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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】撮像素子、及び電子カメラ
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/13 20230101AFI20240423BHJP
   H04N 25/70 20230101ALI20240423BHJP
【FI】
H04N25/13
H04N25/70
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023005793
(22)【出願日】2023-01-18
(62)【分割の表示】P 2018542663の分割
【原出願日】2017-09-27
(65)【公開番号】P2023052470
(43)【公開日】2023-04-11
【審査請求日】2023-01-18
(31)【優先権主張番号】P 2016192249
(32)【優先日】2016-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017061131
(32)【優先日】2017-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】駒井 敦
【審査官】三沢 岳志
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-085028(JP,A)
【文献】国際公開第2016/089551(WO,A1)
【文献】特開2016-052041(JP,A)
【文献】特表2012-501578(JP,A)
【文献】特開2014-232900(JP,A)
【文献】特開2010-193437(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 25/13
H04N 25/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透過させる光の波長を変更可能なフィルタと、前記フィルタを透過した光を光電変換して電荷を生成する光電変換部と、前記光電変換部で生成された電荷を蓄積するフローティングディフュージョンと、ゲートを含むトランジスタであって、前記フローティングディフュージョンと前記ゲートとが接続され、前記フローティングディフュージョンで蓄積された電荷に基づく信号を出力する増幅トランジスタとを有する複数の画素と、
前記複数の画素のうち、隣り合う前記画素の前記フローティングディフュージョンどうしを接続可能である複数の接続部と、
前記複数の画素のうちそれぞれ隣り合う4以上の第1画素で構成される第1領域において、前記第1画素の前記フィルタがそれぞれ第1の波長の光を透過するように制御し、前記複数の画素のうちそれぞれ隣り合う4以上の第2画素で構成される第2領域において、前記第2画素の前記フィルタが、前記第1領域に含まれる前記第1画素の前記フィルタと同じ数になるように、それぞれ第2の波長の光を透過するように制御するフィルタ制御部と、
前記複数の接続部の接続状態を制御することにより、前記フローティングディフュージョンに蓄積された電荷を加算する対象となる前記画素を変更可能な加算制御部と、を備え、
前記フィルタ制御部は、前記第1領域および前記第2領域の位置及び大きさのうち少なくとも一方が変わるよう前記フィルタを制御することが可能であり、
前記加算制御部は、前記フィルタ制御部の制御によって前記フィルタが前記第1の波長の光を透過するように制御された状態で、前記第1領域における前記フローティングディフュージョンに蓄積された電荷をそれぞれ加算するように前記接続部の接続状態を制御し、前記フィルタ制御部の制御によって前記フィルタが前記第2の波長の光を透過するように制御された状態で、前記第2領域における前記フローティングディフュージョンに蓄積された電荷をそれぞれ加算するように前記接続部の接続状態を制御する撮像素子。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像素子において、
前記第1領域は、列方向に隣り合う2以上の第1の数の前記画素と、行方向に隣り合う前記第1の数の前記画素とから形成され、
前記第2領域は、列方向に隣り合う前記第1の数の前記画素と、行方向に隣り合う前記第1の数の前記画素とから形成される撮像素子。
【請求項3】
請求項2に記載の撮像素子において、
前記第1領域が、列方向に隣り合う前記第1の数の前記画素と、行方向に隣り合う前記第1の数の前記画素とから形成され、前記第2領域が、列方向に隣り合う前記第1の数の前記画素と、行方向に隣り合う前記第1の数の前記画素とから形成される第1撮影モードと、
前記第1領域が、列方向に隣り合う、前記第1の数と異なる2以上の第2の数の前記画素と、行方向に隣り合う前記第2の数の前記画素とから形成され、前記第2領域が、列方向に隣り合う前記第2の数の前記画素と、行方向に隣り合う前記第2の数の前記画素とから形成される第2撮影モードとを有する撮像素子。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記フィルタは、複数のフィルタを有し、
前記光電変換部は、前記複数のフィルタそれぞれを透過した光を光電変換する撮像素子。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記フィルタ制御部は、前記複数の画素のうちそれぞれ隣り合う4以上の第3画素で構成される第3領域において、前記第3画素の前記フィルタが、前記第1領域に含まれる前記第1画素の前記フィルタと同じ数になるように、それぞれ第3の波長の光を透過するように制御し、
前記フィルタ制御部は、前記第3領域の位置及び大きさのうち少なくとも一方が変わるよう前記フィルタを制御することが可能であり、
前記加算制御部は、前記フィルタ制御部の制御によって前記フィルタが前記第3の波長の光を透過するように制御された状態で、前記第3領域における前記フローティングディフュージョンに蓄積された電荷をそれぞれ加算するように前記接続部の接続状態を制御する撮像素子。
【請求項6】
請求項5に記載の撮像素子において、
前記フィルタ制御部は、前記第1領域、前記第2領域および前記第3領域がベイヤー配列となるよう制御する撮像素子。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記フィルタは、第1の電極、第2の電極、及び、エレクトロクロミック材料を有し、前記第1の電極及び第2の電極に印加された電圧に基づいて前記エレクトロクロミック材料を透過する光の波長が変更され、
前記第1の電極及び第2の電極は、複数の前記フィルタで共有され、
前記フィルタ制御部は、前記第1の電極と前記第2の電極とに印加する電圧を制御する撮像素子。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の撮像素子と、
前記撮像素子に被写体像を形成する光学系と、
前記撮像素子からの信号に基づいて画像データを生成する画像生成部と、を備える電子カメラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子、及び電子カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
透過波長を変更することができる可変フィルタを画素毎に備えた撮像素子が知られている(特許文献1)。従来の撮像素子には、解像度を変動することができないと言う問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国特開2013-85028号公報
【発明の概要】
【0004】
本発明の第1の態様によると、撮像素子は、透過させる光の波長を変更可能なフィルタと、前記フィルタを透過した光を光電変換して電荷を生成する光電変換部と、前記光電変換部で生成された電荷を蓄積するフローティングディフュージョンと、ゲートを含むトランジスタであって、前記フローティングディフュージョンと前記ゲートとが接続され、前記フローティングディフュージョンで蓄積された電荷に基づく信号を出力する増幅トランジスタとを有する複数の画素と、前記複数の画素のうち、隣り合う前記画素の前記フローティングディフュージョンどうしを接続可能である複数の接続部と、前記複数の画素のうちそれぞれ隣り合う4以上の第1画素で構成される第1領域において、前記第1画素の前記フィルタがそれぞれ第1の波長の光を透過するように制御し、前記複数の画素のうちそれぞれ隣り合う4以上の第2画素で構成される第2領域において、前記第2画素の前記フィルタが、前記第1の領域に含まれる前記第1画素の前記フィルタと同じ数になるように、それぞれ第2の波長の光を透過するように制御するフィルタ制御部と、前記複数の接続部の接続状態を制御することにより、前記フローティングディフュージョンに蓄積された電荷を加算する対象となる前記画素を変更可能な加算制御部と、を備え、前記フィルタ制御部は、前記第1領域および前記第2領域の位置及び大きさのうち少なくとも一方が変わるよう前記フィルタを制御することが可能であり、前記加算部制御部は、前記フィルタ制御部の制御によって前記フィルタが前記第1の波長の光を透過するように制御された状態で、前記第1領域における前記フローティングディフュージョンに蓄積された電荷をそれぞれ加算するように前記接続部の接続状態を制御し、前記フィルタ制御部の制御によって前記フィルタが前記第2の波長の光を透過するように制御された状態で、前記第2領域における前記フローティングディフュージョンに蓄積された電荷をそれぞれ加算するように前記接続部の接続状態を制御する。
本発明の第2の態様によると、電子カメラは、上記に記載の撮像素子と、前記撮像素子に被写体像を形成する光学系と、前記撮像素子からの信号に基づいて画像データを生成する画像生成部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】第1の実施の形態に係る撮像装置の構成を示すブロック図。
図2】第1の実施の形態に係る撮像素子の一部の構成を示すブロック図。
図3】第1の実施の形態に係る撮像素子の断面構造を説明するための図。
図4】第1の実施の形態に係るフィルタ部の透過波長の一例を示す図。
図5】第1の実施の形態に係るフィルタ部の透過波長の変更例を示す図。
図6】第1の実施の形態に係るフィルタ部の制御の一例を示す図。
図7】第1の実施の形態に係る画素の構成を示す回路図。
図8】第1の実施の形態に係る撮像素子の一部の構成を示す回路図。
図9】第1の実施の形態に係る撮像素子の動作例を説明するための図。
図10】第1の実施の形態に係る撮像素子の別の動作例を説明するための図。
図11】第1の実施の形態に係る撮像素子の別の動作例を説明するための図。
図12】第2の実施の形態に係る撮像装置の電子ズーム機能を説明するための図。
図13】変形例1に係る撮像素子の一部の構成を示す回路図。
図14】変形例1に係る撮像素子の動作例を説明するための図。
図15】変形例1に係る撮像素子の別の動作例を説明するための図。
図16】変形例1に係る撮像素子の別の動作例を説明するための図。
図17】変形例2に係る撮像素子の一部の構成を示す回路図。
図18】変形例2に係る撮像素子の動作例を説明するための図。
図19】変形例2に係る撮像素子の別の動作例を説明するための図。
図20】変形例2に係る撮像素子の別の動作例を説明するための図。
図21】変形例3に係る撮像素子の一部の構成を示す回路図。
【発明を実施するための形態】
【0006】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る撮像装置の構成を示すブロック図である。図1では、第1の実施の形態に係る撮像装置の一例である電子カメラ1の構成例を示す。電子カメラ1は、撮影光学系2、撮像素子3、および制御部4を備える。撮影光学系2は、撮像素子3に被写体像を結像する。撮像素子3は、撮影光学系2により形成された被写体像を撮像して画素信号を生成する。撮像素子3は、例えばCMOSイメージセンサである。制御部4は、撮像素子3の動作を制御するための制御信号を撮像素子3に出力する。また、制御部4は、撮像素子3から出力された画素信号に対して各種の画像処理を施し、画像データを生成する画像生成部として機能する。なお、撮影光学系2は、電子カメラ1から着脱可能にしてもよい。
【0007】
図2および図3を参照して、第1の実施の形態に係る撮像素子3の構成について説明する。図2は、第1の実施の形態に係る撮像素子3の一部の構成を示すブロック図である。図3は、第1の実施の形態に係る撮像素子3を説明するための図である。図3(a)は、撮像素子3の断面構造の一例を示す図であり、図3(b)は、撮像素子3のフィルタ部の透明電極のレイアウト例を説明するための平面図である。図2に示すように、撮像素子3は、複数の画素10と、フィルタ垂直駆動部40と、フィルタ水平駆動部50と、フィルタ制御部60と、画素垂直駆動部70と、カラム回路部80と、水平走査部90と、出力部100と、システム制御部110とを備える。撮像素子3では、画素10が二次元状(第1方向である行方向およびそれと交差する第2方向である列方向)に配置される。図2に示す例では、説明を簡略化するために、画素10は水平方向16画素×垂直方向12画素のみ図示しているが、撮像素子3は、例えば数百万画素~数億画素、又はそれ以上の画素を有する。
【0008】
撮像素子3は、例えば、裏面照射型の撮像素子である。図3(a)に示すように、撮像素子3は、半導体基板220と、半導体基板220に積層される配線層210と、支持基板200と、マイクロレンズ31と、フィルタ部5とを備える。半導体基板220は、シリコン等の半導体基板により構成され、支持基板200は、半導体基板やガラス基板等により構成される。半導体基板220は、配線層210を介して支持基板200に積層される。配線層210は、導体膜(金属膜)および絶縁膜を含む配線層であり、複数の配線やビアなどが配置される。導体膜には、銅、アルミニウム等が用いられる。絶縁膜は、酸化膜や窒化膜などで構成される。図3(a)に示すように、入射光は、主にZ軸プラス方向へ向かって入射する。また、座標軸に示すように、Z軸に直交する紙面右方向をX軸プラス方向、Z軸およびX軸に直交する紙面奥方向をY軸プラス方向とする。
【0009】
半導体基板220は、光が入射する入射面となる第1面201a、および第1面201aとは異なる第2面201bを有する。第2面201bは、第1面201aとは反対に位置する。配線層210は、半導体基板220の第2面201b側に積層される。配線層210とは反対側の第1面201a側から光が照射されるので、撮像素子3は、裏面照射型の撮像素子となる。半導体基板220は、第1面201aと第2面201bとの間に、光電変換部34を有する。光電変換部34は、例えばフォトダイオード(PD)であり、入射した光を電荷に変換する。光電変換部34によって光電変換された電荷による信号は、配線層210に出力される。光電変換部34を有する画素10は、X軸方向およびY軸方向に複数配置されている。半導体基板220の第1面201a側には、画素10毎に、フィルタ部5及びマイクロレンズ31が設けられる。
【0010】
画素10は、マイクロレンズ31と、フィルタ部5と、遮光膜32と、光電変換部34とを含んで構成される。マイクロレンズ31は、入射した光を光電変換部34に集光する。遮光膜32は、隣接する画素10の境界に配置され、隣接画素間で光が漏れることを抑制する。
【0011】
フィルタ部5は、マイクロレンズ31側から半導体基板220側に向かって順次積層されたエレクトロクロミック(以下、ECと称する)層21、22、23と、透明電極11、12、13、14とを有する。EC層21~23は、金属酸化物等のエレクトロクロミック材料を用いて形成される。透明電極11~14は、例えばITO(酸化インジウムスズ)等により形成される。EC層21と透明電極12との間、EC層22と透明電極13との間、及びEC層23と透明電極14との間には、絶縁膜33がそれぞれ設けられる。また、フィルタ部5には、不図示の電解質層(電解質膜)が設けられる。
【0012】
透明電極11は、図3(b)に明示したように、X方向に、即ち行方向に配列された複数のEC層21の一方の面を覆うように、行方向に配列された複数のEC層毎に、配置される。図2に示した例では、画素10の配列は、12行であるので、透明電極11は、12本並置されている。透明電極12及び透明電極13は、透明電極11と同様に、X方向に配置された複数のEC層22及びEC層23の一方の面を覆うように配置される。
【0013】
透明電極14は、3つのEC層21、22、23に共通の電極で、EC層23の他方の面側に配置される。共通透明電極14は、図3(b)に明示したように、Y方向、即ち列方向に配列された複数のEC層23に沿って、列方向に配列された複数のEC層毎に、配置される。図2に示した例では、画素10の配列は、16列であるので、共通透明電極14は、16本並置されている。
【0014】
透明電極11~13および共通透明電極14は、EC層21、22、23に対してマトリクス状(網目状)に配置される電極となる。透明電極11~13は、フィルタ垂直駆動部40に接続され、共通透明電極14は、フィルタ水平駆動部50に接続される。これにより、本実施の形態では、マトリクス状の電極を用いてEC層21、22、23の駆動制御を行うアクティブマトリクス駆動を行うことができる。
【0015】
EC層21は、透明電極11と共通透明電極14とによる駆動信号の供給によって酸化還元反応を生じることによりMg(マゼンタ)を発色する。従って、EC層21は、駆動信号の供給によって、入射光のうち、Mg(マゼンタ)に対応する波長域の光を透過させる。EC層22は、透明電極12と共通透明電極14とによる駆動信号の供給によって酸化還元反応を生じることによりYe(イエロー)を発色する。従って、EC層22は、駆動信号の供給によって、入射光のうち、Ye(イエロー)に対応する波長域の光を透過させる。EC層23は、透明電極13と共通透明電極14とによる駆動信号の供給によって酸化還元反応を生じることによりCy(シアン)を発色する。従って、EC層23は、駆動信号の供給によって、入射光のうち、Cy(シアン)に対応する波長域の光を透過させる。EC層21、22、23は、上述の駆動信号の供給を停止した場合は、一定時間の間は上記の発色が持続され、リセット信号を供給した場合は、フィルタ部5に入射する光のうちの全ての波長域の光を透過する透明(消色)の状態になる。
【0016】
上述のように、複数のフィルタ部5の各々は、Mg(マゼンタ)を発色するEC層21、Ye(イエロー)を発色するEC層22、およびCy(シアン)を発色するEC層23の3つのフィルタにより構成される。これにより、フィルタ部5は、EC層21~23の透過波長の組み合わせにより、Mg、Ye、Cy、W(白)、BK(黒)、R(赤)、G(緑)、B(青)のいずれかの波長域の光を主に透過させることが可能となる。
【0017】
図2において、フィルタ制御部60は、フィルタ垂直駆動部40およびフィルタ水平駆動部50から各フィルタ部5に入力される信号を制御することにより、各フィルタ部5の透過波長を設定(変更)する。フィルタ垂直駆動部40は、複数のフィルタ部5の行を選択して、即ち、複数の透明電極11~13のうちの所定の透明電極を選択してそれに駆動信号を供給する。フィルタ水平駆動部50は、複数のフィルタ部5の列を選択して、即ち、複数の共通透明電極14のうちの所定の共通透明電極を選択してそれに駆動信号を供給する。こうして、フィルタ垂直駆動部40によって選択された透明電極11~13とフィルタ水平駆動部50によって選択された共通透明電極14との両方に関するEC層が発色する。
【0018】
例えば、図3(b)において、フィルタ水平駆動部50が3本の共通透明電極14のうちの右端の共通透明電極14を選択して駆動信号を供給し、更にフィルタ垂直駆動部40が9本の透明電極11~13のうち上端の透明電極11を選択して駆動信号を供給すると右上端に位置するEC層21が発色する。また、フィルタ水平駆動部50が同じ共通透明電極14を選択して駆動信号を供給し、更にフィルタ垂直駆動部40が上端の透明電極12を選択して駆動信号を供給すると右上端のEC層22が発色する。また、フィルタ水平駆動部50が同じ共通透明電極14を選択して駆動信号を供給し、更にフィルタ垂直駆動部40が上端の透明電極13を選択して駆動信号を供給すると、右上端のEC層23が発色する。
【0019】
画素垂直駆動部70は、後述する信号TX、信号RST、信号SELなどの制御信号を各画素10に供給して、各画素10の動作を制御する。システム制御部110は、電子カメラ1の制御部4から出力される撮像素子3の動作を制御するための制御信号に基づいて、フィルタ制御部60、画素垂直駆動部70、カラム回路部80、水平走査部90、および出力部100を制御する。システム制御部110は、パルス発生回路等を含み、制御部4からの制御信号に基づいてパルス信号等を生成して上述のフィルタ制御部60等に出力してそれらを制御する。
【0020】
カラム回路部80は、複数のアナログ/デジタル変換部(AD変換部)を含んで構成され、各画素10から出力された信号をデジタル信号に変換し、変換後のデジタル信号を水平走査部90に出力する。水平走査部90は、システム制御部110から出力されたパルス信号等に基づいて、カラム回路部80から出力された信号を、出力部100に順次出力する。出力部100は、不図示の信号処理部を有し、水平走査部90から入力された信号に対して相関二重サンプリングや信号量を補正する処理等の信号処理を行い、電子カメラ1の制御部4に出力する。出力部100は、LVDSやSLVS等の高速インタフェースに対応した入出力回路等を有し、信号を制御部4に高速に伝送する。
【0021】
図4は、第1の実施の形態に係るフィルタ部の透過波長の一例を示す図である。図4に示す例では、EC層21~23の透過波長の組み合わせにより、フィルタ部5が、W(白)、BK(黒)、Mg(マゼンタ)、Ye(イエロー)、Cy(シアン)、R(赤)、G(緑)、B(青)の波長域の光を主に透過させる状態を示している。
【0022】
図4において、破線の四角の枠で囲んだMgは、EC層21がMgの波長域の光を透過させる状態を示す。破線の四角の枠で囲んだYeは、EC層22がYeの波長域の光を透過させる状態を示す。破線の四角の枠で囲んだCyは、EC層23がCyの波長域の光を透過させる状態を示す。また、点線の四角は、EC層が透明(消色)の状態であり、EC層が全ての波長域の光を透過させる状態を示す。実線の四角の枠で囲んだW、BK、Mg、Ye、Cy、R、G、Bは、3つのEC層21、22、23を透過する波長域(3層EC透過波長域)を示す。
【0023】
EC層21に駆動信号を供給した場合には、EC層21は、Gの波長域の光を吸収し、RおよびBの波長域の光を透過する状態、すなわちMgの波長域の光を透過する状態となる。また、EC層22に駆動信号を供給した場合には、EC層22は、Bの波長域の光を吸収し、RおよびGの波長域の光を透過する状態、すなわちYeの波長域の光を透過する状態となる。また、EC層23に駆動信号を供給した場合には、EC層23は、Rの波長域の光を吸収し、GおよびBの波長域の光を透過する状態、すなわちCyの波長域の光を透過する状態となる。
【0024】
3つのEC層21、22、23のうち、EC層21のみに、EC層22のみに、及びEC層23のみに、それぞれ駆動信号を供給した場合には、3層EC透過波長域は、それぞれMg(マゼンタ)、Ye(イエロー)、Cy(シアン)になる。また、EC層21、22の両方に駆動信号を供給した場合には、3層EC透過波長域はR(赤)になり、EC層22、23の両方に駆動信号を供給した場合には、3層EC透過波長域はG(緑)になる。更に、EC層21、23の両方に駆動信号を供給した場合には、3層EC透過波長域はB(青)になる。3つのEC層21、22、23のいずれにも、駆動信号が供給されていない状態では、EC層21~23の各々は全ての波長域の光を透過させるため、3層EC透過波長域はW(白)となる。3つのEC層21、22、23の全てに駆動信号を供給すると、EC層21はGの波長域の光を吸収し、EC層22はBの波長域の光を吸収し、EC層23はRの波長域の光を吸収するため、3層EC透過波長域はBK(黒)となる。
【0025】
図5は、第1の実施の形態に係るフィルタ部5の透過波長の変更例を示す図である。なお、図5に示す例では、説明を簡略化するために、座標(1,1)から座標(4,4)までの行方向4画素×列方向4画素のフィルタ部5のみ図示している。図5(a)~(g)では、各フィルタ部5の透明電極11~14のうち所定の透明電極に順次電圧を印加して、4×4の全画素がW(白)の状態から、RGBのベイヤー配列の状態に変更する例を、時系列順に示している。
【0026】
図5(a)は、初期状態を示しており、全てのフィルタ部5は、入射する光の全波長域を透過させる状態、すなわちWのフィルタ部5となる。例えば、フィルタ制御部60は、全てのフィルタ部5の透明電極11~13に正電位を供給させ、また共通透明電極14に負電位を供給させることで、EC層21~23を透明(消色)の状態にさせて、フィルタ部5に入射する光のうちの全ての波長域の光を透過させる。
【0027】
図5(b)では、フィルタ制御部60は、1列目および3列目のフィルタ部5の共通透明電極14と、1行目および3行目のフィルタ部5の透明電極11との間に、EC層を消色させる場合とは逆の電圧を印加させる、即ち、共通透明電極14に正電位を、透明電極11に負電位をそれぞれ印加する。これにより、座標(1、1)、(1、3)、(3、1)、(3、3)のフィルタ部5においては、EC層21がマゼンタを発色する状態となり、上記4つの座標位置のフィルタ部5は、主にマゼンタの波長域の光を透過するMgのフィルタ部5となる。また、座標(1、1)、(1、3)、(3、1)、(3、3)のフィルタ部5において、所定時間の間電圧の印加を行った後、電圧の印加は停止されるが、EC層が有するメモリー性により一定時間の間は発色状態が維持されることとなる。
【0028】
図5(c)では、フィルタ制御部60は、2列目および4列目のフィルタ部5の共通透明電極14に正電位を、2行目および4行目のフィルタ部5の透明電極11に負電位をそれぞれ印加させる。これにより、座標(2、2)、(2、4)、(4、2)、(4、4)のフィルタ部5においては、EC層21がマゼンタを発色する状態となり、フィルタ部5は、Mgのフィルタ部5となる。
【0029】
図5(d)では、フィルタ制御部60は、1列目および3列目のフィルタ部5の透明電極14に正電位を、1行目~4行目のフィルタ部5の透明電極12に負電位をそれぞれ印加させる。これにより、座標(2、1)、(2、3)、(4、1)、(4、3)のフィルタ部5においては、EC層22がイエローを発色する状態となり、フィルタ部5は、主にイエローの波長域の光を透過するYeのフィルタ部5となる。また、座標(1、1)、(1、3)、(3、1)、(3、3)のフィルタ部5においては、EC層21がマゼンタを発色し、EC層22がイエローを発色する状態となるため、フィルタ部5は、主に赤色の波長域の光を透過するRのフィルタ部5となる。
【0030】
図5(e)では、フィルタ制御部60は、2列目および4列目のフィルタ部5の透明電極14と、1行目および3行目のフィルタ部5の透明電極12との間に電圧を印加させる。これにより、座標(1、2)、(1、4)、(3、2)、(3、4)のフィルタ部5においては、EC層22がイエローを発色する状態となり、フィルタ部5は、Yeのフィルタ部5となる。
【0031】
図5(f)では、フィルタ制御部60は、1列目および3列目のフィルタ部5の透明電極14と、2行目および4行目のフィルタ部5の透明電極13との間に電圧を印加させる。これにより、座標(2、1)、(2、3)、(4、1)、(4、3)のフィルタ部5においては、EC層22がイエローを発色し、EC層23がシアンを発色する状態となるため、フィルタ部5は、主に緑色の波長域の光を透過するGのフィルタ部5となる。
【0032】
図5(g)では、フィルタ制御部60は、2列目および4列目のフィルタ部5の透明電極14と、1行目~4行目のフィルタ部5の透明電極13との間に電圧を印加させる。これにより、座標(1、2)、(1、4)、(3、2)、(3、4)のフィルタ部5は、EC層22がイエローを発色し、EC層23がシアンを発色する状態となるため、Gのフィルタ部5となる。また、座標(2、2)、(2、4)、(4、2)、(4、4)のフィルタ部5においては、EC層21がマゼンタを発色し、EC層23がシアンを発色する状態となるため、フィルタ部5は、主に青色の波長域の光を透過するBのフィルタ部5となる。
【0033】
フィルタ制御部60は、図5(g)に示すように、Rのフィルタ部5を有するR画素と、Gのフィルタ部5を有するG画素と、Bのフィルタ部5を有するB画素とがベイヤー配列を構成するように、画素10のフィルタ部5を制御することができる。このように、本実施の形態では、フィルタ制御部60は、各フィルタ部5の透過波長を順次制御して、各フィルタ部5の透過波長を変更することができる。また、フィルタ制御部60は、行列状に設けられる透明電極11~14を介して電気信号の供給および停止を行うことにより、行方向または列方向に配置される複数のフィルタ部5の透過波長を同時に制御することができる。
【0034】
本実施の形態による撮像素子3は、以下に詳細に説明するように、全ての画素10から信号を個別に読み出す処理と、複数の画素10の信号を加算して読み出す処理とを行うことができる。例えば、撮像素子3は、静止画を撮影する場合は、撮像素子3の全ての画素10の信号を個別に読み出す処理を行い、動画を撮影する場合は、複数の画素10の信号を加算して読み出す処理を行う。また、撮像素子3が超多画素(例えば数億の画素数)を有する場合は、撮像素子が有する画素数に対応する高解像度の画像を表示可能な表示装置が利用されることは少ないため、複数の画素10の信号を加算する処理を行って、表示装置に表示させる画像に必要な画素数に対応する信号を生成する。ここで、「加算する処理」とは、複数の信号を加算して平均化する処理や、複数の信号に対して重み付けを行って加算する処理などを含む。なお、複数の画素からの信号を用いて一つの信号を生成する方法はこれらに限らない。
【0035】
図6は、第1の実施の形態に係るフィルタ部5の制御の一例を示す図である。上述したように、フィルタ制御部60は、各フィルタ部5の透過波長を設定して、Rのフィルタ部5を有するR画素、Gのフィルタ部5を有するG画素、Bのフィルタ部5を有するB画素を配置することができる。図6(a)では、1つのR画素である領域41Aと、1つのG画素である領域42A、領域43Aと、1つのB画素である領域44Aとが、ベイヤー配列の基本単位(41A、42A、43A、44A)を構成する。撮像素子3においては、上述の2画素×2画素の基本単位(41A、42A、43A、44A)が繰り返し配置されている。
【0036】
図6(b)は、2×2の4つのR画素を有する領域41Bと、2×2の4つのG画素をそれぞれ有する領域42Bおよび領域43Bと、2×2の4つのB画素を有する領域44Bとが、ベイヤー配列で配置される例である。図6(b)では、領域41B~44Bにより構成される4×4画素が、ベイヤー配列の基本単位として繰り返し配置される。図6(c)は、3×3の9つのR画素を有する領域41Cと、3×3の9つのG画素をそれぞれ有する領域42Cおよび領域43Cと、3×3の9つのB画素を有する領域44Cとが、ベイヤー配列で配置される例である。図6(c)では、領域41C~44Cにより構成される6×6画素が、ベイヤー配列の基本単位として繰り返し配置される。このように、本実施の形態では、フィルタ制御部60は、互いに隣り合う複数の画素のフィルタ部5の透過波長域が同一になるようにフィルタ部5を制御することによって、ベイヤー配列の基本単位の大きさを変更することができる。即ち、ベイヤー配列の基本単位の大きさを、2画素×2画素の領域41A~44A、4画素×4画素の領域41B~44B、又は6×6画素の領域41C~44Cのように変更することが可能である。
【0037】
図6(b)に示したように、基本単位を構成する領域41B、42B、43B、44Bの各々が2画素×2画素の4画素から構成される場合には、各領域の4画素の画素信号を加算処理して加算画素信号を生成する。具体的には、撮像素子3は、後述するように、複数の領域41B~44Bの各々について、2×2の合計4個の画素の画素信号を加算した加算画素信号をそれぞれ生成する。これによって、図6(b)のようにフィルタ部5の透過波長域を制御して加算画素信号を出力する場合は、図6(a)のように各画素から信号を個別に出力する場合に比べて解像度が1/4に減少する。同様に、図6(c)に示したように、基本単位を構成する領域41C、42C、43C、44Cの各々が3画素×3画素の9画素から構成される場合には、各領域の9画素の画素信号を加算処理して加算画素信号を生成する。これによって、図6(c)のようにフィルタ部5の透過波長域を制御して加算画素信号を出力する場合は、図6(a)のように各画素から信号を個別に出力する場合に比べて解像度が1/9に減少する。
【0038】
なお、領域41B~44Bの各領域の4画素の画素信号の加算、及び領域41C~44Cの各領域の9画素の画素信号の加算は、図8を用いて後述するように撮像素子3内において実施する代わりに、撮像素子3からの画素信号を図1の制御部4において加算処理しても良い。
【0039】
電子カメラ1は、撮像素子3の画像データを表示する表示装置の表示画素が、撮像素子3の画素数とほぼ同等である場合には、高解像度で撮像し、表示画素が、撮像素子3の画素数に比べて小さい場合には、相対的に低い解像度で撮像すると良い。同様に、電子カメラ1は、画像データを大きく拡大してプリントする場合には、高解像度で撮影し、画像データを小さなサイズでプリントする場合には、低解像度で撮影するとよい。
【0040】
そこで、本実施の形態では、電子カメラ1が例えば、図示を省略した操作部によって高解像度の撮影モードに設定された場合には、フィルタ制御部60は、図6(a)のように、各画素10のフィルタ部5を制御する。同様に、電子カメラ1が例えば、図示を省略した操作部によって相対的に低い解像度の撮影モードに設定された場合には、フィルタ制御部60は、図6(b)、又は(c)のように、各画素10のフィルタ部5を制御する。
【0041】
また、電子カメラ1が、図示を省略した操作部によって静止画撮影モードに設定された場合には、高解像度の画像データを得るために、フィルタ制御部60は、図6(a)のように、各画素10のフィルタ部5を制御する。逆に、電子カメラ1が、図示を省略した操作部によって動画撮影モードに設定された場合には、フレームレートを高くするために、フィルタ制御部60は、図6(b)、又は(c)のように、各画素10のフィルタ部5を制御する。
【0042】
透過波長を変更することができないフィルタ部がベイヤー配列で配置される撮像素子では、複数の同色の画素の信号を加算するためには、離れた位置の同色の画素の信号を加算する必要がある。この場合、上述の同色の画素に挟まれた異色の画素の信号は、使用されずに無駄になってしまう。更には、加算される同色の画素の信号には、その同色画素に隣接する異色の画素からのクロストークによる混色が生じることが考えられる。
【0043】
一方、本実施の形態では、ベイヤー配列の基本単位を構成する領域41A~44A、41B~44B、41C~44Cの各々は、全て同色の画素によって構成される。このため、各領域41~44内の同色の画素の信号を加算することが可能となる。隣接画素は同色のフィルタ部が設けられる画素となるため、異なる色のフィルタ部の画素からのクロストークを抑制することができる。
【0044】
図7および図8を参照して、第1の実施の形態に係る撮像素子3の回路構成について説明する。図7は、第1の実施の形態に係る画素10の構成を示す回路図である。図8は、第1の実施の形態に係る撮像素子3の一部の構成を示す回路図である。画素10は、光電変換部34および読み出し部20を有する。光電変換部34は、入射した光を電荷に変換し、光電変換された電荷を蓄積する機能を有する。読み出し部20は、転送部25と、リセット部26と、フローティングディフュージョン27と、増幅部28と、選択部29と、第1のスイッチ部18と、第2のスイッチ部19とを有する。
【0045】
転送部25は、信号TXにより制御され、光電変換部34で光電変換された電荷をフローティングディフュージョン27に転送する。すなわち、転送部25は、光電変換部34およびフローティングディフュージョン27の間に電荷転送路を形成する。フローティングディフュージョン27の容量FDは、電荷を蓄積(保持)する。増幅部28は、容量FDに蓄積された電荷による信号を増幅して出力する。図7に示す例では、増幅部28は、ドレイン端子、ゲート端子およびソース端子がそれぞれ、電源VDD、フローティングディフュージョン27および選択部29に接続されるトランジスタM3により構成される。増幅部28のソース端子は、選択部29を介して垂直信号線101に接続される。増幅部28は、図8に示す電流源81を負荷電流源としてソースフォロワ回路の一部として機能する。
【0046】
リセット部26は、信号RSTにより制御され、容量FDの電荷をリセットし、フローティングディフュージョン27の電位をリセット電位(基準電位)にリセットする。選択部29は、信号SELにより制御され、増幅部28からの信号を垂直信号線101に出力する。転送部25、リセット部26、および選択部29は、例えば、それぞれトランジスタM1、トランジスタM2、トランジスタM4により構成される。
【0047】
第1のスイッチ部18は、信号SW_Xにより制御され、図8に示すように、行方向(第1方向)にそれぞれ配置される複数の画素10の各々のフローティングディフュージョン27を接続する。第2のスイッチ部19は、信号SW_Yにより制御され、図8に示すように、列方向(第2方向)にそれぞれ配置される複数の画素10の各々のフローティングディフュージョン27を接続する。第1のスイッチ部18および第2のスイッチ部19は、例えば、それぞれトランジスタM5、トランジスタM6により構成される。
【0048】
読み出し部20は、転送部25により光電変換部34からフローティングディフュージョン27に転送された電荷に応じた信号(画素信号)と、フローティングディフュージョン27の電位をリセット電位にリセットしたときの信号(ノイズ信号)とを垂直信号線101に読み出す。
【0049】
図8に示すように、撮像素子3は、行列状に配置される複数の画素10と、画素垂直駆動部70と、カラム回路部80とを有する。カラム回路部80は、電流源81(電流源81a~電流源81d)およびAD変換部82(AD変換部82a~AD変換部82d)を有する。列方向、すなわち縦方向に並んだ複数の画素10からなる画素列毎に、電流源81およびAD変換部82が設けられる。また、画素10の各列に対応して垂直信号線101(垂直信号線101a~垂直信号線101d)が設けられる。なお、図8に示す例では、説明を簡略化するために、画素10は行方向4画素×列方向4画素のみ図示している。図8に示す複数の画素10のうちの左下の画素10を第1行第1列の画素10(1、1)とし、図8では画素10(1、1)から画素10(4、4)までを図示している。
【0050】
画素垂直駆動部70は、信号TX、信号RST、信号SEL、信号SW_X、および信号SW_Yを各画素10に供給する。電流源81は、垂直信号線101を介して各画素10に接続されて、各画素10から画素信号及びノイズ信号を読み出すための電流を生成する。電流源81は、生成した電流を垂直信号線101および各画素10に供給する。AD変換部82は、垂直信号線101に出力された信号をデジタル信号に変換する。
【0051】
本実施の形態では、画素垂直駆動部70と第1のスイッチ部18と第2のスイッチ部19と容量FDとは、光電変換部34からの信号を加算する加算部として機能する。具体的には、画素垂直駆動部70は、信号SW_Xおよび信号SW_Yを各画素10に出力して、第1のスイッチ部18および第2のスイッチ部19のオンオフ制御を行うことにより、複数の光電変換部34の信号を加算する処理を行う。
【0052】
図9は、第1の実施の形態に係る撮像素子3の動作例を説明するための図である。図9(a)では、領域41A~44Aにより構成される2×2画素が、ベイヤー配列の基本単位として繰り返し配置される例を示している。図9(b)は、図9(a)に示すようにフィルタ部5の透過波長を設定した場合の撮像素子3の動作例を示すタイミングチャートである。図9(b)において、横軸は時刻を示している。図9(b)に示すタイミングチャートでは、制御信号がハイレベル(例えば電源電位)の場合に制御信号が入力されるトランジスタがオン状態となり、制御信号がローレベル(例えば接地電位)の場合に制御信号が入力されるトランジスタがオフ状態となる。
【0053】
時刻t1では、信号RST1がハイレベルになることで、1行目の画素である画素10(1、1)~画素10(1、4)において、それぞれのリセット部26のトランジスタM2がオンになり、フローティングディフュージョン27の電位がリセット電位になる。また、時刻t1では、信号SEL1a~SEL1fがハイレベルになることで、画素10(1、1)~画素10(1、4)のノイズ信号が、増幅部28のトランジスタM3および選択部29のトランジスタM4によって、それぞれ垂直信号線101a~垂直信号線101dに出力される。垂直信号線101a~垂直信号線101dにそれぞれ出力された1行目の各画素10からのノイズ信号は、それぞれAD変換部82a~AD変換部82dに入力されてデジタル信号に変換される。
【0054】
時刻t2では、信号TX1がハイレベルになることで、1行目の画素10(1、1)~画素10(1、4)において、転送部25のトランジスタM1がオンになる。これにより、PD11~PD14で光電変換された電荷が、それぞれフローティングディフュージョン27の容量FD11~容量FD14に転送される。フローティングディフュージョン27の容量FD11~容量FD14は、各々に転送された電荷を蓄積する。また、時刻t2では、信号SEL1a~SEL1fがハイレベルであるため、画素10(1、1)~画素10(1、4)の画素信号が、増幅部28および選択部29により、それぞれ垂直信号線101a~垂直信号線101dに出力される。垂直信号線101a~垂直信号線101dにそれぞれ出力された1行目の各画素10からの画素信号は、それぞれAD変換部82a~AD変換部82dに入力されてデジタル信号に変換される。
【0055】
時刻t3~時刻t5では、時刻t1から時刻3までの期間の場合と同様にして、2行目の画素である画素10(2、1)~画素10(2、4)からのノイズ信号および画素信号の読み出しが行われる。同様に、時刻t5~時刻t7では、3行目の画素である画素10(3、1)~画素10(3、4)からのノイズ信号および画素信号の読み出しが行われ、時刻t7~時刻t9では、4行目の画素である画素10(4、1)~画素10(4、4)からのノイズ信号および画素信号の読み出しが行われる。また、AD変換部82によりデジタル信号に変換されたノイズ信号と画素信号とは、図2に示す水平走査部90を介して出力部100に入力される。出力部100は、画素10のノイズ信号と画素信号との差分処理を行う相関二重サンプリングを行う。このように、本実施の形態では、ベイヤー配列の基本単位を構成する領域41A~44Aの各々が1画素から構成される場合に、各画素の画素信号を個別に読み出すことができる。
【0056】
図10は、第1の実施の形態に係る撮像素子3の別の動作例を説明するための図である。図10(a)では、領域41B~44Bにより構成される4×4画素が、ベイヤー配列の基本単位として繰り返し配置される例を示している。図10(b)は、図10(a)に示すようにフィルタ部5の透過波長を設定した場合の撮像素子3の動作例を示すタイミングチャートである。
【0057】
時刻t1では、信号SW_X1a、信号SW_X2a、および信号SW_Y1がハイレベルになることで、画素10(1、1)の容量FD11、画素10(1、2)の容量FD12、画素10(2、1)の容量FD21、および画素10(2、2)の容量FD22の4つの画素10のそれぞれの容量FDが互いに電気的に接続される。また、時刻t1では、信号SW_X1c、信号SW_X2c、および信号SW_Y1がハイレベルになることで、画素10(1、3)の容量FD13、画素10(1、4)の容量FD14、画素10(2、3)の容量FD23、および画素10(2、4)の容量FD24の4つの画素10のそれぞれの容量FDが互いに電気的に接続される。
【0058】
また、時刻t1では、信号RST1および信号RST2がハイレベルになることで、画素10(1、1)~画素10(1、4)および画素10(2、1)~画素10(2、4)において、それぞれのリセット部26のトランジスタM2がオンになり、フローティングディフュージョン27の電位がリセット電位になる。この場合、上述したように、4つの画素10の容量FDが接続されているため、画素10(1、1)、画素10(1、2)、画素10(2、1)、および画素10(2、2)のフローティングディフュージョン27の電位が平均化される。また、画素10(1、3)、画素10(1、4)、画素10(2、3)、および画素10(2、4)のフローティングディフュージョン27の電位が平均化される。
【0059】
さらに、時刻t1において、信号SEL1aがハイレベルになることで、画素10(1、1)、画素10(1、2)、画素10(2、1)、および画素10(2、2)の4つの画素の平均化されたノイズ信号が、画素10(1、1)の増幅部28および選択部29により垂直信号線101aに出力される。垂直信号線101aに出力されたノイズ信号は、AD変換部82aに入力されて、AD変換部82aによりデジタル信号に変換される。また、時刻t1において、信号SEL1cがハイレベルになることで、画素10(1、3)、画素10(1、4)、画素10(2、3)、および画素10(2、4)の4つの画素の平均化されたノイズ信号が、画素10(1、3)の増幅部28および選択部29により垂直信号線101cに出力される。垂直信号線101cに出力されたノイズ信号は、AD変換部82cに入力されて、AD変換部82cによりデジタル信号に変換される。
【0060】
時刻t2では、信号TX1および信号TX2がハイレベルになることで、画素10(1、1)~画素10(1、4)および画素10(2、1)~画素10(2、4)において、転送部25のトランジスタM1がオンになり、PD11~PD14およびPD21~PD24で光電変換された電荷が、フローティングディフュージョン27に転送される。この場合、上述したように、4つの画素10の容量FDが接続されているため、PD11、PD12、PD21、およびPD22の4つのPDから転送された電荷は、容量FD11、容量FD12、容量FD21、および容量FD22の4つの容量FDに分配される。また、PD13、PD14、PD23、およびPD24の4つのPDから転送された電荷は、容量FD13、容量FD14、容量FD23、および容量FD24の4つの容量FDに分配される。
【0061】
また、時刻t2では、信号SEL1aがハイレベルであるため、画素10(1、1)、画素10(1、2)、画素10(2、1)、および画素10(2、2)の4つの画素の信号を平均化した加算画素信号が、画素10(1、1)の増幅部28および選択部29により垂直信号線101aに出力される。垂直信号線101aに出力された加算画素信号は、AD変換部82aに入力されてデジタル信号に変換される。また、時刻t2では、信号SEL1cがハイレベルであるため、画素10(1、3)、画素10(1、4)、画素10(2、3)、および画素10(2、4)の4つの画素の信号を平均化した加算画素信号が、画素10(1、3)の増幅部28および選択部29により垂直信号線101cに出力される。垂直信号線101cに出力された加算画素信号は、AD変換部82cに入力されてデジタル信号に変換される。また、AD変換部82によりデジタル信号に変換されたノイズ信号と加算画素信号とは、図2に示す水平走査部90を介して出力部100に入力される。出力部100は、画素10のノイズ信号と加算画素信号との差分処理を行う相関二重サンプリングを行う。
【0062】
時刻t3~時刻t5では、時刻t1から時刻3までの期間の場合と同様にして、画素10(3、1)、画素10(3、2)、画素10(4、1)、および画素10(4、2)の信号を加算平均した信号の読み出しと、画素10(3、3)、画素10(3、4)、画素10(4、3)、および画素10(4、4)の信号を加算平均した信号の読み出しとが行われる。時刻t5~時刻t7では、時刻t1から時刻3までの期間の場合と同様にして、画素10(5、1)、画素10(5、2)、画素10(6、1)、および画素10(6、2)の信号を加算平均した信号の読み出しと、画素10(5、3)、画素10(5、4)、画素10(6、3)、および画素10(6、4)の信号を加算平均した信号の読み出しとが行われる。このように、本実施の形態では、ベイヤー配列の基本単位を構成する領域41B~44Bの各々が2画素×2画素の4画素から構成される場合に、各領域の4画素の信号を加算して読み出すことができる。
【0063】
また、図10に示す例では、4画素の信号を加算した加算画素信号は、垂直信号線101aまたは垂直信号線101cに読み出される。このため、加算画素信号が読み出されない垂直信号線101b、101dに接続される電流源81b、81dによる電流の生成を停止させることができ、撮像素子3の消費電流を低減させることができる。
【0064】
図11は、第1の実施の形態に係る撮像素子3の別の動作例を説明するための図である。図11(a)では、領域41C~44Cにより構成される6×6画素が、ベイヤー配列の基本単位として繰り返し配置される例を示している。図11(b)は、図11(a)に示すようにフィルタ部5の透過波長を設定した場合の撮像素子3の動作例を示すタイミングチャートである。
【0065】
時刻t1では、信号SW_X1a、信号SW_X1b、信号SW_X2a、信号SW_X2b、信号SW_X3a、信号SW_X3b、信号SW_Y1、および信号SW_Y2がハイレベルになることで、画素10(1、1)の容量FD11、画素10(1、2)の容量FD12、画素10(1、3)の容量FD13、画素10(2、1)の容量FD21、画素10(2、2)の容量FD22、画素10(2、3)の容量FD23、画素10(3、1)の容量FD31、画素10(3、2)の容量FD32、および画素10(3、3)の容量FD33の9つの画素10のそれぞれの容量FDが互いに電気的に接続される。
【0066】
また、時刻t1では、信号RST1、信号RST2、および信号RST3がハイレベルになることで、画素10(1、1)~画素10(1、3)、画素10(2、1)~画素10(2、3)、および画素10(3、1)~画素10(3、3)において、それぞれのリセット部26のトランジスタM2がオンになり、フローティングディフュージョン27の電位がリセット電位になる。この場合、上述の9つの画素10の容量FDでは、フローティングディフュージョン27の電位が平均化される。
【0067】
さらに、時刻t1において、信号SEL2bがハイレベルになることで、上述の9つの画素の平均化されたノイズ信号が、画素10(2、2)の増幅部28および選択部29により垂直信号線101bに出力される。垂直信号線101bに出力されたノイズ信号は、AD変換部82bに入力されてデジタル信号に変換される。
【0068】
時刻t2では、信号TX1、信号TX2、および信号TX3がハイレベルになることで、画素10(1、1)~画素10(1、3)、画素10(2、1)~画素10(2、3)、および画素10(3、1)~画素10(3、3)において、転送部25のトランジスタM1がオンになり、PD11~PD13、PD21~PD23、およびPD31~PD33で光電変換された電荷が、フローティングディフュージョン27に転送される。この場合、PD11~PD13、PD21~PD23、およびPD31~PD33の9つのPDから転送された電荷は、容量FD11、容量FD12、容量FD13、容量FD21、容量FD22、容量FD23、容量FD31、容量FD32、および容量FD33の9つの容量FDに分配される。
【0069】
また、時刻t2では、信号SEL2bがハイレベルであるため、上述の9つの画素の信号を平均化した加算画素信号が、画素10(2、2)の増幅部28および選択部29により垂直信号線101bに出力される。垂直信号線101bに出力された加算画素信号は、AD変換部82bに入力されてデジタル信号に変換される。このように、本実施の形態では、ベイヤー配列の基本単位を構成する領域41C~44Cの各々が3画素×3画素の9画素から構成される場合に、各領域の9画素の信号を加算して読み出すことができる。
【0070】
また、図11に示す例では、9画素の信号を加算した加算画素信号は、垂直信号線101bに読み出される。このため、加算画素信号が読み出されない垂直信号線101a、101cに接続される電流源81a、81cによる電流の生成を停止させることができ、撮像素子3の消費電流を低減させることができる。
【0071】
なお、本実施の形態では、画素10内において各画素の信号の加算処理を行う例について説明したが、各画素10の画素信号をそれぞれ出力部100に出力して、出力部100において加算処理を行うようにしてもよい。
【0072】
撮像素子3が産業用や監視用等の超多画素を有する撮像素子の場合は、全ての画素10からの信号を個別に読み出す場合は、消費電力および読み出し時間が増大する。本実施の形態では、ベイヤー配列を保持したままR、G、Bのフィルタ部5を有する領域の大きさを変更し、隣接する複数の画素10の信号を加算して出力させることができる。この結果、隣接画素の信号の加算を行うため、離れた位置の画素の信号の加算を行う場合と比較して、信号に混入するノイズおよび消費電流を低減することができる。また、隣接画素の信号の加算を行うため、離れた位置の画素の信号の加算を行う場合と比較して、加算処理を行う時間を短縮することができ、画素の信号の読み出し時間を短縮させることができる。
【0073】
上述した実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)撮像素子3は、透過波長を変更可能な複数のフィルタ部5と、フィルタ部5を透過した光を受光する複数の光電変換部34と、複数のフィルタ部5のうち第1の波長の光を透過させて光電変換部34に入射させる第1のフィルタ部5を有する第1の領域の大きさを変更する制御部(フィルタ制御部60)と、を備える。このようにしたので、フィルタ制御部60は、各フィルタ部5を制御して、R画素を有する領域41、G画素をそれぞれ有する領域42および領域43、B画素を有する領域44のそれぞれの大きさを変更することができる。また、フィルタ制御部60は、互いに隣り合う複数の画素のフィルタ部5の透過波長域が同一になるようにフィルタ部5を制御することによって、ベイヤー配列の基本単位の大きさを変更することができる。
【0074】
(2)本実施の形態では、フィルタ制御部60は、ベイヤー配列を保持したまま領域41~44の大きさを変更する。このため、隣接する複数の画素10の信号を加算して出力させることが可能となる。隣接する同色の画素の信号の加算を行うため、離れた位置の同色の画素の信号の加算を行う場合と比較して、信号に混入するノイズおよび消費電流を低減することができる。また、離れた位置の画素の信号の加算を行う場合と比較して、画素の信号の読み出し時間を短縮させることができる。
【0075】
(第2の実施の形態)
図12を参照して、第2の実施の形態に係る撮像素子を説明する。第2の実施の形態の撮像素子3は、電子カメラ1の電子ズーム機能のズーム倍率に応じて、画素信号の読み出し領域を領域120A、120B、120Cに変更すると共に、読み出し領域120A~120C内の画素10のフィルタ部5の透過波長域を、図6(a)~(c)のように変更する。
【0076】
図12(a)は、電子ズームが比較的高倍率である場合の画素信号の読み出し領域120Aと、読み出し領域120A内のR画素、G画素、B画素の配列パターンとを示す。図12(b)は、電子ズームが比較的中倍率である場合の画素信号の読み出し領域120Bと、読み出し領域120B内のR画素、G画素、B画素の配列パターンとを示す。図12(c)は、電子ズームが比較的低倍率である場合の画素信号の読み出し領域120Cと、読み出し領域120C内のR画素、G画素、B画素の配列パターンとを示す。
【0077】
図12(a)において、読み出し領域120Aは、2×2の4画素、即ち、1個のR画素と2個のG画素と1個のB画素とをベイヤー配列の基本単位として繰り返し配置されている。即ち、読み出し領域120Aは、図6(a)の場合と同様に、1個のR画素である領域41Aと、1個のG画素である領域42A、領域43Aと、1個のB画素である領域44Aとが、ベイヤー配列の基本単位を構成する。このような領域41A、42A、43A、44Aの配列は、フィルタ制御部5により各画素10のフィルタ部5を制御することによって、行われる。
【0078】
高倍率ズームの読み出し領域120Aは、その中の画素10の個数が、例えば、撮影者などが撮影画像データを鑑賞するために使用する外部の比較的高解像度の表示装置の表示画素数に略一致するように選択される。なお、この選択は、例えば、撮影者が電子カメラ1の不図示の操作部材を操作して、上記の表示装置の表示画素数をカメラ1に入力し、この入力された表示画素数に基づき読み出し領域120Aを設定することによって行われる。この読み出し領域120A内の画素10の画素信号は、図8に示した読み出し処理と同様な処理によって、読み出される。
【0079】
図12(a)に示す例では、図示の簡単化のために読み出し領域120A内の画素数を、6×6画素として示している。従って、図12(a)の場合は、即ち高倍率ズームの場合は、撮像素子3は、36個の画素信号を出力する。
【0080】
図12(b)では、電子ズームの倍率が中倍率であるので、読み出し領域120Bは、図12(a)の高倍率時の読み出し領域120Aよりも大きく定められる。具体的には、読み出し領域120Aの4倍の面積に定められる。読み出し領域120Bは、図6(b)の場合と同様に、2×2の4個のR画素を有する領域41Bと、2×2の4個のG画素をそれぞれ有する領域42Bおよび領域43Bと、2×2の4個のB画素を有する領域44Bとが、ベイヤー配列で配置されている。このような領域41B、42B、43B、44Bの配列は、フィルタ制御部5により各画素10のフィルタ部5を制御することによって、行われる。
【0081】
撮像素子3は、読み出し領域120Bにおいて、領域41Bの4つのR画素の画素信号を加算して加算画素信号として読み出し、領域42Bの4つのG画素の画素信号を加算して加算画素信号として読み出す。同様に、撮像素子3は、読み出し領域120Bにおいて、領域43Bの4つのG画素の画素信号を加算して加算画素信号として読み出し、領域44Bの4つのB画素の画素信号を加算して加算画素信号として読み出す。こうして、図12(b)の場合、即ち、中倍率ズームの場合も、撮像素子3は、高倍率ズームの場合と同数の36個の加算画素信号を出力する。
【0082】
図12(c)では、電子ズームの倍率が低倍率であるので、読み出し領域120Cは、図12(b)の中倍率時の読み出し領域120Bよりも更に大きく定められる、具体的には、高倍率ズーム時の読み出し領域120Aの9倍の面積に定められる。読み出し領域120Cは、図6(c)の場合と同様に、3×3の9個のR画素を有する領域41Cと、3×3の9個のG画素をそれぞれ有する領域42Cおよび領域43Cと、3×3の9個のB画素を有する領域44Cとが、ベイヤー配列で配置されている。このような領域41C、42C、43C、44Cの配列は、フィルタ制御部5により各画素10のフィルタ部5を制御することによって、行われる。
【0083】
撮像素子3は、読み出し領域120Cにおいて、領域41Cの9個のR画素の画素信号を加算して加算画素信号として読み出し、領域42Cの9個のG画素の画素信号を加算して加算画素信号として読み出す。同様に、撮像素子3は、読み出し領域120Cにおいて、領域43Cの9個のG画素の画素信号を加算して加算画素信号として読み出し、領域44Cの9個のB画素の画素信号を加算して加算画素信号として読み出す。こうして、図12(c)の場合、即ち、低倍率ズームの場合も、撮像素子3は、高倍率ズーム及び中倍率ズームの場合と同数の36個の加算画素信号を出力する。
【0084】
以上に説明したように、第2の実施の形態にあっては、フィルタ制御部60は、各画素10のフィルタ部5を制御することによって、例えば図12(a)に示した領域41Aには1個のR画素を配置し、図12(b)に示した領域41Bには4個のR画素を配置し、図12(c)に示した領域41Cには9個のR画素を配置する。同様に、フィルタ制御部60は、図12(a)の領域42A、43Aにはそれぞれ1個のG画素を配置し、図12(b)の領域42B、43Bにはそれぞれ4個のG画素を配置し、図12(c)の領域42C、43Cにはそれぞれ9個のG画素を配置する。同様に、フィルタ制御部60は、図12(a)の領域44Aには1個のB画素を配置し、図12(b)の領域44Bには4個のB画素を配置し、図12(c)の領域44Cには9個のB画素を配置する。従って、フィルタ制御部60は、電子ズームの倍率の変更に応じて、同一透過波長域に制御されるフィルタ部5の大きさを変更して、撮像素子3の画素信号の個数又は加算画素信号の個数をズーム倍率に関係なく、一定に定めることができる。
【0085】
このように、本実施の形態による撮像素子3は、電子ズームを行う場合に、それぞれのズーム倍率において同じ個数の画素信号又は加算画素信号を出力することができ、表示装置に表示させる画像の解像度を一定にすることができる。
【0086】
上述した実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
(3)第1の制御において複数の第1のフィルタ部をそれぞれ透過した光を受光した複数の光電変換部34からの信号の総数と第2の制御において第1の領域を透過した光を受光した複数の光電変換部34からの信号を加算した加算信号の総数とは略等しい。第1の制御において複数の第2のフィルタ部をそれぞれ透過した光を受光した複数の光電変換部34からの信号の総数と第2の制御において第2の領域を透過した光を受光した複数の光電変換部34からの信号を加算した加算信号の総数とは略等しい。このようにしたので、電子ズームを行う場合に、それぞれのズーム倍率において同じ数の画素信号又は加算画素信号を出力することができる。この結果、表示装置に表示させる画像の解像度を一定にすることができる。
【0087】
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
【0088】
(変形例1)
図面を参照して、変形例1に係る撮像素子3を説明する。なお、図中、第1の実施の形態と同一もしくは相当部分には、同一の参照番号を付し、第1の実施の形態に係る撮像素子3との相違点を主に説明する。図13は、変形例1に係る撮像素子3の一部の構成を示す回路図である。カラム回路部80は、スイッチ部SW11(SW11a~SW11f)、スイッチ部SW12(SW12a~SW12f)、スイッチ部SW13(SW13a~SW13f)、演算回路部83(演算回路部83a~演算回路部83f)、およびスイッチ制御部84を有する。列方向、すなわち縦方向に並んだ複数の画素10からなる画素列毎に、スイッチ部SW11、スイッチ部SW12、スイッチ部SW13、および演算回路部83が設けられる。また、変形例1では、画素10は、第1のスイッチ部18を有しない構成となる。
【0089】
スイッチ部SW11、スイッチ部SW12、およびスイッチ部SW13は、スイッチ制御部84によりオンオフ制御される。演算回路部83は、例えばアンプ回路等により構成されて、入力される複数の信号の加算処理を行う機能を有する。本実施の形態では、画素垂直駆動部70、第2のスイッチ部19、容量FD、スイッチ部SW11、スイッチ部SW12、スイッチ部SW13、および演算回路部83は、光電変換部34からの信号を加算する加算部として機能する。
【0090】
図14は、変形例1に係る撮像素子3の動作例を説明するための図である。図14(a)では、領域41A~44Aにより構成される2×2画素が、ベイヤー配列の基本単位として繰り返し配置される例を示している。図14(b)は、図14(a)に示すようにフィルタ部5の透過波長を設定した場合の撮像素子3の動作例を示すタイミングチャートである。図14(b)において、横軸は時刻を示している。また、SW11(SW11a~SW11f)、SW12(SW12a~SW12f)、およびSW13(SW13a~SW13f)は、スイッチ部SW11(SW11a~SW11f)、スイッチ部SW12(SW12a~SW12f)、およびスイッチ部SW13(SW13a~SW13f)に入力される制御信号を示す。図14(b)に示すタイミングチャートでは、制御信号がハイレベル(例えば電源電位)の場合に制御信号が入力されるトランジスタがオン状態となり、制御信号がローレベル(例えば接地電位)の場合に制御信号が入力されるトランジスタがオフ状態となる。
【0091】
時刻t1では、信号RST1がハイレベルになることで、1行目の画素である画素10(1、1)~画素10(1、4)において、それぞれのリセット部26のトランジスタM2がオンになり、フローティングディフュージョン27の電位がリセット電位になる。また、時刻t1では、信号SEL1がハイレベルになることで、画素10(1、1)~画素10(1、4)のノイズ信号が、増幅部28のトランジスタM3および選択部29のトランジスタM4によって、それぞれ垂直信号線101a~垂直信号線101dに出力される。時刻t1では、信号SW11a~信号SW11dがハイレベルになることで、垂直信号線101a~垂直信号線101dにそれぞれ出力された1行目の各画素10からのノイズ信号は、それぞれ演算回路部83a~演算回路部83dに入力される。演算回路部83a~演算回路部83dは、入力された信号をAD変換部82a~AD変換部82dに出力する。AD変換部82a~AD変換部82dは、入力された信号をデジタル信号に変換する。
【0092】
時刻t2では、信号TX1がハイレベルになることで、1行目の画素10(1、1)~画素10(1、4)において、転送部25のトランジスタM1がオンになる。これにより、PD11~PD14で光電変換された電荷が、それぞれフローティングディフュージョン27の容量FD11~容量FD14に転送される。また、時刻t2では、信号SEL1がハイレベルであるため、画素10(1、1)~画素10(1、4)の画素信号が、増幅部28および選択部29により、それぞれ垂直信号線101a~垂直信号線101dに出力される。また、時刻t2では、信号SW11a~信号SW11dがハイレベルであるため、垂直信号線101a~垂直信号線101dにそれぞれ出力された1行目の各画素10からの画素信号は、それぞれ演算回路部83a~演算回路部83dを介してAD変換部82a~AD変換部82dに入力されて、デジタル信号に変換される。
【0093】
時刻t3~時刻t5では、時刻t1から時刻3までの期間の場合と同様にして、2行目の画素である画素10(2、1)~画素10(2、4)からのノイズ信号および画素信号の読み出しが行われる。同様に、時刻t5~時刻t7では、3行目の画素である画素10(3、1)~画素10(3、4)からのノイズ信号および画素信号の読み出しが行われ、時刻t7~時刻t9では、4行目の画素である画素10(4、1)~画素10(4、4)からのノイズ信号および画素信号の読み出しが行われる。このように、変形例1では、第1の実施の形態の場合と同様に、ベイヤー配列の基本単位を構成する領域41A~44Aの各々が1画素から構成される場合に、各画素の信号を個別に読み出すことができる。
【0094】
図15は、変形例1に係る撮像素子3の別の動作例を説明するための図である。図15(a)では、領域41B~44Bにより構成される4×4画素が、ベイヤー配列の基本単位として繰り返し配置される例を示している。図15(b)は、図15(a)に示すようにフィルタ部5の透過波長を設定した場合の撮像素子3の動作例を示すタイミングチャートである。
【0095】
時刻t1では、信号SW_Y1がハイレベルになることで、画素10(1、1)の容量FD11および画素10(2、1)の容量FD21と、画素10(1、2)の容量FD12および画素10(2、2)の容量FD22と、画素10(1、3)の容量FD13および画素10(2、3)の容量FD23と、画素10(1、4)の容量FD14および画素10(2、4)の容量FD24とが、それぞれ互いに電気的に接続される。
【0096】
また、時刻t1では、信号RST1および信号RST2がハイレベルになることで、画素10(1、1)~画素10(1、4)および画素10(2、1)~画素10(2、4)において、それぞれのリセット部26のトランジスタM2がオンになり、フローティングディフュージョン27の電位がリセット電位になる。
【0097】
時刻t1において、信号SEL1がハイレベルになることで、画素10(1、1)および画素10(2、1)の2つの画素の平均化されたノイズ信号が、画素10(1、1)の増幅部28および選択部29により垂直信号線101aに出力される。また、時刻t1において、信号SEL1がハイレベルになることで、画素10(1、2)および画素10(2、2)の2つの画素の平均化されたノイズ信号と、画素10(1、3)および画素10(2、3)の2つの画素の平均化されたノイズ信号と、画素10(1、4)および画素10(2、4)の2つの画素の平均化されたノイズ信号とが、それぞれ垂直信号線101b~垂直信号線101dに出力される。
【0098】
また、時刻t1では、信号SW11a、信号SW11c、信号SW13a、信号SW13cがハイレベルになる。なお、信号SW11b、信号SW11d、信号SW13b、信号SW13d、信号SW12a~信号SW12dはそれぞれローレベルにされる。これにより、垂直信号線101aに出力された画素10(1、1)および画素10(2、1)の2つの画素の平均化されたノイズ信号と、垂直信号線101bに出力された画素10(1、2)および画素10(2、2)の2つの画素の平均化されたノイズ信号とが、演算回路部83aに入力されて加算平均される。すなわち、演算回路部83aは、画素10(1、1)、画素10(2、1)、画素10(1、2)、および画素10(2、2)の4つの画素の平均化されたノイズ信号を生成して、AD変換部82aに出力する。AD変換部82aは、入力された信号をデジタル信号に変換する。
【0099】
同様に、垂直信号線101cに出力された画素10(1、3)および画素10(2、3)の2つの画素の平均化されたノイズ信号と、垂直信号線101dに出力された画素10(1、4)および画素10(2、4)の2つの画素の平均化されたノイズ信号とが、演算回路部83cに入力されて加算平均される。すなわち、演算回路部83cは、画素10(1、3)、画素10(2、3)、画素10(1、4)、および画素10(2、4)の4つの画素の平均化されたノイズ信号を生成して、AD変換部82cに出力する。AD変換部82cは、入力された信号をデジタル信号に変換する。
【0100】
時刻t2では、信号TX1および信号TX2がハイレベルになることで、画素10(1、1)~画素10(1、4)および画素10(2、1)~画素10(2、4)において、転送部25のトランジスタM1がオンになり、PD11~PD14およびPD21~PD24で光電変換された電荷が、フローティングディフュージョン27に転送される。
【0101】
また、時刻t2では、画素10(1、1)および画素10(2、1)の2つの画素の平均化された加算画素信号が、垂直信号線101aに出力される。また、時刻t2において、画素10(1、2)および画素10(2、2)の2つの画素の平均化された加算画素信号、画素10(1、3)および画素10(2、3)の2つの画素の平均化された加算画素信号、および画素10(1、4)および画素10(2、4)の2つの画素の平均化された加算画素信号が、それぞれ垂直信号線101b~垂直信号線101dに出力される。
【0102】
さらに、時刻t2では、垂直信号線101aに出力された画素10(1、1)および画素10(2、1)の2つの画素の平均化された加算画素信号と、垂直信号線101bに出力された画素10(1、2)および画素10(2、2)の2つの画素の平均化された加算画素信号とが、演算回路部83aに入力されて加算平均される。すなわち、演算回路部83aは、画素10(1、1)、画素10(2、1)、画素10(1、2)、および画素10(2、2)の4つの画素の平均化された加算画素信号を生成して、AD変換部82aに出力する。AD変換部82aは、入力された信号をデジタル信号に変換する。
【0103】
同様に、垂直信号線101cに出力された画素10(1、3)および画素10(2、3)の2つの画素の平均化された加算画素信号と、垂直信号線101dに出力された画素10(1、4)および画素10(2、4)の2つの画素の平均化された加算画素信号とが、演算回路部83cに入力されて加算平均される。すなわち、演算回路部83cは、画素10(1、3)、画素10(2、3)、画素10(1、4)、および画素10(2、4)の4つの画素の平均化された加算画素信号を生成して、AD変換部82cに出力する。AD変換部82cは、入力された信号をデジタル信号に変換する。
【0104】
時刻t3~時刻t5では、時刻t1から時刻3までの期間の場合と同様にして、画素10(3、1)、画素10(3、2)、画素10(4、1)、および画素10(4、2)の信号を加算平均した信号の読み出しと、画素10(3、3)、画素10(3、4)、画素10(4、3)、および画素10(4、4)の信号を加算平均した信号の読み出しとが行われる。時刻t5~時刻t7では、時刻t1から時刻3までの期間の場合と同様にして、画素10(5、1)、画素10(5、2)、画素10(6、1)、および画素10(6、2)の信号を加算平均した信号の読み出しと、画素10(5、3)、画素10(5、4)、画素10(6、3)、および画素10(6、4)の信号を加算平均した信号の読み出しとが行われる。このように、撮像素子3は、ベイヤー配列の基本単位を構成する領域41B~44Bの各々が2画素×2画素の4画素から構成される場合に、各領域の4画素の信号を加算して読み出すことができる。
【0105】
図16は、変形例1に係る撮像素子3の別の動作例を説明するための図である。図16(a)では、領域41C~44Cにより構成される6×6画素が、ベイヤー配列の基本単位として繰り返し配置される例を示している。図16(b)は、図16(a)に示すようにフィルタ部5の透過波長を設定した場合の撮像素子3の動作例を示すタイミングチャートである。
【0106】
時刻t1では、信号SW_Y1および信号SW_Y2がハイレベルになることで、画素10(1、1)の容量FD11、画素10(2、1)の容量FD21、および画素10(3、1)の容量FD31が互いに電気的に接続される。また、画素10(1、2)の容量FD12、画素10(2、2)の容量FD22、および画素10(3、2)の容量FD32が互いに電気的に接続される。さらに、画素10(1、3)の容量FD13、画素10(2、3)の容量FD23、および画素10(3、3)の容量FD33が互いに電気的に接続される。
【0107】
また、時刻t1では、信号RST1、信号RST2、および信号RST3がハイレベルになることで、画素10(1、1)~画素10(1、3)、画素10(2、1)~画素10(2、3)、および画素10(3、1)~画素10(3、3)において、それぞれのリセット部26のトランジスタM2がオンになり、フローティングディフュージョン27の電位がリセット電位になる。この場合、互いに電気的に接続された容量FD間では、フローティングディフュージョン27の電位が平均化される。
【0108】
さらに、時刻t1において、信号SEL2がハイレベルになることで、上述の画素10(1、1)、画素10(2、1)、および画素10(3、1)の3つの画素の平均化されたノイズ信号が、画素10(2、1)の増幅部28および選択部29により垂直信号線101aに出力される。時刻t1において、信号SEL2がハイレベルになることで、上述の画素10(1、2)、画素10(2、2)、および画素10(3、2)の3つの画素の平均化されたノイズ信号が、画素10(2、2)の増幅部28および選択部29により垂直信号線101bに出力される。時刻t1において、信号SEL2がハイレベルになることで、上述の画素10(1、3)、画素10(2、3)、および画素10(3、3)の3つの画素の平均化されたノイズ信号が、画素10(2、3)の増幅部28および選択部29により垂直信号線101cに出力される。
【0109】
時刻t1では、信号SW12a、信号SW11b、信号SW13bがハイレベルになる。なお、信号SW11a、信号SW13a、信号SW12b、信号SW11c、信号SW12c、信号SW13cはそれぞれローレベルにされる。これにより、垂直信号線101a~垂直信号線101cにそれぞれ出力されたノイズ信号が、演算回路部83bに入力されて加算平均される。すなわち、演算回路部83bは、画素10(1、1)、画素10(1、2)、画素10(1、3)、画素10(2、1)、画素10(2、2)、画素10(2、3)、画素10(3、1)、画素10(3、2)、および画素10(3、3)の9つの画素の平均化されたノイズ信号を生成して、AD変換部82bに出力する。AD変換部82bは、入力された信号をデジタル信号に変換する。
【0110】
時刻t2では、信号TX1、信号TX2、および信号TX3がハイレベルになることで、画素10(1、1)~画素10(1、3)、画素10(2、1)~画素10(2、3)、および画素10(3、1)~画素10(3、3)において、転送部25のトランジスタM1がオンになり、PD11~PD13、PD21~PD23、およびPD31~PD33で光電変換された電荷が、フローティングディフュージョン27に転送される。
【0111】
また、時刻t2では、画素10(1、1)、画素10(2、1)、および画素10(3、1)の3つの画素の平均化された加算画素信号が、垂直信号線101aに出力される。また、時刻t2において、画素10(1、2)、画素10(2、2)、および画素10(3、2)の3つの画素の平均化された加算画素信号、画素10(1、3)、画素10(2、3)、および画素10(3、3)の3つの画素の平均化された加算画素信号が、それぞれ垂直信号線101b、垂直信号線101cに出力される。
【0112】
さらに、時刻t2では、垂直信号線101a~垂直信号線101cにそれぞれ出力された加算画素信号が、演算回路部83bに入力されて加算平均される。すなわち、演算回路部83bは、上述の9つの画素の平均化された加算画素信号を生成して、AD変換部82bに出力する。AD変換部82bは、入力された信号をデジタル信号に変換する。このように、撮像素子3は、ベイヤー配列の基本単位を構成する領域41C~44Cの各々が3画素×3画素の9画素から構成される場合に、各領域の9画素の信号を加算して読み出すことができる。
【0113】
(変形例2)
図面を参照して、変形例2に係る撮像素子3を説明する。なお、図中、第1の実施の形態および変形例1と同一もしくは相当部分には、同一の参照番号を付し、第1の実施の形態および変形例1との相違点を主に説明する。図17は、変形例2に係る撮像素子3の一部の構成を示す回路図である。変形例2では、画素10は、第1のスイッチ部18および第2のスイッチ部19を有しない構成となる。変形例2では、画素垂直駆動部70、スイッチ部SW11、スイッチ部SW12、スイッチ部SW13、および演算回路部83は、光電変換部34からの信号を加算する加算部として機能する。
【0114】
図18は、変形例2に係る撮像素子3の動作例を説明するための図である。図18(a)では、領域41A~44Aにより構成される2×2画素が、ベイヤー配列の基本単位として繰り返し配置される例を示している。図18(b)は、図18(a)に示すようにフィルタ部5の透過波長を設定した場合の撮像素子3の動作例を示すタイミングチャートである。図18(b)において、横軸は時刻を示している。
【0115】
時刻t1では、信号RST1がハイレベルになることで、1行目の画素10(1、1)~画素10(1、4)において、それぞれのリセット部26のトランジスタM2がオンになり、フローティングディフュージョン27の電位がリセット電位になる。また、時刻t1では、信号SEL1がハイレベルになることで、画素10(1、1)~画素10(1、4)のノイズ信号が、増幅部28のトランジスタM3および選択部29のトランジスタM4によって、それぞれ垂直信号線101a~垂直信号線101dに出力される。時刻t1では、信号SW11a~信号SW11fがハイレベルになることで、垂直信号線101a~垂直信号線101dにそれぞれ出力された1行目の各画素10からのノイズ信号は、それぞれ演算回路部83a~演算回路部83dを介してAD変換部82a~AD変換部82dに入力される。AD変換部82a~AD変換部82dは、入力された信号をデジタル信号に変換する。
【0116】
時刻t2では、信号TX1がハイレベルになることで、1行目の画素10(1、1)~画素10(1、4)において、転送部25のトランジスタM1がオンになる。これにより、PD11~PD14で光電変換された電荷が、それぞれ容量FD11~容量FD14に転送される。また、時刻t2では、信号SEL1がハイレベルであるため、画素10(1、1)~画素10(1、4)の画素信号が、増幅部28および選択部29により、それぞれ垂直信号線101a~垂直信号線101dに出力される。また、時刻t2では、信号SW11a~信号SW11dがハイレベルであるため、垂直信号線101a~垂直信号線101dにそれぞれ出力された1行目の各画素10からの画素信号は、それぞれ演算回路部83a~演算回路部83dを介してAD変換部82a~AD変換部82dに入力されて、デジタル信号に変換される。
【0117】
時刻t3~時刻t5では、時刻t1から時刻3までの期間の場合と同様にして、2行目の画素である画素10(2、1)~画素10(2、4)からのノイズ信号および画素信号の読み出しが行われる。同様に、時刻t5~時刻t7では、3行目の画素である画素10(3、1)~画素10(3、4)からのノイズ信号および画素信号の読み出しが行われ、時刻t7~時刻t9では、4行目の画素である画素10(4、1)~画素10(4、4)からのノイズ信号および画素信号の読み出しが行われる。このように、変形例2では、第1の実施の形態および変形例1の場合と同様に、ベイヤー配列の基本単位を構成する領域41A~44Aの各々が1画素から構成される場合に、各画素の信号を個別に読み出すことができる。
【0118】
図19は、変形例2に係る撮像素子3の別の動作例を説明するための図である。図19(a)では、領域41B~44Bにより構成される4×4画素が、ベイヤー配列の基本単位として繰り返し配置される例を示している。図19(b)は、図19(a)に示すようにフィルタ部5の透過波長を設定した場合の撮像素子3の動作例を示すタイミングチャートである。
【0119】
時刻t1では、信号RST1および信号RST2がハイレベルになることで、画素10(1、1)~画素10(1、4)および画素10(2、1)~画素10(2、4)において、それぞれのリセット部26のトランジスタM2がオンになり、フローティングディフュージョン27の電位がリセット電位になる。
【0120】
時刻t1において、信号SEL1および信号SEL2がハイレベルになることで、画素10(1、1)および画素10(2、1)の各々の増幅部28のトランジスタM3のソース端子が、垂直信号線101aを介して互いに電気的に接続される。これにより、画素10(1、1)および画素10(2、1)の2つの画素の加算平均化されたノイズ信号が、垂直信号線101aに出力される。垂直信号線101aに出力されるノイズ信号は、画素10(1、1)および画素10(2、1)のそれぞれのフローティングディフュージョン27の電位の平均(値)に対応する信号となる。
【0121】
また、時刻t1において、信号SEL1および信号SEL2がハイレベルになることで、画素10(1、2)の増幅部28および画素10(2、2)の増幅部28が垂直信号線101aを介して互いに電気的に接続される。これにより、画素10(1、2)および画素10(2、2)の2つの画素の平均化されたノイズ信号が、垂直信号線101bに出力される。同様に、時刻t1において、信号SEL1および信号SEL2がハイレベルになることで、画素10(1、3)および画素10(2、3)の2つの画素の平均化されたノイズ信号と、画素10(1、4)および画素10(2、4)の2つの画素の平均化されたノイズ信号とが、それぞれ垂直信号線101c、垂直信号線101dに出力される。
【0122】
また、時刻t1では、信号SW11a、信号SW11c、信号SW13a、信号SW13cがハイレベルになる。なお、信号SW11b、信号SW11d、信号SW13b、信号SW13d、信号SW12a~信号SW12dはそれぞれローレベルにされる。これにより、垂直信号線101aに出力された画素10(1、1)および画素10(2、1)の2つの画素の平均化されたノイズ信号と、垂直信号線101bに出力された画素10(1、2)および画素10(2、2)の2つの画素の平均化されたノイズ信号とが、演算回路部83aに入力されて加算平均される。すなわち、演算回路部83aは、画素10(1、1)、画素10(2、1)、画素10(1、2)、および画素10(2、2)の4つの画素の平均化されたノイズ信号を生成して、AD変換部82aに出力する。AD変換部82aは、入力された信号をデジタル信号に変換する。
【0123】
同様に、垂直信号線101cに出力された画素10(1、3)および画素10(2、3)の2つの画素の平均化されたノイズ信号と、垂直信号線101dに出力された画素10(1、4)および画素10(2、4)の2つの画素の平均化されたノイズ信号とが、演算回路部83cに入力されて加算平均される。すなわち、演算回路部83cは、画素10(1、3)、画素10(2、3)、画素10(1、4)、および画素10(2、4)の4つの画素の平均化されたノイズ信号を生成して、AD変換部82cに出力する。AD変換部82cは、入力された信号をデジタル信号に変換する。
【0124】
時刻t2では、信号TX1および信号TX2がハイレベルになることで、画素10(1、1)~画素10(1、4)および画素10(2、1)~画素10(2、4)において、転送部25のトランジスタM1がオンになり、PD11~PD14およびPD21~PD24で光電変換された電荷が、フローティングディフュージョン27に転送される。
【0125】
また、時刻t2では、画素10(1、1)および画素10(2、1)の各々の増幅部28が互いに電気的に接続されているため、画素10(1、1)および画素10(2、1)の2つの画素の平均化された加算画素信号が、垂直信号線101aに出力される。垂直信号線101aに出力される加算画素信号は、画素10(1、1)および画素10(2、1)のそれぞれのフローティングディフュージョン27の電位の平均に対応する信号となる。すなわち、画素10(1、1)のPD11で光電変換された電荷に基づく電位と、画素10(2、1)のPD21で光電変換された電荷に基づく電位との平均に対応する信号となる。
【0126】
また、時刻t2において、画素10(1、2)および画素10(2、2)の2つの画素の平均化された加算画素信号、画素10(1、3)および画素10(2、3)の2つの画素の平均化された加算画素信号、および画素10(1、4)および画素10(2、4)の2つの画素の平均化された加算画素信号が、それぞれ垂直信号線101b~垂直信号線101dに出力される。
【0127】
さらに、時刻t2では、垂直信号線101aに出力された画素10(1、1)および画素10(2、1)の2つの画素の平均化された加算画素信号と、垂直信号線101bに出力された画素10(1、2)および画素10(2、2)の2つの画素の平均化された加算画素信号とが、演算回路部83aに入力されて加算平均される。すなわち、演算回路部83aは、画素10(1、1)、画素10(2、1)、画素10(1、2)、および画素10(2、2)の4つの画素の平均化された加算画素信号を生成して、AD変換部82aに出力する。AD変換部82aは、入力された信号をデジタル信号に変換する。
【0128】
同様に、垂直信号線101cに出力された画素10(1、3)および画素10(2、3)の2つの画素の平均化された加算画素信号と、垂直信号線101dに出力された画素10(1、4)および画素10(2、4)の2つの画素の平均化された加算画素信号とが、演算回路部83cに入力されて加算平均される。すなわち、演算回路部83cは、画素10(1、3)、画素10(2、3)、画素10(1、4)、および画素10(2、4)の4つの画素の平均化された加算画素信号を生成して、AD変換部82cに出力する。AD変換部82cは、入力された信号をデジタル信号に変換する。
【0129】
時刻t3~時刻t5では、時刻t1から時刻3までの期間の場合と同様にして、画素10(3、1)、画素10(3、2)、画素10(4、1)、および画素10(4、2)の信号を加算平均した信号の読み出しと、画素10(3、3)、画素10(3、4)、画素10(4、3)、および画素10(4、4)の信号を加算平均した信号の読み出しとが行われる。時刻t5~時刻t7では、時刻t1から時刻3までの期間の場合と同様にして、画素10(5、1)、画素10(5、2)、画素10(6、1)、および画素10(6、2)の信号を加算平均した信号の読み出しと、画素10(5、3)、画素10(5、4)、画素10(6、3)、および画素10(6、4)の信号を加算平均した信号の読み出しとが行われる。このように、撮像素子3は、ベイヤー配列の基本単位を構成する領域41B~44Bの各々が2画素×2画素の4画素から構成される場合に、各領域の4画素の信号を加算して読み出すことができる。
【0130】
図20は、変形例2に係る撮像素子3の別の動作例を説明するための図である。図20(a)では、領域41C~44Cにより構成される6×6画素が、ベイヤー配列の基本単位として繰り返し配置される例を示している。図20(b)は、図20(a)に示すようにフィルタ部5の透過波長を設定した場合の撮像素子3の動作例を示すタイミングチャートである。
【0131】
時刻t1では、信号RST1、信号RST2、および信号RST3がハイレベルになることで、画素10(1、1)~画素10(1、3)、画素10(2、1)~画素10(2、3)、および画素10(3、1)~画素10(3、3)において、それぞれのリセット部26のトランジスタM2がオンになり、フローティングディフュージョン27の電位がリセット電位になる。
【0132】
時刻t1において、信号SEL1、信号SEL2、および信号SEL3がハイレベルになることで、画素10(1、1)、画素10(2、1)、および画素10(3、1)の各々の増幅部28のトランジスタM3のソース端子が、垂直信号線101aを介して互いに電気的に接続される。これにより、画素10(1、1)、画素10(2、1)、および画素10(3、1)の3つの画素の加算平均化されたノイズ信号が、垂直信号線101aに出力される。
【0133】
また、時刻t1において、信号SEL1、信号SEL2、および信号SEL3がハイレベルになることで、画素10(1、2)、画素10(2、2)、画素10(3、2)の各々の増幅部28が垂直信号線101aを介して互いに電気的に接続される。これにより、画素10(1、2)、画素10(2、2)、および画素10(3、2)の3つの画素の平均化されたノイズ信号が、垂直信号線101bに出力される。同様に、時刻t1において、信号SEL1、信号SEL2、および信号SEL3がハイレベルになることで、画素10(1、3)、画素10(2、3)、および画素10(3、3)の3つの画素の平均化されたノイズ信号が、垂直信号線101cに出力される。
【0134】
時刻t1では、信号SW12a、信号SW11b、信号SW13bがハイレベルになる。なお、信号SW11a、信号SW13a、信号SW12b、信号SW11c、信号SW12c、信号SW13cはそれぞれローレベルにされる。これにより、垂直信号線101a~垂直信号線101cにそれぞれ出力されたノイズ信号が、演算回路部83bに入力されて加算平均される。すなわち、演算回路部83bは、画素10(1、1)、画素10(1、2)、画素10(1、3)、画素10(2、1)、画素10(2、2)、画素10(2、3)、画素10(3、1)、画素10(3、2)、および画素10(3、3)の9つの画素の平均化されたノイズ信号を生成して、AD変換部82bに出力する。AD変換部82bは、入力された信号をデジタル信号に変換する。
【0135】
時刻t2では、信号TX1、信号TX2、および信号TX3がハイレベルになることで、画素10(1、1)~画素10(1、3)、画素10(2、1)~画素10(2、3)、および画素10(3、1)~画素10(3、3)において、転送部25のトランジスタM1がオンになり、PD11~PD13、PD21~PD23、およびPD31~PD33で光電変換された電荷が、フローティングディフュージョン27に転送される。
【0136】
また、時刻t2では、画素10(1、1)、画素10(2、1)、および画素10(3、1)の3つの画素の平均化された加算画素信号が、垂直信号線101aに出力される。また、時刻t2において、画素10(1、2)、画素10(2、2)、および画素10(3、2)の3つの画素の平均化された加算画素信号、画素10(1、3)、画素10(2、3)、および画素10(3、3)の3つの画素の平均化された加算画素信号が、それぞれ垂直信号線101b、垂直信号線101cに出力される。
【0137】
さらに、時刻t2では、垂直信号線101a~垂直信号線101cにそれぞれ出力された加算画素信号が、演算回路部83bに入力されて加算平均される。すなわち、演算回路部83bは、上述の9つの画素の平均化された加算画素信号を生成して、AD変換部82bに出力する。AD変換部82bは、入力された信号をデジタル信号に変換する。このように、撮像素子3は、ベイヤー配列の基本単位を構成する領域41C~44Cの各々が3画素×3画素の9画素から構成される場合に、各領域の9画素の信号を加算して読み出すことができる。
【0138】
このように、本変形例では、列方向に配置される複数の画素10の増幅部28を垂直信号線101を介して互いに電気的に接続することによって、複数の画素10の信号を、垂直信号線101において加算する。このため、列方向の複数の画素10の信号を加算するための第2のスイッチ部19、および第2のスイッチ部19とフローティングディフュージョン27とを接続する配線が不要となる。また、本変形例では、演算回路部83によって行方向に配置される複数の画素10の信号を加算するため、行方向の複数の画素10の信号を加算するための第1のスイッチ部18、および第1のスイッチ部18とフローティングディフュージョン27とを接続する配線が不要となる。この結果、画素を微細化することや、撮像素子のチップ面積を低減することが可能となる。
【0139】
また、複数の増幅部28を互いに接続して画素の信号を加算する方法では、加算される各画素10の信号の差、すなわち各画素のフローティングディフュージョン27の電位差が小さくないと正確な加算ができない。例えば、加算される2つの画素の各々のフローティングディフュージョン27の電位の差が大きい場合は、信号が大きい方の画素の増幅部28に、電流源81の電流がほとんど流れることになり、各フローティングディフュージョン27の電位の平均に対応する信号が得られなくなる。一方、本変形例では、領域41A~44A、41B~44B、41C~44Cの各々の画素10は、全て同色の画素によって構成されるため、加算する各画素10の信号の差が小さいことが想定される。この結果、本変形例では、正確な加算処理を行うことができる。
【0140】
(変形例3)
変形例2では、垂直信号線101において列方向に配置される複数の画素10の信号を加算し、演算回路部83において行方向に配置される複数の画素10の信号を加算する例を説明した。しかし、列方向に配置される複数の画素10の信号、および行方向に配置される複数の画素10の信号を、共に垂直信号線101において加算するようにしてもよい。図21は、変形例3に係る撮像素子3の一部の構成を示す回路図である。変形例3では、カラム回路部80は、演算回路部83を有しない構成となる。変形例3に係る撮像素子3の動作例を示すタイミングチャートは、図18図20に示すタイミングチャートと同一であるため、図示およびその詳細な説明は省略する。変形例2に係る撮像素子3との主な差異について、以下に説明する。
【0141】
図19の時刻t1では、信号SEL1、信号SEL2、信号SW11a、および信号SW13aがハイレベルになることで、画素10(1、1)、画素10(1、2)、画素10(2、1)、および画素10(2、2)の各々の増幅部28が垂直信号線101a、101bを介して互いに電気的に接続される。これにより、画素10(1、1)、画素10(1、2)、画素10(2、1)、および画素10(2、2)の4つの画素の平均化されたノイズ信号が、AD変換部82aに出力されてデジタル信号に変換される。同様に、時刻t1において、信号SW11c、および信号SW13cがハイレベルになり、画素10(1、3)、画素10(2、3)、画素10(1、4)、および画素10(2、4)の4つの画素の平均化されたノイズ信号が、AD変換部82cに出力されてデジタル信号に変換される。
【0142】
図19の時刻t2では、信号TX1および信号TX2がハイレベルになり、画素10(1、1)、画素10(1、2)、画素10(2、1)、および画素10(2、2)の4つの画素の平均化された加算画素信号が、AD変換部82aに出力されてデジタル信号に変換される。同様に、時刻t2において、画素10(1、3)、画素10(2、3)、画素10(1、4)、および画素10(2、4)の4つの画素の平均化された加算画素信号が、AD変換部82cに出力されてデジタル信号に変換される。
【0143】
図19の時刻t3~時刻t5では、時刻t1から時刻3までの期間の場合と同様にして、画素10(3、1)、画素10(3、2)、画素10(4、1)、および画素10(4、2)の信号を加算平均した信号の読み出しと、画素10(3、3)、画素10(3、4)、画素10(4、3)、および画素10(4、4)の信号を加算平均した信号の読み出しとが行われる。時刻t5~時刻t7では、時刻t1から時刻3までの期間の場合と同様にして、画素10(5、1)、画素10(5、2)、画素10(6、1)、および画素10(6、2)の信号を加算平均した信号の読み出しと、画素10(5、3)、画素10(5、4)、画素10(6、3)、および画素10(6、4)の信号を加算平均した信号の読み出しとが行われる。
【0144】
図20の時刻t1では、時刻t1において、信号SEL1、信号SEL2、信号SEL3、信号SW12a、信号SW11b、および信号SW13bがハイレベルになる。これにより、画素10(1、1)、画素10(1、2)、画素10(1、3)、画素10(2、1)、画素10(2、2)、画素10(2、3)、画素10(3、1)、画素10(3、2)、および画素10(3、3)の各々の増幅部28が垂直信号線101a、101b、101cを介して互いに電気的に接続される。これにより、画素10(1、1)、画素10(1、2)、画素10(1、3)、画素10(2、1)、画素10(2、2)、画素10(2、3)、画素10(3、1)、画素10(3、2)、および画素10(3、3)の9つの画素の平均化されたノイズ信号が、AD変換部82bに出力されてデジタル信号に変換される。
【0145】
図20の時刻t2では、信号TX1、信号TX2、および信号TX3がハイレベルになる。これにより、画素10(1、1)、画素10(1、2)、画素10(1、3)、画素10(2、1)、画素10(2、2)、画素10(2、3)、画素10(3、1)、画素10(3、2)、および画素10(3、3)の9つの画素の平均化された加算画素信号が、AD変換部82bに出力されてデジタル信号に変換される。
【0146】
このように、変形例3では、ベイヤー配列の基本単位を構成する領域41B~44Bの各々が2画素×2画素の4画素から構成される場合に、各領域の4画素の信号を、垂直信号線101において加算する。また、変形例3では、ベイヤー配列の基本単位を構成する領域41C~44Cの各々が3画素×3画素の9画素から構成される場合に、各領域の9画素の信号を、垂直信号線101において加算する。このため、行方向の複数の画素10の信号を加算するための演算回路部83が不要となる。この結果、撮像素子のチップ面積を低減することが可能となる。
【0147】
(変形例4)
上述した実施の形態および変形例では、フィルタ部5は、Mg(マゼンタ)を発色するEC層21、Ye(イエロー)を発色するEC層22、およびCy(シアン)を発色するEC層23の3つのフィルタにより構成される例について説明した。しかし、フィルタ部5は、R(赤)を発色するEC層、G(緑)を発色するEC層、およびB(青)を発色するEC層の3つのフィルタにより構成するようにしてもよい。また、フィルタ部5には液晶を用いた可変フィルタを用いるようにしてもよい。
【0148】
(変形例5)
上述した実施の形態および変形例では、各画素10のフィルタ部5を制御して、R画素とG画素とB画素とを配置させる例について説明した。しかし、各画素10のフィルタ部5を制御して、W(白)のフィルタ部5を有するW画素と、BK(黒)のフィルタ部5を有するBK画素とを配置するようにしてもよい。この場合、W(白)のフィルタ部5を有するW画素の領域およびBK(黒)のフィルタ部5を有するBK画素の領域のそれぞれの領域の大きさを変更するようにしてもよい。
【0149】
(変形例6)
上述した実施の形態および変形例では、光電変換部としてフォトダイオードを用いる例について説明した。しかし、光電変換部として光電変換膜を用いるようにしてもよい。
【0150】
(変形例7)
上述した実施の形態および変形例では、撮像素子3は、裏面照射型の構成とする例について説明した。しかし、撮像素子3を、光が入射する入射面側に配線層210を設ける表面照射型の構成としてもよい。
【0151】
(変形例8)
上述の実施の形態および変形例で説明した撮像素子3は、カメラ、スマートフォン、タブレット、PCに内蔵のカメラ、車載カメラ、無人航空機(ドローン、ラジコン機等)に搭載されるカメラ等に適用されてもよい。
【0152】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【0153】
次の優先権基礎出願の開示内容は引用文としてここに組み込まれる。
日本国特許出願2016年第192249号(2016年9月29日出願)
日本国特許出願2017年第61131号(2017年3月27日出願)
【符号の説明】
【0154】
3 撮像素子、5 フィルタ部、10 画素、34 光電変換部、60 フィルタ制御部
図1
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