接するコンタクト部63,63の間に、枢支部8側に向けて凹入する切欠部65が形成され、第一検査治具4a及び第二検査治具4bの支持部材7に、切欠部65内に導入される突部92を有する支持ブロック9がそれぞれ設けられた構成としている。
【0064】
この構成によれば、支持ブロック9の突部92,92により基板10の上面及び下面をそれぞれ支持した状態で、第一可動板6a及び第二可動板6bを揺動駆動部72によって駆動することにより、基板10の下面及び上面に適度の押圧力を付与することが可能である。したがって、基板10が弾性変形し易い素材で形成されている場合においても、その上方変位及び下方変位を支持ブロック9によりそれぞれ抑制することができる。この結果、前記押圧力に応じて第一可動板6a及び第二可動板6bのコンタクト部63,63を適度に加圧することにより、このコンタクト部63,63と基板10の検査対象部13D,13Uとを適正に導通させることができる。
【0065】
また、上述のように図外の吸引装置の吸引力に応じて基板10を吸着する吸着孔20が形成された吸着板21と、この吸着板21の吸着孔20から吸引された空気を吸引装置側に導出する連通孔22が形成された支持板23と、吸着板21と支持板23との間に配設されるパッキン24とを基板保持部材2に設けるとともに、パッキン24に、基板10の吸着範囲に対応した大きさを有する開口部28と、この開口部28の外周部を囲繞する囲繞部29とを設けた構造とした場合には、基板10の吸着範囲外に位置する吸着孔20と連通孔22との連通がパッキン24により遮断されることになる。このため、基板10の主要部を吸着板21に対して強固に密着させることができる。
【0066】
さらに、図7に示すように、大きさの異なる開口部28a,28bを有する複数枚のパッキン24a,24bを予め取り揃えるとともに、基板10の種類に対応したパッキン24をユーザが選択して、吸着板21と、支持板23、具体的には中間板25との間に配設し得るように構成することにより、大きさが異なる各種の基板10を基板保持部材2にそれぞれ適正に保持させることができる。
【0067】
すなわち、基板保持部材2の吸着板21と中間板25とを分離した状態で、基板10の大きさに対応した開口部28を有するパッキン24を吸着板21と中間板25との間に配設することにより、基板10の大きさに対応して負圧の生成範囲を変化させることできる。このため、簡単な構成で基板保持部材2に汎用性を持たせることが可能となり、種々の大きさを有する基板10を吸着板21上に吸着させて、それぞれ適正に保持させることができる。
【0068】
また、第二可動板6bのコンタクト部63を一定の圧力で基板10の検査対象部13Uに接触させるように第二検査治具4bを昇降駆動する駆動シリンダからなる緩衝駆動部54を第二昇降駆動機構5bに設けてなる上述の実施形態によれば、この第二昇降駆動機構5bの緩衝駆動部54と、第二検査治具4bの揺動駆動部72とを必要に応じて選択的に作動させることにより、各種の基板10をそれぞれ適正に検査できるという利点がある。
【0069】
例えばコンタクト部63に設けられたコネクタ材を弾性変形させる必要があるプローブ方式の接触端子を用いて、基板10の検査を行う場合において、支持軸81を支点に第二可動板6bを所定量だけ揺動変位させることにより、コンタクト部63を検査対象部13Uに接触させた場合には、第一可動板6aが傾斜状態となる虞がある。この結果、基板の種類によっては、検査対象部13Uにコンタクト部63を適正に接触させることができない可能性がある。
【0070】
したがって、上述のように第二可動板6bの下降量を、ある程度確保する必要がある場合には、揺動駆動部72の作動を停止して、第二可動板6bを水平に保持した状態で、第二昇降駆動機構5bの緩衝駆動部54を作動させ、第二検査治具4bを所定位置まで下降させることにより、コンタクト部63を検査対象部13Uに対して適正に接触させることが好ましい。
【0071】
一方、第二可動板6bの下降量を、それ程大きく設定する必要がなく、かつ検査対象部13Uに対するコンタクト部63の接触圧を高精度に制御する必要がある場合には、緩衝駆動部54の作動を停止させた状態で、揺動駆動部72により支持軸81を支点に第二可動板6bを揺動変位させることにより、検査対象部13Uに対するコンタクト部63の接触圧を適正値に制御することが好ましい。
【0072】
さらに、基板10の検査時に、第一可動板6a及び第二可動板6bの昇降位置を高精度に制御する必要がなく、かつ検査対象部13Uに対するコンタクト部63の接触圧を、より大きく設定する必要がある場合には、第一昇降駆動機構5a及び第二昇降駆動機構5bの駆動力に応じて、コンタクト部63を検査対象部13Uに接触させることも可能である。
【0073】
例えば、多数のプローブ端子を用いて基板10の検査を行う場合に、揺動駆動部72の作動を停止して第一可動板6a及び第二可動板6bを水平に保持した状態で、第一昇降駆動機構5a及び第二昇降駆動機構5bの回転駆動部51を作動させて、第一検査治具4a及び第二検査治具4bを昇降変位させることにより、コンタクト部63を検査対象部13Uに接触させることもできる。
【0074】
このように本発明に係る基板検査装置は、基板10の種類及びコンタクト部63の構造に応じ、基板10の検査時に使用する駆動部を適宜選択して使用することにより、各種の基板10をそれぞれ適正に検査することが可能であるため、優れた汎用性を有するという利点がある。
【0075】
また、上述の実施形態では、昇降板53b及び第二検査治具4bをその自重に抗して上方に付勢する引張りばねからなる左右一対の付勢部材55,55を、緩衝駆動部54,54の間に配設しているため、この緩衝駆動部54,54として小型のエアシリンダを用いた場合でも、第二検査治具4b等を容易かつ迅速に昇降変位させることができる。
【0076】
なお、緩衝駆動部54,54を省略した構造としてもよく、あるいは基板10の上方に位置する第二昇降駆動機構5bと、基板10の上方に位置する第二昇降駆動機構5bとの両方に、緩衝駆動部54,54をそれぞれ配設した構造としてもよい。さらに、下方の第一昇降駆動機構5aのみに緩衝駆動部54,54を配設した構造とすることも可能である。
【0077】
すなわち、本発明の一例に係る検査治具は、検査対象の基板を保持する基板保持部材と、当該基板保持部材に保持された基板の検査対象部に接触するコンタクト部を有する可動板と、当該可動板を支持する支持部材とを有する検査治具と、当該検査治具を昇降変位させて前記コンタクト部が前記検査対象部に近接した検査待機位置に前記可動板を移動させる昇降駆動機構とを備え、前記支持部材には、前記可動板を揺動可能に支持する支持軸を備えた枢支部と、前記支持軸を支点に前記可動板を揺動変位させて前記コンタクト部を前記検査対象部に接触させる揺動駆動部とが設けられたものである。
【0078】
この構成によれば、昇降駆動機構により検査治具を初期位置から検査待機位置に容易かつ迅速に移動させることができる。そして、揺動駆動部によって支持軸を支点に可動板を揺動変位させることにより、コンタクト部を検査対象部に適度の圧力で接触させて、基板の検査を正確に行うことができる。
【0079】
前記コンタクト部には、導電ゴム製の導
電コネクタ材が配設された構成としてもよい。
【0080】
この構成によれば、柔軟な導電コネクタ材を基板の検査対象部に面接触させることにより、細かな電極に対して高い接触安定性が得られるとともに、高い検査精度が得られる等の利点がある。また、微細電極でも位置ずれに対して広い許容幅を有し、かつ基板の検査対象部にダメージを与えることがないとともに、検査治具を軽量かつ薄型に形成できる等の利点がある。しかも、検査待機位置にある検査治具を揺動駆動部により支持軸を支点に揺動変位させて、上述のようにコンタクト部を検査対象部に軽い圧力で接触させ得るように構成することにより、導電コネクタ材の損傷を容易に抑制することができる。
【0081】
また、前記検査治具は、前記基板の下方側に配設された第一可動板を有する第一検査治具と、前記基板の上方側に配設された第二可動板を有する第二検査治具とを備え、前記昇降駆動機構は、前記第一検査治具を昇降駆動する第一昇降駆動機構と、前記第二検査治具を昇降駆動する第二昇降駆動機構とを備えていることが好ましい。
【0082】
この構成によれば、第一昇降駆動機構及び第二昇降駆動機構により、第一可動板及び第二可動板を基板に近接させた検査待機位置にそれぞれ迅速に移動させることができる。しかも、第一検査治具及び第二検査治具の揺動駆動部により第一可動板及び第二可動板をそれぞれ揺動変位させて、基板の上面及び下面に設けられた検査対象部に第一可動板及び第二可動板のコンタクト部をそれぞれ適度の圧力で正確に接触させることができるという利点がある。
【0083】
また、前記第一可動板および前記第二可動板には、前記コンタクト部が複数個所に分離された状態でそれぞれ設置されるとともに、相隣接する前記コンタクト部の間に、前記枢支部側に向けて凹入する切欠部が形成され、前記第一検査治具及び前記第二検査治具の支持部材には、前記基板を支持する支持ブロックがそれぞれ設けられ、当該支持ブロックは、前記切欠部内に導入される突部を有した構成としてもよい。
【0084】
この構成によれば、支持ブロックの突部により基板の上面及び下面をそれぞれ支持した状態で、第一可動板及び第二可動板を揺動駆動部によって駆動することにより、基板の下面及び上面に適度の押圧力を付与することができる。このため、基板が弾性変形し易い素材で形成されている場合においても、その上方変位及び下方変位を支持ブロックによりそれぞれ抑制することができる。したがって、前記押圧力に応じて第一可動板及び第二可動板のコンタクト部を適度に加圧することにより、このコンタクト部と基板の検査対象部とを適正に導通させることができる。
【0085】
また、前記基板保持部材は、吸引装置の吸引力に応じて前記基板を吸着する吸着孔が形成された吸着板と、当該吸着板の吸着孔から吸引された空気を前記吸引装置側に導出する連通孔が形成された支持板と、前記吸着板と前記支持板との間に配設されるパッキンとを有し、当該パッキンには、前記基板の吸着範囲に対応した大きさを有する開口部と、当該開口部の外周部を囲繞する囲繞部とが設けられた構成とすることが好ましい。
【0086】
この構成によれば、基板の吸着範囲外に位置する吸着孔と連通孔との連通がパッキンにより遮断されるため、基板の主要部を吸着板に対して強固に密着させることができる。しかも、大きさの異なる開口部を有する複数枚のパッキンを予め取り揃えるとともに、基板の種類に対応したパッキンをユーザが選択して吸着板と支持板との間に配設することにより、大きさが異なる各種の基板を基板保持部材にそれぞれ適正に保持させることができる。
【0087】
また、前記昇降駆動機構には、前記コンタクト部を一定の圧力で前記検査対象部に接触させるように前記検査治具を昇降駆動する駆動シリンダからなる緩衝駆動部が、さらに設けられた構成としてもよい。
【0088】
この構成によれば、基板の検査時に、昇降駆動機構と第二検査治具の揺動駆動部とを必要に応じて選択的に作動させることにより、各種の基板をそれぞれ適正に検査できるという利点がある。このように基板の種類及びコンタクト部の構造に応じて、基板の検査に使用する駆動部を使い分けることにより、各種の基板をそれぞれ適正に検査することが可能であるため、優れた汎用性を有するという利点がある。
【0089】
このような構成の基板検査治具によれば、基板の検査対象部及び検査治具のコンタクト部の損傷を抑制することが容易である。
【0090】
なお、発明を実施するための形態の項においてなされた具体的な実施態様又は実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、本発明は、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではない。
【符号の説明】
【0091】
1 基板検査治具 2 基板保持部材 4a 第一検査治具 4b 第二検査治具 5a 第一昇降駆動機構 5b 第二昇降駆動機構 6a 第一可動板 6b 第二可動板 7 支持部材 8 枢支部 9 支持ブロック 10 基板 11 基板本体 12 側端部 13D,13U 検査対象部 14D,14U 平坦面部 20 吸着孔 21 吸着板 22 連通孔 23 支持板 24,24a,24b パッキン 25 中間板 26 被覆板 27 凹部 28,28a,28b 開口部 29 囲繞部 30 突部 31 嵌入孔 51 回転駆動部 52 ねじ軸 53,53a,53b 昇降板 54 緩衝駆動部 55 付勢部材 61 可動板本体 62 補強板 63 コンタクト部 64 コネクタ 65 切欠部 71 ベースプレート 72 揺動駆動部 73 付勢部材 74 規制部材 81 支持軸 82 支持プレート 83 軸受部 91 取付部 92 突部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12